(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111222
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】エレベータのかご室
(51)【国際特許分類】
B66B 11/02 20060101AFI20230803BHJP
B66B 7/00 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
B66B11/02 N
B66B7/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012968
(22)【出願日】2022-01-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176016
【弁理士】
【氏名又は名称】森 優
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】武田 佳祐
【テーマコード(参考)】
3F305
3F306
【Fターム(参考)】
3F305DA09
3F306AA01
3F306CB05
3F306CB36
(57)【要約】
【課題】スイングパネルの上部隙間と下部隙間を、従来のエレベータのかご室の袖壁よりも可能な限り小さくすることができるかご室を提供する。
【解決手段】袖壁を、かご室の床面に対して立設された固定パネル36と、かご操作盤が取り付けられたスイングパネル38と、スイングパネル38と固定パネル36の双方に固定され、固定パネル36がスイングパネル38を支持すると共に、スイングパネル38を固定パネル36に対し水平面内で揺動自在に連結するよう構成された第1連結ユニット、第2連結ユニット42と、スイングパネル38が固定パネル36に対し上下方向に変位可能となるよう、前記第1,第2連結ユニットによる連結が弛緩された弛緩状態で、スイングパネル38の固定パネル36に対する上下方向の位置を調整することができる上下位置調整機構84と、を含む構成とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口の側方に設けられた袖壁を含む、エレベータのかご室であって、
前記袖壁は、
かご室の床面に対して立設された固定パネルと、
かご操作盤が取り付けられたスイングパネルと、
前記スイングパネルと前記固定パネルの双方に固定され、前記固定パネルが前記スイングパネルを支持すると共に、前記スイングパネルを前記固定パネルに対し水平面内で揺動自在に連結するよう構成された連結ユニットと、
前記スイングパネルが前記固定パネルに対し上下方向に変位可能となるよう、前記連結ユニットによる連結が弛緩された弛緩状態で、前記スイングパネルの前記固定パネルに対する上下方向の位置を調整することができる上下位置調整機構と、
を有することを特徴とするエレベータのかご室。
【請求項2】
前記弛緩状態は、前記固定パネルに対する前記連結ユニットの固定を緩めることにより実現され、
前記上下位置調整機構は、
前記固定パネルと前記連結ユニットのいずれか一方に設けられた、垂直方向に軸心を有する雌ネジを含む雌ネジ部材と、
前記雌ネジ部材に螺入された雄ネジ部材と、
を含み、
前記雄ネジ部材の一端部が前記固定パネルと前記連結ユニットの他方の一部に当接した状態で、前記雄ネジ部材を回転させて当該雄ネジ部材を前記雌ネジ部に対し前記軸心方向に進退させることにより、前記一方に対し前記他方が相対的に上下方向に移動する構成とされていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータのかご室。
【請求項3】
前記スイングパネルの前記固定パネルに対する水平方向の位置決めをすることができる水平位置決め機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータのかご室。
【請求項4】
前記連結ユニットは、
前記固定パネルに固定された第1の部材と、
前記スイングパネルに固定された第2の部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材とを、当該第1の部材と当該第2の部材同士が固定される固定状態と、前記固定が弛緩され、前記第1の部材に対し前記第2の部材が水平方向にスライド自在となるスライド自在状態とに切り換え可能にした構成と、
を含み、
前記水平位置決め機構は、
前記第1の部材と前記第2の部材の一方に設けられ、前記水平方向における位置を変更可能に構成された位置決め部と、他方に設けられ、前記位置決め部を受ける受け部と、を有し、
前記スライド自在状態において、
前記位置決め部と前記受け部とが当接することにより、前記スイングパネルが前記固定パネルに対し、水平方向の固定位置に位置決めされることを特徴とする請求項3に記載のエレベータのかご室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかご室に関し、特に、かご室を構成する袖壁の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、かご室内側から見て、出入り口の左右両側の各々に袖壁が設けられており、両袖壁の一方または両方には、かご操作盤等が取り付けられている。
【0003】
かご操作盤が取り付けられている袖壁は、立設された固定パネルと当該固定パネルに蝶番等を介して水平方向に開閉自在に連結されたスイングパネルを含む(特許文献1、特許文献2)。スイングパネルが閉じられた状態(使用状態)において、袖壁は全体的に中空の角柱状をしており、スイングパネルの表面側からは、かご操作盤の構成要素である操作ボタン装置(先階ボタン装置、戸開閉ボタン装置等)の操作ボタンが突出し、スイングパネルの裏面には、前記操作ボタン装置や、運行管理または保守点検のために必要な各種スイッチ、当該操作ボタン装置、当該各種スイッチが実装されたプリント基板が取り付けられている。
【0004】
そして、スイングパネルを開いて、袖壁内部に収納されている上記プリント基板等の保守点検をし、保守点検が終わるとスイングパネルを閉じるといったように用いられる。
【0005】
ところで、スイングパネルの開閉を可能にするためには、スイングパネル下端とかご床面またはキックプレート(幅木)との隙間(下部隙間)、および、スイングパネル上端と天井またはトランサム(幕板)との隙間(上部隙間)を確保する必要があるが、この隙間が大きすぎると、スイングパネルを閉じた状態、すなわち、使用状態における袖壁の意匠性が損なわれることとなる。(また、上部隙間と下部隙間に差が生じても意匠性が損なわれてしまう。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-242076号公報
【特許文献2】特許第4158353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載されているエレベータのかごに設けられた従来の袖壁は、固定パネルとスイングパネルを単に蝶番で連結しているだけなので、組み立て誤差等を考慮し、上部隙間と下部隙間を大きめにせざるを得ない(また、上部隙間と下部隙間の大きさのバランス調整をするのも困難である。)。
【0008】
本発明は、上記した課題に鑑み、スイングパネルの上部隙間と下部隙間を、上記従来のエレベータのかご室の袖壁よりも可能な限り小さくすることができるエレベータのかご室を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明に係るエレベータのかご室は、出入口の側方に設けられた袖壁を含む、エレベータのかご室であって、前記袖壁は、かご室の床面に対して立設された固定パネルと、かご操作盤が取り付けられたスイングパネルと、前記スイングパネルと前記固定パネルの双方に固定され、前記固定パネルが前記スイングパネルを支持すると共に、前記スイングパネルを前記固定パネルに対し水平面内で揺動自在に連結するよう構成された連結ユニットと、前記スイングパネルが前記固定パネルに対し上下方向に変位可能となるよう、前記連結ユニットによる連結が弛緩された弛緩状態で、前記スイングパネルの前記固定パネルに対する上下方向の位置を調整することができる上下位置調整機構と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、前記弛緩状態は、前記固定パネルに対する前記連結ユニットの固定を緩めることにより実現され、前記上下位置調整機構は、前記固定パネルと前記連結ユニットのいずれか一方に設けられた、垂直方向に軸心を有する雌ネジを含む雌ネジ部材と、前記雌ネジ部材に螺入された雄ネジ部材と、を含み、前記雄ネジ部材の一端部が前記固定パネルと前記連結ユニットの他方の一部に当接した状態で、前記雄ネジ部材を回転させて当該雄ネジ部材を前記雌ネジ部に対し前記軸心方向に進退させることにより、前記一方に対し前記他方が相対的に上下方向に移動する構成とされていることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記スイングパネルの前記固定パネルに対する水平方向の位置決めをすることができる水平位置決め機構を有することを特徴とする。
【0012】
また、前記連結ユニットは、前記固定パネルに固定された第1の部材と、前記スイングパネルに固定された第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とを、当該第1の部材と当該第2の部材同士が固定される固定状態と、前記固定が弛緩され、前記第1の部材に対し前記第2の部材が水平方向にスライド自在となるスライド自在状態とに切り換え可能にした構成と、を含み、前記水平位置決め機構は、前記第1の部材と前記第2の部材の一方に設けられ、前記水平方向における位置を変更可能に構成された位置決め部と、他方に設けられ、前記位置決め部を受ける受け部と、を有し、前記スライド自在状態において、
前記位置決め部と前記受け部とが当接することにより、前記スイングパネルが前記固定パネルに対し、水平方向の固定位置に位置決めされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記の構成を有する本発明に係るエレベータのかご室によれば、上記上下位置調整機構を設けたことにより、上記スイングパネルの上記固定パネルに対する上下方向の位置を調整することができるため、固定パネルとスイングパネルを単に蝶番で連結している関係上、組み立て誤差等を考慮し、上部隙間と下部隙間を大きめにせざるを得ない上記従来の袖壁と比較して、上部隙間と下部隙間を可能な限り小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(a)、(b)は、実施形態1に係るかご室の内部、および同変形例に係るかご室の内部を、それぞれ正面壁(図には現れていない)から出入口の方向に見た図である。
【
図2】上記かご室が有する袖壁の概略構成を示す斜視図であり、固定パネルに対しスイングパネルを開いた状態を示した図である。
【
図3】(a)は、上記袖壁の構成要素である第2連結ユニットおよびその近傍を拡大した斜視図である。(b)は、(a)を仮想平面Aで切断し、矢印Bの向きに視た断面図である。(c)は、(b)をC・C線に沿って切断した断面図である。
【
図4】上記第2連結ユニットの構成部材である蝶番を含む各種部材の分解斜視図であり、(b)は、(a)と異なる向きから見た同分解斜視図である。
【
図5】上記袖壁の構成要素である第1連結ユニットおよびその近傍を拡大した斜視図である。
【
図6】(a)は、実施形態2における袖壁の構成要素である第1連結ユニットおよびその近傍の斜視図であり、(b)は、(a)において矢印Cの向きに視た同第1連結ユニットの一部を示す図である。
【
図7】(a)は、実施形態2における袖壁の構成要素である第2連結ユニットおよびその近傍の斜視図であり、(b)は、(a)において矢印Eの向きに視た同第1連結ユニットの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る、エレベータのかご室の実施形態について図面を参照しながら説明する。
<実施形態1>
図1(a)は、実施形態1に係るかご室10の内部を正面壁(図には現れていない)から出入口DWの方向に見た図である。
【0016】
かご室10は、出入口DWの上方に幕板12を有しており、幕板12の下方(出入口DW)には、かご戸14、16が水平方向に開閉自在に設けられている。出入口DWの側方の各々には、袖壁18、20が設けられている。本例では、一方の袖壁18にかご操作盤22、スピーカ24、標識類26等が設けられている。なお、他方の袖壁20にかご操作盤22等を設ける構成としても、袖壁18、20の両方に操作盤22等を設ける構成としても構わない。
【0017】
袖壁18、20の側方には、側壁28、30が、床32面に対しそれぞれ立設されている。また、床32と対向して天井34が設けられている。
【0018】
図2は、袖壁18の概略構成を示す斜視図であり、後述する固定パネル36に対しスイングパネル38を開いた状態を示している。袖壁18は、固定パネル36とスイングパネル38を有する。スイングパネル38に、上記したかご操作盤22、スピーカ24、標識類26等が取り付けられているのであるが、
図2において、これらの図示は省略する。固定パネル36は床32面(
図1)に対して立設されている。
【0019】
スイングパネル38と固定パネル36とは、上下2箇所で、第1連結ユニット40および第2連結ユニット42で連結されている。第1連結ユニット40、第2連結ユニット42は、スイングパネル38と固定パネル36の双方に固定され、固定パネル36がスイングパネル38を支持すると共に、スイングパネル38を固定パネル36に対し水平面内で揺動自在に連結するユニットである。第1連結ユニット40と第2連結ユニット42の各々は、構成部材として蝶番44、蝶番50をそれぞれ含む。
【0020】
固定パネル36は、例えば、金属板のプレス加工品である。固定パネル36は、全体的に縦長の箱形をしており、略長方形をした底部の少なくとも長辺が垂直に折り返されてなる側部を有している。第1連結ユニット40、第2連結ユニット42の各々は、一方の長辺が折り返されてなる側部36aに取り付けられている。他方の長辺が折り返されてなる側部36bには、スイングパネル38を閉じた際に、スイングパネル38が徒に開かないようにするためのロック機構が設けられているのであるが、当該ロック機構は、本願発明の主眼ではないため、その説明については省略する。
【0021】
なお、上記の例では、第1連結ユニット40、第2連結ユニット42の各々を側部36aに取り付けたが、これに限らず、例えば、以下のようにしても構わない。C型チャンネル材(不図示)を側部36aと平行に設ける。この場合、当該C型チャンネル材の底部を前記略長方形をした前記底部に、当該C型チャンネル材の一方の側壁部を前記側部36aに、それぞれ、接合する。このように、固定パネルを前記プレス加工品と前記C型チャンネル材とを含む構成とし、第1連結ユニット40、第2連結ユニット42の各々は、前記C型チャンネル材の他方の側壁部に取り付けることとするのである。
【0022】
スイングパネル38は、縦長の長方形をした金属板からなる。第1連結ユニット40、第2連結ユニット42の各々は、前記金属板の一方の長辺部38aに取り付けられている。他方の長辺部分は略「コ」字状に曲げられて側部38bが形成されている。袖壁18は、スイングパネル38が、箱型をした固定パネル36の開口部を閉塞すると共に、側部38bで側部36bを覆うように閉じられた状態で使用される。
【0023】
図3(a)は、第2連結ユニット42およびその近傍を拡大した斜視図である。
図4(a)は、蝶番50を含む各種部材の分解斜視図であり、
図3(a)と同じ方向から視た図である。
図4(b)は、
図3(a)と異なる向きから見た同分解斜視図である。
【0024】
第2連結ユニット42は、スイングパネル38の長辺部38aに溶接(不図示)等により接合された、短冊状をした蝶番取付プレート56を有する。蝶番取付プレート56には、厚み方向に貫通する雌ネジ穴(不図示)が4個、長手方向に並んで形成されている。蝶番50の羽根52は、前記雌ネジ穴に対応する通し穴52hに挿入され、当該雌ネジ穴の各々に螺合した4本の六角穴付きボルト58によって、蝶番取付プレート56に接合され、スイングパネル38に取り付けられている。
【0025】
第2連結ユニット42は、また、固定パネル36の側部36aに2本の十字穴付きボルト60で固定された、細長いベースプレート62を有する。ベースプレート62は、厚み方向に貫通する2個の長孔62h、62hを有する。長孔62h、62hは、上下方向に長く形成されている。
【0026】
長孔62h、62hに対応する側部36a部分には、2個のボルト挿通孔(不図示)が開設されている。ベースプレート62が配された側とは反対側の側部36a表面(不図示)には、前記ボルト挿通孔の各々と連通するナット(不図示)が溶接(不図示)等により固定されている。ベースプレート62は、長孔62h、62h、前記2個のボルト挿通孔に挿入され、前記ナットに螺合した2本の十字穴付きボルト60により、固定パネル36(の側部36a)に固定されている。
【0027】
ベースプレート62は、下端部がL字状に屈曲されてなるボルト当接部62aを有する。ボルト当接部62aの役割については後述する。符号64で指し示すのは、ボルト当接部62aを補強するためのリブである。
【0028】
ベースプレート62には、直交する二つの短冊片部66a、66bからなるアングル部材66の一方の短冊片部66aが不図示の溶接等により、
図3、
図4(a)、
図4(b)に示すように接合されている。
【0029】
他方の短冊片部66bは、上下方向両端部の各々に、厚み方向に貫通する通し穴66h1を有する。短冊片部66bの片面には、通し穴66h1の各々と連通するナット68が、それぞれ溶接等(不図示)により固定されている。短冊片部66bは、また、上下通し穴66h1の間に開設された、水平方向に長い4個の長孔66h2を有する。
【0030】
短冊片部66bのもう一方の片面には、長方形をした蝶番取付プレート78が重ねられた状態で、2本の十字穴付きボルト80で固定されている。蝶番取付プレート78は、上下方向両端部の各々に、厚み方向に貫通し、水平方向に長い長孔である2個の通し穴78h1を有する。蝶番取付プレート78には、また、両通し穴78h1の間に、雌ネジ穴78h2が4個、長手方向に並んで形成されている。蝶番取付プレート78は、対応する通し穴78h1、通し穴66h1に挿入され、ナット68の各々に螺合した2本の十字穴付きボルト80によって、アングル部材66の短冊片部66bに接合されている。
【0031】
蝶番50のもう一方の羽根54は、羽根54に形成された4個の通し穴54hの各々に挿入され、対応する各雌ネジ穴78h2に螺合した4本の六角穴付きボルト82によって、蝶番取付プレート78に固定されている。なお、六角穴付きボルト82各々の先端部は、対応する長孔66h2に進入するため、前記固定の妨げになることはない。
【0032】
以上説明したように、固定パネル36とスイングパネル38の下端部同士は、上記の構成を有する第2連結ユニット42によって連結されている。固定パネル36とスイングパネル38の上端部同士を連結する第1連結ユニット40およびその近傍を拡大した斜視図を
図5に示す。
図5は、
図3(a)と同じ角度から第1連結ユニット40等を視た斜視図である。第1連結ユニット40は、ベースプレート62の構成が一部異なる以外、第2連結ユニット42と基本的に同じ構成をしている。よって、
図5に示す第1連結ユニット40の構成部材には二百番代の符号を付し、その二百番代の下2桁および連続するアルファベットに第2連結ユニット42の対応する構成部材の符号を用いて、その詳細な説明については省略し、以下簡単な説明に止めることとする。
【0033】
第1連結ユニット40は、蝶番250を有する。スイングパネル38の長辺部38aには、蝶番取付プレート256が接合されている。蝶番250の一方の羽根252は、4本の六角穴付きボルト258によって蝶番取付プレート256に固定されている。
【0034】
固定パネル36の側部36aには、2本の十字穴付きボルト260によって、ベースプレート262が固定されている。ベースプレート262は、ボルト当接部62a(
図3、
図4)を有していない他は、ベースプレート62と同じ構成である。
【0035】
ベースプレート262には、アングル部材266を構成する一方の短冊片部266aが接合されている。他方の短冊片部266bには、2本の十字穴付きボルト280によって、蝶番取付プレート278が固定されている。
【0036】
蝶番取付プレート278には、蝶番250のもう一方の羽根254が、4本の六角穴付きボルト282によって固定されている
【0037】
以上説明したように、スイングパネル38と固定パネル36は、双方に固定された第1連結ユニット40、第2連結ユニット42によって、スイングパネル38が固定パネル36に対し水平面内で揺動自在に連結されている。
【0038】
上記のように構成された袖壁18は、さらに、スイングパネル38の固定パネル36に対する上下方向の位置を調整することができる上下位置調整機構84を有する。
【0039】
上下位置調整機構84を、
図3、
図5を参照しながら説明する。
図3(b)は、
図3(a)を仮想平面Aで切断し、矢印Bの向きに視た断面図である。
図3(c)は、
図3(b)をC・C線に沿って切断した断面図である。
【0040】
固定パネル36は、下端部に設けられた溝形鋼86を有する。溝形鋼86の一方のフランジ部86aには、厚み方向に貫通孔(不図示)が開設されており、当該貫通孔と連通するナット88がフランジ部86の内面に溶接等により固定されている。ナット88は、言うまでもなく、雌ネジを有する雌ネジ部材であり、本例では、前記雌ネジは垂直方向に軸心を有している。
【0041】
ナット88には、雄ネジ部材であるボルト90が螺合している。ボルト90の頭部90aとフランジ部86aの間の、ボルト90のネジ部には、緩み止めナット92が螺合している。ボルト90の一端部(本例では、頭部90a)が、ボルト当接部62aに当接している。
【0042】
続いて、上下位置調整機構84を用いた、スイングパネル38の固定パネル36に対する上下方向の位置調整の手順について説明する。
(i)第1連結ユニット40の2本の十字穴付きボルト260、および第2連結ユニット42の2本の十字穴付きボルト60を緩める。これにより、第1連結ユニット40および第2連結ユニット42による固定パネル36とスイングパネル38の連結が弛緩された弛緩状態となり、スイングパネル38が固定パネル36に対し上下方向に変位可能となる。
前記弛緩状態では、スイングパネル38、およびスイングパネル38に取り付けられたかご操作盤22(
図1)等の自重が、ボルト90の頭部90aに荷重として加わっている。
【0043】
(ii)緩み止めナット92を緩める。ボルト90を回転させて、ボルト90をナット88に対しその軸心方向に進退させる(上下方向に移動させる)ことにより、固定パネル36に対しスイングパネル38を相対的に上下方向に移動させる。すなわち、ボルト90を頭部90aから見て時計方向回すとボルト90は下方に螺進し、これに伴ってスイングパネル38は下方へ変位することになり、一方、ボルト90を反時計方向に回すと、ボルト90は上方に螺進するので、スイングパネル38も上方へ変位することになるのである。
【0044】
上記のようにボルト90を回し、ボルト90をナット88の雌ネジの軸心方向に進退させ、スイングパネル38を上下方向に変位(移動)させて、本例の場合、スイングパネル38の下端と床32の隙間G1(
図1(a))、スイングパネル38の上端と天井34の隙間G2(
図1(a))の大きさの調整をする。
【0045】
この場合、例えば、ボルト90のピッチが1mmの場合、ボルト90の1回転当たり1mmの隙間調整、すなわち細かな隙間調整が可能となる。その結果、スイングパネル38の上部隙間G2と下部隙間G1を、上記従来のエレベータのかご室の袖壁よりも可能な限り小さくすることができる。また、上部隙間G2と下部隙間G1の大きさを均等に調整することも容易になる。ボルト90による調整が終了すると、緩み止めナット92を締め付ける。
【0046】
(iii)上記のようにして、スイングパネル38の固定パネル36に対する上下方向の位置の調整が完了すると、第1連結ユニット40の2本の十字穴付きボルト260、および第2連結ユニット42の2本の十字穴付きボルト60を締め付けて、一連の作業を終了する。
【0047】
なお、上記の例では、上下位置調整機構84を構成する雌ネジ部材として、溝形鋼86のフランジ部86aに固定したナット88を用いたが、これに限らず、例えば、フランジ部86aにその厚み方向に貫通する雌ネジを形成し、当該雌ネジが形成されたフランジ部を雌ネジ部材としても構わない。
【0048】
以上、説明したように、実施形態1に係るかご室10の袖壁18によれば、第1連結ユニット40および第2連結ユニット42による固定パネル36とスイングパネル38の連結が弛緩された弛緩状態で、ボルト90を回し、ボルト90をナット88の雌ネジの軸心方向に進退させ、スイングパネル38を上下方向に変位(移動)させることにより、スイングパネル38の下部隙間(スイングパネル38の下端と床32の隙間G1(
図1(a)))、スイングパネル38の上部隙間(スイングパネル38の上端と天井34の隙間G2(
図1(a)))の大きさの調整をすることができる。
【0049】
このように、実施形態1における袖壁18では、スイングパネル38の上部隙間と下部隙間を調整することができるため、固定パネルとスイングパネルを単に蝶番で連結している関係上、組み立て誤差等を考慮し、上部隙間と下部隙間を大きめにせざるを得ない上記従来の袖壁と比較して、上部隙間と下部隙間を可能な限り小さくすることができる。
その結果、意匠性に優れた袖壁18を有するかご室10が実現できる。
【0050】
(変形例1)
上記実施形態では、固定パネル36とスイングパネル38の第1連結ユニット40、第2連結ユニット42による連結が弛緩された弛緩状態を、十字穴付きボルト260、十字穴付きボルト60を緩めることにより実現したが、これに限らず、以下の構成としても構わない。
【0051】
蝶番取付プレート78に開設した二つの通し穴78h1の各々を水平方向に長いものから垂直方向に長い新たな長い通し穴に変更する(蝶番取付プレート278も同様にする)。また、2個の通し穴66h1、4個の長孔66h2も垂直方向に長いものに変更する。
【0052】
さらに、ナット268、ナット68のアングル部材266、アングル部材66への溶接等による固定をせずに、これに螺合する十字穴付きボルト280、十字穴付きボルト80と共に、前記新たな通し穴の上下方向に変位可能とする。
【0053】
また、蝶番取付プレート78の下端部を下方へ延長し、ボルト90の上方へ向かって直角(L字状)に屈曲させる。ベースプレート62のボルト当接部62aは廃止し、蝶番取付プレート78の上記L字状に屈曲した部分を新たなボルト当接部とする。当該新たなボルト当接部にボルト90の頭部90aを当接させる。
【0054】
上記のような新たな構成において、2本の十字穴付きボルト280、2本の十字穴付きボルト80を緩めることにより、固定パネル36とスイングパネル38の第1連結ユニットおよび第2連結ユニットによる連結が弛緩された状態(弛緩状態)となる。
【0055】
弛緩状態となった以降におけるスイングパネル38の固定パネル36に対する上下方向の位置調整の手順は、上記した実施形態と同様である。
【0056】
(変形例2)
上記実施形態では、
図1(a)に示すように、スイングパネル38の直上に天井34が位置し、スイングパネル38の直下に床32が位置している構成のかご室10に適用した例に基いて本発明を説明したが、これに限らず、本発明は、
図1(b)に示すように、スイングパネル95の直上に幕板(トランサムプレート)96が、スイングパネル95の直下に幅木(キックプレート)97が位置する構成の袖壁98を有するかご室94にも適用することができる。
【0057】
この場合、スイングパネル95の固定パネル(不図示)に対する上下方向の位置を調整することにより、スイングパネル95と幅木97との間の隙間G3、スイングパネル95と幕板96との間の隙間G4が調整されることとなる。
【0058】
すなわち、上記実施形態1の袖壁18で、スイングパネル38の上部隙間G2と下部隙間G1の調整ができたのと同様、変形例2に係る袖壁98では、スイングパネル95の上部隙間G4と下部隙間G3の調整ができるのである。
【0059】
スイングパネル95を含む袖壁98の構成は、基本的には、上記実施形態の袖壁18と同様なので、その説明については省略する。
【0060】
<実施形態2>
実施形態1、およびその変形例の袖壁は、固定パネルに対しスイングパネルの上下方向の位置調整ができる構成としたが、実施形態2に係る袖壁は、さらに、スイングパネルの固定パネルに対する水平方向(間口方向)の位置決めができる構成としている。また、実施形態1では、上下位置調整機構84(
図3)を構成する雌ネジ部材(ナット88)を固定パネル36側に設けたが、実施形態2では、後述するように、当該雌ネジ部材を連結ユニット側に設ける構成としている。
【0061】
実施形態2に係るかご室の袖壁について、
図6および
図7を参照しながら説明する。
図6は、実施形態2における第1連結ユニット300および近傍を示す斜視図であり、
図5と同様の角度から視た図である。
図7は、実施形態2における第2連結ユニット400およびその近傍を示す斜視図であり、
図3と同様の角度から視た図である。
【0062】
図6、
図7において、実施形態1のかご室10の構成要素と実質的に同じ構成要素には、同じ符号を付して、その説明については、省略するか簡単に言及するに止める。
【0063】
先ず、
図6に示す第1連結ユニット300について説明する。第1連結ユニット300は、第1アングル部材302を有する。第1アングル部材302は、短冊片部302aと短冊片部302aよりも短い短冊片部302bを含む。
【0064】
第1アングル部材302は、短冊片部302aが2本のボルト304によって固定パネル36の側部36aに固定されて、固定パネル36に取り付けられている。短冊片部302aは、ベースプレート62(
図3)と同様の不図示の長孔(
図4の長孔62hを参照)を有している。2本のボルト304の各々は、対応する前記不図示の長孔に挿入され、側部36aの裏側に溶接等で固定されたナット(不図示)と螺合している。
【0065】
もう一方の短冊片部302bには、蝶番250の一方の羽根254と第2アングル部材306とが4本の六角穴付きボルト282によって取り付けられている。第2アングル部材306は、短冊片部306aと上下両端部の一部が切除された短冊片部306bを含む。
【0066】
六角穴付きボルト282の各々は、羽根254に開設された不図示の通し穴(
図4の通し穴54hを参照)、短冊片部302bに開設された水平方向に長い長孔(不図示)、および短冊片部306bに開設された不図示の通し穴に挿入され、当該通し穴と連通し短冊片部306bに溶接等により固定されたナット(不図示)に螺合している。
【0067】
短冊片部306aの上下両端部には、ナット308(下端部のナットは現れていない)が溶接等により固定されている。短冊片部306aには、ナット308の各々と連通する通し穴(不図示)が開設されている。
【0068】
ナット308各々には、位置決めボルト310が螺合しており、位置決めボルト310各々の頭部とナット308との間のネジ部には、緩み止めナット312(下側の緩み止めナットは現れていない)が螺合している。
【0069】
位置決めボルト310の頭部とは反対側の端部部分は短冊片部306aから突出しており(突出部分は図に現れていない)、その先端が第1アングル部材302の短冊片部302aに当接している。短冊片部306aと短冊片部302aは水平方向に間隔が空いている。この間隔を以下、「水平間隔D」と言う。
【0070】
蝶番250の他方の羽根252は、実施形態1と同様、スイングパネル38の長辺部38aに接合された蝶番プレート256に、4本の六角穴付きボルト258によって固定されている。
【0071】
続いて、実施形態2における上下位置調整機構314について説明する。第1アングル部材302は、短冊片部302aの下端部が、
図6に示すように、直角に屈曲されてなる屈曲部302cを有する。屈曲部302cの下面にはナット316が溶接等によって固定されている。屈曲部302cには、その厚み方向に貫通しナット316(の雌ネジ)と連通する貫通孔(不図示)が開設されている。当該貫通孔に上方から挿入されたボルト318がナット316に螺合している。また、ボルト318頭部と屈曲部302cとの間のボルト318のネジ部には、緩み止めナット320が螺合している。
【0072】
固定パネル36は、屈曲部302cの下方の側部36aに固定された当接部材322を有する。当接部材322は、長方形の金属板がL字状に屈曲されてなるものであり、
図6に示すように、短冊片部322aと短冊片部322bを有する。当接部材322は短冊片部322bが溶接(不図示)等により側部36aに固定されており、短冊片部322aが屈曲部302cと対向している。
【0073】
以上、
図6を参照して、第1連結ユニット300等の構成について説明してきたが、
図7に示す第2連結ユニット400等は、第1連結ユニット300等および実施形態1の第2連結ユニット42等(
図3)と、下記の点を除き、共通の構成を有している。そこで、
図7において、第2連結ユニット42等と共通する構成要素については、同じ符号を付して、その説明については省略するか適宜言及するに止める。また、
図7において、第1連結ユニット300と共通する構成要素については、四百番代の符号とし、その下2桁に第1連結ユニット300等において対応する構成要素の下2桁を用い、その説明については省略するか適宜言及するに止める。
【0074】
第2連結ユニット400が第1連結ユニット300と異なる点は、第1連結ユニット300の上下位置調整機構314において、ボルト318の先端が当接部材322の短冊片部322aに当接する構成としているのに対し、第2連結ユニット400において、ボルト418の先端が溝形鋼86のフランジ部86aに当接する構成とされている点である。
この点以外は、第2連結ユニット400等は、第1連結ユニット300等および実施形態1の第2連結ユニット42等(
図3)と同様の構成となっている。
【0075】
上記構成の第1連結ユニット300と第2連結ユニット400を有する実施形態2に係るかご室の袖壁における固定パネル36に対するスイングパネル38の上下方向の位置調整について簡単に説明する。
【0076】
(i)第1連結ユニット300の2本のボルト304、および第2連結ユニット400の2本のボルト404を緩める。これにより、第1連結ユニット300および第2連結ユニット400による固定パネル36とスイングパネル38の連結が弛緩された弛緩状態となる。実施形態2では、前記弛緩状態において、スイングパネル38、およびスイングパネル38に取り付けられたかご操作盤22(
図1)等の自重が、当接部材322の短冊片部322aと溝形鋼86のフランジ部86aの二箇所に分散し、荷重として加わることなる。
【0077】
(ii)緩み止めナット320および緩み止めナット420を緩める。ボルト318およびボルト418を回転させて、ボルト318およびボルト418をナット316、ナット416に対し、各々の軸心方向にそれぞれ進退させる(上下方向に移動させる)ことにより、固定パネル36に対しスイングパネル38を相対的に上下方向に移動させる。すなわち、ボルト318、418を各々の頭部から見て時計方向に回転させるとボルト318、418は、ナット316、416に対しそれぞれ下方に螺進し、これに伴ってスイングパネル38は上方へ変位することになり、一方、ボルト318、414を反時計方向に回すと、ボルト318、414はナット316、416に対しそれぞれ、上方に螺進するので、スイングパネル38は下方へ変位することになるのである。
【0078】
上記のようにボルト318、418を回し、ボルト318、418をナット316、416の雌ネジの軸心方向に進退させ、スイングパネル38を上下方向に変位(移動)させて、スイングパネル38の下端と床32の隙間G1(
図1(a))、スイングパネル38の上端と天井34の隙間G2(
図1(a))の大きさの調整をする。ボルト318およびボルト418による調整が終了すると、緩み止めナット320および緩み止めナット420を締め付ける。
【0079】
(iii)スイングパネル38の固定パネル36に対する上下方向の位置の調整が完了すると、第1連結ユニット300の2本のボルト304、および第2連結ユニット400の2本のボルト404を締め付けて、一連の作業を終了する。
【0080】
なお、上記の例では、上下位置調整機構314、414を構成する雌ネジ部材として、屈曲部302c、402cの各々に固定したナット316、416を用いたが、これに限らず、例えば、屈曲部302c、402cにその厚み方向に貫通する雌ネジをそれぞれ形成し、当該雌ネジが形成された屈曲部302c、402cを雌ネジ部材としても構わない。
【0081】
続いて、スイングパネル38の固定パネル36に対する水平方向(間口方向)の位置決めの手順について説明する。
(a)第1連結ユニット300の4本の六角穴付きボルト282、および第2連結ユニット400の4本の六角穴付きボルト82を緩める。これにより、固定パネル36に固定された第1アングル部材302、402に対し、スイングパネル38に(蝶番取付プレート256、56、六角穴付きボルト258、58、蝶番250、50、六角穴付きボルト282、82および六角穴付きボルト282、82に螺合した不図示のナットを介して)固定された第2アングル部材306、406の各々が、それぞれ、水平方向(短冊片部302b、402bに開設された水平方向に長い不図示の前記長孔の長手方向)にスライド自在となるスライド自在状態となる。
【0082】
すなわち、第1連結ユニット300、第2連結ユニット400は、六角穴付きボルト282、82が締め付けられた状態では、第1アングル部材302、402と第2アングル部材306、406同士がそれぞれ固定される固定状態となる。一方、六角穴付きボルト282、82が緩められると、第1アングル部材302、402に対し、第2アングル部材306、406の各々がそれぞれ水平方向にスライド自在となるスライド自在状態となる。つまり、第1連結ユニット300、第2連結ユニット400は、前記固定状態と前記スライド自在状態とに切り換え可能にした構成とされている。
【0083】
(b)上記スライド自在状態において、第1連結ユニット300の緩み止めナット312、第2連結ユニット400の緩み止めナット412を緩める。この状態で、位置決めボルト310、位置決めボルト410の各々をその頭部から見て時計回りに回すと、各々のネジ部が短冊片部306a、短冊片部406aからさらに突出して、位置決めボルト310(のネジ部先端)、位置決めボルト410(のネジ部先端)が短冊片部302a、短冊片部402aをそれぞれ押圧し、その反動(反作用)で、第2アングル部材306、第2アングル部材406、ひいては蝶番250、蝶番50、スイングパネル38が、水平方向に移動し、水平間隔Dが伸長する。
【0084】
一方、位置決めボルト310、位置決めボルト410の各々をその頭部から見て反時計回りに回すと、各々のネジ部先端が短冊片部302a、短冊片部402aから離間する。この離間した状態で、第1アングル部材306、第2アングル部材406をそれぞれ第1アングル部材302の短冊片部302a、第2アングル部材402の短冊片部402aに向かって、位置決めボルト310の先端、位置決めボルト410先端の各々が短冊片部302a、短冊片部402aに当接するまで押し込むと、水平間隔Dが縮小される。
【0085】
以上の説明から理解されるように、スイングパネル38の固定パネル36に対する水平方向の位置決めをすることができる水平位置決め機構は、スイングパネル38に上述したように固定された第2アングル部材306、406に設けられ、回転させることにより水平方向における位置を変更可能に構成された位置決め部である位置決めボルト310、位置決めボルト410と、固定パネル36に固定された第1アングル部材302、402において、位置決めボルト310(の先端)、位置決めボルト410(の先端)を受ける受け部である短冊片部302a、短冊片部402aと、を有し、位置決めボルト310(の先端)、位置決めボルト410(の先端)の各々が、短冊片部302a、短冊片部402aにそれぞれ当接することにより、スイングパネル38が固定パネル36に対し、水平方向の固定位置に位置決めされる構成となっている。
【0086】
(c)上記のようにして、スイングパネル38の固定パネル36に対する位置決めがなされ、水平間隔Dの調整が完了すると、緩み止めナット308、緩み止めナット408、および六角穴付きボルト282、六角穴付きボルト82を締めて、一連の位置決め作業を終了する。
【0087】
以上説明したように、実施形態1に対し実施形態2に係るかご室によれば、上下位置調整機構314、414に加え、上記水平位置決め機構を有しているため、袖壁の仕様状態における、固定パネル36の側部36bとスイングパネル38の側部38bとの間の隙間の調整を容易にすることができる。
【0088】
すなわち、従来、固定パネルに対するスイングパネルの水平方向(間口方向)の位置調整は、実施形態1のように、十字穴付きボルト80と、これが挿入された水平方向に長い長穴からなる通し穴78h1(
図4)との水平方向の間隙の範囲で適当にスイングパネルを移動させることによりなされているため、当該調整に手間がかかっていた。これに対し、実施形態2では、位置決めボルト310、410(の先端)の各々と第1アングル部材302、402がそれぞれ当接する位置が固定パネル36に対するスイングパネル38の水平方向の位置になるので、位置決めボルト310、410を回転させてその水平方向の位置を変更することで位置調整ができるからである。
【0089】
なお、上記の例の水平位置決め機構においては、位置決め部である位置決めボルト310、410の各々を第2アングル部材306、406にそれぞれ設け、位置決めボルト310、410の各々と当接する当接部をそれぞれ第1アングル部材302、402の短冊片部302a、402aとしたが、これとは反対にしても構わない。
【0090】
すなわち、第1アングル部材302、402の短冊片部302a、402aの各々にその厚み方向に貫通する雌ネジを形成し、当該雌ネジに位置決めボルトを螺合させる。また、当該位置決めボルトの頭部または先端部が当接する(前記頭部または前記先端部を受ける)受け部として、第2アングル部材306、406の短冊片部306a、406aを用いるのである。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明に係るエレベーのかご室は、例えば、固定パネルに対してスイングパネルを開閉自在に設けた袖壁を有するかご室に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0092】
10,94 かご室
18 袖壁
22 かご操作盤
36 固定パネル
38,95 スイングパネル
40 第1連結ユニット
42 第2連結ユニット
84 上下位置調整機構