(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111625
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】信号処理装置、信号処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
G01N21/17 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013562
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】水谷 純也
(72)【発明者】
【氏名】三宅 利尚
(72)【発明者】
【氏名】奥池 和幸
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059EE02
2G059EE05
2G059FF01
2G059HH02
2G059KK04
2G059MM01
(57)【要約】
【課題】受光センサの出力に基づき複数種類の画像が生成される場合において、適切な画像が取得されるように図る。
【解決手段】本技術に係る信号処理装置は、受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う信号処理部と、複数種類の画像が適切な態様となるように信号処理部における信号処理パラメータを制御する制御部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う信号処理部と、
前記複数種類の画像が適切な態様となるように前記信号処理部における信号処理パラメータを制御する制御部と、を備えた
信号処理装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、前記信号処理としてデジタルゲイン調整処理を行う
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数種類の画像のうち前記信号処理部による信号処理対象とされた画像である処理対象画像の検波値に基づいて、前記信号処理パラメータを制御する処理を行い、
前記受光センサの出力画像であるRAW画像に基づき、機械学習された人工知能モデルにより前記処理対象画像の検波値を推論する推論器を備えた
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記複数種類の画像の少なくとも何れかの画像に基づき、機械学習された人工知能モデルにより他種類の画像の検波値を推論する推論器を備えた
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
再学習された前記人工知能モデルである再学習モデルを前記推論器に適用して行われた推論結果についての評価を行い、評価結果に基づき、前記推論器への前記人工知能モデルの適用について制御する
請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記受光センサが偏光センサとされた
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記信号処理部は、前記偏光センサの出力に基づき生成された複数種類の偏光画像のうち、少なくとも一つの偏光画像についてデジタルゲイン調整処理を行う
請求項6に記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記偏光センサは、偏光角ごとにそれぞれ異なる色の光を受光可能に構成され、
前記偏光画像として、それぞれ複数色の反射除去画像と偏光成分画像とが生成され、
前記信号処理部は、少なくとも前記反射除去画像について色ごとのデジタルゲイン調整処理を実行可能とされ、
前記制御部は、
前記偏光成分画像の色ごとの検波値に基づいて、前記信号処理部による前記反射除去画像についてのデジタルゲイン調整処理を制御する
請求項7に記載の信号処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記偏光成分画像における一部領域である対象被写体領域における偏光成分画像の検波値に基づいて、前記信号処理部による前記反射除去画像についてのデジタルゲイン調整処理を制御する
請求項8に記載の信号処理装置。
【請求項10】
前記受光センサが分光センサとされた
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項11】
前記信号処理部は、前記分光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像についてデジタルゲイン調整処理を行う
請求項10に記載の信号処理装置。
【請求項12】
前記信号処理部は、前記分光センサの出力に基づき生成された複数の狭帯域画像についての帯域間引き行列演算処理を行う
請求項10に記載の信号処理装置。
【請求項13】
前記帯域間引き行列演算処理として、前記複数の狭帯域画像の数よりも少ない狭帯域画像群を生成する処理と、RGB画像を生成する処理とが行われ、
前記信号処理部は、
前記狭帯域画像群についてのデジタルゲイン調整処理と、前記RGB画像についてのデジタルゲイン調整処理とを実行可能に構成され、
前記制御部は、
前記狭帯域画像群についての検波値に基づき、前記信号処理部における前記狭帯域画像群についてのデジタルゲイン調整処理の信号処理パラメータを制御すると共に、前記RGB画像についての検波値に基づき、前記信号処理部における前記RGB画像についてのデジタルゲイン調整処理の信号処理パラメータを制御する
請求項12に記載の信号処理装置。
【請求項14】
前記信号処理部は、前記分光センサの出力に基づき生成された複数の狭帯域画像のそれぞれについてデジタルゲイン調整処理を実行可能に構成され、
前記制御部は、
前記複数の狭帯域画像それぞれの検波値に基づき特定される光源色の情報に基づいて、前記信号処理部における前記デジタルゲイン調整処理についての前記信号処理パラメータを制御する
請求項11に記載の信号処理装置。
【請求項15】
前記受光センサがiToFセンサとされた
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項16】
前記iToFセンサの出力に基づき距離画像とIR画像とが生成され、
前記信号処理部は、前記信号処理として、前記IR画像についてのデジタルゲイン調整処理を行う
請求項15に記載の信号処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、
前記iToFセンサの出力に基づき算出される測距の信頼度情報に基づいて前記iToFセンサの受光期間調整を行うと共に、前記IR画像の検波値に基づいて、前記信号処理部における前記デジタルゲイン調整処理についての前記信号処理パラメータを制御する
請求項16に記載の信号処理装置。
【請求項18】
前記制御部は、
前記信号処理部における前記IR画像のデジタルゲイン調整処理についてゲインのリミット制御を行うと共に、前記IR画像の検波値に基づき定まる前記IR画像についてのデジタルゲイン調整処理の目標ゲインと、前記リミット制御におけるゲインのリミット値との比較結果に基づき、前記iToFセンサの受光期間調整を行う
請求項17に記載の信号処理装置。
【請求項19】
信号処理装置が実行する信号処理方法であって、
受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う信号処理部における信号処理パラメータを、前記複数種類の画像が適切な態様となるように制御する
信号処理方法。
【請求項20】
コンピュータ装置が読み取り可能なプログラムであって、
受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う信号処理部における信号処理パラメータを、前記複数種類の画像が適切な態様となるように制御する処理を、前記コンピュータ装置に実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う信号処理部を備えた信号処理装置とその方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサが各種存在する。例えば、カラー撮像画像を得るためのRGBセンサを始めとして、被写体までの距離を示す距離画像を得るための測距センサや、画素ごとに偏光情報を示す偏光画像を得るための偏光センサ、被写体からの光についての波長特性解析画像となる複数の狭帯域画像を得るための分光センサ(マルチスペクトラムセンサ)等を挙げることができる。
【0003】
これら受光センサのうち、分光センサについては、センサの出力に基づき、狭帯域画像として複数種類の画像が生成される。また、測距センサとして、iToF(インダイレクトToF(ToF:Time Of Flight))センサが用いられる場合には、センサの出力に基づき距離画像と共にIR(infrared)画像が生成される等、複数種類の画像が生成されることがある。また、偏光センサが用いられる場合としても、種々の偏光情報を得るために、例えば偏光成分画像や反射除去画像、反射強調画像等といった複数種類の偏光画像がセンサの出力に基づき生成されることがある。
【0004】
なお、関連する従来技術については下記特許文献1を挙げることができる。この特許文献1には、受光センサから出力される画像に対して、画像の一部領域を電子ズームした画像を生成し、電子ズーム領域とそれ以外の領域(センサ出力の画像全体)に露出用の評価係数をそれぞれ設定することで、電子ズーム領域内優先の測光モードと、画像全体測光モードとを切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記のように受光センサの出力に基づいて複数種類の画像が生成される場合、それぞれの画像には、種類の差に起因した特性の差が生じる。例えば、同じ被写体を捉えたものであっても画像によって明るさが異なる等である。
例えばこのような場合、複数種類の画像のうち何れかを優先して明るさ調整等の信号処理を行った場合には、他の画像の明るさが適切にならない等、適切な画像取得ができない虞がある。
【0007】
本技術は上記課題に鑑み為されたものであり、受光センサの出力に基づき複数種類の画像が生成される場合において、適切な画像が取得されるように図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術に係る信号処理装置は、受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う信号処理部と、前記複数種類の画像が適切な態様となるように前記信号処理部における信号処理パラメータを制御する制御部と、を備えたものである。
これにより、受光センサの出力に基づき複数種類の画像が生成される場合において、適切な態様の画像が得られるようにするための信号処理が行われるように図られる。例えば、画像の明るさやホワイトバランスの適切化や、複数の画像から適切な画像生成を行うための信号処理等が行われるように図られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本技術に係る実施形態としての信号処理装置の概念を説明するための図である。
【
図2】第一実施形態における第一例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図3】偏光センサが有する画素アレイ部の構成例を模式的に示した図である。
【
図4】偏光センサが有する画素の概略断面構造を例示した図である。
【
図5】偏光画像生成部の内部構成例を説明するためのブロック図である。
【
図6】画像編成部による画像編成処理、デモザイク部によるデモザイク処理の説明図である。
【
図8】偏光画像生成処理部による各種偏光画像の生成手法の説明図である。
【
図9】第一実施形態における第二例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図10】第一実施形態における第三例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図11】第一実施形態における第四例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図12】検波部を信号処理部の後段に配置する例の説明図である。
【
図13】第一実施形態における第五例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図14】第一実施形態における第六例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図16】第六例の別例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図18】第六例のさらに別例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図20】人工知能モデルの再学習を前提とした信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図21】
図20に示す信号処理装置が有する再学習に係る機能を説明するための機能ブロック図である。
【
図23】被写体からの反射光に含まれる拡散反射光(拡散反射成分)と鏡面反射光(鏡面反射成分)についての説明図である。
【
図25】第一実施形態における第七例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図26】画枠内に複数の対象被写体が検出された場合の説明図である。
【
図27】対象被写体ごとの光源色のキャンセル機能を有する信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図28】物体検出部やRGB検波部を信号処理装置外部に設ける例の説明図である。
【
図29】第二実施形態における第一例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図30】分光センサが有する画素アレイ部の構成例を模式的に示した図である。
【
図31】M個の狭帯域画像を得るためのリニアマトリクス処理についての説明図である。
【
図32】第二実施形態における第二例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図33】第二例の別例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図34】第二実施形態における第三例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図35】RAW画像からL個の狭帯域画像とRGB画像の検波値を推論する信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図36】RGB画像からRAW画像とL個の狭帯域画像の検波値を推論する信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図37】第二実施形態における第四例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図38】光源色をキャンセルするためのゲイン(WBゲイン)の算出例を説明するための図である。
【
図39】第三実施形態の第一例としての信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図40】第三実施形態の信号処理装置が備えるiToFセンサの内部回路構成例を示したブロック図である。
【
図41】第三実施形態におけるiToFセンサが有する画素の等価回路図である。
【
図42】IR画像の検波値推定機能を有する信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図43】RAW画像の検波値からIR画像の検波値を推論する信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図44】IR画像の検波値からiToFセンサ32のRAW画像の検波値を推論する信号処理装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図45】画像認識精度向上のための人工知能モデルの学習に用いる学習装置の構成例を示した図である。
【
図46】画像認識精度向上のための人工知能モデルの学習に用いる学習装置の他の構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照し、本技術に係る実施形態を次の順序で説明する。
<0.実施形態の概要>
<1.第一実施形態>
(1-1.第一例)
(1-2.第二例)
(1-3.第三例)
(1-4.第四例)
(1-5.第五例)
(1-6.第六例)
(1-7.第七例)
<2.第二実施形態>
(2-1.第一例)
(2-2.第二例)
(2-3.第三例)
(2-4.第四例)
<3.第三実施形態>
<4.変形例>
<5.プログラムについて>
<6.実施形態のまとめ>
<7.本技術>
【0011】
<0.実施形態の概要>
先ずは
図1のブロック図を参照し、本技術に係る実施形態としての信号処理装置1の概念を説明する。
図1に示すように実施形態の信号処理装置1は、受光センサ2、画像生成部3、信号処理部4、及び制御部5を備える。
受光センサ2は、受光素子を有する画素が二次元に配列されたセンサである。
画像生成部3は、受光センサ2の出力に基づき、複数種類の画像を生成する。
図1では、複数種類の画像として、第一種別画像、第二種別画像、及び第三種別画像の3種を生成する例としているが、画像生成部3が受光センサ2の出力に基づき生成する画像の数は3に限定されるものではなく、少なくとも2以上であればよい。
【0012】
以降で説明する各実施形態では、受光センサ2の例として、偏光センサ(12)、分光センサ(22)、iToF(インダイレクトToF(ToF:Time Of Flight))センサ(32)を例示する。受光センサ2が偏光センサである場合、種々の偏光情報を得るために、例えば偏光成分画像や反射除去画像、反射強調画像等といった複数種類の偏光画像がセンサの出力に基づき生成されることがある。また、受光センサ2が分光センサである場合には、センサの出力に基づき、狭帯域画像として複数種類の画像が生成される。受光センサ2がiToFセンサである場合には、センサの出力に基づき距離画像と共にIR(infrared)画像が生成される等、複数種類の画像が生成されることがある。
なお、実施形態で用いられる各種受光センサやその出力に基づき生成される複数種類の画像の詳細については改めて説明する。
【0013】
信号処理部4は、画像生成部3が生成した複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像を対象として信号処理を行うために設けられる。ここでは、三種の画像が生成されることに対応して信号処理部4を三つ設け、各信号処理部4が三種の画像のうちそれぞれ異な る画像を信号処理する構成を例示している。
信号処理部4が行う信号処理としては、例えば、画像の明るさ調整やホワイトバランス調整のためのデジタルゲイン調整処理等を挙げることができる。
【0014】
なお、実施形態の信号処理装置1としては、画像生成部3が生成した複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う構成が採られればよい。
【0015】
制御部5は、画像生成部3が生成した複数種類の画像が適切な態様となるように信号処理部における信号処理パラメータを制御する。
受光センサ2の出力に基づいて複数種類の画像が生成される場合、それぞれの画像には、種類の差に起因した特性の差が生じる。例えば、同じ被写体を捉えたものであっても画像によって明るさが異なる等である。
例えばこのような場合、複数種類の画像のうち何れかを優先して明るさ調整等の信号処理を行った場合には、他の画像の明るさが適切にならない等、適切な画像取得ができない虞がある。
このため、制御部5を設けて、複数種類の画像が適切な態様となるように信号処理部における信号処理パラメータを制御する。これにより、受光センサ2の出力に基づき複数種類の画像が生成される場合において、適切な画像が取得されるように図ることができる。
【0016】
<1.第一実施形態>
(1-1.第一例)
第一実施形態は、受光センサ2として偏光センサ12を用いるものである。
図2は、第一実施形態における第一例としての信号処理装置11の構成例を説明するためのブロック図である。
図示のように信号処理装置11は、偏光センサ12、偏光画像生成部13、複数の信号処理部14、及び制御部15を備えている。
図中に示すアプリケーションApは、信号処理装置11において生成された複数種類の画像のうち少なくとも一つを入力して処理するためのアプリケーションプログラムを実行するコンピュータ装置を概念的に表したものである。
アプリケーションApは、信号処理装置11と一体に構成されてもよいし、信号処理装置11とは別体に構成されてもよい。
【0017】
偏光センサ12は、画素ごとに偏光情報を示す画像である偏光画像を得るための受光センサである。
偏光画像生成部13は、偏光センサ12の出力に基づいて偏光画像を生成する。具体的に本例における偏光画像生成部13は、偏光センサ12の出力に基づいて複数種類の偏光画像を生成する。
【0018】
ここで、偏光センサ12、及び偏光画像生成部13について
図3から
図8を参照して説明する。
図3は、偏光センサ12が有する画素アレイ部12aの構成例を模式的に示した図である。画素アレイ部12aは、受光素子、具体的に本例ではフォトダイオードPDを有する画素が二次元に配列されて形成されるものである。
【0019】
図示のように画素アレイ部12aにおいては、偏光画素ユニットPPと、カラー偏光画素ユニットPCとが形成されている。
偏光画素ユニットPPは、それぞれが異なる偏光角の光を選択的に受光する複数種類の画素Pxが二次元に所定パターンで配列されて成る画素ユニットである。具体的に、本例における偏光画素ユニットPPは、偏光角=90度の光のみを受光する画素Pxと、偏光角=45度の光のみを受光する画素Pxと、偏光角=135度の光のみを受光する画素Pxと、偏光角=0度(180度)の光のみを受光する画素Pxの計四つの画素が所定パターンで二次元配列されて成る。
【0020】
カラー偏光画素ユニットPCは、それぞれが異なる色の光を選択的に受光する複数種類の偏光画素ユニットPPが二次元に所定パターンで配列されて成る画素ユニットである。
具体的に、本例におけるカラー偏光画素ユニットPCは、R光(赤色光)のみを受光する一つの偏光画素ユニットPPと、G光(緑色光)のみを受光する二つの偏光画素ユニットPPと、B光(青色光)のみを受光する偏光画素ユニットPPの計四つの偏光画素ユニットPPが二次元に所定パターンで配列されている。
図中では、R光を選択的に受光する偏光画素ユニットPPに左下がり斜線を、G光を選択的に受光する偏光画素ユニットPPに縦線を、B光を選択的に受光する偏光画素ユニットPPに右下がり斜線をそれぞれ付している。
本例のカラー偏光画素ユニットPCにおいては、R光、B光、G光を受光する四つの偏光画素ユニットPPがベイヤ(Bayer)型に配列されている。
【0021】
画素アレイ部12aは、上記のようなカラー偏光画素ユニットPCが二次元に配列されて成る。すなわち、カラー偏光画素ユニットPCが縦方向(列方向)及び横方向(行方向)にそれぞれ複数配列されて成る。
【0022】
上記のような画素アレイ部12aの構成により、各種の偏光画像として、R,G,Bそれぞれの色画像を生成可能となる。すなわち、各種の偏光画像としてカラー画像を生成可能となる。
【0023】
画素アレイ部12aにおいて、各画素Pxは、所定の偏光角の光を選択的に受光し、且つ所定の色(波長帯)の光を選択的に受光することが可能に構成されている。
【0024】
図4に、画素Pxの概略断面構造を例示しておく。
図示のように画素Pxは、半導体基板50内において受光素子としてのフォトダイオードPDが形成されていると共に、半導体基板50の一方の面側に配線層51が形成され、半導体基板50の他方の面側に偏光フィルタ52、カラーフィルタ53、及びマイクロレンズ54が積層されている。
偏光フィルタ52は、特定の方向(角度)に振動する直線偏光を選択的に透過する偏光子を有して構成される。偏光子の例としては、例えばワイヤーグリッドを用いたものや、フォトニック結晶等の結晶構造を有するものを挙げることができる。
【0025】
カラーフィルタ53は、所定の波長帯の光を選択的に透過する光学的バンドパスフィルタとして構成されている。例えば、R光を受光する画素Pxにおいては、カラーフィルタ53としてR光を選択的に透過する光学的バンドパスフィルタが形成される。また、G光を受光する画素Px、B光を受光する画素Pxにおいては、それぞれカラーフィルタ53としてG光を選択的に透過する光学的バンドパスフィルタ、B光を選択的に透過する光学的バンドパスフィルタが形成される。
なお、偏光フィルタ52とカラーフィルタ53については、上下の配置位置関係が逆転してもよい。
【0026】
図5は、偏光画像生成部13の内部構成例を説明するためのブロック図である。
図示のように偏光画像生成部13は、画像編成部13a、デモザイク部13b、偏光状態推定部13c、及び偏光画像生成処理部13dを有している。
【0027】
画像編成部13aによる画像編成処理、及びデモザイク部13bによるデモザイク処理により、偏光角=90度の光を選択的に受光して得られる画像(以下「90度画像」と表記する)、偏光角=45度の光を選択的に受光して得られる画像(以下「45度画像」と表記する)、偏光角=0度の光を選択的に受光して得られる画像(以下「0度画像」と表記する)、偏光角=135度の光を選択的に受光して得られる画像(以下「135度画像」と表記する)について、それぞれR,G,Bの各色の画像を得る。
【0028】
図6は、画像編成部13aによる画像編成処理、デモザイク部13bによるデモザイク処理の説明図である。
画像編成処理では、偏光センサ12から出力されるRAW画像(
図6A参照)について、同じ偏光角の光を受光する画素Px同士の受光値を抽出して偏光角ごとの画像である偏光角分離画像を編成する(
図6B参照)。
このような画像編成処理を行うことで、偏光角=90度、45度、0度、135度それぞれの偏光角分離画像においては、カラー偏光画素ユニットPCの単位で、R光を受光する一つの画素、G光を受光する二つの画素、B光を受光する一つの画素の計四つの画素がベイヤ配列されることになる。すなわち、ベイヤ配列に対する通常のデモザイク処理を適用可能なものとなる。
【0029】
デモザイク部13bでは、各偏光角分離画像に対して、それぞれデモザイク処理を施す。このようなデモザイク処理により、
図6Cに示すように、90度画像、45度画像、0度画像、135度画像として、それぞれR、G、Bの各色画像が得られることになる。
【0030】
図7は、偏光状態推定部13cの処理の説明図である。
図7Aでは、デモザイク部13bで得られた各色の90度画像、45度画像、0度画像、135度画像のうち、R画像としての90度画像、45度画像、0度画像、135度画像を代表的に示している。
【0031】
偏光状態推定部13cでは、デモザイク部13bで得られた各色の90度画像、45度画像、0度画像、135度画像に基づき、
図7Bに示すような正弦波へのフィッティングを画素位置ごとに行うという処理を、R,G,Bの各色画像について行う。
入射光の偏光状態は、縦軸を輝度、横軸を偏光方向(偏光角)とした正弦波で表現される。従って、対象とする色の90度画像、45度画像、0度画像、135度画像について、画素位置ごとに、受光値(輝度値)に基づく正弦波のフィッティングを行うことで、画素位置ごとの偏光状態を推定することができる。
【0032】
図8は、偏光画像生成処理部13dによる各種偏光画像の生成手法の説明図である。
偏光状態推定部13cにより画素位置ごとの偏光状態を示す正弦波の情報が求まることで、該正弦波の情報に基づいて、各種の偏光画像を生成可能となる。
ここでは偏光画像の例として、反射強調画像、偏光成分画像、反射除去画像、平均画像を例示する。反射強調画像は、画素位置ごとに反射強調信号を検出することで得られる画像である。図示のように反射強調信号は、正弦波の最大値(Imax)として検出されるものである。すなわち、反射強調画像は、画素位置ごとに正弦波の最大値を検出することで生成されるものである。
【0033】
また、反射除去画像は、画素位置ごとに反射除去信号を検出することで得られる画像であり、図示のように反射除去信号は正弦波の最小値(Imin)として検出されるものであるから、画素位置ごとに正弦波の最小値を検出することで反射除去画像を生成することができる。
【0034】
偏光成分画像は、画素位置ごとに偏光成分信号を検出することで得られる画像であり、図示のように偏光成分信号は正弦波の最大値と最小値との差分値(「Imax-Imin」)として算出されるものであるから、画素位置ごとに正弦波の最大値と最小値との差分値を算出することで偏光成分画像を生成することができる。
【0035】
平均画像は、画素位置ごとに、正弦波の平均信号を検出することで得られる画像であり、従って画素位置ごとに正弦波の平均値を算出することで平均画像を生成することができる。
【0036】
なお、入射光の偏光状態を示す正弦波の情報からは偏光状態を示す様々な信号を生成可能なものであり、偏光画像生成処理部13dで生成可能な偏光画像としては、上記で例示した反射強調画像、偏光成分画像、反射除去画像、平均画像の4種に限定されるものではない。
【0037】
本例において、偏光画像生成処理部13dは、偏光画像として、三種の偏光画像を生成及び出力するように構成されているとする。これら三種の偏光画像を、それぞれ第一種偏光画像、第二種偏光画像、第三種偏光画像と表記する(
図2及び
図5参照)。
【0038】
説明を
図2に戻す。
信号処理装置11において、信号処理部14は、第一種偏光画像、第二種偏光画像、第三種偏光画像の偏光画像ごとに計三つが設けられている。
本例において、各信号処理部14は、入力画像についてデジタルゲイン調整処理を行うことで、入力画像の明るさを調整可能とされる。
【0039】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有したマイクロコンピュータを備えて構成され、信号処理装置1の動作制御を行う。
具体的に、本例における制御部15は、アプリケーションApからの指示に基づき、各信号処理部14におけるデジタルゲイン調整処理についての信号処理パラメータを制御する。
【0040】
各種偏光画像のうち、例えば反射強調画像と反射除去画像とを比較した場合、前者は比較的明るい画像となる傾向にあるのに対し、後者は比較的暗めの画像となる傾向にある。例えばこれら反射強調画像と反射除去画像との関係のように、異種の偏光画像間では、画像種類の違いに起因した明るさの差が生じる。そこで本例では、アプリケーションApより偏光画像間の明るさの差を吸収するための信号処理パラメータ(デジタルゲイン調整処理の信号処理パラメータ)を制御部15に指示し、制御部15は、このように指示された信号処理パラメータをそれぞれ対応する信号処理部14に設定する。
これにより、複数種類の偏光画像について、少なくとも一つの偏光画像の明るさが他の偏光画像と異なる場合において、各偏光画像の明るさが適切となるように偏光画像に対する信号処理を行うことが可能となる。
従って、適切な偏光画像が取得されるように図ることができる。
【0041】
なお、上記では偏光画像ごとに信号処理部14を設ける例を挙げたが、一つの信号処理部14が時分割で各偏光画像の信号処理を行う構成を採ることもできる。
この場合、偏光画像生成部13は、偏光センサ12からの1フレーム分の入力画像から複数種類(本例では3種類)の偏光画像を生成し、生成した複数種類の偏光画像を1フレーム期間ごとに1種ずつ信号処理部14に出力することが考えられる。
或いは、偏光画像生成部13は、偏光センサ12からの1フレーム分の入力画像から1種の偏光画像のみを生成して信号処理部14に出力するという動作を、生成すべき偏光画像の種類数分繰り返すということも考えられる。
【0042】
(1-2.第二例)
続いて、第一実施形態における第二例としての信号処理装置11Aについて、
図9のブロック図を参照して説明する。
第二例は、複数の偏光画像として、何れの偏光画像を出力するかの選択が可能とされると共に、選択された偏光画像に対応する信号処理パラメータを設定する例である。
なお、以降の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
先の
図2と比較して分かるように、信号処理装置11Aは、信号処理装置11と比較して、偏光画像生成部13に代えて偏光画像生成部13Aが、制御部15に代えて制御部15Aが設けられた点が異なる。
偏光画像生成部13Aは、生成可能な複数の偏光画像のうち、外部から(本例ではアプリケーションApから)指示された偏光画像を生成し出力する機能(画像選択機能)を有する点が偏光画像生成部13と異なる。
【0044】
制御部15Aは、アプリケーションApからの画像選択情報、すなわち、偏光画像生成部13Aに何れの偏光画像の生成・出力を指示したかを示す情報に基づいて、各信号処理部14の信号処理パラメータを設定する。
【0045】
この場合、制御部15Aには、偏光画像生成部13Aが生成可能な偏光画像ごとに、その偏光画像に対応して設定されるべき信号処理パラメータが対応づけられたテーブルTbが記憶されている。制御部15Aは、アプリケーションApからの画像選択情報と、テーブルTbの格納情報とに基づいて、各信号処理部14に設定すべき信号処理パラメータを特定し、特定した信号処理パラメータをそれぞれ対応する信号処理部14に設定する処理を行う。
これにより、偏光画像生成部13Aが画像選択機能を有する場合に対応して、各偏光画像の明るさが適切となるように信号処理が行われるようにすることができる。
【0046】
なお、上記では、画像選択情報をアプリケーションApから制御部15Aに通知する例を挙げたが、画像選択情報は、偏光画像生成部13Aから制御部15Aに通知する構成を採ることもできる。
【0047】
(1-3.第三例)
図10は、第一実施形態における第三例としての信号処理装置11Bの構成例を説明するためのブロック図である。
第三例は、RAW画像の検波値に基づいて信号処理パラメータを動的に変化させる例である。
ここで、RAW画像とは、受光センサ2の出力画像を意味するものであり、本例では偏光センサ12の出力画像を意味するものである(
図6A参照)。
【0048】
信号処理装置11Bは、信号処理装置11と比較して、検波部16が追加された点と制御部15に代えて制御部15Bが設けられる点が異なる。
ここで、以下の説明において、偏光画像生成部13が生成・出力する画像は、反射強調画像、偏光成分画像、及び反射除去画像の3種であるとする。
【0049】
検波部16は、偏光センサ12が出力するRAW画像を検波する。具体的には、輝度値の検波(検出)を行う。ここで言う検波は、各画素位置について行われる。
【0050】
制御部15Bは、検波部16から入力されるRAW画像の検波値と、テーブルTbBとに基づき、RAW画像の明るさに応じて各信号処理部14の信号処理パラメータを動的に制御する。
【0051】
テーブルTbBには、反射強調画像、偏光成分画像、反射除去画像の偏光画像ごとに、RAW画像の明るさ(検波値の大きさ)と設定すべき信号処理パラメータとの対応関係を示した対応関係情報が格納されている。これは、例えば明るいシーンと暗いシーンとで偏光画像ごとに設定すべき信号処理パラメータが異なる場合があることを前提としたものである。
【0052】
制御部15Bは、検波部16からのRAW画像の検波値とテーブルTbBとに基づき、RAW画像の明るさに応じて設定すべき信号処理パラメータを特定し、特定した信号処理パラメータをそれぞれ対応する信号処理部14に設定する処理を行う。
この処理は、例えばフレームごと等、所定の周期で繰り返し実行することが考えられる。又は、RAW画像の検波値等に基づいて明るさの変化量を検出し、該変化量が所定量以上となったことに応じて実行すること等も考えられる。或いは、該処理は、アプリケーションApからの指示に基づき実行すること等も考えられる。
【0053】
(1-4.第四例)
図11は、第一実施形態における第四例としての信号処理装置11Cの構成例を説明するためのブロック図である。
第四例は、偏光画像ごとに検波を行い、検波結果に基づいて各偏光画像の信号処理パラメータを制御する例である。
【0054】
信号処理装置11Cは、信号処理装置11と比較して、偏光画像ごとの検波部17が追加された点と、制御部15に代えて制御部15Cが設けられた点が異なる。
各検波部17は、偏光画像生成部13から出力され信号処理部14に入力される偏光画像について検波を行う。
【0055】
制御部15Cは、各検波部17からの検波値、すなわち偏光画像ごとの検波値と、テーブルTbCとに基づき、各信号処理部14における信号処理パラメータを動的に制御する。
この場合、テーブルTbCには、反射強調画像、偏光成分画像、反射除去画像の偏光画像ごとに、その偏光画像の検波値の大きさと設定されるべき信号処理パラメータとの対応関係を示した対応関係情報が格納されている。
制御部15Cは、各検波部17から入力した偏光画像ごとの検波値とテーブルTbCとに基づき、偏光画像ごとに、設定すべき信号処理パラメータを特定し、特定した信号処理パラメータをそれぞれ対応する信号処理部14に設定する処理を行う。
これにより、各偏光画像の明るさを、その検波値に基づいて動的に制御することができる。
【0056】
なお、上記では検波部17を信号処理部14の前段に配置する例を挙げたが、
図12に示すように、各検波部17はそれぞれ信号処理部14の後段に配置することもできる。
この場合、制御部15Cによる信号処理部14ごとの信号処理パラメータ制御は、1フレーム前における偏光画像の検波値に基づいて行われることになる。
【0057】
ここで、偏光画像生成部13、各信号処理部14、及び制御部15Cは、偏光センサ12と共に同一半導体パッケージ内に形成することもできる。例えば、画素アレイ部12aが形成された半導体基板50に積層される配線層51において、偏光画像生成部13、各信号処理部14、及び制御部15Cとしての電子回路が形成されて、偏光センサ12、偏光画像生成部13、各信号処理部14、及び制御部15Cが一体の装置とされた構成を挙げることができる。このように偏光センサ12、偏光画像生成部13、各信号処理部14、及び制御部15Cが一体とされた装置を信号処理装置11C’と表記する。
上記のように各検波部17を信号処理部14の後段に配置する場合、それら検波部17は、信号処理装置11C’の外部に配置することができる。
【0058】
(1-5.第五例)
図13は、第一実施形態における第五例としての信号処理装置11Dの構成例を説明するためのブロック図である。
第五例は、第四例のように各偏光画像の検波値に基づき各偏光画像の明るさを動的に調整する制御を行いつつ、RAW画像の検波値に基づく偏光センサ12の露出調整(受光期間調整)を行うものである。
【0059】
信号処理装置11Dは、第四例の信号処理装置11Cと比較して、RAW画像の検波を行う検波部16が追加された点と、制御部15Cに代えて制御部15Dが設けられた点が異なる。
【0060】
制御部15Dは、制御部15Cと同様に、各検波部17の検波値とテーブルTbCに基づいて各偏光画像の信号処理パラメータを動的に制御する機能を有する。
制御部15Dは、該機能に加えて、検波部16から入力されるRAW画像の検波値に基づき偏光センサ12の露出制御を行う機能を有する。
具体的に、制御部15Dは、RAW画像の検波値と偏光センサ12の露出設定値との対応関係を示す対応関係情報(例えば、制御部15Dに予め設定される)に基づき、検波部16から入力された検波値に応じた露出設定値を特定し、特定した露出設定値に基づいて偏光センサ12の露出調整が行われるように制御する。
【0061】
これにより、RAW画像が白飛びや黒つぶれしないように偏光センサ12の露出調整を行うことができる。すなわち、RAW画像の明るさを基準としたAE(Auto Exposure)制御を実現できる。
【0062】
ここで、上記のようにRAW画像を基準としたAE制御が行われたとしても、各偏光画像にとっては、必ずしも適切なAE制御となる保証はない。そこで、信号処理装置11Dでは、各偏光画像の検波を行い、その結果に基づいて各信号処理部14によってそれぞれの偏光画像の明るさ調整(デジタルゲイン調整)を行うものとしている。これにより、RAW画像を基準としたAE機能を活かしつつ、各偏光画像が適切な明るさとなるように図ることができる。
【0063】
(1-6.第六例)
第六例は、対象とする画像の検波値を、他画像(他種類の画像)の検波値から推論する例である。
図14は、第六例としての信号処理装置11Eの構成例を説明するためのブロック図である。
信号処理装置11Eは、検波部16によるRAW画像の検波値から各偏光画像の検波値を推論する推論器60を備えたものである。ここでの推論とは、機械学習された人工知能モデルを用いた推論を意味する。
図示のようにこの場合の制御部15Dには、検波部16によるRAW画像の検波値と、推論器60で推論された各偏光画像の検波値を入力する。
【0064】
上記のような構成とすることで、第五例として説明したAE機能及び偏光画像ごとの動的なデジタルゲイン調整処理を実現するにあたり、偏光画像ごとの検波部17を省略することができる。すなわち、部品点数の削減が図られ、信号処理装置11Eの小型化を図ることができる。
【0065】
推論器60に対して適用する人工知能モデルについては、例えば、
図15に示すような学習器70を用いた機械学習により生成する。
学習器70は、RAW画像の検波値を学習用入力データとし、推論対象とする偏光画像の検波値、つまり本例では反射強調画像の検波値、偏光成分画像の検波値、及び反射除去画像の検波値を正解データとした機械学習を行う。例えば、DNN(Deep Neural Network)を用いた深層学習としての機械学習を行う。
このような機械学習を行って得られた人工知能モデルを、推論器60の人工知能モデルとして適用する。
【0066】
上記では、RAW画像の検波値から各偏光画像の検波値を推論する推論器60を用いる例を挙げたが、例えば、
図16に示す信号処理装置11Fのように、一つの偏光画像の検波値から他の偏光画像の検波値を推論する推論器61を用いることもできる。
具体的に、ここでの推論器61は、検波部17による偏光成分画像の検波値から、反射強調画像、反射除去画像それぞれの検波値を推論する。
この場合、制御部15Dに対しては、検波部16で得られたRAW画像の検波値と、検出部17が検出した偏光成分画像の検波値と、推論器61により推論された反射強調画像の検波値、及び反射除去画像の検波値を入力する。この構成では、第五例の信号処理装置11Dの構成から、検出部17を二つ省略することができる。
【0067】
推論器61に対して適用する人工知能モデルについては、例えば、
図17に示すような学習器71を用いた機械学習により生成する。
学習器71は、偏光成分画像の検波値を学習用入力データとし、推論対象とする反射強調画像の検波値、及び反射除去画像の検波値を正解データとした機械学習(例えば、DNNを用いた深層学習)を行う。
このような機械学習を行って得られた人工知能モデルを、推論器61の人工知能モデルとして適用する。
【0068】
或いは、
図18に示す信号処理装置11Gのように、偏光画像の検波値からRAW画像の検波値を推論する推論器62を用いることもできる。ここでの推論器62は、一つの偏光画像、具体的には偏光成分画像の検波値から、RAW画像の検波値、及び他の偏光画像(反射強調画像と反射除去画像)の検波値を推論する。
この場合、制御部15Dに対しては、推論器62で推論されたRAW画像の検波値、反射強調画像の検波値、及び反射除去画像の検波値と、検出部17が検出した偏光成分画像の検波値とを入力する。この構成では、第五例の信号処理装置11Dの構成から、検波部16と、二つの検波部17とを省略することができる。
【0069】
推論器62に対して適用する人工知能モデルについては、例えば
図19に示すような学習器72を用いた機械学習により生成する。
学習器72は、偏光成分画像の検波値を学習用入力データとし、推論対象とするRAW画像の検波値、反射強調画像の検波値、及び反射除去画像の検波値を正解データとした機械学習(例えば、DNNを用いた深層学習)を行う。
このような機械学習を行って得られた人工知能モデルを推論器62の人工知能モデルとして適用する。
【0070】
ここで、推論器の人工知能モデルについて、再学習を行うこともできる。
図20は、再学習を前提とした信号処理装置11Hの構成例を説明するためのブロック図である。
ここでは、検波値の推論を行う推論器として推論器60を用いる例を挙げるが、他の推論器(推論器61、62)が用いられる場合にも同様の考えが成り立つ。
【0071】
信号処理装置11Hは、第六例の信号処理装置11Eと比較して、制御部15Dに代えて制御部15Hが設けられた点が異なる。
制御部15Hは、信号処理装置11Hの外部装置とされた再学習装置200との間でデータ通信を行うことが可能に構成されている。
【0072】
再学習装置200は、推論器60に適用する人工知能モデルについて、再学習処理を行う装置である。例えば、再学習装置200は、クラウドサーバ等のコンピュータ装置として構成され、制御部15Hとの間の通信はインターネット等の通信ネットワークを介して行われる。
図示は省略するが、この場合の再学習は、
図15に示した学習器70を用いて行う。具体的に、この場合の再学習では、再学習用のデータセットとして用意されたRAW画像の検波値(入力データ)と反射強調画像、偏光成分画像、及び反射除去画像の各検波値(正解データ)とを用いて、学習器70による機械学習を実行させる。
ここで言う人工知能モデルの再学習とは、少なくとも人工知能モデルにおける推論用のパラメータの更新を含む概念である。なお、人工知能モデルの再学習には、例えばDNNのネットワーク構造の更新等、推論用のパラメータ以外の更新が含まれても良い。
【0073】
制御部15Hは、前述した制御部15Dとしての機能に加えて、再学習に係る以下の機能を有する。
図21は、制御部15Hが有する再学習に係る機能を説明するための機能ブロック図である。
図示のように制御部15Hは、再学習開始制御部F1、バリデーション部F2、及びモデル更新制御部F3としての機能を有する。
【0074】
再学習開始制御部F1は、推論器60の人工知能モデルの再学習について開始制御を行う。具体的に、再学習開始制御部F1は、所定のトリガ条件の成立に応じて、再学習装置200に人工知能モデルの再学習を開始させる。
ここでのトリガ条件としては、例えば時間の情報(前回学習時からの経過時間等)に基づく条件や、AEや各偏光画像の明るさ調整等、検波値を用いて行われる動作の動作状況に基づく条件、アプリケーションApからの再学習実行指示等を挙げることができる。或いは、トリガ条件は、アプリケーションApが偏光画像を用いた処理を行う場合には、該処理の評価結果に基づく条件とすることも考えられる。
【0075】
本例の再学習開始制御部F1は、再学習装置200に再学習を実行させるにあたっては、再学習での学習用データとして用いられるべきRAW画像の検波値、及び各偏光画像(反射強調画像、偏光成分画像、反射除去画像)を再学習装置200に供給する。なおこの際、各偏光画像の検波は、再学習装置200側に実行させればよい。
【0076】
バリデーション部F2は、再学習された人工知能モデルである再学習モデルを推論器60に適用して行われた推論結果についての評価(バリデーション)を行う。具体的にバリデーション部F2は、再学習装置200による人工知能モデルの再学習が完了したことに応じて、該再学習で得られた再学習モデルを推論器60に適用して各偏光画像の検波値を推論させる。そして、この推論結果について評価を行う。例えば、所定の評価値を求める。
【0077】
モデル更新制御部F3は、バリデーション部F2による評価結果に基づき、推論器60への人工知能モデルの適用について制御する。
具体的に、モデル更新制御部F3は、バリデーション部F2により推論が良好に行われていると評価された場合(例えば、評価値が一定値以上であった場合)には、再学習モデルの適用状態を維持させる。すなわち、以降の推論が再学習モデルを用いて行われるようにする。
【0078】
一方、モデル更新制御部F3は、バリデーション部F2により推論が良好に行われていないと評価された場合(例えば、評価値が一定値未満であった場合)には、再学習モデル以外の人工知能モデルが推論器60に適用されるようにする。例えば、過去に適用されていた人工知能モデル、具体的には、初期適用されていた人工知能モデルや、過去の再学習において評価結果が良好とされた人工知能モデル等が適用されるようにする。
【0079】
上記のような制御部15Hの機能により、実環境における推論結果が良好となる人工知能モデルに更新が行われるようにすることができる。
【0080】
(1-7.第七例)
第七例は、光源色の色被りをキャンセルするための信号処理を行う例である。
ここで、例えば、RGBセンサを用いた画像撮像を行う場合において、物体には光源からの光が照射されるため、物体の本来の色を写したものとはならない。つまり、RGB画像において表現される物体の色は、物体本来の色に対し、光源色が重畳された色となる(
図22を参照)。
【0081】
これに対し、偏光センサ12を用いた場合には、物体の本来の色を特定し易い。具体的には、反射除去画像と、偏光成分画像とに基づいて物体の本来の色を特定可能である。
反射除去画像は、無駄な反射が除去された画像となるため、物体の色を特定し易い画像と言える。また、偏光成分画像は、鏡面反射成分を捉えた画像であり、光源色を表すもの として知られる。
被写体からの反射光には、拡散反射光(拡散反射成分)と鏡面反射光(鏡面反射成分)とが含まれる(
図23参照)。このうち、鏡面反射成分は、光源の色をそのまま反射した成分となる。図示のように鏡面反射成分は、偏光成分画像として取得可能であるため、偏光画像生成部13においてR、G、Bの各色の偏光成分画像を生成することで、それら各色の偏光成分画像から光源の色を特定可能となる。
【0082】
このように偏光成分画像によって光源色を特定し、反射除去画像に対するWB(ホワイトバランス)調整として、光源色をキャンセルするWB調整(カラーバランス調整)を行うことで、物体本来の色を特定することが可能である。
【0083】
ただし、被写体を撮像するシーンとしては、
図24に示すようなMIX光源のシーンも想定される。具体的に
図24では、室内の照明装置としての光源と、太陽としての光源の双方からの光が被写体に照射されるシーンを例示している。
【0084】
MIX光源の場合には、画枠内の領域ごとに光源色のMIX割合が異なることから、光源色の色被りの態様が異なるものとなる。
そこで、この場合には、光源色の特定を、色特定の対象とする被写体が写る領域(以下「対象被写体領域At」と表記)を対象として行う。これにより、対象被写体の本来の色を、対象被写体領域Atにおける光源色を適切にキャンセルして適切に特定することができる。
【0085】
図25は、第一実施形態における第七例としての信号処理装置11Iの構成例を説明するためのブロック図である。
第七例において、偏光画像生成部13は、複数の偏光画像として、図示のように偏光成分画像と反射除去画像とを生成して出力する。偏光画像生成部13より出力された偏光成分画像は、RGB検波部18に入力され、反射除去画像は信号処理部14I、及び物体検出部80に入力される。
【0086】
物体検出部80は、反射除去画像を対象とした物体検出処理を行う。具体的には、対象被写体として指定された特定物体を検出する処理を行う。ここでの物体検出処理としては、例えば機械学習された人工知能モデルを用いた処理とすることが考えられる。或いは、テンプレートマッチング等のルールベース処理として行うことも考えられる。
物体検出部80は、特定物体としての対象被写体を検出した場合は、対象被写体の位置(例えば中心位置)を示す情報(以下「対象被写体位置情報」と表記)と、対象被写体が写る領域を示す情報、すなわち対象被写体領域Atの情報とを出力する。
【0087】
RGB検波部18は、偏光画像生成部13から入力されるR、G、Bの各色の偏光成分画像についての検波を、物体検出部80で特定された対象被写体領域Atを対象として行う。
RGB検波部18により得られた偏光成分画像の色ごとの検波値は、制御部15Iに入力される。
【0088】
信号処理部14Iは、偏光画像生成部13から入力される反射除去画像(R、G、B)について、色ごとのデジタルゲイン調整処理を行う。本例において、信号処理部14Iは、このような反射除去画像の色ごとのデジタルゲイン調整処理を、物体検出部80で特定された対象被写体領域Atのみを対象として行う。
【0089】
制御部15Iは、RGB検波部18による検波値、すなわち偏光成分画像における対象被写体領域Atを対象としたR、G、Bの検波値に基づき、信号処理部14Iによる色ごとのデジタルゲイン調整処理についての信号処理パラメータを制御する。具体的には、RGB検波部18による色ごとの検波値から特定される光源色がキャンセルされるように、信号処理部14Iにおける色ごとの信号処理パラメータを制御する。
【0090】
これにより、信号処理部14IによるRGBゲイン調整後の反射除去画像(対象被写体領域Atの画像)として、光源色がキャンセルされた画像を得ることができ、対象被写体の本来の色を特定することが可能となる。
【0091】
なお、単一光源のシーンを前提とする場合には、光源色の特定は、対象被写体領域Atに限らず、画枠内の任意の領域で行うことができる。
【0092】
ここで、上記では対象被写体が一つである前提としたが、
図26に例示するように画枠内に複数の対象被写体が検出され、それぞれの色の特定を行うという場合も考えられる。そのような場合には、対象被写体ごとに光源色の特定、及び光源色のキャンセルを行えばよい。
【0093】
図27は、上記のような対象被写体ごとの光源色のキャンセル機能を有する信号処理装置11Jの構成例を説明するためのブロック図である。
信号処理装置11Jにおいて、物体検出部80Jは、物体検出部80と同様の物体検出機能を有するが、対象被写体が検出された場合に、信号処理部14Jに対して反射除去画像における対象被写体領域Atの画像のみを出力する点が異なる。
信号処理部14Jは、このように物体検出部80Jが出力する対象被写体領域の画像を対象として色ごとのデジタルゲイン調整処理を行う。
【0094】
この場合のRGB検波部18は、物体検出部80Jにより複数の対象被写体が検出された場合には、それら対象被写体についての対象被写体領域Atごとに、偏光成分画像の色ごとの検波を行う。
【0095】
制御部15Jは、対象被写体が複数検出された場合には、RGB検波部18による対象被写体領域Atごとの検波値に基づき、各対象被写体領域Atの光源色がキャンセルされるように、信号処理部14Jにおける対象被写体領域Atごとのデジタルゲイン調整処理の信号処理パラメータを制御する。
【0096】
これにより、検出されたそれぞれの対象被写体について、本来の色を特定することが可能となる。
【0097】
ここで、偏光センサ12を用いる場合には、偏光成分画像(鏡面反射成分)によって光源色を特定できるので、光源色の特定にあたり、RGBセンサを用いる場合のようなグレーチャートによるキャリブレーションを行う必要を無くすことができる。具体的に、偏光センサ12を用いず、RGBセンサを用いた場合には、グレーチャートを撮像してグレー領域のRGB値を光源色として取得しておき、実撮像時には、このRGB値に基づいて光源色をキャンセルするWB調整を行うという手法が採られるが、偏光センサ12を用いた場合には、偏光成分画像による光源色特定ができるため、そのようなグレーチャートを用いたキャリブレーションを行う必要がなくなるものである。
【0098】
ここで、
図28の信号処理装置11I’として示すように、偏光画像生成部13、信号処理部14I、及び制御部15Iを、偏光センサ12と共に同一半導体パッケージ内に形成して構成される信号処理装置を考えられることができる。この場合、物体検出部80やRGB検波部18は、信号処理装置11I’の外部に設けることもできる。
このような構成では、物体検出部80は、信号処理部14Iを経由して入力される反射除去画像について物体検出処理を行うことになる。
【0099】
<2.第二実施形態>
(2-1.第一例)
第二実施形態は、受光センサ2として分光センサを備えるものである。分光センサとは、被写体からの光についての波長特性解析画像となる複数の狭帯域画像を得るための受光センサを意味する。
【0100】
図29は、第二実施形態における第一例としての信号処理装置21の構成例を説明するためのブロック図である。
信号処理装置21は、分光センサ22、分光画像生成部23、信号処理部24、制御部25、及び検波部26を備えている。
なお、ここでのアプリケーションApは、信号処理装置21において生成される複数の狭帯域画像のうち少なくとも一つを入力して処理するためのアプリケーションプログラムを実行するコンピュータ装置を概念的に表したものである。
アプリケーションApは、信号処理装置21と一体に構成されてもよいし、信号処理装置21とは別体に構成されてもよい。
【0101】
図30は、分光センサ22が有する画素アレイ部22aの構成例を模式的に示した図である。
図示のように画素アレイ部22aには、それぞれが異なる波長帯の光を受光する複数の画素Px‘が所定パターンで二次元配列されて成る分光画素ユニットPuが形成されている。画素アレイ部22aは、分光画素ユニットPuが二次元配列されて成る。
図の例では、各分光画素ユニットPuがλ1からλ16の計16の波長帯の光を各画素Px’で個別に受光する例、換言すれば、各分光画素ユニットPu内で受光し分ける波長帯の数(以下「受光チャンネル数」と表記する)が16である例を示しているが、これは説明上の一例を示したものに過ぎず、分光画素ユニットPuにおける受光チャンネル数は任意に設定可能である。
ここで以下、分光画素ユニットPuにおける受光チャンネル数を「N」とする。
【0102】
図29において、分光画像生成部23は、分光センサ22から出力される画像としてのRAW画像に基づいて、M個の狭帯域画像を生成する。ここで、M>Nである。
具体的に、分光画像生成部23は、デモザイク部23aと狭帯域画像生成部23bと有し、デモザイク部23aが分光センサ22からのRAW画像に対してデモザイク処理を行い、狭帯域画像生成部23bがデモザイク処理で得られたNチャンネル分の各波長帯画像に基づくリニアマトリクス処理を行うことで、N個の波長帯画像からM個の狭帯域画像を生成する。
【0103】
図31は、M個の狭帯域画像を得るためのリニアマトリクス処理についての説明図である。
デモザイク部23aによるデモザイク処理で得られたNチャンネル分の波長帯画像に基づき、図示のような行列演算を画素位置ごとに行うことで、Mチャンネル分の狭帯域画像が得られる。
【0104】
図29において、信号処理部24は、分光画像生成部23で生成される狭帯域画像について信号処理を行う。本例では、信号処理部24はM個の狭帯域画像のそれぞれに対して設けられている。各信号処理部24は、信号処理として、狭帯域画像に対するデジタルゲイン調整処理を行う。
【0105】
検波部26は、分光センサ22から出力されるRAW画像の検波を行い、検波値を制御部25に出力する。
【0106】
制御部25は、例えばCPU、ROM及びRAM等を有したマイクロコンピュータを備えて構成され、信号処理装置21の動作制御を行う。
具体的に、本例における制御部25は、検波部26により得られるRAW画像の検波値に基づき、分光センサ22の露出調整を行う。すなわち、RAW画像の白飛びや黒つぶれ防止のためのAEとしての露出調整である。
また、制御部25は、アプリケーションApからの指示に基づき、各信号処理部24におけるデジタルゲイン調整処理についての信号処理パラメータを制御する。
【0107】
ここで、狭帯域画像間では、同じ被写体を捉えたとしても、明るさに差が生じ得る。そこで本例では、アプリケーションApより狭帯域画像間の明るさの差を吸収するための信号処理パラメータ(デジタルゲイン調整処理の信号処理パラメータ)を制御部25に指示し、制御部25は、このように指示された信号処理パラメータをそれぞれ対応する信号処理部24に設定する。
これにより、複数の狭帯域画像について、少なくとも一つの狭帯域画像の明るさが他の狭帯域画像と異なる場合において、各狭帯域画像の明るさが適切となるように狭帯域画像に対する信号処理を行うことが可能となる。
従って、適切な狭帯域画像が取得されるように図ることができる。
【0108】
なお、本例では、RAW画像の検波値に基づく分光センサ22の露出調整を行っているが、この場合、RAW画像の明るさを適切に調整したとしても、狭帯域画像の明るさが適切とならない場合もある。そのような場合には、第一実施形態における第三例で説明したテーブルTbBと同様のテーブルを用いて、RAW画像の検波値に基づき各信号処理部24の信号処理パラメータを動的に制御することもできる。
【0109】
或いは、第一実施形態の第四例と同様の制御として、狭帯域画像ごとに検波を行い、それらの検波値に基づいて各狭帯域画像の信号処理パラメータを動的に制御することもできる。
【0110】
この場合も検波値については、人工知能モデルを用いて他画像の検波値から推論することもできる。
【0111】
また、上記では分光センサ22について、画素Px’ごとに光学的バンドパスフィルタを設けて各波長帯の光を個別に受光することを前提としたが、分光センサ22としては、回折の原理を利用した構造で分光画像を取得するセンサや、フォトニック結晶を用いた薄膜をイメージセンサ上に設置して分光画像を取得するセンサ、プラズモン共鳴の原理を利用して分光画像を得るセンサ等として構成することもできる。
【0112】
(2-2.第二例)
図32は、第二実施形態における第二例としての信号処理装置21Aの構成例を説明するためのブロック図である。
第二例は、狭帯域画像に対する信号処理が帯域間引き処理とされた例である。
【0113】
信号処理装置21Aは、第一例の信号処理装置21と比較して、メモリ27が追加された点と、信号処理部24に代えて信号処理部24Aが設けられた点と、制御部25に代えて制御部25Aが設けられた点と、評価値算出部28が追加された点が異なる。
メモリ27は、分光画像生成部23が生成したM個の狭帯域画像を一時保持する。
【0114】
信号処理部24Aは、M個の狭帯域画像に対し行列演算を行うことで、M個の狭帯域画像に対する帯域間引き処理を行う。ここで言う帯域間引き処理とは、M個の狭帯域画像から、M個よりも少ない数の波長帯の画像を生成する処理を意味する。
本例では、信号処理部24Aが二つ設けられており、各信号処理部24Aは、それぞれメモリ27に保持されたM個の狭帯域画像を入力して帯域間引き処理を行う。
これにより、M個の狭帯域画像から複数系統の帯域間引き画像を生成することが可能とされている。このとき、各信号処理部24Aが行列演算に用いる行列の係数の設定により、各信号処理部24Aにそれぞれ帯域間引きの態様が異なる画像を生成させることができる。
【0115】
制御部25Aは、制御部25と同様、検波部26の検波値に基づき分光センサ22の露出調整を行う機能を有するが、信号処理部24Aの信号処理パラメータの制御機能、具体的には、信号処理部24Aが行列演算に用いる行列の係数についての制御機能を有する点が制御部25とは異なる。
【0116】
ここで、分光センサ22を用いて取得される分光画像の用途としては、例えば野菜や果樹等といった植物についての植生解析用途を挙げることができる。例えば、植生解析のための評価指標として、赤色波長帯域の受光値(Red)と近赤外波長帯域の受光値(NIR)とに基づくNDVI(Normalized Difference Vegetation Index:正規化植生指数)が知られている。具体的に、NDVI=(NIR-Red)/(NIR+Red)である。
一般的に、植生についての評価指標は、M個よりも少ないL個の狭帯域画像に基づき算出されるものである。
【0117】
また、狭帯域画像は人間の視覚的には不自然な画像であり、また被写体の形状や色を視覚的に捉えることには不向きな画像となる。このため、M個の狭帯域画像から人間の視覚的に被写体を捉えやすい画像、例えばRGB画像等を生成することが要請される。
【0118】
そこで本例では、一方の信号処理部24Aには植生解析のためのL個の狭帯域画像、具体的には上記のNDVIを算出するための2個の狭帯域画像を生成させ、他方の信号処理部24Aには、人間の視覚的に被写体を捉えやすい画像、具体的にはRGB画像を生成させる。
【0119】
本例では、アプリケーションApより、L個の狭帯域画像を生成するための行列の係数と、RGB画像を生成するための行列の係数とが制御部25Aに入力され、制御部25Aは、前者の行列の係数を一方の信号処理部24Aに、後者の行列の係数を他方の信号処理部24Aにそれぞれ設定する。
ここで、M個の狭帯域画像からL個の狭帯域画像を得るための行列演算は下記[式1]で表される。
【数1】
なお、[式1]について、行列の係数については、必要な帯域の値のみ「1」とする。
また、M個の狭帯域画像からRGB画像を得るための行列演算は下記[式2]で表される。
【数2】
【0120】
制御部25Aが上記のような行列の係数の設定を行うことで、M個の狭帯域画像からL個の狭帯域画像とRGB画像の二系統の帯域間引き画像が生成されるようにすることができる。
【0121】
評価値算出部28は、上記一方の信号処理部24Aが生成するL個(本例では赤色波長帯域と近赤外波長帯域の2個)の狭帯域画像に基づき、NDVIとしての評価値を画素位置ごとに算出することで、植生評価画像(植生評価マップ)を得る。
【0122】
上記のような第二例としての信号処理装置21Aによれば、信号処理部24Aに対する行列の係数の設定により、ユーザやアプリケーションApの要求に応じた適切な帯域間引き画像を生成することができる。
【0123】
ここで、評価値算出部28においては、植生評価値を全画素について算出してもよいし、対象とする植物が写された画像領域(植物画像領域)が分かる場合には、植物画像領域内についてのみ植生評価値を算出することも考えられる。
例えば、
図33に示す信号処理装置21Bのように、RGB画像に基づく物体検出処理、具体的には対象の植物を検出する物体検出処理を行う物体検出部81を設け、該物体検出処理から特定される植物画像領域の情報を評価値算出部28に入力するという構成を採ることが考えられる。
このとき、評価値算出部28では、植物画像領域の植生評価値を平均した値(スカラ値)を算出することも考えられる。
【0124】
(2-3.第三例)
図34は、第二実施形態における第三例としての信号処理装置21Cの構成例を説明するためのブロック図である。
第三例は、第二例の構成に対し、L個の狭帯域画像、RGB画像それぞれの明るさ調整機能を追加したものである。
【0125】
信号処理装置21Cは、第二例の信号処理装置21Aと比較して、二つの信号処理部24が追加された点と、検波部29-1と検波部29-2が追加された点と、制御部25Aに代えて制御部25Cが設けられた点が異なる。
図示のように一方の信号処理部24は、二つの信号処理部24Aのうち一方の信号処理部24Aが出力するL個の狭帯域画像を入力し、デジタルゲイン調整処理を行う。
他方の信号処理部24は、他方の信号処理部24Aが出力するRGB画像を入力し、デジタルゲイン調整処理を行う。
【0126】
検波部29-1は、一方の信号処理部24Aが出力するL個の狭帯域画像の検波を行い、検波値を制御部25Cに出力する。検波部29-2は、他方の信号処理部24Aが出力するRGB画像の検波を行い、検波値を制御部25Cに出力する。
【0127】
制御部25Cは、検波部29-1、29-2それぞれからの検波値、すなわちL個の狭帯域画像の検波値及びRGB画像の検波値と、テーブルTb’とに基づき、各信号処理部24おける信号処理パラメータを動的に制御する。
この場合、テーブルTb’には、L個の狭帯域画像、RGB画像ごとに、その検波値の大きさと設定されるべき信号処理パラメータとの対応関係を示した対応関係情報が格納されている。
制御部25Cは、L個の狭帯域画像、RGB画像の各検波値とテーブルTb’とに基づき、L個の狭帯域画像、RGB画像のそれぞれについて、設定すべき信号処理パラメータを特定し、特定した信号処理パラメータをそれぞれ対応する信号処理部24に設定する処理を行う。
これにより、L個の狭帯域画像、RGB画像がそれぞれ所望の明るさとなるようにゲイン制御を行うことができる。
このとき、L個の狭帯域画像の明るさ(ゲイン)については、各帯域の比率が崩れないように同じゲインを与える
【0128】
ここで、この場合も検波値については、人工知能モデルを用いて他画像の検波値から推論してもよい。
図35は、RAW画像からL個の狭帯域画像とRGB画像の検波値を推論する信号処理装置21Dの構成例を説明するためのブロック図である。
図示のように信号処理装置21Dでは、検波部26によるRAW画像の検波値を入力として人工知能モデルによりL個の狭帯域画像とRGB画像の検波値を推論する推論器63が設けられる。この推論器63における人工知能モデルについては、分光センサ22によるRAW画像の検波値を学習用入力データとし、L個の狭帯域画像の検波値とRGB画像の検波値とを正解データとした機械学習により得ることができる。
【0129】
図36は、RGB画像からRAW画像とL個の狭帯域画像の検波値を推論する信号処理装置21Eの構成例を説明するためのブロック図である。
この信号処理装置21Eでは、検波部29-2によるRGB画像の検波値を入力として人工知能モデルにより分光センサ22のRAW画像の検波値とL個の狭帯域画像の検波値を推論する推論器64が設けられる。推論器64における人工知能モデルは、RGB画像の検波値を学習用入力データとし、分光センサ22のRAW画像の検波値とL個の狭帯域画像の検波値とを正解データとした機械学習により得ることができる。
【0130】
ここで、第二実施形態においても、推論器の人工知能モデルについては、第一実施形態における第六例の場合と同様の要領で再学習を行うことも考えられる。例えば、経過時間やAEの動作状況等に関する所定条件成立に応じて再学習を行う等である。
また、再学習を行う場合には、前述したバリデーション部F2やモデル更新制御部F3として説明したような再学習モデルの推論結果についての評価結果に基づく人工知能モデルの更新制御を行うこともできる。
【0131】
(2-4.第四例)
図37は、第二実施形態における第四例としての信号処理装置21Fの構成例を説明するためのブロック図である。
第四例は、M個の狭帯域画像から光源色をキャンセルする処理を行うものである。
【0132】
信号処理装置21Fは、第二例としての信号処理装置21A(
図32)と比較して、検波部40と信号処理部24が追加された点と、制御部25Aに代えて制御部25Fが設けられた点が異なる。
検波部40は、分光画像生成部23から出力されるM個の狭帯域画像の検波を行う。
信号処理部24は、分光画像生成部23からメモリ27へのM個の狭帯域画像の入力ライン上に各一つが挿入されている。すなわち、各信号処理部24は、分光画像生成部23から出力されるM個の狭帯域画像について、それぞれが異なる狭帯域画像について信号処理(デジタルゲイン調整処理)を行ってメモリ27に出力する。
【0133】
制御部25Fは、検波部40が検波したM個の狭帯域画像それぞれの検波値に基づいて各信号処理部24におけるデジタルゲイン調整処理の信号処理パラメータを制御することで、M個の狭帯域画像から光源色をキャンセルする。
制御部25Fは、このような光源色キャンセルのためのデジタルゲイン調整(WB調整)にあたり、光源色情報Icを用いる。光源色情報Icは、グレーチャートを用いた事前のキャリブレーションにより、光源色をM個の帯域における輝度分布の情報として得たものである。具体的に制御部25Fは、グレーチャートを被写体として分光センサ22による受光動作を実行させて得られるM個の狭帯域画像について、検波部40が検波を行って得られる検波値の情報を、光源色情報Icとして取得しておく。
【0134】
図38は、光源色をキャンセルするためのゲイン(WBゲイン)の算出例を説明するための図であり、
図38Aはグレーチャートを撮像して得られた分光比(M個の帯域ごとの検波値をゲインとして正規化)の例を、
図38Bは
図38Aの分光比に対して算出する光源色キャンセルためのWBゲイン(M個の帯域ごとに設定されるべきゲイン)の例を示している。
図38Bに示すように、グレー色に相当するフラットな分光比と
図38Aの分光比との差分のゲインを、光源色キャンセルためのWBゲインとして求めることができる。
【0135】
制御部25Fは、上記のような差分として求めた光源色キャンセルためのM個の各帯域のゲインがM個の狭帯域画像に与えられるように、各信号処理部24の信号処理パラメータを制御する。これにより、M個の狭帯域画像について、光源色の色被りを除去することが可能となる。
【0136】
なお、上記のようにM個の狭帯域画像について光源色キャンセルを行うにあたっては、M個の狭帯域画像の検波値を取得可能とされていることを要するが、この場合、M個の狭帯域画像の検波値のうち少なくとも一つについては、RAW画像や他の狭帯域画像等の他画像から人工知能モデルを用いて推論することもできる。
【0137】
<3.第三実施形態>
第三実施形態は、受光センサ2としてiToFセンサ32を用いるものである。iToFセンサとは、画素ごとにiToF方式による測距のための受光動作を実行可能に構成された受光センサを意味する。
【0138】
図39は、第三実施形態としての信号処理装置31の構成例を説明するためのブロック図である。
図示のように信号処理装置31は、光を発する発光部36と、発光部36より発せられた光(図中、照射光Liとして示す)が物体にて反射されて得られる反射光Lr(図中では対象物体Obからの反射光Lrとして示している)について、iToF方式による測距のための受光動作が可能に構成されたiToFセンサ32とを備えると共に、画像生成部33、信号処理部34、検波部37、及び検波部38を備えている。
ここで、iToF方式は、対象物体Obに対する照射光Liと、照射光Liが対象物体Obで反射されて得られる反射光Lrとの位相差に基づいて対象物体Obまでの距離を算出する測距方式とされる。
【0139】
発光部36は、光源として一又は複数の発光素子を有し、照射光Liを発する。例えば、発光部36の光源としては、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:垂直共振器面発光型レーザ)等の発光素子を用いることが考えられる。
発光部36は、照射光Liとして例えば波長が750nmから1400nmの範囲のIR(赤外)光を発光する。
【0140】
iToFセンサ32は、反射光Lrを受光する。具体的には、反射光Lrと照射光Liの位相差を検出可能となるように反射光Lrの受光動作を行う。
後述もするが、iToFセンサ32は、光電変換素子(フォトダイオードPD)と、光電変換素子の蓄積電荷を転送するための第一転送ゲート素子(転送トランジスタTG-A)と第二転送ゲート素子(転送トランジスタTG-B)とを含んで構成された画素Px”が二次元に複数配列された画素アレイ部111を有しており、画素Px”ごとにiToF方式による測距用の受光動作を行う。
図示は省略するが、各画素”には、IR光を選択的に受光するための光学的バンドパスフィルタ(IRフィルタ)が形成されている。
【0141】
制御部35は、例えばCPUやROM、RAM等を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、発光部36による照射光Liの発光動作や、iToFセンサ32の動作、及び信号処理部24の動作を制御する。
【0142】
ここで、iToF方式による測距を行う場合、照射光Liとしては、所定の周期で強度が変化するように強度変調された光が用いられる。具体的に、本例では、照射光Liとして、パルス光を所定周期で繰り返し発光する。以下、このようなパルス光の発光周期のことを「発光周期Cl」と表記する。また、発光周期Clによりパルス光が繰り返し発光される際におけるパルス光の発光開始タイミング間の期間のことを「1変調期間Pm」或いは単に「変調期間Pm」と表記する。
制御部35は、変調期間Pmごとに所定の発光期間のみ照射光Liを発するように発光部36の発光動作を制御する。
iToF方式において、発光周期Clは、例えば数十MHzから数百MHz程度と比較的高速とされる。
【0143】
ここで、公知のようにiToF方式では、iToFセンサ32の画素Px”における光電変換素子に蓄積された信号電荷が、交互にオンされる第一転送ゲート素子、第二転送ゲート素子によって二つのフローティングディフュージョン(FD)に振り分けられる。この際、第一転送ゲート素子と第二転送ゲート素子を交互にオンする周期は発光部36の発光周期Clと同周期とされる。すなわち、第一転送ゲート素子、第二転送ゲート素子はそれぞれ変調期間Pmごとに1度オンとされるものであり、上記のような信号電荷の二つのフローティングディフュージョンへの振り分けは、変調期間Pmごとに繰り返し行われる。
例えば、第一転送ゲート素子としての転送トランジスタTG-Aは、変調期間Pmにおける照射光Liの発光期間においてオンとされ、第二転送ゲート素子としての転送トランジスタTG-Bは、変調期間Pmにおける照射光Liの非発光期間においてオンとされる。
【0144】
前述のように、発光周期Clは比較的高速とされるため、上記のような第一、第二転送ゲート素子を用いた1回の振り分けにより各フローティングディフュージョンに蓄積される信号電荷は比較的微量なものとなる。このためインダイレクトToF方式では、1回の測距につき、照射光Liの発光を数千回から数万回程度繰り返し、iToFセンサ32では、このように照射光Liが繰り返し発光される間、上記のような第一、第二転送ゲート素子を用いた各フローティングディフュージョンへの信号電荷の振り分けを繰り返し行う。
【0145】
上記説明から理解されるように、iToFセンサ32においては、画素Px”ごとに第一転送ゲート素子、第二転送ゲート素子を照射光Liの発光周期に基づくタイミングで駆動することになる。このため、制御部35は、共通のクロックに基づいてiToFセンサ32による受光動作、発光部36による発光動作の制御を行う。
【0146】
ここで、iToFセンサ32の構成について説明する。
図40は、iToFセンサ32の内部回路構成例を示したブロック図である。
図示のようにiToFセンサ32は、画素アレイ部111、転送ゲート駆動部112、垂直駆動部113、システム制御部114、カラム処理部115、水平駆動部116、信号処理部117、及びデータ格納部118を備えている。
【0147】
画素アレイ部111は、複数の画素Px”が行方向及び列方向の行列状に二次元に配列された構成となっている。各画素Px”は、光電変換素子として後述するフォトダイオードPDを有する。なお、画素Px”の詳細は
図41により改めて説明する。
ここで、行方向とは、水平方向の配列方向を言い、列方向とは、垂直方向の配列方向を言う。図中では、行方向を横方向、列方向を縦方向としている。
【0148】
画素アレイ部111においては、行列状の画素配列に対して、画素行ごとに行駆動線120が行方向に沿って配線されるとともに、各画素列に二つのゲート駆動線121、二つの垂直信号線122がそれぞれ列方向に沿って配線されている。例えば、行駆動線120は、画素Px”から信号を読み出す際の駆動を行うための駆動信号を伝送する。なお、
図40では、行駆動線120について1本の配線として示しているが、1本に限られるものではない。行駆動線120の一端は、垂直駆動部113の各行に対応した出力端に接続されている。
【0149】
システム制御部114は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータなどによって構成され、該タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に、転送ゲート駆動部112、垂直駆動部113、カラム処理部115、及び水平駆動部116などの駆動制御を行う。
【0150】
転送ゲート駆動部112は、システム制御部114の制御に基づき、上記のように各画素列に二つ設けられるゲート駆動線121を通じて、画素Px”ごとに二つ設けられた転送ゲート素子を駆動する。
前述のように、二つの転送ゲート素子は変調期間Pmごとに交互にオンするものとされる。このため、システム制御部114は、転送ゲート駆動部112に対し、前述した制御部35より入力されるクロックを供給し、転送ゲート駆動部112は、このクロックに基づいて二つの転送ゲート素子を駆動する。
【0151】
垂直駆動部113は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部111の画素Px”を全画素同時或いは行単位等で駆動する。すなわち、垂直駆動部113は、垂直駆動部113を制御するシステム制御部114と共に、画素アレイ部111の各画素Px”の動作を制御する駆動部を構成している。
【0152】
垂直駆動部113による駆動制御に応じて画素行の各画素Px”から出力される(読み出される)受光信号、具体的には、画素Px”ごとに二つ設けられたフローティングディフュージョンそれぞれに蓄積された信号電荷の電荷量を示す信号は、対応する垂直信号線122を通してカラム処理部115に入力される。カラム処理部115は、各画素Px”から垂直信号線122を通して読み出された受光信号に対して所定の信号処理を行うと共に、信号処理後の受光信号を一時的に保持する。具体的には、カラム処理部115は、信号処理としてCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)によるノイズ除去処理やA/D(Analog to Digital)変換処理等を行う。
【0153】
ここで、各画素Px”からの二つの受光信号(フローティングディフュージョンごとの検出信号)の読み出しは、照射光Liの所定回数分の繰り返し発光ごと(前述した数千から数万回の繰り返し発光ごと)に1度行われる。
従って、システム制御部114は、前述したクロックに基づき垂直駆動部113を制御して、各画素Pxからの受光信号の読み出しタイミングが、このように照射光Liの所定回数分の繰り返し発光ごとのタイミングとなるように制御する。
【0154】
水平駆動部116は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、カラム処理部115の画素列に対応する単位回路を順番に選択する。この水平駆動部116による選択走査により、カラム処理部115において単位回路ごとに信号処理された受光信号が順番に出力される。
【0155】
信号処理部117は、少なくとも演算処理機能を有し、カラム処理部115から出力される受光信号に対して所定の信号処理を施す。
【0156】
データ格納部118は、信号処理部117での信号処理にあたって、その処理に必要なデータを一時的に格納する。
【0157】
図41は、画素アレイ部111に二次元配列された画素Px”の等価回路を示している。
画素Px”は、光電変換素子としてのフォトダイオードPDとOF(オーバーフロー)ゲートトランジスタOFGとをそれぞれ1個ずつ有する。また、画素Px”は、転送ゲート素子としての転送トランジスタTG、フローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、及び選択トランジスタSELをそれぞれ2個ずつ有する。
【0158】
ここで、画素Px”において2個ずつ設けられる転送トランジスタTG、フローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、及び選択トランジスタSELのそれぞれを区別する場合、
図41に示されるように、転送トランジスタTG-A及びTG-B、フローティングディフュージョンFD-A及びFD-B、リセットトランジスタRST-A及びRST-B、増幅トランジスタAMP-A及びAMP-B、選択トランジスタSEL-A及びSEL-Bと表記する。
OFゲートトランジスタOFG、転送トランジスタTG、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、及び選択トランジスタSELは、例えば、N型のMOSトランジスタで構成される。
【0159】
OFゲートトランジスタOFGは、ゲートに供給されるOFゲート信号SOFGがオンされると導通状態となる。フォトダイオードPDは、OFゲートトランジスタOFGが導通状態となると、所定の基準電位VDDにクランプされて蓄積電荷がリセットされる。
なお、OFゲート信号SOFGは、例えば垂直駆動部113より供給される。
【0160】
転送トランジスタTG-Aは、ゲートに供給される転送駆動信号STG-Aがオンされると導通状態となり、フォトダイオードPDに蓄積されている信号電荷をフローティングディフュージョンFD-Aに転送する。転送トランジスタTG-Bは、ゲートに供給される転送駆動信号STG-Bがオンされると導通状態となり、フォトダイオードPDに蓄積されている電荷をフローティングディフュージョンFD-Bに転送する。
転送駆動信号STG-A、STG-Bは、それぞれが
図40に示したゲート駆動線121の一つとして設けられたゲート駆動線121-A、121-Bを通じて転送ゲート駆動部112より供給される。
【0161】
フローティングディフュージョンFD-A及びFD-Bは、フォトダイオードPDから転送された電荷を一時保持する電荷保持部である。
【0162】
リセットトランジスタRST-Aは、ゲートに供給されるリセット信号SRSTがオンとされると導通状態となり、フローティングディフュージョンFD-Aの電位を基準電位VDDにリセットする。同様に、リセットトランジスタRST-Bはゲートに供給されるリセット信号SRSTがオンされることで導通状態となり、フローティングディフュージョンFD-Bの電位を基準電位VDDにリセットする。
なお、リセット信号SRSTは、例えば垂直駆動部113より供給される。
【0163】
増幅トランジスタAMP-Aは、ソースが選択トランジスタSEL-Aを介して垂直信号線122-Aに接続され、ドレインが基準電位VDD(定電流源)に接続されて、ソースフォロワ回路を構成する。増幅トランジスタAMP-Bは、ソースが選択トランジスタSEL-Bを介して垂直信号線122-Bに接続され、ドレインが基準電位VDD(定電流源)に接続されてソースフォロワ回路を構成する。
ここで、垂直信号線122-A、122-Bは、それぞれ
図40に示した垂直信号線122の一つとして設けられたものである。
【0164】
選択トランジスタSEL-Aは、増幅トランジスタAMP-Aのソースと垂直信号線122-Aとの間に接続され、ゲートに供給される選択信号SSELがオンとされると導通状態となり、フローティングディフュージョンFD-Aに保持された電荷を増幅トランジスタAMP-Aを介して垂直信号線122-Aに出力する。
選択トランジスタSEL-Bは、増幅トランジスタAMP-Bのソースと垂直信号線122-Bとの間に接続され、ゲートに供給される選択信号SSELがオンとされると導通状態となり、フローティングディフュージョンFD-Bに保持された電荷を増幅トランジスタAMP-Aを介して垂直信号線122-Bに出力する。
なお、選択信号SSELは、行駆動線120を介して垂直駆動部113より供給される。
【0165】
画素Px”の動作について簡単に説明する。
先ず、受光を開始する前に、画素Px”の電荷をリセットするリセット動作が全画素で行われる。すなわち、例えばOFゲートトランジスタOFG、各リセットトランジスタRST、及び各転送トランジスタTGがオン(導通状態)とされ、フォトダイオードPD、各フローティングディフュージョンFDの蓄積電荷がリセットされる。
【0166】
蓄積電荷のリセット後、全画素で測距のための受光動作が開始される。ここで言う受光動作とは、1回の測距のために行われる受光動作を意味する。すなわち、受光動作中では、転送トランジスタTG-AとTG-Bを交互にオンする動作が所定回数(本例では数千回から数万回程度)繰り返される。以下、このような1回の測距のために行われる受光動作の期間を「受光期間Pr」と表記する。
【0167】
受光期間Prにおいて、発光部36の1変調期間Pm内では、例えば転送トランジスタTG-Aがオンの期間(つまり転送トランジスタTG-Bがオフの期間)が照射光Liの発光期間にわたって継続された後、残りの期間、つまり照射光Liの非発光期間は、転送トランジスタTG-Bがオンの期間(つまり転送トランジスタTG-Aがオフの期間)とされる。すなわち、受光期間Prにおいては、1変調期間Pm内にフォトダイオードPDの電荷をフローティングディフュージョンFD-AとFD-Bとに振り分ける動作が所定回数繰り返される。
【0168】
そして、受光期間Prが終了すると、画素アレイ部111の各画素Px”が、線順次に選択される。選択された画素Px”では、選択トランジスタSEL-A及びSEL-Bがオンされる。これにより、フローティングディフュージョンFD-Aに蓄積された電荷が垂直信号線122-Aを介してカラム処理部115に出力される。また、フローティングディフュージョンFD-Bに蓄積された電荷は垂直信号線122-Bを介してカラム処理部115に出力される。
【0169】
以上で、1回の受光動作が終了し、リセット動作から始まる次の受光動作が実行される。
【0170】
ここで、画素Px”が受光する反射光Lrは、発光部36が照射光Liを発したタイミングから、対象物体Obまでの距離に応じて遅延されている。対象物体Obまでの距離に応じた遅延時間によって、二つのフローティングディフュージョンFD-A、FD-Bに蓄積される電荷の配分比が変化するため、これら二つのフローティングディフュージョンFD-A、FD-Bに蓄積される電荷の配分比から、対象物体Obまでの距離を求めることが可能である。
【0171】
説明を
図39に戻す。
画像生成部33は、iToFセンサ32から出力されるRAW画像、具体的には、画素位置ごとに前述した振り分け動作により各フローティングディフュージョンに蓄積された電荷量を示す画像に基づいて、複数種類の画像を生成する。
具体的に画像生成部33は、距離画像生成部33a、IR画像生成部33b、及び信頼度画像生成部33cを有している。
【0172】
距離画像生成部33aは、画素位置ごとに距離を示す画像である距離画像を生成する。具体的に、距離画像生成部33aは、iToFセンサ32から出力されるRAW画像の画素位置ごとに、各フローティングディフュージョンFDの蓄積電荷量に基づくiToF方式による所定の演算を行うことで、画素位置ごとに、その画素位置に反射光Lrが受光された物体の距離を算出する。
なお、画素位置ごとに二種の検出信号(フローティングディフュージョンFDごとの蓄積電荷量)に基づきiToF方式による距離情報を算出する手法については公知の手法を用いることができ、ここでの説明は省略する。
【0173】
IR画像生成部33bは、iToFセンサ32から出力されるRAW画像の画素位置ごとに、各フローティングディフュージョンFDの蓄積電荷量に基づいてIR光の受光量を算出して、IR画像を生成する。具体的には、画素位置ごとに各フローティングディフュージョンFDの蓄積電荷量を加算することで、画素位置ごとにIR光の受光量を示すIR画像を生成する。
【0174】
信頼度画像生成部33cは、iToFセンサ32から出力されるRAW画像の画素位置ごとに、各フローティングディフュージョンFDの蓄積電荷量に基づいて測距の信頼性についての指標である測距信頼度を算出することで、信頼度画像を生成する。
ここで、測距の信頼性は、反射光Lrの受光強度と相関する。このため信頼度画像生成部33cでは、iToFセンサ32から出力されるRAW画像の画素位置ごとに、各フローティングディフュージョンFDの蓄積電荷量について受光強度を求めるための公知の演算を行うことで、画素位置ごとに測距信頼度を示す画像である信頼度画像を生成する。
【0175】
図示のようにIR画像生成部33bが生成したIR画像は、信号処理部34と検波部38とに出力される。
また、信頼度画像生成部33cが生成した信頼度画像は制御部35によって入力される。
【0176】
信号処理部34は、IR画像生成部33bより入力されるIR画像についての信号処理として、デジタルゲイン調整処理を行う。
【0177】
検波部37は、iToFセンサ32から出力されるRAW画像を検波し、制御部35に出力する。
また、検波部38は、IR画像生成部33bが出力したIR画像を検波し、制御部35に出力する。
【0178】
制御部35は、上述した発光部36の発光動作制御と共に、検波部37によるRAW画像の検波値や、信頼度画像に基づいたiToFセンサ32の受光期間調整(露出調整)を行う。すなわち、前述した受光期間Prの調整を行うものである。
具体的に、制御部35は、RAW画像の検波値に基づき、各フローティングディフュージョンFDの蓄積電荷量が飽和しないようにiToFセンサ32の露出調整を行う。なお確認のための述べておくと、検波部38によるIR画像の検波値によっては、フローティングディフュージョンFDごとの飽和検出を行うことができない(IR画像は各フローティングディフュージョンFDの蓄積電荷の和であるため)。このため飽和防止制御には、RAW画像の検波値が用いられる。
また制御部35は、上記のような飽和防止制御を行いつつ、測距信頼度に基づいたiToFセンサ32の露出調整を行う。例えば、測距信頼度が一定の信頼度以上となるようにiToFセンサ32の露出調整を行う。
【0179】
ここで、上記のように測距信頼度を優先した(測距精度を優先した)露出調整が行われる場合において、IR画像にとっては、この露出調整が適切となる保証がない。すなわち、IR画像の明るさが適切となる保証はない。
【0180】
このため制御部35では、検波部38によるIR画像の検波値に基づき、信号処理部34におけるデジタルゲイン調整処理についての信号処理パラメータを制御する。具体的には、IR画像の明るさが適切となるようにデジタルゲイン調整処理の信号処理パラメータを制御する。
これにより、測距信頼度に基づくiToFセンサ32の露出調整の機能を活かしつつ、IR画像の明るさが適切となるように図ることができる。すなわち、測距精度の向上とIR画像の明るさの適切化との両立を図ることができ、iToFセンサ32の出力に基づき生成される複数の画像について、それぞれ適切な画像が得られるように図ることができる。
【0181】
なお、上記ではiToFセンサ32の受光期間調整が測距信頼度に基づき行われるものとしたが、別例として、アプリケーションからiToFセンサ32の受光期間が指定される構成もあり得る。
【0182】
ここで、上記のようなIR画像の明るさ調整を行う場合には、明るさ調整のためのゲインが過大となることによるIR画像の画質劣化の防止が図られるべきである。
このため制御部35では、次のような制御を行うことが考えられる。
すなわち、信号処理部34におけるIR画像のデジタルゲイン調整処理について、ゲインのリミット制御を行うと共に、IR画像の検波値に基づき定まるIR画像についてのデジタルゲイン調整処理の目標ゲインと、上記リミット制御におけるゲインのリミット値との比較結果に基づき、iToFセンサ32の受光期間調整を行うものである。このとき、上記リミット制御におけるゲインのリミット値は、IR画像の画質劣化が所定の劣化度合い以下に抑えられるように定める。また、目標ゲインと上記リミット制御におけるリミット値との比較結果に基づく受光期間調整としては、例えば、目標ゲインがリミット値を上回る場合において、目標ゲインとリミット値との差分ゲインに相当する明るさの調整がiToFセンサ32の受光期間により調整されるようにして行う。
これにより、IR画像のゲイン調整による明るさ調整において、目標ゲインが過大となる場合には、ゲインのみでの調整とせず、iToFセンサ32の露出調整にオフセットを 与えることでIR画像の明るさの適切化が図られるようになる。
【0183】
なお、信号処理装置31において、何らかの事情によりIR画像を検波するための検波部38を設けられない場合も想定される。
その場合には、RAW画像の検波値、すなわち、フローティングディフュージョンFDごとの蓄積電荷量の検波値に基づき、IR画像の検波値を推定してもよい。具体的には、画素位置ごとに、各フローティングディフュージョンFDの蓄積電荷量の検波値を加算することで、IR画像の検波値を推定するものである。
【0184】
図42は、このようなIR画像の検波値推定機能を有する信号処理装置31Aの構成例を説明するためのブロック図である。
信号処理装置31Aは、信号処理装置31と比較して、検波部38が省略されると共に、制御部35に代えて制御部35Aが設けられる。制御部35Aは、上述したようなIR画像の明るさ調整に用いるIR画像の検波値を、検波部37によるRAW画像の検波値に基づいて推定する点が制御部35とは異なる。
【0185】
なお、IR画像の検波値は、信頼度画像が示す測距信頼度に基づき推定することもできる。或いは、IR画像の検波値は、RAW画像の検波信号総量として推定することも考えられる。
【0186】
また、第三実施形態においても、検波値については他画像の検波値から人工知能モデルを用いて推論することもできる。
図43は、RAW画像の検波値からIR画像の検波値を推論する信号処理装置31Bの構成例を説明するためのブロック図である。
信号処理装置31との相違点は、検波部38が省略された点と、推論器65が追加された点である。推論器65は、検波部37によるRAW画像の検波値を入力として人工知能モデルによりIR画像の検波値を推論する。推論器65における人工知能モデルは、iToFセンサ32のRAW画像の検波値を学習用入力データとし、IR画像の検波値を正解データとした機械学習により得ることができる。
【0187】
図44は、IR画像の検波値からiToFセンサ32のRAW画像の検波値を推論する信号処理装置31Cの構成例を説明するためのブロック図である。
信号処理装置31との相違点は、検波部37が省略された点と、推論器66が追加された点である。推論器66は、検波部38によるIR画像の検波値を入力として人工知能モデルによりiToFセンサ32のRAW画像の検波値を推論する。推論器66における人工知能モデルは、IR画像の検波値を学習用入力データとし、iToFセンサ32のRAW画像の検波値を正解データとした機械学習により得ることができる。
【0188】
ここで、第三実施形態においても、推論器の人工知能モデルについては、第一実施形態における第六例の場合と同様の要領で再学習を行うことも考えられる。例えば、経過時間やAEの動作状況等に関する所定条件成立に応じて再学習を行う等である。
また、再学習を行う場合には、前述したバリデーション部F2やモデル更新制御部F3として説明したような再学習モデルの推論結果についての評価結果に基づく人工知能モデルの更新制御を行うこともできる。
【0189】
また、検波値の推論に用いる人工知能モデルについては、IR画像を用いて行われる画像認識処理の精度向上が図られるようにして行うことも考えられる。
ここで言う画像認識処理とは、例えばユーザの顔認識等、特定物体を認識する処理を意味する。
【0190】
図45は、このような画像認識精度向上のための学習として、
図43の信号処理装置31BのようにRAW画像からIR画像の検波値を推論する場合の人工知能モデルの学習に用いる学習装置の構成例を示している。
図示のようにこの場合の学習装置には、信号処理部34によるゲイン調整後のIR画像について画像認識処理を行う認識処理部45と、認識処理部45の画像認識処理による物体の認識率(例えば、正答率)を算出する認識率算出部46と、強化学習としての機械学習を行う学習器73とが設けられる。学習器73には、学習用の入力データとして、検波部37によるRAW画像の検波値が入力され、報酬(スコア)データとして認識率算出部46が算出する認識率が入力される。学習器73において、このようにRAW画像の検波値を入力データ、認識率を報酬データとした強化学習が行われることで、推論器65に適用した場合にIR画像に基づく画像認識率が高まるようにすることのできる人工知能モデルを得ることが可能となる。
【0191】
図46は、
図44の信号処理装置31CのようにIR画像からRAW画像の検波値を推論する場合の人工知能モデルの学習に用いる学習装置の構成例を示している。
この場合の学習装置においては、学習器73に代えて学習器74が設けられる。学習器74としても、学習器73と同様、強化学習としての機械学習に対応した学習器とされる。
学習器74には、学習用の入力データとして、検波部38によるIR画像の検波値が入力され、報酬データとして認識率算出部46が算出する認識率が入力される。学習器74において、このようにIR画像の検波値を入力データ、認識率を報酬データとした強化学習が行われることで、推論器66に適用した場合にIR画像に基づく画像認識率が高まるようにすることのできる人工知能モデルを得ることが可能となる。
【0192】
<4.変形例>
なお、実施形態としては上記により説明した具体例に限定されるものではなく、多様な変形例としての構成を採り得る。
例えば、上記では、受光センサ2の例として偏光センサ12、分光センサ22、iToFセンサ32を例示したが、受光センサ2としてはこれらのセンサに限るものではなく、例えば画素位置ごとに温度を示す画像であるサーマル画像を得るためのサーマルセンサ等、他のセンサとすることもできる。
【0193】
また、信号処理部による信号処理の例としても、例示したデジタルゲイン調整処理や帯域間引き処理のための行列演算処理に限定されるものではなく、例えばNR(ノイズリダクション)処理等の各種画像補正処理等、他の処理を適用することもできる。
【0194】
<5.プログラムについて>
ここで、本技術については、これまでで説明した制御部15,25,35等の処理を実現するためのプログラムとしての発明を考えることができる。
すなわち、実施形態のプログラムは、コンピュータ装置が読み取り可能なプログラムであって、受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う信号処理部における信号処理パラメータを、複数種類の画像が適切な態様となるように制御する処理を、コンピュータ装置に実行させるプログラムである。
【0195】
このようなプログラムは、コンピュータ装置が読み取り可能な記憶媒体、例えばROMやHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等に予め記憶しておくことができる。或いはまた、半導体メモリ、メモリカード、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスク等のリムーバブル記憶媒体に、一時的又は永続的に格納(記憶)しておくことができる。またこのようなリムーバブル記憶媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記憶媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN、インターネット等のネットワークを介してスマートフォン等の所要の情報処理装置にダウンロードすることもできる。
【0196】
<6.実施形態のまとめ>
上記により説明したように、実施形態としての信号処理装置(同11,11Aから11I,11C’,11I’,21,21Aから21F,31,31A,31B,31C)は、受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う信号処理部(同14,14I,14J,24,24A,34)と、複数種類の画像が適切な態様となるように信号処理部における信号処理パラメータを制御する制御部(同15,15A,15B,15C,15D,15H,15I,15J,25,25A,25C,25F,35,35A)と、を備えたものである。
これにより、受光センサの出力に基づき複数種類の画像が生成される場合において、適切な態様の画像が得られるようにするための信号処理が行われるように図られる。例えば、画像の明るさやホワイトバランスの適切化や、複数の画像から適切な画像生成を行うための信号処理等が行われるように図られる。
従って、受光センサの出力に基づき複数種類の画像が生成される場合において、適切な画像が取得されるように図ることができる。
【0197】
また、実施形態としての信号処理装置においては、信号処理部は、信号処理としてデジタルゲイン調整処理を行っている。
これにより、複数種類の画像に明るさの差が生じる場合に対応して、それぞれの画像の明るさが適切となるように調整することが可能となる。
従って、受光センサの出力に基づき複数種類の画像が生成される場合において、適切な明るさによる画像が取得されるように図ることができる。
【0198】
さらに、実施形態としての信号処理装置においては、制御部は、複数種類の画像のうち信号処理部による信号処理対象とされた画像である処理対象画像の検波値に基づいて、信号処理パラメータを制御する処理を行い、受光センサの出力画像であるRAW画像に基づき、機械学習された人工知能モデルにより処理対象画像の検波値を推論する推論器(同60,63,65)を備えている。
これにより、処理対象画像の信号処理が当該処理対象画像の検波値に応じて適切に行われるようにするにあたり、処理対象画像を検波するための検波部を設ける必要がなくなる。
従って、信号処理装置の部品点数削減、及び小型化を図ることができる。
【0199】
さらにまた、実施形態としての信号処理装置においては、複数種類の画像の少なくとも何れかの画像に基づき、機械学習された人工知能モデルにより他種類の画像の検波値を推論する推論器(同61,62,64,66)を備えている。
例えば、複数種類の画像の一つに基づいて、複数種類の画像のうちの他画像の検波値を推論したり、複数種類の画像の一つに基づいてRAW画像の検波値を推論したりすることが考えられる。
これにより、検波部の数の削減を図ることができ、信号処理装置の部品点数削減、及び小型化を図ることができる。
【0200】
また、実施形態としての信号処理装置においては、制御部は、再学習された人工知能モデルである再学習モデルを推論器に適用して行われた推論結果についての評価を行い、評価結果に基づき、推論器への前記人工知能モデルの適用について制御している(
図21等参照)。
これにより、実環境における推論結果が良好となる人工知能モデルに更新が行われるようにすることができる。
【0201】
さらに、実施形態としての信号処理装置においては、受光センサが偏光センサとされている。
受光センサが偏光センサとされることで、信号処理装置によっては、偏光成分画像や反射除去画像、反射強調画像等といった複数種類の偏光画像についてそれぞれの画像の明るさが適切となるようにする等、適切な偏光画像が取得されるように図ることができる。
【0202】
さらにまた、実施形態としての信号処理装置においては、信号処理部は、偏光センサの出力に基づき生成された複数種類の偏光画像のうち、少なくとも一つの偏光画像についてデジタルゲイン調整処理を行っている。
これにより、偏光成分画像や反射除去画像、反射強調画像等といった複数種類の偏光画像について、少なくとも一つの偏光画像の明るさが他の偏光画像と異なる場合において、各偏光画像の明るさが適切となるように偏光画像に対する信号処理を行うことが可能となる。
従って、適切な偏光画像が取得されるように図ることができる。
【0203】
また、実施形態としての信号処理装置においては、偏光センサは、偏光角ごとにそれぞれ異なる色の光を受光可能に構成され、偏光画像として、それぞれ複数色の反射除去画像と偏光成分画像とが生成され、信号処理部は、少なくとも反射除去画像について色ごとのデジタルゲイン調整処理を実行可能とされ、制御部は、偏光成分画像の色ごとの検波値に基づいて、信号処理部による反射除去画像についてのデジタルゲイン調整処理を制御している(
図25等参照)。
反射除去画像は、不要な反射が抑えられた画像であり、被写体の色の特定に適した画像となる。また、偏光成分画像は、光源の色をそのまま反射する鏡面反射成分を捉えた画像に相当するものであり、偏光成分画像の色ごとの検波値により光源色を特定可能となる。このため、上記のように偏光成分画像の色ごとの検波値に基づいて反射除去画像についての色ごとのデジタルゲイン調整処理(つまりホワイトバランス調整処理)を制御することで、反射除去画像が示す色情報として、光源色がキャンセルされた色情報を得ることが可能となる。
従って、被写体本来の色を適切に特定することができる。
【0204】
さらに、実施形態としての信号処理装置においては、制御部は、偏光成分画像における一部領域である対象被写体領域における偏光成分画像の検波値に基づいて、信号処理部による反射除去画像についてのデジタルゲイン調整処理を制御している。
画枠内における対象被写体の色を特定する場合において、被写体に複数の光源から光が照射されるMIX光源の環境下では、画枠内の位置によって光源色のMIX割合が異なる、すなわち光源色が異なるものとなる。そこで、上記のように対象被写体領域における偏光成分画像の検波値に基づいて、反射除去画像の色ごとのデジタルゲイン調整が行われるようにする。つまり、対象被写体の色の特定にあたり、対象被写体領域における光源色がキャンセルされるようにする。
従って、対象被写体の本来の色を適切に特定することができる。
【0205】
さらにまた、実施形態としての信号処理装置においては、受光センサが分光センサとされている。
受光センサが分光センサとされることで、信号処理装置によっては、複数の狭帯域画像についてそれぞれの画像の明るさが適切となるようにしたり、複数の狭帯域画像に基づく画像生成処理として、要求に基づいた特定種類の画像生成が行われるようにしたりする等、適切な画像が取得されるように図ることができる。
【0206】
また、実施形態としての信号処理装置においては、信号処理部は、分光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像についてデジタルゲイン調整処理を行っている。
これにより、分光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像について、少なくとも一つの画像の明るさが他の画像と異なる場合において、各画像の明るさが適切となるように信号処理を行うことが可能となる。
従って、分光センサの出力に基づく画像として適切な画像が取得されるように図ることができる。
【0207】
さらに、実施形態としての信号処理装置においては、信号処理部は、分光センサの出力に基づき生成された複数の狭帯域画像についての帯域間引き行列演算処理を行っている。
これにより、分光センサの出力に基づき生成された複数の狭帯域画像から、帯域数が間引かれた所望の画像群を得ることが可能となる。例えば、複数の狭帯域画像から、より帯域数の少ない狭帯域画像群を得たり、RGB画像を得たりすることが可能となる。
従って、分光センサの出力に基づく画像として、例えばアプリケーション等からの要求に応じた適切な画像が取得されるように図ることができる。
【0208】
さらにまた、実施形態としての信号処理装置においては、帯域間引き行列演算処理として、複数の狭帯域画像の数よりも少ない狭帯域画像群を生成する処理と、RGB画像を生成する処理とが行われ、信号処理部は、狭帯域画像群についてのデジタルゲイン調整処理と、RGB画像についてのデジタルゲイン調整処理とを実行可能に構成され、制御部は、狭帯域画像群についての検波値に基づき、信号処理部における狭帯域画像群についてのデジタルゲイン調整処理の信号処理パラメータを制御すると共に、RGB画像についての検波値に基づき、信号処理部におけるRGB画像についてのデジタルゲイン調整処理の信号処理パラメータを制御している。
これにより、複数の狭帯域画像からの帯域間引き行列演算処理で生成された狭帯域画像群とRGB画像とについて、それらの画像の明るさ特性が異なる場合に対応して、各画像の明るさをそれぞれの検波値に基づいて適切に調整することが可能となる。
従って、帯域間引き行列演算処理で生成された狭帯域画像群とRGB画像とについて、適切な明るさによる画像が取得されるように図ることができる。
【0209】
また、実施形態としての信号処理装置においては、信号処理部は、分光センサの出力に基づき生成された複数の狭帯域画像のそれぞれについてデジタルゲイン調整処理を実行可能に構成され、制御部は、複数の狭帯域画像それぞれの検波値に基づき特定される光源色の情報に基づいて、信号処理部におけるデジタルゲイン調整処理についての信号処理パラメータを制御している。
これにより、分光センサの出力に基づき生成された複数の狭帯域画像について、光源色をキャンセルするデジタルゲイン調整を行うことが可能となる。
従って、被写体の分光特性情報として、光源色がキャンセルされた分光特性情報が要求される場合に対応して適切な画像が取得されるように図ることができる。
【0210】
さらに、実施形態としての信号処理装置においては、受光センサがiToFセンサとされている。
受光センサがiToFセンサとされることで、信号処理装置によっては、iToFセンサの出力に基づき生成されるIR画像の明るさが適切となるようにする等、適切な画像が取得されるように図ることができる。
【0211】
さらにまた、実施形態としての信号処理装置においては、iToFセンサの出力に基づき距離画像とIR画像とが生成され、信号処理部は、信号処理として、IR画像についてのデジタルゲイン調整処理を行っている。
これにより、IR画像の明るさが適切となるように信号処理を行うことが可能となる。
従って、iToFセンサの出力に基づきIR画像を含む複数種類の画像が生成される場合において、適切な明るさによるIR画像が得られるように図ることができる。
【0212】
また、実施形態としての信号処理装置においては、制御部は、iToFセンサの出力に基づき算出される測距の信頼度情報に基づいてiToFセンサの受光期間調整を行うと共に、IR画像の検波値に基づいて、信号処理部におけるデジタルゲイン調整処理についての信号処理パラメータを制御している。
測距側を優先したiToFセンサの受光期間調整(露出調整)が行われる場合、IR画像にとっては、必ずしも適切な露出調整とはならない。そこで、上記のようにIR画像の検波値に基づきIR画像のデジタルゲイン調整を行う。
これにより、測距側を優先したiToFセンサの露出調整が行われる場合であっても、適切な明るさによるIR画像が得られるように図ることができる。
【0213】
さらに、実施形態としての信号処理装置においては、制御部は、信号処理部におけるIR画像のデジタルゲイン調整処理についてゲインのリミット制御を行うと共に、IR画像の検波値に基づき定まるIR画像についてのデジタルゲイン調整処理の目標ゲインと、リミット制御におけるゲインのリミット値との比較結果に基づき、iToFセンサの受光期間調整を行っている。
上記のようなゲインのリミット制御により、過度なデジタルゲイン調整によりIR画像の画質が著しく劣化してしまうことの防止が図られる。そして、上記のような目標ゲインとゲインのリミット値との比較結果に基づく受光期間調整を行うことで、リミット制御により制限された分の明るさ調整を、iToFセンサの受光期間調整により行うことが可能となり、IR画像が適切な明るさとなるように図ることが可能となる。
従って、IR画像の画質劣化抑制とIR画像の明るさ適切化との両立を図ることができる。
【0214】
実施形態としての信号処理方法は、信号処理装置が実行する信号処理方法であって、受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う信号処理部における信号処理パラメータを、複数種類の画像が適切な態様となるように制御する信号処理方法である。
このような信号処理方法によっても、上記した実施形態としての信号処理装置と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0215】
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0216】
<7.本技術>
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う信号処理部と、
前記複数種類の画像が適切な態様となるように前記信号処理部における信号処理パラメータを制御する制御部と、を備えた
信号処理装置。
(2)
前記信号処理部は、前記信号処理としてデジタルゲイン調整処理を行う
前記(1)に記載の信号処理装置。
(3)
前記制御部は、前記複数種類の画像のうち前記信号処理部による信号処理対象とされた画像である処理対象画像の検波値に基づいて、前記信号処理パラメータを制御する処理を行い、
前記受光センサの出力画像であるRAW画像に基づき、機械学習された人工知能モデルにより前記処理対象画像の検波値を推論する推論器を備えた
前記(1)又は(2)に記載の信号処理装置。
(4)
前記複数種類の画像の少なくとも何れかの画像に基づき、機械学習された人工知能モデルにより他種類の画像の検波値を推論する推論器を備えた
前記(1)から(3)の何れかに記載の信号処理装置。
(5)
前記制御部は、
再学習された前記人工知能モデルである再学習モデルを前記推論器に適用して行われた推論結果についての評価を行い、評価結果に基づき、前記推論器への前記人工知能モデルの適用について制御する
前記(3)又は(4)に記載の信号処理装置。
(6)
前記受光センサが偏光センサとされた
前記(1)から(5)の何れかに記載の信号処理装置。
(7)
前記信号処理部は、前記偏光センサの出力に基づき生成された複数種類の偏光画像のうち、少なくとも一つの偏光画像についてデジタルゲイン調整処理を行う
前記(6)に記載の信号処理装置。
(8)
前記偏光センサは、偏光角ごとにそれぞれ異なる色の光を受光可能に構成され、
前記偏光画像として、それぞれ複数色の反射除去画像と偏光成分画像とが生成され、
前記信号処理部は、少なくとも前記反射除去画像について色ごとのデジタルゲイン調整処理を実行可能とされ、
前記制御部は、
前記偏光成分画像の色ごとの検波値に基づいて、前記信号処理部による前記反射除去画像についてのデジタルゲイン調整処理を制御する
前記(7)に記載の信号処理装置。
(9)
前記制御部は、
前記偏光成分画像における一部領域である対象被写体領域における偏光成分画像の検波値に基づいて、前記信号処理部による前記反射除去画像についてのデジタルゲイン調整処理を制御する
前記(8)に記載の信号処理装置。
(10)
前記受光センサが分光センサとされた
前記(1)から(5)の何れかに記載の信号処理装置。
(11)
前記信号処理部は、前記分光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像についてデジタルゲイン調整処理を行う
前記(10)に記載の信号処理装置。
(12)
前記信号処理部は、前記分光センサの出力に基づき生成された複数の狭帯域画像についての帯域間引き行列演算処理を行う
前記(10)又は(11)に記載の信号処理装置。
(13)
前記帯域間引き行列演算処理として、前記複数の狭帯域画像の数よりも少ない狭帯域画像群を生成する処理と、RGB画像を生成する処理とが行われ、
前記信号処理部は、
前記狭帯域画像群についてのデジタルゲイン調整処理と、前記RGB画像についてのデジタルゲイン調整処理とを実行可能に構成され、
前記制御部は、
前記狭帯域画像群についての検波値に基づき、前記信号処理部における前記狭帯域画像群についてのデジタルゲイン調整処理の信号処理パラメータを制御すると共に、前記RGB画像についての検波値に基づき、前記信号処理部における前記RGB画像についてのデジタルゲイン調整処理の信号処理パラメータを制御する
前記(12)に記載の信号処理装置。
(14)
前記信号処理部は、前記分光センサの出力に基づき生成された複数の狭帯域画像のそれぞれについてデジタルゲイン調整処理を実行可能に構成され、
前記制御部は、
前記複数の狭帯域画像それぞれの検波値に基づき特定される光源色の情報に基づいて、前記信号処理部における前記デジタルゲイン調整処理についての前記信号処理パラメータを制御する
前記(11)から(13)の何れかに記載の信号処理装置。
(15)
前記受光センサがiToFセンサとされた
前記(1)から(5)の何れかに記載の信号処理装置。
(16)
前記iToFセンサの出力に基づき距離画像とIR画像とが生成され、
前記信号処理部は、前記信号処理として、前記IR画像についてのデジタルゲイン調整処理を行う
前記(15)に記載の信号処理装置。
(17)
前記制御部は、
前記iToFセンサの出力に基づき算出される測距の信頼度情報に基づいて前記iToFセンサの受光期間調整を行うと共に、前記IR画像の検波値に基づいて、前記信号処理部における前記デジタルゲイン調整処理についての前記信号処理パラメータを制御する
前記(16)に記載の信号処理装置。
(18)
前記制御部は、
前記信号処理部における前記IR画像のデジタルゲイン調整処理についてゲインのリミット制御を行うと共に、前記IR画像の検波値に基づき定まる前記IR画像についてのデジタルゲイン調整処理の目標ゲインと、前記リミット制御におけるゲインのリミット値との比較結果に基づき、前記iToFセンサの受光期間調整を行う
前記(17)に記載の信号処理装置。
(19)
信号処理装置が実行する信号処理方法であって、
受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う信号処理部における信号処理パラメータを、前記複数種類の画像が適切な態様となるように制御する
信号処理方法。
(20)
コンピュータ装置が読み取り可能なプログラムであって、
受光素子を有する画素が二次元に配列された受光センサの出力に基づき生成された複数種類の画像のうち、少なくとも一つの画像について信号処理を行う信号処理部における信号処理パラメータを、前記複数種類の画像が適切な態様となるように制御する処理を、前記コンピュータ装置に実行させる
プログラム。
【符号の説明】
【0217】
1,11,11Aから11I,11C’,11I’,21,21Aから21F,31,31A,31B,31C 信号処理装置
2 受光センサ
3 画像生成部
4,14,14I,14J,24,24A,34 信号処理部
5,15,15A,15B,15C,15D,15H,15I,15J,25,25A,25C,25F,35,35A 制御部
12 偏光センサ
13 偏光画像生成部
13a 画像編成部
13b デモザイク部
13c 偏光状態推定部
13d 偏光画像生成処理部
Ap アプリケーション
Px,Px’,Px” 画素
PP 偏光画素ユニット
PC カラー偏光画素ユニット
16,17 検波部
18 RGB検波部
60,61,62,63,64,65,66 推論器
70,71,72,73 学習器
80,80J,81 物体検出部
200 再学習装置
F1 再学習開始制御部
F2 バリデーション部
F3 モデル更新制御部
At,At1,At2 対象被写体領域
22 分光センサ
23 分光画像生成部
23a デモザイク部
23b 狭帯域画像生成部
26,29-1,29-2,40 検波部
27 メモリ
28 評価値算出部
Pu 分光画素ユニット
Ic 光源色情報
32 iToFセンサ
33 画像生成部
33a 距離画像生成部
33b IR画像生成部
33c 信頼度画像生成部
36 発光部
37,38 検波部
Ob 対象物体
Li 照射光
Lr 反射光
45 認識処理部
46 認識率算出部
111 画素アレイ部
PD フォトダイオード
FD,FD-A,FD-B フローティングディフュージョン