(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111657
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】タイヤ着脱装置用補助装置
(51)【国際特許分類】
B60C 25/04 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
B60C25/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013610
(22)【出願日】2022-01-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000185916
【氏名又は名称】小野谷機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】牧野 智將
(57)【要約】
【課題】 超扁平タイヤであっても、ホイールからタイヤを取り外し、または前記ホイールにタイヤを取付けることができるタイヤ着脱装置用補助装置を提供する。
【解決手段】 タイヤのビード部が着座するリム部と、ハブ孔が形成されたハブ部を有するディスク部と、を備えたホイールのハブ孔に嵌合して、ホイールを着脱可能に把持するチャック部と、チャック部が連結され、水平な回転軸線まわりに回転駆動される回転軸と、回転軸を回転軸線まわりに回転させる回転駆動部と、を備え、タイヤ着脱装置に設けられるタイヤ着脱装置用補助装置であって、回転軸の先端部が挿入して嵌合する一端部を有する筒状の第1アームと、第1アームの他端部に直角に固定される一端部を有する第2アームと、第2アームの他端部に、第1アームと同一側に突出して配設された、弾発性材料から成るパッド部材とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのビード部が着座するリム部と、ハブ孔が形成されたハブ部を有するディスク部と、を備えたホイールの前記ハブ孔に嵌合して、前記ホイールを着脱可能に把持するチャック部と、前記チャック部が連結され、水平な回転軸線まわりに回転駆動される回転軸と、前記回転軸を前記回転軸線まわりに回転させる回転駆動部と、を備え、前記ホイールからタイヤを取り外す、または前記ホイールにタイヤを取付けるためのタイヤ着脱装置に設けられるタイヤ着脱装置用補助装置であって、
前記回転軸の先端部が挿入して嵌合する一端部を有する筒状の第1アームと、
前記第1アームの他端部に直角に固定される一端部を有する第2アームと、
前記第2アームの他端部に、前記第1アームと同一側に突出して配設された、弾発性材料から成るパッド部材と、を備えることを特徴とするタイヤ着脱装置用補助装置。
【請求項2】
前記第1アームに設けられ、一端部を前記回転軸の先端部に着脱可能に連結する連結体を備え
前記連結体は、
前記回転軸の前記先端部に着脱可能に当接する当接片と、
前記当接片が連結される一端部を有する昇降レバーと、
前記昇降レバーの他端部が連結され、中間部を有する第1リンク部材と、
前記第1アームに固定され、前記第1リンク部材の一端部が連結されるブラケットと、
前記ブラケットに連結される一端部を有する第2リンク部材と、
前記第1リンク部材の他端部に連結される一端部と、前記第2リンク部材の他端部に連結される他端部とを有する第3リンク部材と、
前記第2リンク部材の前記他端部および前記第3リンク部材の前記他端部に連結される一端部を有する操作レバーと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ着脱装置用補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの着脱作業を行うために、タイヤの着脱装置に取り付けて使用されるタイヤ着脱装置用補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの着脱装置に取り付けて使用される従来技術のタイヤ着脱装置用補助装置が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のタイヤ着脱装置用補助装置は、一端部がホイールの耳部に当接した状態で、他端部がチャックの回転軸に、該回転軸とともに回転可能に装着され、ビードローラの押圧力によってホイールに嵌められたタイヤビード部が、タイヤの弾性回復力によってビードローラから離れることによって、タイヤが再びホイールから外れてしまうことを防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来技術では、ビードローラの押圧力によってホイールに嵌められたタイヤビード部が、ビードローラをタイヤビード部から離しても、タイヤ着脱装置用補助装置によって押圧されているので、タイヤは自己の弾性回復力によってホイールから外れてしまうことを防止することができるが、超扁平タイヤと呼ばれる扁平率の高いタイヤにおいては、ホイールからタイヤを取り外す場合に、タイヤを回転させてビードローラを押し付けるだけでは、ホイールに密着したタイヤのビード部を、ホイールから容易に分離することができず、作業者がタイヤレバーなどの工具を用いて、タイヤビード部をホイールから分離する作業を行わなわなければならず、作業者の作業負担が増大しているという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、超扁平タイヤであっても、ホイールからタイヤを容易に取り外すことができ、またホイールにタイヤを容易に取付けることができるタイヤ着脱装置用補助装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、タイヤのビード部が着座するリム部と、ハブ孔が形成されたハブ部を有するディスク部と、を備えたホイールの前記ハブ孔に嵌合して、前記ホイールを着脱可能に把持するチャック部と、前記チャック部が連結され、水平な回転軸線まわりに回転駆動される回転軸と、前記回転軸を前記回転軸線まわりに回転させる回転駆動部と、を備え、前記ホイールからタイヤを取り外す、または前記ホイールにタイヤを取付けるためのタイヤ着脱装置に設けられるタイヤ着脱装置用補助装置であって、
前記回転軸の先端部が挿入して嵌合する一端部を有する筒状の第1アームと、
前記第1アームの他端部に直角に固定される一端部を有する第2アームと、
前記第2アームの他端部に、前記第1アームと同一側に突出して配設された、弾発性材料から成るパッド部材と、を備えることを特徴とするタイヤ着脱装置用補助装置である。
【0007】
また本発明において、タイヤ着脱装置用補助装置は、前記第1アームに設けられ、一端部を前記回転軸の先端部に着脱可能に連結する連結体を備え、
前記連結体は、
前記回転軸の前記先端部に着脱可能に当接する当接片と、
前記当接片が連結される一端部を有する昇降レバーと、
前記昇降レバーの他端部が連結され、中間部を有する第1リンク部材と、
前記第1アームに固定され、前記第1リンク部材の一端部が連結されるブラケットと、
前記ブラケットに連結される一端部を有する第2リンク部材と、
前記第1リンク部材の他端部に連結される一端部と、前記第2リンク部材の他端部に連結される他端部とを有する第3リンク部材と、
前記第2リンク部材の前記他端部および前記第3リンク部材の前記他端部に連結される一端部を有する操作レバーと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、超扁平タイヤであっても、タイヤの着脱装置に取り付けて、ホイールからタイヤを容易に取り外すことができ、またホイールにタイヤを容易に取付けることができるタイヤ着脱装置用補助装置を提供することができる。
【0009】
また本発明によれば、作業者は、連結体の操作レバーを操作して、タイヤ着脱装置用補助装置の回転軸への連結およびその連結状態の解除を簡単に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るタイヤ着脱装置用補助装置がタイヤ着脱装置に設けられた状態を示す一部断面図である。
【
図2】タイヤ着脱装置用補助装置がタイヤ着脱装置に設けられた状態を示す断面図である。
【
図3】タイヤ着脱装置用補助装置の部品構成を示す斜視図である。
【
図4】当接片が回転軸に当接した状態の断面図である。
【
図7】連結体のロック時の状態を示す正面図である。
【
図8】回転軸と第1アームとの接続状態を示す、縦断面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態の連結体を備えていないタイヤ着脱装置用補助装置の回転軸と第1アームとの接続状態を示す、縦断面図である。
【
図10】連結体を備えていないタイヤ着脱装置用補助装置の回転軸と第1アームとの接続状態を示す、縦断面図である。
【
図11】回転軸と第1アームとの接続状態を示す、縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ着脱装置用補助装置101がタイヤ着脱装置1に設けられた状態を示す一部断面図である。
図2は、タイヤ着脱装置用補助装置101がタイヤ着脱装置1に設けられた状態を示す断面図である。
図3は、タイヤ着脱装置用補助装置101の部品構成を示す斜視図である。
図4は、当接片189が回転軸12に当接した状態を示す断面図である。
図5は、連結体117の拡大斜視図である。
図6は、連結体117の開放時の状態を示す正面図であり、
図7は、連結体117のロック時の状態を示す正面図である。
【0012】
本実施形態において、超扁平タイヤと呼ばれる偏平率が55%以下のタイヤであって、タイヤのサイズが、たとえばタイヤ幅が445mm,タイヤ内径が22.5インチ,偏平率が50%であることを示す445/50R22.5およびタイヤ幅が455mm,タイヤ内径が22.5インチ,偏平率が55%であることを示す455/55R22.5であり、このようなタイヤは、直径22.5インチ×リム幅14.00インチのホイールに装着されるものが使用される。本実施形態で対象とするタイヤは、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至る本体部と、この本体部に連なりかつビードコアの周りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部とを有するカーカスを備える空気入りのホイール装着タイヤであって、サイドウォール部の外面に、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)からなるサイド補強層が配設されてもよい。炭素繊維強化プラスチックの強化繊維の配向方向は、タイヤ半径線に対して60度以下である。このようなサイド補強層は、タイヤ半径方向に対して、非常に高い引張弾性特性を発揮する構成である。したがって超扁平タイヤは、ホイールに取り付け、または取り外す際に、側壁部の剛性が極めて高く、本実施形態のタイヤ着脱装置用補助装置101を用いることによって、ホイールへの取り付けまたは取り外しを容易化することができる。
【0013】
タイヤ着脱装置用補助装置101は、ホイール8からタイヤ2を取り外す、またはホイール8にタイヤ2を取り付けるためのタイヤ着脱装置1に設けられる。タイヤ着脱装置1は、タイヤ2のビード部3が着座するリム部4と、ハブ孔5が形成されたハブ部6を有するディスク部7と、を備えたホイール8のハブ孔5に嵌合して、ホイール8を着脱可能に把持するチャック部11と、チャック部11が連結され、水平な回転軸線Lまわりに回転駆動される回転軸12と、回転軸12を回転軸線Lまわりに回転させる回転駆動部である油圧モータMと、を備えている。チャック部11は、2組の連結板52,53、ガイド板57、受け部材58、チャックフランジ62、4つのリンク部材65、4つのチャック爪13、シリンダケース68、ピストン72、デバイダ77、スリップリング83、およびスプロケットホイール85を含んで構成されており、複数(本実施形態では4)のチャック爪13が互いに半径方向外方に離反して拡径し、ホイール8のハブ部6を内側から把持することができる。スプロケットホイール85にチェーン86を介して油圧モータMからの回転力が伝達される。
【0014】
タイヤ着脱装置用補助装置101は、回転軸12の先端部が挿入して嵌合する一端部110を有する筒状の第1アーム111と、第1アーム111の他端部112に直角に、たとえば溶接して固定される一端部113を有する第2アーム114と、第2アーム114の他端部115に、第1アーム111と同一側に突出して配設された、弾発性材料から成るパッド部材166と、第1アーム111に設けられ、第1アーム111の一端部110を回転軸12の先端部に着脱可能に連結する連結体117と、を備えている。
【0015】
パッド部材166は、第2アーム114の他端部115に固定される金属製の台座175と、台座175に取付けられる当接部176とを有している。当接部176は、たとえば台座175にねじ止めされる。当接部176は、ホイール8の耳部21の側方に、耳部21に当接した状態で位置する第2当接部178と、第2当接部178が耳部21に当接した状態で、タイヤ2のサイドウォールとも呼ばれる側壁に、タイヤ2の外側から当接する第1当接部177とを含んでいる。第1当接部177の厚みは、タイヤ2に押込まれる第1当接部177の押込み量を考慮した厚みであり、第2当接部178よりも厚みが大きく、直方体状に形成されている。タイヤ2の側壁部の外面に当接する第1当接部177の当接面およびホイール8の耳部21に当接する第2当接部178の当接面は、ともに平面であるが、これに限定されるものではない。たとえば、タイヤ2の側壁部の外面に当接する第1当接部177の当接面を、タイヤ2のビード部3側に凸となる湾曲面としてもよい。
【0016】
第1アーム111、第2アーム114および台座175として、たとえば金属材料を使用することができる。第1アーム111および第2アーム114として、鋼鉄製のパイプ材を使用し、台座175として鋼鉄製の板材を使用することによって、高い剛性を得ることができる。当接部176の材料として、弾発性材料が使用されており、たとえばタイヤ2よりも硬質のブチレンゴムなどの合成ゴムが使用されてもよい。
【0017】
回転軸12の先端部は、第1アーム111よりも小径であり、第1アーム111に先端部を挿脱自在に挿入することができる。連結体117は、円柱状の当接片189と、昇降レバー120と、第1リンク部材121と、ブラケット122と、第2リンク部材123と、第3リンク部材124と、操作レバー125と、を備えている。これらの当接片189、昇降レバー120、第1リンク部材121、ブラケット122、第2リンク部材123、第3リンク部材124、および操作レバー125は、例えば構造用鋼材からなる。昇降レバー120は、当接片189が連結される一端部109を有する。第1リンク部材121は、昇降レバー120の他端部127が連結され、中間部128を有する。ブラケット122は、第1アーム111に固定され、第1リンク部材121の一端部135が連結される。第2リンク部材123は、ブラケット122に連結される一端部129を有する。第3リンク部材124は、第1リンク部材121の他端部130に連結される一端部131と、第2リンク部材123の他端部133に連結される他端部134とを有する。操作レバー125は、第3リンク部材124の他端部134に連結される。
【0018】
当接片189は、たとえばゴムを用いて形成されており、当接片189が金属で形成される場合に比べて、当接片189によって押え付けられる回転軸12が傷付くことを防止できる。当接片189は、ねじ棒189aに取付けられる。ねじ棒189aは、昇降レバー120を構成する後述の一対のフラットバー120a,120b間を挿通して昇降レバー120の外方へ突出する。ねじ棒189aの一対のフラットバー120a,120bから突出する突出部分には、ナット189bが螺着される。一対のフラットバー120a,120bは、一対の挟持金具189cによって挟着され、ナット189bを締め付けることによって一対のフラットバー120a,120bが挟持される。連結体117は、このような構成によって高い剛性を備えており、当接片189を、第1アーム111に形成された透孔111aに挿入するように正確に位置決めすることができる。
【0019】
作業者が、操作レバー125を押圧操作すると、連結体117の当接片189は、周縁190が透孔111aに接触しないように透孔111aに挿入され、回転軸12の外面に当接する。作業者が、操作レバー125を底付きするまで、さらに押圧操作すると、当接片189は、回転軸12の外面にさらに強い力で押付けられる。第2当接部178が耳部21に当接した状態で、回転軸線Lまわりに回転軸12とともに回転可能となる。
【0020】
本実施形態では、連結体117として、第1リンク部材121の一端部135と、第2リンク部材123の一端部129とが固定された4節リンク機構を用いたが、これに限定されるものではなく、たとえば電磁ソレノイドまたは空気圧シリンダなどによって、当接片189を駆動するように構成されてもよい。
【0021】
図8は、回転軸12と第1アーム111との接続状態を示す、縦断面図である。ここで、回転軸12の先端部とは、回転軸線L方向に第1アーム111内に挿入される、少なくとも当接片189が当接する回転軸12の部分を含む長さ範囲をいうものとする。前述するように、連結体117が配設される第1アーム111の壁部111cには、当接片189が接触しない透孔111a(
図4)が形成されており、作業者が操作レバー125を押圧操作することによって、当接片189は、透孔111aに挿入された状態で、回転軸12の壁部12aに当接する。そうすると、ホイール8にタイヤ2が装着されているか否かに関わらず、当接片189が回転軸12の壁部12aを押圧する。この当接片189の押圧力によって、第1アーム111が回転軸12に対して僅かに傾き、壁部12aの外周角部12cが、第1アーム111の壁部111c内面に押付けられ、第1アーム111の壁部111cと対向する壁部111dの一端側の内周角部111eが壁部12aと対向する壁部12bの外面に押し付けられる。これによって、壁部111cの内面を壁部12aの外周角部12cに噛み込ませることができ、壁部111dの内周角部111eを壁部12bの外面に噛み込ませることができる。
【0022】
これによって、タイヤ2のホイール8に対する着脱時に、パッド部材166を介してタイヤ着脱装置用補助装置101に作用するタイヤ2からの回転軸線L方向の反力によって、第1アーム111が回転軸線Lに沿って、回転軸12から抜出する方向に変位することを抑制できる。
【0023】
図9および
図10は、本発明の他の実施形態のタイヤ着脱装置用補助装置101が連結体117を備えない場合の回転軸12と第1アーム111との接続状態を示す、縦断面図である。
図9は、ホイール8にタイヤ2が装着されていない状態での第1アーム111と回転軸12との接続状態を示し、
図10は、ホイール8にタイヤ2が装着された状態での第1アーム111と回転軸12との接続状態を示す。
【0024】
図9に示すように、ホイール8にタイヤ2が装着されていない状態で、回転軸12に第1アーム111が装着されると、回転軸12の外周と第1アーム111の内周との間に、回転軸線Lに垂直な方向の隙間c(
図9)が生じる。この状態で、タイヤ2がホイール8に掛止められると、タイヤ2がホイール8に装着されるときに、タイヤ着脱装置用補助装置101に掛かるタイヤ2からの回転軸線L方向の反力によって、第1アーム111は、回転軸線Lに沿って、回転軸12から抜出する方向に力が作用する。
【0025】
図11は、
図8の切断面線XI-XIから見た断面図であり、回転軸12と第1アーム111との接続状態を示す、軸直角断面図である。
図11に示すように、回転軸12および第1アーム111は、ともに角パイプで構成されている。回転軸12の外面と第1アーム111の内面との間の隙間は、微小であるため、回転軸12が反時計方向に回転しようとすると、回転軸12の回転方向上流側に位置する4つの外周角部12fが第1アーム111の右下に位置する内周角部111fに当接する。さらに、回転軸12の左上に位置する外周角部12fが第1アーム111の左上に位置する内周角部111fに当接する。これによって、回転軸12が第1アーム111内で角変位することが防止される。
【0026】
仮に、回転軸12が第1アーム111内で角変位すると、回転軸12の回転力がパッド部材166に確実に伝達されなくなるおそれがあり、回転が伝達されても回転軸12の角度が第1アーム111の内周角部に当接し、損傷するおそれがある。本実施形態では、第1アーム111と回転軸12との隙間を前述のcとすることによって、第1アーム111の内周角部の損傷を防止している。このような隙間cとしては、たとえばcは1mm以上2mm以下に選ばれる。
【0027】
第1アーム111に形成される透孔111aの直径は、当接片189の直径に、回転軸12と第1アーム111との間の隙間の最大幅を加えた長さ以上の寸法とされる。これによって、当接片189が透孔111aの内周面に接触せずに、回転軸12に対する第1アーム111の微小な変位を許容することができる。当接片189が透孔111aの内周面から大きな力で押圧されて損傷することが防がれる。
【0028】
なお、
図11に示すように、第1アーム111は、傾いた状態で回転軸12に装着されており、第1アーム111の壁部111c内面に押し付けられているのは、回転軸12の壁部12aの外周角部12cの一部分である。また、第1アーム111の壁部111c内面に押し付けられているのは、壁部111cと回転軸線Lに垂直な一直径線方向に対向する壁部111dの一端部側内周角部111eの一部である。
【0029】
このように、当接片189が回転軸12に当接した状態では、第1アーム111は、回転軸12に対して回転軸線L方向の変位が抑制され、パッド部材166は、タイヤ2の側壁部を一定位置で押圧しながら回転する。回転軸12の回転力は、第1アーム111、第2アーム114を経てパッド部材166に伝達される。
【0030】
このように、超扁平タイヤと呼ばれる扁平率の高いタイヤ2であっても、タイヤ着脱装置1のビードローラによってタイヤ2の側壁部を押し込んだ状態で、パッド部材166によってタイヤ2の一方の側壁部を一方のリブから押し当てた状態に維持しながら、回転軸12とともに回転させることによって、ホイール8に強固に密着しているタイヤ2の一方のビード部3を、ホイール8の一方のリブから確実に分離することができる。
【0031】
なお、第1アーム111として、たとえば構造用鋼材からなる角パイプを使用することによって、連結体117のブラケット122を、第1アーム111の平面状の外面に安定して容易にねじ止め等によって大きな強度で固定することができる。
【0032】
ここで、タイヤ着脱装置用補助装置101を使用して、タイヤ2をホイール8から取り外す手順について説明する。まず、タイヤ着脱装置用補助装置101の第2当接部178がホイール8の一方の耳部21に当接した状態で、第1アーム111を回転軸12に嵌め込んだ後、操作レバー125を押圧操作して、第1アーム111が回転軸12から抜け出さないようにする。そして、一方のビード部3に第1当接部177を当接させながらタイヤ2を回転させて、ホイール8に密着している一方のビード部3をホイール8から分離させる。一方のビード部3をホイール8から分離させた状態で、他方のビード部3をビードローラで押し出す。このように、他方のビード部3をビードローラで押し出す前に、一方のビード部3をホイール8から分離させることによって、他方のビード部3の脱作業に掛かる負担を少なくすることができる。
【0033】
一方のビード部3をホイール8から押出した後、タイヤ着脱装置用補助装置101を取り外す手順について説明する。まず、タイヤ着脱装置1のビードローラを、上方に移動させて逃がす。次にタイヤ着脱装置1のチャック部11を下降させてタイヤ2を着地させ、さらにチャック部11を僅かに下降させて、タイヤ2の高さ位置とホイール8の高さ位置とを合わせる。そして、タイヤ着脱装置用補助装置101の操作レバー125を引き上げて操作レバー125のロックを解除した後、タイヤ2を手で押しながらタイヤ着脱装置用補助装置101を引き抜く。
【0034】
次に、タイヤ着脱装置用補助装置101を使用して、一対のビード部3のうち、後に装着するビード部3の装着手順について説明する。まず、ビードローラで、後に装着するビード部3を10cm程度押込んだ後、ビードローラの回転方向下流側にパッド部材166が位置するように、タイヤ着脱装置用補助装置101を回転軸12に装着する。タイヤ着脱装置用補助装置101は、第2当接部178がホイール8の耳部21に当接するように装着される。タイヤ2を回転し、一対のビード部3のうち、先に装着したビード部3がホイール8から分離していることを確認した後、ビードローラの押込みを2cm~3cm程度に緩め、さらにタイヤ2を回転して、タイヤ2を組み込む。
【0035】
一対のビード部3をホイール8に装着した後、タイヤ着脱装置用補助装置101を取り外す手順について説明する。まず、タイヤ着脱装置用補助装置101をビードローラの下方に移動させ、ビードローラを10cm程度押込んでタイヤを回転させた後、操作レバー125を押し上げてタイヤ着脱装置用補助装置101のロック状態を解除して取り外す。
【0036】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、また、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
1,200 タイヤ着脱装置
2,206 タイヤ
3 ビード部
4 リム部
5 ハブ孔
6 ハブ部
7 ディスク部
8,203 ホイール
11,202 チャック部
12 回転軸
13 チャック爪
21 耳部
101,401 タイヤ着脱装置用補助装置
109 昇降レバーの一端部
110 第1アームの一端部
111 第1アーム
112 第1アームの他端部
113 第2アームの一端部
114 第2アーム
115 第2アームの他端部
117 連結体
120 昇降レバー
121 第1リンク部材
122 ブラケット
123 第2リンク部材
124 第3リンク部材
125 操作レバー
127 昇降レバーの他端部
128 中間部
129 第2リンク部材の一端部
130 第1リンク部材の他端部
131 第3リンク部材の一端部
133 第2リンク部材の他端部
134 第3リンク部材の他端部
135 第1リンク部材の一端部
166 パッド部材
175 台座
176 当接部
177 第1当接部
178 第2当接部
189 当接片
190 周縁
201 クランプアーム
204 ビードローラ
205 ハブ孔周縁
207 ツメ
L 回転軸線
M 油圧モータ
【手続補正書】
【提出日】2022-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのビード部が着座するリム部と、ハブ孔が形成されたハブ部を有するディスク部と、を備えたホイールの前記ハブ孔に嵌合して、前記ホイールを着脱可能に把持するチャック部と、前記チャック部が連結され、水平な回転軸線まわりに回転駆動される回転軸と、前記回転軸を前記回転軸線まわりに回転させる回転駆動部と、を備え、前記ホイールからタイヤを取り外す、または前記ホイールにタイヤを取付けるためのタイヤ着脱装置に設けられるタイヤ着脱装置用補助装置であって、
前記回転軸の先端部が挿入して嵌合する一端部を有する筒状の第1アームと、
前記第1アームの他端部に直角に固定される一端部を有する第2アームと、
前記第2アームの他端部に、前記第1アームと同一側に突出して配設された、弾発性材料から成るパッド部材と、
前記第1アームに設けられ、一端部を前記回転軸の先端部に着脱可能に連結する連結体と、を備え、
前記パッド部材は、前記第2アームの前記他端部に固定される金属製の台座と、前記台座に設けられる当接部とを有し、
前記当接部は、前記ホイールの耳部に当接するように位置する第2当接部と、前記第2当接部が前記耳部に当接した状態で前記タイヤの側壁に当接する第1当接部とを有し、
前記連結体は、
前記回転軸の前記先端部に着脱可能に当接する当接片と、
前記当接片が連結される一端部を有する昇降レバーと、
前記昇降レバーの他端部が連結され、中間部を有する第1リンク部材と、
前記第1アームに固定され、前記第1リンク部材の一端部が連結されるブラケットと、
前記ブラケットに連結される一端部を有する第2リンク部材と、
前記第1リンク部材の他端部に連結される一端部と、前記第2リンク部材の他端部に連結される他端部とを有する第3リンク部材と、
前記第2リンク部材の前記他端部および前記第3リンク部材の前記他端部に連結される一端部を有する操作レバーと、を備え、
前記パッド部材を前記タイヤのビード部に当接させながら前記タイヤを回転させて、前記ホイールに密着しているビード部を前記ホイールから分離させることを特徴とするタイヤ着脱装置用補助装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、タイヤのビード部が着座するリム部と、ハブ孔が形成されたハブ部を有するディスク部と、を備えたホイールの前記ハブ孔に嵌合して、前記ホイールを着脱可能に把持するチャック部と、前記チャック部が連結され、水平な回転軸線まわりに回転駆動される回転軸と、前記回転軸を前記回転軸線まわりに回転させる回転駆動部と、を備え、前記ホイールからタイヤを取り外す、または前記ホイールにタイヤを取付けるためのタイヤ着脱装置に設けられるタイヤ着脱装置用補助装置であって、
前記回転軸の先端部が挿入して嵌合する一端部を有する筒状の第1アームと、
前記第1アームの他端部に直角に固定される一端部を有する第2アームと、
前記第2アームの他端部に、前記第1アームと同一側に突出して配設された、弾発性材料から成るパッド部材と、
前記第1アームに設けられ、一端部を前記回転軸の先端部に着脱可能に連結する連結体と、を備え、
前記パッド部材は、前記第2アームの前記他端部に固定される金属製の台座と、前記台座に設けられる当接部とを有し、
前記当接部は、前記ホイールの耳部に当接するように位置する第2当接部と、前記第2当接部が前記耳部に当接した状態で前記タイヤの側壁に当接する第1当接部とを有し、
前記連結体は、
前記回転軸の前記先端部に着脱可能に当接する当接片と、
前記当接片が連結される一端部を有する昇降レバーと、
前記昇降レバーの他端部が連結され、中間部を有する第1リンク部材と、
前記第1アームに固定され、前記第1リンク部材の一端部が連結されるブラケットと、
前記ブラケットに連結される一端部を有する第2リンク部材と、
前記第1リンク部材の他端部に連結される一端部と、前記第2リンク部材の他端部に連結される他端部とを有する第3リンク部材と、
前記第2リンク部材の前記他端部および前記第3リンク部材の前記他端部に連結される一端部を有する操作レバーと、を備え、
前記パッド部材を前記タイヤのビード部に当接させながら前記タイヤを回転させて、前記ホイールに密着しているビード部を前記ホイールから分離させることを特徴とするタイヤ着脱装置用補助装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、作業者は、連結体の操作レバーを操作して、タイヤ着脱装置用補助装置の回転軸への連結およびその連結状態の解除を簡単に行なうことができる。