(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111915
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】LEMD1を標的とするがんワクチンおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20230803BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230803BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20230803BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20230803BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230803BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230803BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230803BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230803BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20230803BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230803BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C07K14/47
A61P35/00
A61P37/04
A61K48/00
A61K39/00 H
A61K39/39
A61K35/76
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023084035
(22)【出願日】2023-05-22
(62)【分割の表示】P 2020532714の分割
【原出願日】2018-12-13
(31)【優先権主張番号】62/598,612
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/598,329
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】チエン イェン
(72)【発明者】
【氏名】アナ スレイガー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー ガーマン
(72)【発明者】
【氏名】ニール クーチ
(57)【要約】
【課題】変異コンセンサスLEMD1抗原をコードする1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が本明細書に開示される。
【解決手段】変異コンセンサスLEMD1抗原をコードする1つ以上の核酸配列を含むベクター、組成物、およびワクチンを開示する。LEMD1発現腫瘍を有する対象の治療方法およびLEMD1発現腫瘍の予防方法を開示する。変異コンセンサスLEMD1抗原を開示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸分子であって、
(a)配列番号2のアミノ酸残基19~198をコードする核酸配列、
(b)配列番号4のアミノ酸残基19~84をコードする核酸配列、
(c)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271をコードする核酸配列、
(d)配列番号2のアミノ酸残基19~198を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(e)配列番号4のアミノ酸残基19~84を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(f)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(g)配列番号2のアミノ酸残基19~198と96%超同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(h)配列番号4のアミノ酸残基19~84と96%超同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(i)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(j)配列番号2のアミノ酸残基19~198と95.6%超同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(k)配列番号4のアミノ酸残基19~84と95.5%超同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、ならびに
(l)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項2】
核酸分子であって、
(a)配列番号1のヌクレオチド55~600、
(b)配列番号3のヌクレオチド55~258、
(c)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819、
(d)配列番号1のヌクレオチド55~600を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号3のヌクレオチド55~258を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、
(f)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、
(g)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である断片、
(h)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である断片、
(i)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である断片、
(j)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(k)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに
(l)配列番号1のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項3】
配列番号1、3、または5に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項5】
前記ベクターが、プラスミドまたはウイルスベクターである、請求項4に記載のベクター。
【請求項6】
前記核酸分子が、プロモーターおよびポリ-アデニル化シグナルから選択される調節要素に動作可能に連結される、請求項4に記載のベクター。
【請求項7】
前記プロモーターが、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)である、請求項6に記載のベクター。
【請求項8】
前記ポリ-アデニル化シグナルが、ウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)である、請求項6に記載のベクター。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか一項に記載の1つ以上の核酸分子または請求項5~8のいずれか一項に記載のベクターを含む、組成物。
【請求項10】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
タンパク質であって、
(a)配列番号2のアミノ酸残基19~198、
(b)配列番号4のアミノ酸残基19~84、
(c)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271、
(d)配列番号2のアミノ酸残基19~198の全長の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号4のアミノ酸残基19~84の全長の少なくとも90%を含む断片、
(f)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271の全長の少なくとも90%を含む断片、
(g)配列番号2のアミノ酸残基19~198と96%超同一であるアミノ酸配列、
(h)配列番号4のアミノ酸残基19~84と96%超同一であるアミノ酸配列、
(i)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(j)配列番号2のアミノ酸配列19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(j)配列番号4のアミノ酸配列19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに
(j)配列番号6のアミノ酸配列19~198および206~271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項12】
配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項13】
抗原を含むワクチンであって、前記抗原が、
(a)配列番号2のアミノ酸残基19~198、
(b)配列番号4のアミノ酸残基19~84、
(c)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271、
(d)配列番号2のアミノ酸残基19~198の全長の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号4のアミノ酸残基19~84の全長の少なくとも90%を含む断片、
(f)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271の全長の少なくとも90%を含む断片、
(g)配列番号2のアミノ酸残基19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列、
(h)配列番号4のアミノ酸残基19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列、
(i)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(j)配列番号2のアミノ酸配列19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(k)配列番号4のアミノ酸配列19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに
(l)配列番号6のアミノ酸配列19~198ならびに206および271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項14】
前記抗原が、
(a)配列番号1のヌクレオチド55~600、
(b)配列番号3のヌクレオチド55~258、
(c)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819、
(d)配列番号1のヌクレオチド55~600を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号3のヌクレオチド55~258を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、
(f)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、
(g)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である断片、
(h)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である断片、
(i)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である断片、
(j)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(k)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに
(l)配列番号1のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子によってコードされる、請求項13に記載のワクチン。
【請求項15】
核酸分子を含むワクチンであって、前記核酸分子が、配列番号1、3、または5に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む、ワクチン。
【請求項16】
核酸分子を含むワクチンであって、前記核酸分子が、それぞれ、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95.6%、95.5%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、ワクチン。
【請求項17】
前記核酸分子が、発現ベクターを含む、請求項15または16に記載のワクチン。
【請求項18】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項13~17のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項19】
アジュバントをさらに含む、請求項13~18のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項20】
前記アジュバントが、IL-12、IL-15、IL-28、またはRANTESである、請求項19に記載のワクチン。
【請求項21】
ペプチドを含むワクチンであって、前記ペプチドが、それぞれ、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95.6%、95.5%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項22】
ペプチドを含むワクチンであって、前記ペプチドが、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項23】
LEMD1発現がん性細胞を有する対象の治療方法であって、請求項13~22のいずれか一項に記載の治療有効量のワクチンを投与することを含む、方法。
【請求項24】
投与が、電気穿孔ステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
投与が、前記対象の1つ以上の部位で生じる、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
対象へのLEMD1発現がん性細胞のワクチン接種方法であって、液性免疫応答を誘導するのに有効な量の請求項13~22のいずれか一項に記載のワクチンを投与することを含む、方法。
【請求項27】
薬剤として使用するための、配列番号1、3、または5に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項28】
薬剤として使用するための、配列番号1のヌクレオチド55~600に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項29】
薬剤として使用するための、配列番号3のヌクレオチド55~258に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項30】
薬剤として使用するための、配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項31】
がんの治療において薬剤として使用するための、配列番号1、3、または5に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項32】
がんの治療において薬剤として使用するための、配列番号1のヌクレオチド55~600に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項33】
がんの治療において薬剤として使用するための、配列番号3のヌクレオチド55~258に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項34】
がんの治療において薬剤として使用するための、配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項35】
薬剤の調製において使用するための、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項36】
薬剤の調製において使用するための、配列番号2のアミノ酸残基19~198に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項37】
薬剤の調製において使用するための、配列番号4のアミノ酸残基19~84に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項38】
薬剤の調製において使用するための、配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項39】
がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項40】
がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、配列番号2のアミノ酸残基19~198に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項41】
がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、配列番号4のアミノ酸残基19~84に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項42】
がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月13日に出願された米国仮特許出願第62/598,329号および2017年12月14日に出願された米国仮特許出願第62/598,612号に対する優先権およびその利益を主張し、それらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。2018年12月12日に作成された該ASCIIのコピーは、104409_000449_sequence_listing.txtという名称であり、サイズは25,040バイトである。
【0003】
本発明は、LEMD1抗原およびそれをコードする核酸分子に関する。本発明は、そのようなLEMD1免疫原および/または核酸分子を含むワクチンにも関する。本発明はさらに、免疫応答を誘導し、LEMD1を発現するがん細胞もしくは腫瘍を予防し、かつ/またはそれを有する対象を治療するためのワクチンの使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
がんは、米国において、および世界的に依然として主な死亡原因である。がんワクチン市場は急速に成長している。有効な腫瘍ワクチンは、腫瘍の成長を阻止するために有用であり得、かつ/または進行がんの患者の標準治療のより有効で毒性が低い代替品として有用であり得る。がんと関連する抗原、したがって抗腫瘍ワクチンの標的はLEMD1である。
【0005】
LEMD1は、内核膜(INM)に局在する20kDのタンパク質である。これは核の機械的機能およびヘテロクロマチン構造化に関与する核ラミナと関連がある。LEMD1はそのLAP2-エメリン-MAN1(LEM)ドメインを特徴とし、初めは、DNA結合タンパク質である、自己統合因子に対する障壁(Barrier-to-Autointegration Factor)(BAF)への結合を付与するおよそ40個のアミノ酸の保存された球状モジュールであると記述された。
【0006】
BAF-DNA核タンパク質複合体は、ラミンと関連する核の再組立てに重要な役割を果たし、有糸分裂の終了時にクロマチンの脱凝縮を増強する。LEMD1の発現の増加は、急速に成長するがん細胞の有糸分裂に関与し得る。Yuki,D.et al.,Isolation of LEM Domain-Containing 1,a Novel Testis-specific Gene Expressed in Colorectal Cancers.Oncology reports 12,275-280(2004)。
6つのLEMD1アイソフォームがLEMD1A~LEMD1Fとして同定されている。
【0007】
がんの治療および予防のためのワクチンが関心のものである。しかしながら、腫瘍細胞抗原を標的とする既存のワクチンは、インビボでの不十分な抗原発現によって制限される。したがって、がんを予防および/または治療する、ならびにがんに罹患している対象における死亡率を低減するための安全かつ有効なワクチンおよびその使用方法の必要性が当該技術分野において残存する。
【発明の概要】
【0008】
(a)配列番号2のアミノ酸残基19~198をコードする核酸配列、(b)配列番号4のアミノ酸残基19~84をコードする核酸配列、(c)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271をコードする核酸配列、(d)配列番号2のアミノ酸残基19~198を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(e)配列番号4のアミノ酸残基19~84を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(f)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(g)配列番号2のアミノ酸残基19~198と95.6%超同一であるタンパク質をコードする核酸配列、(h)配列番号4のアミノ酸残基19~84と95.5%超同一であるタンパク質をコードする核酸配列、(i)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、(j)配列番号2のアミノ酸残基19~198と95.6%超同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(k)配列番号4のアミノ酸残基19~84と95.5%超同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、ならびに(l)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が本明細書に開示される。
【0009】
(a)配列番号1のヌクレオチド55~600、(b)配列番号3のヌクレオチド55~258、(c)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819、(d)配列番号1のヌクレオチド55~600を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号3のヌクレオチド55~258を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である断片、(h)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である断片、(i)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である断片、(j)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに(l)配列番号1のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が提供される。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1、3、または5に記載の核酸配列を含む。
【0010】
本明細書に記載される核酸分子も提供され、この核酸分子はプラスミドまたはベクターに組み込まれる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、プロモーターおよびポリ-アデニル化シグナルから選択される調節要素に動作可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、プロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)である。また他の実施形態では、ポリ-アデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)であり得る。またさらなる実施形態では、核酸分子は、ウイルスベクターに組み込まれ得る。
【0011】
本明細書に記載される1つ以上の核酸分子を含む組成物も開示される。いくつかの態様では、これらの組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0012】
(a)配列番号2のアミノ酸残基19~198、(b)配列番号4のアミノ酸残基19~84、(c)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271、(d)配列番号2のアミノ酸残基19~198の全長の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号4のアミノ酸残基19~84の全長の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271の全長の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号2のアミノ酸残基19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列、(h)配列番号4のアミノ酸残基19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列、(i)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、(j)配列番号2のアミノ酸配列19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号4のアミノ酸配列19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに(l)配列番号6のアミノ酸配列19~198ならびに206および271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質およびペプチドも本明細書に提供される。
【0013】
抗原を含むワクチンも本明細書に提供され、この抗原は、(a)配列番号2のアミノ酸残基19~198、(b)配列番号4のアミノ酸残基19~84、(c)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271、(d)配列番号2のアミノ酸残基19~198の全長の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号4のアミノ酸残基19~84の全長の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271の全長の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号2のアミノ酸残基19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列、(h)配列番号4のアミノ酸残基19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列、(i)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、(j)配列番号2のアミノ酸配列19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号4のアミノ酸配列19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに(l)配列番号6のアミノ酸配列19~198ならびに206および271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、ワクチンの抗原は、(a)配列番号1のヌクレオチド55~600、(b)配列番号3のヌクレオチド55~258、(c)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819、(d)配列番号1のヌクレオチド55~600を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号3のヌクレオチド55~258を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である断片、(h)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である断片、(i)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である断片、(j)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに(l)配列番号1のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子によってコードされる。
【0015】
核酸分子を含むさらなるワクチンが提供され、この核酸分子は、配列番号1、3、または5に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む。
【0016】
核酸分子を含むワクチンも本明細書に開示され、この核酸分子は、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、核酸分子は、発現ベクターであり得る。いくつかの実施形態では、ワクチンは、薬学的に許容される賦形剤またはアジュバントをさらに含む。
【0017】
ペプチドを含むワクチンも開示され、このペプチドは、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0018】
治療有効量の本明細書に記載のワクチンを投与することを含む、LEMD1発現がん性細胞を有する対象の治療方法も本明細書に提供される。
【0019】
対象へのLEMD1発現がん性細胞のワクチン接種方法は、液性免疫応答を誘導するのに有効な量の本明細書に記載されるワクチンを投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】合成コンセンサスLEMD1A(配列番号1)のアミノ酸19~198と天然ヒトLEMD1A(配列番号11)との配列アライメントである。
【
図1B】天然と合成コンセンサスのLEMD1Aとの間の配列同一性および相違を示す。
【
図2】合成コンセンサスLEMD1Aの略図である。
【
図3】pGX1431を生成するために用いられたクローニング戦略を図示する。
【
図4A】合成コンセンサスLEMD1F(配列番号4)のアミノ酸19~84と天然ヒトLEMD1F(配列番号12)との配列アライメントである。
【
図4B】天然と合成コンセンサスのLEMD1Fとの間の配列同一性および相違を示す。
【
図5】合成コンセンサスLEMD1Fの略図である。
【
図6】pGX1432を生成するために用いられたクローニング戦略を図示する。
【
図7】合成コンセンサスLEMD1AFの略図である。
【
図8】pGX1433を生成するために用いられたクローニング戦略を図示する。
【
図9】横紋筋肉腫細胞において、それぞれ構築物pGX1431、pGX1432、およびpGX1433から生成された合成コンセンサスLEMD1A、LEMD1F、およびLEMD1AFの発現を決定するためのウエスタンブロットを示す。
【
図10】細胞免疫応答を特徴付けするために使用されたフローサイトメトリーゲーティング戦略を示す。
【
図11A】それぞれ、合成コンセンサスLEMD1A、合成コンセンサスLEMD1F、および合成コンセンサスLEMD1AFの免疫原性をグラフにより図示する。
【
図11B】それぞれ、合成コンセンサスLEMD1A、合成コンセンサスLEMD1F、および合成コンセンサスLEMD1AFの免疫原性をグラフにより図示する。
【
図11C】それぞれ、合成コンセンサスLEMD1A、合成コンセンサスLEMD1F、および合成コンセンサスLEMD1AFの免疫原性をグラフにより図示する。
【
図12A】それぞれ、合成コンセンサスLEMD1A、合成コンセンサスLEMD1F、および合成コンセンサスLEMD1AFにより誘導されたCD4+T細胞の相対頻度をグラフにより図示する。
【
図12B】それぞれ、合成コンセンサスLEMD1A、合成コンセンサスLEMD1F、および合成コンセンサスLEMD1AFにより誘導されたCD4+T細胞の相対頻度をグラフにより図示する。
【
図12C】それぞれ、合成コンセンサスLEMD1A、合成コンセンサスLEMD1F、および合成コンセンサスLEMD1AFにより誘導されたCD4+T細胞の相対頻度をグラフにより図示する。
【
図12D】合成コンセンサスLEMD1Aおよび合成コンセンサスLEMD1Fにより誘導されたCD4+T細胞の相対頻度を比較する。
【
図12E】CD4+T細胞コンパートメントにおいて合成コンセンサスLEMD1A、LEMD1F、およびLEMD1AFにより誘導されたサイトカインプロファイルを図示する。
【
図13A】それぞれ、合成コンセンサスLEMD1A、合成コンセンサスLEMD1F、および合成コンセンサスLEMD1AFにより誘導された抗原特異的CD4+CD107a+T細胞の細胞溶解能力をグラフにより図示する。
【
図13B】それぞれ、合成コンセンサスLEMD1A、合成コンセンサスLEMD1F、および合成コンセンサスLEMD1AFにより誘導された抗原特異的CD4+CD107a+T細胞の細胞溶解能力をグラフにより図示する。
【
図13C】それぞれ、合成コンセンサスLEMD1A、合成コンセンサスLEMD1F、および合成コンセンサスLEMD1AFにより誘導された抗原特異的CD4+CD107a+T細胞の細胞溶解能力をグラフにより図示する。
【
図13D】合成コンセンサスLEMD1Aおよび合成コンセンサスLEMD1Fにより誘導されたCD4+CD107a+T細胞の相対頻度を比較する。
【
図13E】pGX1431、pGX1432、およびpGX1433によりCD4+CD107a+において誘導されたサイトカインプロファイルを図示する。
【
図14A】LEMD1A(合成コンセンサスpGX1431)、LEMD1F(合成コンセンサスpGX1432)、およびLEMD1AF(合成コンセンサスpGX1433)により誘導されたCD8+T細胞の相対頻度をグラフにより図示する。
【
図14B】LEMD1A(合成コンセンサスpGX1431)、LEMD1F(合成コンセンサスpGX1432)、およびLEMD1AF(合成コンセンサスpGX1433)により誘導されたCD8+T細胞の相対頻度をグラフにより図示する。
【
図14C】LEMD1A(合成コンセンサスpGX1431)、LEMD1F(合成コンセンサスpGX1432)、およびLEMD1AF(合成コンセンサスpGX1433)により誘導されたCD8+T細胞の相対頻度をグラフにより図示する。
【
図14D】合成コンセンサスLEMD1Aおよび合成コンセンサスLEMD1Fにより誘導されたCD8+T細胞の相対頻度を比較する。
【
図14E】CD8+T細胞コンパートメントにおける合成コンセンサスLEMD1A、LEMD1F、およびLEMD1AFにより誘導されたサイトカインプロファイルを図示する。
【
図15A】それぞれ、合成コンセンサスLEMD1A、合成コンセンサスLEMD1F、および合成コンセンサスLEMD1AFにより誘導された抗原特異的CD8+CD107a+T細胞の細胞溶解能力をグラフにより図示する。
【
図15B】それぞれ、合成コンセンサスLEMD1A、合成コンセンサスLEMD1F、および合成コンセンサスLEMD1AFにより誘導された抗原特異的CD8+CD107a+T細胞の細胞溶解能力をグラフにより図示する。
【
図15C】それぞれ、合成コンセンサスLEMD1A、合成コンセンサスLEMD1F、および合成コンセンサスLEMD1AFにより誘導された抗原特異的CD8+CD107a+T細胞の細胞溶解能力をグラフにより図示する。
【
図15D】合成コンセンサスLEMD1Aおよび合成コンセンサスLEMD1Fにより誘導されたCD8+CD107a+T細胞の相対頻度を比較する。
【
図15E】LEMD1A(合成コンセンサスpGX1431)、LEMD1F(合成コンセンサスpGX1432)、およびLEMD1AF(合成コンセンサスpGX1433)によりCD8+CD107a+において誘導されたサイトカインプロファイルを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、LEMD1抗原を含むワクチンに関する。LEMD1は、多くの腫瘍において発現される。したがって、ワクチンは、LEMD1を発現するがんまたはがんに基づく腫瘍のための治療を提供する。本発明のワクチンは、治療を必要とする対象のがんの特定の予防または治療のための特定のがん抗原の任意の組み合わせを提供することができる。
【0022】
組換えがん抗原の核酸およびそのコードされたアミノ酸配列を設計するための1つの様式は、天然がん抗原の全体的なアミノ酸配列において特定のアミノ酸を変更する変異を導入することによるものである。変異の導入によってがん抗原はそれほど変更されないため、哺乳類対象、好ましくはヒトまたはイヌ対象にわたって広く適用することはできないが、得られるアミノ酸配列が寛容を破壊するか、または免疫応答を生成するために外来抗原とみなされるには十分にそれを変更する。別の様式は、その対応する天然がん抗原に対して少なくとも85%および最大99%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%および最大98%の配列同一性、より好ましくは少なくとも93%および最大98%の配列同一性、またはさらにより好ましくは少なくとも95%および最大98%の配列同一性を有するコンセンサス組換えがん抗原を創出することであり得る。場合によっては、組換えがん抗原は、その対応する天然がん抗原に対して95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性である。天然がん抗原は、特定のがんまたはがん腫瘍と通常関連する抗原である。がん抗原によって、がん抗原のコンセンサス配列は、哺乳類種にわたって、もしくは種のサブタイプ内、またはウイルス株もしくは血清型にわたってもよい。いくつかのがん抗原は、野生型アミノ酸配列のがん抗原と大きく異ならない。いくつかのがん抗原は、種にわたって非常に異なるため、コンセンサス配列を生成することができない核酸/アミノ酸配列を有する。これらの場合では、その対応する天然がん抗原に対して少なくとも85%および最大99%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%および最大98%の配列同一性、より好ましくは少なくとも93%および最大98%の配列同一性、またはさらにより好ましくは少なくとも95%および最大98%の配列同一性を有する、寛容を破壊し、免疫応答を生成する組換えがん抗原が生成される。場合によっては、組換えがん抗原は、その対応する天然がん抗原に対して95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性である。前述のアプローチは、最終組換えがん抗原が上で考察された天然がん抗原のアミノ酸配列に対して類似性パーセントを有するように組み合わされ得る。
【0023】
LEMD1抗原は、異なる種または種内の異なるアイソフォームからのLEMD1の配列に由来するコンセンサスLEMD1抗原であり得、したがって、コンセンサスLEMD1抗原は非天然である。組換えLEMD1は、抗原特異的T細胞および/または高力価抗体応答を誘導し、それにより抗原を発現するがんまたは腫瘍に指向されるか、またはそれに対して反応性である免疫応答を誘導または誘発することができる。いくつかの実施形態では、誘導されたまたは誘発された免疫応答は、細胞性、液性、または細胞性および液性両方の免疫応答であり得る。いくつかの実施形態では、誘導されたまたは誘発された細胞性免疫応答には、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)の誘導または分泌が含まれ得る。他の実施形態では、誘導されたまたは誘発された免疫応答は、抗原を発現する腫瘍またはがんの成長を促進する1つ以上の免疫抑制因子、例えば、限定されないが、MHC提示を下方制御する因子、抗原特異的調節性T細胞(Tregs)を上方制御する因子、PD-L1、FasL、IL-10およびTFG-βなどのサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、免疫抑制細胞により産生された可溶性因子、CTLA-4、PD-1、MDSC、MCP-1、ならびに免疫チェックポイント分子を低減または阻害することができる。
【0024】
ワクチンは、PD-1およびPDL-1などのチェックポイント阻害剤に対する抗体とさらに組み合わされて、細胞性および液性両方の免疫応答の刺激を増加させることができる。抗PD-1または抗PDL-1抗体を使用することによって、PD-1またはPDL-1がT細胞および/またはB細胞応答を抑制するのを阻止する。全般的に、免疫系によって認識されるがん抗原を設計することにより、腫瘍細胞による他の形態の免疫抑制を克服するのを助け、これらのワクチンは、T細胞および/またはB細胞応答をさらに増加させるために、抑制または阻害療法(抗PD-1および抗-PDL-1抗体療法など)と組み合わせて使用することができる。
【0025】
定義
特に別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本文書が優先する。好ましい方法および材料が以下に記載されるが、本明細書に記載のものと類似のまたは同等の方法および材料を、本発明の実践または試験に使用することができる。本明細書に言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および例は、一例にすぎず、制限することを意図しない。本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、制限することを意図しない。
【0026】
本明細書で使用される「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有すること(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain)」、およびそれらの異形は、追加の作用または構造の可能性を除外しない変更可能移行句、用語、または語句であることが意図される。単数形「a」、「and」、および「the」は、文脈上そうでないと明確に指示されない限り複数の指示対象を含む。本開示は、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態または要素を「含む」、「からなる」、および「から本質的になる」他の実施形態も企図する。
【0027】
本明細書の数値範囲の列挙に関して、列挙される範囲の最小値および最大値と同程度の精度を有する各介在値は明示的に企図される。例えば、6~9の範囲に関して、6および9に加えて7および8という数字が企図され、6.0~7.0の範囲に関して、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0という数字が明示的に企図される。
【0028】
本明細書で使用される「アジュバント」は、本明細書に記載のDNAプラスミドおよびコード核酸配列によりコードされる抗原の免疫原性を増強するために、本明細書に記載のDNAプラスミドワクチンに添加される任意の分子を意味する。
【0029】
本明細書で使用される「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgA、IgD、もしくはIgEの抗体、またはその断片もしくは誘導体を意味し、Fab、F(ab’)2、Fd、および一本鎖抗体、ダイアボディ、二重特異性抗体、二機能性抗体、ならびにそれらの誘導体を含む。抗体は、所望のエピトープまたはそれに由来する配列に対して十分な結合特異性を呈する、哺乳動物の血清試料から単離された抗体、ポリクローナル抗体、親和性精製抗体、またはその任意の混合物であり得る。
【0030】
「抗原」は、配列番号2を含む変異されたLEMD1アミノ酸配列および配列番号2のアミノ酸残基19~198などの本明細書に記載の長さのその断片を有するタンパク質、バリアント、すなわち、本明細書に記載される配列番号2に対して同一性を有する配列を伴うタンパク質および本明細書に記載の長さを有するバリアントの断片、ならびにそれらの組み合わせを指す。「抗原」は、配列番号4を含む変異されたLEMD1アミノ酸配列および配列番号4のアミノ酸残基19~84などの本明細書に記載の長さのその断片を有するタンパク質、バリアント、すなわち、本明細書に記載される配列番号4に対して同一性を有する配列を伴うタンパク質および本明細書に記載の長さを有するバリアントの断片、ならびにそれらの組み合わせも指す。「抗原」は、配列番号6を含む変異されたLEMD1アミノ酸配列および配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271などの本明細書に記載の長さのその断片を有するタンパク質、バリアント、すなわち、本明細書に記載される配列番号6に対して同一性を有する配列を伴うタンパク質および本明細書に記載の長さを有するバリアントの断片、配列番号6、ならびにそれらの組み合わせも指す。抗原は、他のタンパク質からのものなどのシグナルペプチドを任意選択で含み得る。
【0031】
本明細書で使用される「コード配列」または「コード核酸」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味する。コード配列は、核酸が投与される対象または哺乳動物の細胞において発現を指向することができるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節要素に動作可能に連結された開始および終結シグナルをさらに含み得る。
【0032】
本明細書で使用される「補体」または「相補的」は、核酸がヌクレオチド間または核酸分子のヌクレオチド類似体間のワトソン-クリック(例えば、A-T/UおよびC-G)またはフーグスティーン塩基対を意味し得ることを意味する。
【0033】
本明細書で使用される、「コンセンサス」または「コンセンサス配列」は、異なる生物からの同じ遺伝子に対する複数の配列のアライメントの分析に基づいたポリペプチド配列を意味する。コンセンサスポリペプチド配列をコードする核酸配列を調製することができる。コンセンサス配列を含むタンパク質および/またはそのようなタンパク質をコードする核酸分子を含むワクチンを使用して、抗原に対して広範な免疫を誘導することができる。
【0034】
本明細書で使用される、「定電流」は、同じ組織に送達される電気パルスの持続期間にわたって、組織または該組織を定義する細胞が受信または経験する電流を記載する。電気パルスは、本明細書に記載の電気穿孔装置から送達される。本明細書に提供される電気穿孔装置はフィードバック要素を有する、好ましくは即時フィードバックを有するため、この電流は、電気パルスの寿命にわたって該組織において一定のアンペア数に保たれる。フィードバック要素は、パルスの持続期間全体を通して組織(または細胞)の抵抗を測定し、電気穿孔装置にその電気エネルギー出力を変更させる(例えば、電圧を増加させる)ため、同じ組織内の電流が電気パルス全体を通して(数マイクロ秒ほど)およびパルス間で一定に保たれる。いくつかの実施形態では、フィードバック要素はコントローラを備える。
【0035】
本明細書で使用される「電流フィードバック」または「フィードバック」は、交換可能に使用されてもよく、電極間の組織の電流を測定し、一定のレベルに電流を維持するためにEP装置によって送達されるエネルギー出力を適宜変更することを含む、提供される電気穿孔装置の能動応答を意味し得る。この一定レベルは、パルスシーケンスまたは電気治療の開始前にユーザによって予め調整される。フィードバックは、中の電気回路が電極間の組織の電流を継続的に監視し、その監視される電流(または組織内の電流)を予め調整した電流と比較し、継続的にエネルギー出力調整を行って、監視される電流を予め調整したレベルに維持することができるため、電気穿孔装置の電気穿孔構成要素、例えばコントローラによって達成され得る。フィードバックループは、アナログ閉ループフィードバックであるため、即時的であり得る。
【0036】
本明細書で使用される「分散電流」は、本明細書に記載の電気穿孔装置の様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを意味し得、このパターンは、電気穿孔される組織の任意のエリアの電気穿孔関連の熱ストレスの発生を最小限に抑えるか、好ましくは排除する。
【0037】
本明細書で交換可能に使用される「電気穿孔」、「電気透過処理」、または「電気運動増強」(「EP」)は、生体膜において微視的経路(細孔)を誘導するための膜貫通電場パルスの使用を意味し、それらの存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、および水などの生体分子が細胞膜の片側から反対側に通過することが可能になる。
【0038】
核酸配列に関して本明細書で使用される「断片」は、本明細書に開示の抗原と交差反応する哺乳動物において免疫応答を誘発することができるポリペプチドをコードする核酸配列またはその一部分を意味する。断片は、以下に記載のタンパク質断片をコードする様々なヌクレオチド配列の少なくとも1つから選択されるDNA断片であり得る。断片は、付加される異種シグナルペプチドを除く、以下に記載の核酸配列のうちの1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。断片は、以下に記載の核酸配列のうちの1つ以上の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得、加えて任意選択で、同一性パーセントを計算するときに含まれない異種シグナルペプチドをコードする配列を含む。断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドのコード配列をさらに含み得る。N末端メチオニンおよび/またはシグナルペプチドをコードするコード配列は、コード配列の断片に連結され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、断片は、以下に記載の核酸配列のうちの少なくとも1つの少なくとも20ヌクレオチド以上、少なくとも30ヌクレオチド以上、少なくとも40ヌクレオチド以上、少なくとも50ヌクレオチド以上、少なくとも60ヌクレオチド以上、少なくとも70ヌクレオチド以上、少なくとも80ヌクレオチド以上、少なくとも90ヌクレオチド以上、少なくとも100ヌクレオチド以上、少なくとも150ヌクレオチド以上、少なくとも200ヌクレオチド以上、少なくとも250ヌクレオチド以上、少なくとも300ヌクレオチド以上、少なくとも350ヌクレオチド以上、少なくとも400ヌクレオチド以上、少なくとも450ヌクレオチド以上、少なくとも500ヌクレオチド以上、少なくとも550ヌクレオチド以上、少なくとも600ヌクレオチド以上、少なくとも650ヌクレオチド以上、少なくとも700ヌクレオチド以上、少なくとも750ヌクレオチド以上を含み得る。
【0040】
ポリペプチド配列に関して「断片」または「免疫原性断片」は、本明細書に開示の抗原と交差反応する哺乳動物において免疫応答を誘発することができるポリペプチドを意味する。断片は、以下の様々なアミノ酸配列のうちの少なくとも1つから選択されるポリペプチド断片であり得る。コンセンサスタンパク質の断片は、付加される任意の異種シグナルペプチドを除く、コンセンサスタンパク質の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。断片は、以下に記載のアミノ配列のうちの1つ以上の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得、加えて任意選択で、同一性パーセントを計算するときに含まれない異種シグナルペプチドを含む。断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドをさらに含み得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、コンセンサスタンパク質の断片は、本明細書に開示のタンパク質配列の少なくとも20個以上のアミノ酸、少なくとも30個以上のアミノ酸、少なくとも40個以上のアミノ酸、少なくとも50個以上のアミノ酸、少なくとも60個以上のアミノ酸、少なくとも70個以上のアミノ酸、少なくとも80個以上のアミノ酸、少なくとも90個以上のアミノ酸、少なくとも100個以上のアミノ酸、少なくとも110個以上のアミノ酸、少なくとも120個以上のアミノ酸、少なくとも130個以上のアミノ酸、少なくとも140個以上のアミノ酸、少なくとも150個以上のアミノ酸、少なくとも160個以上のアミノ酸、少なくとも170個以上のアミノ酸、少なくとも180個以上のアミノ酸、少なくとも190個以上のアミノ酸、少なくとも200個以上のアミノ酸、少なくとも210個以上のアミノ酸、少なくとも220個以上のアミノ酸、少なくとも230個以上のアミノ酸、少なくとも240個以上のアミノ酸、少なくとも250個以上のアミノ酸、少なくとも260個以上のアミノ酸を含み得る。
【0042】
本明細書で使用される「遺伝子構築物」という用語は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。コード配列は、核酸分子が投与される対象の細胞において発現を指向することができるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節要素に動作可能に連結された開始および終結シグナルを含む。本明細書で使用される、「発現可能な形態」という用語は、対象の細胞に存在するとき、コード配列が発現されるようにタンパク質をコードするコード配列に動作可能に連結された必須調節要素を含有する遺伝子構築物を指す。
【0043】
本明細書で使用される「相同性」という用語は、相補性の程度を指す。部分的な相同性または完全な相同性(すなわち、同一性)が存在し得る。完全な相補性配列が標的核酸へハイブリダイズすることを少なくとも部分的に阻害する部分的な相補性配列は、「実質的に相同」という機能的用語を使用して表される。cDNAまたはゲノムクローンなどの二本鎖核酸配列に関して使用される場合、本明細書で使用される、「実質的に相同」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で二本鎖核酸配列の鎖にハイブリダイズすることができるプローブを指す。一本鎖核酸配列に関して使用される場合、本明細書で使用される、「実質的に相同」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で一本鎖核酸テンプレート配列にハイブリダイズすることができる(すなわち、その補体である)プローブを指す。
【0044】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において本明細書で使用される、「同一」または「同一性」は、配列が特定の領域にわたって同じである特定の割合の残基を有することを意味する。割合は、2つの配列を最適にアライメントし、特定の領域にわたって2つの配列を比較し、同一の残基が両配列で生じる位置の数を決定して一致した位置の数を得、一致した位置の数を特定の領域の位置の総数で割り、結果に100を掛けて配列同一性の割合を得ることにより計算することができる。2つの配列が異なる長さのものであるか、またはアライメントにより1つ以上の付着端が生じ、特定の比較領域が単一配列のみを含む場合、単一配列の残基は計算の分母に含まれるが、分子には含まれない。DNAおよびRNAを比較する場合、チミン(T)およびウラシル(U)は、同等とみなされ得る。同一性は、手動で、またはBLASTもしくはBLAST2.0などのコンピュータシーケンスアルゴリズムを使用することによって行うことができる。
【0045】
本明細書で使用される「インピーダンス」は、フィードバック機構を考察する場合に使用され得、オームの法則に従う電流値に変換され、したがって予め調整された電流と比較することができる。
【0046】
本明細書で使用される「免疫応答」は、抗原の導入に応答して、宿主の免疫系、例えば、哺乳動物の免疫系が活性化することを意味する。免疫応答は、細胞性もしくは液性応答の形態、またはその両方であり得る。
【0047】
本明細書で使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、一緒に共有結合された少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖の記述も相補鎖の配列を定義する。したがって、核酸は記述される一本鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くのバリアントが所与の核酸と同じ目的のために使用され得る。したがって、核酸は、実質的に同一の核酸およびその補体も包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズすることができるプローブを提供する。したがって、核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも包含する。
【0048】
核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であり得るか、または二本鎖および一本鎖両方の配列の一部分を含有し得る。核酸がデオキシリボ-およびリボ-ヌクレオチドの組み合わせ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン ヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含有し得る場合、核酸は、DNA、ゲノムおよびcDNAの両方、RNA、またはハイブリッドであり得る。核酸は、化学合成法または組換え法により得ることができる。
【0049】
本明細書で使用される「動作可能に連結される」は、遺伝子の発現が空間的に接続されるプロモーターの制御下にあることを意味する。プロモーターは、その制御下の遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置し得る。プロモーターと遺伝子との間の距離は、プロモーターが由来する遺伝子において、そのプロモーターと、それが制御する遺伝子との間の距離とほぼ同じであり得る。当該技術分野において既知であるように、この距離の変化は、プロモーターの機能を喪失することなく調整され得る。
【0050】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結された配列を意味し得、天然、合成、または天然および合成の修飾もしくは組み合わせであり得る。
【0051】
本明細書で使用される「プロモーター」は、細胞における核酸の発現を付与する、活性化する、または増強することができる合成または天然由来の分子を意味する。プロモーターは、細胞における核酸の発現をさらに増強し、かつ/または空間的発現および/もしくは時間的発現を変更するために、1つ以上の特異的転写調節配列を含み得る。プロモーターは、転写の開始部位から数千塩基対ほどに位置し得る遠位エンハンサーまたはリプレッサー要素も含み得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含む源に由来し得る。プロモーターは、発現が生じる細胞、組織、もしくは臓器に関して、または発現が生じる発達段階に関して、または生理的ストレス、病原体、金属イオン、もしくは誘導剤(inducing agent)などの外部刺激に応答して、構成的または差次的に遺伝子成分の発現を調節することができる。プロモーターの代表的な例としては、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター、またはSV40後期プロモーター、およびCMV IEプロモーターが挙げられる。
【0052】
「シグナルペプチド」および「リーダー配列」は、本明細書において交換可能に使用され、本明細書に記載のタンパク質のアミノ末端で連結され得るアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的には、タンパク質の局在化を指向する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質が産生される細胞からその分泌を容易することが好ましい。シグナルペプチド/リーダー配列は、細胞からの分泌時に、しばしば成熟タンパク質と称される、タンパク質の残りの部分から切断されることが多い。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のアミノ末端(すなわち、N末端)で連結される。
【0053】
本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、核酸の複雑な混合物などにおいて、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が第2の核酸配列(例えば、標的)にハイブリダイズする条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる状況において異なる。ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度pHで特異的配列の熱的融点(thermal melting point)(Tm)よりも約5~10℃低くなるように選択され得る。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が平衡で標的配列にハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pH、および核酸濃度下で)であり得る(標的配列は過剰で存在するため、Tmで、プローブの50%は平衡で占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度がpH7.0~8.3において約1.0M未満のナトリウムイオン、例えば、約0.01~1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度は、短いプローブについては(例えば、約10~50ヌクレオチド)少なくとも約30℃、そして長いプローブについては(例えば、約50ヌクレオチド超)少なくとも約60℃であるものであり得る。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤(destabilizing agent)の添加によっても達成することができる。選択的または特異的ハイブリダイゼーションに関して、正のシグナルは背景ハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であり得る。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は次を含む:50%ホルムアミド、5xSSC、および1%SDS、42℃でのインキュベート、または5xSSC、1%SDS、65℃でのインキュベート、65℃で0.2xSSC、および0.1%SDSで洗浄。
【0054】
本明細書で使用される「対象」は、本明細書に記載のワクチンで免疫化されることを望む、またはそれを必要とする哺乳動物を意味し得る。哺乳動物は、ヒト、チンパンジー、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、またはラットであり得る。
【0055】
本明細書で使用される「実質的に相補的」は、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、第2の配列の補体に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるか、または2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味する。
【0056】
本明細書で使用される「実質的に同一」は、第1および第2の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であること、または核酸に関して、第1の配列が第2の配列の補体と実質的に相補的であることを意味する。
【0057】
本明細書で使用される「治療する」、「治療」、または「治療すること」は、疾患を予防する、抑制する、阻止する、または完全に排除することにより疾患から動物を保護することを意味し得る。疾患の予防は、疾患の発症前に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。疾患の抑制は、疾患の誘導後であるが、その臨床的出現の前に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。疾患の阻止は、疾患の臨床的出現後に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。
【0058】
核酸に関して本明細書で使用される「バリアント」は、(i)参照ヌクレオチド配列の一部分もしくは断片、(ii)参照ヌクレオチド配列もしくはその一部分の補体、(iii)参照核酸またはその補体と実質的に同一である核酸、または(iv)ストリンジェントな条件下で、参照核酸、その補体、もしくはそれに実質的に同一の配列にハイブリダイズする核酸を意味する。
【0059】
ペプチドまたはポリペプチドに関して本明細書で使用される「バリアント」は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持しているペプチドまたはポリペプチドを意味する。バリアントは、少なくとも1つの生物学的活性を保持しているアミノ酸配列を有する参照タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質も意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を、類似する特性(例えば、荷電領域の親水性、程度、および分布)の異なるアミノ酸に置き換えることは、当該技術分野において典型的にわずかな変化を伴うと認識されている。これらのわずかな変化は、当該技術分野において理解されるように、一部、アミノ酸の疎水性親水性指数(hydropathic index)を考慮することによって同定され得る。Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸の疎水性親水性指数は、その疎水性および電荷を考慮することに基づく。類似する疎水性親水性指数のアミノ酸が置換され、尚もタンパク質機能を保持することができることは当該技術分野において既知である。一態様では、±2の疎水性親水性指数を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を使用して、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらすであろう置換を明らかにすることもできる。ペプチドの文脈において、アミノ酸の親水性を考慮することにより、抗原性および免疫原性と良好に相関することが報告されている有用な手段である、そのペプチドの最大局所平均親水性(greatest local average hydrophilicity)の計算が可能となる。米国特許第4,554,101号、参照により本明細書に完全に組み込まれる。類似する親水性値を有するアミノ酸を置換することにより、当該技術分野において理解されるように、生物学的活性、例えば免疫原性を保持するペプチドを得ることができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸で行うことができる。アミノ酸の疎水性親水性指数および親水性値の両方は、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響を受ける。その観察と一致して、生物学的機能と適合性のあるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、大きさ、および他の特性により明らかにされるように、アミノ酸の相対類似性および特にそれらのアミノ酸の側鎖に依存すると理解されている。
【0060】
バリアントは、完全な遺伝子配列の完全長またはその断片にわたって実質的に同一である核酸配列であり得る。核酸配列は、遺伝子配列の完全長またはその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。バリアントは、アミノ酸配列の完全長またはその断片にわたって実質的に同一であるアミノ酸配列であり得る。アミノ酸配列は、アミノ酸配列の完全長またはその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。
【0061】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製起点を含有する核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクターであり得、好ましくはDNAプラスミドである。ベクターは、1つ以上の異種核酸配列を含有するか、それを含み得る。
【0062】
ワクチン
本明細書に記載されるLEMD1抗原またはLEMD1抗原をコードする核酸を含むワクチンが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ワクチンは、本明細書に記載されるLEMD1抗原をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、アミノ酸をコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸分子は抗原をコードする。いくつかの実施形態では、核酸分子は、(a)配列番号1のヌクレオチド55~600、(b)配列番号3のヌクレオチド55~258、(c)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819、(d)配列番号1のヌクレオチド55~600を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号3のヌクレオチド55~258を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である断片、(h)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である断片、(i)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である断片、(j)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに(l)配列番号1のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。本発明のいくつかの実施形態では、核酸分子は、(a)配列番号2のアミノ酸残基19~198、(b)配列番号4のアミノ酸残基19~84、(c)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271、(d)配列番号2のアミノ酸残基19~198の全長の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号4のアミノ酸残基19~84の全長の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271の全長の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号2のアミノ酸残基19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列、(h)配列番号4のアミノ酸残基19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列、(i)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、(j)配列番号2のアミノ酸配列19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号4のアミノ酸配列19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに(l)配列番号6のアミノ酸配列19~198ならびに206および271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質およびペプチドをコードする。
【0063】
本開示のいくつかの態様では、ワクチンは抗原を含み、この抗原は、(a)配列番号2のアミノ酸残基19~198、(b)配列番号4のアミノ酸残基19~84、(c)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271、(d)配列番号2のアミノ酸残基19~198の全長の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号4のアミノ酸残基19~84の全長の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271の全長の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号2のアミノ酸残基19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列、(h)配列番号4のアミノ酸残基19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列、(i)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、(j)配列番号2のアミノ酸配列19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号4のアミノ酸配列19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに(l)配列番号6のアミノ酸配列19~198ならびに206および271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0064】
本開示のいくつかの態様では、ワクチンは核酸分子を含み、この核酸分子は、配列番号1、3、または5に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの態様では、ワクチンは核酸分子を含み、この核酸分子は、それぞれ、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95.6%、95.5%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態では、ワクチンに存在する核酸分子は、発現ベクターを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは薬学的に許容される賦形剤をさらに含み、いくつかの実施形態では、ワクチンは、実施形態のいくつかの態様では、IL-12、IL-15、IL-28、またはRANTESであり得るアジュバントをさらに含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、ワクチンはペプチドを含み、このペプチドは、それぞれ、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95.6%、95.5%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ワクチンはペプチドを含み、このペプチドは、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列を含む。
【0067】
ワクチンは、対象において、抗原に対して免疫応答を生成することが可能であり得る。免疫応答は、治療的または予防的免疫応答であり得る。
【0068】
ワクチンを使用して、がん、例えば、LEMD1を発現するがんまたは腫瘍を防ぐことができる。ワクチンは、LEMD1を発現する腫瘍を予防および/または治療するために、それを必要とする対象において使用することができる。ワクチンは、LEMD1に対しておよびLEMD1を発現する腫瘍に対して細胞性および/または抗体応答を誘導することができる。
【0069】
本明細書に記載されるがんワクチンの開発には、免疫系によって認識されず、自己抗原であるがん抗原、例えばLEMD1を同定することを含む。同定されたがん抗原は、免疫系によって認識されるために、自己抗原から外来抗原に変更される。自己から外来抗原に組換えがん抗原の核酸およびアミノ酸配列を再設計することにより、免疫系による抗原の寛容が破壊される。寛容を破壊するために、以下に記載されるように、いくつかの再設計手段ががん抗原に適用され得る。
【0070】
ワクチンの組換えがん抗原は、自己として認識されず、それにより寛容を破壊する。寛容の破壊は、抗原特異的T細胞および/または高力価抗体応答を誘導し、それにより抗原を発現するがんまたは腫瘍に指向されるか、またはそれに対して反応性である免疫応答を誘導または誘発することができる。いくつかの実施形態では、誘導されたまたは誘発された免疫応答は、細胞性、液性、または細胞性および液性両方の免疫応答であり得る。いくつかの実施形態では、誘導されたまたは誘発された細胞性免疫応答には、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)の誘導または分泌が含まれ得る。他の実施形態では、誘導されたまたは誘発された免疫応答は、抗原を発現する腫瘍またはがんの成長を促進する1つ以上の免疫抑制因子、例えば、限定されないが、MHC提示を下方制御する因子、抗原特異的調節性T細胞(Tregs)を上方制御する因子、PD-L1、FasL、IL-10およびTFG-βなどのサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、免疫抑制細胞により産生された可溶性因子、CTLA-4、PD-1、MDSC、MCP-1、ならびに免疫チェックポイント分子を低減または阻害することができる。
【0071】
ワクチンは、無腫瘍生存率(tumor free survival)を、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、および45%増加させることができる。ワクチンは、免疫化後、腫瘍量を、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%低減することができる。ワクチンは、骨髄由来サプレッサー細胞により分泌されるサイトカインである単球走化性タンパク質1(MCP-1)の増加を阻止または遮断することができる。ワクチンは、腫瘍生存率を、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%増加させることができる。
【0072】
ワクチンは、ワクチンを投与されない対象における細胞性免疫応答と比較して、ワクチンを投与された対象における細胞性免疫応答を、約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍増加させることができる。いくつかの実施形態では、ワクチンは、ワクチンを投与されない対象における細胞性免疫応答と比較して、ワクチンを投与された対象における細胞性免疫応答を、約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍増加させることができる。
【0073】
ワクチンは、ワクチンを投与されない対象におけるインターフェロンガンマ(IFN-γ)レベルと比較して、ワクチンを投与された対象におけるIFN-γレベルを、約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍増加させることができる。いくつかの実施形態では、ワクチンは、ワクチンを投与されない対象におけるIFN-γレベルと比較して、ワクチンを投与された対象におけるIFN-γレベルを、約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍増加させることができる。
【0074】
ワクチンはDNAワクチンであり得る。DNAワクチンは、米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号、および同第5,676,594号(参照により完全に本明細書に組み込まれる)に開示されている。DNAワクチンは、それが染色体に組み込まれるのを阻害する要素または試薬をさらに含み得る。
【0075】
ワクチンは、1つ以上のがん抗原のRNAであり得る。RNAワクチンは、細胞内に導入され得る。
【0076】
ワクチンは、弱毒化生ワクチン、抗原を送達するための組換えベクターを使用するワクチン、サブユニットワクチン、および糖タンパク質ワクチン、例えば、限定されないが、米国特許第4,510,245号、同第4,797,368号、同第4,722,848号、同第4,790,987号、同第4,920,209号、同第5,017,487号、同第5,077,044号、同第5,110,587号、同第5,112,749号、同第5,174,993号、同第5,223,424号、同第5,225,336号、同第5,240,703号、同第5,242,829号、同第5,294,441号、同第5,294,548号、同第5,310,668号、同第5,387,744号、同第5,389,368号、同第5,424,065号、同第5,451,499号、同第5,453,364号、同第5,462,734号、同第5,470,734号、同第5,474,935号、同第5,482,713号、同第5,591,439号、同第5,643,579号、同第5,650,309号、同第5,698,202号、同第5,955,088号、同第6,034,298号、同第6,042,836号、同第6,156,319号、および同第6,589,529号(各々参照により本明細書に組み込まれる)に記載のワクチンであり得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、ワクチンは分子アジュバントをさらに含み得、場合によっては、分子アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESであり得、場合によっては、分子アジュバントは、抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、抗プログラム死受容体-1(PD-1)、および抗リンパ球活性化遺伝子(LAG-3)を含むチェックポイント阻害剤である。いくつかの実施形態では、核酸ワクチンは分子アジュバントのコード配列をさらに含み得、場合によっては、分子アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESであり得、場合によっては、分子アジュバントは、抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、抗プログラム死受容体-1(PD-1)、および抗リンパ球活性化遺伝子(LAG-3)を含むチェックポイント阻害剤である。IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESのコード配列は、1つ以上の抗原のコード配列を含む1つ以上の核酸分子上に含まれ得る。IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESのコード配列は、別個のプラスミドなどの別個の核酸分子上に含まれ得る。
【0078】
本発明のワクチンは、ワクチン自体が病気もしくは死を引き起こさないように安全である、病気を防ぐ、中和抗体を誘導する、防御性T細胞受容体を誘導する、ならびに投与が容易であり、副作用が少なく、生物学的に安定であり、また用量あたりのコストが低いなど、有効なワクチンに求められる特徴を有し得る。ワクチンは、以下に考察されるがん抗原を含有することによりこれらの特徴のいくつかまたはすべてを達成することができる。
【0079】
ワクチンは、1つ以上の免疫チェックポイント分子の1つ以上の阻害剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤)をさらに含み得る。免疫チェックポイント分子は、以下により詳細に説明される。免疫チェックポイント阻害剤は、MHCクラスによる提示、T細胞による提示、および/もしくは分化、B細胞による提示および/もしくは分化、任意のサイトカイン、ケモカイン、または免疫細胞の増殖および/もしくは分化のためのシグナル伝達などの免疫系における任意の構成成分の抑制を阻止する任意の核酸またはタンパク質である。また以下により詳細に説明されるように、ワクチンは、PD-1およびPDL-1などのチェックポイント阻害剤に対する抗体とさらに組み合わされて、細胞性および液性両方の免疫応答の刺激を増加させることができる。抗PD-1または抗PDL-1抗体を使用することによって、PD-1またはPDL-1がT細胞および/またはB細胞応答を抑制するのを阻止する。
【0080】
抗原
上述のように、ワクチンは、LEMD1抗原またはLEMD1抗原をコードする核酸分子を含み得る。抗原は、LEMD1、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0081】
ワクチンは、LEMD1発現がんに罹患する対象を治療するために使用され得る。ワクチンは、LEMD1を発現するがんもしくは腫瘍を有する対象を治療するため、または対象のそのような腫瘍の発達を予防するためにも使用され得る。LEMD1抗原は、天然の「正常な」LEMD1遺伝子とは異なり、したがってLEMD1抗原発現腫瘍に対する療法または予防法を提供することができる。したがって、天然のLEMD1遺伝子とは異なるLEMD1抗原配列(すなわち、変異されたLEMD1遺伝子または配列)が本明細書に提供される。例えば、本開示のいくつかの態様は、配列番号1、3、または5に記載の核酸配列を含む核酸分子を含むワクチンを提供し、いくつかの態様は、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸分子を含むワクチンを提供する。核酸分子を含むワクチンのいくつかの態様では、核酸分子は、(a)配列番号1のヌクレオチド55~600、(b)配列番号3のヌクレオチド55~258、(c)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819、(d)配列番号1のヌクレオチド55~600を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号3のヌクレオチド55~258を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である断片、(h)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である断片、(i)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である断片、(j)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに(l)配列番号1のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。
【0082】
上述の異種配列を含む単離された核酸分子が提供される。上述の異種配列からなる単離された核酸分子が提供される。上述の異種配列を含む単離された核酸分子は、プラスミド、ウイルスベクター、および以下に記載される核酸分子の他の形態などのベクターに組み込まれ得る。LEMD1抗原をコードする核酸配列が本明細書に提供される。LEMD1抗原をコードするコード配列は、上述された配列を有する。
【0083】
上述の異種アミノ酸配列を含むタンパク質分子が提供される。上述の異種アミノ酸配列からなるタンパク質分子が提供される。上述の配列を有するタンパク質およびポリペプチドが本明細書に提供される。本開示のいくつかの実施形態は、(a)配列番号2のアミノ酸残基19~198、(b)配列番号4のアミノ酸残基19~84、(c)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271、(d)配列番号2のアミノ酸残基19~198の全長の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号4のアミノ酸残基19~84の全長の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271の全長の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号2のアミノ酸残基19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列、(h)配列番号4のアミノ酸残基19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列、(i)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、(j)配列番号2のアミノ酸配列19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号4のアミノ酸配列19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに(l)配列番号6のアミノ酸配列19~198ならびに206および271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質を提供する。
【0084】
タンパク質およびポリペプチドは、LEMD1抗原およびLEMD1免疫原と称され得る。LEMD1抗原は、LEMD1抗原を発現するがん細胞および腫瘍に対して免疫応答を誘発することができる。
【0085】
本発明の一態様では、コンセンサス抗原が以下のうちの1つ以上を有することを含む、改善された転写および翻訳を提供することが望ましい:転写を増加させるための低GC含有量リーダー配列、mRNA安定性およびコドン最適化、ならびに可能な限りシス作用性配列モチーフ(すなわち、内部TATAボックス)の排除。
【0086】
本発明のいくつかの態様では、以下のうちの1つ以上を有することを含む、複数の株にわたって広範な免疫応答を生成するコンセンサス抗原を生成することが望ましい:すべての利用可能な完全長配列の組み込み、各位置で最も一般的に生じるアミノ酸を利用するコンピュータが生成した配列、および株間での交差反応の増加。
【0087】
LEMD1抗原は、2つ以上の種に由来するコンセンサス抗原(または免疫原)配列であり得る。LEMD1抗原は、発現を改善するためのコンセンサス配列および/または修飾(複数可)を含み得る。修飾は、コドン最適化、RNA最適化、翻訳開始を増加させるためのコザック配列(例えば、GCC ACC)の追加、および/またはLEMD1抗原の免疫原性を増加させるための免疫グロブリンリーダー配列の追加を含み得る。LEMD1抗原は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、限定されないが、免疫グロブリンE(IgE)または免疫グロブリンG(IgG)シグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、LEMD1コンセンサス抗原は、ヘマグルチニン(HA)タグを含み得る。LEMD1コンセンサス抗原は、対応するコドン最適化LEMD1抗原よりも強く広範な細胞性および/または液性免疫応答を誘発するように設計され得る。
【0088】
LEMD1コンセンサス抗原は、1つ以上の変異を含み、それにより対応するコドン最適化LEMD1抗原よりも強く広範な細胞性および/または液性免疫応答を誘発することができる。
【0089】
LEMD1コンセンサス抗原は、配列番号2のアミノ酸残基19~198をコードする核酸の配列番号1のヌクレオチド55~600であり得る。いくつかの実施形態では、LEMD1コンセンサス抗原は、配列番号1に記載の核酸配列の全長にわたって、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態では、LEMD1コンセンサス抗原は、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。
【0090】
LEMD1コンセンサス抗原は、配列番号4のアミノ酸残基19~84をコードする核酸の配列番号3のヌクレオチド55~258であり得る。いくつかの実施形態では、LEMD1コンセンサス抗原は、配列番号3に記載の核酸配列の全長にわたって、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態では、LEMD1コンセンサス抗原は、配列番号4に記載のアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。
【0091】
LEMD1コンセンサス抗原は、配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271をコードする核酸の配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819であり得る。いくつかの実施形態では、LEMD1コンセンサス抗原は、配列番号5に記載の核酸配列の全長にわたって、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する核酸配列であり得る。他の実施形態では、LEMD1コンセンサス抗原は、配列番号6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列であり得る。
【0092】
LEMD1抗原は、発現を改善するための修飾を含み得る。修飾は、コドン最適化、RNA最適化、翻訳開始を増加させるためのコザック配列(例えば、GCC ACC)の追加、および/または抗原の免疫原性を増加させるための免疫グロブリンリーダー配列の追加を含み得る。LEMD1抗原は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、限定されないが、免疫グロブリンE(IgE)または免疫グロブリンG(IgG)シグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含み得る。
【0093】
LEMD1抗原は、エピトープを最適化するための修飾を含み得る。いくつかの実施形態では、そのような切断部位は、複数のLEMD1抗原配列間に挿入され得る。切断部位はフーリン切断部位であり得る。
【0094】
免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたワクチン
ワクチンは、1つ以上の免疫チェックポイント分子の1つ以上の阻害剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤)をさらに含み得る。免疫チェックポイント分子は、以下により詳細に説明される。免疫チェックポイント阻害剤は、MHCクラスによる提示、T細胞による提示、および/もしくは分化、B細胞による提示および/もしくは分化、任意のサイトカイン、ケモカイン、または免疫細胞の増殖および/もしくは分化のためのシグナル伝達などの免疫系における任意の構成成分の抑制を阻止する任意の核酸またはタンパク質である。
【0095】
そのような阻害剤は、核酸配列、アミノ酸配列、小分子、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸は、ペプチド結合により免疫チェックポイント阻害剤に連結されるリンカーまたはタグ配列をコードする追加の配列も含み得る。小分子は、低分子量、例えば800ダルトン未満の、酵素基質として機能し得る有機もしくは無機化合物、タンパク質もしくは核酸により結合されるリガンド(またはその類似体)、または生物学的プロセスの調節因子であり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせをコードする1つ以上の核酸配列であり得る。他の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0097】
1.免疫チェックポイント分子
免疫チェックポイント分子は、核酸配列、アミノ酸配列、小分子、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸は、ペプチド結合により免疫チェックポイント阻害剤に連結されるリンカーまたはタグ配列をコードする追加の配列も含み得る。小分子は、低分子量、例えば800ダルトン未満の、酵素基質として機能し得る有機もしくは無機化合物、タンパク質もしくは核酸により結合されるリガンド(またはその類似体)、または生物学的プロセスの調節因子であり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0098】
a.PD-1およびPD-L1
免疫チェックポイント分子は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、それらの断片、それらのバリアント、またはそれらの組み合わせであり得る。PD-1は、PDCD1遺伝子によってコードされる細胞表面タンパク質である。PD-1は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、T細胞およびプロB細胞上に発現され、したがって、これらの細胞の運命および/または分化に寄与する。特に、PD-1は、T細胞調節因子のCD28/CTLA-4ファミリーの1型膜タンパク質であり、T細胞受容体(TCR)シグナルを負に調節し、それにより免疫応答を負に調節する。PD-1は、CD8+T細胞応答を負に調節することができ、したがって、CD8媒介性細胞傷害性を阻害し、腫瘍成長を増強する。
【0099】
PD-1は、B7ファミリーのメンバーであるPD-L1およびPD-L2の2つのリガンドを有する。PD-L1は、LPSおよびGM-CSF治療に応答してマクロファージおよび樹状細胞(DC)上で、ならびにTCRおよびB細胞受容体シグナル伝達時にT細胞およびB細胞上で上方制御される。PD-L1は、骨髄腫、マスト細胞腫、および黒色腫を含む多くの腫瘍細胞株によって発現される。
【0100】
2.抗免疫チェックポイント分子抗体
上述のように、免疫チェックポイント阻害剤は抗体であり得る。抗体は、抗原(すなわち、上述の免疫チェックポイント分子)に結合するか、またはそれと反応し得る。したがって、抗体は、抗免疫チェックポイント分子抗体または免疫チェックポイント分子抗体とみなされ得る。抗体は、に含有される核酸配列によってコードされ得る。
【0101】
抗体は、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。重鎖ポリペプチドは、可変重鎖(VH)領域および/または少なくとも1つの定常重鎖(CH)領域を含み得る。少なくとも1つの定常重鎖領域は、定常重鎖領域1(CH1)、定常重鎖領域2(CH2)、および定常重鎖領域3(CH3)、ならびに/またはヒンジ領域を含み得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含み得る。他の実施形態では、重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含み得る。
【0103】
重鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得る。CDRセットは、VH領域の3つの超可変領域を含有し得る。重鎖ポリペプチドのN末端から始まり、これらのCDRは、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。重鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3は、抗原の結合または認識に寄与し得る。
【0104】
軽鎖ポリペプチドは、可変軽鎖(VL)領域および/または定常軽鎖(CL)領域を含み得る。軽鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得る。CDRセットは、VL領域の3つの超可変領域を含有し得る。軽鎖ポリペプチドのN末端から始まり、これらのCDRは、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。軽鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3は、抗原の結合または認識に寄与し得る。
【0105】
抗体は、相補性決定領域(「CDR」)への支持を提供し、互いに対してCDRの空間的関係を画定する重鎖と軽鎖フレームワーク(「FR」)セットとの間にそれぞれ挿入される、重鎖および軽鎖CDRセットを含み得る。CDRセットは、重鎖または軽鎖V領域の3つの超可変領域を含有し得る。重鎖または軽鎖のN末端から始まり、これらの領域は、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。したがって、抗原結合部位は、重鎖および軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含む、6つのCDRを含み得る。
【0106】
抗体は、免疫グロブリン(Ig)であり得る。Igは、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、およびIgGであり得る。免疫グロブリンは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含み得る。免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドは、VL領域およびCL領域を含み得る。
【0107】
加えて、タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に切断して、いくつかの断片をもたらし、そのうちの2つ(F(ab)断片)は各々、無傷抗原結合部位を含む共有結合ヘテロ二量体を含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、両方の抗原結合部位を含むいくつかの断片(F(ab’)2断片を含む)を提供することができる。したがって、抗体は、FabまたはF(ab’)2であり得る。Fabは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。Fabの重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含み得る。Fabの軽鎖は、VL領域およびCL領域を含み得る。
【0108】
抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であり得る。抗体は、キメラ抗体、一本鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体であり得る。ヒト化抗体は、非ヒト種からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する所望の抗原に結合する非ヒト種からの抗体であり得る。
【0109】
a.PD-1抗体
抗免疫チェックポイント分子抗体は、抗PD-1抗体(本明細書において「PD-1抗体」とも称される)、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。PD-1抗体はニボルマブであり得る。抗PD-1抗体は、PD-1活性を阻害し、それにより腫瘍またはがんに対する免疫応答を誘導、誘発、または増加させ、腫瘍成長を減少させることができる。
【0110】
b.PD-L1抗体
抗免疫チェックポイント分子抗体は、抗PD-L1抗体(本明細書において「PD-L1抗体」とも称される)、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。抗PD-L1抗体は、PD-L1活性を阻害し、それにより腫瘍またはがんに対する免疫応答を誘導、誘発、または増加させ、腫瘍成長を減少させることができる。
【0111】
ベクター
ワクチンは、LEMD1抗原をコードする異種核酸を含む1つ以上のベクターを含み得る。1つ以上のベクターが、哺乳動物において免疫応答を誘発するのに有効な量で抗原を発現することが可能であり得る。ベクターは、抗原をコードする異種核酸を含み得る。ベクターは、複製起点を含有する核酸配列を有し得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノムに組み込むベクターのいずれかであり得る。
【0112】
1つ以上のベクターは、特異的遺伝子を標的細胞に導入するために使用される、一般的にプラスミドである発現構築物であり得る。発現ベクターが細胞内に入ると、遺伝子によってコードされるタンパク質が細胞転写および翻訳機構リボソーム複合体によって産生される。プラスミドは、エンハンサーおよびプロモーター領域として機能し、発現ベクターで運ばれる遺伝子の効率的な転写をもたらす調節配列を含有するように頻繁に操作される。本発明のベクターは、大量の安定したメッセンジャーRNA、したがってタンパク質を発現する。
【0113】
ベクターは、強いプロモーター、強い終結コドン、プロモーターとクローニングされた遺伝子との間の距離の調整、ならびに転写終結配列およびPTIS(ポータブルな転写開始配列(portable translation initiation sequence))の挿入などの発現シグナルを有し得る。
【0114】
ベクターは、プロモーターおよびポリ-アデニル化シグナルから選択される調節要素に動作可能に連結される核酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、プロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)である。いくつかの実施形態では、ポリ-アデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)である。
【0115】
ベクターは、環状プラスミドまたは直鎖状核酸であり得る。環状プラスミドおよび直鎖状核酸は、適切な対象細胞において特定のヌクレオチド配列の発現を指向することができる。ベクターは、終結シグナルに動作可能に連結され得る抗原コードヌクレオチド配列に動作可能に連結されるプロモーターを有し得る。ベクターは、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列も含有し得る。関心のヌクレオチド配列を含むベクターはキメラであり得る、つまり、その構成成分のうちの少なくとも1つがその他の構成成分のうちの少なくとも1つに対して異種である。発現カセットにおけるヌクレオチド配列の発現は、宿主細胞がある特定の外部刺激に曝されるときにのみ転写を開始する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下にあってもよい。多細胞生物の場合、プロモーターはまた、特定の組織もしくは臓器または発達段階に特異的であってもよい。ベクターはプラスミドであり得る。プラスミドは、抗原をコードする核酸を細胞にトランスフェクトするのに有用であり得、形質転換された宿主細胞は、培養され、抗原の発現が起こる条件下で維持される。
【0116】
プラスミドは、抗原に対して免疫応答を誘発することができる合成のコンセンサス抗原、そのようなタンパク質の断片、そのようなタンパク質のバリアント、バリアントの断片、またはコンセンサスタンパク質および/もしくはコンセンサスタンパク質の断片および/もしくはコンセンサスタンパク質のバリアントおよび/もしくはバリアントコンセンサスタンパク質の断片の組み合わせで構成される融合タンパク質をコードするコード配列を含む、上に開示される様々な抗原のうちの1つ以上をコードする核酸配列を含み得る。
【0117】
単一のプラスミドは、単一の抗原のコード配列、2つの抗原のコード配列、3つの抗原のコード配列、または4つの抗原のコード配列を含有し得る。いくつかの実施形態では、プラスミドは、CCR20のみをコードするか、またはこれらのプラスミドの一部としてコード配列をさらに含み得る。同様に、プラスミドは、IL-12、IL-15、および/またはIL-28のコード配列をさらに含み得る。
【0118】
プラスミドは、コード配列の上流であり得る開始コドン、およびコード配列の下流であり得る終止コドンをさらに含み得る。開始および終結コドンは、コード配列とインフレームであり得る。
【0119】
プラスミドは、コード配列に動作可能に連結されるプロモーターも含み得る。コード配列に動作可能に連結されたプロモーターは、サルウイルス40(SV40)、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)の長い末端反復(LTR)プロモーターなどのヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、CMV最初期プロモーターなどのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターからのプロモーターであり得る。プロモーターはまた、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはヒトメタロチオネイン(metalothionein)などのヒト遺伝子からのプロモーターであってもよい。プロモーターはまた、天然または合成の、筋肉または皮膚特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターであってもよい。そのようなプロモーターの例は、米国特許出願公開第US2004/0175727号に記載されており、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0120】
プラスミドは、コード配列の下流であり得るポリアデニル化シグナルも含み得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)からのポリアデニル化シグナルであり得る。
【0121】
プラスミドは、コード配列の上流のエンハンサーも含み得る。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはCMV、FMDV、RSV、もしくはEBVからのものなどのウイルスエンハンサーであり得る。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、およびW094/016737に記載されており、各々の内容は参照により完全に組み込まれる。
【0122】
プラスミドは、プラスミドを染色体外で維持し、細胞においてプラスミドの複数コピーを産生するために、哺乳類の複製起点も含み得る。プラスミドは、Invitrogen(San Diego,CA)からのp V AXI、pCEP4、またはpREP4であってもよく、これは、組込むことなく高コピーのエピソーム複製を産生し得るエプスタイン・バーウイルス複製起点および核内抗原EBNA-1コード領域を含み得る。プラスミドの骨格はpA V0242であり得る。プラスミドは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであり得る。
【0123】
プラスミドは、プラスミドが投与される細胞における遺伝子発現によく適している可能性がある調節配列も含み得る。コード配列は、宿主細胞におけるコード配列のより効率的な転写を可能にし得るコドンを含み得る。
【0124】
コード配列は、Igリーダー配列も含み得る。リーダー配列は、コード配列の5’’であり得る。この配列によってコードされるコンセンサス抗原は、N末端Igリーダー、続いてコンセンサス抗原タンパク質を含み得る。N末端Igリーダーは、IgEまたはIgGであり得る。
【0125】
プラスミドはpSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これはEscherichia coli(E.coli)におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、YES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これは酵母のSaccharomyces cerevisiae株におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)のものであってもよく、これは昆虫細胞におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、pcDNA IまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif.)であってもよく、これはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類細胞におけるタンパク質産生に使用され得る。ベクターは、細胞ゲノムに組み込むことによって標的細胞を形質転換するか、または染色体外で存在し得る環状プラスミド(例えば、複製起点を有する自律複製プラスミド)であり得る。
【0126】
ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovax、または抗原をコードするDNAを発現し、細胞が配列を免疫系によって認識される抗原に翻訳することを可能にすることができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0127】
電気穿孔により対象に効率的に送達され、1つ以上の所望の抗原を発現することができる直鎖状核酸ワクチンまたは直鎖状発現カセット(「LEC」)も本明細書に提供される。LECは、任意のリン酸骨格を欠く任意の直鎖状DNAであり得る。DNAは、1つ以上の抗原をコードし得る。LECは、プロモーター、イントロン、終止コドン、および/またはポリアデニル化シグナルを含有し得る。抗原の発現はプロモーターにより制御され得る。LECは、任意の抗生物質耐性遺伝子および/またはリン酸骨格を含有しなくてもよい。LECは、所望の抗原遺伝子発現に無関係の他の核酸配列を含有しなくてもよい。
LECは、線状化することができる任意のプラスミドに由来し得る。プラスミドは、抗原を発現することが可能であり得る。プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)またはpM2(New Caledonia/99)であり得る。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovax、または抗原をコードするDNAを発現し、細胞が配列を免疫系によって認識される抗原に翻訳することを可能にすることができる任意の他の発現ベクターであり得る。LECはpcrM2であり得る。LECは、pcrNPであり得る。pcrNPおよびpcrMRは、それぞれ、pNP(Puerto Rico/34)およびpM2(New Caledonia/99)に由来し得る。
【0128】
ベクターはプロモーターを有し得る。プロモーターは、遺伝子発現を駆動し、単離された核酸の発現を調節することができる任意のプロモーターであり得る。そのようなプロモーターは、本明細書に記載の抗原配列を転写する、DNA依存性RNAポリメラーゼによる転写に必要なシス作用性配列要素である。異種核酸の発現を指向するために使用されるプロモーターの選択は、特定の用途に依存する。プロモーターは、ベクターがその天然環境において転写開始部位からであるため、ベクターの転写開始からほぼ同じ距離に位置し得る。しかしながら、この距離の変化は、プロモーターの機能を喪失することなく調整され得る。
【0129】
プロモーターは、転写物、リボソーム結合部位、および翻訳終結の効率的なポリアデニル化に必要な抗原およびシグナルをコードする核酸配列に動作可能に連結され得る。
【0130】
プロモーターは、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞において発現に有効であると示される別のプロモーターであり得る。
【0131】
ベクターは、機能的なスプライスドナーおよびアクセプター部位を有するエンハンサーおよびイントロンを含み得る。ベクターは、効率的な終結を提供するために、構造遺伝子の下流に転写終結領域を含有し得る。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得ることができるか、または異なる遺伝子から得てもよい。
【0132】
ベクターの調製方法
本明細書で考察されるLEMD1抗原をコードする核酸分子を含むベクターの調製方法が本明細書に提供される。哺乳類発現プラスミドへの最終的なサブクローニングステップ後、当該技術分野において既知の方法を使用して、ベクターを大規模な発酵タンクにおいて細胞培養物に播種するために使用することができる。
【0133】
以下により詳細に説明されるEP装置で使用するためのベクターは、既知の装置および技術の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは2007年5月23日に出願された利用許諾の同時係属中の米国仮特許出願第60/939,792号に記載されている最適化されたプラスミド製造技術を使用して製造される。いくつかの例では、これらの研究に使用されたDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。製造技術は、2007年7月3日に発行された利用許諾特許である米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、米国第60/939792号に記載されるものに加えて、当業者に一般的に既知である様々な装置およびプロトコルも含むか、またはそれらも組み込む。上記に参照される出願および特許、米国第60/939,792号および米国特許第7,238,522号はそれぞれ、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0134】
賦形剤およびワクチンの他の構成成分
ワクチンは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、担体、または希釈剤などの機能分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤はトランスフェクション促進剤であり得、これには、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、LPS類似体含有モノホスホリル脂質A、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレンおよびスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子などの界面活性剤、または他の既知のトランスフェクション促進剤が含まれ得る。
【0135】
トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む)、または脂質である。トランスフェクション促進剤はポリ-L-グルタメートであり、ポリ-L-グルタメートは、6mg/ml未満の濃度でワクチンに存在し得る。トランスフェクション促進剤は、界面活性剤、例えば、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、LPS類似体含有モノホスホリル脂質A、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレンおよびスクアレンなどの小胞も含み得、遺伝子構築物とともに投与されるヒアルロン酸も使用され得る。DNAプラスミドワクチンは、脂質、リポソーム(DNA-リポソーム混合物として、レシチンリポソームまたは当該技術分野において既知の他のリポソームを含む)(例えばW09324640を参照されたい)、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子などのトランスフェクション促進剤、または他の既知のトランスフェクション促進剤も含み得る。トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む)、または脂質である。ワクチンにおけるトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0136】
薬学的に許容される賦形剤は、1つ以上のアジュバントであり得る。アジュバントは、代替えのプラスミドにおいて発現されるか、またはワクチンにおいて上記のプラスミドと組み合わせてタンパク質として送達される他の遺伝子であり得る。1つ以上のアジュバントは、CCL20、α-インターフェロン(IFN-α)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、IL-28、MHC、CD80、CD86、IL-l、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-18、MCP-1、MIP-la、MIP-1~、IL-8、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DRS、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-I、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAPI、TAP2、欠失したシグナル配列をコードするシグナル配列またはコード配列を有し、任意選択でIgEからのものなどの異なるシグナルペプチド、もしくはIgEからのものなどの異なるシグナルペプチドをコードするコード配列を有するIL-15、およびそれらの機能断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、アジュバントは、1つ以上のタンパク質および/またはCCL-20、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、MEC、もしくはRANTESからなる群から選択されるタンパク質をコードする核酸分子であり得る。IL-12構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US1997/019502号および対応する米国出願第08/956,865号、ならびに2011年12月12日に出願された米国仮特許出願第61/569600号に開示されており、各々参照により本明細書に組み込まれる。IL-15構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US04/18962号および対応する米国出願第10/560,650号、ならびにPCT出願第PCT/US07/00886号および対応する米国出願第12/160,766号、ならびにPCT出願第PCT/USI0/048827号に開示されており、各々参照により本明細書に組み込まれる。IL-28構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US09/039648号および対応する米国出願第12/936,192号に開示されており、各々参照により本明細書に組み込まれる。RANTESおよび他の構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US1999/004332号および対応する米国出願第および09/622452号に開示されており、各々参照により本明細書に組み込まれる。RANTES構築物および配列の他の例は、PCT出願第PCT/US11/024098号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。RANTESおよび他の構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US1999/004332号および対応する米国出願第09/622452号に開示されており、各々参照により本明細書に組み込まれる。RANTES構築物および配列の他の例は、PCT出願第PCT/US11/024098号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。ケモカインCTACK、TECK、およびMEC構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US2005/042231号および対応する米国出願第11/719,646号に開示されており、各々参照により本明細書に組み込まれる。OX40および他の免疫調節剤の例は米国出願第10/560,653号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。DR5および他の免疫調節剤の例は、米国出願第09/622452号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
アジュバントとして有用であり得る他の遺伝子は、MCP-1、MIP-la、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、IL-22、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、およびそれらの機能断片をコードするものを含む。
【0139】
ワクチンは、1994年4月1日に出願された米国第021,579号(参照により完全に組み込まれる)に説明される遺伝子ワクチン促進剤をさらに含み得る。
【0140】
ワクチンは、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、または好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、またはより好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量で抗原およびプラスミドを含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、本発明によるワクチンは、約5ナノグラム~約1000マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約10ナノグラム~約800マイクログラムのDNAを含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約0.1~約500マイクログラムのDNAを含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約1~約350マイクログラムのDNAを含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000マイクログラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラムの抗原またはそのプラスミドを含有し得る。
【0141】
ワクチンは、使用される投与モードにより製剤化され得る。注射可能なワクチン医薬組成物は、減菌、発熱性物質不含、および微粒子不含(particulate free)であり得る。等張製剤または溶液を使用することができる。等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。ワクチンは、血管収縮剤(vasoconstriction agent)を含み得る。等張溶液は、リン酸緩衝食塩水を含み得る。ワクチンは、ゼラチンおよびアルブミンを含む安定剤をさらに含み得る。LGSまたはポリカチオンもしくはポリアニオンを含む安定剤は、製剤を長期間室温または周囲温度で安定させることができる。
【0142】
ワクチンの医薬組成物
ワクチンは、医薬組成物の形態であり得る。医薬組成物はワクチンを含み得る。医薬組成物は、約5ナノグラム(ng)~約10ミリグラム(mg)のDNAのワクチンを含み得る。いくつかの実施形態では、本発明による医薬組成物は、約25ng~約5mgのDNAのワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50ng~約1mgのDNAのワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.1~約500マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1~約350マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5~約250マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10~約200マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約15~約150マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20~約100マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約25~約75マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約30~約50マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約35~約40マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100~約200マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10マイクログラム~約100マイクログラムのDNAのワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20マイクログラム~約80マイクログラムのDNAのワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約25マイクログラム~約60マイクログラムのDNAのワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約30ng~約50マイクログラムのDNAのワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約35ng~約45マイクログラムのDNAのワクチンを含む。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物は、約0.1~約500マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物は、約1~約350マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物は、約25~約250マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物は、約100~約200マイクログラムのDNAのワクチンを含有する。
【0143】
いくつかの実施形態では、本発明による医薬組成物は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ngのDNAのワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895.900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000マイクログラムのDNAのワクチンを含み得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg以上のDNAのワクチンを含み得る。
【0144】
他の実施形態では、医薬組成物は、最大15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ng(これらの値を含む)のDNAのワクチンを含み得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最大1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895.900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000マイクログラム(これらの値を含む)のDNAのワクチンを含み得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最大1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg(これらの値も含む)のDNAのワクチンを含み得る。
【0145】
医薬組成物は、使用される投与モードにより製剤目的のための他の薬剤をさらに含み得る。医薬組成物が注射可能な医薬組成物である場合、それらは、減菌、発熱性物質不含、および微粒子不含である。等張製剤を使用することが好ましい。一般的に、等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。場合によっては、リン酸緩衝食塩水などの等張溶液が好ましい。安定剤としてはゼラチンおよびアルブミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、血管収縮剤が製剤に添加される。
【0146】
ワクチンは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、アジュバント、担体、または希釈剤などの機能分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であり得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む)、または脂質である。一実施形態では、トランスフェクション促進剤はポリ-L-グルタメートであり、より好ましくは、ポリ-L-グルタメートは、6mg/ml未満の濃度でワクチンに存在する。トランスフェクション促進剤は、界面活性剤、例えば、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、LPS類似体含有モノホスホリル脂質A、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレンおよびスクアレンなどの小胞も含み得、遺伝子構築物とともに投与されるヒアルロン酸も使用され得る。いくつかの実施形態では、トランスフェクション促進剤は、脂質、リポソーム(DNA-リポソーム混合物として、レシチンリポソームまたは当該技術分野において既知の他のリポソームを含む)(例えばW09324640を参照されたい)、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤を含み得る。ワクチンにおけるトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満であり得る。
【0148】
薬学的に許容される賦形剤は、アジュバントであり得る。アジュバントは、1つ以上の代替えのプラスミドにおいて発現されるか、またはワクチンにおいて上記のプラスミドと組み合わせてタンパク質として送達される他の遺伝子であり得る。アジュバントは、α-インターフェロン(IFN-α)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、MHC、CD80、CD86(欠失したシグナル配列を有し、任意選択でIgEからのシグナルペプチドを含むIL-15を含む)からなる群から選択され得る。アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、またはそれらの組み合わせであり得る。例示的な実施形態では、アジュバントはIL-12である。
【0149】
有用なアジュバントであり得る他の遺伝子は、MCP-1、MIP-la、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、およびそれらの機能断片をコードするものを含む。
【0150】
ワクチン接種方法
上述の医薬製剤を使用して、LEMD1発現がんを治療および/または予防するための方法が本明細書に提供される。対象におけるがんの治療および/または予防に上述の医薬製剤を使用する方法も本明細書に記載される。対象にワクチン接種する方法も本明細書に記載される。本明細書に記載の医薬製剤を、それを必要する対象に投与する方法も本明細書に記載される。本明細書に記載の医薬製剤を使用する治療方法と集合的に称される本明細書に記載の方法は、治療的および/または予防的免疫応答を誘導するために、本明細書に記載される1つ以上のワクチンを、それを必要とする対象に投与することを含み得る。ワクチンは、対象の免疫系の活性を調節し、免疫応答を増強するために対象に投与され得る。ワクチンの投与は、細胞において発現され、細胞の表面に送達されると、免疫系が認識して、細胞性、液性、または細胞性および液性応答を誘導する核酸分子としての本明細書に開示されるがん抗原のトランスフェクションであり得る。ワクチンの投与は、本明細書で考察されるワクチンを対象に投与することにより、対象において、本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上に対して免疫応答を誘導または誘発するために使用され得る。
【0151】
ワクチンは、対象の免疫系の活性を調節するために対象に投与され、それにより免疫応答を増強させることができる。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。哺乳動物にワクチンを投与し、それによりベクターを哺乳動物の細胞に導入すると、トランスフェクトされた細胞が本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上を発現および分泌する。これらの分泌されたタンパク質または合成抗原は、1つ以上のがん抗原に対して作られた抗体、および特異的に1つ以上のがん抗原に対するT細胞応答を含み得る免疫応答を開始する免疫系により異物として認識される。いくつかの例では、本明細書で考察されるワクチンをワクチン接種された哺乳動物は、抗原刺激を受けた(primed)免疫系を有し、本明細書に開示される1つ以上のがん抗原を接種された場合、抗原刺激を受けた免疫系は、液性、細胞性、または細胞性および液性両方の免疫応答によるものかにかかわらず、本明細書に開示される後のがん抗原を迅速に除去することができる。
【0152】
ワクチンのDNAの投与方法は、米国特許第4,945,050号および同第5,036,006号に記載されており、その両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0153】
ワクチンを哺乳動物に投与して、哺乳動物において免疫応答を誘発することができる。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、アンテロープ、バイソン、水牛、ウシ、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、そして好ましくはヒト、ウシ、またはブタであり得る。ワクチンは同様に、免疫応答を誘発するために、非哺乳動物対象、例えば、ニワトリに投与され得る。
【0154】
ワクチンの用量は、時間あたりの1キログラム(kg)体重あたり1マイクログラム~10mgの活性成分(成分/kg体重/時間)であり得、20マイクログラム~10mg成分/kg体重/時間であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のためのワクチン投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の投与であり得る。
【0155】
ワクチンにより免疫応答を生成する方法
ワクチンを使用して、治療的または予防的免疫応答を含む、哺乳動物または非哺乳動物対象において免疫応答を生成することができる。免疫応答は、本明細書に開示される1つ以上のがん抗原に指向される抗体および/またはキラーT細胞を生成することができる。そのような抗体およびT細胞は単離され得る。
【0156】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上に対して免疫応答を生成する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態は、上述のがん抗原のうちの1つ以上を発現するがんまたは腫瘍に対して対象に予防的にワクチン接種する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを投与することを含む。いくつかの実施形態は、がん抗原のうちの1つ以上を発現するがんまたは腫瘍に罹患している対象に治療的にワクチン接種する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを投与することを含む。ワクチンの投与前に本明細書に開示される1つ以上のがん抗原を発現するがんまたは腫瘍の診断は、日常的に行うことができる。
【0157】
ワクチンによりがんを治療する方法
ワクチンを使用して、哺乳動物またはそれを必要とする対象のがんまたは腫瘍(例えば、HPV媒介性がん、卵巣上皮癌、黒色腫、頭頸部癌、子宮頸癌、肝臓癌、前立腺癌、血液癌、食道扁平上皮癌、胃癌)に反応性であるか、またはそれに指向される、哺乳動物における免疫応答を生成または誘発することができる。誘発された免疫応答は、がんまたは腫瘍成長を阻止することができる。
【0158】
誘発された免疫応答は、がん性または腫瘍細胞の転移を阻止、かつ/または低減することができる。したがって、ワクチンは、ワクチンを投与された哺乳動物または対象におけるがんまたは腫瘍を治療および/または予防する方法において使用され得る。治療されるがんまたは腫瘍に基づく成長は、限定されないが、結腸直腸癌などの任意の種類のがんであり得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、投与されたワクチンは、(1)単球走化性タンパク質-1(MCP-1)の産生を遮断する抗体を生成し、それにより骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)を遅延し、腫瘍成長を抑制するB細胞応答による液性免疫、(2)腫瘍細胞を攻撃し、殺傷するCD8+などの細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の増加、(3)Tヘルパー細胞応答の増加、(4)ならびにIFN-γおよびTFN-αによる炎症応答の増加、または好ましくは前述のすべてを誘導することにより、腫瘍細胞のクリアランスを媒介するか、またはその成長を阻止することができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、免疫応答は、ワクチンを投与された対象において、様々な組織または系(例えば、脳または神経系など)に損傷を与えないか、またはその炎症を引き起こさない液性免疫応答および/または抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を生成することができる。
【0161】
いくつかの実施形態では、投与されたワクチンは、対象の生存率を増加させるか、腫瘍量を低減するか、またはそれらの組み合わせであり得る。ワクチンの投与により、対象の無腫瘍生存率を、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%増加させることができる。ワクチンの投与により、免疫化後の対象において、腫瘍量を、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、および70%低減することができる。ワクチンの投与により、ワクチンを投与されない対象における細胞性免疫応答と比較して、LEMD1媒介性腫瘍発生および/または腫瘍進行を阻止および遮断することができる。ワクチンは、骨髄由来サプレッサー細胞により分泌されるサイトカインである単球走化性タンパク質1(MCP-1)の増加を阻止または遮断することができる。ワクチンは、腫瘍生存率を、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%増加させることができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、がん性もしくは腫瘍細胞または組織を標的とする抗原特異的免疫応答を確立して、ワクチンを投与された対象において、損傷を与える、または病気もしくは死を引き起こすことなく、1つ以上のがん抗原を発現するがんまたは腫瘍を除去または排除するために、末梢に投与され得る(以下により詳細に説明される)。
【0163】
ワクチンの投与により、ワクチンを投与されない対象における細胞性免疫応答と比較して、対象における細胞性免疫応答を、約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍増加させることができる。いくつかの実施形態では、ワクチンの投与により、ワクチンを投与されない対象における細胞性免疫応答と比較して、対象における細胞性免疫応答を、約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍増加させることができる。
【0164】
ワクチンの投与は、ワクチンを投与されない対象における細胞性免疫応答と比較して、対象におけるインターフェロンガンマ(IFN-γ)レベルを、約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍増加させることができる。いくつかの実施形態では、ワクチンの投与は、ワクチンを投与されない対象における細胞性免疫応答と比較して、対象におけるIFN-γレベルを、約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍増加させることができる。
【0165】
ワクチンの用量は、時間あたりの1キログラム(kg)体重あたり1マイクログラム~10mgの活性成分(成分/kg体重/時間)であり得、20マイクログラム~10mg成分/kg体重/時間であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のためのワクチン投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の投与であり得る。
【0166】
投与経路
ワクチンまたは医薬組成物は、経口、非経口、舌下、経皮的、直腸に、経粘膜的、局所的、吸入により、頬側投与により、胸膜内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内 くも膜下腔内、および/もしくは関節内を含む異なる経路により、またはそれらの組み合わせにより投与され得る。獣医学的使用において、本組成物は、通常の獣医学的実践に従い、好適に許容可能な製剤として投与され得る。獣医は、特定の動物に最も適切な投与レジメンおよび投与経路を容易に決定することができる。ワクチンは、従来の注射器、無針注射装置、「微粒子衝撃遺伝子銃(microprojectile bombardment gene guns)」、または電気穿孔法(「EP」)、「流体力学法」、もしくは超音波などの他の物理的方法により投与され得る。
【0167】
ワクチンのベクターは、インビボ電気穿孔、リポソーム媒介トランスフェクション、ナノ粒子促進トランスフェクション(nanoparticle facilitated transfection)を伴うまたは伴わないDNA注射(DNA injection)(DNAワクチン接種とも称される)を含む、いくつかの周知の技術により哺乳動物に投与され、組換えアデノウイルス、組換えアデノウイルス随伴ウイルス、および組換えワクシニアなどの組換えベクターを使用することができる。ワクチンの1つ以上のがん抗原がインビボ電気穿孔とともにDNA注射により投与され得る。
【0168】
電気穿孔法
ワクチンまたは医薬組成物は、電気穿孔法により投与され得る。電気穿孔法によるワクチンの投与は、可逆性細孔を細胞膜において形成させるのに有効なエネルギーのパルスを哺乳動物の所望の組織に送達するように構成され得る電気穿孔装置を使用して達成することができ、好ましくは、エネルギーのパルスは、ユーザによって入力される予め調整された電流と同等の定電流である。電気穿孔装置は、電気穿孔構成要素および電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを備え得る。電気穿孔構成要素は、コントローラ、電流波形発生装置、インピーダンステスター、波形ロガー、入力素子、ステータス報告要素、通信ポート、メモリー構成要素、電源、および電源スイッチを含む、電気穿孔装置の様々な要素のうちの1つ以上を含み、かつそれらを組み込むことができる。電気穿孔は、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを容易にするために、インビボ電気穿孔装置、例えば、CELLECTRA(登録商標)EPシステム(Inovio Pharmaceuticals,Inc.,Blue Bell,PA)またはElgenエレクトロポレーター(electroporator)(Inovio Pharmaceuticals,Inc.)を使用して達成され得る。
【0169】
本発明のDNAワクチンの投与を容易にし得る電気穿孔装置および電気穿孔方法の例には、Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらにより提出された米国特許公開第2005/0052630号に記載されているものが含まれ、これらの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。DNAワクチンの投与を容易にするために使用され得る他の電気穿孔装置および電気穿孔方法は、2007年10月17日に出願された同時係属中および共有の米国特許出願第11/874072号(米国特許法第119条(e)の下、2006年10月17日に出願された米国仮特許出願第60/852,149号および2007年10月10日に出願された同第60/978,982号に対して利益を主張する)に提供されるものを含み、これらのすべてはそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0170】
Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号は、身体または植物の選択された組織の細胞に生体分子を導入するのを容易にするためのモジュール電極システムおよびそれらの使用を説明している。モジュール電極システムは、複数の針電極、皮下針、プログラム可能な定電流パルスコントローラから複数の針電極への導電的連結を提供する電気コネクタ、および電源を備え得る。オペレーターは、支持構造に載置される複数の針電極を把持し、それらを身体もしくは植物の選択された組織にしっかりと挿入することができる。次に、生体分子を、皮下針により選択された組織内に投与する。プログラム可能な定電流パルスコントローラを作動させ、定電流電気パルスを複数の針電極に適用する。適用された定電流電気パルスは、生体分子を、複数の電極間の細胞に導入するのを容易にする。米国特許第7,245,963号の全容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0171】
Smithらにより提出された米国特許公開第2005/0052630号は、身体または植物の選択された組織の細胞に生体分子を導入するのを効果的に容易にするために使用することができる電気穿孔装置を説明している。電気穿孔装置は、操作がソフトウェアまたはファームウェアによって指定される動電装置(「EKD装置」)を備える。EKD装置は、ユーザ制御に基づいた一連の電極とパルスパラメータの入力との間に一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを作り出し、電流波形データの保存および取得を可能にする。電気穿孔装置は、一連の針電極を有する交換可能な電極ディスク、注射針用の中央注射チャネル、および着脱可能なガイドディスクも備える。米国特許公開第2005/0052630号の全容は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0172】
米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/0052630号に説明される電極アレイおよび方法は、筋肉などの組織だけでなく他の組織または臓器にも深く浸透させるのに適応し得る。電極アレイの構成により、注射針(s)は標的臓器にも完全に挿入され、注射は電極によって予め描かれたエリアの標的組織に垂直に投与される。米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/005263号に説明される電極は、好ましくは20mm長および21ゲージである。
【0173】
加えて、電気穿孔装置およびその使用を組み込むいくつかの実施形態において企図される、以下の特許:1993年12月28日に発行された米国特許第5,273,525号、2000年8月29日に発行された米国特許第6,110,161号、2001年7月17日に発行された同第6,261,281号、および2005年10月25日に発行された同第6,958,060号、ならびに2005年9月6日に発行された米国特許第6,939,862号に記載されるものの電気穿孔装置がある。さらに、様々な装置のいずれかを使用したDNAの投与に関係する2004年2月24日に発行された米国特許第6,697,669号、およびDNAを注射する方法が注目された2008年2月5日に発行された米国特許第7,328,064号に提供される主題を網羅する特許が、本明細書に企図される。上記の特許は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0174】
ワクチンの調製方法
本明細書に考察されるワクチンを含むDNAプラスミドの調製方法が本明細書において提供される。哺乳類発現プラスミドへの最終的なサブクローニングステップ後、当該技術分野において既知の方法を使用して、DNAプラスミドを大規模な発酵タンクにおいて細胞培養物に播種するために使用することができる。
【0175】
本発明のEP装置で使用するためのDNAプラスミドは、既知の装置および技術の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは2007年5月23日に出願された米国公開出願第2009/0004716号に記載されている最適化されたプラスミド製造技術を使用して製造される。いくつかの例では、これらの研究に使用されたDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。製造技術は、2007年7月3日に発行された利用許諾特許である米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、米国第60/939792号に記載されるものに加えて、当業者に一般的に既知である様々な装置およびプロトコルも含むか、またはそれらを組み込む。上記に参照される出願および特許、米国第60/939,792号および米国特許第7,238,522号はそれぞれ、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0176】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって図示される多くの態様を有する。
【実施例0177】
本発明は、以下の実施例においてさらに図示される。これらの実施形態は、本発明の好ましい実施形態を示すが、単に実例として示されることを理解するべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および修正を行って、様々な使用および条件に適応させることができる。したがって、本明細書に示され記載されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような修正も、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【0178】
実施例1
コンセンサスLEMD1
コンセンサスLEMD1A
ヒトコンセンサスLEMD1Aを生成するために、8つのLEMD1A配列がGenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank)から集められた。選択された配列のGenBank受入番号は、NP_001185979.1、XP_003938379.1、XP_012314760.1、XP_002760754.2、XP_012513307.1、XP_011371293.1、XP_011221935.1、およびXP_007086602.1である。
【0179】
コンセンサス配列は、DNASTAR(登録商標)Lasergeneソフトウェアパッケージ(バージョン13.0.0.357)を使用して生成された。上に列記される8つの配列をMegAlignに取り込み、ClustalW多重配列アライメントプログラムを使用してアライメントした。得られたLEMD1A配列は、ヒト天然LEMD1Aと97.2%の同一性を共有する。
【0180】
コンセンサスLEMD1F
ヒトコンセンサスLEMD1Fを生成するために、6つのLEMD1F配列がGenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank)から集められた。選択された配列のGenBank受入番号は、NP_001185981.1、XP_011845800.1、XP_011813129.1、XP_010347273.1、XP_012314764.1、およびXP_012513311.1である。
【0181】
コンセンサス配列は、DNASTAR(登録商標)Lasergeneソフトウェアパッケージ(バージョン13.0.0.357)を使用して生成された。上に列記される6つの配列をMegAlignに取り込み、ClustalW多重配列アライメントプログラムを使用してアライメントした。得られたLEMD1F配列は、ヒト天然LEMD1Fと98.5%の同一性を共有する。
【0182】
実施例2
合成コンセンサスLEMD1A
LEMD1Aの生物学的機能の無効化
得られたコンセンサスLEMD1Aの潜在的な生物学的機能を無効化するために、LEMドメインに3つの変異(G20A、P25A、およびY34A)を導入して、BAF結合を破壊した。結果として、合成コンセンサスLEMD1Aタンパク質は、
図1Aおよび1Bに示されるように、天然ヒトLEMD1Aタンパク質と95.6%の同一性を共有する。
【0183】
発現の最適化
合成コンセンサスLEMD1A DNA配列が得られたら、高レベルの発現を有するために、合成コンセンサスLEMD1AのN末端メチオニンを除去し、上流コザック配列およびIgEリーダーをN末端に付加した。さらに、この遺伝子のコドン使用を、ヒト遺伝子のコドンバイアスに適合させ、非常に高い(>80%)または非常に低い(<30%)GC含有量の領域、内部TATAボックス、カイ部位、およびリボソーム進入部位などのシス作用性配列モチーフは避けて、RNA最適化も行った。合成コンセンサスLEMD1Aの略図を
図2に示す。合成コンセンサスLEMD1Aの特徴を表1に提供する。
【表1】
【0184】
図3を参照すると、合成された合成コンセンサスLEMD1Aは、BamHIおよびXhoIで消化され、発現ベクターpGX0001(Inovio Pharmaceuticals)にクローニングされた。pGX0001骨格は、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)の制御下の修飾されたpVAX1発現ベクターである。修飾をpVAX1に導入してpGX0001を創出し、ThermoFisher Scientificから入手可能なpVAX1の報告された配列に基づいて同定する。これらの修飾を表2に列記する。
【表2】
【0185】
pGX0001骨格は、産生目的のカナマイシン耐性遺伝子(KanR)およびプラスミド複製起点(pUC ori)を含む。これらの要素は真核細胞において機能的ではない。2998塩基対pGX0001に存在する要素は以下のものを含む:
CMVプロモーター:塩基137~724
T7プロモーター/プライミング部位:塩基664~683
多重クローニング部位:塩基696~811
ウシGHポリアデニル化シグナル:塩基829~1053
カナマイシン耐性遺伝子:塩基1226~2020
pUC起源:塩基2319~2992
【0186】
LEMD1AをpGX0001骨格内にクローニングすることから得られたプラスミドをpGX1431と名付け、完全長配列は正しいことが確認された。pGX1431は、合成コンセンサスLEMD1Aタンパク質をコードするDNAプラスミドである。関連するmRNA産生はヒトCMVプロモーター(hCMVプロモーター)によって駆動され、ウシ成長ホルモン3’端ポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)によって終結される。pGX1431の特徴を表3に示す。
【表3】
【0187】
pGX1431のアミノ酸挿入配列(配列番号2)
【表3-1】
【0188】
N末端リーダー配列は挿入配列のアミノ酸残基1~18からなり、アミノ酸残基19~198は合成コンセンサスLEMD1A抗原である。
【0189】
pGX1431の一本鎖DNA配列(配列番号7):
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【0190】
N末端リーダー配列は上記配列のヌクレオチド1~54からなり、残りのヌクレオチドはLEMD1A抗原をコードする。
【0191】
実施例3
合成コンセンサスLEMD1F
得られたコンセンサスLEMD1Fの潜在的な生物学的機能を無効化するために、LEMドメインに2つの変異(G20AおよびP25A)を導入して、BAF結合を破壊した。結果として、合成コンセンサスLEMD1Fタンパク質は、
図4Aおよび4Bに示されるように、天然ヒトLEMD1Fタンパク質と95.5%の同一性を共有する。
【0192】
合成コンセンサスLEMD1F DNA配列が得られたら、高レベルの発現を有するために、合成コンセンサスLEMD1FのN末端メチオニンを除去し、上流コザック配列およびIgEリーダーをN末端に付加した。さらに、この遺伝子のコドン使用を遺伝子のコドンバイアスに適合させた。加えて、RNA最適化も行った:非常に高い(>80%)または非常に低い(<30%)GC含有量の領域、ならびに内部TATAボックス、カイ部位、およびリボソーム進入部位などのシス作用性配列モチーフは避けられた。合成コンセンサスタンパク質の略図を
図5に示す。表4は、合成コンセンサスLEMD1Fのいくつかの特徴を示す。
【表4】
【0193】
発現ベクターpGX1432を、pGX1431の構築に使用したのと同じpGX0001骨格を使用して構築した。
図6を参照すると、合成された合成コンセンサスLEMD1Fは、BamHIおよびXhoIで消化され、サイトメガロウイルス最初期プロモーターの転写制御下に配置された発現カセットとともに発現ベクターpGX0001(Inovio Pharmaceuticals)にクローニングされた。得られたプラスミドはpGX1432と名付けられ、完全長配列が確認された。pGX1432の特徴を表5に提供する。
【表5】
【0194】
pGX1432のアミノ酸挿入配列(配列番号4):
【表5-1】
【0195】
N末端リーダー配列は挿入配列のアミノ酸残基1~18からなり、アミノ酸残基19~84は合成コンセンサスLEMD1F抗原である。
【0196】
pGX1432の一本鎖DNA配列(配列番号8):
【表5-2】
【表5-3】
【0197】
N末端リーダー配列は上記配列のヌクレオチド1~54からなり、残りのヌクレオチドはLEMD1F抗原をコードする。
【0198】
実施例3
合成コンセンサスLEMD1AF
多抗原構築物の合成コンセンサスLEMD1AFを、合成コンセンサスLEMD1Aのアミノ酸配列と合成コンセンサスLEMD1Fのアミノ酸配列との間にフーリン切断部位(RGRKRRS、配列番号10)を挿入することにより創出した。合成コンセンサスLEMD1AF DNA配列が得られたら、高レベルの発現を有するために、合成コンセンサスLEMD1AFのN末端メチオニンを除去し、上流コザック配列およびIgEリーダーをN末端に付加した。さらに、この遺伝子のコドン使用をヒト遺伝子のコドンバイアスに適合させた。加えて、RNA最適化も行った:非常に高い(>80%)または非常に低い(<30%)GC含有量の領域ならびに内部TATAボックス、カイ部位、およびリボソーム進入部位などのシス作用性配列モチーフは避けられた。コンセンサスLEMD1AおよびコンセンサスLEMD1Fタンパク質の両方のN末端ドメイン(アミノ酸2~27)は同一であるため、合成コンセンサスLEMD1Aのアミノ酸2~27領域および合成コンセンサスLEMD1Fのアミノ酸2~27領域をコードするDNA配列は、プラスミドの安定性を増加させるために異なって最適化された(64.1%配列同一性)。合成コンセンサスLEMD1AF構築物の略図を
図7に示す。
【0199】
図8を参照すると、合成された合成コンセンサスLEMD1AFは、BamHIおよびXhoIで消化され、前の実施例に記載されるように、発現ベクターpGX0001(Inovio Pharmaceuticals)にクローニングされた。発現カセットは、サイトメガロウイルス最初期プロモーターの転写制御下に配置された。得られたプラスミドはpGX1433と名付けられ、完全長配列が確認された。
【0200】
pGX1433は、合成コンセンサスLEMD1AFタンパク質をコードするDNAプラスミドである。関連するmRNA産生はヒトCMVプロモーター(hCMVプロモーター)によって駆動され、ウシ成長ホルモン3’端ポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)によって終結される。pGX0001骨格は、産生目的のカナマイシン耐性遺伝子(KanR)およびプラスミド複製起点(pUC ori)を含む。これらの要素は真核細胞において機能的ではない。表6はpGX1433に関連する追加情報を提供する。
【表6】
【0201】
pGX1433のアミノ酸挿入配列(配列番号6)
【表6-1】
【0202】
N末端リーダー配列は挿入配列のアミノ酸残基1~18からなり、アミノ酸残基19~198および206~271は合成コンセンサスLEMD1AおよびF抗原である。フーリン切断部位のアミノ酸残基199~205はLEMD1配列間に存在する。
【0203】
pGX1433の一本鎖DNA配列(配列番号9):
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【0204】
N末端リーダー配列は上記配列のヌクレオチド1~54からなり、ヌクレオチド55~594および616~819はLEMD1AF抗原構築物をコードする。ヌクレオチド595~615はフーリン結合部位をコードする。
【0205】
実施例4
インビトロ抗原発現
pGX1431、pGX1432、およびpGX1433による抗原タンパク質の発現は、ウエスタンブロッティングにより確認された。10%のFBS(ThermoFisher)を含むDMEM培地中に維持されたヒト横紋筋肉腫(RD)細胞(ATCC、CCL-136)を、Turbofectin 8(Origene)を使用して、pGX1431、pGX1432、pGX1433、またはpGX0001(6μg/10cm2皿)でトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、RIPA細胞溶解緩衝液(ThermoFisher)を使用して細胞を溶解し、細胞溶解物を収集した。総タンパク質濃度を決定するためのBCAアッセイ(ThermoFisher)後、15μgの細胞溶解物を、4~12%のSDS-PAGEゲルで電気穿孔し、抗LEMD1モノクローナル抗体(Abcam、クローンab201206)で検出を行い、次いでECLウエスタンブロット分析システム(GE Amersham)を使用して、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗ウサギIgG(Santa Cruz Biotech,SC-2004)で可視化した。ローディング対照として、抗β-アクチンモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotech、クローン、C4)を使用して、アクチン発現についてブロットを再検出した。
【0206】
合成コンセンサスLEMD1A(pGX1431)および合成コンセンサスLEMD1AF(pGX1433)構築物の予想された分子量のタンパク質バンドが検出されたが、バンドは合成コンセンサスLEMD1F(pGX1432)構築物については検出されなかった(
図9)。AF抗原の予想された分子量で検出されたため、LEMD1F抗原はLEMD1AF抗原の一部として発現されたと推測され得る。pGX0001レーンにおいて、タンパク質バンドは検出されなかった。類似する強度の抗β-アクチンバンドが検出され、等量のタンパク質が各レーンにローディングされたことを示す。要約すると、pGX1431およびpGX1433は、それらのそれぞれの抗原タンパク質を発現することが分かった。
【0207】
実施例5
合成コンセンサスLEMD1ワクチン構築物の免疫原性
材料および方法
動物および免疫化
雌の8週齢のCB6F1マウスをJackson Laboratoriesから購入した。すべての動物を、BTS Research(San Diego,CA)の温度制御された光サイクル施設に収容した。動物のケアは、National Institutes of Health and the Animal Care and Use Proposal(ACUP)(BTS ACUP #15-091)のガイドラインに従って行われた。表1に詳述されるように、マウスを10の群に分けた。
【表7】
【0208】
免疫化群のマウスに、示された用量のpGX0001、pGX1431、pGX1432、またはpGX1433をワクチン接種した。簡潔に、示される用量が筋肉内注射により30μLの注射量で前脛骨筋に送達されるように、プラスミドを減菌注射用水(VetOne)用に製剤化した。各筋肉内注射の直後に、3Pアレイを備えるCELLECTRA(登録商標)2000 Adaptive Constant Current Electroporation Device(Inovio Pharmaceuticals)を使用する電気穿孔(EP)が続いた。装置は、52msパルス幅の2つの0.1Ampパルスを1秒遅れの間隔で送達するように構成された。マウスは3週間隔で3回免疫化を受けた。最後の免疫化の1週間後にマウスを屠殺し、細胞免疫の読み取りのために脾臓を採取した。他の組織は収集されなかった。
【0209】
脾臓リンパ球の単離
脾細胞を無菌で単離し、5mLのR10培地(10%のウシ胎仔血清および1%の抗生物質-抗真菌薬で補充されたRosewell Park Memorial Institute medium 1640)に入れた。Stomacher機器(Seward Laboratory Systems Inc.)を使用して脾臓を機械的に破砕することにより脾細胞を単離し、40-μmセルストレーナー(BD Falcon)を使用して、得られた産物を濾過した。得られた産物を遠心分離し、RBCの溶解のためにペレットをACK溶解緩衝液(Lonza)で5分間処理した。次いで、脾細胞を遠心分離し、PBSで洗浄し、その後R10培地に再懸濁し、さらなる分析のために直ちに使用した。
【0210】
IFNγ ELISpot
マウスIFNγ ELISpotアッセイ(MabTech)を行って、抗原特異的細胞性応答を評価した。簡潔に、抗マウスIFNγ抗体で予めコーティングされた96ウェルプレートをPBS中で洗浄し、完全培養培地培地(10%のFBSおよび抗生物質で補充されたRPMI 1640)で、室温で2時間遮断した。脾臓リンパ球をR10培地に再懸濁し、(次いで、2×105細胞/ウェルの投入細胞数で3つ組で添加した。ペプチドのセットを合成し(GenScript)、各々は、全合成コンセンサスLEMD1タンパク質配列を表す、9個のアミノ酸が重複する15のアミノ酸残基を含有する。ペプチドのこれらのセットをDMSO(Sigma)に再懸濁し、約2μg/mlのペプチドの濃度で2つのペプチドプールにプールした。1つ目のペプチドプールは、合成コンセンサスLEMD1A抗原タンパク質に対応するペプチドを含有し、2つ目のペプチドプールは、合成コンセンサスLEMD1F抗原タンパク質に対応するペプチドを含有した。5μg/mlのコンカバリン(Concavalin)A(Sigma)を陽性対照として使用し、完全培養培地を陰性対照として使用した。プレートを、5%のCO2雰囲気のインキュベータ中で、37℃で18時間インキュベートした。次いで、ビオチン化抗マウスIFNγ検出抗体(MabTech)を添加し、プレートを室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、ストレプトアビジン-ALP抗体(MabTech)を添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。キット製造業者の指示(MabTech)に従いスポット検出を完了した。プレート上のスポットは、自動ELISPOTリーダー(Cellular Technology)を使用して計数した。スポット形成単位(Spot Forming Units)(SFU)の平均数は、データ表示のために1×106脾細胞に調整された。
【0211】
IFNγ ELISpotによる抗原特異的応答は、培地のみの対照のSFUよりも大きい1×106脾細胞あたりのIFNγスポット形成単位(SFU)の数として報告される。
【0212】
フローサイトメトリー
合成コンセンサスLEMD1により誘導された細胞性免疫応答は、フローサイトメトリーによりさらに特徴付けされた。簡潔に、ワクチン接種されたおよびナイーブマウスからの2×10
6脾細胞を、単離後に、ブレフェルディンA(BD Biosciences)、モネンシン(BD Biosciences)、およびFITC抗マウスCD107a抗体(BD Biosciences)の存在下で6時間、各群に応じて合成コンセンサスLEMD1ペプチドで直ちに刺激した。ペプチドでの刺激後、脾細胞を沈降させ、20μL/ウェルのマウスBD Fc Block(BD Biosciences)溶液に再懸濁した。PBS中1:40の初期希釈でFc Blockを使用し、4℃で5分間インキュベートした。インキュベーション後、残りの細胞外抗体(PBS中)を30μL/ウェルで添加し、4℃で30分間インキュベートした。細胞外株の添加により、1:100の最終希釈でのFc Blockおよびそれらの適切な作業希釈での細胞外抗体からなる、各ウェルの最終容積は50μLである。次いで、細胞を、生存率染色(viability dye)(Vivid V450,Thermo-Fisher)および以下の細胞外抗体:PerCP-Cy5.5抗マウスCD4(BD Biosciences、クローンRM4-5)およびAPC抗マウスCD8a(BD Biosciences、クローン63-6.7)で染色した。細胞を固定し、4℃で20分間透過処理した(BD Biosciences、#554714)。細胞内染色を、その後、以下の抗体:APC-Cy7抗マウスCD3e(BD Biosciences、クローン145-2C11)、BV605抗マウスIFNγ(BD Biosciences、クローンXMG1.2)、APC-R700抗マウスIL-2(BD Biosciences、クローンJEs6-5H4)、およびPE抗マウスTNF-α(BD Biosciences、クローンMP6-XT22)で完了した。10色FACS CANTO(BD Biosciences)でICSデータを収集し、FlowJoソフトウェアを使用して分析を完了した。フローサイトメトリーゲーティング戦略を以下の
図10に示す。
【0213】
フローサイトメトリーにより抗原特異的と呼ばれる細胞に関して、報告されたパラメータの頻度は、培地のみの対照の頻度を超えなければならない。抗原特異的CD107aを産生すると同定される細胞に関して、細胞は、ブーリアンゲーティングにより同定される、IFNγおよび/またはIL-2および/またはTNFαの抗原特異的産生にも陽性であると同定されなければならない。
【0214】
統計分析
IBM SPSS Statistics 22(IBM Corporation)を使用して統計分析を完了した。多重比較を調整するためにTukeyの事後Honest Significant Difference(HSD)とともにANOVAを使用して、群間の分析を行った。等分散性は多重比較の前にF統計を使用して確認された。すべての統計分析に関して、0.050のp値が有意であるとみなされた。
【0215】
結果
IFNγ ELISpot
3つの合成コンセンサスLEMD1構築物の免疫原性を、IFNγ ELISpot およびフローサイトメトリー(n=8/群)により、3つの用量(10μg、30μg、および50μg)で評価した。マウスを、陰性対照として空のプラスミド骨格(pGX0001)で免疫化した(n=4/群)。合成コンセンサスLEMD1Aでのワクチン接種は、陰性対照ワクチン接種されたマウスと比較して有意なIFNγ応答をもたらした。合成コンセンサスLEMD1Aによって誘導されたIFNγ産生において用量依存的増加のエビデンスがあり(
図11A)、最大平均応答は30μgの投与量で達成された。具体的には、合成コンセンサスLEMD1A IFNγ SFUは、10μg、30μg、および50μgにおいて、それぞれ、646±373、1,683±1248、および1,645±1002であった。合成コンセンサスLEMD1A IFNγ応答は、pGX1431の30μg(p=0.024)および50μg(p=0.028)の投与量においてナイーブ(3±4)よりも有意に大きかったが、10μgの投与量ではそうではなかった(p=0.642)。合成コンセンサスLEMD1Fでのワクチン接種は、最小のIFNγ応答をもたらし、投与量の増加による用量依存的増加のエビデンスはなかった(
図11B)。LEMD1F IFNγ SFUは、10μg、30μg、および50μgにおいて、それぞれ、163±382、88±109、および140±246であった。合成コンセンサスLEMD1F IFNγ応答は、pGX1432の投与量のいずれにおいてもナイーブ(3±4)よりも有意に大きくはなかった。合成コンセンサスLEMD1AFでのワクチン接種は、陰性対照ワクチン接種されたマウスと比較して有意なIFNγ応答をもたらした。合成コンセンサスLEMD1AFによって誘導されたIFNγ産生において用量依存的増加のエビデンスがあり(
図11C)、最大平均応答は50μgの投与量で達成された。具体的には、合成コンセンサスLEMD1AF IFNγ SFUは、10μg、30μg、および50μgにおいて、それぞれ、478±269、779±392、および879±552であった。合成コンセンサスLEMD1AF IFNγ応答は、pGX1433の30μg(p=0.018)および50μg(p=0.007)の投与量においてナイーブ(3±4)よりも有意に大きかったが、10μgの投与量ではそうではなかった(p=0.227)。IFNγ応答を表8に要約する。
【表8】
【0216】
合成コンセンサスLEMD1Aは、50μgの投与量(1.34%±0.58%)(p<0.005)でナイーブ(0.04%±0.03%)よりも有意により頑強な抗原特異的CD4+T細胞応答頻度を誘導したが、10μg(0.50%±0.170%)(p<0.004)または30μg(1.02%±0.57%)(p<0.122)の投与量群ではそうではなかった(
図12A)。合成コンセンサスLEMD1A特異的CD4+T細胞応答は、用量依存的であり、主にIFNγ+IL-2+TNFα+IFNγ+IL-2-TNFα+またはIFNγ+IL-2-TNFα-産生CD4+T細胞からなった(
図12E)。
【0217】
合成コンセンサスLEMD1Fは、ナイーブ(0.06%±0.02%)よりも最小限に大きい抗原特異的CD4+T細胞頻度を誘導した。具体的には、pGX1432は、10μgの投与量(0.27%±0.34%)、30μg(0.24%±0.10%)、および50μg(0.20%±0.20%)の投与量群において有意な応答を誘導しなかった(
図12B)。合成コンセンサスLEMD1F特異的CD4+T細胞応答は、用量依存的であり、主にIFNγ+IL-2+TNFα+、IFNγ+IL-2+TNFα-、IFNγ+IL-2-TNFα+、IFNγ-IL-2-TNFα+、またはIFNγ+IL-2-TNFα-産生CD4+T細胞からなった(
図12E)。
【0218】
合成コンセンサスLEMD1AFは、50μgの投与量(0.80%±0.51%)(p<0.006)でナイーブ(0.09%±0.03%)よりも有意により頑強な抗原特異的CD4+T細胞応答頻度を誘導したが、10μg(0.53%±0.19%)(p<0.135)または30μg(0.50%±0.20%)(p<0.176)の投与量群ではそうではなかった(
図12C)。合成コンセンサスLEMD1AF特異的CD4+T細胞応答は、用量非依存的であり、主にIFNγ+IL-2+TNFα+IFNγ+IL-2-TNFα+、IFNγ+IL-2-TNFα-、またはIFNγ-IL-2-TNFα+産生CD4+T細胞からなった(
図12E)。
【0219】
抗原特異的CD4+T細胞の頻度は、表9にさらに詳述される。
【0220】
すべての投与量の合成コンセンサスLEMD1構築物がナイーブよりもわずかに大きいCD4+CD107a+T細胞頻度を誘導したが、最高投与量のpGX1431構築物のみが有意により頑強であった。
【0221】
具体的には、pGX1431抗原特異的CD4+CD107a+T細胞の頻度は、10μg(p=0.532)、30μg(p=0.314)、および50μg(p=0.002)の投与量群において、それぞれ、0.17%±0.09%、0.34%±0.19%、および0.50%±0.30%であった(
図13A)。pGX1431特異的CD4+CD107a+T細胞のサイトカインプロファイルは、投与量群にわたって類似し、主にIFNγ+IL-2+TNFα+、IFNγ+IL-2-TNFα+、およびIFNγ+IL-2-TNFα-細胞で構成された(
図13E)。
【0222】
pGX1432抗原特異的CD4+CD107a+T細胞の頻度は、10μg、30μg、および50μgの投与量群において、それぞれ、0.10%±0.14%、0.11%±0.08%、および0.04%±0.03%であった(
図13B)。pGX1432特異的CD4+CD107a+T細胞のサイトカインプロファイルは、10μgおよび30μgの投与量群で類似し、主にIFNγ+IL-2+TNFα+、IFNγ+IL-2+TNFα-、およびIFNγ+IL-2-TNFα-細胞で構成されたが、50μgの投与量では、サイトカインプロファイルは、主にIFNγ+IL-2+TNFα+、IFNγ+IL-2-TNFα+、およびIFNγ+IL-2-TNFα-細胞で構成された(
図13E)。
【0223】
pGX1433抗原特異的CD4+CD107a+T細胞の頻度は、10μg(p=0.365)、30μg(p=0.992)、および50μg(p=0.109)の投与量群において、それぞれ、0.20%±0.10%、0.17%±0.10%、および0.39%±0.31%であった(
図13C)。pGX1433特異的CD4+CD107a+T細胞のサイトカインプロファイルは、10μgおよび30μgの投与量群で類似し、ある程度のIFNγ+IL-2-TNFα+およびIFNγ+IL-2-TNFα-細胞を伴って、大半はIFNγ+IL-2+TNFα+で構成されたが、50μgの投与量群では、IFNγ+IL-2+TNFα+、IFNγ+IL-2+TNFα-、およびIFNγ+IL-2-TNFα+を伴って主にIFNγ+IL-2-TNFα-で構成された(
図13E)。
【0224】
抗原特異的CD4+CD107+T細胞の頻度は、表9にさらに詳述される。
【表9】
【0225】
合成コンセンサスLEMD1Aは、ナイーブ(0.08%±0.01%)よりも頑強な抗原特異的CD8+T細胞応答頻度を誘導したが、10μg(1.46%±0.79%)、30μg(2.34%±1.47%)、および50μg(2.12%±1.897%)の投与量群では有意ではなかった(
図14A)。合成コンセンサスLEMD1A特異的CD8+T細胞応答は、用量非依存的であり、主にIFNγ+IL-2-TNFα-およびある程度のIFNγ+IL-2-TNFα+産生CD8+T細胞からなった(
図14E)。
【0226】
合成コンセンサスLEMD1Fはナイーブ(0.09%±0.05%)より大きい抗原特異的CD8+T細胞応答頻度を誘導しなかった。具体的には、pGX1432は、10μgの投与量(0.09%±0.04%)、30μg(0.07%±0.05%)、および50μg(0.17%±0.07%)の投与量群において有意な応答を誘導しなかった(
図14B)。合成コンセンサスLEMD1F特異的CD8+T細胞応答は、用量非依存的であり、主にIFNγ-IL-2+-TNFα-、IFNγ-IL-2-TNFα+、およびIFNγ+IL-2-TNFα-産生CD8+T細胞からなった(
図14E)。
【0227】
合成コンセンサスLEMD1AFは、50μgの投与量でナイーブ(0.17%±0.043%)よりも有意により頑強な抗原特異的CD8+T細胞応答頻度を誘導したが(1.73%±1.40%)(p=0.046)、10μg(0.72%±0.36%)(p=0.061)または30μg(1.65%±0.86%)(p=0.061)の投与量群ではそうではなかった(
図14C)。合成コンセンサスLEMD1AF特異的CD8+T細胞応答は、用量依存的であり、主にIFNγ+IL-2-TNFα-ならびにある程度のIFNγ+IL-2-TNFα+およびIFNγ-IL-2+-TNFα-産生CD8+T細胞からなった(
図14E)。
【0228】
抗原特異的CD8+T細胞の頻度は、表10にさらに詳述される。
【表10】
【0229】
pGX1432は誘導しなかったが、合成コンセンサスLEMD1構築物pGX1431およびpGX1433は、ナイーブよりも大きいCD8+CD107a+T細胞頻度を誘導したが、いずれの投与量でも有意ではなかった。
【0230】
具体的には、pGX1431抗原特異的CD8+CD107a+T細胞の頻度は、10μg、30μg、および50μgの投与量群において、それぞれ、1.37%±0.78%、2.23%±1.45%、および1.97%±1.84%であった(
図15A)。pGX1431特異的CD8+CD107a+T細胞のサイトカインプロファイルは、投与量群にわたって類似し、主にIFNγ+IL-2-TNFα-およびある程度のIFNγ+IL-2-TNFα+細胞で構成された(
図15E)。
【0231】
pGX1432抗原特異的CD8+CD107a+T細胞の頻度は、10μg、30μg、および50μgの投与量群において、それぞれ、0.02%±0.02%、0.05%±0.04%、および0.04%±0.03%であった(
図15B)。pGX1432特異的CD8+CD107a+T細胞のサイトカインプロファイルは、主にIFNγ+IL-2-TNFα-、IFNγ-IL-2+TNFα-、およびIFNγ+IL-2+TNFα-細胞で構成された(
図15E)。
【0232】
pGX1433抗原特異的CD8+CD107a+T細胞の頻度は、10μg(p=0.897)、30μg(p=0.089)、および50μg(p=0.053)の投与量群において、それぞれ、0.54%±0.39%、1.43%±1.39%、および1.57%±1.39%であった(
図15C)。pGX1433特異的CD8+CD107a+T細胞のサイトカインプロファイルは、大半はIFNγ+IL-2-TNFα-およびある程度のIFNγ+IL-2-TNFα+細胞で構成された(
図15E)。
【0233】
前述の詳細な説明および付随する実施例は一例にすぎず、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ定義される本発明の範囲に対する制限であると解釈されないことが理解される。
【0234】
本開示の実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者には明らかであろう。限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成物、組成物、製剤、または使用方法に関連するものを含む、本開示の実施形態に対するそのような変更および修正は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。
前述の詳細な説明および付随する実施例は一例にすぎず、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ定義される本発明の範囲に対する制限であると解釈されないことが理解される。
[1] 核酸分子であって、
(a)配列番号2のアミノ酸残基19~198をコードする核酸配列、
(b)配列番号4のアミノ酸残基19~84をコードする核酸配列、
(c)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271をコードする核酸配列、
(d)配列番号2のアミノ酸残基19~198を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(e)配列番号4のアミノ酸残基19~84を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(f)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(g)配列番号2のアミノ酸残基19~198と96%超同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(h)配列番号4のアミノ酸残基19~84と96%超同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(i)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(j)配列番号2のアミノ酸残基19~198と95.6%超同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(k)配列番号4のアミノ酸残基19~84と95.5%超同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、ならびに
(l)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
[2] 核酸分子であって、
(a)配列番号1のヌクレオチド55~600、
(b)配列番号3のヌクレオチド55~258、
(c)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819、
(d)配列番号1のヌクレオチド55~600を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号3のヌクレオチド55~258を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、
(f)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、
(g)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である断片、
(h)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である断片、
(i)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である断片、
(j)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(k)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに
(l)配列番号1のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
[3] 配列番号1、3、または5に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
[4] 項目1~3のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
[5] 前記ベクターが、プラスミドまたはウイルスベクターである、項目4に記載のベクター。
[6] 前記核酸分子が、プロモーターおよびポリ-アデニル化シグナルから選択される調節要素に動作可能に連結される、項目4に記載のベクター。
[7] 前記プロモーターが、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)である、項目6に記載のベクター。
[8] 前記ポリ-アデニル化シグナルが、ウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)である、項目6に記載のベクター。
[9] 項目1~4のいずれか一項に記載の1つ以上の核酸分子または項目5~8のいずれか一項に記載のベクターを含む、組成物。
[10] 薬学的に許容される担体をさらに含む、項目9に記載の組成物。
[11] タンパク質であって、
(a)配列番号2のアミノ酸残基19~198、
(b)配列番号4のアミノ酸残基19~84、
(c)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271、
(d)配列番号2のアミノ酸残基19~198の全長の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号4のアミノ酸残基19~84の全長の少なくとも90%を含む断片、
(f)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271の全長の少なくとも90%を含む断片、
(g)配列番号2のアミノ酸残基19~198と96%超同一であるアミノ酸配列、
(h)配列番号4のアミノ酸残基19~84と96%超同一であるアミノ酸配列、
(i)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(j)配列番号2のアミノ酸配列19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(j)配列番号4のアミノ酸配列19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに
(j)配列番号6のアミノ酸配列19~198および206~271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
[12] 配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列を含む、タンパク質。
[13] 抗原を含むワクチンであって、前記抗原が、
(a)配列番号2のアミノ酸残基19~198、
(b)配列番号4のアミノ酸残基19~84、
(c)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271、
(d)配列番号2のアミノ酸残基19~198の全長の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号4のアミノ酸残基19~84の全長の少なくとも90%を含む断片、
(f)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271の全長の少なくとも90%を含む断片、
(g)配列番号2のアミノ酸残基19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列、
(h)配列番号4のアミノ酸残基19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列、
(i)配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(j)配列番号2のアミノ酸配列19~198と95.6%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(k)配列番号4のアミノ酸配列19~84と95.5%超同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに
(l)配列番号6のアミノ酸配列19~198ならびに206および271と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ワクチン。
[14] 前記抗原が、
(a)配列番号1のヌクレオチド55~600、
(b)配列番号3のヌクレオチド55~258、
(c)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819、
(d)配列番号1のヌクレオチド55~600を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号3のヌクレオチド55~258を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、
(f)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819を含む全長の核酸分子の少なくとも90%を含む断片、
(g)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である断片、
(h)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である断片、
(i)配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である断片、
(j)配列番号1のヌクレオチド55~600と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(k)配列番号3のヌクレオチド55~258と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、ならびに
(l)配列番号1のヌクレオチド55~594および616~819と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子によってコードされる、項目13に記載のワクチン。
[15] 核酸分子を含むワクチンであって、前記核酸分子が、配列番号1、3、または5に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む、ワクチン。
[16] 核酸分子を含むワクチンであって、前記核酸分子が、それぞれ、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95.6%、95.5%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、ワクチン。
[17] 前記核酸分子が、発現ベクターを含む、項目15または16に記載のワクチン。
[18] 薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、項目13~17のいずれか一項に記載のワクチン。
[19] アジュバントをさらに含む、項目13~18のいずれか一項に記載のワクチン。
[20] 前記アジュバントが、IL-12、IL-15、IL-28、またはRANTESである、項目19に記載のワクチン。
[21] ペプチドを含むワクチンであって、前記ペプチドが、それぞれ、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95.6%、95.5%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、ワクチン。
[22] ペプチドを含むワクチンであって、前記ペプチドが、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列を含む、ワクチン。
[23] LEMD1発現がん性細胞を有する対象の治療方法であって、項目13~22のいずれか一項に記載の治療有効量のワクチンを投与することを含む、方法。
[24] 投与が、電気穿孔ステップを含む、項目23に記載の方法。
[25] 投与が、前記対象の1つ以上の部位で生じる、項目23または24に記載の方法。
[26] 対象へのLEMD1発現がん性細胞のワクチン接種方法であって、液性免疫応答を誘導するのに有効な量の項目13~22のいずれか一項に記載のワクチンを投与することを含む、方法。
[27] 薬剤として使用するための、配列番号1、3、または5に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
[28] 薬剤として使用するための、配列番号1のヌクレオチド55~600に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
[29] 薬剤として使用するための、配列番号3のヌクレオチド55~258に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
[30] 薬剤として使用するための、配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
[31] がんの治療において薬剤として使用するための、配列番号1、3、または5に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
[32] がんの治療において薬剤として使用するための、配列番号1のヌクレオチド55~600に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
[33] がんの治療において薬剤として使用するための、配列番号3のヌクレオチド55~258に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
[34] がんの治療において薬剤として使用するための、配列番号5のヌクレオチド55~594および616~819に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
[35] 薬剤の調製において使用するための、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
[36] 薬剤の調製において使用するための、配列番号2のアミノ酸残基19~198に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
[37] 薬剤の調製において使用するための、配列番号4のアミノ酸残基19~84に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
[38] 薬剤の調製において使用するための、配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
[39] がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、配列番号2、4、または6に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
[40] がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、配列番号2のアミノ酸残基19~198に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
[41] がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、配列番号4のアミノ酸残基19~84に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。
[42] がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、配列番号6のアミノ酸残基19~198および206~271に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、核酸分子。