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  • 特開-ケース材の耐火試験方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111227
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ケース材の耐火試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/50 20060101AFI20230803BHJP
   G01N 25/18 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
G01N25/50 C
G01N25/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012980
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091384
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 俊光
(74)【代理人】
【識別番号】100125760
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】村松 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】木山 公志
【テーマコード(参考)】
2G040
【Fターム(参考)】
2G040AA09
2G040AB08
2G040BA14
2G040BA25
2G040CA02
2G040DA03
2G040DA13
2G040EA03
2G040EB02
2G040EC07
2G040FA06
2G040FA10
2G040GB01
2G040GB08
2G040HA10
(57)【要約】
【課題】ケース材の耐火性能を、簡易的に評価可能な試験手法を提供する。
【解決手段】ケース材の耐火性評価に用いられる試験方法であり、ケース材を、ガスバーナーで、前記ケース材と前記ガスバーナーの間に金属メッシュを配置した状態で、加熱することを特徴とする、電気電子機器、移動体、飛行体、スポーツ用品、ロボット、風車、またはこれらの部品に用いられるケース材の耐火性評価に好適に用いることができるケース材の耐火試験方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース材の耐火性評価に用いられる試験方法であり、ケース材を、ガスバーナーで、前記ケース材と前記ガスバーナーの間に金属メッシュを配置した状態で、加熱することを特徴とする、ケース材の耐火試験方法。
【請求項2】
前記金属メッシュの、前記ガスバーナーの炎放射方向における投影面積Amp(cm2)と、前記ガスバーナーの熱量P(W)が、下記(I)式を満たす、請求項1に記載の試験方法。
(I) 1≦P/Amp≦12 [W/cm2
【請求項3】
前記金属メッシュの投影面積Amp(cm2)と、前記ケース材の前記ガスバーナーの炎放射方向における投影面積Asp(cm2)が、下記(II)式を満たす、請求項1または2に記載の試験方法。
(II)1≦Amp/Asp≦13
【請求項4】
前記ガスバーナーのノズル先端から前記ケース材までの距離D(cm)と、前記ガスバーナーの熱量P(W)が、下記(III)式を満たす、請求項1~3のいずれかに記載の試験方法。
(III) 50≦P/D≦200 [W/cm]
【請求項5】
前記ケース材のガスバーナー側の面と、前記金属メッシュの反ガスバーナー側の面が接せられる、請求項1~4のいずれかに記載の試験方法。
【請求項6】
前記金属メッシュの厚みt(mm)、前記金属メッシュを構成する金属フィラメントの線径d(mm)、および1平方インチ当たりのメッシュ数Mが、下記(IV) (V) (VI)を満たす、請求項1~5のいずれかに記載の試験方法。
(IV) 0.05≦t≦5 [mm]
(V) 0.05≦d≦2 [mm]
(VI) 2≦M≦100
【請求項7】
前記ケース材が、少なくともポリフェニレンサルファイドを含む、請求項1~6のいずれかに記載の試験方法。
【請求項8】
電気電子機器、移動体、飛行体、スポーツ用品、ロボット、風車、またはこれらの部品に用いられるケース材の耐火性評価に用いられる、請求項1~7のいずれかに記載の試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験方法、特にケース材の耐火試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2030年から2040年にかけて、一部の先進国において純ガソリン車の販売を禁止する動きがあり、カーメーカー各社はこの対応に迫られている。特に、電気自動車(EV)は、純ガソリン車代替の最有力候補であり、純ガソリン車並みの利便性を担保したまま、環境負荷を低減ですべく、駆動用バッテリー、モーター、インバーターをはじめ、主要部品の技術開発が加速している。
【0003】
中でも、駆動用バッテリーを収納するバッテリーケースは重要保安部品の一つであり、その安全性試験として、2013年にEVに係る国連協定規則(UN-ECE R100.02)に、部品全体が800℃程度のガソリン炎に数分間暴露される、バッテリーシステムの耐火試験が定められている。本試験は風の影響のない室内で行うことが好ましいが、現実には大量のガソリンを燃焼可能な排気設備を有する評価機関は限られており、1回の試験費用が非常に高額という課題があった。
【0004】
簡易的な燃焼試験としては、例えば、材料をガスバーナー炎で直接加熱し、着火から自己消火まで時間を測定するUL94試験(IEC60695-11-10 A法、B法)が挙げられるが、炎暴露部分のみ1000℃以上に局所加熱しており、広範囲を800℃で加熱する、バッテリーケースの耐火試験を再現できていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】IEC60695-11-10 A法、B法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記のようなバッテリーケースの耐火試験を簡易的に模擬した、広範囲に展開可能な、ケース材の耐火性を評価するための試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、以下の構成を有する。
(1)ケース材の耐火性評価に用いられる試験方法であり、ケース材を、ガスバーナーで、前記ケース材と前記ガスバーナーの間に金属メッシュを配置した状態で、加熱することを特徴とする、ケース材の耐火試験方法。
(2)前記金属メッシュの、前記ガスバーナーの炎放射方向における投影面積Amp(cm2)と、前記ガスバーナーの熱量P(W)が、下記(I)式を満たす、(1)に記載の試験方法。
(I) 1≦P/Amp≦12 [W/cm2
(3)前記金属メッシュの投影面積Amp(cm2)と、前記ケース材の前記ガスバーナーの炎放射方向における投影面積Asp(cm2)が、下記(II)式を満たす、(1)または(2)に記載の試験方法。
(II)1≦Amp/Asp≦13
(4)前記ガスバーナーのノズル先端から前記ケース材までの距離D(cm)と、前記ガスバーナーの熱量P(W)が、下記(III)式を満たす、(1)~(3)のいずれかに記載の試験方法。
(III) 50≦P/D≦200 [W/cm]
(5)前記ケース材のガスバーナー側の面と、前記金属メッシュの反ガスバーナー側の面が接せられる、(1)~(4)のいずれかに記載の試験方法。
(6)前記金属メッシュの厚みt(mm)、前記金属メッシュを構成する金属フィラメントの線径d(mm)、および1平方インチ当たりのメッシュ数Mが、下記(IV) (V) (VI)を満たす、(1)~(5)のいずれかに記載の試験方法。
(IV) 0.05≦t≦5 [mm]
(V) 0.05≦d≦2 [mm]
(VI) 2≦M≦100
(7)前記ケース材が、少なくともポリフェニレンサルファイドを含む、(1)~(6)のいずれかに記載の試験方法。
(8)電気電子機器、移動体、飛行体、スポーツ用品、ロボット、風車、またはこれらの部品に用いられるケース材の耐火性評価に用いられる、(1)~(7)のいずれかに記載の試験方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、国連協定規則で定められたバッテリーケースの耐火試験等を簡易化し、実験室の汎用設備で、ケース材の耐火性を評価可能な試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の試験方法の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の試験方法で用いられる金属メッシュの反ガスバーナー面の一例を示す平面図である。
図3】本発明の試験方法の一例を示す(a)側面図および(b)正面図である。
図4】本発明の試験方法で用いられる金属メッシュと柄付き矩形枠の一例を示す(a)平面図および(b)側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の試験方法について、実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明の試験方法は、ケース材の耐火性評価に用いられる試験方法であり、ケース材を、ガスバーナーで、前記ケース材と前記ガスバーナーの間に金属メッシュを配置した状態で、加熱することを特徴とするものである。
【0011】
このような試験方法は、実験室の汎用設備で実施可能で、簡易性に優れるものであり、国連協定規則で定められたバッテリーケースをはじめ、電気電子機器、移動体、飛行体、スポーツ用品、ロボット、風車、およびこれらの部品に用いられるケース材の耐火性評価に好適に用いられるものである。
【0012】
本発明の試験方法について、その一例を示した図1を用いて、詳細に説明する。
図1に示す試験方法1は、ケース材(試験片)2を、金属メッシュ3上に水平設置した状態で、下面側からガスバーナー4で、加熱するものである。また、金属メッシュ3は、スタンド6の垂直軸7にねじ式クランプ8で固定された、柄付き矩形枠5上に水平設置される。またケース材3の加熱温度を確認するために、図2に示すように、金属メッシュ3の反ガスバーナー側の面の、中心位置9および中間位置10の、加熱開始からの温度を、あらかじめ固定した熱電対で測定する方法が、例示できる。
【0013】
本発明者らの知見によれば、ケース材とガスバーナーの間に金属メッシュを配置することで、最大で1500℃ほどに達するガスバーナー炎の温度を、EVに係る国連協定規則(UN-ECE R100.02)で定める耐火試験の暴露温度である、800℃程度まで調整することができる。さらに、金属メッシュの面内方向への熱伝導により、ケース材の広範囲を均一に加熱することができる。
【0014】
次に、本発明に係る試験方法の構成要素について、ケース材、ガスバーナー、金属メッシュの順に説明する。
【0015】
本発明の試験方法で評価するケース材としては、特に制限は無く、金属、樹脂、FRP(繊維強化樹脂)、セラミック、木材、ガラス、またこれらを組み合わせた複合材料など、種々の材料を使用することができる。ケース材に樹脂を用いる場合には、樹脂の融点が250℃以上400℃以下であることが好ましい。融点を250℃以上とすることで、本試験の評価対象となる、耐火性を求められる部品の候補材となり得るため、好ましい。また、400℃以下とすることで、市中に流通する汎用樹脂を用いることができるため、好ましい。好ましく用いられる樹脂として、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を含む樹脂が挙げられる。
【0016】
本発明におけるケース材の形状としては、特に制限はなく、平板、箱型、円柱、波板、波板の上下面を平板で挟んだ段ボール形、ハット形、ガスバーナー側/反ガスバーナー側にリブを有する形状など、種々の形態を用いることができる。
【0017】
本発明におけるガスバーナーとしては、特に制限はなく、例えば、ガス供給方式としてガスホース接続式、カセット缶式など、炎の噴射方向としては、垂直方向、水平方向など、炎の形態としては、集中炎、スクリュー炎、棒状炎など種々のガスバーナーが使用できる。
【0018】
本発明におけるガスバーナーの燃焼ガスとしては、特に制限はなく、メタン、エタン、プロパン、ブタンなど、種々の燃焼ガスを使用することができる。
【0019】
本発明におけるガスバーナーの炎としては、酸素供給が十分である、青色炎であるほうが好ましい。青色炎とすることで、燃焼が安定し、ケース材を一定熱量で加熱することができる。
【0020】
本発明におけるガスバーナーの出力としては、特に制限はないが、好ましい範囲として、100W以上3000W以下が挙げられる。100W以上とすることで、面積の広いケース材を800℃程度で加熱できるため好ましい。また、3000W以下とすることで、ケース材の広範囲を均等に加熱できるため好ましい。また、より好ましい範囲として、100W以上1000W以下が挙げられ、さらに好ましい出力としては300W以上700W以下である。
【0021】
本発明における金属メッシュの形態としては、特に制限はなく、平織メッシュ、綾織メッシュ、畳織メッシュ、綾畳織メッシュ、またはパンチングメタルなど、種々の形態をとることができる。
【0022】
本発明における金属メッシュの材質としては、特に制限はなく、種々の金属を用いることができる。
【0023】
本発明における金属メッシュの厚みとしては、特に制限はないが、好ましい範囲としては、0.05mm以上5mm以下が、挙げられる。
【0024】
本発明における金属メッシュの素線の線径としては、特に制限はないが、好ましい範囲としては、0.05mm以上2mm以下が、挙げられる。
【0025】
本発明における金属メッシュの、長さ1インチ当たりの、素線で囲まれた空間(メッシュ)の数としては、2以上100以下であることが好ましい。2以上とすることで、面内の熱伝導を高めることができるため好ましい。100以下とすることで、炎から発生する対流の一部がケース材に伝わり、目的の温度までケース材を加熱できるため好ましい。
【0026】
次に本発明の試験方法について、さらに詳細に説明する。
本発明の試験方法において、金属メッシュの、ガスバーナーの炎放射方向における投影面積Amp(cm2)と、ガスバーナーの熱量P(W)が、下記(I)式を満たすことが好ましい。
(I) 1≦P/Amp≦12 [W/cm2
【0027】
PとAmpの比、P/Ampを1以上とすることで、ケース材の中心温度を800℃程度まで加熱できるため好ましい。また、P/Ampを12以下とすることで、金属メッシュの面内方向の熱伝導を利用して、ケース材を均一に加熱できるため好ましい。
【0028】
ここで、投影面について、図3を用いて説明する。図3は、図1とは異なる形態ではあるが、本発明の一例に係る試験方法11の、(a)側面図および(b)正面図である。ガスバーナー12の炎放射方向13に、金属メッシュ14およびケース材15が配置されている。この金属メッシュ14を、ガスバーナーの炎放射方向13に投影した投影面が、金属メッシュの投影面16であり、ケース材15をガスバーナーの炎放射方向13に投影した投影面が、ケース材の投影面17である。
【0029】
本発明の試験方法において、金属メッシュの投影面積Amp(cm2)、およびケース材の、前記ガスバーナーの炎放射方向における投影面積Asp(cm2)が、下記(II)式を満たすことが、好ましい。
(II)1≦Amp/Asp≦13 [-]
【0030】
AmpとAspの比、Amp/Aspを1以上とすることで、ケース材の投影面を、全て金属メッシュの投影面内に納め、ケース材を均一に加熱することができるため好ましい。また、Amp/Aspを13以下とすることで、ケース材の投影面を超える金属メッシュの投影面部分に伝わる熱を抑え、ケース材を800℃程度に加熱できるため好ましい。
【0031】
本発明の試験方法において、ガスバーナーのノズル先端からケース材までの距離D(cm)と、ガスバーナーの熱量P(W)が、下記(III)式を満たすことが、好ましい。
(III) 50≦P/D≦200 [W/cm]
【0032】
PとDの比、P/Dを50以上とすることで、ケース材を800℃程度に加熱できるため好ましい。一方、P/Dを200以下とすることで、ケース材を均一に加熱することができるため好ましい。
【0033】
本発明の試験方法において、ケース材のガスバーナー側の面と、金属メッシュの反ガスバーナー側の面が接することが、好ましい。ケース材のガスバーナー側の面と、金属メッシュの反ガスバーナー側の面が接することで、金属メッシュからケース材へ、直接熱が伝わるため好ましい。より好ましい、金属メッシュとケース材の接触状態として、水平設置した金属メッシュ上に、ケース材を平置きすることで、ケース材の全面に熱が伝わることに加えて、ケース材を把持する治具が不要で、簡便に試験することができる。
【0034】
本発明の試験方法において、金属メッシュを設置する方法としては、特に制限はないが、例えば、図1に示すように、スタンドの垂直軸に固定した、柄付き矩形枠上に設置する方法が挙げられる。例えば、具体的な設置方法として、図4に示すように、金属メッシュ3と柄付き固定枠5が、一定幅wで全周に渡り、重なる状態が挙げられる。また、柄付き矩形枠と金属メッシュの間に、断熱材料を挟むことで、柄付き矩形枠からの放熱が抑えられる。
【実施例0035】
<材料>
各実施例および各比較例で用いた材料は下記の通りである。
[ガラス繊維強化PPS樹脂ペレット(A)]
・A-1:東レ(株)製、“トレリナ(登録商標)”A503-X05
【0036】
(参考例1)
ガラス繊維強化PPS樹脂ペレット(A-1)を150℃で10時間、真空乾燥し、日本製鋼所(株)製J350EIII型射出成形機を用いて、シリンダー温度:320℃、金型温度:150℃で、幅8cm、長さ8cm、厚み3mmの耐火性評価用試験片(成形品)を成形した。次に、得られた耐火性評価用試験片(成形品)を下記の耐火性評価方法に従い評価した。
【0037】
(参考例2)
寸法が、幅4cm、長さ4cm、厚み3mmであること以外、参考例1と同様にして、耐火性評価用試験片(成形品)を得て、耐火性評価方法に従い評価した。
【0038】
<評価方法>
(耐火性試験)
図1に示す試験方法で、ケース材の耐火試験を行った。ケース材は、水平設置された矩形の金属メッシュ上に配置し、金属メッシュはスタンドに固定された柄付き矩形枠上に設置した。金属メッシュと柄付き矩形枠は、全周で幅2mm重なるよう、金属メッシュの大きさに合わせた柄付き矩形枠を準備した。なお、金属メッシュと、柄付き矩形枠の間には、矩形枠状断熱材を挟み、柄付き矩形枠を熱が伝って、放熱されることを防止した。また、ガスバーナー炎が、ケース材の中心にあたる様、ガスバーナーの設置位置を調整した。またケース材の加熱温度を確認するために、図2に示す、金属メッシュの反ガスバーナー側の面の、中心位置および中間位置の、加熱開始から130秒後の温度を、あらかじめ固定した熱電対で測定し、以下の基準で判定し、◎、〇、△を合格とした。
◎:750℃以上850℃未満
〇:650℃以上750℃未満、または850℃以上950℃未満
△:550℃以上650℃未満、または950℃以上1050℃未満
×:550℃未満、または1050℃以上
【0039】
また、図2に示す、金属メッシュの反ガスバーナー側の面の、中心位置および中間位置の、加熱開始から130秒後の温度から、2点間の温度差を算出し、以下の基準で判定し、◎、〇、△を合格とした。
◎:0℃以上100℃未満
〇:100℃以上200℃未満
△:200℃以上300℃未満
×:300℃以上
【0040】
(実施例1)
参考例1で作製した試験片を用いて、耐火試験を実施した。使用した金属メッシュは、幅Wm:14cm、長さLm:14cm、厚みtm:0.5mm、メッシュ数20であった。また、ガスバーナーの熱量を500W、ガスバーナーノズルから試験片までの距離を4cmとした。結果を表1に記す。
【0041】
(実施例2)
ガスバーナーの熱量を1000W、ガスバーナーノズルから試験片までの距離を8cmとした以外、実施例1と同様にして、耐火試験を実施した。結果を表1に記す。
【0042】
(実施例3)
ガスバーナーの熱量を100W、ガスバーナーノズルから試験片までの距離を0.8cmとした以外、実施例1と同様にして、耐火試験を実施した。結果を表1に記す。
【0043】
(実施例4)
ガスバーナーの熱量を3000W、ガスバーナーノズルから試験片までの距離を24cmとした以外、実施例1と同様にして、耐火試験を実施した。結果を表1に記す。
【0044】
(実施例5)
参考例2で作製した試験片を用いたこと以外、実施例2と同様にして、耐火試験を実施した。結果を表1に記す。
【0045】
(実施例6)
使用した金属メッシュを、幅Wm30cm、長さLm30cm、厚みtm2mm、メッシュ数20としたこと以外、実施例2と同様にして、耐火試験を実施した。結果を表1に記す。
【0046】
(実施例7)
ガスバーナーノズルから試験片までの距離を25cmとした以外、実施例2と同様にして、耐火試験を実施した。結果を表1に記す。
【0047】
(比較例1)
参考例1で準備した試験片を、この試験片と全周で幅2mm重なる大きさの、柄付き矩形枠の上に設置し、金属メッシュ無しで、耐火試験を実施した。試験結果を表1に記す。
【0048】
(比較例2)
ガスバーナーの熱量を100W、ガスバーナーノズルから試験片までの距離を0.8cmとした以外、比較例1と同様にして、耐火試験を実施した。結果を表1に記す。
【0049】
【表1】
【0050】
以上のように、実施例1~7においては、中心位置および中間位置で、合格範囲の温度に、試験片を加熱できることを確認した。ガスバーナーと試験片の間に、金属メッシュを介在させることで、試験片の加熱温度を抑えることに加え、面内に熱を拡散させたことにより、成し得たものである。
【0051】
一方、比較例1、2は、中心位置で1200℃まで上昇するが、中間位置は200℃以下と温度差が大きく、均一加熱に劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の試験方法は、簡易的に、耐火性を評価可能で、耐火性の求められる種々の部品のケース向け材料の評価に好適に用いることができ、電気電子機器、移動体、飛行体、スポーツ用品、ロボット、風車、またはこれらの部品に用いられるケース材の耐火性評価に、とくにバッテリーケースのケース材の耐火性評価に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 耐火試験方法
2 ケース材
3 金属メッシュ
4 ガスバーナー
5 柄付き矩形枠
6 スタンド
7 垂直軸
8 ねじ式クランプ
9 中央位置
10 中間位置
11 耐火試験方法
12 ガスバーナー
13 ガスバーナーの炎放射方向
14 金属メッシュ
15 ケース材
16 金属メッシュの投影面
17 ケース材の投影面
図1
図2
図3
図4