IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社の特許一覧

特開2023-111827遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法
<>
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図1
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図2
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図3
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図4
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図5
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図6
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図7
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図8
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図9
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図10
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図11
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図12
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図13
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図14
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図15
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図16
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図17
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図18
  • 特開-遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111827
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/52 20180101AFI20230803BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
F24F11/52
H04Q9/00 331A
H04Q9/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172221
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2022013651の分割
【原出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】竹田 幸二
(72)【発明者】
【氏名】村若 正俊
【テーマコード(参考)】
3L260
5K048
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA64
3L260BA73
3L260CB85
3L260FA20
3L260GA02
3L260GA19
3L260GA26
5K048AA04
5K048BA08
(57)【要約】
【課題】 簡単かつ統一性をもって機能の設定を行うことができ、作業性を向上させることができる装置および方法を提供すること。
【解決手段】 遠隔操作装置は、空気調和装置の機能を設定することが可能な装置であり、複数のボタン30と、押下されたボタン30に応じて、機能を設定するモードに切り替えるコントローラ32と、機能を設定するモードにおいて設定された内容を表示する液晶画面部31とを含み、コントローラ32は、指定された2以上のボタン30を指定された時間継続して押下することにより、機能を設定するモードへ切り替える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置の機能を設定することが可能な遠隔操作装置であって、
複数のボタンと、
押下されたボタンに応じて、機能を設定するモードに切り替える切替手段と、
前記機能を設定するモードにおいて設定された内容を表示する表示手段と
を含み、
前記切替手段は、指定された2以上のボタンを指定された時間継続して押下することにより、前記機能を設定するモードへ切り替え、
前記機能の設定項目は階層化されており、
前記遠隔操作装置が、さらに、
前記表示手段に第1の階層のいずれかの設定項目を表示させた状態で、指定された2以上のボタンが指定された時間継続して押下されたことに応答して、全ての機能の初期化を実行する初期化手段を含む、遠隔操作装置。
【請求項2】
前記初期化手段が初期化を実行するために押下される前記ボタンは、前記機能を設定するモードへ切り替えるために押下されるボタンとは異なるボタンである、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の遠隔操作装置と室内機とを含む、空気調和装置。
【請求項4】
空気調和装置の機能を設定することが可能な遠隔操作装置により実行される該機能の設定方法であって、
前記遠隔操作装置が、複数のボタンと、押下されたボタンに応じて、機能を設定するモードに切り替える切替手段と、前記機能を設定するモードにおいて設定された内容を表示する表示手段と、初期化手段とを含み、前記機能の設定項目は、階層化されており、前記表示手段が、階層ごとの前記設定項目の表示を可能としており、
前記切替手段が、指定された2以上のボタンを指定された時間継続して押下することにより、前記機能を設定するモードへ切り替えるステップと、
前記初期化手段が、前記表示手段に第1の階層のいずれかの設定項目を表示させた状態で、指定された2以上のボタンが指定された時間継続して押下されたことに応答して、全ての機能の初期化を実行するステップと
を含む、設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の機能を設定することが可能な遠隔操作装置、空気調和装置および機能の設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置には、冷暖房の切り替えや設定温度の変更等の主にユーザが設定する機能と、掃除やセンサの設定、故障履歴の表示等の主にサービスエンジニアが設定する機能がある。後者の機能は、ユーザには公開されておらず、リモートコントローラ(以下、リモコンと略す。)に搭載している複数のボタンの同時押しや、基板に搭載されているジャンパー線のカット、ランドパターンのはんだ付け、スイッチの切り替え等により設定している。また、特許文献1のように、サービスエンジニアがリモコンに電池を入れてから所定時間内に予め定められた操作ボタンを押下することにより、特殊モードに移行する方法も提案されている。
【0003】
リモコンによる設定方法では、機能毎に設定を行うためのボタンが決められている。しかし、機種毎に搭載しているボタンが異なるため、同じ機能でも機種によって使用するボタンが異なっている。また、ボタンの数に限りがあり、リモコン操作も複雑になってしまう。一方、基板に搭載されているジャンパー線のカット、ランドパターンのはんだ付け、スイッチの切り替え等により設定する方法では、空気調和装置を分解してから作業を行う必要があり、設定のために必要な作業が多く、手間がかかってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5761121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来の技術では、特殊モードへ入る度に電池の抜き差しが必要であり、リモコン毎に搭載しているボタンが異なるため、同じ機能でもリモコン毎に設定方法が異なっており、作業が複雑で、統一性がなく、作業の手間がかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、空気調和装置の機能を設定することが可能な遠隔操作装置であって、
複数のボタンと、
押下されたボタンに応じて、機能を設定するモードに切り替える切替手段と、
機能を設定するモードにおいて設定された内容を表示する表示手段と
を含み、
切替手段は、指定された2以上のボタンを指定された時間継続して押下することにより、機能を設定するモードへ切り替える、遠隔操作装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単かつ統一性をもって機能の設定を行うことができ、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る空気調和装置の構成例を示した図。
図2】室内機が備えるLEDについて説明する図。
図3】遠隔操作装置としてのリモコンの構成例を示した図。
図4】リモコンの第1の操作の一例を示した図。
図5】階層化された機能の設定項目の一例を示した図。
図6】リモコンの第2の操作の一例を示した図。
図7】リモコンの第3の操作の一例を示した図。
図8】機能を設定する処理の一例を示したフローチャート。
図9】リモコンの第4の操作の一例を示した図。
図10】リモコンの第5の操作の一例を示した図。
図11】設定ボタン、確認表示ボタン、カテゴリ初期化ボタン、全初期化ボタンの一例を示した図。
図12】リモコンの第6の操作の一例を示した図。
図13】故障内容とLEDの点滅回数とを関連付けたテーブルの一例を示した図。
図14】機能の設定を変更する処理の一例を示した図。
図15】1つの設定内容を呼び出した場合のLEDの点滅動作について説明する図。
図16】同じ設定内容を連続して呼び出した場合のLEDの点滅動作について説明する図。
図17】1の設定内容の呼び出しの途中で他の設定内容の呼び出した場合のLEDの点滅動作について説明する図。
図18】リモコンの第7の操作の一例を示した図。
図19】サービスエンジニアの保守点検を優先させるためのシステム構成の一例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係る空気調和装置の構成例を示した図である。空気調和装置10は、住宅やビル等の室内に設置される室内機11と、室外に設置される室外機12と、室内に配置され、室内機11を遠隔から操作するための遠隔操作装置としてのリモコン13とを含んで構成される。
【0010】
室内機11と室外機12とは、2本の配管14、15により接続され、2本の配管14、15を介して室内機11と室外機12との間を冷媒が循環する1つの系を形成する。冷媒としては、例えばR410aやR32等のハイドロフルオロカーボンが用いられる。また、室内機11と室外機12とは、互いに通信を行うために通信ケーブル等に接続される。室内機11と室外機12とは、通信ケーブル等により接続されることに限定されるものではなく、Wi-Fi(登録商標)等を使用して無線通信を行うように構成されていてもよい。
【0011】
ユーザは、室内に配置されたリモコン13を使用して室内機11を操作する。リモコン13は、赤外線等を使用して室内機11との間で無線通信を行い、ユーザが入力した室内機11の起動や停止、設定温度の変更、運転モードの切り替え等の指令を室内機11へ送信する。室内機11は、起動指令を受けて起動し、室外機12に対して起動を指令する。室内機11は、受け付けた設定温度の変更や運転モード等を室外機12に通知する。室内機11は、停止指令を受けて停止し、室外機12に対して停止を指令する。
【0012】
室内機11は、運転中、室内の空気を取り込み、取り込んだ空気と、室外機12から供給される冷媒との間で熱交換し、冷却された空気または暖められた空気を吹き出し、室内を設定温度になるように室内を冷却し、または暖める。このため、室内機11は、室内の空気と冷媒との間で熱交換を行う室内熱交換器と、室内の空気を取り込み、熱交換された空気を吹き出す室内送風機(室内ファン)とを備える。
【0013】
室内機11は、室外機12へ室温を通知するため、室温を検出する室内温度検出手段としての室温センサを備える。また、室内機11は、冷媒を膨張させ、室内熱交換器を流れる冷媒の流量を調整するための室内膨張弁を備える。
【0014】
室内機11を暖房として使用する場合、室内熱交換器は、凝縮器として機能し、冷媒は、ガス状態で室内熱交換器へ流入する。室内熱交換器へ流入したガス状態の冷媒は、室内ファンにより取り込まれた空気と熱交換し、凝縮して液の状態で室内熱交換器から排出され、室内膨張弁を介して室外機12へ送られる。
【0015】
室内機11は、制御装置としての制御器を備える。制御器は、リモコン13で入力された各種の設定情報を保持し、運転モードや設定温度の変更等を室外機12へ通知し、室内膨張弁の開度を制御する。
【0016】
室外機12は、室内機11からの起動指令を受けて起動し、設定された、もしくは室内機から通知された運転モードで運転を開始する。運転モードは、冷房モード、暖房モード、送風モード等である。室外機12は、設定された、もしくは室内機から通知された設定温度や室温等に応じて、冷媒の温度、圧力、流量等を制御する。また、室外機12は、室内機11からの停止の指令を受け、運転を停止する。
【0017】
室外機12は、系内に冷媒を循環させるため、圧縮機を備える。室外機12は、系内を流れる冷媒を膨張させ、その流量を調整するための室外膨張弁を備える。圧縮機は、冷媒をガス状態で吸い込み、ガス状態のまま吐出するため、暖房運転時に各室内機11から排出され、室外膨張弁を介してガスと液が混合した二相流の状態で供給される冷媒を蒸発させるための室外熱交換器を備える。
【0018】
室外機12は、外気を取り込み、取り込んだ外気と冷媒との間で熱交換を行い、熱交換後の外気を吹き出す室外ファンを備える。また、室外機12は、空気調和装置を冷房、暖房のいずれの運転をも可能にするため、冷媒を流す方向を切り替えるための四方弁を備える。
【0019】
室外機12も、制御装置としての制御器を備える。制御器は、室内機11から送信された室温センサにより検出された室温、各室内の設定温度、運転モード等に基づき、圧縮機の運転周波数と、室外膨張弁の開度を制御する。制御器は、設定された運転モードに応じて、四方弁を切り替える。
【0020】
図2は、室内機11が備える通知手段の一例であるLED(Light Emitting Diode)について説明する図である。図2(a)は、LEDが搭載されるLED搭載部20の室内機11上の位置を示した図で、図2(b)は、LEDが搭載されるLED搭載部20を拡大して示した図である。室内機11は、前面カバー21を開けた内部に、上記の室内熱交換器や室内ファン等が収納され、前面カバー21の下側に、冷却もしくは暖めた空気を吹き出す吹出口22を備えている。
【0021】
図2(a)に示す例では、LED搭載部20は、前面カバー21の下側であって、吹出口22に向かって右側の位置に設けられている。なお、LED搭載部20の位置は、機種によって変わり、図2(a)に示す位置に限定されるものではない。
【0022】
LED搭載部20は、図2(b)に示すように、複数のLED23~26を搭載している。各LED23~26は、室内機11が運転中であることを示す運転ランプ、タイマー予約がセットされていることを示すタイマーランプ、フィルターを掃除中であることを示すクリーンランプ、除湿運転中であることを示す除湿ランプ等である。なお、各LED23~26は、運転中等に異常が発生した場合、一定の時間間隔で点滅する等して異常が発生したことを通知する。なお、LED23~26の数は、図2(b)に示す例では4つとされているが、機種によって変わり、4つに限定されるものではない。
【0023】
図3は、リモコン13の構成例を示した図である。リモコン13は、複数のボタン30と、表示手段の一例として液晶画面部31と、コントローラ32とを含む。コントローラ32は、CPUと、メモリと、通信I/Fとを備え、リモコン13を制御し、室内機11へ起動指令や停止指令等を送信する機能を有する。ボタン30は、起動/停止、冷房、暖房、風量(風速)、風向、設定温度を上げる、設定温度を下げる、タイマー入、タイマー切、リセット等の操作を行うためのボタンである。
【0024】
液晶画面部31は、設定温度や風速等を表示する。液晶画面部31は、現在設定されている運転モード、風向、時刻等も表示してもよい。図3に示す例では、液晶画面部31が、設定温度を表示する温度表示部33と、風速を表示する風速表示部34とから構成されている。温度表示部33は、7セグメントで設定温度を表示するように構成されている。風速表示部34は、風速の強さを、長さの異なる縦線の数で表示するように構成されている。したがって、縦線の数が1つより2つ、2つより3つの方が強いことを示す。ここでは、風速の強さを、長さの異なる縦線の数で表示しているが、これに限られるものではない。
【0025】
設定温度は、設定温度を上げる、もしくは設定温度を下げるボタンを押下することで変更することができる。風速は、風速ボタンを押下することにより風速を変更することができる。
【0026】
ところで、空気調和装置を据え付ける据付業者や、空気調和装置の保守点検を行うサービスエンジニアは、空気調和装置の機能の設定を行うため、従来においては、リモコンに搭載している複数のボタンの同時押しや、基板上のジャンパー線のカット、ランドパターンのはんだ付け、スイッチを切り替える等して、機能の設定を行っている。据付業者やサービスエンジニアが行う機能の設定には、掃除やセンサの設定、故障履歴の表示等がある。例えば、サービスエンジニアは、保守点検時以外においては故障履歴を表示しない設定にしておき、保守点検時に故障履歴を表示する設定に切り替え、いつ、どのような故障が発生したかを確認することができる。
【0027】
このような従来の設定方法では、リモコン操作で機能を設定する方法は、仕様の統一がされていなかったり、機能を設定するための特殊モードに入る際、電池の抜き差しが必要であり、作業性に問題があったりした。一方、基板上のジャンパー線のカット、ランドパターンのはんだ付け、スイッチの切り替え等で設定する方法は、空気調和装置を分解してからこれらの作業を行う必要があり、設定のために必要な作業が多く、手間がかかる。
【0028】
そこで、同じリモコン操作ではあるが、電池の抜き差しすることなく、統一された方法で機能の設定を行うことが可能なリモコン13、装置、方法を提案し、以下に詳細に説明する。
【0029】
コントローラ32は、切替手段として機能し、据付業者やサービスエンジニアにより押下されたボタンに応じて、機能を設定するモード(以下、機能設定モードとする。)に切り替える。リモコン13には、機能設定モードに切り替えるための専用のボタン30はない。これは、ユーザが機能を設定する操作を行うことはなく、ユーザが誤って操作しないようにするためである。そこで、複数のボタン30のうちの指定された2以上のボタン30を、指定された時間継続して押下(長押し)したことを受けて、コントローラ32が機能設定モードへ切り替えるように構成される。液晶画面部31は、機能設定モードにおいて設定された内容を表示する。
【0030】
図4は、リモコン13の第1の操作の一例を示した図であり、任意の3つのボタン30を長押しし、機能設定モードへ切り替える操作を示した図である。機能設定モードへ切り替えるための2以上のボタン30は、機種や販売地域によって異なるボタンではなく、共通に装備されるボタンが指定される。任意の3つのボタン30は、例えば「起動/停止」ボタン、「風速」ボタン、「リセット」ボタンである。これは一例であるので、これに限られるものではない。
【0031】
任意の3つのボタン30を継続して押下する時間は、例えば2秒~5秒の任意の時間を設定することができる。ここでは3秒とする。任意の3つのボタン30を継続して3秒間押下すると、液晶画面部31に機能設定モードの階層1の画面が表示される。階層1の画面の場合、液晶画面部31には、階層1に対応する風速表示として1本の縦線が表示される。
【0032】
図5は、階層化された機能の設定項目の一例を示した図である。階層は、階層1から階層3まで存在し、階層1は、機能の種類(カテゴリ)を示す。機能の種類は、掃除機能や故障診断機能等である。機能の種類は、液晶画面部31に表示可能な数字やアルファベット等から構成される識別情報と関連付けてテーブルで管理される。ただし、アルファベットについては、数字と混同される恐れがある文字(例えば「B」や「D」)、7セグメントで表示することが困難な文字(例えば「G」や「K」)については使用しないものとする。機能設定モードへ切り替えられると、テーブルの最初の行(1行目)にある「オプションA」に関連付けられた識別情報「1A」が液晶画面部31に表示される。
【0033】
階層2は、階層1で選択された種類における具体的な機能を示す。具体的な機能は、自動掃除機能、故障履歴の表示等である。階層2の機能も、液晶画面部31に表示される識別情報と関連付けてテーブルで管理される。図5に示す例では、階層1で「オプションA」が選択された場合の階層2の機能を示している。階層1で「オプションA」が選択されると、テーブルの1行目にある「機能0」に関連付けられた識別情報「A0」が液晶画面部31に表示される。
【0034】
階層3は、選択された機能の設定内容を示す。設定内容は、無効、有効等である。階層3の設定内容も、液晶画面部31に表示される識別情報と関連付けてテーブルで管理される。図5に示す例では、階層2で「機能2」が選択された場合の階層3の設定内容を示している。階層2で「機能2」が選択されると、テーブルの1行目にある「無効」に関連付けられた識別情報「01」が液晶画面部31に表示される。
【0035】
図5に示す例では、階層1で故障診断に対応する「オプションJ」が選択された場合の階層2として、「故障履歴表示」、「故障診断スタート」、「故障履歴消去」という機能が示されている。階層1で「オプションJ」が選択されると、テーブルの1行目にある「故障履歴表示」に関連付けられた識別情報「J1」が液晶画面部31に表示される。
【0036】
また、図5に示す例では、階層2で「故障履歴表示」が選択された場合の階層3として、過去何回の履歴を表示するかを選択する内容が示されている。階層2で「故障履歴表示」が選択されると、テーブルの1行目にある「過去1回目(最新)」に関連付けられた識別情報「01」が表示される。過去1回目(最新)は、故障履歴のうちの日時が最新のものを表示することを意味する。
【0037】
図6は、リモコン13の第2の操作の一例を示した図である。リモコン13は、機種に共通に装備されるボタンとして、設定温度を上げるボタンと、設定温度を下げるボタンとを有する。これらのボタンを使用し、階層1の他の種類に関連付けられた識別情報を表示させることができる。具体的には、設定温度を下げるボタンを1回押下することで、図5に示す階層1のテーブルの2行目にある識別情報「2C」を表示させることができ、設定温度を下げるボタンをさらに1回押下することで、テーブルの3行目にある識別情報「3d」を表示させることができる。3行目の識別情報「3d」を表示させた後、設定温度を上げるボタンを2回押下することで、1行目の識別情報「1A」を表示させることができる。ここでは、設定温度を上げるボタンと、設定温度を下げるボタンを使用して、選択する種類を変更しているが、これに限られるものではなく、他の2つのボタンを使用して種類を変更してもよい。
【0038】
図7は、リモコン13の第3の操作の一例を示した図である。上の階層および下の階層へ移行する場合、「起動/停止」ボタンの左右に配置される、例えば「モード」ボタン、「風速」ボタンを押下して移行することができる。ここでは、向かって左側に「モード」ボタンがあり、右側に「風速」ボタンがあるものとし、「モード」ボタンを押下することで、現在の階層が階層2である場合、階層1へ移行することができ、「風速」ボタンを押下することで、階層2の下の階層である階層3へ移行することができる。また、現在の階層が階層3である場合、「モード」ボタンを2回押下することで、階層1へ移行することができる。
【0039】
表示された種類で「風速」ボタンを押下してその種類を選択すると、その種類に対応した階層2のテーブルの1行目の識別情報が表示される。例えば、「オプションJ」が選択された場合、階層2の1行目の「J1」が表示される。階層2の画面の場合、液晶画面部31には、階層2に対応する風速表示として2本の縦線が表示される。図6に示した操作により表示を変更することで、「J2」や「J3」を表示させることができる。
【0040】
同様にして、表示された機能で「風速」ボタンを押下してその機能を選択すると、その機能に対応した階層3のテーブルの1行目の識別情報が表示される。例えば、「故障履歴表示」が選択された場合、階層3の1行目の「01」が表示される。階層3の画面の場合、液晶画面部31には、階層3に対応する風速表示として3本の縦線が表示される。図6に示した操作により表示を変更することで、「02」や「03」を表示させることができる。
【0041】
機能設定モードからユーザが操作する通常モードへ復帰する場合は、数秒間何も操作しない、もしくは上記の機能設定モードへ切り替える場合に使用したボタンとは異なるボタンであって、指定された2以上のボタンを長押しする。上記の数秒間は、これに限られるものではないが、例えば30~60秒間とすることができる。
【0042】
図8は、機能を設定する処理の一例を示したフローチャートである。ステップ100から開始し、ステップ101で、リモコン13が、指定された2以上のボタンが同時に長押しされたか否かを判定する。指定された2以上のボタンではない場合、指定された2以上のボタンであるが、同時に押下されていない場合、指定された2以上のボタンであって同時に押下されているが、長押しされていない場合、ステップ106へ進み、処理を終了する。
【0043】
ステップ101で指定された2以上のボタンが同時に長押しされたと判定した場合、ステップ102へ進み、リモコン13の液晶画面部31に機能の種類に対応する識別情報、階層1を示す風速(1本の縦線)を表示する。ステップ103では、指定された時間操作がないか否かを判定する。操作がないと判定した場合、ステップ106へ進み、処理を終了する。ここでは、指定された時間操作がない場合に通常モードに戻る例を示すが、機能設定モードへ移行するときのボタンとは異なる、指定された2以上のボタンを同時に長押しすることで通常モードに戻ってもよい。
【0044】
ステップ103で操作があると判定した場合、階層1の種類を選択する操作、階層2の機能を選択する操作等が行われており、ステップ104では、階層3へ移行し、機能を設定したかどうかを判定する。設定していないと判定した場合、ステップ103へ戻り、変更したと判定した場合、ステップ105へ進む。ステップ105では、リモコン13から設定した設定内容を室内機11へ送信し、室内機11に設定させる。そして、ステップ103へ戻る。
【0045】
図9は、リモコン13の第4の操作の一例を示した図である。設定された機能について、設定状況の変更等により、一度工場出荷時と同じ状態に戻したい場合がある。全種類の全機能につき、1つずつ設定を工場出荷時の設定に戻すことができるが、1つずつ設定するのは手間がかかる。そこで、全種類の全機能を初期化するボタンを設け、一括して工場出荷時の設定に戻すことができる。
【0046】
全種類の全機能の初期化は、設定中に誤って初期化してしまうことを防止するため、複数の任意のボタンを同時に押下することにより初期化するものとする。また、全種類の全機能の初期化は、階層1のいずれかの識別情報が表示されているときに行うこととする。同時に押下される複数の任意のボタンは、機種に共通に装備されるボタンのうちの2以上のボタンであればいかなるボタンであってもよい。図9に示す例では、「起動/停止」ボタンと「タイマー切」ボタンを同時長押しすることで、全種類の全機能を初期化することができる。初期化は、コントローラ32を初期化手段として機能させ、室内機11に対して初期化を指示し、室内機11に設定された設定内容を初期値に戻すことにより実行される。
【0047】
なお、全種類の全機能を初期化するボタンを押下した場合、その信号を室内機11へ送信し、室内機11において全機能を初期化することを通知するためのブザーを鳴らし、タイマーランプ等を点灯させることができる。このため、室内機11は、タイマーランプとしてのLEDに加え、スピーカー等の音出力手段を備えることができる。
【0048】
図10は、リモコン13の第5の操作の一例を示した図である。設定された機能について、種類ごとに初期化したい場合もある。この場合は誤って初期化したとしても、1つの種類の全機能についてのみであるため、全種類の全機能の初期化とは異なり、任意の1つのボタンの押下で実現する。任意の1つのボタンは、全機能の初期化に使用されるいずれか1つのボタンであってもよいし、その他のボタンであってもよい。図10に示す例では、「タイマー切」ボタンを長押しすることで、1つの種類の機能を初期化することができる。
【0049】
1つの種類の機能の初期化は、階層1の初期化したい種類の識別情報を表示させ、任意の1つのボタンを押下することにより行うことができ、その種類の全機能が初期化される。
【0050】
この場合も、1つの種類の全機能を初期化するボタンを押下した場合、全機能を初期化することを通知するためのブザーを鳴らし、タイマーランプ等を点灯させることができる。
【0051】
初期化するボタンは、同時に押下される2以上のボタンであればいかなるボタンであってもよいが、誤って初期化することを防止するため、機能の設定および下記の確認に使用するボタンとは別のボタンが望ましい。
【0052】
図11は、設定を行うために使用される設定ボタン、確認表示を行うために使用される確認表示ボタン、1種類の全機能を初期化するカテゴリ初期化ボタン、全種類の全機能を初期化する全初期化ボタンの一例を示した図である。図11には、各ボタンを押下する階層についても示している。
【0053】
設定ボタンは、例えば「起動/停止」ボタンが指定され、階層3の設定したい設定内容に関連付けられた識別情報を表示させた上で押下することで、その設定内容に設定できるように構成されている。したがって、「起動/停止」ボタンを押下することで、その識別情報を室内機11へ送信し、その識別情報に関連付けられた設定内容を室内機11に記憶させることにより設定することができる。
【0054】
確認表示ボタンは、例えば「起動/停止」ボタンが指定され、階層2の確認したい機能に関連付けられた識別情報を表示させた上で押下することで、その機能に関連付けられた識別情報を室内機11へ送信し、室内機11が受信した識別情報に関連付けられた設定内容を、LEDの点滅により設定内容を通知することができるように構成されている。
【0055】
カテゴリ初期化ボタンは、例えば「タイマー切」ボタンが指定され、階層1の初期化したい種類に関連付けられた識別情報を表示させた上で長押しすることで、その種類の全機能を初期化できるように構成されている。全初期化ボタンは、例えば「起動/停止」ボタンと「タイマー切」ボタンの2つが指定され、階層1のいずれかの種類に関連付けられた識別情報を表示させた上で、それら2つのボタンを同時に長押しすることで、全種類の全機能を初期化できるように構成されている。
【0056】
この例では、「起動/停止」ボタンと「タイマー切」ボタンを指定したが、これに限られるものではなく、その他のいかなるボタンを指定してもよい。ただし、機種によって搭載されていないボタンも存在することから、出来るだけ機種に共通に装備されているボタンを指定することが望ましい。
【0057】
図12は、リモコン13の第6の操作の一例を示した図である。以上のようにしてリモコン13を使用して機能設定モードへ切り替え、機能の設定を行うことができるが、どの機能にどのような設定を行ったかを確認したい場合がある。従来のジャンパー線のカット等の方法で設定を行う場合、目視にて設定を確認することができる。しかしながら、リモコン13で設定した場合、例えば故障履歴の内容等は、室内機11に保持されているため、リモコン13の表示だけでは確認することができない。
【0058】
そこで、設定状況を確認する方法として、室内機11に搭載されているLEDを利用して確認する方法を採用する。LEDは、左右に2つ並ぶ2種類のLEDを利用する。向かって左側のLEDに十の位の表示桁数を割り当て、右側のLEDに一の位の表示桁数を割り当て、割り当てた桁数の回数分点滅させて通知する。
【0059】
リモコン13側では、設定状況を確認するためのボタンを設け、階層2の確認したい機能に関連付けられた識別情報を表示させた状態で設定状況を確認するためのボタンを押下することにより、リモコン13から確認したい機能に関連付けられた識別情報を含む確認信号を送信する。室内機11は、リモコン13から確認信号を受信し、確認信号に含まれる識別情報に基づき、2つのLEDの少なくとも1つを点滅させる。これにより、設定状況(設定内容)を確認することができる。
【0060】
設定状況の確認に利用するLEDは、図2(b)に示す左右に並ぶLED25、26とし、LED25を十の位を示すLEDとし、LED26を一の位を示すLEDとすることができる。
【0061】
ここで、設定状況を確認する方法の一例として、設定状況を確認するためのボタンを「起動/停止」ボタンとし、図5に示す種類「オプションA」に分類される機能「機能0」の設定状況を確認する方法について説明する。階層1の種類では、「オプションA」に関連付けられた識別情報「1A」を選択して階層2へ移行し、階層2の「機能0」に関連付けられた識別情報「A0」を液晶画面部31に表示させ、「起動/停止」ボタンを押下する。「起動/停止」ボタンを押下するまでのリモコン操作は、機能の設定時のリモコン操作と同様である。また、設定状況を確認するためのボタンは、「起動/停止」ボタンに限らず、その他のいかなるボタンを指定してもよい。
【0062】
「機能0」の階層3にある設定内容が「無効」である場合、液晶画面部31に識別情報「01」が表示される。これは、十の位の数が「0」であり、一の位の数が「1」である。したがって、この設定内容の確認信号を送信すると、室内機11では、十の位を示すLED25は0回、一の位を示すLED26は1回点滅する。このため、設定内容が「01」に関連付けられた「無効」であることを確認することができる。
【0063】
「機能0」の階層3にある設定内容が「有効」である場合は、液晶画面部31に識別情報「02」が表示される。したがって、この設定内容の確認信号を送信すると、室内機11では、LED25が0回、LED26が2回点滅する。このため、設定内容が「02」に関連付けられた「有効」であることを確認することができる。
【0064】
他の機能についても同様にしてLED25、26を点滅させることで、設定状況を確認することができる。
【0065】
設定状況を確認する方法の別の例として、故障履歴を確認する方法について説明する。故障履歴もLED25、26の点滅を利用して確認することができる。図5に示す種類「オプションJ」が故障診断機能とし、「オプションJ」に関連付けられた識別情報「7J」を選択すると、階層2の「故障履歴表示」、「故障診断スタート」、「故障履歴消去」等が選択できる。ここで、「故障履歴表示」に関連付けられた識別情報「J1」を選択し、階層3の設定内容を液晶画面部31に表示させる。ここまでのリモコン操作は、機能の設定時と同様である。
【0066】
階層3の設定内容で過去何回目の履歴を見るかを選択する。リモコン13の液晶画面部31に見たい履歴の回に関連付けられた識別情報を表示させ、指定されたボタンを押下する。見たい履歴の回は、過去何回目の履歴かを示すもので、過去1回目の履歴であれば識別情報「01」を表示させる。見たい履歴の回が、過去3回目の履歴であれば識別情報「03」、過去25回目の履歴であれば識別情報「25」を表示させる。
【0067】
指定されたボタンは、設定状況を確認するボタンと同じボタンであってもよいし、設定状況を確認するボタンとは異なるボタンであってもよい。指定されたボタンを押下することで、リモコン13から見たい履歴の回を室内機11へ送信する。故障内容はそれぞれに故障コードを設けており、リモコン13から受信した回から故障コードに応じて、LED25、26を点滅させる。サービスエンジニアは、故障リストを別に持っており、そのリストとLEDの点滅を照らし合わせて故障内容を判断する。
【0068】
図13は、故障内容とLED25、26の点滅回数とを関連付けたテーブルの一例を示した図である。リモコン13において「過去1回目」に関連付けられた識別情報「01」を選択したときに、LED25が0回、LED26が4回点滅した場合、故障コードは「04」であるため、過去1回目にファン異常があったと判断することができる。
【0069】
リモコン13において「過去3回目」に関連付けられた識別情報「03」を選択したときに、LED25が2回、LED26が4回点滅した場合、故障コードは「24」であるため、過去3回目に電源電圧エラーがあったと判断することができる。故障コードは一例であるので、これに限られるものではない。
【0070】
空気調和装置の据付業者やサービスエンジニアは、以上の方法で機能の設定や故障履歴の表示を行うことで、操作方法が統一され、その都度リモコンの電池を入れ替えたり、空気調和装置を分解したりする等の作業が不要になり、作業性を向上させることができる。
【0071】
リモコン13で機能の設定を変更した場合において、任意のタイミングで設定した内容に切り替えられてしまうと、暖房運転をしているときに、冷房専用機種への切り替えが発生してしまう等の想定していない状態が起こり得る。そこで、設定内容への切り替えのタイミングとして、リセット後の1回目の操作のみ等の制約を入れることができる。しかしながら、制約を入れると、使い勝手が良くない。
【0072】
空気調和装置には、複数台の室内機と1台の室外機とから構成されるマルチモデルがある。このようなマルチモデルの空気調和装置には、室外機側から各室内機へ受電する外受電機種が存在する。マルチモデルで電源が外受電機種の場合において、想定していない状態が発生すると、機能の設定変更を行った室内機だけではなく、他の室内機にも影響が出てしまう。
【0073】
リモコン13で設定された内容は、室内機11が備える制御器の不揮発性メモリであるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)に記憶される。室内機11は、設定内容を使用して制御を行う場合、EEPROMから揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)に読み出し、RAMに読み出された内容に基づき、制御を実行する。RAMは、電源が切断され、読み出された内容が消去されるまで、変更前の古い設定内容を保持し続ける。このように、設定変更が即時に反映されないため、任意のタイミングで設定の切り替えが発生し得ることになる。
【0074】
そこで、設定前の状態に関係なく、設定の切り替えを可能にするべく、リセットし、設定内容を反映する。サービスエンジニアは、設定状態に左右されることなく即時に設定内容を反映させることができる。
【0075】
図14は、機能の設定を変更する処理の一例を示したフローチャートである。ステップ200から処理を開始し、ステップ201で、リモコン13で機能の設定を変更し、その設定内容を室内機11へ送信する。ステップ202で、室内機11は、設定内容を受信し、ブザーを鳴らし、LEDでリセットすることの予告表示を行う。LEDでの予告表示は、例えば、特定のLEDを3秒間点灯することにより行うことができる。ここでは、LEDの点灯を3秒間としているが、これに限られるものではなく、2秒間や4秒間以上であってもよい。
【0076】
ステップ203で、室内機11は、受信した設定内容を、EEPROMに記憶する。そして、ステップ204で、室内機11は、制御器を構成するマイコンのリセットを行う。ステップ205で、室内機11は、リセット後、再起動し、EEPROMに記憶された設定内容をRAMに読み出し、起動する。
【0077】
図12で参照した設定内容の呼び出しに関し、1つの設定内容の呼び出しを行った後に、同じ設定内容の呼び出しや、他の設定内容の呼び出しを行うと、先の設定内容に関する点滅を終了することができないため、連続して次の設定内容に関する点滅を実施することになる。すると、室内機11のLED25、26の点滅がどこで切り替わったかが分からない。
【0078】
そこで、同じ設定内容の呼び出しを実施した場合、確認表示モードを中断する。確認表示モードでの設定内容の確認中に、他の設定内容の呼び出しを実施した場合、当該他の設定内容の呼び出しを実施する。当該他の設定内容の呼び出しを実施した場合、切り替わりが分かるように、区切りとなる表示としてのヘッダ表示を行う。
【0079】
このように同じ設定内容の呼び出しの場合は確認表示モードを中断し、即時に移行し、他の設定内容の呼び出しの場合は区切りを明確にすることで、連続で設定内容を呼び出すことができ、操作性を向上させることができる。
【0080】
図15は、1つの設定内容を呼び出した場合のLED25、26の点滅動作について説明する図である。図15に示す例では、設定内容を設定値13とし、十の位を示すLED25を1回、一の位を示すLED26を3回点滅する動作を示している。確認表示モードが開始されると、区切りとなるヘッダ表示として、例えば3秒間LED25、26の両方を点灯する。
【0081】
ヘッダ表示後、例えば0.35秒間間隔で消灯、点灯を繰り返し、LED25については1回、LED26については3回の点滅動作を実行し、1回目の通知を行う。なお、回数を確認しやすくするため、1回目の通知におけるLED25の1回目の点灯と、LED26の1回目の点灯のタイミングが同じであることが望ましい。LED26について3回の点滅動作を実行している間、LED25は1回の点滅動作後、消灯する。点滅回数が多い方のLEDの点滅動作が終了後、点滅間隔である0.35秒より十分に長い、例えば2秒間の消灯期間を設け、2回目の通知を行う。そして、同様にして、3回目の通知を行い、設定確認モードを終了する。2回目、3回目の通知の際も、LED25の1回目の点灯と、LED26の1回目の点灯のタイミングが同じであることが望ましい。
【0082】
ここでは、1つの設定内容の確認において、設定内容を3回通知するように構成されているが、これに限られるものではなく、1回や2回、4回以上であってもよい。また、点滅動作の間隔も、0.35秒間隔に限られるものではない。さらに、1回目と2回目、2回目と3回目の通知の間隔も、2秒間に限定されるものではない。
【0083】
図16は、同じ設定内容を連続して呼び出した場合のLED25、26の点灯動作について説明する図である。図16に示す例では、設定内容を設定値13とし、十の位を示すLED25を1回、一の位を示すLED26を3回点滅する動作を示している。確認表示モードが開始されると、区切りとなるヘッダ表示として、例えば3秒間LED25、26の両方を点灯する。
【0084】
ヘッダ表示後、例えば0.35秒間間隔で消灯、点灯を繰り返し、LED25については1回、LED26については3回の点滅動作を実行し、1回目の通知を行う。LED26について3回の点滅動作を実行している間、LED25は1回の点滅動作後、消灯する。点滅回数が多い方のLED26の点滅動作が終了後、点滅間隔である0.35秒より十分に長い、例えば2秒間の消灯期間を設け、2回目の通知を行う。
【0085】
図16に示す例では、LED26の点滅が2回終了したところで、同じ設定内容の呼び出しが実施され、LED26の点滅が中断している。ここには示していないが、同じ設定内容の呼び出しを実施した場合、中断後、新たに3秒間のヘッダ表示を行い、3回の通知を行ってもよい。
【0086】
図17は、1の設定内容の呼び出しの途中で他の設定内容を呼び出した場合のLED25、26の点灯動作について説明する図である。図17に示す例では、1の設定内容を設定値13とし、十の位を示すLED25を1回、一の位を示すLED26を3回点滅する動作を示している。確認表示モードが開始されると、区切りとなるヘッダ表示として、例えば3秒間LED25、26の両方を点灯する。
【0087】
ヘッダ表示後、例えば0.35秒間間隔で消灯、点灯を繰り返し、LED25については1回、LED26については3回の点滅動作を実行し、1回目の通知を行う。LED26について3回の点滅動作を実行している間、LED25は1回の点滅動作後、消灯する。点滅回数が多い方のLEDの点滅動作が終了後、点滅間隔である0.35秒より十分に長い、例えば2秒間の消灯期間を設け、2回目の通知を行う。
【0088】
2回目の通知における1回の点滅後、他の設定内容の呼び出しが実施され、即座に他の設定内容の呼び出しに移行する。ここでは、他の設定内容を設定値21とし、十の位を示すLED25を2回、一の位を示すLED26を1回点滅する動作を示している。他の設定内容の呼び出しが開始されると、3秒間LED25、26の両方を点灯してヘッダ表示を行い、LED25について2回点滅動作を行い、LED26について1回点滅動作を行う。これにより、1回目の通知を行う。
【0089】
点滅回数が多い方のLED25の点滅動作が終了後、点滅間隔である0.35秒より十分に長い、例えば2秒間の消灯期間を設け、2回目の通知を行う。そして、同様にして3回目の通知を行い、その他の設定内容の呼び出しがない場合、確認表示モードを終了する。
【0090】
サービスエンジニアは、機能設定モードへ切り替え、保守点検のために故障履歴を確認することができる。故障履歴は、消去することができるが、故障履歴を確認するためにその表示を実施する前に誤って消去してしまうと、故障内容を確認できなくなってしまう。
【0091】
そこで、リモコン13から故障履歴の回の情報を送信し、室内機11においてLED25、26で故障内容を点滅により通知した後でなければ、故障履歴の消去ができないように構成される。故障履歴の消去は、階層3で確認したい履歴の回を選択し、室内機11へ選択した回の情報を送信した後、階層2の機能の選択へ戻り、図5に示すテーブルの機能「J3」を選択することにより実行することができる。
【0092】
図18は、リモコン13の第7の操作の一例を示した図である。図18に示す例では、故障履歴表示に関連付けられた識別情報「J1」を選択し、故障履歴として過去1回目に関連付けられた識別情報「01」を選択し、その情報を室内機11へ送信している。このため、室内機11では、過去1回目の故障内容としてLEDを点滅させる。
【0093】
リモコン13では、識別情報「01」を選択し、その情報を室内機11へ送信した後、階層2へ戻り、故障履歴消去に関連付けられた識別情報「J3」を選択する。すると、リモコン13は、その情報を室内機11へ送信し、室内機11がその情報を受信すると、例えば1秒間ブザーを鳴らし、ブザーが鳴っている間に故障履歴を消去する。
【0094】
サービスエンジニアは、空気調和装置の保守点検を行うことができ、その保守点検の際、ユーザが宅外にいる場合がある。ユーザは、宅外にいると、現在保守点検中であることを知らず、遠隔から自身のスマートフォン等の通信端末を使用して、空気調和装置を操作してしまうことがある。
【0095】
そこで、サービスエンジニアの保守点検を優先するべく、保守点検中はユーザからの指令を受け付けないようにし、ユーザには保守点検中であることを通知するように構成する。このような構成により、サービスエンジニアの設定内容を優先させることができる。また、ユーザも、保守点検中であることが通知されるので、うまく指令が届かないと思い、連続して操作することを防止することができる。
【0096】
図19は、サービスエンジニアの保守点検を優先させるためのシステム構成の一例を示した図である。システムは、室内機11と、中継装置としてのルータ41と、管理システムとしてのクラウド42とを含む。ユーザは、自信が所持する通信端末44を使用してクラウド42との間で通信を行う。室内機11は、制御器に、Wi-Fi(登録商標、以下この表記を省略する。)モジュール43を実装し、Wi-Fiモジュール43によりルータ41との間で無線通信を行う。ルータ41とクラウド42は、ネットワーク上に存在する。
【0097】
サービスエンジニアは、リモコン13を使用して機能設定モードへ切り替え、機能の設定を行うと、設定内容がリモコン13から室内機11へ送信され、室内機11の制御器が備えるEEPROM等の不揮発性メモリに記憶される。室内機11は、リモコン13で機能の設定を行い、リモコン13からその情報を受信すると、機能設定モードに入ったことを検知し、その後に、ユーザの通信端末44からクラウド42、ルータ41を介してWi-Fiモジュール43で受信した操作を受け付けないようにする。
【0098】
室内機11は、機能設定モードにある間、操作を送信した通信端末44へ、Wi-Fiモジュール43からルータ41、クラウド42を介して保守点検中である旨を通知する。通知する内容は、「メンテナンスモード」等とすることができる。
【0099】
以上に説明してきたように、指定されたボタンを押下するのみで、機能設定モードへ切り替え、種類や機能の選択、設定内容の変更等を行うことができる。そのボタンとして機種に共通に装備されているボタンを利用することができるため、機能の設定方法やメニューを機種や販売地域を越えて統一することができ、共通のサービスマニュアルでトレーニングを行うことができる。
【0100】
また、専用のボタンを追加せずに切り替えが可能であるため、原価低減を図ることができる。機能設定モードへ切り替える場合のみ、指定された2以上のボタンを同時に長押しすればよく、各機能の設定につき、2以上のボタンを同時に長押しする必要はないため、同時に長押しするボタンの組み合わせを覚えることの複雑さを減らすことができる。また、室内機11の操作に使用するリモコン13で操作することができるため、専用のリモコンを準備する必要はない。
【0101】
これまで本発明の遠隔操作装置(リモコン)、空気調和装置および機能の設定方法について上述した実施形態をもって詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0102】
10…空気調和装置
11…室内機
12…室外機
13…リモコン
14、15…配管
20…LED搭載部
21…前面カバー
22…吹出口
23~26…LED
30…ボタン
31…液晶画面部
32…コントローラ
33…温度表示部
34…風速表示部
41…ルータ
42…クラウド
43…Wi-Fiモジュール
44…通信端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19