(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111545
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20230803BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20230803BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230803BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20230803BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
B60R11/02 C
G09G5/00 550C
G09G5/00 510H
G09G5/36 530Y
G09G5/38 A
G09G5/36 520K
G09G5/36 520F
G09G5/36 520G
G09G5/36 520D
G09G5/00 530H
G09G5/00 510A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013437
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 知已
【テーマコード(参考)】
3D020
3D344
5C182
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC03
3D020BD05
3D020BE03
3D344AA19
3D344AB01
3D344AD02
3D344AD13
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB15
5C182AB25
5C182AC03
5C182AC33
5C182BA01
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA47
5C182BA56
5C182BA75
5C182BB01
5C182BB11
5C182BC25
5C182BC26
5C182CB11
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB32
5C182CB42
5C182CB47
5C182DA66
(57)【要約】
【課題】メータパネルに常時表示させる表示情報を運転者にとって死角になる位置を避けて表示させることができる表示制御装置、表示制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】本開示に係る表示制御装置は、視線推定回路と、死角推定回路と、変更回路と、表示制御回路と、を備える。視線推定回路は、運転者の頭部の位置、およびシートの状態のうち少なくともいずれかに基づいて、表示パネルに対する視線を推定する。死角推定回路は、推定された視線、およびハンドルの位置に基づいて、表示パネルの表示領域における死角を推定する。変更回路は、表示領域のうち死角を除いた視認可能領域に、表示パネルで常時表示される表示情報のうち、少なくとも表示情報の表示目的を達することができる範囲の情報が表示可能となるように、表示情報の表示態様を変更する。表示制御回路は、変更回路によって変更された表示態様によって表示情報を表示パネルに表示させる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転する運転者の頭部の位置、および前記車両のシートの状態のうち少なくともいずれかに基づいて、前記運転者の表示パネルに対する視線を推定する視線推定回路と、
前記視線推定回路により推定された前記視線、および前記車両のハンドルの位置に基づいて、前記表示パネルの表示領域における前記ハンドルによる死角を推定する死角推定回路と、
前記表示領域のうち前記死角推定回路により推定された前記死角を除いた視認可能領域に、前記表示パネルで常時表示される表示情報のうち、少なくとも該表示情報の表示目的を達することができる範囲の情報が表示可能となるように、該表示情報の表示態様を変更する変更回路と、
前記変更回路によって変更された表示態様によって前記表示情報を前記表示パネルに表示させる表示制御回路と、
を備えた表示制御装置。
【請求項2】
前記変更回路は、前記視認可能領域に、前記表示情報の全体が表示可能となるように、該表示情報の表示態様を変更する請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記ハンドルの位置を示す位置情報を取得する第1取得回路を、さらに備え、
前記死角推定回路は、前記視線、および前記第1取得回路により取得された位置情報に基づいて、前記死角を推定する請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記シートの前後方向の位置情報、該シートの高さの位置情報、該シートの背もたれの角度情報、前記車両のドラミラーの鏡面の角度情報、および、撮像装置により撮像された前記運転者を含む撮像画像のうち、少なくともいずれかを取得する第2取得回路を、さらに備え、
前記視線推定回路は、前記第2取得回路により取得された情報に基づいて、前記視線を推定する請求項1~3のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記変更回路により前記表示情報の表示態様が変更された場合に、変更された表示態様で表示するか否かを確認するための通知を行う通知回路と、
前記通知回路による通知が行われた後、操作入力回路により受け付けた前記運転者による操作入力によって、前記変更回路により変更された表示態様で前記表示情報を表示するか、現在の表示態様のままとするかいずれが選択されたのかを判定する判定回路と、
をさらに備え、
前記表示制御回路は、前記判定回路によって、前記変更回路により変更された表示態様で前記表示情報を表示することが選択されたと判定された場合、前記表示パネルの前記表示情報を、前記変更回路により変更された表示態様で表示する請求項1~4のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記変更回路は、前記表示情報を移動、回転、分割、拡大、縮小、変形または回転のうち少なくともいずれかによって、該表示情報の表示態様を変更する請求項1~5のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記変更回路は、前記表示情報がスピードメータまたはタコメータである場合、前記死角となる領域に含まれる数字をスピードメータまたはタコメータの針の指示部に近づける方向に移動することによって、該表示情報の表示態様を変更する請求項1~5のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記変更回路は、前記車両のエンジンの始動時、該車両が高速道路に進入したとき、前記シートの前後方向の位置もしくは座面の高さの位置が変更されたとき、該シートの背もたれの角度が変更されたとき、または前記車両のドアミラーの鏡面の角度が変更されたときのうち少なくともいずれかのタイミングで、前記表示情報の表示態様を変更する請求項1~6のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項9】
車両を運転する運転者の頭部の位置、および前記車両のシートの状態のうち少なくともいずれかに基づいて、前記運転者の表示パネルに対する視線を推定する視線推定ステップと、
推定した前記視線、および前記車両のハンドルの位置に基づいて、前記表示パネルの表示領域における前記ハンドルによる死角を推定する死角推定ステップと、
前記表示領域のうち推定した前記死角を除いた視認可能領域に、前記表示パネルで常時表示される表示情報のうち、少なくとも該表示情報の表示目的を達することができる範囲の情報が表示可能となるように、該表示情報の表示態様を変更する変更ステップと、
変更した表示態様によって前記表示情報を前記表示パネルに表示させる表示制御ステップと、
を有する表示制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、
車両を運転する運転者の頭部の位置、および前記車両のシートの状態のうち少なくともいずれかに基づいて、前記運転者の表示パネルに対する視線を推定する視線推定ステップと、
推定した前記視線、および前記車両のハンドルの位置に基づいて、前記表示パネルの表示領域における前記ハンドルによる死角を推定する死角推定ステップと、
前記表示領域のうち推定した前記死角を除いた視認可能領域に、前記表示パネルで常時表示される表示情報のうち、少なくとも該表示情報の表示目的を達することができる範囲の情報が表示可能となるように、該表示情報の表示態様を変更する変更ステップと、
変更した表示態様によって前記表示情報を前記表示パネルに表示させる表示制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示制御装置、表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のメータ表示等は運転手にとって優先度の高い情報を表示するためのものであり、近年では、液晶等で表示するデジタルメータも増えている。しかしながら、運転者の頭の位置およびハンドルの位置により、メータ等の一部が死角に入って見えないことがあり、メータ等を見るために、運転者は体の位置を移動する等して確認することがある。
【0003】
このような、デジタルメータ等を表示させる技術として、ハンドルのリム部に対する操作によって車載機器の動作制御を行うために、液晶パネルにおいて、当該操作の内容を示す表示情報を運転者に視認できる位置に表示させる技術が開示されている。(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、本来メータパネルに表示させることのない、ハンドルに対する操作内容を示す表示情報を、運転者が視認できる位置に表示させるものである。したがって、メータパネルに常時表示させるスピードメータおよびタコメータ等の表示情報については、運転者の頭の位置およびハンドルの位置によって、表示情報の少なくとも一部が死角に入ってしまうと見えなくなってしまうことがある。
【0006】
本開示は、メータパネルに常時表示させる表示情報を運転者にとって死角になる位置を避けて表示させることができる表示制御装置、表示制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る表示制御装置は、視線推定回路と、死角推定回路と、変更回路と、表示制御回路と、を備える。視線推定回路は、車両を運転する運転者の頭部の位置、および車両のシートの状態のうち少なくともいずれかに基づいて、運転者の表示パネルに対する視線を推定する。死角推定回路は、視線推定回路により推定された視線、および車両のハンドルの位置に基づいて、表示パネルの表示領域におけるハンドルによる死角を推定する。変更回路は、表示領域のうち死角推定回路により推定された死角を除いた視認可能領域に、表示パネルで常時表示される表示情報のうち、少なくとも表示情報の表示目的を達することができる範囲の情報が表示可能となるように、表示情報の表示態様を変更する。表示制御回路は、変更回路によって変更された表示態様によって表示情報を表示パネルに表示させる。
【0008】
また、本開示に係る表示制御方法は、視線推定ステップと、死角推定ステップと、変更ステップと、表示制御ステップと、を有する。視線推定ステップでは、車両を運転する運転者の頭部の位置、および車両のシートの状態のうち少なくともいずれかに基づいて、運転者の表示パネルに対する視線を推定する。死角推定ステップでは、推定した視線、および車両のハンドルの位置に基づいて、表示パネルの表示領域におけるハンドルによる死角を推定する。変更ステップでは、表示領域のうち推定した死角を除いた視認可能領域に、表示パネルで常時表示される表示情報のうち、少なくとも表示情報の表示目的を達することができる範囲の情報が表示可能となるように、表示情報の表示態様を変更する。表示制御ステップでは、変更した表示態様によって表示情報を表示パネルに表示させる。
【0009】
また、本開示に係るプログラムは、コンピュータに、視線推定ステップと、死角推定ステップと、変更ステップと、表示制御ステップと、を実行させる。視線推定ステップでは、車両を運転する運転者の頭部の位置、および車両のシートの状態のうち少なくともいずれかに基づいて、運転者の表示パネルに対する視線を推定する。死角推定ステップでは、推定した視線、および車両のハンドルの位置に基づいて、表示パネルの表示領域におけるハンドルによる死角を推定する。変更ステップでは、表示領域のうち推定した死角を除いた視認可能領域に、表示パネルで常時表示される表示情報のうち、少なくとも表示情報の表示目的を達することができる範囲の情報が表示可能となるように、表示情報の表示態様を変更する。表示制御ステップでは、変更した表示態様によって表示情報を表示パネルに表示させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る表示制御装置、表示制御方法およびプログラムによれば、メータパネルに常時表示させる表示情報を運転者にとって死角になる位置を避けて表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両の全体構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るECUのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、運転者の視点がハンドルおよび表示パネルと適切な位置関係にある場合の表示パネルの見え方を説明する図である。
【
図4】
図4は、運転者の視点が低い場合の表示パネルの見え方を説明する図である。
【
図5】
図5は、運転者の視点が高い場合の表示パネルの見え方を説明する図である。
【
図6】
図6は、シートの背もたれを倒した状態における表示パネルの見え方を説明する図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るECUの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るECUの機能により運転者の視点が低い場合の表示パネルの表示情報の表示態様を変更して視認できるようにする動作を説明する図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るECUの機能による表示パネルの表示情報の表示態様の変更動作の一例を説明する図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るECUの機能によるスピードメータの表示態様の変更動作の一例を説明する図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るECUの機能によりスピードメータの表示態様の変更をした場合の見え方を説明する図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係るECUの機能により表示態様を変更したスピードメータの表示態様を手動で調整する動作を説明する図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係るECUの表示パネルの表示動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、変形例に係るECUの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、変形例に係るECUの表示パネルの表示動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る表示制御装置、表示制御方法およびプログラムの実施形態について説明する。
【0013】
(車両の全体構成)
図1を参照しながら、本実施形態に係る車両1の全体構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、車両1は、車体2と、車輪3Fと、車輪3Rと、を備えている。車輪3Fは、車体2の前方側に設置され、路面に接触する一対の前輪である。車輪3Rは、車体2の後方側に設置され、路面に接触する一対の後輪である。車両1は、所定方向に沿って配置された1対の車輪3Fと、1対の車輪3Rとを用いて走行することが可能である。この場合、車輪3Fおよび車輪3Rが配置される所定方向が車両1の移動方向となり、ギアの切り替え等により前進または後退することができる。なお、車輪3Fおよび車輪3Rのうち任意の車輪を示す場合、または総称する場合、単に「車輪3」と称するものとする。
【0015】
また、車両1は、
図1に示すように、シート4と、車両駆動部5と、カメラ6と、ドアミラー7Lと、ドアミラー7Rと、後部シート8と、ルームミラー9と、エンジンスイッチ10と、ハンドル11と、シフトレバー12と、パーキングブレーキ13と、ドアロック装置14と、タッチパネル15と、表示パネル16と、ECU(Electronic Control Unit)20と、を備えている。
【0016】
シート4は、車両1の車室内に設けられ、車両1の運転者が着座するための運転席である。運転者は、シート4に着座した状態で、ハンドル11を操作したり、図示しないアクセルペダルおよびブレーキペダルを操作したりすることによって、車両1を操縦することができる。
【0017】
車両駆動部5は、車両1に搭載された駆動デバイスである。車両駆動部5は、例えば、エンジン、モータ、車輪3の駆動部等である。
【0018】
カメラ6は、車両1の車室内に設けられ、少なくとも運転者の頭部が画角に入るように撮像することが可能なドライブレコーダ用カメラまたはドライバモニタリングカメラ等の撮像装置である。
【0019】
ドアミラー7Lは、車体2の左側ドアの前方に取り付けられた、左後方を視認するための室外後写鏡である。ドラミラー7Rは、車体2の右側ドアの前方に取り付けられた、右後方を視認するための室外後写鏡である。ドアミラー7Lおよびドアミラー7Rの鏡面は、車両1の車室内のタッチパネル15等に対する操作によって角度が調整可能となっている。
【0020】
後部シート8は、車両1の車室内後方側に設けられ、車両1の運転者以外の同乗者が着座するための座席である。
【0021】
ルームミラー9は、フロントガラスの上方側の天井に設置された、後方および後側方を視認するための室内後写鏡である。なお、ルームミラーは、バックミラー等とも呼称される。
【0022】
エンジンスイッチ10は、運転者が車両1のエンジン始動時に操作するスイッチである。なお、エンジンスイッチ10は、イグニッションスイッチとも称される。運転者によるエンジンスイッチ10の操作により、車両1がエンジン始動またはエンジン停止した状態となる。また、エンジンスイッチ10の操作により、車両1に搭載された電子機器への電力供給等が制御される。
【0023】
ハンドル11は、シート4の前方のダッシュボードに設置された車両1を操舵するためのステアリングホイールである。
【0024】
シフトレバー12は、運転者がシフトポジションを変更する時に操作するレバーである。シフトレバー12の可動範囲には、例えば、パーキングポジション、リバースポジション、ニュートラルポジション、およびドライブポジションが設けられている。シフトレバー12がパーキングポジションに位置する状態では、車両1のエンジンの動力が車輪3に伝達されない、いわゆる駐車状態となる。シフトレバー12がリバースポジションに位置する状態では、車両1は後退可能な状態となる。シフトレバー12がドライブポジションに位置する状態では、車両1は前進可能な状態となる。
【0025】
パーキングブレーキ13は、車両1のブレーキ機構の1つである。パーキングブレーキ13は、運転者が手動で車両1の移動を停止させるための手動式の制動機構である。パーキングブレーキ13がかけられた状態では、車両1の移動が停止された状態となり、駐車状態となる。また、パーキングブレーキ13が解除された状態では、車両1は移動可能な状態となる。なお、パーキングブレーキは、サイドブレーキとも呼称される。
【0026】
ドアロック装置14は、車両1に設けられたドアをロック状態またはロック解除状態に切り替える装置である。例えば、車両1外部から車両1用の鍵等により車両1のドアがロック状態またはロック解除状態に切り替えられる。
【0027】
タッチパネル15は、シート4の前方のダッシュボード等に設置されたLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、またはOELD(Organic Electro-Luminescent Display:有機ELディスプレイ)等による表示機能、および操作入力機能を有するタッチパネル装置である。なお、タッチパネル15は、表示機能および操作入力機能に加えて、音声出力機能を有するものとしてもよい。また、タッチパネル15は、位置情報取得機能、および地図情報を用いた経路探索機能を有するナビゲーション装置を含んでもよい。
【0028】
表示パネル16は、LCDまたはOELD等により、速度、エンジン回転数、シフトレバー、各種警告、左右方向指示、燃料、および水温等の、車両1の走行において常時表示される各種表示情報を表示するメータパネルである。ここで、常時表示とは、車両1のエンジンが始動して表示パネル16に電源が供給されている状態において、待機モード等により一時的に表示がオフ状態となっていない限りにおいて常時表示の意である。
【0029】
ECU20は、車両1の各種動作の制御を司る制御装置である。ECU20は、表示制御装置の一例である。なお、ECU20は、OBU(On Board Unit)であってもよい。本実施形態に係るECU20は、例えば、各種センサにより検知された情報、およびカメラ6による撮像画像等に基づいて、表示パネル16の表示情報の表示態様を変更して表示させる処理を制御する。
【0030】
(ECUのハードウェア構成)
図2を参照しながら、本実施形態に係るECU20のハードウェア構成について説明する。
【0031】
図2に示すように、ECU20は、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、表示I/F105と、GNSS(Global Navigation Satellite System) I/F106と、車速I/F107と、通信I/F108と、センサI/F109と、パネルI/F111と、を備えている。CPU101、RAM102、ROM103、撮像I/F104、表示I/F105、GNSS I/F106、車速I/F107、通信I/F108、センサI/F109およびパネルI/F111は、バス110を介してデータ通信が可能となるように互いに接続されている。
【0032】
CPU101は、ECU20全体の制御を司る演算装置である。RAM102は、CPU101による処理のワークエリアとなる揮発性の記憶装置である。ROM103は、ECU20の制御プログラムおよび各種データ等を記憶する不揮発性の記憶装置である。
【0033】
撮像I/F104は、カメラ6により撮像された撮像画像を受信するためのインターフェースである。撮像I/F104は、カメラ6で撮像された撮像画像をフレーム画像として連続的に受信することにより動画像として取得する。
【0034】
表示I/F105は、表示パネル16に各種表示情報を表示させるためのインターフェースである。
【0035】
GNSS I/F106は、車両1に設置されたGNSSセンサ19により受信された位置情報を受信するためのインターフェースである。GNSSセンサ19により受信された位置情報とは、例えばGNSS信号である。
【0036】
車速I/F107は、車両1の車速を検知する車速センサ21から速度情報を受信するためのインターフェースである。車速センサ21は、例えば車輪3の付近に設置され、車輪3の回転速度または回転数を示す車速パルスを生成する車速検知部である。車速I/F107は、車速センサ21で生成された車速パルスを取得し、車速パルスに基づいて車両1の走行速度を求める。
【0037】
通信I/F108は、車両1に設置された通信装置22とデータを送受信するためのインターフェースである。通信装置22は、サーバ等の外部装置と無線通信によりデータ通信を行う。これによって、通信I/F108は、通信装置22を介して、外部装置とデータ通信を行うことができる。なお、通信I/F108は、車両1内のその他の機器と通信するためのCAN(Controller Area Network)のインターフェースであってもよい。
【0038】
センサI/F109は、ハンドル位置センサ17、シート位置センサ18a、シート高さセンサ18b、シート角度センサ18cおよびドアミラー角度センサ23により検知された検知情報を受信するためのインターフェースである。ハンドル位置センサ17は、チルト操作およびテレスコピック操作により調整されたハンドル11の位置を検出するセンサである。シート位置センサ18aは、シート4の前後方向、例えば車両1の進行方向の位置を検出するセンサである。シート高さセンサ18bは、シート4の座面の高さ位置を検出するセンサである。シート角度センサ18cは、シート4の背もたれの角度を検出するセンサである。ドアミラー角度センサ23は、タッチパネル15等に対する操作により調整されたドアミラー7の鏡面の角度を検出するセンサである。
【0039】
パネルI/F111は、タッチパネル15に対して操作入力された操作情報を受信し、タッチパネル15に各種情報を表示させるためのインターフェースである。
【0040】
なお、
図2に示したECU20のハードウェア構成は一例を示すものであり、
図2に示した構成要素を全て含む必要はなく、または、その他の構成要素を含んでもよい。また、ECU20は、1つのECUで構成されていることに限定されるものではなく、複数のECUで構成されているものとしてもよい。
【0041】
(表示パネルの表示情報の見え方について)
図3~
図6を参照しながら、運転者の視点とハンドル11との位置関係による表示パネル16の表示情報の見え方について説明する。
【0042】
まず、
図3を参照しながら、シート4に着座した運転者30の視点がハンドル11および表示パネル16と適切な位置関係にある場合における表示パネル16の表示情報の見え方について説明する。
図3の(b)に示すように、ハンドル11は、例えば、リム部11aと、スポーク部11bと、ハブ部11cと、を含む。リム部11aは、運転者が把持して操作するための円環状の操作部材である。スポーク部11bは、リム部11aとハブ部11cとを接続するための支持部材である。ハブ部11cは、リム部11aに対する操作による回転力をステアリングシャフトに伝達するための部材である。
【0043】
運転者は、
図3の(b)に示すように、リム部11a、スポーク部11bおよびハブ部11cによって死角とならない略半円形状の領域から、表示パネル16を視認する。このとき、
図3の(a)に示すように、運転者30の表示パネル16に対する視線40は、運転者30の頭部の位置、およびシート4の状態によって定まる。ここで、視線とは、運転者30の眼球(視点)と、表示パネル16等の視認対象とを結ぶベクトルである。運転者の視点がハンドル11および表示パネル16と適切な位置関係にある場合には、
図3の(b)に示すように、運転者30は、車両1の走行において常時表示される各種表示情報がリム部11a、スポーク部11bおよびハブ部11cによって形成される死角に入ることなく、視線40によりすべてを視認することができる。車両1の走行において常時表示される表示情報は、
図3の(b)に示すように、例えば、スピードメータ161、タコメータ162、シフトレバー位置表示灯163、燃料計164、水温計165および警告灯166等である。なお、これらは、車両1の走行において常時表示される表示情報の一例であり、例えば左右方向指示灯等のその他の表示情報であってもよい。
【0044】
次に、
図4を参照しながら、シート4に着座した運転者30の視点が低い場合の表示パネル16の表示情報の見え方について説明する。
図4の(a)に示すように、運転者30の表示パネル16に対する視線41は、運転者30の頭部の位置、およびシート4の状態によって定まる。
図4の(a)に示す視線41での視点は、
図3の(a)に示す視線40での視点よりも低い位置となっている。そのため、
図4の(b)に示すように、運転者30は、車両1の走行において常時表示される各種表示情報の一部が、スポーク部11bおよびハブ部11cによって形成される死角である領域50に入るため、視線41により当該表示情報の一部が視認困難な状態となる。この場合、運転者30は、死角に入った表示情報を見るためには、体または頭部の位置を移動する等して確認することがある。
【0045】
次に、
図5を参照しながら、シート4に着座した運転者30の視点が高い場合の表示パネル16の表示情報の見え方について説明する。
図5の(a)に示すように、運転者30の表示パネル16に対する視線42は、運転者30の頭部の位置、およびシート4の状態によって定まる。
図5の(a)に示す視線42での視点は、
図3の(a)に示す視線40での視点よりも高い位置となっている。そのため、
図5の(b)に示すように、運転者30は、車両1の走行において常時表示される各種表示情報の一部が、リム部11aによって形成される死角である領域51に入るため、視線42により当該表示情報の一部が視認困難な状態となる。この場合、運転者30は、死角に入った表示情報を見るためには、体または頭部の位置を移動する等して確認することがある。
【0046】
次に、
図6を参照しながら、シート4の背もたれを倒した状態で着座した運転者30の表示パネル16の表示情報の見え方について説明する。
図6の(a)に示すように、運転者30の表示パネル16に対する視線43は、運転者30の頭部の位置、およびシート4の状態によって定まる。
図6の(a)に示す視線43での視点は、シート4の背もたれを倒して着座しているため、
図3の(a)に示す視線40での視点よりも低い位置となっている。そのため、
図6の(b)に示すように、運転者30は、車両1の走行において常時表示される各種表示情報の一部が、スポーク部11bおよびハブ部11cによって形成される死角である領域52に入るため、視線43により当該表示情報の一部が視認困難な状態となる。この場合、運転者30は、死角に入った表示情報を見るためには、体または頭部の位置を移動する等して確認することがある。
【0047】
このように、運転者30の頭部の位置、およびシート4の状態によって定める運転者30の視線によっては、ハンドル11との位置関係から、表示パネル16の表示領域において当該ハンドル11により死角が形成され、表示情報の少なくとも一部が視認困難な事態が発生する。このような事態を回避するため、本実施形態に係るECU20では、運転者30がすべての表示情報を視認できるように当該表示情報の表示態様を変更する動作について、以下説明する。
【0048】
(ECUの機能ブロックの構成および動作)
図7~
図12を参照しながら、本実施形態に係るECU20の機能ブロックの構成および動作について説明する。
【0049】
図7に示すように、ECU20は、センサ情報取得部201と、画像取得部202と、GNSS情報取得部203と、視線推定部204と、死角推定部205と、表示位置決定部206と、表示制御部207と、操作入力部208と、記憶部209と、通信部210と、を有する。
【0050】
センサ情報取得部201は、ハンドル位置センサ17、シート位置センサ18a、シート高さセンサ18b、シート角度センサ18c、およびドアミラー角度センサ23それぞれによって検知された検知情報を、センサI/F109を介して取得する機能部である。具体的には、センサ情報取得部201は、ハンドル位置センサ17によって検知されたハンドル11の位置情報を取得する。または、センサ情報取得部201は、シート位置センサ18aによって検知されたシート4の前後方向の位置情報を取得する。また、センサ情報取得部201は、シート高さセンサ18bによって検知されたシート4の座面の高さの位置情報を取得する。また、センサ情報取得部201は、シート角度センサ18cによって検知されたシート4の背もたれの角度情報を取得する。そして、センサ情報取得部201は、ドアミラー角度センサ23によって検知されたドアミラー7の鏡面の角度情報を取得する。なお、センサ情報取得部201は、第1取得部に相当する。
【0051】
画像取得部202は、カメラ6により運転者の頭部が画角に入る状態で撮像された撮像画像を、撮像I/F104を介して取得する機能部である。
【0052】
なお、センサ情報取得部201および画像取得部202は、第2取得部の一例である。
【0053】
GNSS情報取得203は、GNSSセンサ19により受信された車両1の位置情報を、GNSS I/F106を介して受信する機能部である。GNSS情報取得部203により受信された位置情報によって、例えば、車両1が高速道路に入ったことを認識することができる。なお、GNSS情報取得203は、ナビゲーション機能を有するタッチパネル15からパネルI/F111を介して、または、外部装置から通信装置22および通信I/F108を介して、車両1の位置情報を受信するものとしてもよい。
【0054】
通信部210は、車両1に設置された通信装置22を介してサーバ等の外部装置と無線通信によりデータ通信を行う。
【0055】
視線推定部204は、車両1を運転する運転者の頭部の位置、およびシート4の状態のうち少なくともいずれかに基づいて、運転者の表示パネル16に対する視線を推定する機能部である。具体的には、視線推定部204は、センサ情報取得部201により取得されたシート4の前後方向の位置情報、シート4の座面の高さの位置情報、シート4の背もたれの角度情報、もしくはドアミラー7の鏡面の角度情報、または画像取得部202により取得された撮像画像のうち少なくともいずれかに基づいて、運転者の表示パネル16に対する視線を推定する。例えば、視線推定部204は、上述の位置情報、角度情報および撮像画像から、所定の基準位置を基準とした運転者の頭部の目の位置を算出し、当該位置と、当該基準位置を基準とした既知である表示パネル16の位置とから視線のベクトルを算出することによって、視線を推定することができる。
【0056】
なお、ECU20は、視線推定部204が視線を推定するために用いる情報以外は、取得を省略してもよい。例えば、ドアミラー7の角度情報を視線の推定に用いない場合、センサ情報取得部201は当該角度情報の取得を省略してもよい。また、撮像画像を視線の推定に用いない場合、ECU20は、画像取得部202を有しないものとしてもよい。
【0057】
死角推定部205は、センサ情報取得部201により取得されたハンドル11の位置情報、および視線推定部204により推定された視線に基づいて、表示パネル16の表示領域におけるハンドル11による死角を推定する機能部である。例えば、運転者の表示パネル16までの視線が推定され、ハンドル11の位置が把握されると、当該視線に対して表示パネル16の表示領域のうち、リム部11a、スポーク部11bおよびハブ部11cによってどの領域が死角となるのかを推定することが可能となる。
【0058】
表示位置決定部206は、表示パネル16の表示領域のうち死角推定部205により推定された死角を除いた視認可能領域に、表示パネル16の表示情報が表示可能となるように、当該表示情報の表示態様を変更し、新たな表示態様を決定する機能部である。具体的には、表示位置決定部206は、視認可能領域に表示パネル16の表示情報が表示されるように、当該表示情報について移動、分割、拡大・縮小、変形、回転等のうち少なくともいずれかを行うことによって表示態様を変更する。表示位置決定部206は、決定した表示情報の新たな表示態様の情報を記憶部209に記憶させる。なお、表示位置決定部206は、変更部に相当する。
【0059】
例えば、
図8の(a)に示すように、運転者30の視線41での視点が、
図3の(a)に示す視線40での視点よりも低い位置となっている場合、上述の
図4の(b)に示したように、表示パネル16の表示情報の表示態様を何ら変更しないとき、当該表示情報の一部が、スポーク部11bおよびハブ部11cによって形成される死角である領域50に入るため、視線41により当該表示情報の一部が視認困難な状態となる。そこで、表示位置決定部206は、
図8の(b)に示すように、表示情報としてのスピードメータ161、タコメータ162、シフトレバー位置表示灯163、燃料計164、水温計165および警告灯166の表示態様を、それぞれスピードメータ161a、タコメータ162a、シフトレバー位置表示灯163a、燃料計164a、水温計165a、警告灯166a-1~166a-4となるように変更して、表示情報の全体が視認可能領域に含まれるようにする。具体的には、表示位置決定部206は、
図9の(a)に示すスピードメータ161およびタコメータ162を縮小して、それぞれ
図9の(b)に示すスピードメータ161aおよびタコメータ162aのような表示態様となるように変更する。また、表示位置決定部206は、
図9の(a)に示すシフトレバー位置表示灯163を移動して、
図9の(b)に示すシフトレバー位置表示灯163aのような表示態様となるように変更する。また、表示位置決定部206は、
図9の(a)に示す燃料計164および水温計165を回転および移動して、それぞれ
図9の(b)に示す燃料計164aおよび水温計165aのような表示態様となるように変更する。そして、表示位置決定部206は、
図9の(a)に示す警告灯166を分割および移動して、
図9の(b)に示す警告灯166a-1~166a-4のような表示態様となるように変更する。
【0060】
また、表示位置決定部206は、
図9の(c)に示したスピードメータ161、タコメータ162、シフトレバー位置表示灯163、燃料計164および水温計165の表示態様を、それぞれ
図9の(d)に示すスピードメータ161b、タコメータ162b、シフトレバー位置表示灯163b、燃料計164bおよび水温計165bとなるように変更すると共に、警告灯166については、警告灯166b-1、166b-2に分割しつつ、それぞれスピードメータ161bおよびタコメータ162bに重畳して表示させるような変更を行ってもよい。
【0061】
なお、表示位置決定部206による表示情報の表示態様の変更は、当該表示情報の全体が視認可能領域に含まれるようにすることに限定されるものではなく、表示情報のうち一部の情報(例えば運転者にとって優先度の高い情報)が視認可能領域に含まれるようにする変更であってもよい。例えば、
図10の(a)に示すスピードメータ161の表示態様を変更する場合、スピードメータ161全体の表示態様を変更するのではなく、
図10の(b)に示すように、スピードメータ161に含まれる速度を示す数字を中央に移動させ、かつ当該数字に対応する目盛りの先端部を中央(針の指示部170)に向けて延長させたスピードメータ161cとすることによって、表示情報の一部の情報が視認可能となるようにしてもよい。例えば、
図11の(a)に示すように、
図10の(a)に示した表示態様を変更する前のスピードメータ161は、ハンドル11によって死角が形成され、その一部の情報である速度を示す数字および目盛りが視認困難であるところ、
図11の(b)に示すように、
図10の(b)に示したスピードメータ161cのように表示態様を変更することによって、運転者にとって優先度の高い情報である速度を示す数字および当該数字に対応する目盛りが視認できるようになる。このように、表示情報のうち優先度の高い情報が視認できるように表示態様を変更する場合、当該表示情報の全体が視認できるように表示態様を変更しなくてもよい。ここで、表示情報における優先度の高い情報とは、当該表示情報の表示目的を達することができる範囲の情報を意味する。
【0062】
また、表示位置決定部206により表示情報の表示態様が変更され、表示制御部207により当該変更された表示態様で表示情報が表示パネル16で表示された後、タッチパネル15に対する運転者の操作等によって、表示態様の微調整が可能であるものとしてもよい。例えば、
図11の(a)と同様な
図12の(a)に示すスピードメータ161の表示態様を、上述の
図11の(b)に示したスピードメータ161cのような表示態様に変更して表示パネル16に表示された後、タッチパネル15に対する運転者の操作等によって、
図12の(b)に示すように、表示態様の変更を省略してもよい「120」とそれに対応する目盛りの長さを元に戻す、というような調整が可能であってもよい。
【0063】
表示制御部207は、表示パネル16の表示動作を制御する機能部である。例えば、表示制御部207は、表示パネル16の表示情報を、表示位置決定部206により変更された表示態様によって表示する。
【0064】
操作入力部208は、タッチパネル15に対してなされた操作入力を受け付ける機能部である。
【0065】
記憶部209は、表示位置決定部206により決定された新たな表示情報の表示態様の情報等を記憶する機能部である。記憶部209は、
図2に示すRAM102またはROM103によって実現される。なお、記憶部209は、
図2に図示していない不揮発性記憶装置(フラッシュメモリ等)によって実現されるものとしてもよい。
【0066】
上述のセンサ情報取得部201、画像取得部202、GNSS情報取得部203、視線推定部204、死角推定部205、表示位置決定部206、表示制御部207、操作入力部208および通信部210は、
図2に示すCPU101によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうち一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0067】
なお、
図7に示すECU20の機能部のそれぞれは、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図7に示すECU20で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図7に示すECU20で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成してもよい。
【0068】
(ECUの表示パネルの表示動作の流れ)
図13を参照しながら、本実施形態に係るECU20による表示パネル16の表示動作の流れについて説明する。
【0069】
<ステップS11>
ECU20のセンサ情報取得部201は、ハンドル位置センサ17、シート位置センサ18a、シート高さセンサ18b、シート角度センサ18c、およびドアミラー角度センサ23それぞれによって検知された検知情報を、センサI/F109を介して取得する。具体的には、センサ情報取得部201は、ハンドル位置センサ17によって検知されたハンドル11の位置情報を取得する。または、センサ情報取得部201は、シート位置センサ18aによって検知されたシート4の前後方向の位置情報を取得する。また、センサ情報取得部201は、シート高さセンサ18bによって検知されたシート4の座面の高さの位置情報を取得する。また、センサ情報取得部201は、シート角度センサ18cによって検知されたシート4の背もたれの角度情報を取得する。そして、センサ情報取得部201は、ドアミラー角度センサ23によって検知されたドアミラー7の鏡面の角度情報を取得する。また、ECU20の画像取得部202は、カメラ6により運転者の頭部が画角に入る状態で撮像された撮像画像を、撮像I/F104を介して取得する。そして、ステップS12へ移行する。
【0070】
<ステップS12>
ECU20の視線推定部204は、センサ情報取得部201により取得されたシート4の前後方向の位置情報、シート4の座面の高さの位置情報、シート4の背もたれの角度情報、もしくはドアミラー7の鏡面の角度情報、または画像取得部202により取得された撮像画像のうち少なくともいずれかに基づいて、運転者の表示パネル16に対する視線を推定する。そして、ステップS13へ移行する。
【0071】
<ステップS13>
ECU20の死角推定部205は、センサ情報取得部201により取得されたハンドル11の位置情報、および視線推定部204により推定された視線に基づいて、表示パネル16の表示領域におけるハンドル11による死角を推定する。そして、ステップS14へ移行する。
【0072】
<ステップS14>
ECU20の表示位置決定部206は、表示パネル16の表示領域のうち死角推定部205により推定された死角を除く視認可能領域に、表示パネル16の表示情報が表示されるように、当該表示情報の表示態様を変更し、新たな表示態様を決定する。表示位置決定部206は、決定した表示情報の新たな表示態様の情報を記憶部209に記憶させる。そして、ステップS15へ移行する。
【0073】
<ステップS15>
ECU20の表示制御部207は、表示パネル16の表示情報を、表示位置決定部206により変更された表示態様によって表示する。
【0074】
以上のステップS11~S15の流れによって、ECU20による表示パネル16の表示動作が実行される。このECU20において、表示位置決定部206による表示態様の変更動作は、例えば、車両1のエンジンの始動時、GNSS情報取得部203により受信された車両1の位置情報等により当該車両1が高速道路に進入したことが検知されたとき、シート4の前後方向の位置もしくは座面の高さの位置が変更されたとき、シート4の背もたれの角度が変更されたとき、またはドアミラー7の鏡面の角度が変更されときのうち少なくともいずれかのタイミングで実行されるものとすればよい。これによって、表示態様の変更が必要とされるタイミングで変更することができ、かつ、当該変更動作を常時実行する事態を避けることができるためCPU101の処理負荷を軽減することができる。なお、表示位置決定部206により決定された表示情報の表示態様の情報は、車両1のエンジンの停止時に記憶部209に記憶され、表示制御部207は、車両1のエンジンの始動時に記憶部209から当該情報を読み出し、表示パネル16の表示情報を、読み出した情報が示す表示態様によって表示するものとしてもよい。
【0075】
以上のように、本実施形形態に係るECU20では、視線推定部204は、車両1を運転する運転者の頭部の位置、および車両1のシート4の状態のうち少なくともいずれかに基づいて、運転者の表示パネル16に対する視線を推定し、死角推定部205は、視線推定部204により推定された視線、および車両1のハンドル11の位置に基づいて、表示パネル16の表示領域におけるハンドル11による死角を推定し、表示位置決定部206は、表示領域のうち死角推定部205により推定された死角を除いた視認可能領域に、表示パネル16で常時表示される表示情報のうち、少なくとも当該表示情報の表示目的を達することができる範囲の情報が表示可能となるように、当該表示情報の表示態様を変更し、表示制御部207は、表示位置決定部206によって変更された表示態様によって表示情報を表示パネル16に表示させるものとしている。これによって、メータパネルである表示パネル16に常時表示させる表示情報を運転者にとって死角になる位置を避けて表示させることができる。よって、運転者による車両1の運転においてドライバビリティを向上させることができる。
【0076】
(変形例)
変形例に係るECUについて、上述の実施形態に係るECU20と相違する点を中心に説明する。上述の実施形態では、表示パネル16の表示情報の表示態様を変更した場合、自動で当該表示態様で表示情報を表示するものとした。本変形例では、表示パネル16の表示情報の表示態様を変更した場合、運転者に表示態様を変更するか否かを確認する動作について説明する。なお、本変形例に係るECUのハードウェア構成は、上述の実施形態で説明したECU20のハードウェア構成と同様である。
【0077】
図14を参照しながら、本変形例に係るECU20aの機能ブロックの構成および動作について説明する。
【0078】
図14に示すように、ECU20aは、センサ情報取得部201と、画像取得部202と、GNSS情報取得部203と、視線推定部204と、死角推定部205と、表示位置決定部206と、通知部211と、判定部212と、表示制御部207と、操作入力部208と、記憶部209と、通信部210と、を有する。
【0079】
通知部211は、表示位置決定部206により表示パネル16の表示情報の表示態様が変更された場合、変更された表示態様で表示するか否かを確認するための通知を行う機能部である。例えば、通知部211は、当該確認するための通知を、タッチパネル15に表示させる。
【0080】
判定部212は、通知部211による通知がなされた後、操作入力部208により受け付けた運転者による操作入力によって、新たな表示態様で表示するか、現在の表示態様をそのままとするかいずれが選択されたのかを判定する機能部である。
【0081】
表示制御部207は、判定部212により新たな表示態様で表示することが選択されたと判定された場合、表示パネル16の表示情報を、表示位置決定部206により変更された表示態様で表示する。
【0082】
なお、その他の機能部の動作は、上述の実施形態で説明した動作と同様である。
【0083】
上述のセンサ情報取得部201、画像取得部202、GNSS情報取得部203、視線推定部204、死角推定部205、表示位置決定部206、通知部211、判定部212、表示制御部207、操作入力部208および通信部210は、
図2に示すCPU101によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうち一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0084】
なお、
図14に示すECU20aの機能部のそれぞれは、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図14に示すECU20aで独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図14に示すECU20aで1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成してもよい。
【0085】
図15を参照しながら、本変形例に係るECU20aによる表示パネル16の表示動作の流れについて説明する。
【0086】
<ステップS21~S24>
ステップS21~S24の動作は、それぞれ上述の
図7に示したステップS11~S14の動作と同様である。そして、ステップS25へ移行する。
【0087】
<ステップS25>
ECU20aの通知部211は、表示位置決定部206により表示パネル16の表示情報の新たな表示態様が決定された場合、当該新たな表示態様で表示するか否かを確認するための通知を行う。例えば、通知部211は、当該確認するための通知を、タッチパネル15に表示させる。そして、ECU20aの判定部212は、操作入力部208により受け付けた運転者による操作入力によって、新たな表示態様で表示するか、現在の表示態様のままとするかいずれが選択されたのかを判定する。新たな表示態様で表示することが選択された場合(ステップS25:Yes)、ステップS26へ移行し、現在の表示態様のままとすることが選択された場合(ステップS25:No)、ステップS27へ移行する。
【0088】
<ステップS26>
ECU20の表示制御部207は、表示パネル16の表示情報を、表示位置決定部206により変更された表示態様によって表示する。
【0089】
<ステップS27>
表示制御部207は、表示パネル16の表示情報を、現在の表示態様のままで表示する。
【0090】
以上のステップS21~S27の流れによって、ECU20aによる表示パネル16の表示動作が実行される。
【0091】
以上のように、本変形例に係るECU20aでは、通知部211は、表示位置決定部206により表示情報の表示態様が変更された場合に、変更された表示態様で表示するか否かを確認するための通知を行い、判定部212は、通知部211による通知が行われた後、操作入力部208により受け付けた運転者による操作入力によって、表示位置決定部206により変更された表示態様で表示情報を表示するか、現在の表示態様のままとするかいずれが選択されたのかを判定し、表示制御部207は、判定部212によって、表示位置決定部206により変更された表示態様で表示情報を表示することが選択されたと判定された場合、表示パネル16の表示情報を、表示位置決定部206により変更された表示態様で表示するものとしている。これによって、上述の実施形態と同様の効果を奏することに加え、変更された表示態様で表示情報を表示させるか否かの判断を最終的に運転者に委ねることができ、運転者が希望に沿った表示態様とすることができるため、ドライバビリティをより向上させることができる。
【0092】
なお、上述した実施形態および変形例に係るECU20、20aで実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれた状態で提供される。また、上述した実施形態および変形例に係るECU20、20aで実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述のプログラムは、インターネット等のネットワークを介してECU20、20aに提供されてもよい。また、上述した実施形態および変形例に係るECU20、20aで実行するためのプログラムは、上述の機能部それぞれを含むモジュール構成となっている。ECU20、20aの実際のハードウェアとしては、例えば、CPU101がROM103からプログラムを読み出して実行することにより、上述した複数の機能部のそれぞれが主記憶装置であるRAM102上にロードされ、上述した複数の機能部のそれぞれがRAM102上に生成されるようになっている。
【0093】
以上の説明において、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、または、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力と出力を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、各機能ブロックの一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法にはLSIに限らず、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部の回路セルの接続、設定が再構成可能なリコンフィグラブル・プロセッサーを利用してもよい。更には、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、別技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてあり得る。
【0095】
本開示の実施形態および変形例を説明したが、これらは一例として提示したものであり、発明の技術的範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施形態および変形例は、発明の範囲および要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明の均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 車両
2 車体
3、3F、3R 車輪
4 シート
5 車両駆動部
6 カメラ
7、7L、7R ドアミラー
8 後部シート
9 ルームミラー
10 エンジンスイッチ
11 ハンドル
11a リム部
11b スポーク部
11c ハブ部
12 シフトレバー
13 パーキングブレーキ
14 ドアロック装置
15 タッチパネル
16 表示パネル
17 ハンドル位置センサ
18a シート位置センサ
18b シート高さセンサ
18c シート角度センサ
19 GNSSセンサ
20、20a ECU
21 車速センサ
22 通信装置
23 ドアミラー角度センサ
30 運転者
40~43 視線
50~52 領域
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 撮像I/F
105 表示I/F
106 GNSS I/F
107 車速I/F
108 通信I/F
109 センサI/F
110 バス
111 パネルI/F
161、161a~161c スピードメータ
162、162a、162b タコメータ
163、163a、163b シフトレバー位置表示灯
164、164a、164b 燃料計
165、165a、165b 水温計
166、166a-1~166a-4、166b-1、166b-2 警告灯
170 針の指示部
201 センサ情報取得部
202 画像取得部
203 GNSS情報取得部
204 視線推定部
205 死角推定部
206 表示位置決定部
207 表示制御部
208 操作入力部
209 記憶部
210 通信部
211 通知部
212 判定部