(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111306
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】赤イカの耳の加工食材及び加工食品
(51)【国際特許分類】
A23L 17/50 20160101AFI20230803BHJP
【FI】
A23L17/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013100
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】390034429
【氏名又は名称】よっちゃん食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】金井 芳朗
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AC09
4B042AD05
4B042AD08
4B042AD39
4B042AE03
4B042AE05
4B042AE10
4B042AG68
4B042AH01
4B042AK11
4B042AP17
4B042AP21
4B042AP24
4B042AP30
(57)【要約】
【課題】赤イカの耳を原材料に使用している赤イカの耳の加工食材及び、赤イカの耳の加工食品。
【解決手段】赤イカの耳を利用した扁平な薄片状の加工食材。凹溝によって形成されている多角形が連続して複数個、一方側の面に、形成されている。あるいは、凹溝によって形成されている多角形が連続して複数個、一方側の面に、形成されていると共に、一方側の前記面に対向する他方側の面における、一方側の前記面に前記凹溝が形成されている位置に対応する位置に、前記凹溝に対応して凸条が形成され、他方側の前記面における一方側の前記面に前記多角形が形成されている位置に対応する位置に、前記凸条によって、一方側の前記面に形成されている前記多角形の形状に対応する形状の多角形が連続して複数個形成されている。赤イカの耳の加工食材に対して調味加工してなる、扁平な薄片状の、赤イカの耳の加工食品。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤イカの耳を利用した扁平な薄片状の加工食材であって、
凹溝によって形成されている多角形が連続して複数個、一方側の面に、形成されている
赤イカの耳の加工食材。
【請求項2】
赤イカの耳を利用した扁平な薄片状の加工食材であって、
凹溝によって形成されている多角形が連続して複数個、一方側の面に、形成されていると共に、
一方側の前記面に対向する他方側の面における、一方側の前記面に前記凹溝が形成されている位置に対応する位置に、前記凹溝に対応して凸条が形成され、他方側の前記面における一方側の前記面に前記多角形が形成されている位置に対応する位置に、前記凸条によって、一方側の前記面に形成されている前記多角形の形状に対応する形状の多角形が連続して複数個形成されている
赤イカの耳の加工食材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の赤イカの耳の加工食材に対して調味加工してなる、扁平な薄片状の、赤イカの耳の加工食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大型の生イカ(烏賊)(例えば、赤イカ(赤烏賊))を加工して調製したイカ加工食材(烏賊加工食材)及び、イカ加工食品(烏賊加工食品)に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の生イカ(烏賊)(例えば、縦横のサイズで30cm位以上であるイカ(烏賊))を加工した喫食可能な加工イカ(加工烏賊)に関しては従来から種々の提案が行われている。以下、本明細書では「イカ」という表示を用いている。
【0003】
本願出願人も、大型生イカの胴部を切り開いて頭、腕及び内臓、骨(甲)を取り出した後、80℃~90℃の熱湯に短時間(1分~5分)浸漬し、ついで洗浄して外皮及び汚物を除去した後、低温通風下で乾燥し、水分50%~70%になった時に、前記イカを拡げて、複数のイカを開いた形に成形した後、自然乾燥又は低温通風乾燥する大型イカの加工方法と、これによって製造した加工イカを提案している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大型のイカとして赤イカが知られている。赤イカは、一般的に、体長45cm程度以上になる大型のイカである。
図3にその一般的な外観を例示しているが、両耳全体が菱形形状で、片方ごとの耳は三角形状である。
【0006】
この発明は、赤イカの耳を原材料に使用している赤イカの耳の加工食材及び、赤イカの耳の加工食品を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]
赤イカの耳を利用した扁平な薄片状の加工食材であって、
凹溝によって形成されている多角形が連続して複数個、一方側の面に、形成されている
赤イカの耳の加工食材。
【0008】
[2]
赤イカの耳を利用した扁平な薄片状の加工食材であって、
凹溝によって形成されている多角形が連続して複数個、一方側の面に、形成されていると共に、
一方側の前記面に対向する他方側の面における、一方側の前記面に前記凹溝が形成されている位置に対応する位置に、前記凹溝に対応して凸条が形成され、他方側の前記面における一方側の前記面に前記多角形が形成されている位置に対応する位置に、前記凸条によって、一方側の前記面に形成されている前記多角形の形状に対応する形状の多角形が連続して複数個形成されている
赤イカの耳の加工食材。
【0009】
[3]
[1]又は[2]の赤イカの耳の加工食材に対して調味加工してなる、扁平な薄片状の、赤イカの耳の加工食品。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、赤イカの耳を原材料に使用している赤イカの耳の加工食材及び、赤イカの耳の加工食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る赤イカの耳の加工食材を表す図であって、(a)は表面側から見た斜視図、(b)は底面側から見た斜視図、(c)は
図1(a)におけるA-A線端面図、(d)は
図1(a)におけるB-B線端面図。
【
図2】本発明の他の実施形態に係る赤イカの耳の加工食材を表す図であって、(a)は表面側から見た斜視図、(b)は底面側から見た斜視図、(c)は
図2(a)におけるC-C線端面図、(d)は
図2(a)におけるD-D線端面図。
【
図3】本発明に係る赤イカの耳の加工食材及び赤イカの耳の加工食品の原材料となる赤イカの一般的な外観を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、この実施形態に係る、赤イカの耳を利用した、扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材1を表すものである。
【0014】
冷蔵・冷凍されている赤イカの耳を解凍した後、洗浄し、所定のサイズにスライス、カットする。この所定のサイズは、後述するように乾燥工程を経て赤イカの耳の加工食材、赤イカの耳の加工食品に調製した際に喫食しやすい、
図1に例示されるような大きさの小片になり、また、1mm~数mm程度の薄い肉厚となるようなサイズでスライス、カットを行う。
【0015】
次に、赤イカのような大きいサイズのイカはアンモニアを大量に含んでいるため、その成分によるえぐ味を除去すべく、除酸処理を行う。除酸処理としては、上記のように、肉薄、小片にスライス、カットされているものを重曹などに漬け込むことで実施される。
【0016】
除酸処理後の、上記のように、肉薄、小片にスライス、カットされているものを乾燥処理することで、この実施形態の赤イカの耳の加工食材1が調製される。
【0017】
この乾燥処理工程では、除酸処理後の、上記のように、肉薄、小片にスライス、カットされているものを、多角形の網目を有する網の上に並べて、熱風乾燥する処理が行われる。
【0018】
多角形の網目を有する網の上に並べて、熱風乾燥する際に、網に接している部分が凹溝になる。
【0019】
そこで、乾燥処理によって調整されたこの実施形態の赤イカの加工食材1では、扁平な薄片状の赤イカの加工食材1の一方側の面である表面2aに凹溝3、4、5、7、7よって形成されている多角形が連続して複数個形成されている。
【0020】
図1図示の実施形態では、乾燥工程に使用された網の網目が四角形状であったことから、凹溝3、4、5、7、7よって形成されている多角形も四角形状になって、これが、扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材1の一方側の面である表面2aにおいて、
図1(a)図示のように、連続して複数個形成されているようになる。
【0021】
図示していないが、乾燥工程に使用される網の網目の多角形状が六角形であれば、凹溝3、4、5、7、7、・・・によって形成される多角形も六角形状になって、これが、扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材1の一方側の面である表面2aにおいて、連続して複数個形成されるようになる。
【0022】
一方、乾燥に用いられた網に接していなかった、扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材1の他方側の面である底面2bは、上述した凹溝3、4、5、7、7に対応する凹凸を備えていない状態になる。
【0023】
このように調製したこの実施形態の赤イカの耳の加工食材1は、コリコリとした食感を有する赤イカの耳の加工食材となる。この赤イカの加工食材1は、箱詰めして「赤イカの耳の加工食材」商品として出荷することができる。
【0024】
箱詰めされている「赤イカの耳の加工食材」商品を購入した業者は、後述するような調味加工を行って、本発明に係る赤イカの耳の加工食品を調製して販売することができる。
【0025】
また、上述したように調製したこの実施形態の赤イカの耳の加工食材1に対して、後述するような調味加工を行って、本発明に係る赤イカの耳の加工食品を調製して販売することもできる。
【0026】
(実施の形態2)
図2は、この実施形態に係る、赤イカの耳を利用した、扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材11を表すものである。
【0027】
図2図示の扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材11は、底面12bに、凹溝13b、14b、15b、16b、17b、18bによって形成されている多角形が連続して複数個形成され、表面12aに、凸条13a、14a、15a、16a、17a、18aによって形成されている多角形が連続して複数個形成されているものである。
【0028】
図1を用いて説明した実施の形態1の扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材1は比較的肉厚であったことから、乾燥工程で網目に接していた箇所が網目に対応して窪むことで凹溝3、4、5、6、7が表面2aに形成され、凹溝3、4、5、6、7によって形成されている多角形が連続して複数個、表面2aに、形成されているものであった。
【0029】
図2図示の扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材11は、
図1図示の実施の形態1に比較すると比較的薄肉であることから、
図2図示のように、底面12bに、凹溝13b、14b、15b、16b、17b、18bによって形成されている多角形が連続して複数個形成されていると共に、表面12aに、凸条13a、14a、15a、16a、17a、18aによって形成されている多角形が連続して複数個形成されている形態になっている。
【0030】
その他に関しては実施の形態1で説明したものと同様である。
【0031】
すなわち、この実施形態でも、除酸処理後の、肉薄、小片にスライス、カットされているものを、多角形の網目を有する網の上に並べて、熱風乾燥する。多角形の網目を有する網の上に並べて熱風乾燥する際に、網に接している部分が凹溝になり、扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材11の一方側の面である底面12bに凹溝13b、14b、15b、16b、17b、18bが形成され、この凹溝13b、14b、15b、16b、17b、18bによって形成されている多角形が連続して複数個、底面12bに形成される。
【0032】
同時に、この実施形態では、実施の形態1の場合に比較して肉厚が比較的小さいことから、底面12bに凹溝13b、14b、15b、16b、17b、18bが形成されている位置に対応する表面12aに凹溝13b、14b、15b、16b、17b、18bに対応して凸条13a、14a、15a、16a、17a、18aが形成され、底面12bに形成されている上述の多角形に対応する形状の多角形が表面12a面に、凸条13a、14a、15a、16a、17a、18aによって形成されて、これが
図2(a)図示のように、連続して複数個形成されることになる。
【0033】
これによって、
図2(a)、(b)図示のように、裏面12bに対向する表面12aにおける、裏面12bに凹溝13b、14b、15b、16b、17b、18bが形成されている位置に対応する位置に、凹溝13b、14b、15b、16b、17b、18bに対応して凸条13a、14a、15a、16a、17a、18aが形成される。そして、表面12aにおける裏面12bに凹溝13b、14b、15b、16b、17b、18bによって形成されている
図2(b)図示の多角形が形成されている位置に対応する位置に、凸条13a、14a、15a、16a、17a、18aによって、裏面12bに形成されている多角形(
図2(b))の形状に対応する形状の多角形が、
図2(a)図示のように、連続して複数個形成されている。
【0034】
図2図示の実施形態でも、乾燥工程に使用された網の網目が四角形状であったことから、扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材11の、底面12bに凹溝13b、14b、15b、16b、17b、18bによって連続的に複数個形成されている多角形も、表面12aに凸条13a、14a、15a、16a、17a、18aによって連続的に複数個形成されている多角形も、四角形状になっている。
【0035】
図示していないが、乾燥工程に使用される網の網目の多角形状が六角形であれば、凹溝13b、14b、15b、16b、17b、18b、・・・、凸条13a、14a、15a、16a、17a、18a、・・・によって形成される多角形も六角形状になって、これが、扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材11の一方側、他方側の面である底面12b、表面12aにおいて、それぞれ、連続して複数個形成されているようになる。
【0036】
このように調製したこの実施形態の赤イカの耳の加工食材11も、コリコリとした食感を有する赤イカの耳の加工食材となる。この赤イカの耳の加工食材11も、箱詰めして「赤イカの耳の加工食材」商品として出荷することができる。
【0037】
箱詰めされている「赤イカの耳の加工食材」商品を購入した業者は、後述するような調味加工を行って、本発明に係る赤イカの耳の加工食品を調製して販売することができる。
【0038】
また、上述したように調製したこの実施形態の赤イカの耳の加工食材11に対して、後述するような調味加工を行って、本発明に係る赤イカの加工食品を調製して販売することもできる。
【0039】
(実施の形態3)
実施の形態1、2で説明した本発明に係る扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材1、11はそのままで赤イカの耳の加工食材として提供することができるが、これらに対して調味加工を施して本発明の実施形態に係る赤イカの耳の加工食品にすることができる。
【0040】
例えば、扁平な薄片状の赤イカの耳の加工食材1、11の表面2a、12a、底面2b、12bの一方または双方に唐辛子を付着させる、等の調味加工を行って、味付けされている本発明の実施形態に係る赤イカの耳の加工食品を調製することができる。
【0041】
コリコリとした食感を有し、唐辛子風味を有する赤イカの耳の加工食品を提供することができる。
【0042】
以上、添付図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。