IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ゼトック株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111302
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】消毒用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20230803BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20230803BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230803BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/73
A61K8/40
A61Q19/00
A61K8/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013096
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】391066490
【氏名又は名称】日本ゼトック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】坂口 梨沙子
(72)【発明者】
【氏名】馬場(稲垣) みずき
(72)【発明者】
【氏名】飯田 貴幸
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC022
4C083AC122
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC532
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD281
4C083AD282
4C083BB06
4C083BB13
4C083CC02
4C083CC05
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE05
4C083EE10
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】手洗い後における保湿効果の持続性が高く、殺菌効果、使用感及び製剤の安定性にも優れた消毒用組成物を提供する。
【解決手段】 本発明に係る消毒用組成物は、成分A:エステル油と、成分B:疎水化ヒドロキシアルキルセルロースと、成分C:カチオン性殺菌剤とを含み、エタノールを含まず、前記成分Aの含有量が0.1~40質量%であり、前記成分Bの含有量が0.01~15質量%であり、前記成分Cの含有量が0.001~1質量%である。前記成分Aの含有量を1質量部としたとき、前記成分Dの含有量は、1/4000質量部以上150質量部以下であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分A:エステル油と、成分B:疎水化ヒドロキシアルキルセルロースと、成分C:カチオン性殺菌剤とを含み、
エタノールを含まず、
前記成分Aの含有量が0.1~40質量%であり、
前記成分Bの含有量が0.01~15質量%であり、
前記成分Cの含有量が0.001~1質量%である、消毒用組成物。
【請求項2】
前記成分Aの含有量を1質量部としたとき、前記成分Bの含有量は、1/4000質量部以上150質量部以下である、請求項1に記載の消毒用組成物。
【請求項3】
前記成分Aは、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、2-エチルヘキサン酸セチルよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の消毒用組成物。
【請求項4】
前記C成分は、塩化ベンザルコニウム及び/または塩化ベンゼトニウムである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の消毒用組成物。
【請求項5】
成分Dとして、グリセリン脂肪酸エステルを含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の消毒用組成物。
【請求項6】
前記成分Aの含有量を1質量部としたとき、前記成分Dの含有量は、1/4000質量部以上150質量部以下である、請求項5に記載の消毒用組成物。
【請求項7】
クリーム状製剤である、請求項1ないし6のいずれか1項に消毒用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エタノール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1~3の低級アルコールが細菌の細胞膜やウイルスのエンベロープの破壊や酵素などのタンパク質の凝固により細菌やウイルスに対して消毒作用を有することは一般的に知られており、これら低級アルコールを配合した消毒用組成物は広く知られている。
しかしながら、一般的にエタノール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1~3の低級アルコールを配合した消毒用組成物では、使用者の手荒れなどを引き起こす問題がある。手荒れとは、角層と脂質膜が除去され角層が切れ、皮膚バリア機能が低下した状態を指し、この状態は、バリア欠損部から細菌やウイルスが侵入することにより感染しやすくなっている。このようなことから、消毒効果を維持しつつも、手荒れ、すなわち、皮膚バリア機能の低下を防ぐことができる保湿性の優れた消毒用組成物が要望されている。
【0003】
消毒用組成物に手荒れ防止効果を付与するために、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなど保湿成分を配合したり(例えば、特許文献1)、保湿成分(水溶性多価アルコール)と脂肪酸トリグリセリドを配合したり(例えば、特許文献2)等の試みが行われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-155712号公報
【特許文献2】特開2011-219410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、手洗いや物を触るなど、日常生活で生じる行動によって手指は常に乾燥されやすい状況にあり、従来の消毒用組成物では、手洗い後における保湿効果の持続性が低く、手荒れ防止効果としては十分ではなかった。
【0006】
また、手荒れの主要因である低級アルコールに代わって、消毒効果が高い塩化ベンザルコニウムのようなカチオン性殺菌剤を用いることも考えられる。しかし、カチオン性殺菌剤を配合する場合、組成物の他の成分のバランスによっては、殺菌効果が阻害されるなどという問題があった。
そこで、本発明は、手洗い後における保湿効果の持続性が高く、殺菌効果、使用感及び製剤の安定性にも優れた消毒用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る消毒用組成物は、成分A:エステル油と、成分B:疎水化ヒドロキシアルキルセルロースと、成分C:カチオン性殺菌剤とを含み、
エタノールを含まず、
前記成分Aの含有量が0.1~40質量%であり、
前記成分Bの含有量が0.01~15質量%であり、
前記成分Cの含有量が0.001~1質量%である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、手洗い後における保湿効果の持続性が高く、殺菌効果、使用感及び製剤の安定性にも優れた消毒用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の消毒用組成物の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の消毒用組成物は、成分A:エステル油と、成分B:疎水化ヒドロキシアルキルセルロースと、成分C:カチオン性殺菌剤とを所定量含み、かつ、エタノールを含まない点に特徴を有している。
なお、本発明の消毒用組成物の性状は、特に限定されず、例えば、液状、ゲル(ジェル)状、乳液状、クリーム状等であってもよい。これらの中でも、クリーム状であることが好ましい。
【0010】
<成分A>
本発明の消毒用組成物は、成分Aとしてエステル油を0.1~40質量%含有する。成分Aを上記所定量含むことにより、石鹸などで手洗いをした場合でも保湿効果を持続させることができる。
【0011】
エステル油としては、例えば、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸エチレングリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ミリスチン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、リシノール酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、オクタン酸セトステアリル、オクタン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、ネオデカン酸2-ヘキシルデシル、ネオデカン酸2-オクチルドデシル、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸2-オクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ2-エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2-オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、炭酸ジアルキル等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
これらの中でも、成分Aとして、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、2-エチルヘキサン酸セチルよりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これら成分を用いることにより、後述する成分Cの殺菌効果を損なうことなく、手洗い後における保湿効果の持続性をより高いものとすることができる。
【0013】
消毒用組成物中における成分Aの含有量は、0.1~40質量%であるが、1~30質量%であることが好ましく、3~20質量%であることがより好ましい。これにより、後述する成分Cの殺菌効果を損なうことなく、手洗い後における保湿効果の持続性をより高いものとすることができる。
【0014】
<成分B>
本発明の消毒用組成物は、成分Bとして疎水化ヒドロキシアルキルセルロースを0.01~15質量%含有する。成分Bを上記所定量含むことにより、後述する成分Cの殺菌効果を損なうことなく、使用感や製剤の安定性を優れたものとすることができる。
【0015】
疎水化ヒドロキシアルキルセルロースは、ヒドロキシアルキルセルロースに長鎖アルキル基を疎水性基として導入したものである。
ヒドロキシアルキルセルロースとしては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。疎水性基としては、例えば、ステアリル基、セチル基等が挙げられる。
これらの中でも、成分Bとして、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることが好ましく、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることがより好ましい。これにより、後述する成分Cの殺菌効果を損なうことなく、使用感や製剤の安定性をより優れたものとすることができる。
【0016】
消毒用組成物中における成分Bの含有量は、0.01~15質量%であるが、0.05~10質量%であることが好ましく、0.1~1質量%であることがより好ましい。これにより、後述する成分Cの殺菌効果を損なうことなく、使用感や製剤の安定性をより優れたものとすることができる。
【0017】
また、前述した成分Aの含有量を1質量部としたとき、成分Bの含有量は、1/4000質量部以上150質量部以下であることが好ましく、1/600質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、1/200質量部以上1/3質量部以下であることがさらに好ましい。これにより、手洗い後における保湿効果の持続性をより優れたものとしつつ、使用感や製剤の安定性をさらに優れたものとすることができる。
【0018】
<成分C>
本発明の消毒用組成物は、成分Cとしてカチオン性殺菌剤を0.001~1質量%含有する。成分Cを上記所定量含むことにより、殺菌性に優れた製剤とすることができる。
カチオン性殺菌剤としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルピリジニウム等の第四級アンモニウム塩、グルコン酸アレキシジン、塩酸アレキシジン、酢酸アレキシジン、塩酸クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等のビグアニド系殺菌剤等のカチオン性殺菌剤等を挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
これらの中でも、C成分として、塩化ベンザルコニウム及び/または塩化ベンゼトニウムを用いることが好ましい。これにより、使用感及び製剤の安定性を優れたものとしつつ、より高い殺菌性を発揮させることができる。
【0020】
消毒用組成物中における成分Cの含有量は、0.001~1質量%であるが、0.005~0.5質量%であることが好ましく、0.01~0.3質量%であることがより好ましい。これにより、使用感及び製剤の安定性を優れたものとしつつ、殺菌性をより効果的に優れたものとすることができる。
【0021】
<エタノール>
本発明の消毒用組成物は、エタノールを含まない。これにより、手荒れの発生を抑制することができる。
本明細書において、エタノールを含まないとは、消毒用組成物中におけるエタノールの含有量が0.5質量%以下であることを言う。
なお、エタノール以外の低級アルコール(炭素数が3以下のアルコール、例えば、イソプロパノール)についても、含まないことが好ましい。これにより、手荒れの発生をより確実に抑制することができる。
【0022】
<成分D>
本発明の消毒用組成物は、成分Dとして、グリセリン脂肪酸エステルを含んでいることが好ましい。このような成分Dを含むことにより、手洗いをした場合であっても保湿効果の持続性をより高いものとすることができる。また、使用感及び製剤の安定性をより高いものとすることができる。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、モノヒドロキシステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリル等のモノグリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ポリグリセリル(モノステアリン酸ジグリセリル(ステアリン酸ポリグリセリル-2)、モノステアリン酸テトラグリセリル(ステアリン酸ポリグリセリル-4)、モノステアリン酸ペンタグリセリル(ステアリン酸ポリグリセリル-5)、モノステアリン酸ヘキサグリセリル(ステアリン酸ポリグリセリル-6)、モノステアリン酸デカグリセリル(ステアリン酸ポリグリセリル-10)等)、モノオレイン酸ポリグリセリル(モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル等)、モノラウリン酸ポリグリセリル(モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル等)、モノミリスチン酸ポリグリセリル(モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等)、モノイソステアリン酸ジグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸モノエステル;ジオレイン酸ジグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸ジエステル;トリステアリン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸トリエステル;ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸ペンタエステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
これらの中でも、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルを用いることが好ましく、モノステアリン酸ポリグリセリルを用いることがより好ましく、ステアリン酸ポリグリセリル-5を用いることがさらに好ましい。
【0024】
成分Dの含有量は、0.01~15質量%であることが好ましく、0.1~10質量%であることがより好ましく、1~5質量%であることがさらに好ましい。これにより、製剤の安定性をより優れたものとすることができる。また、保湿効果の持続性をより優れたものとすることができる。
【0025】
上述した成分Aの含有量を1質量部としたとき、成分Dの含有量は、1/4000質量部以上150質量部以下であることが好ましく、1/3000質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、1/20質量部以上5/3質量部以下であることがさらに好ましい。これにより、優れた保湿効果の持続性や使用感を有しつつ、製剤の安定性を特に優れたものとすることができる。
【0026】
<その他の成分>
また、本発明の消毒用組成物には、上記成分の他、目的および剤形に応じて通常用いられる成分を配合することができる。
そのような成分の例として、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ヘパリン類似物質、ニコチン酸アミド、抗酸化剤、鉱物・合成油、動植物油、ロウ類、脂肪酸、アルコール(低級アルコール以外)、高分子化合物、動植物抽出物、アミノ酸類、溶剤、消炎剤、防腐剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、pH調整剤、色素・顔料、香料などが挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。以下にそれらの具体例を挙げる。
【0027】
(抗酸化剤)
抗酸化剤としては、例えば、ビタミンE及びその誘導体(dl-α(β、γ)-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸-dl-α-トコフェロール、リノール酸-dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、ユビキノン類等)、ビタミンA及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール及びその誘導体、デヒドロレチナール等のレチナール及びその誘導体等)、カロチノイド(カロチン、リコピン、アスタキサンチン等)、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、ビタミンC及びその誘導体(ジパルミチン酸L-アスコルビル、テトライソパルミチン酸L-アスコルビル等のL-アスコルビン酸アルキルエステル、L-アスコルビン酸リン酸エステル、L-アスコルビン酸硫酸エステル等)、ビタミンD及びその誘導体(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロキシスタナール等 )、ルチン及びその誘導体、チオタウリン、タウリン、ハイドロキノン及びその誘導体、ヒスチジン、カテキン及びその誘導体、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物等が挙げられる。
【0028】
(鉱物・合成油)
鉱物・合成油としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロスタリンワックス、α-オレフィンオリゴマー、ポリエチレン、ポリブテン、合成スクワラン等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
(動植物油)
動植物油としては、例えば、スクワラン、オリブ油、ツバキ油、コムギ胚芽油、ホホバ油、アボガド油、カロット油、シア脂、液状シア脂、パーム油、パーム核油、硬化油、馬油、ラノリン類、卵黄油、チョウジ油、ローズヒップ油、ラベンダー油、ハッカ油、スペアミント油、ローズマリー油、マカデミアナッツ油、杏仁油、サフラワー油、サフラワー油(2)、ヒマワリ油、ヒマワリ油(2)、メドゥホーム油、アーモンド油、エゴマ油、ゴマ油、ボラージ油、カカオ脂、コメヌカ油、コメ胚芽油、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、キューカンバー油、ククイナッツ油、大豆油、ティーツリー油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、アルガニアスピノサ核油、クランベアビシニカ種子油、アルモンド油、桃仁油、グレープシード油、エミュー油、ミンク油、アサ種子油、アマニ油、サザンカ油、モクロウ、ヤシ油、月見草油、ピスタシオ種子油、マンゴーバター等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
(ロウ類)
ロウ類としては、例えば、ホホバ油、ミツロウ、カルナウバロウ、コメヌカロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、キャンデリラロウ、モンタンロウ、セラック、オレンジラフィー油等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
(脂肪酸)
脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸等の天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2-エチルブタン酸、イソペンタン酸、2-メチルペンタン酸、イソペンタン酸等の合成脂肪酸等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
(アルコール)
本発明の消毒用組成物は、エタノールやイソプロパノール等の低級アルコール以外のアルコールを含んでいてもよい。
このようなアルコールとしては、例えば、ブチルアルコール、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、バチルアルコール等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
(シリコン油)
シリコン油としては、例えば、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シリコン樹脂、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、環状シリコン樹脂、オクタメチルトリシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・ブチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキ酸共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
(界面活性剤)
上記成分D以外の界面活性剤を含んでいてもよい。
そのような界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、テトラデセンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩、ラウロイルサルコシン塩、アルキルメチル-β-アラニン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸石けん、N-アシルグルタミン酸塩、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルメチルタウリン塩、アルキルアミノプロキオン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルグルコシド、ポリエーテル変性シリコン、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、アミドアミン、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムジメチル酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン(大豆又は卵黄)およびその誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
(湿潤剤)
湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、マルチトール、還元水あめ、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、トレハロース、グリコシドトレハロース、グルコース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール、酸化エチレン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酸化プロピレン、水溶性プロテオグリカン、コラーゲン、セラミド等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
(高分子化合物)
上記成分B以外の高分子化合物を含んでいてもよい。
高分子化合物としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、寒天、ファーセレラン、グァーガム、クインスシード、コンニャクマンナン、タマリンドガム、タラガム、デキストリン、デンプン、ローカストビーンガム、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビノガラクタン、ペクチン、マルメロ、小麦タンパク質、大豆タンパク質、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、キトサン、ヒアルロン酸、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、シクロデキストリン、デキストラン、プルラン、結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化グァーガム、ヒドロキシプロピル化グァーガム、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、高重合ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
(動植物抽出物)
動植物抽出物としては、例えば、プラセンタエキス、加水分解ケラチン、加水分解シルク、酵母エキス、アロエエキス、コンフリーエキス、シャクヤクエキス、シソエキス、セージエキス、センブリエキス、ハマメリス水、ヒキオコシエキス、ホップエキス、マロニエエキス、モモ葉エキス、ユキノシタエキス、メリッサエキス、ヨモギエキス、ローズマリーエキス、コメヌカ発酵エキス等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
(アミノ酸類)
アミノ酸類としては、例えば、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン、L-アスパラギン、L-システイン、L-セリン、L-チロシン、L-プロリン、ピロリドンカルボン酸塩、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、シスチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、オルニチン、ヒスチジン、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
(溶剤)
溶剤としては、例えば、精製水、常水等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
(消炎剤)
消炎剤としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、アラントイン、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
(防腐剤)
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ウンデシレン酸、ピオニン、l-メントール、d-カンフル、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンゼトニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、エチルヘキシルグリセリン等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
(紫外線防止剤)
紫外線防止剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、オキシベンゾン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸オクチル、4-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン、フェルラ酸、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
(金属イオン封鎖剤)
金属イオン封鎖剤としては、例えば、エデト酸、エデト酸塩、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、エチレンジアミンテトラキス(2-ヒドロキシイソプロピル)ジオレイン酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、フィチン酸等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、d-δ-トコフェロール等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
(pH調整剤)
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、リン酸およびその塩等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
(顔料)
有機顔料の例としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられ、レーキしたものも用いられる。有機顔料としては、例えば赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料紛体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキ等が、無機顔料としては無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、マイカ、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、カラミン、酸化セリウム、硫酸バリウム酸化鉄、紺青等が挙げられる。
【0047】
以上、本発明の消毒用組成物について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【実施例0048】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
<消毒用組成物の製造>
(実施例1~9、比較例1~9)
表1、2に示す成分および配合量を用いて、常法に従って、クリーム状の消毒用組成物を製造した。
なお、表1及び表2において、疎水化HPMCは、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを示す。また、モノステアリン酸ポリグリセリルとしては、ステアリン酸ポリグリセリル-5を用いた。
【0049】
<評価>
(石鹸で洗い流した後の保湿評価)
以下の手順に従って、評価した。
(1)官能評価員2名の前腕内側部の角質水分量(初期値)を測定した。
(2)各実施例及び各比較例の消毒用組成物を15mg塗布した。
(3)3時間後、石鹸を用いて洗い流した後の角質水分量を測定した。
(4)初期値からの角質水分量変化を百分率に換算したときを「対初期」としたときの2名の平均値を、下記の評価基準に従い評価した。
A :対初期が250%以上
B :対初期が200%以上250%未満
C :対初期が140%以上200%未満
D :対初期が135%以上140%未満
E :対初期が135%未満
【0050】
(殺菌効果の評価)
シェリヒア コリ(Escherichia coli NBRC3972)をSCD培地にて、24時間32.5℃で前培養し、培養液を得た。得られた培養液を菌数が10CFU/mLになるように生理食塩水で希釈したのち、各実施例及び各比較例の消毒用組成物20gに対し調製した培養液を1/100量を加えて混合し、混合液を得た。3分間後、得られた各混合液1mLをLP希釈液9mLにて段階希釈し、希釈液を得た。得られた各希釈液1mLをTSA培地に混合し、混釈培養法にて生菌数を求めた。ここで、混釈培養法は、試料液と寒天培地とをシャーレの中で混和凝固させ、32.5℃、好気条件下で培養し、培養後発生したコロニー数を目視により測定し、乗数をかけて生菌数とした。生菌数より、下記の評価基準に従い評価した。
A :1.0×10CFU/mL未満
B :1.0×10CFU/mL以上1.0×10CFU/mL未満
C :1.0×10CFU/mL以上5.0×10CFU/mL未満
D :5.0×10CFU/mL以上1.0×10CFU/mL未満
E :1.0×10CFU/mL以上
【0051】
(安定性の評価)
各実施例及び各比較例の消毒用組成物を40℃で1か月保管後、視覚判定により下記の基準で安定性評価を行った。
A :全く分離しておらず均一な状態である
B :やや分離しているがほとんど均一な状態である
C :やや分離しておりやや不均一な状態である
D :やや分離しており不均一な状態である。
E :完全に分離しており不均一な状態である
【0052】
(使用感の評価)
各実施例及び各比較例の消毒用組成物について、「伸びの良さ」、「べたつきのなさ」、「硬さと指どれのバランス」について、下記の評価基準に従い評価した。
A :良い
B :やや良い
C :どちらともいえない
D :やや悪い
E :悪い
【0053】
(総合評価)
上記「石鹸で洗い流した後の保湿評価」、「殺菌効果の評価」、「安定性の評価」及び「使用感の評価」の4項目の評価より、下記の評価基準に従い評価した。
A :Eが1つもなくAが3つ以上ある
B :Eが1つもなくAが2つある
C :Eが1つもなくAが1つある
D :Eが1つもなくAもない
E :Eが1つ以上ある
これらの結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【表2】
【0055】
表1及び2から解るように、本発明の消毒用組成物は、石鹸で洗い流した後でも保湿性に優れ、殺菌効果、製剤の安定性、使用感にも優れ、総合的に優れたものであった。これに対して、比較例では満足いく結果が得られなかった。特に、エタノールを含む比較例8では、保湿効果の持続性が全く得られなかった。また、成分Aであるエステル油を用いていないか、その含有量が少ない比較例1~3では、石鹸で洗い流した後の保湿効果の持続性が十分ではなかった。また、成分Bである疎水化ヒドロキシアルキルセルロースを用いていない比較例4では、増粘成分に殺菌効果が阻害され、十分な殺菌効果が得られなかった。また、成分Cであるカチオン性殺菌剤を用いていない比較例6では、十分な殺菌効果が得られなかった。