(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111301
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ロードコーン
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
E01F13/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013095
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】512067643
【氏名又は名称】小野 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩一
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA11
2D101DA05
2D101EA07
2D101FA12
2D101FA25
2D101FB13
2D101FB15
2D101GA04
(57)【要約】
【課題】コーンロープなどのコーン接続体の組付けや取外しを簡便に行え、しかもコーン接続体がコーン本体から分離するのを確実に防止できるロードコーンを提供する。
【解決手段】コーン本体1の頂部周面には、隣接するロードコーンどうしを接続するためのコーン接続体4が装着される接続穴3が貫通形成されている。コーン本体1の周面一側から接続穴3に向かって、コーン接続体4を接続穴3に着脱するための着脱溝5が形成されている。着脱溝5は、コーン本体1の周面一側から接続穴3に向かって形成される外溝穴6と、外溝穴6と接続穴3の間に形成される内溝穴7とを備える。外溝穴6と内溝穴7の間に、コーン接続体4が内溝穴7および接続穴3の側から外溝穴6の側へ移動するのを規制するストッパー突起8が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円錐状のコーン本体(1)と、コーン本体(1)の下部に張出し形成されるコーン台座(2)とを備えており、
コーン本体(1)の頂部周面に、隣接するロードコーンどうしを接続するためのコーン接続体(4)が装着される接続穴(3)が貫通形成されており、
コーン本体(1)の周面一側から接続穴(3)に向かって、コーン接続体(4)を接続穴(3)に着脱するための着脱溝(5)が形成されており、
着脱溝(5)は、コーン本体(1)の周面一側から接続穴(3)に向かって形成される外溝穴(6)と、外溝穴(6)と接続穴(3)の間に形成される内溝穴(7)とを備えており、
外溝穴(6)と内溝穴(7)の間に、コーン接続体(4)が内溝穴(7)および接続穴(3)の側から外溝穴(6)の側へ移動するのを規制するストッパー突起(8)が形成されていることを特徴とするロードコーン。
【請求項2】
ロードコーンを片手で提げ持つための手提げ口(9)が、外溝穴(6)の開口外縁に形成されている請求項1に記載のロードコーン。
【請求項3】
外溝穴(6)が、手提げ口(9)から接続穴(3)の上部に向かって上り傾斜状に形成されている請求項2に記載のロードコーン。
【請求項4】
外溝穴(6)が、手提げ口(9)から接続穴(3)の上部に向かって水平に形成されている請求項2に記載のロードコーン。
【請求項5】
外溝穴(6)の上壁と下壁のいずれか一方の開口外縁に切欠き形成した切欠縁(10)と、他方の開口外縁との間に、手提げ口(9)が形成されている請求項2から4のいずれかひとつに記載のロードコーン。
【請求項6】
切欠縁(10)が、外溝穴(6)の上壁の開口外縁に切欠き形成されている請求項5に記載のロードコーン。
【請求項7】
接続穴(3)の下端が、外溝穴(6)の下壁の開口外縁よりも低位置に形成されている請求項2から5のいずれかひとつに記載のロードコーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や工事現場などにおける侵入禁止区域や区分を特定し、あるいは駐車場における進入路や出口路への誘導などを行う際に使用されるロードコーンに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のロードコーンは、特許文献1(発明の名称:カラーコーン(登録商標))や特許文献2に開示されている。特許文献1のロードコーンでは、ロードコーンの頂頭部に頂頭部溝を設け、この溝にトラロープ(コーンロープ)を装着して、隣接するロードコーンどうしを連結している。頂頭部溝は頂頭部の対向周面に形成される溝底部と、一対の溝底部の上部に形成される連通溝とで構成されており、連通溝の中途部は斜めに傾斜されている。また、特許文献2のロードコーンでは、ロードコーンの頂部付近にロープを通す一対の貫通孔を設け、両貫通孔を連通するスリット部を貫通孔より上側に形成している。スリット部は、頂部を2分する縦スリットと、縦スリットの下端と貫通孔を連通する横スリットとで構成されており、貫通孔はロードコーンを移動するときの掴み孔にもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-46435号公報
【特許文献2】実用新案登録第3222831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のロードコーンによれば、列状に設置した一群のロードコーンに対してコーンロープを簡便に組むことができる。しかし、ロードコーンやコーンロープが外力を受けるような場合に、コーンロープが頂頭部溝から抜出すおそれがあり、規制対象の区域や区分を示すうえで確実さに欠ける。その点、特許文献2のロードコーンによれば、スリット部が縦スリットと横スリットとで構成されているため、外力を受けたロードコーンが移動するような場合でも、コーンロープが貫通孔から抜け出ることはない。半面、コーンロープをロードコーンに装着する場合には、コーンロープを縦スリットに差し込んだ状態で、コーンロープとロードコーンを相対移動させて、コーンロープを横スリットから貫通孔に移動させる必要があり、コーンロープの連結に余分な手間がかかる。
【0005】
本発明の目的は、コーンロープやコーンチェーンなどのコーン接続体の組付けや取外しを簡便に行えるにもかかわらず、コーン接続体がロードコーンから分離するのを確実に防止できるロードコーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロードコーンは、中空円錐状のコーン本体1と、コーン本体1の下部に張出し形成されるコーン台座2を備えている。コーン本体1の頂部周面に、隣接するロードコーンどうしを接続するためのコーン接続体4が装着される接続穴3が貫通形成されている。コーン本体1の周面一側から接続穴3に向かって、コーン接続体4を接続穴3に着脱するための着脱溝5が形成されている。着脱溝5は、コーン本体1の周面一側から接続穴3に向かって形成される外溝穴6と、外溝穴6と接続穴3の間に形成される内溝穴7とを備えている。外溝穴6と内溝穴7の間に、コーン接続体4が内溝穴7および接続穴3の側から外溝穴6の側へ移動するのを規制するストッパー突起8が形成されている。
【0007】
ロードコーンを片手で提げ持つための手提げ口9が、外溝穴6の開口外縁に形成されている。
【0008】
外溝穴6が、手提げ口9から接続穴3の上部に向かって上り傾斜状に形成されている。
【0009】
外溝穴6が、手提げ口9から接続穴3の上部に向かって水平に形成されている。
【0010】
外溝穴6の上壁と下壁のいずれか一方の開口外縁に切欠き形成した切欠縁10と、他方の開口外縁との間に、手提げ口9が形成されている。
【0011】
切欠縁10は、外溝穴6の上壁の開口外縁に切欠き形成されている。
【0012】
接続穴3の下端が、外溝穴6の下壁の開口外縁よりも低位置に形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るロードコーンによれば、コーン本体1を定置した状態で、コーン接続体4を、着脱溝5の外溝穴6からストッパー突起8および内溝穴7を経由して接続穴3に移動させることで、コーン接続体4を接続穴3に組付けることができる。また、上記の組付け状態から、コーン接続体4を、接続穴3から内溝穴7およびストッパー突起8を経由して外溝穴6へ移動させることで、コーン接続体4を接続穴3から分離して、取り外すことができる。以上より、本発明のロードコーンによれば、縦スリットと横スリットを介してコーンロープを貫通孔に着脱する必要があった従来の連結構造に比べて、コーン接続体4の接続穴3に対する組付け作業や取外し作業を、より簡便に行うことができる。また、外溝穴6と内溝穴7の間にストッパー突起8が設けられているため、設置したコーン本体1に外力が作用するような場合でも、コーン接続体4が着脱溝5からコーン本体1の外へ分離することをストッパー突起8で確実に防ぐことができる。
【0014】
外溝穴6の開口外縁に、ロードコーンを片手で提げ持つための手提げ口9が形成されていると、手提げ口9に掌の手先をあてがうだけで、コーン本体1を安定した状態で提げ持つことができる。したがって、ロードコーンの頂部付近に設けた一対の貫通穴を、親指と中指などで掴む必要があった従来のロードコーンに比べて、ロードコーンの取扱いや移動を簡便にしかも的確に行うことができる。
【0015】
外溝穴6が、手提げ口9から接続穴3の上部に向かって上り傾斜状に形成されていると、接続穴3に装着されたコーン接続体4を着脱溝5からコーン本体1の外へ分離させるためには、着脱溝5に沿ってコーン接続体4を下方に向かって押し下げ操作することが必要となる。したがって、意図せずコーン接続体4が接続穴3から抜け外れることを防ぐことができる。
【0016】
外溝穴6が、手提げ口9から接続穴3の上部に向かって水平に形成されていると、定置したコーン本体1のコーン台座2を踏付けた状態で、外溝穴6に係止したコーン接続体4をコーン本体1の側へ引寄せ操作するだけで、コーン接続体4をストッパー突起8を乗越えて内溝穴7へ移動させることができる。したがって、コーン接続体4の接続穴3に対する接続作業をより迅速かつ簡便に行うことができる。また、コーン本体1を下肢で支えた状態で、ストッパー突起8にあてがったコーン接続体4を外溝穴6の側へ引寄せ操作するだけで、コーン接続体4を内溝穴7から外溝穴6の側へ移動させて、接続穴3から分離することができるので、コーン接続体4のロードコーンからの分離操作も迅速かつ簡便に行うことができる。
【0017】
手提げ口9が、外溝穴6の上壁と下壁のいずれか一方の開口外縁に切欠き形成した切欠縁10と、他方の開口外縁との間に形成されていると、切欠縁10を切欠き形成した分だけ手提げ口9の上下寸法を大きくすることができるので、手提げ口9への手先の出し入れ動作、および手提げ口9の上縁に対する手掛け動作をより容易に行うことができる。したがって、手先によるロードコーンの提げ持ち動作をさらに的確に行うことができる。
【0018】
接続穴3の下端が、外溝穴6の下壁の開口外縁よりも低位置に形成されていると、外溝穴6の下壁の開口外縁と接続穴3の下端との間に位置するコーン本体1のコーン周囲壁13に、接続穴3に装着したコーン接続体4を巻装させることができる。このようにコーン接続体4をコーン周囲壁13に巻装させると、ロードコーンがコーン接続体4に沿って遊動することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態1に係るロードコーンの上部接続構造を示す側面図である。
【
図2】ロードコーンの設置状況を示す正面図である。
【
図3】ロードコーンの上部接続構造を示す斜視図である。
【
図6】ロードコーンの別の設置状況を示す正面図である。
【
図7】ロードコーンのさらに別の設置状況を示す縦断側面図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係るロードコーンを示す側面図である。
【
図9】本発明の実施形態3に係るロードコーンを示す側面図である。
【
図10】本発明の実施形態4に係るロードコーンを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
図1ないし
図7に、本発明に係るロードコーンの実施形態1を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、
図1および
図2に示す矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2においてロードコーンは、中空円錐状のコーン本体1と、コーン本体1の下部に張出し形成したコーン台座2を一体に備えたプラスチック成型品からなる。コーン本体1の頂部周面には、円形の接続穴3が貫通形成され、コーン本体1の前周面から接続穴3に向かって、コーンロープであるコーン接続体4を接続穴3に着脱するための着脱溝5が形成されている。これら接続穴3および着脱溝5で上部接続構造が構成される。
【0021】
図1に示すように着脱溝5は、コーン本体1の前周面から接続穴3に向かって形成される外溝穴6と、外溝穴6と接続穴3の間に形成される内溝穴7とを備えており、外溝穴6と内溝穴7の間に、コーン接続体4が内溝穴7の側から外溝穴6の側へ移動するのを規制するストッパー突起8が上突状に形成されている。外溝穴6の開口外縁にロードコーンを片手で提げ持つための手提げ口9が形成されている。なお、ストッパー突起8は下突状に形成することもできる。
【0022】
図1に示すように外溝穴6は、手提げ口9の側から内溝穴7の上部に向かって上り傾斜する傾斜溝で形成されており、その上壁の開口外縁に切欠き形成した水平の切欠縁10と、下壁の開口外縁との間が手提げ口9とされている。内溝穴7は接続穴3の中央上部から上向きに形成されており、その上端に外溝穴6の上壁が連続されている。外溝穴6および内溝穴7の溝幅は、コーン接続体4の直径より僅かに大きく形成されており、ストッパー突起8の突端と外溝穴6の上壁との間隔はコーン接続体4の直径より小さく設定されている。したがって、コーン接続体4を接続穴3に対して着脱する場合には、コーン接続体4とストッパー突起8の少なくとも片方を弾性変形させながら、ストッパー突起8を乗越えさせる必要がある。
【0023】
隣接配置したロードコーンどうしはコーン接続体4で接続されるが、接続後のロードコーンがコーン接続体4に沿って遊動するのを防ぐために、コーン接続体4を個々のロードコーンに巻装した状態で接続することが望ましい。
図2、
図4、
図5に示すように、本実施形態では、コーン接続体4を右方の接続穴3から左方の接続穴3へ挿通したのち、手提げ口9より下側のコーン周囲壁13の前周面に巻装し、再び右方の接続穴3から左方の接続穴3に挿通して、隣接する左方のロードコーンへ向かって導出している。このように、コーン接続体4を手提げ口9より下側のコーン周囲壁13に確実に巻装するために、
図4に示すようにコーン台座2の下面から、外溝穴6の下壁の開口外縁までの上下高さ寸法H1を、コーン台座2の下面から、接続穴3の下端までの上下高さ寸法H2よりも大きく設定しており、換言すれば接続穴3の下端が、外溝穴6の下壁の開口外縁よりも低位置に形成されている。なお、上下高さH1とH2が同じであると、コーン周囲壁13に巻装したコーン接続体4が着脱溝5の内側へ移動し、その分だけコーン接続体4がたるんでロードコーンの位置がずれるおそれがある。但し、コーン接続体4はコーン周囲壁13の後周面に巻装することもでき、この場合には、上下高さH1とH2が同じであってもコーン接続体4が着脱溝5の内側に移動することがなく、コーン接続体4がたるむことを防ぐことができる。
【0024】
以上のように、列状に設置した一群のロードコーンに対してコーン接続体4を個々のロードコーンに巻装した状態で接続することにより、接続後のロードコーンがコーン接続体4に沿って遊動するのを防止することができる。また、列状に設置されたロードコーンの各端部のロードコーンに対して巻装した状態でコーン接続体4を接続し、残るロードコーンには、コーン接続体4を巻装せず一対の接続穴3・3に挿通するだけの状態でコーン接続体4を接続することもできる。この場合には、多くのロードコーンに対してコーン接続体4を巻装する必要がない分だけ設置作業を簡略化できる。
【0025】
強風などの外力が作用するような場合には、ロードコーンが転倒するおそれがあるが、本実施形態では、転倒防止策として、コーン本体1の内面にコーン錘14を設置している(
図4参照)。コーン錘14は容器状に構成されており、その内部には水が充満されている。コーン錘14の上部には、S字フック15を係止するための吊持リング16が設けられている。コーン錘14を吊持するS字フック15は、コーン本体1の内面において、一対の接続穴3・3で受止められたコーン接続体4に係止されており、これにより、コーン錘14の重みをコーン本体1に作用させて、ロードコーンが転倒することを防ぐことができる。コーン錘14は、袋体に砂を入れた砂袋などであってもよい。
【0026】
コーン接続体4は、屈曲可能なコーンロープ(綱状体)の他に、
図6に示すような鋼管であってもよい。両者(ロープと鋼管)によって隣り合うロードコーンどうしを接続することができるように、本実施形態では、接続穴3の直径寸法D1は、鋼管であるコーン接続体4の直径寸法D2よりも大きく設定されている。これにて、鋼管のコーン接続体4の一端および他端を隣接するロードコーンの接続穴3に差込み装着し、コーン本体1の内部において鋼管のコーン接続体4の端部どうしを接合させることで、コーン接続体4を介して、隣り合うロードコーンどうしを接続させることができる。このように、接続穴3が、ロープ状のコーン接続体4と鋼管製のコーン接続体4の両者に対応できるように構成されていると、ロードコーンの設置状況や設置期間の違いなどに応じて、両者(ロープ状のコーン接続体4と鋼管製のコーン接続体4)を使い分けることができる。したがって、ロードコーンの設置や撤去に要する手間やコストを節約することができる。
【0027】
以上のように本実施形態に係るロードコーンによれば、コーン本体1を定置した状態のままで、コーンロープやコーンチェーンなどのコーン接続体4を、着脱溝5の外溝穴6からストッパー突起8および内溝穴7を経由して接続穴3に移動させることで、コーン接続体4を接続穴3に組付けることができる。また、コーン接続体4を接続穴3から取外す場合には、コーン接続体4を、接続穴3から内溝穴7およびストッパー突起8を経由して外溝穴6へ移動させることで、コーン接続体4を接続穴3から分離することができる。したがって、縦スリットと横スリットを介してコーンロープを貫通孔に着脱する必要があった従来の連結構造に比べて、コーン接続体4の接続穴3に対する組付け作業や取外し作業を簡便に行うことができる。また、外溝穴6と内溝穴7の間にストッパー突起8を設けたので、設置したコーン本体1に外力が作用するような場合でも、コーン接続体4が着脱溝5からコーン本体1の外へ意図せず分離することをストッパー突起8で確実に防ぐことができる。
【0028】
外溝穴6の開口外縁に、ロードコーンを片手で提げ持つための手提げ口9を形成したので、手提げ口9に掌の手先をあてがうだけで、コーン本体1を安定した状態で確実に提げ持つことができる。したがって、ロードコーンの頂部付近に設けた一対の貫通穴を、親指と中指などで掴む必要があった従来のロードコーンに比べて、ロードコーンの取扱いや移動を簡便にしかも的確に行うことができる。
【0029】
外溝穴6を、手提げ口9から接続穴3の上部に向かって上り傾斜状に形成したので、接続穴3に装着されたコーン接続体4を着脱溝5からコーン本体1の外へ分離させるためには、着脱溝5に沿ってコーン接続体4を下方に向かって押し下げ操作することが必要となる。したがって、コーン接続体4が接続穴3から抜け外れることを防ぐことができる。
【0030】
外溝穴6の上壁の開口外縁に切欠縁10を切欠き形成し、外溝穴6の下壁の開口外縁との間に手提げ口9が形成されていると、切欠縁10を切欠き形成した分だけ手提げ口9の上下寸法を大きくすることができるので、手提げ口9への手先の出し入れ、および手提げ口9の上縁に対する手掛け動作を容易に行うことができる。したがって、手先によるロードコーンの提け持ち動作をさらに的確に行うことができる。
【0031】
接続穴3の下端を、外溝穴6の下壁の開口外縁よりも低位置に形成したので、外溝穴6の下壁の開口外縁と接続穴3の下端との間に臨むコーン本体1のコーン周囲壁13に、接続穴3に装着したコーン接続体4(コーンロープ)を巻装することができる。これにより、各ロードコーンがコーン接続体4に沿って遊動することを防ぐことができる。
【0032】
本実施形態のロードコーンは、中空円錐状のコーン本体1とコーン台座2とを射出成形機で一体に成型したのち、金型を用いて接続穴3、着脱溝5、および切欠縁10をプレス機で側面から打抜き加工することで製造することができる。したがって、接続穴3等を備えないロードコーンにひとつの工程を追加するだけで製造することができる点でロードコーンのコストアップを抑えることができる。加えて、本実施形態のロードコーンの製造は、打抜き加工を追加するだけであるので、公知のロードコーンと同様の外観形状に形成することができる。したがって、公知のロードコーンとの置き換えが容易であり、また、ロードコーンに適用される市販のアクセサリー類を用いることも可能である。前記アクセサリー類としては、例えば隣接するロードコーンどうしを連結するコーンバー、錘となるコーンベース、ロードコーンの頂部に装着される警告灯やベルトパーテーションやロープフックなどを挙げることができる。
【0033】
上記では、隣接配置したロードコーンどうしをコーン接続体4で接続する形態について説明したが、本実施形態のロードコーンは、コーン接続体4で接続せず単独で設置することも可能である。この場合には、
図7に示すようにS字フック15を用いてコーン錘14を接続穴3に係止させることで、ロードコーンが転倒することを防ぐことができる。また、先に説明した接続穴3にコーン接続体4を巻装あるいは挿通してロードコーンどうしを接続する場合においても、S字フック15をコーン接続体4に係止せず接続穴3に係止することができる。当該接続穴3にコーン錘14を係止させる形態では、コーン接続体4にコーン錘14の重量による余分なテンションが作用することを防ぐことができる。本実施形態のロードコーンは、転倒を防止するための錘として、S字フック15を介したコーン錘14の吊り下げ、または錘となるコーンベースを選択的に用いることができ、また、S字フック15のような係止部材があれば、コーン錘14として先に示した水入りの容器や砂袋以外のものでも錘として代用できる点でも優れている。
【0034】
(実施形態2)
図8に本発明に係るロードコーンの実施形態2を示す。この実施形態に係るロードコーンでは、外溝穴6を手提げ口9から接続穴3の上部に向かって上り傾斜状に形成し、外溝穴6の上壁を円形の接続穴3に対して接線状に連続させることにより、外溝穴6の上壁の一部が内溝穴7を兼ねるようにした。接続穴3の直径寸法D1は、鋼管製のコーン接続体4に対応できる大きさに設定されている。ストッパー突起8は、接続穴3と外溝穴6の下壁の隣接部分に形成されている。外溝穴6の上壁は円形の接続穴3に対して接線状に連続されており、外溝穴6に係止したロープ状のコーン接続体4を引寄せ操作するだけで接続穴3に接続することができる。また、外溝穴6の上壁の一部が内溝穴7を兼ねるので、着脱溝5を上り傾斜する外溝穴6と垂直の内溝穴7で形成する場合に比べて、コーン本体1の構造強度を向上できる。この実施形態では、接続穴3より後側のコーン周囲壁にロープ状のコーン接続体4を巻装することで、ロードコーンがコーン接続体4に沿って遊動するのを防止できる。
【0035】
(実施形態3)
図9に本発明に係るロードコーンの実施形態3を示す。この実施形態に係るロードコーンでは、接続穴3の直径値を外溝穴6および内溝穴7の溝幅と同じに設定して、隣接するロ-ドコーンをロープ状のコーン接続体4でのみ接続できるようにした。こうしたロ-ドコーンによれば、接続穴3の開口面積を最小化して、その分だけコーン本体1の構造強度を向上できる。
【0036】
(実施形態4)
図10に本発明に係るロードコーンの実施形態4を示す。この実施形態に係るロードコーンでは、水平の外溝穴6と垂直の内溝穴7とで着脱溝5を構成した。また、外溝穴6の下壁の開口外縁に斜めの切欠縁10を設けて、手提げ口9の上下寸法を大きくした。外溝穴6は、手提げ口9から接続穴3の上部に向かって水平に形成した。これによれば、定置したコーン本体1のコーン台座2を踏付けた状態で、外溝穴6に係止したコーン接続体4をコーン本体1の側へ引寄せ操作することで、コーン接続体4をストッパー突起8を乗越えて内溝穴7へ移動させることができる。したがって、コーン接続体4の接続穴3に対する接続作業をより迅速かつ簡便に行うことができる。また、コーン本体1を下肢で支えた状態で、ストッパー突起8に宛がったコーン接続体4を外溝穴6の側へ引寄せ操作するだけで、コーン接続体4を内溝穴7から外溝穴6の側へ移動させて、接続穴3から分離することができる。したがって、コーン接続体4のロードコーンからの分離操作も迅速かつ簡便に行うことができる。
【0037】
上記実施形態以外に、内溝穴7は垂直に形成する必要はなく、斜めに傾斜する溝穴で形成することができる。切欠縁10は湾曲縁で形成してもよい。左右一対の接続穴3は同一中心軸線上にある必要はなく、平面視において各接続穴3の中心軸線が挟む角度は180度未満、あるいは180度以上であってもよい。また、接続穴3の穴中心の高さは、左右で異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 コーン本体
2 コーン台座
3 接続穴
4 コーン接続体
5 着脱溝
6 外溝穴
7 内溝穴
8 ストッパー突起
9 手提げ口
10 切欠縁