(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111731
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】認識システム、集合玄関装置、インターホンシステム、制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20230803BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230803BHJP
H04N 21/234 20110101ALI20230803BHJP
【FI】
H04M9/00 H
H04N7/18 H
H04N21/234
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013736
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冠野 欣也
(72)【発明者】
【氏名】森田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】青木 耕平
【テーマコード(参考)】
5C054
5C164
5K038
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA03
5C054EA05
5C054FC01
5C054FC12
5C054FC14
5C054FE28
5C054FF06
5C054HA22
5C164FA07
5C164SA25S
5C164SB01P
5K038AA06
5K038CC12
5K038CC13
5K038DD21
5K038FF01
(57)【要約】
【課題】インターホン玄関装置のテンキー、ボタンを触れずにインターホンシステムを動作させるための認識システム、集合玄関装置、およびこれらを備えるインターホンシステムをを提供する。
【解決手段】認識システム100は、集合施設に設けられるインターホンシステム1に含まれる集合玄関10の撮像部11dが撮像した人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態を含む画像に関する情報を取得する取得部34と、取得部34が取得した情報に基づく、人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態が示す文字、数字または制御コマンドの少なくとも一つの認識結果に応じて、インターホンシステム1を動作させるための情報を出力する出力部35とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合施設に設けられるインターホンシステムが備える集合玄関装置の撮像部が撮像した人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態を含む画像に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報に基づく、前記人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態が示す文字、数字または制御コマンドの認識結果に応じて、前記インターホンシステムを動作させるための情報を出力する出力部と、
を備える認識システム。
【請求項2】
前記インターホンシステムを動作させるための情報は、前記インターホンシステムに含まれる所定の情報端末を指定した呼出に関する情報を含む、
請求項1に記載の認識システム。
【請求項3】
前記インターホンシステムを動作させるための情報は、前記インターホンシステムから制御可能な電気錠を解錠させるための情報を含む、
請求項1または2に記載の認識システム。
【請求項4】
前記インターホンシステムを動作させるための情報は、前記集合玄関装置の報知部に、前記認識結果に関する情報を報知させるための情報を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の認識システム。
【請求項5】
前記人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態が示す文字、数字または制御コマンドの認識対象を設定する設定部を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の認識システム。
【請求項6】
前記認識対象は、認識言語を含む、
請求項5に記載の認識システム。
【請求項7】
撮像部と、
撮像した人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態を含む画像に関する情報に基づく、前記人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態が示す文字、数字または制御コマンドの少なくとも一つの認識結果に応じて動作を制御する制御部と、
を備える集合玄関装置。
【請求項8】
前記認識結果を得るための補助情報を音または表示により提示する提示部を有する、
請求項7に記載の集合玄関装置。
【請求項9】
前記補助情報は、前記認識結果を得るための動作を誘導するための情報を含む、
請求項8に記載の集合玄関装置。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載の集合玄関装置と、
前記集合玄関装置と通信する情報端末と、
を備えるインターホンシステム。
【請求項11】
撮像部を備えた集合玄関装置の制御方法であって、
撮像した人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態を含む画像に関する情報に基づく、人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態が示す文字、数字または制御コマンドの少なくとも一つの認識結果に応じて動作を制御するステップを含む、
制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の制御方法をコンピュータで実現するための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認識システム、集合玄関装置、インターホンシステム、制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンション等の集合施設において、共用玄関に設けられたインターホン玄関装置と、各住戸に設けられた複数のインターホン親機と、これらの装置を制御する制御部とを備えたインターホンシステムが広く知られている。インターホンシステムにおいて、居住者は、インターホン玄関装置に設置されたテンキーを用いて暗証番号を入力することで、集合玄関の電気錠を解錠することができる。また、来訪者は、テンキーで住戸番号を入力し、呼出ボタンを押すことで、訪問先の住戸を呼び出していた。
【0003】
インターホンシステムにおいて、インターホン玄関装置に設置されたテンキーは、居住者、来訪者と多数の者が触れることが考えられる。昨今の感染症の対策として、テンキーなどのボタンに触れずにインターホンシステムの操作をできることが要望されている。
【0004】
特許文献1には、室内の画像認識部で、画像認識結果に基づいて、室内者の手話を認識して、手話内容を日本語に変換して、室外器の表示部に手話内容に対応する日本語が表示されるインターホン装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のインターホン装置は、手話を画像認識して、対応する日本語を表示するものであって、インターホンシステムの動作させるものではない。
【0007】
インターホン玄関装置のテンキー等のボタンに触れずに、電気錠を解除したり、来訪者が訪問先の住戸の呼び出しを行うことができるインターホンシステムが求められる。
【0008】
本開示の目的は、インターホン玄関装置のテンキー、ボタンを触れずにインターホンシステムを動作させるための認識システム、集合玄関装置、およびこれらを備えるインターホンシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る認識システムは、集合施設に設けられるインターホンシステムに含まれる集合玄関装置の撮像部が撮像した人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態を含む画像に関する情報を取得する取得部と、取得部が取得した情報に基づく、人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態が示す文字、数字または制御コマンドの少なくとも一つの認識結果に応じて、インターホンシステムを動作させるための情報を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本開示に係る集合玄関装置は、撮像部と、撮像した人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態を含む画像に関する情報に基づく、人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態が示す文字、数字または制御コマンドの少なくとも一つの認識結果に応じて動作を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本開示に係るインターホンシステムは、集合玄関装置と、集合玄関装置と通信する情報端末とを備えることを特徴とする。
【0012】
本開示に係る制御方法は、撮像部を備えた集合玄関装置の制御方法であって、撮像した人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態を含む画像に関する情報に基づく、人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態が示す文字、数字または制御コマンドの少なくとも一つの認識結果に応じて動作を制御するステップを含むことを特徴とする。
【0013】
本開示に係る制御プログラムは、上記制御方法をコンピュータで実現するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本開示に係る認識システム、玄関装置、インターホンシステムは、玄関装置のテンキー、ボタンを触れずにインターホンシステムを動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の一例である認識システムを含むインターホンシステムの概略図である。
【
図2】実施形態の集合玄関の集合玄関装置の概略図である。
【
図3】実施形態の制御装置の構成を示すブロック図である
【
図4】実施形態に係る手の状態の一例を示す図である。
【
図5】実施形態の集合玄関装置の認識補助情報の例を示す図である。
【
図6】実施形態の認識システムの動作フローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、方向、数値等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができる。また、以下で説明する実施形態および変形例の構成要素を選択的に組み合わせることは当初から想定されている。
【0017】
本開示の装置およびシステムの主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示の装置およびシステムの主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって上記機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、集積回路(IC)または大規模集積回路(LSI)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されていてもよく、複数のチップに設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよく、複数の装置に備えられていてもよい。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記憶媒体に記憶される。プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよく、インターネット等を含む広域通信網を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0018】
<インターホンシステム>
以下、実施形態の一例であるインターホンシステム1について、
図1~
図4を参照しつつ、説明する。
【0019】
図1は、第1実施形態のインターホンシステム1の構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、インターホンシステム1は、マンション等の集合施設に設けられるシステムである。インターホンシステム1は、集合施設の共用部に設置された集合玄関10と、専有部である各住戸に設置された複数の専有部装置20と、これらの装置を制御する制御装置30とを備える。集合玄関10、専有部装置20および制御装置30は、いずれも相互に通信可能に接続されている。
【0020】
インターホンシステム1は、管理室に設けられた管理室装置40を備えていてもよい。管理室装置40は、制御装置30を介して集合玄関装置11およびインターホン親機21と通信可能に接続されている。管理室装置40は、例えば、集合玄関装置11および複数のインターホン親機21に種々の情報を送信できる。
図1に示す例では、制御装置30がゲートウェイ50を介してサーバ60に接続されている。ゲートウェイ50は、ルータとして機能する。制御装置30は、インターホンシステム1の制御に必要な情報(演算処理の結果を含む)をサーバ60から取得してもよい。
【0021】
インターホンシステム1が適用される集合施設の具体例としては、マンション、寮、社宅等の集合住宅が挙げられるが、集合施設は集合住宅に限定されず、例えば、オフィス、工場、研究施設、医療施設、宿泊施設等の複数の施設(複数の会社、部課、部門等)が集合して構成される施設でもよい。
【0022】
まず、集合玄関10を構成する各装置について、説明する。
【0023】
集合玄関10は、集合玄関装置11と玄関ドア12を備える。玄関ドア12は、玄関ドア12が閉まると自動的に玄関ドア12を施錠する電気錠14を含む。集合玄関装置11は、玄関ドア12よりも外側に設置されている。玄関ドア12は、例えば、自動ドアにより構成され、平常時は施錠された状態が基本である。
【0024】
集合玄関装置11は、来訪者が各住戸の呼び出しを行うために使用される。来訪者は、集合玄関装置11で訪問先の住戸を呼び出して、その住戸の居住者に玄関ドア12の電気錠14を解錠してもらう。これにより、来訪者は、玄関ドア12から集合施設の内側に入ることができる。
【0025】
集合玄関装置11は、許可者が玄関ドア12の電気錠14を解錠するために使用される。ここで、許可者とは、居住者、および集合施設内への立ち入りが許可された来訪者である。許可者は、予め決められた電気錠14の解錠操作を行うことで、玄関ドア12の電気錠14を解錠して、集合施設の玄関ドア12よりも内側に入ることができる。例えば、許可者は、集合玄関装置11に予め決められた番号(以下、暗証番号という)を入力することで、玄関ドア12の電気錠14を解錠することができる。許可者以外の者は、解錠操作について知らないので、基本的には、玄関ドア12の電気錠14を解錠して集合施設の内側に入ることができない。本開示において、集合玄関装置11に入力することは、操作者の手の状態または口の状態を撮像部に読み取らせて、対応する情報を装置に取得させることを含む。詳細は後述する。
【0026】
図1に示す例では、集合玄関10は、非接触キー検知装置15をさらに備えている。非接触キー検知装置15は、集合玄関装置11と同様に、玄関ドア12よりも外側に設置されている。非接触キー検知装置15は、例えば、ICカードリーダにより構成され、予め登録されたカードキーを検知したときに、電気錠14に解錠信号を送信する。これにより、電気錠14が解錠され、玄関ドア12が開く。カードキーは、居住者等が所有している。
【0027】
<インターホン玄関装置>
図2を参照しつつ、集合玄関10の集合玄関装置11について説明する。
図2は、集合玄関装置11の正面図である。
図2に示すように、集合玄関装置11は、テンキー11a、呼出ボタン11b、逆マスターキー挿入部11c、カメラ11d、スピーカ11e、マイク11f、モニタ11g、およびセンサ11hを備える。
【0028】
本実施形態の集合玄関装置11は、集合玄関装置11の前で行う操作者の手の状態あるいは口の状態等の人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態の画像をカメラ11dで読取り、この画像をから手の状態あるいは口の状態等に対応する情報を取得して、当該情報に応じてインターホンシステム1を必要な動作を行うことができる。操作者が行う手の状態あるいは口の状態等の画像から取得される情報は、従来、テンキー11aで入力されていた数字情報や、呼出ボタン11bを押す情報であるが、これに限らない。例えば、インターホンシステム1に対する操作命令を含む文字情報であってもよい。尚、人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態には、人の手の状態あるいは口の状態に限らず、体全体のジェスチャー、腕を胸の前でクロスさせたり、頭を縦/横に振る、まばたきの回数によって情報を表すようにしてもよい。以下の説明では、主として人の手の状態あるいは口の状態の例で説明するが、他の態様でも適用可能である。
【0029】
テンキー11aは、居住者または来訪者が操作することできるユーザインターフェースであり、本実施形態のインターホン玄関装置においても、直接テンキーを操作して、インターホンシステム1を操作することが可能である。許可者は、例えば、テンキー11aを用いて暗証番号を入力することで、玄関ドア12の電気錠14を解錠することができる。また、来訪者は、テンキー11aで住戸番号を入力し、呼出ボタン11bを押すことで、訪問先の住戸を呼び出すことができる。鍵を有する居住者等は、逆マスターキー挿入部11cに鍵を挿入して玄関ドア12の電気錠14を解錠することもできる。
【0030】
カメラ11dは、集合玄関装置11を操作する操作者を撮像する。来訪者が集合玄関装置11で訪問先の住戸を呼び出した場合には、集合玄関装置11は、カメラ11dで来訪者を撮影し、その映像を呼び出しが行われた専有部装置20に送信する。更に、本実施形態の集合玄関装置11は、操作者の手の状態または口の状態を撮像し、例えば、制御装置30に送信する。制御装置30は、受信した画像を演算処理し、手の状態あるいは口の状態に対応する数字や文字情報を算出する。但し、この画像の演算処理は、制御装置30で行うことに限定しない。例えば、集合玄関装置11の内部にプロセッサを備えて、集合玄関装置11で演算処理を行うように構成してもよい。または、ゲートウェイ50を介してサーバ60に送信し、サーバ60で演算処理させるように構成してもよい。
【0031】
スピーカ11eおよびマイク11fは、来訪者が各住戸に設置されたインターホン親機21を介して居住者と通話をするために用いられる。スピーカ11eからは、呼び出し音、居住者が応答した場合にはその音声等が出力される。来訪者の声はマイク11fにより取得されて専有部装置20に送信されるので、訪問先の居住者と会話することができる。また、操作者が集合玄関装置11に対して操作を行った場合に、スピーカ11eからは、操作者の操作に対する必要な情報やアナウンスが出力されてもよい。
【0032】
モニタ11gには、例えば、カメラ11dにより撮影された映像が表示される。更に、本実施形態の集合玄関装置11は、操作者の手の状態または口の状態をカメラ11dで撮像した画像に対応する情報がモニタ11gに表示されるようにしてもよい。例えば、数字や呼出ボタンに相当する情報を表示する。
【0033】
カメラ11dで撮像した画像から、操作者の手の状態または口の状態に対応する情報の算出は制御装置30が行う。或いは、集合玄関装置11が備えていてもよい。または、インターホンシステム1は備えず、画像データを外部のシステムで解析するように構成してもよい。この場合には、インターホンシステム1は、外部システムとの通信手段を有している。
【0034】
カメラ11dは、本開示における撮像部として動作することができる。また、撮像部は、カメラ11d以外に別に設置された撮像装置で構成されていてもよい。
【0035】
センサ11hは、操作者が集合玄関装置11の前にいることを検知する。カメラ11dとセンサ11hとが連動して機能してもよく、センサ11hが操作者を検知した場合には、操作者がテンキー11aを操作する前であっても、カメラ11dは、その操作者を撮像してもよい。後述するように、操作者が手の状態または口の状態によって、操作動作をする場合に、カメラ11dで操作者の手の状態または口の状態を撮像する。この撮像を開始するタイミングをセンサ11hによって得ることができる。本開示において、手の状態とは、数字あるいは文字に対応付けされた手の形を言う。
図4に数字の0~9に対応する手の形を例示するが、これに限定されるものではない。口の状態も同様に、数字あるいは文字に対応付けされた口の形を言う。
【0036】
玄関ドア12の電気錠14の解錠操作は、集合施設に含まれる施設または当該施設に設置されたインターホン装置と関連付けられた情報を入力することにより行われる。許可者は、暗証番号を集合玄関装置11に入力することで、玄関ドア12の電気錠14を解錠することができる。解錠操作は、暗証番号に対応する数字を手の状態または口の状態を作り、カメラ11dに読み取らせることで行われる。この場合において、モニタ11gに読み取らせた数字の情報を表示させるようにしてもよいし、内容が分からないように”*”を表示してもよい。暗証番号の形態については、複数の数字の組合せ、或いは数字と文字の組合せ等、自由に設定できるように構成してよい。
【0037】
図3は、制御装置30の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御装置30は、インターホンシステム1を制御するための演算処理を実行するプロセッサ31と、制御プログラム等が記憶されたメモリ32とを備える。制御装置30は、インターホンシステム1を統括的に制御する装置であって、集合玄関装置11、インターホン親機21、および管理室装置40等と通信可能に接続され、各装置から信号を受信して種々の情報を取得し、各装置に制御信号を出力して各装置を制御する。また、制御装置30は、インターホン親機21を介してインターホン子機22と通信可能に接続されている。また、先述したように制御装置30は、ゲートウェイ50を介してサーバ60に接続されていてもよい。
【0038】
制御装置30は、来訪者からの呼び出しに対応して、インターホン親機21の呼び出し、玄関ドア12の電気錠14の解錠等を実行する処理部33を備える。処理部33は、集合玄関装置11で呼び出し操作が行われたときに所定のインターホン親機21を呼び出し、インターホン親機21の操作に基づいて電気錠14に解錠信号を出力するように構成されている。電気錠14に解錠信号が出力されると、玄関ドア12の電気錠14が解錠される。また、処理部33は、インターホン子機22の呼出ボタン22aが操作されたときに、インターホン親機21の呼び出しを実行する。
【0039】
制御装置30は、さらに、取得部34と出力部35を備える。取得部34は、集合玄関装置11のカメラ11d(撮像部)が撮像した画像を入力し、画像に含まれる人の手の状態または口の状態等の人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態から対応する情報を演算処理する。出力部35は、取得部34が取得した情報に基づいて、人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態が示す文字、数字または制御コマンドの認識結果に応じて、インターホンシステムを動作させるための情報を出力する。人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態が示す文字、数字または制御コマンドの認識結果とは、具体的には、許可者が入力する電気錠の解錠のための暗証番号の情報や、来訪者が訪問先の住戸を呼び出すための部屋番号と呼出ボタンの情報である。インターホンシステム1は、出力部35からの出力を受けて、テンキー11aや呼出ボタン11bを操作されたときと同様に、解錠動作や呼び出し動作を行う。
【0040】
制御装置30は、プロセッサ31を含むコンピュータにより構成される。メモリ32は、例えばRAM、ROM、ハードディスク等により構成され、プロセッサ31を含むコンピュータに内蔵されている。なお、制御装置30は、1つのコンピュータで構成されていてもよく、複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0041】
尚、
図3の制御装置30の各構成要素は、必ずしも1つの装置の中で実現されていなくてもよい。制御装置30の各構成要素は、ネットワークを介して接続された複数の装置に分散して存在してもよい。この場合、各構成要素はネットワークを介して、協働して動作することにより、インターホンシステム1において、1つの制御装置30として振る舞う。
【0042】
<認識システム>
次に
図5を参照して、本開示のインターホンシステム1あるいは集合玄関10が内包している認識システム100の動作について説明する。
図5は、集合玄関装置11でもあるが、認識システム100と協働して動作する。
【0043】
本開示の認識システム100は、集合施設に設けられるインターホンシステム1に含まれる集合玄関10の撮像部(カメラ11d)が撮像した人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態を含む画像に関する情報を取得する取得部101と、取得部101が取得した情報に基づく、人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態が示す文字、数字または制御コマンドの認識結果に応じて、インターホンシステム1を動作させるための情報を出力する出力部102とを備えている。インターホンシステムを動作させるための情報とは、例えば、電気錠を解錠動作させるための暗証番号や、来訪者が訪問先の住戸を呼び出すための呼び出し部屋番号等であるが、これらに限定されない。
【0044】
本開示の認識システム100の取得部101が取得する画像に関する情報は、サーバ60で演算処理した結果を含むように構成してもよい。或いはインターホンシステム1の制御装置30で処理した結果を含んでもよい。
【0045】
<認識結果の報知>
認識システム100は、人の手の状態および口の状態等の人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態を含む画像についての認識結果を報知するための報知部104を設けてもよい。具体的には、人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態を含む画像についての認識結果を集合玄関装置11のモニタ11gに表示するようにしてもよい。即ち、操作者が例えば、手の状態で対応する数字を表す場合に、モニタ11gに認識結果が表示されることによって、操作者は手の状態で表した入力が正しいかどうかを確認することができる。正しい認識結果の場合は、続く入力を行うことができる。仮に表示された認識結果が意図した内容と異なる場合には、入力をキャンセルして先に入力した数字を取り消すことができる。当該キャンセルの操作も手の状態で入力することができるようにしてもよい。居住者の電気錠の解錠操作の場合には、暗証番号が表示されると不具合が生じるので、初期状態は”*”等を表示して、入力内容が分からないようにし、認識システム100が入力を認識していることだけが分かるようにすることができる。本実施の形態においては、モニタ11gが報知部104に当たる。
【0046】
或いは、人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態を含む画像についての認識結果を報知するために、スピーカ11eから音声で発するようにしてもよい。即ち、操作者が例えば、手の状態で対応する数字を表す場合に、スピーカ11eから認識結果を音声で発することによっても、操作者は手の状態で表した入力が正しいかどうかを確認することができる。正しい認識結果の場合は、続く入力を行うことができる。仮に表示された認識結果が意図した内容と異なる場合には、入力をキャンセルして先に入力した数字を取り消すことができる。当該キャンセルの操作も手の状態で入力することができるようにしてもよい。居住者の電気錠の解錠操作の場合には、暗証番号が発せられると不具合が生じるので、初期状態はスピーカ11eから音声で発しないようし、モニタ11gに表示する、或いは”*”のみ表示するようにする。本実施の形態においては、モニタ11gとスピーカ11eが報知部104に当たる。
【0047】
<認識対象の設定変更>
認識システム100は、例えば、人の手の状態と口の状態の何れも認識することができるように設計されるが、認識対象は、手と口の何れか一方に変更するように設定部を設けてもよい。認識対象の設定は、例えば、管理室装置40から行うように構成される。容易に認識対象が変更されないようにするためである。しかし、集合玄関装置11のテンキー11aや特殊キーを設けて、認識対象を変更できるように構成してもよい。
【0048】
また、認識結果については、日本語が標準であるが、他の言語、例えば英語等に設定を変更できるようにしてもよい。数字の認識の場合には問題ないことが多いが、認識結果によって、案内や指示を文字で表示する場合には、操作者の理解できる言語で表示できることが好ましい。認識結果の表示言語の設定も管理室装置40から行うようにしてもよいが、操作者が集合玄関装置11で直接変更できた方が良い場合もあるので、集合玄関装置11のテンキー11aや認識言語の変更専用のキーを設置して、変更できるようにしてもよい。尚、認識言語の設定は、変更後、操作が所定時間行われない場合には、初期の認識言語にリセットされるように構成されていてもよい。尚、認識対象の設定変更のキー、或いは認識言語の設定の変更のキーは、物理的キーではなく、人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態による入力によって、変更可能にしてもよい。
【0049】
<認識補助情報の提示>
本実施形態の集合玄関装置11は、認識のための補助情報を提示する提示部106を設けてもよい。来訪者等の操作者は、当該システムの人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態による入力の仕方が分からない場合が想定される。この場合において、集合玄関装置11は、操作者に入力を促すように、例えば、スピーカ11eから音声で入力の案内情報を発するようにできる。或いは、モニタ11gに手の状態の例示を表示して、スピーカ11eから、モニタ11gの表示に従って入力をするように促すことが可能である。更には、テンキー11aや呼出ボタン11bに、手の状態を表す絵を刻印あるいはシール等を張るようにしてもよい。このようにすることで、該当するテンキー11aや呼出ボタン11bを入力するための手の状態を容易に確認することができる。
図5にテンキー11aの数字に対応する認識補助情報の例示を示す。テンキー11aの数字の横に対応する手の状態の図を表示している。本実施の形態において、テンキー11aが提示部106に当たる。
【0050】
<誘導情報の提示>
更に集合玄関装置11が提示部106に表示する補助情報は、認識のための動作を誘導するための情報を含むようにしてもよい。操作者とカメラ11dの位置関係が適切でなく、人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態を含む画像から対応する文字または数字が認識できない場合がある。この原因は種々あるが、操作者がカメラ11dから離れすぎている場合や、カメラ11dの撮像範囲から外れている場合などがある。このような場合には、カメラ11dの正面で近づく必要がある。従って、モニタ11gの中央でもっと近づくように、表示部に表示するあるいはスピーカ11eから音声を発するなどすることができる。また、操作を認識できない旨のみを表示ないしは報知するようにしてもよい。更には、集合玄関装置11の見える位置に、モニタ11gの正面で近づいて操作するように固定的に表示してもよい。
図5にモニタ11gに誘導情報を表示した例を示している。本実施の形態においては、スピーカ11eおよびモニタ11gが提示部106に当たる。
【0051】
認識システム100の動作フローチャートの一例を
図6に示す。
【0052】
集合玄関装置11のセンサ11hが操作者を検知する(S11)と、カメラ11dを起動して、集合玄関装置11の正面の撮像を開始する(S12)。カメラ11dは、定期的に正面画像を取得する。カメラ11dは、撮像範囲内に操作者が入るように位置補正を自動で行うようにしてもよい。
【0053】
次にカメラ11dは、撮像した画像を制御装置30に送信する(S13)。カメラ11dから画像を受信した制御装置30は、画像解析を行い(S14)、画像に含まれる人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態に対応する情報を取得部34が取得する(S15)。出力部35は、取得部34が取得した情報が示す文字または数字の認識結果に応じて、インターホンシステム1に対して、動作のための情報を出力する(S16)。
【0054】
尚、画像解析は制御装置30のプロセッサ31が実行するように構成してもよいし、サーバ60で演算処理するように構成してもよい。画像解析においては、単一の画像に対応する情報のみでは、意味を有しないことがあるので、順次人の少なくとも一部を動かすことにより形成される状態の画像解析を行い意味のある情報となった時点で、取得部34が情報を取得するように構成される。
【0055】
なお、本発明は上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変更や改良が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
1 インターホンシステム、10 集合玄関、11 集合玄関装置、11a テンキー、11b 呼出ボタン、11c 逆マスターキー挿入部、11d カメラ、11e スピーカ、11f マイク、11g モニタ、11h センサ、12 玄関ドア、14 電気錠、15 非接触キー検知装置、20 専有部装置、21 インターホン親機、22 インターホン子機、22a 呼出ボタン、30 制御装置、31 プロセッサ、32 メモリ、33 処理部、34 取得部、35 出力部、40 管理室装置、50 ゲートウェイ、60 サーバー、100 認識システム、101 取得部、102 出力部、103 撮像部、104 報知部、105 設定部、106 提示部