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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111229
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】被牽引車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/025 20060101AFI20230803BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
B60P3/025 Z
B62D25/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012985
(22)【出願日】2022-01-31
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】501079750
【氏名又は名称】株式会社ダイナミックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青木 邦充
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BB04
3D203DA65
(57)【要約】
【課題】乗員が対面サービスを提供する車外の人に対して目線の高さを合わせやすい被牽引車両を提供する。
【解決手段】被牽引車両1は、床部10を備える。そして、この床部10には、その床部10上の乗員31が降りることのできる穴部30が設けられる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床部と、
前記床部上の乗員が前記床部から降りることのできる該床部に設けられた穴部と、
を備えた被牽引車両。
【請求項2】
請求項1に記載の被牽引車両において、
前記穴部を覆う蓋部材を備えること、を特徴とする被牽引車両。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の被牽引車両において、
前記穴部は、該穴部に降りた前記乗員が乗ることのできる底部を有すること、
を特徴とする被牽引車両。
【請求項4】
請求項3に記載の被牽引車両において、
前記穴部は、前記床部に設けられた貫通孔に対して前記底部を有した箱部材を着脱可能に構成されてなること、を特徴とする被牽引車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被牽引車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に示すように、自動車等に牽引された状態で走行する被牽引車両がある。そして、このような被牽引車両には、その乗員が、車外の人に対して、例えば、物品販売等の対面サービスを提供することができるように構成されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-150909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、乗員が乗り込む床部の高さは、地面よりも高い。このため、その乗員が対面サービスを提供する車外の人に対して目線の高さを合わせ難いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する被牽引車両は、床部と、前記床部上の乗員が前記床部から降りることのできる該床部に設けられた穴部と、を備える。
上記構成によれば、乗員が床部に設けられた穴部内に降りることで、その目線の高さが低くなる。そして、これにより、この乗員が、その対面サービスを提供する車外の人に対して目線の高さを合わせやすくなる。つまりは、しゃがんだり、腰をかがめる等、窮屈な姿勢をとらなくとも、車外の人と目線の高さを合わせることができる。その結果、効率的に、その車外の人に対して対面サービスを提供することができる。更に、車外の人と目線の高さが合うことで、その対面サービスを提供する乗員のイメージが向上する。その結果、より良質の対面サービスを提供することができるようになる。
【0006】
上記課題を解決する被牽引車両は、前記穴部を覆う蓋部材を備える。
即ち、蓋部材を用いて穴部を覆うことにより、有効に利用することのできる床部の面積を拡張することができる。そして、被牽引車両が走行する際においても、高い安全性を確保することができる。
【0007】
上記課題を解決する被牽引車両において、前記穴部は、該穴部に降りた前記乗員が乗ることのできる底部を有することが好ましい。
上記構成によれば、被牽引車両が位置する地面の状態に依らず、その乗員が穴部内に降りることができる。
【0008】
上記課題を解決する被牽引車両において、前記穴部は、前記床部に設けられた貫通孔に対して前記底部を有した箱部材を着脱可能に構成されてなることが好ましい。
上記構成によれば、その箱部材が形成する穴部内の空間を車外空間から隔離することができる。そして、これにより、良好な衛生状態を確保することができる。加えて、被牽引車両が走行する際には、その箱部材を取り外すことにより、床部の下方に突出した穴部の箱形状が走行の邪魔にならないようにすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、乗員が対面サービスを提供する車外の人に対して目線の高さを合わせやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】被牽引車両の側面図。
図2】被牽引車両における車室内の外観図。
図3】床部に設けられた穴部を示す車室内の外観図。
図4】床部の下方に突出する穴部の箱形状を車外から見た場合の外観図。
図5】対面サービスを提供する車室内の乗員と車外の人との位置関係を示す図。
図6】床部に設けられた貫通孔を示す車室内の外観図。
図7】貫通孔に取着される箱部材の斜視図。
図8】穴部を覆う蓋部材を示す車室内の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、被牽引車両の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の被牽引車両1は、左右一対の車輪2,2に支持された略四角箱状の車体3と、この車体3の前部3fに設けられた連結装置4と、を備えている。即ち、この被牽引車両1は、その連結装置4を介して自動車5等に連結される。そして、被牽引車両1は、これにより、牽引された状態で走行することのできる構成となっている。
【0012】
詳述すると、図1及び図2に示すように、本実施形態の被牽引車両1は、左右の車輪2,2を連結する図示しない車軸よりも高い位置に配置された床部10を有している。また、この被牽引車両1は、その床部10の四辺に立設された壁部11を有している。更に、この被牽引車両1は、これらの各壁部11及び床部10の上方を覆う天井部12を備えている。そして、本実施形態の被牽引車両1は、これにより、その略四角箱状をなす車体3の内側に、乗員が搭乗することのできる車室15が形成される構成となっている。
【0013】
尚、本実施形態の被牽引車両1においては、その連結装置4に補助輪17が設けられている。そして、本実施形態の被牽引車両1は、これにより、自動車5との連結状態に依らず、その乗員を乗せる床部10が略水平に維持される構成となっている。
【0014】
また、本実施形態の被牽引車両1は、左右の側壁部21,21に設けられた窓部22,22を有している。本実施形態の被牽引車両1において、これらの窓部22,22は、それぞれ、同じく各側壁部21,21に設けられたホイールハウス23,23の上方となる位置に設けられている。そして、本実施形態の被牽引車両1は、これらの窓部22,22を介して、その車室15内の乗員が、車外の人に対して、例えば、物品販売等の対面サービスを提供することのできる構成となっている。
【0015】
さらに詳述すると、本実施形態の被牽引車両1は、これらの各窓部22,22に設けられた跳ね上げ扉24,24を有している。即ち、本実施形態の被牽引車両1においては、これらの跳ね上げ扉24,24を上方に持ち上げることにより、その各窓部22,22が開放される。そして、本実施形態の被牽引車両1は、その持ち上げられた跳ね上げ扉24,24を、それぞれ、これら各窓部22,22の「ひさし」として利用することのできる構成となっている。
【0016】
また、本実施形態の被牽引車両1は、その開放された各窓部22,22から車外に張り出す態様でカウンターテーブル25,25を設置することができる。更に、本実施形態の被牽引車両1は、各壁部11の車室15側に、これらの窓部22,22に対応する高さの作業台26を設置することが可能となっている。そして、本実施形態の被牽引車両1は、これらの各作業台26及びカウンターテーブル25を利用することにより、車室15内の乗員が、円滑に、その車外の人に対する対面サービスを提供することができる構成となっている。
【0017】
即ち、本実施形態の被牽引車両1は、例えば、対面販売により食事を提供する所謂キッチンカーとして利用することができる。また、本実施形態の被牽引車両1においては、説明の便宜上、その図示を省略した後方の壁部11が、そのまま、上記のような「跳ね上げ扉」となっている。そして、本実施形態の被牽引車両1は、これにより、その後方に開放される後部ハッチ27を対面サービスの提供に利用することができる構成となっている。
【0018】
また、図3図5に示すように、本実施形態の被牽引車両1は、その床部10に設けられた穴部30を備えている。本実施形態の被牽引車両1において、この穴部30は、床部10の高さ位置、つまりは、車体3の下面3bから、その床部10の下方に突出する略四角箱状の外形を有している。更に、本実施形態の被牽引車両1においては、車室15内に搭乗した床部10上の乗員31が、この穴部30内に降りることができる。そして、本実施形態の被牽引車両1は、これにより、車室15内の乗員31が、その対面サービスを行う車外の人32に対して目線Lの高さを合わせやすい構成となっている。
【0019】
即ち、本実施形態の穴部30は、その床部10の下方に突出する略四角箱状に基づいて、この穴部30に降りた乗員31が乗ることのできる底部35を有している。具体的には、車室15内の乗員31は、その床部10よりも高さの低い穴部30の底部35上に立つことができる。そして、本実施形態の被牽引車両1は、これにより、その対面サービスを行う乗員31が、例えば、しゃがんだり、腰をかがめる等、窮屈な姿勢をとらなくとも、車外の人32と目線Lの高さを合わせることができる。つまりは、車室15内の乗員31が、立ち姿勢のまま、その頭31xの高さを、車外に位置する人32の頭32xに近い高さに配置することのできる構成となっている。
【0020】
さらに詳述すると、図5図7に示すように、本実施形態の被牽引車両1は、その床部10に設けられた貫通孔40を備えている。具体的には、本実施形態の被牽引車両1は、左右の車輪2,2を連結する車軸(図示略)を避けるように、その床部10に設けられた前後一対の貫通孔40,40を備えている。更に、本実施形態の被牽引車両1においては、これらの各貫通孔40,40に対し、それぞれ、有底略四角箱状の外形を有した箱部材50が取着される。そして、本実施形態の被牽引車両1は、これにより、この被牽引車両1が位置する地面41の状態に依らず、その車室15内の乗員31が床部10から降りることのできる底部35を有した穴部30が形成される構成となっている。
【0021】
また、本実施形態の被牽引車両1において、これらの各箱部材50は、それぞれ、その床部10に設けられた各貫通孔40に対して着脱可能に構成されている。具体的には、本実施形態の箱部材50は、底部35を有した箱形状部51と、この箱形状部51の開口端51xに設けられた四角枠状のフランジ部52と、を備えている。更に、この箱部材50は、被牽引車両1の床部10に設けられた貫通孔40に対し、車室15側から、その箱形状部51が挿入される。そして、本実施形態の箱部材50は、これにより、その車室15側に配置されたフランジ部52が、床部10の上方から、その四角孔状をなす貫通孔40の周縁部40xに引っ掛かるように構成されている。
【0022】
即ち、本実施形態の箱部材50は、このフランジ部52の係合力に基づいて、その底部35に乗せた乗員31の荷重、つまりは穴部30内に降りた乗員31の荷重を支えることができる。更に、本実施形態の被牽引車両1においては、その貫通孔40に取着された箱部材50を、車室15側に引き抜くかたちで取り外すことができる。そして、本実施形態の被牽引車両1は、これにより、その床部10の下方に突出する穴部30の箱形状が走行の邪魔にならない構成となっている。
【0023】
更に、図3図6、及び図8に示すように、本実施形態の被牽引車両1は、その床部10に設けられた穴部30を覆う蓋部材60を備えている。具体的には、本実施形態の被牽引車両1は、前後の貫通孔40,40に取着される一対の蓋部材60,60を備えている。また、本実施形態の被牽引車両1において、これらの各蓋部材60は、その床部10に設けられた各貫通孔40よりも大きな略四角板状の外形を有している。そして、本実施形態の各蓋部材60は、これにより、貫通孔40の周縁部40xに嵌合する状態で、床部10の上方から、これらの各貫通孔40に取着される構成となっている。
【0024】
即ち、本実施形態の被牽引車両1においては、これらの各蓋部材60が穴部30を覆うことで、有効に利用することのできる床部10の面積を拡張することができる。更に、これらの各蓋部材60は、床部10に設けられた貫通孔40に対して箱部材50が取着された状態、及び、この箱部材50が取り外された状態の何れにおいても、その穴部30に対して取着することができる。そして、本実施形態の被牽引車両1は、これにより、その穴部30が設けられた床部10を有効に利用するとともに、併せて、走行時の高い安全性を確保することのできる構成となっている。
【0025】
次に、本実施形態の作用について説明する。
即ち、車室15内の乗員31が床部10に設けられた穴部30内に降りることで、その目線Lの高さが低くなる。そして、これにより、この乗員31が、その対面サービスを提供する車外の人32に対して目線Lの高さを合わせやすくなる。
【0026】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)上記構成によれば、車室15内の乗員31が、例えば、しゃがんだり、腰をかがめる等、窮屈な姿勢をとらなくとも、車外の人32と目線Lの高さを合わせることができる。そして、これにより、効率的に、その車外の人32に対して対面サービスを提供することができる。更に、車外の人32と目線Lの高さが合うことで、その対面サービスを提供する乗員31のイメージが向上する。その結果、より良質の対面サービスを提供することができるようになる。
【0027】
また、天井部12の高さに制約がある場合であっても、床部10から穴部30内に降りることにより、その乗員31が容易に立ち姿勢をとることができる。そして、これにより、限られた車室15内の空間を有効に活用して、快適性の向上を図ることができる。
【0028】
(2)被牽引車両1は、穴部30を覆う蓋部材60を備える。
即ち、蓋部材60を用いて穴部30を覆うことにより、有効に利用することのできる床部10の面積を拡張することができる。そして、被牽引車両1が走行する際においても、高い安全性を確保することができる。
【0029】
(3)穴部30は、この穴部30に降りた乗員31が乗ることのできる底部35を有する。これにより、被牽引車両1が位置する地面41の状態に依らず、その乗員31が穴部30内に降りることができる。
【0030】
(4)穴部30は、床部10に設けられた貫通孔40に対して底部35を有した箱部材50を着脱可能に構成されてなる。
上記構成によれば、その箱部材50が形成する穴部30内の空間を車外空間から隔離することができる。そして、これにより、良好な衛生状態を確保することができる。加えて、被牽引車両1が走行する際には、その箱部材50を取り外すことにより、床部10の下方に突出した穴部30の箱形状が走行の邪魔にならないようにすることができる。
【0031】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0032】
・上記実施形態では、自動車5に牽引される被牽引車両1を例示した。しかし、これに限らず、被牽引車両1を牽引する動力源は、自転車や人、或いは、馬や牛等の動物等、どのようなものであってもよい。
【0033】
・上記実施形態では、対面販売により食事を提供する所謂キッチンカーとしての利用形態を例示した。しかし、これに限らず、例えば、チラシの配布等、被牽引車両1の乗員31が、車外の人32に提供する対面サービスの形態はどのようなものであってもよい。
【0034】
・上記実施形態では、被牽引車両1は、左右一対の車輪2,2に支持された略四角箱状の車体3を備えることとした。しかし、これに限らず、乗員31が乗り込む床部10を有するものであれば、その車体3の構成は、どのようなものであってもよい。例えば、床部10は、必ずしも平坦でなくともよく、段差や凹凸があってもよい。また、例えば、車体3の形状は、四角箱状でなくともよい。天井部12がなくともよい。必ずしも床部10の四方全てに壁部11を有していなくともよく、壁部11を有しない構成でもよい。更に、車輪2の数や配置についてもまた、任意に変更してもよい。そして、「そり」のような滑走部材の上方に床部10を支持する車輪2を有しない構成に適用してもよい。
【0035】
・上記実施形態では、被牽引車両1は、床部10に設けられた前後一対の穴部30を有することとした。しかし、これに限らず、穴部30の数や配置については任意に変更してもよい。そして、その穴形状についてもまた、必ずしも四角穴形状でなくともよく、任意に変更してもよい。
【0036】
・上記実施形態では、穴部30は、床部10に設けられた貫通孔40に対して底部35を有した箱部材50を着脱可能に構成されてなることとした。しかし、これに限らず、穴部30の箱形状が床部10の下方に突出したままの構成であってもよい。また、必ずしも穴部30が箱形状を有していなくともよい。例えば、床部10よりも低い底部35を有した穴部30であって、その底部35を囲む側壁を有しない構成であってもよい。
【0037】
・更に、床部10に設けられた貫通孔40を、そのまま穴部30として利用する構成であってもよい。即ち、床部10から穴部30内に降りた乗員31が、そのまま地面41上に立つ、或いは地面41に設置した踏み台等に乗る構成であってもよい。
【0038】
・上記実施形態では、被牽引車両1は、穴部30を覆う蓋部材60を備える。そして、この蓋部材60は、貫通孔40に対して箱部材50が取着された状態、及び、この箱部材50が取り外された状態の何れにおいても、その穴部30に対して取着することができることとした。しかし、これに限らず、箱部材50が取着された状態、又は取り外された状態の何れか一方において、その穴部30に対して蓋部材60を取着することができる構成であってもよい。そして、このような蓋部材60を有しない構成であってもよい。
【0039】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記床部と天井部とを有した車体を備えること、を特徴とする被牽引車両。
このような構成においても、その床部に穴部を設けることにより、車室高を拡張することができる。そして、これにより、乗員が窮屈な姿勢をとることなく、容易に対面サービスを行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1…被牽引車両
10…床部
30…穴部
31…乗員
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8