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特開2023-111538行動手順情報管理装置及び行動手順情報管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111538
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】行動手順情報管理装置及び行動手順情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230803BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230803BHJP
【FI】
G05B23/02 301V
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013429
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中原 崇
(72)【発明者】
【氏名】陰山 晃治
(72)【発明者】
【氏名】三宮 豊
(72)【発明者】
【氏名】中村 信幸
【テーマコード(参考)】
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223AA06
3C223BA03
3C223BB08
3C223CC02
3C223DD03
3C223FF03
3C223FF13
3C223FF15
3C223FF16
3C223FF24
3C223FF35
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH03
3C223HH08
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】特定指標の推移が基準日時と類似した過去日時のイベント情報を用いて、閲覧すべき文書、その箇所、熟練者による行動手順等を高精度に検索し、熟練運転者の運転履歴として表示する。
【解決手段】本発明の行動手順情報管理装置は、プラントに関する特定指標の推移が基準日時に類似する過去日時を抽出する類似日時抽出部と、前記抽出した過去日時における複数のイベント情報を抽出するイベント抽出部と、前記特定指標と前記イベント情報との間の関与度に基づき、前記抽出した複数のイベント情報を選別するイベント篩い分け部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントに関する特定指標の推移が基準日時に類似する過去日時を抽出する類似日時抽出部と、
前記抽出した過去日時における複数のイベント情報を抽出するイベント抽出部と、
前記特定指標と前記イベント情報との間の関与度に基づき、前記抽出した複数のイベント情報を選別するイベント篩い分け部と、
を備えることを特徴とする行動手順情報管理装置。
【請求項2】
前記プラントの運転者が選択した前記特定指標を受け付ける類似度計算式種類受信部を備えること、
を特徴とする請求項1に記載の行動手順情報管理装置。
【請求項3】
同じ日時を有するイベント情報及び文書閲覧情報を収集し前記運転者に表示するべき行動手順情報を生成する行動手順情報生成部を備えること、
を特徴とする請求項2に記載の行動手順情報管理装置。
【請求項4】
前記行動手順情報生成部は、
前記イベント情報に対応して実際に前記運転者により閲覧された電子マニュアルに付与された注釈の内容に基づき、前記関与度を決定すること、
を特徴とする請求項3に記載の行動手順情報管理装置。
【請求項5】
前記プラントは、
浄水場又は下水処理場を含むこと、
を特徴とする請求項4に記載の行動手順情報管理装置。
【請求項6】
前記イベント情報は、
前記特定指標に関して発された警報又は前記運転者の操作・運転の内容であること、
を特徴とする請求項5に記載の行動手順情報管理装置。
【請求項7】
前記関与度は、
前記特定指標と前記イベント情報との組合せについて定義されること、
を特徴とする請求項6に記載の行動手順情報管理装置。
【請求項8】
プラントに関する特定指標の推移が基準日時に類似する過去日時を抽出し、
前記抽出した過去日時における複数のイベント情報を抽出し、
前記特定指標と前記イベント情報との間の関与度に基づき、前記抽出した複数のイベント情報を選別する行動手順情報管理装置と、
前記プラントに関するセンサデータを収集するセンサデータ収集サーバと、
前記プラントを監視・制御するプラント監視制御サーバと、
前記プラントの運転者から前記特定指標を受け付けるとともに、前記イベント情報に対応する行動手順を前記運転者に表示する運転者用情報端末と、
を備えることを特徴とする行動手順情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動手順情報管理装置及び行動手順情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道の水質等を管理する一環として、浄水場で原水に薬剤を注入し飲用水とする工程、下水処理場で下水に空気を送り込み汚泥を沈殿させ処理水とする工程等が監視制御される。近時、熟練運転者の運転履歴を非熟練運転者が参考にするために、コンピュータが、原水又は下水の濁度、pH(水素イオン濃度)等の特定指標の推移が基準日時と類似した過去日時を検索し、その過去日時における警報・操作運転情報等のイベント情報を運転履歴として抽出する技術が存在する。
【0003】
そのような技術のうち特許文献1の管理業務支援装置は、特定指標が基準日時と類似した過去日時の警報、操作・運転履歴情報等のイベント情報を抽出し、イベント情報に対処するために準備された文書及び行動手順(対応策)を取得する。当該装置は、イベント情報と文書を用いて、異常による被害額及び対処に要した時間からリスクを評価し、行動手順にリスク評価結果を埋め込み、行動手順の抽出にフィードバックする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-92954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
過去のイベント情報に基づき行動手順を検索すると、イベント情報が数多く該当するうえに、イベント情報には特定指標の改善とは関係ないものが含まれているため、検索精度が低下することがある。
本発明の目的は、特定指標の推移が基準日時と類似した過去日時のイベント情報を用いて、閲覧すべき文書、その箇所、熟練者による行動手順等を高精度に検索し、熟練運転者の運転履歴として表示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の行動手順情報表示装置は、プラントに関する特定指標の推移が基準日時に類似する過去日時を抽出する類似日時抽出部と、前記抽出した過去日時における複数のイベント情報を抽出するイベント抽出部と、前記特定指標と前記イベント情報との間の関与度に基づき、前記抽出した複数のイベント情報を選別するイベント篩い分け部と、を備えることを特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定指標の推移が基準日時と類似した過去日時のイベント情報を用いて、閲覧すべき文書、その箇所、熟練者による行動手順等を高精度に検索し、熟練運転者の運転履歴として表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】行動手順情報表示システムの構成を示す図である。
図2】水質データ収集サーバのハードウェア構成を示す図である。
図3】水質監視制御サーバのハードウェア構成を示す図である。
図4】行動手順情報管理サーバのハードウェア構成を示す図である。
図5】運転者用情報端末のハードウェア構成を示す図である。
図6】監視カメラのハードウェア構成を示す図である。
図7】水質データ蓄積部のハードウェア構成を示す図である。
図8】行動手順情報管理サーバの機能ブロック図である。
図9】データ構造を示す図である。
図10】行動手順情報生成時の処理フローである。
図11】行動手順情報表示時の処理フローである。
図12】運転者用情報端末の画面遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態(“本実施形態”という)について図面を用いて説明する。本実施形態は、水道関連施設(図示せず)において水質を管理する例である。水道管理施設は、浄水場及び下水処理場を含む概念である。しかしながら、本発明は、水道管理施設以外の一般的なプラント(図示せず)に対しても適用可能である。
【0010】
図1は、本実施形態における行動手順情報表示システムの構成を示す図である。行動手順情報表示システム100は、水質データ収集サーバ1、水質データ蓄積部2、イベント情報蓄積部3、水質監視制御サーバ4、文書情報蓄積部5、文書閲覧情報蓄積部6、運転者用情報端末7、行動手順情報蓄積部8、監視カメラ9及び行動手順情報管理サーバ(行動手順情報管理装置)10を備える。これらは、ネットワーク11によって接続されている。
【0011】
水道管理施設以外のプラントにおいて、前記の水質データ収集サーバ1は、プラントの任意のセンサ値を収集する“センサデータ収集サーバ1”となり、前記の水質監視制御サーバ4は、プラントを構成する任意の機器を監視・制御する“プラント監視制御サーバ4”となる。行動手順情報管理装置10、センサデータ収集サーバ1、プラント監視制御サーバ4及び運転者用情報端末7は、行動手順情報管理システム100を構成する。
【0012】
水質データ収集サーバ1は、取水井や着水井等の特定場所に設置されたセンサを用いて、濁度、pH等、水に関する特定指標のデータを水質データとして収集し、タイムスタンプ(日時)を付与して水質データ蓄積部2へ送信する。水質データ収集サーバ1は、水質データ計測部1aと、水質データ送信部1bを備える。水質データ計測部1aは、センサを用いて特定指標のデータを水質データとして収集する。水質データ送信部1bは、水質データにタイムスタンプを付与して水質データ蓄積部2に送信する。
【0013】
水質データ蓄積部2は、水質データ収集サーバ1により収集された水質データを記録し、他のサーバからの要求に従って他のサーバへ水質データを送信する。イベント情報蓄積部3は、水質監視制御サーバ4から警報及び操作・運転履歴を収集し、これらを集約したイベント情報を記録し、行動手順情報管理サーバ10からの要求に従って行動手順情報管理サーバ10にイベント情報を送信する。
【0014】
水質監視制御サーバ4は、水質に関して異常時の警報を発令し、凝集剤注入器等の水質制御機器を制御又は操作し、警報及び操作・運転履歴をイベント情報として集約し他へ送信する。水質監視制御サーバ4は、水質データ受信部4a、異常時警報発令部4b、機器制御・操作部4c、イベント情報集約部4d及びイベント情報送信部4eを備える。
【0015】
水質データ受信部4aは、水質データ収集サーバ1から水質データを受信する。異常時警報発令部4bは、水質データの正常又は異常を判断し、異常時に警報を発令する。機器制御・操作部4cは、浄水処理において凝集剤を注入する機器、下水処理において送風する機器等を操作及び制御する。イベント情報集約部4dは、警報発令時、凝集剤注入時、送風処理時等において、警報の種類、凝集剤注入率、送風量及び機器操作量に関する情報をデータ化してイベント情報として集約する。イベント情報送信部4eは、イベント情報をイベント情報蓄積部3又は行動手順情報管理サーバ10に送信する。
【0016】
文書情報蓄積部5は、機器制御に関して記載されている文書を電子化して電子マニュアルとして蓄積している。
文書閲覧情報蓄積部6は、機器の運転者が運転者用情報端末7を介して閲覧した電子マニュアルの閲覧履歴を蓄積してもよいし、監視カメラ9により運転者が閲覧していた文書のページを認識して閲覧履歴を作成してもよい。
【0017】
運転者用情報端末7は、運転者に対して、電子マニュアル表示、カメラ撮影、注釈記載、類似度計算式種類選択受付等の機能を提供する。運転者用情報端末7は、電子マニュアルビューアー7a、カメラ撮影部7b、電子マニュアル閲覧履歴・注釈情報送信部7c、類似度計算式種類選択受付・送信部7d及び行動手順情報受信・表示部7eを備える。
【0018】
電子マニュアルビューアー7aは、運転者からの要求に従い、文書情報蓄積部5から電子マニュアルのデータを受信し表示する機能のほか、電子マニュアルのうち、所定の箇所に注釈を付与する機能も有する。カメラ撮影部7bは、運転者用情報端末7に内蔵のカメラを用いて動画または静止画を撮影する。電子マニュアル閲覧履歴・注釈情報送信部7cは、電子マニュアルの閲覧履歴を記憶し、閲覧履歴及び注釈情報を文書閲覧情報蓄積部6へ送信する。類似度計算式種類選択受付・送信部7dは、類似度計算式種類(すなわち、類似度計算式の対象変数となる特定指標の種類)を受け付け、その結果を行動手順情報管理サーバ10へ送信する。行動手順情報受信・表示部7eは、行動手順情報管理サーバ10から送信された行動手順情報を受信し、ディスプレイに表示し、必要に応じてスピーカに音声として出力する。
【0019】
行動手順情報蓄積部8は、行動手順情報管理サーバ10によって生成された行動手順情報を蓄積し、行動手順情報検索時において、行動手順情報管理サーバ10に送信する。
【0020】
監視カメラ9は、運転者が文書(電子マニュアル)を閲覧している様子を撮像し、その画像からマニュアル名及びページ番号、場合によっては注釈としてのジェスチャーを認識し、文書閲覧情報蓄積部6へ送信する。監視カメラ9は、カメラ撮影部9a、マニュアル名・ページ番号・ジェスチャー認識部9b及び情報送信部9cを備える。カメラ撮影部9aは、運転者が文書を閲覧している様子を動画または静止画として撮像する。マニュアル名・ページ番号・ジェスチャー認識部9bは、撮像した動画又は静止画からマニュアル名及びページ番号、場合によっては注釈としてのジェスチャーを認識し、データとして記憶する。情報送信部9cは、認識したマニュアル名、ページ番号及びジェスチャーを文書閲覧情報蓄積部6へ送信する。
【0021】
行動手順情報管理サーバ10は、行動手順情報を生成、検索又は配信する。行動手順情報管理サーバ10は、水質・イベント情報受信部10a、電子マニュアル閲覧履歴・注釈情報受信部10b、類似度計算式種類受信部10c、行動手順情報生成部10d、行動手順情報検索部10e及び行動手順情報送信部10fを備える。水質・イベント情報受信部10aは、水質データ蓄積部2及びイベント情報蓄積部3から水質データ及びイベント情報を受信する。電子マニュアル閲覧履歴・注釈情報受信部10bは、文書閲覧情報蓄積部6から電子マニュアル閲覧履歴及び注釈情報を受信するほか、監視カメラ9で認識したマニュアル名、ページ番号及びジェスチャーの認識結果を受信する。
【0022】
類似度計算式種類受信部10cは、運転者用情報端末7で運転者が選択した類似度計算式種類に関する入力(すなわち、濁度、pH等の特定指標の選択)を受信する。行動手順情報生成部10dは、水質・イベント情報受信部10aが受信したタイムスタンプ付き水質データ及びイベント情報に加えて、電子マニュアル閲覧履歴・注釈情報受信部10bが受信した文書閲覧情報及び注釈、並びに、類似度計算式種類受信部10cが受信した類似度計算式種類を行動手順情報として集約する。行動手順情報検索部10eは、水質・イベント情報受信部10aが受信した水質データ及びイベント情報をキーとして行動手順情報を行動手順情報蓄積部8から検索する。行動手順情報送信部10fは、行動手順情報生成部10dによって集約された行動手順情報を行動手順情報蓄積部8に、行動手順情報検索部10eによって検索された行動手順情報を運転者用情報端末7に、それぞれ送信する。
【0023】
図2は、本実施形態における水質データ収集サーバ1のハードウェア構成を示す図である。水質データ収集サーバ1は、水質データ収集サーバ本体1c、表示出力部1h、操作入力部1i、A/D(Analog/Digital)変換器1j、水質データセンサ1kを備える。水質データ収集サーバ本体1cは、プログラムの内容に従って水質データを計測し送信する。水質データ収集サーバ本体1cは、CPU(Central Processor Unit)1d、RAM(Random Access Memory)1e、記録装置1m、I/F(Interface)1gを備える。CPU1dは水質データを収集するためのプログラムに従って演算処理を実行する。RAM1eは水質データを収集するためのプログラムにおいてデータを一時記憶しておく。記録装置1mは、水質データを収集するためのプログラム、データ等を記録する、ハードディスクドライブ、コンパクトフラッシュドライブ(登録商標)等である。
【0024】
記録装置1mは、水質データ計測部1aを実現するための水質データ計測プログラム1a、水質データ送信部1bを実現するための水質データ送信プログラム1bを格納しているほか、これらのプログラムを実行する際に使用する各種データも格納している。なお、わかりやすさのために、○○部及びそれを実現するための○○プログラムには、同一の符号を付した(以下同様)。
【0025】
I/F1gは、A/D変換器1jから水質データを受信するとともに、操作入力部1iから操作入力に関するデータを受信し、現在の状態を表示出力部1hへ出力し、ネットワーク11に水質データを送信する。表示出力部1hは、水質データ収集サーバ1の現在の状態、例えば正常稼働、異常発生等の情報をユーザに対して出力する、ディスプレイ、プリンタ等である。操作入力部1iは、ユーザからの操作入力を電気信号に変えて水質データ収集サーバ本体1cに送信する、キーボード、タッチパネル、マウス等である。水質データセンサ1kは、水質に関する特定指標を水から計測して電気信号へ変換する、水温センサ、濁度センサ等である。A/D変換器1jはセンサからの電気信号をデジタル信号に変換する。
【0026】
図3は、本実施形態における水質監視制御サーバ4のハードウェア構成を示す図である。水質監視制御サーバ4は、水質監視制御サーバ本体4f、表示出力部4n、操作入力部4k及び施設制御機器4mを備える。水質監視制御サーバ本体4fは、プログラムの内容に従って水質を監視し制御する。水質監視制御サーバ本体4fは、CPU4g、RAM4h、記録装置4p及びI/F4jを備える。CPU4gは、水質を監視及び制御するためのプログラムに従って演算処理を実行する。RAM4hは、水質を監視及び制御するためのプログラムにおいてデータを一時記憶しておく。記録装置4pは、水質を監視及び制御するためのプログラム、データ等を記録しておく、ハードディスクドライブ、コンパクトフラッシュドライブ等である。
【0027】
記録装置4pは、水質データ受信部4aを実現するための水質データ受信プログラム4a、異常時警報発令部4bを実現するための異常時警報発令プログラム4b、及び、機器操作・制御部4cを実現するための機器操作・制御プログラム4cを格納している。記録装置4pは、さらに、イベント情報集約部4dを実現するためのイベント情報集約プログラム4d、イベント情報送信部4eを実現するためのイベント情報送信プログラム4e、及び、これらのプログラムを実行する際に使用する各種データ4iを格納している。なお、前記のように、○○部及びそれを実現するための○○プログラムには、同一の符号を付している。
【0028】
I/F4jは、操作入力部4kからの操作入力に関するデータを受信し、現在の状態を表示出力部4nに出力し、施設制御機器4mに制御信号を送信するほか、水質データをネットワーク11から受信し、イベント情報をネットワーク11に送信する。
【0029】
表示出力部4nは、水質監視制御サーバ4の現在の状態、例えば正常稼働、異常発生、操作量、制御量等の情報をユーザに対して出力する、ディスプレイ、プリンタ等である。操作入力部4kは、ユーザからの操作入力を電気信号に変えて水質監視制御サーバ本体4fに送信する、キーボード、タッチパネル、マウス等である。施設制御機器4mは、水質を制御する、ポンプ、凝集剤注入機器、送風機等の機器である。
【0030】
図4は、本実施形態における行動手順情報管理サーバ10のハードウェア構成を示す図である。行動手順情報管理サーバ10は、行動手順情報管理サーバ本体10g、表示出力部10m及び操作入力部10nを備える。行動手順情報管理サーバ本体10gは、プログラムの内容に従って行動手順情報を生成又は配信する。行動手順情報管理サーバ本体10gは、CPU10h、RAM10i、記録装置10p及びI/F10kを備える。CPU10hは、行動手順情報を生成又は配信するためのプログラムに従って演算処理を実行する。RAM10iは、行動手順情報を生成又は配信するためのプログラムにおいてデータを一時記憶しておく。記録装置10pは、行動手順情報を生成又は配信するためのプログラム、データ等を記録しておく、ハードディスクドライブ、コンパクトフラッシュドライブ等である。
【0031】
記録装置10pは、水質・イベント情報受信部10aを実現するための水質・イベント情報受信プログラム10a、電子マニュアル閲覧履歴・注釈情報受信部10bを実現するための電子マニュアル閲覧履歴・注釈情報受信プログラム10b、及び、類似度計算式種類受信部10cを実現するための類似度計算式種類受信プログラム10cを格納している。記録装置10pは、さらに、行動手順情報生成部10dを実現するための行動手順情報生成プログラム10d、行動手順情報検索部10eを実現するための行動手順情報検索プログラム10e、行動手順情報送信部10fを実現するための行動手順情報送信プログラム10f、及び、これらのプログラムを実行する際に使用する各種データ10jも格納している。
【0032】
I/F10kは、操作入力部10nからの操作入力に関するデータを受信し、現在の状態を表示出力部10mに出力するほか、水質データ、イベント情報、電子マニュアル閲覧履歴、注釈情報及び類似度計算式種類をネットワーク11から受信し、行動手順情報をネットワーク11に送信する。表示出力部10mは、行動手順情報管理サーバ10の現在の状態、例えば行動手順情報生成、検索処理における正常稼働、異常時警報等の情報をユーザに対して出力する、ディスプレイ、プリンタ等である。操作入力部10nは、ユーザからの操作入力を電気信号に変えて行動手順情報管理サーバ本体10gに送信する、キーボード、タッチパネル、マウス等である。
【0033】
図5は、本実施形態における運転者用情報端末7のハードウェア構成を示す図である。運転者用情報端末7は、CPU7f、RAM7g、記録装置7h、I/F7j、表示出力部7k、操作入力部7m、カメラ7nを備える。CPU7fは、電子マニュアルビューアープログラム7a、行動手順情報受信・表示プログラム7eなどに従って演算処理を実行する。RAM7gは、電子マニュアルビューアープログラム7a、行動手順情報受信・表示プログラム7e等においてデータを一時記憶しておく。記録装置7hは、電子マニュアルビューアープログラム7a、行動手順情報受信・表示プログラム7e、各種データ7i等を記録しておく、ハードディスクドライブ、コンパクトフラッシュドライブ等である。
【0034】
記録装置7hは、電子マニュアルビューアー7aを実現するための電子マニュアルビューアープログラム7a、カメラ撮影部7bを実現するためのカメラ撮影プログラム7b、及び、電子マニュアル閲覧履歴・注釈情報送信部7cを実現するための電子マニュアル閲覧履歴・注釈情報送信プログラム7cを格納している。記録装置7hは、さらに、類似度種類選択受付・送信部7dを実現するための類似度種類選択受付・送信プログラム7d、行動手順情報受信・表示部7eを実現するための行動手順情報受信・表示プログラム7e、及び、これらのプログラムを実行する際に使用する各種データ7iも格納している。
【0035】
I/F7jは、操作入力部7mからの操作入力に関するデータを受信し、現在の状態を表示出力部7kに出力するほか、電子マニュアル及び行動手順情報を受信し、電子マニュアル閲覧履歴・注釈情報及び類似度計算式種類をネットワーク11に送信する。表示出力部7kは、行動手順情報管理サーバ10の現在の状態、例えば行動手順情報生成、検索処理における正常稼働、異常時警報等の情報をユーザに対して出力する、ディスプレイ、プリンタ等である。操作入力部7mは、ユーザからの操作入力を電気信号に変えて行動手順情報管理サーバ本体10gに送信する、キーボード、タッチパネル、マウス等である。カメラ7nは、運転者が文書を閲覧する動画又は静止画からマニュアル名、ページ番号及びジェスチャーを認識する際に、監視カメラ9の補助として使用される。
【0036】
図6は、本実施形態における監視カメラ9のハードウェア構成を示す図である。監視カメラ9は、CPU9d、RAM9e、記録装置9f、I/F9g、操作入力部9h及びカメラ本体9iを備える。CPU9dは、カメラ撮影するためのプログラムに従って演算処理を実行する。RAM9eは、カメラ撮影するためのプログラムにおいてデータを一時記憶しておく。記録装置9fは、カメラ撮影するためのプログラム、データ等を記録しておく、ハードディスクドライブ、コンパクトフラッシュドライブ等である。
【0037】
記録装置9fは、カメラ撮影部9aを実現するためのカメラ撮影プログラム9a、マニュアル名・ページ番号・ジェスチャー認識部9b及び情報送信部9cを実現するためのマニュアル名・ページ番号・ジェスチャー認識・情報送信プログラム9bを格納している。記録装置9fは、これらのプログラムを実行する際に使用する各種データ9jも格納している。
【0038】
I/F9gは、操作入力部9hからの操作入力に関するデータを受信し、現在の状態をネットワーク11に出力するほか、マニュアル名、ページ番号及びジェスチャーの認識結果をネットワーク11に送信する。操作入力部9hは、ユーザからの操作入力を電気信号に変えて行動手順情報管理サーバ本体10gに送信するスイッチ等である。カメラ本体9iは、カメラ撮影プログラム9aの指示に従い、運転者が文書を閲覧する動画又は静止画を撮像する。
【0039】
図7は、本実施形態における水質データ蓄積部2(より正確には、図1の水質データ蓄積部2を格納する装置)のハードウェア構成を示す図である。水質データ蓄積部2は、CPU2a、RAM2b、記録装置2c及びI/F2gを備える。CPU2aは、水質データを蓄積するためのプログラムに従って演算処理を実行する。RAM2bは、水質データを蓄積するためのプログラムにおいてデータを一時記憶しておく。記録装置2cは、水質データを蓄積するためのプログラム、水質データ等を記録しておく、ハードディスクドライブ、コンパクトフラッシュドライブ等である。
【0040】
記録装置2cは、水質データをネットワーク11から受信して記録装置2cに書き込む水質データ受信・書き込みプログラム2d、水質データを記録装置2cから読み込んでネットワーク11に送信する水質データ読み込み・送信プログラム2e、水質データ2fそのものを格納している。I/F2gは、水質データ蓄積部2に格納されているプログラムの指示に従い、水質データ2fをネットワーク11に対して送受信する。
【0041】
図8は、本実施形態における行動手順情報管理サーバ10の機能ブロック図である。行動手順情報検索部10eは、類似日時抽出部10q、イベント抽出部10r、イベント篩い分け部10s及び行動手順情報抽出部10tを備える。類似日時抽出部10qは、水質・イベント情報受信部10aから水質データを受信する。類似日時抽出部10qは、受信した水質データに関して、類似度計算式種類受信部10cによって選択された類似度計算式に従い、現在等の基準日時における濁度等の特定指標と、過去の各時刻における特定指標との間の類似度を計算する。類似日時抽出部10qは、計算した類似度の高い順に、いくつかの過去日時を抽出する。類似度計算式として、類似度の逆数となる乖離度の計算式の例を式(1)に記す。
【0042】
[数1]
【0043】
式(1)の左辺の“dtw”は、類似度の逆数となる乖離度である。右辺の“turb(t)”は、時刻tにおける特定指標の値である。特定指標は、濁度、pH等のうちから選択される。特定指標は、類似計算式に変数として含まれているという意味において、“対象変数”とも呼ばれる。右辺の“t”は、基準日時である。右辺の“t”は、過去日時である。右辺の“ΔT”は、サンプリング周期である。右辺の“i”は、サンプリング周期に乗算される係数(i=0、1、2、・・・、n)である。
【0044】
類似日時抽出部10qは、特定の基準日時(例えば現時点)の比較対象となる複数の過去日時を無作為的に取得する。類似日時抽出部10qは、基準日時を起点として“iΔT”だけ遡及した時刻の特定指標の値から、過去日時を起点として“iΔT”だけ遡及した時刻の特定指標の値を減算した差分の絶対値の総和を算出する処理を、無作為的に取得した過去日時のそれぞれについて繰り返す。そして、類似日時抽出部10qは、所定の基準を満たす程度に乖離度が小さい(すなわち、類似度が大きい)過去時点を抽出する。結局、類似日時抽出部10qは、水道関連施設における水に関する特定指標の推移が基準日時に類似する過去日時を抽出する。
【0045】
イベント抽出部10rは、類似日時抽出部10qが抽出した過去日時におけるイベント情報を水質・イベント情報受信部10aから抽出する。イベント篩い分け部10sは、多数抽出されたイベント情報のうち、類似度計算式種類受信部10cが受け付けた類似度計算式種類(特定指標すなわち対象変数の種類)との関与度が高いイベント情報を選別して出力する。行動手順情報抽出部10tは、イベント篩い分け部10sにより選別されたイベント情報をキーとして行動手順情報を検索し、その結果を行動手順情報送信部10fに出力する。
【0046】
また、行動手順情報生成部10dは、電子マニュアル閲覧履歴・注釈情報受信部10bから受信した電子マニュアル閲覧履歴・注釈情報、類似度計算式種類受信部10cから受信した類似度計算式種類、及び、イベント篩い分け部10sにより選別されたイベント情報を、タイムスタンプ毎に集約して行動手順情報として生成する。
【0047】
図9は、本実施形態におけるデータ構造を示す図である。水質データ蓄積部2は、水質データ2fを蓄積している。水質データ2fは、日時毎に取水井濁度、着水井水温等の特定指標を集約している。
【0048】
イベント情報蓄積部3は、複数のイベント情報3a、複数の警報情報3b及び複数の操作・運転情報3cを蓄積している。イベント情報3aは、日時毎に、警報ID群、操作量、及び、操作・運転情報ID群を集約している。警報情報3bは、警報ID及び警報内容から構成されている。操作・運転情報3cは、操作・運転情報ID及び操作・運転情報内容から構成されている。
【0049】
文書閲覧情報蓄積部6は、複数の文書閲覧情報6a及び複数の運転者情報6bを蓄積している。文書閲覧情報6aは、文書(電子マニュアル)のどの箇所を誰がいつ閲覧したかを記憶している。すなわち、文書閲覧情報6aは、運転者ID、文書ID、ページID、日時、注釈者ID及び注釈内容を記憶している。運転者情報6bは、運転者ID、運転者名、及び、運転者属性(運転者の役職、経験年数等)を記憶する。なお、機器の運転者のうち、電子マニュアルを閲覧した者が運転者であり、運転者のうち、電子マニュアルに対して注釈(コメント)を付与した者が注釈者である。
【0050】
文書情報蓄積部5は、文書として複数の電子マニュアル5aを蓄積している。電子マニュアル5aは、文書ID、文書名、目次情報及び文書ファイルを記憶している。文書ファイルは、複数のページID及びページ内容を記憶している。ページ内容には、テキスト型式又は画像型式の文書が掲載されている。
【0051】
行動手順情報蓄積部8は、過去の運転者の行動実績(実際に行った操作・運転、実際に閲覧した電子マニュアルのページ)を示す複数の行動手順情報8a、イベント情報・関与度テーブル8b、及び、基準日時に対する類似日時情報テーブル8cを記憶している。
【0052】
行動手順情報8aは、行動手順情報ID、運転者ID、行動手順を実行していた日時、当該日時に発令されていた警報ID群、操作・運転情報ID群、及び、複数の行動手順内容を記憶している。行動手順内容は、文書ID、ページID、順番、特定指標、及び、行動手順の文面を記憶している。つまり、行動手順情報8aは、全体として、過去に発生したイベント情報と、その日時に運転者が閲覧した文書のページとの組合せとなっている。さらに、そのうちのイベント情報は、その日時に発令された警報及びその日時における運転者の操作・運転を示している。イベント情報・関与度テーブル8bは、イベント情報と特定指標(類似度計算式の対象変数)との間の関与の度合いである関与度を、イベント情報と特定指標との組合せごとにマトリクス型式で記憶している。
【0053】
いま、例えば、イベント“警報1”と特定指標“取水井濁度”との間の関与度が“1.0”であるとする。すると、特定指標“取水井濁度”が選択された場合、イベント篩い分け部10sは、イベント“警報1”を多くのイベントのうちから優先的に選別する。
【0054】
他の例として、イベント“警報2”と特定指標“取水井濁度”との間の関与度が“-1.0”であるとする。すると、特定指標“取水井濁度”が選択された場合、イベント篩い分け部10sは、イベント“警報2”を多くのイベントのうちから優先的に除外する。
【0055】
このように、行動手順情報管理サーバ10の行動手順情報生成部10dは、関与度を“-1.0以上1.0未満”の範囲に正規化する。行動手順情報生成部10dは、過去の採用度数等(特にそのイベントに対応して実際に閲覧された電子マニュアルに関連付けられた注釈の内容等)に基づき、関与度を決定する。
【0056】
さらに、行動手順情報生成部10dは、過去日時において熟練運転者が閲覧した電子マニュアルのうち熟練運転者が肯定的な注釈を付与したものに対応するイベント情報と、その過去日時において熟練運転者が選択していた特定指標との多数の組合せを学習データとし、以下の式(2)を機械学習してもよい。“F”は、式(2)が一種の関数であることを示す。
【0057】
[数2]
関与度=F(特定指標,イベント情報) …(2)
【0058】
基準日時に対する類似日時情報テーブル8cは、基準日時、期間(過去日時を無作為的に取得する期間)及び複数の類似日時(基準日時との類似度が大きい過去日時)を記憶している。類似日時は、順位、類似度(又は乖離度)及び日時そのものを含む。
【0059】
図9全体から明らかなように、水質データ2f、イベント情報3a、文書閲覧情報6a、行動手順情報8a、及び、基準日時に対する類似日時テーブル8cは、“日時”を含む。つまり、これらは、同じ日時(タイムスタンプ)を介して相互に対応付けられ、同じ日時をキーとして集約され得る。
【0060】
図9のイベント情報・関与度テーブル8bにおいては、1つの特定指標と1つのイベント情報との組合せに対して、1つの関与度の値が定義されている。しかしながら、より一般的には、1又は複数の特定指標と1又は複数のイベント情報との組合せに対して、1つの関与度の値が定義されてもよい。
【0061】
図10は、本実施形態における行動手順情報生成時の処理フローである。当該処理フローは、熟練運転者による行動手順情報(非熟練運転者向けの規範)を蓄積するための手順である。
【0062】
ステップS1において、水質データ収集サーバ1は、水質データを収集する。
ステップS2において、水質監視制御サーバ4はイベント情報を収集する。
ステップS3において、運転者用情報端末7は、文書情報蓄積部2にマニュアル情報を要求する。ここでの運転者用情報端末7は、熟練運転者によって操作されている。
【0063】
ステップS4において、文書情報蓄積部2は、運転者用情報端末7に電子マニュアル情報を送信する。
ステップS5において、運転者用情報端末7は、類似度計算式(特定指標の種類)及び電子マニュアルに対する注釈を受け付ける。
ステップS6において、監視カメラ9は、運転者行動情報を収集する。具体的には、監視カメラ9は、運転者が電子マニュアルを閲覧する様子を動画又は静止画として撮像し、マニュアル名、ページ番号、場合によっては注釈を示すジェスチャーを認識して収集する。また、監視カメラ9は、運転者が各種機器を操作する動画又は静止画を撮像し、操作機器の種類及び操作の有無を認識して収集する。これらの収集結果が、ここでの運転者行動情報となる。
【0064】
ステップS7において、行動手順情報管理サーバ10は、水質監視制御サーバ4にイベント情報を要求する。
ステップS8において、水質監視制御サーバ4は、行動手順情報管理サーバ10にイベント情報を送信する。
ステップS9において、行動手順情報管理サーバ10は、監視カメラ9へ運転者行動情報を要求する。
ステップS10において、監視カメラ9は、行動手順情報管理サーバ10に運転者行動情報を送信する。
【0065】
ステップS11において、行動手順情報管理サーバ10は、水質データ収集サーバ1に水質データを要求する。
ステップS12において、水質データ収集サーバ1は、行動手順情報管理サーバ10に水質データを送信する。
ステップS13において、行動手順情報管理サーバ10は、運転者用情報端末7に運転者行動情報を要求する。
【0066】
ステップS14において、運転者用情報端末7は、運転者行動情報を収集する。ここでの運転者行動情報とは、具体的には、電子マニュアル閲覧履歴、類似度計算式種類、機器操作箇所等である。
ステップS15において、運転者用情報端末7は、運転者行動情報を行動手順情報管理サーバ10に送信する。
ステップS16において、行動手順情報管理サーバ10は、類似度計算式の種類又は注釈の情報に従ってイベント情報を篩い分けする(選別する)。
ステップS17において、行動手順情報管理サーバ10は、篩い分けの結果を用いて行動手順情報を生成する。
【0067】
以上から明らかなように、イベント情報を篩い分けるとは、運転者が選択した特定指標のそれぞれに対して、関与度の大きいイベント情報と関与度の小さいイベント情報とを選別し、関与度の大きいイベント情報に対応する行動手順情報と関与度の小さいイベント情報に対応する行動手順情報とを、特定指標ごとに分別して記憶することである。
【0068】
図11は、本実施形態における行動手順情報表示時の処理フローである。当該処理フローは、非熟練運転者に熟練運転者の行動手順情報を表示するための手順である。
【0069】
ステップS21において、水質データ収集サーバ1は、水質データを収集する。
ステップS22において、水質監視制御サーバ4は、イベント情報を収集する。
ステップS23において、運転者用情報端末7は、類似度計算式(特定指標の種類)を受け付ける。
ステップS24において、行動手順情報管理サーバ10は、水質監視制御サーバ4にイベント情報を要求する。
ステップS25において、水質監視制御サーバ4は、行動手順情報管理サーバ10にイベント情報を送信する。
【0070】
ステップS26において、行動手順情報管理サーバ10は、水質データ収集サーバ1に水質データを要求する。
ステップS27において、水質データ収集サーバ1は、行動手順情報管理サーバ10に水質データを送信する。
ステップS28において、行動手順情報管理サーバ10は、運転者用情報端末7に類似度計算式種類(運転者が選択した特定指標の種類)を要求する。
ステップS29において、運転者用情報端末7は、類似度計算式種類を行動手順情報管理サーバ10に送信する。
【0071】
ステップS30において、行動手順情報管理サーバ10の類似日時抽出部10qは、水質・イベント情報受信部10aから水質データを受信する。類似日時抽出部10qは、受信した水質データに関して、類似度計算式種類受信部10cによって選択(受信)された類似度計算式に従い、現時点等の基準日時における濁度等の特定指標と過去の各日時における特定指標との間の類似度を算出する。類似日時抽出部10qは、類似度の高い順に所定の数の過去日時を抽出する。
【0072】
ステップS31において、行動手順情報管理サーバ10のイベント抽出部10rは、類似日時抽出部10qが抽出した過去日時におけるイベント情報を水質・イベント情報受信部10aから抽出する。さらに、行動手順情報管理サーバ10のイベント篩い分け部10sは、多数抽出されたイベント情報から、イベント情報・関与度テーブル8b(図9)に基づき、ステップS23において選択された特定指標との関与度が所定の基準を満たす程度に大きいイベントを選別する。
【0073】
ステップS32において、行動手順情報管理サーバ10の行動手順情報抽出部10tは、イベント篩い分け部10sにより選別されたイベント情報をキーとして行動手順情報を検索する。ここでキーとなるイベント情報は、ステップS23において受け付けた特定指標との関与度が所定の基準を満たす程度に大きいものに選別されている。
【0074】
ステップS33において、行動手順情報送信部10fは、検索結果の行動手順情報を運転者用情報端末7に表示する。このとき表示される行動手順情報は、運転者が基準日時において選択した特定指標との関与度が大きいイベント情報に対応したものである(図12参照)。
【0075】
以上から明らかなように、非熟練運転者がステップS23において特定指標として、例えば“取水井濁度”を選択した場合、ステップS33において“取水井濁度”との関与度が大きいイベント情報に対応する行動手順情報のみが表示される。
【0076】
図12は、本実施形態における運転者用情報端末7の画面遷移図である。上段はトップ画面21を、中段は理由表示画面31を、下段はイベント情報表示画面41を示す。
【0077】
運転者用情報端末7は、トップ画面21の類似度計算式対象変数欄22に運転者が対象変数(特定指標としての取水井濁度、着水井pH等のうちのいずれか)を入力するのを受け付ける。すると、運転者用情報端末7は、トップ画面21に推奨行動手順23を表示する。入力される対象変数(特定指標)が異なれば、その後に表示される推奨行動手順23の内容も異なる。
【0078】
推奨行動手順23は、電子マニュアルのページ、条件合致度及び初心者推奨文言の複数の組合せである。電子マニュアルのページは、例えば“文書Xの150~165ページを読む”であり、過去日時において運転者が閲覧した電子マニュアルのページである。条件合致度は、例えば“60%”である。ここでの条件合致度は、電子マニュアルに付与された注釈のうち、肯定的な注釈が占める割合である。さらに、条件合致度は、類似度又は乖離度そのものであってもよいし、類似度又は乖離度に対して所定の補正(直近の所定期間における閲覧回数等を用いた補正等)を行ったものであってもよい。初心者推奨文言は、例えば“初心者お勧め!”である。運転者用情報端末7は、現在状態24を表示する。現在の状態は、例えば“現在の状態は取水井濁度上昇です”である。
【0079】
いま、運転者は、類似度計算式対象変数欄22において“取水井濁度”を入力したうえで、推奨行動手順23のうち太枠のレコード(行)を選択したとする。すると、運転者用情報端末7は、理由表示画面31を表示する。
【0080】
運転者用情報端末7は、理由表示画面31に指標推移グラフ32を表示する。指標推移グラフ32は、基準日時(現在日時)を終点とするサンプリング周期4回分の期間(基準期間)における取水井濁度の推移を表示している(太線の折れ線)。指標推移グラフ32は、過去におけるサンプリング周期4回分の期間の取水井濁度のうち、基準期間の取水井濁度との間の類似度が大きいもの4つも表示している(太線以外の4本の折れ線)。さらに、当該4本の折れ線は、過去における将来方向にさらにサンプリング周期3回分だけ延長されている。なお、4本の折れ線の“4”は、所定の基準を満たす程度に類似度が大きい(乖離度が小さい)過去日時が4例取得されたことに対応しており、周期4回分の“4”とは直接関係していない。
【0081】
運転者用情報端末7は、理由表示画面31に操作量推移グラフ33を表示する。操作量推移グラフ33は、基準期間における凝集剤投入量を表示している(太線の折れ線)。操作量推移グラフ33は、類似度が大きい過去日時4つのそれぞれを中央点とするサンプリング周期前後7回分の期間における凝集剤投入量も表示している(太線以外の4本の折れ線)。
【0082】
運転者用情報端末7は、理由表示画面31に過去例リスト34を表示する。過去例リスト34の種類欄の“基準”は、基準日時(現在日時)を意味し、“類似○”は、過去日時を意味する。日時欄には、基準日時及び過去日時の具体的な月日時分が表示される。乖離度欄には、乖離度が表示されている。運転者欄には、過去日時における運転者の氏名又はIDが表示される。内容欄には、過去日時において運転者が閲覧した電子マニュアルのページが表示される。運転者用情報端末7は、理由表示画面31の目立つ箇所に表題35を表示する。表題35は、電子マニュアルのあるページに記載されている具体的な文字列を含んでいる。図12の例の“凝集剤注入率を5mg/L増やす”は、取水井濁度上昇に対する対策である。
【0083】
運転者が過去例リスト34のうち太枠のレコードを選択すると、運転者用情報端末7は、イベント情報表示画面41を表示する。運転者が“戻る”ボタン36を押下すると、運転者用情報端末7は、トップ画面21を表示する。説明の都合上、いま、運転者は、種類“類似1”を含むレコードを選択したとする。
【0084】
運転者用情報端末7は、イベント情報表示画面41にイベント情報42を表示する。イベント情報42は、“類似1”に対応する過去日時における、関与度、警報及び操作・運転の時系列の組合せである。警報は、過去日時において実際に発令された警報である。操作・運転は、運転者“B”が過去日時において実際に行った操作・運転である。
【0085】
1行目において、警報“濁度上昇”には関与度“1.0”が対応している。4行目において、操作・運転“凝集剤注入”にも関与度“1.0”が対応している。このことは、取水井濁度の推移がイベント情報である警報“濁度上昇”及び操作・運転“凝集剤注入”に充分に関与している結果、基準日時における“取水井濁度上昇”に遭遇した運転者は、1行目及び4行目に注目すべきであることを示している。
【0086】
2行目の関与度“-1.0”は、取水井濁度の推移が警報“ポンプ異常”に全く関与していないことを示す。3行目の関与度“0.0”は、取水井濁度の推移が操作・運転“ポンプ再起動”に関与しているとも関与していないともいえないことを示す。運転者用情報端末7は、このように関与度が小さいレコードを非表示にすることが望ましい(図12では、説明目的で、それらを表示した例を示している)。仮にイベント篩い分け部10sが存在しない場合、イベント情報42のレコード数は、膨大なものになる。
【0087】
運転者用情報端末7は、基準日時以降の特定指標の推移を予測し、その結果に基づき、将来発令される可能性の高い警報43及び将来行われる可能性の高い操作・運転44を表示してもよい。
【0088】
運転者が“戻る”ボタン45を押下すると、運転者用情報端末7は、理由表示画面21を表示する。
【0089】
(本実施形態の効果)
(1)行動手順情報管理装置は、特定指標が基準時点に類似した過去時点のイベント情報を、特定指標に関与するものに限定することができる。
(2)行動手順情報管理装置は、運転者が特定指標を選択することを可能にする。
(3)行動手順情報管理装置は、同じ日時を有するイベント情報及び文書閲覧情報を集約し、行動手順情報を生成することができる。
(4)行動手順情報管理装置は、電子マニュアルに対する注釈に基づき、特定指標とイベント情報との関与度を決定することができる。
【0090】
(5)行動手順情報管理装置は、浄水場又は下水処理場に適用され得る。
(6)行動手順情報管理装置は、外部に顕現しやすい警報又は運転者の操作・運転の内容をイベント情報とすることができる。
(7)行動手順情報管理装置は、運転者にとって関心が高い特定指標とイベント情報との関与度を定義することができる。
【0091】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 水質データ収集サーバ(センサデータ収集サーバ)
2 水質データ蓄積部
3 イベント情報蓄積部
4 水質監視制御サーバ(プラント監視制御サーバ)
5 文書情報蓄積部
6 文書閲覧情報蓄積部
7 運転者用情報端末
8 行動手順情報蓄積部
10 行動手順情報管理サーバ(行動手順情報管理装置)
10c 類似度計算式種類受信部
10d 行動手順情報生成部
10q 類似日時抽出部
10r イベント抽出部
10s イベント篩い分け部
11 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12