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特開2023-111212プラグ構造、配管構造物および配管検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111212
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】プラグ構造、配管構造物および配管検査方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/02 20060101AFI20230803BHJP
   F16L 55/168 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
F22B37/02 J
F16L55/168
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012956
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】宮本 大樹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 正昭
(72)【発明者】
【氏名】野田 真矢
【テーマコード(参考)】
3H025
【Fターム(参考)】
3H025EB11
3H025EC02
3H025ED01
(57)【要約】
【課題】流体が流通する配管に形成された貫通孔を取り囲むように設置される筒状の管台部に流体とともに粒子が侵入することよる不具合を適切に防止する。
【解決手段】流体が流通する配管に形成された貫通孔52を閉塞するプラグ構造200であって、貫通孔52を取り囲むように配置されるとともに配管50の外周面に基端部211が接合される筒状の管台部210と、管台部210に挿入されるとともに管台部210の先端部212に接合されるプラグ220と、を備え、プラグ220は、配管50の内部空間IS1と管台部210の内部空間IS2とが連通しないように封止する封止部222を有するプラグ構造200を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流通する配管に形成された貫通孔を閉塞するプラグ構造であって、
前記貫通孔を取り囲むように配置されるとともに前記配管の外周面に基端部が接合される筒状の管台部と、
前記管台部に挿入されるとともに前記管台部の先端部に接合されるプラグと、を備え、
前記プラグは、前記配管の第1内部空間と前記管台部の第2内部空間とが連通しないように封止する封止部を有するプラグ構造。
【請求項2】
前記封止部の前記第1内部空間に対向する先端面は、前記配管の内周面が配置される位置の近傍に配置される請求項1に記載のプラグ構造。
【請求項3】
前記プラグは、
前記管台部の前記先端部に接合される本体部と、
前記本体部と前記封止部とを連結する連結部と、を有し、
前記連結部は、前記管台部と同軸に配置されるとともに前記管台部の内周面との間に環状の隙間を形成する請求項1または請求項2に記載のプラグ構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプラグ構造と、
流体が流通するとともに前記プラグ構造により閉塞される貫通孔が形成された第1配管と、
前記第1配管に溶接された第2配管と、を備え、
前記第1配管および前記第2配管の少なくともいずれか一方は、所定の曲率で曲がる形状に形成されており、
前記貫通孔は、前記第1配管と前記第2配管とが溶接される溶接部の近傍に設けられている配管構造物。
【請求項5】
前記第1配管および前記第2配管のいずれか一方は、前記所定の曲率で曲がる形状に形成されており、
前記第1配管および前記第2配管のいずれか他方は、直線に沿って延びる形状に形成されている請求項4に記載の配管構造物。
【請求項6】
それぞれ流体が流通する第1配管と第2配管とが溶接される溶接部を検査する配管検査方法であって、
前記第1配管に形成された貫通孔に検査具を挿入する工程と、
前記検査具により前記溶接部を検査する工程と、
前記貫通孔から前記検査具を除去する工程と、
前記貫通孔を取り囲むように配置されるとともに基端部が前記第1配管の外周面に接合された管台部にプラグを挿入するとともに前記プラグを前記管台部の先端部に接合する工程と、を備え、
前記プラグは、前記第1配管の第1内部空間と前記管台部の第2内部空間とが連通しないように封止する封止部を有する配管検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラグ構造、配管構造物および配管検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電プラントなどに用いられる大型のボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に複数の燃焼バーナが火炉の周方向に沿って配設されている。また、ボイラは、火炉の鉛直方向上方に煙道が連結されており、この煙道に蒸気を生成するための熱交換器が配置されている。そして、燃焼バーナが火炉内に燃料と空気(酸化性ガス)との混合気を噴射することで火炎が形成され、燃焼ガスが生成されて煙道に流れる。燃焼ガスが流れる領域に熱交換器が設置され、熱交換器を構成する伝熱管内を流れる水や蒸気を加熱して過熱蒸気が生成される。
【0003】
ボイラを有する発電プラントに使用される蒸気系統は、複数の配管同士が溶接で接続されて構成される。この場合、接合部の健全性(欠陥の有無)を確認するために、放射線透過試験を実施することがある。このため、接合部の近傍には、配管の内部に放射線試験機器(放射線源)を挿入するための貫通孔が穿設される。放射線透過試験は溶接後に一度だけ実施されることが通常であり、放射線透過試験終了後には穿設された貫通孔を閉塞する必要がある。
【0004】
貫通孔を閉塞する方法として、例えば特許文献1には、閉止プラグが開示されている。特許文献1の閉止プラグは、溶接によって配管に対して固定されている。また、特許文献2には、管寄せの検査穴に検査穴筒を溶接し、検査穴筒に蓋を溶接することが開示されている。特許文献2には、凝縮したドレンの渦流によって検査穴筒の内面が減肉することを防止するために、検査穴筒の内面にセラミックスやこれを含む複合材料を内張りすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-158823号公報
【特許文献2】実開平5-25109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2のように、検査穴を取り囲むように検査穴筒の一端を管寄せに接合した場合、検査穴筒の内部空間と管寄せの内部空間とが連通した状態となる。そして、管寄せの内部空間を流通する流体(蒸気等)に含まれる粒子(例えば、管寄せを形成する金属材料の酸化物)が検査穴筒の内部空間に侵入して滞留すると、検査穴筒の内周面や溶接部を摩耗させてしまう場合がある。特に、所定の曲率で曲がる管寄せやその近傍の配管に検査穴が形成されている場合、流体が検査穴筒の内部空間に侵入して旋回流となりやすく、検査穴筒の内周面や溶接部の摩耗が顕著となる。検査穴筒の内周面や溶接部が摩耗すると、配管の内部の流体が外部へ漏出する可能性がある。
【0007】
特許文献2には、蒸気が凝縮したドレンの渦流による減肉を防止するために検査穴筒の内面にセラミックス等の内張りをすることが開示されているものの、流体に含まれる粒子に対する対策は示されていない。また、検査穴筒の内面にセラミックス等の内張りをすると、施工コストが増大してしまう。また、検査穴筒の内張りは使用状態によって剥離してしまう可能性があり、内張りが剥離してしまうと流体に含まれる粒子による摩耗が進行してしまう。
【0008】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、流体が流通する配管に形成された貫通孔を取り囲むように設置される筒状の管台部に流体とともに粒子が侵入することによる不具合を適切に防止することが可能なプラグ構造、配管構造物および配管検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係るプラグ構造は、流体が流通する配管に形成された貫通孔を閉塞するプラグ構造であって、前記貫通孔を取り囲むように配置されるとともに前記配管の外周面に基端部が接合される筒状の管台部と、前記管台部に挿入されるとともに前記管台部の先端部に接合されるプラグと、を備え、前記プラグは、前記配管の第1内部空間と前記管台部の第2内部空間とが連通しないように封止する封止部を有する。
【0010】
本開示の一態様に係る配管検査方法は、それぞれ流体が流通する第1配管と第2配管とが溶接される溶接部を検査する配管検査方法であって、前記第1配管に形成された貫通孔に検査具を挿入する工程と、前記検査具により前記溶接部を検査する工程と、前記貫通孔から前記検査具を除去する工程と、前記貫通孔を取り囲むように配置されるとともに基端部が前記第1配管の外周面に接合された管台部にプラグを挿入するとともに前記プラグを前記管台部の先端部に接合する工程と、を備え、前記プラグは、前記第1配管の第1内部空間と前記管台部の第2内部空間とが連通しないように封止する封止部を有する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、流体が流通する配管に形成された貫通孔を取り囲むように設置される筒状の管台部に流体とともに粒子が侵入することによる不具合を適切に防止することが可能なプラグ構造、配管構造物および配管検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ボイラ発電プラントにおける蒸気、復水、給水系統を示す概略図である。
図2】ボイラ発電プラントの蒸気系統を構成する配管の一例を示す斜視図である。
図3図2に示す配管のA部分の部分拡大図である。
図4図2に示す配管のB部分の部分拡大図である。
図5】配管の貫通孔を閉塞するプラグ構造を示す断面図である。
図6図5に示すプラグ構造の分解図である。
図7】本開示の一実施形態の配管検査方法を示すフローチャートである。
図8】配管の貫通孔に検査具を挿入した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の一実施形態に係るプラグが設置されるボイラ発電プラントについて図1を用いて説明する。図1は、ボイラ発電プラントにおける蒸気、復水、給水系統を表す概略図である。ボイラ発電プラントは、ボイラの過熱器(熱交換器)102,103,104と、ボイラが生成した蒸気によって回転駆動される蒸気タービン110と、蒸気タービン110に連結され、蒸気タービン110の回転によって発電を行う発電機115とを備える。
【0014】
蒸気タービン110は、例えば、高圧タービン111と中圧タービン112と低圧タービン113とから構成され、後述する再熱器105,106からの蒸気が中圧タービン112に流入したのちに低圧タービン113に流入する。
【0015】
低圧タービン113には、復水器114が連結されており、低圧タービン113を回転駆動した蒸気がこの復水器114で冷却水(例えば海水)により冷却されて復水となる。復水器114は、給水系統L1を介して節炭器107に連結されている。
【0016】
給水系統L1には、例えば、復水ポンプ(CP)121、低圧給水ヒータ122、ボイラ給水ポンプ(BFP)123、高圧給水ヒータ124が設けられている。
【0017】
低圧給水ヒータ122と高圧給水ヒータ124には、蒸気タービン110を駆動する蒸気の一部が抽気されて、図示しない抽気系統を介して高圧給水ヒータ124と低圧給水ヒータ122に熱源として供給され、節炭器107へ供給される給水が加熱される。
【0018】
以下、ボイラが貫流ボイラの場合を例にして説明をする。
節炭器107は、火炉壁101の各蒸発管に連結されている。節炭器107で加熱された給水は、火炉壁101の蒸発管を通過する際に、火炉内の火炎から輻射を受けて加熱され、汽水分離器126へと導かれる。汽水分離器126にて分離された蒸気は、過熱器102,103,104へと供給され、汽水分離器126にて分離されたドレン水は、ドレン水系統L2を介して復水器114へと導かれる。
【0019】
燃焼ガスが燃焼ガス通路(煙道)13を流れるとき、この燃焼ガスは、過熱器102,103,104、再熱器105,106、節炭器107で熱回収される。一方、ボイラ給水は、節炭器107によって予熱された後、火炉壁101の各蒸発管を通過する際に加熱されて蒸気となり、汽水分離器126に導かれる。
【0020】
汽水分離器126で分離された蒸気は、過熱器102,103,104に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器102,103,104で生成された過熱蒸気は、蒸気系統L3を介して高圧タービン111に供給され、この高圧タービン111を回転駆動する。
【0021】
高圧タービン111から排出された蒸気は、蒸気系統L4を介して再熱器105,106に導入されて再度過熱される。再度過熱された蒸気は、蒸気系統L5を介して中圧タービン112を経て低圧タービン113に供給され、中圧タービン112及び低圧タービン113を回転駆動する。
【0022】
高圧タービン111,中圧タービン112,低圧タービン113の回転軸は、発電機115に接続されている。高圧タービン111,中圧タービン112,低圧タービン113の回転軸が回転することで、発電機115を回転駆動し発電が行われる。低圧タービン113から排出された蒸気は、復水器114で冷却されることで復水となり、給水系統L1を介して再び節炭器107に送られる。
【0023】
上記のようなボイラ発電プラントの各蒸気系統を構成する配管50には、放射線源を挿入するために穿設された貫通孔52を閉塞するプラグ構造200が複数箇所に設置される。例えば、同図において各蒸気系統上の箇所Pに設置される。なお、同図の箇所Pは例示であり、全ての設置箇所を示したものではない。
【0024】
図2は、ボイラ発電プラントの蒸気系統を構成する配管50の一例を示す斜視図である。図3は、図2に示す配管のA部分の部分拡大図である。図4は、図2に示す配管のB部分の部分拡大図である。図2から図4において、矢印は蒸気(流体)の流通方向を示す。図2から図4では、貫通孔52を閉塞するプラグ構造200の図示を省略している。
【0025】
図2に示すように、配管50は、配管50a,50b,50c,50d,50e,50f,50g,50h,50i,50j,50k,50l,50mの順に蒸気を流通させる断面が円形の筒状部材である。配管50a,50b,50e,50g,50i,50k,50mは、直線に沿って延びる形状に形成される直線状部材である。配管50c,50d,50f,50h,50j,50lは、所定の曲率で曲がる形状に形成される配管である。配管50c,50d,50f,50j,50lは、蒸気の流通方向を例えば90度変更する。
【0026】
図2に示すように、配管50a~50mのそれぞれが隣接する他の配管と連結される部分には、溶接部51が形成されている。溶接部51は、隣接する一対の配管を溶接により接合した部分である。ボイラ発電プラントを新設する際には、放射線源を用いた検査具(図示略)を用いて溶接部51の溶接状態を検査する必要がある。そのため、溶接部51の近傍の配管には、検査具を配管の内部に挿入するための貫通孔52が形成されている。
【0027】
図3に示すように、直線状の配管50eと曲線状の配管50fとを連結する溶接部51を検査するための貫通孔52Aは、曲線状の配管50fに形成されている。曲線状の配管50fに形成される貫通孔52Aの近傍のように、蒸気の流線が、直線から曲線に変化する箇所の近傍では、管内に旋回流が形成され易い。
【0028】
図3に示すように、曲線状の配管50fと直線状の配管50gとを連結する溶接部51を検査するための貫通孔52Bは、直線状の配管50gに形成されている。直線状の配管50gに形成される貫通孔52Bの近傍のように、蒸気の流線が、曲線から直線に変化する箇所の近傍では、管内に旋回流が形成されにくい。
【0029】
図4に示すように、直線状の配管50iと曲線状の配管50jとを連結する溶接部51を検査するための貫通孔52Cは、直線状の配管50iに形成されている。直線状の配管50iに形成される貫通孔52Cの近傍のように、蒸気の流線が、直線から曲線に変化する箇所の近傍では、管内に旋回流が形成され易い。
【0030】
図4に示すように、曲線状の配管50jと直線状の配管50kとを連結する溶接部51を検査するための貫通孔52Dは、直線状の配管50kに形成されている。直線状の配管50kに形成される貫通孔52Dの近傍においては、蒸気の流線が、曲線から直線に変化する箇所の近傍では、管内に旋回流が形成されにくい。
【0031】
以上のように、本実施形態の配管50において、隣接して配置される一方の配管(第1配管)と他方の配管(第2配管)とは、互いに溶接されて溶接部51を形成する。一方の配管と他方の配管の少なくともいずれか一方は、所定の曲率で曲がる形状に形成されている。貫通孔52は、隣接して配置される一方の配管と他方の配管のいずれか一方に形成されており、溶接部51の近傍に設けられている。
【0032】
次に、蒸気が流通する配管50に形成された貫通孔52を閉塞するプラグ構造200について図面を参照して説明する。図5は、配管の貫通孔を閉塞するプラグ構造を示す断面図である。図6は、図5に示すプラグ構造200の分解図である。図5および図6に示すように、プラグ構造200は、管台部210と、プラグ220と、を備える。プラグ構造200は、金属材料により形成されている。
【0033】
管台部210は、貫通孔52を取り囲むように配管50の外周面50Aに溶接により接合される筒状(円筒状)の部材である。管台部210は、配管50の中心軸(図示略)に直交する軸線Xに沿って延びるように形成される。管台部210の基端部211は、軸線X回りの全周の各部において、配管50の外周面50Aに溶接されて溶接部211aを形成する。管台部210の先端部212は、軸線X回りの全周の各部において、プラグ220の接合面221aに溶接されて接合面221bを形成する。
【0034】
図5および図6に示すように、管台部210の外径OD1は、貫通孔52の内径ID1よりも大きい。管台部210の内径は、貫通孔52の内径ID1と等しい。なお、管台部210の内径は、貫通孔52の内径ID1とは異なる大きさとしてもよい。
【0035】
プラグ220は、配管50の外周面50Aに接合された管台部210に挿入されるとともに管台部210の先端部212に接合される軸状部材である。プラグ220は、本体部221と、封止部222と、連結部223と、を有する。本体部221と、封止部222と、連結部223とは、金属材料により一体に形成されている。
【0036】
本体部221は、管台部210の先端部212に溶接により接合される部分である。本体部221は、プラグ220を管台部210に挿入した状態で、管台部210の先端部212と対向して配置される接合面221aを有する。
【0037】
封止部222は、配管50の内部空間(第1内部空間)IS1と管台部210の内部空間(第2内部空間)IS2とが連通しないように封止する部材である。封止部222は、軸線Xに沿って延びるように円柱状に形成されている。
【0038】
封止部222の外周面の形状は、貫通孔52の内周面に対応した形状となっている。なお、対応した形状とは、完全に同一の形状ではなく、封止部222を貫通孔52に滑らかに挿入できる程度の隙間が設けられた形状をいう。また、封止部222の軸線Xに沿った長さL1は、内部空間IS1と内部空間IS2とが連通しない状態とするのに十分な長さに設定される。内部空間IS1と内部空間IS2とが連通しない状態とは、内部空間IS1から内部空間IS2に蒸気が流入しない、もしくは殆ど流入しない状態をいう。
【0039】
封止部222の内部空間IS1に対向する先端面222aは、配管50の内周面50Bが配置される位置と一致するように配置される。また、先端面222aを、配管50の内周面50Bが配置される位置の近傍に配置してもよい。
【0040】
なお、先端面222aが配置される位置は、配管50の内周面50Bが配置される位置と一致しないようにしてもよい。先端面222aが配置される位置は、内部空間IS1と内部空間IS2とが連通しない状態とすることができる任意の位置としてもよい。例えば、先端面222aが配置される位置を、貫通孔52の内部における他の位置に配置してもよい。
【0041】
連結部223は、本体部221と封止部222とを連結する部分である。連結部223は、軸線Xに沿って延びる円柱状の部材である。連結部223の外径OD2は、管台部210および貫通孔52の内径である内径ID1よりも小さい。連結部223は、管台部210と同軸に配置されるとともに管台部210の内周面との間に環状の隙間CLを形成する。
【0042】
次に、本実施形態の配管検査方法について、図面を参照して説明する。図7は、本実施形態の配管検査方法を示すフローチャートである。図8は、配管50の貫通孔52に検査具300を挿入した状態を示す断面図である。本実施形態の配管検査方法は、ボイラ発電プラントを新設する際に、放射線源を用いた検査具300を用いて溶接部51の溶接状態を検査するものである。
【0043】
ステップS101で、配管(第1配管)50gに形成された貫通孔52に検査具300のガイドチューブ301を挿入し、放射線源302を溶接部51の位置に配置する。配管50の溶接部51の外周側には、透過度計303が配置され、透過度計303の外周側に放射線の透過を防止する保護フィルム304が配置される。
【0044】
ステップS102で、検査具300により溶接部51を検査する。具体的には、放射線源302から放射線を溶接部51に照射し、透過度計303で溶接部51を透過した放射線を検出する。透過度計303で放射線を検出することにより、溶接部51にボイドが含まれている等の溶接欠陥の有無や程度を検査することができる。
【0045】
ステップS103で、配管50gに形成された貫通孔52から検査具300のガイドチューブ301を除去する。
【0046】
ステップS104で、貫通孔52を取り囲むように管台部210を配置し、管台部210の基端部211を配管50gの外周面に溶接により接合する。なお、ステップS104は、ステップS102で溶接部51を検査した後に実行するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、ステップS101で貫通孔52に検査具300を挿入する前に、ステップS104を実行し、検査具300による検査の前に配管50gの貫通孔52の周囲に管台部210を接合してもよい。
【0047】
ステップS105で、管台部210にプラグ220を挿入し、プラグ220の接合面221aと管台部210の先端部212とを突き合わせ、接合面221aと先端部212とを溶接により接合する。プラグ220を管台部210に接合すると、図5に示す状態となり、配管50の内部空間IS1と管台部210の内部空間IS2とが連通しないように封止部222により封止される。
【0048】
以上説明した本実施形態のプラグ構造200によれば、以下の作用及び効果を奏する。
本実施形態のプラグ構造200によれば、配管50に形成された貫通孔52を取り囲むように筒状の管台部210の基端部211が配管50の外周面50Aに接合され、管台部210に挿入されるプラグ220が管台部210の先端部212に接合される。プラグ220が有する封止部222により、配管50の内部空間IS1と管台部210の内部空間IS2とが連通しないように封止される。
【0049】
本実施形態のプラグ構造200によれば、配管50の内部空間IS1と管台部210の内部空間IS2とが連通しないため、流体(蒸気等)に含まれる粒子(例えば、配管50を形成する金属材料の酸化物が配管50の母材から脱離したもの、いわゆる配管50内面の錆を含む)が管台部210の内部空間IS2に侵入して滞留することがない。したがって、流体が流通する配管50に形成された貫通孔52を取り囲むように設置される筒状の管台部210に流体とともに粒子が侵入することによる不具合を適切に防止することができる。
【0050】
本実施形態のプラグ構造200によれば、封止部222の配管50の内部空間IS1に対向する先端面222aは、配管50の内周面50Bが配置される位置の近傍に配置される。そのため、管台部210の内部空間IS2に流体に含まれる粒子が侵入することを確実に防止することができる。また、配管50の内部空間IS1を流通する流体の流れを乱すことを確実に抑制することができる。
【0051】
本実施形態のプラグ構造200によれば、連結部223と管台部210の内周面との間に環状の隙間CLが形成されるため、管台部210の先端部212にプラグ220の本体部221を接合する際に、連結部223を離間させておくことで溶接部を完全溶け込み溶接にすることができる。また、管台部210とプラグ220とが接合された溶接部の内周面に、応力が集中するノッチ部が形成されないようにすることができる。
【0052】
本実施形態の配管構造物によれば、第1配管または第2配管の少なくともいずれか一方が所定の曲率で曲がる形状に形成され、第1配管に貫通孔が形成されている。流体の流通方向が切り替えられる部分の近傍に貫通穴が配置されるため、配管の第1内部空間と管台部の第2内部空間とが連通していると、管台部が粒子により摩耗する恐れがある。
【0053】
本開示の一態様に係る配管構造物によれば、封止部222により、配管50の内部空間IS1と管台部210の内部空間IS2とが連通しないため、管台部210に流体とともに粒子が侵入することによる不具合を適切に防止することができる。また、貫通孔52が溶接部51の近傍に設けられるため、溶接部51の検査を容易に行うことができる。
【0054】
以上説明した実施形態に記載のプラグ構造は例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係るプラグ構造(200)は、流体が流通する配管に形成された貫通孔(52)を閉塞するプラグ構造であって、前記貫通孔を取り囲むように配置されるとともに前記配管の外周面に基端部(211)が接合される筒状の管台部(210)と、前記管台部に挿入されるとともに前記管台部の先端部(212)に接合されるプラグ(220)と、を備え、前記プラグは、前記配管の第1内部空間(IS1)と前記管台の第2内部空間(IS2)とが連通しないように封止する封止部(222)を有する。
【0055】
本開示の一態様に係るプラグ構造によれば、配管に形成された貫通孔を取り囲むように筒状の管台部の基端部が配管の外周面に接合され、管台部に挿入されるプラグが管台部の先端部に接合される。プラグが有する封止部により、配管の第1内部空間と管台部の第2内部空間とが連通しないように封止される。
【0056】
本開示の一態様に係るプラグ構造によれば、配管の第1内部空間と管台部の第2内部空間とが連通しないため、流体(蒸気等)に含まれる粒子(例えば、配管を形成する金属材料の酸化物)が管台部の第2内部空間に侵入して滞留することがない。したがって、流体が流通する配管に形成された貫通孔を取り囲むように設置される筒状の管台部に流体とともに粒子が侵入することによる不具合を適切に防止することができる。
【0057】
本開示の一態様に係るプラグ構造において、前記封止部の前記第1内部空間に対向する先端面は、前記配管の内周面が配置される位置の近傍に配置される構成としてもよい。
本構成のプラグ構造によれば、管台部の第2内部空間に流体に含まれる粒子が侵入することを確実に防止することができる。また、配管の第1内部空間を流通する流体の流れを乱すことを確実に抑制することができる。
【0058】
本開示の一態様に係るプラグ構造において、前記プラグは、前記管台部の前記先端部に接合される本体部と、前記本体部と前記封止部とを連結する連結部と、を有し、前記連結部は、前記管台部と同軸に配置されるとともに前記管台部の内周面との間に環状の隙間を形成する構成としてもよい。
【0059】
本構成のプラグ構造によれば、連結部と管台部の内周面との間に環状の隙間が形成されるため、管台部の先端部にプラグの本体部を接合する際に、連結部を離間させておくことで溶接部を完全溶け込み溶接にすることができる。また、管台部とプラグとが接合された溶接部の内周面に、応力が集中するノッチ部が形成されないようにすることができる。
【0060】
本開示の一態様に係る配管構造物は、上記のいずれかに記載のプラグ構造と、流体が流通するとともに前記プラグ構造により閉塞される貫通孔が形成された第1配管と、前記第1配管に溶接された第2配管と、を備え、前記第1配管および前記第2配管の少なくともいずれか一方は、所定の曲率で曲がる形状に形成されており、前記貫通孔は、前記第1配管と前記第2配管とが溶接される溶接部の近傍に設けられている構成としてもよい。
【0061】
本開示の一態様に係る配管構造物によれば、流体の流通方向が切り替えられる部分の近傍に貫通穴が配置されるため、配管の第1内部空間と管台部の第2内部空間とが連通していると、管台部が粒子により摩耗する恐れがある。本開示の一態様に係る配管構造物によれば、封止部材により、配管の第1内部空間と管台部の第2内部空間とが連通しないため、管台部に流体とともに粒子が侵入することよる不具合を適切に防止することができる。また、貫通穴が第1配管と第2配管とが溶接される溶接部の近傍に設けられるため、溶接部の検査を容易に行うことができる。
【0062】
上記構成の配管構造物において、前記第1配管および前記第2配管のいずれか一方は、前記所定の曲率で曲がる形状に形成されており、前記第1配管および前記第2配管のいずれか他方は、直線に沿って延びる形状に形成されている形態としてもよい。
【0063】
本形態の配管構造物によれば、流体の流通方向が切り替えられる部分の近傍に貫通穴が配置されるため、配管の第1内部空間と管台部の第2内部空間とが連通していると、管台部が粒子により摩耗する恐れがある。本形態の配管構造物によれば、封止部材により、配管の第1内部空間と管台部の第2内部空間とが連通しないため、管台部に流体とともに粒子が侵入することよる不具合を適切に防止することができる。また、貫通穴が第1配管と第2配管とが溶接される溶接部の近傍に設けられるため、溶接部の検査を容易に行うことができる。
【0064】
本開示の一態様に係る配管検査方法は、それぞれ流体が流通する第1配管と第2配管とが溶接される溶接部を検査する検査方法であって、前記第1配管に形成された貫通孔に検査具(300)を挿入する工程(S101)と、前記検査具により前記溶接部を検査する工程(S102)と、前記貫通孔から前記検査具を除去する工程(S103)と、前記貫通孔を取り囲むように配置されるとともに基端部が前記第1配管の外周面に接合された管台部にプラグを挿入するとともに前記プラグを前記管台部の先端部に接合する工程(S105)と、を備え、前記プラグは、前記第1配管の第1内部空間と前記管台の第2内部空間とが連通しないように封止する封止部を有する。
【0065】
本開示の一態様に係る配管検査方法によれば、第1配管に形成された貫通孔に検査具を挿入し、検索具により溶接部を検査する。溶接部を検査した後は、貫通孔から検査具を除去する。貫通孔を取り囲むように基端部が配管の外周面に接合された管台部にプラグが挿入される。プラグが有する封止部により、配管の第1内部空間と管台部の第2内部空間とが連通しないように封止される。
【0066】
本開示の一態様に係る配管検査方法によれば、配管の第1内部空間と管台部の第2内部空間とが連通しないため、流体(蒸気等)に含まれる粒子(例えば、配管を形成する金属材料の酸化物)が管台部の第2内部空間に侵入して滞留することがない。したがって、流体が流通する配管に形成された貫通孔を取り囲むように設置される筒状の管台部に流体とともに粒子が侵入することよる不具合を適切に防止することができる。
【符号の説明】
【0067】
50 配管
50A 外周面
50B 内周面
50a,50b,50c,50d,50e,50f,50g,50h,50i,50j,50k,50l,50m 配管
51 溶接部
52,52A,52B,52C,52D 貫通孔
101 火炉壁
102,103,104 過熱器
105,106 再熱器
107 節炭器
110 蒸気タービン
111 高圧タービン
112 中圧タービン
113 低圧タービン
114 復水器
115 発電機
122 低圧給水ヒータ
124 高圧給水ヒータ
126 汽水分離器
200 プラグ構造
210 管台部
211 基端部
211a 溶接部
212 先端部
220 プラグ
221 本体部
221a,221b 接合面
222 封止部
222a 先端面
223 連結部
300 検査具
301 ガイドチューブ
302 放射線源
303 透過度計
304 保護フィルム
CL 隙間
ID1 内径
IS1 内部空間
IS2 内部空間
X 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8