(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111929
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】N-置換(メタ)アクリルアミドを含有するコーティング剤組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 20/54 20060101AFI20230803BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230803BHJP
C08F 267/10 20060101ALI20230803BHJP
C09D 4/00 20060101ALI20230803BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20230803BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20230803BHJP
C09D 133/26 20060101ALI20230803BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20230803BHJP
C09D 11/106 20140101ALI20230803BHJP
C09J 4/00 20060101ALI20230803BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230803BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20230803BHJP
C09J 133/26 20060101ALI20230803BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20230803BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230803BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230803BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230803BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20230803BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20230803BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20230803BHJP
C08F 290/06 20060101ALN20230803BHJP
【FI】
C08F20/54
C08L101/00
C08F267/10
C09D4/00
C09D7/63
C09D7/65
C09D133/26
C09D11/101
C09D11/106
C09J4/00
C09J11/06
C09J11/08
C09J133/26
B32B27/30 A
A61K8/81
A61Q5/00
A61Q19/00
B33Y70/00
B29C64/314
B29C64/268
C08F290/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085966
(22)【出願日】2023-05-25
(62)【分割の表示】P 2022515695の分割
【原出願日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2020174005
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314001841
【氏名又は名称】KJケミカルズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安永 篤史
(72)【発明者】
【氏名】楢崎 優
(72)【発明者】
【氏名】ムハマトアリ エルシャット
(57)【要約】
【課題】低極性から高極性までの幅広い極性を有する、有機系基材、無機系基材及び有機・無機複合材料からなる基材といった各種基材への濡れ性に優れ、高い透明性、硬化性を有し、硬化されることで優れる耐水性を有する硬化物を提供できる重合性組成物及び該重合性組成物の重合物、並びにそれらを用いた各種の成形品を提供することを課題とする。
【解決手段】一般式[1]で表されるN-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有する重合性組成物。
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、R
2とR
3の一方は炭素数6以上の鎖式炭化水素基又は炭素数6以上の環式炭化水素基を示し、他方は、水素原子、炭素数1以上の鎖式炭化水素基又は炭素数3以上の環式炭化水素基を示し、R
2及びR
3は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、6員以上の飽和環を形成したものを含む。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[1]で表されるN-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有する重合性組成物。
【化1】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、R
2とR
3の一方は炭素数6以上の鎖式炭化水素基又は炭素数6以上の環式炭化水素基を示し、他方は、水素原子、炭素数1以上の鎖式炭化水素基又は炭素数3以上の環式炭化水素基を示し、R
2及びR
3は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、6員以上の飽和環を形成したものを含む。)
【請求項2】
N-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、N-モノ置換(メタ)アクリルアミドとN,N-二置換(メタ)アクリルアミドであり、置換基として炭素数6以上且つ36以下の鎖状の飽和構造及び不飽和構造並びに環状の飽和構造及び不飽和構造から選択される1種以上の構造を有する、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項3】
硬化物の飽和吸水率が10%以下である請求項1又は2に記載の重合性組成物。
【請求項4】
N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力は24.0~46.0mN・m-1である請求項1~3のいずれか一項に記載の重合性組成物。
【請求項5】
重合性組成物全体に対するN-置換(メタ)アクリルアミド(A)の含有量は、1重量%以上である請求項1~4の何れか一項に記載の重合性組成物。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の重合性組成物を活性エネルギー線及び/又は熱により重合させてなる重合物。
【請求項7】
請求項1~5の何れか一項に記載の重合性組成物であって、重合開始剤、不飽和結合を有する化合物(但し、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)及びそれを用いた重合物を除く)、非重合性オリゴマー及び非重合性ポリマー(N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を用いた重合物を除く)、並びに請求項6に記載の重合物から選択される1種以上を更に含有する重合性組成物。
【請求項8】
請求項1~5及び7の何れか一項に記載の重合性組成物若しくは請求項6に記載の重合物、又は請求項1~5及び7の何れか一項に記載の重合性組成物若しくは請求項6に記載の重合物及び架橋剤を含有する粘着剤組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の粘着剤組成物からなる粘着層と有機系及び/又は無機系基材との積層体であって、有機系及び/又は無機系基材の表面張力は22.6~59.0mN・m-1である積層体。
【請求項10】
請求項1~5及び7の何れか一項に記載の重合性組成物又は請求項6に記載の重合物及び架橋剤を含有する接着剤組成物。
【請求項11】
請求項1~5及び7の何れか一項に記載の重合性組成物又は請求項6に記載の重合物及び架橋剤を含有する、2種の異種被着材の表面張力の差の絶対値が37.0mN・m-1以下である接着剤組成物。
【請求項12】
請求項1~5及び7の何れか一項に記載の重合性組成物又は請求項6に記載の重合物を含有する化粧料組成物。
【請求項13】
請求項1~5及び7の何れか一項に記載の重合性組成物又は請求項6に記載の重合物、又は請求項1~5及び7の何れか一項に記載の重合性組成物又は請求項6に記載の重合物及び架橋剤を含有するコーティング剤組成物。
【請求項14】
請求項1~5及び7の何れか一項に記載の重合性組成物又は請求項6に記載の重合物、又は請求項1~5及び7の何れか一項に記載の重合性組成物又は請求項6に記載の重合物及び架橋剤を含有するインク組成物。
【請求項15】
請求項1~5及び7の何れか一項に記載の重合性組成物又は請求項6に記載の重合物、又は請求項1~5及び7の何れか一項に記載の重合性組成物又は請求項6に記載の重合物及び架橋剤を含有する三次元造形に用いられるインク組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性組成物、その重合物、及びそれらを用いた成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、N-置換(メタ)アクリルアミドは粘着剤、光学部材用粘着剤、偏光板用活性エネルギー硬化性接着剤、インクジェット用インク、光造形用樹脂組成物、半導体や電子材料用封止材、ガラスや樹脂成形品のコーティング剤等の原料モノマーとして幅広く応用されるようになった(特許文献1~4)。特に、アミド基の凝集力が高く、各種基材に対する密着性に優れており、金属あるいは金属酸化物に対して腐食性を有しないため、(メタ)アクリル酸の代替として用いられることが多く報告されてきた(特許文献5~7)。しかし、汎用のN-置換(メタ)アクリルアミドは水に可溶の親水性モノマーが多く、その含有量や得られる成形品の用途によって、耐水性が不十分との指摘があった。
【0003】
又、N-置換(メタ)アクリルアミドは活性エネルギー線硬化性樹脂の構成成分としてよく使用されているが、電子材料、光学材料等のロングライフ製品に配合する場合、耐水性の改善方法について、未だに提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-287207号公報
【特許文献2】特開2011-122013号公報
【特許文献3】特開2001-310918号公報
【特許文献4】特開2010-155889号公報
【特許文献5】特開2011-137181号公報
【特許文献6】特開2010-235646号公報
【特許文献7】特開2013-256552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低極性から高極性までの幅広い極性を有する、有機系基材、無機系基材及び有機・無機複合材料からなる基材といった各種基材への濡れ性に優れ、高い透明性、硬化性を有し、硬化されることで優れる耐水性を有する硬化物を提供できる重合性組成物、該重合性組成物の重合物等を提供することを第一課題とする。又、該重合性組成物及び/又はその重合物等を含有し、各種基材に対する密着性及び粘着力を有し、高い透明性、耐水性、耐汚染性、耐黄変性及び耐久性を有する粘着剤組成物、及び該粘着剤組成物からなる粘着層と各種基材との積層体を提供することを第二課題とする。更に、本発明は、前記重合性組成物及び/又はその重合物を含有し、各種基材に対する高い接着力、耐衝撃性及び耐水性を有する同種又は異種材料の接着用接着剤組成物、各種基材に対する高い濡れ性及び密着性を有し、硬化されることで高い表面硬度と耐水性を示すコーティング剤組成物、耐湿性、平滑性、耐べた付き感、良好な風合と経時安定性を有する毛髪化粧料及び皮膚刺激性を示さず、優れる乳化安定性、使用感と経時安定性を有する水中油型乳化化粧料組成物、各種基材に対する高い密着性を有し、顔料分散性、表面乾燥性、吐出安定性、鮮明性等の印刷特性に優れ、高い硬化性、耐黄変性及び耐水性を有するインク、高い強度、耐熱性及び耐水性を有する三次元造形物を精度良く造形でき、耐硬化収縮性に優れる三次元造形用インク組成物、を提供することを第三課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑み鋭意検討した結果、本発明者らは、疎水基として炭素数6以上の鎖式、環式の炭化水素基を少なくとも1つ以上を有し、親水基として(メタ)アクリルアミド基を有する、特定構造の両親媒性N-置換(メタ)アクリルアミドを含有する重合性組成物が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)一般式[1]で表されるN-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有する重合性組成物、
【化1】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、R
2とR
3の一方は炭素数6以上の鎖式炭化水素基又は炭素数6以上の環式炭化水素基を示し、他方は、水素原子、炭素数1以上の鎖式炭化水素基又は炭素数3以上の環式炭化水素基を示し、R
2及びR
3は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、6員以上の飽和環を形成したものを含む。)
(2)N-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、N-モノ置換(メタ)アクリルアミドとN,N-二置換(メタ)アクリルアミドであり、置換基として炭素数6以上且つ36以下の鎖状の飽和構造及び不飽和構造並びに環状の飽和構造及び不飽和構造から選択される1種以上の構造を有する、前記(1)に記載の重合性組成物、
(3)硬化物の飽和吸水率が10%以下である前記(1)又は(2)に記載の重合性組成物、
(4)N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力は24.0~46.0mN・m
-1である前記(1)~(3)の何れか一項に記載の重合性組成物、
(5)重合性組成物全体に対するN-置換(メタ)アクリルアミド(A)の含有量は、1重量%以上である前記(1)~(4)の何れか一項に記載の重合性組成物、
(6)前記(1)~(5)の何れか一項に記載の重合性組成物を活性エネルギー線及び/又は熱により重合させてなる重合物、
(7)前記(1)~(5)の何れか一項に記載の重合性組成物であって、重合開始剤、不飽和結合を有する化合物(但し、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)及びそれを用いた重合物を除く)、非重合性オリゴマー及び非重合性ポリマー(N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を用いた重合物を除く)、並びに前記(6)に記載の重合物から選択される1種以上を更に含有する重合性組成物、
(8)前記(1)~(5)及び(7)の何れか一項に記載の重合性組成物若しくは前記(6)に記載の重合物、又は前記(1)~(5)及び(7)の何れか一項に記載の重合性組成物若しくは前記(6)に記載の重合物及び架橋剤を含有する粘着剤組成物、
(9)前記(8)に記載の粘着剤組成物からなる粘着層と有機系及び/又は無機系基材との積層体であって、有機系及び/又は無機系基材の表面張力は22.6~59.0mN・m-1である積層体、
(10)前記(1)~(5)及び(7)の何れか一項に記載の重合性組成物又は前記(6)に記載の重合物及び架橋剤を含有する接着剤組成物、
(11)前記(1)~(5)及び(7)の何れか一項に記載の重合性組成物又は前記(6)に記載の重合物及び架橋剤を含有する、2種の異種被着材の表面張力の差の絶対値が37.0mN・m
-1以下である接着剤組成物、
(12)前記(1)~(5)及び(7)の何れか一項に記載の重合性組成物又は前記(6)に記載の重合物を含有する化粧料組成物、
(13)前記(1)~(5)及び(7)の何れか一項に記載の重合性組成物又は前記(6)に記載の重合物、又は前記(1)~(5)及び(7)の何れか一項に記載の重合性組成物又は前記(6)に記載の重合物及び架橋剤を含有するコーティング剤組成物、
(14)前記(1)~(5)及び(7)の何れか一項に記載の重合性組成物又は前記(6)に記載の重合物、又は前記(1)~(5)及び(7)の何れか一項に記載の重合性組成物又は前記(6)に記載の重合物及び架橋剤を含有するインク組成物、
(15)前記(1)~(5)及び(7)の何れか一項に記載の重合性組成物又は前記(6)に記載の重合物、又は前記(1)~(5)及び(7)の何れか一項に記載の重合性組成物又は前記(6)に記載の重合物及び架橋剤を含有する三次元造形に用いられるインク組成物
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特定構造のN-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有する重合性組成物は、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)のバランス良い両親媒性により、高い透明性と良好な硬化性を有しながら、有機系基材、無機系基材及び有機・無機のハイブリッド基材からなる低極性から高極性までの幅広い極性を有する各種基材への濡れ性に優れる重合性組成物、該重合性組成物の重合物等を取得することができる。得られる重合性組成物及び/又はその重合物等を含有することで、各種基材に対する密着性及び粘着力を示し、高い透明性、耐汚染性、耐黄変性及び耐久性を有する粘着剤組成物、及び該粘着剤組成物からなる粘着層と各種基材との積層体を提供できる。又、本発明は、前記重合性組成物及び/又はその重合物を含有することにより、各種基材に対する高い接着力、耐衝撃性及び耐水性を有する同種又は異種材料用接着剤組成物、耐湿性、平滑性、耐べた付き感、良好な風合と経時安定性を有する毛髪化粧料及び皮膚刺激性を示さず、優れる乳化安定性、使用感と経時安定性を有する水中油型乳化型化粧料組成物、各種基材に対する高い濡れ性及び密着性を有し、硬化されることで高い表面硬度と耐水性を示すコーティング剤、各種基材に対する高い密着性を有し、顔料分散性、表面乾燥性、吐出安定性、鮮明性等の印刷特性に優れ、高い硬化性及び耐黄変性を有するインク、高い強度、耐熱性及び耐水性を有する三次元造形物を精度良く造形でき、耐硬化収縮性に優れる三次元造形用インク組成物、を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第一の実施形態は、重合性組成物である。第二の実施形態は、第一の実施形態の重合性組成物を活性エネルギー線及び/又は熱により重合させてなる重合物である。第三の実施形態は、第一の実施形態の重合性組成物が重合開始剤、不飽和結合を有する化合物(但し、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)及びそれを用いた重合物を除く)、非重合性オリゴマー及び非重合性ポリマー(N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を用いた重合物を除く)、並びに第二の実施形態の重合物から選択される1種以上を更に含有する重合性組成物である。第四の実施形態は、第二の実施形態の重合物が重合開始剤、不飽和結合を有する化合物(但し、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)及びそれを用いた重合物を除く)、非重合性オリゴマー及び非重合性ポリマー(N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を用いた重合物を除く)、並びに分子中に反応性官能基2個以上を有する架橋剤(分子中に不飽和結合2個以上を有する化合物を除く)から選択される1種以上を更に含有する重合性組成物である。以下、本発明の第一~第四の実施形態について、纏めて説明する。
【0010】
本発明の第一の実施形態に係る重合性組成物は、下記一般式[1]で表されるN-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有する。
【0011】
【0012】
一般式[1]中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2とR3の一方は、炭素数6以上の鎖状炭化水素基又は炭素数6以上の環状炭化水素基を示し、他方は、水素原子、炭素数1以上の鎖式炭化水素基又は炭素数3以上の環状炭化水素基を示し、R2及びR3は、それらを担持する窒素原子と一緒になって6員以上の飽和環を形成したものを含む。前記6員以上の飽和環はヘテロ原子を含んでもよく、含まなくてもよい。又、R2及びR3は、ヘテロ原子含有の置換基を含んでもよく、含まなくてもよく、含む場合のヘテロ原子数は3個以下である。ヘテロ原子とは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子又はホウ素原子を示す。なお、一般式[1]に含まれないN-置換(メタ)アクリルアミドをN-置換(メタ)アクリルアミド(B)とも称する。
【0013】
本発明の第二の実施形態に係る重合物は、第一の実施形態の重合性組成物を活性エネルギー線及び/又は熱により重合させてなる重合物である。該重合物は架橋構造を有しない可溶性ポリマーであり、前記N-置換(メタ)アクリルアミド(A)から選択される任意の1種モノマーのホモポリマーであってもよく、Aから任意に選択される2種以上のモノマーを任意な比例で共重合して得るAのコポリマーであってもよく、又、Aから任意に選択される1種以上モノマーをA以外の共重合可能のモノマーと任意な比例で共重合して得るコポリマーであってもよい。なお、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)とA以外のモノマーから得るコポリマーは、コポリマー中のAの含有量が、コポリマーの全重量に対して、1重量%以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の第一~第四の実施形態(以下は併せて本実施形態とも称する)に用いるN-置換(メタ)アクリルアミド(A)は両親媒性であり、分子中に低極性基材への濡れ性を付与できる疎水性置換基として、炭素数6以上の鎖式炭化水素基、炭素数6以上の環式炭化水素基及びR2及びR3を担持する窒素原子を含む6員以上の飽和環からなる群より選択される少なくとも1つの置換基と、高極性基材への濡れ性を付与できる親水性(メタ)アクリルアミド基を有する。本実施形態に係る重合性組成物は、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有することにより、組成物を構成する各成分の相溶性が良く、高い透明性が発現でき、又、有機系基材、無機系基材及び有機・無機のハイブリッド基材からなる低極性から高極性までの幅広い極性を有する基材といった各種基材に対する濡れ性が良好である。更に、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、活性エネルギー線及び/又は熱に対する十分な硬化性、重合性を示すため、これを含む重合性組成物は高い硬化性、重合性を有する。前記幅広い極性の各種基材への良好な濡れ性とアミド基同士の強い凝集力との相乗効果により、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有する重合性組成物及び/又は該重合性組成物を重合させて得られる重合物(以下、重合性組成物の重合物、又は重合物とも称する)から成形される粘着剤組成物及び接着剤組成物は、各種基材に対する密着性に優れる。そのため、重合性組成物及び/又はその重合物の成形品として、高い粘着力及び耐汚染性(リワーク性)を有する粘着剤組成物、並びに高い接着力、耐衝撃性及び耐水性を有する接着剤組成物が得られる。本実施形態に係る重合性組成物及び/又はその重合物は、前述したN-置換(メタ)アクリルアミド(A)の特性を利用することで、粘着剤組成物や接着剤組成物のみならず、コーティング剤組成物、化粧料組成物、インク組成物、インクジェット用インク組成物、三次元造形に用いられるインク組成物といった各種用途に応用できる。
【0015】
前記一般式[1]中の、R2、R3における、鎖式炭化水素基又は環式炭化水素基の炭素数は、本実施形態に係る重合性組成物の低極性基材への濡れ性を向上させる観点から、8以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましく、16以上であることが更に好ましい。一方で、鎖式炭化水素基又は環式炭化水素基の炭素数は、特に限定されないが、重合性組成物の高極性基材への濡れ性も十分に維持するため、即ち、低極性基材と高極性基材への濡れ性のバランスの観点から、通常36以下であり、24以下であることが好ましく、22以下であることがより好ましい。又、一般式[1]中の、R2及びR3を担持する窒素原子を含む飽和環の員数は、重合性組成物の低極性基材、高極性基材への濡れ性のバランスを取らせる観点から6以上、12以下であることが好ましい。
【0016】
本実施形態に用いるN-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、N-モノ置換(メタ)アクリルアミドとN,N-二置換(メタ)アクリルアミドであり、前述したように置換基として炭素数6以上且つ36以下の鎖状の飽和構造及び不飽和構造並びに環状の飽和構造及び不飽和構造から選択される1種以上の構造を有することが好ましい。又、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、少なくとも一つの、不飽和構造を有する置換基を有することがより好ましい。一般的に炭素数が同じ脂肪族化合物において、その構造に不飽和結合を含むものは、含まないものに比べて、融点が低くなる傾向にある。後述するように、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、常温で液体であると、本実施形態の重合性組成物中での含有量をある程度任意調整できる。したがって、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)が不飽和構造を有する置換基を1つ以上含むことで、その融点を低下させる効果を有し、より好ましい。
【0017】
本実施形態に係る重合性組成物は、常温における硬化物の飽和吸水率は10%以下であることが好ましい。本明細書において、常温とは、大気圧下における5℃~35℃を示す。硬化物の飽和吸水率は飽和吸水状態における吸水率であり、後述する方法により算出することができる。又、飽和吸水状態になればよく、その状態に到達する方法、条件等は限定されない。硬化物の飽和吸水率は10%以下であれば、十分な耐水性を有する。飽和吸水率は低い程、硬化物の耐水性が高いので、硬化物の飽和吸水率は7%以下であることがより好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
【0018】
N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力は、24.0~46.0mN・m-1であることが好ましい。本明細書において、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力は、Meissner法(化学工学便覧改訂7版66頁)により求めた23℃における計算値であり、その平均誤差は3%である。
【0019】
N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力が、上記数値範囲内であるとき、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有する重合性組成物が異なる極性の基材に塗られた際に基材の極性に合わせて分子を配列することができ、その結果、前述した幅広い極性を示す各種基材に対する良好な濡れ性を示し、重合性組成物及び/又はその重合物の成形品である粘着剤組成物や接着剤組成物等の密着性も向上する。これらの観点から、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力は、28.0~36.0mN・m-1であることがより好ましく、30.0~33.0mN・m-1であることが特に好ましい。
【0020】
N-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、常温における状態が液体であることが好ましい。N-置換(メタ)アクリルアミド(A)が、常温において液体であることにより、加熱等の作業を行わなくても、本実施形態に係る重合性組成物中の含有量をある程度任意に調整することができ、得られる重合性組成物の透明性を維持しやすい。N-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、30℃以下において液体であることがより好ましく、25℃以下において液体であることが更に好ましい。本明細書において、「液体」とは流動性を有する液体状態と流動性を有しないワックス状態を含む。
【0021】
本実施形態に係る重合性組成物において、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の含有量は、重合性組成物の全重量に対して1重量%以上であって、100重量%であってもよく、重合性組成物の具体的な用途に合わせて、Aの含有量は適宜に調整することができる。N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を1重量%含有すれば、重合性組成物の活性エネルギー線及び/又は熱に対する硬化性や重合性、透明性及び幅広い極性を示す各種基材に対する濡れ性の改善効果が発現でき、又、このような硬化性、重合性、透明性と濡れ性のバランスをよりよく発現されるため、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の含有量は、5~90重量%であることがより好ましく、10~80重量%であることが更に好ましく、20~70重量%であることが特に好ましい。
【0022】
N-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、置換基として不飽和結合を含まない炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を有する場合、該脂肪族炭化水素基は直鎖でも分岐でも環状構造でもよい。例えば、次のようなN-置換(メタ)アクリルアミドが挙げられる:n-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、sec-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、tert-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、n-ヘプチル(メタ)アクリルアミド、sec-ヘプチル(メタ)アクリルアミド、tert-ヘプチル(メタ)アクリルアミド、n-オクチル(メタ)アクリルアミド、sec-オクチル(メタ)アクリルアミド、tert-オクチル(メタ)アクリルアミド、2-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-(2-エチルヘキシル)アクリルアミド、n-ノニル(メタ)アクリルアミド、n-デシル(メタ)アクリルアミド、n-ウンデシル(メタ)アクリルアミド、n-ドデシル(メタ)アクリルアミド、n-トリデシル(メタ)アクリルアミド、n-トリメチルデシル(メタ)アクリルアミド、n-テトラデシル(メタ)アクリルアミド、n-ヘキサデシル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、n-エイコシル(メタ)アクリルアミド、n-ドコシル(メタ)アクリルアミド、n-テトラコシル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル-N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル-N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル-N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル-N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル-N-ペンチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル-N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-2-メチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-3-メチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-4-メチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-2,6-ジメチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-3,5-ジメチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-3,3-ジメチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-4,4-ジメチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-2-メチル-5-エチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-4-メチル-4-エチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-2-エチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-3-エチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-4-エチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-2-プロピルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-3-プロピルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-4-プロピルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-3-イソプロピルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-4-イソプロピルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイル-2-メチルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイル-3-メチルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイル-4-メチルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイル-2-エチルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイル-3-エチルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイル-4-エチルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイル-3-プロピルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイル-4-プロピルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイル-3-イソプロピルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイル-4-イソプロピルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイル-3,5-ジメチルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイル-4,4-ジメチルヘキサメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイルヘプタメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイルオクタメチレンイミン、N-(メタ)アクリロイルデカメチレンイミン、ドーパミン(メタ)アクリルアミド、3-(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸。これらの中でも、工業品を容易に入手できる等の観点から、n-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、n-オクチル(メタ)アクリルアミド、tert-オクチル(メタ)アクリルアミド、2-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-(2-エチルヘキシル)アクリルアミド、n-ノニル(メタ)アクリルアミド、n-デシル(メタ)アクリルアミド、n-ドデシル(メタ)アクリルアミド、n-トリデシル(メタ)アクリルアミド、n-トリメチルデシル(メタ)アクリルアミド、n-テトラデシル(メタ)アクリルアミド、n-ヘキサデシル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル-N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-2-メチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-4-メチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-2,6-ジメチルピペリジン、N-(メタ)アクリロイル-3,5-ジメチルピペリジン、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、ドーパミン(メタ)アクリルアミド、3-(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸が好ましい。
【0023】
N-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、置換基として不飽和結合を含む炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を有する場合、該脂肪族炭化水素基は直鎖でも分岐でも環状構造でもよい。例えば次のようなN-置換(メタ)アクリルアミドが挙げられる:ヘキセニル(メタ)アクリルアミド、ヘプテニル(メタ)アクリルアミド、オクテニル(メタ)アクリルアミド、ノネニル(メタ)アクリルアミド、デセニル(メタ)アクリルアミド、ウンデセニル(メタ)アクリルアミド、ドデセニル(メタ)アクリルアミド、テトラデセニル(メタ)アクリルアミド、ヘキサデセニル(メタ)アクリルアミド、オレイル(メタ)アクリルアミド、イコセニル(メタ)アクリルアミド、ドコセニル(メタ)アクリルアミド、テトラコセニル(メタ)アクリルアミド、オクタデカジエニル(メタ)アクリルアミド、イコサジエニル(メタ)アクリルアミド、ドコサジエニル(メタ)アクリルアミド、テトラコサジエニル(メタ)アクリルアミド、オクタデカトリエニル(メタ)アクリルアミド、イコサトリエニル(メタ)アクリルアミド、ドコサトリエニル(メタ)アクリルアミド、テトラコサトリエニル(メタ)アクリルアミド、オクタデカテトラエニル(メタ)アクリルアミド、イコサテトラエニル(メタ)アクリルアミド、ドコサテトラエニル(メタ)アクリルアミド、テトラコサテトラエニル(メタ)アクリルアミド、オクタデカペンタエニル(メタ)アクリルアミド、イコサペンタエニル(メタ)アクリルアミド、ドコサペンタエニル(メタ)アクリルアミド、テトラコサペンタエニル(メタ)アクリルアミド、ドコサヘキサエニル(メタ)アクリルアミド、テトラコサヘキサエニル(メタ)アクリルアミド。これらの中でも、工業品を容易に入手できる等の観点から、オクテニル(メタ)アクリルアミド、ノネニル(メタ)アクリルアミド、ウンデセニル(メタ)アクリルアミド、オレイル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0024】
本実施形態に係る重合性組成物は、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の他に、重合開始剤、不飽和結合を有する化合物(但し、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)及びそれを用いた重合物を除く)、非重合性オリゴマー及び非重合性ポリマー(但し、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を用いた重合物を除く)並びに前記重合性組成物の重合物から選択される1種以上を更に含有してもよい。重合性組成物が、重合開始剤を更に含有する場合、活性エネルギー線及び/又は熱に対する硬化性、重合性がより向上し、不飽和結合を有する化合物を更に含有する場合、粘着剤組成物、接着剤組成物、コーティング剤組成物及び各種インク組成物としてより好適に用いることができる。又、重合性組成物が、非重合性オリゴマー及び/又は非重合性ポリマーを更に含有する場合、重合性組成物の粘度及びその硬化物の柔軟性が調整されやすい。特に、重合性組成物が、その重合物を更に含有する場合、該重合性組成物又はその重合物の成形品である粘着剤組成物の各種基材に対する粘着力や、接着剤組成物の各種基材に対する接着力が向上する。以下、重合性組成物は、その重合物を含有しない重合性組成物と、その重合物を含有する重合性組成物の両方を表すものとする。
【0025】
前記不飽和結合を有する化合物としては、不飽和結合を1個有する単官能モノマー、単官能オリゴマー、不飽和結合を2個以上有する多官能モノマー又は多官能オリゴマー、不飽和結合を有する重合性ポリマーを挙げることができる。これらの不飽和結合を有する化合物は、重合性組成物の具体的な用途によるため限定されないが、単官能モノマーが重合性組成物の粘度を低粘度側に調整する目的等で、重合性ポリマーが重合性組成物の粘度を高粘度側に調整する目的等で、又多官能モノマー、多官能オリゴマー及び重合性ポリマーが重合性組成物の硬化性や得られる硬化物の架橋率を調整する目的等で、用いられる。本実施形態の重合性組成物における、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)以外の含有成分は、単独で加えてもよいし、2種類以上を組み合わせることもできる。それぞれの含有量は、具体的な用途に応じて適宜調整すればよいが、重合性組成物の全重量に対して、単官能モノマーが1~99重量%、多官能モノマーが0.05~50重量%、多官能オリゴマーは0.05~50重量%、重合性又は非重合性ポリマーは0.01~10重量%、重合性組成物の重合物は0.01~10重量%であることが好ましい。本明細書において、各種モノマーの単独重合体又は共重合体であって重量平均分子量(Mw)が1,000以上、10,000未満のものをオリゴマーと、Mwが10,000以上のものをポリマーと分類する。
【0026】
多官能モノマーは、分子中に(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基、マレイミド基から選択される2個以上の不飽和結合を有するモノマーであり、多官能(メタ)アクリレートや多官能(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。一般的に、分子中に不飽和結合が10個以下の多官能モノマーが好適に用いられる。
【0027】
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アクリレートエステル(ジオキサングリコールジアクリレート)、アルコキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
多官能(メタ)アクリルアミドとしては、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジアリル(メタ)アクリルアミド、N-[トリス(3-(メタ)アクリルアミドプロポキシメチル)メチル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-(メタ)アクリルアミドエチル)(メタ)アクリルアミド、4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-1,2-エタンジルビス[N-(2-(メタ)アクリルアミドエチル)](メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの多官能モノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
単官能モノマーは、単官能(メタ)アクリレート、単官能(メタ)アクリルアミド、スチレン、アルコキシ基含有モノマー、ビニル基含有モノマー、アリル基含有モノマーとマレイミド基含有モノマー等、分子中に反応性二重結合を持つラジカル重合性化合物が挙げられる。
【0030】
単官能(メタ)アクリレートは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
単官能(メタ)アクリルアミドは、例えば、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)]プロピルアクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これら単官能(メタ)アクリルアミドは、前述したN-置換(メタ)アクリルアミド(B)に含まれる。
【0032】
ビニル基含有モノマーとしては、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらの単官能モノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
単官能オリゴマー、多官能オリゴマー及び重合性ポリマーとしては、例えば、アクリル、エステル、エーテル、ウレタン、アミド等の骨格を有する直鎖状及び/又は分岐状のオリゴマー、ポリマーが挙げられ、主鎖構造からウレタン系、エポキシ系とアクリル系等が分けられる。これらを重量平均分子量(Mw)で分類すると、Mwが1,000以上、10,000未満のものとしては、上記の多官能(メタ)アクリレート及び/又は多官能(メタ)アクリルアミドからなるオリゴマーを例示することができ、Mwが10,000以上のものとしては、次のような重合性ポリマーを例示できる:二官能ポリウレタン(メタ)アクリレート、多官能ポリウレタン(メタ)アクリレート、二官能ポリエステル(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、二官能ポリエステル(メタ)アクリレート、多官能ポリエステル(メタ)アクリレート、二官能ポリエーテル(メタ)アクリレート、多官能ポリエーテル(メタ)アクリレート、二官能ポリアミド(メタ)アクリレート、多官能ポリアミド(メタ)アクリレート、二官能ポリ(メタ)アクリル酸エステル(メタ)アクリレート、多官能ポリ(メタ)アクリル酸エステル(メタ)アクリレート、二官能ポリ(メタ)アクリル酸エステル(メタ)アクリルアミド、多官能ポリ(メタ)アクリル酸エステル(メタ)アクリルアミド、二官能ポリ(メタ)アクリルアミド(メタ)アクリレート、多官能ポリ(メタ)アクリルアミド(メタ)アクリレート、二官能ポリスチレン(メタ)アクリレート、多官能ポリスチレン(メタ)アクリレート、二官能ポリアクリロニトリル(メタ)アクリレート、多官能ポリアクリロニトリル(メタ)アクリレート、二官能エポキシアクリレート(ビスフェノールA型)、多官能エポキシアクリレート(ビスフェノールA型)等。これらのオリゴマー又はポリマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
又、単官能又は多官能オリゴマーは、市販品で入手容易の観点から、ウレタンアクリレートとしては、例えば三菱ケミカル社製、商品名UV-3200B、UV-3000B、UV―6640B、UV-3700B、UV-3310B、UV-7000Bや新中村化学工業社製、商品名U-4HA、U-200PA、ダイセル・サイテック社製、商品名EBECRYL245、EBECRYL1259、EBECRYL8210、EBECRYL284、EBECRYL8402、SARTOMER社製、商品名CN944、CN969、CN9002、CN9029、根上工業社製、商品名UN1255、UN-5507、共栄社製、商品名AH-600、UA-306I等を用いることができ、UV硬化型ウレタンオリゴマーとしてKJケミカルズ社製、Quick Cure(登録商標)6100、Quick Cure(登録商標)7100及びQuick Cure(登録商標)8100等を用いることができる。
【0035】
不飽和結合を有する化合物は、不飽和結合を有するモノマーやオリゴマーであってよく、前述した各種単官能モノマー、多官能のモノマー、オリゴマーであることが好ましい。本実施形態の重合性組成物に含有される不飽和結合を有する化合物は、粘度等の物性調整に用いられる熱可塑性の重合物を得る観点からは、不飽和結合1個を有する単官能モノマーであることが好ましく、得られる重合物の凝集力を高める観点から、架橋点を導入できるモノマーが特に好ましい。これら不飽和結合を有する化合物の含有量は、具体的な用途に応じて、任意に調整すればよいが、本実施形態に係る重合性組成物の全重量に対して、合計で1~99重量%であることが好ましい。
【0036】
前記の架橋点を導入できるモノマーは、分子中に反応性官能基を1個以上有するモノマーであり、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー、アミノ基含有(メタ)アクリル系モノマー、アセトアセチル基含有(メタ)アクリル系モノマー、イソシアネート基含有(メタ)アクリル系モノマー、グリシジル基含有(メタ)アクリル系モノマー、オキサゾリン基含有ビニルモノマー等の官能基含有(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
【0037】
前記の水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド類、その他、2-アクリロイルオキシエチル2-ヒドロキシエチルフタル酸、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー、2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーを挙げることができる。これらの中でも、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が好ましく用いられる。
【0038】
前記のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸、等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。
【0039】
前記アミノ基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジ-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
【0040】
前記アセトアセチル基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0041】
前記グリシジル基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリルアミドグリシジル、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、N-メチル-N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、N-エチル-N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、N-プロピル-N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、N-ブチル-N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、N-ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、N-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、N-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、N-ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル、N-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリルアミドグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0042】
前記オキサゾリン基含有ビニルモノマーとしては、例えば、2-ビニル-2-オキサゾリン、4-メチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、5-メチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、4-エチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、5-エチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、4,4-ジエチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、4,5-ジメチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、4,5-ジエチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、4-メチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、5-メチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、4-エチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、5-エチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、4,4-ジエチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、4,5-ジメチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、4,5-ジエチル-2-イソプロペニル-2-オキサゾリン等が挙げられる。又、高反応性を有する2-ビニル-2-オキサゾリン、5-メチル-2-ビニル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-ビニル-2-オキサゾリンが好ましく、更に2-ビニル-2-オキサゾリンが最も好ましい。これらの架橋点を導入できるモノマーは、1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
本実施形態において、架橋剤とは重合性組成物の硬化物に架橋構造を導入できる化合物であって、前述した架橋点を導入できるモノマー及びそれを重合してなる複数の架橋点を導入できるオリゴマー並びにポリマー、分子中に反応性官能基を2個以上有する化合物、前述した分子中に不飽和結合2個以上を有する多官能モノマー、多官能オリゴマーと重合性ポリマーが挙げられる。なお、本実施形態において、架橋点を導入できるモノマーは分子中に反応性官能性1個以上を有する単官能モノマーである場合、単官能モノマーとして取り扱う。本実施形態における架橋剤による架橋方法は、(1)重合性組成物又はその重合物に、該重合性組成物又はその重合物に含まれる反応性官能基(例えば、水酸基やアミノ基)と反応する官能基(例えば、イソシアネート基やカルボキシル基)を有する化合物を更に含有させて架橋させる方法、(2)重合性組成物又はその重合物に、多官能モノマー、多官能オリゴマー又は重合性ポリマーを含有させて活性エネルギー線の照射により架橋させる方法、(3)重合性組成物又はその重合物に、多官能モノマー、多官能オリゴマー若しくは重合性ポリマー、又は架橋点を導入できるモノマー等の架橋剤を含有させ活性エネルギー線の照射及び/又は架橋剤の反応により架橋する方法等が挙げられる。なお、架橋方法(3)は、(1)と(2)の架橋方法を適宜に組み合わせた方法である。
【0044】
上記架橋方法(1)において、架橋剤(即ち、重合性組成物又はその重合物に含まれる反応性官能基と反応する官能基を有する化合物)としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボキシル基、オキサゾリン基を有する化合物等、が挙げられる。
【0045】
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート等が挙げられる。より具体的には、イソシアネート化合物としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(東ソー社製、商品名:コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(東ソー社製、商品名:コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー社製、商品名:コロネートHX)等のイソシアネート付加物等が挙げられる。これらのイソシアネート化合物は1種を単独で使用してもよく、又2種以上を混合して使用してもよい。
【0046】
エポキシ化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン(三菱ガス化学社製、商品名:TETRAD-X)や1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製、商品名:TETRAD-C)等が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で使用してもよく、又2種以上を混合して使用してもよい。
【0047】
アジリジン化合物としては、例えば、市販品としての商品名:HDU、商品名:TAZM、商品名:TAZO(以上、相互薬工社製)等が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で使用してもよく、又2種以上を混合して使用してもよい。
【0048】
カルボキシル基を有する化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3-ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸、グリコール酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボキシル基、及びそれらのエステル形成性誘導体又はそれらの無水物等から誘導されるジカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で使用してもよく、又2種以上を混合して使用してもよい。
【0049】
オキサゾリン基を有する化合物としては、テトラメチレンビスオキサゾリン、ヘキサメチレンビスオキサゾリン等のアルキレンビスオキサゾリン、1,3-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン等の芳香族ビスオキサゾリン、前述した各種のオキサゾリン基含有ビニルモノマーのホモポリマーや不飽和結合を有する化合物とのコポリマー等のオキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で使用してもよく、又2種以上を混合して使用してもよい。
【0050】
架橋方法(1)における架橋剤(即ち、重合性組成物又はその重合物に含まれる反応性官能基と反応する官能基を分子中に2個以上有する化合物)の含有量は、重合性組成物又はその重合物中に含まれる反応性官能基の量や分子量とのバランスにより、更には、具体的な用途により適宜選択できるが、通常は、重合性組成物の全重量に対して、0.1~15重量%が好ましく、0.5~10重量%がより好ましく、1~5重量%が特に好ましい。含有量が0.1重量%未満の場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、架橋反応後の成形品は粘着剤組成物と接着剤組成物の硬化物である場合、十分な耐久性が得られないことがあり、粘着剤組成物において糊残り(汚染)の原因となる傾向もある。又、架橋反応後の成形品はコーティング剤の硬化物である場合、十分な表面硬度が得られなくなり、架橋反応後の成形品は三次元造形用インクの硬化物、即ち三次元造形物ある場合、十分な硬度と引張強度を有する造形物が得られなくなる可能性がある。一方、含有量が15重量%を超える場合、架橋反応後の成形品が粘着剤組成物と接着剤組成物の硬化物である場合、柔軟性の低下に伴い、基材に対する密着性も低下し、十分な粘着力と接着力が得られなくなる。又、架橋反応後の成形品は三次元造形用インクの硬化物、即ち三次元造形物ある場合、十分な破断伸度を有する造形物が得られなくなる可能性がある。なお、架橋方法(1)における架橋反応は常温で行ってもよいが、反応を促進するため、40℃~120℃程度の温度で行うことが好ましい。
【0051】
上記架橋方法(2)において、架橋剤(即ち、多官能モノマー、多官能オリゴマー又は重合性ポリマー)としては、前述したものを用いることができる。又、架橋方法(2)において、後述する各種活性エネルギー線を用いて照射することができる。活性エネルギー線として紫外線(UV、UV-LED等)や可視光線を用いる場合、光重合開始剤を併用することが好ましい。活性エネルギー線として電子線(EB)や電子線より短波長のエネルギー線を用いた場合、高いエネルギーを与えられるため、光重合開始剤を含有しなくてもよい。又、多官能モノマー、多官能オリゴマー又は重合性ポリマーの分子中に有する不飽和結合がマレイミド基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基等の自己開始可能の官能基である場合、光重合開始剤を含有しなくてもよい。
【0052】
架橋方法(2)における架橋剤(即ち、多官能モノマー、多官能オリゴマー又は重合性ポリマー)の含有量は、重合性組成物の全重量に対して、0.05~50重量%が好ましく、又架橋後の硬化物の各種基材に対する密着性と、得られる硬化物の硬度や強度とのバランスがよい観点から、0.1~30重量%がより好ましく、0.5~20重量%が特に好ましい。含有量が0.05重量%未満の場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、架橋反応後の成形品が粘着剤組成物と接着剤組成物である場合、十分な耐久性が得られないことがあり、粘着剤組成物において糊残り(汚染)の原因となる傾向もある。又、架橋反応後の成形品はコーティング剤の硬化物である場合、十分な表面硬度が得られなくなり、架橋反応後の成形品は三次元造形モデル材用インクの硬化物、即ち三次元造形物ある場合、十分な硬度と引張強度を有する造形物が得られなくなる可能性がある。一方、含有量が50重量%を超える場合、架橋反応後の成形品が粘着剤組成物と接着剤組成物の硬化物である場合、活性エネルギー線硬化に特有の硬化による収縮が発生しやすくなり、剥離や亀裂の原因となる傾向がある。その場合、勿論、十分な粘着力も接着力も得られなくなる。又、架橋反応後の成形品はコーティング剤の硬化物である場合、硬化収縮により、成形品である硬化膜の剥離や亀裂が発生しやすくなる。架橋反応後の成形品は三次元造形物である場合、十分な破断伸度が得られなくなる可能性がある。
【0053】
架橋方法(3)における架橋剤(即ち、多官能モノマー、多官能オリゴマー若しくは重合性ポリマー、及び分子中に反応性官能基2個以上を有する化合物)の含有量は、使用する架橋剤の種類によって異なる。多官能モノマー、多官能オリゴマー若しくは重合性ポリマーの含有量は、重合性組成物の全重量に対して、0.05~30重量%であることが好ましく、又分子中に反応性官能基2個以上を有する化合物の含有量は、重合性組成物の全重量に対して、0.1~10重量%であることが好ましい。又、多官能モノマー、多官能オリゴマー及び重合性ポリマーと分子中に反応性官能基2個以上を有する化合物は、混合して使用されるため、これらの架橋剤の含有量の合計は、重合性組成物の全重量に対して、0.15~40重量%であることが好ましく、0.2~35重量%であることがより好ましく、0.5~30重量%であることが特に好ましい。含有量の合計が0.15重量%未満の場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、架橋反応後の成形品は粘着剤組成物と接着剤組成物の硬化物である場合、十分な耐久性が得られないことがあり、粘着剤組成物において糊残り(汚染)の原因となる傾向もある。又、架橋反応後の成形品はコーティング剤の硬化物である場合、十分な表面硬度が得られなくなり、架橋反応後の成形品は三次元造形用インクの硬化物、即ち三次元造形物ある場合、十分な硬度と引張強度を有する造形物が得られなくなる可能性がある。合計の含有量が40重量%を超える場合、架橋反応後の成形品が粘着剤組成物と接着剤組成物の硬化物である場合、柔軟性の低下に伴い、基材に対する密着性も低下し、十分な粘着力と接着力が得られなくなる。又、架橋反応後の成形品は三次元造形用インクの硬化物、即ち三次元造形物ある場合、十分な破断伸度を有する造形物が得られなくなる可能性がある。
【0054】
前述のとおり、本実施形態に係る重合性組成物は、重量平均分子量(Mw)が1,000以上、10,000未満の非重合性オリゴマー及び/又はMwが10,000以上の非重合性ポリマーを更に含有してもよい。非重合性オリゴマー及び非重合性ポリマーとしては、熱可塑性樹脂、ロジン系樹脂又はそれらの混合物等を挙げることができる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン酸樹脂、アクリロニトリルとブタジエン及びスチレンの共重合体であるABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂が挙げられる。又、ロジン系樹脂はガムロジン等の天然ロジンと、天然ロジンを変性して得る水添ロジン、不均化ロジン、ロジン変性フェノール樹脂、マレイン酸変性ロジン樹脂、マレイン化ロジン、エステル化ガム等の変性ロジン樹脂が挙げられる。これらの非重合性オリゴマー及び非重合性ポリマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0055】
前述のとおり、本実施形態に係る重合性組成物は、重合開始剤及び/又は不飽和結合を有する化合物を更に含有してもよい。この場合、重合性組成物は、活性エネルギー線及び/又は熱による硬化性、重合性がより向上し、活性エネルギー線及び/又は熱硬化性の粘着剤組成物、接着剤組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物等として好適に用いることができる。例えば、粘着剤組成物としては、重合性組成物をセパレーターや後述する各種基材に塗布した後、活性エネルギー線により硬化することで粘着層を形成できる。本明細書において、重合性組成物を活性エネルギー線及び熱により重合することをハイブリッド重合とも称する。ハイブリッド重合において、活性エネルギー線、熱の順に重合を行ってもよく、熱、活性エネルギー線の順に重合を行ってもよい。
【0056】
活性エネルギー線としては、活性種を発生する化合物(光重合開始剤)を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、例えば、可視光線、紫外線、赤外線、α線、β線、γ線、X線、電子線(EB)等が挙げられる。活性エネルギー線として電子線を用いる場合、光重合開始剤を用いなくてもよい。一方で、紫外線や可視光線等を用いる場合、光重合開始剤を用いることが好ましい。活性エネルギー線の照射は、窒素ガスや炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下又は酸素濃度を低下させた雰囲気下で行うことが好ましいが、本実施形態に係る重合性組成物は、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を有するため硬化性が良く、通常の空気雰囲気下であっても十分に硬化できる。活性エネルギー線の照射温度は、好ましくは10℃~200℃であり、照射時間は、好ましくは1秒~60分である。
【0057】
光重合開始剤としては、活性エネルギー線反応性成分の種類に応じ、その重合反応の引金となり得る適当な波長の紫外線を照射することによりラジカルを生成する物質(すなわち、光ラジカル重合開始剤)であればよい。光重合開始剤はアセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の通常のものから適宜選択すればよく、市販品としてはIGM Resins B.V.社製、商品名Omnirad 1116、Omnirad 1173、Omnirad 184、Omnirad 369、Omnirad 500、Omnirad 651、Omnirad 754、Omnirad 819、Omnirad 907、Omnirad 1300、Omnirad 1800、Omnirad 1870、Omnirad 2959、Omnirad 4265、Omnirad TPO等、UCB社製、商品名ユベクリルP36等を用いることができる。これらの光重合開始剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0058】
光ラジカル重合開始剤として、特に制限されず、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アニソールメチルエーテル等のベンゾイン類、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α、α'-ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2'-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-シクロヘキシルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-4'-イソプロピル-2-メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、p-クロルベンゾフェノン、p-ジメチルアミノベンゾフニノン等のベンゾフェノン類、チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-チルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等のチオキサントン類、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジ-n-ブトキシフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類、ベンジル、ジベンゾスベロン、α-アシルオキシムエステル等が挙げられる。光ラジカル重合開始剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
これらの光重合開始剤の含有量は、本実施形態に係る重合性組成物の全重量に対して、通常0.1~10重量%であり、0.1~5重量%であることが好ましく、0.5~3重量%であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量が、0.1重量%未満だと十分な硬化性が得られず、10重量%を越えると硬化物の強度等の性能が低下することがある。
【0060】
本実施形態に係る重合性組成物の熱重合は、熱重合開始剤の存在下で公知の方法によって行うことができ、例えば、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法等の方法を挙げることができる。溶液重合法を採用する場合、使用できる溶媒は、重合して得られる重合物を溶解する溶媒であれば特に制限は無く、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸2-ヒドロキシエチル等のエステル類、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、成形品を形成する際に除去しやすい観点から、低沸点の酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン等の使用が好ましい。熱重合の温度や時間は、採用する熱重合法と使用する熱重合開始剤によって異なるが、通常、開始剤の半減期より計算され、温度は、通常60℃~120℃であることが好ましく、時間は、通常2時間~20時間が好ましく、5時間~10時間がより好ましい。
【0061】
熱重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤を挙げることができ、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル、アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ化合物系触媒や、ベンゾイルパーオキシド、過酸化水素等の過酸化物系触媒、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩系触媒等を用いることができる。熱重合開始剤の含有量は、重合性組成物の全重量に対して0.01~10重量%程度である。更に、連鎖移動剤による分子量の調整等、通常のラジカル重合技術を適用することができる。
【0062】
前述のとおり、本実施形態に係る重合性組成物を前述各種方法により重合して得られる重合物は、重合性組成物の成分として更に含有されてもよい。本実施形態に係る重合性組成物の重合物の分子量は、重量平均分子量(Mw)で通常1,000~2,000,000であり、5,000~1,000,000であることが好ましく、10,000~500,000であることが特に好ましい。Mwが1,000~2,000,000の範囲内であれば、重合物を溶媒や汎用の低粘度モノマーで溶解した場合の溶液粘度が高過ぎず、低過ぎないため、好適に取り扱うことができ、粘着シート、塗膜、三次元造形物等の加工精度が高い。重合物の固形分が30%になるように酢酸エチルで希釈した場合、25℃における溶液粘度は通常10~100,000mPa・sであり、500~10,000mPa・sであることが好ましく、1,000~5,000mPa・sであることがより好ましい。粘度の測定は、JIS K5600-2-3のコーンプレート粘度計法に準じて行うことができる。
【0063】
本発明の第五の実施形態は、粘着剤組成物である(以下、粘着剤とも称する)。第五の実施形態に係る粘着剤組成物は、第一~第四の実施形態に係る重合性組成物若しくはその重合物、又は該重合性組成物若しくはその重合物及び架橋剤を含有する。第一~第四の実施形態に係る重合性組成物又はその重合物は、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有するため、粘着剤組成物として十分な凝集力や粘着力、各種基材に対する密着性、耐汚染性の他、耐久性、耐黄変性を有する。そのため、前記重合性組成物又はその重合物は、粘着剤組成物としてそのまま用いることもできる。一方で、前記重合性組成物又はその重合物を含む粘着剤組成物を、前述した架橋剤を用いた架橋方法(1)~(3)により架橋することで、より耐汚染性、耐久性に優れた粘着剤組成物を得ることもできる。
【0064】
第五の実施形態に係る粘着剤組成物は、セパレーターや基材に塗布又は成形された後、粘着層としてそのまま用いることができる。一方で、活性エネルギー線及び/又は熱により硬化されることで粘着層を形成する、即ち、活性エネルギー線及び/又は熱硬化性の粘着剤組成物として用いることもできる。又、粘着剤組成物中に有機溶媒を含有する場合は、セパレーターや基材に塗布又は成形された後、60~120℃の温度で1分~30分間乾燥させる。粘着剤組成物をセパレーターや基材に塗布する方法は、従来公知の方法を使用することができ、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、ディピング法、グラビアロール、リバースロール法、スクリーン印刷法、バーコーター法等通常の塗膜形成法が用いられる。
【0065】
第五の実施形態に係る粘着剤組成物からなる粘着層と各種基材とを積層させることで積層体が得られる。粘着層と各種基材とを積層させる方法は、転写法やロールツーロール法を挙げることができる。積層体における粘着層の厚さは、各種用途によって異なるため特に限定されないが、通常、4μm~150μmであり、自動車部材に用いられる場合には20μm~120μm程度が、電子材料用や光学部材に用いられる場合には30μm~100μm程度が適当である。
【0066】
基材としては、その用途に応じて、低極性から高極性までの幅広い極性を有する、有機系基材、無機系基材及び有機・無機複合材料からなる基材といった各種基材を挙げることができ、その材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンといったポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体であるABS樹脂、ポリイミド、ポリアミド及びポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂類、鋼、ステンレス、銅及びアルミニウム等の金属類、ガラス類の他、無機系材料であるシリカ微粒子を有機系材料であるポリイミドに分散させたハイブリッド材料等を挙げることができる。前記各種基材の用途は、特に限定されないが、例えば、電子材料用、光学部材用や自動車部材用といったものを挙げることができる。
【0067】
第五の実施形態に係る積層体を構成する粘着層は、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有する重合性組成物又はその重合物から成形されており、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)は低極性基材に対する濡れ性を示す疎水性の置換基と高極性基材への濡れ性を示す親水性の(メタ)アクリルアミド基を分子中に有し、低極性基材から高極性基材まで良好な密着性を付与することができる。又、Aの分子間におけるアミド基同士の水素結合に由来する強い凝集力を発現することにより、高い粘着力と耐汚染性を提供できる。更に、該重合性組成物又は重合物は高い透明性と耐黄変性を有するため、それから得られる前記粘着層も高い透明性と耐黄変性を有し、光学部材用粘着剤、粘着シート等の光学分野にも好適に用いられる。このような特性を有する粘着層と各種基材からなる積層体は、電子材料用、光学部材用、自動車部材用の粘着フィルム又は粘着シートとして応用できる。
【0068】
第五の実施形態に係る粘着剤組成物において、粘着剤組成物が有するN-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、Aを含有する重合性組成物から持ち込むことができ、該重合性組成物の重合物並びにN-置換(メタ)アクリルアミド(A)の重合体から構造単位としてAを持ち込むこともできる。粘着剤中のN-置換(メタ)アクリルアミド(A)及びAの構造単位の含有量の合計は、粘着剤組成物全重量(溶媒を除く。(以下同様))に対して、0.1~90重量%であることが好ましく、1~70重量%であることがより好ましく、5~60重量部%であることが特に好ましい。又、各種基材に対する濡れ性と密着性をより向上する観点から、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力は、24.0~46.0mN・m-1であることが好ましい。
【0069】
第五の実施形態に係る粘着剤組成物において、それを用いて形成される粘着層の耐水性を向上する観点から、更に含有する重合開始剤、不飽和結合を有する化合物、非重合性成分(非重合性オリゴマー、非重合性ポリマー及び本発明第二の実施形態に係る重合物を含む)は、疎水性のものであることが好ましい。又、粘着剤組成物の親水性と疎水性のバランスを調整するため、単官能モノマー(N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を除く)の含有量は、粘着剤組成物全重量に対して、10~90重量%であることが好ましく、20~80重量%であることがより好ましく、30~70重量%であることが特に好ましい。多官能モノマーを含む架橋剤の含有量合計は、粘着剤組成物全重量に対して、1~30重量%であることが好ましく、2~20重量%であることがより好ましく、5~15重量%であることが特に好ましい。非重合性成分の含有量合計は、粘着剤組成物全重量に対して、0.1~20重量%であることが好ましく、0.5~15重量%であることがより好ましく、1~10重量%含有されていることが特に好ましい。このような粘着剤組成物は、各種基材に対する密着性が高く、それから形成される粘着層は高い粘着力を有し、優れる透明性、耐水性、耐汚染性、耐黄変性及び耐久性を有する粘着剤組成物、及び該粘着剤組成物からなる粘着層と各種基材との積層体を取得できる。
【0070】
本発明における第六の実施形態は接着剤組成物(以下、接着剤とも称する)である。第六の実施形態に係る接着剤組成物は、第一~第四の実施形態に係る重合性組成物又はその重合物及び架橋剤を含有する。前記接着剤組成物は、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)及び架橋剤を含有することにより、低極性から高極性までの幅広い極性を有する、有機系基材、無機系基材及び有機・無機複合材料からなる基材といった各種基材に対する高い接着力と耐衝撃性を発現するため、同種又は異種材料用接着剤組成物として使用することができる。
【0071】
同種材料とは、前述した樹脂類、金属類、ガラス類及びハイブリッド材料といった各種材料のうち、同じ種類の材料であることを指す。同種材料は、各材料の23℃における表面張力が22.6mN・m-1~59.0mN・m-1であることが好ましい。表面張力が前記範囲内にある同種材料であれば、高い接着力を得ることができる。前記各材料の23℃における表面張力は、JIS K 6768により測定でき、この方法で測定できる表面張力の最低値は22.6mN・m-1である。本明細書において、後述する異種材料の表面張力の差の絶対値を計算する都合上、この方法により測定される表面張力の値が22.6mN・m-1を下回る材料の表面張力を22.6mN・m-1として表現する。
【0072】
異種材料とは、前述した樹脂類、金属類、ガラス類及びハイブリッド材料といった各種材料のうち、異なる種類の材料であることを指す。前記異種材料は、接着剤組成物を介して接着される2種の異種材料の23℃における表面張力の差の絶対値が37.0mN・m-1以下であることが好ましい。異種材料は、材料が異なる場合であっても、それらの表面張力が同じ値となることもあるため、前記表面張力の差の絶対値は、0.0mN・m-1以上である。表面張力の差の絶対値が前記範囲内にある異種材料であれば、良好な接着性を得ることができる。
【0073】
第六の実施形態に係る接着剤組成物において、接着剤組成物が有するN-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、Aを含有する重合性組成物から持ち込むことができ、該重合性組成物の重合物並びにN-置換(メタ)アクリルアミド(A)の重合体から構造単位としてAを持ち込むこともできる。接着剤中のN-置換(メタ)アクリルアミド(A)及びAの構造単位の含有量の合計は、接着剤全重量(溶媒を除く)に対して、1~95重量%であることが好ましく、10~85重量%であることがより好ましく、2~80重量部%であることが特に好ましい。又、同種材料間並びに異種材料間の接着力をより向上する観点から、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力は、24.0~46.0mN・m-1であることが好ましい。
【0074】
第六の実施形態に係る接着剤組成物において、それを用いて硬化してなる硬化物の耐水性を向上する観点から、更に含有する重合開始剤、不飽和結合を有する化合物、非重合性成分(非重合性オリゴマー、非重合性ポリマー及び本発明第二の実施形態に係る重合物を含む)は、疎水性のものであることが好ましい。又、接着剤組成物の親水性と疎水性のバランス調整、及び凝集力を向上するため、単官能モノマー(N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を除く)の含有量は、接着剤組成物全重量に対して、1~85重量%であることが好ましく、2~80重量%であることがより好ましく、5~75重量%であることが特に好ましい。更に該単官能モノマーとして(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は、(メタ)アクリルアミド系モノマーに由来する凝集力を十分に保つため、50重量%未満であることが最も好ましい。
【0075】
第六の実施形態に係る接着剤組成物において、多官能モノマーを含む架橋剤の含有量合計は接着剤組成物全重量に対して、1~50重量%であることが好ましく、5~30重量%であることがより好ましく、10~25重量%であることが特に好ましい。含有量が1重量%よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、接着剤の凝集力が不足して十分な耐衝撃性や耐熱性が得られない場合がある。一方、含有量が50重量%を超える場合、架橋後の接着剤の架橋密度が高すぎるため、収縮により基材に対する密着性が低下し、結果として接着力が低下する傾向がある。架橋剤を用いた架橋反応は、前述した架橋方法(1)~(3)により行うことができる。更に、非重合性成分の含有量合計は、接着剤組成物全重量に対して、0.01~15重量%であることが好ましく、0.1~10重量%であることがより好ましく、0.5~8重量%であることが特に好ましい。このような接着剤組成物は、各種基材に対する高い接着力、耐衝撃性及び耐水性を有し、同種又は異種材料の接着に好適に用いられる。又、発明に用いられるN-置換(メタ)アクリルアミド(A)の耐黄変性が高く、第六の実施形態に係る接着剤組成物は位相差フィルムや偏光板等光学フィルム積層体の接着剤としても使用できる。
【0076】
本発明の第七の実施形態は、化粧料組成物(以下、化粧料とも称する)である。第七の実施形態に係る化粧料組成物は、第一~第四の実施形態に係る重合性組成物又はその重合物を含有する。前記化粧料組成物は、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有することにより耐湿性を有する化粧料組成物として使用することができる。又、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)のバランス良い両親媒性により乳化安定性を有する化粧料組成物として使用することもできる。耐湿性及び乳化安定性を向上させる観点から、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力は24.0~46.0mN・m-1であることが好ましい。
【0077】
第七の実施形態に係る化粧料組成物は、用途や剤型によりその他の成分を更に含有してもよく、その他の成分は特に限定されない。例えば、化粧料組成物を皮膚化粧料として使用する場合には、その他の成分として、各種重合開始剤、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー等のポリアルキレンオキサイドマクロモノマー、水中油型乳化化粧料を製造するための炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、液体油脂、固体油脂、ロウ、香料等の油相成分、水、水溶性アルコール、増粘剤等の水相成分を挙げることができる。又、化粧料組成物をヘアスプレー剤型の毛髪化粧料として使用する場合には、その他の成分として、重合開始剤、高分子界面活性剤、塩基性化合物等を挙げることができる。特に、tert-オクチルアクリルアミド、tert-ブチルアクリルアミド等を用いることにより、化粧料組成物がLPG(液化石油ガス)に対する溶解性が良くなるため、毛髪化粧料としてLPGを使用するヘアスプレー等のエアゾール製品において、好適に使用(tert-オクチルアクリルアミド)や併用(tert-ブチルアクリルアミド)することができる。
【0078】
第七の実施形態に係る化粧料組成物において、化粧料組成物が有するN-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、Aを含有する重合性組成物から持ち込むことができ、該重合性組成物の重合物並びにN-置換(メタ)アクリルアミド(A)の重合体から構造単位としてAを持ち込むこともできる。化粧料組成物中のN-置換(メタ)アクリルアミド(A)及びAの構造単位の含有量の合計は、化粧料組成物全重量に対して、1~80重量%であることが好ましく、5~70重量%であることがより好ましく。10~60重量%であることが特に好ましい。このような化粧料組成物は、皮膚刺激性を示さず、耐湿性又は乳化安定性及び経時安定性を有するとともに平滑性、耐べた付き性、風合、こく感、なじみの早さ等の使用感に優れる。
【0079】
本発明の第八の実施形態はコーティング剤組成物(以下、コーティング剤とも称する)である。第八の実施形態に係るコーティング剤組成物は第一~第四の実施形態に係る重合性組成物又はその重合物を含有する。前記コーティング剤組成物はN-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有することにより、低極性から高極性までの幅広い極性を有する、有機系基材、無機系基材及び有機・無機複合材料からなる基材といった各種基材に対する高い濡れ性を有する。コーティング剤組成物を基材に塗布する方法は、従来公知の方法を使用することができる。コーティング剤組成物は、基材に塗布された後、前述した活性エネルギー線及び/又は熱により硬化される。コーティング剤組成物を基材に塗布する際の厚さは、特に限定されないが、活性エネルギー線及び/又は熱により十分硬化される厚さであることが好ましく、一般的には1~100μmである。得られた硬化物(コーティング層)は、前述した各種基材に対する密着性を有し、高い鉛筆硬度及び耐水性を示す。
【0080】
第八の実施形態に係るコーティング剤組成物において、コーティング剤組成物が有するN-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、Aを含有する重合性組成物から持ち込むことができ、該重合性組成物の重合物並びにN-置換(メタ)アクリルアミド(A)の重合体から構造単位としてAを持ち込むこともできる。コーティング剤中のN-置換(メタ)アクリルアミド(A)及びAの構造単位の含有量の合計は、コーティング剤全重量(溶媒を除く)に対して、1~80重量%である含有されていることが好ましく、5~70重量%含有されていることがより好ましく、10~60重量部%含有されていることが特に好ましい。又、各種基材に対する密着性より向上させる観点から、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力は、24.0~46.0mN・m-1であることが好ましい。
【0081】
第八の実施形態に係るコーティング剤組成物は、前述した架橋剤を更に含有することが好ましく、この場合、コーティング層の鉛筆硬度と耐水性が向上する。この観点から、コーティング剤組成物の全重量における架橋剤の含有量は5~70重量%であることが好ましく、10~60重量%であることがより好ましく、20~50重量%であることが特に好ましい。コーティング剤組成物は、前述した光重合開始剤、単官能モノマー及びオリゴマー、非重合性オリゴマー及びポリマーをその他の成分として含有してもよい。その他の成分の含有量はコーティング剤組成物の前述した特徴を損なわない範囲であればよく、重合性組成物100重量部に対して通常0.1~20量部である。このようなコーティング剤組成物は各種基材に対する高い濡れ性及び密着性を有し、それを用いて、硬化されることにより高い表面硬度と耐水性を示すコーティング膜等の塗膜を取得できる。
【0082】
本発明の第九の実施形態はインク組成物(以下、インクとも称する)である。第九の実施形態に係るインク組成物は、第一~第四の実施形態に係る重合性組成物又はその重合物を含有する。前記インク組成物はN-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有することにより、高い硬化性を有する。インク組成物を基材に塗布する方法は、従来公知の方法を使用することができる。25℃におけるインク粘度は500mPa・s未満であることが好ましく、インクジェット方式によって基材に塗布できる観点から100mPa・s未満であることがより好ましい。インク組成物は基材に塗布された後、前述した活性エネルギー線及び/又は熱により硬化されインク層を形成する。得られたインク層は、各種基材に対する密着性をより向上させる観点から、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力は、24.0~46.0mN・m-1であることが好ましい。
【0083】
第九の実施形態に係るインク組成物において、インク組成物が有するN-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、Aを含有する重合性組成物から持ち込むことができ、該重合性組成物の重合物並びにN-置換(メタ)アクリルアミド(A)の重合体から構造単位としてAを持ち込むこともできる。インク中のN-置換(メタ)アクリルアミド(A)及びAの構造単位の含有量の合計は、インク全重量(溶媒を除く)に対して5~90重量%であることが好ましく、10~85重量%であることがより好ましく、15~80重量%であることが特に好ましい。
【0084】
第九の実施形態に係るインク組成物は、前述した架橋剤を更に含有してもよく、この場合、インク層の硬化性、表面乾燥性及び耐水性が向上する。これらの観点から、インク組成物の全重量における架橋剤の含有量は1~50重量%であることが好ましく、5~45重量%であることがより好ましく10~40重量%であることが特に好ましい。インク組成物は、前述した光重合開始剤、単官能モノマー及びオリゴマー、非重合性オリゴマー及びポリマーをその他の成分として更に含有してもよい。その他の成分の含有量はインク組成物の前述した特徴を損なわない範囲であればよく、重合性組成物100重量部に対して通常0.1~30重量部である。このようなインク組成物は、各種基材に対する高い密着性を有し、顔料分散性、表面乾燥性、吐出安定性、鮮明性等の印刷特性に優れ、それを用いることにより高い硬化性、耐黄変性及び耐水性を有するインクを取得することができる。
【0085】
本発明の第十の実施形態は三次元造形用インク組成物である。第十の実施形態に係る三次元造形用インク組成物は第一~第四の実施形態に係る重合性組成物若しくはその重合物、又は該重合性組成物若しくはその重合物及び架橋剤を含有する。第一~第四の実施形態に係る重合性組成物又はその重合物はN-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有するため、前記三次元造形用インク組成物は高い硬化性と耐硬化収縮性を有し、その硬化物は高い強度及び耐水性を有し造形精度に優れる。前記三次元造形用インク組成物は所定の形状パターンに形成されると同時に又は形成した直後に活性エネルギー線の照射及び/又は熱により硬化されることで薄膜を形成し、該薄膜を積層することで三次元造形物を造形する。造形方式は特に限定されないが、例えばインクジェット方式により吐出し活性エネルギー線照射により硬化する光造形法を挙げることができる。この場合、安定吐出の観点から、三次元造形用インク組成物の25℃における粘度は1~200mPa・sであることが好ましく、吐出温度は20~100℃の範囲が好ましい。得られた三次元造形物は、光沢性、緻密性等良好な外観を発現できる観点から、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力は、24.0~46.0mN・m-1であることが好ましい。
【0086】
第十の実施形態に係る三次元造形用インク組成物において、三次元造形用インク組成物が有するN-置換(メタ)アクリルアミド(A)は、Aを含有する重合性組成物から持ち込むことができ、該重合性組成物の重合物並びにN-置換(メタ)アクリルアミド(A)の重合体から構造単位としてAを持ち込むこともできる。三次元造形用インク組成物中のN-置換(メタ)アクリルアミド(A)及びAの構造単位の含有量の合計は、三次元造形用インク全重量に対して1~80重量%であることが好ましく、2~70重量%であることがより好ましく、5~60重量部%であることが特に好ましい。
【0087】
第十の実施形態に係る三次元造形用インク組成物は、前述した架橋剤を更に含有することが好ましく、この場合、強度、耐水性及び耐熱性により優れた三次元造形物を造形できる。この観点から、三次元造形用インク組成物の全重量における架橋剤の含有量は、1~50重量%であることが好ましく、5~40重量%であることがより好ましく、10~30重量%であることが特に好ましい。又、三次元造形用インク組成物は、前述した光重合開始剤、単官能モノマー及びオリゴマー、非重合性オリゴマー及びポリマーをその他の成分として更に含有してもよい。その他の成分の含有量は三次元造形用インク組成物の前述した特徴を損なわない範囲であればよく、重合性組成物100重量部に対して通常0.1~20重量部である。このような三次元造形用インク組成物から、高い強度、耐熱性及び耐水性を有する三次元造形物を精度良く造形できる。
【0088】
第一~第四の実施形態に係る重合性組成物には、必要に応じて、前述したもの以外の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、熱重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線増感剤、防腐剤、リン酸エステル系及びその他の難燃剤、界面活性剤、帯電防止剤、顔料、染料等の着色剤、香料、消泡剤、充填剤、シランカップリング剤、表面張力調整剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、有機フィラー、無機フィラー、シリカ粒子等を挙げることができる。これらの添加剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用することも可能である。これらの添加剤の含有量は、重合性組成物又はその重合物の各種成形品が発現する特性に悪影響を与えない程度であれば特に限定されないが、重合性組成物の全重量に対して5重量%以下であることが好ましい。
【0089】
第五~第十の実施形態に係る各種組成物には、必要に応じて、前述したもの以外の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、熱重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線増感剤、防腐剤、リン酸エステル系及びその他の難燃剤、界面活性剤、帯電防止剤、顔料、染料等の着色剤、香料、消泡剤、充填剤、シランカップリング剤、表面張力調整剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、有機フィラー、無機フィラー、シリカ粒子等を挙げることができる。これらの添加剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用することも可能である。これらの添加剤の含有量は、各種組成物から得る各種成形品が発現する特性に悪影響を与えない程度であれば特に限定されないが、組成物の全重量に対して30重量%以下であることが好ましい。又、必要に応じて、水、有機溶剤及びそれらの混合物を溶媒や希釈剤として用いることができる。このような溶媒の含有量は、各種組成物から得る各種成形品が発現する特性に悪影響を与えない程度であれば特に限定されないが、組成物の全重量に対して95重量%以下であることが好ましい。
【実施例0090】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例に記載する各構成成分の略称は以下の通りである。又、以下において「部」及び「%」は特記しない限りすべて重量基準である。
(1)N-置換(メタ)アクリルアミド(A)
CHAA:N-シクロヘキシルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」)(常温で固体、表面張力:32.3mN・m-1)
CHMAA:N-シクロヘキシル-N-メチルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」)(常温で液体、表面張力:32.5mN・m-1)
ACP:N-アクリロイルピペリジン(登録商標「Kohshylmer」)(常温で液体、表面張力:35.7mN・m-1)
ACMP:N-アクリロイル-4-メチルピペリジン(登録商標「Kohshylmer」)(常温で液体、表面張力:31.6mN・m-1)
ACDMP:N-アクリロイル-3,5-ジメチルピペリジン(登録商標「Kohshylmer」)(常温で液体、表面張力:28.6mN・m-1)
NOAA:n-オクチルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」)(常温でワックス状態、表面張力値:30.0mN・m-1)
TOAA:tert-オクチルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」)(常温で固体、表面張力:29.1mN・m-1)
EHAA:N-(2-エチルヘキシル)アクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」)(常温で液体、表面張力:29.7mN・m-1)
DEHAA:N,N-ジ-2-エチルヘキシルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」)(常温で液体、表面張力:31.0mN・m-1)
LMAA:N-ラウリルメタクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」)(常温で固体、表面張力:31.2mN・m-1)
OLAA: N-オレイルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」)(常温で液体、表面張力:32.3mN・m-1)
STAA:N-ステアリルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」)(常温で固体、表面張力:31.9mN・m-1)
AAPB:3-アクリルアミドフェニルボロン酸(登録商標「Kohshylmer」)(常温で固体、表面張力:24.0mN・m-1)
DPAA:ドーパミンアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」)(常温で固体、表面張力:36.5mN・m-1)
PHAM:フェニルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」)(常温で固体、表面張力:45.3mN・m-1)
(2)単官能モノマー
TBAA:tert-ブチルアクリルアミド
BA:ブチルアクリレート
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
STA:ステアリルアクリレート
OLA:オレイルアクリレート
EA:エチルアクリレート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート
PEA:フェノキシエチルアクリレート
IBOA:イソボルニルアクリレート
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート
AAc:アクリル酸
VOZO:2-ビニル-2-オキサゾリン(登録商標「Kohshylmer」)
MHAGE:N-メチル-N-ヒドロキシエチルアクリルアミドグリシジルエーテル(登録商標「Kohshylmer」)
GA:グリシジルアクリレート(登録商標「Kohshylmer」)
「HEAA」:ヒドロキシエチルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」、「HEAA」)
「DMAA」:ジメチルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」、「DMAA」)
「DEAA」:ジエチルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」、「DEAA」)
「NIPAM」:イソプロピルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」、「NIPAM」)
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」)
(3)多官能モノマー等(多官能のモノマー、オリゴマー)
PETA: ペンタエリスリトールトリアクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
HDDA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート
UV-3000B:2官能ウレタンアクリレート(紫光、三菱ケミカル株式会社製)
UV-6640B:2官能ウレタンアクリレート(紫光、三菱ケミカル株式会社製)
Quick Cure7100:UV硬化性ウレタンオリゴマー(登録商標「Quick Cure」、KJケミカルズ社製)
Quick Cure8100:UV硬化性ウレタンオリゴマー(登録商標「Quick Cure」、KJケミカルズ社製)
(4)その他
O-184:Omnirad 184(光重合開始剤、IGM Resins B.V.社製)
O-1173:Omnirad 1173(光重合開始剤、IGM Resins B.V.社製)
TPO:Omnirad TPO(光重合開始剤、IGM Resins B.V.社製)
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート(架橋剤)
HHPA:ヘキサヒドロ無水フタル酸(架橋剤)
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル(ラジカル重合開始剤)
V-601:アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(ラジカル重合開始剤)
KE-359:水添ロジン(タッキーファイア、非重合性ポリマー、荒川化学工業製)
VS-1063:スチレンアクリル樹脂(非重合性オリゴマー、星光PMC社製)
VS-1057:アクリル樹脂(非重合性ポリマー、星光PMC社製)
50HB-55:ポリオキシエチレン(2)ポリオキシプロピレン(2)ブチルエーテル(m=2、n=2、分子量240)(三洋化成工業社製)
50HB-100:ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(5)ブチルエーテル(m=5、n=5、分子量540)(三洋化成工業社製)
50HB-260:ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(7)ブチルエーテル(m=10、n=7、分子量880)(三洋化成工業社製)
AMP:2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール
PME4000:ブレンマーPME-4000(日油社製)
(5)基材
PE:ポリエチレン板及びフィルム(表面張力:22.6mN・m-1)
PP:ポリプロピレン板及びフィルム(表面張力:22.6mN・m-1)
PC:ポリカーボネート板及びフィルム(表面張力:34.0mN・m-1)
ABS:アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂板(表面張力:34.0mN・m-1)
PI:ポリイミド板及びフィルム(表面張力:40.0mN・m-1)
PMMA:ポリメチルメタクリレート板及びフィルム(表面張力:36.0mN・m-1)
PET:易接着ポリエチレンテレフレート板及びフィルム(表面張力:59.0mN・m-1)
SPCC:冷間圧延鋼板(表面張力:45.0mN・m-1)
SST:ステンレス板(表面張力:40.0mN・m-1)
Cu:銅板 (表面張力:38.0mN・m-1)
Al:アルミニウム板(表面張力:36.0mN・m-1)
GL:透明ガラス板(表面張力:40.0mN・m-1)
PI-シリカ:シリカ微粒子分散ポリイミド板及びフィルム(表面張力:40.0mN・m-1)
【0091】
実施例1(N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の重合物の製造と評価)
温度計、撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた500mLのフラスコに、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)としてCHAA 30g、2EHA 44g、「NIPAM」 20g、HEA 5g、AIBN 1g、溶媒として酢酸エチル100gを加え、室温にて均一に混合した後、30分間窒素置換を行い、反応液を70℃に昇温し、8時間重合反応を行った。反応終了後、反応液に酢酸エチルを添加して、固形分30%のポリマー溶液を調製した。コーンプレート型粘度計(東機産業(株)社製、RE550型)を使用し、JIS K5600-2-3に準じて、25℃のポリマー溶液の粘度を測定し、4250mPa・sであった。又、ポリマー溶液から30gを取り出し、溶液中の揮発成分を完全に除去することによりポリマーを取得した。その後、得られたポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解して、濃度0.5重量%のポリマーのTHF溶液を調製し、一晩静置した。その後、ポリマーのTHF溶液を0.45μmメンブレンフィルターでろ過し、ろ液を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定を行い(島津製作所製ProminenceGPCシステム、Shodex KF-806L カラム、溶離液THF)、ポリスチレン換算値により、重合体の重量平均分子量(Mw)が96万であることを算出した。
【0092】
(重合物の耐水性評価)
同様に、ポリマー溶液から30gを取り出し、溶液中の揮発成分を完全に除去し、60℃の真空下で24時間乾燥させ、乾燥ポリマーを取得した。その後、プラスチック製のシャーレー(秤量済)を用いて5gの乾燥ポリマーを精確に秤量し、重合物の乾燥状況の重量とした。ポリマー入りのシャーレーを恒温恒湿機に入れ、30℃、湿度90%の条件下で24時間と48時間時間経過した後、恒温恒湿機から取り出した直後の重量を秤量し、ポリマーが飽和吸水状況を達したことを確認し、重合物の飽和吸水状況の重量とした。飽和吸水率を下記式に従って算出し、重合物の耐水性を下記とおり4段階分けて評価を行い、結果を表1に示す。
飽和吸水率(%)=(飽和吸水状況の重量-乾燥状況の重量)/乾燥状況の重量×100%
◎:飽和吸水率は5%以上である。
○:飽和吸水率は5%を超えるが、7%以下である。
△:飽和吸水率は7%を超えるが、10%以下である。
×:飽和吸水率は10%を超える。
【0093】
実施例2~12及び比較例1~3(N-置換(メタ)アクリルアミド(A)の重合物及びその他のポリマーの製造)
N-置換(メタ)アクリルアミドと単官能モノマー、重合開始剤の種類と含有量を表1に示すように変更し、実施例1と同様に実施例2~12及び比較例1~3の重合反応を行い、固形分30%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液の粘度とポリマーの分子量を実施例1と同様に測定した結果を表1に示す。
【0094】
【0095】
実施例13~28及び比較例4~7(重合性組成物の調製と評価)
本実施形態に用いるN-置換(メタ)アクリルアミド(A)と他の成分を表2に示す比例で秤量し、室温にて均一に混合して、実施例及び比較例の重合性組成物を調製した。得られた重合性組成物の透明性、各種基材に対する濡れ性を下記方法により評価を行い、結果を表2に示す。又、実施例15、16、18と21の重合性組成物は熱重合用の重合性樹脂組成物であり、それぞれは表1に示す実施例4、2、8と3であって、それらの重合物の特性は表1に示している。熱重合用以外の重合性樹脂組成物は活性エネルギー線硬化用重合性樹脂組成物であり、硬化性と得られた硬化物の耐水性を下記方法により評価を行い、結果を表2に示す。なお、実施例14は、紫外線の代わりに電子線(EB)を照射して硬化させる方法である。EB照射装置として、日新ハイボルテージ株式会社製のキュアトロンEBC-200-AA3を使用した(加速電圧:200kV、照射線量20kGy)。
【0096】
【0097】
(透明性評価)
得られた各種の重合性組成物を23℃で一晩静置し、目視により組成物の状態を観察し、透明性を下記とおり4段階分けて評価を行った。
◎:透明性が高く、白濁や分離が全く確認されない。
○:透明性は高いが、白濁が僅かに見られる。
△:層分離はしてないが、白濁している。
×:白濁し、更に層分離している。
【0098】
(濡れ性評価)
得られた各種の重合性組成物を各種基材にバーコーター(RDS 3)で塗工し、塗工膜のハジキ具合を目視にて観察、濡れ性を下記とおり4段階分けて評価を行った。
◎:ハジキがなく、均一な塗工膜である。
○:ハジキが極めて僅にあるが、ほぼ均一な塗工膜である。
△:ハジキが幾分あるが、全体としてはほぼ均一な塗工膜である。
×:ハジキが多く、不均一な塗工膜である。
【0099】
(硬化性評価)
硬化性は水平に設置したガラス板上に厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルム コスモシャイン A4100)の易接着面を表面とする様に密着させ、バーコーターNo.30を用いて、各実施例と比較例で調製した活性エネルギー線硬化用重合性樹脂組成物を塗布した後、更にその上に厚さ50μmの軽剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7002)を重ね、紫外線を所定の積算光量にて照射(装置:株式会社アイテックシステム製、卓上バッチ式UV-LED硬化装置MUVBA-0.3×0.3×0.5、波長405nm、照度(UV-V)50mW/cm2)し樹脂組成物を硬化させた。その後、剥離PETフィルムを取り除いて、実施例用及び比較例用の硬化性評価用の硬化物の試験片を得た。得られた硬化物表面のタックを評価し、タックが消失する積算光量にて以下の評価を行った。
◎:積算光量 200mJ/cm2未満でタックが消失
○:積算光量 200mJ/cm2以上、500mJ/cm2未満でタックが消失
△:積算光量 500mJ/cm2以上、1000mJ/cm2未満でタックが消失
×:積算光量 1000mJ/cm以上でタックが消失(タックが消失しない場合を含む)
【0100】
(硬化物の耐水性評価)
ガラス板(縦50mm×横50mm×厚さ5mm)上にシリコーン製のスペーサー(縦30mm×横15mm×厚さ1mm)をセットし、スペーサーの内部に各実施例と比較例で調製した活性エネルギー線硬化用重合性樹脂組成物を流し込み、紫外線照射(700mW/cm2、2000mJ/cm2)にて硬化させ、硬化シートを作製した。得られたシートを3cm角に切り取り、60℃の真空下で24時間乾燥させ、乾燥シートとして精確に秤量し、硬化物の乾燥状況の重量とした。乾燥シートを30℃の脱イオン水中に浸漬し、24時間と48時間時間経過した後、脱イオン水から取り出した直後の重量を秤量し、シートが飽和吸水状況に達したことを確認し、硬化物の飽和吸水状況の重量とした。飽和吸水率を下記式に従って算出し、硬化物の耐水性を下記とおり4段階分けて評価を行った。
飽和吸水率(%)=(飽和吸水状況の重量-乾燥状況の重量)/乾燥状況の重量×100%
◎:飽和吸水率は5%以上である。
○:飽和吸水率は5%を超えるが、7%以下である。
△:飽和吸水率は7%を超えるが、10%以下である。
×:飽和吸水率は10%を超える。
【0101】
実施例29~70及び比較例8~20(粘着剤組成物の調製と評価)
(実施例29~40と比較例8~10)
実施例1~12と比較例1~3で得られた重合物溶液を用いて、乾燥後の厚みが25μmとなるよう重剥離セパレーター(シリコーンコートPETフィルム)に塗工し、90℃で2分間乾燥させて、粘着剤層を形成した。次いで、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用粘着シート(タイプa-1)を得た。又、作製した実施例30、35、38及び比較例10のタイプaの試験用粘着シート(対応する重合物中にオレイル基に由来する不飽和結合を有するもの)を用いて、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製 インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製 M04-L41、紫外線照度:700mW/cm2、積算光量:1000mJ/cm2)し、試験用粘着シート(タイプa-2)を得た。
【0102】
(実施例41~48と比較例11)
実施例1、4、6、8、12と比較例1で得られた重合物溶液、架橋剤としてHDIを表4に示す固形分になるように量り取って、均一に混合した。前記同様、乾燥後の厚みが25μmとなるようにPETフィルムに塗布し、90℃で2分間乾燥させて、粘着剤層を形成した。その後、40℃の恒温槽で3日間エージングさせ、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用粘着シート(タイプb-1)を得た。又、実施例7、9と10で得られた重合物溶液、架橋剤としてポリアクリル酸(PAAc、富士フィルム和光純薬社製、平均分子量5,000)を表4に示す固形分になるように量り取って、均一に混合した。前記同様、乾燥後の厚みが25μmとなるPETフィルムに塗布し、90℃で2分間乾燥させて、粘着剤層を形成した。その後、40℃の恒温槽で3日間エージングさせ、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用粘着シート(タイプb-2)を得た。
【0103】
(実施例49~53と比較例12、13)
実施例2、4、5、7、8、11と比較例2、3で得られた重合物溶液を量り取って、単官能モノマー、架橋剤として多官能モノマー及び/又は多官能オリゴマー、光重合開始剤とその他の成分を表5に示す所定量で量り取って、均一に混合した。前記同様、乾燥後の厚みが25μmとなるPETフィルムに塗布し、90℃で2分間乾燥させて、粘着剤層を形成した。その後、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製 インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製 M04-L41、紫外線照度:700mW/cm2、積算光量:1000mJ/cm2)し、硬化させ、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用粘着シート(タイプc)を得た。
【0104】
(実施例54~65と比較例14~17)
実施例13、14、17、19、20、22~28と比較例4~7で得られた重合性組成物を用いて、重剥離セパレーター(シリコーンコートPETフィルム)に塗工し、軽剥離セパレーター(シリコーンコートPETフィルム)で気泡を噛まないように卓上型ロール式ラミネーター機(Royal Sovereign製 RSL-382S)を用いて、粘着層が厚さ25μmになるように貼り合わせ、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製 インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製 M04-L41、紫外線照度:700mW/cm2、積算光量:1000mJ/cm2)し、光学用透明粘着シート(タイプd)を作製した。
【0105】
(実施例66~72と比較例18~20)
実施例1、6、8、12~14、19、24と比較例1、4、5で得られた重合物溶液又は重合性組成物、架橋剤としてHDI又は多官能モノマー及び/又は多官能オリゴマー、光重合開始剤とその他の成分を表7に示す所定量で量り取って、均一に混合した。前記タイプc(重合物を使用する場合)又は前記タイプd(重合性組成物を使用する場合)と同様に粘着シートを作製し、紫外線により硬化を行った。その後、40℃の恒温槽で3日間エージングさせ、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、試験用粘着シート(タイプe)を得た。
【0106】
作製した各種粘着シートの特性を下記方法で評価し、結果を表3~7に示す。
(粘着シートの透明性評価)
ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH-2000)を用いて、JIS K 7105に準拠し、ガラス基板の全光線透過率を測定した。温度23℃、相対湿度50%の条件下、ガラス基板に上記粘着層を転写し、ガラス基板と粘着層の全光線透過率を測定した。その後、ガラス板の透過率を差し引き、粘着層自体の透過率を算出し、透明性を下記通り4段階分けて評価した。
◎:透過率は90%以上
○:透過率は85%以上、かつ90%未満
△:透過率は50%以上、かつ85%未満
×:透過率は50%未満
【0107】
(密着性評価)
上記にて調製した活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物を板状の各種基材(基板)上に塗工し、軽剥離セパレーター(シリコーンコートPETフィルム)で気泡を噛まないように卓上型ロール式ラミネーター機(Royal Sovereign製 RSL-382S)を用いて、粘着層が厚さ5μmになるように貼り合わせ、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製 インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製 M04-L41、紫外線照度:700mW/cm2、積算光量:2000mJ/cm2)した。その後、軽剥離セパレーターを剥がして、粘着層と基板からなる粘着シートを得た。得られた粘着シートを用い、JIS K 5600に準拠して、1mm角のマス目を100個作成し、セロハンテープを貼り付け、一気に剥がした時に基板側に粘着層が残ったマス目の数を数えて、下記基準により密着性を評価した。
◎:100個で剥離なし
〇:95~99個で剥離なし
△:70~94個で剥離なし
×:0~69個で剥離なし
【0108】
(粘着力評価)
温度23℃、相対湿度50%の条件下、上記粘着層をフィルム状又は板状の各種基材に転写し、重さ2kgの圧着ローラーを用いて2往復することにより加圧貼付し、同雰囲気下で30分間放置した。その後、引っ張り試験機(装置名:テンシロンRTA-100 ORIENTEC社製)を用いて、JIS Z0237に準じて剥離速度300mm/分にて180°剥離強度(N/25mm)を測定した。
◎:30(N/25mm)以上
○:15(N/25mm)以上、30(N/25mm)未満
△:8(N/25mm)以上、15(N/25mm)未満
×:8(N/25mm)未満
【0109】
(耐汚染性(リワーク性)評価)
前記の粘着力の測定と同様に粘着シートを作製し、80℃、24時間放置した後、粘着シートを剥がした後の基材フィルム表面の汚染(粘着層(糊)の残り状態)を目視によって観察した。
◎:汚染なし(糊残りがない)。
○:ごく僅かに汚染がある。
△:僅かに汚染がある。
×:汚染がある(糊残りがある)。
【0110】
(耐黄変性評価)
前記の粘着力の測定と同様に粘着シートを作製し、キセノンフェードメーター(SC-700-WA:スガ試験機社製)にセットし、70mW/cm2の強度の紫外線を、120時間照射した後、粘着シート上の粘着層の変色を目視によって観察した。
◎:黄変が目視で全く確認できない。
○:黄変が目視でごく僅かに確認できる。
△:黄変が目視で確認できる。
×:明らかな黄変が目視で確認できる。
【0111】
(耐久性評価)
前記の粘着力の測定と同様に粘着シートを作製し、温度85℃、相対湿度85%の条件下で100時間保持した後、粘着層の浮きや剥がれ、気泡、白濁の発生有無を目視によって観察、評価した。
◎:透明で、浮きや剥がれも気泡も発生しない。
○:ごく僅かな曇りがあるが、浮きや剥がれも気泡も発生しない。
△:僅かな曇り又は浮きや剥がれ、気泡がある。
×:極度な曇り又は浮きや剥がれ、気泡がある。
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
実施例73~82と比較例21~24(接着剤組成物の調製と評価)
実施例1~4、6、8、9、11と比較1、2で得られた重合物及び/又は実施例13、14、19、20、25~27と比較例4、5で得られる重合性組成物、架橋剤と他の成分を表8に示す固形分になるように量り取って、室温にて均一に混合し、均一の混合物を得た。縦100mm×横25mm×厚さ1mmの2枚の同種又は異種の板状基材を用いて、任意の1枚に混合物を均一に塗布した。なお、混合物中に溶媒を含有する場合、乾燥後の厚みが無溶媒時と同程度になるように多めに混合物を塗布し、90℃で2分間乾燥させた。その後、JIS K 6850に準じ、塗布後の混合物に他方の1枚の板状基材を載せ、重なり領域が縦12.5mm×横25mmとなるように貼り合わせ、スペーサーを使用することで接着剤層の厚みを100μmに調整し、貼り合わせた試験片を作製した。その後、貼り合わせた透明又は半透明の基材の上面から、粘着層作製と同様にUV又はEB照射を行った。なお、表8で硬化方法でとしてUV、EBと記載している実施例は、それぞれUV線、EB線で照射後の試験片を接着剤試験片として用いた。硬化方法でとしてUV熱、EB熱と記載している実施例は、それぞれUV線、EB線で照射後の試験片を更に40℃で72時間を加熱させ、得られた試験片を接着剤試験片として用いた。硬化方法でとして熱と記載している実施例は、UV線でもEB線でも照射せず、作製した試験片を40℃で72時間加熱させ、得られた試験片を接着剤試験片として用いた。又、得られた接着剤試験片を用いて、下記方法で接着力と耐衝撃性を評価し、結果を表8に示す。
【0118】
(接着力評価)
得られた接着剤試験片を用いて、JIS K 6850に準じて、試験機としてテンシロンRTA-100(ORIENTEC社製)を使用し、引張速度10mm/分の条件で引張せん断強度を測定した。
◎:引張せん断強度が20MPa以上である。
○:引張せん断強度が15MPa以上、20MPa未満である。
△:引張せん断強度が10MPa以上、15MPa未満である。
×:引張せん断強度が10MPa未満である。
【0119】
(耐衝撃性評価)
得られた接着剤試験片を用いて、JIS K6855に準じて、衝撃試験機No.511(マイズ試験機社製)を使用し、衝撃はく離接着強さを測定した。
◎:衝撃はく離接着強さが20KJ/m2以上である。
○:衝撃はく離接着強さが15KJ/m2以上、20KJ/m2未満である。
△:衝撃はく離接着強さが10KJ/m2以上、15KJ/m2未満である。
×:衝撃はく離接着強さが10KJ/m2未満である。
【0120】
【0121】
実施例83~97と比較例25~28(化粧料組成物の製造と評価)
実施例83~89と比較例25、26(毛髪用化粧料組成物の製造と評価)
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにエタノール100gを加え、更に表1で得られた重合物と表2で得られた重合性組成物、及びその他の成分を表9に示す比例(固形物換算)で加えた後、窒素気流下、還流状態(約80℃)で8時間重合反応を行った。前記重合反応の終了後、50℃にて塩基性化合物として同量のエタノールで希釈した2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)(固形物換算)を表9で示す比例で加えて中和し、更に固形分40%となるようにエタノールで希釈し、毛髪化粧料用基剤を得た。得られた毛髪化粧料用基剤、エタノール及び液化石油ガスを重量比7.5:42.5:50で混合してスプレー缶に封入し、ヘアスプレー剤型の毛髪化粧料を得た。得られた毛髪化粧料の耐湿性、平滑性、耐べた付き感、風合、経時安定性を下記方法で評価し、結果を表9に示す。なお、実施例83における実施例23の重合性組成物、及び実施例84における実施例28の重合性組成物は、重合開始剤を除いて使用した。
【0122】
(カールリテンション法によるセット保持力(耐湿性)評価)
長さ22cm、重量2gの毛髪束に、試験処方を0.4g噴霧し、櫛で全体に広げた。この毛髪束を直径2.2cmのカーラーに巻き、温度20℃にて、20時間乾燥させた。この毛髪束を螺旋状に解いて垂直に建てた目盛りつきのガラス板に取り付け、30℃、95%RHに調湿した恒温恒湿器中に放置し、10時間経過後における毛髪の先端位置を記録し、次式に基づいてカールリテンションを算出し、下記基準により評価した。
カールリテンション(%)={(L-Lt)/(L-L0)}×100
L:試験毛髪を伸ばしたときの長さ
Lt:恒温恒湿器中に放置し、10時間経過後における試験毛髪の先端位置
L0:恒温恒湿器に入れる前における試験毛髪の先端位置
◎:80%以上
○:65%以上80%未満
△:50%以上65%未満
×:50%未満
【0123】
(平滑性評価)
長さ22cm、重量2gの乾燥した毛髪束に試験処方を噴霧し、その直後から乾燥するまでの間(乾燥前)及び乾燥した後(乾燥後)に、この毛髪束を社内モニターが手で解いたときの通過のし易さを判定し下記の基準により評価した。
◎:乾燥前も乾燥後もタックやきしみがなく滑りが良好である。
○:乾燥前は滑りが良好であるが、乾燥後は僅かにタックやきしみがある。
△:乾燥前は僅かにタックやきしみがあり、乾燥後はタックやきしみが強い。
×:乾燥前後においてタックやきしみが強く実用不可である。
【0124】
(耐べた付き性評価)
乾燥した毛髪束を用意し、試験処方を噴霧して、乾燥後の毛髪束を手の平で握りしめた時のベタ付き感を評価した。
◎:手指で触ると、べた付きがなく、さらさらしている。
○:手指で触ると、わずかにべた付きがある。
△:手指で触ると、べた付きがある。
×:手指で触ると、べた付いて手指から離れがたくなる。
【0125】
(風合評価)
耐湿性評価の場合と同様に作製した毛髪に手で触れたときの感触を、社内モニターを使った官能試験により次のように評価し、更に1日経過後に同様の試験をしたときの経時的変化も評価した。評価基準を下記に示す。
◎:なめらかで且つドライタッチであった。
○:多少のごわ付き感はあるが満足のいくものであった。
△:ごわ付くか或いは粘着した。
×:かなりごわ付くか或いは強く粘着した。
【0126】
(経時安定性評価)
上記試験処方を室温で一ヶ月静置した後、処方成分の分離の程度を目視により観察し、次のように評価した。
◎:全く分離を生じなかった。
○:僅かに分離しており、一分間振蕩し、7日間静置したが、分離を生じなかった。
△:僅かに分離しており、1分間振蕩することにより、再分散可能であったが、1時間後には再び分離を生じた。
×:分離を生じており、振蕩を加えても再度分散させることができなかった。
【0127】
【0128】
実施例90~97と比較例27,28(皮膚用化粧料組成物の製造と評価)
還流管と窒素導入管を備えた1リットル三つ口フラスコに水-エタノール混合溶媒(重量比75:25)100gを加え、表10記載の比例に準じ(固形分換算)、表1で得られた重合物、表2で得られた重合性組成物及びその他の成分を加えた。十分に溶解又は分散させた後、20分間窒素置換して溶存酸素を除いた。その後、攪拌しながらオイルバスにて65~70℃に8時間保って重合反応を行った。重合終了後、重合液を室温に戻すことにより得られた分散液を化粧料用原料とした。水相成分のカルボキシビニルポリマー1g及び水酸化カリウム0.6gをイオン交換水に添加し混合させ、これに、別途イオン交換水に分散させた前記化粧料用原料100gを添加し攪拌混合した。なおイオン交換水の使用量の総量は500gであった。化粧料用原料及び水相成分を均一に分散させた後、油相成分として流動パラフィン100部、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン100g、ジメチルポリシロキサン(6cs)を加え、ホモミキサーで均一になるまでせん断混合し、水中油型乳化化粧料を得た。得られた水中油型乳化化粧料の乳化安定性、皮膚刺激性、使用感、及び経時安定性を下記方法で評価し結果を表10に示す。なお、実施例90における実施例13の重合性組成物、実施例91における実施例17の重合性組成物、実施例95における実施例19の重合性組成物、及び実施例97における実施例28の重合性組成物は、重合開始剤を除いて使用した。
【0129】
(乳化安定性(乳化粒子)評価)
試料の乳化粒子を光学顕微鏡で観察した。
◎:乳化粒子は均一で、合一や凝集を認めなかった。
○:乳化粒子はほぼ均一であったが、合一や凝集を認めなかった。
△:乳化粒子はほぼ均一であったが、僅かな合一や凝集を認めた。
×:乳化粒子が均一でなく、著しい合一や凝集を認めた。
【0130】
(皮膚刺激試験)
10名の敏感肌パネルの上腕内側部に24時間の閉塞パッチを行い、皮膚の状態を下記基準で判定した。
0…全く異常が認められない。
1…わずかに赤みが認められる。
2…赤みが認められる。
3…赤みと丘疹が認められる。
「皮膚刺激試験」の評価基準は、以下の通りである。
◎:パネル10名の平均値が0以上0.15未満
○:パネル10名の平均値が0.15以上0.2未満
△:パネル10名の平均値が0.2以上0.3未満
×:パネル10名の平均値が0.3以上
【0131】
(使用感評価)
専門パネル10名により、試料を皮膚に塗布した際の使用感(「べた付きのなさ」「こく感」「なじみの早さ」)を下記基準で評価した。
◎:7名以上が「良い」「実感できる」と答えた。
○:5名以上7名未満が「良い」「実感できる」と答えた。
△:3名以上5名未満が「良い」「実感できる」と答えた。
×:2名以下が「良い」「実感できる」と答えた。
【0132】
(経時安定性評価)
製造から1ヵ月経過後の水中油型乳化化粧料の状態を、肉眼にて観察した。
◎:試料は製造時の乳化状態を保っている。
○:若干の沈降/浮上が見られるが、試料は乳化状態をほぼ保っている。
△:乳化粒子が沈降/浮上し、粒子の合一も認められる。
×:試料中の乳化粒子が沈降/浮上、合一して、油相が完全に分離している。
【0133】
【0134】
実施例98~105と比較例29、30(コーティング剤組成物の調製と評価)
表11記載の比例に準じ(固形分換算)、表1で得られた重合物、表2で得られた重合性組成物及びその他の成分を秤量し、室温にて均一に混合して、コーティング剤組成物を調製した。下記方法によりコーティング試験片(塗膜)を作製し、各種基材(基板)に対する濡れ性、塗膜の鉛筆硬度、密着性を評価し、結果を表11に示す。
【0135】
(コーティング試験片(塗膜)の作製)
各種基材(基板)の先方の端にコーティング剤組成物を帯状に滴下して、バーコーター(RDS 3)で塗布し、90℃で2分間乾燥させた。その後、表11に示す硬化方法(UV、EB、熱、UV熱、EB熱)により硬化を行い、基材(基板)上でコーティング層を形成した。次いで、温度23℃、相対湿度50%の環境に1日置き、評価用コーティング試験片を得た。なお、UV硬化方法は、塗布面を上向きにして紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製 インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製 M04-L41、紫外線照度:700mW/cm2、積算光量:1000mJ/cm2)し硬化させる方法であり、EB硬化は、紫外線の代わりに電子線を照射して硬化させる方法である。EB照射装置として、日新ハイボルテージ株式会社製のキュアトロンEBC-200-AA3を使用した(加速電圧:200kV、照射線量20kGy)。又、UV熱硬化とは、UV硬化後、更に40℃における72時間のエージングを行い、架橋剤による架橋反応を完結させる方法である。又、EB熱硬化とは、EB硬化後、更に40℃における72時間のエージングを行い、架橋剤による架橋反応を完結させる方法である。
【0136】
(コーティング組成物の濡れ性評価)
コーティング組成物を各種基材にバーコーター(RDS 3)で塗工し、塗工液のハジキ具合を目視にて観察した。
◎:ハジキがなく、均一な塗工膜である。
○:ハジキが極めて僅にあるが、ほぼ均一な塗工膜である。
△:ハジキが幾分あるが、全体としてはほぼ均一な塗工膜である。
×:ハジキが多く、不均一な塗工膜である。
【0137】
(鉛筆硬度評価)
JIS K 5400 8.4 手かき法(1990年版)に基づき評価した。
【0138】
(密着性評価)
JIS K 5600に準拠して、1mm角のマス目を100個作成し、セロハンテープを貼り付け、一気に剥がした時に基板側に粘着層が残ったマス目の数を数えて、下記基準により密着性を評価した。
◎:100個で剥離なし
〇:95~99個で剥離なし
△:70~94個で剥離なし
×:0~69個で剥離なし
【0139】
【0140】
実施例106~113と比較例31~33
表12記載の比例に準じ(固形分換算)、表1で得られた重合物、表2で得られた重合性組成物及びその他の成分を秤量し、室温にて均一に混合して、インク組成物を調製した。調製したインク組成物の粘度を測定し、原料分散性を評価した。又、調製したインク組成物を用いて、インクジェット印刷を行い、得られた印刷物の物性評価を行った。なお、クリアインク組成物においては顔料と顔料分散剤を配合せず、ブラックインク組成物は顔料ピグネントブラック7を配合し、顔料分散剤アジスパーPB821を配合したものと配合してないものそれぞれの評価を行った。評価の結果を表12に纏めた。
【0141】
(粘度測定と評価)
インク組成物の粘度をJIS K5600-2-3に準じて、コーンプレート型粘度計(東機産業(株)社製 RE550型粘度計)により測定した。インクジェット式印刷用のインク組成物として、粘度は下記通り4段階分けて評価した。
◎:5~100mPa・s未満
○:100~500mPa・s未満
△:500~2000mPa・s未満
×:2000mPa・s以上
【0142】
(顔料分散性評価)
調製したインク組成物を用いて、調製直後及び2ヶ月静置後の顔料の凝集や沈殿状態を目視により観察し、顔料分散性は下記通り4段階分けて評価した。
◎:調製直後も2ヶ月静置後も、顔料の凝集や沈殿は全く認められなかった。
〇:調製直後には全く認められなかったが、2ヶ月静置後、わずかに顔料の沈殿が認められた。
△:調製直後にはわずかか、2ヶ月静置後には顔料の凝集や沈殿が明瞭に認められた。
×:調製直後にも顔料の凝集や沈殿が明瞭に認められた。
【0143】
紫外線照射による印刷物の作製方法
得られたインク組成物を厚さ100μmのPETフィルムにバーコーター(RDS12)にて塗布し(乾燥後膜厚10μm)、紫外線照射(アイグラフィックス(株)社製インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタハライドランプM04-L41)により硬化させ、印刷物を作製した。
【0144】
(硬化性評価)
上記方法にて印刷物を作成する際、インク組成物が完全硬化(べたつかない状態)するまでの積算光量を測定し、硬化性を評価した。
◎:1000mJ/cm2で完全硬化
○:1000~2000mJ/cm2で完全硬化
△:2000~5000mJ/cm2で完全硬化
×:完全硬化までに5000mJ/cm2以上が必要
【0145】
(表面乾燥性評価)
上記方法にて作製した印刷物を、室温23℃、相対湿度50%の環境に5分間静置し、印刷面に上質紙を重ね、荷重1kg/cm2の負荷を1分間かけ、紙へのインクの転写程度を評価した。
◎:インクが乾燥し、紙への転写が全くなかった
○:インクが乾燥し、紙への転写がわずかにあった
△:インクがほぼ乾燥し、紙への転写があった
×:インクが殆ど乾燥せず、紙への転写が多かった
【0146】
(密着性評価)
得られたインク組成物を各種基材に塗工し、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製 インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製 M04-L41、紫外線照度:700mW/cm2、積算光量:1000mJ/cm2)して完全に硬化させた。得られた硬化膜を碁盤目試験法により1mm角のます目を100個作成しセロハンテープを貼り付け、一気に剥がした時に基材側に硬化膜が残ったマス目の数を数えて評価した。
◎:残ったマス目数100
〇:残ったマス目数90以上100未満
△:残ったマス目数50以上90未満
×:残ったマス目数50未満
【0147】
(インクジェット印刷と印刷適性評価)
上記で作製したインク組成物を市販インクジェットプリンター(富士フィルム社製 LuxelJet U V350GTW)に充填し、コート紙を用いて、ベタ画像を印刷し、インクの印刷適正を以下の方法にて評価した。
【0148】
(吐出安定性評価)
得られた印刷物の印刷状態を目視により評価した。
◎:ノズル抜けなく、良好に印刷されている
〇:わずかにノズル抜けあり
△:広い範囲にてノズル抜けがあり
×:不吐出がある
【0149】
(鮮明度評価)
顔料を配合したインク組成物から得られた印刷物の画像鮮明度を目視で観察した。
◎:インクにじみが全く見られなく、画像が鮮明であった
○:インクにじみが殆どなく、画像が良好であった
△:インクにじみが若干見られた
×:インクにじみが著しくみられた
【0150】
(耐黄変性評価)
得られたクリアインク組成物を用いて、サブストレート基板(#125-E20)に膜厚10μmとなるようにバーコーター(RDS12)で塗布し、上記と同様にメタルハライドランプで硬化させた。得られた塗膜の色相をSpcetrolino(GretagMacbeth社製)により測定し、60℃に保持した恒温槽に1週間放置した。その後、塗膜の色相を再度測定し、加熱前後の色相値変化(ΔE=加熱後色相-加熱前色相)により耐黄変性を評価した。
◎:0<=ΔE<=0.2
〇:0.2<ΔE<=0.5
△:0.5<ΔE<=1.0
×:1.0<ΔE
【0151】
【0152】
実施例114~122と比較例34、35
表13記載の比例に準じ(固形分換算)、表1で得られた重合物、表2で得られた重合性組成物及びその他の成分を秤量し、室温にて均一に混合して、三次元造形用インク組成物を調製した。下記方法にて、三次元造形用インク組成物の硬化収縮率を、又、三次元造形用インク組成物の硬化物の、強度、耐熱性、耐水性、造形精度を測定した。評価結果を表13に示す。
【0153】
(耐硬化収縮性評価)
硬化収縮率はJIS K5600 2-4に従って、下記計算式(1)に示すように三次元造形用インク組成物の硬化前後の密度変化によって求めた。三次元造形用インク組成物の硬化前後の密度に関しては、電子比重計(アルファーミラージュ株式会社製のMDS-300)により、JIS K7112に従って測定した。硬化物は前記引張試験用の試験片と同様に作製した。得られた硬化収縮率から以下の評価を行った。
(硬化収縮率)=(Ds-Dl)/Dl×100 ・・・計算式(1)
(式中、Dsは三次元造形用インク組成物の硬化後の密度であり、Dlは三次元造形用インク組成物の硬化前の密度である。)
◎:硬化収縮率 6%未満
○:硬化収縮率 6%以上7%未満
△:硬化収縮率 7%以上8%未満
×:硬化収縮率 8%以上
【0154】
(強度評価)
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7001)を密着させ、厚さ1mm、内部がJIS K6251に準拠した2号ダンベル型に打ち抜いたスペーサーを設置し、スペーサーの内側に各実施例と比較例で得られた三次元造形用インク組成物を各々充填した後、更にその上に厚さ50μmの軽剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7002)を重ね、紫外線を両面より照射(装置:アイグラフィックス製、インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製M04-L41、紫外線照度200mW/cm2、積算光量1000mJ/cm2)し、三次元造形用インク組成物を硬化させた。その後、両側の剥離PETフィルムを取り除いて、実施例用の硬化物及び比較例用の硬化物の試験片を得た。JIS K7161に従って、卓上形精密万能試験機(株式会社島津製作所製 オートグラフAGS-X)を用い、25℃の温度環境下にて、引張速度10mm/分、チャック間距離50mmの条件で引張強度を測定し、以下に示す基準により強度の評価を行った。
◎:引張強度40MPa以上
○:引張強度30MPa以上40MPa未満
△:引張強度20MPa以上30MPa未満
×:引張強度20MPa未満
【0155】
(耐熱性評価)
前記引張試験用の試験片と同様に硬化物を作製し、示差走査熱量計(株式会社島津製作所製のDSC-60plus)により硬化物のガラス転移温度(Tg)を測定した。硬化物のガラス転移温度(Tg)の測定値から耐熱性について、以下の評価を行った。
◎:硬化物Tg 80℃以上
○:硬化物Tg 40℃以上80℃未満
×:硬化物Tg 40℃未満
【0156】
(耐水性評価)
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7001)を密着させ、厚さ10mm、内部が10cm×1cmのスペーサーを設置し、スペーサーの内側に1mm厚分の各実施例と比較例で得られた三次元造形用インク組成物を各々充填し、60℃で30秒間保温することで表面を平滑にした後、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製、インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製M04-L41、紫外線照度200mW/cm2)し、三次元造形用インク組成物を硬化させることで長さ10cm×巾1cm×厚さ1mmの硬化物を得た。得られた硬化物について、製造直後の重量を測定した後、100mlの水の入ったビーカーに浸漬し、1日後に浸漬後の重量を測定した。浸漬前の重量と浸漬後の重量を下記式に代入して吸水率を測定し、以下に示す基準により耐水性の評価を行った。
◎:吸水率が2%未満
○:吸水率が2%以上、2.5%未満
△:吸水率が2.5%以上、3%未満
×:吸水率が3%以上
【0157】
(造形精度評価)
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7001)を密着させ、厚さ10mm、内部が10×10mmのスペーサーを設置し、スペーサーの内側に1mm厚分の各実施例と比較例で得られた三次元造形用インク組成物を各々充填した後、60℃で30秒間保温することで表面を平滑にした後、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製、インバーター式コンベア装置ECS-4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製M04-L41、紫外線照度200mW/cm2)し、三次元造形用インク組成物を硬化させた。その後、三次元造形用インク組成物を各々1mm厚で充填、硬化を計10回繰り返し、10×10×10mmの硬化物を得た。得られた硬化物の高さについて測定した。又、得られた硬化物の側面を目視観察した。これらの結果を組み合わせ、以下の基準により造形精度を評価した。
◎:高さ10mm±0.1mm未満、かつ、側面に凹凸がない。
○:高さ10mm±0.1mm以上 ±0.2mm未満、又は、側面にごく僅かな凹凸がある。
△:高さ10mm±0.2mm以上 ±0.3mm未満、又は、側面に僅かな凹凸がある。
×:高さ10mm±0.3mm以上、又は、側面に明らかな凹凸がある。
【0158】
【0159】
前述した各実施例と比較例の評価結果に示されるとおり、本発明に係る特定構造を有するN-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有する重合性組成物は、Aのバランスの良い両親媒性により高い透明性と良好な硬化性を有しながら、機系基材、無機系基材及び有機・無機のハイブリッド基材からなる低極性から高極性までの幅広い極性を有する各種基材への濡れ性に優れると共に、その重合物又は硬化物はAが有する疎水性の置換基の影響から、耐水性に優れることが分かる。前記重合性組成物及び/又はその重合物等を含有する粘着性組成物及び該粘着剤組成物からなる粘着層と各種基材との積層体は、各種基材に対する密着性及び粘着力を示し、高い透明性、耐汚染性、耐黄変性及び耐久性を有する。前記重合性組成物及び/又はその重合物等を含有する接着剤組成物は各種基材に対する高い接着力、耐衝撃性及び耐水性を有し同種又は異種材料用の接着剤組成物として利用できる。前記重合性組成物及び/又はその重合物等を含有する化粧料組成物は、耐湿性、平滑性、耐べた付き感、良好な風合と経時安定性を有する毛髪化粧料、又は皮膚刺激性を示さず、優れる乳化安定性、使用感と経時安定性を有する水中油型乳化化粧料組成物として利用できる。前記重合性組成物及び/又はその重合物等を含有するコーティング剤組成物は、各種基材に対する高い濡れ性及び密着性を有し、硬化されることで高い表面硬度と耐水性を示し、インク組成物は各種基材に対する高い密着性を有し、顔料分散性、表面乾燥性、吐出安定性、鮮明性等の印刷特性に優れ、高い硬化性及び耐黄変性を有することが明らかである。又、前記重合性組成物及び/又はその重合物等を含有する三次元造形用インク組成物は高い強度、耐熱性及び耐水性を有する三次元造形物を精度良く造形できる。一方で、N-置換(メタ)アクリルアミド(A)を含有しない重合性組成物及び/又はその重合物を用いて得られた、粘着剤組成物、接着剤組成物、化粧料組成物、コーティング剤組成物、インク組成物及び三次元造形用インク組成物といった各種成形品は、前述したAを含有する重合性組成物及び/又はその重合物から得られる各種成形品の有する効果において劣ることが明らかである。
以上説明してきたように、本発明の重合性組成物は、特定のN-置換(メタ)アクリルアミド(A)含有することで、高い透明性と良好な硬化性を有しながら、低極性から高極性までの幅広い極性を有する各種基材への濡れ性に優れると共に、その重合物は耐水性に優れる。そのため、前記重合性組成物及び/又はその重合物は、活性エネルギー線及び/又は熱より重合、硬化できる粘着剤組成物として、工業用、医療用及び家庭用等の広範な分野において、粘着剤や粘着剤関連製品に利用することができる。前記粘着剤組成物は幅広い極性を示す各種基材に対する密着性が良く、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンといったポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリイミド及びポリメチルメタクリレート等の樹脂類のフィルム状やシート状基材上で粘着層を形成することによって、ポリオレフィン粘着シート、ポリイミド粘着シートが得られる。又、粘着層がガラスや金属基材上で形成される場合、ガラス粘着シートと金属粘着シートが得られる。更に、電子デバイスに用いる基材と粘着層を備えてなる電子材料用粘着シート、光学部材に用いる基材と粘着層を備えてなる光学部材用粘着シート、自動車に用いる基材と粘着層を備えてなる自動車用粘着シートを容易に取得することができる。本発明の粘着剤組成物と架橋剤からなる接着剤組成物は同種材料の接着にも、プラスチックから金属までの各種異種材料の接着にも非常に有効であり、電子材料や光学部品、半導体、太陽電池等幅広く利用することができる。又、耐湿性や乳化安定性等に優れる使用感が良好な化粧料や、各種基材に対する密着性に優れ高い表面硬度と耐水性を有するコーティング層を提供できるコーティング剤、各種基材に対する高い密着性を有し、顔料分散性、表面乾燥性、吐出安定性、鮮明性等の印刷特性に優れ、高い硬化性及び耐黄変性を有するインク、高い強度、耐熱性及び耐水性を有する三次元造形物を精度良く造形できる耐硬化収縮性に優れる三次元造形用インクに利用できる。