(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111517
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20230803BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20230803BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
H05K7/18 E
H02G11/00
H05K7/18 F
H05K7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013399
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴史
【テーマコード(参考)】
4E352
5G371
【Fターム(参考)】
4E352AA01
4E352BB02
4E352BB07
4E352BB12
4E352BB20
4E352CC02
4E352CC22
4E352CC40
4E352CC52
4E352CC53
4E352DD08
4E352DD09
4E352DD15
4E352DR02
4E352DR05
4E352DR22
4E352DR24
4E352GG12
5G371AA05
5G371BA02
5G371CA02
5G371CA03
5G371CA07
(57)【要約】
【課題】 複数のケーブルをケーブルキャリアに配置した状態で、機器の引き出し、押し戻しの動作に伴うケーブルの動きに支障が生じないようにした収納装置を提供する。
【解決手段】 無線機又は測定器等の機器2が収納架11に収納され、収納架11の側面に取り付けられたスライドレール12が、機器2を前面に引き出し、押し戻すスライドの動作を行い、スライドレール12に取り付けられたケーブルキャリア20が、機器2に接続する複数のケーブル3が配置された状態で、スライドの動作に伴いケーブル3を移動させる収納装置である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線機又は測定器の機器を収納する収納装置であって、
前記機器が収納される収納架と、
前記機器に接続する複数のケーブルと、
前記収納架の側面に取り付けられ、前記機器を前面に引き出し、押し戻すスライドの動作を行うスライドレールと、
前記スライドレールに取り付けられ、前記ケーブルが配置された状態で、前記スライドの動作に伴い前記ケーブルを移動させるケーブルキャリアと、を備えることを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記ケーブルキャリアは、
前記スライドレールのスライドの動作に連動する前記スライドレールのインナレール部に第1の固定部により固定され、
前記スライドレールのスライドの動作に連動せず前記スライドレールのアウタレール部に第2の固定部により固定され、
前記ケーブルを折り曲げる第1の折り曲げ部と、
前記第1の固定部と前記第1の折り曲げ部を接続し、前記ケーブルが配置されるよう固定する第1のアーム部と、
前記第2の固定部と前記第1の折り曲げ部を接続し、前記ケーブルが配置されるよう固定する第2のアーム部と、を備え、
前記第1の固定部に前記ケーブルを折り曲げる第2の折り曲げ部を設け、
前記第2の固定部に前記ケーブルを折り曲げる第3の折り曲げ部を設けたことを特徴とする請求項1記載の収納装置。
【請求項3】
前記第1の折り曲げ部、前記第2の折り曲げ部及び前記第3の折り曲げ部は、前記ケーブルの許容折り曲げ半径以上の曲率を持った軸を有することを特徴とする請求項2記載の収納装置。
【請求項4】
前記ケーブルキャリアの幅は、前記ケーブルが配置されるよう、前記スライドレールの高さ以上で、前記機器の高さ以下としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機や測定器の機器を収納し、前面に引き出し可能とする収納装置に係り、特に、多数のケーブルが機器に接続されていても、ケーブルを収納した状態で引き出し等の動作に伴うケーブルの動きに支障を生じさせない収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来、無線機や測定器の機器を前面に引き出すことが可能な収納装置において、機器の背面で接続するケーブルをガイドするケーブルキャリアがあった。
但し、構造としては単純で部品点数が少なく、比較的安価に製作できるが、縛着できるケーブルの本数に制限があった。
【0003】
[従来の収納装置:
図4]
従来の収納装置について
図4を参照しながら説明する。
図4は、従来の収納装置の概略図である。
図4に示すように、従来の収納装置は、機器を収納する収納架11の側面にスライドレール31を取り付け、一端がスライドレール31に接続し、他端が収納架11に接続するケーブルキャリア30が設けられている。
【0004】
そして、このケーブルキャリア30に複数のケーブルを縛着する構成となっている。
しかしながら、ケーブルキャリア30の高さ方向の幅が狭いため、複数のケーブルを取り付けると負荷が掛かり、機器の引き出し及び押し戻しのスライドの動作にケーブルがスムーズに連動しないことがあった。
【0005】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2008-067908号公報「回転照射装置」(特許文献1)がある。
特許文献1には、ケーブルキャリアを用いてケーブルの多層巻き取り及び巻き戻しの装置をコンパクトにする回転照射装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の収納装置では、機器に接続されるケーブルの数が多くなると、ケーブルキャリアがケーブルの重量を支えきれず、動作に支障が生じ、ケーブルの曲げ部と接続部(コネクタ部)に負荷をかけ、機器の引き出し、押し戻しが困難になるという問題点があった。
【0008】
尚、特許文献1には、機器の引き出し、押し戻しの動作に伴って複数のケーブルをケーブルキャリアに配置した状態で動作させる構成についての記載がない。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、複数のケーブルをケーブルキャリアに配置した状態で、機器の引き出し、押し戻しの動作に伴うケーブルの動きに支障が生じないようにした収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、無線機又は測定器の機器を収納する収納装置であって、機器が収納される収納架と、機器に接続する複数のケーブルと、収納架の側面に取り付けられ、機器を前面に引き出し、押し戻すスライドの動作を行うスライドレールと、スライドレールに取り付けられ、ケーブルが配置された状態で、スライドの動作に伴い前記ケーブルを移動させるケーブルキャリアと、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記収納装置において、ケーブルキャリアが、スライドレールのスライドの動作に連動するスライドレールのインナレール部に第1の固定部により固定され、スライドレールのスライドの動作に連動せずスライドレールのアウタレール部に第2の固定部により固定され、ケーブルを折り曲げる第1の折り曲げ部と、第1の固定部と第1の折り曲げ部を接続し、ケーブルが配置されるよう固定する第1のアーム部と、第2の固定部と第1の折り曲げ部を接続し、ケーブルが配置されるよう固定する第2のアーム部と、を備え、第1の固定部にケーブルを折り曲げる第2の折り曲げ部を設け、第2の固定部にケーブルを折り曲げる第3の折り曲げ部を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記収納装置において、第1の折り曲げ部、第2の折り曲げ部及び第3の折り曲げ部が、ケーブルの許容折り曲げ半径以上の曲率を持った軸を有することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記収納装置において、ケーブルキャリアの幅が、ケーブルが配置されるよう、スライドレールの高さ以上で、機器の高さ以下としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、機器が収納される収納架と、機器に接続する複数のケーブルと、収納架の側面に取り付けられ、機器を前面に引き出し、押し戻すスライドの動作を行うスライドレールと、スライドレールに取り付けられ、ケーブルが配置された状態で、スライドの動作に伴い前記ケーブルを移動させるケーブルキャリアと、を備える収納装置としているので、機器の引き出し、押し戻しの動作に伴うケーブルの動きに支障が生じないようにできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】機器が収納された状態を示す本装置の斜視図である。
【
図3】機器が引き出された状態を示す本装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る収納装置(本装置)は、無線機又は測定器等の機器が収納架に収納され、収納架の側面に取り付けられたスライドレールが、機器を前面に引き出し、押し戻すようスライドの動作を行い、スライドレールに取り付けられたケーブルキャリアが、機器に接続する複数のケーブルが配置された状態で、スライドの動作に伴いケーブルを移動させるものであり、機器の引き出し、押し戻しの動作に伴うケーブルの動きに支障が生じないようにしたものである。
【0017】
[本装置:
図1~3]
本装置について
図1~3を参照しながら説明する。
図1は、本装置の概略図であり、
図2は、機器が収納された状態を示す本装置の斜視図であり、
図3は、機器が引き出された状態を示す本装置の斜視図である。
本装置は、
図1~3に示すように、本体1に機器2を収納する収納架11を備え、当該収納架11の側面にスライドレール12が取り付けられ、そのスライドレール12にケーブルキャリア20が取り付けられている。
ここで、本装置は、使用状況に応じて、機器2を収納架11から前面に引き出し、また、機器2を元の位置に押し戻す(収納する)ことができる構造となっている。
【0018】
[本装置の各部:
図2,3]
本装置の各部について
図2,3を参照しながら具体的に説明する。
[収納架11]
収納架11は、金属製の底面と側面を備えている。
尚、底面は、重量を軽量化するために、中央部分が空洞になっている。
【0019】
[スライドレール12]
スライドレール12は、収納架11の側面に取り付けられるアウタレール部と、機器2の側面に取り付けられ、アウタレール部内を移動するインナレール部とから構成されている。
機器2が収納架11に収納されている状態では、インナレール部はアウタレール部に収納され、機器2が収納架11から引き出された状態では、インナレール部はアウタレール部から引き出された状態になる。
【0020】
尚、スライドレール12は、ロック機構(ストッパー)があるため、インナレール部が完全に引き出されることはない。
また、本発明の実施の形態では、スライドレール12は、収納架11の一方の側面(図面の向かって左側)に設けているが、他方の側面(図面に向かって右側)に設けることも可能であり、本発明はいずれの側面でも実現可能である。
【0021】
[ケーブルキャリア20]
ケーブルキャリア20は、スライドレール12のインナレール部に固定される第1の固定部(第1の取付金具)21と、スライドレール12のアウタレール部に固定される第2の固定部(第2の取付金具)22と、第1の折り曲げ部25と、第1の固定部21と第1の折り曲げ部25とを接続する第1のアーム部23と、第2の固定部22と第1の折り曲げ部25とを接続する第2のアーム部24と、第1の固定部21に設けられた第2の折り曲げ部26と、第2の固定部22に設けられた第3の折り曲げ部27とを備えている。
【0022】
そして、ケーブルキャリア20の幅(高さ)は、ケーブル3が並行に配置されるよう、スライドレール12の高さ以上で、機器2の高さ以下としている。
ケーブルキャリア20の幅は、ケーブル3の太さ、本数によって上記の範囲内で特定される。
本装置では、ケーブルキャリア20の幅を、ケーブル3が重ならないように配置できる程度の広さとすることで、ケーブル3の動きに支障が生じないものである。
【0023】
[第1の固定部21]
第1の固定部21は、インナレール部に取り付けられ、固定されているので、機器2が引き出された場合には、連動して前面に引き出され、機器2が押し戻された場合には、連動して背面に押し戻される。
【0024】
[第2の固定部22]
第2の固定部22は、アウタレール部に取り付けられ、固定されているので、機器2の引き出し、押し戻しの動作に関係(連動)なく固定される。
また、第2の固定部22をスライドレール12にではなく、収納架11の側面に固定するようにしてもよい。
尚、第2の固定部22は、収納架11の背面に近い方に設け、第1の固定部21は、機器2の背面に近い方に設ける。
【0025】
[第1のアーム部23]
第1のアーム部23は、一端が第1の固定部21に回転可能に接続され、他端が第1の折り曲げ部25に回転可能に接続されている。
そして、第1のアーム部23には、複数のケーブル3が重ならないよう配置されている。
尚、ケーブル3は、第1のアーム部23の途中でプラスチック製の結束バンドにより各々固定される。
【0026】
[第2のアーム部24]
第2のアーム部24は、一端が第2の固定部22に回転可能に接続され、他端が第1の折り曲げ部25に回転可能に接続されている。
そして、第2のアーム部24には、複数のケーブル3が重ならないよう配置されている。
尚、ケーブル3は、第2のアーム部24の途中でプラスチック製の結束バンドにより各々固定される。
【0027】
[第1の折り曲げ部25]
第1の折り曲げ部25は、第1のアーム部23の他端と第2のアーム部24の他端とを縦方向の1本の軸で固定し、回転可能となっている。
この第1の折り曲げ部25で、ケーブル3が折り曲げられる。
ここで、第1の折り曲げ部25は、ケーブル3の許容折り曲げ半径以上の曲率を持った軸を有するものである。これにより、ケーブルキャリア20の動作時にケーブル3の許容曲げ半径以下にならない構造としている。
【0028】
[第2の折り曲げ部26,第3の折り曲げ部27]
第2の折り曲げ部26は、第1の固定部21に縦方向の軸で構成され、回転可能となっている。
また、第3の折り曲げ部27は、第2の固定部22に縦方向の軸で構成され、回転可能となっている。
尚、第2の折り曲げ部26及び第3の折り曲げ部27も、ケーブル3の許容折り曲げ半径以上の曲率を持った軸を有するものである。
【0029】
[ケーブ3]
ケーブル3は、第2の折り曲げ部26を介して機器2の背面の接続部に接続し、第3の折り曲げ部27を介して別の機器の接続部に接続している。
そして、ケーブル3は、各々重ならないように第1のアーム部23、第2のアーム部24等に配置され、固定されている。
【0030】
[動作]
次に、本装置の動作について
図2,3を参照しながら説明する。
[押し戻された状態]
本装置において、機器2が収納された状態(押し戻された状態)が
図2であり、スライドレール12のインナレール部がアウタレール部内に収まっており、第1の固定部21が第2の固定部22に接近(接触)し、第1のアーム部23と第2のアーム部24とが折りたたまれている。
【0031】
つまり、ケーブル3が、第1の折り曲げ部25と、第2の折り曲げ部26と、第3の折り曲げ部27とで折り曲げが大きくなり、第1の固定部21と第2の固定部22との距離が短くなっている。
また、ケーブル3は、第1のアーム部23と第2のアーム部24に配置されて固定され、ケーブル3が交差することがない。
【0032】
[引き出された状態]
本装置において、機器2が引き出された状態が
図3であり、スライドレール12のインナレール部がアウタレール部内を移動(スライド)して機器2が前面に引き出され、第1の固定部21が第2の固定部22から離れ、第1のアーム部23と第2のアーム部24とが第1の折り曲げ部25を起点に広がり、V字形状になっている。
【0033】
つまり、ケーブル3が、第1の折り曲げ部25と、第2の折り曲げ部26と、第3の折り曲げ部27とで折り曲げが小さくなり、第1の固定部21と第2の固定部22との距離が長くなっている。
また、ケーブル3もスライド動作に伴い広がるが、第1のアーム部23と第2のアーム部24に配置されて固定されたままで、ケーブル3が交差することがない。
【0034】
このように、本装置における機器2の引き出し及び押し戻しの動作においても、第1のアーム部23と第2のアーム部24とにケーブル3が配置されて固定された状態で、ケーブル3同士が交差して絡まることがなく、ケーブル3の動きに支障が生じることがなく、スムーズに動作できるものである。
【0035】
[実施の形態の効果]
本装置によれば、無線機又は測定器等の機器2が収納架11に収納され、収納架11の側面に取り付けられたスライドレール12が、機器2を前面に引き出し、押し戻すスライドの動作を行い、スライドレール12に取り付けられたケーブルキャリア20が、機器2に接続する複数のケーブル3が配置された状態で、スライドの動作に伴いケーブル3を移動させるものであり、機器の引き出し、押し戻しのスライドの動作に伴うケーブル3の動きに支障が生じないようにできる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、複数のケーブルをケーブルキャリアに配置した状態で、機器の引き出し、押し戻しの動作に伴うケーブルの動きに支障が生じないようにした収納装置に好適である。
【符号の説明】
【0037】
1…本体、 2…機器、 3…ケーブル、 11…収納架、 12…スライドレール、 20…ケーブルキャリア、 21…第1の固定部(第1の取付金具)、 22…第2の固定部(第2の取付金具)、 23…第1のアーム部、 24…第2のアーム部、 25…第1の折り曲げ部、 26…第2の折り曲げ部、 27…第3の折り曲げ部、 30…ケーブルキャリア、 31…スライドレール