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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011194
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/26 20190101AFI20230117BHJP
   G07D 11/50 20190101ALI20230117BHJP
【FI】
G07D11/26
G07D11/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114891
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】田畑 和彦
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA20
3E141DA06
3E141FJ05
(57)【要約】

【課題】 本発明は、メンテナンスの手間を軽減できる紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、紙葉類処理装置は、検査部と裁断部とプロセッサとを有する。検査部は、紙葉類における物理特性を検知する。裁断部は、検査部による検知結果に基づいて裁断対象に分類された紙葉類を裁断する。プロセッサは、裁断部が粘着テープが貼り付けられた紙葉類を裁断した数をカウントし、カウントしたカウント値が閾値を超えた場合に裁断部のメンテナンスを要求する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類における物理特性を検知する検査部と、
前記検査部による検知結果に基づいて裁断対象に分類された紙葉類を裁断する裁断部と、
前記裁断部が粘着テープが貼り付けられた紙葉類を裁断した数をカウントし、カウントしたカウント値が閾値を超えた場合に前記裁断部のメンテナンスを要求するプロセッサと、
を有する紙葉類処理装置。
【請求項2】
さらに、表示部を有し、
前記プロセッサは、前記カウント値が閾値を超えた場合に、前記表示部に前記裁断部に対するメンテナンスの案内を表示する、
請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
さらに、前記裁断部のメンテナンスを行うためのメンテナンス機構を有し、
前記プロセッサは、前記カウント値が閾値を超えた場合に、前記メンテナンス機構を用いて前記裁断部に対するメンテナンスを実行する、
請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
紙葉類における物理特性を検知する検査部と、
前記検査部による検知結果に基づいて裁断対象に分類された紙葉類を裁断する裁断部と、
前記裁断部を駆動させた場合に掛かる負荷の大きさを示す負荷値を検知する負荷検知器と、
前記負荷検知器が検知する負荷値が上限値を超えた場合に前記裁断部のメンテナンスを要求するプロセッサと、
を有する紙葉類処理装置。
【請求項5】
さらに、表示部を有し、
前記プロセッサは、前記負荷検知器が検知する負荷値が上限値を超えた場合に、前記表示部に前記裁断部に対するメンテナンスの案内を表示する、
請求項4に記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
さらに、前記裁断部のメンテナンスを行うためのメンテナンス機構を有し、
前記プロセッサは、前記負荷検知器が検知する負荷値が上限値を超えた場合に、前記メンテナンス機構を用いて前記裁断部に対するメンテナンスを実行する、
請求項4に記載の紙葉類処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記メンテナンス機構を用いて前記裁断部に対するメンテナンスを実行した後、前記裁断部を駆動させて前記負荷検知器が検知する負荷値が標準値以下であればメンテンナスを完了し、前記裁断部を駆動させて前記負荷検知器が検知する負荷値が標準値以下でなければ前記裁断部のエラーとする、
請求項6に記載の紙葉類処理装置。
【請求項8】
紙葉類における物理特性を検知する検査部と、
前記検査部による検知結果に基づいて裁断対象に分類された紙葉類を裁断する第1裁断部と、
前記第1裁断部に替わって紙葉類を裁断する第2裁断部と、
前記第1裁断部を駆動させた場合に掛かる負荷の大きさを示す負荷値を検知する負荷検知器と、
前記負荷検知器が検知する負荷値が上限値を超えた場合、裁断対象に分類された紙葉類を裁断する裁断部を前記第1裁断部から前記第2裁断部に切り替えるプロセッサと、
を有する紙葉類処理装置。
【請求項9】
前記第2裁断部の状態を示す情報を記憶するメモリを有し、
前記プロセッサは、前記負荷検知器が検知する負荷値が上限値を超えた場合、前記第2裁断部が裁断可能な状態であることが前記メモリに記憶されていれば、裁断対象に分類された紙葉類を裁断する裁断部を前記第1裁断部から前記第2裁断部に切り替える、
請求項8に記載の紙葉類処理装置。
【請求項10】
さらに、表示部を有し、
前記プロセッサは、前記負荷検知器が検知する負荷値が上限値を超えた場合、前記第2裁断部が裁断可能な状態でないことが前記メモリに記憶されていれば、前記第1裁断部および前記第2裁断部のエラーを前記表示部に表示する、
請求項9に記載の紙葉類処理装置。
【請求項11】
さらに、前記第1裁断部のメンテナンスを行うためのメンテナンス機構を有し、
前記プロセッサは、裁断対象に分類された紙葉類を裁断する裁断部を前記第1裁断部から前記第2裁断部に切り替えた後、前記メンテナンス機構を用いて前記第1裁断部に対するメンテナンスを実行する、
請求項8に記載の紙葉類処理装置。
【請求項12】
前記第1裁断部の状態を示す情報を記憶するメモリを有し、
前記プロセッサは、前記メンテナンス機構を用いて前記第1裁断部に対するメンテナンスを実行した後、前記第1裁断部を駆動させて前記負荷検知器が検知する負荷値が標準値以下であれば前記第1裁断部が使用可能な状態であることを前記メモリに記憶し、前記第1裁断部を駆動させて前記負荷検知器が検知する負荷値が標準値以下でなければ前記第1裁断部が使用可能な状態でないことを前記メモリに記憶する、
請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類処理装置には、紙葉類(以下、券とも称する)を裁断する裁断部を有するものがある。例えば、紙葉類処理装置は、順次搬送される複数の券をそれぞれ検査し、粘着テープが貼り付けられた券を含む汚れや破損の度合が大きい券を所定の基準を満たさない券として裁断部により裁断する。
【0003】
紙葉類処理装置が備える裁断部は、モータを含む駆動機構によって動作される刃で券を裁断する。粘着テープが貼り付けられた券の裁断を繰り返すと、裁断部の刃には、粘着物質が付着することとなる。刃に付着した粘着物質は、券を裁断する際の抵抗となる。付着した粘着物質による抵抗が大きくなると、裁断部は、刃による券の裁断が困難となってしまう。
【0004】
従来の紙葉類処理装置は、刃に付着した粘着物質によって券の裁断が困難となると、直ちに運転を停止し、保守員によるメンテンナンス待ちとなる。また、券の裁断が困難となるほどに刃に粘着物質が付着した裁断部のメンテナンスは、手間や時間が掛かる大がかりな作業となるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-50084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、メンテナンスの手間を軽減できる紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、紙葉類処理装置は、検査部と裁断部とプロセッサとを有する。検査部は、紙葉類における物理特性を検知する。裁断部は、検査部による検知結果に基づいて裁断対象に分類された紙葉類を裁断する。プロセッサは、裁断部が粘着テープが貼り付けられた紙葉類を裁断した数をカウントし、カウントしたカウント値が閾値を超えた場合に裁断部のメンテナンスを要求する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機および排除券処理機を含む紙葉類処理システムの構成例を概略的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機の構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機における裁断部の第1の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機による第1の動作例を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機による第2の動作例を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機における裁断部の第1の構成例を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機による第3の動作例を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機による第4の動作例を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機および排除券処理機を含む紙葉類処理システムの第2の構成例を概略的に示す図である。
図10図10は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機による第5の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、実施形態に係る紙葉類処理システム1について説明する。
図1は、実施形態に係る紙葉類処理システム1全体の構成例を示す図である。
実施形態に係る紙葉類処理システム1は、検査機11、排除券処理機12、および、管理装置13などを有する。紙葉類処理システム1において、検査機11および排除券処理機12は、複数であっても良い。図1に示す構成例において、紙葉類処理システム1は、検査機11Aおよび検査機11Bを備える。
【0010】
検査機11(11A、11B、…)は、紙葉類(以下、券と称する)を裁断する裁断部を備える紙葉類処理装置の一例である。検査機11が処理(検査)対象とする券は、所定の機関が正規の手続きで製造された券であるものとする。例えば、検査機11が処理対象とする券は、銀行券などの有価証券などが想定される。
【0011】
検査機11は、検査対象とする複数の券を受け入れる。検査機11は、受け入れた各券を所定の基準に従って検査する。検査機11は、個々の券に対して、種類の検知、真偽検知、および、正損検知などの検査を行う。検査機11は、検知結果に基づいて各券を分類し、分類に応じて各券を処理する。本実施形態において、検査機11は、各券を、排除券、正券、あるいは、損券の何れかに分類する。検査機11は、各券に対して分類に応じた処理を施す。
【0012】
検査機11は、所定の基準を満たす券を正券とする。例えば、正券は、再利用が可能な券であり、所定の機関が正規の手続きで製造した券(以下、真券と称する)のうち所定の基準を満たす汚損が少ない券である。検査機11は、正券を集積し、所定数ごとにまとめて排出する。
【0013】
排除券は、排除券処理機12で処理される券である。検査機11は、真券と判定されなかった券、状態の検査が不能な券(例えば、傾いて搬送される券)、および、計数が不能な券(例えば、複数が重なって搬送される券)などの券を排除券とする。検査機11は、排除券処理機12に供給できるように排除券を排除券用の集積部に集積する。排除券用の集積部に集積された排除券は、排除券処理機12によって処理される。
【0014】
損券は、後述する裁断部で裁断する券である。検査機11は、所定の基準を満たさない券を損券とする。例えば、損券は、所定の基準を満たさないような汚れや欠損が大きく、再利用すべきない券である。また、本実施形態において、検査機11は、粘着テープが貼り付けられている券(以下、テープ貼り券と称する)も損券とする。
【0015】
排除券処理機12は、紙葉類としての券を裁断する裁断部を備える紙葉類処理装置の他の例である。排除券処理機12は、検査機11で排除券とされた券を受け入れる。排除券処理機12は、受け入れた各券を所定の基準に従って検査する。排除券処理機12は、裁断する券又はそれ以外の券の何れかに分類する。例えば、排除券処理機12は、各券について真券であるか否かを判定し、真券と判定した券を裁断部で裁断する。ここで、排除券処理機12が備える裁断部は、後述する検査機11における裁断部と同様な構成を備えるものであっても良い。
【0016】
管理装置13は、紙葉類処理システム1全体における処理状況を管理する。管理装置13は、各検査機11および排除券処理機12での処理結果を示す情報を取得し、紙葉類処理システム1全体の処理量を集計する。例えば、管理装置13は、各検査機11から券に対する処理結果を取得し、各検査機11から取得する処理結果に基づいて券種ごとに正券、損券、排除券(券を排除した回数)などの数を集計する。管理装置13は、各装置から取得する処理結果を集計した結果に基づいて、検査機11に投入(入力)した券の数と処理した券の数とが一致することをチェックする。
【0017】
例えば、管理装置13は、各検査機11から、正券のカウント数、損券のカウント数、および、排除券のカウント数(排除券として処理した回数)を取得する。また、管理装置13は、排除券処理機12で裁断した券のカウント数と裁断処理できなかった券のカウント数とを取得する。排除券処理機12で裁断処理できなかった券は、作業員による手作業などでカウントされ、カウントされた値が排除券処理機12に入力される。
【0018】
次に、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11の構成例を模式的に示す図である。
検査機11は、制御系の構成として、制御部20、表示部24、および、操作部25を有する。制御部20は、検査機11における各部の制御およびデータ処理などを行う。制御部20は、プロセッサ21、メモリ22、および、通信インターフェース(I/F)23を有する。
【0019】
プロセッサ21は、各部の制御およびデータ処理などを実行する。プロセッサ21は、例えば、CPUである。プロセッサ21は、メモリ22などに記憶するプログラムを実行することにより各部の制御およびデータ処理などを含む各種の処理を実行する。
【0020】
メモリ22は、RAM、ROM、および、書き換え可能な不揮発性メモリなどの各種メモリを含む。例えば、RAMは、ワーキングメモリとして機能し、作業中のデータなどを一時的に記憶する。ROMは、書き換え不可の不揮発性メモリであり、例えば、プログラム(OSプログラムなど)および制御データなどを記憶する。書き換え可能な揮発性メモリは、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などのメモリである。書き換え可能な不揮発性メモリは、プログラム(アプリケーションプログラムなど)および設定値などを記憶する。例えば、NVMおよびNVMは、プログラムおよび制御データなどを記憶する。
【0021】
通信インターフェース23は、外部装置と通信するためのインターフェースである。制御部20は、通信インターフェース23を介して管理装置13と通信する。通信インターフェース23は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)を介してネットワーク上の外部装置と通信するためのネットワークインターフェースである。また、通信インターフェース23は、有線で外部装置と通信するインターフェースであっても良いし、無線により外部装置と通信するインターフェースであっても良い。
【0022】
表示部24は、表示装置である。表示部24は、操作画面および処理状況を示す情報などを表示する。操作部25は、オペレータが操作指示などを入力するための操作デバイスある。操作部25は、タッチパネル、操作ボタン、テンキー、キーボードなどにより構成される。例えば、表示部24および操作部25は、タッチパネルを備える表示装置によって構成する。
【0023】
また、検査機11は、制御部20からの制御指示に応じて動作する各種の駆動機構を有する。
まず、検査機11は、紙葉類が投入される投入口30を有する。投入口30は、搬送路が接続される。搬送路は、投入口30に投入された券を後段に搬送する。
【0024】
搬送路による搬送方向おいて投入口30の後段には、供給部33が設けられる。供給部33は、券を1枚ずつ搬送路により後段の検査部34へ送る。
検査部34は、供給部33から搬送路を介して供給される1枚ずつの券を検査する。検査部34は、各種の物理的な特性を検知するためのセンサを備える。例えば、検査部34は、厚さ、画像、磁気特性、光学特性などの物理的な特徴量を検知する各種のセンサを備える。検査部34は、各センサによって検知する物理的な特性に基づいて、検査対象とする券の種類(券種)、真偽、および、正損を検査する。なお、検査機11が特定の券種の券を検査対象とする場合、検査部34は、券種の特定が不要となるため、券の真偽および正損を検知するような構成としても良い。
【0025】
真偽検知(真偽判定)は、検査対象とする券の真偽を検知する処理である。真偽判定では、例えば、正規の券(真券)と同様な所定の物理特性を検査部34が検知できるか否かにより券の真偽が判定される。真偽判定によって、真券と判定されなかった券(あるいは偽券と判定された券)、真偽判定のための物理特性が検知できなった券(例えば、傾いて搬送される券、又は、複数が重なって搬送される券)などの券は、排除券とする。また、正損検知(正損判定)は、真券と判定された券に対して正損を検知する処理である。正損判定では、真偽判定で真券と判定された券が、再流通可能とする券(正券)であるか、再流通不可とする券(損券)であるかが判定される。
【0026】
なお、券に対する真偽判定および正損判定は、検査部34が実行するようにしても良いし、制御部20が実行するようにしても良い。前者の場合、検査部34は、真偽判定および正損判定の結果を制御部20へ供給するようにすれば良い。後者の場合、検査部34は、真偽判定および正損判定を行うための各種の検知データを制御部20へ供給し、制御部20が検査部34から取得する検知データに基づいて真偽判定および正損判定を実行するようにすれば良い。
【0027】
検査部34により検査された券は、検査結果に応じて、正券集積部37、裁断部36、あるいは、排除券カセット35の何れかに搬送される。検査部34により正券と判定された券は、正券集積部37へ搬送される。検査部34により排除券と判定された券は、排除券カセットに搬送される。検査部34により損券と判定された券は、裁断部36に搬送される。
【0028】
正券集積部37は、検査部34により正券と判定された券を集積する。施封部38は、正券集積部37に集積された券(正券)を所定数ごとに施封する。例えば、施封部38は、所定ごとの正券を小帯によって施封する。小帯で施封された正券は、排出部41へ送られる。排出部41は、施封部40で施封した券を排出口42から排出する。
【0029】
排除券カセット35は、排除券用の集積部である。排除券カセット35は、検査部34によって排除券と判定された券を集積する。排除券カセット35に集積された券は、操作者による手操作等により、排除券処理機12で処理される。また、制御部20は、排除券カセット35に券を集積した回数をカウントする。制御部20は、排除券カセット35に券を集積した回数のカウント値を管理装置13へ送信する。
【0030】
裁断部36は、検査部34により損券と判定された券を裁断する。裁断部36は、汚損が激しい損券を廃棄するために損券を裁断する。裁断部36の構成については、後述するものとする。制御部20は、裁断部36により裁断した券の枚数をカウントする。制御部20は、裁断部36で裁断した枚数のカウント値を管理装置13へ送信する。
【0031】
次に、実施形態に係る検査機11における裁断部36の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る検査機11における裁断部36の第1の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、裁断部36は、裁断制御部50、モータ51、刃52、および、負荷検知器53などを有する。裁断制御部50は、裁断部の制御を司る。例えば、裁断制御部50は、プロセッサ、メモリ、各種インターフェースにより構成される。
【0032】
モータ51は、刃52を駆動させる。刃52は、モータ51によって動作することにより券を裁断する。例えば、モータ51は、刃52を回転させて裁断する券を引き込むとともに裁断する。刃52は、粘着物などが付着すると回転するための抵抗を大きくなる。このため、粘着物の付着などによって刃52が回転するのに生じる抵抗が大きくなると、モータ51に掛かる負荷も大きくなる。
【0033】
負荷検知器53は、刃52を動作させるために駆動するモータ51に掛かる負荷を検知する。例えば、負荷検知器53は、刃52を回転する際にモータ51に生じる負荷値として、モータ51に流れる電流値を計測する。粘着物の付着などによって刃52が回転するのに生じる抵抗が大きくなると、負荷検知器53が検知する負荷値としての電流値も大きくなる。
【0034】
以下、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11の動作について説明する。
まず、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11における第1の動作例について説明する。
図4は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11における第1の動作例を説明するためのフローチャートである。
検査機11において、制御部20のプロセッサ21は、オペレータが操作部25により入力する運転開始の指示に応じて運転を開始する(ST10)。運転を開始した後、プロセッサ21は、処理対象とする券が存在するか否かをチェックする(ST11)。例えば、プロセッサ21は、投入口30に投入された券の処理が完了するまで券有りと判定し、投入口30に投入された券の処理が完了すると券無しと判定する。券無しと判定した場合(ST11、YES)、プロセッサ21は、当該検査機11の運転を停止する(ST12)。
【0035】
券有りと判定した場合(ST11、NO)、プロセッサ21は、投入口30に投入された券の取出しおよび搬送を行う(ST13)。例えば、プロセッサ21は、投入口30に投入された券が供給部33へ送られる。供給部33は、搬送路を介して破封された券を1枚ずつ検査部34へ供給する。検査部34は、検査対象とする券から各種のセンサで検知した各種の物理特性を示すデータを検査結果としてプロセッサ21へ供給する。
【0036】
プロセッサ21は、検査部34から取得する検査結果に基づいて検査した券の券種を判定するともに、当該券が排除券、正券、又は、損券の何れであるかを決定する(ST14)。例えば、プロセッサ21は、検査部34による検査結果に基づいて券の真偽および正損を判定することにより、検査部34が検査した券を、排除券、正券、又は、損券の何れかに分類する。プロセッサ21は、検査結果に基づく分類に応じて各券の搬送先を決定する。
【0037】
ここで、プロセッサ21は、検査結果に基づいて判定した券種および分類ごとに枚数をカウントする。例えば、プロセッサ21は、検査部34が検査した券が排除券であると判定した場合、排除券の枚数(排除券と判定した回数)をカウントする。また、プロセッサ21は、検査した券が正券であると判定した場合、券種ごとに正券の枚数をカウントする。また、プロセッサ21は、検査した券が損券であると判定した場合、券種ごとに損券の枚数をカウントする。これらのカウント値は、プロセッサ21により通信インターフェース23を介して管理装置13へ通知される。
【0038】
検査部34で検査した券が排除券である場合(ST15、YES)、プロセッサ21は、当該券(排除券)を排除券集積部としての排除券カセット35へ搬送する(ST18)。例えば、プロセッサ21は、真券でない(偽券)と判定された券、および、スキュー(搬送姿勢の不良)や2枚取りなどで真偽の判定が不能となった券を排除券とする。排除券カセット35に集積された排除券は、排除券処理機12によって処理される。
【0039】
検査部34で検査した券が真券である場合(ST15、NO)、プロセッサ21は、当該券(真券)が正券であるか損券であるかを判定する(ST16)。例えば、プロセッサ21は、真券と判定した券が再流通可能な正券であるか、再流通を不可とする損券であるかを判定する。
【0040】
検査部34で検査した券が正券であると判定した場合(ST16、YES)、プロセッサ21は、当該券(正券)を正券集積部37へ搬送する(ST17)。正券集積部37は、正券を集積し、集積した券(正券)を所定数ごとに施封部38へ供給する。施封部38は、正券集積部37に集積された所定数ごとの正券を施封する。施封された券は、排出部41により排出口42から排出される。
【0041】
検査部34で検査した券が損券である場合(ST16、NO)、プロセッサ21は、当該券を裁断部36へ搬送する(ST19)。裁断部36は、検査部34から供給される損券を裁断する券として受け入れる。裁断部36は、裁断する券が供給されると、モータ51により刃52を動作させることにより当該券を裁断処理する。
【0042】
また、プロセッサ21は、損券と判定した券を裁断部36で裁断処理する場合、当該券がテープ貼り券であるか否かを判定する(ST20)。例えば、プロセッサ21は、検査部34で検査した当該券の厚みなどに基づいて粘着テープが貼り付けられるテープ貼り券であるか否かを判定する。裁断部36で裁断処理する券がテープ貼り券でないと判定した(ST20、NO)、プロセッサ21は、次の券に対する処理を実行する。
【0043】
裁断部36で裁断処理する券がテープ貼り券であると判定した場合(ST20、YES)、プロセッサ21は、当該券をテープ貼り券として計数する(ST21)。例えば、プロセッサ21は、メモリ22にテープ貼り券をカウントするカウンタを設け、当該カウンタをカウントアップすることによりテープ貼り券をカウントする。
【0044】
なお、裁断部36では、テープ貼り券以外の券を裁断すると、刃に付着した粘着物質を除去する効果がある。このため、プロセッサ21は、テープ貼り券以外の券を裁断した枚数に応じてカウント値を減算又はクリアするようにしても良い。この場合、検査機は、テープ貼り券の裁断枚数をテープ貼り券以外の券を裁断した枚数に応じて補正したカウント値に基づいて後述するメンテナンスの要否を判定することできる。
【0045】
また、裁断部36では、テープ貼り券の裁断を連続して繰り返すと、刃への粘着物質の付着が多くなることも考えられる。このため、プロセッサ21は、裁断部36が連続して裁断するテープ貼り券の数をカウントするようにしても良い。この場合、検査機は、連続してテープ貼り券が裁断された枚数に基づいて後述するメンテナンスの要否の判定を行うことができる。
【0046】
裁断部36で裁断処理する券をテープ貼り券としてカウントした場合、プロセッサ21は、テープ貼り券のカウント値が閾値を超えたか否かを判断する(ST22)。テープ貼り券のカウント値に対する閾値は、予めメモリ22に記憶(設定)される。テープ貼り券のカウント値に対する閾値は、テーブル貼り券の枚数に応じて裁断部36に対するメンテナンス(刃52の清掃を含む)を実施させるための設定値である。
【0047】
テープ貼り券のカウント値に対する閾値は、予め設定した所定の枚数とするものに限定されるものでない。例えば、テープ貼り券のカウント値に対する閾値は、裁断部36が連続して裁断するテーブル貼り券の枚数に応じて変動する値であっても良い。また、テープ貼り券のカウント値に対する閾値は、テープ貼り券以外の券を裁断した枚数に応じて変動する値としても良い。
【0048】
テープ貼り券のカウント値が閾値を超えた場合(ST22、YES)、プロセッサ21は、当該検査機11の運転を停止し(ST23)、メンテナンスの実施を案内する(ST24)。例えば、プロセッサ21は、当該検査機11における各駆動機構を停止させた後、表示部24に裁断部36のメンテナンスを実施する旨の案内(警告)を表示する。また、プロセッサ21は、図示しないスピーカなどによりアラートを発しても良いし、外部装置に裁断部のメンテナンスを実施する旨の通知を送信するようにしても良い。
【0049】
メンテナンスの実施を案内した後、プロセッサ21は、裁断部36に対するメンテナンス作業の終了待ちとする。例えば、プロセッサ21は、操作部25にメンテナンス作業の終了が入力された場合、プロセッサ21は、メンテナンス作業が終了したものとする。メンテンナスの作業が終了すると、プロセッサ21は、テープ貼り券のカウンタをクリアし(ST26)、運転を再開する。
【0050】
上述した第1の動作例によれば、検査機は、裁断部で裁断したテープ貼り券の枚数をカウントする。検査機は、裁断部で裁断したテープ貼り券の枚数が所定の閾値を超えた場合に、運転を停止して裁断部のメンテナンスを実施する旨の案内(警告)を表示する。検査機は、裁断部のメンテナンス作業が終了した場合に、テープ貼り券のカウント値をクリアし、運転を再開する。
【0051】
これにより、テープ貼り券の裁断枚数に応じて裁断部のメンテナンス作業を実施させることができ、裁断部のエラーによって装置が停止することを抑止できる。また、裁断部におけるエラーによって検査機で停止する前にメンテナンス作業を促すことできるため、裁断部における刃の交換などの発生頻度を低減させることができる。
【0052】
次に、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11における第2の動作例について説明する。
図5は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11における第2の動作例を説明するためのフローチャートである。
検査機11において、制御部20のプロセッサ21は、オペレータが操作部25に入力する運転開始の指示に応じて運転を開始する(ST10)。運転を開始した後、プロセッサ21は、処理対象とする券が存在するか否かをチェックする(ST11)。例えば、プロセッサ21は、投入口30に投入された券の処理が完了するまで券有りと判定し、投入口30に投入された券の処理が完了すると券無しと判定する。券無しと判定した場合(ST11、YES)、プロセッサ21は、当該検査機11の運転を停止する(ST12)。
【0053】
券有りと判定した場合(ST11、NO)、プロセッサ21は、投入口に投入された券の取出しおよび搬送を行う(ST13)。例えば、プロセッサ21は、投入口30に投入された券を供給部33から1枚ずつ検査部34へ供給する。検査部34は、検査対象とする券から各種のセンサで検知した各種の物理特性を示すデータを検査結果としてプロセッサ21へ供給する。
【0054】
プロセッサ21は、検査部34から取得する検査結果に基づいて検査した券の券種を判定するともに、当該券が排除券、正券、又は、損券の何れであるかを決定する(ST14)。例えば、プロセッサ21は、検査部34による検査結果に基づいて券の真偽および正損を判定することにより、検査部34が検査した券を、排除券、正券、又は、損券の何れかに分類する。プロセッサ21は、検査結果に基づく分類に応じて各券の搬送先を決定する。
【0055】
ここで、プロセッサ21は、検査結果に基づいて判定した券種および分類ごとに枚数をカウントする。これらのカウント値は、プロセッサ21により通信インターフェース23を介して管理装置13へ通知される。
【0056】
検査部34で検査した券が排除券である場合(ST15、YES)、プロセッサ21は、当該券を排除券集積部としての排除券カセット35へ搬送する(ST18)。例えば、プロセッサ21は、真券でない(偽券)と判定された券、および、スキュー(搬送姿勢の不良)や2枚取りなどで真偽又は正損の判定が不能となった券を排除券とする。排除券カセット35に集積された排除券は、排除券処理機12によって処理される。
【0057】
検査部34で検査した券が真券であると判定した場合(ST15、NO)、プロセッサ21は、当該券が正券であるか損券であるかを判定する(ST16)。例えば、プロセッサ21は、真券と判定した券が再流通可能な正券であるか、再流通を不可とする損券であるかを判定する。
【0058】
検査部34で検査した券が正券であると判定した場合(ST16、YES)、プロセッサ21は、当該券を正券集積部37へ搬送する(ST17)。正券集積部37は、供給される券(正券)を集積し、所定数ごとに施封部38へ供給する。施封部38は、所定数ごとの正券を施封する。施封部38で施封された券は、排出部41により排出口42から排出される。
【0059】
検査部34で検査した券が損券であると判定した場合(ST16、NO)、プロセッサ21は、当該券を裁断部36へ搬送する(ST19)。裁断部36は、検査部34から供給される損券を裁断する券として受け入れる。裁断部36は、裁断する券が供給されると、モータ51により刃52を動作させることにより当該券を裁断処理する。
【0060】
また、プロセッサ21は、裁断部36で券を裁断する場合、刃52を動作させるモータ51に掛かる負荷の大きさを示す負荷値を負荷検知器53によって検知する。負荷検知器53は、刃52を動作させるモータ51に掛かる負荷を示す負荷値としての電流値を検知する。
【0061】
プロセッサ21は、負荷検知器53が検知する負荷値が所定の上限値(負荷値用の閾値)を超えたか否かを判断する(ST32)。例えば、プロセッサ21は、負荷検知器53が負荷値として検知する電流値が所定の上限値を超えるか否かを判断する。負荷値が上限値を超えていないと判断した場合(ST32、NO)、プロセッサ21は、次の券に対する処理を行う。
【0062】
負荷検知器53が検知する負荷値が所定の上限値を超えていると判断した場合(ST32、YES)、プロセッサ21は、当該検査機11の運転を停止し(ST23)、メンテナンスの実施を案内する(ST24)。例えば、プロセッサ21は、当該検査機11における各駆動機構を停止させた後、表示部24に裁断部36のメンテナンスを実施する旨の案内(警告)を表示する。また、プロセッサ21は、図示しないスピーカなどによりアラートを発しても良いし、外部装置に裁断部36のメンテナンスを実施する旨の通知を送信するようにしても良い。
【0063】
メンテナンスの実施を案内した後、プロセッサ21は、裁断部36に対するメンテナンス作業の終了待ちとする。例えば、プロセッサ21は、操作部25にメンテナンス作業の終了が入力された場合、プロセッサ21は、メンテナンス作業が終了したものとする。メンテンナスの作業が終了すると、プロセッサ21は、テープ貼り券のカウンタをクリアし(ST26)、運転を再開する。
【0064】
上述した第2の動作例によれば、検査機は、裁断部で裁断処理する場合に裁断用の刃を動作させるモータに掛かる負荷が閾値を超えた場合に、運転を停止して裁断部のメンテナンスを実施する旨の案内(警告)を表示する。検査機は、裁断部のメンテナンス作業が終了した場合に運転を再開する。
【0065】
これにより、裁断を実行する場合に掛かる負荷の大きさに応じて裁断部のメンテナンス作業を実施させることができ、裁断部におけるエラーの発生によって装置が停止することを抑止できる。また、裁断部におけるエラーで検査機が停止する前にメンテナンス作業を実行することを促すことできるため、裁断部における刃の交換などの発生頻度を低減させることができる。
【0066】
次に、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11における第3および第4の動作例について説明する。
第3および第4の動作例を実行する場合、検査機11における裁断部36は、自身でメンテナンス(自己メンテナンス)を実行するための機構(メンテナンス機構)を備えるものとする。
【0067】
図6は、第3および第4の動作例を実施する検査機11が備える裁断部36の構成例(第2の構成例)を示すブロック図である。
図6に示す裁断部36の第2の構成例は、図3に示す構成に注油機構54と清掃券供給機構55とを加えたものである。注油機構54および清掃券供給機構55は、裁断部36における自己メンテナンスを実行するためのメンテナンス機構の例である。
【0068】
注油機構54は、刃52に潤滑用の油を供給する。注油機構54は、刃52に潤滑用の油を供給することによって刃52が駆動する際に生じる抵抗を小さくする。裁断部36は、自己メンテナンスとして、注油機構54により刃52に潤滑用の油を供給しながらモータ51で刀を動作(空運転)させる。これにより、刃52に付着した粘着物質が除去され、刃52の動作がスムーズになるという効果が得られる。
【0069】
清掃券供給機構55は、モータ51で駆動する刃52による券の裁断位置に清掃用の券(清掃(クリーニング)券)を供給する。清掃券は、処理(裁断)の対象とする券と同サイズの媒体であり、裁断される際に刃52に付着した粘着物を除去できるものである。清掃券供給機構55を用いたメンテナンスを実行する場合、裁断部36は、自己メンテナンスとして、清掃券供給機構55が供給する清掃券をモータ51で駆動する刃52によって裁断させる。これにより、清掃券供給機構55により供給される清掃券を刃52が裁断する際に、刃52に付着した粘着物質が除去されるという効果が得られる。
【0070】
図7は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11における第3の動作例を説明するためのフローチャートである。
検査機11において、制御部20のプロセッサ21は、オペレータが操作部25に入力する運転開始の指示に応じて運転を開始する(ST10)。運転を開始した後、プロセッサ21は、処理対象とする券が存在するか否かをチェックする(ST11)。券無しと判定した場合(ST11、YES)、プロセッサ21は、当該検査機11の運転を停止する(ST12)。
【0071】
券有りと判定した場合(ST11、NO)、プロセッサ21は、投入口に投入された券の取出しおよび搬送を行う(ST13)。例えば、プロセッサ21は、投入口30に投入された券を供給部33から1枚ずつ検査部34へ供給する。検査部34は、供給部33から供給される券を検査し、検査結果をプロセッサ21へ供給する。検査部34は、検査対象とする券から各種のセンサで検知した各種の物理特性を示すデータを検査結果としてプロセッサ21へ供給する。
【0072】
プロセッサ21は、検査部34から取得する検査結果に基づいて検査した券の券種を判定するともに、当該券が排除券、正券、又は、損券の何れであるかを決定する(ST14)。例えば、プロセッサ21は、検査部34による検査結果に基づいて券の真偽および正損を判定することにより、検査部34が検査した券を、排除券、正券、又は、損券の何れかに分類する。プロセッサ21は、検査結果に基づく分類に応じて各券の搬送先を決定する。
【0073】
プロセッサ21は、検査結果に基づいて判定した券種および分類ごとに枚数をカウントする。これらのカウント値は、プロセッサ21により通信インターフェース23を介して管理装置13へ通知される。
【0074】
プロセッサ21は、検査部34で検査した券が排除券である場合(ST15、YES)、当該券を排除券集積部としての排除券カセット35へ搬送する(ST18)。排除券カセット35に集積された排除券は、排除券処理機12によって処理される。
検査部34で検査した券が真券であると判定した場合(ST15、NO)、プロセッサ21は、当該券が正券であるか損券であるかを判定する(ST16)。例えば、プロセッサ21は、真券と判定した券が再流通可能な正券であるか、再流通を不可とする損券であるかを判定する。
【0075】
検査部34で検査した券が正券であると判定した場合(ST16、YES)、プロセッサ21は、当該券を正券集積部37へ搬送する(ST17)。正券集積部37は、供給される券(正券)を集積し、所定数ごとに施封部38へ供給する。施封部38は、所定数ごとの正券を施封する。施封部38で施封された券は、排出部41により排出口42から排出される。
【0076】
検査部34で検査した券が損券であると判定した場合(ST16、NO)、プロセッサ21は、当該券を裁断部36へ搬送する(ST19)。裁断部36は、検査部34から供給される損券を裁断する券として受け入れる。裁断部36は、裁断する券が供給されると、モータ51により刃52を動作させることにより当該券を裁断処理する。
【0077】
また、プロセッサ21は、裁断部36で券を裁断処理する場合、当該券がテープ貼り券であるか否かを判定する(ST20)。例えば、プロセッサ21は、検査部34で検査した当該券の厚みなどに基づいて粘着テープが貼り付けられるテープ貼り券であるか否かを判定する。裁断部36で裁断処理する券がテープ貼り券でないと判定した(ST20、NO)、プロセッサ21は、次の券に対する処理へ移行する。
【0078】
裁断部36で裁断処理する券がテープ貼り券であると判定した場合(ST20、YES)、プロセッサ21は、当該券をテープ貼り券としてカウントする(ST21)。
裁断部36で裁断処理する券をテープ貼り券としてカウントした後、プロセッサ21は、テープ貼り券のカウント値が閾値を超えたか否かを判断する(ST22)。
テープ貼り券のカウント値が閾値を超えた場合(ST22、YES)、プロセッサ21は、当該検査機11の運転を停止し(ST23)、注油機構54および清掃券供給機構55を用いた自己メンテナンスを実行する(ST44、ST45)。
【0079】
すなわち、プロセッサ21は、当該検査機11における各駆動機構を停止させた後、注油機構54により裁断部36における刃52に潤滑用の油を注油し、モータ51により刃52を動作(空運転)させる(ST44)。これにより、裁断部36は、注油機構54から潤滑用の油を供給しながら空運転することにより粘着物が刃52に付着したことにより負荷を軽減する自己メンテンナスが実施される。
【0080】
また、プロセッサ21は、清掃券供給機構55によって供給する清掃券を裁断部36で裁断させる(ST45)。清掃券は、例えば、処理(裁断)の対象とする券と同サイズの媒体であり、裁断される際に刃に付着した粘着物を除去できるものである。これにより、裁断部36では、清掃券を裁断することで刃52に付着した粘着物を除去する自己メンテナンスが実施される。
なお、ST44の自己メンテナンスとST45の自己メンテナンスとは、何れか一方を実行するようにしても良い。
【0081】
注油機構54および清掃券供給機構55を用いたメンテナンス(自己メンテナンス)が完了すると、プロセッサ21は、テープ貼り券のカウンタをクリアし(ST26)、運転を再開する。
【0082】
上述した第3の動作例によれば、検査機は、裁断部で裁断したテープ貼り券の枚数をカウントする。検査機は、裁断部で裁断したテープ貼り券の枚数が所定の閾値を超えた場合に、運転を停止して裁断部における自己メンテナンスを実行する。検査機は、裁断部において注油機構から油を供給しながら空運転を行ったり、清掃券を裁断したりすることにより自己メンテナンスを実行する。自己メンテナンスが終了した場合に、テープ貼り券のカウント値をクリアし、運転を再開する。
【0083】
これにより、テープ貼り券の裁断枚数に応じて人手を介さずに裁断部のメンテナンスを実行させることができ、裁断部のエラーによって装置が停止することを抑止できる。また、裁断部におけるエラーによって検査機で停止する前にメンテナンスを自動的に実行することできるため、裁断部における刃の交換などの発生頻度を低減させることができる。
【0084】
次に、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11における第4の動作例について説明する。
図8は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11における第4の動作例を説明するためのフローチャートである。
検査機11において、制御部20のプロセッサ21は、オペレータによる操作部25への運転開始の指示に応じて運転を開始する(ST10)。運転を開始した後、プロセッサ21は、処理対象とする券が存在するか否かをチェックする(ST11)。例えば、プロセッサ21は、投入口30に投入された券の処理が完了するまで券有りと判定し、投入口30に投入された券の処理が完了すると券無しと判定する。券無しと判定した場合(ST11、YES)、プロセッサ21は、当該検査機11の運転を停止する(ST12)。
【0085】
券有りと判定した場合(ST11、NO)、プロセッサ21は、投入口に投入された券の取出しおよび搬送を行う(ST13)。例えば、プロセッサ21は、投入口30に投入された券を供給部33から1枚ずつ検査部34へ供給する。検査部34は、供給部33から供給される券を検査し、検査結果をプロセッサ21へ供給する。例えば、検査部34は、検査対象とする券から各種のセンサで検知した各種の物理特性を示すデータを検査結果としてプロセッサ21へ供給する。
【0086】
プロセッサ21は、検査部34から取得する検査結果に基づいて検査した券の券種を判定するともに、当該券が排除券、正券、又は、損券の何れであるかを決定する(ST14)。例えば、プロセッサ21は、検査部34による検査結果に基づいて券の真偽および正損を判定することにより、検査部34が検査した券を、排除券、正券、又は、損券の何れかに分類する。プロセッサ21は、検査結果に基づく分類に応じて各券の搬送先を決定する。
【0087】
プロセッサ21は、検査結果に基づいて判定した券種および分類ごとに枚数をカウントする。これらのカウント値は、プロセッサ21により通信インターフェース23を介して管理装置13へ通知される。
【0088】
プロセッサ21は、検査部34で検査した券が排除券であると判定した場合(ST15、YES)、当該券を排除券集積部としての排除券カセット35へ搬送する(ST18)。例えば、プロセッサ21は、真券でない(偽券)と判定された券、および、スキュー(搬送姿勢の不良)や2枚取りなどで真偽又は正損の判定が不能となった券を排除券とする。排除券カセット35に集積された排除券は、排除券処理機12によって処理される。
【0089】
検査部34で検査した券が真券であると判定した場合(ST15、NO)、プロセッサ21は、当該券が正券であるか損券であるかを判定する(ST16)。例えば、プロセッサ21は、真券と判定した券が再流通可能な正券であるか、再流通を不可とする損券であるかを判定する。
【0090】
検査部34で検査した券が正券であると判定した場合(ST16、YES)、プロセッサ21は、当該券を正券集積部37へ搬送する(ST17)。正券集積部37は、供給される券(正券)を集積し、所定数ごとに施封部38へ供給する。施封部38は、所定数ごとの正券を施封する。施封部38で施封された券は、排出部41により排出口42から排出される。
【0091】
検査部34で検査した券が損券であると判定した場合(ST16、NO)、プロセッサ21は、当該券を裁断部36へ搬送する(ST19)。裁断部36は、検査部34から供給される損券を裁断する券として受け入れる。裁断部36は、裁断する券が供給されると、モータ51により刃52を動作させることにより当該券を裁断処理する。
【0092】
また、プロセッサ21は、券を裁断部36で裁断処理する場合、刃52を動作させるモータ51に掛かる負荷の大きさを示す負荷値を負荷検知器53によって検知する(ST211)。負荷検知器53は、刃52を動作させるモータ51に掛かる負荷を示す負荷値としての電流値を検知する。
【0093】
プロセッサ21は、負荷検知器53が検知する負荷値が所定の上限値(負荷値用の閾値)を超えたか否かを判断する(ST32)。負荷値が上限値を超えていないと判断した場合(ST32、NO)、プロセッサ21は、次の券に対する処理を行う。
負荷値が所定の上限値を超えていると判断した場合(ST32、YES)、プロセッサ21は、当該検査機11の運転を停止し(ST23)、メンテナンス機構としての注油機構54および清掃券供給機構55を用いた自己メンテナンスを実行する。
【0094】
すなわち、プロセッサ21は、当該検査機11における各駆動機構を停止させた後、注油機構54により裁断部36における刃52に潤滑用の油を注油し、モータ51により刃52を動作(空運転)させる(ST54)。これにより、裁断部36は、注油機構54から潤滑用の油を供給しながら空運転することにより粘着物が刃52に付着したことにより負荷を軽減する自己メンテンナスが実施される。
【0095】
また、プロセッサ21は、清掃券供給機構55によって供給する清掃券を裁断部36で裁断させる(ST55)。これにより、裁断部36では、清掃券を裁断することで刃52に付着した粘着物を除去する自己メンテナンスが実施される。
なお、ST54の自己メンテナンスとST55の自己メンテナンスとは、何れか一方を実行するようにしても良い。
【0096】
注油機構54および清掃券供給機構55を用いたメンテナンス(自己メンテナンス)が完了すると、プロセッサ21は、モータ51により刃52を動作させてモータ51に掛かる負荷の大きさを示す負荷値を負荷検知器53によって検知する。負荷検知器53により負荷値を検知すると、プロセッサ21は、負荷検知器53が検知した負荷値が標準値以下であるか否かを判断する(ST56)。ここで、標準値は、メンテナンス後に運転を再開するための基準値であるものとする。標準値は、負荷値用の閾値よりも小さい値に設定される。
【0097】
負荷検知器53が検知した負荷値が標準値以下である場合(ST56、YES)、プロセッサ21は、自己メンテナンスによってモータ51への負荷が小さくなったものとし、運転を再開する。
【0098】
負荷検知器53が検知した負荷値が標準値以下でない場合(ST56、NO)、プロセッサ21は、自己メンテナンスを実施してもモータ51への負荷が運転を再開する基準値に満たないものとし、作業員によるメンテナンスの作業を要求する案内を表示部24に表示する(ST57)。この場合、プロセッサ21は、当該検査機11の運転を停止したままとし、作業員によるメンテナンス作業の完了待ちとなる。
【0099】
上述した第4の動作例によれば、検査機は、券を裁断する刃を動作させるモータに掛かる負荷が閾値を超えた場合に、運転を停止して裁断部における自己メンテナンスを実行する。検査機は、裁断部において注油機構から油を供給しながら空運転を行ったり、清掃券を裁断したりすることにより自己メンテナンスを実行する。自己メンテナンスが終了した後、検査機は、再度モータで刃を動作させて検知する負荷値が標準値以下である場合に運転を再開する。
【0100】
これにより、第4の動作例に係る検査機は、裁断に用いる刃を動作させるモータに掛かる負荷に応じて人手を介さずに裁断部のメンテナンスを実行させることができ、裁断部のエラーによって装置が停止することを抑制できる。また、第4の動作例に係る検査機は、裁断部におけるエラーによって検査機で停止する前にメンテナンスを自動的に実行することできるため、裁断部における刃の交換などの発生頻度を低減させることができる。さらに、第4の動作例に係る検査機は、自己メンテナンス後に負荷値が標準値以下であること確認した上で運転を再開することができ、自己メンテナスではモータへの過大な負荷を解消できなかった場合に作業員にメンテナンスを促す案内を行うこともできる。
【0101】
次に、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11における第5の動作例について説明する。
第5の動作例を実行する場合、検査機11は、裁断部36として2つの裁断部36A、36Bを備える構成とする。
図9は、第5の動作例を実施するための検査機11が2つの裁断部36A、36Bを備える構成例を示すブロック図である。
図9に示す構成は、図2に示す構成における裁断部36を第1裁断部36Aと第2裁断部36Bとに置き換えた構成となっている。第1裁断部36Aおよび第2裁断部36Bは、それぞれ図6に示すような構成を備えるものとする。図9に示す構成の検査機11において、制御部20のプロセッサ21は、実際に裁断処理を実行する裁断部として、第1裁断部36A又は第2裁断部36Bの何れかを設定する。
【0102】
図10は、実施形態に係る紙葉類処理装置としての検査機11における第5の動作例を説明するためのフローチャートである。
検査機11において、制御部20のプロセッサ21は、オペレータによる操作部25への運転開始の指示に応じて運転を開始する(ST10)。運転を開始した後、プロセッサ21は、処理対象とする券が存在するか否かをチェックする(ST11)。券無しと判定した場合(ST11、YES)、プロセッサ21は、当該検査機11の運転を停止する(ST12)。
【0103】
券有りと判定した場合(ST11、NO)、プロセッサ21は、投入口に投入された券の取出しおよび搬送を行う(ST13)。例えば、プロセッサ21は、投入口30に投入された券を供給部33から1枚ずつ検査部34へ供給する。検査部34は、供給部33から供給される券を検査し、検査結果をプロセッサ21へ供給する。検査部34は、検査対象とする券から各種のセンサで検知した各種の物理特性を示すデータを検査結果としてプロセッサ21へ供給する。
【0104】
プロセッサ21は、検査部34から取得する検査結果に基づいて検査した券の券種を判定するともに、当該券が排除券、正券、又は、損券の何れであるかを決定する(ST14)。例えば、プロセッサ21は、検査部34による検査結果に基づいて券の真偽および正損を判定することにより、検査部34が検査した券を、排除券、正券、又は、損券の何れかに分類する。プロセッサ21は、検査結果に基づく分類に応じて各券の搬送先を決定する。
【0105】
プロセッサ21は、検査部34による検査結果に基づいて判定した券種および分類ごとに枚数をカウントする。これらのカウント値は、プロセッサ21により通信インターフェース23を介して管理装置13へ通知される。
【0106】
プロセッサ21は、検査部34で検査した券が排除券であると判定した場合(ST15、YES)、当該券を排除券集積部としての排除券カセット35へ搬送する(ST18)。排除券カセット35に集積された排除券は、排除券処理機12によって処理される。
検査部34で検査した券が真券であると判定した場合(ST15、NO)、プロセッサ21は、当該券が正券であるか損券であるかを判定する(ST16)。例えば、プロセッサ21は、真券と判定した券が再流通可能な券であるか否かにより、正券であるか損券であるかを判定する。
【0107】
検査部34で検査した券が正券であると判定した場合(ST16、YES)、プロセッサ21は、当該券を正券集積部37へ搬送する(ST17)。正券集積部37は、検査部34から搬送される券(正券)を集積し、所定数ごとに施封部38へ供給する。施封部38は、所定数ごとの正券を施封する。施封部38で施封された券は、排出部41により排出口42から排出される。
【0108】
検査部34で検査した券が損券であると判定した場合(ST16、NO)、プロセッサ21は、2つの裁断部36A、36Bのうち損券の搬送先に設定されている裁断部(裁断処理を実行する裁断部に設定されている裁断部)へ搬送する(ST19)。ここでは、例として、第1裁断部36Aが損券の搬送先(裁断処理を実行する裁断部)に設定され、第2裁断部36Bが待機中に設定されているものとする。この場合、裁断処理を実行する第1裁断部(稼働側の裁断部)36Aは、検査部34から搬送される券を裁断する損券(裁断券)として受け入れる。第1裁断部36Aの裁断制御部50は、裁断券が供給されると、モータ51により刃52を動作させることにより当該裁断券を裁断処理する。
【0109】
また、稼働側の第1裁断部34Aは、裁断券を裁断する場合、刃52を動作させるモータ51に掛かる負荷の大きさを示す負荷値を負荷検知器53によって検知する。負荷検知器53は、刃52を動作させるモータ51に掛かる負荷を示す負荷値としての電流値を検知する。負荷検知器53が検知した負荷値としての電流値は、裁断制御部50を介して制御部20のプロセッサ21へ通知される。
【0110】
プロセッサ21は、負荷検知器53が検知する負荷値が所定の上限値(負荷値用の閾値)を超えたか否かを判断する(ST62)。負荷値が上限値を超えていないと判断した場合(ST62、NO)、プロセッサ21は、次の券に対する処理を行う。
稼働側の裁断部(ここでは第1裁断部36Aとする)における負荷値が所定の上限値を超えていると判断した場合(ST62、YES)、プロセッサ21は、当該検査機11の運転を一旦停止し(ST63)、待機側の裁断部(ここでは第2裁断部36Bとする)への切り替えが可能であるか否かを判断する(ST64)。
【0111】
例えば、プロセッサ21は、待機側の裁断部である第2裁断部36Bが使用可能な状態であるか否かにより裁断部の切り替えが可能であるか否かを判断する。待機側の裁断部が使用可能な状態であれば、プロセッサ21は、裁断部の切り替えが可能であると判断する。待機側の裁断部が使用可能な状態でなければ、プロセッサ21は、裁断部の切り替えが不可であると判断する。
【0112】
裁断部の切り替えが不可であると判断した場合(ST64、NO)、プロセッサ21は、裁断部(第1裁断部および第2裁断部)においてエラーが発生したことを表示部24に表示し(ST65)、一連の処理を終了する。また、プロセッサ21は、裁断部の切り替えが不可であると判断した場合に、第1裁断部および第2裁断部に対するメンテナンスの案内を表示部24に表示するようにしても良い。
【0113】
なお、プロセッサ21は、待機側の裁断部(例えば、第2裁断部)が使用不可である場合、負荷値が所定の上限値を超えた稼働側の裁断部(例えば、第1裁断部)に対して図8のST54~ST57に示すような自己メンテナンスを含む処理を実行するようにしても良い。この場合、プロセッサ21は、稼働側の裁断部(第1裁断部)における負荷値が標準値以下となったことを確認した後に裁断部を第1裁断部とした状態で運転を再開するようにしても良い。
【0114】
裁断部の切り替えが可能であると判断した場合(ST64、YES)、プロセッサ21は、検査部34からの損券の搬送先を待機側の裁断部に切り替える(ST66)。これにより、プロセッサ21は、実際に裁断処理を実行する裁断部を待機中であった裁断部に切り替える。例えば、プロセッサ21は、第1裁断部36Aにおける負荷値が所定の閾値を超えた場合、裁断処理を実行する裁断部(稼働側の裁断部)を第2裁断部36Bに切り替え、第1裁断部36Aを待機中の裁断部に切り替える。
【0115】
また、プロセッサ21は、稼働側の裁断部と待機側の裁断部とを切り替える(入れ替える)とともに、負荷値が所定の閾値を超えた裁断部(待機側の裁断部となった裁断部)に対して自己メンテナンスを実行する(ST71、ST72)。待機側の裁断部に対する自己メンテナンスは、検査機11が稼働側の裁断部を用いて運転中であっても並行して実施するようにして良い。例えば、第1裁断部36Aの負荷値が所定の閾値を超えた場合、プロセッサは、第2裁断部36Bを稼働させ、待機中とした第1裁断部36Aに対して自己メンテナンスを実行する。
【0116】
プロセッサ21は、待機中となった裁断部(例えば、第1裁断部36A)に対する自己メンテナンスとして、注油機構54により潤滑用の油を注油して空運転させ(ST71)、清掃券供給機構55によって供給する清掃券を裁断させる(ST72)。なお、ST71の処理とST72の処理とは、何れか一方を実行するようにしても良い。
【0117】
待機側の裁断部である第1裁断部36Aに対する自己メンテナンスが完了すると、プロセッサ21は、第1裁断部36Aにおけるモータ51により刃52を動作させてモータ51に掛かる負荷の大きさを示す負荷値を負荷検知器53によって検知する。負荷検知器53により負荷値を検知すると、プロセッサ21は、負荷検知器53が検知した負荷値が標準値以下であるか否かを判断する(ST73)。ここで、標準値は、メンテナンス後に運転を再開するための基準値であり、負荷値用の閾値よりも小さい値に設定される。
【0118】
負荷検知器53が検知した負荷値が標準値以下である場合(ST73、YES)、プロセッサ21は、待機側の裁断部である第1裁断部36Aを使用可能な状態であることを示す情報をメモリ22に記憶する(ST74)。これにより、待機側の裁断部となった第1裁断部36Aは、第2裁断部36Bが稼働中において、使用可能な状態として待機することとなる。
【0119】
また、負荷検知器53が検知した負荷値が標準値以下でない場合(ST73、NO)、プロセッサ21は、待機側の裁断部となった第1裁断部36Aが使用な状態でない旨の案内(又は、待機型の裁断部が作業員によるメンテナンス作業が必要である旨の案内)を表示部24に表示する(ST75)。すなわち、検査機11は、待機側の裁断部(第1裁断部36A)が使用な状態でない場合であっても、待機側の裁断部(第1裁断部36A)が使用な状態でない旨の案内を表示しつつ、稼働側の裁断部(第2裁断部36B)が稼働することで運転を継続する。
【0120】
なお、上述した第5の動作例では、ST62において稼働側の裁断部における負荷値が上限値を超えた場合に稼働側の裁断部と待機側の裁断部とを切り替えるようにしたが、上述したST20-22のように稼働側の裁断部が裁断したテーブル貼り券の枚数などに応じて稼働側の裁断部と待機側の裁断部とを切り替えるようにしても良い。
【0121】
上述した第5の動作例によれば、検査機は、稼働側の裁断部と待機側の裁断部との何れかに設定される2つの裁断部を備える。検査機は、稼働側の裁断部が券を裁断する刃を動作させるモータに掛かる負荷が閾値を超えた場合(又は、裁断したテーブル貼り券の枚数が閾値を超えた場合)に、稼働側の裁断部と待機側の裁断部とを切り替える。検査機は、稼働側の裁断部とした裁断部を用いて運転を計測するとともに、待機側の裁断部となった裁断部に対する自己メンテナンスを実行する。
【0122】
これにより、第5の動作例に係る検査機は、裁断に用いる刃を動作させるモータに掛かる負荷に応じて人手を介さずに裁断部のメンテナンスを実行させることができ、裁断部のエラーによって装置が停止することを抑制できる。また、第4の動作例に係る検査機は、裁断部におけるエラーによって検査機で停止する前にメンテナンスを自動的に実行することできるため、裁断部における刃の交換などの発生頻度を低減させることができる。さらに、第5の動作例に係る検査機は、自己メンテナンス後に負荷値が標準値以下であること確認した上で運転を再開することができ、自己メンテナスではモータへの過大な負荷を解消できなかった場合に作業員にメンテナンスを促す案内を行うこともできる。
【0123】
上述の各実施形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
1…紙葉類処理システム、11(11A、11B)…検査機(紙葉類処理装置)、12…排除券処理機(紙葉類処理装置)、13…管理装置、20…制御部、21…プロセッサ、22…メモリ、23…通信インターフェース、24…表示部、25…操作部、34…検査部、36…裁断部(36A…第1裁断部、36B…第2裁断部)。
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