(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111586
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】車両用ミラー装置
(51)【国際特許分類】
B60R 1/074 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
B60R1/074
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013502
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】523099264
【氏名又は名称】美里工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大関 勝志
(72)【発明者】
【氏名】大貫 亮
(72)【発明者】
【氏名】松原 智哉
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF23
3D053GG06
3D053GG12
3D053KK02
3D053KK03
(57)【要約】
【課題】格納時又は展開時の作動音を低減する。
【解決手段】車両用ミラー装置は、ミラー部材と、ミラー部材を収容する本体部と、本体部に収容され、本体部を格納又は展開するように回動する回動部と回動部を駆動する駆動部とを有する電動格納ユニットと、本体部の内部において電動格納ユニットの少なくとも駆動部の露出部分を覆う被覆部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー部材と、
前記ミラー部材を収容する本体部と、
前記本体部に収容され、前記本体部を格納又は展開するように回動する回動部と前記回動部を駆動する駆動部とを有する電動格納ユニットと、
前記本体部の内部において前記電動格納ユニットの少なくとも前記駆動部の露出部分を覆う被覆部と
を備える車両用ミラー装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記ミラー部材、前記電動格納ユニット及び前記被覆部を囲う筐体部を有し、
前記被覆部は、前記筐体部とは別個に設けられる
請求項1に記載の車両用ミラー装置。
【請求項3】
前記本体部は、前記ミラー部材を保持するハウジングと、前記電動格納ユニットを支持するブラケットとを有し、
前記被覆部は、前記ハウジングと前記ブラケットとで前記駆動部を挟持しつつ前記駆動部の露出部分を覆うように設けられる
請求項1又は請求項2に記載の車両用ミラー装置。
【請求項4】
前記被覆部は、前記ハウジング及び前記ブラケットの一方に前記ブラケットの外縁部に沿って設けられる凸部と、前記ハウジング及び前記ブラケットの他方に前記ブラケットの外縁部に沿って設けられる凹部とを有し、前記凸部が前記凹部に挿入されたラビリンス構造を形成する
請求項3に記載の車両用ミラー装置。
【請求項5】
前記回動部は、前記駆動部に対して車両搭載状態における下側に配置され、
前記露出部分は、前記駆動部のうち車両搭載状態における上部及び側部であり、
前記被覆部は、前記駆動部の上部を覆う上部被覆部と、前記駆動部の側部を覆う側部被覆部とを有する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用ミラー装置。
【請求項6】
前記上部被覆部は、前記駆動部に接続される配線を貫通させる貫通部を有する
請求項5に記載の車両用ミラー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用ミラー装置においては、電動格納ユニットが搭載された構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動格納ユニットは、車両用ミラー装置を格納又は展開する場合に作動音が発生する。車両用ミラー装置においては、このような作動音を低減することが求められる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、格納時又は展開時の作動音を低減することが可能な車両用ミラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用ミラー装置は、ミラー部材と、前記ミラー部材を収容する本体部と、前記本体部に収容され、前記本体部を格納又は展開するように回動する回動部と前記回動部を駆動する駆動部とを有する電動格納ユニットと、前記本体部の内部において前記電動格納ユニットの少なくとも前記駆動部の露出部分を覆う被覆部とを備える。
【0007】
上記の車両用ミラー装置において、前記本体部は、前記ミラー部材、前記電動格納ユニット及び前記被覆部を囲う筐体部を有し、前記被覆部は、前記筐体部とは別個に設けられてもよい。
【0008】
上記の車両用ミラー装置において、前記本体部は、前記ミラー部材を保持するハウジングと、前記電動格納ユニットを支持するブラケットとを有し、前記被覆部は、前記ハウジングと前記ブラケットとで前記駆動部を挟持しつつ前記駆動部の露出部分を覆うように設けられてもよい。
【0009】
上記の車両用ミラー装置において、前記被覆部は、前記ハウジング及び前記ブラケットの一方に前記ブラケットの外縁部に沿って設けられる凸部と、前記ハウジング及び前記ブラケットの他方に前記ブラケットの外縁部に沿って設けられる凹部とを有し、前記凸部が前記凹部に挿入されたラビリンス構造を形成してもよい。
【0010】
上記の車両用ミラー装置において、前記回動部は、前記駆動部に対して車両搭載状態における下側に配置され、前記露出部分は、前記駆動部のうち車両搭載状態における上部及び側部であり、前記被覆部は、前記駆動部の上部を覆う上部被覆部と、前記駆動部の側部を覆う側部被覆部とを有してもよい。
【0011】
上記の車両用ミラー装置において、前記上部被覆部は、前記駆動部に接続される配線を貫通させる貫通部を有してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、格納時又は展開時の作動音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る車両用ミラー装置を備える車両の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る車両用ミラー装置の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本体部の一例を示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、本体部の一例を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、
図3において左右方向に延びる直線A-Aを矢印方向(前後方向)に移動させて切断した場合の断面を上側から見た図である。
【
図7】
図7は、
図3において上下方向に延びる直線B-Bを矢印方向(前後方向)に移動させて切断した場合の断面を右側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
以下の説明において、前後、上下、左右の各方向は、車両用ミラー装置が車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向であるとする。また、図面において、上方から視ることを平面視と言いその図を平面図とし、後方から視ることを正面視と言いその図を正面図とする。
【0016】
図1は、本実施形態に係る車両用ミラー装置100を備える車両Mの一例を示す平面図である。
図1に示すように、車両用ミラー装置100は、いわゆるドアミラーであり、車両Mの左右のドアDL、DRであって車両Mの外側に取り付けられる。左右の車両用ミラー装置100は、左右方向について略対称となっている。
【0017】
図2は、本実施形態に係る車両用ミラー装置100の一例を示す図である。
図2では、ドアミラーとして構成される車両用ミラー装置100について示している。以下においては、
図1に示す車両Mの左側のドアミラーを例に挙げて説明するが、車両Mの右側のドアミラーについても同様の説明が可能である。
【0018】
車両用ミラー装置100は、ミラー部材10と、本体部20と、電動格納ユニット30と、被覆部40と、取付部50とを備える。
【0019】
ミラー部材10は、例えばガラスや樹脂等を用いて板状に形成される。ミラー部材10は、車両搭載状態における後側の端面に反射面11を有する。
【0020】
本体部20は、ハウジング21と、鏡面調整ユニット22と、ブラケット23と、筐体部24とを有する。
図3は、本体部20の一例を示す斜視図である。
図4及び
図5は、本体部20の一例を示す分解斜視図である。なお、各図を判別しやすくするため、
図3では筐体部24の外形を一点鎖線で簡略的に示し、
図4及び
図5では筐体部24の図示を省略している。
【0021】
ハウジング21は、ミラー部材10を保持する。ハウジング21は、ミラー部材10のうち車両搭載状態における前側の被保持面12と、側面13とを保持する。ハウジング21は、鏡面調整ユニット22を取り付けるための開口部21aを有する。
【0022】
ハウジング21は、電動格納ユニット30を収容する収容部21bを有する。収容部21bは、上部被覆部41aと、側部被覆部42aとを有する。上部被覆部41aは、電動格納ユニット30の駆動部32の上方に配置され、駆動部32の上部32aのうち略半分の領域を覆う。上部被覆部41aは、駆動部32の上部32aに沿った形状を有する。側部被覆部42aは、電動格納ユニット30の駆動部32の側方に配置され、駆動部32の側部32bのうち略半分の領域を覆う。側部被覆部42aは、駆動部32の側部32bに沿った形状を有する。
【0023】
鏡面調整ユニット22は、ミラー部材10の反射面11の姿勢を調整する。鏡面調整ユニット22は、ハウジング21の開口部21aを貫通してミラー部材10に取り付けられる。
【0024】
ブラケット23は、電動格納ユニット30を保持する。ブラケット23は、ハウジング21との間で電動格納ユニット30の後述する駆動部32の全体を覆うように設けられる。ブラケット23は、電動格納ユニット30を収容するための収容部23bを有する。ハウジング21(収容部21b)と、ブラケット23(収容部23b)とにより、被覆部40が構成される。被覆部40は、駆動部32の露出部分、すなわち駆動部32の上部32a及び側部32bを覆う。収容部23bは、上部被覆部41bと、側部被覆部42bとを有する。
【0025】
上部被覆部41bは、電動格納ユニット30の駆動部32の上方に配置され、ハウジング21の上部被覆部41aと共に電動格納ユニット30の駆動部32の上部32aを覆う。上部被覆部41bは、駆動部32の上部32aのうちハウジング21の上部被覆部41aでは覆われない略半分の領域を覆う。上部被覆部41bは、駆動部32の上部32aに沿った形状を有する。ハウジング21の上部被覆部41aと、ブラケット23の上部被覆部41bとにより、被覆部40の上部被覆部41が構成される。上部被覆部41は、駆動部32の上部32aの全体を覆う。
【0026】
側部被覆部42bは、電動格納ユニット30の駆動部32の側方に配置され、ハウジング21の側部被覆部42aと共に電動格納ユニット30の駆動部32の側部を覆う。側部被覆部42bは、駆動部32の側部32bのうちハウジング21の側部被覆部41bでは覆われない略半分の領域を覆う。側部被覆部42bは、駆動部32の側部に沿った形状を有する。ハウジング21の側部被覆部42aと、ブラケット23の側部被覆部42bとにより、被覆部40の側部被覆部42が構成される。側部被覆部42は、駆動部32の側部32bの全体を覆う。
【0027】
このように、ハウジング21の収容部21bと、ブラケット23の収容部23bとで構成される被覆部40により、電動格納ユニット30の駆動部32の上部32a及び側部32bの全体が覆われた状態となる。駆動部32の下側には回動部31が配置される。被覆部40により駆動部32の上部32a及び側部32bが覆われることで、駆動部32の露出部分が覆われることになる。このため、駆動部32で発生する作動音がハウジング21とブラケット23によって遮蔽され、外部に漏れにくい構成となっている。
【0028】
また、ブラケット23は、ハウジング21の開口部21aを覆う開口被覆部21dを有する。開口被覆部21dは、鏡面調整ユニット22のうち開口部21aから前方にはみ出す部分を覆った状態となる。このため、一部材のブラケット23で駆動部32及び開口部21aを覆うことができる。
【0029】
ブラケット23の下部には、電動格納ユニット30の回動部31が突出している。回動部31は、車両側の取付部50(
図2参照)に取り付けられる。取付部50に対して回動部31が回動することにより、本体部20が取付部50に対して回動し、本体部20の格納及び展開が切り替えられる。
【0030】
図6は、
図3において左右方向に延びる直線A-Aを矢印方向(前後方向)に移動させて切断した場合の断面を上側から見た図である。
図6は、ハウジング21とブラケット23との接合部分の断面構成を示している。ハウジング21は、ブラケット23の外縁部に沿った部分に凹部21cを有する。ブラケット23は、外縁部に沿って凸部23cを有する。ハウジング21の凹部21cと、ブラケット23の凸部23cとは、対応する位置及び形状となっている。
【0031】
ハウジング21とブラケット23とは、凹部21cに凸部23cが挿入された状態で接合される。凸部23cが凹部21cに挿入されることにより、ハウジング21とブラケット23とで囲まれる空間Kの内側と外側との間にラビリンス構造25が形成される。このため、空間Kで発生する作動音が空間Kの外側に漏れにくくなる。ハウジング21の凹部21cと、ブラケット23の凸部23cとの間の隙間には、例えば接着剤等を配置してもよい。
【0032】
図7は、
図3において上下方向に延びる直線B-Bを矢印方向(前後方向)に移動させて切断した場合の断面を右側から見た図である。
図7は、ハウジング21とブラケット23との接合部分の断面構成を示す図である。
図7に示すように、上部被覆部41a、41bは、切り欠き部43a、43bを有する。
【0033】
切り欠き部43a、43bは、ハウジング21とブラケット23とが接合された状態において、貫通部43を構成する。つまり、貫通部43は、上部被覆部41に設けられ、駆動部32に接続されるハーネス等の配線27を貫通させる。貫通部43が上部被覆部41に設けられることにより、電動格納ユニット30に配線27を接続する構成をコンパクト化することが可能となっている。貫通部43は、配線27の径方向の寸法に対応して形成される。つまり、貫通部43は、配線27を貫通させた状態で、隙間が極力形成されない寸法に形成される。
図7では、配線27と貫通部43の内周面との間に隙間が形成された構成を示しているが、これに限定されない。例えば、配線27と貫通部43の内周面との間に隙間が形成されない構成であってもよい。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る車両用ミラー装置100は、ミラー部材10と、ミラー部材10を収容する本体部20と、本体部20に収容され、本体部20を格納又は展開するように回動する回動部31と回動部31を駆動する駆動部32とを有する電動格納ユニット30と、本体部20の内部において電動格納ユニット30の少なくとも駆動部32の露出部分を覆う被覆部40とを備える。
【0035】
この構成によれば、電動格納ユニット30の少なくとも駆動部32の露出部分が被覆部40により覆われるため、駆動部32で発生する作動音が被覆部40により遮蔽され、外部に漏れだすことが抑制される。これにより、本体部20の格納時又は展開時の作動音を低減することができる。
【0036】
本実施形態に係る車両用ミラー装置100において、本体部20は、ミラー部材10、電動格納ユニット30及び被覆部40を囲う筐体部24を有し、被覆部40は、筐体部24とは別個に設けられる。この構成によれば、駆動部32で発生する作動音が外部に漏れだすことを確実に抑制できる。
【0037】
本実施形態に係る車両用ミラー装置100は、本体部20は、ミラー部材10を保持するハウジング21と、電動格納ユニット30を支持するブラケット23とを有し、被覆部40は、ハウジング21とブラケット23とで駆動部32を挟持しつつ駆動部32の露出部分を覆うように設けられる。この構成によれば、ハウジング21とブラケット23とで駆動部32を挟持することにより、複雑な構成を要することなく作動音の漏れを効率的に抑制できる。
【0038】
本実施形態に係る車両用ミラー装置100において、被覆部40は、ハウジング21及びブラケット23の一方にブラケット23の外縁部に沿って設けられる凸部23cと、ハウジング21及びブラケット23の他方にブラケット23の外縁部に沿って設けられる凹部21cとを有し、凸部23cが凹部21cに挿入されたラビリンス構造25を形成する。この構成によれば、ハウジング21とブラケット23とで囲まれる空間Kの内側と外側との間にラビリンス構造25が形成されるため、空間Kで発生する作動音が空間Kの外側に漏れにくくすることができる。
【0039】
本実施形態に係る車両用ミラー装置100において、回動部31は、駆動部32に対して車両搭載状態における下側に配置され、露出部分は、駆動部32のうち車両搭載状態における上部32a及び側部32bであり、被覆部40は、駆動部32の上部32aを覆う上部被覆部41と、駆動部32の側部32bを覆う側部被覆部42とを有する。この構成によれば、被覆部40により駆動部32の上部32a及び側部32bが覆われることで、駆動部32の露出部分が覆われることになる。このため、駆動部32で発生する作動音がハウジング21とブラケット23によって遮蔽され、外部に漏れにくい構成となっている。
【0040】
本実施形態に係る車両用ミラー装置100において、上部被覆部41は、駆動部32に接続される配線27を貫通させる貫通部43を有する。貫通部43が上部被覆部41に設けられることにより、電動格納ユニット30に配線27を接続する構成をコンパクト化することができる。
【0041】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、車両用ミラー装置100がドアミラーである場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。車両用ミラー装置100は、例えばフェンダーミラー、アウトサイドミラー等の他の種類のミラーであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
K…空間、M…車両、DL,DR…ドア、10…ミラー部材、11…反射面、12…被保持面、13…側面、20…本体部、21…ハウジング、21a…開口部、21b,23b…収容部、21c…凹部、21d…開口被覆部、22…鏡面調整ユニット、23…ブラケット、23c…凸部、24…筐体部、25…ラビリンス構造、27…配線、30…電動格納ユニット、31…回動部、32…駆動部、32a…上部、32b…側部、40…被覆部、41,41a,41b…上部被覆部、41b,42,42a,42b…側部被覆部、43…貫通部、43a,43b…切り欠き部、50…取付部、100…車両用ミラー装置