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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111725
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】袋搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/14 20060101AFI20230803BHJP
   B65H 3/52 20060101ALI20230803BHJP
   B65H 3/56 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
B65B43/14
B65H3/52 310A
B65H3/56 330F
B65H3/52 310E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013726
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 徹
(72)【発明者】
【氏名】河村 健治
(72)【発明者】
【氏名】山根 徳幸
(72)【発明者】
【氏名】村田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】永田 景子
【テーマコード(参考)】
3E030
3F343
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BA03
3E030BB02
3E030BB05
3E030FA01
3E030GA04
3F343FA17
3F343FB13
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GB02
3F343GC01
3F343GD01
3F343JD08
3F343JD27
3F343JD33
3F343JD38
3F343JD39
3F343KA05
3F343KA20
3F343KB05
3F343KB17
3F343LD04
3F343LD07
(57)【要約】
【課題】重ねられた複数の袋から取り出し対象の袋を取り出して下流に送るのに有利な袋搬送システムを提供する。
【解決手段】袋搬送システム10は、各々が隣り合う袋Bと少なくとも部分的に重ねられる複数の袋Bのうち、送り出し対象の袋Bに接触しつつ、当該送り出し対象の袋Bを搬送路Rに沿って搬送方向Dcの下流に送り出す送出ユニット11と、搬送路Rを介して送出ユニット11とは反対側に位置づけられる分離ユニット12であって、送出ユニット11に対向する分離接触部30を有する分離ユニット12とを備える。分離接触部30は、分離接触部30に接触する袋Bに対して、搬送方向Dcの下流への当該袋Bの移動を抑える抑止力を働かせ、抑止力は、送出ユニット11が送り出し対象の袋Bに対して働かせる搬送力よりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が隣り合う袋と少なくとも部分的に重ねられる複数の袋のうち、送り出し対象の袋に接触しつつ、当該送り出し対象の袋を搬送路に沿って搬送方向に送り出す送出ユニットと、
前記搬送路を介して前記送出ユニットとは反対側に位置づけられる分離ユニットであって、前記送出ユニットに対向する分離接触部を有する分離ユニットと、を備え、
前記分離接触部は、前記分離接触部に接触する袋に対して、前記搬送方向への当該袋の移動を抑える抑止力を働かせ、
前記抑止力は、前記送出ユニットが前記送り出し対象の袋に対して働かせる搬送力よりも小さい、
袋搬送システム。
【請求項2】
前記分離ユニットは、前記分離接触部を弾性的に移動可能に配置する弾性構造部を有し、
前記分離接触部と前記送出ユニットとの間の最小距離は、前記複数の袋の各々の厚みの2倍よりも小さい請求項1に記載の袋搬送システム。
【請求項3】
前記分離接触部の少なくとも一部の摩擦係数は、前記複数の袋の各々の摩擦係数よりも大きい請求項1又は2に記載の袋搬送システム。
【請求項4】
前記分離接触部は、負圧に調整可能な少なくとも1つの吸引穴を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の袋搬送システム。
【請求項5】
前記分離接触部よりも前記搬送方向の上流において、前記搬送路を介して前記送出ユニットとは反対側に位置づけられる規制体を備え、
前記規制体と前記送出ユニットとの間の最小距離は、前記複数の袋の各々の厚みの1倍以上且つ3倍未満である請求項1~4のいずれか一項に記載の袋搬送システム。
【請求項6】
前記分離ユニットよりも前記搬送方向の上流に設けられる収容部であって、前記複数の袋の各々が水平姿勢を持ちつつ前記複数の袋が配置される収容部と、
前記送出ユニットよりも前記搬送方向の上流に設けられる支持接触部を有する支持補助ユニットであって、前記支持接触部が、前記支持接触部に接触する袋に対して、前記搬送方向への当該袋の移動を抑える前記抑止力を働かせる、支持補助ユニットと、を備え、
前記収容部に配置されている前記複数の袋は、前記送出ユニット及び前記支持接触部に載せられる請求項1~5のいずれか一項に記載の袋搬送システム。
【請求項7】
前記複数の袋は、前記搬送方向にずらされつつ重ねられており、
前記分離接触部は、前記送出ユニットの下方に位置する請求項1~5のいずれか一項に記載の袋搬送システム。
【請求項8】
前記複数の袋は、前記搬送方向にずらされつつ重ねられており、
前記分離接触部は、前記送出ユニットの上方に位置する請求項1~5のいずれか一項に記載の袋搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、袋搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の袋を連続的に処理する場合、収容部に収容された多数の袋から1枚ずつ袋が取り出されて下流に送られる。
【0003】
例えば特許文献1が開示する装置では、ローラによって、収容部(スタッカー)に積み重ねられた複数の包装袋から、1枚ずつ包装袋が取り出されて下流に送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-39535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の袋が重ねられた状態で収容される場合、隣り合う袋同士が、静電気や湿気などのために貼り付くことがある。この場合、取り出し対象の袋を取り出す際に、隣り合う袋も意図せずに一緒に取り出されてしまうことがある。
【0006】
また高さ方向に積み重ねられた複数の袋のうちの最下位置に配置される袋を取り出す場合、重力の影響下で袋間に作用する摩擦力のために、取り出し対象の袋の直上に位置する袋も意図せずに取り出されてしまうことがある。
【0007】
このようにして意図せずに複数の袋が重なった状態で下流に送り出される場合、下流側の装置(例えば包装機)及び処理において様々な不具合がもたらされうる。例えば、下流側に送られた袋を吸盤等によって持ち上げる場合、2枚の袋が重なった状態で持ち上げられ、予期しない位置で一方の袋が落下してしまうことがある。また下流側に設置された処理装置が、重なった状態の2枚の袋を受け取って処理を行うことで、処理不良が発生したり、装置故障が発生したりしうる。
【0008】
また複数の袋から1枚の袋を取り出して下流に送る際に、取り出し対象の袋が狭い通路(特許文献1のスタッカー前面板とゴムベルトの間の隙間参照)を通過する場合、意図せずに貼り付いた複数の袋が当該狭い通路での詰まり(ジャム)をもたらしうる。この場合、人手によって詰まりが解消されるまで、袋を下流に送り出すことができず、下流側で行われる処理も中断せざるを得ない場合がある。
【0009】
本開示は上述の事情に鑑みてなされており、重ねられた複数の袋から取り出し対象の袋を取り出して下流に送るのに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様は、各々が隣り合う袋と少なくとも部分的に重ねられる複数の袋のうち、送り出し対象の袋に接触しつつ、当該送り出し対象の袋を搬送路に沿って搬送方向に送り出す送出ユニットと、搬送路を介して送出ユニットとは反対側に位置づけられる分離ユニットであって、送出ユニットに対向する分離接触部を有する分離ユニットと、を備え、分離接触部は、分離接触部に接触する袋に対して、搬送方向への当該袋の移動を抑える抑止力を働かせ、抑止力は、送出ユニットが送り出し対象の袋に対して働かせる搬送力よりも小さい、袋搬送システムに関する。
【0011】
分離ユニットは、分離接触部を弾性的に移動可能に配置する弾性構造部を有し、分離接触部と送出ユニットとの間の最小距離は、複数の袋の各々の厚みの2倍よりも小さくてもよい。
【0012】
分離接触部の少なくとも一部の摩擦係数は、複数の袋の各々の摩擦係数よりも大きくてもよい。
【0013】
分離接触部は、負圧に調整可能な少なくとも1つの吸引穴を有してもよい。
【0014】
袋搬送システムは、分離接触部よりも搬送方向の上流において、搬送路を介して送出ユニットとは反対側に位置づけられる規制体を備え、規制体と送出ユニットとの間の最小距離は、複数の袋の各々の厚みの1倍以上且つ3倍未満であってもよい。
【0015】
袋搬送システムは、分離ユニットよりも搬送方向の上流に設けられる収容部であって、複数の袋の各々が水平姿勢を持ちつつ複数の袋が配置される収容部と、送出ユニットよりも搬送方向の上流に設けられる支持接触部を有する支持補助ユニットであって、支持接触部が、支持接触部に接触する袋に対して、搬送方向への当該袋の移動を抑える抑止力を働かせる、支持補助ユニットと、を備え、収容部に配置されている複数の袋は、送出ユニット及び支持接触部に載せられてもよい。
【0016】
複数の袋は、搬送方向にずらされつつ重ねられており、分離接触部は、送出ユニットの下方に位置してもよい。
【0017】
複数の袋は、搬送方向にずらされつつ重ねられており、分離接触部は、送出ユニットの上方に位置してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、重ねられた複数の袋から取り出し対象の袋を取り出して下流に送るのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1実施形態に係る袋搬送システムの一例の概略構成を示す図である。
図2図2は、図1に示す分離ユニットの概略を示す拡大側方図である。
図3図3は、図1に示す分離ユニットの概略を示す拡大側方図である。
図4図4は、図1に示す分離ユニットの概略を示す斜視図である。
図5図5は、図1に示す袋搬送システムの作動例を示す図である。
図6図6は、図1に示す分離ユニットの作動例を示す図である。
図7図7は、図1に示す分離ユニットの作動例を示す図である。
図8図8は、第2実施形態に係る袋搬送システムの一例の概略構成を示す図である。
図9図9は、図8に示す分離ユニットの作動例を示す図である。
図10図10は、図8に示す分離ユニットの作動例を示す図である。
図11図11は、第3実施形態に係る袋搬送システムの一例の概略構成を示す図である。
図12図12は、図11に示す分離ユニットの作動例を示す図である。
図13図13は、図11に示す分離ユニットの作動例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る袋搬送システム10の一例の概略構成を示す図である。
【0021】
袋搬送システム10は、複数の袋Bが配置される収容部13と、収容部13から取出エリアPに向けて袋Bを搬送する送出ユニット11と、取出エリアPに配置されている袋Bを持ち上げて移送する取出ユニット14と、を備える。
【0022】
図1に示す収容部13は、一対の収容ガイド19及び規制体15を有し、一対の収容ガイド19及び規制体15により区画される収容空間に複数の袋Bが重ねられた状態で収容される。
【0023】
一対の収容ガイド19は、架台(図示省略)に取り付けられて固定的に設置されており、収容部13に収容されている複数の袋Bを、搬送方向Dcと垂直を成す水平方向(図1の紙面に垂直な方向)に挟むように設けられる。したがって一対の収容ガイド19は、搬送方向Dcと垂直を成す水平方向への、複数の袋Bの移動を制限する。
【0024】
規制体15は、一対の収容部13に収容される複数の袋Bよりも取出エリアP側(すなわち搬送方向Dc側)に位置し、収容部13に収容されている複数の袋B(ただし少なくとも一番下に位置する袋Bは除く)の搬送方向Dcへの移動を制限する。
【0025】
規制体15は、送出ユニット11(特に後述の搬送ベルト23の上側搬送移動部)から高さ方向Dhに離間して設けられている。規制体15と送出ユニット11(特に上側搬送移動部)との間の高さ方向Dhの最小距離は、各袋Bの厚み(高さ方向Dhのサイズ)以上の大きさを有し、より具体的には、各袋Bの厚みの1倍以上且つ3倍未満の大きさを有する。特に本例では、規制体15と送出ユニット11(特に搬送ベルト23の上側搬送移動部)との間の高さ方向Dhの最小距離は、各袋Bの厚みの2倍以上且つ3倍未満の大きさを有する。
【0026】
本実施形態では、各袋Bが水平姿勢を持ちつつ、複数の袋Bが高さ方向Dhに積み重ねられた状態で収容部13に収容される。各袋Bは、薄い平袋(本例では空袋)である。収容部13における各袋Bの方向性は限定されず、例えば各袋Bの口部(すなわち開閉可能な端部)が搬送方向Dcの先頭側(図1の右側)に向けられた状態で、複数の袋Bが収容部13に配置されてもよい。
【0027】
図1に示す送出ユニット11は、第1搬送ローラ21及び第2搬送ローラ22と、第1搬送ローラ21及び第2搬送ローラ22により支持される無端状の搬送ベルト23と、を有する。
【0028】
搬送フレーム20が架台(図示省略)に取り付けられて固定的に設置されており、第1搬送ローラ21及び第2搬送ローラ22は、この搬送フレーム20によって回転可能に支持される。第1搬送ローラ21及び第2搬送ローラ22のうちの少なくともいずれか一方は、モータ等の搬送駆動源(図示省略)から出力される動力によって能動的に回転させられ、これにより搬送ベルト23が走行する。
【0029】
搬送ベルト23には、全体にわたって、多数の貫通通気孔(図示省略)形成されている。気体(周辺空気)は、各貫通通気孔を通って搬送ベルト23の上側及び下側の一方から他方に流通可能である。
【0030】
搬送ベルト23のうち、露出面(外側面)が上方に向けられた状態で走行する部分(以下「上側搬送移動部」とも称する)と、露出面が下方に向けられた状態で走行する部分(以下「下側搬送移動部」とも称する)との間に、負圧発生装置18が設けられている。負圧発生装置18は、搬送フレーム20によって固定的に支持されており、搬送ベルト23の上側搬送移動部の貫通通気孔に対して負圧をもたらす。
【0031】
図1に示す負圧発生装置18は、第1搬送ローラ21と第2搬送ローラ22との間の区間にわたって(特に、収容部13の搬送方向Dcの中間部分から、取出エリアPを定めるストッパー16までの搬送区間に対応する区間にわたって)設けられる。当該搬送区間に位置する搬送ベルト23上の袋Bは、負圧発生装置18によってもたらされる負圧の影響下で、搬送ベルト23に吸い付けられて搬送ベルト23から大きな摩擦力(搬送力)を受ける。
【0032】
袋Bの全体が搬送ベルト23上に直接的に載せられている状態で当該袋Bが搬送ベルト23から受ける摩擦力(搬送力)は、収容部13においてお互いに重ねられて隣り合う袋B間に作用する摩擦力よりも大きい。袋Bが収容部13から取出エリアPまで搬送される間、搬送ベルト23が当該袋Bに対して搬送方向Dcに作用させる搬送力は、当該袋Bに対して搬送方向Dcとは逆方向に作用する抑止力よりも大きい。
【0033】
なお図1には単一の負圧発生装置18が示されているが、複数の負圧発生装置18が設けられてもよい。例えば、第1搬送ローラ21と第2搬送ローラ22との間の区間において、複数の負圧発生装置18が搬送方向Dcに並べられて設置されてもよい。
【0034】
収容部13に収容されている複数の袋Bは、送出ユニット11の搬送ベルト23(特に上側搬送移動部)及び支持補助ユニット17の支持接触部40に載せられる。したがって搬送ベルト23及び支持接触部40も、一対の収容ガイド19及び規制体15とともに、収容部13を構成する要素(すなわち収容空間を区画する要素)に含まれる。
【0035】
支持接触部40は、支持補助ユニット17の本体部(例えばフレーム)によって固定的に支持され、送出ユニット11よりも搬送方向Dcの上流に設けられ、支持接触部40に接触する袋Bに対して、搬送方向Dcへの袋Bの移動を抑える抑止力を働かせる。支持接触部40が袋Bに働かせる当該抑止力は、送出ユニット11(本例では搬送ベルト23(特に上側搬送移動部))が送り出し対象の袋Bに対して働かせる搬送力よりも小さい。すなわち支持接触部40から袋Bに及ぼされる「搬送方向Dcと逆方向への力(抑止力)」は、搬送ベルト23から袋Bに及ぼされる「搬送方向Dcへの力(搬送力)」よりも小さい。
【0036】
支持接触部40の具体的な構成は限定されない。典型的には、支持接触部40は、摩擦係数が高い部分(後述の図4に示す「高摩擦領域30a」参照)及び/又は負圧に調整可能な吸引口(後述の図4に示す「吸引穴30b」参照)を有することで、搬送方向Dcへの袋Bの移動を抑えるのに有効な抑止力を発揮することができる。
【0037】
図1に示す例では、後述のように、基本的には、収容部13に収容されている複数の袋Bのうち、一番下に位置する袋B及び下から2番目の袋Bが、支持接触部40に接触する。ただし収容部13における下から2番目の袋Bの状態によっては、下から3番目以降の袋Bも支持接触部40に接触しうる。
【0038】
収容部13(特に規制体15)と取出エリアPとの間には、分離ユニット12が設けられる。図1に示す例では、分離ユニット12(特に後述の第1弾性構造部31a(図2参照))が、取付ブロック50を介して規制体15に取り付けられている。
【0039】
分離ユニット12は、意図せずに重なった状態で搬送される2枚以上の袋Bを分離して、取り出し対象の袋Bのみを下流に送るのに役立つ。具体的には、分離ユニット12は、送出ユニット11と対向する分離接触部30を有する。分離接触部30は、送出ユニット11によって搬送される袋Bが通る搬送路Rを介して、送出ユニット11とは反対側に位置づけられる。
【0040】
分離接触部30は、分離接触部30に接触する袋Bに対して、搬送方向Dcへの当該袋Bの移動を抑える抑止力を働かせる。分離接触部30が袋Bに働かせる抑止力は、送出ユニット11(本例では搬送ベルト23(特に上側搬送移動部))が送り出し対象の袋Bに対して働かせる搬送力よりも小さい。すなわち分離接触部30から袋Bに及ぼされる「搬送方向Dcと逆方向への力(抑止力)」は、搬送ベルト23から袋Bに及ぼされる「搬送方向Dcへの力(搬送力)」よりも小さい。
【0041】
図2及び図3は、図1に示す分離ユニット12の概略を示す拡大側方図である。図4は、図1に示す分離ユニット12の概略を示す斜視図である。
【0042】
分離ユニット12は、分離接触部30を弾性的に高さ方向Dhに移動可能に配置する弾性構造部31c、31b、31cを有する。本例の弾性構造部は、分離接触部30が取り付けられる第1弾性構造部31aと、第1弾性構造部31aを介して分離接触部30を支持する第2弾性構造部31bと、第1弾性構造部31a及び第2弾性構造部31bを介して分離接触部30を支持する第3弾性構造部31cと、を含む。
【0043】
分離接触部30は、比較的薄い厚み(例えば1mm程度)を有する湾曲プレートにより構成される。当該湾曲プレートは、任意の材料構成を有することができるが、袋Bが接触しても摩耗及び損傷し難い材料構成を有することが好ましく、また優れた弾性(体積変化をともなわない形状弾性及び/又は体積変化をともなう体積弾性)を示す材料構成を有することが好ましい。そのような分離接触部30の湾曲プレートは、例えばステンレス鋼によって構成可能である。
【0044】
分離接触部30は、図4に示すように、高摩擦領域30a及び複数の吸引穴30bを有する。
【0045】
高摩擦領域30aは、大きな摩擦係数を持つ領域であり、例えば各袋B(特に分離接触部30に接触する各袋Bの表面)の摩擦係数よりも大きな摩擦係数を持つ。高摩擦領域30aは、本来的に摩擦係数が大きなゴム等の材料により構成されてもよいし、分離接触部30に対して表面加工(例えば粗面加工)を施すことによって形成されてもよい。
【0046】
複数の吸引穴30bは、図示しない吸引デバイスによって負圧に調整され、分離接触部30に接触している袋Bを吸引する。なお吸引穴30bの数は限定されず、単一の吸引穴30bが分離接触部30に形成されていてもよい。
【0047】
高摩擦領域30aは、搬送ベルト23(送出ユニット11)によって搬送される袋Bに直接接触しうる分離接触部30の部分に設けられる。また複数の吸引穴30bは、搬送ベルト23によって搬送される袋Bによって覆われうる分離接触部30の部分に設けられる。
【0048】
図4に示す例では、分離接触部30の湾曲プレートの一部にのみ高摩擦領域30a及び複数の吸引穴30bが設けられているが、当該湾曲プレートの全体にわたって高摩擦領域30a及び/又は複数の吸引穴30bが設けられてもよい。また図4に示す例では、高摩擦領域30aの範囲内に複数の吸引穴30bが設けられているが、高摩擦領域30aの範囲外に複数の吸引穴30bが設けられてもよい。また分離接触部30は、高摩擦領域30aを有していなくてもよいし、複数の吸引穴30bを有していなくてもよい。
【0049】
上述の分離接触部30は、第1弾性構造部31aに取り付けられ、第1弾性構造部31aによって支持及び固定されている。第1弾性構造部31aは、優れた形状弾性を示す湾曲プレートにより構成され、例えば0.1mm程度の厚みを有するステンレス鋼によって構成可能である。
【0050】
第1弾性構造部31aには第3弾性構造部31cが取り付けられており、第1弾性構造部31a及び第3弾性構造部31cにより囲まれるスペースに、優れた体積弾性を示す第2弾性構造部31bが配置されている。第2弾性構造部31bは、第1弾性構造部31a及び第3弾性構造部31cの両方に対して固定されており、例えばウレタンゴムによって構成可能である。第2弾性構造部31bの具体的な構造は限定されない。第2弾性構造部31bは、例えば一体構造の中実ブロック体としても設けられてもよし、内側に空間を有する中空構造を有してもよい。
【0051】
上述の各吸引穴30b(図4参照)に負圧を与える真空ポンプなどの吸引デバイス(図示省略)は、第1弾性構造部31a~第3弾性構造部31cの少なくともいずれかに固定して設置可能である。この場合、第2弾性構造部31bの内部又は内側には、各吸引穴30bと吸引デバイスとをつなぐ通気路(図示省略)が形成される。
【0052】
上述の構成を有する分離ユニット12において、分離接触部30と搬送ベルト23との間の最小距離が各袋Bの厚みの2倍よりも小さくなるように、搬送ベルト23に対する分離接触部30の設置位置が決められる。
【0053】
図2に示す例では、分離接触部30と搬送ベルト23との間に袋Bが存在しない場合、分離接触部30が搬送ベルト23に接触し、分離接触部30と搬送ベルト23との間の高さ方向Dhの最小距離は「0(ゼロ)mm」に設定されている。この場合、図3に示すように、搬送ベルト23によって搬送される袋Bが分離接触部30と搬送ベルト23との間を通過する際、主として第1弾性構造部31a、第2弾性構造部31b及び分離接触部30が袋Bにより押されて弾性的に撓み、分離接触部30は、袋Bが通過可能な距離だけ(すなわち袋Bの厚みに相当する距離だけ)高さ方向Dhに搬送ベルト23から離間する。そして袋Bが分離接触部30と搬送ベルト23との間を通過した後、第1弾性構造部31a、第2弾性構造部31b及び分離接触部30は、弾性的に復元して図2に示す元の状態に戻る。
【0054】
なお、分離接触部30と搬送ベルト23との間に袋Bが存在しない状態で、分離接触部30は搬送ベルト23から離れていてもよく、分離接触部30と搬送ベルト23との間の最小距離が「0mm」よりも大きくてもよい。この場合、分離接触部30と搬送ベルト23との間に袋Bが存在しない状態で、分離接触部30と搬送ベルト23との間の最小距離は、各袋Bの厚み以下(すなわち各袋Bの厚みの1倍以下)であってもよいし、各袋Bの厚みの1倍よりも大きく且つ2倍未満であってもよい。
【0055】
このように分離接触部30に外力が加えられていない状態で分離接触部30が搬送ベルト23から離れている場合(特に、分離接触部30と搬送ベルト23との間の最小距離が各袋Bの厚みの1倍よりも大きく且つ2倍未満の場合)、取り出し対象の袋B1は、分離接触部30と搬送ベルト23との間をよりスムーズに通過することが可能である。また分離接触部30と搬送ベルト23との間に袋Bが存在しない間、搬送ベルト23は、分離接触部30から摩擦力(すなわち抵抗力)を受けずに走行することができる。
【0056】
次に、上述の袋搬送システム10の作動例ついて説明する。
【0057】
図5は、図1に示す袋搬送システム10の作動例を示す図である。図6及び図7は、図1に示す分離ユニット12の作動例を示す図である。
【0058】
収容部13から取出エリアPに向けて袋Bを1枚ずつ搬送する場合、送出ユニット11が駆動されて搬送ベルト23の上側搬送移動部を搬送方向Dcに移動させる。これにより、収容部13において下から1番目の袋Bであり且つ搬送ベルト23に接触している取り出し対象の袋B1が、搬送方向Dcに搬送される。
【0059】
具体的には、送出ユニット11により搬送される取り出し対象の袋B1は、規制体15と搬送ベルト23との間の隙間を通過し、分離接触部30と搬送ベルト23との間を通過し、ストッパー16(図1参照)に接触するまで搬送方向Dcに搬送される。袋Bは、ストッパー16に接触することで搬送方向Dcへの移動が止められ、その結果、取出エリアPに正確に位置づけられる。取出エリアPに位置づけられた袋Bは、取出ユニット14によって持ち上げられて下流に移送される。
【0060】
取り出し対象の袋B1が上述のようにして搬送方向Dcに搬送される間、取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2(すなわち下から2番目の袋B2)は、支持補助ユニット17の支持接触部40、規制体15及び分離ユニット12の分離接触部30によって、搬送方向Dcへの移動が抑えられる。
【0061】
すなわち取り出し対象の袋B1が搬送方向Dcに移動するのにともなって、取り出し対象の袋B1が支持接触部40から徐々に離れる。その結果、取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2が、支持接触部40に載せられ、支持接触部40から抑止力を受けて、搬送方向Dcへの当該袋B2の移動が抑えられる。
【0062】
また取り出し対象の袋B1が搬送方向Dcに移動する際、取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2の搬送方向Dcへの移動が、規制体15によって制限されうる。ただし規制体15と搬送ベルト23との間の隙間の高さ方向Dhのサイズが、各袋Bの厚みの2倍以上の場合、取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2の搬送方向Dcへの移動は、基本的に、規制体15によって制限されない。ただしこの場合にも、規制体15と搬送ベルト23との間の隙間の高さ方向Dhのサイズが各袋Bの厚みの3倍未満であれば、当該袋B2の直上に位置する下から3番目の袋B3及び当該袋B3よりも上に位置する下から4番目以降の袋Bについては、搬送方向Dcへの移動が規制体15によって制限される。
【0063】
また取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2が、取り出し対象の袋B1とともに、規制体15と搬送ベルト23との間を通過した場合であっても、取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2は分離接触部30から抑止力を受け、搬送方向Dcへの当該袋B2の移動が抑えられる。
【0064】
すなわち図6に示すように、取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2は、分離接触部30に接触することで、分離接触部30から抑止力を受けて、搬送方向Dcへの移動が妨げられる。一方、取り出し対象の袋B1は、搬送ベルト23によって搬送方向Dcに搬送され、取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2の下面上をスライドするように移動する。
【0065】
その結果、取り出し対象の袋B1が、下から2番目の袋B2から適切に分離される。そして図7に示すように、取り出し対象の袋B1のみが、分離ユニット12の分離接触部30と送出ユニット11の搬送ベルト23との間を通過して搬送方向Dcに搬送され、取出エリアP(図1参照)に配置される。
【0066】
なお、取り出し対象の袋B1が搬送方向Dcに搬送されて、直上に位置していた袋B2の下方から完全に離脱することによって、当該袋B2は、全体にわたって搬送ベルト23に接触して載せられ、次の取り出し対象の袋B1として搬送方向Dcに搬送される。
【0067】
以上説明したように本実施形態の袋搬送システム10は、各々が隣り合う袋Bと少なくとも部分的に重ねられる複数の袋Bのうち、取り出し対象の袋B1に接触しつつ、当該取り出し対象の袋B1を搬送路Rに沿って搬送方向Dcに送り出す送出ユニット11と、搬送路Rを介して送出ユニット11とは反対側に位置づけられる分離ユニット12であって、送出ユニット11に対向する分離接触部30を有する分離ユニット12と、を備える。そして分離接触部30は、分離接触部30に接触する袋Bに対して、搬送方向Dcへの当該袋Bの移動を抑える抑止力を働かせる。当該抑止力は、送出ユニット11が取り出し対象の袋B1に対して働かせる搬送力よりも小さい。
【0068】
当該袋搬送システム10は、重ねられた複数の袋Bから取り出し対象の袋B1を取り出して下流に送るのに有利である。
【0069】
例えば、取り出し対象の袋B1を含む2枚の袋Bが重なった状態で搬送方向Dcに搬送される場合、取り出し対象ではない袋Bは分離接触部30によって搬送方向Dcへの移動が抑止されるが、取り出し対象の袋B1は送出ユニット11によって搬送方向Dcに搬送される。その結果、取り出し対象の袋B1が、他の袋Bから分離されて、搬送方向Dcに適切に搬送される。
【0070】
一方、取り出し対象の袋B1が、他の袋Bをともなうことなく、搬送方向Dcに搬送される場合、取り出し対象の袋B1は、たとえ分離接触部30から抑止力を受けたしても、当該抑止力よりも大きな搬送力によって搬送方向Dcに搬送される。
【0071】
このように取り出し対象の袋B1は、他の袋Bが貼り付いている状態及び他の袋Bが貼り付いていない状態の両方において、適切に搬送方向Dcに搬送されることができる。
【0072】
なお本実施形態において「袋Bに対して搬送方向Dcに作用する搬送力」は、送出ユニット11(特に搬送ベルト23)によってもたらされる。一方、「袋Bに対して搬送方向Dcとは逆方向に作用する抑止力」は、支持接触部40、隣り合う袋B、規制体15及び分離接触部30によってもたらされる。送出ユニット11が取り出し対象の袋B1に対してもたらす搬送力は、支持接触部40、隣り合う袋B、規制体15及び分離接触部30が取り出し対象の袋B1に対して同時的にもたらす抑止力の合計よりも大きい。なお、図1に示すストッパー16も「袋Bに対して搬送方向Dcとは逆方向に作用する抑止力」をもたらすが、送出ユニット11が取り出し対象の袋B1に対してもたらす搬送力は、ストッパー16が取り出し対象の袋B1に対してもたらす抑止力よりも小さい。
【0073】
また分離ユニット12は、分離接触部30を弾性的に移動可能に配置する弾性構造部31a、31b、31cを有し、分離接触部30と送出ユニット11との間の最小距離は、複数の袋Bの各々の厚みの2倍よりも小さい。
【0074】
これにより、取り出し対象の袋B1が、他の袋Bが積み重ねられた状態で搬送されていても、当該の他の袋Bの搬送方向Dcへの移動を分離接触部30によって効果的に制限できる。
【0075】
また分離接触部30の少なくとも一部(図4の「高摩擦領域30a」参照)の摩擦係数は、複数の袋Bの各々の摩擦係数よりも大きい。
【0076】
これにより、分離接触部30は、分離接触部30に接触した袋Bに対して大きな摩擦力働かせて、当該袋Bの搬送方向Dcへの移動を効果的に抑えることができる。
【0077】
また分離接触部30は、負圧に調整可能な少なくとも1つの吸引穴30bを有する。
【0078】
これにより、分離接触部30は、分離接触部30に接触した袋Bを少なくとも1つの吸引穴30bによって吸引し、当該袋Bの搬送方向Dcへの移動を効果的に抑えることができる。
【0079】
また袋搬送システム10は、分離接触部30よりも搬送方向Dcの上流において、搬送路Rを介して送出ユニット11とは反対側に位置づけられる規制体15を備える。規制体15と送出ユニット11との間の最小距離は、複数の袋Bの各々の厚みの1倍以上且つ3倍未満である。
【0080】
これにより、取り出し対象の袋B1の上方に位置する袋B(例えば下から3番目以降の袋B)の搬送方向Dcへの移動を制限することができる。特に、規制体15と送出ユニット11(特に上側搬送移動部)との間の最小距離が各袋Bの厚みの2倍以上且つ3倍未満の大きさを有する場合、下から3番目以降の袋Bは規制体15によって搬送方向Dcへの移動が制限されるが、下から2番目の袋B2は、取り出し対象の袋B1(すなわち下から1番目の袋)とともに、規制体15と送出ユニット11との間を無理なく通過することが許容される。その結果、規制体15と送出ユニット11との間での複数の袋Bの詰まり(ジャム)を効果的に回避できる。
【0081】
また袋搬送システム10は、分離ユニット12よりも搬送方向Dcの上流に設けられる収容部13であって、複数の袋Bの各々が水平姿勢を持ちつつ複数の袋Bが配置される収容部13と、送出ユニット11よりも搬送方向Dcの上流に設けられる支持接触部40を有する支持補助ユニット17であって、支持接触部40が、支持接触部40に接触する袋Bに対して、搬送方向Dcへの当該袋Bの移動を抑える抑止力を働かせる、支持補助ユニット17と、を備える。そして収容部13に収容されている複数の袋Bは、送出ユニット11及び支持接触部40に載せられる。
【0082】
これにより、送出ユニット11によって取り出し対象の袋B1(すなわち下から1番目の袋)を搬送方向Dcに搬送する際に、支持接触部40によって、取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2(すなわち下から2番目の袋)の搬送方向Dcへの移動を抑えることができる。その結果、取り出し対象の袋B1と、取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2との間の分離が促され、取り出し対象の袋B1を適切に搬送方向Dcに搬送することができる。
【0083】
[第2実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0084】
図8は、第2実施形態に係る袋搬送システム10の一例の概略構成を示す図である。
【0085】
袋搬送システム10は、支持体111と、袋Bを搬送する搬送部120と、袋Bを1枚ずつ分離する袋分離部130と、袋Bを送り出して取出エリアPに位置づける送出部140と、取出エリアPから袋Bを取り出す取出部154と、袋搬送システム10の全体を制御する制御部(図示省略)と、を備える。
【0086】
袋Bは、搬送部120により、搬送方向Dcに沿って上流側から下流側へ向かって搬送される。本実施形態では、搬送方向Dcは、下流側に向かうにつれて低くなるように、水平方向に対してわずかに傾斜している。これに限られず、搬送方向Dcが水平方向と一致してもよい。
【0087】
支持体111は、搬送部120、袋分離部130、送出部140及び取出部154を支持する。支持体111の上面は、袋Bが載置される載置部として機能する。図8では、支持体111の一部の図示が省略され、支持体111の内側の状態が示されている。
【0088】
搬送部120は、搬送駆動部(図示省略)と、駆動軸122と、駆動ローラ123と、2つの従動軸124と、2つの従動ローラ125と、搬送ベルト126と、を有する。搬送駆動部は、モータ等の駆動源を有する。駆動軸122は、搬送駆動部の駆動源に連結されており、駆動源の駆動力により軸線周りに回転する。駆動ローラ123は、駆動軸122に固定されており、駆動軸122とともに回転する。図8では、駆動軸122及び駆動ローラ123は、時計回りに回転する。従動軸124は、駆動軸122から独立して配置された軸である。従動軸124は、軸線周りに回転可能であるが、従動軸124には駆動源は接続されていないので、能動的に回転することはない。従動ローラ125は、従動軸124に固定されており、従動軸124とともに回転する。図8に示された例では、搬送部120は、1つの駆動ローラ123と、2つの従動ローラ125を有する。
【0089】
搬送ベルト126は、袋Bを下方から支持して搬送方向Dcに沿って搬送する部材である。搬送ベルト126は、駆動ローラ123と、従動ローラ125とにより支持される無端状ベルトである。図8において、駆動ローラ123が時計回りに回転することにより、搬送ベルト126も時計回りに回転する。搬送ベルト126のうち上側に位置する部分は、搬送方向Dcに沿って上流側から下流側へ向かって移動する。これにより、搬送ベルト126に支持された袋Bが、搬送方向Dcに沿って上流側から下流側へ搬送される。搬送ベルト126の回転にともなって、従動ローラ125も時計回りに回転する。
【0090】
本実施形態の搬送部120は、複数の搬送ベルト126を有する。なお。これに限られず、搬送部120は、1本の搬送ベルト126を有してもよい。複数の搬送ベルト126は、等間隔を有して配列されている。
【0091】
搬送ベルト126上には複数の袋Bが載せられる。複数の袋Bは、互いに重ねられた状態で、搬送ベルト126に載せられる。図8に示す例では、複数の袋Bは、搬送ベルト126上において搬送方向Dcに並べられ、隣り合う袋Bのうちの一方(すなわち上流側の袋B)の表面と他方(すなわち下流側の袋B)の裏面とが少なくとも部分的に接触している状態で、互いに重ねられる。搬送ベルト126上の複数の袋Bは、重ね方向に関してより上方側に位置する袋が搬送方向Dcに関してより下流側に位置するように、互いに重ねられている。袋分離部130によって、搬送ベルト126上の複数の袋Bのうち重ね方向に関して最も上方に位置する袋Bを、送出部140に向けて送り出すことができる。
【0092】
袋搬送システム10は、支持体111に取り付けられた2つのガイド部113を有する。ガイド部113は、搬送ベルト126によって搬送される袋Bを搬送方向Dcにガイドする。ガイド部113は、搬送ベルト126を挟むように2つ設けられる。図8では、手前側に位置するガイド部113の図示が省略されており、奥側に位置するガイド部113のみが図示されている。
【0093】
袋分離部130は、搬送ベルト126上に載置された複数の袋Bを1枚ずつ分離する機能を有する。袋分離部130は、ベルト駆動部(図示省略)と、駆動軸132と、駆動ローラ133と、2つの従動軸134と、2つの従動ローラ135と、送りベルト137と、連結部材136と、を有する。ベルト駆動部は、モータ等の駆動源を有する。駆動軸132は、ベルト駆動部の駆動源に連結されており、駆動源の駆動力により軸線周りに回転する。駆動ローラ133は、駆動軸132に固定されており、駆動軸132とともに回転する。図8では、駆動軸132及び駆動ローラ133は、反時計回りに回転する。袋搬送システム10は、駆動軸132を支持するための支持部材139を有する。支持部材139は、下部が支持体111に固定され、上部が支持体111の上面よりも上方に延びる部材である。
【0094】
従動軸134は、駆動軸132から独立して配置された軸である。従動軸134は、軸線周りに回転可能であるが、従動軸134には駆動源は接続されていないので、能動的に回転することはない。従動ローラ135は、従動軸134に固定されており、従動軸134とともに回転する。連結部材136は、駆動軸132と従動軸134とを連結する部材である。図8に示された例では、連結部材136は、板状の部材である。
【0095】
送りベルト137は、搬送ベルト126上に載置された複数の袋Bのうち、重ね方向に関して最も上方に位置する袋B、換言すると、搬送方向Dcの最下流に位置する袋B、に接触して当該袋Bを搬送方向Dcの下流に向けて送る部材である。
【0096】
送りベルト137は、駆動ローラ133と、従動ローラ135とに掛け渡された無端状ベルトである。なお、これに限られず、送りベルト137は任意の断面形状を有することができる。図8において、駆動ローラ133が反時計回りに回転することにより、送りベルト137も反時計回りに回転する。送りベルト137の回転にともなって、従動ローラ135も反時計回りに回転する。送りベルト137の支持体111側(袋B側)に位置する部分は、搬送方向Dcに沿って上流側から下流側へ向かって移動する。本実施形態では、駆動軸132は、図示しない支持部により支持されている。連結部材136は、駆動軸132を中心として揺動可能である。したがって、従動軸134、従動ローラ135及び送りベルト137は、連結部材136とともに、駆動軸132を中心として揺動可能である。従動軸134、従動ローラ135、送りベルト137及び連結部材136は、重力により駆動軸132を中心として、図8において時計回りの力を受ける。これにより、送りベルト137の下側(支持体111側)に位置する部分の少なくとも一部が、搬送ベルト126上に載置された複数の袋Bのうち、重ね方向に関して最も上方に位置する袋Bに接触する。
【0097】
図8に示された例では、袋分離部130は、第1従動軸1341と、第1従動軸1341に固定された第1従動ローラ1351と、駆動軸132と第1従動軸1341との間に配置された第2従動軸1342と、第2従動軸1342に固定された第2従動ローラ1352と、を有する。連結部材136は、駆動軸132と、第1従動軸1341と、第2従動軸1342とを互いに連結している。図8において、第2従動軸1342の中心は、駆動軸132の中心と第1従動軸1341の中心とを結ぶ線分よりも支持体111側(袋B側)に位置している。第2従動ローラ1352は、送りベルト137の支持体111側(袋B側)に位置する部分の一部を、支持体111側(袋B側)に向けて突出させる。換言すると、送りベルト137の支持体111側(袋B側)に位置する部分のうち第2従動ローラ1352に支持される部分は、支持体111側(袋B側)に向けて突出している。
【0098】
図示された例では、送りベルト137の支持体111側(袋B側)に位置する部分のうち、第1従動ローラ1351に支持される部分と、第2従動ローラ1352に支持される部分との間に位置する部分が、搬送ベルト126上に載置された複数の袋Bのうち、重ね方向に関して最も上方に位置する袋Bに接触する。これに限られず、送りベルト137の支持体111側(袋B側)に位置する部分のうち、第1従動ローラ1351に支持される部分を含む一部が、重ね方向に関して最も上方に位置する袋Bに接触してもよい。また、送りベルト137の支持体111側(袋B側)に位置する部分のうち、第2従動ローラ1352に支持される部分を含む一部が、重ね方向に関して最も上方に位置する袋Bに接触してもよい。
【0099】
本実施形態では、袋分離部130は、複数の送りベルト137を有する。複数の送りベルト137は、横方向に対称となる位置に配置されることが好ましい。複数の送りベルト137は、横方向に所定の間隔を有して配列されている。例えば、複数の送りベルト137は、横方向に等間隔を有して配列されてもよい。複数の搬送ベルト126は、横方向に所定の間隔を有して配列されている。例えば、複数の搬送ベルト126は、横方向に等間隔を有して配列されてもよい。
【0100】
本実施形態では、袋分離部130は、横方向(図8の紙面に垂直な方向)に並んで設けられる複数の駆動ローラ133を有する。また、袋分離部130は、横方向に並んで設けられる3つの第1従動ローラ1351と、横方向に並んで設けられる3つの第2従動ローラ1352とを有する。さらに、袋分離部130は、横方向に並んで設けられる3つの連結部材136を有する。これに限られず、袋分離部130は、2つ以上の任意の数の駆動ローラ133、第1従動ローラ1351、第2従動ローラ1352及び連結部材136を有することができる。駆動ローラ133の数と、第1従動ローラ1351の数と、第2従動ローラ1352の数と、連結部材136の数とは、同じであってもよい。また、駆動ローラ133の数と、第1従動ローラ1351の数と、第2従動ローラ1352の数と、連結部材136の数とは、互いに異なってもよい。
【0101】
複数の駆動ローラ133、複数の第1従動ローラ1351、複数の第2従動ローラ1352及び複数の連結部材136は、それぞれ横方向に配列されている。図示された例では、1つの連結部材136に対応して、1つの駆動ローラ133、1つの第1従動ローラ1351及び1つの第2従動ローラ1352が配置されている。これにより、複数の連結部材136は、駆動軸132を中心として、互いに独立して揺動可能である。とりわけ、複数の連結部材136は、横方向と直交する面内において、互いに独立して揺動可能である。したがって、複数の送りベルト137は、連結部材136とともに、駆動軸132を中心として互いに独立して揺動可能である。とりわけ、複数の送りベルト137は、横方向と直交する面内において、互いに独立して揺動可能である。
【0102】
本例では、4本の送りベルト137のうち2本の送りベルト137は、横方向に配列された3つの駆動ローラ133、3つの第1従動ローラ1351及び3つの第2従動ローラ1352のうち、中央に配置された駆動ローラ133、第1従動ローラ1351及び第2従動ローラ1352に掛け渡されている。したがって、これらの2本の送りベルト137は、駆動軸132を中心として、一体的に揺動可能である。とりわけ、これらの2本の送りベルト137は、横方向と直交する面内において、一体的に揺動可能である。
【0103】
4本の送りベルト137のうち他の1本の送りベルト137は、横方向に配列された3つの駆動ローラ133、3つの第1従動ローラ1351及び3つの第2従動ローラ1352のうち、中央に配置された駆動ローラ133、第1従動ローラ1351及び第2従動ローラ1352に対して横方向の一方側に配置された駆動ローラ133、第1従動ローラ1351及び第2従動ローラ1352に掛け渡されている。4本の送りベルト137のうちさらに他の1本の送りベルト137は、横方向に配列された3つの駆動ローラ133、3つの第1従動ローラ1351及び3つの第2従動ローラ1352のうち、中央に配置された駆動ローラ133、第1従動ローラ1351及び第2従動ローラ1352に対して横方向の他方側に配置された駆動ローラ133、第1従動ローラ1351及び第2従動ローラ1352に掛け渡されている。
【0104】
送出部140は、搬送ベルト126上の袋Bを搬送方向Dcへ送り出して、所定の取出エリアPに位置づける。図8に示す送出部140は、駆動軸144に固定的に取り付けられている回転本体部146と、回転本体部146の周囲から放射方向(すなわち回転本体部146の半径方向)へ突出するように延びる可撓性の複数の爪部148と、を有する。回転本体部146は、送出駆動部(図示省略)によって駆動軸144を介して能動的に回転させられる。複数の爪部148は、駆動軸144を中心に等角度間隔に設けられ、回転本体部146の回転に応じて駆動軸144を中心とした回転方向へ移動する。
【0105】
各爪部148は、回転方向へ移動する間に、搬送ベルト126上の袋Bに上方から接触し、その後、当該袋Bを下方の搬送ベルト126に押し付けつつストッパー115に向かって移動する。これにより、搬送ベルト126上の袋Bは、搬送方向Dcに働く力を爪部148から受け、ストッパー115に向けて搬送方向Dcに送り出される。そのため、図8に示す送出部140は、駆動軸144を中心に反時計回りに回転する。そして、袋Bの先頭側部分100aがストッパー115に接触する位置に到達することで、当該袋Bは取出エリアPに位置づけられる。
【0106】
送出部140は、搬送部120(特に搬送ベルト126)から相対的に近い位置である送出位置(図8において実線で示す)と、搬送部120から相対的に遠い位置である退避位置(図8において一点鎖線で示す)とに配置可能である。搬送ベルト126上の袋Bは、送出位置に配置されている送出部140によって接触され送り出されるが、退避位置に配置されている送出部140からは離れて力を受けない。
【0107】
ストッパー115は、支持体111上に固定的に設けられており、支持体111の上面から上方に突出する。ストッパー115は、送出部140よりも搬送方向Dcの下流側に位置しており、送出部140から送られてくる袋Bの搬送方向Dcへの移動を制限する。支持体111の上面のうち搬送ベルト126とストッパー115との間に位置する部分は、搬送ベルト126の上面と同じ高さを有する。送出部140により送り出されて取出エリアPに配置された袋Bは、基本的には先頭側部分がストッパー115に接触しつつ、支持体111の上面及び搬送ベルト126の上面に載せられている。なお取出エリアPに位置づけられている袋Bは、必ずしも厳密にストッパー115に接触している必要はなく、搬送方向Dcと逆方向へわずかに(例えば数ミリ以下)ストッパー115から離れていてもよい。
【0108】
支持体111には、固定具(図示省略)を介してセンサ152が取り付けられている。センサ152は、ストッパー115が有する貫通部(図示せず)を介し、取出エリアPにおける袋の有無を監視する。
【0109】
取出部154は、取出駆動部(図示省略)によって駆動され、搬送部120(特に搬送ベルト126)から相対的に近い位置である取出エリアP(図8において実線で示す)と、搬送部120から相対的に遠い位置である移送位置(図8において一点鎖線で示す)とに配置可能である。取出エリアPに配置されている取出部154は、送出部140が退避位置に配置されている状態で、取出エリアPに位置づけられている袋Bを保持することができる。とりわけ、取出部154は、袋Bと接触する部分に吸着部158を有しており、この吸着部158で袋Bを吸着することにより、袋Bを保持する。そして取出部154は、袋Bを保持しつつ、取出エリアPから移送位置に移動する。
【0110】
センサ152は、上述のように取出エリアPにおける袋Bの有無を検出し、検出結果を制御部に送信する。センサ152は、任意のセンサによって構成可能であり、例えば光学センサによってセンサ152が構成される。
【0111】
搬送部120の搬送駆動部は、制御部の制御下で搬送部120を駆動し、袋Bを搬送方向Dcに搬送する。本実施形態では、駆動ローラ123を回転させるためのモータ等の駆動源が搬送駆動部に含まれる。例えば、搬送駆動部は、駆動ローラ123を間欠的に回転させ、搬送ベルト126を搬送方向Dcへ間欠的に走行させてもよい。
【0112】
袋分離部130のベルト駆動部は、制御部の制御下で袋分離部130を駆動し、袋Bを袋分離部130から送出部140に向けて送り出す。本実施形態では、駆動ローラ133を回転させるためのモータ等の駆動源がベルト駆動部に含まれる。
【0113】
例えば、ベルト駆動部は、センサ152の検出結果に基づいて袋分離部130を駆動する。取出エリアP(すなわち送出位置に配置されている送出部140とストッパー115との間のエリア)に袋Bが存在することをセンサ152が検出している間、制御部はベルト駆動部を制御して、新たな袋Bが送出部140に送られないように袋分離部130の動作を停止させてもよい。一方、取出エリアPに袋Bが存在しないことをセンサ152が検出した場合、制御部はベルト駆動部を制御して、新たな袋Bが送出部140に送られるように袋分離部130を動作させてもよい。
【0114】
例えば、取出エリアPに袋Bが存在しないことをセンサ152が検出していない間、袋分離部130が一定のリズムで間欠的に袋Bを次々に送り出すように、制御部はベルト駆動部を制御してもよい。一方、取出エリアPに袋Bが存在することをセンサ152が検出している間、袋分離部130が袋Bを送り出さないように、制御部はベルト駆動部を制御してもよい。
【0115】
送出部140の送出駆動部は、制御部の制御下で送出部140を駆動する。本実施形態では、駆動軸144を回転させるためのモータ等の駆動源が送出駆動部に含まれる。
【0116】
例えば、制御部は、センサ152の検出結果に基づいて、送出駆動部を制御する。取出エリアPに袋Bが存在することをセンサ152が検出している間、制御部は送出駆動部制御して、新たな袋Bが取出エリアPに送られないように送出部140の回転を停止させてもよい。一方、取出エリアPに袋Bが存在しないことをセンサ152が検出している間、制御部は送出駆動部を制御して、送出部140を回転させてもよい。
【0117】
なお、送出駆動部は、センサ152の検出結果にかかわらず、送出部140を回転させ続けてもよい。
【0118】
取出部154の取出駆動部は、制御部の制御下で取出部154を移動駆動し、取出部154を取出エリアP及び移送位置に配置する。例えば、送出部140が送出位置に配置されている間、制御部は取出駆動部を制御して、取出部154を移送位置に配置してもよい。一方、送出部140が退避位置に配置されている間、制御部は取出駆動部を制御して、取出部154を取出エリアPに配置してもよい。
【0119】
さらに本実施形態においても、分離ユニット12が設けられる。分離ユニット12は、搬送路Rを介して袋分離部130(第1実施形態の送出ユニット11に対応)とは反対側に位置づけられ、分離ユニット12の分離接触部30が、袋分離部130の送りベルト137(特に第1従動ローラ1351により支持される部分)に対向する。
【0120】
上述の本実施形態の袋搬送システム10において、2つのガイド部113、搬送部120(特に搬送ベルト126)及び袋分離部130(特に送りベルト137)を含む複数の要素によって、収容部13が構成される。すなわち2つのガイド部113、搬送ベルト126及び送りベルト137によって区画される収容空間に、複数の袋Bが重ねられた状態で配置される。
【0121】
このようにして収容部13に配置される複数の袋Bは、搬送方向Dcにずらされつつ重ねられており、分離接触部30は、袋分離部130(送出ユニット)の下方に位置する。
【0122】
次に、本実施形態に係る袋搬送システム10の動作の一例について説明する。以下に説明する動作は、袋搬送システム10が具備する各種機器が制御部によって適宜制御されることで行われる。
【0123】
送出部140が送出位置に配置され、取出部154が移送位置に配置されている状態で、袋分離部130によって袋Bが送出部140に向けて送り出される。袋分離部130の従動軸134、従動ローラ135、連結部材136及び送りベルト137は、駆動軸132を中心として揺動可能である。重力の作用により、送りベルト137の下側(支持体111側)に位置する部分の少なくとも一部が、搬送ベルト126上に載置された複数の袋Bのうち、重ね方向に関して最も上方に位置する袋Bに接触する。ベルト駆動部が図8における反時計回りに駆動軸132を回転させると、送りベルト137も反時計回りに回転する。これにより、送りベルト137と接触している袋Bが、搬送方向Dcの下流側に送り出され送出部140に向かう。
【0124】
本実施形態では、袋分離部130が複数の送りベルト137を有し、複数の送りベルト137のうちの少なくとも2本の送りベルト137は、互いに独立して揺動可能となっている。これにより、一部の送りベルト137が袋Bにおける厚みの大きい部分に乗り上げたとしても、この送りベルト137と独立して揺動可能な他の送りベルト137が、袋Bにおける厚みの小さい部分に接触し続けることができる。
【0125】
送出部140に到達した袋Bは、回転する送出部140によって搬送方向Dcの下流側に送り出され、先頭側部分100aがストッパー115に押し当てられる。これにより袋Bは取出エリアPに配置される。
【0126】
袋Bが取出エリアPに配置されている状態で、送出部140の爪部148は回転していてもよいし、回転を停止してもよい。例えば、袋Bの剛性が十分に大きい場合、送出部140が回転して袋Bを継続的にストッパー115に押し付け続けても、袋Bに過度な折り曲げや折り目が生じない。袋Bが取出エリアPに配置されている状態で、送出部140の爪部148が回転を停止する場合、袋Bは取出エリアPにおいて適切な状態に置かれる。送出部140が回転を停止させる場合、送出部140は正回転自在の状態に置かれてもよい。この場合、取出エリアPに配置されている袋Bに対して送出部140から過度な力が作用することを効果的に防ぐことができる。
【0127】
そして、取出エリアPに袋Bが配置されている状態で、送出部140が退避位置に配置され、取出部154が取出エリアPに配置される。これにより、取出エリアPに配置されている袋Bが取出部154の吸着部158によって吸着保持される。
【0128】
本実施形態では、送出部140が送出位置に配置されている状態で、取出部154が移送位置から移動して取出エリアPに配置される。すなわち、取出エリアPに位置づけられている袋Bは、支持体111の上面及び各搬送ベルト126と送出部140とにより挟まれている状態で、取出部154によって保持される。これにより、送出部140等によって袋Bの位置ずれが抑制されている状態で、袋Bの所望箇所を取出部154によって位置精度良く保持することができる。その後、取出部154が袋Bを保持している状態で、送出部140が送出位置から移動して退避位置に配置される。
【0129】
その後、取出部154は、袋Bを保持しつつ、取出エリアPから移送位置に移動する。取出部154と送出部140と間の衝突を防ぐため、取出部154が取出エリアPから退避した後に、送出部140は送出位置に配置されてもよい。すなわち取出部154が袋Bを保持しつつ取出エリアPから移送位置に移動する間、送出部140は退避位置に置かれてもよい。
【0130】
取出部154が袋Bを保持しつつ移送位置に配置されることによって、当該袋Bは、後段の装置(図示省略)に受け渡されるための位置(すなわち受渡位置)に配置される。そして袋Bは、受渡位置において、取出部154から後段の装置(例えばグリッパー)に受け渡される。そして、新たな袋Bが袋分離部130から送出部140に向けて送り出され、袋搬送システム10は上述の動作を繰り返し行う。
【0131】
本実施形態の袋搬送システム10は、袋Bを下方から支持するとともに、袋Bを搬送方向Dcに沿って搬送する搬送ベルト126と、袋Bに上方から接触するとともに、袋Bを搬送方向Dcに沿って送出する複数の送りベルト137と、を備え、送りベルト137は、上方から見て搬送方向Dcに平行に延びており、複数の送りベルト137のうちの少なくとも2本の送りベルト137は、互いに独立して揺動可能である。
【0132】
本実施形態の袋搬送システム10では、複数の送りベルト137は、袋Bの中心に接触する第1送りベルトと、第1送りベルトに対して、搬送方向Dcと直交する横方向の一方側に配置された第2送りベルトと、第1送りベルトに対して、横方向の他方側に配置された第3送りベルトと、の3本の送りベルト137からなる。
【0133】
このような袋搬送システム10によれば、横方向における送り量のバランスがとりやすくなり、袋Bにシワ等の変形が生じたり、袋Bがその面内において回転したりすることをさらに抑制することができる。
【0134】
図9及び図10は、図8に示す分離ユニット12の作動例を示す図である。
【0135】
本実施形態においても、収容部13に配置されている複数の袋Bのうちの取り出し対象の袋B1のみを、搬送方向Dcに送ることができる。
【0136】
例えば、図9に示すように、袋分離部130(送出ユニット)によって取り出し対象の袋B1のみが搬送方向Dcに送られる場合、取り出し対象の袋B1は、搬送方向Dcへの当該袋B1の移動を抑える抑止力を分離接触部30から受けるが、当該抑止力よりも大きな搬送力を袋分離部130から受ける。その結果、取り出し対象の袋B1は、袋分離部130によって搬送方向Dcに適切に送られる。
【0137】
一方、図10に示すように、袋分離部130によって取り出し対象の袋B1を搬送方向Dcに送る際に、取り出し対象の袋B1の直下に位置する袋B2も、取り出し対象の袋B1に貼り付いた状態で、搬送方向Dcに送られることがある。この場合、取り出し対象の袋B1の直下に位置する袋B2は、分離ユニット12の分離接触部30に接触し、搬送方向Dcへの当該袋B2の移動を抑える抑止力を分離接触部30から受ける。すなわち取り出し対象の袋B1は、袋分離部130によって搬送方向Dcに適切に送られるが、取り出し対象の袋B1の直下に位置する袋B2は、分離接触部30によって搬送方向Dcへの移動が妨げられる。その結果、取り出し対象の袋B1は、取り出し対象の袋B1の直下に位置する袋B2から分離され、袋分離部130によって搬送方向Dcに適切に送られる。
【0138】
[第3実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0139】
図11は、第3実施形態に係る袋搬送システム10の一例の概略構成を示す図である。
【0140】
図11に示す袋搬送システム10は、図8に示す上述の第2実施形態に係る袋搬送システム10と同様に構成されるが、図1に示す上述の規制体15を備える。また、上述の第2実施形態と同様に本実施形態の袋搬送システム10も袋分離部130を備えるが、図11に示す袋分離部130は、搬送ベルト126上の袋Bに対して下方から接触するように配置される。
【0141】
図11に示す規制体15及び分離ユニット12は、各ガイド部113に取り付けられ、各ガイド部113によって固定的に支持される。分離ユニット12の分離接触部30は、規制体15と取出エリアPとの間で、搬送部120の搬送ベルト126の上方に位置する。
【0142】
図11に示す袋搬送システム10において、2つのガイド部113、搬送部120(特に搬送ベルト126)及び規制体15を含む複数の要素によって収容部13が構成される。すなわち2つのガイド部113、搬送ベルト126及び規制体15によって区画される収容空間に、複数の袋Bが重ねられた状態で配置される。
【0143】
収容部13に配置される複数の袋Bは、搬送方向Dcにずらされつつ重ねられている。すなわち収容部13に配置される複数の袋Bは、搬送ベルト126上において搬送方向Dcに並べられ、隣り合う袋Bのうちの一方(すなわち上流側の袋B)の裏面と他方(すなわち下流側の袋B)の表面とが少なくとも部分的に接触している状態で、互いに重ねられる。搬送ベルト126上の複数の袋Bは、重ね方向に関してより下方側に位置する袋が搬送方向Dcに関してより下流側に位置するように、互いに重ねられている。したがって、搬送ベルト126上の複数の袋Bのうち重ね方向に関して最も下方に位置する袋B(すなわち搬送方向Dcに関して最も先頭側の袋B)が、取り出し対象の袋Bとして、送出部140に向けて送り出される。
【0144】
袋分離部130は、駆動軸132を中心に回転可能に設けられる駆動ローラ133と、従動軸134を中心に回転可能に設けられる従動ローラ135と、駆動ローラ133及び従動ローラ135によって支持される無端状の送りベルト137と、を備える。送りベルト137は、図11において紙面に垂直な方向(すなわち搬送方向Dcと垂直を成す水平方向)に関し、隣り合って設けられる2つの搬送ベルト126間に位置づけられており、各搬送ベルト126とは無関係に走行可能である。駆動ローラ133がモータ等のベルト駆動部によって能動的に回転させられることで、送りベルト137が走行し、従動ローラ135が受動的に回転させられる。送りベルト137のうち袋Bが載せられる上側送り移動部が搬送ベルト126の上側搬送移動部よりも速い速度で搬送方向Dcに走行するように、駆動ローラ133は回転させられる。
【0145】
分離ユニット12の分離接触部30は、規制体15と取出エリアPとの間において(すなわち規制体15よりも搬送方向Dc側において)、搬送部120の搬送ベルト126(特に上側搬送移動部)及び袋分離部130の送りベルト137(特に上側送り移動部)の上方に位置する。
【0146】
取り出し対象の袋Bは、搬送方向Dcの最先頭位置(すなわち最下流位置)に配置され、重ねられた複数の袋Bのうちの一番下に位置する。搬送部120によって搬送ベルト126に載せられている全ての袋Bが搬送方向Dcに搬送されることによって、取り出し対象の袋Bは、他の袋Bに先立って規制体15の下方の隙間に進入する。
【0147】
そして取り出し対象の袋Bの少なくとも一部が、送りベルト137(特に上側送り移動部)上に載せられることで、取り出し対象の袋Bが、他の袋Bよりも速い速度で搬送方向Dcへ送り出される。図11に示す例において、取り出し対象の袋Bの進行方向先端部(図11の右側先端部)は、規制体15の直下の隙間を通過した直後に(すなわち規制体15と分離ユニット12(特に分離接触部30)との間で)、送りベルト137の上側送り移動部上に載せられる。このように送りベルト137の上側送り移動部は、搬送方向Dcに関し、規制体15と送出部140(回転本体部146)との間において、搬送ベルト126の上側搬送移動部と同じ高さ又は当該上側搬送移動部よりも高い高さ位置に配置される。
【0148】
なお、送りベルト137の上側送り移動部の搬送方向Dcに関する延在範囲は限定されない。取り出し対象の袋Bを他の袋Bからより確実に分離する観点から、送りベルト137の上側送り移動部は、袋Bの搬送範囲のうちの広い範囲で取り出し対象の袋Bと接触するように、搬送方向Dcに延在してもよい。一方、取出エリアPに位置する取り出し対象の袋Bが、回転本体部146の爪部148、送りベルト137及び搬送ベルト126から同時的に過大な力を受けないようにする観点から、送りベルト137の上側送り移動部は、搬送方向Dcに関し、袋Bの長さよりも大きな距離、ストッパー115から上流側へ離れた領域で、袋Bと接触するように、搬送方向Dcに延在してもよい。
【0149】
そして、取り出し対象の袋Bは、送りベルト137によって搬送方向Dcに送られつつ、分離ユニット12の分離接触部30と搬送ベルト126及び送りベルト137との間に進入する。
【0150】
一方、取り出し対象の袋Bの直上に位置する袋Bは、取り出し対象の袋Bの次に、分離ユニット12に到達して分離接触部30に接触する。その結果、取り出し対象の袋Bは、取り出し対象の袋Bの直上に位置する袋Bから分離されて、搬送ベルト126によって搬送方向Dcに適切に送られる。
【0151】
なお送出部140も、送り出し対象の袋Bを搬送路Rに沿って搬送方向Dcに送り出す送出ユニットとして働く。すなわち分離接触部30と搬送ベルト126及び送りベルト137との間を通過した取り出し対象の袋Bは、送出部140により搬送方向Dcに送られて、ストッパー115に接触する取出エリアPに配置される。
【0152】
図12及び図13は、図11に示す分離ユニット12の作動例を示す図である。
【0153】
例えば図12に示すように、取り出し対象の袋B1のみが分離ユニット12の分離接触部30に到達している間、取り出し対象の袋B1は、搬送ベルト126及び送りベルト137(主として送りベルト137)によって搬送方向Dcに適切に送られる。特に図12に示す例では、分離接触部30と搬送ベルト126及び送りベルト137の各々との間の距離は、取り出し対象の袋B1の厚みよりも大きく、具体的には各袋Bの厚みの1倍よりも大きく且つ2倍未満である。したがって取り出し対象の袋B1は、分離接触部30に接触せず、分離接触部30からの直接的な抵抗力を受けることなく、分離接触部30の下方を通過する。
【0154】
なお分離接触部30と搬送ベルト126及び送りベルト137の各々との間の距離が各袋Bの厚みの1倍未満の場合、取り出し対象の袋B1は、搬送方向Dcへの当該袋B1の移動を抑える抑止力を分離接触部30から受けるが、当該抑止力よりも大きな搬送力を搬送部120の搬送ベルト126及び送りベルト137から受ける。その結果、取り出し対象の袋B1は、搬送ベルト126及び送りベルト137によって搬送方向Dcに適切に送られる。
【0155】
一方、図13に示すように、取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2が分離ユニット12の分離接触部30に到達すると、当該袋B2は、分離接触部30に接触し、搬送方向Dcへの当該袋B2の移動を抑える抑止力を分離接触部30から受ける。したがって取り出し対象の袋B1は、搬送ベルト126及び送りベルト137によって搬送方向Dcに適切に送られるが、取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2は、分離接触部30によって搬送方向Dcへの移動が妨げられる。その結果、取り出し対象の袋B1は、取り出し対象の袋B1の直上に位置する袋B2から分離されて、搬送ベルト126、送りベルト137及び送出部140によって搬送方向Dcに適切に送られる。
【0156】
なお本実施形態においても、規制体15と搬送ベルト126との間の最小距離(すなわち規制体15の直下の隙間の高さ方向サイズ)は、各袋Bの厚みの2倍以上且つ3倍未満の大きさを有する。そのため下から3番目以降の袋B3は規制体15によって搬送方向Dcへの移動が制限されるが、下から2番目の袋B2は、取り出し対象の袋B1(すなわち下から1番目の袋)とともに、規制体15と送出ユニット11との間を無理なく通過することが許容される。
【0157】
このように本実施形態においても、規制体15及び分離ユニット12の分離接触部30によって搬送方向Dcへの移動が妨げられる「取り出し対象の袋B1以外の袋B」から、「取り出し対象の袋B1」が分離され、取り出し対象の袋B1のみを、搬送方向Dcに適切に送ることができる。
【0158】
[変形例]
上述の実施形態では袋Bとして平袋が例示されているが、袋Bの形状、種類及び状態は限定されない。袋Bは、矩形状の平面形状を有してもよいし、他の平面形状を有してもよい。また袋Bは、全体にわたって均一な厚みを有していてもよいし、不均一な厚みを有していてもよい。袋Bは、スパウトやファスナーなどの取付具が取り付けられた袋本体を有してもよい。袋Bは、例えば、電子レンジで加熱された際に、袋B内で生じる蒸気を排出するためのウィング部(図示省略)を有してもよい。袋は、内側に内容物が収容されていてもよい。
【0159】
本開示は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよいし、上述の実施形態及び変形例間において部分的に又は全体的に構成が組み合わせられてもよい。また、本開示によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本開示の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0160】
10 袋搬送システム
11 送出ユニット
12 分離ユニット
13 収容部
14 取出ユニット
15 規制体
16 ストッパー
17 支持補助ユニット
18 負圧発生装置
19 収容ガイド
20 搬送フレーム
21 第1搬送ローラ
22 第2搬送ローラ
23 搬送ベルト
30 分離接触部
30a 高摩擦領域
30b 吸引穴
31a 第1弾性構造部
31b 第2弾性構造部
31c 第3弾性構造部
40 支持接触部
50 取付ブロック
B 袋
B1 取り出し対象の袋
Dc 搬送方向
Dh 高さ方向
P 取出エリア
R 搬送路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13