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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111489
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/12 20060101AFI20230803BHJP
   E06B 3/44 20060101ALI20230803BHJP
   E06B 7/04 20060101ALI20230803BHJP
   E06B 3/16 20060101ALI20230803BHJP
   E06B 3/26 20060101ALI20230803BHJP
   E06B 3/32 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
E06B3/12
E06B3/44
E06B7/04
E06B3/16
E06B3/26
E06B3/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013364
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 朋世
(72)【発明者】
【氏名】山口 琢二
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
【テーマコード(参考)】
2E014
2E036
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BA02
2E014BA05
2E014BA08
2E014BB00
2E014BD06
2E014CA01
2E014CA02
2E014CA03
2E014FA00
2E014FB11
2E036JA02
2E036JC02
2E036LA03
2E036LA09
2E036MA08
(57)【要約】
【課題】通風ユニットを有する構成でありながらも、製造効率を向上させることができる建具を提供する。
【解決手段】建具は、戸体と、該戸体に取り付けられた通風ユニットとを有する。前記通風ユニットは、横枠を有する通風開口枠と、該通風開口枠に支持された通風障子とを有し、前記戸体は、前記通風開口枠を囲む横框及び縦框を有し、前記横枠は、前記横框に連結され、該横框の室外側見付け面から室外側に突出するように設けられ、前記横枠と前記横框とは、前記横枠の全長が前記横框の全長よりも短く構成されることで、互いの小口端面間に段差を形成しており、前記縦框は、前記段差を跨いだ状態で、前記横框の小口端面と前記横枠の小口端面とを覆っている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸体と、該戸体に取り付けられた通風ユニットとを有する建具であって、
前記通風ユニットは、横枠を有する通風開口枠と、該通風開口枠に支持された通風障子とを有し、
前記戸体は、前記通風開口枠を囲む横框及び縦框を有し、
前記横枠は、前記横框に連結され、該横框の室外側見付け面から室外側に突出するように設けられ、
前記横枠と前記横框とは、前記横枠の全長が前記横框の全長よりも短く構成されることで、互いの小口端面間に段差を形成しており、
前記縦框は、前記段差を跨いだ状態で、前記横框の小口端面と前記横枠の小口端面とを覆っている
ことを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記横框は、前記戸体の上端部を構成する上框を含み、
前記横枠は、前記上框に連結された上枠を含み、
前記上框は、その室外側見付け面で隠された部分の枠内側見込み面に、前記上枠を連結するための上連結部を有する
ことを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項2に記載の建具であって、
前記上枠は、
前記上連結部を用いて前記上框に連結される金属上枠と、
前記金属上枠に装着され、前記金属上枠の枠内側に隠された非金属上枠と、
を有し、
前記金属上枠は、その枠内側見込み面に、前記非金属上枠を装着するための装着部を有する
ことを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項3に記載の建具であって、
前記金属上枠は、中空部を有し、
前記装着部は、前記中空部の枠内側に配置されている
ことを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の建具であって、
前記横框は、前記戸体の下端部を構成する下框を含み、
前記横枠は、前記下框に装着された下枠を含み、
前記下框は、その室外側見付け面の上部に、前記下枠を連結するための下連結部を有する
ことを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通風ユニットを備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、戸体に通風用の窓(通風ユニット)を設けた建具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6185271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような建具は、通風ユニットが戸体の内側から室外側へと突出している。このため、戸体を構成する横框は、通風ユニットが内側にオフセットしている分の段差をその小口端面に設ける必要がある。すなわち、このような建具では、縦框を横框の小口端面を覆うように取り付けるのに際し、予め横框の小口端面に段差加工を施しておく必要があり、製造効率を低下させていた。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、通風ユニットを有する構成でありながらも、製造効率を向上させることができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る建具は、戸体と、該戸体に取り付けられた通風ユニットとを有する建具であって、前記通風ユニットは、横枠を有する通風開口枠と、該通風開口枠に支持された通風障子とを有し、前記戸体は、前記通風開口枠を囲む横框及び縦框を有し、前記横枠は、前記横框に連結され、該横框の室外側見付け面から室外側に突出するように設けられ、前記横枠と前記横框とは、前記横枠の全長が前記横框の全長よりも短く構成されることで、互いの小口端面間に段差を形成しており、前記縦框は、前記段差を跨いだ状態で、前記横框の小口端面と前記横枠の小口端面とを覆っている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、通風ユニットを有する構成でありながらも、製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る建具を室外側から見た姿図である。
図2】建具の縦断面図である。
図3】建具の横断面図である。
図4】戸体の上框及び通風開口枠の上枠とその周辺部を拡大した縦断面図である。
図5】戸体の下框及び通風開口枠の下枠とその周辺部を拡大した縦断面図である。
図6A】戸体の上框及び通風開口枠の上枠の小口端面及びその周辺部を拡大した斜視図である。
図6B図6Aに示す上框及び上枠に縦框及び縦枠を連結した状態を示す斜視図である。
図7A】戸体の下框及び通風開口枠の下枠の小口端面及びその周辺部を拡大した斜視図である。
図7B図7Aに示す下框及び下枠に縦框及び縦枠を連結した状態を示す斜視図である。
図8A】戸体を全閉位置とした状態での方立及び召合せ框とその周辺部を拡大した横断面図である。
図8B図8Aに示す状態から戸体を全開位置とした状態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る建具について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1に示すように、一実施形態に係る建具10は、建物躯体に形成された開口部に固定される開口枠12と、開口枠12にスライド可能に支持される戸体14とを備える。建具10は、例えば玄関ドアとして用いられる。
【0011】
本出願において、見込み方向とは建具10の奥行方向(図中に矢印Zで示す方向)をいい、見込み面とは見込み方向に沿って延在する面をいう。見付け方向とは見込み方向に直交する方向であり、上下方向に長尺な縦枠12c等の場合はその長手方向に直交する左右方向(図中に矢印Xで示す方向)をいい、左右方向に長尺な上枠12a等の場合はその長手方向に直交する上下方向(図中に矢印Yで示す方向)をいう。見付け面とは見付け方向に沿った面をいう。枠内側とは、枠状部材である開口枠12等の内側部分をいう。枠外側とは、枠状部材である開口枠12の建物躯体に固定される外周部分をいう。枠内方向とは、枠状部材である開口枠12等の枠外側から枠内側に向かう方向をいう。枠外方向とは、枠状部材である開口枠12等の枠内側から枠外側に向かう方向をいう。
【0012】
図1図3に示すように、開口枠12は、上枠12aと、下枠12bと、縦枠12cと、方立12dとを枠組みしたものである。各枠12a~12cは、アルミニウム合金等の押出形材である。各枠12a~12cの枠内側見込み面の室内側部分には、それぞれ塩化ビニル樹脂(PVC)等で形成された樹脂製のアタッチメント部材16が装着されている。
【0013】
方立12dは、アルミニウム合金等の押出形材であり、一部にPVC等で形成された樹脂製の方立アタッチメント部材17が装着されている。方立12dは、その枠内側見込み面12d1の室外側角部を切り欠いたように形成された角取り部20を有する。角取り部20は、戸体14の戸先框22c及びこれに装着された引手部品60の引き込み空間を形成する。本実施形態の角取り部20は、例えば角部を直角に切り欠いた凹みである。方立アタッチメント部材17は、断面略クランク形状を有し、枠内側見込み面12d1と、角取り部20の内面20a,20bとを覆う。
【0014】
図1図3に示すように、戸体14は、開口枠12に支持され、その枠内側でX方向にスライドする片引き構造の引戸である。戸体14は、通風ユニット21と、框体22とを有する。
【0015】
先ず、框体22は、上框22aと、下框22bと、戸先框22cと、召合せ框22dとを框組したものである。框体22は、アルミニウム合金等の押出形材で構成した金属框材23と、PVC等の押出形材で構成した樹脂框材24とを組み合わせた複合構造を有する。金属框材23は、金属上框23a、金属下框23b、金属戸先框23c、及び金属召合せ框23dを有する。樹脂框材24は、樹脂上框24a、樹脂下框24b、及び樹脂戸先框24cを有する。
【0016】
上框22aは、金属上框23aの室内側見付け面に樹脂上框24aを装着したものである。下框22bは、金属下框23bの室内側見付け面に樹脂下框24bを装着したものである。戸先框22cは、金属戸先框23cの室内側見付け面に樹脂戸先框24cを装着したものである。召合せ框22dは、金属召合せ框23dで構成されている。
【0017】
図2に示すように、戸体14は、上框22aの枠外側見込み面に設けたガイド25が上枠12aのレール26aでガイドされ、下框22bの枠外側見込み面に設けた戸車27が下枠12bのレール26bを転動することでスライドする。
【0018】
次に、図2及び図3に示すように、通風ユニット21は、戸体14を閉じた状態で室内外での空気の流通を可能とするための通風窓である。本実施形態では、通風ユニット21として、上げ下げ窓を例示している。通風ユニット21は、通風開口枠28と、外障子29及び内障子30と、網戸装置31とを有する。
【0019】
通風開口枠28は、上枠28aと、下枠28bと、左右の縦枠28c,28dとを枠組したものである。通風開口枠28は、アルミニウム合金等の押出形材で構成した金属枠材33と、PVC等の押出形材で構成した樹脂枠材34とを組み合わせた複合構造を有する。金属枠材33は、金属上枠33a、金属下枠33b、及び金属縦枠33c,33dを有する。樹脂枠材34は、樹脂上枠34a、樹脂下枠34b、及び樹脂縦枠34c,34dを有する。
【0020】
上枠28aは、金属上枠33aの枠内側見込み面に樹脂上枠34aを装着したものである。下枠28bは、金属下枠33bの枠内側見込み面及び室内側見付け面に樹脂下枠34bを装着したものである。縦枠28c,28dは、それぞれ金属縦枠33c,33dの枠内側見込み面及び室内側見付け面に樹脂縦枠34c,34dを装着したものである。
【0021】
縦枠28c,28dの枠内側見込み面には、見込み方向に並んだ開口溝35a,35bがそれぞれ設けられている。本実施形態の通風ユニット21は、室内外方向に並んだ2枚の障子29,30を備える。開口溝35a,35bは、それぞれ障子29、30の側端部が上下動可能に挿入される。樹脂縦枠34c,34dは、室外側の開口溝35aの室内側見付け面を覆うように設けられている。そこで、縦枠28c,28dは、さらに、PVC等で形成され、室内側の開口溝35bの室内側見付け面を覆う樹脂製の縦枠アタッチメント部材36をそれぞれ備える。これにより縦枠28c,28dの室内側見付け面は、実質的に縦枠アタッチメント部材36で形成されている。
【0022】
外障子29及び内障子30は、通風障子である。外障子29は、面材38の四周を通風框39で支持したものである。内障子30は、面材40の四周を通風框41で支持したものである。面材38,40は、例えばスペーサを介して2枚の板ガラスを並べた複層ガラスである。通風框39,41は、アルミニウム合金等の押出形材で構成した金属框材と、PVC等の押出形材で構成した樹脂框材とを組み合わせた複合構造を有する。
【0023】
網戸装置31は、障子29,30を室外側から覆うように設けられている。網戸装置31は、通風開口枠28の室外側見付け面に固定された網戸枠31aと、網戸枠31aに支持された網戸31bとを有する。網戸31bは、例えば上げ下げ式のロール式である。網戸装置31は、省略されてもよい。
【0024】
次に、建具10の各部の具体的な構成とその作用効果について説明する。先ず、框体22と通風開口枠28との連結構造を説明する。
【0025】
一般的に、通風ユニットを備える建具は、戸体の框体と通風ユニットの通風開口枠とが同一の部材で兼用されている。一方、本実施形態の建具10は、框体22と通風開口枠28とが別部材で構成され、通風開口枠28を框体22に連結した構成となっている。
【0026】
図4に示すように、上框22aは、金属上框23aの枠内側見込み面22a1に上連結部44aを有する。上連結部44aは、上框22aの室外側見付け面22a2の室内側に隠された位置にある。上連結部44aは、例えば一対のL字状の板片で構成されている。本実施形態では、上連結部44aを構成する一方の板片は、室外側見付け面22a2の裏面に設けられている。
【0027】
上枠28aは、金属上枠33aの室内側端部にある係合片44bが上連結部44aに係合されることで、上框22aに連結される。金属上枠33aは、室外側に向かって下に傾斜した水切り面33a1と、水切り面33a1の裏側に設けられた中空部33a2とを有する。係合片44bは、水切り面33a1の室内側端部を上方に屈曲させた部分に形成されている。金属上枠33aは、中空部33a2の枠内側に隠された部分に装着部45aを有する。樹脂上枠34aは、室外側端部にある係合片45bが装着部45aに係合されることで、金属上枠33aに連結される。
【0028】
図4に示すように、上枠28aは、上框22aの室外側見付け面22a2から室外側に突出するように設けられている。この際、上框22aと上枠28aとの境界は、室外側見付け面22a2と水切り面33a1との境界線のみが建具10の外観に露出するため、外観品質を損なうことがない。しかも上框22a及び上枠28aは、いずれも金属と樹脂の複合構造であるが、その室外側表面は連続する金属上框23aと金属上枠33aとで構成されている。このため、上框22a及び上枠28aの連結体は、剛性や防火性能が高い。
【0029】
さらに建具10は、上連結部44a及び係合片44bが金属上框23aの室外側見付け面22a2の裏側に隠されている。このため、上框22a及び上枠28aは、例えば室外側から火災の熱を受けた際にも、上連結部44aでの係合状態が解除されることを抑制できる。しかも上連結部44a及び係合片44bは、水切り面33a1よりも上方にあるため、防水性能も高い。また建具10は、金属上枠33aに対する樹脂上枠34aの装着部48aが、金属上枠33aの枠内側見込み面にあるため、火災時に樹脂上枠34aが金属上枠33aから脱落することも抑制できる。特に、装着部48aは、金属上枠33aに設けた中空部33a2の枠内側に隠されているため、中空部33a2での断熱作用により、防火性能が一層向上している。
【0030】
次に、図6Aに示すように、上枠28aの全長(X方向長さ)は、上框22aの全長(X方向長さ)よりも短く構成されている。このため、上框22aの小口端面22a3と、上枠28aの小口端面28a1との間には、互いの全長の違いによる段差Lが形成されている。つまり上枠28aの小口端面28a1は、上框22aの小口端面22a3よりも内側にオフセットした位置にある。なお、図6A及び図6Bでは、上框22a及び上枠28aの一端部のみを例示しているが、他端部もこれと略左右対称構造である。
【0031】
すなわち建具10は、通風ユニット21を備える。このため、建具10は、図3及び図6Bに示すように、通風開口枠28が框体22の枠内側から室外側へと突出している。このため、上框22aと上枠28aの小口端面22a3,28a1間には、上記した段差Lが必要となっている。そこで、縦框である戸先框22c及び召合せ框22dは、段差Lを跨いで小口端面22a3,28a1を覆った状態で、これら小口端面22a3,8a1にねじ止めされる。
【0032】
このように横框である上框22aと横枠である上枠28aは、別部材による連結構造とされ、互いの小口端面22a3,28a1間に段差Lを形成している。これにより建具10は、段差Lを形成するための後加工を小口端面28a1に施す必要がない。すなわち、上記した一般的な建具では、戸体の框体と通風ユニットの通風開口枠とを一つの部材で構成しているため、段差Lを形成するための追加加工が必要となる。一方、本実施形態の建具10は、段差Lのための追加加工が不要であり、製造効率が高い。なお、図6A及び図6Bでは、樹脂上枠34aを図示していないが、樹脂上枠34aの全長は金属上枠33aの全長と同一であり、その小口端面も小口端面28a1と面一である。
【0033】
次に、下框22bと下枠28bとの連結構造と、下枠28bによる防水構造とを説明する。
【0034】
図5に示すように、下框22bは、金属下框23bの室外側見付け面22b1の上部に下連結部48aを有する。下連結部48aは、例えば互いに対向するL字状の板片と凹部とで構成されている。下枠28bは、下框22bの室外側見付け面22b1とラップした室内側見付け面28b1に係合片48bを有する。下枠28bは、係合片48bが下連結部48aに係合されることで、下框22bに連結される。
【0035】
金属下枠33bは、室内側から室外側に向かって順に、受け面33b1と、樋形状部33b2と、水切り面33b3とを有する。受け面33b1は、室外側に向かって下に傾斜した傾斜面である。樋形状部33b2は、受け面33b1の室外側で下方に突出し、溝形状を成している。水切り面33b3は、樋形状部33b2の室外側で室外側に向かって下に傾斜した傾斜面である。係合片48bは、下框22bの室外側見付け面22b1と対向する樋形状部33b2の室内側見付け面28b1に設けられている。
【0036】
受け面33b1及び樋形状部33b2は、内障子30の下端部30a、つまり通風框41の下框に対向し、これを見込み方向に覆っている。具体的には、受け面33b1の室内側端部が内障子30の室内側表面よりも室内側にあり、樋形状部33b2の室外側端部が内障子30の室外側表面よりも室外側にある。勿論、受け面33b1及び樋形状部33b2は、内障子30の下端部30aを長手方向にも覆っている。この際、樋形状部33ba1は、下框22bの室外側見付け面22b1の室外側に配置され、室外側見付け面22b1の上部とラップしている。この際、受け面33b1及び樋形状部33b2は、水切り面33b3も含めて1本の形材で構成されている。
【0037】
従って、下枠28bについても、下框22bの室外側見付け面22b1から室外側に突出するように設けられている。この際、下枠28bは、金属下枠33bに受け面33b1及び樋形状部33b2を有し、これらで内障子30の下端部30aを覆っている。このため、建具10では、内障子30の室内外側表面を流れ落ちた雨水や結露水等は、金属製の受け面33b1及び樋形状部33b2でトラップされ、後述するように適宜室外側へと排出される。その結果、建具10は、高い防水性能が得られる。また、樋形状部33b2が下框22bの室外側見付け面22b1とラップしつつ、下方に突出していることで、樋形状部33b2の容積が拡大されて貯水量が向上し、さらに排水性も一層良好となる。
【0038】
本実施形態の建具10は、樋形状部33b2の室内側見付け面28b1と、下框22bの室外側見付け面22b1とを貫通し、樋形状部33b2から下框22b内へと水を流通可能な連通口50を備える。このため、受け面33b1から樋形状部33b2へと流れた水は、樋形状部33b2を流れつつ連通口50を通過する。連通口50を通過した水は、金属下框23b内を流れ落ち、例えば室外側見付け面22b1に設けた排水部品51を通して室外側に排出される。この際、連通口50は、下框22bと下枠28bとの下連結部48aを貫通している。このため、例えば下連結部48aと係合片48bとの連結部分に止水材を設けることで、連通口50回りの止水も容易に施工できる。
【0039】
樋形状部33b2からの排水経路は、これに限られない。例えば、図5中に2点鎖線で示す排水部品51のように、樋形状部33b2の室外側見付け面に直接的に排水口を設けてもよい。また例えば、図5に示す排水口52のように、金属下框23b内を流れ落ちる水を金属下框23bの下端面を通して室外側へと排水する経路を設けてもよい。
【0040】
なお、図5に示すように、樹脂下枠34bは、見付け片34b1と、見込み片34b2とを有し、断面略L字状に形成されている。見付け片34b1は、金属下枠33bの室内側端部から上方に突出した突出片33b4の室内側見付け面を覆う。見込み片34b2は、受け面33b1の枠外側見込み面を覆うように室外側へと突出している。樹脂下枠34bは、見付け片34b1の上端と見込み片34b2の先端とが金属下枠33bに係合され、これにより金属下枠33bに装着される。これにより樹脂下枠34bは、金属下枠33bの室内側に露出する部分を確実に覆うことができ、外観品質と断熱性能が一層向上する。
【0041】
次に、図7Aに示すように、下枠28bの全長(X方向長さ)についても、下框22bの全長(X方向長さ)よりも短く構成されている。その結果、下框22bの小口端面22b2と、下枠28bの小口端面28b2との間にも、互いの全長の違いによる段差Lが形成されている。なお、図7A及び図7Bでは、下框22b及び下枠28bの一端部のみを例示しているが、他端部もこれと略左右対称構造である。
【0042】
このように横框である下框22bと横枠である下枠28bについても、別部材による連結構造とされ、互いの小口端面22b2,28b2間に段差Lを形成している。このため建具10は、下枠28bの小口端面28a2についても段差Lの形成のための追加加工を施す必要がなく(図7B参照)、製造効率が一層向上する。また、下框22bと下枠28bとが別部材であることで、下框22bの形状に関わらず、金属下枠33bを所望の受け皿形状に形成することができ、防水性能が一層向上する。
【0043】
次に、戸体14と方立12dの関係を説明する。
【0044】
図8Aに示すように、方立12dは、戸体14が全閉位置とされた状態で、召合せ框22d(金属召合せ框23d)と召合いし、互いの煙返し54,55が室内外方向で対向する。この際、方立12dの角取り部20は、戸体14の室内側表面との間に凹部56を形成する。凹部56は、開口枠12の枠内側を向いて開口した凹状空間である。
【0045】
凹部56は、室外側を向いた第1内面56aと、枠内側を向いた第2内面56bと、室内側を向いた第3内面56cとで3方が囲まれている。第1内面56aは、方立アタッチメント部材17の表面のうち、角取り部20の室外側見付け面である内面20aを覆う部分で形成されている。第2内面56bは、方立アタッチメント部材17の表面のうち、角取り部20の枠内側見込み面である内面20bを覆う部分で形成されている。第3内面56cは、通風ユニット21の縦枠28dに装着された縦枠アタッチメント部材36の室内側見付け面で形成されている。
【0046】
これにより建具10は、図8A中の矢印Aで示すように凹部56を室内側から見た場合に、金属部材である金属召合せ框23dが略露出しない。つまり凹部56は、内面56a~56cの略全体が樹脂部材であるアタッチメント部材17,36で形成されている。このため、建具10は、高い断熱性能と外観品質が得られる。
【0047】
ところで、框体22は、金属框材23と樹脂框材24の複合構造であり、方立12dを含めた開口枠12も同様な構造である。ここで、樹脂材は、着色が容易であり、ユーザの好みに応じた色で形成できるが、金属材の色を変えることは容易ではない。
【0048】
そこで、建具10は、例えば金属召合せ框23dの外部に露出する表面に、周囲の樹脂材と同等色のラミネートフィルム58(図8A中に破線で示す。)を貼り付け、その外観品質を担保している。金属召合せ框23dの場合、ラミネートフィルム58は、例えば枠外側見込み面23d1及び室外側見付け面23d2を覆っている。
【0049】
一方、金属召合せ框23dは、樹脂製のアタッチメント部材17,36で隠されて外部に露出しない表面、具体的には枠内側見込み面23d3や室内側見付け面23d4にはラミネートフィルム58を貼り付けていない。すなわち金属召合せ框23dの面23d3,23d4は、樹脂製のアタッチメント部材17,36で隠されるため、ラミネートフィルム58を設ける必要がない。その結果、建具10は、ラミネートフィルム58の貼着面積を最小限にすることができ、作業コストや部品コストを低減できる。
【0050】
ところで、本実施形態の建具10では、金属召合せ框23dの枠内側部分23d5が凹部56に露出している(図8A参照)。しかしながら、この枠内側部分23d5は内面56b,56c間の隙間から僅かに露出しているに過ぎないため、ラミネートフィルム58を設けなくても外観品質への影響はほとんどない。しかも、建具10は、図8Aに示す全閉位置において、召合せ框22dの枠内側見込み面23d3(及び枠内側部分23d5)が、方立アタッチメント部材17の枠内側見込み面17a及び方立12dの枠内側見込み面12d1よりも枠外側にオフセットした位置に配置される。つまり召合せ框22dは、方立12dよりも小さい見付け幅を有する。その結果、建具10は、金属召合せ框23dの凹部56への突出量を抑制でき、金属召合せ框23dが凹部56に露出することを一層抑制できる。
【0051】
勿論、枠内側部分23d5にラミネートフィルム58を設けてもよい。また、例えば金属召合せ框23dの見付け幅を枠外側に縮小させ、枠内側部分23d5が凹部56に露出することを完全に阻止してもよい。
【0052】
図8Bに示すように、本実施形態の建具10は、凹部56が枠内側に開口している。このため、建具10は、戸体14が全開位置とされた際、戸先框22c及びこれに装着された引手部品60が方立12d(方立アタッチメント部材17)に干渉することを回避しつつ、戸体14の開き量を最大限に確保できる。換言すれば、建具10は、凹部56の内面56a~56cを樹脂材で形成したことで、凹部56を開口枠12の枠内側に開口した構成とすることができ、これにより戸体14の開き量を確保することが可能となっている。
【0053】
図8A及び図8Bに示すように、方立アタッチメント部材17は、戸体14の室内側表面に当接するタイト材62が装着されるポケット部63を有する。ポケット部63は、凹部56の内面56a~56cから外れた位置、具体的には第2内面56bの枠外側に隠された位置に配置されている。このため、タイト材62が引手部品60と干渉することもなく、また凹部56の外観品質も向上する。
【0054】
本発明の一態様に係る建具は、戸体と、該戸体に取り付けられた通風ユニットとを有する建具であって、前記通風ユニットは、横枠を有する通風開口枠と、該通風開口枠に支持された通風障子とを有し、前記戸体は、前記通風開口枠を囲む横框及び縦框を有し、前記横枠は、前記横框に連結され、該横框の室外側見付け面から室外側に突出するように設けられ、前記横枠と前記横框とは、前記横枠の全長が前記横框の全長よりも短く構成されることで、互いの小口端面間に段差を形成しており、前記縦框は、前記段差を跨いだ状態で、前記横框の小口端面と前記横枠の小口端面とを覆っている。このような構成によれば、通風ユニットの横枠と、戸体の横框とを別部材で構成すると共に、横枠の全長を横框の全長よりも短く構成し、互いの小口端面間に段差を形成している。その結果、当該建具は、この段差を追加の後加工によって形成する必要がなく、製造効率が向上する。
【0055】
前記横框は、前記戸体の上端部を構成する上框を含み、前記横枠は、前記上框に連結された上枠を含み、前記上框は、その室外側見付け面で隠された部分の枠内側見込み面に、前記上枠を連結するための上連結部を有する構成としてもよい。そうすると、上枠及び上框での段差の追加加工が不要となり、製造効率が向上する。さらに、建具が室外側から火災の熱を受けた際、上連結部での横枠と横框との係合状態が解除されることを抑制でき、防火性能が向上する。
【0056】
前記上枠は、前記上連結部を用いて前記上框に連結される金属上枠と、前記金属上枠に装着され、前記金属上枠の枠内側に隠された非金属上枠と、を有し、前記金属上枠は、その枠内側見込み面に、前記非金属上枠を装着するための装着部を有する構成としてもよい。そうすると、火災時に上枠を構成する金属上枠からの非金属上枠の脱落も抑制でき、防火性能が一層向上する。
【0057】
前記金属上枠は、中空部を有し、前記装着部は、前記中空部の枠内側に配置された構成としてもよい。そうすると、中空部での断熱作用により、装着部での防火性能が一層向上する。
【0058】
前記横框は、前記戸体の下端部を構成する下框を含み、前記横枠は、前記下框に装着された下枠を含み、前記下框は、その室外側見付け面の上部に、前記下枠を連結するための下連結部を有する構成としてもよい。そうすると、下枠及び下框での段差の追加加工が不要となり、製造効率が向上する。
【0059】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0060】
上記では、戸体14として引戸を例示したが、戸体14は、開閉ドア等でもよいし、例えばFIX窓のように建物躯体に固定されてもよい。また上記では、金属部材の室内側や枠内側に装着される部材として、アタッチメント部材16,17,36、樹脂框材24、及び樹脂枠材34を例示したが、このような非金属部材としては樹脂以外、例えば木材等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 建具、12 開口枠、14 戸体、17 方立アタッチメント部材、20 角取り部、21 通風ユニット、22 框体、23 金属框材、24 樹脂框材、28 通風開口枠、29 外障子、30 内障子、33 金属枠材、33b2 樋形状部、34 樹脂枠材、36 縦枠アタッチメント部材、44a 上連結部、45a 装着部、48a 下連結部、50 連通口、56 凹部、58 ラミネートフィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B