(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111385
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】電動カーテンレール及び電動カーテンレールシステム
(51)【国際特許分類】
A47H 5/02 20060101AFI20230803BHJP
E05F 15/643 20150101ALI20230803BHJP
【FI】
A47H5/02
E05F15/643
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013221
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】谷川 文彦
(72)【発明者】
【氏名】土田 健治
(72)【発明者】
【氏名】高木 学
【テーマコード(参考)】
2E052
2E182
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA07
2E052EB01
2E052EC01
2E052EC02
2E052KA13
2E182AA01
2E182AC01
2E182BB27
2E182DE02
2E182DE06
2E182DE07
2E182DE19
2E182DG01
2E182EE01
2E182EF01
2E182EG03
2E182EG05
(57)【要約】
【課題】複数の電動カーテンを併設する場合に、電源の配線を単純にすることの可能な電動カーテンレールを提供する。
【解決手段】本発明によれば、電動カーテンレールであって、カーテンレールと、ランナと、駆動ユニットと、電源分岐ユニットとを備え、前記ランナは、前記カーテンレールに支持され、前記駆動ユニットは、駆動手段と、当該駆動手段を覆うカバーとを備えるとともに、前記カーテンレールから下方に延びるよう配置され、前記駆動手段は、前記ランナを前記カーテンレールに沿って移動可能とされ、前記電源分岐ユニットは、入力側端子と、出力側端子と、これらの端子及び前記駆動ユニットを電気的に接続するコードとを備え、前記入力側端子から入力された電力を前記出力側端子と前記駆動ユニットとに分岐させて出力するよう構成されており、前記電源分岐ユニットは、前記カバーに取着されている、電動カーテンレールが提供される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動カーテンレールであって、
カーテンレールと、ランナと、駆動ユニットと、電源分岐ユニットとを備え、
前記ランナは、前記カーテンレールに支持され、
前記駆動ユニットは、駆動手段と、当該駆動手段を覆うカバーとを備えるとともに、前記カーテンレールから下方に延びるよう配置され、
前記駆動手段は、前記ランナを前記カーテンレールに沿って移動可能とされ、
前記電源分岐ユニットは、入力側端子と、出力側端子と、これらの端子及び前記駆動ユニットを電気的に接続するコードとを備え、前記入力側端子から入力された電力を前記出力側端子と前記駆動ユニットとに分岐させて出力するよう構成されており、
前記電源分岐ユニットは、前記カバーに取着されている、電動カーテンレール。
【請求項2】
請求項1に記載の電動カーテンレールであって、
前記電源分岐ユニットは、その長手方向と前記カーテンレールの長手方向とが交差する向きになるよう前記カバーに取着されている、電動カーテンレール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電動カーテンレールであって、
左右一対のプーリと、無端状の移送用ベルトとを備え、
前記移送用ベルトは、前記一対のプーリに掛装され、
前記駆動手段は、前記プーリを回転可能に構成される駆動モータであって、
前記ランナは、前記駆動モータの駆動により前記移送用ベルトが正逆方向に移動することで左右に移動するよう構成されている、電動カーテンレール。
【請求項4】
請求項3に記載の電動カーテンレールであって、
前記一対のプーリを回転可能に支持する左プーリケース及び右プーリケースを備えており、
前記左プーリケース及び前記右プーリケースにはそれぞれケーブル保持機構が形成されており、
当該ケーブル保持機構は、前記出力側端子と、隣接する電動カーテンレールの前記入力側端子とを接続する分岐ケーブルを保持するよう構成される、電動カーテンレール。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の電動カーテンレールであって、
前記入力側端子及び前記出力側端子は、同一の方向を向くよう配置されている、電動カーテンレール。
【請求項6】
請求項5に記載の電動カーテンレールであって、
前記電源分岐ユニットは、少なくとも前記入力側端子及び前記出力側端子と同一の方向に開口部を有するケースを備える、電動カーテンレール。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれかに記載の電動カーテンレールを備えた第1電動カーテンレールと、請求項1~請求項6のいずれかに記載の電動カーテンレールを備えた第2電動カーテンレールとを備えた電動カーテンレールシステムであって、
電源ケーブルと、分岐ケーブルとをさらに備え、
前記第1電動カーテンレールの入力側端子に前記電源ケーブルが接続され、前記第1電動カーテンレールの出力側端子に前記分岐ケーブルの一端が接続され、前記第2電動カーテンレールの入力側端子に前記分岐ケーブルの他端が接続される、電動カーテンレールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動カーテンレール及び、電動カーテンレールを複数備えた電動カーテンレールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーテン生地を吊下支持するとともに、当該カーテン生地を自動で開閉することの可能な電動カーテンレールがある。例えば、特許文献1には、カーテンレール内に無端状の移送用ベルトを掛装し、モータユニットの駆動力により移送用ベルトを正逆方向に移動させることで先頭ランナを左右に移動させ、カーテン生地を開閉するよう構成された電動カーテンレールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は電動カーテンを設置する形態が多様化してきており、複数の電動カーテンを併設することもなされている。しかしながら、複数の電動カーテンを併設する場合に、個々の電動カーテンレールごとに電源ケーブルを配設してコンセントに接続すると、電源ケーブルが煩雑となる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、複数の電動カーテンを併設する場合に、電源の配線を単純にすることの可能な電動カーテンレールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、電動カーテンレールであって、カーテンレールと、ランナと、駆動ユニットと、電源分岐ユニットとを備え、前記ランナは、前記カーテンレールに支持され、前記駆動ユニットは、駆動手段と、当該駆動手段を覆うカバーとを備えるとともに、前記カーテンレールから下方に延びるよう配置され、前記駆動手段は、前記ランナを前記カーテンレールに沿って移動可能とされ、前記電源分岐ユニットは、入力側端子と、出力側端子と、これらの端子及び前記駆動ユニットを電気的に接続するコードとを備え、前記入力側端子から入力された電力を前記出力側端子と前記駆動ユニットとに分岐させて出力するよう構成されており、前記電源分岐ユニットは、前記カバーに取着されている、電動カーテンレールが提供される。
【0007】
本発明によれば、複数の電動カーテンを併設する場合において、電動カーテンレールごとに電源ケーブルを接続しなくても、電源分岐ユニットにより各電動カーテンレールの駆動ユニットを電気的に接続することが可能となっている。また、電源分岐ユニットがカーテンレールではなくその下方の駆動ユニットのカバーに取着されていることで、電源ケーブルや他の電動カーテンレールと接続するための分岐ケーブルを容易に接続することが可能となっている。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0009】
好ましくは、前記電源分岐ユニットは、その長手方向と前記カーテンレールの長手方向とが交差する向きになるよう前記カバーに取着されている。
【0010】
好ましくは、左右一対のプーリと、無端状の移送用ベルトとを備え、前記移送用ベルトは、前記一対のプーリに掛装され、前記駆動手段は、前記プーリを回転可能に構成される駆動モータであって、前記ランナは、前記駆動モータの駆動により前記移送用ベルトが正逆方向に移動することで左右に移動するよう構成されている。
【0011】
好ましくは、前記一対のプーリを回転可能に支持する左プーリケース及び右プーリケースを備えており、前記左プーリケース及び前記右プーリケースにはそれぞれケーブル保持機構が形成されており、当該ケーブル保持機構は、前記出力側端子と、隣接する電動カーテンレールの前記入力側端子とを接続する分岐ケーブルを保持するよう構成される。
【0012】
好ましくは、前記入力側端子及び前記出力側端子は、同一の方向を向くよう配置されている。
【0013】
好ましくは、前記電源分岐ユニットは、少なくとも前記入力側端子及び前記出力側端子と同一の方向に開口部を有するケースを備える。
【0014】
また、本発明によれば、上記の電動カーテンレールを備えた第1電動カーテンレールと、上記の電動カーテンレールを備えた第2電動カーテンレールとを備えた電動カーテンレールシステムであって、電源ケーブルと、分岐ケーブルとをさらに備え、前記第1電動カーテンレールの入力側端子に前記電源ケーブルが接続され、前記第1電動カーテンレールの出力側端子に前記分岐ケーブルの一端が接続され、前記第2電動カーテンレールの入力側端子に前記分岐ケーブルの他端が接続される、電動カーテンレールシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電動カーテンレール1を示す斜視図である。
【
図2】
図1の電動カーテンレール1にカーテン生地102を取り付けて電動カーテン100を構成した様子を示す正面図である。
【
図3】
図1の電動カーテンレール1の平面図である。
【
図4】
図3の平面図における、先頭ランナ3Aが配置される近傍の要部拡大図である。
【
図6】
図1の電動カーテンレール1のモータユニット4及び電源分岐ユニット5の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図1の電動カーテンレール1に電源分岐ユニット5を取り付ける様子を示す説明図である。
【
図8】
図8A及び
図8Bは、
図6の電源分岐ユニット5の入力側端子50と電源ケーブル103、出力側端子51と分岐ケーブル104を接続する様子を示す説明図である。
【
図9】
図9A及び
図9Bは、
図6の電源分岐ユニット5の入力側端子50と分岐ケーブル104、出力側端子51と分岐ケーブル104を接続する様子を示す説明図である。
【
図10】
図10A及び
図10Bは、
図6の電源分岐ユニット5の入力側端子50と分岐ケーブル104のみを接続する様子を示す説明図である。
【
図11】
図1の電動カーテンレール1の右プーリケース63を示す平面図である。
【
図12】
図1の電動カーテンレール1の左プーリケース64を示す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る電動カーテンレール1を左右に2つ併設した様子を示す斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る電動カーテンレール1を前後に2つ併設した様子を示す斜視図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る電動カーテンレール1を前後及び左右に4つ併設した様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0017】
1.電動カーテンレール1の構成
本発明の一実施形態に係る電動カーテンレール1は、
図1に示すように、カーテンレール2と、ランナとしての先頭ランナ3A及び複数の従属ランナ3Bと、駆動ユニットとしてのモータユニット4と、電源分岐ユニット5と、移送手段6(
図6参照)とを備える。
【0018】
ここで、本明細書では、
図1に示す電動カーテンレール1の正面に対して、図の上方及び図の下方をカーテン生地102(
図2参照)の吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義する。また、
図1の左右方向、言い換えると、カーテンレール2の長手方向を左側及び右側と定義する(
図3も参照)。加えて、
図1において視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。以下、上記本実施形態の電動カーテンレール1の各構成について詳細に説明する。
【0019】
カーテンレール2は、複数(
図1では2つ)のブラケット101により、建物等の取付面(例えば、窓枠や壁面、天井等)に固定される。カーテンレール2には、先頭ランナ3A及び従属ランナ3Bが左右方向に移動可能に支持される。また、カーテンレール2の右端には右プーリケース63が取着され、カーテンレール2の左端には左プーリケース64が取着されている。右プーリケース63及び左プーリケース64の構成については後述する。
【0020】
先頭ランナ3Aは、
図4に示すように、本体部30と、走行ローラ31と、ランナアーム32と、ベルトジョイント33とを備える。本体部30は、薄板状に形成され、走行ローラ31と、ランナアーム32と、ベルトジョイント33とが取り付けられる。走行ローラ31は、本体部30に回転可能に支持され、
図5に示すカーテンレール2の下辺20に沿って左右方向に走行可能とされる。ランナアーム32は、カーテン生地102の左端部を吊下支持するものであり、本体部30よりも前方且つ左側の位置においてカーテン生地102を支持するよう、細長い板状の部材が折り曲げられて構成されている。
【0021】
また、ベルトジョイント33は、後述する移送手段6の移送用ベルト62を前後から挟持することで当該移送用ベルト62に固定されるよう構成されている。このような構成により、先頭ランナ3Aは、後述するモータユニット4の駆動モータ42の駆動により移送用ベルト62が正逆方向に移動することでカーテンレール2に沿って左右に移動するようになっている。
【0022】
複数の従属ランナ3Bは、先頭ランナ3Aよりも右側(モータユニット4側)の位置において、カーテンレール2に支持される。従属ランナ3Bも、先頭ランナ3Aと同様の走行ローラ31(図示せず)を備え、カーテンレール2に沿って左右方向に走行可能とされる。そして、先頭ランナ3A及び従属ランナ3Bには、
図2に示すように、カーテン生地102が吊り下げ支持され、先頭ランナ3Aが左右に移動することにより、カーテン生地102が開閉するようになっている。電動カーテンレール1にカーテン生地102を吊り下げることで、カーテン生地102を電動で開閉可能な電動カーテン100が構成される。
【0023】
モータユニット4は、
図1に示すように、カーテンレール2の右端部から下方に延びるように配置される。モータユニット4は、
図6のブロック図に示すように、電源基板40と、制御基板41と、駆動手段としての駆動モータ42と、エンコーダ43と、カバー44(
図1参照)とを備える。
【0024】
電源基板40は、電源ケーブル103及び電源分岐ユニット5を介して供給されたAC電力をDC電力に変換する。このDC電力によって、駆動モータ42、制御基板41及びエンコーダ43等が動作する。制御基板41には、制御に必要なプログラムが記録されており、電動カーテンレール1は、このプログラムに従って動作する。また、制御基板41は、有線又は無線により操作部(図示せず)と通信可能とされ、ユーザが操作部を介して電動カーテンレール1の動作を制御可能となっている。
【0025】
駆動モータ42は、供給された電力により出力軸45を回転させる。出力軸45は、後述する移送手段6の右プーリ60に接続される。エンコーダ43は、出力軸45の回転角度を検出する。本実施形態の制御基板41は、出力軸45の回転角度を取得することで、先頭ランナ3Aの位置、すなわち、カーテン生地102の開閉状態を検知するようになっている。
【0026】
カバー44は、有底で且つ断面形状が略矩形の筒状に形成され、カバー44の上端は、右プーリケース63に取着される。カバー44は、上述した電源基板40、制御基板41、駆動モータ42及びエンコーダ43を内部に保持する。また、本実施形態のカバー44は、
図7に示すように、その左側の左側壁44aに、電源分岐ユニット5を取着するための上下一対の取付孔44bを有している。
【0027】
電源分岐ユニット5は、
図6~
図10Bに示すように、入力側端子50と、出力側端子51と、接続コード52と、ケース53(
図7~
図10B参照)とを備える。入力側端子50は、メス端子とされ、
図8Aに示す電源ケーブル103のオス端子103b又は
図9A、
図10Aに示す分岐ケーブル104のオス端子104bと連結可能に構成されている。出力側端子51は、オス端子とされ、
図9Aに示す分岐ケーブル104のメス端子104aと連結可能に構成されている。また、本実施形態において、入力側端子50及び出力側端子51は、
図8A、
図9A及び
図10Aに示すように、同一の方向、具体的には、上方向を向くように配置されている。
【0028】
ここで、電源ケーブル103は、一端に商用電源を供給するコンセントに接続するための電源プラグ103aを備え、他端にオス端子103bを備える。本実施形態の電動カーテンレール1は、電源ケーブル103を介してコンセントから電力の供給を受ける。また、分岐ケーブル104は、一端にメス端子104aを備え、他端にオス端子104bを備える。分岐ケーブル104は、1つの電動カーテンレール1から、他の電動カーテンレール1に電力を分配するために用いられる。なお、メス端子同士及びオス端子同士は連結不能となっており、誤配線を防止することが可能となっている。
【0029】
接続コード52は、入力側端子50、出力側端子51及びモータユニット4の電源基板40を電気的に接続する。接続コード52は、具体的には、分岐された配線によって構成され、一端が入力側端子50に接続され、他端が分岐して出力側端子51及び電源基板40に接続されている。このような構成により、本実施形態の電源分岐ユニット5は、入力側端子50から入力された電力を出力側端子51とモータユニット4の電源基板40とに分岐させて出力するようになっている。
【0030】
ケース53は、
図1及び
図7に示すように、一方向(モータユニット4に取り付ける際の右方向)に開口する箱状に形成される。ケース53は、左壁53a、前壁53b、後壁53c、上壁53d及び下壁53eを備える。左壁53a、前壁53b及び後壁53cは上下方向に長い板状となっており、したがって、本実施形態のケース53は上下方向が長手方向となるよう構成されている。
【0031】
左壁53aの中央からは、
図7に示すように、右方向に向かって上下一対の固定軸部53fが設けられている。固定軸部53fの先端はスナップフィット形状となっており、モータユニット4のカバー44の左側壁44aに形成された取付孔44bに嵌め込むことで、電源分岐ユニット5(ケース53)をモータユニット4のカバー44に取着できるようになっている。
【0032】
なお、
図1に示すように、ケース53がモータユニット4に固定された状態においては、モータユニット4の左側壁44aとケース53の左壁53aとが略平行に配置されることになる。このような配置により、電源分岐ユニット5は、その長手方向(すなわち、上下方向)とカーテンレール2の長手方向(すなわち、左右方向)とが交差する向き、具体的には直交する向きになるようモータユニット4に取着されることになる。
【0033】
また、
図1、
図7及び
図8A~
図10Bに示すように、上壁53dには、電源ケーブル103、分岐ケーブル104及び接続コード52を引き出すための開口部53gが設けられている。なお、本実施形態において、開口部53gは、入力側端子50及び出力側端子51の方向と一致するよう、上壁53dに設けられており、したがって、開口部53gはケース53における上方向の位置に設けられていることになる。
【0034】
移送手段6は、モータユニット4の駆動モータ42の駆動力を伝達して先頭ランナ3Aを左右に移動させるよう構成される。移送手段6は、具体的には、
図6に示すように、左右一対のプーリとしての右プーリ60及び左プーリ61と、移送用ベルト62とを備える。右プーリ60は、カーテンレール2の右端の位置に設けられ、左プーリ61は、カーテンレール2の左端の位置に設けられる。右プーリ60は、その回転軸が鉛直方向となるよう、右プーリケース63(
図1及び
図11参照)に回転可能に支持され、左プーリ61は、その回転軸が鉛直方向となるよう、左プーリケース64(
図1及び
図12)に回転可能に支持される。
【0035】
移送用ベルト62は、無端状に形成され、右プーリ60及び左プーリ61に掛装されている。また、移送用ベルト62は、
図4及び
図5に示すように、カーテンレール2内に配置される。
【0036】
右プーリ60には、駆動モータ42の出力軸45が接続されており、駆動モータ42の正逆方向の回転に伴って右プーリ60も正逆方向に回転するようになっている。そして、右プーリ60が正逆方向に回転することにより、移送用ベルト62が正逆方向に移動し、移送用ベルト62に取着された先頭ランナ3Aが左右に移動するようになっている。なお、駆動モータ42と右プーリ60の間には、適宜クラッチや変速装置(図示せず)を設けることも好適である。
【0037】
右プーリケース63及び左プーリケース64は、
図1及び
図3に示すように、前後方向の幅と高さが、カーテンレール2より若干大きい略長四角形の箱状に形成され、その側面は前後方向にわずかに膨らむ曲面となっている。右プーリケース63は、その左側に形成された開口とカーテンレール2の右端を嵌合させることでカーテンレール2の右端に固定される。左プーリケース64は、その右側に形成された開口とカーテンレール2の左端を嵌合させることでカーテンレール2の左端に固定されている。
【0038】
また、右プーリケース63の前面左側には、フック65が係止されている。フック65は、カーテン生地102の右端を支持するための吊下部65aを備えている。本実施形態において、フック65の係止位置は、右プーリケース63の前面左側から左面前側にかけて変更可能となっている。そして、カーテン生地102の右端をフック65の吊下部65aに吊り下げることにより、モータユニット4及びその左側に設置された電源分岐ユニット5を前方、すなわち室内側から視認できないよう覆うことが可能となっている。
【0039】
加えて、
図11及び
図12に示すように、本実施形態の右プーリケース63及び左プーリケース64の上部には、それぞれケーブル保持機構63a、64aが形成されている。ケーブル保持機構63a、64aは、前後方向から互い違いに延びる複数の突起が左右方向に沿って設けられることで構成される。
【0040】
本実施形態の電動カーテンレール1では、このような構成の右プーリケース63及び左プーリケース64のケーブル保持機構63a、64aにより、分岐ケーブル104を右プーリケース63及び左プーリケース64に保持できるようになっている。なお、図示はしないが、右プーリケース63及び左プーリケース64の上面を覆うカバーを設けることも好適である。
【0041】
2.電動カーテンレール1の併設態様
次に、
図13~
図15を参照して、本実施形態に係る電動カーテンレール1を複数台併設する場合の態様について説明する。以下では、複数の電動カーテンレール1を併設した場合の全体の構成を電動カーテンレールシステム200と呼ぶ。
【0042】
まず、
図13に示す電動カーテンレールシステム200は、上述した本実施形態の電動カーテンレール1を2台、左右に併設したものである。この電動カーテンレールシステム200において、右側の電動カーテンレールを第1電動カーテンレール1A、左側の電動カーテンレールを第2電動カーテンレール1Bとする。
【0043】
この構成の場合、第1電動カーテンレール1Aでは、
図8A及び
図8Bに示すように、電源分岐ユニット5の入力側端子50に電源ケーブル103が接続され、出力側端子51に分岐ケーブル104の一端が接続される。一方、第2電動カーテンレール1Bでは、
図10A及び
図10Bに示すように、電源分岐ユニット5の入力側端子50に上記分岐ケーブル104の他端が接続され、出力側端子51には何も接続されない。
【0044】
本実施形態の電動カーテンレールシステム200は、このような構成により、第2電動カーテンレール1Bには電源ケーブル103を接続しなくても、各電動カーテンレール1A,1Bの電源分岐ユニット5によりそれぞれのモータユニット4に電力を供給することができる。つまり、本実施形態の電動カーテンレールシステム200は、コンセント一口で、複数台の電動カーテンレール1を動作させることができるように構成されている。
【0045】
なお、分岐ケーブル104は、
図4、
図11及び
図12に示すように、第1電動カーテンレール1Aの右プーリケース63のケーブル保持機構63a及び左プーリケース64のケーブル保持機構64aに保持され、カーテンレール2の上部に沿って配置される。これにより、分岐ケーブル104を視認させない態様で保持することができる。
【0046】
加えて、本実施形態の電動カーテンレールシステム200においては、分岐ケーブル104の両端をそれぞれ接続する前に、分岐ケーブル104を第1電動カーテンレール1Aのケーブル保持機構63a,64aに保持させた状態で、ブラケット101を介して第1電動カーテンレール1Aのカーテンレール2を先に建物等の取付面に取り付けることができる。
【0047】
そして、ケーブル保持機構63a,64aから引き出された分岐ケーブル104は、カーテンレール2を取り付けた後、第1電動カーテンレール1Aの電源分岐ユニット5の出力側端子51及び第2電動カーテンレール1Bの電源分岐ユニット5の入力側端子50に接続することができる。このような手順で各電動カーテンレール1A,1Bを組み立て可能となっていることから、電動カーテンレールシステム200の組立性を向上させることが可能となっている。なお、この際、入力側端子50及び出力側端子51は、
図8A、
図9A及び
図10Aに示すように、同一の方向、具体的には、上方向を向くように配置されていることで、電源ケーブル103及び分岐ケーブル104を同じ方向から着脱することができ、組立性の向上が図られている。
【0048】
このように、本実施形態の電動カーテンレールシステム200では、電動カーテンレール1A,1Bの建物等の取付面への取り付けを先に行い、その後電気的な配線を行うことが可能となっている。したがって、電動カーテンレールシステム200の設置を1人でも行うことが可能となっている。
【0049】
また、電動カーテンレールシステム200は、電動カーテンレール1を3台以上併設することも可能である。この場合、中間に配置される電動カーテンレール1については、
図9A及び
図9Bに示すように、電源分岐ユニット5の入力側端子50及び出力側端子51のそれぞれに、隣接する2台の電動カーテンレール1の電源分岐ユニット5とそれぞれ接続された2本の分岐ケーブル104を接続すれば良い。
【0050】
このような場合であっても、入力側端子50をメス端子とし、出力側端子51をオス端子とするとともに、分岐ケーブル104の一端をメス端子104a、他端をオス端子104bとしていることで、誤配線を防止することが可能となっている。
【0051】
以上のように、本実施形態に係る電動カーテンレールシステム200は、例えば設置箇所の窓サイズが大きい場合や、複数の窓が併置されている場合(連窓)等において、電動カーテンレール1を複数配置する必要がある場合であっても、必要となるコンセント数が一口で良い構成である。したがって、配線の引き回しによる意匠性の低下を抑制することができる。さらに、各電動カーテンレール1A,1Bのモータユニット4の制御基板41(
図6参照)を統括制御部(図示せず)に接続すれば、統括制御部が、各電動カーテンレール1A,1Bを統括制御することも可能となる。
【0052】
また、
図14は、2台の電動カーテンレール1A,1Bを前後に併設した電動カーテンレールシステム200を示しており、
図15は、4台の電動カーテンレール1A~1Dを前後及び左右に2台ずつ併設した電動カーテンレールシステム200を示している。このような各構成であっても、電源ケーブル103は1台の電動カーテンレール1Aのみに接続すればよく、一口のコンセントにより全ての電動カーテンレールを動作させることが可能である。
【0053】
なお、
図14,
図15に示す構成のように電動カーテンレール1A,1B、電動カーテンレール1D,1Cを前後に併設する場合には、分岐ケーブル104を右プーリケース63及び左プーリケース64のケーブル保持機構63a,64aに保持させる必要はない。
【0054】
3.作用効果
以上、説明した実施形態によれば、以下に示す作用効果を得ることができる。
【0055】
(1)電動カーテンレール1A,1Bがモータユニット4のカバー44に取着された電源分岐ユニット5を備えていることで、電動カーテンレール1A,1Bごとに電源ケーブル103を接続しなくても良い構成となっている。すなわち、1つの電動カーテンレール1Aに電源ケーブル103に接続することで、電源分岐ユニット5により、各電動カーテンレール1A,1Bのモータユニット4を電気的に接続することが可能となっている。
【0056】
(2)電源分岐ユニット5がカーテンレール2ではなくその下方のモータユニット4に取着されていることで、電源ケーブル103及び分岐ケーブル104を容易に接続することが可能となっている。
【0057】
(3)電源分岐ユニット5がモータユニット4のカバー44に取着されていることで、電源ケーブル103及び分岐ケーブル104を容易に着脱することが可能となっている。
【0058】
(4)電源分岐ユニット5の入力側端子50及び出力側端子51が同一の上方向を向くように配置されていることで、電源ケーブル103及び分岐ケーブル104を同じ方向から着脱することができ、ケーブルの取り回しを容易に行うことが可能となっている。
【0059】
(5)電源分岐ユニット5のケース53が上方に開口する開口部53gを備えていることで、入力側端子50及び出力側端子51に接続された電源ケーブル103及び分岐ケーブル104を同じ開口部53gから導出させることができる。したがって、ケーブルの取り回しを容易に行うことが可能となっている。
【0060】
(6)右プーリケース63及び左プーリケース64がケーブル保持機構63a,64aを備えていることで、分岐ケーブル104をカーテンレール2に沿ってたるませることなく配設することができる。したがって、分岐ケーブル104の取り回しを容易にすることが可能となっている。そして、上記(2)~(6)により、電動カーテンレール1の組立性を向上させることが可能となっている。
【0061】
4.変形例
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0062】
上記実施形態においては、1つの電動カーテンレール1が1枚のカーテン生地102を吊下支持する構成であった。しかしながら、本発明に係る電動カーテンレール1は、左右一対のカーテン生地を吊下支持可能な構成とすることも可能である。この場合、左右一対の先頭ランナを備え、一方の先頭ランナを移送用ベルトの前方側の位置に取り付け、他方の先頭ランナを移送用ベルトの上記とは反対の後方側の位置に取り付けることで、左右一対のカーテン生地の開閉を同期させることができる。
【0063】
上記実施形態において、入力側端子50及び出力側端子51は上方向を向くよう配置されていた。しかしながら、入力側端子50及び出力側端子51の向きは、同一の方向を向いていれば、他の方向(例えば、下方向、前方向、後方向及び横方向や、斜め方向)であってもよい。そして、この場合も、ケース53の開口部53gは入力側端子50及び出力側端子51と同一の方向に設けることが好適である。
【0064】
上記実施形態において、先頭ランナ3Aは、駆動ユニット(モータユニット4)の駆動手段としての駆動モータ42の駆動力が右プーリ60を介して移送用ベルト62に伝達され、移送用ベルト62が移動することで移動する構成であった。しかしながら、先頭ランナ3Aを移動させる駆動ユニットの構成はこれに限定されない。例えば、駆動ユニットの駆動手段として電動シリンダあるいはエアシリンダを用い、シリンダの直動運動を適宜の移送手段6を介して先頭ランナ3Aに伝達して当該先頭ランナ3Aを左右方向に移動させる構成とすることも可能である。この場合も、駆動ユニットのカバー44に電源分岐ユニット5を取着することで、上記実施形態に準じた効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 :電動カーテンレール
2 :カーテンレール
3A :先頭ランナ
3B :従属ランナ
4 :モータユニット(駆動ユニット)
5 :電源分岐ユニット
6 :移送手段
20 :下辺
30 :本体部
31 :走行ローラ
32 :ランナアーム
33 :ベルトジョイント
40 :電源基板
41 :制御基板
42 :駆動モータ(駆動手段)
43 :エンコーダ
44 :カバー
44a :左側壁
44b :取付孔
45 :出力軸
50 :入力側端子
51 :出力側端子
52 :接続コード
53 :ケース
53a :左壁
53b :前壁
53c :後壁
53d :上壁
53e :下壁
53f :固定軸部
53g :開口部
60 :右プーリ
61 :左プーリ
62 :移送用ベルト
63 :右プーリケース
63a :ケーブル保持機構
64 :左プーリケース
64a :ケーブル保持機構
65 :フック
65a :吊下部
100 :電動カーテン
101 :ブラケット
102 :カーテン生地
103 :電源ケーブル
103a :電源プラグ
103b :オス端子
104 :分岐ケーブル
104a :メス端子
104b :オス端子
200 :電動カーテンレールシステム