(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001116
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】パージガス供給手段、除害システム、及び除害システムの修正方法
(51)【国際特許分類】
F23J 3/00 20060101AFI20221222BHJP
F23N 5/24 20060101ALI20221222BHJP
F23G 5/44 20060101ALI20221222BHJP
F23G 7/06 20060101ALN20221222BHJP
【FI】
F23J3/00 Z
F23N5/24 104
F23G5/44 Z
F23G7/06 N
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022159280
(22)【出願日】2022-10-03
(62)【分割の表示】P 2019554863の分割
【原出願日】2018-03-28
(31)【優先権主張番号】1705400.8
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】シーリー アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】プライス ダンカン マイケル
(57)【要約】
【課題】改善された除害システムを提供する。
【解決手段】パージガス供給手段と、このような手段を含む除害システムと、このようなパージガス供給手段を含むように除害システムを修正する方法とを開示する。パージガス供給手段は、パージガス供給手段の外周から内面に延びる複数の経路を有し、内面は、パージガスを除害システムに出力するためのパージガス出口を含み、複数の経路の断面積が、経路に沿って流れるパージガスの圧力が低下するように外周から内面にかけて増大する。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除害システムにパージガスを供給するためのパージガス供給手段であって、
前記パージガス供給手段の外周から内面に延びる複数の経路を備え、前記内面は、前記パージガスを前記除害システム内に出力するためのパージガス出口を含み、前記複数の経路の断面積が、該経路に沿って流れる前記パージガスの圧力が低下するように前記外周から前記内面にかけて増大している、
ことを特徴とするパージガス供給手段。
【請求項2】
前記パージガス供給手段は、連続的に湾曲した外周及び内面を含む、
請求項1に記載のパージガス供給手段。
【請求項3】
前記複数の経路は、前記パージガス流に接線成分を与えるように角度が付いている、
請求項2に記載のパージガス供給手段。
【請求項4】
前記パージガス供給手段は、前記複数の経路を有する環状ディスクを含み、前記外周は、前記環状ディスクの外周を含み、前記内面は内周を含む、
請求項2又は3に記載のパージガス供給手段。
【請求項5】
前記パージガス供給手段は、実質的に直線的な外周及び内面を含む、
請求項1に記載のパージガス供給手段。
【請求項6】
前記複数の経路は、前記外周に垂直でない方向に延びることによって前記パージガス流に回転成分を導入するように角度が付いている、
請求項5に記載のパージガス供給手段。
【請求項7】
前記パージガス供給手段は、前記内周よりも実質的に低い高さを有する実質的に直線的なコンポーネントを含む、
請求項5又は6に記載のパージガス供給手段。
【請求項8】
前記複数の経路は、それぞれ鋭角三角形構造である、
請求項1から7のいずれかに記載のパージガス供給手段。
【請求項9】
前記経路の各経路の一辺は、前記内周に対して実質的に接線方向に角度が付いており、前記三角形構造の前記鋭角は、5°~20°である、
請求項2から4のいずれか1項に従属する請求項8に記載のパージガス供給手段。
【請求項10】
前記複数の経路は、合体して前記内面に単一のパージガス出口を形成する、
請求項1から9のいずれかに記載のパージガス供給手段。
【請求項11】
前記複数の経路は、前記内面に複数のパージガス出口を形成する、
請求項1から9のいずれか1項に記載のパージガス供給手段。
【請求項12】
前記複数の経路は、前記パージガス供給手段内の溝を含む、
請求項1から11のいずれかに記載のパージガス供給手段。
【請求項13】
前記パージガス出口を含む前記パージガス供給手段の前記内面は、凸面を形成してその上を前記パージガスが流れるように角度が付いている、
請求項1から12のいずれかに記載のパージガス供給手段。
【請求項14】
除害システムであって、放射バーナー室と、該放射バーナー室の下流の液体洗浄室とを備え、前記除害システムは、前記放射バーナー室と前記液体洗浄室との間に配置された、請求項1から13のいずれかに記載のパージガス供給手段を備える、
ことを特徴とする除害システム。
【請求項15】
前記パージガス供給手段は、前記放射バーナー室を前記液体洗浄室に結合するフランジ間に取り付けられる、
請求項14に記載の除害システム。
【請求項16】
前記パージガス供給手段は、請求項4又は7に従属しない場合の請求項1から3、5から6又は8から13のいずれか1項に記載のパージガス供給手段を含み、前記パージガス供給手段は、前記放射バーナー室を前記液体洗浄室に結合する前記フランジのうちの、前記複数の経路を含む少なくとも1つのフランジを含む、
請求項14に記載の除害システム。
【請求項17】
前記フランジは、Oリングよって密封され、Oリング保持具を保持する溝がパージガス供給回廊を形成する、
請求項14又は16に記載の除害システム。
【請求項18】
前記除害システムは、前記パージガス供給出口と前記液体洗浄室の液体入口との間の中間面をさらに備える、
請求項14から17のいずれか1項に記載の除害システム。
【請求項19】
前記パージガス供給出口は、前記パージガスを前記中間面を越えて流れるように導くよう配置される、
請求項18に記載の除害システム。
【請求項20】
前記パージガス出口は、前記ガス流が前記中間面の上部周辺を横切って流れるとともに前記中間面を越えて流れて前記中間面上に膜を形成するように導かれるよう配置される、
請求項18又は19に記載の除害システム。
【請求項21】
前記中間面は、前記除害システムを流れるガスの通路の一部を形成する固体表面を含む、
請求項18から20のいずれか1項に記載の除害システム。
【請求項22】
前記液体入口は、前記除害システム内のガス流路の外周の周囲の堰構造を含み、前記中間面は、前記堰構造の中心と同じ地点を中心とする、前記堰構造の断面よりも小さな断面を有する表面を含む、
請求項18から21のいずれか1項に記載の除害システム。
【請求項23】
前記中間面は、該中間面の内側部分が隣接する上流区域から離して液体を誘導できるように、前記堰構造の上面を越えて延びる、
請求項22に記載の除害システム。
【請求項24】
前記パージガス出口に隣接する前記中間面は、凸型構造を含む、
請求項18から22のいずれか1項に記載の除害システム。
【請求項25】
ガス除害システムの修正方法であって、
前記ガス除害システムの放射バーナー室と液体洗浄室とを分離するステップと、
前記放射バーナー室と前記液体洗浄室との間にガスパージ供給手段を設けるステップと、
を含み、前記ガスパージ供給手段は、該パージガス供給手段の外周から該パージガス供給手段の内面に延びる複数の経路を含み、前記内面は、前記パージガスを前記除害システム内に出力するためのパージガス出口を含み、前記複数の経路の断面積は、前記経路に沿って流れる前記パージガスの圧力が低下するように前記外周から前記内面にかけて増大し、前記方法は、
前記ガス除害システムに、前記パージガス供給手段にパージガスを供給できるパージポートを設けるステップと、
前記放射バーナー室と前記液体洗浄室とを共に固定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記ガスパージ供給手段を設ける前記ステップは、前記液体洗浄室を前記放射バーナー室に結合するフランジ間に保持されたガスケットを、請求項1から13のいずれか1項に記載の前記パージガス供給手段に置き換えるステップを含む、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ガスパージ供給手段を設ける前記ステップは、前記フランジのうちの少なくとも1つに、該フランジの外周から内面に延びる複数の経路を設けるステップを含み、前記内面は、前記パージガスを前記除害システム内に出力するためのパージガス出口を含む、
請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除害システムにパージガスを供給するためのパージガス供給手段、これらの除害システム、及び除害システムの修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス除害システムが公知である。このようなシステムは、製造又は加工工程から生じる廃ガスの処理に使用される。これらの製造又は加工工程では毒性の強いガスが使用されることがあり、これらの多くは反応することなく処理手段を通過して他のガス種及び/又は粒子を形成する。このような処理手段から排出されるこれらのガスは、大気への排出前に処理する必要がある。
【0003】
ガス除害システムは、このようなガスの処理において使用される。このような処理は、バーナーでの加熱、冷却セクションでの冷却、及び湿式洗浄塔における液体での洗浄を含む複数の段階を含むことができる。除害システムの異なる区域又はセクションでは異なる処理が行われ、異なる区域は異なる条件下で作動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄プロセスにおいて液体を使用すると、他のチャンバが汚染される恐れがある。上流区域は、下流区域に加えられる液体から隔絶させることが望ましい。特に、さらなる堆積を促して閉塞を引き起こす液体又は粒子によって区域境界又はその近くの表面が汚染されるのを防ぐことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、除害システムにパージガスを供給するためのパージガス供給手段であって、パージガス供給手段の外周から内面に延びる複数の経路を有し、内面が、パージガスを除害システムに出力するためのパージガス出口を含み、複数の経路の断面積が、経路に沿って流れるパージガスの圧力が低下するように外周から内面にかけて増大する、パージガス供給手段を提供する。
【0006】
本発明の発明者らは、除害システムの特定の表面に粒子が堆積しやすいことに気付いた。このような堆積は、閉塞を引き起こしてメンテナンス又は保守整備要件を高める恐れがある。特に、区域間で急激に条件が変化する場合には、粒子堆積の可能性が高くなることがある。さらに、液体洗浄区域に液体を加えると、入口の上流の表面が濡れ、濡れた表面に粒子が付着しやすくなり得る。この問題は、除害システムにパージガスを供給するパージガス供給手段の使用によって対処されてきた。パージガスは、希釈性のために選択されるのではなく、むしろ保護しようとする表面を越える流れに対するシールド又は境界層を形成するために使用される。
【0007】
パージガスが効果的に表面を保護するには、ガスが均一に流れて実質的に表面全体を覆うことが望ましい。この均一性は、パージガスが経路に沿って流れるにつれて圧力が低下するように面積が増大する流路の使用によって達成される。これによって流れが安定し、流れが向けられた表面を効果的に覆って保護できるようになる。一般に、外周から内周への経路の表面積は、周辺部の表面積が減少するにつれて減少する。しかしながら、今回、本発明者らは、断面積を増大させて流れを広げる有利性に気付き、従ってこのことを考慮して供給手段を設計した。
【0008】
パージガス供給手段は、複数の形状を有することができるが、いくつかの実施形態では、連続的に湾曲した外周及び内面を有する。このような連続的に湾曲した表面は、円形又はリング型構造とすることも、或いは楕円形又はその他の連続的に湾曲した構造とすることもできる。
【0009】
連続的に湾曲した構造は、元来強固であるとともに、渦及び粒子の形成を招き得る不連続性を有していないため、流体流のための装置で使用されることが多い。
【0010】
いくつかの実施形態では、複数の経路が、パージガス流に接線成分を与えるような角度を有する。
【0011】
パージガスの膨張を可能にすることに加え、若干の回転流が生じるように経路に角度を付けてパージガス流に回転成分を与えれば有利であると考えられる。このように膨張に回転を加えると、表面を覆うことができる均一な流れを提供して、腐食物、粒子又は液体とすることができる他の存在する物質からこのような表面を効果的に保護するのに役立つ。
【0012】
いくつかの実施形態では、パージガス供給手段が、複数の経路を有する環状ディスクを含み、外周が環状ディスクの外周を構成し、内面が内周を構成する。
【0013】
上述したように、曲面は利点を有することができ、ガス供給手段は環状ディスクを含むことができる。このような構造は、ディスクの内周がパージガスの出力元である表面をもたらしながらガス除害システムに容易に適合することができる。このようにして、表面の周囲からパージガスが出力され、このこともガスがこのような表面を効果的に覆うようにするのに役立つ。
【0014】
他の実施形態では、上記パージガス供給手段が、実質的に直線的な外周及び内面を含む。
【0015】
円形構造が好ましい場合もあるが、直線的な構造を使用することもできる。この点、直線構造は、鋭い角を有することも、或いは丸まった角を有するように設計することもできる。直線構造は、互いに対して角度が付いた部分を有する内面及び外面を含む矩形又は他の何らかの構造とすることもできる。
【0016】
いくつかの実施形態では、上記複数の経路が、上記周辺部に対して垂直以外の方向に延びることによって上記パージガス流に回転成分を導入するように角度を付けられる。
【0017】
パージガス供給手段が直線的である場合には、パージガス流に回転成分を導入することも有利と考えられ、この回転成分の導入は、ガスが膨張するだけでなく回転する動きを有するように経路に角度を付けることによって行うことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、上記パージガス供給手段が、上記内周よりも実質的に低い高さを有する実質的に直線的なコンポーネントを含む。
【0019】
パージガス供給手段は、ディスク構造を有するのではなく実質的に直線的である場合、恐らくは2つの区域の接合部においてガス除害システムに容易に組み込まれるように、平坦なガスケットタイプの直線型形状を有することができる。
【0020】
複数の経路は、ガスが膨張するように断面積が増大する限り複数の構造を有することができるが、いくつかの実施形態では、複数の経路がそれぞれ鋭角三角形構造である。
【0021】
鋭角三角形構造は、限られた領域内で膨張をもたらしながら流れに対して低い抵抗を与える1つの方法である。
【0022】
いくつかの実施形態では、上記経路の各経路の一辺が、上記内周に対して実質的に接線方向に角度を付けられ、上記三角形構造の上記鋭角は、5°~20°である。
【0023】
経路は、鋭角三角形構造である場合、鋭角が5°~20°、好ましくは10°であって、各経路の一辺がパージガス供給手段の内周に対して実質的に接線方向の角度を有するように角度を付けることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、上記複数の経路が、合体して上記内面に単一のパージガス出口を形成する。
【0025】
経路の面積が外面から内面にかけて増大するにつれて経路同士が近づき、いくつかの実施形態では、これらの経路を、合体して内面に単一のパージガス出口が存在するように設計することができる。この設計は、除害システムに入力されたガスを広範囲にわたって提供する効果的な方法である。
【0026】
或いは、いくつかの実施形態では、上記複数の経路が、上記内面に複数のパージガス出口を形成する。
【0027】
複数出口は、完全に合体するのではなく複数の個々の出口で形成することもできる。いくつかの実施形態では、この構成が有利な場合もある。
【0028】
経路は、複数の方法で形成することができるが、いくつかの実施形態では、上記複数の経路が、上記パージガス供給手段内の溝を含む。
【0029】
経路は、パージガス供給手段内の通路とすることも、或いは単純に1又は2以上の表面上の溝とすることもできる。パージガス供給手段を現場で他の表面間に保持すると、これらの溝がパージガス経路を形成する。
【0030】
いくつかの実施形態では、上記パージガス出口を含む上記パージガス供給手段の表面が、凸面を形成してその上を上記パージガスが流れるように角度を付けられる。
【0031】
パージガス供給手段のパージガス出口が存在する内面は、凸面を形成するような角度を有することができる。例えばコアンダ形状を有するこの凸面は、ガス流がくっつく傾向が高い形状であり、従ってこのような形状の表面を出口に設けると、出力時に上方をパージガスが流れる傾向が高い表面がもたらされ、パージガスによって保護すべき表面の方にパージガスを向けることが可能になる。
【0032】
本発明の第2の実施形態は、放射バーナー室と、この放射バーナー室の下流の液体洗浄室とを備えるとともに、上記放射バーナー室と上記液体洗浄室との間に配置された第1の態様によるパージガス供給手段を備えた除害システムを提供する。
【0033】
いくつかの実施形態では、上記パージガス供給手段が、上記放射バーナー室を上記液体洗浄室に結合するフランジ間に取り付けられる。
【0034】
パージガス供給手段は、放射バーナー室を液体洗浄室に結合するフランジ間に取り付けるのに適するように構成することができる。これにより、パージガス供給手段が標準的な除害システム内に取り付けられて、2つのチャンバ間の接点にパージガスを供給できるようになる。この点、一般に除害システム内の異なるチャンバ又は区域は異なる条件下で作動し、接点では条件の変化によって粒子が堆積する恐れがある。従って、これらの接点では表面を保護することが有利であり、パージガスを出力するパージガス供給手段をこの接点部分内に設けることでこれらの問題を軽減することができる。
【0035】
他の実施形態では、上記パージガス供給手段が、上記放射バーナー室を上記液体洗浄室に結合する上記フランジのうちの、上記複数の経路を含む少なくとも1つのフランジを含む。
【0036】
ガス除害システムの2つのチャンバを結合するフランジ間に別個のパージガス供給手段を配置するのではなく、フランジのうちの1つ又は2つ以上を、ガスパージ手段自体を提供するように適合させることができる。この適合は、フランジの外周にパージガスを入力するパージガスポートによって供給されるパージガスが、進むにつれて広がるパージガス通路を進んで除害システムの2つのチャンバ間の接点領域に入り込むようなガス流路を1又は2以上のフランジの表面に提供することを意味する。
【0037】
いくつかの実施形態では、上記フランジがOリングよって密封され、Oリング保持具を保持する溝がパージガス供給回廊を形成する。
【0038】
有毒かもしれないプロセスガスがシステムから漏れないことが重要であるため、一般に除害チャンバ間のフランジはOリングで密封される。Oリングは、Oリング保持具を保持するための溝を有することができ、この溝は、パージガス供給手段がフランジ間に配置されたパージガス供給回廊を形成する。
【0039】
いくつかの実施形態では、上記除害システムが、上記パージガス供給出口と上記液体洗浄室の液体入口との間の中間面をさらに含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、上記パージガス供給出口が、上記パージガスを上記中間面を越えて流れるように導くよう配置される。
【0041】
パージガス供給出口と液体洗浄室の液体入口との間の中間面は、プロセスガス条件の急激な変化が存在するとともに、液体入口からの液体が近いため中間面に液体が付着し得るような区域内に位置するので、とりわけ腐食及び粒子堆積が生じやすい。パージガスが中間面を越えて流れるように導かれるようパージガス供給出口を配置すると、この表面を腐食性材料及び粒子の堆積から単純かつすっきりとした形で保護して、システムのメンテナンス及び保守整備要件を抑えることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、上記パージガス出口が、上記ガス流が上記中間面の上部周辺を横切って流れるとともに上記中間面を越えて流れて上記中間面に膜を形成するように導かれるよう配置される。
【0043】
パージガス出口は、パージガスガスが上部周辺を越えて流れて、除害システム内のガス流に面する中間面上に膜を形成するように、中間面の頂部の真上に存在するように配置することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、上記中間面が、上記除害システムを流れるガスの通路の一部を形成する固体表面を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、液体入口が、上記除害システム内のガス流路の外周の周囲の堰構造を含み、上記中間面が、上記堰構造の中心と同じ地点を中心とする、上記堰構造の断面よりも小さな断面を有する表面を含む。
【0046】
多くの液体洗浄システムの液体入口は堰構造を含み、堰構造の上方の区域間の中間面は、同じ中心点を有する堰構造と同様の、ただし堰構造を越えて延びるように小さな断面を有する構造とすることができる。これにより、中間面が、隣接する上流区域から離して液体を誘導できるようになる。
【0047】
いくつかの実施形態では、上記パージガス出口に隣接する上記中間面が凸型構造を含む。
【0048】
上述したように、ガス流は凸面に付着する傾向が高く、従ってパージガス出口に隣接する中間面が凸型構造を含む場合には有利となり得る。パージガス出口もこのような凸型構造を有する場合、ガスは、パージガス出口から離れて中間面に沿って効果的に導かれてこのような表面を効果的に覆うようになる。
【0049】
本発明の第3の態様は、ガス除害システムの修正方法であって、このガス除害システムの放射バーナー室と液体洗浄室とを分離するステップと、上記放射バーナー室と上記液体洗浄室との間にガスパージ供給手段を設けるステップと、を含み、上記ガスパージ供給手段は、該パージガス供給手段の外周から該パージガス供給手段の内面に延びる複数の経路を含み、上記内面は、上記パージガスを上記除害システム内に出力するためのパージガス出口を含み、上記複数の経路の断面積は、上記経路に沿って流れる上記パージガスの圧力が低下するように上記外周から上記内面にかけて増大し、上記ガス除害システムに、上記パージガス供給手段にパージガスを供給できるパージポートを設けるステップと、上記放射バーナー室と上記液体洗浄室とを共に固定するステップと、をさらに含む方法を提供する。
【0050】
いくつかの実施形態では、ガスパージ供給手段を設ける上記ステップが、上記液体洗浄室を上記放射バーナー室に結合するフランジ間に保持されたガスケットを、第1の態様の上記パージガス供給手段に置き換えるステップを含む。
【0051】
従来、ガス除害システムの放射バーナーと液体洗浄室とはフランジを使用して結合され、一般にこれらのフランジは、放射バーナーから排出される高温ガスからOリングを保護するように何らかのセラミック材料で形成できるガスケットを含む。このセラミックガスケットは、本発明の第1の態様によるパージガス供給手段を配置するための理想的な位置を提供する。従って、従来のガス除害システムは、2つのチャンバを分離し、それまでチャンバ内に存在していたガスケットを取り外し、このガスケットを第1の態様によるパージガス供給手段に置き換えることによって修正することができる。この点、ガス除害システムが円形形状を有する場合、パージガス供給手段は、リング状のディスク構造を有することができる。ガス除害システムが直線的な形状を有する場合、パージガス供給手段は直線的な構造を有する。
【0052】
ガス除害システムは、パージガス供給手段にパージガスを供給できるようなパージポートを有することもでき、この時、フランジは、パージガス供給手段と共に適所に固定される。パージガス供給手段は、ガスの流れが冷却を行うのに役立つので、Oリングを放射バーナーの熱から保護するように機能する。
【0053】
いくつかの実施形態では、上記ガスパージ供給手段を設ける上記ステップが、上記フランジのうちの少なくとも1つに、このフランジの外周から内面に延びる複数の経路を設けるステップを含み、上記内面は、上記パージガスを上記除害システム内に出力するためのパージガス出口を含む。
【0054】
別の方法では、2つのフランジ間に別個のパージガス供給手段を配置するのではなく、一方のフランジをパージガス供給手段として機能するように適合させることもできる。この方法は、例えば堰部分を、適切な経路を有するフランジを含む新たな堰部分に置き換えることによって実行することができる。或いは、既存のフランジに経路を機械加工することもできる。
【0055】
添付の独立請求項及び従属請求項には、さらなる特定の好ましい態様を示す。従属請求項の特徴は、必要に応じて独立請求項の特徴と組み合わせることができ、特許請求の範囲に明示するもの以外の組み合わせとすることもできる。
【0056】
機能を提供するものとして装置の特徴を説明している場合、この特徴は、その機能を提供する、或いはその機能を提供するように適合又は構成された装置の特徴を含むと理解されたい。
【0057】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】実施形態による、除害システムと、パージガス供給手段によって保護すべき中間面とを示す図である。
【
図2a】実施形態によるパージガス供給手段の例を示す図である。
【
図2b】実施形態によるパージガス供給手段の例を示す図である。
【
図3】バーナーライナの水堰界面に蓄積した固体物に実施形態が与える効果を示す図である。
【
図4】バーナーライナの水堰界面に蓄積した固体物に実施形態が与える効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
実施形態をさらに詳細に説明する前に、まず概要について説明する。
【0060】
除害システムにパージガスを供給するためのパージガス供給手段を設けて、ガス除害システム内のいくつかの表面を粒子堆積による汚染又は腐食性ガスによる腐食から保護する。ガス除害システムは、異なる目的で設計された異なる区域を含み、各区域の条件は大きく異なる。この条件の変化が、区域間の境界領域に、これらの領域の表面上における粒子の堆積及び腐食などの望ましくない予期せぬ影響をもたらすことがある。特に、ガス除害システムの1つの段に液体が加えられた場合、別の区域への液体の移動によって、濡れた表面を望まない条件下で、表面を濡らしてしまうことがある。
【0061】
このような除害システムには、何らかのコーティングを行うことによって脆弱な表面を腐食性ガス及び液体の両方から保護するためにパージガスが加えられる。
【0062】
システムにパージガスを加えると、隣接する表面をある程度保護することはできるが、保護を向上させるには、パージガスの圧力が低下するように断面積が増大する複数の供給路を設けると、パージガスの入力が均一化されて異なる経路からの流れが実質的に等しくなって均一なパージガスの流れがもたらされることが分かっている。
【0063】
パージガスは、表面を保護する境界層をもたらすのに適したあらゆるガスとすることができる。パージガスは、比較的非反応性であるとともに、一般に無毒性でもある。窒素、アルゴンなどのガス、又は空気などのガスの混合物、或いは不活性ガスの混合物を使用することができる。
【0064】
パージガス供給手段は、製造時に除害システムの一部とすることも、或いはシステムに加えられて表面の保護の強化と保守整備要件の軽減とを行う独立コンポーネントとすることもできる。
【0065】
図1に、セラミックガスケット290を有する除害システムの断面を示しており、このシステムは、実施形態に従ってセラミックガスケットを
図2a及び
図2bに示すようなパージ供給手段に置き換えることによって修正することができる。
【0066】
この除害システムは、多孔質要素220を含む放射バーナー区域200とハウジング240とを有する放射バーナー除害システム100であり、放射バーナー区域200及びハウジング240は、放射バーナー区域200の内面230上で燃焼する燃料空気混合物が通過する予混合プレナム260を共に形成する。
【0067】
この放射バーナーアセンブリは、水冷式堰アセンブリ(water-cooled weir assembly)300に取り付けられ、水冷式堰アセンブリ300は、内側チューブ320と、外側ハウジング340と、内部で接線方向ジェット(図示せず)によって水が旋回する通路360とを含み、この水の動きによって、内壁330が完全に又はほぼ完全に覆われるようになる。
【0068】
バーナー及び堰は、フランジ270、370を介して結合され、セラミックファイバパッキン290を介して熱から保護される閉じ込めOリング(trapped o-ring)280を介して密封される。
【0069】
作動時には、多くの粉末を生じるプロセスにおいて、例えばSiH4、Si2H6、Si(CH3)4、Si(OC2H5)4などのシリコン含有化学種の燃焼によって形成されたシリカSiO2がフランジ370の内縁375から成長して放射バーナーに入り込み、最終的に閉塞を引き起こすことが分かっている。
【0070】
本発明の実施形態は、フランジ370の縁部375における材料の成長を実質的に抑え込むことによって、放射バーナーの閉塞の発生を大幅に防ぎ又は少なくとも低減して平均稼働時間(MTBS)を増加させようというものである。
【0071】
1つの実施形態では、セラミックガスケット290が、中空ディスク又は中空プレートの形のガスパージ供給手段290に置き換えられている。この例では上面であるプレートの片面には、複数の通路が形成される。これらの通路は、一辺が実質的に内径に正接し、他辺が第1の辺に対して約10度の角度で配置された鋭角三角形構造である。これらの三角形構造は、軸の周囲に配置され、通路の排出端がほぼ合体する十分な数が存在する。経路の通路は、パージガスの圧力が低下して出口において膨張ガスの均一な流れがもたらされるように、入口から出口にかけて増大する断面を有する。
【0072】
このバージョンは、内縁に、ガスを表面に従わせる半径又は凸曲面を有する。堰アセンブリには、パージポートが溶接される。閉じ込めOリングを保持する溝は、便利なパージガス供給回廊を形成する。
【0073】
さらなる実施形態では、堰アセンブリの上部フランジの設計を、フランジ間に保持されるようにプレートを加えるのではなく、上述した特徴を含むように修正する。或いは、下部フランジの設計を修正することもできる。
【0074】
図2a及び
図2bに、パージガス供給手段をさらに詳細に示す。図示のように、このパージガス供給手段は、
図1の除害システム100のフランジ間に保持することができる中空ディスクの形態を有する。このパージガス供給手段は、片面に断面積が増大するガス流路を有する。これらの経路は、パージガス流に回転成分が加わるように角度を付けられたコンポーネントである。この回転成分は、増大する断面積と、場合によっては角度付きの内面と相まって、出力時に通過する表面、すなわち
図1の実施形態では中間面375に付着してこれを保護する傾向にあるガス流をもたらす。この被膜ガス流は、ガス流内の粒子から表面375を保護する。
【0075】
図2bには、経路が合体してパージガス出口が単一の環状出口になるように三角形の鋭角を大きくした別の実施形態を示す。
【0076】
図3及び
図4には、バーナーライナの水堰界面に蓄積した固体物に実施形態が与える効果を、実施形態のパージガス堰又はパージガス流の使用時及び不使用時について示す。
図3には、パージガス不使用時の効果を示し、
図4には、パージガスの使用時に堆積がどれほど大きく減少するかを示す。
【0077】
実施形態では円形のガスパージ供給手段を示しているが、当業者には、除害システムが直線的な断面を有している場合、このディスクを、片面に経路を有する直線的なガスケットに交換できることが明らかなはずである。
【0078】
本明細書では、添付図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態を詳細に開示したが、本発明は正確な実施形態に限定されるものではなく、当業者であれば、添付の特許請求の範囲及びその同等物によって定められる本発明の範囲から逸脱することなく実施形態において様々な変更及び修正を行うことができると理解される。
【符号の説明】
【0079】
100 除害システム
200 放射バーナー区域
220 多孔質要素
230 放射バーナーの内面
240 ハウジング
260 予混合プレナム
270、370 フランジ
280 Oリング
290 セラミックガスケット
300 水冷式堰アセンブリ
320 内側チューブ
330 外側ハウジング
360 水入口通路
375 中間面
【手続補正書】
【提出日】2022-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除害システムにパージガスを供給するためのパージガス供給手段であって、
前記パージガス供給手段の外周から内面に延びる複数の経路を備え、前記内面は、前記パージガスを前記除害システム内に出力するためのパージガス出口を含み、前記複数の経路の断面積が、該経路に沿って流れる前記パージガスの圧力が低下するように前記外周から前記内面にかけて増大している、
ことを特徴とするパージガス供給手段。
【外国語明細書】