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特開2023-111674移動サービス提供システム、移動サービス提供方法、移動サービス提供装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111674
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】移動サービス提供システム、移動サービス提供方法、移動サービス提供装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20230803BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
G06Q50/30
G08G1/123 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013637
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 真樹
(72)【発明者】
【氏名】御厨 裕
(72)【発明者】
【氏名】明李 成博
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA14
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181MA44
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】車両を運行する移動サービスの提供を受ける利用者と、移動サービスを予約する予約者とが異なる場合において、サービス利用項目に関する情報の共有を、利用者と予約者との関係に応じて制限することで、利用者のプライバシーを保護する。
【解決手段】制御装置2は、移動サービスの提供を受ける利用者と、移動サービスを予約する予約者とが異なる場合に、予約者と利用者を登録者データベース23と照合することにより、予約者と利用者との間の関係を判定し(S30)、予約者と利用者との間の関係に応じて、移動サービスにおいて利用者が利用できる事項であるサービス利用項目に関する情報のうち、予約者と利用者とが共有する情報を制限する(S31~S35)。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運行する移動サービス提供システムであって、
前記移動サービスに供される車両と、
前記移動サービスの予約を行う予約者が操作する端末装置である電子装置から、前記移動サービスの提供を受ける利用者の情報を少なくとも含んだ予約情報を受信して、前記予約情報に応じて前記利用者の利用に供する車両を手配する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記移動サービス提供システムを使用するために予め登録された登録者と、前記登録者間の関係に関する情報と、を記憶する登録者データベースを備え、
前記予約者と前記利用者とが異なる場合に、前記予約者及び前記利用者を前記登録者データベースと照合することにより、前記予約者と前記利用者との間の関係を判定し、
前記予約者と前記利用者との間の関係に応じて、前記移動サービスにおいて前記利用者が利用できる事項であるサービス利用項目に関する情報のうち、前記予約者と前記利用者とが共有する情報を制限する、
ことを特徴とする移動サービス提供システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記予約者と前記利用者との間の関係として、前記予約者が前記利用者の法律上の監督者、前記利用者に介護サービスを提供する者、又は業務として委託を受けて前記利用者のために前記移動サービスの予約を行う者であるかを判定することを特徴とする請求項1に記載の移動サービス提供システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記予約者と前記利用者との間の関係が第1の関係である場合に、前記サービス利用項目に関する情報の全ての共有を許可し、
前記予約者と前記利用者との間の関係が第2の関係である場合に、前記サービス利用項目に関する情報のうち共有する情報を制限する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動サービス提供システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記予約者と前記利用者との間の関係が第1の関係である場合に、前記利用者が前記車両から降車するまでの間は、前記サービス利用項目に関する情報を共有し、
前記予約者と前記利用者との間の関係が第2の関係である場合に、前記利用者が前記車両に乗車するまでの間は、前記サービス利用項目に関する情報を共有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれかに記載の移動サービス提供システム。
【請求項5】
前記第1の関係は、前記予約者が前記利用者の法律上の監督者又は前記利用者に介護サービスを提供する者であり、
前記第2の関係は、前記予約者が業務として委託を受けて前記利用者のために前記移動サービスの予約を行う者であることを特徴とする請求項3又は4に記載の移動サービス提供システム。
【請求項6】
車両を運行する移動サービス提供方法であって、
前記移動サービス提供方法を使用するために予め登録された登録者と、前記登録者間の関係に関する情報と、が予め登録者データベースに記憶され、
前記移動サービスを予約するときに操作する端末装置である電子装置が、移動サービスを予約する予約者による操作を受け付けて、前記移動サービスの提供を受ける利用者の情報を少なくとも含んだ予約情報を制御装置へ送信し、
前記制御装置が、
前記予約情報に応じて前記利用者の利用に供する車両を手配し、
前記予約者と前記利用者とが異なる場合に、前記予約者と前記利用者を前記登録者データベースと照合することにより、前記予約者と前記利用者との間の関係を判定し、
前記予約者と前記利用者との間の関係に応じて、前記移動サービスにおいて前記利用者が利用できる事項であるサービス利用項目に関する情報のうち、前記予約者と前記利用者とが共有する情報を制限する、
ことを特徴とする移動サービス提供方法。
【請求項7】
車両を運行する移動サービス提供装置であって、
前記移動サービス提供装置を使用するために予め登録された登録者と、前記登録者間の関係に関する情報と、が予め登録者データベースに記憶され、
前記移動サービスを予約するときに操作する端末装置である電子装置が、移動サービスを予約する予約者による操作を受け付けて、前記移動サービスの提供を受ける利用者の情報を少なくとも含んだ予約情報を制御装置へ送信する処理と、
前記予約情報に応じて前記利用者の利用に供する車両を手配する処理と、
前記予約者と前記利用者とが異なる場合に、前記予約者と前記利用者を前記登録者データベースと照合することにより、前記予約者と前記利用者との間の関係を判定する処理と、
前記予約者と前記利用者との間の関係に応じて、前記移動サービスにおいて前記利用者が利用できる事項であるサービス利用項目に関する情報のうち、前記予約者と前記利用者とが共有する情報を制限する処理と、
を実行するコンピュータを備えることを特徴とする移動サービス提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動サービス提供システム、移動サービス提供方法、移動サービス提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、オンデマンド交通を利用する見守対象者(例えば、高齢者)から依頼を受けた見守者がオンデマンド交通の予約を行うことができるとともに、乗降日時、停車地点、乗降者名、予約どおりに見守対象者が乗車したか否かの通知情報を見守者に送信する通知方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-212536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両を運行する移動サービスにおいて、移動サービスの提供を受ける利用者と移動サービスを予約する予約者とが異なる場合には、移動サービスにおいて利用者が利用できる事項(以下、「サービス利用項目」と表記する)に関する情報を、予約者が共有することが好ましい場合がある。例えば、移動サービスの提供を受ける利用者が低年齢の子供や高齢者である場合には、利用者の現在位置を示す情報を予約者が共有することが好ましいことがある。
一方で、全ての情報を利用者と予約者が共有すると、利用者のプライバシーが保護されない虞がある。
本発明は、車両を運行する移動サービスの提供を受ける利用者と、移動サービスを予約する予約者とが異なる場合において、サービス利用項目に関する情報の共有を、利用者と予約者との関係に応じて制限することで、利用者のプライバシーを保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、車両を運行する移動サービス提供システムが与えられる。移動サービス提供システムは、移動サービスに供される車両と、移動サービスの予約を行う予約者が操作する端末装置である電子装置から、移動サービスの提供を受ける利用者の情報を少なくとも含んだ予約情報を受信して、予約情報に応じて利用者の利用に供する車両を手配する制御装置と、を備える。制御装置は、移動サービス提供システムを使用するために予め登録された登録者と、登録者間の関係に関する情報と、を記憶する登録者データベースを備え、予約者と利用者とが異なる場合に、予約者及び利用者を登録者データベースと照合することにより、予約者と利用者との間の関係を判定し、予約者と利用者との間の関係に応じて、移動サービスにおいて利用者が利用できる事項であるサービス利用項目に関する情報のうち、予約者と利用者とが共有する情報を制限する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両を運行する移動サービスの提供を受ける利用者と、移動サービスを予約する予約者とが異なる場合において、サービス利用項目に関する情報の共有を、利用者と予約者との関係に応じて制限する。これにより、利用者のプライバシーを保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の移動サービス提供システムの一例の概略構成図である。
図2A図1の第一電子装置の機能構成の一例の説明図である。
図2B図1の制御装置の機能構成の一例の説明図である。
図2C図1の第二電子装置の機能構成の一例の説明図である。
図3】サービス利用項目に関する情報の共有を制限する一例の説明図である。
図4】移動サービスを予約する際の動作の一例のシーケンス図である。
図5】関係判定処理の一例のフローチャートである。
図6】移動サービスを利用する際の動作の一例のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(構成)
図1は、実施形態の移動サービス提供システムの一例の概略構成図である。移動サービス提供システム1は、車両3を運行することにより利用者を移動させる移動サービスを提供するシステムである。本明細書において移動サービス提供システム1による移動サービスに供される車両3を「サービス車両」と表記する。
移動サービス提供システム1は、制御装置2と、サービス車両3とを少なくとも備える。
また、第一電子装置4は、移動サービス提供システム1による移動サービスを予約する者(以下、「予約者」と表記する)が操作する端末装置であり、第二電子装置5は、移動サービス提供システム1による移動サービスの提供を受ける者(以下、「利用者」と表記する)が操作する端末装置である。例えば、第一電子装置4は、予約者が携行可能な携帯情報端末や、持ち運びが容易な小型コンピュータであってもよく、机上に備え付けられたコンピュータであってもよい。例えば、第二電子装置5は、例えば、予約者が携行可能な携帯情報端末や、持ち運びが容易な小型コンピュータであってもよい。
【0010】
予約者は、移動サービスを予約する際に、第一電子装置4を用いて制御装置2にアクセスする。予約者は、移動サービスを予約する前に、移動サービス提供システム1を使用するための専用アプリケーションソフトウエアを、第一電子装置4に予めインストールしておき、専用アプリケーションソフトウエアを用いて予約をしてもよい。以下の説明において、「アプリケーションソフトウエア」を単に「ソフトウエア」と表記する。また、予約者は、第一電子装置4のブラウザ機能を利用して、インターネット上で移動サービスの予約を受け付けるサイトで移動サービスを予約してもよい。
第一電子装置4は、移動サービスの予約に関する予約者による入力操作を受け付ける。第一電子装置4は、予約者から入力された情報に基づいて移動サービスの予約を申し込むための予約情報を生成し、制御装置2へ予約情報を送信する。予約情報は、例えば、移動サービスの提供を受ける利用者に関する情報(例えば、利用者の識別情報)と、サービス車両3に乗車する乗車場所及び乗車日時、サービス車両3から降車する降車場所の情報を含んでよい。
【0011】
第一電子装置4は、通信装置40と、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)41と、コントローラ42とを備える。
通信装置40は、第一電子装置4と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置40による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による無線通信、衛星通信等であってよい。第一電子装置4は、通信装置40によって、制御装置2や第二電子装置5との間でデータを送受信する。
HMI41は、第一電子装置4と予約者との間で情報を授受するインタフェース装置である。HMI41は、予約者が視認可能な表示装置や、警報音、通知音、音声情報を出力するスピーカやブザーを備える。またHMI41は、予約者による第一電子装置4への操作入力を受け付ける操作子や音声入力デバイスを備える。操作子は、ボタンやスイッチ、レバー、ダイヤル、キーボード、タッチパネル等であってもよい
【0012】
コントローラ42は、第一電子装置4の動作を制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。コントローラ42は、プロセッサ43と、記憶装置44等の周辺部品とを含む。プロセッサ43は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。記憶装置44は、レジスタ、キャッシュメモリや、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等、メモリ等の一時的でない有形の記憶媒体(non-transitory tangible storage media)を含んでよい。
以下に説明する第一電子装置4の機能は、例えば、プロセッサ43が、記憶装置44に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0013】
制御装置2は、第一電子装置4から予約情報を受信して、予約情報に応じて利用者の利用に供するサービス車両3を手配する。制御装置2は、プロセッサ20と、記憶装置21と、通信装置22と、登録者データベース(登録者DB)23と、地図データベース(地図DB)24と、予約データベース(予約DB)25を備える。
プロセッサ20は、例えば、CPUやMPUであってよい。記憶装置21は、レジスタ、キャッシュメモリや、主記憶装置として使用されるROMやRAM等、メモリ等の一時的でない有形の記憶媒体を含んでよい。以下に説明する制御装置2の機能は、例えば、記憶装置21に格納されたコンピュータプログラムを、プロセッサ20が実行することにより実現される。
【0014】
通信装置22は、制御装置2と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置22による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による有線通信や無線通信、衛星通信、サービス車両3との間の路車間通信等であってよい。
制御装置2は、通信装置22によって、サービス車両3、第一電子装置4、第二電子装置5との間でデータを送受信する。
【0015】
登録者DB23は、移動サービス提供システム1を使用する者を登録するためのデータベースである。以下の説明において登録者DB23に登録された者を「登録者」と表記する。例えば、移動サービス提供システム1を使用する者として、移動サービス提供システム1による移動サービスを予約する予約者と、移動サービスの提供を受ける利用者と、が登録者DB23に登録されている。
予約者と利用者とを登録者DB23に登録する態様として、様々な態様を採用できる。例えば、予約者及び利用者は、移動サービスの予約及び利用の両方が可能な者(すなわち、予約者としても利用者としても移動サービス提供システム1を使用できる者)として登録者DB23に登録してもよい。
【0016】
また、例えば、移動サービスの予約のみが可能な者(すなわち、予約者としてのみ移動サービス提供システム1を使用できる者)又は移動サービスの予約及び利用の両方が可能な者を主たる登録者として登録者DB23に登録し、移動サービスの利用のみが可能な者(すなわち、利用者としてのみ移動サービス提供システム1を使用できる者)を、主たる登録者に付随する従たる登録者として登録してもよい。
また、例えば、移動サービスの利用のみが可能な者又は移動サービスの予約及び利用の両方が可能な者を主たる登録者として登録者DB23に登録し、移動サービスの予約のみが可能な者を、主たる登録者に付随する従たる登録者として登録してもよい。
【0017】
また、登録者DB23に登録されている異なる登録者どうしの間に関係が存在する場合、登録者間の関係を登録者DB23に登録する。
このような登録者間の関係として、ある登録者が他の登録者の法律上の監督者であることを登録者DB23に登録してもよい。法律上の監督者の例として、ある登録者が他の登録者の親であることや、他の登録者の後見人であること、高齢の他の登録者の子供であることを登録してもよい。
また、登録者間の関係として、例えば、ある登録者が他の登録者に介護サービスを提供する者であることを登録者DB23に登録してもよい。
このように、ある登録者が他の登録者の法律上の監督者である関係や、ある登録者が他の登録者に介護サービスを提供する者である関係を、本明細書において「第1の関係」と表記する。
【0018】
また、登録者間の関係として、業務として委託を受けて他の登録者のために移動サービスの予約を行う者であることを登録者DB23に登録してもよい。例えば、登録者が他の登録者の秘書や執事等であることを登録してよい。
このように、ある登録者が業務として委託を受けて他の登録者のために移動サービスの予約を行う関係を、本明細書において「第2の関係」と表記する。
【0019】
登録者間の関係を登録者DB23に登録する態様として、様々な態様を採用できる。例えば、移動サービスの予約及び利用の両方が可能な者として別個に登録された登録者間の関係を登録する場合には、これらの登録者どうしを関連付けるリンク情報と、これらの登録者どうしの関係を示す関係属性情報を登録者DB23に記憶してよい。
また、主たる登録者に付随して登録された従たる登録者と主たる登録者との間の関係を登録する場合には、主たる登録者と従たる登録者の間の関係を示す関係属性情報を、主たる登録者又は従たる登録者の登録情報に付加して登録者DB23に記憶してよい。
【0020】
図DB24には、移動サービス提供システム1が移動サービスを提供する地域の地図情報が格納されている。地図情報は、例えば、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビゲーション地図」という)であってよい。
制御装置2は、第一電子装置4から予約情報を受信すると、地図DB24に格納されている地図情報に基づいて、予約情報に含まれる乗車場所から降車場所まで至る走行経路を算出する。また、制御装置2は、予約情報に含まれる乗車日時にサービス車両3が発車し、走行経路を走行して降車場所に到着する降車日時を予測する。
制御装置2は、第一電子装置4から受信した予約情報に含まれる乗車場所、乗車日時、降車場所と、制御装置2が算出した走行経路及び降車日時とを、サービス車両3の走行計画(すなわち、利用者に提供する移動サービスの走行計画)として、利用者の識別情報とともに予約DB25に記憶する。
また、制御装置2は、乗車場所、乗車日時、降車場所、降車日時及び走行経路を含んだ走行計画を、サービス車両3へ送信する。
【0021】
サービス車両3は、ユーザの要求に応じて運行する車両(いわゆる、デマンド型交通の車両)であり、例えば、乗り合いタクシーやロボットタクシーであってよい。サービス車両3は、制御装置2から送信される走行計画に従って、運転者(人間)が関与せずに、コントローラ36によってサービス車両3を自動的に運転する自律運転車両である。
サービス車両3は、制御装置2から走行計画を受信すると、走行計画に含まれる乗車日時までに到着するように乗車場所まで走行する。乗車場所において利用者がサービス車両3に乗車すると、走行計画に含まれる走行経路に沿って降車場所まで走行する。
【0022】
サービス車両3は、センサ30と、測位装置31と、地図データベース(地図DB)32と、通信装置33と、車内端末34と、車載機器35と、コントローラ36と、アクチュエータ37と、を備える。
センサ30は、サービス車両3の周囲の物体を検出する物体センサや、サービス車両3から得られる様々な情報(車両状態)を検出する車両センサを含む。
物体センサは、例えば、サービス車両3の周囲に存在する物体とサービス車両3との相対位置、サービス車両3と物体との距離、物体が存在する方向等のサービス車両3の周囲環境を検出する。物体センサは、例えば、サービス車両3の周囲環境を撮影するカメラを含んでよい。また、例えば、物体センサは、レーザレンジファインダ(LRF)やレーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging)のレーザレーダ等の測距装置を含んでもよい。物体センサは、検出したサービス車両3の周囲環境の情報である周囲環境情報をコントローラ36へ出力する。
車両センサは、例えば、サービス車両3の走行速度(車速)を検出する車速センサ、サービス車両3が備える各タイヤの回転速度を検出する車輪速センサ、サービス車両3の3軸方向の加速度(減速度を含む)を検出する3軸加速度センサ(Gセンサ)、操舵角(転舵角を含む)を検出する操舵角センサ、サービス車両3に生じる角速度を検出するジャイロセンサ、ヨーレイトを検出するヨーレイトセンサを含んでよい。車両センサは、車両状態情報をコントローラ36へ出力する。
【0023】
測位装置31は、サービス車両3の現在位置及び姿勢を測定する。測位装置31は、例えば全地球型測位システム(GNSS)受信機を備えてよい。GNSS受信機は、例えば地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置31は、慣性航法装置を備えてもよい。測位装置31は、測定した現在位置の現在位置情報をコントローラ36へ出力する。
図DB32は、地図情報を記憶する。地図情報は、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビゲーション地図」という)と、自動運転用の地図として好適な高精度地図データ(以下、単に「高精度地図」という)とを含んでいてよい。
通信装置33は、サービス車両3と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置33による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による無線通信、衛星通信、路車間通信等であってよい。
サービス車両3は、通信装置33によって制御装置2との間でデータを送受信する。
【0024】
車内端末34は、サービス車両3に乗車する利用者によって使用される端末装置である。端末装置は、コントローラ36と別個の情報端末装置であってもよく、利用者とコントローラ36との間で情報を授受するHMIであってもよい。利用者は、車内端末34を使用して各種情報提供サービス(例えば、インターネット、ニュースや動画、音楽の配信サービス)の利用や、クーポンの取得が可能である。また、例えば、車内端末34は、サービス車両3の利用を開始する際に、利用者の認証手続に用いることができる。また、例えば、利用者がサービス車両3の走行計画を変更するために用いることができる。
車載機器35は、サービス車両3の窓の開閉装置、ドアの施錠装置、エアコン装置、オーディオ装置等である。
【0025】
コントローラ36は、サービス車両3を制御する電子制御ユニットである。例えば、コントローラ36は、サービス車両3の自律運転制御を行う。コントローラ36は、プロセッサ38と、記憶装置39等の周辺部品とを含む。プロセッサ38は、例えば、CPUやMPUであってよい。記憶装置39は、レジスタ、キャッシュメモリや、主記憶装置として使用されるROMやRAM等、メモリ等の一時的でない有形の記憶媒体を含んでよい。コントローラ36の機能は、例えば、プロセッサ38が、記憶装置39に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
コントローラ36は、センサ30からの周囲環境情報及び車両状態情報と、測位装置31の測位結果と、地図DB32の地図情報とに基づいて、サービス車両3を走行計画に従って走行させる自律運転制御を実行する。例えば、コントローラ36は、サービス車両3の現在位置及び姿勢と、走行計画に含まれる走行経路と、地図情報と、サービス車両3の周囲環境とに基づいて、サービス車両3を走行させる目標走行軌道を算出する。例えば、サービス車両3の周辺の経路や物体の有無を表現する経路空間マップと、走行場所の危険度を数値化したリスクマップとを生成し、サービス車両3の運動特性、車両状態情報、経路空間マップと、リスクマップとに基づいて、サービス車両3を走行させる目標走行軌道を生成する。コントローラ36は、生成した目標走行軌道に沿ってサービス車両3が走行するようにアクチュエータ37を駆動する。
アクチュエータ37は、コントローラ36からの制御信号に応じて、サービス車両3の操舵装置と、駆動装置と制動装置を操作し、サービス車両3の車両挙動を発生させることにより、サービス車両3を自動的に運転する。アクチュエータ37は、操舵アクチュエータと、アクセル開度アクチュエータと、ブレーキ制御アクチュエータを備える。また、アクチュエータ37は、コントローラ36からの制御信号に応じて、サービス車両3のドアモータ等を操作して、サービス車両3のドア(例えば、後部座席のスライドドア)を自動的に開閉する。
【0026】
第二電子装置5は、サービス車両3の利用者によって使用される端末装置である。例えば、第二電子装置5は、サービス車両3の利用を開始する際に、利用者の認証手続に用いてもよく、利用者が、サービス車両3の走行計画を変更するために用いることができる。利用者は、第二電子装置5を使って移動サービスを利用する際には、移動サービス提供システム1を使用するための専用ソフトウエアを、第二電子装置5に予めインストールしておく。
【0027】
第二電子装置5は、測位装置50と、通信装置51と、HMI52と、コントローラ53を備える。
測位装置50は、第二電子装置5の現在位置(すなわち、利用者の現在位置)を測定する。測位装置50は、例えば、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備えてよい。GNSS受信機は、例えば、地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置50は、慣性航法装置を備えてもよい。測位装置50は、第二電子装置5の現在位置情報をコントローラ36へ出力する。
【0028】
通信装置51は、第二電子装置5と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置51による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による無線通信、衛星通信等であってよい。第二電子装置5は、通信装置51によって、制御装置2や第一電子装置4との間でデータを送受信する。
HMI52は、第二電子装置5と利用者との間で情報を授受するインタフェース装置である。HMI52は、予約者が視認可能な表示装置や、警報音、通知音、音声情報を出力するスピーカやブザーを備える。また、HMI52は、予約者による第二電子装置5への操作入力を受け付ける操作子や音声入力デバイスを備える。操作子は、ボタンやスイッチ、レバー、ダイヤル、キーボード、タッチパネル等であってもよい
【0029】
コントローラ53は、第二電子装置5の動作を制御する電子制御ユニットである。コントローラ53は、プロセッサ54と、記憶装置55等の周辺部品とを含む。プロセッサ54は、例えば、CPUやMPUであってよい。記憶装置55は、レジスタ、キャッシュメモリや、主記憶装置として使用されるROMやRAM等、メモリ等の一時的でない有形の記憶媒体を含んでよい。
以下に説明する第二電子装置5の機能は、例えば、プロセッサ54が、記憶装置55に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0030】
移動サービス提供システム1において移動サービスを提供する場合、移動サービスを予約する予約者と移動サービスの提供を受ける利用者とが異なる場合がある。例えば、予約者が、利用者の法律上の監督者である場合(例えば、利用者が低年齢の子供であり、利用者の親が子供に代わってある移動サービスを予約する場合)や、予約者が、利用者に介護サービスを提供する者であって利用者に代わって移動サービスを予約する場合がある。
このような場合には、利用者が安全に降車場所まで到着するように、移動サービスにおいて利用者が利用できる事項であるサービス利用項目に関する情報を、利用者と予約者が共有することが好ましい場合がある。例えば、移動サービスの提供を受ける利用者が低年齢の子供や高齢者である場合には、利用者の現在位置を示す情報を、利用者と予約者が共有することが好ましいことがある。
【0031】
しかしながら、予約者と利用者とが異なる場合に、全ての情報を利用者と予約者が共有すると、利用者の行動等が、常に予約者に監視されているような状況となり、利用者のプライバシーが保護されない虞がある。
例えば、予約者が、利用者の秘書や執事等であって、業務として委託を受けて利用者のために移動サービスの予約を行う場合がある。このような利用者に対しては、全ての情報を予約者が共有すると、業務としての必要性が少ない情報についても、常に予約者へ開示されることとなり、利用者にとってプライバシーが侵害される虞がある。
そこで、実施形態の移動サービス提供システム1では、予約者と利用者とが異なる場合に、予約者及び利用者を登録者DB23と照合することにより、予約者と利用者との間の関係を判定する。そして、予約者と利用者との間の関係に応じて、サービス利用項目に関する情報のうち、予約者と利用者とが共有する情報を制限する。
これにより、予約者と利用者との間の関係が、サービス利用項目に関する情報を共有することが好ましくない関係である場合には、サービス利用項目に関する情報の共有を制限することが可能となるため、利用者のプライバシーを保護することが可能となる。
【0032】
以下、移動サービス提供システム1の詳細について説明する。図2A図2Cは、それぞれ、第一電子装置4、制御装置2及び第二電子装置5の機能構成の一例の説明図である。
第一電子装置4は、予約者情報送信部60と、予約情報生成部61と、承認依頼部62を備える。
制御装置2は、予約設定部70と、位置情報取得部71と、配車部72と、走行計画設定部73と、関係属性判定部74と、制限設定部75を備える。
第二電子装置5は、位置情報取得部80と、制限状態通知部81と、制限変更要求部82と、共有項目承認部83を備える。
【0033】
予約者情報送信部60は、第一電子装置4を用いて移動サービスを予約する際に、予約者の識別情報を制御装置2に送信する。例えば、予約者情報送信部60は、制御装置2へログインする際の予約者の認証のために、予約者の識別情報を制御装置2に送信してよい。また、予約者情報送信部60は、予約情報と同時に、予約者の識別情報を制御装置2に送信してよい。
予約者がHMI41を操作して移動サービスの予約に必要な情報(利用者、乗車場所、乗車日時、降車場所の情報)を入力すると、予約情報生成部61は予約情報を生成する。上述したように、予約情報は、利用者の識別情報と、乗車場所、乗車日時及び降車場所の情報とを含む。予約情報生成部61は、生成した予約情報を制御装置2に送信する。
【0034】
制御装置2の予約設定部70は、第一電子装置4から予約情報を受信すると、予約情報を予約DB25に登録することにより、予約情報で指定された利用者に対する移動サービスの予約を設定する。
第二電子装置5に移動サービス提供システム1を使用するための専用ソフトウエアがインストールされている場合、予約設定部70は、利用者に対して移動サービスが予約されたことを通知する予約通知情報を、第二電子装置5に送信する。例えば、予約設定部70は、プッシュ型のデータ送信によって予約通知情報を第二電子装置5に送信してよい。これにより、第二電子装置5にインストールされている専用ソフトウエアは、予約通知情報を速やかに受信できる。
【0035】
第二電子装置5の位置情報取得部80は、測位装置50から、第二電子装置5の現在位置情報(すなわち、利用者の現在位置情報)を取得する。位置情報取得部80は、制御装置2から予約通知情報を受信すると、第二電子装置5の現在位置情報を制御装置2へ送信する。例えば、位置情報取得部80は、移動サービスが終了するまで(例えば、降車場所で利用者がサービス車両3から降車するまで)、周期的に現在位置情報を制御装置2へ送信してよい。また、例えば、利用者が乗車場所でサービス車両3に乗車するまで、周期的に現在位置情報を制御装置2へ送信してもよい。
【0036】
制御装置2の位置情報取得部71は、第二電子装置5から送信される第二電子装置5の現在位置情報を受信する。また、サービス車両3から送信されるサービス車両3の現在位置情報を受信する。
配車部72は、予約情報に含まれている乗車場所とサービス車両3の現在位置とに基づいて、利用者の利用に供するサービス車両3を決定する。例えば、配車部72は、現在では他の利用者によって利用されておらず、且つ乗車日時までに乗車場所に到着できるサービス車両3のうち、乗車場所に最も近い場所に位置するサービス車両3を選択してよい。そして、配車部72は、選択したサービス車両3の識別情報を予約DB25に記憶する。
【0037】
次に、走行計画設定部73は、地図DB24に格納されている地図情報に基づいて、乗車場所から降車場所まで至る走行経路を算出する。また、走行計画設定部73は、乗車日時にサービス車両3が発車し、走行経路を走行して降車場所に到着する降車日時を予測する。走行計画設定部73は、算出した走行経路と降車日時を予約DB25に記憶する。これにより、予約情報に含まれる乗車場所、乗車日時、降車場所と、走行計画設定部73が算出した降車日時及び走行経路は、利用者に提供される移動サービスの走行計画として予約DB25に記憶される。
走行計画設定部73は、走行計画に関する走行計画情報を、配車部72によって選択されたサービス車両3(すなわち、利用者の利用に供するサービス車両3)へ送信する。
【0038】
次に、関係属性判定部74は、第一電子装置4から受信した予約者の識別情報と予約情報に含まれる利用者の識別情報とに基づいて、予約者と利用者とが異なっているか否かを判定する。予約者と利用者とが異なっている場合に、関係属性判定部74は、予約者の識別情報と利用者の識別情報とを登録者DB23と照合することにより、予約者と利用者との間の関係を判定する。
例えば、関係属性判定部74は、予約者と利用者との間の関係が第1の関係(すなわち、予約者が利用者の法律上の監督者である関係、又は予約者が利用者に介護サービスを提供する者である関係)であるか否かを判定する。また、例えば、関係属性判定部74は、予約者と利用者との間の関係が第2の関係(すなわち、予約者が業務として委託を受けて利用者のために移動サービスの予約を行う関係)であるか否かを判定する。
【0039】
制限設定部75は、予約者と利用者との間の関係に応じて、サービス利用項目に関する情報のうち、予約者と利用者とが共有する情報の制限を設定する。例えば、制限設定部75は、サービス利用項目に関する情報のうち予め指定されたサービス利用項目に関する情報に対し、予約者と利用者との共有を制限する。
ここで、予め指定されたサービス利用項目には、例えば、走行計画の変更(すなわち、乗車場所、乗車日時、降車場所、降車日時、若しくは走行経路のうち少なくとも1つの変更、又は経由地の設定)や、車内端末34の操作、車載機器35の操作を含んでよい。
【0040】
図3は、制限設定部75によって設定される、サービス利用項目に関する情報の、予約者と利用者とが共有する情報を制限する一例を示す説明図である。制限設定部75は、例えば、予約者と利用者との間の関係が第1の関係である場合に、サービス利用項目に関する情報の全てに対し、予約者と利用者との共有を許可する。
また、例えば、予約者と利用者との間の関係が第2の関係である場合に、乗車場所、乗車日時、降車場所、降車日時、サービス車両3に乗車する前の利用者の現在位置に関する情報に対し、予約者と利用者との共有を許可する。これに加え、その他の情報に対し、予約者と利用者との共有を制限(禁止)する。
【0041】
すなわち、制御装置2は、予約者と利用者との間の関係が第1の関係である場合に、サービス利用項目に関する情報の全ての共有を許可する。これに加え、制御装置2は、予約者と利用者との間の関係が第2の関係である場合に、サービス利用項目に関する情報のうち共有する情報を制限する。
なお、図3では、乗車場所の変更と降車場所の変更を、「乗降場所変更」と記載し、乗車日時の変更と降車日時の変更を、「乗降時刻変更」と記載する。また、図3では、サービス車両3に乗車する前の利用者の現在位置を、「現在位置(乗車前)」と記載し、サービス車両3に乗車中の利用者の現在位置を、「現在位置(乗車中)」と記載する。さらに、図3では、サービス車両3に降車した後の利用者の現在位置を、「現在位置(降車後)」と記載し、車内端末34の操作と車載機器35の操作を、「車内機器操作」と記載する。なお、図3に記載した「着座位置変更」とは、予約者が指定した座席に着座した利用者が、予約者が指定した座席とは異なる座席に着座したことを示す。また、利用者が座席に着座している状態は、例えば、車室内を撮像可能なカメラや、座席に配置した感圧センサ等を用いて検出する。
また、制限設定部75は、例えば、予約者と利用者との間の関係が第1の関係でも第2の関係でもない場合に、予め指定されたサービス利用項目(例えば、図3に列挙されたサービス利用項目)の全てを制限してもよい。
【0042】
制限設定部75は、サービス利用項目に関する情報のうち予約者と利用者との共有を制限する情報である制限情報を、予約DB25に記憶する。例えば、制限情報は、サービス利用項目に関する情報の共有が制限(禁止)されているか許可されているかを示す情報であってよい。例えば、制限(禁止)されている場合には値「1」を設定し、許可されている場合には値「0」を設定してよい。制限設定部75は、制限情報を、サービス車両3と、第一電子装置4と、第二電子装置5へ送信する。
サービス車両3のコントローラ36は、制御装置2から制限情報を受信すると、車内端末34の表示画面に、サービス利用項目に関する情報の共有に関する制限状態を表示する。これにより利用者は、サービス利用項目に関する情報の共有が、どのように制限されているかを確認できる。
また、コントローラ36は、制限情報に従って、サービス利用項目に関する情報の共有を制限する。例えば、走行計画の変更に関する情報の共有が制限(禁止)されていると、利用者が車内端末34を操作して走行計画を変更した情報の、予約者との共有を制限(禁止)する。
【0043】
第二電子装置5の制限状態通知部81は、制御装置2から制限情報を受信すると、HMI52の表示装置に、サービス利用項目に関する情報の、共有が制限されている状態を表示する。これにより利用者は、サービス利用項目に関する情報の予約者との共有が、どのように制限されたかを確認できる。
なお、予約者との情報の共有が制限されているサービス利用項目を変更することを利用者が希望する場合を考慮して、第一電子装置4を操作して情報の共有が制限されているサービス利用項目を変更できるようにしてもよい。
【0044】
この場合、例えば、HMI52は、利用者が制限対象のサービス利用項目を変更する変更操作を受け付ける。制限変更要求部82は、利用者による変更操作を受け付けると、制限対象のサービス利用項目の変更を要求する変更要求情報を生成する。制限変更要求部82は、変更要求情報を制御装置2へ送信する。
制御装置2の制限設定部75は、変更要求情報を受信すると、予約DB25に記憶された制限情報を変更要求情報に基づいて変更する。制限設定部75は、変更後の制限情報をサービス車両3及び第一電子装置4へ送信する。
【0045】
第一電子装置4の承認依頼部62は、制御装置2から制限情報を受信すると、HMI41の表示装置に、サービス利用項目に関する情報の、利用者との共有が制限されている状態を表示する。これにより予約者は、サービス利用項目に関する情報の利用者との共有が、どのように制限されたかを確認できる。
共有を制限(禁止)したサービス利用項目に関する情報を共有することを利用者が許可する場合を考慮して、サービス利用項目に関する情報を共有する承認を、予約者から利用者に依頼できるようにしてもよい。
この場合、例えば、HMI41は、共有を制限(禁止)したサービス利用項目に関する情報を、予約者と利用者とが共有する承認を予約者が依頼する依頼操作を受け付ける。承認依頼部62は、予約者による依頼操作を受け付けると、情報を共有する承認を依頼する承認依頼情報を第二電子装置5へ送信する。承認依頼情報は、制御装置2を経由して第二電子装置5へ送信されてもよい。
【0046】
第二電子装置5の共有項目承認部83は、承認依頼部62からの承認依頼情報を受信すると、予約者からの承認依頼をHMI52の表示装置に表示する。例えば、共有項目承認部83は、予約者が利用承認を依頼しているサービス利用項目を、HMI52の表示装置に表示する。
HMI52は、サービス利用項目に関する情報の予約者との共有を利用者が承認する承認操作、又は否認する否認操作を受け付ける。共有項目承認部83は、利用者による承認操作を受け付けると、情報の共有を承認するサービス利用項目を知らせる承認情報を生成する。共有項目承認部83は、生成した承認情報を制御装置2へ送信する。
なお、利用者は、車内端末34を操作して承認操作又は否認操作を行ってもよい。この場合にはサービス車両3の車内端末34が、共有項目承認部83を備えてもよい。
【0047】
制御装置2の制限設定部75は、第二電子装置5から承認情報を受信すると、予約者との情報の共有を利用者が承認したサービス利用項目の制限を解除する。具体的には、制限設定部75は、予約DB25に記憶された制限情報を変更することにより、利用者が情報の共有を承認したサービス利用項目の制限を解除する。例えば、予約DB25に記憶された制限情報のうち、利用者が承認したサービス利用項目の制限情報を、制限(禁止)を示す値「1」から許可を示す値「0」に変更してよい。制限設定部75は、変更後の設定情報を予約DB25に記憶する。
また、制限設定部75は、変更後の設定情報をサービス車両3へ送信する。サービス車両3のコントローラ36は、変更後の制限情報に従って利用者と予約者とが情報を共有することが可能なサービス利用項目を制限する。
【0048】
一方で、第二電子装置5の共有項目承認部83は、利用者による否認操作を受け付けると承認情報を制御装置2へ送信しない。この結果、サービス利用項目に関する情報の、予約者に対する共有の制限は解除されない。この場合、共有項目承認部83は、サービス利用項目に関する情報の共有が否認されたことを知らせる否認情報を、第一電子装置4に送信してもよい。また、否認情報は、制御装置2を経由して第一電子装置4へ送信されてもよい。第一電子装置4の承認依頼部62は、第二電子装置5からの否認情報を受信すると、サービス利用項目に関する情報の共有が利用者に否認されたことを知らせる通知を、HMI41の表示装置に表示してもよい。
【0049】
(動作)
図4は、移動サービスを予約する際における移動サービス提供システム1の動作の一例のシーケンス図である。
ステップS1において第一電子装置4は、制御装置2へログインする予約者の操作を受け付ける。
ステップS2において予約者情報送信部60は、予約者の識別情報を制御装置2に送信する。
ステップS3において制御装置2は、受信した識別情報に基づき予約者を認証する。
【0050】
ステップS4において予約情報生成部61は、予約者の入力操作に基づいて、利用者の識別情報と、乗車場所、乗車日時及び降車場所の情報とを含んだ予約情報を生成する。
ステップS5において予約情報生成部61は、予約情報を制御装置2に送信する。
ステップS6において制御装置2の予約設定部70は、予約情報で指定された利用者に対する移動サービスの予約を設定する。
ステップS7において予約設定部70は、利用者に対して移動サービスが予約されたことを通知する予約通知情報を第二電子装置5に送信する。
ステップS8において第二電子装置5の位置情報取得部80は、第二電子装置5の現在位置情報の送信を開始する。
【0051】
ステップS9においてサービス車両3は、サービス車両3の現在位置情報を送信する。
ステップS10において制御装置2の配車部72は、予約情報に含まれている乗車場所とサービス車両3の現在位置とに基づいて、利用者の利用に供するサービス車両3を決定する。走行計画設定部73は、サービス車両3が、乗車場所から降車場所まで至る走行経路と、予想される降車日時を算出する。
ステップS11において走行計画設定部73は、サービス車両3の走行計画情報をサービス車両3へ送信する。
ステップS12において制御装置2の関係属性判定部74は、予約者と利用者とが異なっているか否かを判定する。予約者と利用者とが異なっている場合に、関係属性判定部74と制限設定部75は、予約者と利用者との間の関係に応じて、サービス利用項目に関する情報のうち、予約者と利用者とが共有する情報を制限する関係判定処理を実行する。
【0052】
図5は、関係判定処理の一例のフローチャートである。
ステップS30において関係属性判定部74は、予約者の識別情報と利用者の識別情報とを登録者DB23と照合する。
ステップS31において関係属性判定部74は、予約者と利用者との間の関係が第1の関係であるか否かを判定する。予約者と利用者との間の関係が第1の関係である場合(ステップS31:Y)に処理はステップS32へ進む。予約者と利用者との間の関係が第1の関係でない場合(ステップS31:N)に処理はステップS33へ進む。
【0053】
ステップS32において制限設定部75は、予め設定したサービス利用項目(例えば、図3を参照)に関する情報の全てに対し、予約者と利用者との共有を許可する。その後に関係判定処理は終了する。
ステップS33において関係属性判定部74は、予約者と利用者との間の関係が第2の関係であるか否かを判定する。予約者と利用者との間の関係が第2の関係である場合(ステップS33:Y)に処理はステップS34へ進む。予約者と利用者との間の関係が第2の関係でない場合(ステップS33:N)に処理はステップS35へ進む。
【0054】
ステップS34において制限設定部75は、予め設定したサービス利用項目に関する情報の一部(例えば、図3を参照)に対し、予約者と利用者との共有を許可する。その後に関係判定処理は終了する。
ステップS35において制限設定部75は、予め設定したサービス利用項目(例えば、図3を参照)に関する情報の全てに対し、予約者と利用者との共有を制限(禁止)する。その後に関係判定処理は終了する。
【0055】
図4を参照する。ステップS13において制限設定部75は、サービス利用項目に関する情報のうち予約者と利用者との共有を制限する情報である制限情報を、サービス車両3と、第一電子装置4と、第二電子装置5へ送信する。サービス車両3のコントローラ36は、制限情報に従って、予約者と利用者との共有が可能な、サービス利用項目に関する情報を制限する。
ステップS14において第二電子装置5の制限状態通知部81は、HMI52の表示装置に、サービス利用項目に関する情報の、共有が制限されている状態を表示する。
【0056】
ステップS15において第一電子装置4の承認依頼部62は、HMI41の表示装置に、サービス利用項目に関する情報の、利用者との共有が制限されている状態を表示する。
ステップS16において承認依頼部62は、共有を制限(禁止)したサービス利用項目に関する情報を、予約者と利用者とが共有する承認を予約者が依頼する依頼操作を受け付ける。
ステップS17において承認依頼部62は、情報を共有する承認を依頼する承認依頼情報を第二電子装置5へ送信する。
【0057】
ステップS18において第二電子装置5の共有項目承認部83は、予約者からの承認依頼をHMI52の表示装置に表示する。そして、共有項目承認部83は、共有を制限(禁止)したサービス利用項目に関する情報を、予約者と利用者とが共有することを利用者が承認する承認操作を受け付ける。
ステップS19において共有項目承認部83は、予約者と利用者との共有を承認するサービス利用項目に関する情報を知らせる承認情報を、制御装置2へ送信する。
ステップS20において制御装置2の制限設定部75は、予約者と利用者とが共有することを利用者が承認したサービス利用項目に関する情報の制限を解除する。さらに、制限設定部75は、予約DB25に記憶された制限情報を承認情報に基づいて変更する。
【0058】
ステップS21において制限設定部75は、変更後の制限情報を第一電子装置4へ送信する。
ステップS22において第一電子装置4の承認依頼部62は、HMI41の表示装置に、サービス利用項目に関する情報の、利用者との共有の制限が変更された状態を表示する。
【0059】
図6は、移動サービスを利用する際の動作の一例のシーケンス図である。
なお、図6に示す動作は、ステップS33において、関係属性判定部74が、予約者と利用者との間の関係が第2の関係であると判定した後の動作である。
ステップS40において利用者は、予約情報で指定した乗車場所においてサービス車両3に乗車する。その際に利用者は、第二電子装置5を用いて移動サービスを利用する認証操作を行う。
認証操作が行われると、ステップS41において第二電子装置5は、利用者の識別情報を制御装置2に送信する。なお、ステップS40及びS41において、第二電子装置5に代えてサービス車両3に設けられた車内端末34を用いて認証操作を行ってもよい。
【0060】
ステップS42において制御装置2は、受信した識別情報に基づいて利用者を認証する。
利用者の認証が成功すると、ステップS43において制御装置2は、ドアを自動的に開く指示を含む開指示情報をサービス車両3へ送信する。
ステップS44においてサービス車両3のコントローラ36は、開指示情報に応じてアクチュエータ37を作動させてサービス車両3のドアモータ等を操作し、サービス車両3のドアを開く。
【0061】
ステップS45においてコントローラ36は、利用者が座席に着座したこと示す着座情報を制御装置2に送信する。
ステップS46において制御装置2は、受信した着座情報に基づいて、ドアを自動的に閉じる指示を含む閉指示情報をサービス車両3へ送信する。
ステップS47においてサービス車両3のコントローラ36は、閉指示情報に応じてアクチュエータ37を作動させてサービス車両3のドアモータ等を操作し、サービス車両3のドアを閉じる。
ステップS48においてコントローラ36は、サービス車両3に利用者の乗車が完了したことを示す乗車完了情報を制御装置2に送信する。
ステップS49において制御装置2の制限設定部75は、乗車完了情報を受信すると、サービス利用項目に関する全ての情報の、予約者と利用者との共有を終了(禁止)する。
【0062】
すなわち、制御装置2は、予約者と利用者との間の関係が第2の関係である場合に、利用者がサービス車両3に乗車するまでの間は、サービス利用項目に関する情報を、予約者と利用者とが共有する。
なお、図示を省略するが、制御装置2は、予約者と利用者との間の関係が第1の関係である場合、利用者がサービス車両3から降車するまでの間は、サービス利用項目に関する情報を、予約者と利用者とが共有する。
ステップS50において制限設定部75は、サービス利用項目に関する全ての情報に対し、予約者と利用者との共有を終了したことを示す共有終了情報を第一電子装置4へ送信する。
ステップS51において第一電子装置4の承認依頼部62は、HMI41の表示装置に、サービス利用項目に関する情報の、利用者との共有が制限されている状態(サービス利用項目に関する全ての情報の共有が制限されている状態)を表示する。
ステップS52において制御装置2は、認証完了通知情報をサービス車両3へ送信する。認証完了通知情報を受信すると、サービス車両3のコントローラ36は、サービス車両3を発車させて、制御装置2から受信した走行計画に従って降車場所へ向かって運転を開始する。なお、認証完了通知情報をサービス車両3へ送信する処理は、乗車完了情報を制御装置2に送信した後であればよい。
【0063】
(実施形態の効果)
(1)車両を運行する移動サービス提供システム1と、移動サービス提供方法と、移動サービス提供装置は、移動サービスに供されるサービス車両3と、移動サービスの予約を行う予約者が操作する端末装置である第一電子装置4から、移動サービスの提供を受ける利用者の情報を少なくとも含んだ予約情報を受信して、予約情報に応じて利用者の利用に供するサービス車両3を手配する制御装置2を備える。
制御装置2は、移動サービス提供システムを使用するために予め登録された登録者と、登録者間の関係に関する情報と、を記憶する登録者DB23を備え、予約者と利用者とが異なる場合に、予約者及び利用者を登録者DB23と照合することにより、予約者と利用者との間の関係を判定し、予約者と利用者との間の関係に応じて、移動サービスにおいて利用者が利用できる事項であるサービス利用項目に関する情報のうち、予約者と利用者とが共有する情報を制限する。
これにより、予約者と利用者との間の関係が、サービス利用項目に関する情報を共有することが好ましくない関係である場合には、サービス利用項目に関する情報の共有を制限することが可能となるため、利用者のプライバシーを保護することが可能となる。
【0064】
(2)制御装置2は、予約者と利用者との間の関係として、予約者が利用者の法律上の監督者、利用者に介護サービスを提供する者、又は業務として委託を受けて利用者のために移動サービスの予約を行う者であるかを判定してもよい。
これにより、予約者と利用者との間の関係に応じて、利用者が利用できるサービス利用項目に関する情報の共有を制限する必要があるか否かを判定することが可能となる。
【0065】
(3)制御装置2は、予約者と利用者との間の関係が第1の関係である場合に、サービス利用項目に関する情報の全ての共有を許可し、予約者と利用者との間の関係が第2の関係である場合に、サービス利用項目に関する情報のうち共有する情報を制限する。
これにより、予約者と利用者との間の関係に応じて、サービス利用項目に関する情報のうち、共有する情報を変更することが可能となり、予約者と利用者との間の関係に応じて、利用者のプライバシーを保護することが可能となる。
【0066】
(4)制御装置2は、予約者と前記利用者との間の関係が第1の関係である場合に、利用者がサービス車両3から降車するまでの間は、サービス利用項目に関する情報を共有する。これに加え、予約者と利用者との間の関係が第2の関係である場合に、利用者がサービス車両3に乗車するまでの間は、サービス利用項目に関する情報を共有する。
これにより、予約者と利用者との間の関係に応じて、サービス利用項目に関する情報を共有する条件を変更することが可能となり、予約者と利用者との間の関係に応じて、利用者のプライバシーを保護することが可能となる。
【0067】
(5)第1の関係は、予約者が利用者の法律上の監督者又は利用者に介護サービスを提供する者であり、第2の関係は、予約者が業務として委託を受けて利用者のために移動サービスの予約を行う者であってよい。
これにより、予約者と利用者との間の関係に応じて、利用者が利用できるサービス利用項目を制限する必要があるか否かを判定することが可能となる。
【0068】
(第一実施形態の変形例)
(1)第一実施形態では、予約者と利用者との間の関係が第2の関係ではないと判定すると、ステップS35において制限設定部75が、予め設定したサービス利用項目に関する情報の全てに対し、予約者と利用者との共有を制限(禁止)する構成とした。しかしながら、これに限定するものではない。
すなわち、予約者と利用者との間の関係が第2の関係ではないと判定した場合であっても、ステップS34において制限設定部75が行う処理と同様、予め設定したサービス利用項目に関する情報の一部に対し、予約者と利用者との共有を許可する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…移動サービス提供システム、2…制御装置、3…サービス車両、4…第一電子装置、5…第二電子装置、20、38、43、54…プロセッサ、21、39、44、55…記憶装置、22、33、40、51…通信装置、23…登録者データベース、24、32…地図データベース、25…予約データベース、30…センサ、31、50…測位装置、34…車内端末、35…車載機器、36、42、53…コントローラ、37…アクチュエータ、41、52…ヒューマンマシンインタフェース、60…予約者情報送信部、61…予約情報生成部、62…承認依頼部、70…予約設定部、71…位置情報取得部、72…配車部、73…走行計画設定部、74…関係属性判定部、75…制限設定部、80…位置情報取得部、81…制限状態通知部、82…制限変更要求部、83…共有項目承認部
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6