IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東レ株式会社の特許一覧

特開2023-111872コンタクトロール、フィルムの巻取装置、及びフィルムロールの製造方法
<>
  • 特開-コンタクトロール、フィルムの巻取装置、及びフィルムロールの製造方法 図1
  • 特開-コンタクトロール、フィルムの巻取装置、及びフィルムロールの製造方法 図2
  • 特開-コンタクトロール、フィルムの巻取装置、及びフィルムロールの製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111872
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】コンタクトロール、フィルムの巻取装置、及びフィルムロールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 13/00 20060101AFI20230803BHJP
   B65H 27/00 20060101ALI20230803BHJP
   B65H 18/26 20060101ALI20230803BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20230803BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20230803BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20230803BHJP
【FI】
F16C13/00 B
F16C13/00 A
B65H27/00 A
B65H18/26
B32B1/08 Z
B32B7/022
B32B7/025
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006292
(22)【出願日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2022012636
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西村 和浩
(72)【発明者】
【氏名】北田 暉
【テーマコード(参考)】
3F055
3F104
3J103
4F100
【Fターム(参考)】
3F055AA05
3F055EA02
3F055EA13
3F104AA03
3F104JA01
3F104JB01
3F104JC02
3F104JC04
3F104JC06
3J103AA02
3J103AA13
3J103AA85
3J103FA06
3J103FA12
3J103GA02
3J103GA24
3J103HA04
3J103HA20
3J103HA52
3J103HA53
4F100AA37
4F100AA37B
4F100AA37C
4F100AB02
4F100AB02A
4F100AH03
4F100AH03B
4F100AN00
4F100AN00B
4F100AN02
4F100AN02B
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100EJ94
4F100JG01
4F100JG01C
4F100JK07B
4F100JK12
4F100JK15
4F100JK16
4F100JK16B
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】 本発明は、表面の平滑性が高いフィルムロールの製造においても、長期間にわたってフィルムロールのシワや静電気帯電を十分に軽減することができるコンタクトロールを提供することをその課題とする。
【解決手段】 芯材上に弾性体からなる第1層と、前記第1層の外側に最表層となる第2層を有するコンタクトロールであって、前記第2層の表面の静摩擦係数μ0が0.20を超え0.30以下であって、前記第2層の体積抵抗率ρが1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下であることを特徴とする、コンタクトロール。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材上に弾性体からなる第1層と、前記第1層の外側に最表層となる第2層を有するコンタクトロールであって、前記第2層の表面の静摩擦係数μ0が0.20を超え0.30以下であって、前記第2層の体積抵抗率ρが1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下であることを特徴とする、コンタクトロール。
【請求項2】
前記第2層の厚みtが1.0μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトロール。
【請求項3】
前記第2層が、ダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする、請求項1または2に記載のコンタクトロール。
【請求項4】
前記第2層が、窒素を含有するダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする、請求項1または2に記載のコンタクトロール。
【請求項5】
請求項1または2に記載のコンタクトロールを備えることを特徴とする、フィルムの巻取装置。
【請求項6】
請求項5に記載のフィルムの巻取装置によりフィルムを巻き取る工程を有することを特徴とする、フィルムロールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトロール、フィルムの巻取装置、及びフィルムロールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気絶縁性を有するシートの一つであるフィルムは、その製造工程においてロール状に巻き取る際に、シワなどの巻き姿欠点や静電気による帯電欠点が発生しないように巻き取ることが重要である。一般に、フィルムを巻き取る際には、随伴空気を排除して巻き姿を良好にするため、コンタクトロールをフィルムロールに押し当てて巻き取る。この際、コンタクトロールとしては、フィルムの厚みむら等に起因するフィルムロールの微小な凹凸に追従して空気を排除する必要があるため、金属ロールと比較して硬度の低いゴムを芯材に巻いたゴムロールが用いられることが多い。コンタクトロールは、接圧ロールや押圧ロール、ニップロール、タッチロールとも呼ばれる。
【0003】
このようなコンタクトロールには、巻き取ったフィルムロールのシワや静電気帯電を抑制するため、低摩擦、低体積抵抗率の表面が要求される。一般に、ゴムの体積抵抗率を低くする手段としては、例えばゴムの材質変更による方法が知られている(特許文献1)。また、ゴムロールの表面の摩擦係数は表面粗さが大きいほど小さくなるが、ゴムロールの表面はフィルムとの接触を繰り返すことで次第に平坦化するため、表面粗さが大きいゴムロールであっても徐々に摩擦係数が上昇する。そのため、コンタクトロールには低摩擦、低体積抵抗率の表面であることに加えて、耐久性が良いことも要求される。
【0004】
このような状況において、長期間使用しても、より低い摩擦係数を維持することができるゴムロールとして、ゴム表面にダイヤモンドライクカーボン(Diamond like carbon 以下DLCと略する。)からなる薄膜を形成する方法があり、例えば特許文献2~4に開示された方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-107057号公報
【特許文献2】特開2004-251373号公報
【特許文献3】特開2008-81239号公報
【特許文献4】WO2016-117634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、表面がより平滑なフィルムが要求されており、例えば表面粗さが10nm以下である平滑性の高いフィルムの巻取においては、特許文献1~4の方法を用いても、シワや静電気帯電を十分に軽減したフィルムロールを得ることが困難である。また、特許文献2~4のコンタクトロールの問題点として、DLC膜が高い電気絶縁性を具備することから、表面の体積抵抗率が高い点が挙げられる。そのため、これらのコンタクトロールは静電気を帯びやすく、フィルムロールの静電気帯電をコンタクトロール側に逃がしにくいため、フィルムロールの静電気帯電を十分に軽減することが困難である。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、表面の平滑性が高いフィルムロールの製造においても、長期間にわたってフィルムロールのシワや静電気帯電を十分に軽減することができるコンタクトロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は下記の構成からなる。すなわち、芯材上に弾性体からなる第1層と、前記第1層の外側に最表層となる第2層を有するコンタクトロールであって、前記第2層の表面の静摩擦係数μ0が0.20を超え0.30以下であって、前記第2層の体積抵抗率ρが1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下であることを特徴とする、コンタクトロールである。
【0009】
なお、本発明のコンタクトロールは以下の態様とすることもでき、また、本発明のコンタクトロールより、以下の通りフィルムの巻取装置、フィルムロールの製造方法を提供することもできる。
(1) 芯材上に弾性体からなる第1層と、前記第1層の外側に最表層となる第2層を有するコンタクトロールであって、前記第2層の表面の静摩擦係数μ0が0.20を超え0.30以下であって、前記第2層の体積抵抗率ρが1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下であることを特徴とする、コンタクトロール。
(2) 前記第2層の厚みtが1.0μm以下であることを特徴とする、(1)に記載のコンタクトロール。
(3) 前記第2層が、ダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする、(1)または(2)に記載のコンタクトロール。
(4) 前記第2層が、窒素を含有するダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載のコンタクトロール。
(5) (1)~(4)のいずれかに記載のコンタクトロールを備えることを特徴とする、フィルムの巻取装置。
(6) (5)に記載のフィルムの巻取装置によりフィルムを巻き取る工程を有することを特徴とする、フィルムロールの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、表面の平滑性が高いフィルムロールの製造においても、長期間にわたってフィルムロールのシワや静電気帯電を十分に軽減することができるコンタクトロールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施態様にかかるコンタクトロールを得るためのDLC成膜装置の構成図である。
図2】本発明の一実施態様にかかるコンタクトロールの概略断面図である。
図3】本発明の一実施態様にかかるコンタクトロールを使用した巻取装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のコンタクトロールについて具体的に説明する。本発明のコンタクトロールは、芯材上に弾性体からなる第1層と、前記第1層の外側に最表層となる第2層を有するコンタクトロールであって、前記第2層の表面の静摩擦係数μ0が0.20を超え0.30以下であって、前記第2層の体積抵抗率ρが1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下であることを特徴とする。
【0013】
本発明において、「芯材」とは、弾性体からなる第1層の内側に位置する概略円筒形の材料をいう。芯材を構成する素材として、好ましくは、鉄やSUS(ステンレス鋼)、アルミニウムなどの金属や、炭素繊維を補強部材として使用したFRP(繊維強化プラスチック)などが用いられる。芯材の内部は中空であってもよく、中実であってもよい。ここで、「概略円筒」とは、巨視的に観察したときに全体的な形状が円筒形であるもの、または、おおむね円筒形をしているものをいい、軸方向の部位によって直径が多少変化する形状であるものを含む。具体的には、真円筒形状の他、軸方向中央部の直径が両端部より大きくなっているクラウン形状や、軸方向中央部の直径が両端部より小さくなっている逆クラウン形状などがこれに含まれる。
【0014】
本発明において、「弾性体からなる」とは、第1層を構成する全成分中、80質量%以上100質量%以下、好ましくは80質量%以上99.9質量%以下が弾性体であることをいう。「弾性体」として、好ましくは、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴムのいずれか一つ以上のゴムを用いる。また、使用するゴムが後述する適当な硬度を有することが好ましい。また、この層も表面が概略円筒形状を有しているのが良く、「芯材」と同様、クラウン形状や逆クラウン形状なども目的に応じて使用される。これらの弾性体は単独で用いても良く、複数種を混錬して用いてもかまわない。
【0015】
また、第1層の0.1質量%以上20質量%以下はゴム以外の成分、例えば充填剤が含まれていてもよい。充填剤の材質は特に限定されず、弾性体(例えば加硫ゴム等)の物理的性能を向上させる充填剤として、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられ、これらは単独で又は複数種組み合わせて用いることができる。充填剤の含有量が0.1質量%以上であることにより、十分な補強効果が期待できる。一方、充填剤の含有量が20質量%以下であることの利点として、基材である弾性体の柔軟性を十分に確保できること、ロール表面硬度の上昇が軽減できること、第1層におけるクラックの発生を軽減できること等が挙げられる。
【0016】
第1層の硬度は、製造するフィルムの厚みむら等に起因するフィルムロールの微小な凹凸に追従して空気を排除するため、70°以下であることが好ましい。第1層の硬度が70°以下であることにより、コンタクトロール表面がフィルムの厚みむらに追従し、接圧状態の変動を軽減することができる。一方、第1層の硬度の下限については、ゴムの成形性の観点からも30°以上であることが望ましい。したがって、このゴムの成形性とフィルムロールの微小な凹凸への追従性を両立する観点から、第1層の硬度は30°以上70°以下が好ましい。
【0017】
第1層の表面は、研磨などの物理的手段、薬液を使用する化学的手段、紫外線などを使用する光学的手段、放電やプラズマなどを用いた電気的手段により、表面処理されていてもよい。
【0018】
本発明のコンタクトロールは、第1層の外側に最表層となる第2層を有することが重要である。コンタクトロールの最表面は、フィルムとの接触を繰り返すことで次第に平坦化するため、第1層がコンタクトロールの最表面であると低い静摩擦係数を長期間維持することができない。この問題を解決するため、耐摩耗性に優れた第2層を有することが重要である。
【0019】
本発明のコンタクトロールは、第2層の表面の静摩擦係数μ0が0.20を超え0.30以下であることが好ましい。第2層の表面の静摩擦係数μ0が0.20を超えることにより、コンタクトロールとフィルムロールとの接圧部におけるフィルムのスリップの発生が抑えられ、巻き締まりによるシワの発生が軽減される。コンタクトロールの表面の摩擦係数が低い場合、コンタクトロール前後の張力差が、その摩擦力を上回ることにより、フィルムのスリップが発生することがあるが、第2層の表面の静摩擦係数μ0を0.20より大きくすることで、このような不具合を軽減できる。一方、第2層の表面の静摩擦係数μ0が0.30以下であることにより、接圧部での摩擦帯電とシワの発生が軽減される。第2層の表面の静摩擦係数μ0が0.20を超え0.30以下であることの効果は、特にフィルム表面粗さが10nm以下である平滑性の高いフィルムを巻き取る際に発揮される。
【0020】
第2層の表面の静摩擦係数μ0は、厚み6.3μm、表面粗さ20nmの東レ株式会社製ポリエチレンテレフタレートフィルム“ルミラー”(登録商標)6XV672と摩擦したときの値であり、ヘイドン(HEIDON)式摩擦測定法により測定することができる。詳細な測定条件は実施例に示す。
【0021】
第2層の表面の静摩擦係数μ0を、0.20を超え0.30以下とする方法としては、例えば、第2層をDLC層とする方法が挙げられ、第1層の表面にDLCを成膜する方法は後述する。また、表面を粗くした第1層上に第2層を形成する方法も効果的である。より具体的には、第1層の表面を粗くした上で第2層を形成することで、第2層とフィルムの接触面積を減少する効果を発揮し、μ0を小さくすることができる。コンタクトロール(第2層)の表面粗さとして適切な範囲は、0.1μm以上1.4μm以下である。コンタクトロールの表面粗さが1.4μmを超えると、フィルムロールを巻き取るためのコンタクトロールとして使用する際、コンタクトロールの表面突起に接圧が集中し、突起部を起点にフィルムロールに微小な変形を発生させやすくなる。一方、比較的柔らかい第1層の表面を0.1μm未満に研磨加工することは技術的に困難であることから、コンタクトロールの表面粗さの下限も0.1μmとなる。なお、コンタクトロールの表面粗さは、公知の測定装置、例えばキーエンス社製超深度形状測定顕微鏡VK8500等により測定することができ、当該装置を用いた場合の測定方法は実施例に示す。
【0022】
コンタクトロールの表面粗さを調節する手段としては、種々の表面処理が挙げられる。表面処理の方法としては、研磨などの物理的手段、薬液を使用する化学的手段、紫外線などを使用する光学的手段、放電やプラズマなどを用いた電気的手段等が挙げられ、これらは単独で又は適宜組み合わせて用いることができる。
【0023】
本発明のコンタクトロールにおいては、フィルムロールの静電気帯電を軽減する観点から、第2層の体積抵抗率ρが1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下であることが重要である。通常、第2層の体積抵抗率ρは低いほど良いが、第1層の外側に体積抵抗率ρが1.0×10Ω・cm未満の第2層を設けることは技術的に困難である。一方、第2層の体積抵抗率ρが1.0×10Ω・cm以下であることにより、フィルムロールの静電気帯電がコンタクトロール側へ逃げやすくなり、フィルムロールの静電気帯電が軽減される。第2層の体積抵抗率ρを1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下とすることの効果は、特にフィルム表面粗さが10nm以下である平滑性の高いフィルムを巻き取る際に発揮される。上記観点から、第2層の体積抵抗率ρのより好ましい範囲は、1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下である。第2層の体積抵抗率ρが1.0×10Ω・cm以下であることにより、フィルムロールの帯電量の絶対値がさらに低く抑えられる。その結果、ロール状に積層するフィルム同士の静電気密着が軽減されるため、フィルムを巻き出す際の安定性が向上する。
【0024】
第2層の体積抵抗率ρは、SiO基板上にDLC膜を成膜し、DLC膜の表面抵抗率を測定した後、DLC膜の厚みtとの積で簡易的に求めることができる。表面抵抗率は、三菱化学社製の抵抗率計(ハイレスターUX MCP-HT800)により測定することができる。詳細な測定条件は実施例に示す。
【0025】
第2層の体積抵抗率ρを1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下とする方法としては、例えば、第2層を、窒素を含有するDLC層とする方法があげられる。より具体的には、DLC結晶構造中に占める窒素原子の割合を増加させることによってρを小さくすることができる。窒素原子は、DLC膜中でドナーとして働き、ドナー準位に束縛されていた電子を効果的に伝導帯へと励起するため、DLC膜の導電性を高くする効果が知られている。なお、窒素を含有するDLCを成膜する方法は後述する。
【0026】
第2層の体積抵抗率ρを1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下とする別の方法として、第2層を、導電性カーボンブラックを含有するフッ素樹脂とする方法も挙げられる。このとき、導電性カーボンブラックの含有量を増加させることによってρを小さくすることができる。一方、第2層の強度低下や、凝集による分散条件の不均一化に伴う体積抵抗率の幅方向の斑や量産での再現性悪化を軽減するため、導電性カーボンブラックの添加は20質量%以上30質量%以下とすることが好ましい。
【0027】
第1層の体積抵抗率ρは本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、芯材へ電気を流しやすくするため、1.0×10Ω・cm以下であることが好ましい。第1層のρが1.0×10Ω・cm以下であることにより、第2層に蓄積された静電気が第1層を介して芯材へ流れやすくなり、フィルムロールの静電気帯電をコンタクトロール側へ積極的に逃がすことができる。
【0028】
本発明のコンタクトロールにおいては、フィルムのキズやシワの発生を軽減する観点から、第2層の厚みtが1.0μm以下であることが好ましい。tが1.0μm以下であることにより、互いに材質が異なる第1層と第2層の弾性率の差から生じる内部応力に起因するコンタクトロールの再表面におけるクラックの発生が軽減される。その結果、クラックを起点として発生するフィルムのキズやシワを抑えることができる。第2層の厚みtの下限について説明する。所定の厚みに成膜する場合において、tは0.1μm以上あれば低い静摩擦係数と体積抵抗率を両立し、シワや静電気帯電に対して十分な効果を得ることができる。また、tを0.1μm未満の厚みで制御することは、現在の成膜技術では困難である。なお、厚みtは公知の走査式電子顕微鏡(SEM)により測定することができ、その測定方法の詳細については後述する。
【0029】
第2層の厚みtを上記範囲に制御する方法としては、例えば、プラズマCVD法を用いる場合は、原料ガス種、原料ガス流量、放電プラズマ発生電力、周波数、放電時間の調整などが挙げられ、目的の厚みに応じて最適化することにより、制御することができる。
【0030】
本発明のコンタクトロールにおいては、第2層が、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなることが好ましい。本発明において、「第2層がDLCからなる」とは、第2層の結晶構造がダイヤモンドとグラファイトの両方の結合をもつ非晶質構造を有し、第2層の全構成成分中60at%以上99at%以下が炭素で構成され、かつ結晶構造の一部が他の原子で置換されている状態をいう。60at%以上99at%以下が炭素で構成されるDLCで第2層が形成されることにより、第2層がより十分な硬度を備え、繰り返し使用による摩耗が軽減される。そのため、コンタクトロールとしてより長期間の使用が可能となる。
【0031】
本発明のコンタクトロールにおいては、第2層が、窒素を含有するダイヤモンドライクカーボンからなることが好ましい。ここでいう「窒素を含有するダイヤモンドライクカーボン」とは、ダイヤモンドライクカーボンに窒素原子が含まれることをいう。当該第2層における窒素含有量は、体積抵抗率ρを低くしてフィルムロールの帯電を軽減する観点から、1at%以上40at%以下であることが好ましく、3at%以上40at%以下であることがより好ましい。
【0032】
しかしながら、DLC結晶構造の炭素原子が窒素原子に置換されることにより、DLC膜の密度が低下し、硬度が低下する。したがって、炭素原子のみで構成されるDLC膜に比べて、フィルムとの摩擦により表面が徐々に平坦化されることでμ0が増加する。この点も考慮すると、当該第2層における窒素含有量は、3at%以上25at%以下であることがさらに好ましい。当該第2層における窒素含有量が3at%以上25at%以下であると、経時使用に伴う表面平坦化によるμ0の増加も抑えられ、長期に渡ってフィルムロールにおけるシワの発生を抑えられる。1ヶ月使用あたりのμ0の増加量は好ましくは0.50未満、より好ましくは0.10以下である。なお、表面特性や耐摩耗性を大きく損なわない限りは、当該第2層には、さらに水素、酸素、フッ素など他の原子があってもよい。DLC膜の窒素含有量は、公知のX線光電子分光装置(例えば、島津製作所製のX線光電子分光装置(“KRATOS”(登録商標) Nоva))により測定することができる。当該装置を用いた場合の詳細な測定条件は実施例に示す。
【0033】
本発明のDLC膜の成膜手段としては、たとえば、メタン、アセチレン、エチレンなど炭化水素系のガスを用いたプラズマCVD法等を用いることができる。当該方法では、前駆体の原料として炭化水素系のガスを用いるため、必然的に水素原子を含有するDLCが成膜される。この他、スパッタリング法、イオンビーム法、イオンプレーティング法などの方法も用いることができる。これらの方法は、前駆体の原料が黒鉛などの個体ターゲットであり、それらをプラズマで気化するため、水素原子を含有しないDLCが成膜される。DLC膜中の水素の存在は、膜中の内部応力を少なくし厚膜にできることや、膜を柔軟にして弾性変形に対する追従性向上が長所として挙げられる一方、柔軟性が増すために耐摩耗性の悪化が短所として挙げられる。
【0034】
以下、芯材上に第1層のみが被覆されているロールを弾性ロールと略し、図1を用いてプラズマCVD法について説明する。図1は、本発明の一実施態様にかかるコンタクトロールを得るためのDLC成膜装置の構成図である。図1において、真空容器1は真空排気機構2により減圧される。真空容器1の内部には、表面処理を行う弾性ロール3が回転駆動手段4を伴いセットされる。プラズマ生成用電極5には、電源6から電力が供給される。ガス導入管7からアルゴンガスを供給し、弾性ロール3表面をクリーニングした後、メタン、アセチレン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系のガスを供給してプラズマ化する。窒素を添加する際は、同時に窒素ガス、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンなどの窒素系のガスを供給しプラズマ化する。複数のガスを同時に送り込むためのガス導入管7は個別に複数あってもよい(但し、図1には一つのみを図示)。窒素含有量の調整は、炭化水素系のガスと窒素系のガスの流量の比で制御することができる。また、水素含有量の調整は、必要な含有量に応じて、炭素と水素の比が異なる炭化水素系のガスを選択することができ、他に用いるガスとの流量の比で制御することができる。ロールを1~10rpmの速度で回転させながら、弾性ロール3の表面に所定の厚みのDLC膜を成膜する。この際、弾性ロール3の芯材は、電気的に接地され、電源6からの交流電力が第1層を介してプラズマ生成電極5との間にプラズマを発生させるが、弾性ロール3とは別に対極を設けてもよいし、直流電力によるプラズマ生成も可能である。なお、DLC膜の成膜の際に、必ずしも弾性ロール3を連続的に回転させる必要はなく、例えば、弾性ロール3の周方向に何度かに分割して処理を施すことにより、表面全体に成膜することも可能である。
【0035】
本発明のコンタクトロールの直径は、フィルムを巻き取る際に随伴空気を排除して巻き姿を良好とする観点から、小さい方が好ましい。コンタクトロールの直径が小さければフィルムと接触する面積が小さくなり、相対的にフィルムロールに加えられる圧力が高くなる点で有利なためである。一方で、直径の小さいコンタクトロールを使用する場合には、コンタクトロールの回転数が上昇し、それに伴いコンタクトロール表面とフィルムロールが接触する回数も増加するため、コンタクトロール表面が磨耗しやすい。上記観点から、コンタクトロールの直径は、25mm以上300mm以下が好ましく、特に25mm以上120mm以下であることが好ましい。
【0036】
以下、本発明の一実施態様にかかるコンタクトロールの概略断面図である図2を用いて、本発明のコンタクトロールの具体例について説明する。図2において、コンタクトロール8は、芯材9の表面に弾性体からなる第1層10が形成され、第1層10の外側と接するように、DLC、または窒素を含有するDLCからなる第2層11が形成されている。
【0037】
以下、本発明のフィルムの巻取装置について説明する。本発明のフィルムの巻取装置は本発明のコンタクトロールを備えることを特徴とする。以下、本発明の一実施態様にかかるコンタクトロールを使用した巻取装置の概略断面図である図3を用いて、より具体的に説明するが、本発明のフィルムの巻取装置はこれに限定されない。
【0038】
図3に示す巻取装置は、フィルムFを所定の移動方向に連続して走行させるフィルム搬送手段を有する。このフィルム搬送手段の一部は、回動可能な搬送ロール12である。フィルムFの走行方向は、矢印FDで示される。フィルムFは、搬送ロール12等に支持されながら、矢印FDの方向に走行する。巻取コア13は図示しない駆動手段により回転されることによりフィルムFを巻き取り、フィルムロール14を形成する。図2で説明したコンタクトロール8は接圧ロールとして回転自在に支持され、油圧シリンダ(図示せず)が連結されている。コンタクトロール8は油圧シリンダの作用によってフィルムロール14側へ付勢され、コンタクトロール8をフィルムロール14に接圧する。図3に示す巻取装置では、コンタクトロール8とフィルムロール14の接触部に向けて、除電器がフィルムロールの幅方向全体にわたって配置されている。除電器はコロナ放電電極15とシールド電極16を有し、コロナ放電電極15は直流または交流の高電圧発生電源17に接続されている。除電器は、コロナ放電電極15に高電圧を印加することにより正負のイオンを生成し、フィルムロール14にイオンを供給してフィルムロール14の帯電を除電する。除電距離が100mmより遠く離れている場合は、イオンを吹き付けるようにしてもよく、コロナ放電電極15近傍にエアーノズル(図示せず)を設置してもよい。もしくは電極と一体化されたものを用いてもよい。
【0039】
次に、本発明のフィルムロールの製造方法について説明する。本発明のフィルムロールの製造方法は、本発明のフィルムの巻取装置によりフィルムを巻き取る工程を有する。ここでいうフィルムは特に限定されないが、本発明の巻取装置を用いる利点が大きい観点から、表面粗さが10nm以下のフィルムが好ましい。以下、当該フィルムについて説明する。
【0040】
「フィルム」とは、熱可塑性樹脂を主成分(50質量%を超えて100質量%以下含まれる成分)とするシート状の成形体をいう。中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ナイロンフィルム、アラミドフィルム、ポリエチレンフィルムなどのプラスチックフィルムは絶縁性が高く、帯電欠点を抑制する面からも、本発明のフィルムロールの製造方法を用いる対象として好適である。
【0041】
「表面粗さが10nm以下のフィルム」とは、フィルムの少なくとも片面の表面粗さが当該範囲にあるフィルムのことをいう。フィルムは、厚み方向に複数の層を有していてもよく、また、フィルムの最表面に位置する層に、粒子を含有していてもよい。粒子種は特に限定されるものではなく、無機粒子、有機粒子、もしくはそれらの混合のいずれでもよく、公知のものを用いることができる。例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム粒子等から選ばれる不活性無機粒子、ポリスチレン、ジビニルベンゼン粒子などの有機粒子を用いることができる。
【0042】
フィルムの表面粗さを10nm以下に制御する方法としては、例えば、フィルムの再表面に位置する層に含まれる粒子の粒子径や、含有量を調整する方法が挙げられる。また、フィルムの表面粗さが1nm以上であることにより、搬送ロールと搬送フィルムの滑り性の悪化が抑えられ、キズやシワなどの誘発が軽減されるため、品位の安定したフィルムを得ることができる。上記観点から、フィルムの表面粗さは少なくとも片面において1nm以上10nm以下が好適である。なお、フィルムの表面粗さは公知の3次元粗さ計により測定することができ、具体的な装置としては、菱化システム社製3次元粗さ計“VertScan”(登録商標)2.0等が挙げられる。当該装置を用いたときの測定方法は実施例に示す。
【0043】
以下、本発明のフィルムロールの製造方法について、表面粗さが10nm以下のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムロールを代表例として説明するが、本発明のフィルムロールの製造方法は特にこれに限定されるものではない。
【0044】
先ず、PETに粒子を含有させたペレットを準備する。粒子を含有したPETペレットを得る方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに粒子を所定の割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールスラリーをPET重合完結前の任意段階で添加することが挙げられる。また、粒子を含有したPETペレットにおける粒子の分散性を向上するためには、当該ペレット内の粒子濃度を低くすることが有効である。
【0045】
以上のようにして準備した、粒子を含有したPETペレット、及び粒子等を実質的に含有しないPETペレットを所定の割合で混合し、乾燥した後、公知の溶融積層用押出機に供給してポリマーをフィルターにより濾過する。フィルターろ過中の粒子の再凝集を防止するために、フィルターには例えば大きさが1.5μm以上の異物を95%以上捕集することのできる高精度の繊維焼結ステンレスフィルターを用いることが有効である。
【0046】
続いてスリット状の口金からシート状に溶融PET組成物を押し出し、キャスティングロール上で冷却固化させて未延伸フィルムとする。積層構成とする場合は、複数の押出機、複数のマニホールド又は合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて必要な層数を積層させ、口金からシートを押し出して、キャスティングロールで冷却させて未延伸フィルムを得る。この場合、背圧の安定化及び厚さ変動の抑制の観点からは、ポリマー流路にスタティックミキサーやギアポンプを設置することが有効である。
【0047】
その後、未延伸フィルムを長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。延伸工程は、同時二軸延伸であっても、逐次二軸延伸であってもよい。同時二軸延伸においてはロールによる延伸を伴わないため、フィルム表面の局所的な加熱が発生せず、表面特性を制御しやすく、延伸方法としてより好ましい。
【0048】
同時二軸延伸においては、未延伸フィルムの幅方向両端部をテンター装置が備える各側のクリップで把持し、未延伸フィルムに熱を加えて予熱した後、まず長手方向及び幅方向に、延伸温度を例えば80~160℃として同時に延伸する。延伸温度を80℃以上とすることは、フィルムの破断を抑制できる点で好ましく、延伸温度を160℃以下とすることは、十分な強度が得られる点で好ましい。また、延伸ムラを軽減する観点から、長手方向及び幅方向の合計延伸倍率(面積延伸倍率)は、例えば8~30倍とすることが好ましい。面積延伸倍率を8倍以上とすることにより、十分な強度が得られ、30倍以下とすることにより、製造過程でのフィルム破れを軽減できる。
【0049】
その後、例えば180~235℃で、例えば0.5~20秒間熱固定を行う。熱固定温度が180℃以上であることにより、フィルムの結晶化を進行させて構造を安定にできる。また、熱固定温度を235℃以下とすることにより、ポリエステルの非晶鎖部分の緩和が進むことに伴うヤング率の低下を抑制できるため、十分な強度を得ることができる。その後、熱処理から徐冷の際に、長手方向及び/又は幅方向に例えば0.5~7.0%の弛緩処理を施してもよい。
【0050】
次いで、逐次二軸延伸の場合について説明する。まず、長手方向の延伸は、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を用いて多段階で行ってもよい。延伸倍率としては2~7倍が好ましく、延伸温度としては80~160℃が好ましい。
【0051】
次に、フィルムの幅方向両端部をテンター装置のクリップで把持しながら搬送して、フィルムに熱を加えて予熱した後、幅方向に延伸する。延伸倍率としては2~7倍が好ましく、延伸温度としては80~160℃が好ましい。その後の熱固定から徐冷までの過程は同時二軸延伸についてと同様である。
【0052】
こうして得られたポリエステルフィルムを、搬送ロールを経た後に、例えば図3の巻取装置を備えたワインダに供給する。巻取装置に供給する前には、トリミング装置によりフィルム幅方向両端部を切り落としてもよい。なお、搬送フィルムの厚みは、幅方向にスキャン可能な非接触式のオンライン厚さ計により測定することができ、口金からのポリマー吐出量を制御することで調節することができる。こうして供給したフィルムFを把持された巻取コア13に巻き取り、中間製品としてのフィルムロール14を得る。
【0053】
その後、必要に応じてスリッタにて中間製品を巻き出して搬送ロールを通過させ、カッターを用いて所定の幅にスリットして図3の巻取装置に供給し、スリットしたフィルムを巻取コア13に巻き取って製品としてのフィルムロール14を得る。このとき、1本の中間製品より得る製品は、1本であっても複数本であってもよい。このようなフィルム製膜工程のワインダのコンタクトロールやスリッタのコンタクトロールに、本発明によるコンタクトロールを用いるのが好適である。
【0054】
また、ロールの周速差を利用して長手方向へ延伸する際、フィルムと搬送ロールのすべりを抑制するためのニップロールにも用いてもよい。ニップロールは、フィルムを搬送ロール上で挟圧するためのロールである。
【実施例0055】
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す態様に限定されない。
【0056】
[物性および効果の評価方法]
(コンタクトロールの静摩擦係数)
静摩擦係数の測定は、ヘイドン(HEIDON)式摩擦測定法を用いた。厚み6.3μm、表面粗さ20nmの東レ株式会社製ポリエチレンテレフタレートフィルム“ルミラー”(登録商標)6XV672を摩擦対象物として用い、また、静摩擦係数の測定器としては、HEIDON社製“トライボギア”(登録商標)TYPE94iを使用した。測定は、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムを測定器の測定スライダーに取り付け、軸方向が水平方向となるように静置したコンタクトロールの表面にこの測定器を押し当てて行った。静摩擦係数の値は、円周方向を任意の位置で固定して幅方向を6等分し、コンタクトロールの両最端部を除く等分線の5箇所を測定して得られた値の平均値を求めることにより決定した。
【0057】
(フィルムの表面粗さ)
フィルムロールの任意の位置から採取したフィルムを7cm角の正方形にカットし、得られた試料の一方の面を対象に、菱化システム社製3次元粗さ計“VertScan”(登録商標)2.0を用い、表面粗さを測定、算出した。具体的には、対物レンズは50倍、内部レンズは0.5倍、測定モードはWaveモード、測定面積は0.0497mmとし、測定試料の面内の任意領域における表面粗さ(単位:nm)を測定した。同一の試料を用い、同一面で測定領域を任意に変えて合計90回の測定を繰り返し、表面粗さの平均値を求め、得られた値を当該面の表面粗さとした。反対面も同様にして表面粗さを測定、算出した。
【0058】
(コンタクトロールの表面粗さ)
キーエンス社製超深度形状測定顕微鏡VK8500を使用した。コンタクトロールを当該顕微鏡のステージに固定し、倍率2000倍、高さ方向分解能0.05μmでその表面形状を画像データとして取り込んだ。次に、画像上の左端から右端にかけて水平方向に計測ラインを引き、2地点間の線粗さを表面粗さとして読み取った。このとき、レーザーとカメラシャッターは自動モードとした。コンタクトロールの表面粗さは、円周方向を任意の位置で固定して幅方向を6等分し、コンタクトロールの両最端部を除く等分線の5箇所を観察、測定して得られた値の平均値を求めることにより決定した。
【0059】
(コンタクトロールの硬度)
JIS K 6253(2012) タイプAに規定する測定法により行った。具体的には、この規格で規定されたJISスプリング式硬さ試験器を、軸方向を水平に静置したロールの上に水平に載せ、9.8Nの荷重をかけたときの硬度表示を読み取った。コンタクトロールの硬度は、円周方向の位置を任意の位置で固定して幅方向を6等分し、コンタクトロールの両最端部を除く等分線の5箇所を測定して得られた値の平均値を求めることにより決定した。
【0060】
(DLC膜の体積抵抗率)
成膜処理を行ったロールの近傍に、SiO基板を隣接して設置しておき、第2層の成膜完了後、設置したSiO基板を取り出し、試験片を準備した。そして、第2層表面に電極(リングプローブ)を押し当て、表面抵抗率を測定した。表面抵抗率の測定には、三菱化学社製の抵抗率計(ハイレスターUX MCP-HT800)を使用し、25℃、60%RHの環境下で測定した。次に、後述するDLC膜の厚みtとの積で体積抵抗率を算出した。
【0061】
(DLC膜の厚み)
成膜処理を行ったロールの近傍に、マスクしたSiO基板を隣接して設置しておき、第2層の成膜完了後、設置したSiO基板を取り出し、そのマスク部と非マスク部の段差を測定して厚みtとした。段差は、以下の手順でSEM(走査式電子顕微鏡)により観察、測定した。先ず、非マスク部の第2層形成面と垂直方向に切り出したSiO基板を含む断面を、SEM((株)日立ハイテクノロジーズ製S-3400N形走査式電子顕微鏡)を用いて、線源LaB、加速電圧15kVで2万倍に拡大して画像を取得した。得られた画像の第1層と第2層の界面から第2層の表面までの垂直距離を、画像中の任意の5点に対して計測し、それらを平均して厚みとした。
【0062】
(DLC膜の元素比)
DLC膜中の炭素量と窒素量は、X線光電子分光法(XPS法)により定量した。軽元素の水素量は、弾性反跳粒子検出法(ERDA法)により定量した。ERDA法は、イオンビームを被膜表面に照射して、被膜からはじき出される水素を半導体検出器により検出し、被膜中の水素濃度を測定する方法である。なお、XPS法及びERDA法で用いた測定装置、測定条件は下記の通りとした。
<XPS法で用いた測定装置、測定条件>
・装置:“KRATOS”(登録商標) Nоva(島津製作所社製)
・励起X線:monochromatic AlKα
・X線出力:300W
・X線径:800μm
・光電子取り出し角度:45°
<ERDA法で用いた測定装置、測定条件>
・装置:HRBS500(神戸製鋼所製)
・入射イオンのエネルギー:480keV
・イオン種:N
・設定散乱角:30°
・入射角:試料表面の法線に対して70°
・電流:2nA
・照射量:1.6μC。
【0063】
(巻き上げたフィルムロールの評価)
・シワの発生有無
図3の巻取部を備えた巻取装置を用いて得たフィルムロールからフィルムを巻き出し、フリーテンション(フィルムの自重により垂直方向に垂らした状態)および3kg/mの荷重を付加し、シワの有無を確認した。なお、シワの確認は、750Luxの照明でフィルムを照らしながら、フィルムロール5周分に相当する長さを全て目視することにて行い、シワの判定は以下の基準で行った。
◎:フリーテンションでシワがなかった。
〇:フリーテンションでシワがあり、3kg/mのテンションでシワが消えた。
×:フリーテンションでシワがあり、3kg/mのテンションでもシワが消えなかった。
【0064】
・帯電欠点の発生有無
まず、図3の巻取部を備えた巻取装置を用いて得たフィルムロールからフィルムをロール1周分巻き出して幅方向と平行にカットした。次にカットしたフィルムの全面に汎用の黒色トナー液を散布し、帯電した部分を可視化した。帯電部と非帯電部はトナー付着有無によって見極めることができ、観察は全て目視にて行った。なお、帯電欠点の判定は以下の方法で行った。
〇:フィルムの全面にわたって、トナーの付着がなかった。
×:フィルムの局所部に、トナーの付着が観察された。
【0065】
・帯電量
キーエンス社製静電気測定器SK-H050を使用した。図3の巻取部を備えた巻取装置を用いて得たフィルムロールを、円周方向の位置を任意の位置で固定して幅方向を4等分し、ロール最端部を除く等分線の3箇所を、測定して得られた値の平均値を求めることにより決定した。なお、測定は25℃の温度下で100mmの測定距離で行った。
【0066】
(長期耐久性)
後述する実施例1~7、比較例2、3、5においてのみ、コンタクトロールを1ヶ月使用した後にコンタクトロールの表面粗さ、μ0と巻き上げたフィルムロールの評価を同様に実施した。
【0067】
[コンタクトロール]
各実施例、各比較例におけるコンタクトロール及び作製方法について、図面を参照しながら説明する。
【0068】
(コンタクトロールA:実施例1で使用)
面長(幅方向長さ)1.1m、直径120mmの、図2に示すような構成のコンタクトロールを作製した。コンタクトロール8の芯材9には鉄芯を、第1層10には硬度40°のクロロプレンゴム90質量%と導電性カーボンブラック10質量%を混合したものを使用した。芯材9に第1層10を形成したロールの表面を、人工皮革スエード(商品名:“エクセーヌ”(登録商標)(東レ株式会社製))で研磨し、続いてハロゲンを含む薬品で処理した。その後、図1に示すプラズマCVD法により、炭化水素系のガスと窒素系のガスを用いて1.0μmの厚みtで炭素70at%、水素22at%、窒素8at%のDLC膜(第2層11)を形成し、コンタクトロールAとした。コンタクトロールAの表面粗さは1.2μm、静摩擦係数μ0は0.21、体積抵抗率ρは3.9×10Ω・cmであった。なお、第2層の組成は、原料ガスにベンゼンと窒素を用い、目的の組成になるようガス流量比を適宜調整することにより行った。以下同様である。
【0069】
(コンタクトロールB:実施例2で使用)
第1層10に硬度60°のアクリロニトリルブタジエンゴム80質量%と導電性カーボンブラック20質量%を混合したものを使用し、第2層11の厚みtを0.2μm、炭素70at%、水素12at%、窒素18at%のDLC膜とした以外はコンタクトロールAと同様にしてコンタクトロールBを作製した。コンタクトロールBの表面粗さは0.5μm、μ0は0.27、ρは8.3×10Ω・cmであった。
【0070】
(コンタクトロールC:実施例3で使用)
第2層11の厚みtを0.5μm、成分構成を炭素70at%、水素30at%とした以外はコンタクトロールBと同様にしてコンタクトロールCを作製した。コンタクトロールCの表面粗さは0.5μm、μ0は0.27、ρは9.7×10Ω・cmであった。
【0071】
(コンタクトロールD:比較例1で使用)
tを1.5μmとした以外は、コンタクトロールAと同様にしてコンタクトロールDを作製した。コンタクトロールDのρは3.9×10Ω・cmであった。コンタクトロールDには、表面全体にわたって目視で確認が可能なクラックが発生しており、表面粗さ、μ0の評価は不可であった。
【0072】
(コンタクトロールE:比較例2で使用)
tを0.5μmとし、炭素70at%、水素20at%、シリコン10at%のDLC膜を形成した以外は、コンタクトロールBと同様にしてコンタクトロールEを作製した。コンタクトロールEの表面粗さは0.5μm、μ0は0.15、ρは6.2×1012Ω・cmであった。なお、第2層11の組成の調整は、原料ガスにメタンとテトラメチルシランを用い、目的の組成になるようガス流量比を適宜調整することにより行った。
【0073】
(コンタクトロールF:比較例3で使用)
第2層11を形成しなかったこと以外は、コンタクトロールAと同様にしてコンタクトロールFを作製した。コンタクトロールFの表面粗さは0.9μm、μ0は0.80、ρは2.7×10Ω・cmであった。
【0074】
(コンタクトロールG:比較例4で使用)
第1層10に硬度40°のアクリロニトリルブタジエンゴムを使用し、表面をブラスト加工したロールをコンタクトロールGとした。コンタクトロールGの表面粗さは1.7μm、μ0は0.30、ρは4.0×1010Ω・cmであった。
【0075】
(コンタクトロールH:実施例4で使用)
第2層11の成分構成を炭素70at%、水素28at%、窒素2at%とした以外はコンタクトロールAと同様にしてコンタクトロールHを作製した。コンタクトロールHの表面粗さは1.2μm、μ0は0.22、ρは4.8×10Ω・cmであった。
【0076】
(コンタクトロールI:実施例5で使用)
第2層11の成分構成を炭素70at%、水素7at%、窒素23at%とした以外はコンタクトロールAと同様にしてコンタクトロールIを作製した。コンタクトロールIの表面粗さは1.2μm、μ0は0.21、ρは7.1×10Ω・cmであった。
【0077】
(コンタクトロールJ:実施例6で使用)
第2層11の成分構成を炭素60at%、水素1at%、窒素39at%とした以外はコンタクトロールAと同様にしてコンタクトロールJを作製した。コンタクトロールJの表面粗さは1.2μm、μ0は0.21、ρは1.3×10Ω・cmであった。
【0078】
(コンタクトロールK:実施例7で使用)
tを0.8μmとした以外は、コンタクトロールBと同様にしてコンタクトロールKを作製した。コンタクトロールKの表面粗さは0.5μm、μ0は0.27、ρは8.9×10Ω・cmであった。
【0079】
(コンタクトロールL:比較例5で使用)
tを10.0μmとし、第2層11をフッ素樹脂とした以外は、コンタクトロールBと同様にしてコンタクトロールLを作製した。コンタクトロールLの表面粗さは0.5μm、μ0は0.40、ρは5.5×1011Ω・cmであった。
【0080】
[原料]
各実施例、各比較例におけるフィルムロールの製造には、以下の原料を用いた。
【0081】
(ポリエチレンテレフタレート)
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム四水和物0.3質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140~230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を0.5質量部(リン酸トリメチルとして0.025質量部)とリン酸二水素ナトリウム2水和物の5質量%エチレングリコール溶液を0.3質量部(リン酸二水素ナトリウム2水和物として0.015質量部)添加した。
【0082】
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達した後、反応内容物を重合装置へ移行した。
【0083】
移行後、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし、常圧に戻して重縮合反応を停止した後、冷水にストランド状に吐出して直ちにカッティングし、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのペレットを得た。
【0084】
(熱可塑性樹脂A)
平均粒径0.10μmの球状シリカ粒子を0.52質量%含有するポリエチレンテレフタレートのペレット(以下、マスターペレット1ということがある。)、実質粒子を含有しない上記ポリエチレンテレフタレートのペレット、及び耐熱性熱可塑性樹脂であるSABICイノベーティブプラスチック社製“ウルテム”(登録商標)1010(以下、単に耐熱性熱可塑性樹脂ということがある。)を、球状シリカ粒子と耐熱性熱可塑性樹脂の含有量がそれぞれ0.03質量%、4質量%となるように混合して熱可塑性樹脂Aを調製した。なお、マスターペレット1は、280℃に加熱されたベント式2軸押出機に、上記ポリエチレンテレフタレートのペレット95質量部と平均粒径0.10μmの球状シリカ粒子の10質量%水スラリー5質量部(球状シリカ粒子として0.5質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持して水分を除去することにより製造した。
【0085】
(熱可塑性樹脂B)
平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子を2.44質量%含有するポリエチレンテレフタレートのペレット(以下、マスターペレット2ということがある。)、平均粒径0.80μmの架橋ポリスチレン粒子を0.11質量%含有するポリエチレンテレフタレート(以下、マスターペレット3ということがある。)、実質粒子を含有しない上記ポリエチレンテレフタレートのペレット、及び耐熱性熱可塑性樹脂であるSABICイノベーティブプラスチック社製“ウルテム”(登録商標)1010(以下、単に耐熱性熱可塑性樹脂ということがある。)を、平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子、平均粒径0.80μmの架橋ポリスチレン粒子、及び耐熱性熱可塑性樹脂の含有量がそれぞれ0.21質量%、0.01質量%、4質量%になるように混合して熱可塑性樹脂Bを得た。なお、マスターペレット2は、280℃に加熱されたベント式2軸押出機に上記ポリエチレンテレフタレートのペレットを80質量部と平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリー20質量部(架橋ポリスチレン粒子として2質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持して水分を除去することにより製造した。マスターペレットの3は、280℃に加熱されたベント式2軸押出機に上記ポリエチレンテレフタレートのペレット95質量部と平均粒径0.80μmの架橋ポリスチレン粒子の2質量%水スラリー5質量部(架橋ポリスチレン粒子として0.1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去することにより製造した。
【0086】
[巻取装置]
図3に示す巻取装置を使用した。以下、具体的に説明する。巻き取り装置は、フィルムFを符号FDで示す方向に連続して走行させるフィルム搬送手段を有し、その一部は、回動可能な搬送ロール12である。巻取コア13は図示しない駆動手段により回転されることによりフィルムFを巻き取り、フィルムロール14を形成する。油圧シリンダ(図示せず)に連結された回転自在なコンタクトロール8は、油圧シリンダの作用によってフィルムロール14側へ付勢され、フィルムロール14に接圧する。さらに、コンタクトロール8とフィルムロール14の接触部に向けて、除電器がフィルムロールの幅方向全体にわたって配置されており、除電器はコロナ放電電極15とシールド電極16を有し、コロナ放電電極15は直流または交流の高電圧発生電源17に接続されている。
【0087】
[実施例1]
熱可塑性樹脂A(A層用原料)及び熱可塑性樹脂B(B層用原料)をそれぞれ160℃で8時間減圧乾燥した後、別々の押出機に供給し、275℃で溶融押出して繊維焼結ステンレスフィルター(濾過精度1.4μm)と粉末焼結ステンレスフィルター(濾過精度20μm)で濾過した後、矩形の2層用合流ブロックで積層厚み比(A層/B層)=7/1となるように積層した。その後、得られた溶融積層体を295℃に保った口金でシート状に成形して吐出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムにB層側がキャスティングドラムと接するように巻き付けて冷却固化し、未延伸積層フィルムを得た。この未延伸積層フィルムを逐次二軸延伸機により95℃で長手方向及び幅方向にそれぞれ3.5倍、トータル(面積倍率換算)で12.3倍延伸し、定長下にて205℃で3秒間熱処理した後、幅方向に2%の弛緩処理を施して二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。次いで、25℃に均一に冷却後、トリミング装置でフィルムの両端部を除去、オンライン厚さ計によりフィルム厚みを計測し、前述のコンタクトロールAを有する図3の巻取部を備える巻取装置に幅1mの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを供給して巻取速度200m/分、巻長を10000mとしてガラス繊維強化樹脂製の巻取コアに巻き取った。この際、フィルムのA層側がコンタクトロールと接するように巻き取り、コンタクトロールをフィルムロールに押し付ける圧力を300N/m、フィルムに付与する張力を200N/mとした。また、図3の巻取部に備えられる除電器はコロナ放電電極15として針状電極を具備するものを用い、高電圧発生電源に印加する電圧は4kV、除電距離は200mmとした。さらにエアーノズルにより風速10m/秒でエアーを供給した。このようにして、厚み5.0μm、A層側の表面粗さ3nm、B層側の表面粗さ6nmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロールを得た。評価結果を表1に示す。
【0088】
[実施例2~7,比較例1~5]
巻取装置のコンタクトロールを順にコンタクトロールB、C、H~K、D~G、Lとした以外は実施例1と同様に、二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロールを得た。評価結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
表中、第2層窒素量の「なし」は第2層を有するが窒素を含まないことを意味し、「-」は第2層自体が存在しないことを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明により、表面の平滑性が高いフィルムロールの製造においても、長期間にわたってフィルムロールのシワや静電気帯電を十分に軽減することができるコンタクトロールを提供することができる。また、本発明のコンタクトロールを使用することにより、巻き姿品位の良好なフィルムロールを得ることができる。さらに、フィルムと搬送ロールのすべりを防止する用途にも利用できる可能性がある。
【符号の説明】
【0092】
1:真空容器
2:真空排気機構
3:弾性ロール
4:回転駆動手段
5:プラズマ生成用電極
6:電源
7:ガス導入管
8:コンタクトロール
9:芯材
10:第1層(弾性体からなる層)
11:第2層(DLC、または窒素を含有するDLCからなる層)
12:搬送ロール
13:巻取コア
14:フィルムロール
15:コロナ放電電極
16:シールド電極
17:高電圧発生電源
F:フィルム
FD:フィルムの走行方向
図1
図2
図3