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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111450
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】バッテリ装置及び作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20230803BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20230803BHJP
【FI】
E02F9/00 C
B60K1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013318
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】藤本 智士
(72)【発明者】
【氏名】松山 高史
(72)【発明者】
【氏名】木村 将也
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA19
3D235BB24
3D235DD28
3D235EE63
(57)【要約】
【課題】バッテリパックを簡便に交換可能なバッテリ装置及び作業機械を提供する。
【解決手段】バッテリ装置33は、第1乃至第4バッテリパック61,71,81,91と、第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92と、第1乃至第4固定ボルトB1~B4を備える。第1乃至第4バッテリパック61,71,81,91は、上下方向に積層される。第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92は、第1乃至第4バッテリパック61,71,81,91それぞれの後面T1に取り付けられる。第1乃至第4固定ボルトB1~B4は、第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92それぞれを固定する。バッテリ装置33の上面視において、第1乃至第4固定ボルトB1~B4それぞれの頭頂面は視認可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリを収容するバッテリパックと、前記バッテリパックの側面に取り付けられる1以上のブラケットを有し、上下方向に積層される複数のバッテリアセンブリを備え、
前記複数のバッテリアセンブリのうち少なくとも1つのバッテリアセンブリは、上段に位置するバッテリアセンブリに固定される2つの上段固定部と、下段に位置するバッテリアセンブリに固定される2つの下段固定部を有し、
前記2つの上段固定部間の距離は、前記2つの下段固定部間の距離と異なる、
バッテリ装置。
【請求項2】
前記複数のバッテリアセンブリそれぞれが、前記2つの上段固定部と、前記2つの下段固定部を有しており、
前記側面の延在方向における中央から前記2つの上段固定部それぞれまでの距離は、前記中央から前記2つの下段固定部それぞれまでの距離より小さく、
前記延在方向において、前記2つの上段固定部の位置は、上段に位置するバッテリアセンブリが有する前記2つの下段固定部の位置と一致し、
前記延在方向において、前記2つの下段固定部の位置は、下段に位置するバッテリアセンブリが有する前記2つの上段固定部の位置と一致する、
請求項1に記載のバッテリ装置。
【請求項3】
前記延在方向における前記2つの上段固定部の間隔は、下段に向かうほど大きく、
前記複数のブラケットにおいて、前記延在方向における前記2つの下段固定部の間隔は、下段に向かうほど大きい、
請求項2に記載のバッテリ装置。
【請求項4】
複数のバッテリを収容するバッテリパックと、前記バッテリパックの側面に取り付けられる1以上のブラケットを有し、上下方向に積層される複数のバッテリアセンブリと、
複数のバッテリアセンブリどうしを固定するための複数の固定ボルトと、
を備え、
上面視又は下面視において、前記複数の固定ボルトすべての頭頂面は視認可能である、
バッテリ装置。
【請求項5】
上面視又は下面視において、前記複数の固定ボルトは、それぞれの前記上下方向における位置に従った順で並んでいる、
請求項4に記載のバッテリ装置。
【請求項6】
前記複数のブラケットそれぞれは、前記側面の延在方向に並んだ2本の固定ボルトで固定されており、
上面視又は下面視において、前記複数のブラケットのうち一のブラケットを固定する前記2本の固定ボルトは、前記複数のブラケットのうち前記一のブラケットの下段に位置する他のブラケットを固定する前記2本の固定ボルトの内側に位置する、
請求項5に記載のバッテリ装置。
【請求項7】
走行機構と、
前記走行機構に支持される車体フレームと、
作業機及び作業機駆動部を有する作業機ユニットと、
前記走行機構及び前記作業機ユニットを作動させる電動モータと、
前記電動モータに電力を供給する請求項1乃至6のいずれかに記載のバッテリ装置と、
を備える作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリ装置及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機械の一例として電動式ショベルが開示されている。電動式ショベルは、従来の油圧ショベルが備えていたエンジンに代えて、バッテリ装置に蓄えられた電力によって駆動される電動モータを備える。電動モータは、作業機の油圧シリンダに圧油を供給するための油圧ポンプを駆動する。
【0003】
電動式ショベルでは、電動モータを駆動するために多数のバッテリが必要とされる一方で旋回半径を小さくする必要もある。
【0004】
そこで、特許文献1に記載のバッテリ装置では、複数のバッテリを収容する複数のバッテリパックが上下方向に積層されるとともに、旋回フレーム上に立てられた支柱に各バッテリパックが固定ボルトによって側方から固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-202065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バッテリ装置は他の構造部材に取り囲まれているため、各固定ボルトに側方からアクセスするのは困難である。
【0007】
そのため、バッテリパックを交換する必要が生じた場合には、旋回フレームから支柱を取り外したうえでバッテリ装置全体を作業機械の外部に取り出す必要があり煩雑である。
【0008】
本開示は、バッテリパックを簡便に交換可能なバッテリ装置及び作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係るバッテリ装置は、複数のバッテリアセンブリを備える。複数のバッテリアセンブリそれぞれは、バッテリパックとブラケットを有する。バッテリパックは、複数のバッテリを収容する。ブラケットは、バッテリパックの側面に取り付けられる。複数のバッテリアセンブリのうち少なくとも1つのバッテリアセンブリは、上段に位置するバッテリアセンブリに固定される2つの上段固定部と、下段に位置するバッテリアセンブリに固定される2つの下段固定部を有する。2つの上段固定部間の距離は、2つの下段固定部間の距離と異なる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、バッテリパックを簡便に交換可能なバッテリ装置及び作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る電動式ショベルの斜視図である。
図2】実施形態に係るバッテリ装置の分解斜視図である。
図3】実施形態に係るバッテリ装置の後面図である。
図4】実施形態に係るバッテリ装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(電動式ショベル)
本実施形態に係る電動式ショベル1(「作業機械」の一例)の構成について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、電動式ショベル1を右後ろから見た斜視図である。本明細書において、「上」及び「下」は、鉛直方向における上方及び下方を意味する。本明細書において、「前」及び「後」は、電動式ショベル1の前後方向における前方及び後方を意味し、「左」及び「右」は、電動式ショベル1の前方を向いたときの左方及び右方を意味する。
【0014】
図1に示すように、電動式ショベル1は、下部走行体2と上部旋回体3と作業機ユニット4とキャブ5を備える。
【0015】
下部走行体2は、トラックフレーム20と、駆動輪21と従動輪22と履帯23を有する。トラックフレーム20は、前後方向に延びる。駆動輪21は、トラックフレーム20の後端部に支持される。従動輪22は、トラックフレーム20の前端部に支持される。履帯23は、駆動輪21と従動輪22に掛け渡される。
【0016】
上部旋回体3は、下部走行体2の上方に配置される。上部旋回体3は、下部走行体2に対して旋回可能である。上部旋回体3は、旋回フレーム31(「車体フレーム」の一例)と車体カバー32を有する。旋回フレーム31は、下部走行体2の上方に配置される。旋回フレーム31は、下部走行体2に支持される。車体カバー32は、旋回フレーム16上の空間を覆う。図1では、車体カバー32の内部が透けて見えるように図示されている。車体カバー32の内部は、第1領域S1と第2領域S2と第3領域S3に仕切られている。第1領域S1、第2領域S2及び第3領域S3は、完全に隔離されている必要はなく、互いに繋がっていてもよい。
【0017】
第1領域S1には、バッテリ装置33が配置される。バッテリ装置33は、旋回フレーム31の後端部上に配置される。バッテリ装置33は、従来の油圧ショベルが備えていたカウンタウェイトとしても機能する。バッテリ装置33の構成については後述する。
【0018】
第2領域S2は、第1領域S1の上方に設けられる。第2領域S2には、BTMS(バッテリサーマルマネジメントシステム)34とDC/DCコンバータ35が配置される。BTMS34は、バッテリ装置33の熱劣化を抑制するために、バッテリ装置33を所望の温度範囲内に制御する。DC/DCコンバータ35は、バッテリ装置33から供給される直流電力の電圧を降下させる。
【0019】
第3領域S3は、第1領域S1及び第2領域S2の側方に設けられる。第3領域S3には、インバータ36と、電動モータ37と、油圧ポンプ38とコントロールバルブ39が配置される。インバータ36は、DC/DCコンバータ35から供給される直流電力を所望周波数の交流電力に変換するインバータ回路と、インバータ回路を制御するマイクロコンピュータを有する。電動モータ37は、インバータ36から供給される交流電力で駆動する。電動モータ37は、下部走行体2及び作業機ユニット4を作動させる。具体的には、電動モータ37は、下部走行体2及び作業機ユニット4に圧油を供給するための油圧ポンプ38を駆動させることによって、下部走行体2及び作業機ユニット4を作動させる。油圧ポンプ38は、電動モータ37によって駆動される。油圧ポンプ38は、コントロールバルブ39を介して、下部走行体2及び作業機ユニット4に圧油を供給する。
【0020】
作業機ユニット4は、作業機40と作業機駆動部41を有する。作業機40は、ブーム42とアーム43とバケット44を含む。作業機駆動部41は、ブームシリンダ45とアームシリンダ46とバケットシリンダ46を含む。ブームシリンダ45、アームシリンダ46及びバケットシリンダ46は、油圧ポンプ38から供給される圧油によって作動する。
【0021】
キャブ5は、旋回フレーム31の前端部上に配置される。キャブ5内には、運転者が着座する座席と、下部走行体2や作業機ユニット4などの操作を行うための各種操作レバーが配置される。
【0022】
(バッテリ装置)
本実施形態に係るバッテリ装置33の構成について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図2は、バッテリ装置33の分解斜視図である。
【0024】
本実施形態に係るバッテリ装置33は、第1乃至第4バッテリアセンブリ6~9を備える。第1乃至第4バッテリアセンブリ6~9は、上下方向に積層される。第1乃至第4バッテリアセンブリ6~9は、下からこの順で配置される。第1バッテリアセンブリ6は最下段のバッテリアセンブリであり、第4バッテリアセンブリ9は最上段のバッテリアセンブリである。なお、本明細書において、上下方向に積層されるとは、2つの部材が上下に隣接していることを意味し、2つの部材が直接接触する形態と2つの部材の間に隙間が存在する形態とを含む概念である。
【0025】
図2に示すように、第1バッテリアセンブリ6は、第1バッテリパック61と第1後ブラケット62と第1前ブラケット63を有する。第2バッテリアセンブリ7は、第2バッテリパック71と第2後ブラケット72と第2前ブラケット73を有する。第3バッテリアセンブリ8は、第3バッテリパック81と第3後ブラケット82と第3前ブラケット83を有する。第4バッテリアセンブリ9は、第4バッテリパック91と第4後ブラケット92と第4前ブラケット93を有する。
【0026】
第1乃至第4バッテリパック61,71,81,91は、上下方向に積層される。第1乃至第4バッテリパック61,71,81,91は、下からこの順で配置される。第1乃至第4バッテリパック61,71,81,91が電気的に接続されることで、バッテリ回路が構成される。
【0027】
第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92は、上下方向に積層される。第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92は、下からこの順で配置される。第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92は、「複数のブラケット」の一例である。
【0028】
第1乃至第4前ブラケット63,73,83,93は、上下方向に積層される。第1乃至第4前ブラケット63,73,83,93は、下からこの順で配置される。第1乃至第4前ブラケット63,73,83,93は、「複数のブラケット」の一例である。
【0029】
ここで、第1乃至第4バッテリアセンブリ6~9それぞれの基本構成は共通しているので、代表として第1バッテリアセンブリ6の基本構成について説明する。
【0030】
第1バッテリパック61は、内部に複数のバッテリ(不図示)を収容する。複数のバッテリは、第1バッテリパック61の内部において横方向に並べられる。本実施形態において、第1バッテリパック61の外形は、左右方向に延びる直方体状である。第1バッテリパック61は、後面T1と前面T2を有する。後面T1及び前面T2それぞれは、「側面」の一例である。本実施形態において、後面T1及び前面T2それぞれは、左右方向に長く延びる。後面T1の両端部それぞれには、連結孔61aが2つずつ形成されている。また、図示しないが、前面T2の両端部それぞれにも、連結孔61aが2つずつ形成されている。
【0031】
第1後ブラケット62は、第1バッテリパック61の後面T1に取り付けられる。第1後ブラケット62は、第1バッテリパック61を後方から支持する。
【0032】
第1後ブラケット62は、本体部64と2つの上段固定部65と2つの下段固定部66と2つのリブ67を有する。
【0033】
本体部64は、板状に形成される。本体部64は、左右方向に長く延びる。本体部64は、第1バッテリパック61の後面T1に沿って配置される。本体部64の両端部それぞれには、前後に開口する挿通孔(不図示)が2つずつ形成されており、各挿通孔には連結ボルト64aが挿通されている。連結ボルト64aは、第1バッテリパック61の後面T1に形成された連結孔61aにねじ込まれる。これによって、第1後ブラケット62が第1バッテリパック61に連結される。
【0034】
2つの上段固定部65は、後面T1の延在方向(本実施形態では、左右方向)において離れている。各上段固定部65は、板状に形成される。各上段固定部65は、本体部64の上端部から後方に突出する。各上段固定部65には、上下に開口する挿通孔65aが1つずつ形成されている。各上段固定部65の下面には、挿通孔65aの開口に合った位置にナット65bが固定されている。ナット65bには、後述する第2固定ボルトB2が締め付け固定される。これによって、上段に位置する第2後ブラケット72が第1後ブラケット62に固定される。
【0035】
2つの下段固定部66は、後面T1の延在方向において離れている。各下段固定部66は、板状に形成される。各下段固定部66は、本体部64の下端部から後方に突出する。各下段固定部66には、上下に開口する挿通孔(不図示)が1つずつ形成されており、各挿通孔には後述する第1固定ボルトB1が挿通されている。第1固定ボルトB1は、旋回フレーム31の上面に形成された固定孔31a(図3参照)にねじ込まれる。これによって、第1後ブラケット62が、旋回フレーム31に固定される。
【0036】
2つのリブ67は、後面T1の延在方向において離れている。各リブ67は、板状に形成される。各リブ67は、上段固定部65及び下段固定部66に接続される。各リブ67は、上段固定部65及び下段固定部66の補強部材である。
【0037】
第1前ブラケット63は、第1バッテリパック61の前面T2に取り付けられる。第1前ブラケット63は、第1バッテリパック61を前方から支持する。第1前ブラケット63の構成は、第1後ブラケット62の構成と同じである。
【0038】
(ブラケットの固定構造)
次に、ブラケット同士の固定構造について、図面を参照しながら説明する。第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92の固定構造は、第1乃至第4前ブラケット63,73,83,93の固定構造と同じである。そのため、以下においては、第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92の固定構造について説明する。
【0039】
図3は、旋回フレーム31上に配置されたバッテリ装置33の後面図である。
【0040】
第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92それぞれは、互いに2本の固定ボルトで固定される。これによって、第1乃至第4バッテリアセンブリ6~9どうしが固定される。具体的には、次に説明する通りである。
【0041】
第1後ブラケット62は、旋回フレーム31上に配置される。第1後ブラケット62の各下段固定部66は、第1固定ボルトB1によって旋回フレーム31に固定される。2本の第1固定ボルトB1は、第1バッテリパック61の後面T1の延在方向に並んでいる。
【0042】
第2後ブラケット72は、第1後ブラケット62上に配置される。第2後ブラケット72の各下段固定部66は、第2固定ボルトB2によって第1後ブラケット62の各上段固定部65に固定される。2本の第2固定ボルトB2は、第2バッテリパック71の後面T1の延在方向に並んでいる。
【0043】
第3後ブラケット82は、第2後ブラケット72上に配置される。第3後ブラケット82の各下段固定部66は、第3固定ボルトB3によって第2後ブラケット72の各上段固定部65に固定される。2本の第3固定ボルトB3は、第3バッテリパック81の後面T1の延在方向に並んでいる。
【0044】
第4後ブラケット92は、第3後ブラケット82上に配置される。第4後ブラケット92の各下段固定部66は、第4固定ボルトB4によって第3後ブラケット82の各上段固定部65に固定される。2本の第4固定ボルトB4は、第4バッテリパック91の後面T1の延在方向に並んでいる。
【0045】
第1後ブラケット62において、2つの上段固定部65間の距離L1は、2つの下段固定部66間の距離L2と異なる。具体的には、2つの上段固定部65間の距離L1は、2つの下段固定部66間の距離L2より小さい。後面T1の延在方向における後面T1の中央CLから2つの上段固定部65それぞれまでの距離(L1の半分)は、中央CLから2つの下段固定部66それぞれまでの距離(L2の半分)より小さい。
【0046】
第2後ブラケット72において、2つの上段固定部65間の距離L3は、2つの下段固定部66間の距離L4と異なる。具体的には、2つの上段固定部65間の距離L3は、2つの下段固定部66間の距離L4より小さい。第2後ブラケット72において、中央CLから2つの上段固定部65それぞれまでの距離(L3の半分)は、中央CLから2つの下段固定部66それぞれまでの距離(L4の半分)より小さい。
【0047】
第3後ブラケット82において、2つの上段固定部65間の距離L5は、2つの下段固定部66間の距離L6と異なる。具体的には、2つの上段固定部65間の距離L5は、2つの下段固定部66間の距離L6より小さい。中央CLから2つの上段固定部65それぞれまでの距離(L5の半分)は、中央CLから2つの下段固定部66それぞれまでの距離(L6の半分)より小さい。
【0048】
第4後ブラケット92において、2つの上段固定部65間の距離L7は、2つの下段固定部66間の距離L8と異なる。具体的には、2つの上段固定部65間の距離L7は、2つの下段固定部66間の距離L8より小さい。第4後ブラケット92において、中央CLから2つの上段固定部65それぞれまでの距離(L7の半分)は、中央CLから2つの下段固定部66それぞれまでの距離(L8の半分)より小さい。
【0049】
なお、第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92それぞれにおいて、中央CLから2つの上段固定部65それぞれまでの距離は均等であり、中央CLから2つの下段固定部66それぞれまでの距離は均等である。
【0050】
後面T1の延在方向において、第2後ブラケット72が有する2つの上段固定部65の位置は、第2後ブラケット72の上段に位置する第3後ブラケット82が有する2つの下段固定部66の位置と一致する。第2後ブラケット72が有する2つの上段固定部65間の距離L3は、第3後ブラケット82が有する2つの下段固定部66間の距離L6と同じである。
【0051】
後面T1の延在方向において、第2後ブラケット72が有する2つの下段固定部66の位置は、第2後ブラケット72の下段に位置する第1後ブラケット62が有する2つの上段固定部65の位置と一致する。第2後ブラケット72が有する2つの下段固定部66間の距離L4は、第1後ブラケット62における2つの上段固定部65間の距離L1と同じである。
【0052】
後面T1の延在方向において、第3後ブラケット82が有する2つの上段固定部65の位置は、第3後ブラケット82の上段に位置する第4後ブラケット92が有する2つの下段固定部66の位置と一致する。第3後ブラケット82が有する2つの上段固定部65間の距離L5は、第4後ブラケット92が有する2つの下段固定部66間の距離L8と同じである。
【0053】
後面T1の延在方向において、第3後ブラケット82が有する2つの下段固定部66の位置は、第3後ブラケット82の下段に位置する第2後ブラケット72が有する2つの上段固定部65の位置と一致する。第3後ブラケット82が有する2つの下段固定部66間の距離L6は、第2後ブラケット72が有する2つの上段固定部65間の距離L3と同じである。
【0054】
第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92において、延在方向における2つの上段固定部65の間隔は、下段に向かうほど大きい。具体的には、第3後ブラケット82が有する2つの上段固定部65間の距離L5は、第4後ブラケット92が有する2つの上段固定部65間の距離L7より大きい。第2後ブラケット72が有する2つの上段固定部65間の距離L3は、第3後ブラケット82が有する2つの上段固定部65間の距離L5より大きい。第1後ブラケット62が有する2つの上段固定部65間の距離L1は、第2後ブラケット72が有する2つの上段固定部65間の距離L3より大きい。
【0055】
第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92において、延在方向における2つの下段固定部66の間隔は、下段に向かうほど大きい。具体的には、第3後ブラケット82が有する2つの下段固定部66間の距離L6は、第4後ブラケット92が有する2つの下段固定部66間の距離L8より大きい。第2後ブラケット72が有する2つの下段固定部66間の距離L4は、第3後ブラケット82が有する2つの下段固定部66間の距離L6より大きい。第1後ブラケット62が有する2つの下段固定部66間の距離L2は、第2後ブラケット72が有する2つの下段固定部66間の距離L4より大きい。
【0056】
なお、本明細書において、2つの上段固定部間の距離とは、後面T1の延在方向における各上段固定部の最外縁どうしの距離である。同様に、2つの下段固定部間の距離とは、後面T1の延在方向における各下段固定部の最外縁どうしの距離である。
【0057】
(固定ボルトの配置)
図4は、旋回フレーム31上に配置されたバッテリ装置33の上面図である。
【0058】
図4に示すように、バッテリ装置33の上面視において、第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92それぞれを固定するための第1乃至第4固定ボルトB1~B4それぞれの頭頂面が視認可能である。固定ボルトの頭頂面とは、ボルトヘッドの主面を意味する。
【0059】
同様に、バッテリ装置33の上面視において、第1乃至第4前ブラケット63,73,83,93それぞれを固定するための第1乃至第4固定ボルトB1~B4それぞれの頭頂面も視認可能である。
【0060】
このように、各ブラケットを固定している全ての固定ボルトB1~B4の頭頂面が上方に向かって露出しているため、全ての固定ボルトB1~B4それぞれに向けて上方から工具をアクセスすることができる。従って、いずれかのバッテリパックを交換する必要が生じた場合に、交換対象のバッテリパックを簡便に交換することができる。
【0061】
例えば、第2バッテリパック71を交換する場合には、次のように作業が行われる。
【0062】
まず、バッテリ装置33の上方から挿入したインパクトレンチを用いて、第2後ブラケット72を第1後ブラケット62に固定している2つの第2固定ボルトB2と、第2前ブラケット73を第1前ブラケット63に固定している2つの第2固定ボルトB2を取り外す。
【0063】
次に、第2乃至第4バッテリアセンブリ7~9を一体のまま第1領域S1から外部に取り出す。
【0064】
次に、第3後ブラケット82を第2後ブラケット72に固定している2つの第3固定ボルトB3と、第3前ブラケット83を第2前ブラケット73に固定している2つの第3固定ボルトB3を取り外して、第2バッテリアセンブリ7を取り出す。
【0065】
次に、第2バッテリアセンブリ7の第2バッテリパック71を新たな第2バッテリパック71に交換する。
【0066】
次に、第2バッテリアセンブリ7上に第3及び第4バッテリアセンブリ8,9を一体のまま載せて、4つの第3固定ボルトB3を締め付け固定することによって、第2乃至第4バッテリアセンブリ7~9を再び一体とする。
【0067】
次に、第2乃至第4バッテリアセンブリ7~9を一体のまま第1領域S1に戻して、4つの第2固定ボルトB2を締め付け固定することによって、第1乃至第4バッテリアセンブリ6~9を再び一体とする。
【0068】
このように、第1バッテリアセンブリ6を第1領域S1に残した状態で作業できるため、第2バッテリパック71を簡便に交換することができる。
【0069】
なお、第1乃至第4固定ボルトB1~B4それぞれの頭頂面が視認可能となっているのは、上述したとおり、第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92及び第1乃至第4前ブラケット63,73,83,93それぞれにおける各上段固定部65及び各下段固定部66の位置が適切だからである。
【0070】
図4に示すように、バッテリ装置33の上面視において、第1乃至第4固定ボルトB1~B4は、それぞれの上下方向における位置に従った順で並んでいることが好ましい。本実施形態では、第1乃至第4固定ボルトB1~B4がこの順で下から配置されているので(図3参照)、図4に示すように、バッテリ装置33の上面視においても第1乃至第4固定ボルトB1~B4がこの順で配置されている。
【0071】
このように、第1乃至第4固定ボルトB1~B4の上下方向における順番と上面視における順番を一致させることによって、上方から工具をアクセスする際、取り外すべき固定ボルトを容易に特定することができる。
【0072】
図4に示すように、バッテリ装置33の上面視において、第1乃至第4後ブラケット62,72,82,92のうち一のブラケットを固定する2本の固定ボルトは、その下段に位置する他のブラケットを固定する2本の固定ボルトの内側に位置することが好ましい。具体的には、第2ブラケット72を固定する2本の第2固定ボルトB2は、延在方向において、第1ブラケット62を固定する2本の第1固定ボルトB1の内側に位置することが好ましい。同様に、2本の第3固定ボルトB3は2本の第2固定ボルトB2の内側に位置することが好ましく、2本の第4固定ボルトB4は2本の第3固定ボルトB3の内側に位置することが好ましい。このように配置することによって、上方から工具をアクセスする際、取り外すべき固定ボルトをより容易に特定することができる。
【0073】
(実施形態の変形例)
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0074】
(変形例1)
上記実施形態において、バッテリ装置33は、4つのバッテリアセンブリを備えることとしたが、バッテリアセンブリの数は2以上であればよい。
【0075】
(変形例2)
上記実施形態において、バッテリパックには一対の後ブラケット及び前ブラケットの両方が取り付けられることとしたが、後ブラケット及び前ブラケットの一方のみが取り付けられてもよい。また、一対の前ブラケット及び後ブラケットは別体であることとしたが一体であってもよい。また、一対の前ブラケット及び後ブラケットに代えて、一対の右ブラケット及び左ブラケットを用いてもよい。
【0076】
(変形例3)
上記実施形態において、全ての固定ボルトB1~B4それぞれの頭頂面は、バッテリ装置33の上面視において視認可能であることとしたが、バッテリ装置33の下面視において視認可能であってもよい。この場合であっても、全ての固定ボルトB1~B4それぞれに工具を下方からアクセスすることができるため、交換対象のバッテリパックを簡便に交換することができる。
【0077】
(変形例4)
上記実施形態では、ブラケットどうしが固定ボルトで固定されることによってバッテリアセンブリどうしが固定されることとしたが、ブラケットとバッテリパックとが固定ボルトで固定されることによってバッテリアセンブリどうしが固定されてよい。
【0078】
(変形例5)
上記実施形態では、作業機械の一例として電動式ショベルについて説明したが、作業機械はこれに限られない。作業機械は、バッテリ装置の電力で作業機を作動させるものであればよく、そのような作業機械としては、電動式のホイールローダ、モータグレーダなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0079】
1…電動式ショベル、2…下部走行体、3…上部旋回体、4…作業機ユニット、40…作業機、41…作業機駆動部、5…キャブ、6…第1バッテリアセンブリ、61…第1バッテリパック、62…第1後ブラケット、63…第1前ブラケット、64…本体部、65…上段固定部、66…下段固定部、67…リブ、7…第2バッテリアセンブリ、71…第2バッテリパック、72…第2後ブラケット、73…第2前ブラケット、8…第3バッテリアセンブリ、81…第3バッテリパック、82…第3後ブラケット、83…第3前ブラケット、9…第4バッテリアセンブリ、91…第4バッテリパック、92…第4後ブラケット、93…第4前ブラケット、T1…後面、T2…前面、B1…第1固定ボルト、B2…第2固定ボルト、B3…第3固定ボルト、B4…第4固定ボルト
図1
図2
図3
図4