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特開2023-111255パレット昇降機構、立体駐車装置、及びパレット昇降方法
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  • 特開-パレット昇降機構、立体駐車装置、及びパレット昇降方法 図1
  • 特開-パレット昇降機構、立体駐車装置、及びパレット昇降方法 図2
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  • 特開-パレット昇降機構、立体駐車装置、及びパレット昇降方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111255
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】パレット昇降機構、立体駐車装置、及びパレット昇降方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/06 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
E04H6/06 C
E04H6/06 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013021
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】712005920
【氏名又は名称】新明和パークテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤川 淳
(57)【要約】
【課題】パレット昇降機構の省スペース化を図る。
【解決手段】パレット昇降機構10は、昇降パレットを吊り下げている4本のワイヤロープのうち2本を巻き取り及び繰り出しするための第1ドラム12と、残り2本のワイヤロープを巻き取り及び繰り出しするための第2ドラム14と、モータ20と、駆動軸30とを含み、駆動軸30にモータ20から回転力を受けるための駆動スプロケット32が設けられ、第1ドラム12及び第2ドラム14の各々に駆動軸30から回転力を受けるためのドラムスプロケット16が設けられている。このようなドラムの分割構造により、従来よりもドラムスプロケット16のスプロケット径S1を小さくすることができ、更に駆動軸30を介した2段階減速構造により、モータ20のギアケースを小型化することができる。これらのことから、パレット昇降機構10の省スペース化を図ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を収容する複数のパレットを備えた立体駐車装置において、少なくとも昇降移動を行う昇降パレットの各々を、該昇降パレットを吊り下げている4本のワイヤロープを介して昇降させるためのパレット昇降機構であって、
前記4本のワイヤロープのうち、前記昇降パレットの、車両の幅方向に対応する側方向の一方側を吊り下げている2本のワイヤロープを、巻き取り及び繰り出しするための第1ドラムと、
前記4本のワイヤロープのうち、前記昇降パレットの、前記側方向の他方側を吊り下げている2本のワイヤロープを、巻き取り及び繰り出しするための第2ドラムと、
回転力を発生するモータと、
回転力を伝達するための駆動軸と、を含み、
該駆動軸に対して、前記モータから回転力を受けるための駆動スプロケットが設けられると共に、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの各々に対して、前記駆動軸から回転力を受けるためのドラムスプロケットが設けられることを特徴とするパレット昇降機構。
【請求項2】
前記第1ドラム及び前記第2ドラムのドラム径の大きさと、前記ドラムスプロケットのスプロケット径の大きさとが、同一ないし略同一であることを特徴とする請求項1記載のパレット昇降機構。
【請求項3】
前記第1ドラムの前記一方側を軸支する第1支持部材と、
前記第1ドラムの前記他方側及び前記駆動軸の前記一方側を軸支する第2支持部材と、
前記第2ドラムの前記一方側及び前記駆動軸の前記他方側を軸支する第3支持部材と、
前記第2ドラムの前記他方側を軸支する第4支持部材と、を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のパレット昇降機構。
【請求項4】
前記第1ドラム及び前記第2ドラムは、すべり軸受を介して、前記第1支持部材、前記第2支持部材、前記第3支持部材、及び前記第4支持部材の各々に軸支されていることを特徴とする請求項3記載のパレット昇降機構。
【請求項5】
前記第2支持部材及び前記第3支持部材は、前記側方向視で前記第1ドラム及び前記第2ドラムの上方において前記駆動軸を軸支し、
前記モータは、前記第2支持部材と前記第3支持部材との間において、前記駆動軸の下方に設置されることを特徴とする請求項3又は4記載のパレット昇降機構。
【請求項6】
前記第2支持部材及び前記第3支持部材は、前記側方向に延びる梁に固定された状態で、前記側方向視で前記梁の上方において前記第1ドラム及び前記第2ドラムを軸支すると共に前記梁の下方において前記駆動軸を軸支し、
前記モータは、前記第2支持部材と前記第3支持部材との間において、前記梁の上方に設置されることを特徴とする請求項3又は4記載のパレット昇降機構。
【請求項7】
車両を収容する複数のパレットを含み、該複数のパレットのうち、少なくとも昇降移動を行う前記昇降パレット毎に、請求項1から6のいずれか1項記載のパレット昇降機構を備えたことを特徴とする立体駐車装置。
【請求項8】
車両を収容する複数のパレットを備えた立体駐車装置において、少なくとも昇降移動を行う昇降パレットの各々を、該昇降パレットを吊り下げている4本のワイヤロープを介して昇降させるためのパレット昇降方法であって、
第1ドラム、第2ドラム、モータ、及び駆動軸を設置し、
前記第1ドラムにより、前記4本のワイヤロープのうち、前記昇降パレットの、車両の幅方向に対応する側方向の一方側を吊り下げている2本のワイヤロープの、巻き取り及び繰り出しを行い、
前記第2ドラムにより、前記4本のワイヤロープのうち、前記昇降パレットの、前記側方向の他方側を吊り下げている2本のワイヤロープの、巻き取り及び繰り出しを行い、
前記駆動軸に設けた駆動スプロケットによって、前記モータにより発生させた回転力を受けると共に、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの各々に設けたドラムスプロケットによって、前記駆動軸から回転力を受けることを特徴とするパレット昇降方法。
【請求項9】
前記第1ドラム及び前記第2ドラムのドラム径の大きさと、前記ドラムスプロケットのスプロケット径の大きさとを、同一ないし略同一にすることを特徴とする請求項8記載のパレット昇降方法。
【請求項10】
前記第1ドラムの前記一方側を第1支持部材により軸支させ、
前記第1ドラムの前記他方側及び前記駆動軸の前記一方側を第2支持部材により軸支させ、
前記第2ドラムの前記一方側及び前記駆動軸の前記他方側を第3支持部材により軸支させ、
前記第2ドラムの前記他方側を第4支持部材により軸支させることを特徴とする請求項8又は9記載のパレット昇降方法。
【請求項11】
前記第1ドラム及び前記第2ドラムを、すべり軸受を介して、前記第1支持部材、前記第2支持部材、前記第3支持部材、及び前記第4支持部材の各々に軸支させることを特徴とする請求項10記載のパレット昇降方法。
【請求項12】
前記第2支持部材及び前記第3支持部材により、前記側方向視で前記第1ドラム及び前記第2ドラムの上方において前記駆動軸を軸支させ、
前記モータを、前記第2支持部材と前記第3支持部材との間において、前記駆動軸の下方に設置することを特徴とする請求項10又は11記載のパレット昇降方法。
【請求項13】
前記側方向に延びる梁に固定した状態の前記第2支持部材及び前記第3支持部材により、前記側方向視で前記梁の上方において前記第1ドラム及び前記第2ドラムを軸支させると共に前記梁の下方において前記駆動軸を軸支させ、
前記モータを、前記第2支持部材と前記第3支持部材との間において、前記梁の上方に設置することを特徴とする請求項10又は11記載のパレット昇降方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット昇降機構、これを備えた立体駐車装置、並びにパレット昇降方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
立体駐車装置において昇降移動を行う昇降パレットは、例えば、図6に示すようなパレット昇降機構100によって昇降される。すなわち、このパレット昇降機構100は、昇降パレットを吊り下げている4本のワイヤロープを巻き取り及び繰り出しすることで、昇降パレットを昇降させるものであって、立体駐車装置の梁130上に設置されたドラム軸110及びモータ120を備えている。ドラム軸110は、2つのドラム112、114、それらを同軸で接続する接続軸116、及びスプロケット118を含み、スプロケット118にチェーン122が掛け回されている。
【0003】
そして、モータ120で発生した回転力がチェーン122及びスプロケット118を介してドラム軸110へ伝達されることで、2つのドラム112、114によって4本のワイヤロープが巻き取り及び繰り出しされるようになっている。特許文献1には、このようなパレット昇降機構により利用されるドラム構造などが開示されている。なお、図6に示されている符号D5は、ドラム114のドラム径を示し、符号S5は、スプロケット118のスプロケット径を示している。また、符号C5は、パレット昇降機構100の側方向中心(梁130の側方向中心と同等)からドラム114のワイヤロープ巻き取り部分の側方向中心までの距離を示し、符号L5は、奥行き方向(図6(b)における左右方向)の所要長さを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6512678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、昇降パレットを吊り下げているワイヤロープを利用する図6のようなワイヤ式のパレット昇降機構100は、昇降パレットを吊り下げているチェーンを利用するチェーン式のパレット昇降機構と比較して、所要スペースが大きくなってしまうという課題がある。特に、奥行き方向については、必要なトルクを確保するためにドラム径D5の如何に関わらず大きな減速比が得られるような大きさのスプロケット径S5を有するスプロケット118を用いることに起因して、所要長さL5も大きくなっている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パレット昇降機構の省スペース化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)車両を収容する複数のパレットを備えた立体駐車装置において、少なくとも昇降移動を行う昇降パレットの各々を、該昇降パレットを吊り下げている4本のワイヤロープを介して昇降させるためのパレット昇降機構であって、前記4本のワイヤロープのうち、前記昇降パレットの、車両の幅方向に対応する側方向の一方側を吊り下げている2本のワイヤロープを、巻き取り及び繰り出しするための第1ドラムと、前記4本のワイヤロープのうち、前記昇降パレットの、前記側方向の他方側を吊り下げている2本のワイヤロープを、巻き取り及び繰り出しするための第2ドラムと、回転力を発生するモータと、回転力を伝達するための駆動軸と、を含み、該駆動軸に対して、前記モータから回転力を受けるための駆動スプロケットが設けられると共に、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの各々に対して、前記駆動軸から回転力を受けるためのドラムスプロケットが設けられるパレット昇降機構。
【0008】
本項に記載のパレット昇降機構は、4本のワイヤロープを介して昇降パレットを昇降させるものであり、第1ドラム、第2ドラム、モータ、及び駆動軸を含んでいる。第1ドラムは、4本のワイヤロープ中の2本のワイヤロープを巻き取り及び繰り出しするものであり、この2本のワイヤロープは、昇降パレットの、車両の幅方向に対応する側方向の一方側を吊り下げている。これに対し、第2ドラムは、4本のワイヤロープ中の残りの2本のワイヤロープを巻き取り及び繰り出しするものであり、この2本のワイヤロープは、昇降パレットの側方向の他方側を吊り下げている。モータは、そのような第1ドラム及び第2ドラムを回転させるための回転力を発生するものである。
【0009】
また、駆動軸は、モータで発生した回転力を、第1ドラム及び第2ドラムへと伝達するものであって、モータから回転力を受けるための駆動スプロケットが設けられている。更に、第1ドラム及び第2ドラムの各々には、駆動軸から回転力を受けるためのドラムスプロケットが設けられている。このため、モータで発生した回転力は、駆動軸に設けられた駆動スプロケットを介して駆動軸へと伝達され、更に、第1ドラム及び第2ドラムに設けられたドラムスプロケットを介して、駆動軸から第1ドラム及び第2ドラムへと伝達される。すなわち、モータから第1ドラムへと、モータから第2ドラムへとに、駆動軸を介して個別に回転力が伝達されるものである。
【0010】
これにより、2つのドラムが接続されたドラム軸へモータから回転力が伝達される従来構造と比較して、第1ドラム及び第2ドラムの各々を回転させるためのトルクが半減するため、第1ドラム及び第2ドラムに設けられるドラムスプロケットのスプロケット径が小さくなるものである。加えて、駆動軸を介した2段階減速構造が採用されることで、モータの所要減速比が小さくなり、モータのギアケースが小型化されるものである。これらのことから、パレット昇降機構全体としての省スペース化が図られるものとなり、これにより得られたスペースが様々な用途に使用されるものとなる。また、モータのギアケースの小型化により、モータとして、例えばチェーン式のパレット昇降機構などと同じブレーキ付きギアードモータが使用されてもよく、これにより部材が共用化されるものとなる。
【0011】
更に、第1ドラム及び第2ドラムが個別に軸支されることになるため、2つのドラムが接続されたドラム軸の両端が軸支される従来構造と比較して、軸心揺れの要求精度が緩和されるものとなる。また、従来は2つのドラムを接続していた接続軸が不要になるため、そのような接続を行うための溶接も不要になり、ドラム単体としての製造コストや部材コストが低減されるものとなる。しかも、従来は2つのドラムを接続していた接続軸がなくなることで、ドラムの構造が単純になるため、例えば、昇降パレットの側方向の大きさが変わる場合であっても、第1ドラム及び第2ドラム自体の設計変更が行われることなく、それらの設置位置の調整によって柔軟に対応するものとなる。
【0012】
(2)上記(1)項において、前記第1ドラム及び前記第2ドラムのドラム径の大きさと、前記ドラムスプロケットのスプロケット径の大きさとが、同一ないし略同一であるパレット昇降機構。
本項に記載のパレット昇降機構は、第1ドラム及び第2ドラムのドラム径の大きさと、それらに設けられるドラムスプロケットのスプロケット径の大きさとが、同一ないし略同一になっているものである。このため、上記(1)項に記載したように、ドラムスプロケットのスプロケット径が従来よりも小さくされる場合は、第1ドラム及び第2ドラムのドラム径の大きさとドラムスプロケットのスプロケット径の大きさとが、例えば、従来のドラムのドラム径と同じ程度の大きさに設定される。そして、これによって確保されたスペースが、任意の用途に使用されるものである。
【0013】
ここで、上述のようにして得られたスペースは、少なくともその一部が、第1ドラム及び第2ドラムのドラム径の拡大に利用されてもよい。すなわち、第1ドラム及び第2ドラムのドラム径が従来のドラムよりも大きくされ、それらに設けられるドラムスプロケットのスプロケット径がドラム径の大きさに合わされる。これによって、第1ドラム及び第2ドラムの側方向の大きさや配置スペースが変えられることなく、従来よりもワイヤロープの巻き取り量が増大するため、第1ドラム及び第2ドラムの昇降ストロークが増大されるものである。従って、従来よりも高い位置にある昇降パレットの昇降に対応するものとなり、立体駐車装置の高層化のニーズに応えるものとなる。なお、第1ドラム及び第2ドラムのドラム径が大きくなると、それに応じて必要なトルクも大きくなるが、駆動軸を介した2段階減速構造が採用されているため、必要トルクの発生に何ら問題はない。
【0014】
(3)上記(1)(2)項において、前記第1ドラムの前記一方側を軸支する第1支持部材と、前記第1ドラムの前記他方側及び前記駆動軸の前記一方側を軸支する第2支持部材と、前記第2ドラムの前記一方側及び前記駆動軸の前記他方側を軸支する第3支持部材と、前記第2ドラムの前記他方側を軸支する第4支持部材と、を含むパレット昇降機構。
本項に記載のパレット昇降機構は、第1支持部材、第2支持部材、第3支持部材、及び第4支持部材を更に含み、第1支持部材は、第1ドラムの側方向一方側を軸支するものであり、第2支持部材は、第1ドラムの側方向他方側と駆動軸の側方向一方側とを軸支するものである。また、第3支持部材は、駆動軸の側方向他方側と第2ドラムの側方向一方側とを軸支するものであり、第4支持部材は、第2ドラムの側方向他方側を軸支するものである。
【0015】
このため、第1ドラムと駆動軸と第2ドラムとは、この記載順序で一方側から他方側へと配置されることとなる。そして、第1ドラムは、側方向について駆動軸の一方側と近接する他方側に、ドラムスプロケットが設けられ、第2ドラムは、側方向について駆動軸の他方側と近接する一方側に、ドラムスプロケットが設けられる。このような構造により、第1ドラム及び第2ドラムが、4本のワイヤロープを巻き取るための側方向についての適切な位置に配置されながら、それらに対して回転力がモータから駆動軸を介して確実に伝達されるものである。
【0016】
(4)上記(3)項において、前記第1ドラム及び前記第2ドラムは、すべり軸受を介して、前記第1支持部材、前記第2支持部材、前記第3支持部材、及び前記第4支持部材の各々に軸支されているパレット昇降機構。
本項に記載のパレット昇降機構は、第1ドラム及び第2ドラムが、すべり軸受を介して、第1支持部材から第4支持部材の各々に軸支されているものである。このような単純な構造で軸支させることで使用部材の数量や大きさを抑制し、側方向について従来と同じ設置範囲を維持したままで、第1ドラム及び第2ドラムを側方向について可能な限り外側へ、換言すれば、第1ドラムを可能な限り側方向一方側へ配置し、第2ドラムを可能な限り側方向他方側へ配置する。
【0017】
これによって側方向に新たに得られるスペースが、第1ドラム及び第2ドラムの側方向への大きさの拡大に使用されることとすれば、第1ドラム及び第2ドラムによるワイヤロープの巻き取り量が増大するため、昇降ストロークが増大されるものとなる。或いは、第1ドラム及び第2ドラムが側方向の外側にシフトされることで、4本のワイヤロープによる昇降パレットの吊り下げ位置も外側にシフトするため、昇降パレットに収容可能な車両の車幅が拡大するものである。また、すべり軸受として自己潤滑性のある樹脂製のすべり軸受が使用されることで、取り扱いが容易になるものである。
【0018】
(5)上記(3)(4)項において、前記第2支持部材及び前記第3支持部材は、前記側方向視で前記第1ドラム及び前記第2ドラムの上方において前記駆動軸を軸支し、前記モータは、前記第2支持部材と前記第3支持部材との間において、前記駆動軸の下方に設置されるパレット昇降機構。
本項に記載のパレット昇降機構は、第2支持部材及び第3支持部材が、側方向視で第1ドラム及び第2ドラムの上方において駆動軸を軸支するものである。このため、駆動軸の側方向一方側の端部近傍と、その下方に位置する第1ドラムのドラムスプロケットとにチェーンが掛け回され、このチェーンを介して駆動軸から第1ドラムへ回転力が伝達される。同様に、駆動軸の側方向他方側の端部近傍と、その下方に位置する第2ドラムのドラムスプロケットとにチェーンが掛け回され、このチェーンを介して駆動軸から第2ドラムへ回転力が伝達される。
【0019】
また、モータは、第2支持部材と第3支持部材との間において駆動軸の下方に設置されるため、モータの回転軸と、その上方に位置する駆動軸の駆動スプロケットとにチェーンが掛け回され、このチェーンを介してモータから駆動軸へ回転力が伝達される。このような配置により、平面視で側方向と直交する奥行き方向について、各構成要素の位置が集約されるため、特に奥行き方向の省スペース化が図られるものとなる。更に、モータが駆動軸の下方に設置されることで、従来よりも低い位置にモータが設置されることになるため、モータの台座の構造が簡素化されるものである。
【0020】
(6)上記(3)(4)項において、前記第2支持部材及び前記第3支持部材は、前記側方向に延びる梁に固定された状態で、前記側方向視で前記梁の上方において前記第1ドラム及び前記第2ドラムを軸支すると共に前記梁の下方において前記駆動軸を軸支し、前記モータは、前記第2支持部材と前記第3支持部材との間において、前記梁の上方に設置されるパレット昇降機構。
本項に記載のパレット昇降機構は、第2支持部材及び第3支持部材が、側方向に延在する梁に固定された状態で各部材を軸支するものである。すなわち、第2支持部材及び第3支持部材は、側方向視で、梁の上方において第1ドラム及び第2ドラムを軸支すると共に、梁の下方において駆動軸を軸支し、これによって高さ方向に関して第1ドラム及び第2ドラムと駆動軸との間に梁が配置される態様となる。
【0021】
このため、駆動軸の側方向一方側の端部近傍と、梁を挟んでその上方に位置する第1ドラムのドラムスプロケットとにチェーンが掛け回され、このチェーンを介して駆動軸から第1ドラムへ回転力が伝達される。同様に、駆動軸の側方向他方側の端部近傍と、梁を挟んでその上方に位置する第2ドラムのドラムスプロケットとにチェーンが掛け回され、このチェーンを介して駆動軸から第2ドラムへ回転力が伝達される。また、モータは、第2支持部材と第3支持部材との間において梁の上方に設置され、これによって高さ方向に関してモータと駆動軸との間に梁が配置される態様となる。このため、モータの回転軸と、梁を挟んでその下方に位置する駆動軸の駆動スプロケットとにチェーンが掛け回され、このチェーンを介してモータから駆動軸へ回転力が伝達される。
【0022】
このような配置により、平面視で側方向と直交する奥行き方向について、各構成要素の位置が集約されるため、特に奥行き方向の省スペース化が図られるものとなる。更に、駆動軸が梁の下方に配置されていることで、梁の下方の空間が有効に利用されながら、梁の上方に設置される部材の高さ方向の所要スペースが抑制されるものとなる。また、第1ドラム及び第2ドラムが、限られた設置空間において可能な限り上方に設置されることで、より高い位置からワイヤロープが繰り出されることになるため、昇降パレットの吊り位置が高くなるものである。しかも、第1ドラム及び第2ドラムと駆動軸との間や、モータと駆動軸との間に梁が配置されることで、ドラムスプロケットと駆動軸との間の高さ方向の間隔や、モータの回転軸と駆動軸の駆動スプロケットとの間の高さ方向の間隔が増大する。このため、それらに掛け回されるチェーンの長さも増大し、チェーン駆動が安定化されるものである。
【0023】
(7)車両を収容する複数のパレットを含み、該複数のパレットのうち、少なくとも昇降移動を行う前記昇降パレット毎に、上記(1)から(6)項のいずれか1項記載のパレット昇降機構を備えた立体駐車装置。
本項に記載の立体駐車装置は、車両を収容する複数のパレットを含み、それら複数のパレットの中で少なくとも昇降移動を行う昇降パレット毎に、上記(1)から(6)項のいずれか1項記載のパレット昇降機構を備えたものである。これにより、上記(1)から(6)項のパレット昇降機構と同様の作用を奏することで、立体駐車装置としての付加価値が向上されるものである。
【0024】
(8)車両を収容する複数のパレットを備えた立体駐車装置において、少なくとも昇降移動を行う昇降パレットの各々を、該昇降パレットを吊り下げている4本のワイヤロープを介して昇降させるためのパレット昇降方法であって、第1ドラム、第2ドラム、モータ、及び駆動軸を設置し、前記第1ドラムにより、前記4本のワイヤロープのうち、前記昇降パレットの、車両の幅方向に対応する側方向の一方側を吊り下げている2本のワイヤロープの、巻き取り及び繰り出しを行い、前記第2ドラムにより、前記4本のワイヤロープのうち、前記昇降パレットの、前記側方向の他方側を吊り下げている2本のワイヤロープの、巻き取り及び繰り出しを行い、前記駆動軸に設けた駆動スプロケットによって、前記モータにより発生させた回転力を受けると共に、前記第1ドラム及び前記第2ドラムの各々に設けたドラムスプロケットによって、前記駆動軸から回転力を受けるパレット昇降方法。
【0025】
(9)上記(8)項において、前記第1ドラム及び前記第2ドラムのドラム径の大きさと、前記ドラムスプロケットのスプロケット径の大きさとを、同一ないし略同一にするパレット昇降方法。
(10)上記(8)(9)項において、前記第1ドラムの前記一方側を第1支持部材により軸支させ、前記第1ドラムの前記他方側及び前記駆動軸の前記一方側を第2支持部材により軸支させ、前記第2ドラムの前記一方側及び前記駆動軸の前記他方側を第3支持部材により軸支させ、前記第2ドラムの前記他方側を第4支持部材により軸支させるパレット昇降方法。
(11)上記(10)項において、前記第1ドラム及び前記第2ドラムを、すべり軸受を介して、前記第1支持部材、前記第2支持部材、前記第3支持部材、及び前記第4支持部材の各々に軸支させるパレット昇降方法。
【0026】
(12)上記(10)(11)項において、前記第2支持部材及び前記第3支持部材により、前記側方向視で前記第1ドラム及び前記第2ドラムの上方において前記駆動軸を軸支させ、前記モータを、前記第2支持部材と前記第3支持部材との間において、前記駆動軸の下方に設置するパレット昇降方法。
(13)上記(10)(11)項において、前記側方向に延びる梁に固定した状態の前記第2支持部材及び前記第3支持部材により、前記側方向視で前記梁の上方において前記第1ドラム及び前記第2ドラムを軸支させると共に前記梁の下方において前記駆動軸を軸支させ、前記モータを、前記第2支持部材と前記第3支持部材との間において、前記梁の上方に設置するパレット昇降方法。
そして、(8)項から(13)項に記載のパレット昇降方法は、各々、上記(1)から(6)項のパレット昇降機構を用いて実行されることで、上記(1)から(6)項のパレット昇降機構と同様の作用を奏するものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明はこのように構成したので、パレット昇降機構の省スペース化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るパレット昇降機構の構成を概略的に示しており、(a)は正面図、(b)は駆動軸から第2ドラムへの回転力伝達部分を第4支持部材と共に示す部分側面図、(c)はモータから駆動軸への回転力伝達部分を第3支持部材と共に示す部分側面図である。
図2】本発明の第2の実施の形態に係るパレット昇降機構の構成を概略的に示しており、(a)は正面図、(b)は駆動軸から第2ドラムへの回転力伝達部分を第4支持部材と共に示す部分側面図、(c)はモータから駆動軸への回転力伝達部分を第3支持部材と共に示す部分側面図である。
図3】本発明の第3の実施の形態に係るパレット昇降機構の構成を概略的に示しており、(a)は正面図、(b)は駆動軸から第2ドラムへの回転力伝達部分を第4支持部材と共に示す部分側面図、(c)はモータから駆動軸への回転力伝達部分を第3支持部材と共に示す部分側面図である。
図4】本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構により昇降される昇降パレットを模式的に示すイメージ斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構が適用される立体駐車装置の構成の一例を示す斜視図である。
図6】従来のパレット昇降機構の構成を概略的に示しており、(a)は正面図、(b)はモータからドラムへの回転力伝達部分を示す部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。また、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略するものとする。
本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構は、図5に示されるような立体駐車装置70において、車両Vを収容する複数のパレット72(72a~72i)のうち、少なくとも昇降移動を行う昇降パレット72を昇降させるものである。このような昇降パレット72の各々は、図4に示すように、4本のワイヤロープ52(52a~52d)によって吊り下げられ、これら4本のワイヤロープ52の巻き取りや繰り出しによって、立体駐車装置70において昇降するようになっている。
【0030】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るパレット昇降機構10は、立体駐車装置70に設けられる梁50上に設置されるものであって、第1ドラム12、第2ドラム14、モータ20、駆動軸30、第1支持部材38、第2支持部材40、第3支持部材42、及び第4支持部材44を含んでいる。以降では、特に断り書きのない限り、図1(a)における左右方向を側方向、図1(a)における左側を側方向の一方側、図1(a)における右側を側方向の他方側、図1(b)及び(c)における左右方向を奥行き方向として説明する(後述する図2及び図3についても同様)。
【0031】
第1ドラム12は、図4に示した4本のワイヤロープ52のうち、2本のワイヤロープ52を巻き取り及び繰り出しするものであって、ワイヤロープ52を案内配置するための溝が外周部に形成されている。第1ドラム12は、その一方側が第1支持部材38により軸支され、他方側が第2支持部材40により軸支されている。本実施形態では、第1ドラム12の側方向両端にすべり軸受46が埋設されており、そのすべり軸受46に対応する支持軸が、第1支持部材38及び第2支持部材40の各々に固定された状態で、第1ドラム12の両端のすべり軸受46に挿入されている。すべり軸受46には、無給油の樹脂製のすべり軸受が利用されることが好ましい。また、第1ドラム12の他方側には、ドラムスプロケット16が設けられており、このドラムスプロケット16にチェーン62が掛け回されている。第1ドラム12は、これに限定されるものではないが、例えば溶接加工が用いられない鋳造品であってもよい。
【0032】
第2ドラム14は、図4に示した4本のワイヤロープ52のうち、第1ドラム12とは別の2本のワイヤロープ52を巻き取り及び繰り出しするものであって、第1ドラム12と左右対称の形状を有している。第2ドラム14は、その一方側が第3支持部材42により軸支され、他方側が第4支持部材44により軸支されている。本実施形態では、第1ドラム12と同様に、第2ドラム14の側方向両端にすべり軸受46が埋設されており、そのすべり軸受46に対応する支持軸が、第3支持部材42及び第4支持部材44の各々に固定された状態で、第2ドラム14の両端のすべり軸受46に挿入されている。また、第2ドラム14の一方側には、ドラムスプロケット16が設けられており、このドラムスプロケット16にチェーン64が掛け回されている。第2ドラム14は、第1ドラム12と同様に、鋳造品であってもよい。また、第2ドラム14は、ドラム径D1とドラムスプロケット16のスプロケット径S1とが、同一ないし略同一の大きさを有しており、本実施形態ではドラム径D1がスプロケット径S1よりも僅かに大きくなっている。このような関係は、第2ドラム14と左右対称形状の第1ドラム12も同様である。
【0033】
ここで、図4を参照して、第1ドラム12及び第2ドラム14で巻き取るワイヤロープ52について言及する。図示のように、第1ドラム12は、昇降パレット72を吊り下げている4本のワイヤロープ52a~52dのうち、昇降パレット72の側方向一方側(図4における左斜め下側)を吊り下げている2本のワイヤロープ52a、52bを巻き取るものである。このうち、ワイヤロープ52aは、シーブ56を介して、昇降パレット72の奥行き方向前方側(図4における右斜め下側)を吊り下げるものであり、ワイヤロープ52bは、昇降パレット72の奥行き方向後方側(図4における左斜め上側)を吊り下げるものである。これに対し、第2ドラム14は、昇降パレット72を吊り下げている4本のワイヤロープ52a~52dのうち、昇降パレット72の側方向他方側(図4における右斜め上側)を吊り下げている2本のワイヤロープ52c、52dを巻き取るものである。このうち、ワイヤロープ52cは、シーブ56を介して、昇降パレット72の奥行き方向前方側を吊り下げるものであり、ワイヤロープ52dは、昇降パレット72の奥行き方向後方側を吊り下げるものである。
【0034】
図1に戻り、モータ20は、回転軸22を回転させることで、第1ドラム12及び第2ドラム14を回転させるための回転力を発生するものであり、回転軸22にチェーン60が掛け回されている。また、モータ20は、側方向について第2支持部材40と第3支持部材42との間において、台座24を介して梁50上に設置されている。モータ20は、例えば図6に示したような従来のモータ120よりも、減速比が小さく、ギアケースが小型のものであってよい。そのようなモータ20に採用されるモータとして、例えば、チェーンによって吊り下げられた昇降パレット72を昇降させる、チェーン式のパレット昇降機構などに使用されるブレーキ付きギアードモータを採用してもよい。
【0035】
駆動軸30は、モータ20で発生した回転力を第1ドラム12及び第2ドラム14へと伝達するものであり、モータ20の上方において、側方向一方側が第2支持部材40により軸支され、側方向他方側が第3支持部材42により軸支されている。より詳しくは、第1ドラム12よりも上方位置で、駆動軸30の一方側端部が第2支持部材40の軸受け部分から突出する態様で軸支されると共に、第2ドラム14よりも上方位置で、駆動軸30の他方側端部が第3支持部材42の軸受け部分から突出する態様で軸支されている。そして、第2支持部材40から突出した駆動軸30の一方側端部に歯車34が、第3支持部材42から突出した駆動軸30の他方側端部に歯車36が、モータ20の回転軸22に対応する位置に駆動スプロケット32が、夫々設けられている。
【0036】
更に、歯車34には、第1ドラム12のドラムスプロケット16に掛け回されたチェーン62が掛け回され、歯車36には、第2ドラム14のドラムスプロケット16に掛け回されたチェーン64が掛け回され、駆動スプロケット32には、モータ20の回転軸22に掛け回されたチェーン60が掛け回されている。このような構成により、モータ20で発生した回転力は、回転軸22からチェーン60及び駆動スプロケット32を介して駆動軸30へと伝わり、そこから歯車34及びチェーン62を介して第1ドラム12へと伝わると共に、歯車36及びチェーン64を介して第2ドラム14へと伝わる。すなわち、モータ20から第1ドラム12及び第2ドラム14の間は、2段階減速構造を成しており、これが上述したようにモータ20の減速比を従来よりも小さくできる所以である。駆動軸30は、例えば、チェーン式のパレット昇降機構などに使用される駆動軸が流用されてもよい。
【0037】
第1支持部材38及び第4支持部材44は、梁50の側方向両端部に立設されている。第2支持部材40及び第3支持部材42は、第1ドラム12及び第2ドラム14の側方向の大きさや駆動軸30の側方向長さなどに応じた適切な位置で、梁50に取り付けられている。このような状態で、パレット昇降機構10の側方向中心(梁50の側方向中心と同等)から、第2ドラム14(第1ドラム12も同様)のワイヤロープ巻き取り部分の側方向中心までの距離C1は、図6に示された従来のパレット昇降機構100における距離C5よりも、梁50と従来の梁130との長さが同じにも関わらず、大きくなっている。また、図6の従来のパレット昇降機構100では、奥行き方向の所要長さL5が、スプロケット118のスプロケット径S5に対応するように規定されていた。これに対し、図1のパレット昇降機構10では、奥行き方向の所要長さL1が、スプロケット118のスプロケット径S5よりも小さい、第3支持部材42(第2支持部材40も同様)の奥行き方向の長さによって規定されている。
【0038】
ここで、図1のパレット昇降機構10と図6に示した従来のパレット昇降機構100との、幾つかの要素の大小関係を明確にするために、以下に具体的な数値を例示するが、パレット昇降機構10の各要素の大きさは、これらに限定されるものではない。まず、従来の図6はドラム径D5が約200mm、スプロケット径S5が約385mmであるのに対し、図1はドラム径D1が約200mm、スプロケット径S1が約195mmであり、スプロケット径S1が格段に小さく(約半減)なっている。また、図1の距離C1は、図6の従来の距離C5よりも約94mm大きくなっている。更に、従来の図6は奥行き方向の所要長さL5が約415mmであるのに対し、図1は奥行き方向の所要長さL1が約288mmであり、所要長さL1が格段に小さくなっている。
【0039】
次に、図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るパレット昇降機構10’について説明する。図2において、図1に示した本発明の第1の実施の形態に係るパレット昇降機構10と同一部分、若しくは相当する部分については、同一の符号を付している。なお、本発明の第2の実施の形態に係るパレット昇降機構10’について、本発明の第1の実施の形態に係るパレット昇降機構10との相違部分のみ説明をすることとし、本発明の第1の実施の形態に係るパレット昇降機構10と同様の部分の構成については、説明を省略する。
【0040】
図2に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るパレット昇降機構10’は、第1ドラム12、第2ドラム14、及びこれらに設けられるドラムスプロケット16が、図1の形態よりも大きくなっている。具体的には、第1ドラム12及び第2ドラム14の側方向の大きさは図1と変わりないが、第1ドラム12及び第2ドラム14のドラム径D2と、ドラムスプロケット16のスプロケット径S2とが、図1のドラム径D1及びスプロケット径S1よりも大きくなっている。これらに限定されるものではないが、具体的な数値を例示すると、ドラム径D2が約345mm、スプロケット径S2が約340mmである。また、これに伴い、パレット昇降機構10’の奥行き方向の所要長さL2が、ドラム径D2に対応するように約355mmとなる。
【0041】
すなわち、図2のドラム径D2は、図6の従来のドラム径D5や図1のドラム径D1よりも大きく、図2のスプロケット径S2は、図1のスプロケット径S1よりは大きいが、図6の従来のスプロケット径S5よりは小さくなっている。また、図2の奥行き方向の所要長さL2は、図1の奥行き方向の所要長さL1よりは大きいが、図6の従来の奥行き方向の所要長さL5よりは小さくなっている。このようなドラム径D2の拡大に伴い、第1ドラム12及び第2ドラム14により巻き取られるワイヤロープ52の長さが増大される。なお、図2のパレット昇降機構10’の側方向中心から第2ドラム14のワイヤロープ巻き取り部分の側方向中心までの距離C2は、図1のそれに相当する距離C1と変わらず、図6の従来のそれに相当する距離C5よりも大きくなっている。また、当然のことながら、チェーン62、64の長さは、スプロケット径S2に対応する長さになっている。
【0042】
続いて、図3を参照して、本発明の第3の実施の形態に係るパレット昇降機構10”について説明する。図3において、図1に示した本発明の第1の実施の形態に係るパレット昇降機構10と同一部分、若しくは相当する部分については、同一の符号を付している。なお、本発明の第3の実施の形態に係るパレット昇降機構10”について、本発明の第1の実施の形態に係るパレット昇降機構10との相違部分のみ説明をすることとし、本発明の第1の実施の形態に係るパレット昇降機構10と同様の部分の構成については、説明を省略する。
【0043】
図3に示すように、本発明の第3の実施の形態に係るパレット昇降機構10”は、第2支持部材40及び第3支持部材42が、梁50の上方及び下方の双方へ延びるようにして、梁50に取り付けられている。そして、第1ドラム12は、梁50の上方において、第1支持部材38と、第2支持部材40の梁50よりも上方へ延びる部分とにより軸支されている。同様に、第2ドラム14は、梁50の上方において、第3支持部材42と、第4支持部材44の梁50よりも上方へ延びる部分とにより軸支されている。これに対し、駆動軸30は、梁50の下方において、第2支持部材40及び第3支持部材42により軸支されている。また、モータ20は、側方向について第2支持部材40と第3支持部材42との間において、梁50上に台座24を介して設置されている。
【0044】
このため、梁50は、高さ方向に関して、第1ドラム12、第2ドラム14及びモータ20と、駆動軸30との間に配置される態様となる。そして、チェーン60は、梁50の上方に位置するモータ20の回転軸22から、梁50を跨いで、梁50の下方に位置する駆動軸30の駆動スプロケット32まで掛け回されている。また、チェーン62は、梁50の下方に位置する駆動軸30の歯車34から、梁50を跨いで、梁50の上方に位置する第1ドラム12のドラムスプロケット16まで掛け回されている。同様に、チェーン64は、梁50の下方に位置する駆動軸30の歯車36から、梁50を跨いで、梁50の上方に位置する第2ドラム14のドラムスプロケット16まで掛け回されている。
【0045】
ここで、これらに限定されるものではないが、パレット昇降機構10”の一部の構成要素の大きさについて言及すると、第1ドラム12及び第2ドラム14のドラム径D3は、図1のドラム径D1と同程度であり、ドラムスプロケット16のスプロケット径S3も、図1のスプロケット径S1と同程度である。更に、図3のパレット昇降機構10”の側方向中心から第2ドラム14のワイヤロープ巻き取り部分の側方向中心までの距離C3も、図1のそれに相当する距離C1と同程度になっている。また、図3のパレット昇降機構10”の奥行き方向の所要長さL3は、様々な要因にもよるが、図示の実施形態ではモータ20の奥行き方向の大きさに相当し、具体的な大きさを例示すると、図1の奥行き方向の所要長さL1よりも僅かに小さい約255mmである。
【0046】
続いて、図5は、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構10(又は10’、10”)を備えた、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置70の構成の一例を示している。図示のように、立体駐車装置70は、複数の支柱と複数の梁とによって構成された略矩形の構造体に、複数のパレット72が移動可能に支持された構造である。図5の例において、立体駐車装置70は、地上4段3連基(高さ方向に4段、側方向に3列)の構造であって、複数のパレット72として9基のパレット72a~72iを備えており、更に、開閉ゲート76(76a~76c)を備えている。
【0047】
複数のパレット72a~72iのうち、2基のパレット72a、72bは、車両Vを入出庫する高さ位置(入出庫位置)で横行移動のみ行い、4基のパレット72c~72fは、立体駐車装置70の利用者による呼び出し操作に応じて、入出庫位置(図5においてパレット72a、72b、72gがある位置)まで、高さ方向及び側方向に移動可能なものである。一方、残り3基のパレット72g~72iは、昇降のみ行うものである。図5に示されている立体駐車装置70は、9基のパレット72a~72iのうち、パレット72gを除いた8基のパレット72a~72f、72h、72iに、車両Vが格納された状態である。更に、3基のパレット72a、72b、72gが入出庫位置にあり、残り6基のパレット72c~72f、72h、72iが収容位置にある状態である。
【0048】
図5のような立体駐車装置70において、パレット昇降機構10(10’、10”)は、立体駐車装置70が備える複数のパレット72のうち、少なくとも昇降移動を行う昇降パレット72毎に具備されている。すなわち、図5の例では、高さ方向及び側方向の双方に移動可能なパレット72c~72fと、高さ方向のみに移動するパレット72g~72iとが、昇降パレット72に該当する。ここで、昇降のみ行う昇降パレット72g~72iが具備するパレット昇降機構10(10’、10”)は、基本的に各構成要素の位置が不変である。これに対し、横行移動と昇降との双方を行う昇降パレット72c~72fが具備するパレット昇降機構10(10’、10”)は、各構成要素が、昇降パレット72の横行移動に追従し、パレット72の昇降に追従しないように設置されている。なお、図5では、昇降パレット72gを昇降させるパレット昇降機構10(10’、10”)のみの符号を図示しており、更に、その構成も簡略化して図示している。
【0049】
開閉ゲート76a~76cの各々は、その後面側の入出庫位置に所望のパレット72が呼び出された後に開かれ、車両Vの入出庫が終わった後に、利用者の操作により閉じられるものである。また、立体駐車装置70は、詳しい説明は控えるが、上述した複数のパレット72a~72i、開閉ゲート76a~76c、及び、パレット昇降機構10(10’、10”)の他にも、多くの構成要素を含んでいる。それらの構成要素には、例えば、利用者により立体駐車装置70の各操作を行うための入力が行われる操作盤、立体駐車装置70全体の制御を担う制御部、制御部による制御に応じてパレット72の移動や開閉ゲート76の開閉動作を行うための動力を発生及び伝達する駆動部、入出庫位置にある各パレット72の周辺の物体を検知する複数の光電センサなどが含まれる。
【0050】
なお、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構10、10’、10”は、図1から図3に示した構成に限定されるものではなく、適用される立体駐車装置70の構成や状況などに合わせて、様々な形態を取り得るものである。例えば、第1ドラム12及び第2ドラム14は、すべり軸受46以外の軸受を介して軸支されてもよい。また、第1支持部材38、第2支持部材40、第3支持部材42、及び第4支持部材44などの形状は、図1から図3に示された形状と異なる形状であってもよい。また、パレット昇降機構10、10’、10”が具備される本発明の実施の形態に係る立体駐車装置70も、図5の構成に限定されるものではなく、パレット72の数量や開閉ゲート76の数量などが、図示の構成と異なっていてもよい。例えば、立体駐車装置70は、パレット72の収容可能位置が、高さ方向や側方向について図5の構成から増減してもよく、奥行き方向に2列以上の収容可能位置を備えていてもよい。
【0051】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構10、10’、10”は、図4に示すように4本のワイヤロープ52を介して昇降パレット72を昇降させるものであり、図1から図3に示すように、第1ドラム12、第2ドラム14、モータ20、及び駆動軸30を含んでいる。図4に示すように、第1ドラム12は、4本のワイヤロープ52中の2本のワイヤロープ52a、52bを巻き取り及び繰り出しするものであり、この2本のワイヤロープ52a、52bは、昇降パレット72の、車両Vの幅方向に対応する側方向の一方側を吊り下げている。これに対し、第2ドラム14は、4本のワイヤロープ52中の残りの2本のワイヤロープ52c、52dを巻き取り及び繰り出しするものであり、この2本のワイヤロープ52c、52dは、昇降パレット72の側方向の他方側を吊り下げている。図1から図3に戻り、モータ20は、そのような第1ドラム12及び第2ドラム14を回転させるための回転力を発生するものである。
【0052】
また、駆動軸30は、モータ20で発生した回転力を、第1ドラム12及び第2ドラム14へと伝達するものであって、モータ20から回転力を受けるための駆動スプロケット32が設けられている。更に、第1ドラム12及び第2ドラム14の各々には、駆動軸30から回転力を受けるためのドラムスプロケット16が設けられている。このため、モータ20で発生した回転力は、駆動軸30に設けられた駆動スプロケット32を介して駆動軸30へと伝達され、更に、第1ドラム12及び第2ドラム14に設けられたドラムスプロケット16を介して、駆動軸30から第1ドラム12及び第2ドラム14へと伝達される。すなわち、モータ20から第1ドラム12へと、モータ20から第2ドラム14へとに、駆動軸30を介して個別に回転力を伝達することができる。
【0053】
これにより、図6のように2つのドラム112、114が接続されたドラム軸110へモータ120から回転力が伝達される従来構造と比較して、第1ドラム12及び第2ドラム14の各々を回転させるためのトルクが半減するため、特に図1及び図3のように、第1ドラム12及び第2ドラム14に設けられるドラムスプロケット16のスプロケット径S1を小さくすることができる。加えて、駆動軸30を介した2段階減速構造が採用されることで、モータ20の所要減速比が小さくなるため、モータ20のギアケースを小型化することができる。これらのことから、パレット昇降機構10、10’、10”全体としての省スペース化を図ることができ、これにより得られたスペースを様々な用途に使用することができる。
【0054】
例えば、図1に示す第1の実施の形態に係るパレット昇降機構10では、第1ドラム12及び第2ドラム14が図示よりも低い位置に設置され、それに応じて他の部材も下方へ移動されることで、更なる省スペース化が図られてもよい。更に、空いているスペースを利用して、電気自動車用の充電ケーブルを巻き取るためのドラムなどを設置してもよく、この場合は、充電ケーブルの巻き取りドラムと第1ドラム12及び第2ドラム14とのドラム径を一致させることとすれば、昇降パレット72の昇降ストロークに合わせて充電ケーブルを繰り出すことが可能となる。また、上述したようなモータ20のギアケースの小型化により、モータ20として、チェーン式のパレット昇降機構などと同じブレーキ付きギアードモータを使用することで、部材を共用化することができる。
【0055】
更に、第1ドラム12及び第2ドラム14が個別に軸支されることになるため、図6のように2つのドラム112、114が接続されたドラム軸110の両端が軸支される従来構造と比較して、軸心揺れの要求精度を緩和することができる。また、従来は2つのドラム112、114を接続していた接続軸116が不要になるため、そのような接続を行うための溶接も不要になり、ドラム単体としての製造コストや部材コストを低減することが可能となる。しかも、従来のドラムの接続軸116がなくなることで、ドラムの構造が単純になるため、例えば、昇降パレット72の側方向の大きさが変わる場合であっても、第1ドラム12及び第2ドラム14自体の設計変更を行うことなく、それらの設置位置の調整によって柔軟に対応することが可能となる。
【0056】
また、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構10、10’、10”は、第1ドラム12及び第2ドラム14のドラム径D1、D2の大きさと、それらに設けられるドラムスプロケット16のスプロケット径S1、S2の大きさとが、同一ないし略同一になっているものである。このため、図1の第1の実施形態や図3の第3の実施形態のように、ドラムスプロケット16のスプロケット径S1が従来よりも小さくされる場合は、第1ドラム12及び第2ドラム14のドラム径D1の大きさとドラムスプロケット16のスプロケット径S1の大きさとが、例えば、図6のような従来のドラム112、114のドラム径D5と同じ程度の大きさに設定される。そして、このようにして確保したスペースを、任意の用途に使用することができる。
【0057】
ここで、上述のようにして得られたスペースは、少なくともその一部を、図2の第2の実施形態のように、第1ドラム12及び第2ドラム14のドラム径D2の拡大に利用してもよい。すなわち、第1ドラム12及び第2ドラム14のドラム径D2が従来のドラム112、114よりも大きくされ、それらに設けられるドラムスプロケット16のスプロケット径S2がドラム径D2の大きさに合わされる。これによって、第1ドラム12及び第2ドラム14の側方向の大きさや配置スペースを変えることなく、従来よりもワイヤロープ52の巻き取り量を増大させることができるため、第1ドラム12及び第2ドラム14の昇降ストロークを増大させることが可能となる。従って、従来よりも高い位置にある昇降パレット72の昇降に対応することができ、立体駐車装置70の高層化のニーズに応えることができる。例えば、1本のワイヤロープ52の巻き取り量が、従来は8m程度だったものが16m程度へと倍増し、6~8段のパレット収容位置を備える立体駐車装置70に対応することができる。
【0058】
更に、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構10、10’、10”は、第1支持部材38、第2支持部材40、第3支持部材42、及び第4支持部材44を更に含み、第1支持部材38は、第1ドラム12の側方向一方側を軸支するものであり、第2支持部材40は、第1ドラム12の側方向他方側と駆動軸30の側方向一方側とを軸支するものである。また、第3支持部材42は、駆動軸30の側方向他方側と第2ドラム14の側方向一方側とを軸支するものであり、第4支持部材44は、第2ドラム14の側方向他方側を軸支するものである。
【0059】
このため、図1から図3で確認できるように、第1ドラム12と駆動軸30と第2ドラム14とは、この記載順序で一方側から他方側へと配置されることとなる。そして、第1ドラム12は、側方向について駆動軸30の一方側と近接する他方側に、ドラムスプロケット16が設けられ、第2ドラム14は、側方向について駆動軸30の他方側と近接する一方側に、ドラムスプロケット16が設けられる。このような構造により、第1ドラム12及び第2ドラム14を、4本のワイヤロープ52を巻き取るための側方向についての適切な位置に配置しながら、それらに対して回転力をモータ20から駆動軸30を介して確実に伝達することが可能となる。
【0060】
また、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構10、10’、10”は、第1ドラム12及び第2ドラム14が、すべり軸受46を介して、第1支持部材38から第4支持部材44の各々に軸支されているものである。このような単純な構造で軸支させることで、使用部材の数量や大きさを抑制することができる。このため、側方向について従来と同じ設置範囲(梁50の長さ)を維持したままで、第1ドラム12及び第2ドラム14を側方向について可能な限り外側へ、換言すれば、第1ドラム12を可能な限り側方向一方側へ配置し、第2ドラム14を可能な限り側方向他方側へ配置する。例えば、図1から図3に示されるパレット昇降機構10、10’、10”の側方向中心から第2ドラム14のワイヤロープ巻き取り部分の側方向中心までの距離C1、C2、C3は、図6に示される従来のパレット昇降機構100の側方向中心からドラム114のワイヤロープ巻き取り部分の側方向中心までの距離C5と比較して、大きくなっている。
【0061】
これによって側方向に新たに得られるスペースを、第1ドラム12及び第2ドラム14の側方向への大きさの拡大に使用することとすれば、第1ドラム12及び第2ドラム14によるワイヤロープ52の巻き取り量が増大するため、昇降ストロークを増大させることができる。或いは、第1ドラム12及び第2ドラム14が側方向の外側にシフトされることで、4本のワイヤロープ52による昇降パレット72の吊り下げ位置も外側にシフトするため、昇降パレット72に収容可能な車両Vの車幅を拡大することができる。また、すべり軸受46として自己潤滑性のある樹脂製のすべり軸受を使用することで、取り扱いを容易にすることができる。
【0062】
更に、本発明の第1及び第2の実施の形態に係るパレット昇降機構10、10’は、図1及び図2に示すように、第2支持部材40及び第3支持部材42が、側方向視で第1ドラム12及び第2ドラム14の上方において駆動軸30を軸支するものである。このため、駆動軸30の側方向一方側の端部近傍と、その下方に位置する第1ドラム12のドラムスプロケット16とにチェーン62が掛け回され、このチェーン62を介して駆動軸30から第1ドラム12へ回転力が伝達される。同様に、駆動軸30の側方向他方側の端部近傍と、その下方に位置する第2ドラム14のドラムスプロケット16とにチェーン64が掛け回され、このチェーン64を介して駆動軸30から第2ドラム14へ回転力が伝達される。
【0063】
また、モータ20は、第2支持部材40と第3支持部材42との間において駆動軸30の下方に設置されるため、モータ20の回転軸22と、その上方に位置する駆動軸30の駆動スプロケット32とにチェーン60が掛け回され、このチェーン60を介してモータ20から駆動軸30へ回転力が伝達される。このような配置により、平面視で側方向と直交する奥行き方向について、各構成要素の位置を集約することができるため、特に奥行き方向の省スペース化を図ることが可能となる。この点は、図1における奥行き方向の所要長さL1及び図2における奥行き方向の所要長さL2と、図6における奥行き方向の所要長さL5の大きさからも明らかである。更に、モータ20が駆動軸30の下方に設置されることで、従来よりも低い位置にモータ20を設置することができるため、モータ20の台座24の構造を簡素化することができる。
【0064】
加えて、本発明の第3の実施の形態に係るパレット昇降機構10”は、図3に示すように、第2支持部材40及び第3支持部材42が、梁50に固定された状態で各部材を軸支するものである。すなわち、第2支持部材40及び第3支持部材42は、側方向視で、梁50の上方において第1ドラム12及び第2ドラム14を軸支すると共に、梁50の下方において駆動軸30を軸支し、これによって高さ方向に関して第1ドラム12及び第2ドラム14と駆動軸30との間に梁50が配置される態様となる。このため、駆動軸30の側方向一方側の端部近傍と、梁50を挟んでその上方に位置する第1ドラム12のドラムスプロケット16とにチェーン62が掛け回され、このチェーン62を介して駆動軸30から第1ドラム12へ回転力が伝達される。
【0065】
同様に、駆動軸30の側方向他方側の端部近傍と、梁50を挟んでその上方に位置する第2ドラム14のドラムスプロケット16とにチェーン64が掛け回され、このチェーン64を介して駆動軸30から第2ドラム14へ回転力が伝達される。また、モータ20は、第2支持部材40と第3支持部材42との間において梁50の上方に設置され、これによって高さ方向に関してモータ20と駆動軸30との間に梁50が配置される態様となる。このため、モータ20の回転軸22と、梁50を挟んでその下方に位置する駆動軸30の駆動スプロケット32とにチェーン60が掛け回され、このチェーン60を介してモータ20から駆動軸30へ回転力が伝達される。このような配置により、平面視で側方向と直交する奥行き方向について、各構成要素の位置を集約することができるため、特に奥行き方向の省スペース化を図ることができる。この点は、図3における奥行き方向の所要長さL3と、図6における奥行き方向の所要長さL5の大きさからも明らかである。
【0066】
更に、駆動軸30が梁50の下方に配置されていることで、梁50の下方の空間を有効に利用しながら、梁50の上方に設置される部材の高さ方向の所要スペースを抑制することが可能となる。また、第1ドラム12及び第2ドラム14を、限られた設置空間において可能な限り上方に設置することとすれば、より高い位置からワイヤロープ52を繰り出すことができるため、昇降パレット72の吊り位置を高くすることができる。しかも、第1ドラム12及び第2ドラム14と駆動軸30との間や、モータ20と駆動軸30との間に梁50が配置されることで、ドラムスプロケット16と駆動軸30との間の高さ方向の間隔や、モータ20の回転軸22と駆動軸30の駆動スプロケット32との間の高さ方向の間隔が増大する。このため、それらに掛け回されるチェーン60、62、64の長さも増大し、チェーン駆動を安定化させることが可能となる。
【0067】
一方、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置70は、図5に示すように、車両Vを収容する複数のパレット72を含み、それら複数のパレット72の中で少なくとも昇降移動を行う昇降パレット72毎に、上述したようなパレット昇降機構10、10’、10”を備えたものである。これにより、本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構10、10’、10”と同様の作用効果を奏することで、立体駐車装置70としての付加価値を向上させることが可能となる。
他方、本発明の実施の形態に係るパレット昇降方法は、上述したような本発明の実施の形態に係るパレット昇降機構10、10’、10”を用いて実行されることで、パレット昇降機構10、10’、10”と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0068】
10、10’、10”:パレット昇降機構、12:第1ドラム、14:第2ドラム、16:ドラムスプロケット、20:モータ、30:駆動軸、32:駆動スプロケット、38:第1支持部材、40:第2支持部材、42:第3支持部材、44:第4支持部材、46:すべり軸受、50:梁、52(52a~52d):ワイヤロープ、70:立体駐車装置、72(72a~72i):複数のパレット(昇降パレット)、V:車両、D1、D2、D3:ドラム径、S1、S2、S3:スプロケット径
図1
図2
図3
図4
図5
図6