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特開2023-111595取り付け部材、外壁ユニット、建築物及び取り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111595
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】取り付け部材、外壁ユニット、建築物及び取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/56 20060101AFI20230803BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
E04B2/56 622H
E04B2/56 601D
E04B2/56 622B
E04B1/58 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013514
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110664
【氏名又は名称】ナンカイ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 克己
(72)【発明者】
【氏名】豊島 一也
(72)【発明者】
【氏名】枩林 邦生
【テーマコード(参考)】
2E002
2E125
【Fターム(参考)】
2E002EA04
2E002FA02
2E002FB02
2E002HA02
2E002HB01
2E002MA06
2E002MA43
2E125AA03
2E125AA53
2E125AB05
2E125AC15
2E125AE01
2E125CA01
2E125CA09
2E125EB02
2E125EB06
(57)【要約】
【課題】化粧部材を保持するための部分において、外的要因を受けにくい状態で、建築物の躯体に対して化粧部材を取り付けることのできる取り付け部材、外壁ユニット、建築物及び取り付け方法を提供する。
【解決手段】第一柱外側面及び第一柱内側面を有する第一柱部材と第二柱外側面及び第二柱内側面を有する躯体に対して化粧部材を取り付けるための取り付け部材であって、第一柱外側面及び第二柱外側面に亘って配置される第一挟持部材と、第一挟持部材の外側に配置された被操作部と第一柱内側面及び第二柱内側面の少なくとも一方の内側まで延びる挿通部と第一挟持部材との間で少なくとも一方の柱部材を挟持するための挟持片とを有する第二挟持部材と、化粧部材の面内に取り付け可能に構成される取り付け機構と、を備える取り付け部材を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一柱外側面及び第一柱内側面を有する第一柱部材と、第二柱外側面及び第二柱内側面を有するとともに前記第一柱部材との間に隙間を設けた状態で前記第一柱部材に隣接する第二柱部材と、を有する躯体に対して化粧部材を取り付けるための取り付け部材であって、
前記化粧部材が正規の取り付け位置に取り付けられた状態で前記第一柱外側面及び前記第二柱外側面に亘って配置される第一挟持部材と、
前記第一挟持部材の外側に配置された被操作部と、前記被操作部から前記隙間を通じて前記第一柱内側面及び前記第二柱内側面の少なくとも一方の内側まで延びる挿通部と、前記挿通部から前記挿通部と交差する方向に延び、前記第一挟持部材との間で少なくとも一方の柱部材を挟持するための挟持片と、を有する第二挟持部材と、
前記第一挟持部材に接続され、前記化粧部材の面内に取り付け可能に構成される取り付け機構と、を備え、
前記第二挟持部材は、前記隙間を通過するために前記挟持片が前記隙間に沿って配置された通過姿勢と、前記第一挟持部材との間で少なくとも一方の柱部材を挟持する挟持姿勢と、の間において回転可能になるように、前記被操作部が前記化粧部材の面外に露出した状態で前記第一挟持部材に対して取り付けられる、取り付け部材。
【請求項2】
請求項1に記載の取り付け部材であって、
前記第一挟持部材は、前記化粧部材の面内において前記取り付け機構に接続された接続部分と、前記化粧部材の面外に被操作部を露出させた状態で前記挟持片との間で少なくとも一方の柱部材を挟持するための挟持部分と、前記接続部分と前記挟持部分とを連接する連接部分と、を有する、取り付け部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の取り付け部材であって、
前記第二挟持部材は、前記挿通部が延びる方向と直交する方向における位置を調整可能な状態で前記第一挟持部材に取り付けられている、取り付け部材。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の取り付け部材であって、
前記取り付け機構は、前記化粧部材に設置される被係止部に対して係止する係止部と、前記被係止部の内側面が前記接続部分の外側面に密着するように前記係止部を前記接続部分に引き付けるための引き付け機構と、を有する、取り付け部材。
【請求項5】
外壁ユニットであって、
化粧部材と、
第一柱外側面及び第一柱内側面を有する第一柱部材と第二柱外側面及び第二柱内側面を有するとともに前記第一柱部材との間に隙間を設けた状態で前記第一柱部材に隣接する第二柱部材とを有する躯体に対して前記化粧部材を取り付けるための請求項1から4のいずれかに記載の取り付け部材と、を有し、
前記取り付け機構は、前記化粧部材に取り付けられている、外壁ユニット。
【請求項6】
建築物であって、
第一柱外側面及び第一柱内側面を有する第一柱部材と、第二柱外側面及び第二柱内側面を有するとともに前記第一柱部材との間に隙間を設けた状態で前記第一柱部材に隣接する第二柱部材と、を有する躯体と、
前記躯体に取り付けられる化粧部材と、
前記化粧部材と隣接するように前記躯体に取り付けられる隣接化粧部材と、
前記躯体に対して前記化粧部材を取り付けるための、請求項1から4のいずれか一項に記載の複数の取り付け部材と、を備え、
前記複数の取り付け部材は、前記被操作部が前記化粧部材と前記隣接化粧部材との間の隙間の範囲内に配置された状態で、前記取り付け機構が前記化粧部材の面内に取り付けられている、建築物。
【請求項7】
請求項6に記載の建築物であって、
前記化粧部材は、前記第一柱部材と前記第二柱部材との隣接方向に沿って延びる第一外側面と、前記隣接方向と直交する方向に延びる第二外側面とを有する、建築物。
【請求項8】
第一柱外側面及び第一柱内側面を有する第一柱部材と、第二柱外側面及び第二柱内側面を有するとともに前記第一柱部材との間に隙間を設けた状態で前記第一柱部材に隣接する第二柱部材と、を有する躯体に対して請求項1から4のいずれか一項に記載の取り付け部材を用いて化粧部材を取り付けるための取り付け方法であって、
前記取り付け部材及び前記化粧部材を準備する準備工程と、
前記取り付け機構を前記化粧部材に取り付ける取り付け工程と、
前記第二挟持部材が前記通過姿勢に位置決めされた状態で前記挿通部を前記第一柱内側面及び前記第二柱内側面の少なくとも一方の内側まで挿通する挿通工程と、
前記第二挟持部材を前記通過姿勢から前記挟持姿勢に切り替わるように前記被操作部を回転させる回転工程と、有する、取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り付け部材、外壁ユニット、建築物及び取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築物の躯体に対して化粧部材を取り付けるための取り付け部材が知られている。例えば特許文献1には、躯体である一対のC形チャネルに対して外側方向から複数の壁パネルを押さえつけることにより、複数の壁パネルを一対のC形チャネルに取り付ける止め金具が開示されている。この止め金具は、一対のC形チャネルの両外側面に亘って配置された当て板と、当て板に対して外側方向に配置された頭部と、当て板に設けられた貫通穴及び一対のC形チャネルの間の隙間を通じて頭部から一対のC形チャネルの各内側面の内側まで延びる貫通軸と、貫通軸から貫通軸に対して交差する方向に延びるとともに当て板との間で一対のC形チャネルを挟持する押さえピンと、当て板に接続されるとともに複数の壁パネルの各外面に取り付けられる複数の押さえ片と、を有する。この複数の押さえ片のそれぞれは、締め付け操作を受けるとともに押さえ片を壁パネルに向けて移動させる取り付けねじを有している。
【0003】
特許文献1では、止め金具の貫通軸を一対のC形チャネルの間の隙間に挿通するとともに貫通軸を回転させることにより止め金具を一対のC形チャネルに取り付ける。この状態で、複数の押さえ片を介して一対のC形チャネルに対して複数の壁パネルを押し付けるとともに各取り付けねじを回転させることにより、複数の壁パネルが一対のC形チャネルに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実全平01-007612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1では、前記取り付けねじを作業者に操作させるために、複数の壁パネル同士の間に形成される目地部分から各押さえ片の一部及び各取り付けねじを外部に対して露出させている。つまり、前記特許文献1では、風雨や外気温、また不要な外力などの外的要因の影響を受けやすい領域に、取り付け部材及び取り付けねじが設けられている。
【0006】
本発明の目的は、化粧部材を保持するための部分において、外的要因の影響を受けにくい状態で、建築物の躯体に対して化粧部材を取り付けることのできる取り付け部材、外壁ユニット、建築物及び取り付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、第一柱外側面及び第一柱内側面を有する第一柱部材と、第二柱外側面及び第二柱内側面を有するとともに前記第一柱部材との間に隙間を設けた状態で前記第一柱部材に隣接する第二柱部材と、を有する躯体に対して化粧部材を取り付けるための取り付け部材であって、前記化粧部材が正規の取り付け位置に取り付けられた状態で前記第一柱外側面及び前記第二柱外側面に亘って配置される第一挟持部材と、前記第一挟持部材の外側に配置された被操作部と、前記被操作部から前記隙間を通じて前記第一柱内側面及び前記第二柱内側面の少なくとも一方の内側まで延びる挿通部と、前記挿通部から前記挿通部と交差する方向に延び、前記第一挟持部材との間で少なくとも一方の柱部材を挟持するための挟持片と、を有する第二挟持部材と、前記第一挟持部材に接続され、前記化粧部材の面内に取り付け可能に構成される取り付け機構と、を備え、前記第二挟持部材は、前記隙間を通過するために前記挟持片が前記隙間に沿って配置された通過姿勢と、前記第一挟持部材との間で少なくとも一方の柱部材を挟持する挟持姿勢と、の間において回転可能になるように、前記被操作部が前記化粧部材の面外に露出した状態で前記第一挟持部材に対して取り付けられる、取り付け部材を提供する。
【0008】
本発明によれば、化粧部材の面内に取り付け機構を配置することができる。このため、取り付け機構の一部を化粧部材の面外に露出させる場合と比較して、取り付け機構が外的要因の影響を受けにくい状態で躯体に対して化粧部材を取り付けることができる。
【0009】
また、本発明では、化粧部材の面内に取り付け機構を配置することができるため、取り付け機構の一部を化粧部材の面外に露出させる場合と比較して、取り付け機構が化粧部材の美感に与える影響を小さくすることができる。
【0010】
また、本発明では、被操作部が化粧部材の面外に露出しているため、被操作部を建築物の外側から操作することができる。したがって、被操作部が化粧部材の面内に被覆されている場合と比較して、化粧部材を躯体に容易に取り付けることができる。
【0011】
前記取り付け部材において、前記第一挟持部材は、前記化粧部材の面内において前記取り付け機構に接続された接続部分と、前記化粧部材の面外に被操作部を露出させた状態で前記挟持片との間で少なくとも一方の柱部材を挟持するための挟持部分と、前記接続部分と前記挟持部分とを連接する連接部分と、を有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、連接部分によって接続部分と挟持部分とが離間される。このため、化粧部材を外側から見る視点において取り付け機構が化粧部材により覆われた状態で被操作部を化粧部材から露出させることができる。
【0013】
前記取り付け部材において、前記第二挟持部材は、前記挿通部が延びる方向と直交する方向における位置を調整可能な状態で前記第一挟持部材に取り付けられていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第二挟持部材の第一挟持部材に対する取り付け位置を挿通部が延びる方向と直交するにおいて調整することができる。そのため、躯体に対する化粧部材の取り付け位置を挿通部が延びる方向と直交する方向に調整することができる。
【0015】
前記取り付け部材において、前記取り付け機構は、前記化粧部材に設置される被係止部に対して係止する係止部と、前記被係止部の内側面が前記接続部分の外側面に密着するように前記係止部を前記接続部分に引き付けるための引き付け機構と、を有することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第二挟持部材により第一挟持部材の挟持部分の内側面に躯体が押し付けられた状態で第一挟持部材の接続部分に化粧部材を引き付けることにより、化粧部材を躯体に取り付けることができる。したがって、特許文献1のように、化粧部材を躯体に押し付ける場合のように、取り付け部材以外の部材に化粧部材を取り付ける場合においては躯体が有する柱部材の位置や外側面の形状によっては化粧部材の押し付け位置が異なることになるのに対し、前記構成では柱部材及び化粧部材の取り付け基準面を共通の部材(取り付け部材)に設定することができるため、躯体に対する化粧部材の取り付け位置の精度を向上することができる。
【0017】
また、本発明は、外壁ユニットであって、化粧部材と、第一柱外側面及び第一柱内側面を有する第一柱部材と第二柱外側面及び第二柱内側面を有するとともに前記第一柱部材との間に隙間を設けた状態で前記第一柱部材に隣接する第二柱部材とを有する躯体に対して前記化粧部材を取り付けるための前記取り付け部材と、を有し、前記取り付け機構は、前記化粧部材に取り付けられている、外壁ユニットを提供する。
【0018】
本発明では、化粧部材に対して取り付け部材が取り付けられているため、第二挟持部材の被操作部を操作することにより化粧部材を躯体に容易に取り付けることができる。この取り付け状態においては、取り付け機構が化粧部材に覆われるため、前記の効果を得ることができる。
【0019】
また、本発明は、建築物であって、第一柱外側面及び第一柱内側面を有する第一柱部材と、第二柱外側面及び第二柱内側面を有するとともに前記第一柱部材との間に隙間を設けた状態で前記第一柱部材に隣接する第二柱部材と、を有する躯体と、前記躯体に取り付けられる化粧部材と、前記化粧部材と隣接するように前記躯体に取り付けられる隣接化粧部材と、前記躯体に対して前記化粧部材を取り付けるための、複数の前記取り付け部材と、を備え、前記複数の取り付け部材は、前記被操作部が前記化粧部材と前記隣接化粧部材との間の隙間の範囲内に配置された状態で、前記取り付け機構が前記化粧部材の面内に取り付けられている、建築物を提供する。
【0020】
本発明では、複数の取り付け部材の全ての被操作部が化粧部材の面外に露出しているため、メンテナンス時などに、屋外側から化粧部材の着脱が可能となり作業性が向上する。
【0021】
前記建築物において、前記化粧部材は、前記第一柱部材と前記第二柱部材との隣接方向に沿って延びる第一外側面と、前記隣接方向と直交する方向に延びる第二外側面とを有することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、化粧部材が第一外側面と第二外側面とを有しているため、建築物が角部分を有している場合であっても、化粧部材を当該建築物の躯体に好適に取り付けることができる。
【0023】
また、本発明は、第一柱外側面及び第一柱内側面を有する第一柱部材と、第二柱外側面及び第二柱内側面を有するとともに前記第一柱部材との間に隙間を設けた状態で前記第一柱部材に隣接する第二柱部材と、を有する躯体に対して前記取り付け部材を用いて化粧部材を取り付けるための取り付け方法であって、前記取り付け部材及び前記化粧部材を準備する準備工程と、前記取り付け機構を前記化粧部材に取り付ける取り付け工程と、前記第二挟持部材が前記通過姿勢に位置決めされた状態で前記挿通部を前記第一柱内側面及び前記第二柱内側面の少なくとも一方の内側まで挿通する挿通工程と、前記第二挟持部材を前記通過姿勢から前記挟持姿勢に切り替わるように前記被操作部を回転させる回転工程と、有する、取り付け方法を提供する。
【0024】
この態様によれば、工場などにおいて、取り付け部材を化粧部材に予め取り付けておくことができる。このため、取り付け部材が化粧部材に取り付けられた状態で化粧部材を躯体に対して取り付ける必要がある場合に適した取り付け方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、化粧部材を保持するための部分において、外的要因の影響を受けにくい状態で、建築物の躯体に対して化粧部材を取り付けることのできる取り付け部材、外壁ユニット、建築物及び取り付け方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る建築物の平面断面図である。
図2図1の外壁ユニットが有する第一取り付け部材の平面図である。
図3図2の第一取り付け部材の側面図である。
図4図2の第一取り付け部材の正面図である。
図5図2の第一取り付け部材が有する第一挟持部材の平面図である。
図6図5の第一挟持部材の側面図である。
図7図5の第一挟持部材の正面図である。
図8図2の第一取り付け部材が有する取り付け機構の平面図である。
図9図8の取り付け機構の側面図である。
図10図8の取り付け機構が有する第一引き付けナットの正面図である。
図11図8の取り付け機構が有する第一引き付けナットの平面図である。
図12図2の第一取り付け部材が有する第二挟持部材の側面図である。
図13図12の第二挟持部材の正面図である。
図14】第一取り付け部材を用いて化粧部材を躯体に取り付ける方法について説明するための平面図であり、化粧部材に第一取り付け部材を取り付ける前の状態を示す。
図15】第一取り付け部材を用いて化粧部材を躯体に取り付ける方法について説明するための平面図であり、化粧部材を正規の取り付け位置に配置し、挿通部を第一柱部材と第二柱部材との間に挿通した状態を示す。
図16】第一取り付け部材を用いて化粧部材を躯体に取り付ける方法について説明するための平面図であり、第二挟持部材の回転後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る建築物300について図1図16を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的な範囲を限定するものではない。
【0028】
以下の説明では、図1の紙面の上方向を第一方向とし、図1の紙面の右方向を第一方向と直交する第二方向とする。
【0029】
本実施形態に係る建築物300は、躯体200と、躯体200に取り付けられる化粧部材10と、第一方向において化粧部材10と隣接するように躯体200に取り付けられる第一隣接化粧部材80(「隣接化粧部材」に相当)と、第二方向において化粧部材10と隣接するように躯体200に取り付けられる第二隣接化粧部材140と、化粧部材10を躯体200に取り付けるための複数の第一取り付け部材30(「取り付け部材」に相当)と、第一隣接化粧部材80を躯体200に取り付けるための複数の第二取り付け部材100と、第二隣接化粧部材140を躯体200に取り付けるための複数の第三取り付け部材160と、を有する。
【0030】
図1に示すように、躯体200は、第一柱部材210と、第一方向において隙間を設けた状態で第一柱部材210に隣接する第二柱部材220と、第二方向において隙間を設けた状態で第一柱部材210に隣接する第三柱部材230と、第一柱部材210と第二柱部材220とを第一方向に連結するための第一柱部材連結機構240と、第一柱部材210と第三柱部材230とを第二方向に連結するための第二柱部材連結機構250と、を有する。
【0031】
第一柱部材210は、第一方向に沿って延びるとともに第二方向に対向する一対の第一柱フランジ部211と、一対の第一柱フランジ部211の第一方向における端部同士を接続する第一柱ウェブ部212と、第二方向側の第一柱フランジ部211から第二方向とは反対方向に延びる第一柱リップ部213と、を有する。図1に示すように、第一柱部材210では、第二方向側の第一柱フランジ部211が第一柱内側面214を有しており、第二方向とは反対方向側の第一柱フランジ部211が第一柱外側面215を有している。
【0032】
第二柱部材220は、第一方向に沿って延びるとともに第二方向に対向する一対の第二柱フランジ部221と、一対の第二柱フランジ部221の第一方向とは反対方向側の端部同士を接続する第二柱ウェブ部222と、一対の第二柱フランジ部221の第一方向側の端部から互いに接近する方向に延びる一対の第二柱リップ部223と、を有する。図1に示すように、第二柱部材220では、第二方向側の第二柱フランジ部221が第二柱内側面224を有しており、第二方向とは反対方向側の第二柱フランジ部221が第二柱外側面225を有している。
【0033】
第三柱部材230は、第二方向に沿って延びるとともに第一方向に対向する一対の第三柱フランジ部231と、一対の第三柱フランジ部231の第二方向とは反対方向側の端部同士を接続する第三柱ウェブ部232と、一対の第三柱フランジ部231の第二方向側の端部から互いに接近する方向に延びる一対の第三柱リップ部233と、を有する。
【0034】
第一柱部材連結機構240は、第一柱ウェブ部212に形成される図示しない貫通孔及び第二柱ウェブ部222に形成される図示しない貫通孔を貫通するように第一方向に延びる第一ボルト241と、第一柱部材210と第二柱部材220との間に隙間を形成するために第一ボルト241に取り付けられる図示しないスペーサと、第一ボルト241に螺合されるとともに第一柱部材210と第二柱部材220とを連結する第一ナット242とを有する。
【0035】
第二柱部材連結機構250は、第二方向側の第一柱フランジ部211に形成される図示しない貫通孔及び第三柱ウェブ部232に形成される図示しない貫通孔を貫通するように第二方向に延びる第二ボルト251と、第一柱部材210と第三柱部材230との間に隙間を形成するために第二ボルト251に取り付けられる図示しないスペーサと、第二ボルト251に螺合されるとともに第一柱部材210と第三柱部材230とを連結する第二ナット252とを有する。
【0036】
化粧部材10は、第一取り付け部材30とともに外壁ユニットを構成する。図1に示すように、化粧部材10は、化粧部材本体11と、化粧部材本体11の曲げ剛性を向上させるために化粧部材本体11の内部に埋め込まれる芯材16と、複数の第一取り付け部材30が取り付けられる第一被取り付け部材20と、を有する。
【0037】
化粧部材本体11は、第一方向に延びる部分と、第二方向に延びる部分と、これらを接続する部分と、を有し、コンクリートにより形成されている。化粧部材本体11は、第一被取り付け部材20が配置(埋設)された第一配置部15を有する。また、図1に示すように、化粧部材本体11は、第一方向(「隣接方向」に相当)に沿って延びるとともに後述する第一隣接化粧部材本体90が有する第一隣接外側面93と同一平面上に位置する第一外側面13と、第二方向に延びるとともに後述する第二隣接化粧部材本体150が有する第二隣接外側面153と同一平面上に位置する第二外側面14とを有している。本実施形態では、図1に示すように、第一外側面13の第一方向における寸法は第一隣接外側面93の第一方向における寸法よりも小さく、第二外側面14の第二方向における寸法は第二隣接外側面153の第二方向における寸法よりも小さい。
【0038】
芯材16は、化粧部材本体11内に埋設されたものであり、第一方向に延びる第一部分17と、第二方向に延びる第二部分18とを有する。第一部分17は、第一方向に延びる内側面19(以下、芯内側面19と呼ぶ)を有する。本実施形態では、芯内側面19の一部に第一被取り付け部材20が固定されている。
【0039】
第一被取り付け部材20は、第二方向に沿って延びるとともに第一方向に対向する一対の第一フランジ部21と、一対の第一フランジ部21の第二方向とは反対方向側の端部同士を接続するとともに芯材16の第一部分17に固定される第一ウェブ部22と、一対の第一フランジ部21の第二方向側の端部から互いに接近する方向に延びる一対の第一リップ部23(「被係止部」に相当)と、を有する。なお、化粧部材本体11は、化粧部材本体11の第一方向に延びる内側面12から第二方向とは反対方向に向かって凹むように形成される第一凹部5を有する。本実施形態では、一対の第一フランジ部21と第一ウェブ部22とに囲まれる領域が第一凹部5である。
【0040】
図1及び図2に示すように、複数の第一取り付け部材30は、上下方向に一列に並んで配置されている。なお、本実施形態において、複数の第一取り付け部材30のそれぞれは実質的に同一の構成を有するため、以下では単一の第一取り付け部材30のみについてその構成を説明する。具体的に、第一取り付け部材30は、化粧部材10が正規の取り付け位置に取り付けられた状態で第一柱外側面215及び第二柱外側面225に亘って配置される第一挟持部材40と、第一挟持部材40と接続されるとともに第一挟持部材40との間で少なくとも一方の柱部材を挟持する第二挟持部材50と、第一挟持部材40に接続され、化粧部材10の面内(化粧部材10を外側から見る視点において化粧部材10の範囲内)に取り付け可能に構成される取り付け機構60と、を備える。
【0041】
図2に示すように、第一挟持部材40は、化粧部材10の面内において取り付け機構60に接続された接続部分41と、化粧部材10の面外(化粧部材10を外側から見る視点において化粧部材の範囲外)に第二挟持部材50の後述する被操作部51を露出させた状態で第二挟持部材50の後述する挟持片55との間で少なくとも一方の柱部材を挟持するための挟持部分43と、接続部分41と挟持部分43とを連接する連接部分46と、を有する。
【0042】
図1に示すように、接続部分41は、第一被取り付け部材20の一対の第一リップ部23のそれぞれと対向するように第一方向に延びる。接続部分41は、取り付け機構60と協働して化粧部材10を保持する。
【0043】
図1図7に示すように、挟持部分43は、化粧部材10を外側から見る視点において後述する被操作部51を化粧部材10から露出した状態で化粧部材10に取り付け可能にするために第一柱外側面215と第二柱外側面225とに亘って延びる板状部44と、第二挟持部材50を所定の回転位置で回り止めするために板状部44から外側方向(建築物300の外側方向)に延びる一対の突出部45とを有している。
【0044】
連接部分46は、接続部分41と挟持部分43とが相互に離間した状態で両者を連接する。なお、図1に示すように、本実施形態に係る連接部分46は、接続部分41の取り付け機構60に対する接続位置を建築物300の外側方向にシフトさせるために、平面視において斜め方向に延びている。
【0045】
図1及び図2に示すように、第二挟持部材50は、第一挟持部材40の外側に配置された被操作部51と、被操作部51から第一柱部材210と第二柱部材220との間の隙間を通じて第一柱内側面214及び第二柱内側面224の少なくとも一方の内側まで延びる挿通部54と、第一挟持部材40との間で少なくとも一方の柱部材を挟持するための挟持片55と、を有する。第二挟持部材50は、第一柱部材210と第二柱部材220との間の隙間を通過するために挟持片55が当該隙間に沿って配置された通過姿勢(図15参照)と、第一挟持部材40との間で少なくとも一方の柱部材を挟持する挟持姿勢(図16参照)と、の間において回転可能になるように、被操作部51が化粧部材10の面外に露出した状態で第一挟持部材40に対して取り付けられる。
【0046】
図2に示すように、被操作部51は、第二挟持部材50全体を回転させるための操作を受ける頭部52と、当該頭部52と一体に設けられ、第二挟持部材50の通過姿勢から挟持姿勢に向かう挟持方向の回転を許容するとともに挟持方向において第二挟持部材50が挟持姿勢を超えて回転することを規制する回転規制部53とを有している。具体的に、本実施形態では、図4に示すように、第二挟持部材50が通過姿勢と挟持姿勢との間の角度で回転する場合は回転規制部53が一対の突出部45に当接せず、第二挟持部材50が挟持方向に回転されて挟持姿勢に到達したときに回転規制部53が一対の突出部45に当接するように回転規制部53の寸法が設計されている。
【0047】
挿通部54は、挟持部分43に形成されている挟持貫通孔HL2(図4参照)を貫通するとともに第一柱内側面214及び第二柱内側面224の少なくとも一方の内側まで延びる。なお、本実施形態において、挟持貫通孔HL2は、第二挟持部材50の第一挟持部材40(挟持部分43)に対する取り付け位置が調整可能になるように、挿通部54が延びる方向と直交する方向に延びている。
【0048】
図12に示すように、挟持片55は、挿通部54から挿通部54と交差する方向に延びる。第二挟持部材50が挟持姿勢に回転された状態において、挟持片55は第一柱部材210の第一柱内側面214を外側方向(建築物300の外側方向)に向けて押圧することにより第一柱部材210を第一挟持部材40(挟持部分43)との間で挟持する。第二挟持部材50が通過姿勢に回転された状態において、挟持片55の第一柱内側面214に対する押圧状態は解除される。なお、挟持片55は、挿通部54から挿通部54と交差する方向に沿って二又状に延びるものであってもよい。この場合、第二挟持部材50の挟持姿勢に回転された挟持片55は、第一柱内側面214及び第二柱内側面224を外側方向に向けて押圧する。
【0049】
図1に示すように、取り付け機構60は、被操作部51が化粧部材10と第一隣接化粧部材80との間の隙間の範囲内に配置された状態で、化粧部材10の面内に取り付けられている。具体的に、取り付け機構60は、化粧部材10を内側から見る視点において第一凹部5の一部を覆うように化粧部材10に設置される一対の第一リップ部23(被係止部)に係止する係止部64と、一対の第一リップ部23の内側面62(以下、被係止内側面62と呼ぶ)が接続部分41の外側面42(以下、接続外側面42と呼ぶ)に密着するように係止部64を接続部分41に引き付けるための第一引き付け機構70(「引き付け機構」に相当)と、を有する。
【0050】
係止部64は、第一凹部5を通じて一対の第一リップ部23の外側面63(以下、被係止外側面63と呼ぶ)に接触することにより一対の第一リップ部23に係止する板状の部材である。係止部64は、所定の姿勢(以下、挿通姿勢)において一対の第一リップ部23同士の間に形成された第一方向における隙間に挿通可能で、かつ、挿通姿勢から所定角度回転した姿勢(以下、接触姿勢)において被係止外側面63に接触可能な形状を有する。具体的には、図4に示すように、係止部64は、一対の第一リップ部23同士の間の隙間の第一方向における第一寸法L1(図1参照)よりも小さい第二寸法L2(図4参照)で相互に離間する一対の側端面65と、第一寸法L1よりも大きく、かつ、一対の第一フランジ部21同士の間の第一方向における第三寸法L3(図1参照)以下に設定された第四寸法L4(図4参照)で相互に離間する一対の切り欠き端面66と、係止部64の一対の第一フランジ部21間における一方側への回転を許容するために側端面65と切り欠き端面66との間に形成された一対の切り欠き部分67と、を有している。
【0051】
図2に示すように、第一引き付け機構70は、係止部64及び接続部分41を貫通するように延びる第一引き付けボルト71と、接続部分41の内側で第一引き付けボルト71に螺合する第一引き付けナット72と、を有する。具体的に、第一引き付けボルト71は、接続部分41に形成されている接続貫通孔HL1(図5及び図7参照)と化粧部材10を外側方向から見る視点において接続貫通孔HL1と重なる状態で係止部64に形成されている係止貫通孔HL3とを貫通する第一引き付けボルト本体71Aと、接続貫通孔HL1及び係止貫通孔HL3に挿通不能な大きさを有するとともに係止部64の外側に設けられた第一引き付けボルト頭部71Bとを有する。また、第一引き付けナット72は、第一挟持部材40を係止部64との間で挟持するようにして第一引き付けボルト71に螺合される。第一引き付けボルト71に第一引き付けナット72が螺合されることにより、係止部64が接続部分41に引き付けられるとともに第一取り付け部材30が化粧部材10に取り付けられる。
【0052】
図1に示すように、第一隣接化粧部材80は、第一隣接化粧部材本体90と、複数の第二取り付け部材100が取り付けられる第二被取り付け部材94とを有する。
【0053】
第一隣接化粧部材本体90は、第一方向に延びる部分を有しており、コンクリートにより形成されている。第一隣接化粧部材本体90は、第二被取り付け部材94が配置(埋設)された第二配置部91を有する。
【0054】
第二被取り付け部材94は、第二方向に沿って延びる一対の第二フランジ部95と、一対の第二フランジ部95の第二方向とは反対方向側の端部同士を接続する第二ウェブ部96と、一対の第二フランジ部95の第二方向側の端部から互いに接近する方向に延びる一対の第二リップ部97と、を有する。なお、第一隣接化粧部材本体90は、第一隣接化粧部材本体90の第一方向に延びる内側面92(以下、第一隣接内側面92と呼ぶ)から第二方向とは反対方向に向かって凹むように形成される第二凹部85を有する。本実施形態では、一対の第二フランジ部95と第二ウェブ部96とに囲まれる領域が第二凹部85である。
【0055】
図1に示すように、複数の第二取り付け部材100は、上下方向に一列に並んで配置されている。なお、本実施形態において、複数の第二取り付け部材100のそれぞれは実質的に同一の構成を有するため、以下では単一の第二取り付け部材100のみについてその構成を説明する。具体的に、第二取り付け部材100は、第二取り付け部材本体110と、第二取り付け部材本体110に対して第一隣接化粧部材80を取り付けるための第一隣接側取り付け機構120と、第二取り付け部材本体110に対して第二柱部材220を取り付けるための第二柱側取り付け機構130と、を有する。
【0056】
第二取り付け部材本体110は、第一隣接化粧部材本体90の第一隣接内側面92に沿って配置された第一隣接側部分111と、第二柱部材220の第一方向に向く側面に沿って配置された第二柱側部分112とを有している。具体的に、第一隣接側部分111は、第一隣接側取り付け機構120を介して第一隣接化粧部材本体90の第一隣接内側面92に取り付けられ、第二柱側部分112は、第二柱側取り付け機構130を介して第二柱部材220の一対の第二柱リップ部223に取り付けられる。
【0057】
図1に示すように、第一隣接側取り付け機構120は、第一隣接側部分111との間で一対の第二リップ部97を挟持するように一対の第二フランジ部95に係止する第一隣接側挟持板121と、一対の第二リップ部97の内側面98が第一隣接側部分111の外側面113に密着するように第一隣接側挟持板121を第一隣接側部分111に引き付ける第二引き付け機構122と、を有する。第二引き付け機構122は、第一引き付け機構70と同様の構成を有する。具体的に、第二引き付け機構122は、第一隣接側挟持板121及び第一隣接側部分111を貫通するように第二方向に延びる第二引き付けボルト123と、第二引き付けボルト123に螺合する第二引き付けナット124とを有する。第二引き付けボルト123は、第二方向から見る視点において重なった状態で第一隣接側挟持板121及び第一隣接側部分111のそれぞれに形成される図示しない貫通孔を貫通する第二引き付けボルト本体と、第一隣接側挟持板121及び第一隣接側部分111のそれぞれに形成される図示しない貫通孔に挿通不能な大きさを有する第二引き付けボルト頭部とを有する。第二引き付けボルト123に第二引き付けナット124が螺合されることにより、第一隣接側挟持板121が第一隣接側部分111に引き付けられるとともに第一隣接側部分111が第一隣接化粧部材本体90の第一隣接内側面92に取り付けられる。
【0058】
図1に示すように、第二柱側取り付け機構130は、一対の第二柱リップ部223に対向するように第二方向に延びる部分を有する第二柱側挟持板131と、一対の第二リップ部97を介して第二柱側挟持板131との間で第二柱側部分112を挟持するために一対の第二柱フランジ部221に係止する第二係止板132と、第二柱側挟持板131及び第二係止板132を介して第二柱側部分112を第二柱リップ部223に固定する第二固定機構133と、を有する。第二固定機構133は、第一引き付け機構70と同様の構成を有する。具体的に、第二固定機構133は、第二係止板132、第二柱側部分112及び第二柱側挟持板131を貫通するように第一方向に延びる第二固定ボルト134と、第二固定ボルト134に螺合する第二固定ナット135とを有する。第二固定ボルト134は、第一方向から見る視点において重なった状態で第二係止板132、第二柱側部分112及び第二柱側挟持板131のそれぞれに形成される図示しない貫通孔を貫通する第二固定ボルト本体と、第二係止板132、第二柱側部分112及び第二柱側挟持板131のそれぞれに形成される図示しない貫通孔に挿通不能な大きさを有する第二固定ボルト頭部とを有する。第二固定ボルト134に第二固定ナット135が螺合されることにより、第二柱側部分112が第二柱部材220の一対の第二柱リップ部223に固定される。なお、第二係止板132と第二柱リップ部223との間には第二固定ボルト134の緩み防止のための機構が設けられているが、ここでは説明を省略する。
【0059】
図1に示すように、第二隣接化粧部材140は、第二隣接化粧部材本体150と、複数の第三取り付け部材160が取り付けられる第三被取り付け部材154とを有する。
【0060】
第二隣接化粧部材本体150は、第二方向に延びる部分を有しており、コンクリートにより形成されている。第二隣接化粧部材本体150は、第三被取り付け部材154が配置(埋設)された第三配置部151を有する。
【0061】
第三被取り付け部材154は、第一方向に沿って延びる一対の第三フランジ部155と、一対の第三フランジ部155の第一方向とは反対方向側の端部同士を接続する第三ウェブ部156と、一対の第三フランジ部155の第一方向側の端部から互いに接近する方向に延びる一対の第三リップ部157と、を有する。なお、第二隣接化粧部材本体150は、第二隣接化粧部材本体150の第二方向に延びる内側面152(以下、第二隣接内側面152と呼ぶ)から第一方向とは反対方向に向かって凹むように形成される第三凹部145を有する。本実施形態では、一対の第三フランジ部155と第三ウェブ部156とに囲まれる領域が第三凹部145である。
【0062】
図1に示すように、複数の第三取り付け部材160は、上下方向に一列に並んで配置されている。なお、本実施形態において、複数の第三取り付け部材160のそれぞれは実質的に同一の構成を有するため、以下では単一の第三取り付け部材160のみについてその構成を説明する。具体的に、第三取り付け部材160は、第三取り付け部材本体170と、第三取り付け部材本体170に対して第二隣接化粧部材140を取り付けるための第二隣接側取り付け機構180と、第三取り付け部材本体170に対して第三柱部材230を取り付けるための第三柱側取り付け機構190と、を有する。
【0063】
第三取り付け部材本体170は、第二隣接化粧部材本体150の第二隣接内側面152に沿って配置された第二隣接側部分171と、第三柱部材230の第二方向を向く側面に沿って配置された第三柱側部分172とを有している。具体的に、第二隣接側部分171は、第二隣接側取り付け機構180を介して第二隣接化粧部材本体150の第二隣接内側面152に取り付けられ、第三柱側部分172は、第三柱側取り付け機構190を介して第三柱部材230の一対の第三柱リップ部233に取り付けられる。
【0064】
図1に示すように、第二隣接側取り付け機構180は、第二隣接側部分171との間で一対の第三リップ部157を挟持するように一対の第三フランジ部155に係止する第二隣接側挟持板181と、一対の第三リップ部157の内側面158が第二隣接側部分171の外側面173に密着するように第二隣接側挟持板181を第二隣接側部分171に引き付ける第三引き付け機構182と、を有する。第三引き付け機構182は、第一引き付け機構70と同様の構成を有する。具体的に、第三引き付け機構182は、第二隣接側挟持板181及び第二隣接側部分171を貫通するように第一方向に延びる第三引き付けボルト183と、第三引き付けボルト183に螺合する第三引き付けナット184とを有する。第三引き付けボルト183は、第一方向から見る視点において重なった状態で第二隣接側挟持板181及び第二隣接側部分171のそれぞれに形成される図示しない貫通孔を貫通する第三引き付けボルト本体と、第二隣接側挟持板181及び第二隣接側部分171のそれぞれに形成される図示しない貫通孔に挿通不能な大きさを有する第三引き付けボルト頭部とを有する。第三引き付けボルト183に第三引き付けナット184が螺合されることにより、第二隣接側挟持板181が第二隣接側部分171に引き付けられるとともに第二隣接側部分171が第二隣接化粧部材本体150の第二隣接内側面152に取り付けられる。
【0065】
図1に示すように、第三柱側取り付け機構190は、一対の第三柱リップ部233に対向するように第一方向に延びる部分を有する第三柱側挟持板191と、一対の第三リップ部157を介して第三柱側挟持板191との間で第三柱側部分172を挟持するために一対の第三柱フランジ部231に係止する第三係止板192と、第三柱側挟持板191及び第三係止板192を介して第三柱側部分172を第三柱リップ部233に固定する第三固定機構193と、を有する。第三固定機構193は、第一引き付け機構70と同様の構成を有する。具体的に、第三固定機構193は、第三係止板192、第三柱側部分172及び第三柱側挟持板191を貫通するように第二方向に延びる第三固定ボルト194と、第三固定ボルト194に螺合する第三固定ナット195とを有する。第三固定ボルト194は、第二方向から見る視点において重なった状態で第三係止板192、第三柱側部分172及び第三柱側挟持板191のそれぞれに形成される図示しない貫通孔を貫通する第三固定ボルト本体と、第三係止板192、第三柱側部分172及び第三柱側挟持板191のそれぞれに形成される図示しない貫通孔に挿通不能な大きさを有する第三固定ボルト頭部とを有する。第三固定ボルト194に第三固定ナット195が螺合されることにより、第三柱側部分172が第三柱部材230の一対の第三柱リップ部233に固定される。なお、第三係止板192と第三柱リップ部233との間には第三固定ボルト194の緩み防止のための機構が設けられているが、ここでは説明を省略する。
【0066】
次に、図14図16を参照しながら、躯体200に対して第一取り付け部材30を用いて化粧部材10を取り付けるための取り付け方法について説明する。
【0067】
まず、図1図13を参照して説明した第一取り付け部材30及び化粧部材10を準備する準備工程が行われる。また、本実施形態では、この準備工程において、第一隣接化粧部材80、第二取り付け部材100、第二隣接化粧部材140及び第三取り付け部材160が準備される。
【0068】
次に、図14に示すように、取り付け機構60を化粧部材10に取り付ける取り付け工程が行われる。この取り付け工程では、まず、挿通姿勢に係止部64を位置決めした状態で、接続外側面42が被係止内側面62に密着するように係止部64を第一被取り付け部材20内に移動させる。次に、係止部64が接触姿勢となるように係止部64を一対の第一フランジ部21間において回転させるとともに、係止部64を被係止外側面63に接触させる。そして、係止部64が接続部分41に引き付けられるように第一引き付けナット72を締め付ける。これにより、化粧部材10と第一取り付け部材30とを有する外壁ユニットが構成される。なお、前記の取り付け工程は、化粧部材10を外側から見る視点において第二挟持部材50の被操作部51を露出させた状態で行われる。
【0069】
次に、第二取り付け部材100を用いて第一隣接化粧部材80を躯体200の内側から第二柱部材220に取り付ける第一隣接化粧部材取り付け工程が行われる。
【0070】
次に、第三取り付け部材160を用いて第二隣接化粧部材140を躯体200の内側から第三柱部材230に取り付ける第二隣接化粧部材取り付け工程が行われる。なお、第二隣接化粧部材取り付け工程は、第一隣接化粧部材取り付け工程に先立って行われてもよい。
【0071】
次に、図15に示すように、第二挟持部材50が通過姿勢に位置決めされた状態で挿通部54を第一柱内側面214及び第二柱内側面224の少なくとも一方の内側まで挿通する挿通工程が行われる。この挿通工程では、第二挟持部材50が通過姿勢となるように被操作部51を操作した状態で、挿通部54を第一柱部材210と第二柱部材220との間の隙間に挿通する。挿通工程において、挿通部54が第一柱部材210と第二柱部材220との間の隙間に挿通されることにより、化粧部材10に対して何らかの外力が作用した場合に、化粧部材10が躯体200から離間するように第一方向及びこれとは反対方向に移動することが規制される。
【0072】
次に、図16に示すように、第二挟持部材50を通過姿勢から挟持姿勢に切り替わるように被操作部51を回転させる回転工程が行われる。回転工程において、挟持片55が第一柱部材210の第一柱内側面214を押圧することにより、化粧部材10に対して何らかの外力が作用した場合に、化粧部材10が躯体200から離間するように第二方向及びこれとは反対方向に移動することが規制される。また、前記のとおり、本実施形態では外側から見る視点において被操作部51が第一外側面13と第一隣接外側面93との間の隙間から露出しているため、第一隣接化粧部材80及び第二隣接化粧部材140が予め躯体200に取り付けられている状態であっても、建築物300の外側から被操作部51を操作することにより、第二挟持部材50を挟持姿勢に切り替えることができる。つまり、本実施形態では、化粧部材10を躯体200の内側から取り付けることが困難な状態であっても、躯体200の外側から化粧部材10の取り付け作業を完結させることができる。
【0073】
次に、前記の通り説明した本実施形態に係る建築物300及び取り付け方法の特徴及び作用効果について列記する。
【0074】
本実施形態に係る第一取り付け部材30によれば、化粧部材10の面内に取り付け機構60を配置することができる。このため、取り付け機構60の一部を化粧部材10の面外に露出させる場合と比較して、取り付け機構60が外的要因の影響を受けにくい状態で躯体200に対して化粧部材10を取り付けることができる。
【0075】
また、本実施形態に係る第一取り付け部材30によれば、化粧部材10の面内に取り付け機構60を配置することができるため、取り付け機構60の一部を化粧部材10の面外に露出させる場合と比較して、取り付け機構60が化粧部材10の美感に与える影響を小さくすることができる。
【0076】
また、本実施形態に係る第一取り付け部材30によれば、被操作部51が化粧部材10の面外に露出しているため、被操作部51を建築物300の外側から操作することができる。したがって、被操作部51が化粧部材10の面内に被覆されている場合と比較して、化粧部材10を躯体200に容易に取り付けることができる。
【0077】
また、本実施形態に係る第一取り付け部材30によれば、連接部分46によって接続部分41と挟持部分43とが離間される。このため、化粧部材10を外側から見る視点において取り付け機構60が化粧部材10により覆われた状態で被操作部51を化粧部材10から露出させることができる。
【0078】
また、本実施形態に係る第一取り付け部材30によれば、第二挟持部材50の第一挟持部材40に対する取り付け位置を挿通部54が延びる方向と直交するにおいて調整することができる。そのため、躯体200に対する化粧部材10の取り付け位置を挿通部54が延びる方向と直交する方向に調整することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る第一取り付け部材30によれば、第二挟持部材50により第一挟持部材40の挟持部分43の内側面に躯体200が押し付けられた状態で第一挟持部材40の接続部分41に化粧部材10を引き付けることにより、化粧部材10を躯体200に取り付けることができる。したがって、化粧部材10を躯体200に押し付ける場合のように、第一取り付け部材30以外の部材に化粧部材10を取り付ける場合においては躯体200が有する柱部材の位置や外側面の形状によっては化粧部材10の押し付け位置が異なることになるのに対し、本実施形態では躯体200及び化粧部材10の取り付け基準面を共通の部材(第一取り付け部材30)に設定することができるため、躯体200に対する化粧部材10の取り付け位置の精度を向上することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る外壁ユニットによれば、化粧部材10に対して第一取り付け部材30が取り付けられているため、第二挟持部材50の被操作部51を操作することにより化粧部材10を躯体200に容易に取り付けることができる。この取り付け状態においては、取り付け機構60が化粧部材10に覆われるため、前記の第一取り付け部材30の効果を得ることができる。
【0081】
また、本実施形態に係る建築物300によれば、複数の第一取り付け部材30の全ての被操作部51が化粧部材10の面外に露出しているため、メンテナンス時などに、屋外側から化粧部材10の着脱が可能となり作業性が向上する。
【0082】
また、本実施形態に係る建築物300によれば、化粧部材10が第一外側面13と第二外側面14とを有しているため、建築物300が角部分を有している場合であっても、化粧部材10を当該建築物300の躯体200に好適に取り付けることができる。
【0083】
また、本実施形態に係る取り付け方法によれば、工場などにおいて、第一取り付け部材30を化粧部材10に予め取り付けておくことができる。このため、第一取り付け部材30が化粧部材10に取り付けられた状態で化粧部材10を躯体200に対して取り付ける必要がある場合に適した取り付け方法を提供することができる。
【0084】
(その他の実施形態)
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。
【0085】
前記実施形態では、挟持部分43の挟持貫通孔HL2を挿通部54が延びる方向と直交する方向に延ばすことにより、第二挟持部材50の挿通部が延びる方向と直交する方向における位置を調整可能にする例について説明した。しかしながら、挟持貫通孔HL2に代えて、接続部分41の接続貫通孔HL1を挿通部54が延びる方向と直交する方向に延ばすことにより、第二挟持部材50の挿通部が延びる方向と直交する方向における位置を調整可能にしてもよい。
【0086】
なお、上記実施形態において、第二挟持部材50は、少なくとも被操作部51が露出した状態で第一挟持部材40に対して取り付けられればよく、第二挟持部材50の被操作部51以外の各部は化粧部材10の面内に配置された状態で、第二挟持部材50は第一挟持部材40に対して取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 化粧部材
12 内側面(化粧部材の内側面)
13 第一外側面
14 第二外側面
23 一対のリップ部(被係止部)
30 第一取り付け部材(取り付け部材)
40 第一挟持部材
41 接続部分
42 接続外側面(接続部分の外側面)
43 挟持部分
46 連接部分
50 第二挟持部材
51 被操作部
54 挿通部
55 挟持片
60 取り付け機構
62 被係止内側面(被係止部の内側面)
64 係止部
70 第一引き付け機構(引き付け機構)
80 第一隣接化粧部材(隣接化粧部材)
200 躯体
210 第一柱部材
214 第一柱内側面
215 第一柱外側面
220 第二柱部材
224 第二柱内側面
225 第二柱外側面
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