IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 丸一株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電動排水栓装置 図1
  • 特開-電動排水栓装置 図2
  • 特開-電動排水栓装置 図3
  • 特開-電動排水栓装置 図4
  • 特開-電動排水栓装置 図5
  • 特開-電動排水栓装置 図6
  • 特開-電動排水栓装置 図7
  • 特開-電動排水栓装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111745
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】電動排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20230803BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20230803BHJP
   F24H 9/16 20220101ALI20230803BHJP
【FI】
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
F24H9/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013753
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平井 良典
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DA02
2D061DA03
2D061DB03
2D061DB07
2D061DE11
(57)【要約】
【課題】
本発明はユーザーが手で触れずとも排水栓装置を動作させることができ、さらに、動作検知手段を制御部と近距離無線通信が可能な任意の場所に設置可能な電動排水栓装置を提供する。
【解決手段】
所定動作を検知して駆動情報を無線通信可能な伝送信号として送信する動作検知手段3と、制御信号に対応して排水口11の開栓/閉栓を行う電動駆動部4と、前記動作検知手段3から無線伝送される前記伝送信号を受信して前記駆動情報に対応して前記電動駆動部4の動作を制御する前記制御信号を出力する制御部2と、から構成された電動排水栓装置。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定動作を検知して駆動情報を無線通信可能な伝送信号として送信する動作検知手段3と、
制御信号に対応して排水口11の開栓/閉栓を行う電動駆動部4と、
前記動作検知手段3から無線伝送される前記伝送信号を受信して前記駆動情報に対応して前記電動駆動部4の動作を制御する前記制御信号を出力する制御部2と、
から構成された電動排水栓装置。
【請求項2】
前記動作検知手段3を、前記制御部2と近距離無線通信が可能な場所に設置可能としたことを特徴とする前記請求項1に記載の電動排水栓装置。
【請求項3】
前記動作検知手段3が、非接触式センサーを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動排水栓装置。
【請求項4】
前記動作検知手段3が、タッチ式パネルを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動排水栓装置。
【請求項5】
前記制御部2と前記電動駆動部4が備えられる槽体1を構成するとともに、
前記動作検知手段3を前記槽体1以外の場所に備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一つに記載の電動排水栓装置。
【請求項6】
前記動作検知手段3を前記排水口11に備えられた弁体5に構成したことを特徴とする前記請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の電動排水栓装置。
【請求項7】
前記制御部2を前記電動駆動部4の近傍又は前記電動駆動部4と一体に構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の電動排水栓装置。
【請求項8】
前記電動駆動部4に、既設の排水管6に取り付け可能な取り付け部41を構成したことを特徴とする前記請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載の電動排水栓装置。
【請求項9】
前記排水口11の開栓/閉栓を行う手動式の手動操作部7を備え、
前記電動駆動部4の操作と前記手動操作部7の操作との何れの操作を実行するかを選択可能であることを特徴とする前記請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載の電動排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所の流し台や浴室の浴槽、洗面台の洗面ボウルなどの設備機器の排水口に備えられて、排水口の開栓/閉栓を行う、遠隔操作可能な電動排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、浴槽に湯を供給する給湯装置と、給湯装置を遠隔操作する電動操作部と、浴槽の排水口の弁体の開閉を電動で行う排水栓装置を備え、浴室内の電動操作部には、排水栓装置を操作するための信号を発信する発信部を設け、発信部からの信号を受信部で受信して排水栓装置が作動されるように構成された電動排水栓装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-49467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザーが排水口の開閉を遠隔的に操作する排水栓装置は、操作部と排水口の弁体間を、動力伝達部材としてのレリースワイヤで接続し、操作部の操作によりレリースワイヤが作動して排水口内の弁体が上下動して排水栓を開栓/閉栓するものである。手動式の排水栓装置のほか、電動の駆動部を利用した電動排水栓装置がよく知られている。この電動排水栓装置の電動操作部は浴室の壁面や、洗面台に固定して取り付けられ、電動排水栓装置の駆動部や制御部は各種設備機器のキャビネット内やエプロン内などの内部空間に構成されていることから、電動操作部から排水栓装置の駆動部または制御部までを有線で接続するには浴室壁面や洗面ボウルの槽体などの設備機器に配線用の孔を開口する必要がある。また、操作部と制御部を有線で接続することは、操作部をレイアウトするには制約があるため、決められた範囲にのみしか操作部を配設することができないうえ、ユーザーは操作部を任意の場所で操作することができない。
【0005】
新型コロナウイルス感染症等の感染拡大を防止するためには、感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で水栓装置や排水栓装置などの各種水回り機器の操作ハンドルに触れるとウイルスが付き、他者がその操作ハンドルを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ると粘膜から感染する可能性がある。特に、水栓装置や排水栓装置の操作ハンドルは、大勢の不特定多数のユーザーが手で触れるため、ユーザーの手にウイルスが付着する恐れがある。
【0006】
特許文献1に示された電動排水栓では、無線による遠隔操作で排水栓の開閉を作動させているが、操作部は壁面に固定されているため、操作部のレイアウトをユーザーが自由に変更することが出来ないうえ、操作部はユーザーの意思で排水口の排水栓の開閉を行いたい場合は、ユーザーが手動で電動操作部を操作して開栓閉栓操作の指示をする必要があり、排水栓装置の電動操作部は結局のところユーザーが直接触る必要があった。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、ユーザーが手で触れずとも排水栓装置を動作させることができ、さらに、動作検知手段を制御部と近距離無線通信が可能な任意の場所に設置可能な電動排水栓装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電動排水栓装置は、所定動作を検知して駆動情報を無線通信可能な伝送信号として送信する動作検知手段3と、制御信号に対応して排水口11の開栓/閉栓を行う電動駆動部4と、前記動作検知手段3から無線伝送される前記伝送信号を受信して前記駆動情報に対応して前記電動駆動部4の動作を制御する前記制御信号を出力する制御部2と、から構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電動排水栓装置は、ユーザーが動作検知手段3を触らずとも予め定められた所定動作を行うことで電動排水栓装置の排水口を開口/閉口の操作が可能となる。
また、動作検知手段3と制御部2の伝送信号を無線通信としたことから、動作検知手段3の配置箇所を無線通信が可能な範囲でユーザーによって任意に配置でき、動作検知手段3の取付のレイアウトの範囲が広がる。
また、動作検知手段3と制御部2の伝送信号を無線通信としたことから、槽体やキャビネット12、エプロン13、壁面に配線挿通用の孔を開口する必要が無くなり、特別な工事等必要なく、電動排水栓装置を施工することが可能となる。また、これにより、動作検知手段3を槽体1に孔をあけずに簡単に設置できるため、電動排水栓装置を既存の排水管6に後付け可能とすることができる。
また、手動式排水栓装置の手動操作部7の操作と電動式排水栓装置の電動駆動部4の操作の何れの操作を任意に選択できるようにしたので、電動駆動部4や動作検知手段3、制御部2などの電気的部品が故障した場合や停電、メンテナンス時などには手動操作部7をユーザーが選択可能なので電力に頼らず排水口11の開栓/閉栓を実行できる。また、逆に手動式排水栓装置が故障した時やメンテナンスの際には、電動駆動部4の操作により手動を動かさずとも電力により排水口11の開栓/閉栓を実行することができる。また、動作検知手段3を非接触式センサーやタッチ式パネルとした場合、操作の際にこれらに力を加える必要がない。よって動作検知手段3を強固に取り付ける必要がなく、単に槽体1や物置台15に載置したり、壁面に簡易に係止したりなどの方法で容易に動作検知手段3を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施例の電動排水栓装置を備えた洗面台の断面図である。
図2】本発明の第二実施例の電動排水栓装置を備えた浴室の浴槽付近の概略構成図である。
図3図2における電動排水栓装置の断面図である。
図4図3における電動排水栓装置の電動駆動部の取り付け部の分解断面図である。
図5】本発明の第二実施例における浴室内の斜視図である。
図6】本発明のその他の実施例に係る電動排水栓装置の断面図である。
図7図6における電動排水栓装置の電動駆動部を取り外した状態を示す分解断面図である。
図8】本発明のその他の実施例に係る電動排水栓装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第一実施例について図面を参照しながら説明する。本実施例の電動排水栓装置は、図1に示す洗面台の排水栓装置として利用される。洗面台は、図1に示すキャビネット12及び槽体1から構成される。
【0012】
図1に示すように、洗面台は、キャビネット12、槽体1(洗面ボウル)、および電動排水栓装置を備えている。
キャビネット12は箱状に形成されており、床に設置される。キャビネット12の内部には、物品を収納するための収納部が形成されている。
槽体1は、キャビネット12上に設けられている。槽体1は、底部に排水を下水管へ排水するための開口である排水口11を備えている。また、本実施例ではキャビネット12の上面に吐水栓載置面121を構成している。なお、本実施例では、吐水栓16が設置される吐水栓載置面121がキャビネット12上面に構成されているが、例えば槽体1の上面に構成してもよい。また、吐水栓16を設置する対象は、洗面台に制限されず、例えばキッチン台であってもよい。吐水栓16をキッチン台に設置する場合、吐水栓16は、例えばキッチン台の上面を構成するカウンターや、シンク近傍に設置される。
【0013】
排水管6は、槽体1に発生した排水を下水へと排水するための管体であって、キャビネット12内部に配置される。排水管6の端部は槽体1の排水口11に接続され、他端は図示しないが下水管に接続される。また、本実施例では、排水管6の途中箇所には従来から周知の排水トラップ61が構成されている。この排水トラップ61は、U字状に屈曲した管体から構成されて内部に排水の一部を貯水して構成される封水を備える。排水トラップ61は、内部に封水を備えるため、下水からの臭気や害虫を室内側へ逆流させない機能を有する。
【0014】
吐水栓16は、吐水の有無を切り換える吐水栓16である。この吐水栓16の吐水/止水は、電動で制御されていてもよいし、ユーザーの手動操作で吐水/止水を行ってもよい。また、吐水栓16は、水を吐出するための吐水部162、吐水部162に水を供給するための給水管163、吐水部162から吐出される水の流量と温度を変更するためのハンドル161を備えている。ハンドル161は、ユーザーが操作することで、吐水の流量および温度を変更できる。例えば、ユーザーがハンドル161を上下動すると吐水/止水及び吐水流量を操作可能であり、ユーザーがハンドル161を左右に回転させると吐水の温度を調整可能とすることができる。吐水部162は、端部が槽体1内部に突出して配置されているので吐水部162からの吐水は槽体1内部に吐水される。
【0015】
電動排水栓装置は、動作検知手段3と、電動駆動部4と、制御部2と、からなり、動作検知手段3の検知結果に基づいて、槽体1の排水口11の開栓/閉栓を切り換える装置である。排水口11の開栓/閉栓は、キャビネット12の内部に設けられた制御部2により制御される。図1に示すように、弁体5は、槽体1底部に構成された排水口11内部に備えられて、排水口11を開閉する弁体5、排水口11に接続される排水管6、弁体5を上下動するための電動駆動部4を備えている。電動駆動部4は、制御部2から出力された制御信号を受けて電動駆動部4が作動し、例えばモーターなどの電気的駆動手段によって弁体5を上下動させる。制御部2は、キャビネット12内において、電動駆動部4の近傍に配置取り付けられている。なお、弁体5が上昇すると排水口11と弁体5が離間して排水口11が開栓し、弁体5が下降すると排水口11に弁体5が着座して排水口11が閉栓する。なお、本実施例では弁体5の手動操作部は構成していないが、適宜手動操作部を構成してもよい。手動操作部を構成すれば、電動駆動部4や動作検知手段3、制御部2などの電気的部品が故障した場合などは手動操作部をユーザーが操作することで電力に頼らず排水口11の開栓/閉栓を自立して行うことが可能となる。
【0016】
図1に示すように、動作検知手段3は、ユーザーにより両面テープまたは磁石、フックなどにより壁面にレイアウト変更可能に取り付けられている。なお、本実施例では壁面に動作検知手段3を備えているが、壁面に限定されるものではなく、槽体1の内周面や外周面に配置してもよいし、槽体1やキャビネット12に構成される吐水栓載置面121に配置してもよい。また、槽体1以外に配置する場合には、槽体1に配線用の孔を開口する必要がない。本実施例では動作検知手段3は、ユーザーの予め定めた所定動作、例えば、開栓を意図する動作を検知して電動排水栓を開栓するための駆動情報を近距離無線通信により伝送信号として制御部へと送信する、無線送信部(図示せず)を備えており、この無線通信は例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した近距離無線通信である。また、無線通信を、スマートスピーカなどを利用してインターネット上の特定のクラウドサービスを経由して通信することも可能である。
また、動作検知手段3から送信された伝送信号は制御部2へ送信して無線通信可能であるが、制御部2と動作検知手段3との通信は無線であるため、槽体1に通信手段の配線を行うために槽体1やキャビネット12、壁面に配線用の孔をあける必要がない。また、動作検知手段3の配置を、近距離無線通信が可能な範囲でユーザーの任意の箇所に設置することが可能であるので、動作検知手段3をユーザーが適宜設定することができる。
また、本実施例の動作検知手段3は、非接触式センサーを有しているため、ユーザーは動作検知手段3や手動操作部7を直接的に触れることなく非接触で電動排水栓装置を作動させることが可能となる。動作検知手段3はコンセントなどからの給電の他に乾電池や小型のソーラーパネル等からの給電で駆動されることも可能である。
【0017】
制御部2は、図1に示すように洗面台のキャビネット12内部に配置され、電源に接続される電源プラグ(図示せず)と、動作検知手段3から無線送信される伝送信号を受信する無線受信部(図示せず)とを備える。また、制御部2は動作検知手段3と無線通信可能である。制御部2は、動作検知手段3の検知結果に基づいた動作検知手段3から無線伝送される伝送信号を受信し、情報に対応して電動駆動部4の動作を制御する制御信号を出力して排水口11の開栓/閉栓を制御する。なお、本実施例では、制御部2と電動駆動部4は有線で通信を行っているが、制御部2と電動駆動部4の通信を無線で行ってもよい。
また、制御部2は動作検知手段3と無線通信可能である。制御部2は、動作検知手段3が無線送信する伝送信号を受信し、伝送信号に含まれる開栓/閉栓を意図する駆動情報に対応する制御信号を電動駆動部4に伝送して排水口11の開栓/閉栓を制御する。なお、本実施例では、制御部2と電動駆動部4は有線で通信を行っているが、制御部2と電動駆動部4の通信を無線で行ってもよい。
【0018】
具体的に電動排水栓装置の制御を説明する。排水口11が閉栓状態のとき、制御部2は、開栓を意図する所定動作を動作検知手段3が検知したとき、動作検知手段3の無線送信部が排水口11の開栓の駆動情報を伝送信号として無線通信により制御部2へ送信する。伝送信号を受信した制御部2は、電動駆動部4に弁体5を上昇させる制御信号を出力する。当該制御信号を受信した電動駆動部4は、弁体5を上昇させる動作を実行し、排水口11を開栓する。なお、このように開栓したとき、制御部2は、再び動作検知手段3により閉栓を意図する所定動作を検知するまで、開栓状態を維持する。
また、制御部2は、開栓状態で、動作検知手段3により閉栓を意図する所定動作を検知したとき、動作検知手段3の無線送信部が排水口11の閉栓の駆動情報を伝送信号として無線通信によって制御部2へ送信する。伝送信号を受信した制御部2は、電動駆動部4に弁体5を下降させる制御信号を出力する。当該制御信号を受信した電動駆動部4は、弁体5を下降させる動作を実行し、排水口11を閉栓する。すなわち、本実施例では、動作検知手段3の検知結果に基づいて、弁体5の上昇或いは下降(開栓/閉栓)を切り換えることを制御部2により制御している。
【0019】
また、動作検知手段3は、ユーザーの予め定めた所定動作を検知したとき、電動排水栓装置の制御を行う。本実施例においては、例えば一例としてユーザーが動作検知手段3に対して5秒以上手をかざした時のみ伝送信号が出力されるようになっており、ユーザーが意図しない時には動作検知手段3は駆動情報の伝送信号を送信しないので排水口11の開栓/閉栓は実行されない。これにより、誤って排水口11が開栓してしまい槽体1の貯水が排水されてしまうことを防ぐ。なお、本実施例では誤検知を防止する方法として動作検知手段3に5秒以上手をかざす手段を採用しているが、動作検知手段3の検知が、ユーザーが意図しない時にユーザーの動作の検知を防止できればよく、上記内容に限定されるものではない。
【0020】
排水口11を開栓するには、ユーザーは、動作検知手段3に5秒以上手をかざす。これにより、予め定めたユーザーの所定動作が動作検知手段3により検知され、動作検知手段3の無線送信部から排水口11の開栓/閉栓の駆動情報を伝送信号として無線通信により送信され、キャビネット12内に配置された制御部2の無線受信部が伝送信号を受信し、電動駆動部4の動作を制御して排水口11を開栓する制御信号を制御部2が電動駆動部4へ有線通信により出力する。排水口11の開栓の制御信号を受信した電動駆動部4は排水口11内の弁体5を上昇させ、排水口11を開栓する。排水口11を閉栓するには、ユーザーは排水口11を開栓する場合と同様に、動作検知手段3に5秒以上手をかざす所定動作を行う。これにより、所定動作が動作検知手段3により検知され、動作検知手段3の無線送信部から排水口11の開栓/閉栓の駆動情報の伝送信号が無線通信により出力され、キャビネット12内に配置された制御部2の無線受信部が伝送信号を受信し、電動駆動部の動作を制御して排水口11を閉栓する制御信号を制御部2が電動駆動部4へ有線伝送路を介して伝送する。排水口11の閉栓の制御信号を受信した電動駆動部4は排水口11内の弁体5を上昇させ、排水口11を閉栓する。以上のように、本発明の電動排水栓装置は作動する。
【0021】
以上説明した第一実施例の電動排水栓装置は、動作検知手段3を予め定めたユーザーの所定動作を検知して排水口11を開栓/閉栓することが可能なため、ユーザーは動作検知手段3に直接触れずに排水口11を開栓/閉栓することができる。また、動作検知手段3と制御部2との通信を無線通信としたことにより、動作検知手段3が取り付けられる壁面や洗面台の槽体1やキャビネット12内に配線挿通用の孔を開口する必要がないため、ユーザーの意思により既存の排水栓装置が取り付けられた排水口に、本発明の電動排水栓装置を後付けすることができる。また、動作検知手段3と制御部2との伝送信号を近距離無線通信としたことで、近距離無線通信が可能な範囲で動作検知手段3を配置可能であり、ユーザーの任意の場所に動作検知手段3を設置することができ、さらには動作検知手段3を制御部2との近距離無線通信が可能な範囲で自由に移動が可能となり、動作検知手段3のレイアウト性が向上する。
【0022】
以下、本発明の第二実施例について図面を参照しながら説明する。本実施例の電動排水栓装置は、図2乃至図5に示す浴室の浴槽の排水栓装置として利用される。浴室は、図5に示すエプロン13及び浴槽である槽体1、洗い場14、物置台15から構成される。なお、本実施例は上記実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる点につき説明する。
【0023】
図2乃至図5に示すように、浴室は、エプロン13、槽体1(浴槽)、洗い場14、物置台15、および電動排水栓装置を備えている。
エプロン13は槽体1の天面から洗い場床面までを水密的に覆い隠す幕板であって、浴室内の洗い場14空間と、エプロン裏空間とを区分けするために構成される。また、エプロン13はユーザーにより着脱可能となっており、ユーザーはエプロン13を適宜清掃などのために取り外す。ただしエプロン13は大きく取り回しがとりにくいことから、ユーザーにとっては頻繁に着脱するようなものではなく、年に数回行う清掃やメンテナンスなどの機会に着脱するものである。
槽体1は、箱体形状の浴槽であって、浴室内に設けられる。槽体1は底部に排水を下水管へ排水するための開口である排水口11を備えている。
洗い場14は、浴室内において浴槽外の空間でユーザーが体を洗う場所であり、底部に排水のための開口を構成している。
物置台15は、浴室内の洗い場14の壁面に構成される架台であって、主にユーザーが洗い場14で体を洗う際に洗面桶などの小物を載置するための架台である。
【0024】
栓/閉栓を手動で行う手動式排水栓装置を備える。この手動式排水栓装置は、槽体1天面に構成される手動操作部7と排水口11の弁体5間を、動力伝達部材71としてのレリースワイヤで接続し、手動操作部7の操作によりレリースワイヤが作動して排水口11内の弁体5が上下動して排水口11を開栓/閉栓するものである。この手動操作部7を構成すれば、電動駆動部4や動作検知手段3、制御部2などの電気的部品が故障した場合などは手動操作部7をユーザーが操作することで電力に頼らず排水口11の開栓/閉栓を自立して行うことが可能となる。
【0025】
電動排水栓装置は、動作検知手段3と、電動駆動部4と、制御部2と、からなり、動作検知手段3の検知結果に基づいて、槽体1の排水口11の開栓/閉栓を切り換える装置である。排水口11の開栓/閉栓は、エプロン13で密閉された内部空間に設けられた制御部2により制御される。なお、本実施例では、電動駆動部4と制御部2は一体的に構成されている。
また、図3および図4に示すように、制御部2が一体に構成された電動駆動部4には、既設の排水管6に取り付け可能な取り付け部41が、その上流側端部と下流側端部に構成されている。本実施例では、電動駆動部4の上流側端部に抜脱不可に取り付けられた雌螺子ナットが取り付け部41Aとして構成されており、また、電動駆動部4の下流側端部には取り付け部41Bとしての雄螺子が螺設されている。また、既設の排水管6である手動式排水栓装置の手動操作部7の動作動力伝達部材71側端部には、前記電動駆動部4の上流側端部の取り付け部41Aと螺合する雄螺子が被取り付け部72Aとして構成されている。また、手動式排水栓装置の動力伝達部材71の手動操作部7側端部には、前記電動駆動部4の下流側端部の取り付け部41Bと螺合する雌螺子ナットが抜脱不可に構成されて被取り付け部72Bが構成されている。また、電動駆動部4が取り付けられていない状態では、動力伝達部材71の被取り付け部72Bの雌螺子ナットが、手動操作部7の被取り付け部72Aの雄螺子に螺合して接続される。なお、本実施例では取り付け部41および被取り付け部72は雌螺子と雄螺子から構成されているが、この構造に限定されるものではなく、取り付けやすさの観点から、クイックファスナーによる接続構造であったり、スナップフィットを用いた接続構造であってもよい。
その他の構成は第一実施例と同一構成であるため説明を省略する。
【0026】
前記取り付け部41を電動駆動部4に構成したことにより、既設の排水管6である手動式排水栓装置の手動操作部7と動力伝達部材71の被取り付け部72に電動駆動部4を後付けすることが可能となり、既設の手動式排水栓装置に電動式排水栓装置を特別な工事など必要なく後付けすることが可能となる。また、本実施例においては、手動式排水栓装置及び電動排水栓装置のいずれも併用することが可能であるので、電動排水栓装置または手動式排水栓装置のいずれかが故障した場合は、ユーザーの意思によって故障していない方の排水栓装置を選択して使用することが可能である。また、停電などの電力の問題により電動排水栓装置が作動しない場合には、ユーザーの意思により手動式排水栓装置を選択して操作を行うことで、排水口11の開栓/閉栓を実行することが可能となる。
【0027】
図5に示すように、動作検知手段3は円柱状の持ち運び可能な箱体であって、制御部2との近距離通信が可能な範囲内でユーザーにより適宜設置可能である。本実施例では浴室内であればエプロン13内の制御部2と近距離通信可能なため、動作検知手段3は浴室内であれば何れの場所にでも設置可能なため、ユーザーによって物置台15の上に載置して設定している。よって、例えば、子供などによる誤操作を防止したい場合は、ユーザーによって近距離通信は可能であるが、子供の手の届かない範囲へ配置することが可能である。
【0028】
制御部2は、浴室内のエプロン13内部空間に備えられる。制御部2は、電源に接続される電源プラグを有した電源コード42と、電動駆動部4を一体的に構成している。なお、一体的に構成とは、電動駆動部4と制御部2を一つの躯体にまとめて配置することをいう。
また、本実施例での電動排水栓装置の制御については前記実施例と同一のため説明を省略する。
【0029】
排水口11を開栓するには、ユーザーは、動作検知手段3に5秒以上手をかざす。これにより、予め定めたユーザーの所定動作が動作検知手段3により検知され、動作検知手段3の無線送信部から排水口11の開栓/閉栓の駆動情報を伝送信号として無線通信により送信され、エプロン13内に配置された制御部2の無線受信部が伝送信号を受信し、電動駆動部の動作を制御して排水口11を開栓する制御信号を制御部2が電動駆動部4へ有線通信により送信する。排水口11の開栓の制御信号を受信した電動駆動部4は排水口11内の弁体5を上昇させ、排水口11を開栓する。排水口11を閉栓するには、ユーザーは排水口11を開栓する場合と同様に、動作検知手段3に5秒以上手をかざす所定動作を行う。これにより、予め定めた所定動作が動作検知手段3により検知され、動作検知手段3の無線送信部から排水口11の開栓/閉栓の駆動情報の伝送信号が無線通信により送信され、キャビネット12内に配置された制御部2の無線受信部が伝送信号を受信し、電動駆動部の動作を制御して排水口11を閉栓する制御信号を制御部2が電動駆動部4へ有線通信により出力する。排水口11の閉栓の制御信号を受信した電動駆動部4は排水口11内の弁体5を上昇させ、排水口11を閉栓する。以上のように、本発明の電動排水栓装置は作動する。
【0030】
以上説明した第二実施例の電動排水栓装置は、動作検知手段をユーザーの所定動作を検知して排水口11を開栓/閉栓することが可能なため、ユーザーは動作検知手段3に直接触れずに排水口11を開栓/閉栓することができる。また、動作検知手段3と制御部2の通信を無線通信としたことにより、動作検知手段3が取り付けられる壁面や浴室の槽体1やエプロン13に配線挿通用の孔を開口する必要がないため、ユーザーの意思により既存の排水栓装置が取り付けられた排水口に、本発明の電動排水栓装置を後付けすることができる。また、動作検知手段3と制御部2の伝送信号を近距離無線通信としたことで、近距離無線通信が可能な範囲で動作検知手段3を配置可能であり、ユーザーの任意の場所に動作検知手段3を設置することができ、さらには動作検知手段3を制御部2との近距離通信が可能な範囲で自由に移動が可能となり、動作検知手段3のレイアウト性が向上する。
【0031】
また、その他の実施例として、図6及び図7に示すように、制御部2と電動駆動部4を一体的に構成し、電動駆動部4に既存の排水管6に取り付け可能な取り付け部41を構成して、既存の排水管6の被取り付け部72に着脱自在に取り付けることも可能である。なお、この場合の電動駆動部4の電力は、電動駆動部4内に配置された乾電池やバッテリーにより供給される。このような構成とすることにより、電動駆動部4はユーザーによって簡単に既存の排水管6に後付けすることが可能であり、特別な工事など必要なくユーザーが任意に選択することで取り付けが可能である。また、動作検知手段3と制御部2は近距離無線通信で通信されているため、動作検知手段3をユーザーの任意の箇所に設置することができる上、槽体1に配線挿通用の孔を開口する必要が無い。
【0032】
また、その他の実施例として、図8に示すように、動作検知手段3を槽体1の排水口11に備えた弁体5の頂面に構成することも可能である。このような構成にすれば、ユーザーが槽体1内の弁体5上面で所定動作を実行すると、排水口が電動により開栓/閉栓することが可能となる。
【0033】
以上、本発明の実施例を説明した。しかし、本発明はその要旨を逸脱することなく、上記実施例以外の種々の変更は可能である。例えば、前記実施例では動作検知手段3は非接触式センサーを有しているが、これに限定されるものではなく、例えば動作検知手段3にタッチ式パネルを有してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 槽体
11 排水口
12 キャビネット
121 吐水栓載置面
13 エプロン
14 洗い場
15 物置台
16 吐水栓
161 ハンドル
162 吐水部
163 給水管
2 制御部
3 動作検知手段
4 電動駆動部
41 取り付け部
41A 取り付け部
41B 取り付け部
42 電源コード
5 弁体
6 排水管
61 排水トラップ
7 手動操作部
71 動力伝達部材
72 被取り付け部
72A 被取り付け部
72B 被取り付け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8