(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111171
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】プログラム、方法、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20230803BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012877
(22)【出願日】2022-01-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】505392916
【氏名又は名称】弁護士ドットコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 卓司
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 幸徳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】電子契約において決裁権のない受信者が設定されていた場合の無権代理を防ぐ。
【解決手段】プログラムは、コンピュータのプロセッサに、第1のグループにおいて、電子契約を締結する際の承認者となる第1のユーザの設定を受け付けるステップと、第1のグループのユーザとは異なる第2のユーザから、第1のグループのユーザを特定する情報、および、第1のグループと電子契約を締結する対象である契約データを受け付けるステップと、第1のグループにおいて承認者となる第1のユーザが設定されている場合に、第2のユーザにより特定されているユーザの情報に第1のユーザが含まれているか否かにかかわらず、第1のユーザに対し、契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、を実行させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを動作させるためのプログラムであって、
前記コンピュータは、法人または個人である複数のユーザの間で電子契約を締結させるためのものであり、
前記プログラムは、前記コンピュータのプロセッサに、
複数のユーザにより構成される第1のグループにおいて、前記電子契約を締結する際の承認者となる第1のユーザの設定を受け付けるステップと、
前記第1のグループのユーザとは異なる第2のユーザから、前記第1のグループのユーザを特定する情報、および、前記第1のグループと前記電子契約を締結する対象である契約データを受け付けるステップと、
前記第1のグループにおいて前記承認者となる前記第1のユーザが設定されていない場合に、前記第2のユーザにより特定されているユーザに対し、前記契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、
前記第1のグループにおいて前記承認者となる前記第1のユーザが設定されている場合に、前記第2のユーザにより特定されているユーザの情報に前記第1のユーザが含まれているか否かにかかわらず、前記第1のユーザに対し、前記契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、
前記要求されたユーザから前記承認する操作を受け付けることにより、当該契約データについて前記第1のグループと前記第2のユーザまたは当該第2のユーザを含む第2のグループとの合意が成立したものとして、当該契約データを前記コンピュータにおいて管理するステップと、を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記契約データを受け付けるステップにおいて、前記第1のグループのユーザと前記第2のユーザの情報を取得し、第1のグループのユーザのメールアドレスと前記第2のユーザのメールアドレスとを比較することにより、前記第1のグループと前記第2のユーザとが異なる所属の契約当事者であることを判定する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記契約データを受け付けるステップにおいて、前記第1のグループのユーザのメールアドレスと前記第2のユーザのメールアドレスとを比較して、ドメイン部分が異なっているかを判定することにより、前記電子契約を締結する契約当事者の所属が異なると区別し、区別した結果を前記第1のグループのユーザまたは前記第2のユーザの少なくともいずれかに提示する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記契約データを受け付けるステップにおいて、前記第2のユーザの情報を取得することにより前記電子契約の締結にかかわる前記第2のユーザの側の人数を判定し、判定した結果に基づいて、前記電子契約の締結にかかわるべき前記第1のグループのユーザの人数を特定し、特定した結果を前記第1のグループのユーザまたは前記第2のユーザの少なくともいずれかに提示する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記管理するステップにおいて、前記第1のグループにおいて前記契約データの承認を行った複数のユーザの承認順に基づいて、承認を行ったユーザの役職を判定する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記管理するステップにおいて、前記役職を判定した結果に基づいて、前記第1のグループにおいて前記第1のユーザとして設定されるユーザの候補を抽出する、請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記管理するステップにおいて、前記第1のグループが契約締結をした履歴に基づいて、前記第1のユーザとして設定されるユーザの候補を抽出し、抽出された前記ユーザの候補を、前記第2のユーザとの契約締結のユーザに含めることを提案する情報を前記第1のグループのユーザに提示する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記管理するステップにおいて、前記合意が成立したものとして管理する前記契約データと、当該契約データに対し承認を行ったユーザの情報と、当該ユーザが承認を行ったタイミングの情報とを関連付けて記憶部に記憶させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
前記管理するステップにおいて、前記契約データの閲覧要求に応答して、前記契約データと関連付けて記憶させる情報である、前記承認を行ったユーザの情報と、前記ユーザが承認を行ったタイミングの情報とのうち少なくともいずれかを閲覧させずに当該契約データを前記閲覧要求を行ったユーザに提示する、請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
コンピュータを動作させる方法であって、
前記コンピュータは、法人または個人である複数のユーザの間で電子契約を締結させるためのものであり、
前記方法は、前記コンピュータのプロセッサが、
複数のユーザにより構成される第1のグループにおいて、前記電子契約を締結する際の承認者となる第1のユーザの設定を受け付けるステップと、
前記第1のグループのユーザとは異なる第2のユーザから、前記第1のグループのユーザを特定する情報、および、前記第1のグループと前記電子契約を締結する対象である契約データを受け付けるステップと、
前記第1のグループにおいて前記承認者となる前記第1のユーザが設定されていない場合に、前記第2のユーザにより特定されているユーザに対し、前記契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、
前記第1のグループにおいて前記承認者となる前記第1のユーザが設定されている場合に、前記第2のユーザにより特定されているユーザの情報に前記第1のユーザが含まれているか否かにかかわらず、前記第1のユーザに対し、前記契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、
前記要求されたユーザから前記承認する操作を受け付けることにより、当該契約データについて前記第1のグループと前記第2のユーザまたは当該第2のユーザを含む第2のグループとの合意が成立したものとして、当該契約データを前記コンピュータにおいて管理するステップと、を実行する、方法。
【請求項11】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記情報処理装置は、法人または個人である複数のユーザの間で電子契約を締結させるためのものであり、
前記制御部が、
複数のユーザにより構成される第1のグループにおいて、前記電子契約を締結する際の承認者となる第1のユーザの設定を受け付けるステップと、
前記第1のグループのユーザとは異なる第2のユーザから、前記第1のグループのユーザを特定する情報、および、前記第1のグループと前記電子契約を締結する対象である契約データを受け付けるステップと、
前記第1のグループにおいて前記承認者となる前記第1のユーザが設定されていない場合に、前記第2のユーザにより特定されているユーザに対し、前記契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、
前記第1のグループにおいて前記承認者となる前記第1のユーザが設定されている場合に、前記第2のユーザにより特定されているユーザの情報に前記第1のユーザが含まれているか否かにかかわらず、前記第1のユーザに対し、前記契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、
前記要求されたユーザから前記承認する操作を受け付けることにより、当該契約データについて前記第1のグループと前記第2のユーザまたは当該第2のユーザを含む第2のグループとの合意が成立したものとして、当該契約データを前記情報処理装置において管理するステップと、を実行する、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、方法、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
事業活動において、社内外で様々な取り決め、申請について承認をしつつ事業を進展させることが行われている。例えば、事業者の社内では、承認者が、承認すべき内容について決裁をすることが行われている。下記の特開2013―178842号公報(特許文献1)には、社内において、決裁処理をより円滑に進めることを目的として、申請内容を示す電子文書データに対し、決裁者が複数設定されている場合に、決裁経路上の決裁者による決裁処理をスキップするスキップ権限を付与することが記載されている。
また、事業者の社内外において、契約については、近年、IT技術の発達により、これまでは紙により締結が行われていたものが、徐々に電子契約で行われるようになってきている。
【0003】
電子契約では、電子契約サービスの利用者が、署名対象のドキュメント等に電子署名を行う。電子契約サービスは、いわゆる当事者署名型のもの、いわゆる事業者署名型(立会人型)のものなど様々な方式により事業者によって提供されている。
電子契約サービスを用いて契約締結を行う際、契約の当事者を特定する情報により、契約の当事者間で契約対象の文書データを閲覧可能としつつ締結作業を進めることがある。例えば、契約の当事者を特定する情報として、メールアドレスを用いて契約締結を進める場合、契約を行いたい者の一方が、他方のメールアドレスを指定した状態で契約データを電子契約サービスへ送信する。そして、契約データを受け取った者(もしくは受け取った会社)が、電子契約サービスを用いて、契約データを承認する等により、電子契約による締結作業を進める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、契約の当事者間で、締結作業にかかわる承認者を指定しつつ電子契約による締結作業を進める場合、契約締結の権限がない者が承認者として指定されてしまうことにより、決裁権がない者による無権代理により締結作業が行われる事態があり得る。このような無権代理がありえる場合、電子契約サービスを利用したとしても、締結される契約の信頼性が低下しうることとなり、電子契約サービス自体の利用が促されないおそれもある。
【0006】
そのため、電子契約サービスにおいて、権限がない者による無権代理を抑止することができる技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に示す一実施形態によると、コンピュータを動作させるためのプログラムが提供される。コンピュータは、複数の法人または個人のユーザの間で電子契約を締結させるためのものであり、プログラムは、コンピュータのプロセッサに、複数のユーザにより構成される第1のグループにおいて、電子契約を締結する際の承認者となる第1のユーザの設定を受け付けるステップと、第1のグループのユーザとは異なる第2のユーザから、第1のグループのユーザを特定する情報、および、第1のグループと電子契約を締結する対象である契約データを受け付けるステップと、第1のグループにおいて承認者となる第1のユーザが設定されていない場合に、第2のユーザにより特定されているユーザに対し、契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、第1のグループにおいて承認者となる第1のユーザが設定されている場合に、第2のユーザにより特定されているユーザの情報に第1のユーザが含まれているか否かにかかわらず、第1のユーザに対し、契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、要求されたユーザから承認する操作を受け付けることにより、当該契約データについて前記第1のグループと第2のユーザまたは当該第2のユーザを含む第2のグループとの合意が成立したものとして、当該契約データをコンピュータにおいて管理するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電子契約サービスの受信者側で適切な承認者の設定ができることで、決裁権のない受信者が設定されていた場合の無権代理を抑止することができうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の電子契約システム1の全体構成を示す図である。
【
図2】受信者側端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図3】サーバ20の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5の2021は電子契約管理データベース2021のデータ構造を示す図である。
図5の2022は送信時承認者情報2022のデータ構造を示す図である。
図5の2023は転送先承認者設定2023のデータ構造を示す図である。
図5の2024は承認履歴2024のデータ構造を示す図である。
【
図7】契約締結におけるメールアドレスのドメインを判定する処理、および、判定した結果を用いた処理の流れを示す図である。
【
図8】第1の事業者の承認者の端末において、契約データの確認をする局面を示す図である。
【
図9】第1の事業者のユーザの端末において、契約データの承認者をどう設定するかを示した図である。
【
図10】第1の事業者の承認者の端末において、契約データの承認者フローを示す図である。
【
図11】合意締結が完了した契約データの署名データを示す図である。
【
図12】合意締結が完了した契約データにおいて、一部匿名化した承認者の署名データを示す図である。
【
図13】過去の電子契約の承認履歴から、契約データの承認フローに承認者として組み込むべき人物を推薦したものを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<第1の実施形態の概略>
本実施形態において、ユーザは、PC(personal computer)を操作し、電子契約サービスにより契約を締結する。電子契約では、契約当事者間で合意された内容である、電子契約を締結する対象となる契約データについて、両当事者間で承認をする操作を行うことで契約締結を進行させる。
【0012】
契約データは、両当事者で合意された契約条件に基づき、例えば、少なくとも以下のようにして作成されるものを含む。
・ ドキュメントを作成するためのソフトウェアにより作成される契約書のデータ
・ 契約条件の各項目と、項目それぞれについて両当事者で合意された内容とを対応付けたデータ
【0013】
電子契約では、契約データを承認するための承認者が一人以上存在する。承認者は契約データに基づき、当該契約データの内容に示される条件での契約締結の可否を判断する。
【0014】
以下で説明する電子契約システム1において、サーバ20は、法人または個人である複数のユーザの間で電子契約を締結させるためのものである。なお、個人には、個人事業主が含まれる。
・ 法人同士の電子契約の締結
例えば、第1のグループ(法人など)のユーザと、第2のグループ(法人など)のユーザとの間で、第1のグループと第2のグループとを契約主体として、契約締結に合意する。
・ 法人と個人との電子契約の締結
例えば、不動産賃貸借契約、雇用契約、保険契約などのように、第1のグループ(不動産管理会社などの法人)のユーザと、個人であるユーザとの間で、第1のグループと個人であるユーザとを契約主体として、契約締結に合意する。
・ 個人同士の電子契約の締結
また、契約当事者としては2以上の場合があり得る(例えば、三者間契約)。
【0015】
<1.1 システム全体の構成図>
図1は、実施形態の電子契約システム1の全体構成の例を示すブロック図である。
図1に示すように、電子契約システム1は、受信者側端末装置10と、送信者側端末装置30と、サーバ20とを含み、これらの装置がネットワーク80によって互いに通信可能に接続されている。
【0016】
図1の例では、ユーザが使用する受信者側端末装置10を示している。受信者側端末装置10は、例えばPCである。
【0017】
受信者側端末装置10は、プログラムを実行することにより、プログラムに応じたシステムを操作する環境をユーザに対して提供する。受信者側端末装置10は、プログラムを読み込んで実行することにより、受信者側端末装置10と、送信者側端末装置30と、サーバ20とを通信接続する。そして、受信者側端末装置10は、電子契約に関連するデータ(例えば、契約データ、各ユーザが契約データを承認したことを示す情報、契約締結された契約データをユーザに閲覧させる情報等)を、受信者側端末装置10と送信者側端末装置30とサーバ20との間で送受信する。
【0018】
サーバ20は、電子契約に必要なデータを、適宜、受信者側端末装置10へ送信することで、受信者側端末装置10での電子契約の状況を可視化させる。サーバ20は、電子契約を操作するユーザの電子契約に関連する各種データを管理する。サーバ20は、受信者側端末装置10と通信し、各ユーザの電子契約の進行に応じて、画像、ファイル、テキストデータなどを受信者側端末装置10へ送信する。
【0019】
例えば、サーバ20は、電子契約に関連するユーザの情報、電子契約に使用する契約データの情報、電子契約においてあるユーザが承認した承認日時の情報などその他の各種データを管理する。
【0020】
受信者側端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。
【0021】
通信IF12は、受信者側端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0022】
入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための装置(例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等)である。
【0023】
出力装置14は、ユーザに対して情報を提示するための装置(ディスプレイ、スピーカー等)である。
【0024】
メモリ15は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0025】
記憶部16は、データを保存するためのものであり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
【0026】
プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0027】
サーバ20は、電子契約により契約締結を行うユーザの情報、電子契約の際に使用する契約データその他の情報を管理する装置である。
【0028】
サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0029】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0030】
入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、および、ユーザに対し、情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。
【0031】
メモリ25は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0032】
ストレージ26は、データを保存するためのものであり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
【0033】
プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0034】
送信者側端末装置30は、通信IF(Interface)32と、入力装置33と、出力装置34と、メモリ35と、記憶部36と、プロセッサ39とを備える。
【0035】
通信IF32は、送信者側端末装置30が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0036】
入力装置33は、ユーザからの入力操作を受け付けるための装置(例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等)である。
【0037】
出力装置34は、ユーザに対して情報を提示するための装置(ディスプレイ、スピーカー等)である。
【0038】
メモリ35は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0039】
記憶部36は、データを保存するためのものであり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
【0040】
プロセッサ39は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0041】
<1.2 受信者側端末装置10の機能的な構成>
図2は、受信者側端末装置10の機能的な構成を示す図である。受信者側端末装置10は、アンテナ111と、第1無線通信部121と、プロセッサ19と、操作受付部130と、記憶部16と、メモリ15と、ディスプレイ132と、音声処理部140と、マイク141と、スピーカー142とを含む。
【0042】
アンテナ111は、受信者側端末装置10が発する信号を電波として空間へ放射する。また、アンテナ111は、空間から電波を受信して受信信号を第1無線通信部121へ与える。
【0043】
第1無線通信部121は、受信者側端末装置10が他の通信機器と通信するため、アンテナ111等を介して信号を送受信するための変復調処理などを行う。第1無線通信部121は、チューナー、高周波回路などを含む無線通信用の通信モジュールであり、受信者側端末装置10が送受信する無線信号の変復調や周波数変換を行い、受信信号をプロセッサ19へ与える。
【0044】
プロセッサ19は、記憶部16に記憶されるプログラムを読み込んで実行することにより、受信者側端末装置10の動作を制御する。プロセッサ19は、例えばアプリケーションプロセッサによって実現される。
【0045】
操作受付部130は、ユーザの入力操作を受け付けるための機構を有する。例えば、操作受付部130は、マウス、タッチパッド、タッチパネル等のポインティングデバイス、キーボード、コントローラ、ユーザの身体の動きを入力操作としてセンシングする撮影手段等として実現される。例えば、操作受付部130において、ユーザの身体の動きとして、手などの身体の部位の動き、ユーザの顔の表情などをセンシングすることにより、これら身体の部位等の動きを入力操作として受け付ける。操作受付部130は、タッチパッドまたはタッチパネル等に対してユーザが指を接触させる等により入力操作を受け付けた座標に基づいて、ユーザの操作がフリック操作であるか、タップ操作であるか、ドラッグ(スワイプ)操作であるか等の操作の種別を判定する。
【0046】
記憶部16は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等により構成され、受信者側端末装置10が使用するプログラム、および、受信者側端末装置10がサーバ20から受信する各種データ等を記憶する。
【0047】
ディスプレイ132は、プロセッサ19の制御に応じて、画像、動画、テキストなどのデータを表示する。ディスプレイ132は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)その他の表示装置によって実現される。
【0048】
音声処理部140は音声信号の変復調を行う。音声処理部140は、マイク141から与えられる信号を変調して、変調後の信号をプロセッサ19へ与える。また、音声処理部140は、音声信号をスピーカー142へ与える。
【0049】
マイク141は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部140へ与える。
【0050】
スピーカー142は、音声処理部140から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を受信者側端末装置10の外部へ出力する。
【0051】
記憶部16において、電子契約管理情報161、送信時承認者情報162、転送先承認者設定163、承認履歴164の各情報を記憶する。
電子契約管理情報161は、各電子契約を管理するための情報である。
送信時承認者情報162は、受信者側端末装置10で締結を進める電子契約において、送信者側端末装置30で指定された、受信者側の承認者の情報を示す。
転送先承認者設定163は、受信者側端末装置10のユーザのグループにおいて、承認者として設定されるユーザの情報を示す。
承認履歴164は、各電子契約において、承認者となるユーザが承認したタイミングの情報を含む、承認の履歴の情報を示す。
【0052】
プロセッサ19がプログラムに従って動作することにより、入力操作受付部191、送受信部192、データ処理部193、報知制御部194としての機能を発揮する。
【0053】
入力操作受付部191は、操作受付部130等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。入力操作受付部191は、操作受付部130が例えばタッチ・センシティブ・デバイスである場合、タッチ・センシティブ・デバイスに対してユーザが指などを接触させた座標の情報に基づき、ユーザの操作がフリック操作であるか、タップ操作であるか、ドラッグ(スワイプ)操作であるか等の操作の種別を判定する。
【0054】
送受信部192は、受信者側端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0055】
データ処理部193は、受信者側端末装置10が入力を受け付けたデータに対し、プログラムに従って演算を行い、演算結果をメモリ等に出力する処理を行う。
【0056】
報知制御部194は、情報をユーザに提示する処理として、表示画像をディスプレイ132に表示させる処理、音声をスピーカー142に出力させる処理、振動をバイブレータ等に発生させる処理などを行う。
【0057】
<1.3 サーバ20の機能的な構成>
図3は、サーバ20の機能的な構成を示す図である。
図3に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0058】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0059】
記憶部202は、電子契約管理データベース2021と、送信時承認者情報2022と、転送先承認者設定2023と、承認履歴2024等の各種データベースを記憶する。
【0060】
電子契約管理データベース2021は、電子契約システム1で締結される各契約の情報を管理するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0061】
送信時承認者情報2022は、電子契約システム1で締結される各契約について、承認者として設定されているユーザの情報を管理するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0062】
転送先承認者設定2023は、事業者など複数のユーザが所属するグループにおいて、予め当該グループと関連付けて承認者として設定されているユーザの情報を管理するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0063】
承認履歴2024は、各電子契約において、承認者となるユーザが承認したタイミングの情報を含む、承認の履歴のデータベースである。詳細は後述する。
【0064】
制御部203は、プロセッサ29が記憶部202に記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御部203は、プログラムに従って動作することにより、受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、電子契約情報取得モジュール2033、承認者ユーザ情報取得モジュール2034、承認日時情報取得モジュール2035として示す機能を発揮する。
【0065】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0066】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0067】
電子契約情報取得モジュール2033は、電子契約の情報を管理するための一連の処理を行うものである。
【0068】
承認者ユーザ情報取得モジュール2034は、電子契約の締結において、送信者側端末装置30において、受信者側のユーザとして指定されているか否かにかかわらず、受信者側において承認者として承認を行うよう設定されているユーザの情報を管理するための一連の処理を行うものである。
【0069】
承認日時情報取得モジュール2035は、承認者がいつ承認したかの日時の情報を管理するための一連の処理を行うものである。
【0070】
<1.4 電子契約を説明するための概念図>
図4は、電子契約を説明するための概念図である。本実施形態において「電子契約」とは、サーバ20を運営する事業者等により提供される電子契約サービスを用いて、契約当事者が合意している契約データに対し、以下のように署名鍵を用いて電子署名を行うことが含まれる。
・ 契約当事者自身が用意する署名鍵を用いて、契約データに対し、当該契約当事者が電子署名を行う
・ 電子契約サービスの事業者が用意する署名鍵を用いて、契約データに対し、契約当事者の意思に基づき(例えば、契約当事者が契約データを承認する操作に応答して)電子署名を行う
【0071】
例えば、契約当事者が、それぞれの端末装置を操作することにより、サーバ20を介して端末装置間で契約書類のデータをインターネット上で交換し、契約当事者が合意の意思表示の入力操作を行うことにより、契約当事者が電子署名を契約書類の電子データに付与することをいう。
【0072】
まず契約書送信者は、送信者側端末装置30を操作することにより、契約データを例えばクラウド上のサーバ20にアップロードする。サーバ20は、契約書送信者が合意した契約データに対し、契約書送信者の電子署名を付与する。
【0073】
契約書送信者は、契約書受信者に合意締結を依頼するための操作を行う。具体的には、送信者側端末装置30は、ユーザから、契約書受信者を指定する操作を受け付けてサーバ20へ送信する。本実施形態では、送信者側端末装置30は、ユーザから、1または複数の契約書受信者を特定する情報を受け付けて、サーバ20を介して、契約書受信者のユーザに合意締結を依頼する。契約書送信者から受け付ける、ユーザを特定する情報としては、以下のようにしてもよい。
・ 契約書受信者それぞれのメールアドレス
・ 契約書受信者が利用しているサービスのアカウント(例えば、サーバ20が提供している電子契約のサービスにおいてユーザアカウントを発行している場合、ユーザIDなど、当該ユーザアカウントを特定する情報。またサーバ20が提供している電子契約のサービスとは別のサービスにおいてユーザアカウントを特定する情報など)
【0074】
電子契約システム1のサーバ20は、契約書送信者のユーザによって指定された受信者側のメールアドレスに宛てて、契約データにアクセスするための情報(例えば、URL(Uniform Resource Locator)として記述されるリンク)を契約書受信者に電子メールで送付する。
【0075】
ここで、サーバ20は、契約書送信者から、複数の契約書受信者の閲覧順の指定を受け付けることとしてもよい。例えば、サーバ20は、契約書送信者から、契約書受信者の複数のメールアドレスの指定を受け付けた場合、指定されているメールアドレスの順序に従って、順に、契約データにアクセスするための情報を、各契約書受信者に送付することとしてもよい。
【0076】
例えば、契約書送信者によって、契約書受信者として第1のメールアドレス、第2のメールアドレス、第3のメールアドレスが指定されていたとする。サーバ20は、まず、第1のメールアドレスの第1の契約書受信者に対し、契約データを閲覧させるためのリンクを送信して、承認をする操作を受け付ける。サーバ20は、第1の契約書受信者から、契約データに対し承認をする操作を受け付けることに応答して、当該第1の契約書受信者が承認をしたこと及び承認をしたタイミングを記録し(例えば、当該承認をする操作に応答して、第1の契約書受信者の電子署名を付与する)、第2のメールアドレスの第2の契約書受信者に対し、契約データを閲覧させるためのリンクを送信する。以降、サーバ20は、同様に、第2の契約書受信者が承認をしたこと及び承認をしたタイミングを記録し(例えば、当該承認をする操作に応答して、第2の契約書受信者の電子署名を付与する)、第2の契約書受信者が承認したことに応答して第3の契約書受信者に対し、契約データを閲覧させるためのリンクを送信し、第3の契約書受信者から承認をする操作を受け付ける。
【0077】
契約書受信者は、受信者側端末装置10において受信した電子メールに記載されたリンクをクリックし、オンラインでサーバ20上の契約データの内容を確認して、合意締結することができる。受信者側端末装置10は、この契約書について合意をすることを示す操作を受け付けるための画面を受信者側端末装置10のユーザに提示して、合意するための操作を当該ユーザから受け付ける。
この時点で契約内容に瑕疵があるような場合、サーバ20は、契約書受信者から、契約に合意をしない旨の操作を受け付けることとしてもよい。
【0078】
サーバ20は、契約書受信者から、契約データについて合意する操作を受け付けることにより、当該契約データに、契約書受信者の電子署名を付与する。契約データは、サーバ20に保管される。契約当事者双方の電子署名が付与されることで、契約書の改ざんは防止される。
【0079】
本実施形態は、このようなクラウド型の電子契約サービスを実現するものである。以下の実施形態では、契約締結の権限に関して、組織に属する者が権限なく電子契約を締結することを防止するための技術について説明する。
【0080】
このため、サーバ20の承認者ユーザ情報取得モジュール2034(
図3参照)は、組織内において契約締結が可能な者の情報を管理し、同権限を有しない者による合意締結の操作を防止する処理を行う。
【0081】
電子契約情報取得モジュール2033は、上記の権限管理以外の電子契約処理全般を担う。すなわち、電子契約情報取得モジュール2033は、上記のように契約書送信者の操作に基づき契約データをサーバ20に記録させる処理、契約データにアクセスするためのリンクを生成する処理、契約書受信者に契約締結のための電子メールを送信する処理、契約書受信者からの当該リンクに基づくアクセスを受け付けて契約締結のための操作を受け付ける処理やその他の処理を行う。
【0082】
<2 データ構造>
図5は、サーバ20が記憶するデータベースのデータ構造を示す図である。なお、
図5は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。
【0083】
図5の電子契約管理データベース2021の各レコードは、項目「契約ID」と、項目「送信者側書類送信日時」と、項目「契約のステータス」と、項目「契約完了日時」と、項目「送信者側メールアドレス」と、項目「受信者側メールアドレス1」と、項目「受信者側メールアドレス2」と、項目「受信者側メールアドレス3」と、項目「電子契約に用いた書類ID」とを含む。図示する例では、電子契約における送信者側のユーザから、複数の受信者側のユーザとして3名の指定を受け付けることが可能な例を示しているが、3名までに限らない。
【0084】
項目「契約ID」は、電子契約により締結される各契約について、例えばサーバ20により発行される識別情報を示す。
【0085】
具体的には、項目「契約ID」は、ユーザ間で電子契約により締結される各契約を管理する際に必要となる、電子契約に対して一意なIDのことである。
【0086】
項目「送信者側書類送信日時」は、電子契約により契約を締結するために送信者側のユーザがサーバ20へ契約データを送信したタイミングを示す。例えば、サーバ20は、送信者側のユーザから、契約データのアップロードを受け付ける処理をすることにより、当該処理を行ったタイミングを、項目「送信者側書類送信日時」において保持させる。
【0087】
項目「契約のステータス」は、送信者側と受信者側とで締結を進めている電子契約の締結の状況を示す。具体的には、当事者間での電子契約の締結の状況として、以下を含みうる。
・ 「未契約」:ユーザ間での電子契約の締結作業が開始されていない状態。例えば、電子契約の締結作業にかかわるユーザの指定を受け付けている状態。
・ 「契約締結中」:電子契約の締結において各ユーザが指定されているが、指定された各ユーザのうち少なくともいずれかのユーザから、契約の内容を承認する操作を受け付けていない状態。
・ 「契約完了」:電子契約の締結において指定されている各ユーザが承認する操作をサーバ20で受け付けて、電子契約による契約の締結が完了した状態。
【0088】
項目「送信者側メールアドレス」は、送信者側のユーザを特定する情報を示し、具体的には送信者側のユーザのメールアドレスを示す。
【0089】
項目「受信者側メールアドレス1」は、受信者側のユーザを特定する情報を示し、具体的には受信者側のユーザのメールアドレス(1個目)を示す。
【0090】
項目「受信者側メールアドレス2」は、上記と同様に受信者側のユーザを特定する情報を示し、具体的には受信者側のメールアドレス(2個目)を示す。
【0091】
項目「受信者側メールアドレス3」は、上記と同様に受信者側のユーザを特定する情報を示し、具体的には受信者側のメールアドレス(3個目)を示す。
【0092】
項目「電子契約に用いた書類ID」は、電子契約の対象となる書類のデータの識別情報(ID)を示す。例えば、書類の識別情報として、サーバ20が電子契約の対象として書類のデータのアップロードを受け付けることにより当該書類のデータと関連付けて発行する一意な情報(当該書類に発行する識別情報、当該書類に各端末装置がアクセスするためのリンク情報など)を含む。
【0093】
図5の送信時承認者情報2022の各レコードは、項目「契約ID」と、項目「承認者1ユーザID」と、項目「承認者2ユーザID」と、項目「承認者3ユーザID」と、を含む。図示する例では、電子契約における送信者側のユーザから、複数の受信者側のユーザとして3名の指定を受け付けることが可能な例を示しているが、3名までに限らない。
【0094】
項目「契約ID」は、電子契約により締結される各契約について、例えばサーバ20により発行される識別情報を示す。
【0095】
具体的には、項目「契約ID」は、ユーザ間で電子契約により締結される各契約を管理する際に必要となる、電子契約に対して一意なIDのことである。
【0096】
項目「承認者1ユーザID」は、電子契約の送信者側のユーザによって指定される、受信者側の承認者(一人目)のユーザのIDを示す。
【0097】
項目「承認者2ユーザID」は、同様に受信者側の承認者(二人目)のユーザのIDを示す。
【0098】
項目「承認者3ユーザID」は、同様に受信者側の承認者(三人目)のユーザのIDを示す。
【0099】
図5の転送先承認者設定2023は、項目「承認者ユーザID」と、項目「ユーザのメールアドレス」と、項目「ユーザの名前」と、項目「ユーザの会社名」と、項目「ユーザの部署名」と、項目「ユーザの推定役職」と、を含む。
【0100】
なお、以下の例では、転送先承認者設定2023において、各グループ(事業会社など)で承認者として設定されているユーザを管理する例を説明している。
【0101】
ここで、サーバ20において、各グループについて、グループに属するユーザのリスト(例えば、事業会社の従業員のリスト)を管理することとし(例えば、事業会社において人事部門等で管理している従業員のデータベースをサーバ20にインポート可能であることとしてもよい)、グループのユーザのリストにおいて、特定のユーザと関連付けて、承認者として設定されていることを管理することとしてもよい。すなわち、グループのユーザのリストにおいて、承認者として設定されているユーザと、承認者として設定されていないユーザとが混在していることがあり得る。
【0102】
項目「承認者ユーザID」は、電子契約を締結する際、受信者側となった場合に承認者として設定されているユーザに付与された識別情報である。
【0103】
具体的には、電子契約の送信者によって指定されている受信者側のユーザを特定する情報(メールアドレス)にかかわらず(すなわち、送信者側によって、受信者側のメールアドレスとして指定されていないユーザであっても)、受信者側において承認者となるユーザの情報である。
【0104】
例えば、サーバ20は、当該承認者となるユーザが所属するグループ(例えば、事業会社)から、予め、電子契約の承認者となるべきユーザの指定を受け付けて、転送先承認者設定2023に登録しておく。サーバ20は、電子契約の送信者側のユーザから、受信者側のグループのいずれかのユーザの指定を受け付けている場合に、承認者となるユーザが指定されていない場合であっても、受信者側のグループにおいて承認者として設定されているユーザに、承認者として承認するよう通知する。例えば、承認者として設定されているユーザのメールアドレスに宛てて、電子契約の締結依頼がある旨の通知および当該電子契約の対象となる契約データへのリンクを送信する。
【0105】
具体的には、項目「承認者ユーザID」は、プログラムを管理する際に必要となる、承認者に対して一意なIDのことである。
【0106】
項目「ユーザのメールアドレス」は、電子契約の受信者側となった場合に承認者として設定されているユーザを特定する情報、具体的には当該ユーザのメールアドレスを示す。
【0107】
項目「ユーザの名前」は、承認者として設定されているユーザの名前を示す。
【0108】
項目「ユーザの会社名」は、承認者として設定されているユーザが所属している組織の名称(事業会社名など)を示す。
【0109】
項目「ユーザの部署名」は、承認者として設定されているユーザが所属している部署名を示す。
【0110】
項目「ユーザの推定役職」は、承認者として設定されているユーザについて推定される役職名を示す。ユーザの役職名を推定する方法については後述する。ここで、当該ユーザの役職について、予めサーバ20に登録しておくことが可能であるとしてもよい。
【0111】
図5の承認履歴2024は、項目「契約ID」と、項目「承認者1ユーザID」と、項目「承認者1の承認日時」と、項目「承認者2ユーザID」と、項目「承認者2の承認日時」と、項目「承認者3ユーザID」と、項目「承認者3の承認日時」と、を含む。図示する例では、電子契約における送信者側のユーザから、複数の受信者側のユーザとして3名の指定を受け付けることが可能な例を示しているが、3名までに限らない。
【0112】
項目「契約ID」は、電子契約により締結される各契約について、例えばサーバ20により発行される識別情報を示す。
【0113】
具体的には、項目「契約ID」は、ユーザ間で電子契約により締結される各契約を管理する際に必要となる、電子契約に対して一意なIDのことである。
【0114】
項目「承認者1ユーザID」は、承認者(一人目)のユーザのIDを示す。
【0115】
項目「承認者1の承認日時」は、承認者(一人目)が承認した日時を示す。
【0116】
項目「承認者2ユーザID」は、承認者(二人目)のユーザのIDを示す。
【0117】
項目「承認者2の承認日時」は、承認者(二人目)が承認した日時を示す。
【0118】
項目「承認者3ユーザID」は、承認者(三人目)のユーザのIDを示す。
【0119】
項目「承認者3の承認日時」は、承認者(三人目)が承認した日時を示す。
【0120】
<第1の実施形態の動作>
次に、電子契約システム1を構成する各装置の動作について説明する。
【0121】
図6は、サーバ20を介した当事者間での契約締結の処理の流れを示す図である。以下の例では、送信側と受信側とが共に事業者であるとして説明する。具体的には、電子契約による契約締結に際して、第2の事業者(送信側)のユーザが、第1の事業者(受信側)のユーザを特定したうえで、サーバ20を介して契約締結を進めていく例を説明する。
【0122】
ステップS601において、第2の事業者の送信者側端末装置30は、ユーザから、第2の事業者と第1の事業者との電子契約で用いる書類のデータを指定する操作を受け付ける。送信者側端末装置30は、受け付けた書類のデータを契約データとしてサーバ20へ送信する。
【0123】
契約データを送信するにあたり、送信者側端末装置30は、第2の事業者のユーザから、書類の宛先として、第1の事業者の1または複数のユーザのメールアドレスの入力を受け付ける。送信者側端末装置30は、受け付けたメールアドレスの情報をサーバ20へ送信する。
【0124】
ステップS631において、サーバ20は、第2の事業者の送信者側端末装置30から、電子契約で用いる契約データを受信する。サーバ20は、送信者側端末装置30から受信した情報(契約データ、第1の事業者のユーザを指定する情報等)に基づき、電子契約管理データベース2021を更新する。
【0125】
ステップS632において、サーバ20は、転送先承認者設定2023を参照することにより、第1の事業者において、承認者となるユーザが設定されているかいないかを判定する。
【0126】
(i)第1の事業者において承認者となるユーザが設定されていない場合、サーバ20は、第2の事業者のユーザによって特定されているユーザ(第1の事業者のユーザ)に対し、契約データの契約締結を承認する操作を要求する。具体的には、サーバ20は、電子契約の締結に際して第2の事業者のユーザによって指定されている、受信者側のユーザのメールアドレスに宛てて、電子契約の対象となる書類の内容の確認を促す旨、また、契約内容を承認する操作を受け付ける旨の情報を含むメッセージを送信する。
【0127】
(ii)第1の事業者において承認者となるユーザが設定されている場合、サーバ20は、電子契約の宛先に、第1の事業者において電子契約を締結する際の承認者となる第1のユーザ(転送先承認者設定2023)のメールアドレスが含まれているか否かにかかわらず、当該承認者となる第1のユーザに対し、書類の契約締結を承認する操作を要求する。例えば、サーバ20は、第1のユーザのメールアドレスに宛てて、電子契約の対象となる書類の内容の確認を促す旨、また、契約内容を承認する操作を受け付ける旨の情報を含むメッセージ、また、第1のユーザが承認者として設定されていることにより転送された旨の情報の少なくともいずれかを含むメッセージを送信する。
【0128】
サーバ20は、電子契約の宛先であり、承認者となる第1のユーザに対し、契約データの契約締結を承認する操作を要求する。例えば、サーバ20は、第1のユーザのメールアドレスに宛てて、電子契約の対象となる契約データの内容の確認を促す旨、また、契約内容を承認する操作を受け付ける旨の情報を含むメッセージ、また、第1のユーザが承認者として設定されていることにより転送された旨の情報の少なくともいずれかを含むメッセージを送信する。
【0129】
例えば、サーバ20は、以下のようにして、第1の事業者において契約締結に関わるユーザを特定し、特定したユーザの情報に基づき電子契約管理データベース2021を更新することとしてもよい。サーバ20は、更新された電子契約管理データベース2021を参照することにより、契約データを承認することを要求するユーザに対し、当該要求をするための情報を送信することとしてもよい。
・ 第2の事業者に指定されているユーザの少なくとも一部と、転送先承認者設定2023において承認者として設定されている第1のユーザとを、電子契約の締結にかかわる承認者とし、これら承認者となるユーザを特定する情報(メールアドレス)に基づき電子契約管理データベース2021を更新する。例えば、電子契約管理データベース2021において、契約IDと関連付けて、受信者側メールアドレスに、第1のユーザを特定する情報を格納させる。
【0130】
以上のようにサーバ20は、送信時承認者情報2022、転送先承認者設定2023の各情報に基づき、各承認者へ書類を閲覧させ、承認をする操作を要求する。
【0131】
ここで、サーバ20は、転送先承認者設定2023に承認者となる第1のユーザが設定されている場合、第2の事業者のユーザに宛先として指定されているすべてのユーザ(第1の事業者のユーザ)と、第1のユーザとに対して、契約データに承認する操作を要求するものとして説明する。なお、第2の事業者のユーザに宛先として指定されたユーザに、承認者である第1のユーザが含まれている場合もあり得る。
【0132】
ステップS651において、第1の事業者のユーザ(第2の事業者のユーザにより指定されているユーザ、および、承認者として設定されている第1のユーザ)の受信者側端末装置10は、サーバ20を介して、第2の事業者のユーザから電子契約で用いる契約データを受信する。
【0133】
ステップS652において、受信者側端末装置10は、ディスプレイ132に情報を表示する、音声で通知する等により、ユーザに対し、契約データを提示する。受信者側端末装置10は、承認者であるユーザから、契約データの内容を確認し、契約締結するための入力操作(承認をする入力操作)を受け付ける。受信者側端末装置10は、契約締結するための入力操作に応答して、契約締結することを示す情報をサーバ20へ送信する。
【0134】
このとき、サーバ20は、宛先に指定されている順番に、順次、承認を要求することとする。例えば、(最初に転送先に送信する)転送先の承認者がいる場合、宛先に指定されている各ユーザの承認をすべて受け付けた後に、転送先の承認者に転送してもよい。また、最後に転送先に送信する、あるいは、宛先に指定されているユーザよりも転送先の承認者から承認を受け付けることとしてもよい。また、宛先に指定されているユーザの承認の順序において、サーバが転送先の承認者に転送する順序を決定してもよい。
【0135】
ステップS633において、サーバ20は、第1の事業者のユーザから、契約データについて契約締結することを示す情報を受信し、承認履歴2024、電子契約管理データベース2021等の各種情報を更新する。
【0136】
サーバ20は、第1の事業者において承認者となっている各ユーザから、契約締結することを示す情報を受信することにより、第2の事業者のユーザと、第1の事業者のユーザ(例えば、電子契約の締結にあたり、送信者または受信者として関わるユーザのメールアドレス)とに対し、契約締結が完了したことを示す情報を送信する。例えば、サーバ20は、第1の事業者のユーザのメールアドレスに宛てて、第2の事業者のユーザの側で契約締結の作業が完了したことの通知、契約締結の対象となった書類を閲覧するためのリンク情報等を含むメッセージを送信する。
【0137】
ステップS602において、送信者側端末装置30は、ディスプレイに情報を表示する等により、第2の事業者のユーザに対し、電子契約締結の完了の結果を提示する。
以上により、サーバ20は、契約データについて、第1の事業者と第2の事業者との合意が成立したものとして、契約データを各種データベースに基づき管理する。
【0138】
図7は、契約締結におけるメールアドレスのドメインを判定する処理、および、判定した結果を用いた処理の流れを示す図である。
【0139】
サーバ20は、契約締結の当事者である各ユーザのメールアドレスを比較することにより、メールアドレスのドメインを判定する。
メールアドレスのドメインを判定することとは、第2の事業者のユーザのメールアドレスと第1の事業者のユーザのメールアドレスのドメイン部分を比較することで、それぞれが異なるドメインであるか判定することを意味する。メールアドレスのドメイン部分を比較し、判定する箇所の詳細については、ステップS732の説明で後述する。
【0140】
また、メールアドレスのドメインを判定する目的について述べる。契約締結の際に、サーバ20が、送信者側と受信者側を自動的にメールアドレスから判定することで、送信者側と受信者側の人数が判定可能となる。その際に、受信者側が、送信者側の人数に合わせて、受信者側の承認者の人数を合わせるといったことも可能である。
【0141】
前提として、送信者側の人数が多いということは、送信者側で多くの人数が関わってチェックしている契約データである可能性が高く、重要書類である可能性が高い。この事例において、受信者側が、送信者側の人数に受信者側の承認者の人数を合わせることで、重要書類を複数人で慎重に判定することが可能となる。この事例について、変形例(1)でも後述している。
【0142】
このように、メールアドレスドメイン判定を行うことで上記のような事例の処理を行うことが可能となる。
【0143】
また、送信者側のメールアドレスのドメイン部分と、受信者側のメールアドレスのドメイン部分とを比較することで、送信者側のユーザと受信者側のユーザとが異なる事業者であるか、同一の事業者であるか、親子関係など同系列の事業者であるかを判定することができる。例えば、予め、同系列にある事業者のメールアドレスのドメインを関連付けて記憶部に保持させておくことで、送信者と受信者とが同系列の事業者であるか(例えば、親会社と小会社間での契約締結であるか)を判定することができる。
【0144】
例えば、送信者と受信者とが同一の事業者である場合は、事前に事業者内で稟議承認を経たうえで電子契約により契約データへの承認を行うこと等があり得る。この場合、無権代理の懸念が小さいと想定して、以下のようにしてもよい。
【0145】
サーバ20は、送信者側と受信者側のユーザとが同一の事業者のユーザであると判定した場合(メールアドレスのドメイン部分が送信者と受信者とで同一)、転送先承認者設定2023において承認者となるユーザが設定されているとしても、当該承認者となるユーザには転送せず、送信者側が指定したユーザが承認をすることで契約データについて合意したものとして管理することとしてもよい。
また、上記の場合において、転送先承認者設定2023において、特定の役職であるユーザには転送をする等、事業者において転送先承認者設定2023で設定されている承認者のユーザの少なくとも一部には転送をすることとしてもよい。
【0146】
ステップS732において、サーバ20は、受信者側のユーザのメールアドレスと送信者側のユーザのメールアドレスを比較し、ドメイン部分が異なるものであるかを判定する。ドメイン部分が異なっていた場合、サーバ20は、受信者側と送信者側とが異なる所属のユーザであるとして区別し、区別した結果を送信者側と受信者側との各ユーザへ提示する。
【0147】
例えば、第2の事業者のユーザのメールアドレスがxxx@abcde.co.jpで、第1の事業者のユーザのメールアドレスがxxx@efghi.co.jpであったとする。このとき、サーバ20が、両者のドメイン部分を見て比較すると、第2の事業者のユーザのメールアドレスのドメイン部分は@abcde.jpであり、第1の事業者のユーザのメールアドレスは@efghi.jpで異なっていることがわかる。メールアドレスのドメイン部分が異なっているということは、同一の会社の人間でない可能性が高い。なぜなら、法人(会社)では独自ドメインを所持していることが多く、社員が当該法人の独自ドメインを使用したメールアドレスを使用している可能性が高いからである。
【0148】
したがって、もしドメイン部分が異なっているものであると判定した場合、片方を送信者側、もう片方を受信者側とした場合に、送信者側と受信者側とが別の事業者であるとして区別することが可能である。今回の場合、サーバ20は、第2の事業者のユーザのメールアドレスを送信者側、第1の事業者のユーザのメールアドレスを受信者側と区別できる。
【0149】
サーバ20は、以上のように、電子契約を締結する契約当事者の所属が異なると区別した結果を、第1の事業者、第2の事業者の各ユーザの少なくともいずれかに提示する。
【0150】
以上のようにサーバ20は、送信時承認者情報2022、転送先承認者設定2023の各情報に基づき、各承認者へ契約データを閲覧させ、承認をする操作を要求する。
【0151】
<画面例>
図8は、第1の事業者の承認者の端末において、ユーザが契約データの確認をする局面を示す図である。
【0152】
図8の画面例は、受信者側端末装置10が、この契約データについて合意をすることを示す操作を受け付けるための画面を受信者側端末装置10のユーザに提示して、合意するための操作を当該ユーザから受け付ける画面である。
図6等のステップS651、S652等の処理に対応する。詳細については次項で説明する。
【0153】
契約書承認者は、受信者側端末装置10において受信した電子メールに記載されたリンクをクリックし、ブラウザ等を介して、オンラインでサーバ20上の契約データの内容を確認して、合意締結することができる。受信者側端末装置10は、この契約書について合意をすることを示す操作を受け付けるための画面を受信者側端末装置10のユーザに提示して、合意するための操作を当該ユーザから受け付ける。
【0154】
また、サーバ20は、契約書受信者から、契約データについて合意する操作を受け付けることにより、当該契約データに、契約書受信者の電子署名を付与する。契約データは、サーバ20に保管される。契約当事者双方の電子署名が付与されることで、契約書の改ざんは防止される。
【0155】
例えば、受信者「株式会社B」の受信者側端末装置10において、送信者「株式会社A」と受信者「株式会社B」と契約書の合意締結の依頼をするための入力操作を受け付ける局面について説明する。送信者「株式会社A」は送信者側、受信者「株式会社B」は受信者側である。
【0156】
また、送信者「株式会社A」の送信者は、受信者「株式会社B」のユーザ「M下 M昭」のメールアドレスを指定する操作をすることで、「M下 M昭」を契約書受信者として指定する操作を入力したとする。
【0157】
サーバ20において受信者「株式会社B」の承認者が転送先承認者設定2023において設定されていたとする。サーバ20は、送信者「株式会社A」の送信者によって、受信者「株式会社B」のユーザが指定された状態で送信者「株式会社A」の送信者側端末装置30から合意締結の操作を受け付ける。サーバ20が、受信者「株式会社B」の承認者として転送先承認者設定2023において設定されているユーザ「N沢 T幸」に対して、合意締結の依頼を転送する。
【0158】
このとき、承認者として設定されているユーザ「N沢 T幸」の受信者側端末装置10は、以下の各情報をユーザに提示することで、契約締結に合意する操作を行うか否かを当該ユーザが容易に判断できるようにする。
・契約締結の相手方となる、送信者側の事業者の情報
・契約締結の対象となる契約データを送信した、相手方の事業者のユーザの情報
・契約締結の対象となる契約データの内容(契約書類のドキュメントデータ等)
・送信者側の事業者が指定した、受信者側のユーザ(第1のユーザ)の情報(契約書類の転送元の情報)
【0159】
具体的には、ユーザの受信者側端末装置10は、ダイアログ画面810において、以下の各情報を表示する。
・メッセージ810A:契約書類の確認と承認をユーザに促すためのメッセージを表示する領域である。
・メッセージ810B:ユーザが転送先承認者設定2023に設定されていることにより、契約データが転送された場合に、転送元のユーザの情報を表示するための領域である。これにより、承認者として転送先承認者設定2023に設定されているユーザは、送信者が、契約データの受信者として指定したユーザの情報を容易に確認することができる。例えば、送信者から、事業会社のどの部署宛てに送信された契約データかを容易に確認することができる。
・領域810C:契約締結の対象となる契約書類の内容を表示する領域である。受信者側端末装置10は、領域810Cにおいて、契約書類の種類(例えば、秘密保持契約書、業務委託契約書等の各種契約書の種類)、契約当事者の名称、契約書類の条項等を表示する。
・ボタン810D:第2のユーザから、契約書類の確認をしたうえで、契約書類を承認する操作を受け付けるための領域である。
【0160】
ユーザは、上記のダイアログ画面810に提示された各情報を確認して、契約データの合意を行うか判断する。
【0161】
受信者側端末装置10は、ユーザから、ボタン810Dへの入力操作を受け付けることに応答して、当該ユーザが契約データに承認をしたことを示す情報をサーバ20へ送信する(S652)。
【0162】
図9は、第1の事業者のユーザの端末において、契約データの承認者をどう設定するかを示した図である。電子契約において受信者側の承認者の設定ができることで、決裁権のない受信者が設定されていた場合の無権代理を防ぐことが可能になる。
【0163】
第1の事業者が契約データの承認者をどう設定するかは、第1の事業者の承認者となるユーザと、第1の事業者において契約書受信者となるユーザとの関係性に基づいて決定してもよい。例えば、第1の事業者の契約書受信者が営業部員であれば、第1の事業者の承認者は営業部長、営業副部長であるといったように同一部署内の関係性に則って承認フローを社内で設定してもよい。また、承認フローとは、電子契約の承認者が承諾する一連の手続きのことを指す。具体例については後述する。
【0164】
サーバ20は、以上のように、契約書受信者となるユーザの属性(所属部署、役職など)に応じて、契約書の承認者となるユーザを、転送先承認者設定2023において管理することとしてもよい。
【0165】
第1の事業者がどう承認者を設定するかは、第1の事業者の承認者と契約データの内容の関係性にも基づいて決定してもよい。どのように契約データの内容を判定するかは、契約データ(例えばPDFデータ)をOCRで読み取り(または、予め文字認識処理が施された結果を記憶部に保持しておくことにより)、契約データの内容がどのようなものであるかを文章として読み取る。
【0166】
そして、契約データと、契約データの内容を読み取った結果とに基づき機械学習を行って学習済みモデルを生成する。
【0167】
これにより、サーバ20は、契約データと、学習済みモデルとに基づいて、当該契約データが、どのような種類であるかを判定することが可能となる。また、サーバ20は、契約データの読み取り結果に応じた契約データの内容を判定するためのテーブルを保持しておくことにより、契約データの内容を読み取った結果と当該テーブルとに基づき当該契約データの契約内容の種別(秘密保持契約書、業務委託契約書など契約の種別)を判定することとしてもよい。
【0168】
また、サーバ20は、契約データの読み取り結果に応じた部署の情報を判定するためのテーブルを保持しておくことにより、契約データの内容を読み取った結果と当該テーブルとに基づき当該契約データがいずれの部署に向けたものであるかを判定することとしてもよい。
【0169】
例えば、契約データのタイトルが「株式会社Aの営業部に対する請求書」であるとする。その場合、まず契約データをOCRで読み取り、次に、読み取った文章と学習済みモデルとに基づいて、契約データの内容がどの部署のものであるかを判別することができる。例えば、契約データの内容を示すドキュメントにおいて、そのタイトルが「株式会社Aの営業部に対する請求書」であるので、契約データの内容が営業部に関するものであると判定することができる。以上のように実施することで、サーバ20は、契約データの内容がどの事業部に関するものであるかの判定が可能となる。
【0170】
そして、例えば、契約データの内容が営業部に関する書類であれば、第1の事業者の承認者は営業部長、営業副部長である、といったように契約データの内容との関連度合いに基づいて、承認者を設定してもよい。以上のように設定された承認者により、契約書類の承認フローを社内で設定してもよい。具体例については後述する。
【0171】
例えば、ある会社「株式会社C」が契約データの承認者をどう設定するか、社内で規定を定めた場合について説明する。「株式会社C」のドキュメント画面910に承認者の設定の一部が表示されている局面とする。
【0172】
このとき、「株式会社C」のユーザの端末装置に表示されるドキュメント画面910は、以下の各情報をユーザに提示することで、「株式会社C」で契約データの承認者をどう設定するかを当該ユーザが容易に判断できるようにする。
・契約書類を受信したユーザ、または、当該ユーザの所属組織に基づいて、承認者を定めるもの
・契約書類の内容に基づいて、承認者を定めるもの
【0173】
具体的には、サーバ20は、「株式会社C」の端末装置のドキュメント画面910において、以下の各情報を表示する。
・メッセージ910A:株式会社Cの契約書受信者のユーザの情報に基づいて、承認者をどう設定するかの取り決めを表示する領域である。
・メッセージ910B:契約データの内容の情報に基づいて、承認者をどう設定するかの取り決めを表示する領域である。
【0174】
図10は、第1の事業者の承認者の端末において、契約データの承認者フローを表示する局面の図である。
【0175】
サーバ20は、電子契約に必要なデータを、適宜、受信者側端末装置10へ送信し、受信者側のユーザの操作を受け付けることで、受信者側端末装置10での電子契約の状況を可視化させる。
【0176】
電子契約の状況(例えば、承認者のユーザが承認をすることで電子署名が行われている状況)を可視化することで、第1の事業者の承認者は、複数の承認者がいたときに、第1の事業者の承認者のユーザのいずれが、まだ契約データの承認をしていないかを知ることができる。その結果、第1の事業者の承認者は、契約データの承認をしていない承認者に何らかのアクションを働きかけることが可能となり、契約データの締結のスピードの短縮にもつながる。
【0177】
例えば、送信者「株式会社A」から受信者「株式会社B」に契約締結の依頼を行う場合であって、受信者「株式会社B」の承認者が契約データについて書類の承認を行う局面について説明する。送信者「株式会社A」が送信者側、受信者「株式会社B」が受信者側である。このとき受信者側である受信者「株式会社B」では契約データについて、株式会社Bの承認者が承認者A、承認者B、承認者C、承認者Dの四名いるものとする。
【0178】
承認者の端末装置では、契約データの電子契約の状況を可視化したものを画面に提示する。承認者の端末装置は、どの承認者が契約データの承認をしたか(署名済みか)、どの承認者がまだ契約データの承認をしていないかの情報を提示する。
【0179】
具体的には、受信者側である受信者「株式会社B」の承認者Bの受信者側端末装置10では、ダイアログ画面1010に以下の情報を提示する。
・メッセージ1010A:契約データの内容を表示する領域である。
・領域1010B:契約データの承認状況を表示するための領域である。
・メッセージ1010C:契約データの承認状況について、いつ時点のものかを表示するための領域である。
【0180】
図11は、契約締結が完了した契約データの署名データを示す図である。
【0181】
サーバ20は、電子契約を締結するにあたり契約データに署名に関するデータ(以下、署名データと呼ぶ)を保持している。署名データがあることで、契約締結に関わった者は、「いつどの承認者が契約書類の合意をしたか」や「その承認記録はまだ有効であるか」などの情報を確認することができる。
【0182】
例えば、受信者「株式会社A」と送信者「株式会社B」と契約データの契約締結が完了した後の局面について説明する。送信者「株式会社B」を送信者側、受信者「株式会社A」が受信者側とする。受信者側である受信者「株式会社A」の承認者Aが受信者側端末装置10において、契約データの署名データを提示する操作を受け付けたとする。
【0183】
このとき、承認者Aの受信者側端末装置10はダイアログ画面1110において、以下の情報をユーザに提示する。
・領域1110A:契約データの内容を表示するための領域である。
・メッセージ1110B:契約データの全ての署名が有効であるときにユーザにお知らせにするための領域である。
・領域1110C:署名データの情報を確認することができる領域である。ユーザは「いつどの承認者が契約書の合意をしたか」や「その承認記録はまだ有効であるか」などの情報を確認することが可能である。
【0184】
図12は、契約締結が完了した契約データにおいて、一部匿名化した署名データを示す図である。
【0185】
上述したように、サーバ20は、契約当事者間で合意が成立したものとして管理する契約データと、契約データに対し承認を行ったユーザの情報と、ユーザが承認を行ったタイミングの情報とを関連付けて承認履歴2024等において管理する。
【0186】
サーバ20は、ユーザからの契約データの閲覧要求に応答して、契約データと関連付けて記憶させる情報である、承認を行ったユーザの情報と、ユーザが承認を行ったタイミングの情報とのうち少なくともいずれかを閲覧させずに、当該契約データを、閲覧要求を行ったユーザに提示することとしてもよい。
【0187】
匿名化するユーザをどのように特定するかについては、送信者側が受信者側に対して匿名化したいユーザの情報、あるいは、受信者側が送信者側に対して匿名化したいユーザの情報の指定を、それぞれのユーザから受け付けてもよいものとする。
【0188】
サーバ20は、ユーザから匿名化したいユーザの指定を受け付ける一方、役職が最も高いユーザなど特定のユーザについては匿名化の指定を受け付けず契約当事者に開示することとしてもよい。これにより、契約が権限のあるユーザによって承認されたか否かを契約当事者が容易に確認できるようになる。
【0189】
サーバ20は、電子契約を締結するにあたり契約データの署名データを保持している。署名データは設定を行うことにより、一部匿名化を行うことができてもよい。署名データを一部匿名化することで、承認の順序を推測することが難しくなり、会社の承認フローを他の組織へ開示する範囲を減らすことができるといった効果がある。
【0190】
例えば、受信者「株式会社A」と送信者「株式会社B」と契約書の契約締結が完了した後の局面について説明する。送信者「株式会社B」を送信者側、受信者「株式会社A」が受信者側とする。受信者側である受信者「株式会社A」の承認者Aが受信者側端末装置10において、契約データの署名データを提示する操作を受け付けたとする。
【0191】
このとき、承認者Aの受信者側端末装置10はダイアログ画面1210において、以下の情報をユーザに提示する。
・領域1210A:契約データの内容を表示するための領域である。
・メッセージ1210B:契約データの全ての署名が有効であるときにユーザにお知らせにするための領域である。
・領域1210C:署名データの情報を確認することができる領域である。ユーザは「いつどの承認者が契約書の合意をしたか」や「その承認記録はまだ有効であるか」などの情報を確認することが可能である。ただし、署名データについて、一部、画面上で匿名化しているものとする。
【0192】
図13は、過去の電子契約の締結履歴から、契約データの承認フローに承認者として組み込むべき人物を推薦したものを示す図である。
【0193】
電子契約を締結するにあたり、第1の事業者は、契約データに対して承認者を設定しなければならない。しかし、どの人物がどの契約データに対して適切な承認者なのかを決めることは、負荷がかかる作業である。なぜなら、承認者を判定するのが人間である場合、第1の事業者内のどの人物がどういう権限をもっているかを常に把握して振り分ける必要があるからである。
【0194】
第1の事業者にとって、過去の電子契約の締結履歴から承認者を推薦することで、承認者を決める際の介助となりうるであろう。
【0195】
例えば、受信者「株式会社B」の端末において、送信者「株式会社A」のユーザと受信者「株式会社B」との間で契約データの締結をするための操作を受け付ける局面について説明する。送信者「株式会社A」が送信者側、受信者「株式会社B」が受信者側とする。
【0196】
受信者「株式会社B」の事業者は、承認者として誰が契約データの合意を行うべきかを検討し、そのうえで契約データの締結を行う必要がある。そこで、サーバ20は、過去の電子契約締結履歴から、承認フローに組み込むべき適切な承認者が誰かを推薦し、事業者のユーザに対してその適切な承認者の情報を提示してもよいものとする。
【0197】
例えば、契約データの内容が営業に関するものであり、また、契約データの内容に非常に類似した過去の電子契約履歴が複数件あったとする。
【0198】
なお、契約データの内容を判定することについては
図9の説明に実施例を記載している。また、契約データの内容の類似判定については、契約データのタイトルを見て判定してもよい。例えば、「株式会社Aの営業部に対する請求書 2021年5月」というタイトルの契約データと、「株式会社Aの営業部に対する見積書 2021年6月」いうタイトルの契約データがあったとする。この場合、前者と後者のタイトルは、年月の部分が異なっているだけで他の文言は全て一致しており、類似していると判定することができる。以上のように、契約データのタイトルを見て契約データの内容の類似判定を行うことが可能となる。
【0199】
複数件の電子契約履歴のうち、どれも営業部の田中さんが承認者として関わっていた履歴が残っていたとする。その場合、サーバ20が、今回の契約データについても営業部の田中さんが承認者として適切であろうと判定し、その適切な承認者に関する情報を受信者「株式会社B」の事業者のユーザの画面に提示する。
【0200】
このとき、承認者Bの受信者側端末装置10はダイアログ画面1310において、以下の情報をユーザに提示する。
・領域1310A:契約データの内容を表示するための領域である。
・メッセージ1310B:承認者の推薦情報を表示するための領域である。
・領域1310C:契約データに非常に類似した過去の電子契約履歴を表示するための領域である。
【0201】
<変形例>
(1)契約締結にかかわる当事者それぞれの人数に基づき、契約締結に必要な人数を特定
サーバ20は、送信者側のユーザの人数、または、受信者側のユーザの人数を判定することにより、両当事者でそれぞれ契約締結にかかわるユーザの人数を評価し、その評価結果を各ユーザに提示することとしてもよい。
【0202】
例えば、サーバ20は、送信者側のユーザの情報を取得することにより、電子契約の締結にかかわる送信者の側のユーザの人数を判定する。サーバ20は、判定した結果に基づいて、電子契約の締結にかかわるべき受信者の側のユーザの人数を特定し、特定した結果を受信者の側のユーザまたは送信者の側のユーザの少なくともいずれかに提示することとしてもよい。
【0203】
例えば、サーバ20は、送信者側と受信者側との人数差が一定以内になるように(例えば、送信者側と受信者側との人数の差がゼロ、または一定値以内)、送信者側と受信者側とのそれぞれにおいて契約締結にかかわる人数差が一定以内になるよう、人数が多い側に人数を減らすことを提示するか、人数が少ない側に人数を増やすことを提示することとしてもよい。
【0204】
例えば、サーバ20は、送信者側または受信者側に対し、契約締結に関与する人数を増やすまたは減らすことの提案を、以下のタイミングで各ユーザに提示することとしてもよい。
・ 契約書類を承認する操作を行う段階(ステップS652等)
・ 契約締結権限があるとして設定されているユーザに、契約対象の書類のデータを転送する段階(ステップS632)
・ 送信者側において契約締結の対象となる契約書類をアップロードした段階(ステップS601等)
【0205】
メールアドレス情報から送信者側の人数を判定することについては、
図7の説明に詳細を記している。
【0206】
送信者側の人数が多い場合、送信者側で多くの人数が関わって契約データをチェックしているもので、重要書類である可能性が高い。この局面において、受信者側が、送信者側の人数に受信者側の承認者の人数を合わせることで、重要書類を複数人で慎重に判定することが可能となる。
【0207】
契約締結に関わる人数が多いほど、慎重に契約締結を進めていると想定される。したがって上記のように構成することにより、双方の当事者の慎重さを揃えることで契約の重要性に対する認識齟齬が減りうる。
【0208】
<変形例>
(2)承認者の役職を推定
サーバ20は、受信者の側において契約データの承認を行った複数のユーザの承認順に基づいて、承認を行ったユーザの役職を判定することとしてもよい。
【0209】
サーバ20は、役職を判定した結果に基づいて、受信者の側のグループにおいて、転送先承認者設定2023において承認者として設定されるユーザの候補を抽出することとしてもよい。
【0210】
サーバ20が、ステップS633において、各承認者の役職(「部長」や「社長」など)を推定し、推定した結果に基づいて承認者の効力を評価し、送信者側のユーザに提示することとしてもよい。推定した役職のことを以下では推定役職と記す。
【0211】
契約締結において、社内の役職に倣い承認フローを決めることは往々にしてありうる。承認フローとは、電子契約の承認者が承諾する一連の手続きのことを指す。承認者の効力を評価することで、契約締結においてスムーズな承認フローを組める確率が高まる。したがって上記のように構成することにより、承認者の候補が複数名存在(「社長」「取締役」「事業部長」など)する場合に、適切な決裁権者を判定できるロジックを組むことができる。
【0212】
どのように役職を推定するかは、転送先承認者設定2023の情報や承認履歴2024、契約データの内容に基づいてもよい。例えば、田村さんが営業部で、営業部に係る契約データについて毎回承認フローの最後に承認をしている履歴が残っていたら、田村さんの推定役職は営業部長である可能性が高いかもしれないと判定できる。
【0213】
以上のように、サーバ20は、以下のようにして、ユーザの役職を推定する。
・ 電子契約管理データベース2021、承認履歴2024を参照し、契約データの締結にあたり、送信者側または受信者側において締結者として指定されている割合が高いユーザについて、役職ありと推定する
・ 電子契約管理データベース2021、承認履歴2024を参照し、契約データの締結にあたり、送信者側または受信者側において、承認の順序に基づいて(例えば承認の順序が後段であるとか、最後に承認するユーザ)、ユーザに役職があること、役職の高さを推定する。例えば、承認の順序が最後であるほど、役職が高い(例えば、社長、部長など)と推定する
【0214】
<変形例>
(3)適切な決裁権者を判定
サーバ20が、ステップS631において、複数名の承認者の役職情報ならびに効力の情報を取得し、契約締結の受信者側において、適切な決裁権者を判定し、判定した結果に基づいて適切な決裁権者の情報を受信者側のユーザに提示することとしてもよい。
この変形例については、
図13の説明に実施例などの詳細を記している。
【0215】
承認フローにおいて、誰を承認者として設定するかは慎重に決める必要がある。したがって上記のように構成することにより、サーバ20は承認者の役職情報ならびに効力の情報に基づいた上で、適切な決裁権者を提示することができる。
【0216】
<変形例>
(4)適切な決裁権者を推薦
サーバ20が、送信者または受信者の側となるグループが契約締結をした履歴に基づいて、承認者として設定されるユーザの候補を抽出し、抽出されたユーザの候補を、契約締結のユーザに含めることを提案する情報をユーザに提示することとしてもよい。
例えば、サーバ20は、受信者側のグループが契約締結をした履歴に基づいて、受信者側のグループにおいて承認者として設定されるユーザの候補を抽出し、抽出されたユーザの候補を、送信者の側のユーザとの契約締結のに含めることを提案する情報を、受信者側のグループのユーザに提示することとしてもよい。
この変形例については、
図13の説明に実施例などの詳細を記している。
【0217】
したがって上記のように構成することにより、過去の契約締結の履歴から、誰が決裁権者としてワークフローに含めるべきかを推薦することができ承認フローを決める際の一助となりうる。承認フローとは、電子契約の承認者が承諾する一連の手続きのことを指す。
【0218】
(5)契約締結依頼にかかる通知
以上のように、契約締結にあたり、送信者側のユーザが、受信者側のユーザを指定することで、契約対象の契約データの承認を行い、当該契約データに対して、承認をするユーザが電子署名を行ったものとして、サーバ20で当該契約データを管理する。
【0219】
サーバ20は、以下のようにして、各ユーザに、契約締結にかかる通知を行うこととしてもよい。
・ サーバ20は、送信者側のユーザによって指定された受信者側のユーザが、契約締結にかかる権限がないと判定した場合(転送先承認者設定2023において承認者として設定されていない)、承認をする権限のあるユーザに対し、契約締結を依頼する通知をする。例えば、当該権限のあるユーザの電子メールアドレスに宛てて、契約締結依頼及び契約データを確認するためのリンクを含むメールを送信するか、当該ユーザがサーバ20が提供する電子契約システムにログインした場合に当該通知の内容を表示する。
・ サーバ20は、送信者側のユーザによって指定された受信者側のユーザが、契約締結にかかる権限がないと判定した場合、当該送信者側のユーザによって指定されたユーザに対し、契約締結をする権限がないことを示す通知、契約を締結する権限があるユーザ(受信者側のユーザ)に転送をしたことを示す通知、その他の通知をする。
・ サーバ20は、受信者側において承認権限がないユーザの情報と、承認権限があるユーザの情報とを区別して、送信者側のユーザに提示することとしてもよい。例えば、送信者側のユーザが指定した受信者側のユーザが、承認権限がない場合に、送信者側のユーザに対し、当該指定した受信者側のユーザには承認権限がないことを示す表示をしつつ、承認権限があるユーザに転送されたことを示す表示をする。例えば、送信者側のユーザに対し、承認権限がないユーザと、転送され承認権限があるユーザとを異なる態様で、送信者側のユーザへのメールの送信または送信者側のユーザが電子契約システムにアクセスした場合の画面に表示することで通知する。
【0220】
(6)契約締結にかかるユーザを指定する方法
サーバ20は、電子契約システムを各ユーザ(または、複数のユーザが属する事業者)に提供するため、各ユーザがログインをするためのユーザの情報を管理している。例えば、サーバ20は、電子契約システムにおいて表示されるユーザ名、ユーザのメールアドレス、ユーザの会社名等の情報を管理する。サーバ20は、このようにして、各事業者について、それぞれの事業者に属するユーザの情報を管理する。
【0221】
ここで、サーバ20は、契約締結にあたり、送信者側のユーザが受信者側のユーザを指定するにあたり、電子契約システムにおいてユーザを識別する情報(例えば、ユーザのアカウントの情報(電子契約システムにおけるIDなど))の指定を受け付けることとしてもよい。サーバ20は、受信者側のユーザとして指定されたユーザのアカウントの情報に関連付けられるメールアドレスを特定することにより、当該メールアドレスに宛てて、契約締結依頼及び契約データを確認するためのリンクを含むメールを送信することとしてもよい。
【0222】
また、サーバ20は、送信者側のユーザが、受信者側のユーザのアカウント等を指定した場合、当該アカウントに関連付けられるメールアドレスと、転送先承認者設定2023など承認権限があるものとして登録されているユーザのメールアドレスとを照合することにより、当該アカウントに関連付けられるユーザについて、承認権限があるか否かを判定することとしてもよい。
【0223】
以上のように、送信者側のユーザが、受信者を識別する情報としてメールアドレス以外の情報を指定した場合においても、サーバ20に記憶されている各ユーザのメールアドレスの情報との比較で、各ユーザの承認権限の有無を判定することができる。
【0224】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0225】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
コンピュータ(20)を動作させるためのプログラムであって、コンピュータは、複数の法人または個人のユーザの間で電子契約を締結させるためのものであり、プログラムは、コンピュータのプロセッサ(29)に、複数のユーザにより構成される第1のグループにおいて、電子契約を締結する際の承認者となる第1のユーザの設定(2023)を受け付けるステップと、第1のグループのユーザとは異なる第2のユーザから、第1のグループのユーザを特定する情報、および、第1のグループと電子契約を締結する対象である契約データを受け付けるステップ(S601)と、第1のグループにおいて承認者となる第1のユーザが設定されていない場合に、第2のユーザにより特定されているユーザに対し、契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、第1のグループにおいて承認者となる第1のユーザが設定されている場合に、第2のユーザにより特定されているユーザの情報に第1のユーザが含まれているか否かにかかわらず、第1のユーザに対し、契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップ(S632)と、要求されたユーザから承認する操作を受け付けることにより、当該契約データについて第1のグループと第2のユーザまたは当該第2のユーザを含む第2のグループとの合意が成立したものとして、当該契約データをコンピュータにおいて管理するステップ(S633)と、を実行させる、プログラム。
【0226】
(付記2)
契約データを受け付けるステップにおいて、第1のグループのユーザと第2のユーザの情報を取得し、第1のグループのユーザのメールアドレスと第2のユーザのメールアドレスとを比較することにより、第1のグループと第2のユーザとが異なる所属の契約当事者であることを判定する(S732)、請求項1に記載のプログラム。
【0227】
(付記3)
契約データを受け付けるステップにおいて、第1のグループのユーザのメールアドレスと第2のユーザのメールアドレスとを比較して、ドメイン部分が異なっているかを判定することにより、電子契約を締結する契約当事者の所属が異なると区別し、区別した結果を第1のグループのユーザまたは第2のユーザの少なくともいずれかに提示する(S732)、請求項2に記載のプログラム。
【0228】
(付記4)
契約データを受け付けるステップにおいて、第2のユーザの情報を取得することにより電子契約の締結にかかわる第2のユーザの側の人数を判定し、判定した結果に基づいて、電子契約の締結にかかわるべき第1のグループのユーザの人数を特定し、特定した結果を第1のグループのユーザまたは第2のユーザの少なくともいずれかに提示する、請求項2に記載のプログラム。
【0229】
(付記5)
管理するステップにおいて、第1のグループにおいて契約データの承認を行った複数のユーザの承認順に基づいて、承認を行ったユーザの役職を判定する(2023)、請求項1に記載のプログラム。
【0230】
(付記6)
管理するステップにおいて、役職を判定した結果に基づいて、第1のグループにおいて第1のユーザとして設定されるユーザの候補を抽出する(2023)、請求項5に記載のプログラム。
【0231】
(付記7)
管理するステップにおいて、第1のグループが契約締結をした履歴に基づいて、第1のユーザとして設定されるユーザの候補を抽出し、抽出されたユーザの候補を、第2のユーザとの契約締結のユーザに含めることを提案する情報を第1のグループのユーザに提示する(1310B)、請求項1に記載のプログラム。
【0232】
(付記8)
管理するステップにおいて、合意が成立したものとして管理する契約データと、当該契約データに対し承認を行ったユーザの情報と、当該ユーザが承認を行ったタイミングの情報とを関連付けて記憶部に記憶させる(2024)、請求項1に記載のプログラム。
【0233】
(付記9)
管理するステップにおいて、契約データの閲覧要求に応答して、契約データと関連付けて記憶させる情報である、承認を行ったユーザの情報と、ユーザが承認を行ったタイミングの情報とのうち少なくともいずれかを閲覧させずに当該契約データを閲覧要求を行ったユーザに提示する(1210C)、請求項8に記載のプログラム。
【0234】
(付記10)
コンピュータを動作させる方法であって、コンピュータは、複数の法人または個人のユーザの間で電子契約を締結させるためのものであり、方法は、コンピュータのプロセッサが、複数のユーザにより構成される第1のグループにおいて、電子契約を締結する際の承認者となる第1のユーザの設定を受け付けるステップと、第1のグループのユーザとは異なる第2のユーザから、第1のグループのユーザを特定する情報、および、第1のグループと電子契約を締結する対象である契約データを受け付けるステップと、第1のグループにおいて承認者となる第1のユーザが設定されていない場合に、第2のユーザにより特定されているユーザに対し、契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、第1のグループにおいて承認者となる第1のユーザが設定されている場合に、第2のユーザにより特定されているユーザの情報に第1のユーザが含まれているか否かにかかわらず、第1のユーザに対し、契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、要求されたユーザから承認する操作を受け付けることにより、当該契約データについて第1のグループと第2のユーザまたは当該第2のユーザを含む第2のグループとの合意が成立したものとして、当該契約データをコンピュータにおいて管理するステップと、を実行する、方法。
【0235】
(付記11)
制御部を備える情報処理装置であって、情報処理装置は、複数の法人または個人のユーザの間で電子契約を締結させるためのものであり、制御部が、複数のユーザにより構成される第1のグループにおいて、電子契約を締結する際の承認者となる第1のユーザの設定を受け付けるステップと、第1のグループのユーザとは異なる第2のユーザから、第1のグループのユーザを特定する情報、および、第1のグループと電子契約を締結する対象である契約データを受け付けるステップと、第1のグループにおいて承認者となる第1のユーザが設定されていない場合に、第2のユーザにより特定されているユーザに対し、契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、第1のグループにおいて承認者となる第1のユーザが設定されている場合に、第2のユーザにより特定されているユーザの情報に第1のユーザが含まれているか否かにかかわらず、第1のユーザに対し、契約データの契約締結を承認する操作を要求するステップと、要求されたユーザから承認する操作を受け付けることにより、当該契約データについて第1のグループと第2のユーザまたは当該第2のユーザを含む第2のグループとの合意が成立したものとして、当該契約データをコンピュータにおいて管理するステップと、を実行する、情報処理装置。
【符号の説明】
【0236】
1:電子契約システム、10:受信者側端末装置、12:通信IF、13:入力装置、14:出力装置、15:メモリ、16:記憶部、19:プロセッサ、20:サーバ、22:通信IF、23:入出力IF、25:メモリ、26:ストレージ、29:プロセッサ、30:送信者側端末装置、32:通信IF、33:入力装置、34:出力装置、35:メモリ、36:記憶部、39:プロセッサ、80:ネットワーク、111:アンテナ、121:第1無線通信部、130:操作受付部、132:ディスプレイ、140:音声処理部、141:マイク、142:スピーカー、161:電子契約管理情報、162:送信時承認者情報、163:転送先承認者設定、164:承認履歴、191:入力操作受付部、192:送受信部、193:データ処理部、194:報知制御部、201:通信部、202:記憶部、203:制御部、2021:電子契約管理データベース、2022:送信時承認者情報、2023:転送先承認者設定、2024:承認履歴、2031:受信制御モジュール、2032:送信制御モジュール、2033:電子契約情報取得モジュール、2034:承認者ユーザ情報取得モジュール、2035:承認日時情報取得モジュール