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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111244
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】焼入れ鋼材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20230803BHJP
   C21D 9/00 20060101ALI20230803BHJP
   C21D 1/10 20060101ALI20230803BHJP
   C22C 38/04 20060101ALN20230803BHJP
   C22C 38/58 20060101ALN20230803BHJP
【FI】
C22C38/00 301Z
C21D9/00 A
C21D1/10 J
C22C38/04
C22C38/58
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013007
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】390029089
【氏名又は名称】高周波熱錬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】塚原 真宏
(72)【発明者】
【氏名】岩村 真歩
【テーマコード(参考)】
4K042
【Fターム(参考)】
4K042AA22
4K042BA04
4K042CA05
4K042CA06
4K042CA08
4K042CA10
4K042DA01
4K042DB01
4K042DC01
4K042DC02
4K042DC03
4K042DE02
4K042DE03
4K042DE05
4K042DE07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鋼材として十分な耐久性を有し、かつ、鋼材の長寿命化を図ることができる焼入れ鋼材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る焼入れ鋼材1は、高炭素過共析鋼からなる素材部11と、マルテンサイトと炭化物との混相組織を有し、表面の硬さが700HV0.3以上であり、前記炭化物の平均粒子径が0.01μm以上0.50μm以下であり、かつ、残留オーステナイト量が5vol.%以上30vol.%以下である表層部12と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炭素過共析鋼からなる素材部と、マルテンサイトと炭化物との混相組織を有し、表面の硬さが700HV0.3以上であり、前記炭化物の平均粒子径が0.01μm以上0.50μm以下であり、かつ、残留オーステナイト量が5vol.%以上30vol.%以下である表層部と、を有する焼入れ鋼材。
【請求項2】
高炭素過共析鋼からなる被加熱品を誘導加熱により1000℃以上1300℃以下の第1温度まで昇温して予加熱した後、Ms点を超えかつA1点未満である第2温度まで急冷し、更に、前記第2温度を保持し、続いて、誘導加熱により750℃以上950℃以下の第3温度まで昇温して本加熱した後、急冷する焼入れ鋼材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼入れ鋼材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被加熱品を誘導加熱により300℃/秒以上の昇温速度にて1000℃~1200℃の温度に急速短時間で予加熱した後、徐冷し、続いて該被加熱品を誘導加熱により1000℃/秒以上の昇温速度にて900℃~1050℃で、かつ予加熱温度よりも低い温度に急速短時間で本加熱した後、急冷する高周波焼入方法が知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-241749号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】村井、津村:浸炭鋼の残留オーステナイト量に及ぼす合金元素と炭素ポテンシャルの影響、鉄と鋼、Vol.84(1998)No.6、PP446-451
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の高周波焼入方法は、材料の均一オーステナイト化を容易にして、切削性等を犠牲にすることなく良好に輪郭焼入を行うことを目的としているが、鋼材の長寿命化を図ることを目的とするものではない。
本発明は上記課題に基づいてなされたものであり、鋼材として十分な耐久性を有し、かつ、鋼材の長寿命化を図ることができる焼入れ鋼材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る焼入れ鋼材は、高炭素過共析鋼からなる素材部と、マルテンサイトと炭化物との混相組織を有し、表面の硬さが700HV0.3以上であり、前記炭化物の平均粒子径が0.01μm以上0.50μm以下であり、かつ、残留オーステナイト量が5vol.%以上30vol.%以下である表層部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る焼入れ鋼材の製造方法は、高炭素過共析鋼からなる被加熱品を誘導加熱により1000℃以上1300℃以下の第1温度まで昇温して予加熱した後、Ms点を超えかつA1点未満である第2温度まで急冷し、更に、前記第2温度を保持し、続いて、誘導加熱により750℃以上950℃以下の第3温度まで昇温して本加熱した後、急冷することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、鋼材として十分な耐久性を有し、かつ、鋼材の長寿命化を図ることができる焼入れ鋼材及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態を説明するための概念図であり、(a)は焼入れ鋼材、(b)は(a)の製造方法に係るヒートパターンを示す概念図である。
図2】実施例で使用する試験片の概念図である。
図3】実施例で得られた加熱品の断面硬さ測定結果であり、(a)は測定方向を、(b)は測定した断面の加熱品表面から深さ方向における硬さ分布図をそれぞれ示す。
図4】実施例で得られた加熱品の断面組織観察結果であり、(a)は測定位置を、(b)は加熱品の表層部の断面SEM像(倍率は5000倍)をそれぞれ示す。
図5】表2で示す残留オーステナイト量を測定する位置を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態を説明するための概念図であり、(a)は焼入れ鋼材、(b)は(a)の製造方法に係るヒートパターンを示す概念図である。なお、図1(a)に示す点線は切断線である。
【0011】
本実施形態に係る焼入れ鋼材1は、高炭素過共析鋼からなる素材部と、マルテンサイトと炭化物との混相組織を有し、表面の硬さが700HV0.3以上であり、前記炭化物の平均粒子径が0.01μm以上0.50μm以下であり、かつ、残留オーステナイト量が5vol.%以上30vol.%以下である表層部と、を有する。
【0012】
本実施形態に係る焼入れ鋼材1は、素材部11が高炭素過共析鋼からなる。高炭素過共析鋼は、Cを0.85~1.20質量%、Siを0.10~2.00質量%、Mnを0.10~2.00質量%含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる。
高炭素過共析鋼は、JIS規格高炭素クロム軸受鋼を用いることが好ましい。高炭素クロム軸受鋼は、規格鋼であるため入手が容易で、かつ軌道輪の素材として好適である。また、軌道輪の体積が大きく、高い焼入性が要求される場合、高炭素クロム軸受鋼の中でもSUJ2やSUJ3が採用されることが好ましい。
このように、本実施形態に係る焼入れ鋼材1は、素材部11が高炭素過共析鋼からなる。従って、鋼材として十分な耐久性を有している。
【0013】
また、本実施形態に係る焼入れ鋼材1は、表層部12にマルテンサイトと炭化物との混相組織を有し、表面の硬さが700HV0.3以上である。なお、ここでいう表面とは、詳しくは、最表面12aから深さ方向に0.1mmの位置のことをいう。
以上から、本実施形態に係る焼入れ鋼材1は、鋼材として十分な耐久性を有している。
前記表面の硬さは、好ましくは、800HV0.3以上である。
【0014】
また、本実施形態に係る焼入れ鋼材1は、表層部12の混相組織における炭化物の平均粒子径が0.01μm以上0.50μm以下である。
この炭化物の平均粒子径の測定は、後述する図4に示すようなSEM像中の炭化物のそれぞれについて水平方向のferet径と垂直方向のferet径を測定し、各炭化物の両feret径の平均値を合算して、測定炭化物数で除することで求められる。
焼入れ鋼材1に発生する転位が炭化物を切断して運動する最大粒子径(臨界粒子径)は、FeCの場合、約15nmであるため、上記のように、混相組織における炭化物の平均粒子径を0.01μm以上とすることで、材料強化への寄与が大きくなる可能性がある。
また、平均粒子径を0.50μm以下とすることで、応力集中源になる炭化物が微細分散されるため、当該炭化物を起点とした応力集中が軽減される。よって、焼入れ鋼材の長寿命化を図ることができる。
前記平均粒子径は、好ましくは、0.01μm以上0.20μm以下である。
【0015】
更に、本実施形態に係る焼入れ鋼材1は、表層部12に残留オーステナイト量も5vol.%以上30vol.%以下有している。従って、面疲労強度の向上も期待できる。
本実施形態に係る焼入れ鋼材1の表層部12の厚さ(鋼材1の最表面12aから素材部11と同じ硬さになるまでの深さ)は、例えば、1.5mmである。
【0016】
本発明に係る焼入れ鋼材の製造方法2は、高炭素過共析鋼からなる被加熱品を誘導加熱により1000℃以上1300℃以下の第1温度まで昇温して予加熱した後、Ms点を超えかつA1点未満である第2温度まで急冷し、更に、前記第2温度を保持し、続いて、誘導加熱により750℃以上950℃以下の第3温度まで昇温して本加熱した後、急冷する。
【0017】
本実施形態に係る焼入れ鋼材の製造方法2は、素材として高炭素過共析鋼からなる被加熱品を用いる。高炭素過共析鋼は、Cを0.85~1.20質量%、Siを0.10~2.00質量%、Mnを0.10~2.00質量%含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる。
高炭素過共析鋼は、JIS規格高炭素クロム軸受鋼を用いることが好ましい。高炭素クロム軸受鋼は、規格鋼であるため入手が容易で、かつ軌道輪の素材として好適である。また、軌道輪の体積が大きく、高い焼入性が要求される場合、高炭素クロム軸受鋼の中でもSUJ2やSUJ3が採用されることが好ましい。
【0018】
次に、高炭素過共析鋼からなる被加熱品を誘導加熱により1000℃以上1300℃以下の第1温度(T)まで昇温して予加熱する。
高炭素過共析鋼からなる被加熱品を用い、予加熱により到達する第1温度(T)を1000℃以上とすることで、高炭素過共析鋼中の炭化物の分解やフェライトの消失を促進させ、オーステナイト内にCを多量に固溶させる。また、予加熱により到達する第1温度(T)を1300℃以下とすることで、当該予加熱における被加熱品の溶解等の不具合発生を抑制する。
前記第1温度(T)は、好ましくは、1000℃以上1200℃以下である。
【0019】
予加熱では、前記第1温度(T)を保持することが好ましい。
前記第1温度(T)を保持することで、高炭素過共析鋼中の炭化物の分解やフェライトの消失が更に促進され、オーステナイト内にCが多量に固溶しやすくなる。
前記第1温度(T)を保持する場合の保持時間は、生産性を考慮して、1秒以上10秒以下であることが好ましい。
前記予加熱における第1温度(T)まで昇温する昇温速度は、特に限定されないが、生産性を考慮して、20℃/秒以上1500℃/秒以下であることが好ましい。
【0020】
次に、第1温度(T)からMs点を超えかつA1点未満である第2温度(T)まで急冷する。
第2温度(T)まで急冷することにより、高炭素過共析鋼中のオーステナイト粒界に粗大な初析炭化物が析出するのを抑制する。
ここで、Ms点はオーステナイトがマルテンサイトに変態する温度であり、オーステナイトがMs点以下の温度に冷却されるとマルテンサイトが生成される。
オーステナイトがマルテンサイトに変態するMs点は、鋼材中の炭素濃度に応じて変化する。つまり、鋼材中の炭素濃度が高いほど、Ms点が低くなる傾向にある。Ms点は、次の式(1)を用いることで求めることができる(非特許文献1参照)。
【0021】
Ms(K)=667-195C-44.9Mn-19.6Ni-21.4Cr-20.7Mo・・・式(1)
【0022】
A1点はオーステナイト変態点(727℃)である。なお、この温度(727℃)は一例である。A1点の温度は鋼材の組成等に応じて変動する場合がある。
【0023】
また、急冷により到達する第2温度(T)を、Ms点を超える温度とすることで、予加熱によりCが多量に固溶されたオーステナイトがマルテンサイトに変態されるのを抑制する。更に、急冷により到達する第2温度(T)を、A1点未満の温度とすることで、予加熱によりCが多量に固溶されたオーステナイトをフェライトと炭化物に変態させる。
前記第2温度(T)は、好ましくは、500℃以上700℃以下である。
【0024】
前記第2温度(T)まで急冷する降温速度は、10℃/秒以上100℃/秒以下であることが好ましい。このような降温速度とすることで、高炭素過共析鋼中のオーステナイト粒界に粗大な初析炭化物が析出するのを抑制しやすくなる。
【0025】
次に、更に、前記第2温度(T)を保持する。
前記第2温度(T)を保持することで、予加熱によりCが多量に固溶されたオーステナイトがマルテンサイトに変態されるのを抑制しつつ、当該オーステナイトをフェライトと炭化物に変態させる。
前記第2温度(T)を保持する保持時間は、生産性を考慮して、20秒以上300秒以下であることが好ましい。
【0026】
次に、続いて、第2温度(T)から誘導加熱により750℃以上950℃以下の第3温度(T)まで昇温して本加熱する。
昇温により到達する第3温度(T)を750℃以上とすることで、第2温度(T)の保持により変態させたフェライト及び一部炭化物をオーステナイトに変態させつつ、第2温度(T)の保持により変態させた炭化物を一部だけ溶かして微細分散させる。また、昇温により到達する第3温度(T)を950℃以下とすることで、第2温度(T)の保持により変態させた炭化物が溶けすぎるのを抑制する。
【0027】
第2温度(T)から第3温度(T)まで昇温する昇温速度は、特に限定されないが、生産性を考慮して、50℃/秒以上500℃/秒以下であることが好ましい。
また、本加熱では、前記第3温度(T)を保持してもよい。
前記第3温度(T)を保持することで、更に、第2温度(T)の保持により変態させたフェライト及び一部炭化物をオーステナイトに変態させつつ、第2温度(T)の保持により変態させた炭化物を一部だけ溶かして微細分散させやすくなる。
この第3温度(T)を保持する保持時間は、生産性を考慮して、1秒以上60秒以下であることが好ましい。
【0028】
最後に、第3温度(T)から急冷する。
このように本加熱した後、急冷することで、本加熱でフェライト及び一部炭化物から変態させたオーステナイトをマルテンサイトに変態させて硬さを得る。
この急冷する降温速度は、10℃/秒以上1000℃/秒以下とすることが好ましい。このような降温速度とすることで、本加熱でフェライト及び一部炭化物から変態させたオーステナイトをマルテンサイトに変態させやすくなる。
【0029】
以上の本実施形態に係る焼入れ鋼材の製造方法で製造された焼入れ鋼材(加熱品)は、上述した素材部11と表層部12を有している。
従って、当該焼入れ鋼材(加熱品)は、上述したように、鋼材として十分な耐久性を有し、かつ、鋼材の長寿命化を図ることができ、また、面疲労強度の向上も期待できる。
【実施例0030】
図2は、実施例で使用する試験片の概念図である。
表1に示す化学成分を有し、図2に示すような円柱形状を有するJIS規格SUJ3(直径a:26mm、長さb:40mm)を試験片(被加熱品)とした。
【0031】
【表1】
【0032】
次に、この試験片に対して、周囲を誘導加熱コイルで囲み、当該誘導加熱コイルに200kHzの高周波電流を出力して誘導磁界を発生させた誘導加熱により、高周波焼入れを行った。
試験片に対する高周波焼入れは、図1に示すヒートパターンで行った。
詳しくは、試験片に対して、大気雰囲気中、当該誘導加熱により1150℃(第1温度T)まで、昇温速度380℃/秒で昇温し、1150℃(第1温度T)を1秒間保持した後、圧縮エアーを供給して、610℃(第2温度T)まで、降温速度36℃/秒で急冷した。続いて、圧縮エアーの供給を停止して放冷にて610℃(第2温度T)を30秒間保持した。続いて、大気雰囲気中で、当該誘導加熱により850℃(第3温度T)まで、昇温速度120℃/秒で昇温し、850℃(第3温度T)に達した直後、降温速度160℃/秒で室温(25℃)まで急冷することで、加熱品(焼入れ鋼材)を得た。
【0033】
図3は、実施例で得られた加熱品の断面硬さ測定結果であり、(a)は測定方向を、(b)は測定した断面の加熱品表面から深さ方向における硬さ分布図をそれぞれ示す。
すなわち、実施例で得られた加熱品を図3(a)の点線部分で切断し、その断面の最表面から深さ方向のビッカース硬さを、JIS Z 2244に準拠して、試験力1.96Nで測定した。
図3(b)より、表面から約1.5mmまでの深さ方向(表層部)には、ビッカース硬さが800HV0.3以上の硬化層を有していることが確認できる。
【0034】
図4は、実施例で得られた加熱品の断面組織観察結果であり、(a)は測定位置を、(b)は加熱品の表層部の断面SEM像(倍率は5000倍)をそれぞれ示す。
すなわち、実施例で得られた加熱品を図4(a)の点線部分で切断し、加熱品の表層部の切断面を含む金属組織観察用サンプルを採取する。次に、切断面が観察面となるように、サンプルを樹脂に埋めて鏡面研磨する。研磨後、観察面をナイタール液でエッチングする。エッチングされた観察面の表層部における任意の点を、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope(観察倍率5000倍、走査電子線の加速電圧20kV)にて観察し、断面SEMの二次電子像を得る。
図4より、断面(表層部)には、マルテンサイト(例えば、矢印Aの領域)と微細分散させた炭化物(楕円又は棒状に白く見える部分:粒径として0.50μm以下、例えば、矢印Bの白い点)とが混相する混相組織を有していることが確認できる。
【0035】
表2は、実施例で得られた加熱品の残留オーステナイト量を測定する測定条件である。また、図5は、実施例で得られた加熱品の残留オーステナイト量を測定する位置を示す概念図である。
【0036】
【表2】
【0037】
実施例で得られた加熱品の表層部における残留オーステナイト量を測定した結果、23vol.%であった。そのため、実施例で得られた加熱品の表層部には、残留オーステナイトも存在するため、面疲労強度の向上が期待できる。
【符号の説明】
【0038】
1 焼入れ鋼材
2 ヒートパターン
11 素材部
12 表層部
a 直径
b 長さ

図1
図2
図3
図4
図5