(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111958
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】睡眠推定システム、睡眠推定装置、および睡眠推定方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20230803BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20230803BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20230803BHJP
A61B 5/026 20060101ALI20230803BHJP
A61B 5/113 20060101ALN20230803BHJP
A61B 5/11 20060101ALN20230803BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/02 310B
A61B5/0245 Z
A61B5/026 120
A61B5/113
A61B5/11 200
A61B5/11 100
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093406
(22)【出願日】2023-06-06
(62)【分割の表示】P 2021505112の分割
【原出願日】2020-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2019043448
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 孝浩
(57)【要約】
【課題】睡眠状態の推定精度を向上させる。
【解決手段】一実施形態に係る睡眠推定システム(1)は、発光部および受光部を有するセンサ装置(20)と、ユーザの血流データを入力する入力装置(14、16)と、前記血流データから前記ユーザの睡眠状態を示す出力データ(19)を演算可能な近似器を有する制御装置(11)と、を備え、前記血流データは、前記受光部の出力の周波数スペクトルをウェーブレット変換したデータを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの被検部位に光を照射する発光部、および前記ユーザの血流によって散乱された前記光を含む干渉光を受光する受光部、を有するセンサ装置と、
前記ユーザの血流データを入力する入力装置と、
前記血流データから前記ユーザの睡眠状態を示す出力データを演算可能な近似器を有する制御装置と、を備え、
前記血流データは、前記受光部の出力の周波数スペクトルをウェーブレット変換したデータを含む、睡眠推定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の睡眠推定システムであって、
前記血流データは、血流量、バソモーションの変動係数、および心拍数の少なくとも一つに関するデータを含む、睡眠推定システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の睡眠推定システムであって、
前記睡眠状態は、覚醒、レム睡眠、およびノンレム睡眠を示す状態を含む、睡眠推定システム。
【請求項4】
請求項3に記載の睡眠推定システムであって、
前記ノンレム睡眠は、ステージ1~4のノンレム睡眠を含む、睡眠推定システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の睡眠推定システムであって、
前記近似器は、入力層からの出力に対して学習済みパラメータに基づく演算を行なう隠れ層を有し、
前記学習済みパラメータは、前記近似器において、前記血流データと前記睡眠状態との関係を重み付けしたパラメータである、睡眠推定システム。
【請求項6】
請求項5に記載の睡眠推定システムであって、
前記学習済みパラメータは、前記近似器において、前記血流データと前記睡眠状態との関係を、前記睡眠状態ごとに重み付けしたパラメータである、睡眠推定システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の睡眠推定システムであって、
前記血流データの取得部位は、耳、指、手首、額、鼻、または首である、睡眠推定システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の睡眠推定システムであって、
前記制御装置は、前記周波数スペクトルの周波数帯域を選択して、前記血流データを取得する、睡眠推定システム。
【請求項9】
請求項1~8に記載の睡眠推定システムであって、
前記血流データは、周波数スペクトルの時間変化を含む、睡眠推定システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の睡眠推定システムが備えている前記制御装置としてコンピュータを機能させるための、睡眠推定プログラム。
【請求項11】
ユーザの被検部位に光を照射する発光部、および前記ユーザの血流によって散乱された前記光を含む干渉光を受光する受光部、を有するセンサ部と、
前記ユーザの血流データを入力する入力部と、
前記血流データを入力する入力層、前記入力層からの出力に対して学習済みパラメータに基づく演算を行なう隠れ層、および前記隠れ層の演算結果を前記ユーザの睡眠状態として出力する出力層、を有する近似器を構成する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記受光部の出力の周波数スペクトルをウェーブレット変換したデータを含む前記血流データを取得する、睡眠推定装置。
【請求項12】
近似器を用いた睡眠推定方法であって、
前記近似器は、ユーザの血流データを入力する入力層、前記入力層からの出力に対して学習済みパラメータに基づく演算を行なう隠れ層、および前記隠れ層の演算結果を前記ユーザの睡眠状態として出力する出力層、を有し、
前記入力層が、前記近似器に入力された前記血流データを前記隠れ層に送信する工程と、
前記隠れ層が、前記血流データに対して、前記学習済みパラメータに基づく演算を行なう工程と、
前記出力層が、前記隠れ層の演算結果に基づいて前記ユーザの推定睡眠状態を出力する工程と、を備え、
前記近似器に入力される前記血流データは、
センサ装置の発光部によって、前記ユーザの被検部位に光が照射され、
前記センサ装置の受光部によって、前記ユーザの血流によって散乱された前記光を含む干渉光が受光され、
前記受光部の出力の周波数スペクトルをウェーブレット変換したデータを含む、
睡眠推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、睡眠の推定に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、睡眠状態を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国公開特許公報「特開2018-161432号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高精度に睡眠状態を推定する手段が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る睡眠推定システムは、ユーザの被検部位に光を照射する発光部、および前記ユーザの血流によって散乱された前記光を含む干渉光を受光する受光部、を有する センサ装置と、前記ユーザの血流データを入力する入力装置と、前記血流データから前記ユーザの睡眠状態を示す出力データを演算可能な近似器を有する制御装置と、を備え、前記血流データは、前記受光部の出力の周波数スペクトルをウェーブレット変換したデータを含む。
【0006】
一実施形態に係る睡眠推定プログラムは、上記の睡眠推定システムが備えている前記制御装置としてコンピュータを機能させるための睡眠推定プログラムである。
【0007】
一実施形態に係る睡眠推定装置は、ユーザの被検部位に光を照射する発光部、および前記ユーザの血流によって散乱された前記光を含む干渉光を受光する受光部、を有するセンサ部と、前記ユーザの血流データを入力する入力部と、血流データを入力する入力層、入力層からの出力に対して学習済みパラメータに基づく演算を行なう隠れ層、および隠れ層の演算結果を前記ユーザの睡眠状態として出力する出力層、を有する近似器を構成する制御部と、を備え、前記制御部は、前記受光部の出力の周波数スペクトルをウェーブレット変換したデータを含む前記血流データを取得する。
【0008】
一実施形態に係る睡眠推定方法は、近似器を用いた睡眠推定方法であって、近似器は、ユーザの血流データを入力する入力層、入力層からの出力に対して学習済みパラメータに基づく演算を行なう隠れ層、および隠れ層の演算結果をユーザの睡眠状態として出力する出力層、を有し、入力層が、前記近似器に入力された前記血流データを前記隠れ層に送信する工程と、隠れ層が、血流データに対して、学習済みパラメータに基づく演算を行なう工程と、出力層が、隠れ層の演算結果に基づいてユーザの推定睡眠状態を出力する工程と、を備え、前記近似器に入力される前記血流データは、センサ装置の発光部によって、前記ユーザの被検部位に光が照射され、前記センサ装置の受光部によって、前記ユーザの血流によって散乱された前記光を含む干渉光が受光され、前記受光部の出力の周波数スペクトルをウェーブレット変換したデータを含む。
【発明の効果】
【0009】
睡眠状態の推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る睡眠推定システムが有する構成の概略を示す図である。
【
図2】
図1の睡眠推定システムの動作を説明するための図である。
【
図3】
図1の睡眠推定システムの動作を説明するための図である。
【
図5】他の実施形態に係る睡眠推定システムが有する構成の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、一実施形態に係る睡眠推定システムが有する構成の概略図である。
【0012】
睡眠推定システム1は、ユーザの血流に関するデータ(血流データ)に基づいて、ユーザの睡眠状態を推定することができる。具体的には、睡眠推定システム1は、入力された血流データに基づいて、例えば、
図2に示す近似器17に演算させることで、ユーザの睡眠状態を推定することができる。なお、近似器17は、いわゆるニューラルネットワークを含んでいてもよい。なお、ニューラルネットワークとは、人間の脳神経系のニューロンを模した数理モデルをいう。近似器17には、以下で説明するように、学習済みの数理モデル(演算式など)を含んでいてもよい。
【0013】
睡眠推定システム1は、制御装置11、記憶装置12、およびバス(bus)13を備えている。制御装置11、および記憶装置12などの睡眠推定システム1を構成する各種装置は、バス(bus)13を介して、互いに電気的または光学的に接続されており、互いに通信可能である。
【0014】
制御装置11は、睡眠推定システム1の他の構成要素を制御することによって、睡眠推定システム1の動作を統括的に管理することができる。制御装置11は、種々の機能を実行するための制御および処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む。種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC: Integrated Circuit)として、または複数の通信可能に接続されたICおよび/またはディスクリート回路(Discrete Circuits)として実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実行されることができる。
【0015】
プロセッサは、例えば、記憶装置12などの関連するメモリに記憶されたプログラムなどの指示を実行することによって1以上のデータ計算手続または処理を実行するように構成された1以上の回路、ユニット、またはファームウェア(例えば、ディスクリートロジックコンポーネント)であってもよい。また、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC: Application Specific IC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらのデバイス若しくは構成の任意の組み合わせ、または他の既知のデバイスおよび構成の組み合わせを含んでいてもよい。一実施形態に係る睡眠推定システム1の制御装置11は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備えている。
【0016】
記憶装置12は、睡眠推定システム1の機能を実現させるための種々の情報、およびプログラムなどを記憶することができる。具体的には、記憶装置12は、睡眠推定システム1を制御するためのプログラムである制御プログラム121を記憶することができる。記憶装置12は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの、制御装置11のCPUが読み取り可能な非一時的な記録媒体を含んでいてもよい。記憶装置12は、従来公知の技術によって構成されればよい。
【0017】
制御装置11は、記憶装置12内の制御プログラム121を実行することによって各種機能を実現することができる。すなわち、制御プログラム121は、コンピュータにユーザの睡眠状態を推定させるための睡眠推定プログラムを有している。一実施形態に係る睡眠推定システム1は、制御装置11が記憶装置12内の制御プログラム121を実行することによって、ユーザの睡眠状態を推定可能な近似器17を形成することができる。
【0018】
図2は、
図1に示した睡眠推定システムがユーザの睡眠状態を推定するまでの動作を表す概略図である。また、
図3は、近似器17の学習の一例を説明するための図である。
【0019】
なお、
図2に示される、ユーザの睡眠状態を推定するまでの動作は、制御装置11によって実行される。具体的には、制御装置11は、記憶装置12内の制御プログラム121を実行することによって、ユーザの睡眠状態を推定可能な近似器17を形成する。そして、制御装置11は、近似器17にしたがって、ユーザの推定用データ125(例えば、血流データ)から、出力データ(例えば、ユーザの睡眠状態)を演算し、出力する。
【0020】
近似器17は、例えば、入力層171と、隠れ層172と、出力層173と、演算用データ124によって構成される。入力層171は、入力されたデータを隠れ層172に送信することができる。隠れ層172は、入力層171から入力されたデータに対して演算用データ124に基づいて種々の演算を行なうことができる。そして、隠れ層172は、演算結果を出力層173に出力することができる。出力層173は、隠れ層172から入力された演算結果を出力データ19として出力することができる。なお、図示しないが、各層は、信号が入出力されるユニットを構成単位としている。
【0021】
睡眠推定システム1は、近似器17を学習させることで演算結果の精度を向上させることができる。学習とは、近似器17において、出力層173から正しい演算結果が出力されるように、ユニット間の結合の強さ、および結合の偏りなどを調整することをいう。具体的には、学習用データ122に基づく出力データ19と、予め用意された答えのデータである教師データ123を比較して、出力データ19が教師データ123に近づくように、演算用データ124を調整することをいう。一実施形態に係る睡眠推定システム1は、学習用データ122と教師データ123を用いた、いわゆる教師あり学習によって、演算用データ124を調整することで、推定精度を向上させることができる。
【0022】
学習用データ122は、近似器17に学習させるための例題のデータである。学習用データ122には、ヒトの代謝に基づく情報(代謝情報)が含まれる。ここで、代謝情報とは、例えば、血流、呼吸、発汗、体温、および体動などに関する情報などが挙げられる。
【0023】
代謝情報は、予め任意の測定装置を用いて取得しておけばよい。血流に関する情報は、例えば、レーザードップラー血流計、超音波血流計、および光電脈波計などの血流センサを用いて測定すればよい。また、呼吸に関する情報は、呼吸の深さ浅さまたは早さ遅さなどを、例えば、マイクロホンを用いて音として取得してもよいし、加速度センサを用いて胸郭の動きとして取得してもよい。また、発汗に関する情報は、例えば、体の任意の部位にコットンなどを貼付し、吸収した汗の量または重さを発汗量として取得してもよい。また、体温に関する情報は、例えば、サーミスタ、赤外線センサ、および水銀体温計などの体温計で取得すればよい。体動に関する情報は、例えば、加速度センサ、および圧力センサを用いて測定すればよい。また、上述の各種の測定された情報を複数組み合わせて、睡眠推定システム1が利用する代謝情報としてもよい。
【0024】
なお、睡眠推定システム1が利用する代謝情報は、起床時と睡眠時で挙動が異なるもの、または睡眠の深さに応じて挙動が変化するものであればよい。また、学習用データ122は、代謝情報に対して、年齢、性別、身長、体脂肪、飲酒習慣、喫煙習慣などの循環器系の機序に作用しうる個人情報および生活習慣と紐づけられたものであってもよい。
【0025】
本開示の睡眠推定システム1では、血流データを学習用データ122として使用することができる。血流データは、血流に基づいて算出される種々の変数を含むデータであればよい。具体的には、血流データは、例えば、血流量、心拍数、心拍間隔、心拍出量、血流波高、および血管運動(バソモーション)の変動係数の少なくとも一つに関するデータを含むものであればよい。
【0026】
血流量は、単位時間あたりに血管を流れる血液の量である。心拍数は、単位時間当たりの心臓の拍動の回数である。心拍間隔とは、心臓の拍動の間隔である。心拍出量は、一回の心臓の拍動によって送り出される血液の量である。血流波高は、心臓の一回の拍動における血流量の極大値と極小値の差である。バソモーションは、自然発生的かつ律動的な血管の収縮拡張運動である。バソモーションの変動係数は、バソモーションに基づいて生じた血流量の変動をバラつきとして示した値である。
【0027】
教師データ123は、学習用データ122に対して紐づけられた答えのデータである。一実施形態に係る睡眠推定システム1は、学習用データ122の血流データに対して、当該血流データを取得した人の睡眠状態が紐づけられたデータを教師データ123として使用することができる。具体的には、教師データ123は、例えば、血流量の推移に対して睡眠状態の推移が紐づけられたデータ、心拍数の推移に対して睡眠状態の推移が紐づけられたデータ、心拍間隔の推移に対して睡眠状態の推移が紐づけられたデータ、心拍出量の推移に対して睡眠状態の推移が紐づけられたデータ、血流波高の推移に対して睡眠状態の推移が紐づけられたデータ、またはバソモーションの変動係数の推移に対して睡眠状態の推移が紐づけられたデータである。なお、教師データ123を取得する場合、学習用データ122を取得したときに、睡眠状態を取得可能な任意の測定装置でユーザの睡眠状態を測定すればよい。例えば、血流センサによって血流データを取得したときに、脳波計を用いて脳波を計測することで、学習用データ122である血流データに紐づけられたユーザの睡眠状態のデータを取得することができる。
【0028】
演算用データ124は、演算式、バイアスおよび重みなどの演算式の定数および変数、演算子などのデータを含む、近似器17の演算に関するデータである。また、演算用データ124は、数理モデルなどの学習済みパラメータなどを含んでいる。なお、演算用データ124において、バイアスおよび重みとは、近似器17における各ユニット間の結合の強さを規定するものである。したがって、睡眠推定システム1は、学習によりバイアスおよび重みなどの定数および変数を調整することによって近似器17の演算結果を調整することができる。
【0029】
演算用データ124の調整方法としては、例えば、誤差逆伝播法、および勾配降下法などを採用すればよい。学習により調整した演算用データ124は、学習済みの演算用データ124として、記憶装置12に記憶されてもよい。なお、調整方法は、学習により睡眠状態の推定精度が向上するように演算用データ124を調整できるものであれば、上記の例に限られない。
【0030】
学習を行なう場合、まず、入力層171に、学習用データ122が入力される。次に、隠れ層172で、学習用データ122に対して演算用データ124に基づく演算が実行される。次に、出力層173から、隠れ層172の演算結果が出力データ19として出力する。そして、近似器17は、教師データ123と出力データ19を対比し、誤差が小さくなるように、演算用データ124を調整する。
【0031】
以上のようにして、一実施形態に係る睡眠推定システム1は、学習用データ122、教師データ123、および演算用データ124を用いることで、ニューラルネットワークを学習させることができる。その結果、睡眠推定システム1は、睡眠状態の推定精度を向上させることができる。
【0032】
近似器17の学習は、睡眠推定システム1によらず他の装置によって行なってもよい。この場合、睡眠推定システム1の記憶装置12には、他の装置が生成した学習済み演算用データ124が記憶される。また、記憶装置12が学習用データ122および教師データ123を記憶することは不要になる。他の装置が生成した学習済み演算用データ124は、通信装置14が情報通信網2を通じて受信し、制御装置11が、通信装置14で受信した学習済み演算用データ124を記憶装置12に記憶することができる。また、記憶装置12に含まれる着脱式メモリに、他の装置が生成した学習済み演算用データ124が記憶されてもよい。
【0033】
一実施形態に係る睡眠推定システム1は、学習済みの近似器17を用いることで、ユーザの睡眠状態を推定することができる。具体的には、睡眠推定システム1は、入力された推定用データ125に対して、近似器17で演算することで睡眠状態を推定することができる。この場合、まず、入力層171に推定用データ125が入力される。次に、隠れ層172で、推定用データ125に対して演算用データ124に基づいて演算が実行される。そして、出力層173から演算結果である出力データ19が、推定した睡眠状態として出力される。
【0034】
推定用データ125は、学習済みの近似器17に入力され、ユーザの睡眠状態を推定するためのデータである。なお、学習用データ122は、推定用データ125と同種のデータであればよい。すなわち、血流に関する情報に基づいてユーザの睡眠状態を推定したい場合、推定用データ125および学習用データ122は血流データであればよい。一例として、血流データなどの代謝情報は、睡眠状態を推定したいユーザの代謝を測定する測定装置を用いて取得され、該測定装置を用いて取得された代謝情報が推定用データ125として近似器17に入力される。
【0035】
以上のようにして、一実施形態に係る睡眠推定システム1は、推定用データ125に基づいて、ユーザの睡眠状態を推定することができる。
【0036】
図4は、睡眠に関する脳波の推移の一例を表す模式図である。
【0037】
睡眠状態は、例えば脳波に基づいて分類することができる。具体的には、睡眠状態は、ユーザが、覚醒している状態、レム睡眠(Rapid Eye Movement sleep, REM sleep)などの浅い睡眠にある状態、またはノンレム睡眠(Non-Rapid Eye Movement sleep, Non-REM sleep)などの深い睡眠にある状態に分類することができる。また、ノンレム睡眠は、眠りの深さによってさらに分類することができる。例えば、ノンレム睡眠は、眠りが浅い順に、ステージ1、ステージ2、ステージ3、およびステージ4と分類してもよい。
【0038】
脳波は、波長が長いものから順に、β波、α波、θ波およびδ波の4つに区分される。β波は、例えば38Hzから14Hz程度の周波数の脳波である。α波は、例えば14Hzから8Hz程度の周波数の脳波である。θ波は、例えば8Hzから4Hz程度の周波数の脳波である。δ波は、例えば4Hzから0.5Hz程度の周波数の脳波である。
【0039】
θ波およびδ波が、β波およびα波と比べて優位である場合に、人は眠っている。ここで、「優位である」とは、測定された脳波においてある波の割合が多くなることをいう。優位となる脳波は、睡眠時に、θ波およびδ波の範囲で周期的に変化することが知られている(
図4)。また、脳波に含まれるθ波の割合が所定未満の場合には、人はレム睡眠の状態にあり、θ波の割合が所定以上の場合、およびδ波が優位な場合には、人はノンレム睡眠の状態にある(
図4)。
【0040】
なお、レム睡眠は、急速眼球運動(Rapid Eye Movement:REM)を伴う睡眠である。ノンレム睡眠とは、急速眼球運動を伴わない睡眠である。
【0041】
従来、睡眠状態は、脳波計によって取得した脳波によって推定されていた。しかし、脳波計の取扱いおよび脳波の取得には高度な専門的な知識を要する。また、脳波計の取付けは煩雑である。したがって、ユーザは、簡便に脳波を取得することが困難であり、簡便に自己の睡眠状態を把握することが困難であった。
【0042】
これに対して、睡眠推定システム1は、血流データに基づいて、ユーザの睡眠状態を推定することができる。血流を測定する装置の取扱いおよび血流データの取得には、脳波計と比較して高度な専門知識を要しない。また、血流を測定する装置の取付けは、脳波計と比較して容易である。すなわち、ユーザは、比較的簡便に自己の血流データを取得することができる。したがって、睡眠推定システム1によれば、ユーザは、自己の睡眠状態を簡便に把握することができる。
【0043】
また、例えば、深い睡眠にある時に覚醒すると、覚醒直後に眠気または気だるさが強く残り脳の働きが悪い状態(いわゆる、睡眠慣性)が生じやすくなる。一方、ノンレム睡眠のステージ1または2などの比較的浅い睡眠状態を起床タイミングとすることで、睡眠慣性に陥り難くなる。したがって、睡眠推定システム1によれば、ユーザは、最適な起床タイミング、および睡眠サイクルなどを把握することができるため、有用性を向上させることができる。
【0044】
睡眠時において、人体の身体機能は脳の働きによって制御されることから、睡眠状態の推移と血流またはバソモーションの変動には相関が現れる。具体的には、睡眠が深くなるにつれて、脳機能が低下していくため、心臓の拍動またはバソモーションなどの血管運動をはじめ、身体機能が抑制される。したがって、睡眠が深くなるにつれて、血流は抑制される。よって、一実施形態に係る睡眠推定システム1は、血流データに基づいて、ユーザの睡眠状態を推定することができる。
【0045】
血流データに含まれる血流量は、心拍数、心拍間隔、心拍出量、血流波高、およびバソモーションなどの、血流に関する種々の要素を含む指標である。したがって、睡眠推定システム1は、血流量のデータを学習用データ122として用いた場合、血流に関する種々の要素に基づいて、近似器17を学習させることができるため、有用性を向上させることができる。
【0046】
また、入眠時において、人体は、副交感神経が亢進することが知られている。バソモーションは、副交感神経の作用に影響を受けやすいことから、バソモーションの変動係数は、睡眠状態の推移にともなう変動が大きくなりやすい。言い換えれば、睡眠状態の推移とバソモーションの変動係数の推移は比較的高い相関を示しやすい。したがって、睡眠推定システム1は、血流データに含まれるバソモーションの変動係数のデータを学習用データ122として用いることで、睡眠状態と血流の相関について効果的に近似器17を学習させることができるため、推定精度を向上させることができる。
【0047】
また、血流は、睡眠状態だけでなく、睡眠時の周囲の環境によっても影響を受ける場合がある。例えば、ユーザが、睡眠の際にエアコンディショナなどを使用している場合、エアコンディショナの風などによって、血流データの取得部位が冷やされると、血流量は想定よりも低い値となる場合がある。一方、心拍数は、心臓の拍動に基づく値であり、周囲の環境に起因する測定誤差が比較的小さくなりやすい。したがって、睡眠推定システム1は、血流データに含まれる心拍数のデータを学習用データ122として用いることで、推定精度を向上させることができる。
【0048】
睡眠推定システム1が推定可能な睡眠状態は、例えば、ユーザの覚醒、レム睡眠、およびノンレム睡眠である。すなわち、ユーザは自身の睡眠状態の推移を把握することができる。また、睡眠推定システム1は、ノンレム睡眠の状態をステージごとに推定することができる。具体的には、睡眠推定システム1は、血流データに基づいて、ノンレム睡眠がステージ1~4のいずれのステージにあるかを推定することができる。したがって、睡眠推定システム1によれば、ユーザは、適切な起床タイミングおよび睡眠サイクルなどを把握することができる。
【0049】
また、近似器17の学習は、睡眠状態ごとに行なってもよい。例えば、覚醒時の学習用データ122と教師データ123、レム睡眠時の学習用データ122と教師データ123、およびノンレム睡眠時の学習用データ122と教師データ123によって、それぞれ睡眠状態ごとに演算用データ124の重み付けをおこなってもよい。その結果、睡眠状態ごとに、特徴が顕著な学習用データ122と教師データ123を用いることができるため、近似器17を効率よく学習させることができる。
【0050】
学習用データ122に含まれる血流データの取得部位は、例えば、耳、指、手首、腕、額、鼻、または首であってもよい。さらに、耳の部位のうち、例えば、耳甲介、耳孔、耳朶、または耳珠で血流データを取得してもよい。その結果、ユーザは、血流データを取得する部位を選択することができるため、睡眠推定システム1は、利便性を向上させることができる。
【0051】
以上説明した実施形態に係る睡眠推定システム1の構成は、上記の例に限られない。例えば、制御装置11は、複数のCPUを備えてもよい。また制御装置11は、少なくとも一つのDSPを備えてもよい。また、制御装置11の全ての機能あるいは制御装置11の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。また記憶装置12は、ROMおよびRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えていてもよい。記憶装置12は、例えば、小型のハードディスクドライブおよびSSD(Solid State Drive)などを備えてもよい。また記憶装置12は、睡眠推定システム1に対して着脱可能な、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のメモリであってもよい。以後、睡眠推定システム1に対して着脱可能なメモリを「着脱式メモリ」と呼ぶことがある。
【0052】
また、睡眠推定システム1は、外部の任意の電子機器と通信可能な通信装置14、睡眠推定システム1のシステムおよびユーザの睡眠状態など種々の上表を表示可能な表示装置15、および睡眠推定システム1に各種情報および信号などを入力可能な入力装置16をさらに備えていてもよい。なお、通信装置14、表示装置15、および入力装置16は、バス(bus)13を介して、互いに電気的または光学的に接続されればよい。
【0053】
一実施形態に係る通信装置14は、有線または無線通信により、睡眠推定システム1と外部機器との接続を可能にするインターネット等の情報通信網2に接続することができる。すなわち、通信装置14は、情報通信網2を通じて、クラウドサーバおよびウェブサーバ等の他の装置と通信することができる。そして、通信装置14は、情報通信網2から受け取った各種情報を制御装置11に入力することができる。また通信装置14は、制御装置11から受け取った情報を情報通信網2に送信することができる。
【0054】
一実施形態に係る表示装置15は、制御装置11による制御によって文字、記号、図形などの各種情報を表示することができる。表示装置15は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなど従来公知の技術によって構成することができる。
【0055】
一実施形態に係る入力装置16は、ユーザから入力されたデータを信号として制御装置11に出力することができる。入力装置16は、例えば、キーボード、マウス、およびタッチパネルなどのユーザの操作に基づいて信号を出力可能なインターフェースであればよい。また、タッチパネルなどのユーザの操作に基づく信号の出力と各種情報の表示が可能なインターフェースを用いる場合、表示装置15と入力装置16は一体として機能してもよい。その結果、睡眠推定システム1の利便性を向上させることができる。入力装置16は、従来公知の技術によって構成されればよい。
【0056】
また、学習用データ122、教師データ123、演算用データ124、および推定用データ125は、通信装置14または入力装置16を介して制御装置11に入力されてもよい。入力されたこれらのデータは、記憶装置12に記憶されてもよい。また、教師データ123、および演算用データ124は、予め記憶装置12に記憶されてもよい。また、記憶装置12は、学習用データ122および教師データ123をまとめたデータを教師付き学習用データとして記憶してもよい。
【0057】
また、表示装置15は、推定されたユーザの睡眠状態を表示してもよい。また、ユーザの睡眠状態として出力された出力データ19は、他の装置で用いられてもよい。この場合、出力データ19は、通信装置14などを介して外部に出力されればよい。
【0058】
(他の実施形態)
図5は、他の実施形態に係る睡眠推定システム1が有する構成を示す概略図である。
【0059】
他の実施形態に係る睡眠推定システム1は、さらに血流データを取得するセンサ装置20を備えている。具体的には、他の実施形態に係る睡眠推定システム1は、ユーザの被検部位に光を照射する発光部、およびユーザの血流によって散乱された光を含む干渉光を受光する受光部、を有するセンサ装置20、をさらに備えていてもよい。そして、制御装置11は、受光部の出力の周波数スペクトルに基づいて、血流データを取得することができる。その結果、睡眠推定システム1は、利便性を向上させることができる。
【0060】
なお、センサ装置20と、他の装置とは、バス13で互いに電気的、光学的に接続されていればよい。また、センサ装置20は、情報通信網2を通じて、睡眠推定システム1の各装置と互いに通信可能であってもよい。情報通信網2には、例えば、無線ネットワークおよび有線ネットワークの少なくとも一方が含まれる。情報通信網2には、例えば、無線LAN(Local Area Network)およびインターネット等が含まれる。
【0061】
一実施形態に係るセンサ装置20は、例えば、レーザードップラー血流計であればよい。図示しないが、レーザードップラー血流計は、ユーザの被検部位に光を照射する発光部、光を受光する受光部、および血流データを取得する制御装置を備える。
【0062】
この場合、センサ装置20は、ドップラー効果を利用して、血流を測定することができる。流れる血液によって散乱した散乱光は、ドップラー効果によって周波数がシフト(ドップラーシフト)する。一般的な蛍光灯などから照射される光は、様々な周波数の光を様々な強度で含む光であるため、ドップラーシフトに起因する周波数の変化を把握することは困難である。一方、レーザー光は、ある特定の周波数の光を極めて優位に含む光であるため、ドップラーシフトに起因する周波数の変化を観測しやすい。したがって、センサ装置20は、散乱光を含む干渉光を利用して、血流を測定することができる。
【0063】
まず、センサ装置20は、ドップラー効果によって、静止した物質からの散乱光と、動いている物質からの散乱光との光の干渉によって生じるうなり信号(ビート信号ともいう)を取得する。なお、うなり信号は強度と時間の関係である。次に、センサ装置20は、うなり信号をフーリエ変換することで、受光部の出力の周波数と強度との関係を周波数スペクトルとして取得することができる。ここで、受光部の出力の周波数および周波数強度は、ドップラー効果に依存する。すなわち、周波数スペクトルは、血液の流量または流速に応じて変化する。したがって、センサ装置20は、周波数スペクトルに基づいて血流データを算出することができる。
【0064】
また、周波数スペクトルは、流れの変化(例えば、流量または流速の増加)に伴い強度が減少する傾向を示す周波数範囲と、増加する傾向を示す周波数範囲とを有している。したがって、センサ装置20の制御装置は、取得した周波数スペクトルの周波数のうち、血流データの取得に適した周波数帯域を選択して、血流データを取得してもよい。その結果、センサ装置20は、学習用データ122、教師データ123、および推定用データ125に含まれる血流データの精度を向上させることができる。すなわち、睡眠推定システム1は、睡眠状態の推定精度を向上させることができる。
【0065】
学習用データ122、教師データ123、および推定用データ125に含まれる血流データは、周波数スペクトルのままであってもよい。この場合、周波数スペクトルは、任意の変換を行なったデータであってもよい。具体的には、睡眠推定システム1は、周波数スペクトルをウェーブレット変換することによって取得したデータ(変換データ)を血流データとして用いてもよい。ウェーブレット変換によって、周波数スペクトルは、周波数成分ごとに、測定時間の重み付けがなされる。すなわち、変換データは、周波数スペクトルの時間変化を含むデータとなる。その結果、睡眠推定システム1は、学習する特徴が増えるため、睡眠状態の推定精度を向上させることができる。
【0066】
一例として、センサ装置20が血流データとしてバソモーションの変動係数を算出する場合について説明する。まず、センサ装置20は、うなり信号(第1うなり信号)をフーリエ変換し、周波数スペクトルを取得する。次に、センサ装置20は、バソモーションの成分が含まれる周波数範囲のみが残るように周波数スペクトルをフィルタリングする。そして、センサ装置20は、フィルタリングした周波数スペクトルをフーリエ逆変換し、再度うなり信号(第2うなり信号)を取得する。センサ装置20は、この第2うなり信号の強度の変動係数をバソモーションの変動係数として、算出することができる。一実施形態に係る睡眠推定システム1は、算出したバソモーションの変動係数を学習用データ122または推定用データ125として使用される血流データとすることができる。
【0067】
以上のように、睡眠推定システム1は詳細に説明された。しかし、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。例えば、ニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)、およびLSTM(Long Short Term Memory)などであってもよい。また、近似器17の学習モデルは、睡眠推定システム1が、学習用データ122に基づいてユーザの睡眠状態を推定することができるものであれば、上記の実施形態で示したものに限定されない。なお、上述した各種例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0068】
一実施形態に係る睡眠推定システム1は、ユーザの血流データ(推定用データ125)を入力する入力装置16と、前記血流データに基づいて前記ユーザの睡眠状態を示す出力データ19を演算する近似器17と、前記血流データを前記近似器に送信し、前記演算の処理を実行する制御装置11と、を備え、前記近似器は、前記血流データと同種のデータを含む学習用データ122と、前記学習用データと関連した前記出力データと同種のデータを含む教師データ123とを用いて、学習処理されている。
【0069】
(睡眠推定装置)
上記の実施形態で説明した睡眠推定システム1は、各装置を機能部として有する、一つの装置(睡眠推定装置)として構成されてもよい。一実施形態に係る睡眠推定装置は、ユーザの血流データを入力する入力部(例えば、通信装置14、入力装置16など)と、血流データを入力する入力層、入力層からの出力に対して学習済みパラメータに基づく演算を行なう隠れ層、および隠れ層の演算結果をユーザの睡眠状態として出力する出力層、を有する近似器(例えば、近似器17)を構成する制御部(例えば、制御装置11)と、を備える。
【0070】
上記の睡眠推定装置は、ユーザの被検部位に光を照射する発光部、およびユーザの血流によって散乱された光を含む干渉光を受光する受光部、を有するセンサ部(例えば、センサ装置20)、をさらに備えていてもよい。そして、制御部は、受光部の出力の周波数スペクトルに基づいて、血流データを取得してもよい。
【0071】
(睡眠推定方法)
上記の実施形態で説明した睡眠推定システム1が有する制御プログラム121が実行する各工程は、睡眠推定方法の発明として解釈されてもよい。一実施形態に係る睡眠推定方法は、ユーザの血流データを入力する入力層、入力層からの出力に対して学習済みパラメータに基づく演算を行なう隠れ層、および隠れ層の演算結果をユーザの睡眠状態として出力する出力層、を有する近似器を用いて、ユーザの睡眠状態を推定する睡眠推定方法である。睡眠推定方法は、入力層が、近似器に入力された血流データを隠れ層に送信する工程と、隠れ層が、血流データに対して、学習済みパラメータに基づく演算を行なう工程と、出力層が、隠れ層の演算結果に基づいてユーザの推定睡眠状態を出力する工程と、を備える。
【0072】
上記の睡眠推定方法は、学習用データ122および教師データ123を用いて、前記近似器を準備する工程(学習処理)を含んでいてもよい。
【0073】
上記の睡眠推定方法は、センサ装置20の発光部が、ユーザの被検部位に光を照射する工程と、センサ装置20の受光部が、ユーザの血流によって散乱された光を含む干渉光を受光する工程と、制御装置11が、受光部の出力の周波数スペクトルに基づいて、血流データを取得する工程と、をさらに備えていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 睡眠推定システム(睡眠推定装置)
11 制御装置(制御部)
12 記憶装置
121 制御プログラム
122 学習用データ
123 教師データ
124 演算用データ
125 推定用データ
13 バス
14 通信装置(入力部)
15 表示装置
16 入力装置(入力部)
17 近似器
171 入力層
172 隠れ層
173 出力層
19 出力データ
20 センサ装置(センサ部)
2 情報通信網