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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111963
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/62 20060101AFI20230803BHJP
   F04D 17/16 20060101ALI20230803BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20230803BHJP
   A41D 1/00 20180101ALI20230803BHJP
   A41D 27/28 20060101ALI20230803BHJP
   A42B 1/008 20210101ALI20230803BHJP
   A42B 3/28 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
F04D29/62 E
F04D17/16
A41D13/002 105
A41D1/00 E
A41D27/28 A
A42B1/008 K
A42B3/28
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093637
(22)【出願日】2023-06-07
(62)【分割の表示】P 2021168954の分割
【原出願日】2017-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(57)【要約】
【課題】空調衣服等に取り付けて用いた際に冷却効率を改善することができる送風装置を提供する。
【解決手段】シート状部材200に取り付けられる送風装置100であって、ファン本体1と、ファン本体1を収納するケース体2とを備え、ケース体2は、送風装置100に空気を取り込むための吸気部22と、送風装置100から空気を排出するための排気部24と、ファン本体1の回転軸と略垂直な方向側の面の吸気部22側の端部付近に備えられ、ケース体2をシート状部材200に取り付けるための取付部23と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材に取り付けられる送風装置であって、
ファン本体と、前記ファン本体を収納するケース体とを備え、
前記ケース体は、
前記送風装置に空気を取り込むための吸気部と、
前記送風装置から空気を排出するための排気部と、
前記ファン本体の回転軸と略垂直な方向側の面の前記吸気部側の端部付近に備えられ、前記ケース体を前記シート状部材に取り付けるための取付部と、
を有することを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記ケース体を前記シート状部材に取り付けるための前記ケース体と別体の取付部材を備え、
前記ケース体は、前記排気部が前記シート状部材の一面側に位置するように配置され、
前記取付部材は、少なくとも一部が、前記シート状部材の前記一面側と反対側の他面側に位置するように配置され、
前記ケース体の前記取付部は、前記取付部の外面側へと延出するフランジを備え、
前記フランジは、前記シート状部材の前記一面側に配置され、
前記取付部材の前記シート状部材の前記他面側に位置する部分と、前記フランジと、によって前記シート状部材を挟み込むようにして、前記ケース体を前記シート状部材に取り付け可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記ケース体と前記取付部材とは、前記ケース体に形成された雄ネジと前記取付部材に形成された雌ネジとを螺合させ、又は前記ケース体に形成された雌ネジと前記取付部材に形成された雄ネジとを螺合させることにより固定されることを特徴とする請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記取付部は、前記ケース体の前記ファン本体の回転軸と略垂直な方向側の面を周回するように形成され、当該取付部を周回するように形成された溝部を備えることを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項5】
前記取付部は、前記取付部の外面側へと延出する第1フランジと、前記第1フランジよりも前記吸気部側に形成され、前記取付部の外面側へと延出する第2フランジと、を備え、前記溝部は、前記第1フランジと前記第2フランジとの間に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の送風装置。
【請求項6】
弾性を有する環状の部材である弾性リングを備え、
当該弾性リングは、前記溝部内に、前記シート状部材を前記溝部の壁部との間に挟み込むように挿入されることを特徴とする請求項4又は5に記載の送風装置。
【請求項7】
前記取付部は、前記取付部の外面側へと延出するフランジを備え、
前記フランジの前記吸気部側と反対側の面には、前記ケース体を前記シート状部材に固定するための面ファスナーが備えられていることを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項8】
前記ファン本体は、アウターローター型モータと、当該アウターローター型モータの側面に備えられたブレードと、を有するターボファンであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の送風装置。
【請求項9】
前記取付部は、前記ケース体の前記ファン本体の回転軸と略垂直な方向側の面の、前記ファン本体のブレードの外周部と対向する部分を避けて形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の送風装置。
【請求項10】
前記吸気部及び/又は前記排気部には、開口部を覆う網状部材が備えられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の送風装置。
【請求項11】
前記吸気部は、前記ファン本体の回転軸方向側の面に備えられ、
前記排気部は、前記ファン本体の回転軸と略垂直な方向側の面に備えられていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に空気を流通させることにより身体を冷却する機能を有する物品、例えば、空調衣服、空調座布団及び空調リュック等の空調シート並びにヘルメット内換気装置等に装着して用いられる送風装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ファンにより内部に空気を流通させることにより身体を冷却する機能を有する物品、例えば、外気を服内に導入して着用者の身体を冷却する空調衣服、上下2枚のシートの間にスペーサーを配し、このスペーサー内に空気を流通させ体との接触部を冷却する空調座布団及び空調リュック等の空調シート並びにヘルメット内に空気を流通させるヘルメット内換気装置等が実用化されている。
【0003】
これらの物品は、いずれもシート状部材に取付孔を開口し、当該取付孔に送風装置を取り付けて形成されているが、従来の送風装置は、プロペラファン等の軸流送風機を用いており、これによって、シート状部材と略垂直方向の空気の流れが形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、このような送風装置をシート状部材に取り付けのための構造としては、以下のような構造が用いられる。
すなわち、ファン本体と、ファン本体をシート状部材に取り付けるための環状の係止部材とを備え、ファン本体は、中空状の筒状部と、筒状部の上端から筒状部の側面と略垂直な方向に突出するフランジ部と、を有する。そして、筒状部をシート状部材に形成された取付孔に挿入した上で、筒状部の外周に、シート状部材の内面側から、環状の係止部材を差し込んで、フランジ部の裏面と環状の係止部材の端面とによってシート状部材を挟み込むと共に、筒状部に設けられた係止片と環状の係止部材に設けられた突起とを係合させることにより、ファンがシート状部材に取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】再公表特許第2006/009108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような送風装置を用いた場合に、空調衣服等の内部に空気を流通させることにより身体を冷却するためには、軸流送風機によってシート状部材に対して略垂直に形成された空気の流れの方向を90度変え、身体に平行な方向の空気の流れを作り出す必要がある。例えば、空調衣服においては、導入された空気を着用者の身体や下着にぶつけることにより、空気の流れの方向を、着用者の身体又は下着に沿った方向に変える。
【0007】
しかしこのような構造においては、空気の流れの方向を90度変える過程で空気の流速が必然的に減速されることとなるため、ロスが大きく、冷却効率が悪かった。
【0008】
本発明の課題は、空調衣服等に取り付けて用いた際に冷却効率を改善することができる送風装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
シート状部材に取り付けられる送風装置であって、
ファン本体と、前記ファン本体を収納するケース体とを備え、
前記ケース体は、
前記送風装置に空気を取り込むための吸気部と、
前記送風装置から空気を排出するための排気部と、
前記ファン本体の回転軸と略垂直な方向側の面の前記吸気部側の端部付近に備えられ、前記ケース体を前記シート状部材に取り付けるための取付部と、
を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の送風装置において、
前記ケース体を前記シート状部材に取り付けるための前記ケース体と別体の取付部材を備え、
前記ケース体は、前記排気部が前記シート状部材の一面側に位置するように配置され、
前記取付部材は、少なくとも一部が、前記シート状部材の前記一面側と反対側の他面側に位置するように配置され、
前記ケース体の前記取付部は、前記取付部の外面側へと延出するフランジを備え、
前記フランジは、前記シート状部材の前記一面側に配置され、
前記取付部材の前記シート状部材の前記他面側に位置する部分と、前記フランジと、によって前記シート状部材を挟み込むようにして、前記ケース体を前記シート状部材に取り付け可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の送風装置において、
前記ケース体と前記取付部材とは、前記ケース体に形成された雄ネジと前記取付部材に形成された雌ネジとを螺合させ、又は前記ケース体に形成された雌ネジと前記取付部材に形成された雄ネジとを螺合させることにより固定されることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の送風装置において、
前記取付部は、前記ケース体の前記ファン本体の回転軸と略垂直な方向側の面を周回するように形成され、当該取付部を周回するように形成された溝部を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の送風装置において、
前記取付部は、前記取付部の外面側へと延出する第1フランジと、前記第1フランジよりも前記吸気部側に形成され、前記取付部の外面側へと延出する第2フランジと、を備え、前記溝部は、前記第1フランジと前記第2フランジとの間に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の送風装置において、
弾性を有する環状の部材である弾性リングを備え、
当該弾性リングは、前記溝部内に、前記シート状部材を前記溝部の壁部との間に挟み込むように挿入されることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の送風装置において、
前記取付部は、前記取付部の外面側へと延出するフランジを備え、
前記フランジの前記吸気部側と反対側の面には、前記ケース体を前記シート状部材に固定するための面ファスナーが備えられていることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の送風装置において、
前記ファン本体は、アウターローター型モータと、当該アウターローター型モータの側面に備えられたブレードと、を有するターボファンであることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の送風装置において、
前記取付部は、前記ケース体の前記ファン本体の回転軸と略垂直な方向側の面の、前記ファン本体のブレードの外周部と対向する部分を避けて形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の送風装置において、
前記吸気部及び/又は前記排気部には、開口部を覆う網状部材が備えられていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の送風装置において、
前記吸気部は、前記ファン本体の回転軸方向側の面に備えられ、
前記排気部は、前記ファン本体の回転軸と略垂直な方向側の面に備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、空調衣服等に取り付けて用いた際に冷却効率を改善することができる送風装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に送風装置の側面図である。
図2】(a)は、第1実施形態に係る送風装置のファン本体の平面図、(b)は、第1実施形態に係る送風装置のファン本体の側面図である。なお、(a)における矢印は、モータの回転方向を示す。
図3】(a)は、第1実施形態に係る送風装置のケース体の平面図、(b)は、第1実施形態に係る送風装置のケース体の側面図である。
図4】第1実施形態に係る送風装置をシート状部材に取り付けた状態を示す側面図である。
図5】第1実施形態の変形例に係るケース体の側面図である。
図6】第1実施形態の変形例に係る送風装置をシート状部材に取り付けた状態を示す側面図である。
図7】(a)は、第2実施形態に係る送風装置のケース体の側面図、(b)は第2実施形態に係る送風装置の取付リングの側面図である。
図8】第2実施形態に係る送風装置をシート状部材に取り付けた状態を示す側面図である
図9】第3実施形態に係る送風装置の側面図である。
図10】変形例に係るファン本体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態である送風装置について、図1から図10に基づいて説明する。なお、以下においては、送風装置をシート状部材に取り付けた状態を基準として、シート状部材の外面方向を上方、内面方向を下方と定めて説明する。
【0022】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る送風装置100について、図1から図6に基づいて説明する。
【0023】
{構成の説明}
送風装置100は、図1に示すように、空気の流れを形成するファン本体1と、ファン本体1を収納するケース体2と、ファン本体1に電源を供給するためのコネクタ(図示せず)と、を備える。
【0024】
(ファン本体)
ファン本体1は、回転軸に対して略垂直方向へと送風するターボファンであり、図2に示すように、モータ11と、複数のブレード12…と、底板13と、を備える。
ファン本体1は、ケース体2に、モータ11の回転軸が上下方向と略平行となるように収納される。
【0025】
(モータ)
モータ11は、例えば、アウターローター型ブラシレスモータが用いられ、回転部111と、非回転部112とを有し、非回転部112に対して回転部111が回転するように形成されている。なお、モータ11の回転軸は、上下方向、すなわち図2(a)における紙面と略垂直な方向となる。
【0026】
(ブレード)
ブレード12…は、モータ11の回転部111に取り付けられ、回転部111の回転に伴って回転し、モータ11の回転軸に対して略垂直方向に空気を送風する。
ブレード12は、図2に示すように、短辺がモータ11の回転軸に対して略平行となり、長辺が回転軸から略垂直方向に延出し、かつ、外側に向かうにつれて回転方向に対して後方に向けて湾曲する略矩形の板状に形成されている。
【0027】
(底板)
底板13は、図2(a)に示すように、ブレード12…の回転範囲と略同一の直径を有する円形の板状の部材であり、ブレード12…の下端と接続されている。
底板13は、モータ11の回転部111に固定されており、モータ11の回転部111の回転に伴って、ブレード12…と共に回転する。
【0028】
{ケース体}
ケース体2は、図3に示すように、底部21と、吸気部22と、取付部23と、排気部24と、を備え、全体が略円筒形に形成される。
ケース体2の内部には、ファン本体1が収納され、ファン本体1を作動させると、吸気部22から外気が取り込まれ、排気部24からこれが排出される。
【0029】
(底部)
底部21は、底部本体211と、固定部212と、を備える。
底部本体211は、円盤状に形成された板状の部材であり、モータ11の回転軸の方向から見た場合に、ブレード12…の回転範囲よりも大きい直径を有する円形となるように形成される。
固定部212は、モータ11の非回転部112を、モータ11の回転軸が底部本体211に対して略垂直となるように固定する部分であり、底部本体211の中央部に備えられる。
なお、底部21は、モータ11の非回転部112を、モータ11の回転軸が上下方向と略水平となるように固定可能であれば、任意の構成を採用可能である。
【0030】
(吸気部)
吸気部22は、送風装置100内部に外気を取り込む部分であり、モータ11の回転軸方向から見た場合に、底部本体211と略合同な円形となるように形成される。
吸気部22は、図3(a)に示すように、円形状の中央基部221と、中央基部221から放射状に伸びる複数の棒状部222…と、中央基部221を中心とするリング状の輪状部223…と、を備え、これらの間にケース体2内部へと通じる間隙が形成される。
【0031】
このように構成されているため、吸気部22は十分な通気性を有し、内部のファン本体1を回転させた際に、外気をケース体2内部に取り込むことができる。
また、吸気部22は、外部からケース体2内部に指等が入り、回転中のブレード12…に巻き込まれることがないようにするため、中央基部221と、棒状部222…と、輪状部223…との間に形成される間隙は、指が入らない程度の大きさしか有しないことが望ましい。
【0032】
(取付部)
取付部23は、図3(b)に示すように、リング状部材231と、外面側フランジ232と、内面側フランジ233と、を備える。
【0033】
リング状部材231は、底部21の底部本体211及び吸気部22の直径と略同一の外形を有する円環上に形成され、吸気部22の下面側に接続される。
リング状部材231の上端部には外面側フランジ232が備えられ、下端部には内面側フランジ233が備えられている。これによって、外面側フランジ232と、内面側フランジ233との間に溝部234が形成される。なお、溝部234は、後述のように溝部234に挿入されたシート状部材200が外れ難いように、上下方向にシート状部材200の開口孔の周囲の厚みと略同一の幅しか有しないことが望ましい。
【0034】
外面側フランジ232は、リング状部材231の上端部から、モータ11の回転軸と略垂直となる方向へと環状に延出するように形成される。
内面側フランジ233は、リング状部材231の下端部から、モータ11の回転軸と略垂直となる方向へと環状に延出するように形成される。
なお、後述のように送風装置100をシート状部材200に取り付ける際に、送風装置100をシート状部材200の取付孔に挿入し易くするため、外面側フランジ232及び内面側フランジ233は、モータ11の回転軸と垂直となる方向から、上方又は下方へと傾斜して延出するように形成されていてもよい。
また、外面側フランジ232及び内面側フランジ233は、間に溝部234が形成されるように形成されていればよく、必ずしもリング状部材231の上端部又は下端部から延出していなくてもよい。
【0035】
図3(a)に示すように、内面側フランジ233は、外面側フランジ232と比較して大きく延出し、モータ11の回転軸の方向から見た場合に、外面側フランジ232より大きい直径を有するように形成されている。
【0036】
なお、取付部23は、ファン本体1による送風を妨げないよう、図1に示すように、ケース体2の側面のうち、ブレード12…の外周部と対向する部分には設けられず、ブレード12…の外周部の上方に備えられていることが望ましい。
【0037】
(排気部)
排気部24は、送風装置100から空気を排出する部分であり、図3(b)に示すように、複数の柱状部材241…から形成されている。
柱状部材241…は、底部本体211の縁部と、取付部23とを繋ぐように円周状に配置され、ケース体2全体が、底部本体211を下面、吸気部22を上面、取付部23及び排気部24を側面とする略円柱状となる。
【0038】
このように構成されているため、排気部24は十分な通気性を有し、内部のファン本体1を回転させた際に、吸気部22から流入した外気を、排気部24から排出することができる。
【0039】
また、外部からケース体2内部に指等が入り、回転中のブレード12…に巻き込まれることがないようにするため、柱状部材241…は、指が入らない程度の間隔しか開けずに配置されていることが望ましい。
【0040】
{取付方法の説明}
送風装置100を空調衣服等に取り付ける際には、図4に示すように、シート状部材200に形成された、リング状部材231の外径と略同一の直径を有する円形の孔部である取付孔(図示せず)に、送風装置100を、吸気部22が外面側を向くように挿入の上、外面側フランジ232と、内面側フランジ233との間に形成された溝部234に、シート状部材200の取付孔の周囲の縁部を落とし込む。
【0041】
この際には、外面側フランジ232が、内面側フランジ233と比較して径が小さく形成されていることから、外面側フランジ232の側から、シート状部材200の取付孔の周囲の縁部を溝部234に落とし込み易くなっている。
【0042】
なお、上記のようにしてシート状部材200の取付孔に送風装置100を取り付け易くし、かつ送風装置100が外れ難くするため、シート状部材200の取付孔の周囲には、リング状のゴム等の伸縮部材を縫い込み、取付孔の周囲が伸縮性を有するように形成されていることが望ましい。
【0043】
{効果の説明}
本実施形態によれば、送風装置100にケース体2の吸気部22から導入された外気は、内部のファン本体1によって、モータ11の回転軸と略垂直な方向に形成された排気部24から排出される。
このため、ファン本体1によって形成される空気の流れは、特に方向の変換を行わずとも、身体に平行な方向への流れとなるから、従来の送風装置のように空気の流れの方向を90度変える必要がなくなる。
したがって、空気の流れの方向を変える際のロスがなくなり、冷却効率を改善することができる。
【0044】
また、従来の送風装置のように、ファン本体の筒状部に、シート状部材の内面側から環状の係止部材を差し込んで固定する構造の場合、筒状部及び係止部材がファン本体のブレードの側方に位置することから、送風装置からモータの回転軸と略垂直な方向に空気を排出する上で妨げとなる。
これに対し、本実施形態によれば、外面側フランジ232と内面側フランジ233との間の溝部234によって、送風装置100がシート状部材200に取り付けられることから、取付部23の部分を除いて、ケース体2の側面側のほとんどの面を排気部24とすることができ、送風装置100からの空気の排出を妨げることがない。
【0045】
また、従来の送風装置のように、空気の流れの方向を90度変える必要がある場合、送風装置の内部又は外部に、ファン本体によって形成されたシート状部材と略垂直方向の空気の流れを、シート状部材と略平行な方向に変換するための空間を設けることが必須となる。したがって、空調衣服等の送風装置の近傍を薄く形成することは困難である。
これに対し、本実施形態に係る送風装置100によれば、ファン本体1によって、シート状部材200と略平行な方向の空気の流れが形成されるため、上記のような空間を設ける必要がなくなり、空調衣服等の送風装置の近傍を薄く形成することが可能となる。
【0046】
また、従来の送風装置のように空気の流れの方向を90度変える必要がある場合には、その過程で騒音が生じやすいが、本実施形態によれば、ファン本体1によって形成された空気の流れの方向を変える必要がなくなるため、静音性も改善することができる。
【0047】
{変形例}
図5に示すように、外面側フランジ232及び内面側フランジ233を備えることなく、外周に溝が掘り込まれ、溝部234Aが形成されたリング状部材231Aによって、取付部23Aを形成してもよい。
【0048】
図6に示すように、溝部234の上下方向の幅が、シート状部材200の厚みよりも大きくなるように取付部23形成した上で、溝部234に、シート状部材200に加えて、弾性を有する材料によって形成された、リング状部材231の外径と略同一の内径を有する環状の部材である弾性リング3を取り付けて、これによって、シート状部材200の取付孔の周囲の縁部を、溝部234の上方又は下方の壁部、すなわち外面側フランジ232の下面又は内面側フランジ233の上面に押し付けるようにしてもよい。なお、図6においては、弾性リング3を、シート状部材200の上方に取り付けて、シート状部材200を内面側フランジ233の上面に押し付ける場合について図示している。
これによって、送風装置100を、シート状部材200の取付孔から、より外れ難くすることができる。
【0049】
なお、弾性リング3は楕円状に形成されていてもよい。楕円状に形成されている場合、リング状部材231の外周よりも大きな内周を有し、かつ、内周の短径が、リング状部材231の外周の直径よりも小さくなるように形成する。これによって、弾性リング3の短径側が、リング状部材231に強く接触し、より送風装置100を外れ難くすることができる。
なお、楕円状の弾性リング3を取り付ける際には、長径側を指でつまみ、リング状部材231より直径の大きい真円状とした上で取り付ければよい。
【0050】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る送風装置100Bについて、図7及び8に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については説明を省略する。
【0051】
第2実施形態に係るケース体2Bは、図7(a)に示すように、取付部23Bに、外面側フランジ232が備えられず、代わって、リング状部材231の外面側に、雄ネジ部235が備えられている。また、この場合、内面側フランジ233は、必ずしもリング状部材231の下端部に形成されている必要はなく、雄ネジ部235を備えるスペースを確保できれば、リング状部材231の任意の位置に形成可能である。
【0052】
また、第2実施形態に係る送風装置100Bは、図7(b)に示すように、上下方向の幅が、リング状部材231の内面側フランジ233よりも上の部分の上下方向の幅と略同一であり、内径がリング状部材231の外形と略同一となるように形成された環状の部材である取付リング4を備える。
取付リング4の内面側には、雄ネジ部235と螺合する雌ネジ部(図示せず)が備えられている。
【0053】
本実施形態においては、図8に示すように、ケース体2をシート状部材200の内面側からシート状部材200の取付孔に挿入し、内面側フランジ233の上面を、シート状部材200の取付孔の周囲の縁部に接触させた上で、シート状部材200の外面側から、取付部23のリング状部材231に取付リング4を差し込んで、雄ネジ部235と、取付リング4の雌ネジ部を螺合させる。これによって、取付リング4の下方の端部と、内面側フランジ233の上面側とによって、シート状部材200の取付孔の周囲の縁部を挟み込んだ状態で、取付リング4がケース体2に固定され、送風装置100Bをシート状部材200に取り付けることができる。
【0054】
なお、上記とは反対に、リング状部材231に雌ネジ部を備え、取付リング4に雄ネジ部を備えてもよい。
【0055】
また、リング状部材231と取付リング4との固定方法としては、ネジを用いる方法に限られず、両者を固定可能であれば任意の構成を採用可能である、
【0056】
例えば、取付リング4の内面側に設けられた突起と、リング状部材231の外面側に設けられた凹部とを係合させる構成等を用いてもよい。
【0057】
この場合、取付リング4は、真円状に形成されていてもよいが、突起が短径側の内面に形成された楕円状としてもよい。この場合、リング状部材231の外周よりも大きな内周を有し、かつ、内周の短径が、リング状部材231の外周の直径よりも小さくなるように形成する。これによって、取付リング4の短径側に備えられた突起が、リング状部材231の凹部に強く係合し、送風装置100を外れ難くすることができる。
なお、楕円状の取付リング4を取り付ける際には、長径側を指でつまみ、リング状部材231より直径の大きい真円状とした上で取り付ければよい。
【0058】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る送風装置100Cについて、図9に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については説明を省略する。
【0060】
第3実施形態に係るケース体2Cは、取付部23Cに、内面側フランジ233が備えられず、代わって、図9に示すように、外面側フランジ232の下面側に、面ファスナー236が備えられている。また、この場合、外面側フランジ232は、必ずしもリング状部材231の上端部に形成されている必要はなく、リング状部材231の任意の位置に形成可能である。
【0061】
また、本実施形態を用いる場合においては、シート状部材200の外面側の取付孔の周囲にも面ファスナーを備え、送風装置100Cをシート状部材200の取付孔に外面側から挿入した上で、これらの面ファスナーを結合させることで、送風装置100Cをシート状部材200に取り付ける。
【0062】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
[変形例]
いずれの実施形態においても、送風装置に収納されるファンの本体としては、ターボファンに限らず、回転軸に対して略垂直方向に空気を排出することができる遠心送風機であれば、その他の構成を採用することも可能である。
【0064】
いずれの実施形態においても、吸気部22としては、中央基部221、棒状部222…及び輪状部223…に加え、これらの間の開口部を覆う、開口率の大きい網状の部材を併用してもよい。
これによって、中央基部221、棒状部222…及び輪状部223…の間の間隙を大きくしても指が入らなくなるため、開口率をより高めることが可能となる。
同様に、排気部24についても、柱状部材241…に加えて、柱状部材241…の間の開口部を覆う、開口率の大きい網状の部材を併用してもよい。
【0065】
いずれの実施形態においても、ファン本体のブレードは、モータ11の回転部111の回転に伴って、モータ11の回転軸に対して略垂直方向に送風することが可能であれば、任意の形状のものを使用可能である。
例えば、図10に示すファン本体1Aのように、外周部に向けて上辺が傾斜した形状のブレード12A…を備えたものを用いてもよい。
なお、ブレードがどのような形状であっても、ファン本体による送風を妨げないよう、取付部23は、ケース体2の側面のうち、ブレードの外周部と対向する部分には設けられず、ブレードの上方に設けられていることが望ましい。
【符号の説明】
【0066】
100、100A、100B、100C 送風装置
1、1A ファン本体
11 モータ(アウターローター型モータ)
12、12A ブレード
2、2A、2B、2C ケース体
22 吸気部
23、23A、23B、23C 取付部
232 外面側フランジ(第2フランジ、フランジ)
233 内面側フランジ(第1フランジ、フランジ)
234、234A 溝部
235 雄ネジ部(固定手段)
236 面ファスナー
24 排気部
3 弾性リング
4 取付リング
200 シート状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10