(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011120
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】多輪式車両
(51)【国際特許分類】
B62K 25/14 20060101AFI20230117BHJP
B62K 5/10 20130101ALI20230117BHJP
B62K 5/02 20130101ALI20230117BHJP
【FI】
B62K25/14
B62K5/10
B62K5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114745
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】516367143
【氏名又は名称】ケイズ技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】稼農 公也
(72)【発明者】
【氏名】吉川 初美
【テーマコード(参考)】
3D011
3D014
【Fターム(参考)】
3D011AA01
3D011AA04
3D011AC01
3D011AD02
3D011AD03
3D011AD04
3D014DD03
3D014DE06
3D014DE34
3D014DF06
3D014DF07
3D014DF32
3D014DF39
3D014DF40
(57)【要約】
【課題】 複数の車輪の一方から衝撃力が入力されたときの車体の挙動を安定させ得る多輪式車両を提供する。
【解決手段】 フレーム5と、フレーム5に一端部6a側が支持されるスイングアーム6と、スイングアーム6の他端部6b側に装着される車輪4と、スイングアーム6の傾動動作を連動させる連動手段7とを備えた多輪式車両1である。車輪4は、左右方向に配された第1車輪4Aと第2車輪4Bとを含み、スイングアーム6は、第1車輪4Aが装着される第1スイングアーム6Aと、第2車輪4Bが装着される第2スイングアーム6Bとを含んでいる。連動手段7は、第1スイングアーム6Aと第2スイングアーム6Bとを上下互い違いに連動させるための連結部材8を含んでいる。連結部材8は、第1車輪4Aから入力される衝撃力を吸収する第1衝撃吸収部9Aと、第2車輪4Bから入力される衝撃力を吸収する第2衝撃吸収部9Bとを有している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪又は後輪の少なくとも一方に複数の車輪を設けた多輪式車両であって、
フレームと、前記フレームの同一軸芯上に一端部側が支持されかつ他端部側が上下方向に傾動自在な一対のスイングアームと、前記スイングアームの前記他端部側に装着される前記車輪と、前記スイングアームの傾動動作を連動させる連動手段とを備え、
前記車輪は、前記フレームの左右方向の一方側に配された第1車輪と、前記フレームの左右方向の他方側に配された第2車輪とを含み、
前記スイングアームは、前記第1車輪が装着される第1スイングアームと、前記第2車輪が装着される第2スイングアームとを含み、
前記連動手段は、前記第1スイングアームの傾動動作と前記第2スイングアームの傾動動作とを上下互い違いに連動させるための連結部材を含み、
前記連結部材は、前記第1車輪から入力される衝撃力を吸収する第1衝撃吸収部と、前記第2車輪から入力される衝撃力を吸収する第2衝撃吸収部とを有する、
多輪式車両。
【請求項2】
前記連結部材は、前記第1スイングアームに連結される第1連結部と、前記第2スイングアームに連結される第2連結部と、前記第1連結部と前記第2連結部とを接続する接続部とを含み、
前記第1衝撃吸収部及び前記第2衝撃吸収部は、前記接続部に設けられる、請求項1に記載の多輪式車両。
【請求項3】
前記接続部は、前記第1連結部及び前記第2連結部に対し回動自在であるケースを有し、
前記ケースは、前記第1連結部の側の端部である第1端部と、前記第2連結部の側の端部である第2端部とを含み
前記第1衝撃吸収部は、前記ケースの回動中心で周囲に雄ネジが形成された第1軸と、前記第1軸に対応した雌ネジが形成されかつ前記ケースと同期して回動する第1ナットと、前記第1ナットと前記第1端部との間に配された第1バネとを含み、
前記第2衝撃吸収部は、前記ケースの回動中心で周囲に雄ネジが形成された第2軸と、前記第2軸に対応した雌ネジが形成されかつ前記ケースと同期して回動する第2ナットと、前記第2ナットと前記第2端部との間に配された第2バネとを含む、請求項2に記載の多輪式車両。
【請求項4】
前記第1軸と前記第2軸とは、同一軸芯上に配されかつ互いに逆ネジである、請求項3に記載の多輪式車両。
【請求項5】
前記ケースの内周面には、前記第1軸及び前記第2軸に沿って延びる少なくとも1本の溝が形成され、
前記第1ナット及び前記第2ナットは、それぞれ、前記溝に配される凸状部を有する、請求項3又は4記載の多輪式車両。
【請求項6】
前記連動手段は、前記連結部材の移動方向を変更する方向転換部材を含み、
前記第1衝撃吸収部は、前記第1スイングアームと前記方向転換部材との間に設けられ、
前記第2衝撃吸収部は、前記第2スイングアームと前記方向転換部材との間に設けられる、請求項1に記載の多輪式車両。
【請求項7】
前記連動手段は、前記第1スイングアームを傾動させるための第1シリンダと、前記第2スイングアームを傾動させるための第2シリンダとを含み、
前記連結部材は、前記第1シリンダと前記第2シリンダとを連結する流体路を含む、請求項1に記載の多輪式車両。
【請求項8】
前記第1衝撃吸収部及び前記第2衝撃吸収部は、前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に設けられる、請求項7に記載の多輪式車両。
【請求項9】
前記連動手段は、前記スイングアームの傾動動作の連動を停止させるロック機構を含み、
前記第1衝撃吸収部及び前記第2衝撃吸収部は、それぞれ、前記ロック機構が作動している状態で前記第1車輪及び前記第2車輪からの衝撃力を吸収する、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の多輪式車両。
【請求項10】
前記前輪が、1輪であり、
前記後輪が、前記第1車輪と前記第2車輪と中央車輪とを含む3輪である、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の多輪式車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前輪又は後輪の少なくとも一方に複数の車輪を設けた多輪式車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前輪又は後輪の少なくとも一方に複数の車輪を設けた多輪式車両が知られている。例えば、下記特許文献1では、複数の車輪がそれぞれ装着されるスイングアームを連動させることで旋回性能や操縦安定性を向上させた多輪式車両において、スイングアームの傾動動作に効力を与えるバネ手段を具えることで車体の倒れを抑制した多輪式車両が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の多輪式車両は、左右のスイングアームを連動する方向転換部材をサスペンションで支持することで、車輪から入力される衝撃力を吸収している。しかしながら、特許文献1の多輪式車両においても、左右の車輪の一方が段差に乗り上げた場合等、複数の車輪の一方から衝撃力が入力されたときの車体の挙動に対して、更なる改善の要望があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、複数の車輪の一方から衝撃力が入力されたときの車体の挙動を安定させ得る多輪式車両を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前輪又は後輪の少なくとも一方に複数の車輪を設けた多輪式車両であって、フレームと、前記フレームの同一軸芯上に一端部側が支持されかつ他端部側が上下方向に傾動自在な一対のスイングアームと、前記スイングアームの前記他端部側に装着される前記車輪と、前記スイングアームの傾動動作を連動させる連動手段とを備え、前記車輪は、前記フレームの左右方向の一方側に配された第1車輪と、前記フレームの左右方向の他方側に配された第2車輪とを含み、前記スイングアームは、前記第1車輪が装着される第1スイングアームと、前記第2車輪が装着される第2スイングアームとを含み、前記連動手段は、前記第1スイングアームの傾動動作と前記第2スイングアームの傾動動作とを上下互い違いに連動させるための連結部材を含み、前記連結部材は、前記第1車輪から入力される衝撃力を吸収する第1衝撃吸収部と、前記第2車輪から入力される衝撃力を吸収する第2衝撃吸収部とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の多輪式車両において、前記連結部材は、前記第1スイングアームに連結される第1連結部と、前記第2スイングアームに連結される第2連結部と、前記第1連結部と前記第2連結部とを接続する接続部とを含み、前記第1衝撃吸収部及び前記第2衝撃吸収部は、前記接続部に設けられるのが望ましい。
【0008】
本発明の多輪式車両において、前記接続部は、前記第1連結部及び前記第2連結部に対し回動自在であるケースを有し、前記ケースは、前記第1連結部の側の端部である第1端部と、前記第2連結部の側の端部である第2端部とを含み前記第1衝撃吸収部は、前記ケースの回動中心で周囲に雄ネジが形成された第1軸と、前記第1軸に対応した雌ネジが形成されかつ前記ケースと同期して回動する第1ナットと、前記第1ナットと前記第1端部との間に配された第1バネとを含み、前記第2衝撃吸収部は、前記ケースの回動中心で周囲に雄ネジが形成された第2軸と、前記第2軸に対応した雌ネジが形成されかつ前記ケースと同期して回動する第2ナットと、前記第2ナットと前記第2端部との間に配された第2バネとを含むのが望ましい。
【0009】
本発明の多輪式車両において、前記第1軸と前記第2軸とは、同一軸芯上に配されかつ互いに逆ネジであるのが望ましい。
【0010】
本発明の多輪式車両において、前記ケースの内周面には、前記第1軸及び前記第2軸に沿って延びる少なくとも1本の溝が形成され、前記第1ナット及び前記第2ナットは、それぞれ、前記溝に配される凸状部を有するのが望ましい。
【0011】
本発明の多輪式車両において、前記連動手段は、前記連結部材の移動方向を変更する方向転換部材を含み、前記第1衝撃吸収部は、前記第1スイングアームと前記方向転換部材との間に設けられ、前記第2衝撃吸収部は、前記第2スイングアームと前記方向転換部材との間に設けられるのが望ましい。
【0012】
本発明の多輪式車両において、前記連動手段は、前記第1スイングアームを傾動させるための第1シリンダと、前記第2スイングアームを傾動させるための第2シリンダとを含み、前記連結部材は、前記第1シリンダと前記第2シリンダとを連結する流体路を含むのが望ましい。
【0013】
本発明の多輪式車両において前記第1衝撃吸収部及び前記第2衝撃吸収部は、前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に設けられるのが望ましい。
【0014】
本発明の多輪式車両において、前記連動手段は、前記スイングアームの傾動動作の連動を停止させるロック機構を含み、前記第1衝撃吸収部及び前記第2衝撃吸収部は、それぞれ、前記ロック機構が作動している状態で前記第1車輪及び前記第2車輪からの衝撃力を吸収するのが望ましい。
【0015】
本発明の多輪式車両において、前記前輪が、1輪であり、前記後輪が、前記第1車輪と前記第2車輪と中央車輪とを含む3輪であるのが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の多輪式車両は、連結部材が、第1車輪から入力される衝撃力を吸収する第1衝撃吸収部と、第2車輪から入力される衝撃力を吸収する第2衝撃吸収部とを有しているので、第1車輪又は第2車輪の一方が段差に乗り上げた場合でも、車体の挙動を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の多輪式車両の一実施形態を示す斜視図である。
【
図4】横斜面走行時の連動手段の効果を示す概念図である。
【
図5】旋回走行時の連動手段の効果を示す概念図である。
【
図6】第1車輪が段差に乗り上げたときの連動手段の効果を示す概念図である。
【
図10】他の実施形態の連動手段を概念的に示す斜視図である。
【
図11】他の実施形態の多輪式車両の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態の多輪式車両1を示す斜視図である。また、
図2は、
図1の多輪式車両1の側面図であり、
図3は、
図1の多輪式車両1の底面図である。
図1ないし
図3に示されるように、本実施形態の多輪式車両1は、前輪2又は後輪3の少なくとも一方に複数の車輪4を設けたものである。本実施形態では、後輪3に3輪の車輪4を設けた多輪式車両1が例示されているが、多輪式車両1は、このような態様に限定されるものではない。多輪式車両1は、例えば、後輪3が2輪であってもよく、前輪2が2輪又は3輪であってもよい。
【0019】
本実施形態の多輪式車両1は、フレーム5と、フレーム5に一端部6a側が支持されかつ他端部6b側が上下方向に傾動自在な一対のスイングアーム6と、スイングアーム6の他端部6b側に装着される車輪4とを備えている。一対のスイングアーム6の一端部6a側は、同一軸芯a1上で支持されるのが望ましい。これにより、スイングアーム6は、軸芯a1回りに傾動自在である。
【0020】
図4は、横斜面走行時の連動手段7の効果を示す概念図であり、
図5は、旋回走行時の連動手段7の効果を示す概念図である。
図4及び
図5に示されるように、本実施形態の多輪式車両1は、スイングアーム6の傾動動作を連動させる連動手段7を備えている。このような連動手段7は、一対のスイングアーム6の傾動動作を上下互い違いに連動させることができ、横斜面の路面を走行するときや車体を傾斜させて旋回するときに、左右の2つの車輪4の接地圧を均等に保つことができる。
【0021】
車輪4は、例えば、フレーム5の左右方向の一方側に配された第1車輪4Aと、フレーム5の左右方向の他方側に配された第2車輪4Bとを含んでいる。車輪4は、例えば、第1車輪4Aと第2車輪4Bとの間に配された中央車輪4Cを含んでいてもよい。スイングアーム6は、例えば、第1車輪4Aが装着される第1スイングアーム6Aと、第2車輪4Bが装着される第2スイングアーム6Bとを含んでいる。中央車輪4Cは、フレーム5に装着されるのが望ましい。
【0022】
本実施形態の連動手段7は、第1スイングアーム6Aの傾動動作と第2スイングアーム6Bの傾動動作とを上下互い違いに連動させるための連結部材8を含んでいる。本実施形態の連結部材8は、第1車輪4Aから入力される衝撃力を吸収する第1衝撃吸収部9Aと、第2車輪4Bから入力される衝撃力を吸収する第2衝撃吸収部9Bとを有している。
【0023】
図6は、第1車輪4Aが段差に乗り上げたときの連動手段7の効果を示す概念図である。
図6に示されるように、多輪式車両1は、例えば、第1車輪4Aが段差に乗り上げて、第1車輪4Aから衝撃力が入力した場合には、第1衝撃吸収部9Aが連結部材8の動きを吸収している。このような多輪式車両1は、第1車輪4A又は第2車輪4Bの一方が段差を乗り上げた場合でも、第1車輪4A又は第2車輪4Bの一方から衝撃力が入力されたときの車体の挙動を安定させることができる。
【0024】
図1及び
図2に示されるように、より好ましい態様として、多輪式車両1は、フレーム5に取り付けられたハンドル10、サドル11及び一対のペダル12を備えている。本実施形態のハンドル10は、ステアリング軸13を介してフレーム5の前端に取り付けられ、前輪2を操舵自在に支持している。
【0025】
サドル11及びペダル12は、フレーム5の前後方向の中央付近に取り付けられるのが望ましい。多輪式車両1は、例えば、ペダル12から入力された踏力を補助するモーター(図示省略)を含む電動アシストタイプであってもよい。このような多輪式車両1は、通常の自転車と同じ感覚で操縦することができ、取扱性が容易である。
【0026】
図7は、連動手段7を概念的に示す斜視図である。
図7では、中央車輪4Cの記載が省略されている。
図7に示されるように、連結部材8は、第1スイングアーム6Aに連結される第1連結部14Aと、第2スイングアーム6Bに連結される第2連結部14Bとを含んでいる。本実施形態の連結部材8は、第1連結部14Aと第2連結部14Bとを接続する接続部15を含んでいる。
【0027】
本実施形態の第1衝撃吸収部9A及び第2衝撃吸収部9Bは、接続部15に設けられている。第1連結部14Aは、第1衝撃吸収部9Aに接続されるのが望ましい。第2連結部14Bは、第2衝撃吸収部9Bに接続されるのが望ましい。これにより、第1連結部14A及び第2連結部14Bの長手方向の動きは、それぞれ、第1衝撃吸収部9A及び第2衝撃吸収部9Bで吸収され得る。
【0028】
このような連動手段7は、
図4及び
図5に示されるように、横斜面走行時や旋回走行時には、接続部15が左右方向に移動することで、第1スイングアーム6Aと第2スイングアーム6Bとを連動させることができる。また、この連動手段7は、
図6に示されるように、一方の車輪4が段差に瞬間的に乗り上げて衝撃力が作用した場合には、接続部15が移動することなく、第1スイングアーム6A又は第2スイングアーム6Bの一方のみを傾動動作させることができる。
【0029】
図8は、接続部15の断面図であり、
図9は、
図8のA-A線の断面図である。
図8及び
図9に示されるように、本実施形態の接続部15は、第1連結部14A及び第2連結部14Bに対し回動自在であるケース16を有している。ケース16は、例えば、第1連結部14Aの側の端部である第1端部16Aと、第2連結部14Bの側の端部である第2端部16Bとを含んでいる。
【0030】
ケース16は、略筒状のケース本体16aと、ケース本体16aの第1端部16A及び第2端部16Bを閉じる一対の端部板16bとを含むのが望ましい。端部板16bは、例えば、溶接、圧入、螺合等によりケース本体16aに固着されている。
【0031】
本実施形態のケース16の内周面には、後述する第1軸17A及び第2軸17Bに沿って延びる少なくとも1本の溝16cが形成されている。溝16cは、第1端部16Aから第2端部16Bにかけて延びているのが望ましい。
【0032】
本実施形態の第1衝撃吸収部9Aは、周囲に雄ネジが形成された第1軸17Aと、第1軸17Aに対応した雌ネジが形成された第1ナット18Aと、第1ナット18Aと第1端部16Aとの間に配された第1バネ19Aとを含んでいる。第1軸17Aは、ケース16の回動中心に配されるのが望ましい。第1ナット18Aは、ケース16と同期して回動するのが望ましい。第1バネ19Aには、例えば、圧縮コイルバネが好適に採用される。
【0033】
このような第1衝撃吸収部9Aは、第1軸17Aと第1ナット18Aとの相対位置を変更させることで、第1バネ19Aの弾性力を変更することができ、吸収し得る衝撃力の大きさを調整することができる。
【0034】
本実施形態の第2衝撃吸収部9Bは、周囲に雄ネジが形成された第2軸17Bと、第2軸17Bに対応した雌ネジが形成された第2ナット18Bと、第2ナット18Bと第2端部16Bとの間に配された第2バネ19Bとを含んでいる。第2軸17Bは、ケース16の回動中心に配されるのが望ましい。第2ナット18Bは、ケース16と同期して回動するのが望ましい。第2バネ19Bには、例えば、圧縮コイルバネが好適に採用される。
【0035】
このような第2衝撃吸収部9Bは、第2軸17Bと第2ナット18Bとの相対位置を変更させることで、第2バネ19Bの弾性力を変更することができ、吸収し得る衝撃力の大きさを調整することができる。
【0036】
第1ナット18A及び第2ナット18Bは、それぞれ、ケース16の溝16cに配される凸状部18aを有するのが望ましい。凸状部18aは、例えば、第1ナット18A及び第2ナット18Bと一体的に形成されてもよく、別体として形成されてもよい。このような第1ナット18A及び第2ナット18Bは、確実にケース16と同期して回動させることができる。
【0037】
第1軸17Aと第2軸17Bとは、同一軸芯a2上に配されるのが望ましい。本実施形態の第1軸17A及び第2軸17Bは、互いに逆ネジである。このような第1衝撃吸収部9A及び第2衝撃吸収部9Bは、ケース16を回動させることで、第1ナット18Aと第2ナット18Bとを逆方向に移動させることができ、第1バネ19A及び第2バネ19Bの弾性力を均等に変更することが容易である。
【0038】
第1軸17A及び第2軸17Bは、第1バネ19A及び第2バネ19Bが伸びている状態において、ケース16の長手方向の中央位置で互いに当接するのが望ましい。第1軸17A及び第2軸17Bは、例えば、第1バネ19A及び第2バネ19Bの一方が縮んで衝撃力を吸収しているときに、ケース16の長手方向の中央位置を超えてケース16内に進入しない構成が採用されている。このような第1衝撃吸収部9A及び第2衝撃吸収部9Bは、第1車輪4A又は第2車輪4Bの一方から入力された衝撃力の影響が、他方の車輪4に及ぶことを抑制することができる。
【0039】
図7に示されるように、本実施形態の連動手段7は、スイングアーム6に固定される傾動部材20と、連結部材8の移動方向を変更する方向転換部材21とを含んでいる。傾動部材20は、例えば、第1スイングアーム6Aに固定される第1傾動部材20Aと、第2スイングアーム6Bに固定される第2傾動部材20Bとを含んでいる。
【0040】
第1傾動部材20Aは、例えば、第1スイングアーム6Aの軸芯a1を円弧中心とした円弧面状に形成されている。第2傾動部材20Bは、例えば、第2スイングアーム6Bの軸芯a1を円弧中心とした円弧面状に形成されている。このような傾動部材20は、スイングアーム6のスムーズな傾動動作に役立つ。
【0041】
方向転換部材21は、例えば、第1連結部14Aの移動方向を変更する第1方向転換部材21Aと、第2連結部14Bの移動方向を変更する第2方向転換部材21Bとを含んでいる。本実施形態では、第1方向転換部材21A及び第2方向転換部材21Bは、それぞれ、接続部15の両外側に配されている。
【0042】
第1方向転換部材21Aは、例えば、第1スイングアーム6Aの軸芯a1とは直交する向きの軸芯a3を中心とした円盤状に形成されている。第1方向転換部材21Aは、例えば、少なくとも一部が軸芯a3を円弧中心とした円弧面状に形成されていてもよい。
【0043】
第2方向転換部材21Bは、例えば、第2スイングアーム6Bの軸芯a1とは直交する向きの軸芯a4を中心とした円盤状に形成されている。第2方向転換部材21Bは、例えば、少なくとも一部が軸芯a4を円弧中心とした円弧面状に形成されていてもよい。
【0044】
本実施形態の連結部材8の第1連結部14Aは、第1スイングアーム6Aの第1傾動部材20Aに巻き付けられた第1下部紐状体22Aと、第1方向転換部材21Aに巻き付けられた第1上部紐状体23Aとを有している。第1連結部14Aは、第1下部紐状体22Aと第1上部紐状体23Aとを連結する第1直線部24Aを有するのが望ましい。
【0045】
第1直線部24Aには、例えば、第1スイングアーム6Aを下げる向きに付勢する第1バネ手段25Aが設けられている。第1バネ手段25Aには、例えば、圧縮コイルバネが好適に採用される。このような第1バネ手段25Aは、車体が第1車輪4Aの方向に傾斜することを抑制し、走行時の安定性を高めることができる。
【0046】
本実施形態の連結部材8の第2連結部14Bは、第2スイングアーム6Bの第2傾動部材20Bに巻き付けられた第2下部紐状体22Bと、第2方向転換部材21Bに巻き付けられた第2上部紐状体23Bとを有している。第2連結部14Bは、第2下部紐状体22Bと第2上部紐状体23Bとを連結する第2直線部24Bを有するのが望ましい。
【0047】
第2直線部24Bには、例えば、第2スイングアーム6Bを下げる向きに付勢する第2バネ手段25Bが設けられている。第2バネ手段25Bには、例えば、圧縮コイルバネが好適に採用される。このような第2バネ手段25Bは、車体が第2車輪4Bの方向に傾斜することを抑制し、走行時の安定性を高めることができる。
【0048】
第1下部紐状体22A、第1上部紐状体23A、第2下部紐状体22B及び第2上部紐状体23Bは、それぞれ、ローラチェーンで構成されるのが望ましい。この場合、第1傾動部材20A、第1方向転換部材21A、第2傾動部材20B及び第2方向転換部材21Bは、それぞれ、ローラチェーンに噛合可能な歯部を有するスプロケット状に形成されるのが望ましい。このような連結部材8は、強度及び耐久性に優れている。
【0049】
本実施形態の連動手段7は、スイングアーム6の傾動動作の連動を停止させるロック機構(図示省略)を含んでいる。ロック機構は、例えば、接続部15の左右方向の移動を規制可能である。このような多輪式車両1は、駐車時やスイングアーム6の連動機能が不要であるときに、スイングアーム6の連動を規制して固定することができる。
【0050】
第1衝撃吸収部9A及び第2衝撃吸収部9Bは、それぞれ、ロック機構が作動している状態で第1車輪4A及び第2車輪4Bからの衝撃力を吸収するのが望ましい。このような第1衝撃吸収部9A及び第2衝撃吸収部9Bは、左右独立懸架式のサスペンションとして機能させることができる。
【0051】
図10は、他の実施形態の連動手段30を概念的に示す斜視図である。上述の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号が付され、その説明が省略される。
図10に示されるように、この実施形態の連動手段30は、スイングアーム6の傾動動作を連動させるための連結部材31と、スイングアーム6に固定される傾動部材32と、連結部材31の移動方向を変更する方向転換部材33とを含んでいる。
【0052】
傾動部材32は、例えば、上述の傾動部材20と同様に、第1スイングアーム6Aに固定される第1傾動部材32Aと、第2スイングアーム6Bに固定される第2傾動部材32Bとを含んでいる。第1傾動部材32A及び第2傾動部材32Bは、例えば、上述の第1傾動部材20A及び第2傾動部材20Bと同様に、スイングアーム6の軸芯a1を円弧中心とした円弧面状に形成されている。
【0053】
方向転換部材33は、例えば、スイングアーム6の軸芯a1とは直交する向きの軸芯a5を中心とした円盤状に形成されている。方向転換部材33は、例えば、上述の方向転換部材21のように、2つの方向転換部材33から構成されていてもよい。
【0054】
この実施形態の連結部材31は、第1スイングアーム6Aの第1傾動部材32Aに巻き付けられた第1下部紐状体34Aと、第2スイングアーム6Bの第2傾動部材32Bに巻き付けられた第2下部紐状体34Bと、方向転換部材33に巻き付けられた上部紐状体35とを有している。
【0055】
連結部材31は、第1下部紐状体34Aと上部紐状体35とを連結する第1直線部36Aと、第2下部紐状体34Bと上部紐状体35とを連結する第2直線部36Bを有するのが望ましい。この実施形態の第1直線部36Aは、第1スイングアーム6Aと方向転換部材33との間に配されている。この実施形態の第2直線部36Bは、第2スイングアーム6Bと方向転換部材33との間に配されている。
【0056】
第1直線部36Aには、例えば、第1スイングアーム6Aを下げる向きに付勢する第1バネ手段37Aが設けられている。第1バネ手段37Aには、例えば、圧縮コイルバネが好適に採用される。このような第1バネ手段37Aは、車体が第1車輪4Aの方向に傾斜することを抑制し、走行時の安定性を高めることができる。
【0057】
第2直線部36Bには、例えば、第2スイングアーム6Bを下げる向きに付勢する第2バネ手段37Bが設けられている。第2バネ手段37Bには、例えば、圧縮コイルバネが好適に採用される。このような第2バネ手段37Bは、車体が第2車輪4Bの方向に傾斜することを抑制し、走行時の安定性を高めることができる。
【0058】
この実施形態の連結部材31は、上述の連結部材8と同様に、第1車輪4Aから入力される衝撃力を吸収する第1衝撃吸収部38Aと、第2車輪4Bから入力される衝撃力を吸収する第2衝撃吸収部38Bとを有している。
【0059】
この実施形態の第1衝撃吸収部38Aは、第1スイングアーム6Aと方向転換部材33との間の第1直線部36Aに設けられている。この実施形態の第2衝撃吸収部38Bは、第2スイングアーム6Bと方向転換部材33との間の第2直線部36Bに設けられている。このような連動手段30は、第1車輪4Aと第2車輪4Bとの輪間距離が小さい場合に好適に採用され得る。
【0060】
図示は省略されるが、第1衝撃吸収部38Aは、上述の第1衝撃吸収部9Aと同様に、第1軸17A、第1ナット18A及び第1バネ19Aを含むのが望ましい。同じく、第2衝撃吸収部38Bは、上述の第2衝撃吸収部9Bと同様に、第2軸17B、第2ナット18B及び第2バネ19Bを含むのが望ましい。
【0061】
図11は、他の実施形態の多輪式車両40を示す側面図であり、
図12は、
図11の多輪式車両40の底面図である。
図11及び
図12に示されるように、この実施形態の多輪式車両40は、前輪41に1輪の車輪42を、後輪43に3輪の車輪42を設けたものである。多輪式車両40は、例えば、後輪43の更に後方に補助輪44を設けていてもよい。多輪式車両40は、上述の多輪式車両1と同様に、例えば、後輪3が2輪であってもよく、前輪2が2輪又は3輪であってもよい。
【0062】
この実施形態の多輪式車両40は、フレーム45と、フレーム45に取り付けられたハンドル46、サドル47及び一対のペダル48を備えている。この実施形態のハンドル46、サドル47及びペダル48は、フレーム45の後方に取り付けられている。この実施形態のハンドル46は、操舵機構49を介して前輪2を操舵可能に構成されている。
【0063】
多輪式車両40は、ペダル48から入力された踏力を補助するモーター(図示省略)を含む電動アシストタイプであるのが望ましい。この実施形態の多輪式車両40は、フレーム5の前方に、人又は物を積載可能な荷台50を備えている。このような多輪式車両40は、荷台50の状況を確認しながら運転することができ、安全性に優れている。
【0064】
車輪42は、例えば、フレーム45の左右方向の一方側に配された第1車輪42Aと、フレーム45の左右方向の他方側に配された第2車輪42Bとを含んでいる。車輪42は、例えば、第1車輪42Aと第2車輪42Bとの間に配された中央車輪42Cを含んでいてもよい。中央車輪42C及び補助輪44は、それぞれ、フレーム45に装着されるのが望ましい。
【0065】
この実施形態の多輪式車両40は、フレーム45に一端部51a側が支持されかつ他端部51b側が上下方向に傾動自在な一対のスイングアーム51と、スイングアーム51の他端部51b側に装着される車輪42とを備えている。一対のスイングアーム51の一端部51a側は、上述のスイングアーム6と同様に、同一軸芯a6上で支持されるのが望ましい。スイングアーム51は、例えば、第1車輪42Aが装着される第1スイングアーム51Aと、第2車輪42Bが装着される第2スイングアーム51Bとを含んでいる。
【0066】
この実施形態の多輪式車両40は、スイングアーム51の傾動動作を連動させる連動手段52を備えている。このような連動手段52は、一対のスイングアーム51の傾動動作を上下互い違いに連動させることができ、横斜面の路面を走行するときや車体を傾斜させて旋回するときに、左右の2つの車輪42の接地圧を均等に保つことができる。
【0067】
この実施形態の連動手段52は、第1スイングアーム51Aの傾動動作と第2スイングアーム51Bの傾動動作とを上下互い違いに連動させるための連結部材53を含んでいる。この実施形態の連結部材53は、第1車輪42Aから入力される衝撃力を吸収する第1衝撃吸収部54Aと、第2車輪42Bから入力される衝撃力を吸収する第2衝撃吸収部54Bとを有している。
【0068】
このような多輪式車両40は、第1車輪42A又は第2車輪42Bの一方が段差を乗り上げた場合でも、第1車輪42A又は第2車輪42Bの一方から衝撃力が入力されたときの車体の挙動を安定させることができる。
【0069】
図13は、
図11の連動手段52を概念的に示す断面図である。
図11ないし
図13に示されるように、この実施形態の連動手段52は、第1スイングアーム51Aを傾動させるための第1シリンダ55Aと、第2スイングアーム51Bを傾動させるための第2シリンダ55Bとを含んでいる。連動手段52は、第1スイングアーム51Aに固定される第1傾動手段56Aと、第2スイングアーム51Bに固定される第2傾動手段56B(図示省略)とを含むのが望ましい。
【0070】
この実施形態の連結部材53は、第1シリンダ55Aと第1傾動手段56Aと連結する第1紐状体57Aと、第2シリンダ55Bと第2傾動手段56Bと連結する第2紐状体57B(図示省略)と、第1シリンダ55Aと第2シリンダ55Bとを連結する流体路58を含んでいる。
【0071】
このような連動手段52は、第1スイングアーム51Aの傾動動作に伴い第1紐状体57Aを介して第1シリンダ55Aが作動し、流体路58を介して第2シリンダ55Bに流体を移動させることができる。このとき、連動手段52は、第2シリンダ55Bの作動により、第2紐状体57Bを介して第2スイングアーム51Bを傾動動作させることができる。
【0072】
同様に、この連動手段52は、第2スイングアーム51Bの傾動動作に伴い第2紐状体57Bを介して第2シリンダ55Bが作動し、流体路58を介して第1シリンダ55Aに流体を移動させることができる。このとき、連動手段52は、第1シリンダ55Aの作動により、第1紐状体57Aを介して第1スイングアーム51Aを傾動動作させることができる。
【0073】
この実施形態の連動手段52は、スイングアーム51の傾動動作の連動を停止させるロック機構59を含んでいる。この実施形態のロック機構59は、流体路58の流体の移動を規制可能である。このような多輪式車両40は、駐車時やスイングアーム51の連動機能が不要であるときに、スイングアーム51の連動を規制して固定することができる。
【0074】
第1衝撃吸収部54A及び第2衝撃吸収部54Bは、それぞれ、ロック機構59が作動している状態で第1車輪42A及び第2車輪42Bからの衝撃力を吸収するのが望ましい。このような第1衝撃吸収部54A及び第2衝撃吸収部54Bは、左右独立懸架式のサスペンションとして機能させることができる。
【0075】
第1衝撃吸収部54A及び第2衝撃吸収部54Bは、例えば、第1シリンダ55Aと第2シリンダ55Bとの間に設けられている。第1衝撃吸収部54Aは、第1シリンダ55Aとロック機構59との間に設けられるのが望ましい。この実施形態の第1衝撃吸収部54Aは、第1シリンダ55Aに隣接して設けられている。このような第1衝撃吸収部54Aは、第1車輪42Aから入力された衝撃力により第1シリンダ55Aからの流体が瞬間的に高圧になったとしても、その圧力をダイレクトに吸収することができ、第2シリンダ55Bに影響を及ぼすおそれがない。
【0076】
第2衝撃吸収部54Bは、第2シリンダ55Bとロック機構59との間に設けられるのが望ましい。この実施形態の第2衝撃吸収部54Bは、第2シリンダ55Bに隣接して設けられている。このような第2衝撃吸収部54Bは、第2車輪42Bから入力された衝撃力により第2シリンダ55Bからの流体が瞬間的に高圧になったとしても、その圧力をダイレクトに吸収することができ、第1シリンダ55Aに影響を及ぼすおそれがない。
【0077】
以下、第1衝撃吸収部54A、第1シリンダ55A、第1傾動手段56A及び第1紐状体57Aの構成が、
図13を用いて説明される。第2衝撃吸収部54B、第2シリンダ55B、第2傾動手段56B及び第2紐状体57Bの構成は、それぞれ、第1衝撃吸収部54A、第1シリンダ55A、第1傾動手段56A及び第1紐状体57Aと同一であり、その説明が省略される。
【0078】
図13に示されるように、第1傾動手段56Aは、例えば、第1スイングアーム51Aの一端部51a側の軸芯a6(
図12に示す)を円弧中心とした円弧面状に形成されている。第1紐状体57Aは、第1傾動手段56Aに巻き付けられるのが望ましい。このような第1傾動手段56A及び第1紐状体57Aは、第1スイングアーム51Aのスムーズな傾動動作に役立つ。
【0079】
第1紐状体57Aは、ローラチェーンで構成されるのが望ましい。この場合、第1傾動手段56Aは、ローラチェーンに噛合可能な歯部を有するスプロケット状に形成されるのが望ましい。このような連結部材53は、強度及び耐久性に優れている。
【0080】
第1シリンダ55Aには、例えば、流体路58を介して第2シリンダ55B(
図12に示す)の動きを制御するための第1バネ手段60Aが設けられている。第1バネ手段60Aには、例えば、圧縮コイルバネが好適に採用される。第2シリンダ55Bの下降速度は、例えば、第1圧力調整ノブ61Aにより、第1バネ手段60Aの弾性力を変更することで調整可能である。このような第1シリンダ55Aは、第2スイングアーム51B(
図12に示す)に作用する力を調整することができ、第1スイングアーム51Aと第2スイングアーム51Bとの傾動動作の連動を制御することができる。
【0081】
この実施形態の第1衝撃吸収部54Aは、吸収し得る衝撃力の大きさを調整するための第1バネ62Aと、第1バネ62Aの弾性力を変更するための第1調整ノブ63Aを含んでいる。第1バネ62Aには、例えば、圧縮コイルバネが好適に採用される。このような第1衝撃吸収部54Aは、吸収し得る衝撃力の大きさの微調整が容易であり、走行する路面の状態に応じて、適宜変更することもできる。
【0082】
上述の実施形態では、第1衝撃吸収部及び第2衝撃吸収部に圧縮コイルバネを用いる態様が例示されたが、第1衝撃吸収部及び第2衝撃吸収部は、このような態様に限定されるものではない。第1衝撃吸収部及び第2衝撃吸収部は、例えば、トーションバータイプであってもよく、エアシリンダータイプであってもよい。
【0083】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
【符号の説明】
【0084】
1 多輪式車両
4 車輪
4A 第1車輪
4B 第2車輪
5 フレーム
6 スイングアーム
6a 一端部
6b 他端部
6A 第1スイングアーム
6B 第2スイングアーム
7 連動手段
8 連結部材
9A 第1衝撃吸収部
9B 第2衝撃吸収部