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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111599
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ヒートポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   F25B 31/00 20060101AFI20230803BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230803BHJP
   F28D 7/10 20060101ALI20230803BHJP
   F28D 7/02 20060101ALI20230803BHJP
   F04B 39/06 20060101ALI20230803BHJP
   F28F 1/02 20060101ALI20230803BHJP
   F28F 1/04 20060101ALI20230803BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20230803BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20230803BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20230803BHJP
【FI】
F25B31/00 B
F25B1/00 399Y
F28D7/10 A
F28D7/02
F25B1/00 321B
F04B39/06 K
F28F1/02 Z
F28F1/02 A
F28F1/04
F24H4/02 G
F24H1/18 H
F24H1/00 631A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013519
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 完
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆起
(72)【発明者】
【氏名】石橋 正晃
【テーマコード(参考)】
3H003
3L103
3L122
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AC03
3H003BE06
3H003CD01
3L103AA37
3L103BB43
3L103CC06
3L103DD05
3L103DD38
3L122AA02
3L122AA13
3L122AA23
3L122AA46
3L122AA54
3L122AB23
3L122AC41
(57)【要約】
【課題】熱効率を改善可能なヒートポンプシステムを提供する。
【解決手段】ヒートポンプシステム100は、冷媒を圧縮する圧縮機10と、冷媒との間で熱交換される水が流れる伝熱管22とを備えている。圧縮機10は、駆動軸12と、駆動軸を収納しているインナーシェル11aを有する。伝熱管22は、インナーシェル11aの外壁面に接触している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記冷媒との間で熱交換される水が流れる伝熱管とを備え、
前記圧縮機は、駆動軸と、前記駆動軸を収納しているインナーシェルを有し、
前記伝熱管は、前記インナーシェルの外壁面に接触している、ヒートポンプシステム。
【請求項2】
前記圧縮機は、前記冷媒が流れる配管をさらに有し、
前記伝熱管は、前記外壁面に沿って螺旋状に巻回されており、
前記配管は、前記伝熱管の内部において、前記伝熱管に沿って延在している、請求項1に記載のヒートポンプシステム。
【請求項3】
前記伝熱管は、前記外壁面に接触している接触部を有し、
前記接触部は、前記伝熱管の延在方向に直交する断面視において、前記外壁面に沿った直線状である、請求項2に記載のヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記外壁面には、前記伝熱管に接触している螺旋溝が形成されており、
前記螺旋溝は、前記伝熱管の延在方向に直交する断面視において、前記伝熱管の外形に沿った曲線状である、請求項2に記載のヒートポンプシステム。
【請求項5】
前記配管は、前記伝熱管の延在方向に直交する断面視において、多角形状である、請求項4に記載のヒートポンプシステム。
【請求項6】
前記圧縮機は、前記インナーシェルを収納している筐体をさらに有し、
前記筐体の内壁面は、前記駆動軸の中心軸に直交し、かつ前記中心軸を通る径方向において、前記外壁面から離間しており、
前記外壁面と前記内壁面との間は、前記冷媒が流れる流路になっており、
前記伝熱管は、前記流路の内部に配置されている、請求項1に記載のヒートポンプシステム。
【請求項7】
前記伝熱管は、前記中心軸に沿う軸方向に沿って延在している複数の直管部を有し、
前記複数の直管部は、前記中心軸を中心とする円周に沿う周方向において、間隔を空けて並んでおり、
前記複数の直管部のうちの隣り合っている2つの前記軸方向における一方端は、互いに接続されており、
前記複数の直管部のうちの隣り合っている2つの前記軸方向における他方端は、互いに接続されている、請求項6に記載のヒートポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許第4717589号公報(特許文献1)には、ヒートポンプシステムが記載されている。特許文献1に記載のヒートポンプシステムは、圧縮機と、伝熱管とを有している。特許文献1に記載のヒートポンプシステムでは、伝熱管を流れる水は、圧縮機により圧縮された冷媒と熱交換されることにより、昇温される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4717589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のヒートポンプシステムでは、熱効率に改善の余地がある。本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、熱効率を改善可能なヒートポンプシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のヒートポンプシステムは、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒との間で熱交換される水が流れる伝熱管とを備えている。圧縮機は、駆動軸と、駆動軸を収納しているインナーシェルを有する。伝熱管は、インナーシェルの外壁面に接触している。
【0006】
上記のヒートポンプシステムでは、圧縮機が、冷媒が流れる配管をさらに有していてもよい。伝熱管は、インナーシェルの外壁面に沿って、螺旋状に巻回されていてもよい。配管は、伝熱管の内部において、伝熱管に沿って延在していてもよい。
【0007】
上記のヒートポンプシステムでは、伝熱管が、インナーシェルの外壁面に接触している接触部を有していてもよい。接触部は、伝熱管の延在方向に直交する断面視において、インナーシェルの外壁面に沿った直線状であってもよい。
【0008】
上記のヒートポンプシステムでは、インナーシェルの外壁面に伝熱管に接触している螺旋溝が形成されていてもよい。螺旋溝は、伝熱管の延在方向に直交する断面視において、伝熱管の外形に沿った曲線状であってもよい。
【0009】
上記のヒートポンプシステムでは、配管が、伝熱管の延在方向に直交する断面視において、多角形状であってもよい。
【0010】
上記のヒートポンプシステムでは、圧縮機が、インナーシェルを収納している筐体をさらに有していてもよい。筐体の内壁面は、駆動軸の中心軸に直交し、かつ中心軸を通る径方向において、インナーシェルの外壁面から離間していてもよい。インナーシェルの外壁面と筐体の内壁面との間は、冷媒が流れる流路になっていてもよい。伝熱管は、流路の内部に配置されていてもよい。
【0011】
上記のヒートポンプシステムでは、伝熱管が、駆動軸の中心軸に沿う軸方向に沿って延在している複数の直管部を有していてもよい。複数の直管部は、駆動軸の中心軸を中心とする円周に沿う周方向において、間隔を空けて並んでいてもよい。複数の直管部のうちの隣り合っている2つの軸方向における一方端は、互いに接続されていてもよい。複数の直管部のうちの隣り合っている2つの軸方向における他方端は、互いに接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のヒートポンプシステムによると、熱効率を改善可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ヒートポンプシステム100の概略構成図である。
図2】圧縮機10及び凝縮器20の平面図である。
図3図2中のIII-IIIにおける断面図である。
図4図3中のIV-IVにおける断面図である。
図5】ヒートポンプシステム100Aにおけるインナーシェル11aの外壁面の近傍の断面図である。
図6】ヒートポンプシステム100Aの変形例におけるインナーシェル11aの外壁面の近傍の断面図である。
図7】ヒートポンプシステム100Bにおけるインナーシェル11aの外壁面の近傍の断面図である。
図8】ヒートポンプシステム100Bの変形例におけるインナーシェル11aの外壁面の近傍の断面図である。
図9】ヒートポンプシステム100Cにおける圧縮機10及び凝縮器20の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るヒートポンプシステムを説明する。第1実施形態に係るヒートポンプシステムを、ヒートポンプシステム100とする。
【0016】
<ヒートポンプシステム100の概略構成>
図1は、ヒートポンプシステム100の概略構成図である。図1に示されるように、ヒートポンプシステム100は、ヒートポンプユニットと、貯湯ユニットとを有している。ヒートポンプユニットは、圧縮機10と、凝縮器20と、膨張弁30と、蒸発器40と、配管50a及び配管50bとを有している。貯湯ユニットは、貯湯タンク60と、ガス給湯器70と、配管80a、配管80b、配管80c、配管80d及び配管80eと、ポンプ80fとを有している。
【0017】
配管50aを流れる冷媒は、圧縮機10に供給され、圧縮機10において圧縮される。これにより、冷媒の温度が上昇する。凝縮器20は、配管21と、伝熱管22とを有している。圧縮機10において圧縮された冷媒は、配管21を通る。配管21を通る冷媒は、伝熱管22を通る水との間で熱交換を行い、伝熱管22を通る水の温度を上昇させる。この熱交換に伴い、配管21を通る冷媒の温度は低下する。
【0018】
配管21を通った冷媒は、膨張弁30において、減圧される。これにより、冷媒の温度は、さらに低下する。膨張弁30において減圧された冷媒は、配管50bを通り、蒸発器40に供給される。蒸発器40に供給された冷媒は、外気との間で熱交換を行う。これにより、冷媒の温度が上昇される。蒸発器40を通過した冷媒は配管50aを通って圧縮機10に供給され、上記のサイクルが繰り返される。
【0019】
貯湯タンク60には、水が貯留されている。配管80aは、一方端において貯湯タンク60に接続されており、他方端において上水道に接続されている。配管80bは、一方端において貯湯タンク60に接続されており、他方端において凝縮器20(伝熱管22)に接続されている。配管80cは、一方端において凝縮器20(伝熱管22)に接続されており、他方端において貯湯タンク60に接続されている。ポンプ80fが配管80b、伝熱管22及び配管80cを通って貯湯タンク60に貯留されている水を循環させることにより、貯湯タンク60に貯留されている水の温度が上昇する。
【0020】
配管80dは、一方端において貯湯タンク60に接続されており、他方端においてガス給湯器70に接続されている。貯湯タンク60に貯留されている水は、配管80dを通って、ガス給湯器70に供給される。ガス給湯器70に供給された水の温度は、ガス給湯器70により上昇されてもよい。ガス給湯器70において温度が上昇された水(又はガス給湯器70を通過した水)は、配管80eを通って給湯される。
【0021】
<圧縮機10及び凝縮器20の詳細構成>
図2は、圧縮機10及び凝縮器20の平面図である。図3は、図2中のIII-IIIにおける断面図である。図4は、図3中のIV-IVにおける断面図である。図4中の矢印は、冷媒の流れを示している。図4中では、配管21及び伝熱管22の図示が、省略されている。図2から図4に示されるように、圧縮機10は、インナーシェル11aと、シェルカバー11b及びシェルカバー11cと、アキュムレータカバー11dとを有している。圧縮機10は、さらに、駆動軸12と、ロータ13a及びステータ13bと、シリンダ14a、シリンダカバー14b及びシリンダカバー14cと、ピストン15と、ベーン16と、吸込配管17とを有している。
【0022】
駆動軸12の中心軸を、中心軸Aとする。中心軸Aに沿う方向を、軸方向とする。軸方向に直交し、かつ中心軸Aを通る方向を、径方向とする。中心軸Aを中心とする円周に沿う方向を、周方向とする。
【0023】
インナーシェル11aは、軸方向に沿って延在している円筒状の部材である。軸方向におけるインナーシェル11aの一方端は、シェルカバー11bにより閉塞されている。軸方向におけるインナーシェル11aの他方端は、シェルカバー11cにより閉塞されている。シェルカバー11bには、凹部11baが形成されている。凹部11baは、インナーシェル11aの内部側に向かって凹んでいる。凹部11baは、アキュムレータカバー11dにより、閉塞されている。
【0024】
供給口11bb(図示せず)は、シェルカバー11bに形成されている。供給口11bbは、凹部11ba及びアキュムレータカバー11dにより画されている空間に連通している。凹部11ba及びアキュムレータカバー11dにより画されている空間には、蒸発器40において加熱された冷媒が、配管50a及び供給口11bbを通して供給される。
【0025】
駆動軸12は、インナーシェル11aの内部に収納されている。駆動軸12の一方端及び他方端は、それぞれ、シェルカバー11b及びシェルカバー11cにより中心軸A回りに回転可能に支持されている。駆動軸12は、一方端と他方端との間において、クランク部12aを有している。クランク部12aの中心軸は、中心軸Aから偏心している。軸方向に直交する断面視において、クランク部12aは、円形である。
【0026】
なお、クランク部12aと駆動軸12の一方端との間には、バランサ12bが取り付けられている。クランク部12aと駆動軸12の他方端との間には、バランサ12cが取り付けられている。
【0027】
ロータ13aは、クランク部12aと駆動軸12の他方端との間において、駆動軸12に取り付けられている。ステータ13bは、径方向においてロータ13aと間隔を空けて対向するように、インナーシェル11aの内壁面に取り付けられている。ステータ13bに通電することによりロータ13aとの間に磁界が作用し、この磁界により駆動軸12が中心軸A回りに回転される。
【0028】
シリンダ14aは、インナーシェル11aの内部に収納されている。シリンダ14aには、シリンダ14aを軸方向に沿って貫通している貫通穴14aaが形成されている。貫通穴14aaは、軸方向に直交する断面視において、円形である。軸方向に直交する断面視において、貫通穴14aaの中心は、中心軸Aに一致している。貫通穴14aaの内部には、クランク部12aが収納されている。
【0029】
シリンダ14aには、溝14abが形成されている。溝14abは、貫通穴14aaの内壁面から径方向に沿って外側に延在している。シリンダ14aには、吸込穴14acが形成されている。吸込穴14acは、貫通穴14aaの内壁面から径方向に沿って外側に延在している。シリンダ14aには、吐出口14adも形成されている。吐出口14adは、貫通穴14aaの内壁面から径方向に沿って外側に延在している。溝14abは、周方向において、吸込口14acと吐出口14adとの間に配置されている。
【0030】
シリンダ14aには、軸方向における貫通穴14aaの一方端を閉塞するようにシリンダカバー14bが取り付けられている。シリンダ14aには、軸方向における貫通穴14aaの他方端を閉塞するようにシリンダカバー14cが取り付けられている。シリンダカバー14bには、シリンダカバー14bを軸方向に沿って貫通している貫通穴14baが形成されている。シリンダカバー14cには、シリンダカバー14cを軸方向に沿って貫通している貫通穴14caが形成されている。貫通穴14ba及び貫通穴14caには、駆動軸12が通されている。
【0031】
ピストン15は、軸方向に沿って延在している筒状である。ピストン15は、軸方向に直交する断面視において、円環状である。ピストン15は、クランク部12aの外周面に取り付けられている。中心軸A回りの駆動軸12の回転に伴い、ピストン15は、貫通穴14aaの内壁面に沿って回転する。
【0032】
ベーン16は、径方向に沿って延在している。ベーン16の一方端は、ピストン15に接触している。ベーン16の他方端側は、溝14ab内に配置されている。そのため、ベーン16は、駆動軸12の中心軸A回りの回転に伴って、溝14abに沿って進退することになる。吸込配管17は、シェルカバー11bを軸方向に沿って貫通している貫通穴11bcに通されている。吸込配管17の一方端は、凹部11ba及びアキュムレータカバー11dにより画されている空間と接続されている。吸込配管17の他方端は、吸込口14acに接続されている。
【0033】
駆動軸12の中心軸A回りの回転に伴って、シリンダカバー14b、シリンダカバー14c、貫通穴14aaの内壁面、ピストン15の外周面及びベーン16により画され、かつ吸込口14acに接続されている空間の体積が変化するとともに、シリンダカバー14b、シリンダカバー14c、貫通穴14aaの内壁面、ピストン15の外周面及びベーン16により画され、かつ吐出口14adに接続されている空間の体積が変化する。この体積変化に伴って、吸込口14acからの冷媒の吸込、吸い込まれた冷媒の圧縮及び圧縮された冷媒の吐出口14adからの吐出が生じる。このようにして圧縮された冷媒は、配管21に供給される。なお、図示されていないが、吐出口14adは、弁板により閉塞されている。そのため、冷媒は、シリンダカバー14b、シリンダカバー14c、貫通穴14aaの内壁面、ピストン15の外周面及びベーン16により画され、かつ吐出口14adに接続されている空間内における冷媒の圧力が一定以上になった場合のみ、吐出口14adから吐出される。
【0034】
伝熱管22は、インナーシェル11aの外壁面に接触している。伝熱管22は、インナーシェル11aの外壁面に沿って螺旋状に巻回されている。配管21は、伝熱管22の内部に配置されている。配管21は、伝熱管22の内部において、伝熱管22に沿って延在している。このことを別の観点から言えば、配管21も、螺旋状に延在している。
【0035】
伝熱管22は、入水口22aと、出水口22bとを有している。入水口22a及び出水口22bは、配管21の外壁面と伝熱管22の内壁面との間の空間に連通している。入水口22aには配管80bの他方端が接続されており、出水口22bには配管80cの一方端が接続されている。配管80bからの水は、配管21の外壁面と伝熱管22の内壁面との間の空間を流れる。これにより、伝熱管22を流れる水は、配管21を流れる冷媒との間で熱交換を行う。上記のとおり、伝熱管22は、インナーシェル11aの外壁面に接触している。そのため、伝熱管22を流れる水は、圧縮機10において発生した熱によっても加熱される。
【0036】
<ヒートポンプシステム100の効果>
以下に、ヒートポンプシステム100の効果を説明する。
【0037】
ヒートポンプシステム100では、伝熱管22を流れる水は、配管21を流れる冷媒との間の熱交換により加熱されるのみならず、圧縮機10において発生した熱によっても加熱される。そのため、ヒートポンプシステム100によると、熱効率が改善される。
【0038】
圧縮機10が動作されている際、インナーシェル11aには、インナーシェル11aを膨張させるように内圧が加わる。ヒートポンプシステム100では、伝熱管22がインナーシェル11aの外壁面に接触しながら螺旋状に巻回されているため、伝熱管22が、内圧によるインナーシェル11aの膨張に対する補強部材としても機能する。そのため、ヒートポンプシステム100によると、圧縮機10の耐久性も改善される。
【0039】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るヒートポンプシステムを説明する。第2実施形態に係るヒートポンプシステムを、ヒートポンプシステム100Aとする。ここでは、ヒートポンプシステム100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0040】
<ヒートポンプシステム100Aの構成>
以下に、ヒートポンプシステム100Aの構成を説明する。
【0041】
図5は、ヒートポンプシステム100Aにおけるインナーシェル11aの外壁面の近傍の断面図である。図5に示されるように、ヒートポンプシステム100Aでは、伝熱管22の延在方向に直交する断面視において、伝熱管22が、インナーシェル11aの外壁面に接触している接触部22cを有している。伝熱管22の延在方向に直交する断面視において、接触部22cは、インナーシェル11aの外壁面に沿った直線状である。
【0042】
また、ヒートポンプシステム100Aでは、伝熱管22の延在方向に直交する断面視において、配管21のインナーシェル11aの外壁面側が、接触部22cに沿った直線状になっていてもよい。その他の点に関して、ヒートポンプシステム100Aの構成は、ヒートポンプシステム100の構成と共通している。
【0043】
<ヒートポンプシステム100Aの効果>
以下に、ヒートポンプシステム100Aの効果を説明する。
【0044】
ヒートポンプシステム100Aでは、ヒートポンプシステム100と比較して、インナーシェル11aの外壁面と伝熱管22との接触面積が増加する。そのため、ヒートポンプシステム100Aによると、圧縮機10において発生した熱が伝熱管22を流れる水にさらに伝わりやすくなり、熱効率がさらに改善される。
【0045】
<変形例>
図6は、ヒートポンプシステム100Aの変形例におけるインナーシェル11aの外壁面の近傍の断面図である。図6に示されように、ヒートポンプシステム100Aでは、伝熱管22の延在方向に直交する断面視において、伝熱管22が、接触部22cとは反対側に、平坦部22dを有していてもよい。このことを別の観点から言えば、ヒートポンプシステム100Aでは、伝熱管22の延在方向に直交する断面視において、伝熱管22が、扁平形状になっていてもよい。また、ヒートポンプシステム100Aでは、伝熱管22の延在方向に直交する断面視において、配管21のインナーシェル11aの外壁面とは反対側が、平坦部22dに沿った直線状になっていてもよい。
【0046】
(第3実施形態)
第3実施形態に係るヒートポンプシステムを説明する。第3実施形態に係るヒートポンプシステムを、ヒートポンプシステム100Bとする。ここでは、ヒートポンプシステム100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0047】
<ヒートポンプシステム100Bの構成>
以下に、ヒートポンプシステム100Bの構成を説明する。
【0048】
図7は、ヒートポンプシステム100Bにおけるインナーシェル11aの外壁面の近傍の断面図である。図7に示されるように、ヒートポンプシステム100Bでは、伝熱管22の延在方向に直交する断面視において、インナーシェル11aの外壁面に、螺旋溝11aaが形成されている。
【0049】
螺旋溝11aaは、伝熱管22に沿って螺旋状に形成されている。インナーシェル11aの外壁面は、螺旋溝11aaにおいて、インナーシェル11aの内壁面側に向かって凹んでいる。伝熱管22の延在方向に直交する断面視において、螺旋溝11aaは、伝熱管22の外形に沿った曲線状になっている。その他の点に関して、ヒートポンプシステム100Bの構成は、ヒートポンプシステム100の構成と共通している。
【0050】
<ヒートポンプシステム100Bの効果>
以下に、ヒートポンプシステム100Bの効果を説明する。
【0051】
ヒートポンプシステム100Bでは、ヒートポンプシステム100と比較して、インナーシェル11aの外壁面と伝熱管22との接触面積が増加する。そのため、ヒートポンプシステム100Bによると、圧縮機10において発生した熱が伝熱管22を流れる水にさらに伝わりやすくなり、熱効率がさらに改善される。
【0052】
<変形例>
図8は、ヒートポンプシステム100Bの変形例におけるインナーシェル11aの外壁面の近傍の断面図である。図8に示されように、ヒートポンプシステム100Bでは、伝熱管22の延在方向に直交する断面視において、配管21が、多角形状であってもよい。ヒートポンプシステム100Bでは、伝熱管22の延在方向に直交する断面視において、星形多角形状等の凹多角形状であることが好ましい。但し、配管21の断面形状は、これに限られるものではない。この場合、伝熱管22を流れる水と配管21との接触面積が増加するため、配管21を流れる冷媒と伝熱管22を流れる水との間の熱交換効率がさらに改善される。
【0053】
(第4実施形態)
第4実施形態に係るヒートポンプシステムを説明する。第4実施形態に係るヒートポンプシステムを、ヒートポンプシステム100Cとする。ここでは、ヒートポンプシステム100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0054】
<ヒートポンプシステム100Cの構成>
以下に、ヒートポンプシステム100Cの構成を説明する。
【0055】
図9は、ヒートポンプシステム100Cにおける圧縮機10及び凝縮器20の模式的な断面図である。図9中の矢印は、冷媒の流れを示している。図9に示されるように、ヒートポンプシステム100Cでは、圧縮機10が、筐体18を有している。筐体18は、軸方向に延在している筒状の部材である。筐体18の内壁面は、インナーシェル11aの外壁面と径方向において離間している。
【0056】
ヒートポンプシステム100Cでは、凝縮器20が、配管21を有していない。ヒートポンプシステム100Cでは、圧縮機10により圧縮された冷媒が、インナーシェル11aの外壁面と筐体18の内壁面との間の空間を流れる。ヒートポンプシステム100Cでは、伝熱管22は、インナーシェル11aの外壁面に接触するように、インナーシェル11aの外壁面上に配置されている。そのため、ヒートポンプシステム100Cでは、インナーシェル11aの外壁面と筐体18の内壁面との間の空間の内部に配置されている。
【0057】
ヒートポンプシステム100Cでは、伝熱管22が複数の直管部22eを有している。複数の直管部22eは、周方向に沿って並んでいる。隣り合っている2つの直管部22eの軸方向における一方端は、互いに接続されている。隣り合っている2つの直管部22eの軸方向における他方端は、互いに接続されている。その他の点に関して、ヒートポンプシステム100Cの構成は、ヒートポンプシステム100の構成と共通している。
【0058】
<ヒートポンプシステム100Cの効果>
以下に、ヒートポンプシステム100Cの効果を説明する。
【0059】
ヒートポンプシステム100Cでは、伝熱管22を流れる水は、インナーシェル11aの外壁面と筐体18の内壁面との間の空間を流れる冷媒との間の熱交換により加熱されるのみならず、圧縮機10において発生した熱によっても加熱される。そのため、ヒートポンプシステム100Cによると、熱効率が改善される。
【0060】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
上記の実施形態は、圧縮機及び凝縮器が一体化されているヒートポンプシステムに特に有利に適用されるものである。
【符号の説明】
【0062】
10 圧縮機、11a インナーシェル、11aa 螺旋溝、11b シェルカバー、11ba 凹部、11bb 供給口、11bc 貫通穴、11c シェルカバー、11d アキュムレータカバー、12 駆動軸、12a クランク部、12b,12c バランサ、13a ロータ、13b ステータ、14a シリンダ、14aa 貫通穴、14ab 溝、14ac 吸込穴、14ad 吐出口、14b シリンダカバー、14ba 貫通穴、14c シリンダカバー、14ca 貫通穴、15 ピストン、16 ベーン、17 吸込配管、18 筐体、20 凝縮器、21 配管、22 伝熱管、22a 入水口、22b 出水口、22c 接触部、22d 平坦部、22e 直管部、30 膨張弁、40 蒸発器、50a,50b 配管、60 貯湯タンク、70 ガス給湯器、80a,80b,80c,80d,80e 配管、80f ポンプ、100,100A,100B,100C ヒートポンプシステム、A 中心軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9