IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧

<>
  • 特開-台車用フレーム 図1
  • 特開-台車用フレーム 図2
  • 特開-台車用フレーム 図3
  • 特開-台車用フレーム 図4
  • 特開-台車用フレーム 図5
  • 特開-台車用フレーム 図6
  • 特開-台車用フレーム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111862
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】台車用フレーム
(51)【国際特許分類】
   B61F 5/52 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
B61F5/52
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212819
(22)【出願日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】22154275.6
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木村 宗太
(57)【要約】
【課題】
軽量化を損なうことなく、鉄道車両の台車用軽量フレームの機械的強度及び剛性を向上させる台車用フレーム。
【解決手段】
本主題は、特に、鉄道車両に取り付けられたときに鉄道車両の長手方向に延びる少なくとも1つのサイド部材(20)と、鉄道車両に取り付けられたときに鉄道車両の横方向に延びるセンター部材(30)とを含む、鉄道車両の台車用のフレーム(1)に関する。少なくとも1つのサイド部材(20)は、アルミニウム合金からなる押出形材(2)からなり、センター部材(30)は、金属鋳造からなる鋳造体(3)からなる。サイド部材(20)は、ボルト接続(40)および/または接着剤結合によってセンター部材(30)に接続されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の台車用フレームにおいて、
前記鉄道車両に搭載されたときに、前記鉄道車両の長手方向に延びるサイド部材と、
前記鉄道車両に搭載されたときに、前記鉄道車両の横方向に延びるセンター部材と、を有し、
前記サイド部材は、アルミニウム合金製の押し出しプロファイルからなり、
前記センター部材は、金属鋳造からなるマルチチャンバ要素からなり、
前記サイド部材は、ボルト接続によって前記センター部材に接続されている、
フレーム。
【請求項2】
請求項1に記載のフレームであって、
前記マルチチャンバ要素は、
U字型の長手方向断面を有し、かつ、
上面と、下面と、前記上面と前記下面との間に配置された複数のリブとを含む
フレーム。
【請求項3】
請求項2記載のフレームであって、
前記複数のリブの少なくとも1つは、前記センター部材の長手方向である縦方向に配置され、
前記複数のリブの少なくとも1つは、前記センター部材の横方向に配置されている、
フレーム。
【請求項4】
請求項3に記載のフレームであって、
前記複数のリブの少なくとも1つは、前記センター部材の横方向および縦方向に対して所定の角度で配置されている、
フレーム。
【請求項5】
請求項3によるフレームであって、
前記マルチチャンバ要素の横方向に配置された少なくとも1つのリブは、その上面および下面に対して第1の所定の角度で配置され、
前記マルチチャンバ要素の長手方向に配置された少なくとも1つのリブは、その上面および下面に対して第2の所定の角度で配置されている、
フレーム。
【請求項6】
請求項5に記載のフレームであって、
前記サイド部材の押出プロファイルが、矩形断面を有し、前記鉄道車両の長手方向に延びる少なくとも1つの閉じた中空プロファイルを有する、
フレーム。
【請求項7】
請求項1に記載のフレームであって、
前記サイド部材は、金属鋳造から作られた少なくとも1つの鋳造曲線要素を含み、
前記鋳造曲線要素は、両側に側方開口部を有する開放型中空プロファイルとして形成され、縦断面において円弧状の形状を有する第1のセクションと、
前記第1のセクションに隣接し、長方形の長手方向断面を有する閉じた中空プロファイルとして形成される、第2のセクションと、を備え、
前記第2のセクションは、前記鉄道車両の少なくとも1つの車輪を受け入れるための統合された連結部を含む、
フレーム。
【請求項8】
請求項7に記載のフレームであって、
前記鋳造曲線要素は、
ボルト接続部によって前記サイド部材の押出プロファイルに接続され、
前記ボルト接続部は、前記第2のセクションに隣接する端部と反対に配置された第1のセクションの外側端部を押出プロファイルの外側端部に接続するように配置されている、
フレーム。
【請求項9】
請求項8に記載のフレームであって、
前記鋳造曲線要素は、前記鋳造曲線要素の鋳造材料よりも高い剛性を有する材料で作られた少なくとも1つの補強材が固定されている
フレーム。
【請求項10】
請求項9に記載のフレームであって、
前記補強材が、第1のセクションの開放中空プロファイルの側方開口部に配置されている
フレーム。
【請求項11】
請求項1に記載のフレームであって、
前記センター部材のマルチチャンバ要素は、前記鉄道車両の構成要素を受け入れるように構成された複数の一体型締結要素を備える、
フレーム。
【請求項12】
請求項1に記載のフレームであって、
前記センター部材のマルチチャンバ要素が、前記センター部材のマルチチャンバ要素の上面に埋め込まれた第1の補強材と、前記フレームに取り付け可能な第2の補強材を備え、
前記第1の補強材および前記第2の補強材が、両方ともマルチチャンバ要素の鋳造材料より高い剛性を有する材料からなる
フレーム。
【請求項13】
請求項12に記載のフレームであって、
前記第1の補強材が、前記マルチチャンバ要素の上面に設けられた凹部に挿入される平坦な要素であり、
前記マルチチャンバ要素の上面または下面と平行な平面における凹部の形状が、前記第1の補強材の形状と対応し、前記凹部の深さが前記第1の補強材の厚さと対応している
フレーム。
【請求項14】
請求項13に記載のフレームであって、
前記第1の補強材は、前記凹部に挿入されたとき、前記鉄道車両の長手方向および横方向に延在し、
前記鉄道車両の長手方向における前記第1の補強材の長さは、前記鉄道車両の横断方向における長さよりも長い、
フレーム。
【請求項15】
請求項14に記載のフレームであって、
前記鉄道車両の長手方向における前記第1の補強材の延長部は、
前記第1の補強材の横軸に対して対称であり、前記鉄道車両の長手方向における前記第1の補強材の延長部の幅は、前記第1の補強材の横軸からの距離が増加すると増加する、
フレーム。
【請求項16】
請求項15に記載のフレームであって、
前記第1の補強材は、前記センター部材の長手方向軸に対して対称に配置される
フレーム。
【請求項17】
請求項16に記載のフレームであって、
前記第2の補強材は、
ボルト接続によって、前記マルチチャンバ要素の上面または下面に取り付けられている
フレーム。
【請求項18】
請求項17に記載のフレームであって、
前記第2の補強材は、
円筒形または矩形の断面を有する支柱と、
前記第2の補強材がボルト接続によって前記マルチチャンバ要素の上部または下部表面に接続される少なくとも2つの取付ブラケットと、を有する、
フレーム。
【請求項19】
鉄道車両の台車用フレームの製造方法であって、
アルミニウム合金のプロファイルを押し出し、
金属鋳物から素子を鋳造し、
マルチチャンバ要素を押出形材にボルト接続で接続する
台車用フレームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車用フレーム、台車用フレームの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脱炭素化に対する社会的・政治的要求の高まりから、機械構造物では軽量化が常に意識されている。鉄道車両は環境面で大きな優位性を持っているが、構造物の軽量化は依然として重要な課題である。鉄道車両の軽量化のために、軽量アルミニウム合金製の台車枠(台車用フレーム)が提案されている。しかし、これらの構造は、溶接継手を含むか、単一の鋳物で構成されており、いずれも台車枠の強度と信頼性の点で不利になる。
【0003】
特許文献1は、砂型鋳造プロセスにおいてアルミニウム合金の単一の鋳物として完全に製造される鉄道車両用台車枠に関するものであり、前記鋳物は、内部に空洞を有し、リビングによって安定化されている中空のプロファイルを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開2021/0070328号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、従来の台車枠と比較して、軽量化を損なうことなく、鉄道車両の台車用軽量フレームの機械的強度及び剛性を向上させるという技術的目的を解決する。この目的は、添付の特許請求の範囲の主題によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付の特許請求の範囲に記載の主題によれば、鉄道車両に取り付けられたときに、鉄道車両の長手方向に延びる少なくとも1つのサイド部材と、鉄道車両に取り付けられたときに、鉄道車両の横方向に延びるセンター部材とを含む鉄道車両の台車用のフレームが提案される。少なくとも1つのサイド部材は、アルミニウム合金製の押し出しプロファイルからなる。好ましくは、アルミニウム合金は、6xxxシリーズのアルミニウム合金であってもよい。他のアルミニウム合金も使用可能である。
【0007】
押出形材は、その押出方向が鉄道車両の長手方向と一致するように、鉄道車両に配置される。押出形材の材料は、押出加工の特性により、鋳造加工では得られない押出方向の繊維状組織を有し、繊維方向の高荷重に耐えることができる。これにより、鉄道車両の車体重量による曲げ荷重を吸収できる高い曲げ剛性を有する軽量な構造を有する鉄道車両のフレーム用サイドメンバを提供することができる。
【0008】
センター部材は、金属鋳物からなる少なくとも1つの鋳造要素からなる。例えば、鋳造要素の鋳造材料は、鉄系であってもよいし、アルミニウム合金であってもよい。好ましくは、鋳造物の材料は、アルミニウム合金であってもよい。好ましくは、センター部材の全体が鋳造要素であってもよい。また、センター部材の一部のみが鋳造要素からなり、そのさらなる部分が、例えば、異なる製造プロセスによって作られた固体支持構造などの他の設計を有することも可能である。
【0009】
センター部材の製造に鋳造法を用いると、センター部材を補強するために異なる方向に延びる複数のリブを有する複雑な構造を形成することができる。これにより、センター部材は、曲げ荷重だけでなく、ねじり荷重も吸収することができる。つまり、サイドメンバとセンター部材の組み合わせにより、フレームが耐えなければならない多方向の荷重に適応した軽量なフレームを実現し、剛性と機械的強度を向上させることができる。
【0010】
サイド部材は、ボルト接続及び/又は接着剤結合によって、センター部材に接続される。ボルト接続及び/又は接着結合を受けるために、センター部材は、好ましくは、少なくとも1つのサイド部材に接続される少なくとも1つの接触面を含んでいてよい。最も好ましくは、サイド部材は、センター部材の接触面に面する少なくとも1つの対応する接触面を含んでいてもよい。センター部材とサイド部材とを接続するためにボルト接続が実施される場合、2つの部材の各接触面は、ボルトを収容するための孔を含んでもよい。両方の接触面は、ボルト接続によって接合されたときに堅い接続を作り出すために平坦な面を有していてもよい。ボルトをガイドするために、穴の中にブッシュを設けてもよい。
【0011】
好ましくは、センター部材とサイド部材の孔を通過する共通のブッシングがあってもよい。最も好ましくは、ボルトとブッシングの間にクリアランスフィットがあることである。ボルトは、一方の側にねじ山を有し、他方の側にヘッドを有していてもよい。センター部材とサイド部材との間のボルト接続は、ボルトのネジ山にねじ込まれたナットによって固定されてもよい。好ましくは、少なくとも1つのワッシャが、ボルトの頭部の下及び/又はナットの下に設けられることができる。ボルトは、センター部材及びサイド部材の材料よりも高い強度を有する材料で作られてもよい。例えば、ボルトは、鋼合金で作られてもよい。ブッシングは、例えば、焼き入れ鋼製であってもよい。
【0012】
接着結合の場合、側面とセンター部材の接触面は、例えば、信頼性の高い接着結合に必要な条件を提供するために、適切に機械加工された表面を提供してもよい。好ましくは、エポキシ・アクリル・ウレタンなどの構造用接着剤を接着剤結合に使用してもよい。
【0013】
ボルト接続及び/又は接着剤結合を使用すると、サイド部材とセンター部材とを接続するネジ又は溶接ジョイントによってフレームの材料が弱められることがないという技術的利点を発揮する。言い換えれば、溶接接合部またはねじれによる機械的応力を回避することができ、フレームの強度および信頼性を向上させることができる台車用の軽量フレームを提供することができる。
【0014】
上記の観点から、提案されたフレームは、押出プロファイルからなる少なくとも1つのサイド部材を含み、このサイド部材は、その繊維方向が鉄道車両の長手方向と一致するように鉄道車両に取り付けられることに留意する必要が残っている。これにより、鉄道車両の車体の重量による曲げ荷重を吸収することができる高い曲げ剛性を有する軽量な構造を有するサイド部材を提供することができる。さらに、提案するフレームは、センター部材を補強するために、異なる方向に延びる複数のリブを有する複雑な構造を有する鋳造要素からなるセンター部材を含む。これにより、センター部材は、曲げ荷重だけでなく、ねじり荷重も吸収することができる。さらに、少なくとも1つのサイド部材をセンター部材に接続するためにボルト接続および/または接着剤結合を使用すると、サイド部材をセンター部材に接続するネジまたは溶接ジョイントによってフレームの材料が弱められることがないという技術的利点を示す。
【0015】
さらなる好ましい変更によれば、鋳造要素は、U字型の縦断面を有し、上面、下面、及び上面と下面との間に配置された複数のリブを含む鋳造多室要素であってもよい。すなわち、鋳造複室要素における複数の室は、上面と下面との間に配置された複数のリブによって形成されてもよい。鋳造複室要素の上面は、フレームが鉄道車両に搭載されたときに、鉄道車両の車体側を向く面であってよい。従って、鋳造された複室要素の下面は、フレームが鉄道車両に搭載されるとき、車体から離れる方向に向く面であってもよい。
【0016】
鉄道車両の横方向に延び、縦断面がU字形である鋳造部材は、曲げ荷重だけでなく、ねじり荷重も吸収することが可能である。つまり、サイド部材とセンター部材の組み合わせにより、フレームが耐えなければならない多方向の荷重に適応した軽量なフレームが形成され、剛性と機械的強度が向上するのである。
【0017】
さらなる好ましい変更例によれば、複数のリブのうちの少なくとも1つは、複室要素の横方向に配置され、複数のリブのうちの少なくとも1つは、複室要素の長手方向に配置されてもよい。このリブ配置により、鋳造された複室要素の横方向の剛性だけでなく、曲げ剛性も向上させることができる。
【0018】
さらに、複数のリブのうち少なくとも1つは、マルチチャンバ要素の横方向及び/又は縦方向に対して所定の角度を有して配置されていてもよい。所定の角度は、例えば、センター部材の横方向に対して45°であってもよく、横方向及び縦方向の曲げ力を1つのリブで吸収することができる。
【0019】
さらなる好ましい変更によれば、多室要素の横断方向に配置された少なくとも1つのリブは、その上面及び/又は下面に対して第1の所定角度で配置されてもよい。ねじり荷重を吸収するために、第1の所定角度は90°であってよく、鋳造された複室要素の横断方向に配置された少なくとも1つのリブは、その上面及び/又は下面に対して垂直に配置されるようにしてもよい。また、横方向に延びる少なくとも1つのリブを、鋳造多室要素の上面及び/又は下面に対して45°の第1の所定角度で配置することも可能であろう。このリブ配置は、例えば、マルチチャンバ要素のU字形縦断面の横方向アームへの移行部を形成するために使用することができる。
【0020】
さらに、鋳造された複室要素の長手方向に配置された少なくとも1つのリブは、その上面及び/又は下面に対して第2の所定角度で配置されてもよい。第2の所定角度は、例えば、0°であってもよく、これは、鋳造された複室要素の長手方向に延びる少なくとも1つのリブが、複室要素の上面及び/又は下面に対して平行に配置され、その横方向の剛性をさらに向上させることを意味する。
【0021】
さらに軽量化し、台車の構成要素のためのスペースを提供するために、センター部材は、上面視で開口部を構成してもよく、この開口部は、例えば、センター部材の長手方向軸に対して対称に配置されてもよい。開口部のこのような配置は、フレームによって吸収されるべき横荷重の均一な分配を可能にし得る。
【0022】
さらなる好ましい変更によれば、サイド部材の押出プロファイルは、少なくとも1つの閉じた中空プロファイルからなり、この中空プロファイルは、矩形の断面を有し、その上に取り付けられたときに鉄道車両の長手方向に延びることができる。好ましくは、サイド部材の押出プロファイルは、単一の押出工程から得られた複数の中空プロファイルから構成されてもよい。押出形材は、その押出方向が鉄道車両の長手方向と一致するように、鉄道車両に配置されてもよい。これにより、高い曲げ剛性を有する軽量な構造を有するサイドメンバを提供することができる。
【0023】
さらなる好ましい改変によれば、サイド部材は、金属鋳物から作られた少なくとも1つの鋳造曲面要素をさらに含んでもよい。例えば、鋳造材料は、鉄またはアルミニウム合金であってもよい。好ましくは、鋳造材料は、アルミニウム合金であってもよい。最も好ましくは、アルミニウム合金は、7xxx.xシリーズの鋳造合金であってよい。他のアルミニウム合金も使用可能である。
【0024】
鋳造曲面要素は、両側に横方向の開口を有する開放型中空プロファイルとして形成された第1のセクションを有してもよく、この第1のセクションは、長手方向断面において円弧状の形状を有してもよい。鋳造曲面要素は、第1のセクションに隣接する第2のセクションをさらに備えてもよく、このセクションは、長方形の長手方向断面を有する閉じた中空プロファイルとして形成されてもよく、第2のセクションは、鉄道車両の少なくとも一つの車輪を受け入れるための統合連結部を含んでいてもよい。
【0025】
つまり、サイド部材は、アルミニウム合金の押出成形品からなる直線状のプロファイルと、アルミニウム合金などの鋳造材料からなる少なくとも1つの更なる湾曲した要素とを含むことができる。少なくとも1つの湾曲した要素によって、フレームを台車の車輪セットに適合させることができ、車輪を鉄道車両の車体により近い位置に配置することができるようになる。湾曲した要素を鋳物として設計することで、そこに少なくとも1つの車輪のための受容部/接続部を組み込むことが可能になる。
【0026】
言い換えれば、フレームに鋳造された曲線要素を使用することにより、台車の車輪セットの位置を最適化し、曲線要素に/に設けられたそれぞれの手段を介してフレームを車輪セットに接続することが可能となる。さらに、少なくとも1つの湾曲要素を有する上述のサイド部材は、台車と車体との間に、例えば、鉄道車両の電気センサや構造部品のために利用することができる空間を割り当てることを可能にする。
【0027】
さらなる好ましい変更によれば、鋳造曲面要素は、ボルト接続および/または接着剤結合によって、サイド部材の押出アルミニウム合金プロファイルに接続されてもよい。特に、ボルト接続または接着結合は、その第2のセクションに隣接する端部の反対側に配置された鋳造曲線要素の第1のセクションの外側端部を、押出プロファイルの外側端部に接続するようなものであってもよい。
【0028】
ボルト接続の場合、サイド部材の押出形材における鋳造曲面要素の接合点の位置は、サイド部材とセンター部材との間の接合点との干渉を避けるために、調整することができる。少なくとも1つの鋳造曲面要素は、ボルト接続及び/又は接着結合によって押出プロファイルに相互に接合されるので、溶接接合部又はネジ山による機械的応力が回避され、フレームの機械的強度及び剛性を改善することが可能となる。
【0029】
鋳造曲面部材を押出形材に接続するためのボルト接続および接着剤は、サイド部材をセンター部材に接続するための太い接続部および接着剤と同様の方法で設計することができる。
【0030】
さらなる好ましい変更によれば、鋳造曲面要素は、曲面要素の鋳造材料よりも高い剛性を有する材料で作られた少なくとも1つの補強材を含んでいてもよい。
【0031】
例えば、補強材は、鋼鉄および/または炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で作られてもよい。湾曲エレメントをアルミニウム鋳物として設計することにより、中空及び/又は開口した湾曲プロファイルから軽量の構造体を作成することができる。この構造の剛性は、アルミニウムよりも高い剛性を有する材料で作られた補強材を組み込むことによって、湾曲した要素の重量を大幅に増加させることなく改善することができる。
【0032】
つまり、鋳造された曲面要素に補強材を入れることで、重量を大幅に増やすことなく、機械的強度や剛性を向上させることができる。
【0033】
さらなる好ましい改変によれば、少なくとも1つの補強材は、第1のセクションの開放中空プロファイルの横方向開口部の少なくとも1つに配置される。補強材は、例えば、平坦な要素または支柱であってよい。補強材は、機械的応力を回避するために、ボルト接続及び/又は接着剤結合によって鋳造曲面要素に取り付けられてもよい。
【0034】
さらなる好ましい変更によれば、センター部材のマルチチャンバ要素は、鉄道車両の構成要素を受け入れるように構成された複数の一体型締結要素を含んでいてもよい。軽量化に加えて、提案されたフレームは、例えば鉄道車両の駆動部品を台車に適用するために必要な単一部品(ブラケット、接続要素など)の数を減らすことを可能にする。例えば、フレームを車体に取り付けられたセンターピンに接続するための部品は、鋳造によってマルチチャンバ要素に一体化させることができる。
【0035】
さらなる好ましい改変によれば、センター部材の鋳造された複室要素は、少なくとも1つの第1の補強材および/または少なくとも1つの第2の補強材を含んでいてもよい。少なくとも1つの第1の補強材と少なくとも1つの第2の補強材は、両方とも、多室要素の鋳造材料よりも高い剛性を有する材料で作られてもよい。
【0036】
例えば、第1及び第2の補強材は、鋼製であってもよいし、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製であってもよい。好ましくは、第2の補強材は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製であってもよい。これにより、センター部材の重量を大きく増加させることなく、センター部材の剛性を向上させることができる。
【0037】
さらなる好ましい変更によれば、少なくとも1つの第1の補強材は、マルチチャンバ要素(3)の上面及び/又は下面に設けられた凹部に挿入される平坦な要素であってよい。好ましくは、凹部は、多室要素の上面に設けられてもよい。さらに、上面又は下面に平行な面における凹部の形状は、その長手方向及び横方向における第1の補強材の形状に対応してもよく、凹部の深さは、第1の補強材の厚さに対応してもよい。
【0038】
言い換えれば、第1の補強材は、マルチチャンバ要素の上面及び/又は下面とそれぞれ平面を形成するように、凹部に挿入されてもよい。多室要素の少なくとも1つの表面に第1の補強材を埋め込むことにより、鉄道車両の構成要素の取り付けに必要なスペースを制限することなく、その剛性をさらに向上させることができる。第1の補強材は、機械的応力を避けるために、ボルト接続及び/又は接着剤結合によって複室要素に取り付け/固定されてもよい。
【0039】
さらなる好ましい変更によれば、少なくとも1つの第1の補強材は、凹部に挿入されたとき、鉄道車両の長手方向および横方向に延在していてもよい。さらに、鉄道車両の長手方向における少なくとも1つの第1の補強材の延在は、鉄道車両の横方向における延在よりも大きくてもよい。好ましくは、鉄道車両の長手方向における少なくとも1つの第1の補強材の延長線は、第1の補強材の横方向軸に対して対称であってもよい。さらに、鉄道車両の長手方向における第1の補強材の延長部の幅は、第1の補強材の横軸からの距離が大きくなるにつれて大きくなってもよい。本発明者らは、第1の補強材のこの設計が、特に第1の補強材がマルチチャンバ要素の上面に埋め込まれている場合、センター部材の構造剛性及び強度を最適化することを見出した。
【0040】
例えば、上面視において、第1補強材は、凹部に挿入されたとき、鉄道車両の長手方向においてセンター部材の外側に面する側に、W字形の外形輪郭を有していてもよい。さらに、第1の補強材は、W字形の外郭を有する側と反対側の側において、W字形の底部とT字形の頂部とが対向するT字形の外郭を有していてもよい。各外郭の対向する端部同士は、直線で接続されて、第1の補強材の外郭全体が完成してもよい。これにより、図5に関連して後述するように、上面視で「鳥の形」の第1の補強材が得られる場合がある。鉄道車両の長手方向における第1の補強材の延長の特定の形態は、センター部材の曲げ剛性を増加させ、鉄道車両の横断方向における延長は、横方向の剛性を増加させる。この利点は、構造重量を大幅に増加させることなく達成することができる。
【0041】
最も好ましくは、第1の補強材は、センター部材の長手方向軸に対して対称に配置されてもよい。これにより、センター部材が受ける多方向の荷重を均一に吸収することができる。
【0042】
さらなる好ましい改変によれば、少なくとも1つの第2の補強材は、鋳造された複室要素の上面に取り付けられてもよい。代替的に又は追加的に、少なくとも1つの第2の補強材は、鋳造された複室要素の下面に取り付けられてもよい。好ましくは、少なくとも1つの第2の補強材は、鋳造された複室要素の上面に取り付けられてもよい。
【0043】
少なくとも1つの第2の補強材は、ボルト接続または接着結合によって、マルチチャンバ要素の上面および/または下面に取り付けられてもよい。好ましくは、少なくとも1つの第2の補強材は、接着剤結合によって鋳造された複室要素の上面に取り付けられてもよい。
【0044】
さらなる好ましい変更によれば、第2の補強材は、少なくとも1つの支柱を含んでよく、この支柱は、円筒形又は長方形の断面を有してよい。好ましくは、支柱は、鉄道車両の横方向に延在していてもよい。これにより、横方向におけるセンター部材の剛性を向上させることができる。さらに、第2の補強材は、第2の補強材がボンド接続及び/又は接着剤結合によってマルチチャンバ要素の上面又は下面に接続される少なくとも2つの取付ブラケットを含んでもよい。
【0045】
さらなる好ましい態様によれば、第2の補強材は、炭素繊維強化プラスチック製であってもよく、接着結合は、弾性接着結合、好ましくは、高い減衰特性を有する弾性接着結合であってもよい。
【0046】
上述した第2の補強材の追加的な利点は、主に鉄道車両の車輪とレール軌道との間の接触によって誘発される振動および騒音の低減である。このように、弾性接着剤によってマルチチャンバ要素の少なくとも1つの表面に取り付けられた第2の補強材を使用することによって、鉄道車両内の静粛性の向上が達成される。接着材の減衰効果は、フレームを介して伝達される振動や騒音の吸収に寄与することができる。さらに、弾性接着剤による接着は、多室要素の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と鋳造材料との間の熱特性のミスマッチによって引き起こされる熱応力の低減に寄与し、したがって、センター部材の機械的強度および剛性を向上させることが可能である。
【0047】
さらに、上記のようなセンターピン、少なくとも2つの車輪セット、少なくとも1つのブレーキ、少なくとも1つのモータおよびフレームからなる鉄道車両用台車が提案されている。
【0048】
別の態様によれば、鉄道車両の台車用のフレームを製造するための方法が提案される。この方法は、アルミニウム合金のプロファイルを押し出すステップと、金属鋳造から要素を鋳造するステップと、ボルト接続および/または接着剤結合によって鋳造マルチチャンバ要素を押し出されたプロファイルに接続するステップとを含むことができる。金属鋳造から要素を鋳造する」という表現は、曲げ荷重だけでなく、横荷重及びねじり荷重も吸収することができる複雑な鋳造要素を作成するのに適した鋳造方法を提供すると理解することができる。
【0049】
鋳造素子は、例えば、砂型鋳造やダイキャストプロセスを用いて鋳造されてもよい。例えば、鋳造材料は、鉄系であってもよいし、アルミニウム合金であってもよい。好ましくは、鋳造材料は、アルミニウム合金であってもよい。最も好ましくは、アルミニウム合金は、7xxx.xシリーズの鋳造合金であってもよい。他のアルミニウム合金も使用可能である。
【0050】
さらなる好ましい改変によれば、本方法は、金属鋳造から曲線要素を鋳造するステップと、ボルト接続および/または接着剤結合によって、鋳造された曲線要素を押し出しプロファイルに接続するステップとをさらに含むことができる。金属鋳造から曲線要素を鋳造することは、曲線要素を鉄道車両の少なくとも1つの車輪に接続することを可能にする部品提供手段を含む曲線要素を鋳造することと理解してもよい。湾曲要素は、例えば、砂型又はダイキャストプロセスを使用して鋳造されてもよい。例えば、鋳造材料は、鉄またはアルミニウム合金であってもよい。好ましくは、鋳造材料は、アルミニウム合金であってもよい。最も好ましくは、アルミニウム合金は、7xxx.xシリーズの鋳造合金であってもよい。他のアルミニウム合金も使用可能である。
【0051】
さらなる好ましい改変によれば、この方法は、マルチチャンバ要素の鋳造材料よりも高い剛性を有する材料の少なくとも1つの第1の補強材を製造するステップと、鋳造要素の鋳造材料よりも高い剛性を有する材料の少なくとも1つの第2の補強材を製造するステップと、マルチチャンバ要素の上面及び/又は下面に設けられた凹部に少なくとも1つの第1の補強材を挿入し、鋳造要素の上面及び/又は下面上に少なくとも1つの第2の補強材を取付けるステップとをさらに含むことができる。例えば、第1及び第2の補強材は、鋼及び/又は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製であってよい。好ましくは、第2の補強材は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製であってもよい。これにより、センター部材の重量を大きく増加させることなく、センター部材の剛性を向上させることができる。第1及び第2の補強材は、鋳造プロセスを用いて製造されてもよい。第1及び第2の補強材を作成するのに適切な他の任意の製造プロセスも同様に使用することができる。
【0052】
第1および第2の補強材は、機械的ストレスを避けるために、ボルト接続および/または接着剤結合によって鋳造要素に取り付け/固定される場合がある。
【0053】
少なくとも1つの第2の補強材は、ボルト接続または接着結合によって、鋳造要素の上面および/または下面に取り付けられてもよい。好ましくは、少なくとも1つの第2の補強材は、接着剤結合によって鋳造要素の上面に取り付けられてもよい。最も好ましくは、接着結合は、高い減衰特性を有する弾性接着結合であってよい。
【0054】
ここでも、上記説明した装置の態様による装置を製造することができるように、本方法を修正し、さらなるステップを追加してもよいことに留意されたい。
【0055】
要約すると、開示された主題は、従来の台車フレームと比較して、軽量化を損なうことなく、改善された機械的強度及び剛性を有する鉄道車両の台車用の軽量フレームを提供する。さらに、開示されたフレームの態様は、フレームを介して伝達される振動及び騒音が低減されるように、フレームの減衰特性をさらに向上させる。
【発明の効果】
【0056】
従来の台車フレームと比較して、軽量化を損なうことなく、改善された機械的強度及び剛性を有する鉄道車両の台車用の軽量フレームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1aは、提示された主題によるフレームの一例を示す図である。
図2図2は、本発明の一態様に係る鋳造曲面部材を有するサイド部材を含むフレームの一例を示す図である。
図3図3は、フレームを側面から見た図である。
図4図4は、統合された締結要素の例を示す、フレームの拡大された断面である。
図5図5は、提示された主題のさらなる態様による、フレームに取り付け可能な(第1の)補強材の例を示す図である。
図6図6は、提示された主題の更なる態様による、フレームに取り付け可能な第2の補強材の例を示す図である。
図7図7は、提示された主題の更なる態様による、フレームに取り付け可能な第2の補強材の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図中、同じ要素には同じ参照符号を付している。したがって、同じ要素については、適宜、繰り返しの説明を省略する。
【0059】
図1は、提示された主題によるフレームの一例を透視図で示している。図1(a)に描かれた台枠である台車用フレーム1は、2つのサイド部材(側面部材)20と、センター部材(中心部材)30とからなる。描かれた直線状のサイド部材20は、アルミニウム合金製の押し出しプロファイルを含む。
【0060】
サイド部材20は、鉄道車両に搭載されたときに、鉄道車両の長手方向に延びる部材である。センター部材30は、鉄道車両に搭載されたときに、前記鉄道車両の横方向に延びる部材である。センター部材30は、金属鋳造からなるマルチチャンバ要素からなり、サイド部材20は、アルミニウム合金製の押し出しプロファイルからなり、ボルト接続によってセンター部材30に接続されている。
【0061】
好ましくは、アルミニウム合金は、6xxx系のアルミニウム合金であってよい。押出形材2の繊維方向は、フレーム1がそれに取り付けられたときに、鉄道車両(描かれていない)の長手方向に配置される。
【0062】
描かれたセンター部材30は、金属鋳造から作られてもよい鋳造マルチチャンバ要素(鋳造多室要素)であるマルチチャンバ要素3からなる。マルチチャンバ要素は、U字型の長手方向断面を有し、かつ、上面と、下面と、上面と下面との間に配置された複数のリブとを含む。複数のリブの一つリブ3ccは、センター部材30の長手方向である縦方向に配置され、他の一つリブ3cbは、センター部材30の横方向に配置されている。複数のリブの一つのリブ3caは、センター部材30の横方向および縦方向に対して所定の角度で配置されている。
【0063】
図1図7に示すセンター部材30の描かれた例では、センター部材30の全体がマルチチャンバ要素3である鋳造要素である。しかしながら、センター部材30の一部のみが鋳造されたマルチチャンバ要素3からなり、そのさらなる部分が他の設計を有することもまた可能であり得る。
【0064】
例えば、マルチチャンバ要素3の鋳造材料は、鉄系であってもよいし、アルミニウム合金であってもよい。好ましくは、鋳造材料は、アルミニウム合金であってもよい。描かれたセンター部材は、上面視において、センター部材30の長手方向軸に対して対称に配置された開口部3cを有している。開口部3cを図1(a)に示すように配置することにより、センター部材30は、押出形材2に隣接するセンター部材30の側面において互いに連結される2つの向かい合ったクロスビームから構成される。これにより、フレーム1が吸収すべき横方向の荷重を均一に分散させることができる。
【0065】
鋳造マルチチャンバ要素3の上面3aには、第1の補強材12を受け入れるための2つの凹部3dが設けられており、その底部3daは上面3aに平行な平面内に存在する。凹部3dへの第1の補強材の挿入は、図5(a)及び図5(b)に関連して後で説明される。
【0066】
図1(b)は、図1(a)に描かれたフレームの、サイド部材20とセンター部材30との間のボルト接合部4aの一例を示す拡大断面図である。特に、図2(a)には、サイド部材20がセンター部材30に接合される2つの接触面4が描かれている。描かれたサイド部材20は、接触面4において、ボルト接続部40によってセンター部材30に接続されている。しかし、図1(b)から明らかなように、接触面4には接着剤による結合を施すこともできる。つまり、サイド部材とセンター部材とを接続するネジや溶接接合によって、フレームの材料が弱くなることはない。すなわち、溶接接合部やネジによる機械的応力が回避され、フレームの機械的強度や剛性を向上させることができる台車用軽量フレームを提供することができる。
【0067】
図1(c)は、図1(a)のフレームのセンター部材30を正面図と断面図とを示している。より詳しくは、サイド部材20の押出プロファイル2を、図1(a)に描かれた線A-Aに沿った断面図で示している。この図において、マルチチャンバ要素3に含まれる複数のチャンバがはっきりと見える。チャンバは、例えば、マルチチャンバ要素3の上下面3a,3bに垂直かつ平行に配置されたリブ3cb,3ccによって形成されていることが分かる。さらに、2つの傾斜リブ3caが見え、これは、マルチチャンバ要素3の短辺アーム3eが長手方向断面でU字形であることへの移行を形成している。傾斜リブ3caは、センター部材30の横方向および縦方向に対して所定の角度、即ち、マルチチャンバ要素の下面3bに対して所定の角度で配置されてもよい。さらに、側腕部3eの外向きの側面には、それぞれ接触面4aが設けられている。
【0068】
別の接触面4aが、押出プロファイル2の接触面4bに面するその両側で、マルチチャンバ要素3の上面3aに隣接して設けられている。押出プロファイル2は、矩形断面を有し、鉄道車両の長手方向に延びる少なくとも1つの閉じた中空プロファイルを有する。さらに、センター部材30の前面には、マルチチャンバ要素3の鋳造構造に一体化された締結要素5を認識することができる。この締結要素5は、例えば、フレーム1を車体(図示せず)に取り付けられたセンターピン(図示せず)に接続するための要素であってもよい。
【0069】
さらに、図1(c)から、サイド部材20の押出形材2が、単一の押出工程から得られてもよい複数の中空形材2aからなることが導き出され得る。図1(c)に示すように、各押し出しプロファイル2は、5つの中空プロファイル2aを含む。押出形材2は、その押出方向が鉄道車両の長手方向と一致するように、鉄道車両(図示せず)に配置されてもよい。これにより、高い曲げ剛性を有する軽量な構造を有するサイド部材20を提供することができる。
【0070】
図1に示すフレーム1の利点は、その配置が耐えるべき多方向の荷重に対応していることである。サイド部材20は、車体重量によって加わる曲げ荷重に耐えなければならない。図1(c)に示す押出形材2は、高い曲げ剛性を有する軽量構造を実現するのに適している。一方、センター部材30は、曲げ荷重だけでなく、横荷重やねじり荷重にも耐えなければならない。そのため、図1(c)に示す複数のチャンバを有する縦断面U字型のような、より複雑な形状が望ましく、これは鋳造プロセスによって提供することが可能である。軽量化に加えて、描かれたフレーム1は、締結要素5を鋳造構造に組み込むことによって、単一部品の数を減らすことが可能である。
【0071】
図2(a)は、提示された主題の一態様による鋳造曲線要素6を有するサイド部材20を含むフレーム1の一例を示す図である。図2(b)は、図2(a)のフレームの分解図を示す。
【0072】
この例では、各サイド部材20は、直線状の押出プロファイル2と、金属鋳造から作られた2つの鋳造曲線要素6とからなる。描かれた直線押出プロファイル2は、ボルト接続部40によってセンター部材30と接続するための複数の孔8を含む(図1(b)参照)。描かれている鋳造曲面要素6は、ボルト接続部100(図4参照)または図3および図4に関連してさらに説明される接合点10における接着剤接合によって、直線押出プロファイル2aに接合され得る。
【0073】
鋳造曲線要素6は、ボルト接続部100によって、サイド部材20の押出プロファイル2に接続され、ボルト接続部100は、第2セクション7に隣接する端部と反対に配置された第1セクション6aの外側端部を押出プロファイル2の外側端部に接続するように配置されている。
【0074】
例えば、鋳造曲面要素6は、鉄またはアルミニウム合金で作られてもよい。好ましくは、鋳造曲面要素6は、アルミニウム合金製であってもよい。最も好ましくは、アルミニウム合金は、7xxx.x系の鋳造合金であってもよい。
【0075】
図2(a)および図2(b)に示す鋳造曲線要素6は、両側に側方開口部6abを有する開放中空プロファイル6aaとして形成された第1のセクション6aを含み、第1のセクション6aは縦方向断面で弧状形状を有する(図3も参照されたい)。
【0076】
サイド部材20は、金属鋳造から作られた少なくとも1つの鋳造曲線要素6を含み、鋳造曲線要素6は、両側に側方開口部6abを有する開放型中空プロファイル6aaとして形成され、縦断面において円弧状の形状を有する第1のセクション6aと、第1のセクション6aに隣接し、長方形の長手方向断面を有する閉じた中空プロファイルとして形成される、第2のセクション7と、を備える。第2のセクション7は、鉄道車両の少なくとも1つの車輪を受け入れるための統合された連結部を有する。
【0077】
さらに、鋳造曲面要素6は、第1のセクション6aに隣接する連結部である第2のセクション7からなり、このセクションは、長方形の長手方向断面を有する閉じた中空プロファイル7bとして形成される。第2のセクション7は、レール車両(図示せず)の少なくとも1つの車輪を受け入れるための統合されたレセプタクルである連結部7aを含む。
【0078】
言い換えれば、曲線要素6は、曲線要素6を鉄道車両(描かれていない)の少なくとも1つの車輪(描かれていない)に結合することを可能にする一体型連結部分7aを含んで構成されている。つまり、鋳造された曲線要素6は、統合された連結部分である第2のセクション7を介してフレーム1を車輪セット(描かれていない)に連結することを可能にする。
【0079】
図2(b)に見えるように、鋳造曲線要素6は、第2のセクション7に隣接する端部と反対側に配置された第1のセクション6aの外側端部を押出プロファイル2の外側端部に接合することによって、サイド部材20の押出プロファイル2に接続される。ボルト接続部100は、第2セクション7に隣接する端部と反対に配置された第1セクション6の外側端部を押出プロファイル2の外側端部に接続するように配置されている。鋳造曲面要素6は、ボルト接続部100及び/又は接着結合によって押出プロファイル2に接合されるので、溶接接合部又はネジ山による機械的応力を回避することができ、フレーム1の機械的強度及び剛性を向上させることができる。
【0080】
図3は、図2(a)のフレーム1を側面図で示している。この図において、直線状の押出プロファイル2と2つの鋳造曲線要素6とからなる描かれたサイド部材20は、台車(図示せず)と車体(図示せず)との間に、例えば、鉄道車両の電気センサや構造部品を配置することができる空間9を割り当てていることが明らかになる。さらに、図2(a)および図2(b)に関連して説明したような、第1のセクション6aおよび第2のセクション7を含む鋳造曲線要素6の形状は、図3の側面図にはっきりと示されている。第1のセクション6aの開放型中空プロファイル6aaの内側には、補強材13を湾曲エレメント6に取り付けるための接合点13aが配置される。鋳造曲線要素6は、両側に側方開口部6abを有する開放型中空プロファイル6aaとして形成され、縦断面において円弧状の形状を有する第1のセクション6aと、第1のセクション(6a)の開放中空プロファイル(6aa)の側方開口部(6ab)に配置されている。
【0081】
さらに、鋳造曲面要素6が押出形材2に接続される接合点10の位置が、図3に描かれている。これらの接合点10でボルト接続する場合、サイド部材2とセンター部材30との間のボルト接続用の孔8との干渉を避けるために、その位置を調整しなければならないことが分かる。
【0082】
図4は、一体型締結要素5、11の例を示す、図2(a)に描かれたフレーム1の拡大断面図である。センター部材30のマルチチャンバ要素は、鉄道車両の構成要素を受け入れるように構成された複数の一体型締結要素5、11を備える。フレーム1をセンターピン(図示せず)に接続するために使用され得る一体型締結要素5の横に、鉄道車両(図示せず)のモータ(図示せず)またはブレーキ(図示せず)をフレーム1に取り付けるために使用され得る、さらなるブラケット11が、図4に示されている。描かれたフレーム1は、これらの要素5、11が鋳造時に既に形成され得るので、その後の溶接が必要なく、ブラケット11及びセンター部材30への締結要素5の界面における機械的強度及び剛性の改善を可能にする。
【0083】
さらに、図4に示すフレーム1の拡大断面には、湾曲要素6を押出プロファイル2aに結合するためのそれぞれのボルト接続部100を有する接合点10が示されている。さらに、湾曲した要素6に補強材13を取り付けるための接合点13aを見ることができ、これは、以下の図5においてより詳細に説明される。
【0084】
図5(a)~図5(c)は、提示された主題のさらなる態様による、フレーム1に取り付け可能な(第1の)補強材12、13の例を示す図である。特に、図5(a)は、鋳造曲線要素6及びマルチチャンバ要素3にそれぞれ取り付け可能な例示的な補強材13及び例示的な第1の補強材12の分解図である。図5(b)は、センター部材30のマルチチャンバ要素3の上面3aに埋め込まれた第1の補強材12の例を示し、図5(c)は、サイド部材20の鋳造曲面要素6に取り付けられた補強材13の例を示している。
【0085】
補強材13は、鋳造曲線要素6の鋳造材料よりも高い剛性を有する材料で作られたもので、鋳造曲線要素6に固定されている。また、補強材13は、第1のセクション6aの開放中空プロファイル6aaの側方開口部6abに配置されている。
【0086】
描かれている補強要素13は、サイド部材20の湾曲要素6の鋳造構造に挿入することができる平坦な要素である(図5(c)参照)。第1の補強材12は、マルチチャンバ要素3の上面3aに設けられた凹部3dに挿入される平坦な要素である。マルチチャンバ要素の上面または下面3a、3bと平行な平面における凹部3dの形状が、第1の補強材12の形状と対応し、凹部3dの深さが第1の補強材12の厚さと対応している。第1の補強材12は、凹部3dに挿入されたとき、鉄道車両の長手方向および横方向に延在し、鉄道車両の長手方向における第1の補強材12の長さは、鉄道車両の横断方向における長さよりも長い。鉄道車両の長手方向における第1の補強材12の延長部は、第1の補強材12の横軸に対して対称であり、鉄道車両の長手方向における第1の補強材12の延長部の幅は、第1の補強材12の横軸からの距離が増加すると増加する。
【0087】
描かれている鋳造された湾曲要素6は、オープンプロファイルとして設計されているので、湾曲要素6の剛性は、平坦な補強要素13をそこに挿入することによって増加させることができる。
【0088】
各補強材13は、接合点13aを介したボルト接続によって、それぞれの鋳造曲面要素6に固定されてもよい。また、接着剤による結合によって補強材を鋳造曲面要素6に固定することも可能である。補強材13は、鋼製および/または炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製であってもよい。補強材13は、鋳造プロセスまたは他の任意の適切な製造プロセスを用いて製造されてもよい。
【0089】
描かれている第1の補強材12も、ほぼ鳥の形を有する平坦な要素である。それらは、マルチチャンバ要素3の上面3aに設けられた凹部3dに、後者と平坦面を形成するように挿入される(図5(b)を参照)。この平坦面を実現するために、上面又は下面3a、3bに平行な平面における凹部3dの形状は、その長手方向及び横方向における第1の補強材12の形状に対応してもよく、凹部3dの深さは、第1の補強材12の厚さに対応してもよい。
【0090】
鳥形を有するとは、第1補強材12が、マルチチャンバ要素3の上面3aの凹部3dに挿入されたときに、鉄道車両(図示せず)の縦方向および横方向に延びることを意味する。この場合、鉄道車両(図示せず)の長手方向への延びは、その横方向への延びよりも大きくなっている。さらに、第1補強材12の「鳥型形状」により、鉄道車両(図示せず)の長手方向における延長部の形状は、第1補強材12の横軸からの距離が大きくなるにつれてこの長手方向における延長部の幅が大きくなるという対称的な形状となる。
【0091】
鳥形は、例えば、上面視において、第1補強材12は、鉄道車両の長手方向においてセンター部材の外側に面するその側の外側輪郭がW形を有し、反対側の外側輪郭がT形(第1補強材12の外側輪郭の内、センター部材30の中心側半分)を有し、W形の底部とT形の頂部が互いに向き合うように形成することによって達成されてもよい(図1(b)も参照)。T字型およびW字型の外側輪郭の対向する端部は、直線によって互いに接続され、第1の補強材12(および対応する凹部3d)の外側輪郭全体を完成させることができる。
【0092】
上面視でほぼ鳥の形状を有する第1補強材12を、マルチチャンバ要素3の上面3aの凹部3dに挿入することにより、鉄道車両の部品(図示せず)を取り付けるために必要なスペースを制限することなく、その剛性をさらに向上させることができる。
【0093】
また、第1補強材12は、鋼製および/または炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製であってもよい。それらは、太い接続部およびまたは接着剤結合によってセンター部材30に固定されてもよい。第1補強材12は、鋳造プロセスまたは第1補強材12の特定の形状を作成するのに適切な他のプロセスを使用して製造されてもよい。
【0094】
図6及び図7は、提示された主題の更なる態様による、フレーム1に取り付け可能な第2の補強材14の例を示している。
【0095】
特に、図6には、第2の補強材14が取り付けられたセンター部材30の断面が拡大されて示されている。第2の補強材14は、円筒形の断面を有する支柱14aを含み、この支柱は、多室要素の上面3aに取付ブラケット14bで取り付けられている。
【0096】
支柱14aは、マルチチャンバ要素3の長手方向に延びており、これは、フレーム1の横方向の剛性を高めることができることを意味する。提示された場合、各第2の補強材14は、支柱14aを所望の位置に保つために、3つの取付ブラケット14bを使用する。第2の補強材14は、ボルト接続および/または接着剤結合によって、マルチチャンバ要素3の上面3aまたは下面3bに取り付けブラケットを介して接続されてもよい。
【0097】
好ましくは、第1補強材12および第2補強材(14)が、マルチチャンバ要素3の鋳造材料より高い剛性を有する材料からなる。第2補強材14は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製であってもよい。これにより、センター部材30の重量を大きく増加させることなく、センター部材30の剛性を向上させることができる。
【0098】
図7は、第2の補強材14を多室要素の上面3aに取り付けるために、高い減衰特性を有する弾性接着剤15を使用する第2の補強材14のさらなる実施例を示す図である。特に、矩形断面を有する第2の補強材14の支柱14aは、弾性接着剤ボンド15を備え、この弾性接着剤ボンド15を介して支柱14aが取付ブラケット14bに固定される。
【0099】
さらに、ブラケット14bは、弾性接着剤(図示せず)を介してマルチチャンバ要素3の上面3aに固定することもできる。弾性接着材の減衰効果により、フレーム1を伝達する際の振動や騒音の吸収に寄与することができる。また、弾性接着材による接合は、マルチチャンバ要素3の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と鋳造材との熱特性のミスマッチによって生じる熱応力の低減に寄与することができる。この結果、マルチチャンバ要素3の上面3aの接着剤接合部における機械的強度および剛性が向上する。
【0100】
再び要約すると、本開示は、従来の台車フレームと比較して、軽量化を損なうことなく、改善された機械的強度及び剛性を有する鉄道車両の台車用の軽量フレームを提供するものである。さらに、開示されたフレームの態様は、フレームを通じて伝達される振動及び騒音が低減されるように、フレームの減衰特性をさらに向上させる。
【0101】
当業者によって理解されるように、本開示は、本明細書上および添付の図に記載されているように、方法、装置(装置、機械、システム、コンピュータプログラム製品、および/または任意の他の装置を含む)、または前述の組み合わせとして具現化され得る。
【0102】
当業者は、ちょうど説明した実施形態の様々な適応、修正、及び/又は組み合わせが構成され得ることを理解するであろう。したがって、本開示は、本明細書に具体的に記載された以外の方法で実施され得ることが理解されよう。例えば、明示的に別段の記載がない限り、本明細書に記載のプロセスのステップは、本明細書に記載のものとは異なる順序で実行されてもよく、1つまたは複数のステップが組み合わされ、分割され、または同時に実行されてもよい。
【0103】
当業者は、本開示の観点から、本明細書に記載された異なる実施形態または態様が組み合わされて他の実施形態を形成し得ることも理解するであろう。
【符号の説明】
【0104】
1:フレーム
2:押出形材
3:鋳造マルチチャンバ要素
4:接触面
5:締結要素
6:鋳造曲線要素
7:第2のセクション
8:孔
9:空間
10:接合点
11:締結要素
12:第1補強材
13:補強材
14:第2の補強材
15:弾性接着剤ボンド
20:サイド部材
30:センター部材
40:ボルト接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7