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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111748
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013761
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】小島 史泰
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】▲榊▼原 早也果
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA26
3D030DA35
3D030DA55
3D030DA56
3D030DA69
3D030DB16
3D030DB47
(57)【要約】
【課題】ライトバーを、一部の領域のみを的確に光らせることが可能なステアリングホイールを提供すること。
【解決手段】ライトバー20が、保持部材に保持される基板と、基板の長手方向に略沿って並設される複数の可視光光源35と、可視光光源から発光される可視光を偏向させる導光体40と、を備えている。基板が、保持部材の放射用開口の開口面に略沿うようにして、保持部材に保持される。可視光光源が、基板における放射用開口から離れた裏面側において基板の長手方向に略沿って並設される。導光体は、可視光光源側に位置する光源側部位と、光源側部位と交差しつつ基板の裏面側から表面側にかけて延びる開口側部位42と、を有して、断面略L字形状とされる。導光体が、少なくとも開口側部位の領域を、可視光光源間となる少なくとも一箇所で、間に遮光部材28を介在させるようにして、相互に分離するように区画されている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者から視認可能な所定位置に、ライトバーを配設させる構成とされて、
該ライトバーが、保持部材に保持される基板と、該基板の長手方向に略沿って並設されるように取り付けられて点灯時に可視光を発光する複数の可視光光源と、を備えて、作動時の前記可視光を、前記保持部材の一部を開口させて構成される放射用開口から放射可能に、構成され、
前記基板が、前記放射用開口の開口面に略沿うようにして、前記保持部材に保持される構成とされ、
前記可視光光源が、前記基板における前記放射用開口から離れた裏面側において、前記基板の長手方向に略沿って並設されるとともに、発光する可視光を、前記基板の裏面側から表面側に延びるように配設される導光体を経て、前記放射用開口側に向かうように偏向させる構成とされ、
前記導光体が、前記基板の裏面側となる前記可視光光源側に位置する光源側部位と、該光源側部位と交差しつつ前記基板の裏面側から表面側にかけて延びるように配置される開口側部位と、を有して、断面略L字形状に形成されるステアリングホイールであって、
前記導光体が、少なくとも前記開口側部位の領域を、前記可視光光源間となる少なくとも一箇所で、間に遮光部材を介在させるようにして、相互に分離するように区画されていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記導光体が、前記開口側部位の領域のみを区画させて、前記光源側部位を一体として、構成されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項3】
前記ライトバーが、長手方向を前記運転者の把持するリング部の周方向に略沿わせるように湾曲させて、前記リング部の上面側において、直進操舵時における前側の領域に、配置される構成とされ、
前記可視光光源が、前記リング部の周方向に略沿って奇数個配設されるとともに、中央側に位置する中央側可視光光源を、直進操舵時における前記リング部の操舵中心の前側となる位置に配置させていることを特徴とする請求項1または2に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記ライトバーが、長手方向を前記運転者の把持するリング部の周方向に略沿わせるように湾曲させて、前記リング部の上面側において、直進操舵時における前側の領域に、配置される構成とされ、
前記可視光光源が、前記リング部の周方向に略沿って複数個配設されるとともに、制御装置により点灯を制御されて、走行時における舵角不足検出時に、舵角不足報知モードとして、1個または複数個を点灯させるように、設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者から視認可能な所定位置に、ライトバーを配設させる構成のステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ライトバーを有したステアリングホイールとしては、複数の可視光光源を、基板の裏面側に並設させて、この可視光光源から発光される可視光を、基板の裏面側から表面側にかけて延びるように断面略L字形状に形成される導光体を経て、拡散させ、基板を保持している保持部材に配置される放射用開口から放射させる構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-113040公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のステアリングホイールでは、導光体は、基板の長手方向に略沿うように、複数の可視光光源にまたがった長尺状とされていることから、一部の可視光光源のみを点灯させて、ライトバーの一部の領域を光らせたい場合にも、可視光光源から発光される可視光が、導光体内を拡散されて、導光体を全体的に光らせてしまい、ライトバーを、点灯される可視光光源のみの所定領域のみとなる一部を、的確に光らせる点に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、ライトバーを、一部の領域のみを的確に光らせることが可能なステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るステアリングホイールは、運転者から視認可能な所定位置に、ライトバーを配設させる構成とされて、
ライトバーが、保持部材に保持される基板と、基板の長手方向に略沿って並設されるように取り付けられて点灯時に可視光を発光する複数の可視光光源と、を備えて、作動時の可視光を、保持部材の一部を開口させて構成される放射用開口から放射可能に、構成され、
基板が、放射用開口の開口面に略沿うようにして、保持部材に保持される構成とされ、
可視光光源が、基板における放射用開口から離れた裏面側において、基板の長手方向に略沿って並設されるとともに、発光する可視光を、基板の裏面側から表面側に延びるように配設される導光体を経て、放射用開口側に向かうように偏向させる構成とされ、
導光体が、基板の裏面側となる可視光光源側に位置する光源側部位と、光源側部位と交差しつつ基板の裏面側から表面側にかけて延びるように配置される開口側部位と、を有して、断面略L字形状に形成されるステアリングホイールであって、
導光体が、少なくとも開口側部位の領域を、可視光光源間となる少なくとも一箇所で、間に遮光部材を介在させるようにして、相互に分離するように区画されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のステアリングホイールでは、導光体が、少なくとも、基板の裏面側から表面側にかけて延びるように配置される開口側部位の領域を、可視光光源間となる部位で、間に遮光部材を介在させるようにして、相互に分離するように区画されていることから、例えば、一方の開口側部位の領域に配置される可視光光源のみを点灯させる場合に、一方の開口側部位を光らせている可視光が、他方の開口側部位に拡散されて、この他方の開口側部位を光らせることを抑制できる。そのため、本発明のステアリングホイールでは、導光体における開口側部位を、遮光部材に隣接する一部のみを的確に光らせることができる。
【0008】
したがって、本発明のステアリングホイールでは、ライトバーを、一部の領域のみを的確に光らせることができる。
【0009】
また、本発明のステアリングホイールにおいて、導光体を、開口側部位の領域のみを区画させて、光源側部位を一体として、構成すれば、導光体を、光源側部位も含めて、複数個に分割させる場合と比較して、導光体の取扱作業性が良好となり、製造時における製造工数を低減させることが可能となって、好ましい。
【0010】
さらにまた、上記構成のステアリングホイールにおいて、ライトバーを、長手方向を運転者の把持するリング部の周方向に略沿わせるように湾曲させて、リング部の上面側において、直進操舵時における前側の領域に、配置させる構成とし、
可視光光源を、リング部の周方向に略沿って奇数個配設させるとともに、中央側に位置する中央側可視光光源を直進操舵時におけるリング部の操舵中心の前側となる位置に配置させる構成とすることが、好ましい。
【0011】
ステアリングホイールを上記構成とすれば、直進操舵時におけるリング部の操舵中心の前側となる位置を、この位置に配置される中央側可視光光源を点灯あるいは点滅させることにより、運転者に視認させることができ、例えば、自動運転時等、ステアリングホイールの回転状態を運転者に認知させたい場合等において、操舵中心の前側の領域を、的確に視認させることができる。
【0012】
さらにまた、上記構成のステアリングホイールにおいて、ライトバーを、長手方向を運転者の把持するリング部の周方向に略沿わせるように湾曲させて、リング部の上面側において、直進操舵時における前側の領域に、配置させる構成とし、
可視光光源を、リング部の周方向に略沿って複数個配設させるとともに、制御装置により点灯を制御させて、走行時における舵角不足検出時に、舵角不足報知モードとして、1個または複数個を点灯させるように、設定する構成とすることが、好ましい。
【0013】
ステアリングホイールを上記構成とすれば、例えば、車両のカーブ走行時等において、舵角不足を検出した際に、可視光光源が、舵角不足報知モードとして、1個または複数個を点灯されることとなり、運転者にステアリングホイールの回転不足を認知させることが可能となる。そのため、カーブ走行時において、ステアリングホイールの回転不足(走行時のカーブ転回不足)による事故の発生を、的確に抑制することができる。また、上記構成のステアリングホイールでは、可視光光源から発光される可視光を放射用開口側に導く導光体が、開口側部位の領域を、可視光光源間となる部位で、間に遮光部材を介在させて相互に分離されていることから、可視光光源の点灯時に、この点灯している可視光光源に対応している開口側部位のみを、的確に光らせることができる。すなわち、導光体における所定箇所のみを、的確に、光らせることができて、運転者に的確に注意喚起を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態であるステアリングホイールの平面図である。
図2】実施形態のステアリングホイールにおいて、ライトバーの部位を示す部分拡大平面図である。
図3】実施形態のステアリングホイールの断面図であり、図2のIII-III部位に対応する図である。
図4】実施形態のステアリングホイールの断面図であり、図2のIV-IV部位に対応する図である。
図5】実施形態のステアリングホイールにおいて、カバー部を取り除いた状態のライトバーの部位を示す部分拡大平面図である。
図6図5をさらに拡大した部分拡大平面図である。
図7】実施形態のステアリングホイールのライトバーに使用されるケースの概略斜視図である。
図8】実施形態のステアリングホイールのライトバーに使用される導光体の概略斜視図である。
図9】実施形態のステアリングホイールにおいて、導光体付近を示す部分拡大概略断面図であり、可視光の拡散の状態を説明する図である。
図10】実施形態のステアリングホイールにおいて、可視光LEDの点灯時の状態を示す概略部分拡大平面図である。
図11】本発明の他の実施形態であるステアリングホイールにおけるライトバーの部位と、可視光LEDの点灯時の状態と、を示す概略部分拡大平面図である。
図12】実施形態のステアリングホイールにおける可視光LEDの点灯を制御する制御装置を示すブロック図である。
図13】実施形態のステアリングホイールにおいて、制御装置により制御された可視光LEDの点灯パターンの一例を説明する概略図である。
図14】実施形態のステアリングホイールにおいて、制御装置により制御された可視光LEDの点灯パターンの他の例を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態のステアリングホイール1は、図1に示すように、回転操舵時に把持する円環状のリング部2と、リング部2の略中央に配置されるボス部4と、リング部2とボス部4とを連結する複数(実施形態の場合、3本)のスポーク部3と、を有して構成され、構成部品としては、ボス部4の上部のエアバッグ装置6と、リング部2に配置されるライトバー20と、それ以外のステアリングホイール本体10と、を具備して構成されている。
【0016】
なお、本明細書では、前後,上下,左右の方向は、特に断らない限り、車両に搭載させた状態のステアリングホイール1の直進操舵状態を基準として、リング部2の回転中心軸(操舵中心)に沿った方向を上下方向とし、リング部2の回転中心軸と直交して車両の前後方向に略沿う方向を前後方向とし、リング部2の回転中心軸と直交して車両の左右方向に略沿う方向を左右方向としている。
【0017】
ボス部4の上部に配置されるエアバッグ装置6は、折り畳まれて収納される図示しないエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給する図示しないインフレーターと、折り畳まれたエアバッグの上面側を覆うパッド7と、を備えている。パッド7は、図1に示すように、ボス部4の上面側を全面にわたって覆うように、配置されている。
【0018】
ステアリングホイール本体10は、図1,3,4に示すように、リング部2,ボス部4,スポーク部3を相互に連結するように配置される芯材としての芯金11と、芯金11におけるリング部2とスポーク部3との部位の周囲を覆う被覆層13と、被覆層13の外周側となるリング部2の外周面側を覆う外皮層14と、ボス部4の下面側を覆う図示しないロアカバーと、を備えている。
【0019】
芯金11は、アルミニウム合金等からなる金属製とされている。芯金11において、リング部2の部位に配置されるリング部芯金12は、断面を、略逆U字形状とされている(図3,4参照)。
【0020】
被覆層13は、クッション性を有した軟質合成樹脂から形成されるもので、実施形態の場合、発泡ポリウレタン等の軟質発泡材から形成されている。この被覆層13は、リング部2の部位においては、図3,4に示すように、リング部芯金12の外周側を覆うように構成されるもので、断面形状を略楕円形状とされている。また、被覆層13は、ライトバー20の配設される領域に、ライトバー20(ケース22)を収納させるための凹部13aを、有している(図3,4参照)。外皮層14は、ライトバー20の配置領域を除いて、被覆層13の外周側を覆うように配設されるもので、実施形態の場合、合成樹脂製のシート体や、天然皮革、合成皮革、人工皮革等の皮革から、形成されている。
【0021】
ライトバー20は、ステアリングホイール1において、図示しない運転者から視認可能な所定位置に配設されるもので、実施形態の場合、図1,2に示すように、操舵時に運転者の把持するリング部2において、左右のスポーク部3L,3R間となる前側部位2a(直進操舵時における前側の領域)の上面側に、長手方向をリング部2の周方向に略沿わせるように湾曲させて、配設されている。詳細には、ライトバー20は、上方側から見た外形形状を、長手方向をリング部2の周方向に略沿わせるように湾曲させた略帯状として、リング部2の1/4程度の領域に、連続的に形成されて、長手方向の中央を、リング部2における前端と略一致させるように、配設されている。
【0022】
ライトバー20は、図2~7に示すように、保持部材としてのケース22と、ケース22内に収納保持される基板30と、基板30の長手方向に略沿って並設されるように取り付けられる複数の可視光光源(可視光LED35)と、導光体40と、ケース22に形成される後述する放射用開口22aを覆うカバー部55と、を備えている。
【0023】
保持部材としてのケース22は、実施形態の場合、上方を開口させた略箱形状として、上下方向側から見てリング部2の湾曲形状に略沿うように湾曲した構成とされるもので(図5,7参照)、可視光LED35から放射される可視光VLを透過不能な合成樹脂製(実施形態の場合、黒色のポリカーボネート樹脂製)とされている。具体的には、ケース22は、リング部2のリング面2bに略沿うように配設されるとともに上下方向側から見て湾曲した略帯状の底壁部23と、底壁部23の外周縁から上方に延びる周壁部24と、を備え、周壁部24の上端側に、作動時の可視光VLを放射可能な放射用開口22aを、配設させている。周壁部24において、前後方向(リング部2の内外方向)側で対向する前側壁25,後側壁26には、カバー部55の後述する取付壁部57,58を係止させるための係止突起25a,26aが、ケース22の長手方向に沿って、複数箇所に、形成されている。詳細には、前側壁25に形成される係止突起25aと、後側壁26に形成される係止突起26aと、は、ケース22の長手方向側で相互にずれた位置に、形成されている(図6参照)。実施形態の場合、前側壁25,後側壁26は、カバー部55の取付時に、取付壁部57,58の外側を覆うように配設される構成であり(図3,4参照)、係止突起25a,26aを、取付壁部57,58側となる内側に突出させるように配設させている。また、実施形態のケース22は、導光体40における後述する開口側部位42間を区画する遮光部材を構成する隔壁部28を、有している。隔壁部28は、図4に示すように、底壁部23から上方に突出するように形成されるもので、幅寸法を、開口側部位42(分割体50)と略同一として、上下方向側の長さ寸法(突出高さ)を、上面28aを開口側部位42の上面(出光面45)と略一致させるような寸法に、設定されている(図3~6参照)。この隔壁部28は、開口側部位42(分割体50)間に形成される空間を略隙間なく埋めるようにして、開口側部位42に連なるように、配設される構成であり、実施形態の場合、後述するごとく8個に分割されている開口側部位42(分割体50)の間をそれぞれ区画するように、7個形成されている(図5参照)。実施形態の場合、隔壁部28は、リング部2の周方向側の長さ寸法を、開口側部位42を分割して形成される分割体50の1/6程度に、設定されている。
【0024】
基板30は、ケース22内において、底壁部23に略沿うように配置されている(図3,4参照)。すなわち、基板30は、ケース22の放射用開口22aの開口面に略沿い、かつ、リング部2のリング面2bに略沿うように配置されている。また、基板30は、ケース22、すなわち、リング部2に略沿うように、長手方向に沿って湾曲した略帯状とされている(図5参照)。基板30は、ケース22の長手方向の略全域にわたって配設されるもので、図示しない所定箇所をケース22に取り付けられることにより、ケース22に保持されている。
【0025】
点灯時に可視光を発光する可視光光源としては、可視光LED35が、使用されている。実施形態の場合、可視光LED35としては、赤色光と緑色光と青色光とを発光可能なものが、使用されている。可視光LED35は、図3に示すように、基板30における放射用開口22aから離れた裏面(下面30b)側において、基板30の長手方向に略沿って(リング部2の周方向に略沿って)複数個並設されている。実施形態の場合、可視光LED35は、基板30(導光体40)の長手方向の略全域にわたって、8箇所に、点在されている(図2,5参照)。詳細には、各可視光LED35は、基板30の下面30b側において、幅方向の中央よりやや後方側(リング部2の内外方向における内側)となる位置に、導光体40側となる前方(外方)に向かって可視光VLを発光可能に、取り付けられている(図9参照)。可視光LED35は、図示しない作動回路と電気的に接続されるもので、この図示しない作動回路からの作動信号を受けて、所定位置に配置されるものを所定色の可視光VLを発光させるように点灯可能とされている。
【0026】
導光体40は、ケース22における左右両端側を除いた領域に配設されるもので、図2,5,8に示すように、上下方向側から見て、リング部2の湾曲形状に略沿うように、略円弧状に湾曲して、形成されている。また、導光体40は、基板30の前端30cの前方を通るようにして、基板30の裏面(下面30b)側から表面(上面30a)側にかけて延びるように配設されるもので(図3,9参照)、具体的には、基板30の裏面(下面30b)側となる可視光LED35側に位置する光源側部位41と、光源側部位41と交差しつつ基板30の裏面(下面30b)側から表面(上面30a)側にかけて延びるように配置される開口側部位42と、を有して、断面略L字形状に、形成されている。実施形態の場合、開口側部位42は、基板30の前方を経て、上端を、カバー部55側に位置させるように、配設されている。実施形態の場合、導光体40は、光源側部位41から開口側部位42にかけて厚さ寸法を略一定として構成されるとともに、この厚さ寸法を、可視光LED35の上下の幅寸法より大きくして、光源側部位41により、可視光LED35の前方を上下の前方にわたって覆う構成としている(図9参照)。導光体40は、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の合成樹脂から形成されるもので、図9に示すように、光源側部位41の先端面(可視光LED35側の端面)に、可視光LED35から発光される可視光VLを入射させる入射面44を配設させ、開口側部位42の上面に、可視光VLを放射用開口22a側となる上方に向かって出光させる出光面45を配設させる構成とされている。また、光源側部位41と開口側部位42との交差部位付近(開口側部位42の下端側)において、入射面44と対向する位置には、入射面44から入射した可視光VLを放射用開口22a側に配置される出光面45側(上方)に向かって偏向させるように反射可能な反射面48が、配設されている(図9参照)。
【0027】
また、実施形態の場合、導光体40は、少なくとも開口側部位42の領域を、可視光LED35間となる部位で相互に分離されるように、区画されている。具体的には、導光体40は、開口側部位42を、下端側の光源側部位41との境界部位付近も含めて、上下の全域にわたって相互に分離させ、光源側部位41を、一体として、構成されている(図8参照)。開口側部位42は、8個配設される可視光LEDに対応して、8個の分割体50に分割されており、開口側部位42を分割して形成されている各分割体50は、長手方向(リング部2の周方向)側の略中央に、可視光LED35を配設させるように、構成されている(図2,5参照)。また、各分割体50の間には、上述したごとく、ケース22の底壁部23から延びる隔壁部28が、分割体50間の空間を略隙間なく埋めるようにして、開口側部位42(分割体50)に連なるように、配設されている(図3,4,6参照)。
【0028】
カバー部55は、保持部材としてのケース22に形成される放射用開口22aを略全面にわたって覆うカバー本体56と、カバー本体56から下方に延びてケース22に取り付けられる取付壁部57,58と、を備えている。カバー本体56は、断面形状を、リング部2における外皮層14の外周面からなだらかに連なるように、湾曲させて構成されている(図3,4参照)。取付壁部57,58は、ケース22における前側壁25,後側壁26の内側に近接して配置されるもので、前側壁25,後側壁26において内方に突出するように形成される係止突起25a,26aを挿入させて係止可能な係止孔57a,58aを、有している(図3,4参照)。前側に配置される取付壁部57は、導光体40(詳細には、導光体40における開口側部位42(分割体50)及びケース22の隔壁部28)と、前側壁25と、の間の隙間に進入するようにして、前側壁25に取り付けられる構成である。また、カバー部55は、導光体40における開口側部位42とケース22から延びる隔壁部28との後側に近接して配置される押え壁部60を、カバー本体56から下方に突出させるようにして、配設させている。このカバー部55は、可視光LED35から発光される可視光VLを透過可能な構成とされるもので、実施形態の場合、透光性を有する黒色透明の合成樹脂製とされている。具体的には、カバー部55は、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等から形成されている。
【0029】
実施形態のステアリングホイール1では、可視光LED35は、例えば、運転者への注意喚起等の際に、図示しない作動回路からの作動信号を入力させて、点灯される構成である。実施形態のステアリングホイール1では、一部の可視光LED35A(例えば、右端側の1つのみ)が点灯された場合(隣接する可視光LED35Bは消灯されている)には、図10のAに示すように、導光体40の開口側部位42における右端側の分割体50Aのみが、光ることとなり、また、全ての可視光LED35が点灯された場合には、図10のBに示すように、導光体40の開口側部位42におけるすべての分割体50が、光ることとなる(光る状態を網掛表示している)。
【0030】
そして、実施形態のステアリングホイール1では、導光体40が、少なくとも、基板30の裏面側から表面側にかけて延びるように配置される開口側部位42の領域を、可視光LED35間となる部位で、間に遮光部材としての隔壁部28を介在させるようにして、相互に分離するように区画されていることから、例えば、一方の開口側部位42の領域(例えば、図10のAにおける右端側の分割体50Aの領域)に配置される可視光LED35Aのみを点灯させる場合(隣接する可視光LED35Bは消灯されている)に、この右端側の分割体50Aを光らせている可視光VLが、他方の開口側部位(図10のAにおける隣接している分割体50B)に拡散されて、この他方の開口側部位(分割体50B)を光らせることを抑制できる(図10のA参照)。そのため、実施形態のステアリングホイール1では、導光体40における開口側部位42を、隔壁部28に隣接する一部のみを的確に光らせることができる。
【0031】
したがって、実施形態のステアリングホイール1では、ライトバー20を、一部の領域のみを的確に光らせることができる。
【0032】
また、実施形態のステアリングホイール1では、導光体40が、開口側部位42の領域のみを区画させて、光源側部位41を一体として、構成されている。そのため、導光体を、光源側部位も含めて、複数個に分割させる場合と比較して、導光体の取扱作業性が良好となり、製造時における製造工数を低減させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、導光体40Aとして、図8に括弧書きで示すように、開口側部位51Aの領域のみならず、光源側部位42Aの領域も分断させた分割体を、複数個配設させるような構成としてもよい。
【0033】
なお、実施形態のステアリングホイール1では、導光体40における開口側部位42を分割している分割体50の間に介在される遮光部材が、保持部材としてのケース22の底壁部23から延びる隔壁部28から構成されていることから、部品点数の増大を抑制でき、また、組付時の作業性も良好である。勿論、このような点を考慮しなければ、遮光部材は、保持部材と一体的な構成としなくともよく、保持部材と別体の遮光部材を配設させる構成としてもよい。
【0034】
実施形態のステアリングホイール1では、可視光光源35は偶数個(8個)配設されているが、図11のA,Bに示すステアリングホイール1Aのように、リング部2Aの上面側において、直進操舵時における前側の領域に、配置されるライトバー20Aに、可視光LED35を奇数(図例では、7個)配設させるような構成としてもよい。ステアリングホイール1Aは、可視光LED35の配置数(分割体50Aの配置数)以外は、上述のステアリングホイール1と同一の構成である。このステアリングホイール1Aでは、中央側に位置する中央側可視光LED35CAを、直進操舵時におけるリング部2Aの操舵中心の前側に配置させている。このような構成のステアリングホイール1Aでは、図11のBに示すように、中央側可視光LED35CAを点灯あるいは点滅させることにより、中央側可視光LED35CAに対応して配置される中央側の分割体50CAのみを光らせることができ、直進操舵時におけるリング部の操舵中心の前側となる位置を、運転者に視認させることができる。そのため、例えば、自動運転時等、ステアリングホイール1Aの回転状態を運転者に認知させたい場合等において、操舵中心の前側の領域を、的確に視認させることができる。
【0035】
さらに、実施形態のステアリングホイール1は、各可視光LED35を、図12に示すような制御装置70に接続させて、制御装置70によって点灯を制御させる構成とすることもできる。
【0036】
制御装置70は、図12に示すように、走行時における車両の位置を検出可能な位置検出部71と、車両周辺の地図情報を取得可能な地図情報取得部72と、車両の走行時におけるステアリングホイール1の舵角を検出可能な舵角検出部73と、を有する構成とされている。位置検出部71及び地図情報取得部72は、車両に搭載されている図示しないカーナビゲーションシステムを利用することができる。舵角検出部73は、常時ステアリングホイール1の回転角度を検出している。
【0037】
そして、制御装置70は、走行時における舵角不足検出時に、舵角不足報知モードとして、可視光LED35を点灯させる1個または複数個を点灯させるように、設定されている。具体的には、制御装置70は、車両のカーブ走行時等において、位置検出部71と地図情報取得部72とによって検出される車両の位置と、進行中の道路における進行予定部分のカーブの曲率と、に対して、舵角検出部73によって検出されるステアリングホイール1の操舵角が小さいことを検知した際に、舵角不足報知モードとして、可視光LED35を点灯させることとなる。
【0038】
可視光LED35の点灯パターンとしては、運転者に注意喚起して舵角不足を認識させるように、ステアリングホイール1の回転方向側に向かうように、可視光LED35を順次点灯させることが、好ましい。例えば、図13に示すように、ステアリングホイール1を左方にある程度回転させた状態で操舵角の不足を検知している場合に、回転方向から離れた側である右端の可視光LED35Aから、左側の可視光LED35B,35C,35D(詳細な図示を省略するが、回転方向側である左端の可視光LED35Hまで)にかけて順番に点灯と消灯とをさせ、この作動を繰り返すように、可視光LED35の点灯を制御すれば、導光体40の開口側部位42において各可視光LED35に対応する分割体50(50A,50B,50C,50D)が順次光って、運転者に、左方(ステアリングホイール1の回転を促す方向側)に向かって光が流れるように視認させることができる。この場合、例えば、実際の操舵角とカーブ走行に必要な舵角との差の大きさに応じて、可視光LED35の点灯間隔も変更することができる。例えば、実際のステアリングホイール1の操舵角とカーブ走行に必要な舵角の差が大きければ、可視光LED35の点灯間隔を小さくして、速く光を流し、ステアリングホイール1のさらなる回転操舵に伴い、この差が小さくなるに従って、可視光LEDの点灯間隔を大きくし、差がなくなれば全体を消灯させるように設定すれば、実際のステアリングホイールの回転操作を的確に支援することができる。また、可視光LED35の点灯パターンは、図14に示すように、ステアリングホイール1を左方にある程度回転させた状態で、回転方向から離れた側である右端の可視光LED35Aから順次点灯させて、点灯状態の可視光LED35を増やしていくように(開口側部位42における光っている領域を増やしていくように)、設定してもよい。このような可視光LED35の点灯パターンは、一例にすぎず、舵角不足報知モードにおける可視光LEDの点灯パターンは、上記パターンに限定されるものではない。
【0039】
このように、ステアリングホイール1の各可視光LED35の点灯を、制御装置70によって制御させる構成とすれば、例えば、車両のカーブ走行時等において、舵角不足を検出した際に、可視光LED35が、舵角不足報知モードとして、1個または複数個を点灯されることとなり、運転者にステアリングホイール1の回転不足を認知させることが可能となる。そのため、カーブ走行時において、ステアリングホイール1の回転不足(走行時のカーブ転回不足)による事故の発生を、的確に抑制することができる。また、実施形態のステアリングホイール1では、可視光LED35から発光される可視光VLを放射用開口22a側に導く導光体40が、開口側部位42の領域を、可視光LED35間となる部位で、間に遮光部材としての隔壁部28を介在させて相互に分離されて(分割体50に分割されて)いることから、可視光LED35の点灯時に、この点灯している可視光LED35に対応している分割体50のみを、的確に光らせることができる。すなわち、導光体40における所定箇所のみを、的確に、光らせることができて、運転者に的確に注意喚起を促すことができる。
【0040】
なお、実施形態のステアリングホイール1は、円環状のリング部2を備える構成であるが、本発明を適用可能なステアリングホイールは、円環状のリング部を備える構成に限定されるものではなく、例えば、四角環状のリング部を備えるものや、リング部ではなく、ボス部から部分的に突出する棒状の把持部を備えるタイプのステアリングホイールにも、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1,1A…ステアリングホイール、2,2A…リング部、2a…前側部位、20,20A…ライトバー、22…ケース(保持部材)、22a…放射用開口、28…隔壁部(遮光部材)、30…基板、30a…上面(表面)、30b…下面(裏面)、35,35A,35B,35C,35D,35CA…可視光LED(可視光光源)、40…導光体、41…光源側部位、42…開口側部位、50…分割体、70…制御装置、VL…可視光。
図1
図2
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図11
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図14