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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011173
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】商品管理装置及び商品管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0282 20230101AFI20230117BHJP
   G06Q 30/015 20230101ALI20230117BHJP
【FI】
G06Q30/02 480
G06Q30/02 470
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114844
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】320011580
【氏名又は名称】ソニーデザインコンサルティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143225
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 光吉
(72)【発明者】
【氏名】福原 寛重
(72)【発明者】
【氏名】池田 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】江下 就介
(72)【発明者】
【氏名】兵庫 邦典
(72)【発明者】
【氏名】山岸 あさみ
(72)【発明者】
【氏名】三宅 諒
(72)【発明者】
【氏名】城ケ野 修啓
(72)【発明者】
【氏名】金田 紗季
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB01
(57)【要約】
【課題】収納棚に収納された商品に事後的に固有の色彩を施すことでかかる色彩を頼りに顧客が潜在的に欲する商品へ誘うような空間演出を実現するための商品管理装置及び商品管理方法を提供することにある。
【解決手段】棚に収容されている商品をセンシングして当該商品の配置位置と商品情報を特定する検出手段と、前記商品情報に基づいて固有の分類分けをするとともに分類毎に異なる色彩を付与する分類制御手段と、前記商品に対して前記分類制御手段によって付与された色彩を重畳的に表示制御させる表示制御手段と、を少なくとも備えてなるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚に収容されている商品がセンシングされて当該商品の配置位置と商品情報を特定する検出手段と、
前記商品情報に基づいて固有の分類分けをするとともに分類毎に異なる色彩を付与する分類制御手段と、
前記商品に対して前記分類制御手段によって付与された色彩を重畳的に表示制御させる表示制御手段と、
を少なくとも備えてなることを特徴とする商品管理装置。
【請求項2】
前記検出手段は別端末からの棚に収容されている商品をセンシングした結果を受信することで前記商品の配置位置と商品情報を特定することを特徴とする請求項1記載の商品管理装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、実空間の撮像画像として特定される前記商品に対して前記分類制御手段によって付与された色彩を仮想空間の存在である仮想オブジェクトとして透過性を持たせて前記商品に重畳させて描画してなる複合現実空間として表示制御させることを特徴とする請求項1又は2記載の商品管理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、別端末に備わった投影装置に対して、前記分類制御手段により付与された色彩を前記商品の外側に露見している部分に透過性を持たせて重畳的に投影表示させることを特徴とする請求項1又は2記載の商品管理装置。
【請求項5】
前記分類制御手段は、前記商品情報の詳細が蓄積されている記録手段にアクセスして固有の分類分けを制御することを特徴とする請求項1記載の商品管理装置。
【請求項6】
前記分類制御手段は、別端末より棚の近傍にいる顧客をセンシングすることで当該顧客を特定し、前記顧客が過去にアクセスした商品情報の詳細が蓄積されている記録手段にアクセスして、前記顧客の嗜好度合いを推定して固有の分類分けを制御することを特徴とする請求項1記載の商品管理装置。
【請求項7】
サーバ装置側のプログラムであって、
棚に収容されている商品がセンシングされて当該商品の配置位置と商品情報を特定するステップと、
前記商品情報に基づいて固有の分類分けをするとともに分類毎に異なる色彩を付与するステップと、
前記商品に対して前記分類制御手段によって付与された色彩を重畳的に表示制御させるステップと、
を少なくとも有することを特徴とする商品管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、商品管理装置及び商品管理方法に関するものであり、特に顧客が潜在的に欲している商品にめぐり合わせることを可能とする商品管理装置及び商品管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、書店やレコードショップなど多くの種類、ジャンルの商品を扱う店舗では、通常、「経済、経営、アート、レシピ、絵本」あるいは「邦楽、洋楽、クラシック」などのカテゴリーごとに棚が作られており、その棚の中にそのグループに属する商品が置かれている。
【0003】
また、書籍の背表紙にカラーコード印刷体を貼付することで色分けした収納棚に収納させることで、タイトルやジャンルなどではなく、色彩を用いて管理しようとするものとして以下の先行技術文献に挙げるものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-144000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、顧客は予めある程度明確な目的意識をもって店舗に来ているのであれば、自分が探しているジャンルの棚から書籍などの商品を探すことができるが、商品のタイトルによっては一意のジャンルに収まらないものもあるし、また、顧客の好みが過去の商品情報にアクセスしてはじめて明確になる場合もある。さらに、これまで出会ってない商品であるけれども顧客が潜在的に欲するような商品に出会ってもらうといった空間演出をすることまではできてない。
【0006】
また、カラーコード印刷体を書籍に貼付して収納棚への管理を徹底させるといった前記先行技術文献に開示されたものでは、書籍に予め色彩が一意に固定されているため、分類が複数にまたがる場合や、顧客毎に異なるニーズにマッチさせることはむずかしい。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、収納棚に収納された商品に事後的に固有の色彩を施すことでかかる色彩を頼りに顧客が潜在的に欲する商品へ誘うような空間演出を実現するための商品管理装置及び商品管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、棚に収容されている商品がセンシングされて当該商品の配置位置と商品情報を特定する検出手段と、前記商品情報に基づいて固有の分類分けをするとともに分類毎に異なる色彩を付与する分類制御手段と、前記商品に対して前記分類制御手段によって付与された色彩を重畳的に表示制御させる表示制御手段と、を少なくとも備えてなることを特徴とする商品管理装置からなる。
【0009】
また、本発明は、前記検出手段は別端末からの棚に収容されている商品をセンシングした結果を受信することで前記商品の配置位置と商品情報を特定するようになっていてもよい。
【0010】
さらに、本発明は、前記表示制御手段は、実空間の撮像画像として特定される前記商品に対して前記分類制御手段によって付与された色彩を仮想空間の存在である仮想オブジェクトとして透過性を持たせて前記商品に重畳させて描画してなる複合現実空間として表示制御させるようになっていてもよい。
【0011】
あるいは、本発明は、前記表示制御手段は、別端末に備わった投影装置に対して、前記分類制御手段により付与された色彩を前記商品の外側に露見している部分に透過性を持たせて重畳的に投影表示させるようになっていてもよい。
【0012】
また、本発明は、前記分類制御手段は、前記商品情報の詳細が蓄積されている記録手段にアクセスして固有の分類分けを制御するようになっていてもよい。
【0013】
さらに、本発明は、前記分類制御手段は、別端末より棚の近傍にいる顧客をセンシングすることで当該顧客を特定し、前記顧客が過去にアクセスした商品情報の詳細が蓄積されている記録手段にアクセスして、前記顧客の嗜好度合いを推定して固有の分類分けを制御するようになっていてもよい。
【0014】
本発明は、サーバ装置側のプログラムであって、棚に収容されている商品がセンシングされて当該商品の配置位置と商品情報を特定するステップと、前記商品情報に基づいて固有の分類分けをするとともに分類毎に異なる色彩を付与するステップと、前記商品に対して前記分類制御手段によって付与された色彩を重畳的に表示制御させるステップと、を少なくとも有することを特徴とする商品管理プログラムからなる
【発明の効果】
【0015】
本発明の商品管理装置によれば、所定の機器を介して収納棚の商品が固有の分類分けがなされた色彩によって色分け表示させることに寄与するので、かかる色彩を頼りに顧客が潜在的に欲する商品へ誘うような空間演出が実現され、顧客はこれまでに出会っていなかった商品との新しい出会いを実現することを支援できる。
【0016】
また、本発明の商品管理装置によれば、別端末にて棚に収容されている商品をセンシングしておき、その結果を受信することで前記商品の配置位置と商品情報を特定するようになっているので、棚が複数ある場合にも対応がとれるようになっているので、商品が陳列された棚が設置されているエリア全体の空間演出に寄与し得る。
【0017】
さらに、本発明の商品管理装置によれば、顧客が所持する携帯情報端末の複合現実システムを用いることで、実空間として棚に陳列された商品の撮像画像に対して、固有の分類分けがなされた、透過性を伴った色彩が前記商品に重畳するようにして表示制御されるようになっているので、顧客は携帯情報端末を介してリアリティのある色彩に誘われてこれまでに出会っていなかった商品との新しい出会いを実現することを支援できる。
【0018】
あるいは、本発明の商品管理装置によれば、別端末に備わった投影装置に対して、棚に陳列された商品の外側に露見している部分に、固有の分類分けがなされた、透過性を伴った色彩が前記商品に重畳するようにして投影表示されるように表示制御をなすので、顧客は煩わしい操作なしに投影表示された色彩に誘われてこれまでに出会っていなかった商品との新しい出会いを実現することを支援できる。
【0019】
さらに、本発明の商品管理装置によれば、商品の外部から読み取れる属性情報をセンシングするだけではなく、当該商品情報が蓄積されている記録手段にアクセスしてより詳細な情報に基づいて固有の分類分けをすることができるので、よりきめ細かく顧客の潜在的なニーズにリーチした形での新たな商品への誘いというサービスを実現できる。
【0020】
あるいは、本発明の商品管理装置によれば、別端末より棚の近傍にいる顧客をセンシングすることで当該顧客を特定した情報を授受することで、当該顧客が過去にアクセスした商品情報の詳細が蓄積されている記録手段にアクセスして、前記顧客の嗜好度合いを推定して固有の分類分けを制御するようになっていてもよいことから、より確度の高い顧客の潜在的なニーズにリーチした形での商品への誘いというサービスを実現できる。
【0021】
本発明の商品展示プログラムによれば、サーバ装置側のプログラムとして所定の端末に対して所定の指令を出すようになっており、具体的には、棚に収容されている商品がセンシングされて当該商品の配置位置と商品情報を特定するステップと、前記商品情報に基づいて固有の分類分けをするとともに分類毎に異なる色彩を付与するステップと、前記商品に対して前記分類制御手段によって付与された色彩を重畳的に表示制御させるステップと、を経て、所定の端末を介して、棚に収容されている商品に対して固有の分類分けがなされた色彩が表示されるようになるので、かかる色彩に誘われて顧客はこれまでにない新しい商品との出会いを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明を適用した商品展示システムの全体構成図である。
図2】本発明を適用した商品展示システムにおける書籍名認識端末のブロック図である。
図3】本発明を適用した商品展示システムにおける書籍データベースサーバ(クラウドサーバ)のブロック図である。
図4】本発明を適用した商品展示システムにおける書籍検索・MR用端末のブロック図である。
図5】本発明を適用した商品展示システムにおける制御処理フローチャートである。
図6】本発明を適用した商品展示システムにおける制御処理の概要を示す概念図である。
図7】本発明から派生する第1のアイデアの概念図である。
図8】本発明から派生する第2のアイデアの概念図である。
図9】本発明から派生する第3のアイデアの概念図である。
図10】本発明から派生する第4のアイデアの概念図である。
図11】本発明から派生する第5のアイデアの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明を適用した商品展示システムについて説明する。本実施形態では複合現実システムを用いている。かかる複合現実システムとは、例えばスマートフォンの画面を通してユーザーが視認する実空間の撮影画像に対して仮想空間の存在である仮想オブジェクトを重畳させて描画することにより、ユーザーにMR(Mixed Reality)を体験させるものを指す。仮想オブジェクトは、例えばゲームキャラクターのように、画面上のごく一部だけを占めるコンピュータグラフィックスである。本明細書においては、説明の便宜上、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成についての重複説明を省略する場合がある。
【0024】
図1は、本発明を適用した商品展示システムの全体構成例を表している。なお、以下の説明においては、取り扱う商品を書籍とする例を示すが、このことによって本発明が適用される商品が書籍のみに限定されることを意味するものではない。すなわち、本発明を適用した商品展示システムによりユーザーに提供されるサービスは書店や図書館など以外であってもよく、例えば、CD(コンパクトディスク)やレコードを販売しているショップなどにも適用できる。
【0025】
図1の商品展示システムにおいては、図示は省略するがインターネットを含むネットワークを介して書籍名認識用端末1と書籍データベース2と書籍検索・MR用端末3とがネットワークを介して接続されている。また、書籍名認識用端末1と書籍データベース2との間ではブルートゥース(登録商標)による近距離無線通信による接続も考えられる。さらに、書籍データベース2と書籍検索・MR用端末3との間では無線LAN(Local MRea Network)による無線通信による接続であってもよい。なお、前記書籍名認識用端末1と前記書籍データベース2とは、例えばエッジコンピューティングなどによるものとして、一体の装置を構成するものであってもよい。
【0026】
図1では、書籍店舗内の一部をイメージして図示しており、図では書籍棚5が一つしか示されていないが、かかる書籍棚5は複数並んでいるものとし、それぞれの書籍棚5に対してそこに収納されている書籍の配置やタイトルなどの情報をカメラ4で常時撮影しており、かかるカメラ4からの撮像情報を前記書籍名認識用端末1を介して書籍データベース2に送信するようになっている。
【0027】
前記書籍データベース2は、図示は省略するが、後述するOCR(Optical Character Recognition/Reader)で認識された書籍情報を一時的に記録する記録手段と、後述する前記書籍名認識用端末1の撮像機能によって特定された書籍情報とを照会して同一性を判定する判定手段と、前記書籍情報に基づいて固有の分類分けを行う分類手段と、分類毎に異なる色彩を付与する色彩付与手段(前記分類手段と前記色彩付与手段とを一体に合わせて分類制御手段としてもよい。)と、前記判定手段によって同一性があるものと判定された書籍に対して前記分類制御手段によって付与された色彩を前記書籍名認識用端末1に対して表示制御するための指令を生成する表示制御手段とを備えているものとする。
【0028】
先に、図6を参照しながら本発明を適用した商品展示システムにおける制御処理の概要を説明する。上述の通り、前記書籍名認識用端末1と接続されている前記カメラ4が書籍棚5を常時撮影しているので、当該書籍棚5に収納されている書籍の背表紙の文字列をOCRで認識できるようになっている。
【0029】
前記書籍データベース2は、前記記憶手段たるデータベースと照合して、前記書籍の背表紙の文字列を書籍タイトルとして認識し、一冊の本として特定する。また、前記カメラ4によって書籍の収納位置が特定されるので、かかる位置情報に基づいて当該書籍が複数ある前記書籍棚5のどこに収納されていて、かつ、前記書籍棚5のどの段のどの位置に収納されているのかをマッピングする形で一時的に記録している。なお、顧客が書籍棚から書籍を取り出して元の場所とは異なる位置に戻した場合には、その戻された最新の場所に基づいてマッピングされるようになっているので、前記判定手段が前記書籍名認識用端末1の撮像機能によって特定された書籍情報とを照会した際に差が生じないようになっている。
【0030】
次に、前記書籍検索・MR用端末3によるMR表示がなされるまでの制御処理を説明する。かかる書籍検索・MR用端末3はいわゆるスマートフォンであってMR表示が可能なアプリケーションがダウンロードされているものとする。書籍店舗に訪れてきた顧客が自己所有のスマートフォンにて、書籍を検索する。かかる検索では、書籍一冊だけを出力するのでもよく、あるいは、検索した書籍に関連するものを群で出力するようになっていてもよい。
【0031】
前記書籍データベース2では、段落番号0030で述べたようにして書籍名が照合される一方で、所定の制御手段によってかかる書籍の情報に基づく固有の分類分けをなすとともに、分類毎に異なる色彩が付与されるようになっている。ここで、固有の分類分けとしては、例えば書籍のタイトルが複数のジャンルに属する場合におけるジャンル別の分類だったり、著者別の分類だったり、小説とその小説をベースに作られた漫画の関係性などが考えられ、書籍棚毎に整理された分類とは必ずしも一致していないものを含む。
【0032】
また、前記書籍データベース2は、前記書籍の内容などを含めた詳細な情報が蓄積されている別のデータベース内の記録手段にアクセスして前記固有の分類分けを制御することものであってもよい。かかる別のデータベースとしてはAI(Artificial Inteligence)によって自動的に内容解析が行われて、一見すると内容的に関係性が希薄であったとしても読み終えるとストーリー展開に共通性があるようなものでもよい。
【0033】
さらに、前記書籍データベース2は、図示は省略するが、別端末によって書籍店舗内における顧客を検知するセンサーと接続されていて、所定の書籍棚の近傍にいる顧客を顧客データベースと照合することで特定し、当該顧客が過去に購入したり、手に取って立ち読みをしたことがある書籍情報の履歴に照会することで、当該顧客の嗜好度合いを推定して固有の分類分けを制御するようになっていてもよい。
【0034】
そして、前記書籍データベース2は、前記分類手段が前記書籍情報に基づいて固有の分類分けを行うと、前記色彩付与手段がかかる分類毎に異なる色彩を付与する。かかる色彩の付与は色温度差の対照的に大きいものから選出されるようにして色彩の混同を抑止するようにしている。
【0035】
最後に、前記書籍データベース2は、前記書籍名認識用端末1が撮像している書籍棚の書籍の外側に露見している部分に対して、MRによって前記色彩を透過性を持たせて重畳的に表示制御するような指令を生成して前記書籍名認識用端末1へ送信する。なお、前記色彩は書籍単位で着色することに限定されず、例えば図6に表れているように書籍棚の略全体を着色するように表示制御するものであってもよい。
【0036】
そして、前記書籍名認識用端末1では、MR機能を備えたアプリケーションを立ち上げた状態でカメラモードで書籍棚をカメラ撮影すると、ディスプレイにリアルに撮像されている書籍や書籍棚に対して前記書籍データベース2側で生成された固有の分類分けがなされた色彩が透過性を持たせてMR機能による重畳表示がなされているので、顧客はかかる色彩を頼りに自分が探している書籍に誘われる。
【0037】
なお、前記書籍名認識用端末1では、最初の書籍を検索した画面からMR機能による色分け表示をした画面に切り替わる際に、本が飛んで行くようなトランジションを画像を挟むようにしてもよい。このようにすることで顧客は自分が探している書籍のジャンルとMR機能によって色分け表示された画像との相関性を把握して、実際の書籍棚から探している書籍を見つけやすいものとなる。
【0038】
また、書籍店舗のスペースが大きい場合には、前記書籍名認識用端末1のディスプレイに全ての書籍棚が収まらないこともあり得る。このような場合において、顧客が探している書籍がディスプレイに表示されている書籍棚にはない状態のときに、顧客が探している書籍がある場所の方向を示唆する表示を出力したり、かかる書籍がある場所までナビゲーションするような表示機能を伴っていてもよい。
【0039】
ここまでの説明では、MRを用いた色彩の重畳表示の例を説明してきたが、書籍棚ごとにプロジェクターによる投影表示がなされるものに代替することも可能である。この場合には顧客はスマートフォンを使ってMR機能を呼び出した形でカメラ撮像するといった煩わしい操作をすることなく、リアルな書籍棚へのプロジェクション投影表示による書籍や書籍棚に対する透過性のある色彩の重畳表示により、顧客はかかる色彩を頼りに自分が探している書籍に誘われる。
【0040】
図2は、本発明を適用した商品展示システムにおける書籍名認識端末1のブロック図である。CPU(Central Processing Unit)301は、ROM(Read Only Memory)302に記憶されているプログラム、またはHDD/SSD304からRAM(Random Access Memory)303にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM303にはまた、CPU301が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0041】
CPU301、ROM302、RAM303、およびHDD/SSD304は、バス305を介して相互に接続されている。このバス305にはまた、入出力インターフェイス306も接続されている。
【0042】
入出力インターフェイス306には、キーボード307、マウス308、スピーカーなどよりなる音声出力部309、CRT(Cathode-Ray Tube)、LCD、OLED(Organic Light Emitting Diode)などよりなるディスプレイ310、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部311、およびカメラ312が接続されている。通信部311は、インターネットを含むネットワーク1を介しての通信処理を行う。
【0043】
また、図3は、本発明を適用した商品展示システムにおける書籍データベース2のブロック図である。この書籍データベース2を構成するCPU351乃至通信部361は、図2の書籍名認識端末1を構成するCPU301乃至通信部311と基本的に同様の構成からなるものであり、対応する名称が示す対象物は、対応する機能を有する。従って、それらの説明は、繰り返しになるので省略する。
【0044】
さらに、図4は、本発明を適用した商品展示システムにおける書籍検索・MR用端末3のブロック図である。この書籍検索・MR用端末3を構成するCPU401乃至通信部411は、図2の書籍名認識端末1を構成するCPU301乃至通信部311と基本的に同様の構成からなるものであり、対応する名称が示す対象物は、対応する機能を有する。従って、それらの説明は、繰り返しになるので省略する。書籍検索・MR用端末3では、前記書籍名認識端末1の構成要素に加えて、カメラ412、GPS(Global Positioning System)413、ジャイロセンサー414、加速度センサー415が入出力インターフェイス356を介して接続されている。
【0045】
次に、本発明を適用した商品展示システムにおける制御処理手順について図5のフローチャートを参照して説明する。図5では、書籍名認識用端末1、書籍データベース2、書籍検索・MR用端末3のそれぞれが互いに制御処理手順を連携することで、本実施形態における商品展示システムをなしている。
【0046】
先に、図5のうち左側に示したフローを用いて、書籍名認識用端末1による書籍文字列認識処理の手順から説明する。カメラ4により書籍棚5に収納されているそれぞれの書籍の画像情報が常時受信されている(S101)。前記書籍の画像情報からOCR処理により、文字列を認識する(S102)。クラウドへ書籍にレイアウトされた文字列、及び撮影したカメラ情報を送信する(S103)。
【0047】
次に、図5の中央に示したフローを用いて、クラウドとしての書籍データベース2による照会処理の手順について説明する。前記S103で記載したように、書籍名認識端末1より文字列、及び撮影したカメラ情報が送信されるとこれを受信し(S111)、文字列を書籍データベース2と照合し(S112)、書籍名ごとに文字列を固有の分類分けによりグループ化する(S113)。
【0048】
そして、前述の取得したカメラ情報は、予め記録されている書店の3Dマップと照合し、撮影している書籍棚の位置を特定する(S114)。また、前述のグループ化された書籍名を3Dマップ上に再配置する(S115)。
【0049】
後述する書籍検索・MR用端末3から送信されてくる書籍名を取得すると(S116)、当該書籍名をデータベースと照合する(S117)。当該書籍名がデータベースにない場合にはエラーメッセージを書籍検索・MR用端末3へ送信する(S120)。他方、当該書籍名がデータベースにある場合には、書籍名が配置された3Dマップと照合し(S119)、検索された書籍の三次元位置情報を送信する(S121)。
【0050】
最後に、図5の右側に示したフローを用いて、書籍検索・MR用端末3による検索処理の手順を説明する。書籍検索・MR用端末3にて検索書籍名を入力すると(S131)、クラウドへ当該書籍名を送信する(S132)。そして、文字列を書籍データベース2と照合するとともに(S133)、前述した書籍の三次元位置情報を受信する(S134)。その後、書籍検索・MR用端末3の位置、傾き情報に合わせて透過性のある色彩が書籍に重畳的に表示されるような形でレンダリングがなさる(S135)。
【0051】
ここまで図1乃至6を用いて、本発明を適用した商品展示システムとして、当該商品を書籍と位置づけ、図書館や書店などに適用した実施形態を説明してきたが、ここからは図7乃至図11を用いて、本発明から派生するアイデアを説明する。
【0052】
図7は、本発明から派生する第1のアイデアの概念図であり、上段に記載したものから説明すると、書籍棚に収納されている書籍のうち任意の書籍を触る(あるいは手に取る)ことがセンシングされているものとし、また、別途、予め書籍の情報に基づく固有の分類分けがなされていて、当該分類毎に異なる音響やエフェクト(光や振動など)が発出されるようになっている。
【0053】
このようにすることで、図書館や書店にいるユーザーが書籍棚から任意の書籍に触れたり、手に取ったときに、この書籍に紐づいた音が所定のスピーカー、若しくは、当該ユーザーが装着しているヘッドフォンより発出するようになっている。なお、書籍の情報に基づいた固有の分類が音響ではなく、光や振動などのエフェクトの場合には、例えば前記ユーザー自身が所有しているスマートフォンなど、これら光や振動を前記ユーザーに伝える機器が存在しているものとする。
【0054】
また、図7の下段に記載したように、書籍棚はどの書籍が抜き取られているのかを常に検出できるようになって、抜き取られる書籍のジャンルをデータベースと照合し特定するようになっていて、ユーザーが潜在的に探していると推定される書籍のその棚にあるか否かを音響等にて知らせるようになっていてもよい。
【0055】
このようにして、任意の書籍に触れたり、手に取ったときに、リアルタイムで音響等の変化を与えるようにすることで、ユーザーに書籍の情報に基づく固有の分類が意識づけられ、かかる音響等を介して新たな書籍との出会いを誘うことができる。あるいは、書籍棚があるスペースにユーザーが来たタイミングでその有無を音響等で知らせることにより、新たな書籍との出会いをサポートするようにすることもできる。
【0056】
なお、かかる第1のアイデアは、もともと図書館などのスペースに配置されている、複数人でシェアして使う大きなテーブルに来館者が座ると隣や周囲の音が気になって集中できないことから、オブジェクトベースの3D立体音響技術を応用して、音で空間を演出するという発想が基になっている。例えば、森の中、海、カフェなど、集中力を高めるアンビエントサウンドによって心地よい空間を音で再現したり、あるいは、テーマや時間等で、サウンドプログラムを可変させて固有のサウンドスケープを再現するなどを考えていた。このようなサウンドスケープの発想が転じて、書籍との出会いに応用したのが図7に示した第1のアイデアである。
【0057】
図8は、本発明から派生する第2のアイデアの概念図であり、上段に記載したものから説明すると、書籍棚に収納されている書籍のうち任意の書籍を触る(あるいは手に取る)ことがセンシングされているものとし、また、別途、予め書籍の情報に基づきユーザー毎に固有の分類分けを経て特定の書籍との関係性が推定されるようになっていて、ユーザーが任意の書籍を触ったり、手に取ったりすると、プロジェクターによって投影された蝶の影が、その本より羽ばたき、関連する書籍まで飛んで行って止まるという空間演出が行われるようになっている。
【0058】
このようにすることで、図書館や書店にいるユーザーが書籍棚から任意の書籍に触れたり、手に取ったときに、この書籍をトリガーにしてユーザーが潜在的に欲しているであろうとデータベースが推定して関連付けられた書籍に向けて、投影された蝶の影が飛んで行って止まるという空間演出ができるようになっている。
【0059】
また、図8の下段に記載したように、ユーザーが手に触れたり、手に取った書籍に対して、データベースが所定の関連情報を特定し、かかる関連情報を近くにある平面的なところ(例えば、床や別の書籍棚の外側部など)にプロジェクションしたり、あるいはユーザーが所有しているスマートフォンのディスプレイに表示するようにしてもよい。なお、関連情報とは、例えば、関連する書籍のタイトルのみならず、著者や出版社などの関連情報、さらには、「メロスは激怒した・・」などのように本の一節等であってもよい。
【0060】
このようにして、任意の書籍に触れたり、手に取ったときに、蝶の影による空間演出や関連情報の表示により、ユーザーに潜在的に欲していた書籍との新しい出会いをサポートすることができるようになっている。
【0061】
なお、かかる第2のアイデアは、図書館などの受付窓口付近に設置されるインフォメーションボードに新刊のお知らせのみならず、本の一部を大写しにしたり、本の一節を表示するなどして関心を引くなど、フレキブルな情報提示を可能としたり、あるいは、プロジェクター投影表示により所定の座席で書籍を開くと当該書籍やその周囲に関連する情報を投影表示するなど、新しいPOP(Point Of Purchase advertising)表現を提案するといったアイデアや、棚の背板に薄型ディスプレイを一体設置させて当該ディスプレイで木目調などの模様を常時表示させてなる、マテリアルシェルフという装置を用いて、本棚に映像デバイスとインタラクションを仕込むことで、普段は上記の通り模様を表示させていたところに必要なタイミングで関連情報を表示させるといったアイデアなどの発想からうまれたものである。
【0062】
図9は、本発明から派生する第3のアイデアの概念図であり、書籍棚に収納されている書籍のうち任意の書籍を触る(あるいは手に取る)ことがセンシングされているものとし、また、別途、予め書籍の情報に基づく固有の分類分けがなされていて、当該分類毎に関連書籍の収納された自走式書籍棚がユーザーの近くに寄ってくるようになっているというものである。
【0063】
このようにすることで、図書館や書店にいるユーザーが書籍棚から任意の書籍に触れたり、手に取ったときに、自走式書籍棚が近づいてきて、そこに収容されている関連書類を目にすることになるので、ユーザーは当初想定していなかったけれども潜在的に欲していた関連書籍との新たな出会いがサポートされることになります。
【0064】
なお、かかる第3のアイデアは、自走式書籍棚を用いるのではなく、通常の書籍棚において、他の誰かが読み終えた書籍が陳列されていて、その書籍の最初には、過去にこの書籍を読んだ者からのメッセージが記されていて、こうして読んだ者が元々の書籍が持つメッセージとは別のストーリーをも得られるようになっていて、デジタルが主流になる時代において、リアルな場があるからこその、重層的な知のリーブを生み出すようにするといったアイデアとも一定の関連性を持つ。
【0065】
すなわち、あるユーザーがある書籍に触れたり、手に取った履歴とその次に触れたり、手に取った履歴とを所定のセンサーを介して記録しておき関連性を管理することで、上記第3のアイデアとしてリアルに関連書籍との出会いを演出すべく、自走式書籍棚で運搬するというものに繋がっている。
【0066】
なお、段落番号0063で説明したアイデアは、前記第3のアイデアでの応用に限定されるものではなく、例えば、電子書籍とブロックチェーンを用いて、所有者や購読者の入履歴を記録させるとともに、これら所有者や購入者の読書感想などのメッセージを記録しておくことで付加価値をつけ、電子書籍の古本事業という新たな事業創出にも寄与し得る。
【0067】
図10は、本発明から派生する第4のアイデアの概念図であり、図書館や書店ではなく、一般のフリースペースにおいて、一般の人から持ち込まれる書籍に関しても、派生情報を提示するというものである。
【0068】
具体的には、ユーザーが持ち込んだ書籍をカメラなどで画像センシングし、データベースと照合することで関連情報を特定する。なお、関連情報が特定できなかった場合にはその旨のメッセージ表示をするようにする。
【0069】
そして、ユーザーが持ち込んだ書籍を円形のテーブル上の中央付近に置くと、その周囲に前記特定された関連情報がプロジェクターにより投影表示される。なお、関連情報とは、例えば、関連する書籍のタイトルのみならず、著者や出版社などの関連情報、さらには、「メロスは激怒した・・」などのように本の一節等であってもよい。また、関連情報は、新刊案内や、今月のおすすめの一冊などのようにフィーチャーしたい書籍をインタラクティブなディスプレイに見立てて使用することも可能である。
【0070】
このようにして、ユーザーは自身が持ち込んだ書籍をトリガーにして関連情報の表示を通じて、ユーザーに潜在的に欲していた書籍との新しい出会いをサポートすることができる。なお、この第4のアイデアが書店で実装された場合には、在庫情報とリンクさせてその店舗に在庫がない場合には、予約注文や郵送購入の手続きがその場でできるようにしてもよい。
【0071】
図11は、本発明から派生する第5のアイデアの概念図であり、図書館の内装デザインイメージが表れている。すなわち、床に大きさの異なる複数の正方形の窪みを設けておき、これら正方形の窪みのそれぞれには、その内側に前記正方形(外側の正方形)に相似するサイズの小さい正方形が中心を同一にして配置されるとともに、さらに一段下がった窪みを形成して段差を構成させ、かかる段差を連続的に形成してなる。
【0072】
各段のけられ部分には書籍を収容できる棚が設けられており、かかる棚に書籍が収容されている。図書館に訪れてきた者は前記段差を腰かけとして利用するとともに、書籍棚から好みの書籍を取り出してその場で読書できるようになっている。
【0073】
そして、これら正方形の窪みは、前記書籍棚部分に収容されている書籍のジャンルやカテゴリー別に分けられているものとする。また、それぞれの窪みの中央付近には、書籍載置台が設置されており、図書館利用者がこの書籍載置台の上に書籍を置くと、当該書籍をセンサーで判別し、必要な関連情報に紐づけ制御される。かかる関連情報は前記書籍の近傍にプロジェショクターによる投影表示されるようになっていてもよい。
【0074】
あるいは、関連情報は、図書館内に収容されている書籍を特定するものであってもよく、この場合には、プロジェクターが図書館利用者の足元に所定の投影表示をすることで、関連情報として特定された書籍が収納されている場所まで誘うようになっていてもよい。
【0075】
正方形の窪みに設けられた段差に腰掛けながら読書している者は、図書館内を動いている者と目線が切れるため集中することができるとともに、段差のけられに棚があって書籍が収容されていることから、図書館内を移動している目線からは見えないようにしていることによる意外性と新たな書籍との出会いの演出に奏功する。これにより、カテゴリー別に正方形の窪みを選ぶと新たな書籍との出会いに遭遇する楽しみからまたこの図書館を利用とするインセンティブにも期する。
【0076】
以上説明してきた実施形態において、制御処理又は動作、あるいはまだ利用することができないはずのデータを利用しているなどの処理又は動作上の矛盾が生じない限りにおいて、処理又は動作を自由に変更することができる。また以上に説明してきた実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 書籍名認識用端末
2 書籍データベース
3 書籍検索・MR用端末
4 カメラ
5 書籍棚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11