(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111485
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】製管機
(51)【国際特許分類】
B29C 63/32 20060101AFI20230803BHJP
F16L 1/028 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
B29C63/32
F16L1/028 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013360
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000149206
【氏名又は名称】株式会社大阪防水建設社
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷室 裕久
(72)【発明者】
【氏名】宇賀 太一
(72)【発明者】
【氏名】中村 良一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晃介
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AG08
4F211AH43
4F211SA05
4F211SC03
4F211SD06
4F211SD23
4F211SJ13
4F211SJ15
4F211SJ29
4F211SP04
(57)【要約】
【課題】ライニング部材を螺旋状に巻き、隣り合うライニング部材の側縁部同士を連結部材で連結する更生管において、強度の高い更生管を得ることができる製管機を提供する。
【解決手段】製管機本体100は、螺旋巻き装置1と、ライニング部材91の隣り合う側縁部同士を連結部材92によって連結する連結装置3と、連結部材92によるライニング部材91の隣り合う側縁部同士の連結を行う前に、連結部材92に対して、補強部材93を取り付ける補強装置200と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のライニング部材を、第1軸を中心に螺旋状に巻く螺旋巻き装置と、
前記ライニング部材の隣り合う側縁部同士を、連結部材によって連結する連結装置と、
前記連結部材による前記ライニング部材の隣り合う側縁部同士の連結を行う前に、前記連結部材に対して、補強部材を取り付ける補強装置と、
を備える、
製管機。
【請求項2】
前記補強部材は、
前記連結部材に対して幅方向の両側面に対向する一対のリブ部と、
前記連結部材の外周面に対向し、前記一対のリブ部同士をつなぐ天面部と、
を有する、
請求項1に記載の製管機。
【請求項3】
前記補強部材は、
前記一対のリブ部における前記天面部とは反対側の先端部に設けられ、前記連結部材に引っ掛けられる引掛部を有する、
請求項2に記載の製管機。
【請求項4】
前記補強部材は金属製であり、
前記連結装置は、前記ライニング部材の隣り合う側縁部同士を連結する際、前記補強部材を、前記第1軸を中心とした円弧に沿って塑性変形させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の製管機。
【請求項5】
前記連結装置は、
前記連結部材の移動経路に直交する回転軸を含み、かつ前記補強部材の外周面に接するように、前記第1軸を中心とした円弧に沿って配置された複数の外側ローラと、
前記回転軸に平行な回転軸を含み、かつ前記ライニング部材の内周面に接するように、前記補強部材に対して、前記複数の外側ローラとは反対側に配置された内側ローラと、
前記複数の外側ローラの各々を同じ角速度で回転させるモータと、
を有する、
請求項4に記載の製管機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製管機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の製管機の一例が開示されている。特許文献1に記載の製管装置は、既設の管路(例えば、下水道管渠等)内において、帯状部材から管状体を製造する装置である。帯状部材は、接合部を有している。製管装置は、帯状部材を螺旋状に巻いて隣接する帯状部材に対し、接合部によって連結することで、管状体が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の製管装置では、帯状部材を螺旋状に巻いた際、隣接する帯状部材に対して、接合部によって連結するように構成されている。しかし、接合部の剛性が低いと、例えば、管状体の内側から外側に向かう外力、管状体の外側から内側に向かう外力、管状体に生じる応力等によって、接合部が変形することがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、ライニング部材を螺旋状に巻き、隣り合うライニング部材の側縁部同士を連結部材で連結する更生管において、強度の高い更生管を製造することができる製管機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様の製管機は、帯状のライニング部材を、第1軸を中心に螺旋状に巻く螺旋巻き装置と、前記ライニング部材の隣り合う側縁部同士を、連結部材によって連結する連結装置と、前記連結部材による前記ライニング部材の隣り合う側縁部同士の連結を行う前に、前記連結部材に対して、補強部材を取り付ける補強装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る上記態様の製管機は、ライニング部材を螺旋状に巻き、隣り合うライニング部材の側縁部同士を連結部材で連結する更生管において、強度の高い更生管を製造することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る製管機がマンホール内に設置された状態の概略図である。
【
図2】実施形態に係る製管機によって製造された更生管の斜視図である。
【
図3】(A)は、実施形態に係るライニング部材の正面図である。(B)は、実施形態に係るライニング部材の斜視図である。
【
図4】(A)は、実施形態に係る連結部材の正面図である。(B)は、実施形態に係る連結部材の斜視図である。
【
図5】(A)は、実施形態に係る補強部材の正面図である。(B)は、実施形態に係る補強部材の斜視図である。
【
図6】(A)は、実施形態に係る連結部材に対して補強部材を取り付けた状態の正面図である。(B)は、実施形態に係る連結部材に対して補強部材を取り付けた状態の斜視図である。
【
図7】実施形態に係る更生管において、隣り合うライニング部材の側縁部を、補強部材が取り付けられた連結部材によって連結する際の概略図である。
【
図8】実施形態においてマンホール内に設置された製管機本体が、第1軸方向のうち前から後に向かって見た正面図である。
【
図9】(A)は、実施形態に係る補強装置の断面図であり、
図9(B)におけるC-C線断面図である。(B)は、実施形態に係る補強装置の概略平面図である。
【
図11】実施形態に係るフレーム部材の正面図である。
【
図13】実施形態に係るライニング部材送り装置の正面図である。
【
図14】(A)は実施形態に係るライニング部材送り装置の側面図である。(B)は
図14(A)のA-A線断面図である。
【
図15】実施形態に係る連結体ガイド装置の正面図である。
【
図16】(A)は実施形態に係る連結体ガイド装置の拡大図である。(B)は
図16(A)のB-B線断面図である。
【
図19】実施形態に係る全体送り装置の正面図である。
【
図20】実施形態に係る全体送り装置の側面図である。
【
図21】(A)は変形例に係る補強部材の断面図である。(B)は更なる変形例に係る補強部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係る製管機1000について、詳細に説明する。本明細書では、
図1に示すように、地中の既設管K1の中心軸に平行な方向を「前後方向」として定義し、特に、製管機1000によって製造された更生管9が送り出される方向を「前方向」として定義する。本実施形態では、前後方向は、水平面に平行であるとして説明するが、必ずしも水平面に平行でなくてもよい。
【0010】
本明細書でいう「既設管K1の中心軸」とは、既設管K1の長手方向に直交する断面における流路の図心を意味する。また、本明細書において「平行」とは、2つの直線、辺、面等が延長しても交わらない場合だけでなく、2つの直線、辺、面等がなす角度が10°以内の範囲で交わる場合も含む。
【0011】
また、本明細書では、前後方向に直交する方向を「更生管9の径方向」又は「径方向」という場合がある。本明細書でいう「直交」には、2つの直線、辺、面等が交差する場合、及び2つの直線、辺、面等を延長した場合に交わる場合の両方を含む。「直交」は、2つの直線、辺、面等のなす角が、厳密に90°であることのみを意味するのではなく、実質的に直交する場合も含む。「実質的に直交する」ことには、2つの直線、辺、面等のなす角が、例えば、±10°以内の範囲で交わる場合も含まれる。
【0012】
また、更生管9の径方向のうちの外側に向かう方向を「外方向」という。更生管9の径方向のうちの内側に向かう方向を「内方向」という。
【0013】
<実施形態>
本実施形態に係る製管機1000は、既設管K1を更生するための更生管9を製造する装置である。製管機1000は、更生管9を製造しながら、製造した更生管9を前方向に送り込む。すなわち、本実施形態に係る製管機1000は、元押し式製管機である。
【0014】
製管機1000は、
図2に示すように、帯状のライニング部材91を、前後方向に平行な軸(以下、「第1軸X1」という)を中心に螺旋状に巻くと共に、螺旋状に巻いたライニング部材91の隣り合う側縁部同士を連結部材92で連結する。製管機本体100は、このように更生管9を形成しながら、当該更生管9を、第1軸X1を中心に回転させることで既設管K1内に送り込む。
【0015】
本実施形態に係る製管機本体100は、
図1に示すように、マンホールM1内に設置される製管機本体100と、補強装置200と、を備える。製管機本体100は、更生管9を成形する。補強装置200は、製管機本体100による製管の前に、連結部材92に対して、補強部材93を取り付け、連結体920を形成する。本明細書では、「連結体920」は、連結部材92に対して補強部材93が取り付けられたものを意味する。
【0016】
既設管K1とは、更生対象となる地中の配管である。既設管K1は、地中に埋められている。既設管K1としては、例えば、下水管、上水道管、配線管、ガス管、農業用水管等が挙げられる。既設管K1の断面形状は、例えば、円形、矩形状、馬蹄形状等が挙げられる。ここでは、一例として、断面円形状の既設管K1を例示して説明する。
【0017】
既設管K1の材質としては、例えば、鉄筋コンクリート製、合成樹脂製、金属製等が挙げられる。既設管K1の内径としては、例えば、300mm以上2000mm以下であり、より具体的には、600mm以上1500mm以下が挙げられる。内径が300mm以上1000mm以下の既設管K1であると、作業者が内部に入って作業することが難しいため、製管機本体100を用いた管更生が好適である。ただし、製管機本体100としては、内径が2000mmを超える既設管K1に対しても、管更生を行うことができる。
【0018】
(管更生部材)
管更生部材は、更生管9を形成するための部材である。管更生部材は、上述したように、ライニング部材91と、連結部材92と、補強部材93と、を備える。ライニング部材91、連結部材92及び補強部材93は、それぞれ、
図1に示すように、製造前はドラムに巻かれている。製造時におけるドラムの設置位置は、特に制限はなく、例えば、トラックの荷台に設置されていてもよいし、地上に設置されてもよい。
【0019】
(ライニング部材91)
ライニング部材91は、更生管9の主体を構成する帯状の部材である。ライニング部材91は、長尺に形成されている。ライニング部材91は、長手方向に沿って湾曲可能な可撓性を有している。ライニング部材91は、
図3(A)に示すように、ライニング基体911と、一対の第1嵌合部912と、変位吸収部913と、を備える。ライニング部材91において、更生管9の内面を構成する面を「ライニング部材91の内周面」という場合がある。ライニング部材91の内周面とは反対側の面を「ライニング部材91の外周面」という場合がある。「ライニング部材91の外周面」とは、ライニング部材91における外方向を向く面であり、具体的には、ライニング基体911の外側の主面の一部、第1嵌合部912の一部及び変位吸収部913の一部で構成されている。
【0020】
ライニング基体911は、ライニング部材91の主体を構成する。ライニング基体911は、板状に形成されている。ライニング基体911の一方の主面を「第1内面9111」という場合がある。第1内面9111は、平滑な面であり、更生管9の内面を構成する(言い換えると「第1内面9111」は「ライニング部材91の内周面」である)。また、ライニング基体911の第1内面9111とは反対側の面を、「第1外面9112」という場合がある。
【0021】
ライニング基体911の幅(長手方向に直交する方向の寸法)としては、例えば、50mm以上100mm以下であり、より具体的には、70mm以上80mm以下であり、一例として75mmが挙げられる。ライニング基体911の厚さとしては、例えば、2mm以上5mm以下であり、より具体的には、2mm以上3mm以下であり、一例として2.5mmが挙げられる。
【0022】
第1嵌合部912は、ライニング部材91に対して連結部材92を結合するための部分である。第1嵌合部912は、ライニング基体911と一体に形成されている。第1嵌合部912は、ライニング基体911の第1外面9112の幅方向の両端部に形成されている。各第1嵌合部912は、本実施形態では、第1係合部9121と、第3係合部9122と、を備える。
【0023】
第1係合部9121は、ライニング基体911の第1外面9112の幅方向の端部から、外方向に突き出ている。第1係合部9121は、後述の連結部材92の第2係合部9221と係り合う。第1係合部9121の先端には、ライニング部材91の幅方向の中央側に突き出る係止爪9121aが形成されている。第1係合部9121は、ライニング基体911の長手方向の全長にわたって形成されている。
【0024】
第3係合部9122は、ライニング基体911の第1外面9112において、第1係合部9121よりも幅方向の中央側に位置している。第3係合部9122は、第1係合部9121と同様、外方向に突き出ている。第3係合部9122は、後述の連結部材92の第4係合部9222と係り合う。第3係合部9122の先端には、ライニング部材91の幅方向の中央側に突き出る係止爪9122aが形成されている。第3係合部9122は、ライニング基体911の長手方向の全長にわたって形成されている。
【0025】
変位吸収部913は、更生管9が第1軸X1方向に力を受けた場合に変形し、更生管9に生じる応力を緩和する。ここでいう「力」としては、例えば、更生管9に対し第1軸X1方向に加わる外力、更生管9に対し内側から外側に向かって加えられた外力、更生管9に対し外側から内側に向かって加えられた外力、更生管9に生じる応力(せん断応力、圧縮応力)等が挙げられる。変位吸収部913は、ライニング部材91の幅方向において、一対の第1嵌合部912の間に形成されている。変位吸収部913は、ライニング基体911の第1外面9112から外方向に突き出ている。
【0026】
ライニング基体911は、一対の第1嵌合部912の間に、長手方向に沿ったスリット状の隙間が形成され、幅方向に分断している。変位吸収部913は、ライニング基体911の隙間を介した対向する端部同士をつないでいる。変位吸収部913は、ライニング基体911の分断した部分の各々の端部に設けられた一対の側壁部9131と、一対の側壁部9131の先端部同士をつなぐ接続部9132と、を備える。各側壁部9131は、互いに対向しており、外方向に進むに従って対向間の距離が離れる。変位吸収部913は、ライニング基体911の長手方向の全長にわたって形成されている。本実施形態では、変位吸収部913の第1外面9112からの突出高さは、第1係合部9121及び第3係合部9122よりも高い。なお、本実施形態に係る変位吸収部913は、断面略三角形状に形成されているが、断面略U字状や断面略C字状に形成されてもよい。
【0027】
ライニング部材91の材質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、フッ素樹脂、硬質塩化ビニル樹脂等の合成樹脂が挙げられる。ライニング部材91は、例えば、押出成形によって一体成形される。本実施形態に係るライニング部材91は、高密度ポリエチレン樹脂によって形成されている。
【0028】
(連結部材92)
連結部材92は、第1軸X1を中心に螺旋状に巻かれた状態のライニング部材91の隣り合う側縁部同士を連結する。連結部材92は、ライニング部材91に対し、ライニング部材91の外周面に沿って取り付けられる。連結部材92は、長尺に形成されている。連結部材92は、長手方向に沿って湾曲可能な可撓性を有している。連結部材92は、
図4に示すように、連結基体921と、一対の第2嵌合部922と、一対の引掛け受部923と、押込み部924と、を備える。連結部材92において、ライニング部材91に対向する面を「連結部材92の内周面」という場合がある。連結部材92の内周面とは反対側の面を「連結部材92の外周面」という場合がある。「連結部材92の内周面」とは、連結部材92において、内方向を向く面を意味する。「連結部材92の外周面」とは、連結部材92において外方向を向く面を意味する。
【0029】
連結基体921は、連結部材92の主体を構成する。連結基体921は、板状に形成されている。連結基体921の主面のうちの内側の主面を「第2内面9211」という場合がある。また、連結基体921の第2内面9211とは反対側の面を、「第2外面9212」という場合がある。連結基体921の幅(長手方向に直交する方向の寸法)としては、例えば、30mm以上50mm以下であり、より具体的には、30mm以上40mm以下であり、一例として37mmが挙げられる。連結基体921の厚さとしては、例えば、2mm以上5mm以下であり、より具体的には、2mm以上4mm以下であり、一例として3mmが挙げられる。
【0030】
第2嵌合部922は、ライニング部材91の第1嵌合部912に対して結合する部分である。第2嵌合部922は、連結基体921と一体に形成されている。第2嵌合部922は、連結基体921の第2内面9211の幅方向の両端部に形成されている。各第2嵌合部922は、本実施形態では、第2係合部9221と、第4係合部9222と、を備える。
【0031】
第2係合部9221は、ライニング部材91の第1係合部9121に係り合う。第2係合部9221は、連結基体921の第2内面9211において、第4係合部9222よりも幅方向の中央側に位置している。第2係合部9221は、内方向に突き出ている。第2係合部9221の先端には、連結部材92の幅方向の中央側に突き出る係止爪9221aが形成されている。第2係合部9221は、連結基体921の長手方向の全長にわたって形成されている。
【0032】
第4係合部9222は、ライニング部材91の第3係合部9122に係り合う。第4係合部9222は、連結基体921の第2内面9211の幅方向の両端部から、内方向に突き出ている。第4係合部9222の先端には、連結部材92の幅方向の中央側に突き出る係止爪9222aが形成されている。第4係合部9222は、連結基体921の長手方向の全長にわたって形成されている。
【0033】
また、連結基体921の第2内面9211には、止水材925が設けられている。止水材925は、第2内面9211における第2係合部9221と第4係合部9222との間に設けられている。止水材925としては、例えば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、四フッ化エチレン樹脂等が挙げられる。止水材925は、ライニング部材91の第1嵌合部912と連結部材92の第2嵌合部922とを結合させると、連結基体921とライニング部材91の第3係合部9122の先端部との間で圧縮される。これにより、ライニング部材91の側縁部の連結部分における水密性が確保される。
【0034】
引掛け受部923は、
図6に示すように、補強部材93に対して引っ掛かる部分である。引掛け受部923によれば、補強部材93に対して、連結部材92が内方向へ移動するのを妨げる。引掛け受部923は、
図4(A)に示すように、連結基体921の第2外面9212の幅方向の両端部から外方向に突き出ている。引掛け受部923の先端には、連結部材92の幅方向の外側に突き出る係止突部9231が形成されている。引掛け受部923は、連結基体921の長手方向の全長にわたって形成されている。
【0035】
押込み部924は、連結体920をライニング部材91に嵌め込む際に、補強部材93が押された力を、連結基体921の幅方向の中央部に伝えるための部分である。押込み部924は、連結基体921の幅方向の中央から起立している。押込み部924の外方向に向く面は、引掛け受部923の外方向に向く面と同一平面上に位置している。押込み部924は、本実施形態では、断面略T字状に形成されているが、これに限らず、例えば、逆L字状、I字状、逆U字状等とすることができる。
【0036】
連結部材92の材質としては、例えば、硬質塩化ビニル樹脂、ナイロン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。連結部材92は、例えば、押出成形によって一体成形される。本実施形態に係る連結部材92は、硬質塩化ビニル樹脂によって形成されている。
【0037】
(補強部材93)
補強部材93は、
図6に示すように、連結部材92を補強する。補強部材93は、連結部材92を覆うようにして取り付けられる。補強部材93によれば、連結部材92が外方向及び内方向に撓むのを軽減する。また、補強部材93によれば、更生管9に第1軸X1方向に力が加わった際、連結部材92が変形して隣り合うライニング部材91間が開くのを軽減することができる。補強部材93は、
図5に示すように、天面部931と、一対のリブ部932と、一対の引掛部933と、を備える。天面部931、リブ部932、及び引掛部933は、一体に形成されている。補強部材93としては、連結部材92と同様に、第1軸X1を中心に螺旋状に巻かれ、連結部材92の全長と同等の長さであることが好ましいが、複数の補強部材93を順次継いでもよく、必ずしも連続していなくてよい。
【0038】
天面部931は、連結部材92の外周面に対向する部分である。天面部931は、一対のリブ部932同士をつなぐ。天面部931の幅は、連結部材92の幅よりも長い。天面部931の幅は、
図7に示すように、隣り合うライニング部材91の変位吸収部913の間の寸法よりも短い。天面部931によって、連結部材92が外方向に撓むのを軽減することができる。
【0039】
リブ部932は、天面部931の幅方向の端部から内方向に突き出ている。リブ部932は、連結部材92に対して、連結部材92の幅方向の両側面に対向する。一対のリブ部932が、連結部材92の幅方向の両側に位置することにより、隣り合うライニング部材91の間が開くのを抑制することができる。
【0040】
引掛部933は、各リブ部932の内方向の端部(つまり、リブ部932の天面部931とは反対側の先端部)に設けられている。引掛部933は、リブ部932の先端部から、当該先端部よりも外方向(径方向の外側)に向かって延びる。本実施形態に係る引掛部933は、リブ部932の先端から天面部931に平行に延びる基部9331と、傾斜部9332と、を備える。傾斜部9332は、基部9331から外方向に行くに従って幅方向の中央側にいくように、基部9331に対して傾斜している。傾斜部9332の先端には、連結部材92の引掛け受部923が当たる。引掛部933が連結部材92の引掛け受部923に当たることにより、連結部材92が内方向に撓むのを軽減することができる。
【0041】
補強部材93の材質としては、例えば、金属、合成樹脂、カーボン等が挙げられるが、高剛性等の観点から金属であることが好ましい。金属としては、例えば、ステンレス鋼、スチール、チタン、アルミニウム合金等が挙げられる。補強部材93の板厚としては、例えば、1mm以上4mm以下であり、より具体的には、1.2mm以上3mm以下であり、一例として1.6mmが挙げられる。
【0042】
(更生管9)
更生管9は、上述の管更生部材を用いて製管機本体100によって製造される管である。更生管9は、
図2に示すように、第1軸X1を中心に、一定の半径で螺旋状に巻いたライニング部材91の隣り合う側縁部同士を、連結体920によって連結することで構成されている。第1軸X1を中心にライニング部材91を螺旋状に巻くと、
図7に示すように、第1軸X1を含む面での断面では、ライニング部材91が隣り合う(実際は、隣り合うライニング部材91は、同じライニング部材91である)。
【0043】
このとき、隣り合うライニング部材91において、内周面(第1内面9111)同士が面一となるように、ライニング部材91同士を突き付ける。この後、隣り合うライニング部材91に跨るように連結体920を配置し、ライニング部材91の第1嵌合部912に対して、連結部材92の第2嵌合部922を結合するように、ライニング部材91に対して、連結体920を押し込む。これを、ライニング部材91及び連結体920の長手方向に沿って順次行う。
【0044】
本実施形態に係る補強部材93は金属であるため、ライニング部材91に連結体920を取り付ける際、連結体920を螺旋状に曲げながら取り付ける必要がある。本実施形態では、以下に説明する製管機本体100を用いて、ライニング部材91と連結体920との結合を行うことができる。
【0045】
(製管機1000)
製管機1000は、上述の管更生部材を用いて更生管9を製造する装置である。製管機1000は、
図8に示すように、製管機本体100と、補強装置200と、を備える。本実施形態に係る製管機1000では、製管機本体100がマンホールM1内に設置され、補強装置200が地上に設置されているが、補強装置200も、製管機本体100と共にマンホールM1に設置されていてもよい。この場合、補強装置200は、製管機本体100に取り付けられてもよい。
【0046】
以下、製管機1000について説明するに当たり、ライニング部材91が移動する経路を「ライニング部材91の移動経路」という。また、同様に、連結部材92が移動する経路を「連結部材92の移動経路」といい、補強部材93が移動する経路を「補強部材93の移動経路」といい、連結体920が移動する経路を「連結体920の移動経路」いう。これら移動経路は、他の空間と区画されていなくてもよい。
【0047】
(補強装置200)
補強装置200は、連結部材92に対して、補強部材93を取り付ける装置である。補強装置200は、連結部材92の移動経路において、製管機本体100よりも上流側に位置する。すなわち、補強装置200は、連結部材92によるライニング部材91の隣り合う側縁部同士の連結を行う前に、連結部材92に対して補強部材93を取り付け、連結体920を形成する。補強装置200は、
図9に示すように、一対の挟圧ローラ210と、支持体220と、を備える。
【0048】
挟圧ローラ210は、連結部材92と補強部材93とを厚さ方向に挟み込み、補強部材93に連結部材92を嵌め込む。各挟圧ローラ210は、回転可能に支持体220に取り付けられている。挟圧ローラ210の回転軸は、連結部材92の移動経路及び補強部材93の移動経路に対して直交している。本実施形態に係る挟圧ローラ210は、回転軸方向の両側が鍔状に立ち上げられたツバ付きローラである。ただし、挟圧ローラ210としては、回転軸方向の全長にわたって同一の外径で形成されてもよい。一対の挟圧ローラ210の回転軸は互いに平行に配置されている。
【0049】
支持体220は、挟圧ローラ210を回転可能に支持する。支持体220は、一対の支持板221と、一対の支持板に架けられた一対の軸222と、を備える。支持板221は、支持体220の主体を構成する。支持板221の下端部は、本実施形態では地面に固定されている。ただし、支持板221は、後述のフレーム部材11に固定されていてもよい。軸222は、挟圧ローラ210の回転軸をなす部品である。軸222は、支持板221に対して固定されている。軸222と挟圧ローラ210との間に、軸受が介在している。軸受としては、例えば、ボールベアリング、ローラベアリング、ニードルベアリング、スライドベアリング等が挙げられる。
【0050】
一対の挟圧ローラ210の間に、連結部材92と補強部材93とが入り込むと、補強部材93に対して連結部材92が嵌め込まれる。そして、補強装置200を出た連結部材92及び補強部材93は、互いに嵌め合った状態で、製管機本体100に送られる。補強装置200は、これを連続的に行うことができる。
【0051】
(製管機本体100)
製管機本体100は、ライニング部材91と、連結体920(連結部材92及び補強部材93)と、を用いて更生管9を製造する装置である。製管機本体100は、
図10に示すように、螺旋巻き装置1と、連結装置3と、全体回転装置4と、ライニング部材送り装置5と、連結体ガイド装置7と、を備える。
【0052】
以下の説明において、
図10に示すように、第1軸X1に沿って前から後に製管機本体100を見た場合に、0時の位置(以下「0時位置」)の中心角を0°としたとき、90°の中心角ごとに、3時の位置(以下「3時位置」)、6時の位置(以下「6時位置」)、9時の位置(以下「9時位置」)として規定する。本実施形態では、0時位置が上端、3時位置が右端、6時位置が下端、9時位置が左端であるが、これはあくまで一例であり、例えば、0時位置が左端、3時位置が上端、6時位置が右端、9時位置が下端であってもよい。
【0053】
本明細書でいう「…時位置」という記載は、対応する短針の位置の±15°を含むこととする。例えば、「3時位置」という記載は、時計の短針が、2時30分に対応する位置から3時30分に対応する位置までを含む。
【0054】
製管機本体100としては、全体回転装置4が0時位置に配置されており、上端に配置されることが好ましい。このとき、連結装置3は、3時位置と0時位置との間に配置されている。本実施形態では、連結装置3は、2時位置に配置されている。
【0055】
また、ライニング部材送り装置5は、0時位置と9時位置との間に配置されることが好ましい。本実施形態では、ライニング部材送り装置5は、10時位置に配置されている。また、連結体ガイド装置7は、10時位置に配置されている。
【0056】
(螺旋巻き装置1)
螺旋巻き装置1は、ライニング部材91を、第1軸X1を中心に螺旋状に巻く装置である。螺旋巻装置は、
図11に示すように、フレーム部材11と、複数の外側ガイドローラ12と、を備える。
【0057】
フレーム部材11は、複数の外側ガイドローラ12を保持するフレームである。フレーム部材11は円筒状に形成されている。フレーム部材11は、第1軸X1に平行な中心軸を有する円筒部111と、円筒部111の前端から外方向に突出する第1環状板部112と、円筒部111の後端から内方向に突出する第2環状板部113と、を有する。
【0058】
フレーム部材11の材質としては、例えば、ステンレス鋼、スチール、チタン、アルミニウム合金等が挙げられる。
【0059】
外側ガイドローラ12は、円筒部111に対して回転可能に取り付けられている。ライニング部材91は、外側ガイドローラ12の回転に従って移動する。このため、外側ガイドローラ12は、螺旋巻き装置1において、ライニング部材91の移動経路を形成する。外側ガイドローラ12によれば、ライニング部材91を、第1軸X1を中心に螺旋状を描くように、円筒部111の内周面に沿ってスムーズに移動させることができる。複数の外側ガイドローラ12は、円筒部111の内周面に沿って一定の間隔をおいて配置されている。
【0060】
各外側ガイドローラ12は、軸受と、軸受により回転可能に支持された一対のローラと、を備える。軸受としては、例えば、ボールベアリング、ローラベアリング、ニードルベアリング、スライドベアリング等が挙げられる。ローラとしては、球状、円柱状のいずれであってもよいが、本実施形態では、円柱状である。ローラは、金属製、樹脂製のいずれであってもよいが、本実施形態では、金属製である。
【0061】
ここで、
図12には、螺旋巻き装置1の円筒部111を展開した図を示している。
図12において、ライニング部材91の移動経路R1を想像線で示す。
図12に示すように、外側ガイドローラ12の回転軸は、円筒部111の内面に沿いかつライニング部材91の移動経路R1に直交している。したがって、外側ガイドローラ12の回転方向は、ライニング部材91の移動経路R1に平行である。これによって、螺旋巻き装置1では、ライニング部材91を螺旋状に移動させることができる。
【0062】
複数の外側ガイドローラ12は、ライニング部材91が円筒部111内を2周(720度)以上回転できるように配置されていることが好ましい。本実施形態では、ライニング部材91が2.75周(990度分)の回転に対応するように、外側ガイドローラ12が配置されている。
【0063】
第1軸X1方向に隣り合う外側ガイドローラ12の間隔W1は、ライニング部材91の幅と略同じ大きさに設定されている。これにより、螺旋状に巻いたライニング部材91の側縁部同士を突き合わせやすくなる。また、外側ガイドローラ12における一対のローラの回転軸方向の間隔W2は、一対のローラの各々が、ライニング部材91における第1嵌合部912と変位吸収部913との間に入り込み、第1外面9112に当たるような長さに設定されている。
【0064】
外側ガイドローラ12は、連結装置3や全体回転装置4等の他の装置と干渉する場合、例えば、干渉する箇所において、外側ガイドローラ12を適宜省いたり、一対のローラのうちの一方を省いたり、一対のローラの間隔を変えたりすることができる。
【0065】
複数の外側ガイドローラ12は、隣り合うライニング部材91の側縁同士を突き当てながら螺旋状に巻くように、ライニング部材91を案内する。このとき、外側ガイドローラ12の一対のローラの各々が、ライニング部材91の第1嵌合部912と変位吸収部913との間に入り込むため、更生管9の第1軸X1方向におけるライニング部材91の位置決めを行うことができる。
【0066】
また、複数の外側ガイドローラ12は、螺旋状に巻かれたライニング部材91の外周面に当たるため、更生管9の外径を規定する。これによって、更生管9の外径を基準にして、一定の外径で更生管9を形成することができる。さらに、複数の外側ガイドローラ12の各々は、一対のローラの前側面が、ライニング部材91の第1嵌合部912又は連結体920の後側面に当たる。このため、形成した更生管9を前方向に向かって送り出すことができる。
【0067】
フレーム部材11には、連結装置3、全体回転装置4、ライニング部材送り装置5、及び連結体ガイド装置7が取り付けられる。
図12に示すように、フレーム部材11の円筒部111には、ライニング部材91を円筒部111内に入れるための第1開口部114、連結体920を円筒部111内に入れるための第2開口部115、連結装置3が装着される第3開口部116、及び全体回転装置4が装着される第4開口部117が形成されている。
【0068】
第1開口部114は、後述のライニング部材送り装置5の一部が差し込まれる開口である。ライニング部材91は、円筒部111の外部から、第1開口部114を通して、円筒部111の内部に取り込まれる。具体的には、ライニング部材91は、後述のライニング部材送り装置5内に入り、ライニング部材送り装置5に導かれて円筒部111内部に導入される。第1開口部114は、円筒部111において、10時位置に形成されている。第1開口部114は、円筒部111内のライニング部材91の移動経路の最も上流側に位置している。
【0069】
第2開口部115は、連結体ガイド装置7に導かれた連結体920を、円筒部111内に導入する開口である。具体的には、連結体920は、後述の連結体ガイド装置7に導かれて、円筒部111の外部から内部に導入される。第2開口部115は、円筒部111において、2時位置に形成されている。
【0070】
第3開口部116は、連結装置3の一部が差し込まれる開口である。第3開口部116は、円筒部111において、1時位置に形成されている。
【0071】
第4開口部117は、全体回転装置4の一部が差し込まれる開口である。第4開口部117は、円筒部111において、0時位置に形成されている。また、第4開口部117は、円筒部111内のライニング部材91の移動経路において、第5開口部118よりも下流側に形成されている。
【0072】
(ライニング部材送り装置5)
ライニング部材送り装置5は、ライニング部材91を螺旋巻き装置1に送り込む装置である。ライニング部材送り装置5は、ライニング部材91の移動経路を有しており、当該移動経路は、螺旋巻き装置1の外部から螺旋巻き装置1の内部の移動経路に接続されている。ライニング部材送り装置5は、
図13に示すように、送り装置本体51と、座屈防止ガイドローラ群52と、を備える。
【0073】
ライニング部材送り装置5は、ボルト等の締結部材によって、フレーム部材11に固定されている。ライニング部材送り装置5がフレーム部材11に取り付けられると、座屈防止ガイドローラ群52の一部が、螺旋巻き装置1のフレーム部材11の第1開口部114に入り込む。
【0074】
送り装置本体51は、ライニング部材送り装置5の主体を構成する。送り装置本体51は、
図13,14に示すように、ブラケット511と、ライニング部材送りローラ512と、反力受けローラ513と、モータ(以下「第1モータ514」)と、を備える。
【0075】
ブラケット511は、ライニング部材送り装置5を、螺旋巻き装置1のフレーム部材11に対して固定する部材である。ライニング部材送りローラ512及び反力受けローラ513は、ブラケット511に対して回転可能に取り付けられている。
【0076】
ライニング部材送りローラ512は、ライニング部材91の内周面に接触する駆動ローラである。ライニング部材送りローラ512は、
図14(B)に示すように、回転軸に沿って延びている。ライニング部材送りローラ512の回転軸は、ライニング部材91の移動経路に直交する。すなわち、ライニング部材送りローラ512の回転軸と、第1軸X1に直交する平面とのなす角は、ライニング部材91のリード角に90°を足し合わせた角度である。
【0077】
ライニング部材送りローラ512は、
図14(B)に示すように、外周面に形成された滑り止め部512aを有する。滑り止め部512aは、ライニング部材91に対する摩擦係数が、反力受けローラ513のライニング部材91に対する摩擦係数よりも高く設定されている。滑り止め部512aとしては、例えば、芯材の外周面に設けられた軟質材料、金属製の芯材の外周面の凹凸加工(例えば、ローレット加工等)等が挙げられる。芯材としては、例えば、金属製、樹脂製等が挙げられる。軟質材料としては、例えば、合成ゴム(ウレタンゴム)、天然ゴム等が挙げられる。
【0078】
図14(B)に示すように、ライニング部材送りローラ512には、第1モータ514からの動力が伝達される。第1モータ514は、例えば、油圧モータである。ライニング部材送りローラ512は、第1モータ514からの動力によって回転する。ライニング部材送りローラ512は、ライニング部材91の内周面に接触しながら回転することで、ライニング部材91に対して、螺旋巻き装置1に向かう推進力を与える。
【0079】
反力受けローラ513は、ライニング部材91の外周面に接触する従動ローラである。反力受けローラ513は、ライニング部材送りローラ512と対向する位置において、軸受を介して回転可能にブラケット511に取り付けられている。反力受けローラ513の回転軸は、ライニング部材送りローラ512の回転軸に平行である。反力受けローラ513は、金属製である。反力受けローラ513の外周面は、ライニング部材91の外周面の形状に合わせて適宜設定される。本実施形態では、ライニング部材91の外周面は、変位吸収部913が第1嵌合部912よりも突出しているので、反力受けローラ513の外周面の回転軸方向の中央部には、
図14(B)に示すように、変位吸収部913の先端部が収まる環状溝5131が形成されている。
【0080】
反力受けローラ513は、ライニング部材91を、適切な力で押さえつけている。このため、ライニング部材送りローラ512が回転すると、ライニング部材91が移動するのに従って、反力受けローラ513も回転する。このとき、環状溝5131内に変位吸収部913の先端部が収まるため、ライニング部材91の幅方向の移動が規制される。本実施形態では、ライニング部材送りローラ512が駆動ローラであったが、反力受けローラ513を駆動ローラとし、ライニング部材送りローラ512を従動ローラとしてもよい。また、ライニング部材送りローラ512と反力受けローラ513の両方を駆動ローラとしてもよい。この場合、駆動ローラに滑り止め部512aが設けられるとよい。
【0081】
座屈防止ガイドローラ群52は、送り装置本体51によって送られたライニング部材91を、螺旋巻き装置1内に導く。座屈防止ガイドローラ群52は、ライニング部材91の移動経路において、送り装置本体51の下流側に設けられる。座屈防止ガイドローラ群52の長手方向は、ライニング部材91の移動経路に平行である。座屈防止ガイドローラ群52は、
図13に示すように、ライニング部材91の移動経路において、ライニング部材91の厚さ方向の両側に対応する位置に配置された複数のローラ521を備える。したがって、ライニング部材91は、内周面と外周面との両方に接触するローラ521により、移動経路に沿って移動する。
【0082】
座屈防止ガイドローラ群52によって移動するライニング部材91は、座屈防止ガイドローラ群52を通過して、螺旋巻き装置1にスムーズに導入される。座屈防止ガイドローラ群52は、複数のローラ521によってライニング部材91の厚み方向への移動を規制しながら、ライニング部材91を螺旋巻き装置1内に案内する。
【0083】
(連結体ガイド装置7)
連結体ガイド装置7は、
図15に示すように、補強部材93が取り付けられた連結部材92(すなわち、連結体920)を螺旋巻き装置1内に送り込む装置である。連結体ガイド装置7によって、螺旋巻き装置1の外部から螺旋巻き装置1の内部までの連結体920の移動経路が形成される。連結体ガイド装置7は、
図15に示すように、連結体送り装置71と、曲げローラ群72と、押し込みローラ73と、を備える。
【0084】
連結体ガイド装置7は、ボルト等の締結部材によって、フレーム部材11に固定されている。連結体ガイド装置7がフレーム部材11に取り付けられると、曲げローラ群72は、螺旋巻き装置1のフレーム部材11の円筒部111の外周に沿って配置される。
【0085】
連結体送り装置71は、連結体920を曲げローラ群72に向かって送り出す装置である。連結体送り装置71は、
図16に示すように、ケース711と、連結体送りローラ712と、反力受けローラ713と、モータ(以下「第2モータ714」)と、を備える。
【0086】
ケース711は、連結体送りローラ712と反力受けローラ713とを回転可能に保持する。ケース711は、連結体送りローラ712を回転可能に支持する第1ケース7111と、反力受けローラ713を回転可能に支持する第2ケース7112と、一対のガイドレール7113と、を備える。
【0087】
第1ケース7111は、フレーム部材11に対して固定されている。第1ケース7111には、連結体920の厚さ方向に延びる一対のガイドレール7113が設けられている。第2ケース7112は、ガイドレール7113の長手方向に沿って移動可能に取り付けられている。第2ケース7112は、ガイドレール7113の長手方向の任意の位置で、ガイドレール7113に対して固定することができる。これによって、第2ケース7112は、連結体920の厚さ方向において、第1ケース7111に対して近付く方向と離れる方向(「接離方向」という場合がある)に移動し得る。
【0088】
連結体送りローラ712は、連結体920の内周面に接触する駆動ローラである。連結体送りローラ712は、回転軸に沿って延びている。連結体送りローラ712の回転軸は、連結体920の移動経路に直交する。連結体送りローラ712は、外周面に形成された滑り止め部712aを有する。滑り止め部712aは、連結体920に対する摩擦係数が、反力受けローラ713の連結体920に対する摩擦係数よりも高く設定されている。滑り止め部712aとしては、例えば、芯材の外周面に設けられた軟質材料、金属製の芯材の外周面の凹凸加工(例えば、ローレット加工等)等が挙げられる。芯材としては、例えば、金属製、樹脂製等が挙げられる。軟質材料としては、例えば、合成ゴム(ウレタンゴム)、天然ゴム等が挙げられる。
【0089】
連結体送りローラ712には、
図16(B)に示すように、第2モータ714の出力軸が接続されており、第2モータ714からの動力が伝達される。連結体送りローラ712は、第2モータ714からの動力によって回転する。第2モータ714の出力軸と鋼材送りローラとは直接接続されてもよいし、減速機や駆動ベルト等の動力伝達体を介して間接的に接続されてもよい。第2モータ714は、例えば、油圧モータである。連結体送りローラ712は、連結体920の内周面(すなわち、連結部材92の内周面)に接触しながら回転することで、連結体920に対して、曲げローラ群72に向かう推進力を与える。
【0090】
反力受けローラ713は、補強部材93の外周面に接触する従動ローラである。反力受けローラ713は、連結体送りローラ712と対向する位置において、軸受を介して回転可能に第2ケース7112に取り付けられている。反力受けローラ713の回転軸は、連結体送りローラ712の回転軸に平行である。反力受けローラ713は、例えば、金属製、樹脂製等が挙げられる。
【0091】
反力受けローラ713は、連結体920を適切な力で押さえつけている。このため、連結体送りローラ712が回転すると、連結体920が移動するのに従って、反力受けローラ713も回転する。本実施形態では、反力受けローラ713は従動ローラであるが、反力受けローラ713も、連結体送りローラ712と共に駆動ローラであってもよい。
【0092】
曲げローラ群72は、連結体送り装置71によって送られた連結体920を、移動させながら円弧状に曲げる。曲げローラ群72は、連結体920の移動経路において、連結体送り装置71の下流側に設けられる。曲げローラ群72は、
図15に示すように、連結体920を直線に沿って移動させる直線部721と、連結体920を円弧状に曲げながら円弧に沿って移動させる円弧部722と、を備える。直線部721及び円弧部722は、連結体920を厚さ方向に挟み込むように配置された複数のローラ7211,7212,7221,7222を備えており、この複数のローラによって連結体920の移動経路が形成されている。
【0093】
直線部721は、上下方向に沿って延びた連結体920の移動経路を形成する部分である。直線部721は、連結体920の内周面に当たる複数の内ローラ7211と、連結体920の外周面に当たる複数の外ローラ7212とを備える。内ローラ7211の回転軸及び外ローラ7212の回転軸は、連結体送りローラ712の回転軸と平行である。連結体920は、内ローラ7211と外ローラ7212とで挟まれることで、連結体920の移動経路に沿ってスムーズに移動することができる。
【0094】
円弧部722は、連結体920の円弧状の移動経路を形成する部分である。円弧部722は、連結体920の内周面に当たる複数の内ローラ7221と、連結体920の外周面に当たる複数の外ローラ7222とを備える。内ローラ7221の回転軸及び外ローラ7222の回転軸は、連結体送りローラ712の回転軸と平行である。内ローラ7221は、円弧状の移動経路に沿って配置され、かつ連結体920の内周面に当たる位置に配置されている。外ローラ7222は、円弧状の移動経路に沿って配置されており、かつ連結体920の外周面に当たる位置に配置されている。
【0095】
図15に示すように、円弧部722において、複数の内ローラ7221のうち、下流側のローラについては、省略可能である。すなわち、曲げローラ群72では、円弧部722のうち、少なくとも上流側の部分(例えば、1/6円弧に相当する部分)において、内ローラ7221と外ローラ7222を設けることで、連結体920の円弧状の曲げが実現できる。ただし、円弧部722の全長にわたって、内ローラ7221と外ローラ7222とを設けてもよい。
【0096】
連結体送り装置71によって送られた連結体920は、曲げローラ群72の移動経路を経て、円弧状に曲げられる。
【0097】
押し込みローラ73は、連結体920の移動経路に設けられ、円弧状の連結体920を円筒部111内に導入するような移動経路を形成する。押し込みローラ73の回転軸は、連結体920の移動経路に直交している。押し込みローラ73によれば、円弧状の連結体920の曲率半径を、より小さくすることができる。これによって、連結体920は、第2開口部115を通って、円筒部111の内部に導入される。
【0098】
(連結装置3)
連結装置3は、
図17,18に示すように、螺旋巻き装置1によって巻かれたライニング部材91の隣り合う側縁部同士を、連結体920によって連結する装置である。本実施形態では、連結装置3は、ライニング部材91の隣り合う側縁部同士を突き付けて、隣り合う側縁部に跨るようにして、連結体920を接合することで、ライニング部材91の隣り合う側縁部同士を連結する。
【0099】
具体的には、連結装置3は、連結体920と、ライニング部材91とを厚み方向に挟み込むように設けられる嵌合ローラ31と内側ローラ32と、を備える。連結装置3は、ボルト等の締結部材を用いて螺旋巻き装置1のフレーム部材11に固定される。この際、嵌合ローラ31は、螺旋巻き装置1のフレーム部材11の第3開口部116に嵌め込まれ、嵌合ローラ31の一部は、フレーム部材11の円筒部111内に入り込む。
【0100】
嵌合ローラ31及び内側ローラ32の回転軸は、外側ガイドローラ12の回転軸と平行である。また、嵌合ローラ31および内側ローラ32は、ライニング部材91が螺旋巻き装置1のフレーム部材11内に搬送されてから0.65周(225度)の位置と1.65周(585度)の位置との間に相当する軸方向位置に設けられる。
【0101】
嵌合ローラ31は、連結体920の外周面と接触するように、軸受を介して回転可能に取り付けられている。嵌合ローラ31は、金属製である。嵌合ローラ31は、複数(ここでは2つ)の外側ローラ310を備える。複数の外側ローラ310は、
図17に示すように、連結体920の移動経路に沿って一定の間隔をおいて配置される。すなわち、複数の外側ローラ310は、第1軸X1を中心とした円弧に沿って配置されている。複数の外側ローラ310の回転軸は、連結体920の移動経路に直交し、かつ互いに平行である。各外側ローラ310の各々は、
図18に示すように、第1歯車311に固定されている。
【0102】
第1歯車311は、各外側ローラ310の回転軸方向の端部に固定されている。隣り合う一対の第1歯車311は、第2歯車35aと噛み合い、第2歯車35aは第3歯車35bと噛み合っている。第3歯車35bは、モータ(以下、第3モータ33)の出力軸に連結されている。したがって、第5モータ43によって第3歯車35bが一方向に回転すると、これに従って、隣り合う第1歯車311が、互いに同じ方向でかつ同じ角速度で回転する。
【0103】
第3モータ33は、例えば、油圧モータである。第3モータ33は、第3歯車35bに動力を与え、第2歯車35aと第1歯車311とを介して外側ローラ310を回転させる。第3モータ33の出力軸は、第3歯車35bに直接的に連結されているが、動力伝達体を介して間接的に連結されてもよい。また、第3モータ33の出力軸は、第2歯車35aに連結されていてもよいし、各外側ローラ310に連結されてもよい。
【0104】
嵌合ローラ31、第2歯車35a、第3歯車35b及び第3モータ33は、支持フレーム26によって一体的に保持される。この支持フレーム26は、圧縮コイルばねによって内側ローラ32側に向かって付勢されており、これによって、嵌合ローラ31は所定の押圧力(たとえば、1kN)で連結体920の外面(すなわち補強部材93の外面)を押圧可能である。また、ボルトの押し込み量を変更することにより、連結体920に対する嵌合ローラ31の押圧力を変更することも可能である。
【0105】
嵌合ローラ31は、第3モータ33の駆動力を受けて回転し、ライニング部材91の上に連結体920が配置された状態で、連結体920の外周面を押しながら回転する。これにより、ライニング部材91の第1嵌合部912に対して連結部材92の第2嵌合部922が結合されると共に、形成した更生管9に回転力を与える。
【0106】
また、嵌合ローラ31は、連結体920の外周面を押しながら回転することで、ライニング部材91を螺旋巻き装置1に引き込む推進力を連結体920に与える。すなわち、本実施形態では、連結装置3及びライニング部材送り装置5の双方の駆動力によって、ライニング部材91を送りながら、ライニング部材91の隣り合う側縁部に連結体920を順次嵌め合わせていくことができる。
【0107】
内側ローラ32は、一対の外側ローラ310と対向する位置において、軸受を介して回転可能に設けられる。内側ローラ32の外周面には、滑り止め部が形成されている。この滑り止め部は、ライニング部材91に対して滑り止め機能を有する。滑り止め部としては、例えば、芯材の外周面に設けられた軟質材料、金属製の芯材の外周面の凹凸加工(例えば、ローレット加工等)等が挙げられる。芯材としては、例えば、金属製、樹脂製等が挙げられる。軟質材料としては、例えば、合成ゴム(ウレタンゴム)、天然ゴム等が挙げられる。
【0108】
内側ローラ32は、ライニング部材91の内周面に接する。内側ローラ32の回転軸は、連結体920の移動経路に直交する。内側ローラ32は、連結体920に対して、外側ローラ310とは反対側に配置されている。内側ローラ32の中心は、
図17に示すように、内側ローラ32の回転軸に沿って内側ローラ32を見た場合、隣り合う外側ローラ310の中心間を結ぶ線分L1に直交し、かつ当該線分L1の中点を通る直線L2上に位置している。ここでいう「線分L1の中点を通る直線L2」とは、直線L2が線分L1の中点を通る場合のほか、直線L2が、実質的に線分L1の中点を通る場合も含む。「実質的に線分L1の中点を通る」とは、中点に対する、線分の長さの10%以内のずれを含む。
【0109】
また、外側ローラ310は、内側ローラ32に対して、相対的に、近付く方向と離れる方向(「接離方向」という場合がある)に移動可能に構成されている。本実施形態に係る外側ローラ310は、固定された内側ローラ32に対して、接離方向に可動である。より具体的に説明すると、外側ローラ310、第1歯車311、第2歯車35a、第3歯車35b及び第3モータ33は、フレーム36に対して取り付けられている。フレーム36は、螺旋巻き装置1のフレーム部材11に対して、径方向に移動可能に構成されている。したがって、外側ローラ310は、内側ローラ32に対して、接離方向に移動し得る。これによって、外側ローラ310と内側ローラ32とで、補強部材93を挟む力を調節することができ、連結体920を曲げる際の連結体920の曲率を調節することができる。
【0110】
ただし、内側ローラ32が、固定された外側ローラ310に対して、接離方向に可動であってもよい。内側ローラ32が接離方向に可動である場合、内側ローラ32は、隣り合う外側ローラ310の中心間を結ぶ線分L1に直交し、かつ当該線分L1の中点を通る直線L2に沿って平行移動する。
【0111】
内側ローラ32には、モータ(以下、「第4モータ34」)が接続されている。第4モータ34は、例えば、油圧モータである。内側ローラ32は、第4モータ34からの駆動力を受けて回転し、嵌合ローラ31との間でライニング部材91の連結部分を挟み込むように、ライニング部材91の連結部分の内周面を押す。また、この内側ローラ32は、嵌合ローラ31からの反力を受けるだけでなく、ライニング部材91の内周面を押圧しながら回転することで更生管9の形状を円筒状に整える形状補正ローラとしても機能する。さらに、内側ローラ32は、ライニング部材91の内周面を押しながら回転することで、ライニング部材91を螺旋巻き装置1に引き込む推進力をライニング部材91に与える。
【0112】
(全体回転装置4)
全体回転装置4は、形成した更生管9の全体を回転させるための装置である。全体回転装置4は、
図19,20に示すように、更生管送りローラ41と、反力受けローラ42と、を備える。更生管送りローラ41と反力受けローラ42は、更生管9を外面側および内面側から挟み込むように配置される。全体回転装置4は、ボルト等の締結部材を用いて螺旋巻き装置1のフレーム部材11に固定される。このとき、更生管送りローラ41は、螺旋巻き装置1のフレーム部材11の第4開口部117に嵌め込まれ、更生管送りローラ41の一部は、フレーム部材11の円筒部111内に入り込む。
【0113】
更生管送りローラ41の回転軸と反力受けローラ42の回転軸は、外側ガイドローラ12の回転軸と平行である。また、更生管送りローラ41は、ライニング部材91が螺旋巻き装置1のフレーム部材11内に搬送されてから1.75周(630度)の位置に相当する軸方向位置に設けられる。
【0114】
反力受けローラ42は、ライニング部材91が螺旋巻き装置1のフレーム部材11内に搬送されてから0.75周(270度)の位置、1.75周(630度)の位置、および2.75周(990度)の位置に跨るように、つまり3巻き分のライニング部材91に跨るように設けられる。
【0115】
更生管送りローラ41は、更生管9の外面と当たるように、軸受を介して回転可能に取り付けられている。本実施形態では、更生管送りローラ41は、前後方向に間隔をあけて設けられる2つのローラを含む。また、更生管送りローラ41は、金属製であって、その外周面には滑り止め加工が施されている。更生管送りローラ41の外周面には、軸方向に沿って延び、かつ周方向に所定間隔で並ぶ複数の突条が形成されている。この滑り止め加工によって、更生管送りローラ41とライニング部材91との間に滑りが生じることなく、更生管送りローラ41の回転駆動力がライニング部材91に適切に伝達される。ただし、更生管送りローラ41がライニング部材91との間で滑りが生じない材料で形成されている場合などには、更生管送りローラ41の外周面に必ずしも滑り止め加工を施す必要はない。
【0116】
また、更生管送りローラ41には、ギア部を介してモータ(第5モータ43)が接続される。第5モータ43は、例えば油圧モータである。更生管送りローラ41、ギア部及び第5モータ43は、支持フレームによって一体的に保持される。この支持フレームは、圧縮コイルばねによって反力受けローラ42側に向かって付勢されており、これによって、更生管送りローラ41は所定の押圧力でライニング部材91の外面を押圧可能である。また、ボルトの押し込み量を変更することにより、ライニング部材91に対する更生管送りローラ41の押圧力を変更することも可能である。
【0117】
このような更生管送りローラ41は、第5モータ43からの駆動力を受けて回転駆動され、更生管9を外面側から押圧しながら回転することで、更生管9に回転力を与える。また、更生管送りローラ41は、更生管9を外面側から押圧しながら回転することで、ライニング部材91及び連結体920に推進力(螺旋巻き装置1内への引込力)を与える。
【0118】
反力受けローラ42は、更生管送りローラ41と対向する位置において、軸受を介して回転自在に設けられる。反力受けローラ42の外周面には、滑り止め部が形成されている。この滑り止め部は、ライニング部材91に対して滑り止め機能を有する。滑り止め部としては、例えば、芯材の外周面に設けられた軟質材料、金属製の芯材の外周面の凹凸加工(例えば、ローレット加工等)等が挙げられる。芯材としては、例えば、金属製、樹脂製等が挙げられる。軟質材料としては、例えば、合成ゴム(ウレタンゴム)、天然ゴム等が挙げられる。
【0119】
反力受けローラ42は、更生管送りローラ41の回転駆動(更生管9の回転)に伴って従動回転し、更生管送りローラ41との間で更生管9を挟み込むように、更生管9の内面を押圧する。また、この反力受けローラ42は、更生管送りローラ41からの反力を受けるだけでなく、更生管9の内面側を押圧しながら回転することで更生管9の形状を円筒状に整える形状補正ローラ13としても機能する。
【0120】
(脚部8)
製管機本体100は、
図10に示すように、脚部8を有する。脚部8は、連結フレーム81と、複数の支柱部82と、を備える。連結フレーム81は、ステンレス鋼等の金属製であって、フレーム部材11の両側部に固定されている。支柱部82は、連結フレーム81を上下方向に貫通する。支柱部82の外周面には、連結フレーム81に設けられた雌ねじ部と螺合する雄ねじ部が形成されており、このねじ機構によって螺旋巻き装置1の設置高さを調節することができる。
【0121】
(動作)
製管機本体100では、螺旋状に巻いたライニング部材91の隣り合う側縁部同士を連結体920によって連結することで更生管9を形成する。製管機本体100によって更生管9を形成する際には、先ず、螺旋巻き装置1のフレーム部材11内にライニング部材91の先頭部分をセットする。この際、ライニング部材送り装置5内を通してフレーム部材11内にライニング部材91を送り込み、ライニング部材91を螺旋状に1.65周分(つまり連結装置3の嵌合位置まで)巻く。
【0122】
この状態で、ライニング部材91の送り出しを一旦停止し、ライニング部材91の位置決めを行う。つまり、ライニング部材91の周長(口径)及び軸方向位置を調整する。これにより、ライニング部材91の先頭部分が正確に位置決めされた状態で更生管9の製管を開始することができる。
【0123】
次に、連結部材92と補強部材93とを、補強装置200の挟圧ローラ210の間に通し、連結部材92と補強部材93とを嵌め合わせる。そして連結体920の先頭部分を製管機本体100にセットする。この際、ライニング部材送り装置5内にライニング部材91を通して、フレーム部材11内に配置された連結装置3の嵌合位置までライニング部材91を送り込む。その後、ライニング部材送りローラ512のモータ、連結装置3のモータ、及び全体回転装置4のモータを駆動する。
【0124】
これにより、ライニング部材送りローラ512、嵌合ローラ31、内側ローラ32、外側ローラ310、及び更生管送りローラ41が回転し、ライニング部材91、連結体920が製管機本体100内に連続的に供給される。そして、連結体920によってライニング部材91の隣り合う側縁部同士が連結されることで、更生管9が順次製管される。製管機本体100において製管された更生管9は、製管された部分から順に製管機本体100から前方に送り出されて、回転しながら既設管K1内に送り込まれる。
【0125】
(管路更生方法)
本実施形態に係る製管機1000により製造された更生管9を用いて、既設管K1を更生する管路更生工法の一例について説明する。本実施形態では、発進側のマンホールM1から到達側のマンホールM1までの間の既設管K1を更生するものとする。
【0126】
図1に示すように、既設管K1を更生するときには、先ず、発進側のマンホールM1内に製管機本体100を設置する。この際には、マンホールM1のインバート部に螺旋巻き装置1の下部を嵌め込み、脚部8によって製管機本体100を支持固定する。また、例えば地上に補強装置200を設置する。さらに、マンホールM1の近傍の地上にライニング部材91、連結部材92及び補強部材93を含む管更生部材を配置する。ライニング部材91、連結部材92、及び補強部材93は、それぞれ、個別にロール状に巻き取ったものを用意して設置することが好ましい。なお、既設管K1内は、高圧洗浄機などを用いて予め洗浄しておく。
【0127】
次に、既設管K1内に更生管9を施工する。すなわち、連結部材92及び補強部材93を補強装置200に供給して連結体920を生成し、連結体920とライニング部材91とを地上からマンホールM1内に設置した製管機本体100に供給し、製管機本体100を用いて形成した更生管9を発進側のマンホールM1内から既設管K1内に順次送り込んでいく。製管機本体100において製管された更生管9は、製管された部分から順に製管機本体100から送り込まれて、回転しながら到達側のマンホールM1に向かって既設管K1内に順次送り込まれる。
【0128】
既設管K1の更生区間の全長に亘って更生管9を施工すると、続いて、既設管K1の内面と更生管9の外面との間に充填材を注入する。本実施形態に係る更生管9では、連結部材92が補強部材93によって補強されているため、更生管9自体が自立管として機能する。すなわち、従来の管路更生方法では、更生管、固化した充填及び既設管K1によって所望の強度を得るように設計されたが、本実施形態に係る管路構成方法では、更生管9単独で所望の強度を得ることができる。
【0129】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る製管機本体100は、螺旋巻き装置1と、ライニング部材91の隣り合う側縁部同士を連結部材92によって連結する連結装置3と、連結部材92によるライニング部材91の隣り合う側縁部同士の連結を行う前に、連結部材92に対して、補強部材93を取り付ける補強装置200と、を備える。
【0130】
本実施形態に係る製管機本体100によれば、連結部材92に対して補強部材93を取り付けた更生管9を製造することができるため、更生管9の強度を強くすることができる。また、ライニング部材91と補強部材93とを、更生管9を成形する直前に組み合わせるため、更生管9を製造しやすい。例えば、補強部材93と連結部材92とを、工場出荷時に連結させておくと、製管機1000により螺旋状に塑性変形させる際に、連結部材92に対する補強部材93の長手方向の位置関係を変えることができず、内周長さと外周長さとの差が生じて成形が難しくなる。これに対し、本実施形態に係る製管機1000によれば、更生管9を製造する直前に、補強部材93と連結部材92とを組み合わせるため、内周長さと外周長さとの差が生じても、余剰分を組合せ前に吸収することができるため、更生管9の製造性がよい。
【0131】
また、補強部材93は、連結部材92に対して幅方向の両側面に対向する一対のリブ部932と、連結部材92の外周面に対向し、前記一対のリブ部932同士をつなぐ天面部931と、を有するため、更生管9に対する外方向の応力や、更生管9に対する第1軸X1方向の応力が生じた場合でも、連結部材92が変形するのを抑制することができる。
【0132】
また、補強部材93は、連結部材92に引っ掛けられる一対の引掛部933を有するため、連結部材92が内方向に変形するのを抑制することができる。
【0133】
連結装置3は、ライニング部材91に対して連結体920を取り付ける際、補強部材93を、第1軸X1を中心とした円弧に沿って塑性変形させるため、補強部材93が金属製であっても、更生管9の径に応じた補強部材93を形成することができ、強度の強い更生管9を製造することができる。
【0134】
また、連結装置3は、複数の外側ローラ310と、内側ローラ32と、複数の外側ローラ310の各々を同じ角速度で回転させるモータと、を有するため、補強部材93を円弧に沿って塑性変形させることができる。
【0135】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0136】
上記実施形態に係る連結装置3は、外側ローラ310だけでなく、内側ローラ32にもモータ(第4モータ34)が連結されており、外側ローラ310も内側ローラ32も駆動ローラであったが、内側ローラ32はモータによって駆動されない従動ローラであってもよい。また、一対の外側ローラ310は、一つのモータ(第3モータ33)で駆動したが、制御装置によって同期するように制御された個別のモータで、それぞれを駆動してもよい。
【0137】
補強部材93は、
図21(A)に示すような形状であってもよい。上記実施形態に係る補強部材93では、一対のリブ部932が天面部931に対して垂直に延びていたが、本変形例では、一対のリブ部932は、内方向に行くに従って拡がるように天面部931に対して傾斜している。
【0138】
また、補強部材93は、
図21(B)に示すような形状であってもよい。上記実施形態に係る補強部材93では、引掛部933は、基部9331と傾斜部9332とが屈曲していたが、本変形例では、基部9331と傾斜部9332とが湾曲している。特に、基部9331は、曲面で構成されている。
【0139】
上記実施形態に係る製管機1000では、全体回転装置4を備えたが、連結装置3と補強装置200とで、更生管9に対して十分な回転力を加えることができれば、全体回転装置4はなくてもよい。
【0140】
本明細書にて、「略同じ」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略同じ」とは、実質的に「同じ」であることを意味し、厳密に「同一」な状態だけでなく、全体の数%程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0141】
また、本明細書において「端部」及び「端」などのように、「…部」の有無で区別した表現が用いられている。例えば、「端」は物体の末の部分を意味するが、「端部」は「端」を含む一定の範囲を持つ域を意味する。端を含む一定の範囲内にある点であれば、いずれも、「端部」であるとする。他の「…部」を伴った表現についても同様である。
【符号の説明】
【0142】
1000 製管機
200 補強装置
1 螺旋巻き装置
3 連結装置
310 外側ローラ
32 内側ローラ
33 第3モータ(モータ)
X1 第1軸
91 ライニング部材
92 連結部材
93 補強部材
931 天面部
932 リブ部
933 引掛部