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特開2023-1120埋込センサからの光信号を検出する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001120
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】埋込センサからの光信号を検出する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20221222BHJP
   A61B 5/1473 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G01N21/64 F
A61B5/1473
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022162161
(22)【出願日】2022-10-07
(62)【分割の表示】P 2019109783の分割
【原出願日】2014-06-06
(31)【優先権主張番号】61/832,065
(32)【優先日】2013-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/832,078
(32)【優先日】2013-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515247783
【氏名又は名称】プロフサ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】キンツ,グレゴリー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マクミラン,ウィリアム エー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィスニーウスキー,ナタリー エー.
(57)【要約】
【課題】低信号高散乱環境において、埋没可能なセンサを監視することにより分析物の正確且つ整合的な測定を提供する。
【解決手段】本明細書に記載のいくつかの実施形態は、励起光信号を埋込センサに伝達するように構成された光源と、埋込センサから放射された分析物依存性光信号を検出するように構成された検出器と、を含む装置に関する。この装置は、分析物依存性光信号の少なくとも一部を検出器上に合焦させるように構成されたレンズを含んでいてもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光信号を埋込センサに伝達するように構成された光源と、
前記埋込センサに前記励起光信号が照射されることに応答して前記埋込センサから放射された分析物依存性信号を検出するように構成された検出器と、
前記分析物依存性光信号の少なくとも一部を前記検出器上に合焦させるように構成されたレンズと、
を備える、装置。
【請求項2】
所定の入射角よりも大きな入射角を有する光子が前記検出器に当たるのを抑制するように構成された開口をさらに備える、請求項1の装置。
【請求項3】
前記レンズは、レンズのアレイの第1のレンズである、請求項1の装置。
【請求項4】
前記レンズは、第1のレンズ軸を定義するレンズのアレイの第1のレンズであり、
前記装置は、前記第1のレンズ軸と略平行で非同軸の第2のレンズ軸を定義する前記レンズのアレイの第2のレンズをさらに備える、請求項1の装置。
【請求項5】
前記レンズは、一体形成されたレンズのアレイの第1のレンズである、請求項1の装置。
【請求項6】
前記レンズは、レンズのアレイの第1のレンズであり、
前記装置は、開口のアレイをさらに備え、前記開口のアレイの各開口は、前記レンズのアレイのレンズの中心と略整列している、請求項1の装置。
【請求項7】
前記光源に関連する波長を有する光信号を減衰させるように構成されたフィルタをさらに備える、請求項1の装置。
【請求項8】
前記光源に関連する波長を有する光信号を減衰させるように構成されたフィルタをさらに備え、
前記フィルタは、前記分析物依存性光信号を略減衰させずに伝達するように構成されている、請求項1の装置。
【請求項9】
前記光源に関連する波長を有する光信号を減衰させるように構成されたダイクロイックフィルタをさらに備え、
前記ダイクロイックフィルタは、分析物依存性光信号を入射角の関数として前記光源に関連する前記波長に向かってブルーシフトするように構成され、
前記検出器は、ブルーシフトされた分析物依存性光信号を検出するように構成されない、請求項1の装置。
【請求項10】
前記励起光信号の一部は、前記埋没物を包囲する組織により散乱され、
前記装置は、開口をさらに備え、(1)前記レンズと、(2)前記開口と、(3)前記ダイクロイックフィルタと、は前記励起光信号の前記一部が前記検出器に入射するのを抑制するようにまとめて構成されている、請求項9の装置。
【請求項11】
前記埋込センサは、ある深さに埋没され、
前記検出器の少なくとも一部は、前記埋没物からある横方向距離に配設されるように構成され、前記横方向距離は、前記深さの少なくとも2倍である、請求項1の装置。
【請求項12】
前記光源は、前記埋込センサのすぐ上に配設されるように構成され、
前記埋込センサは、ある深さに埋没され、
前記検出器の少なくとも一部は、前記光源からある距離にあり、前記距離は、前記深さの少なくとも2倍である、請求項1の装置。
【請求項13】
前記光源は、皮膚の第1の表面領域を通して前記埋没物へと前記励起光信号を伝達するように構成され、
前記検出器は、前記皮膚の第2の表面領域からの前記分析物依存性光信号を検出するように構成され、
前記皮膚の前記第2の表面領域は、前記皮膚の前記第1の表面領域の少なくとも4倍である、請求項1の装置。
【請求項14】
前記検出器は、ビアを画定し、前記光源は、前記ビアを通して前記埋込センサへと前記励起光信号を伝達するように構成されている、請求項1の装置。
【請求項15】
前記検出器は、複数の検出器のうちの1つであり、
前記装置は、ビアを画定する基部をさらに備え、
前記光源は、前記ビアを通して前記埋込センサへと前記励起光信号を伝達するように構成され、
前記複数の検出器は、前記基部に連結され前記ビアを略包囲する、請求項1の装置。
【請求項16】
各レンズが埋込センサからの分析物依存性光信号を検出器へと伝達するように構成されたレンズのアレイを備え、
前記レンズのアレイは、
基体と、
前記レンズのアレイの前記基体内に配設された複数の遮光素子と、を含み、
前記複数の遮光素子の各遮光素子は、所定の入射角よりも大きな入射角を有する光子が前記基体を通過するのを抑制するように構成されている、装置。
【請求項17】
前記レンズのアレイの各レンズは、縁と、前記レンズのアレイが複数のレンズ軸を含むようにレンズ軸を定義する中心と、を有し、
前記複数の遮光素子の各遮光素子は、前記レンズ軸の間に配設される、請求項16の装置。
【請求項18】
前記レンズのアレイに連結された開口のアレイをさらに備え、
前記開口のアレイ及び前記複数の遮光素子は、前記所定の入射角よりも大きな前記入射角を有する前記光子が前記基体を通過するのを抑制するようにまとめて構成されている、請求項16の装置。
【請求項19】
励起光信号を前記埋込センサに伝達するように構成された光源と、
フィルタと、
をさらに備え、
前記フィルタ及び前記複数の遮光素子は、前記レンズのアレイ上に散乱された前記励起光信号の一部が前記基体を通過するのを略排除するようにまとめて構成されている、請求項16の装置。
【請求項20】
前記レンズのアレイに連結された検出器をさらに備え、
前記検出器は、前記基体から出射する光を測定するように構成されている、請求項16の装置。
【請求項21】
前記光子は、第1の入射角を有する第1の光子であり、前記所定の入射角は、第1の所定の入射角であり、
前記装置は、前記レンズのアレイに連結された光制御フィルムの層をさらに備え、
前記光制御フィルムの層は、第2の所定の入射角よりも大きな第2の入射角を有する第2の光子が前記基体に入射するのを抑制するように構成されている、請求項16の装置。
【請求項22】
前記光子は、第1の入射角を有する第1の光子であり、
前記装置は、
前記レンズのアレイに連結され、第2の入射角及び第1の方位角を有する第2の光子が前記基体に入射するのを抑制するように構成された光制御フィルムの第1の層と、
第3の入射角及び第2の方位角を有する第3の光子が前記光制御フィルムの第1の層に到達するのを抑制するように構成された光制御フィルムの第2の層と、
をさらに備える、請求項16の装置。
【請求項23】
前記第2の入射角は、前記第1の入射角よりも小さく、前記第2の入射角は、前記第3の入射角と略等しく、前記第2の方位角は、前記第3の方位角と90度異なる、請求項22の装置。
【請求項24】
前記第1の光子は、前記第2の方位角と45度異なる第3の方位角を有する、請求項23の装置。
【請求項25】
前記レンズのアレイに連結され、励起光信号を前記埋込センサに伝達するように構成された光源と、
前記レンズのアレイに連結され、前記基体から出射する光を測定するように構成された検出器と、
をさらに備え、
前記レンズのアレイは、前記励起光信号が前記検出器へと反射されるのを抑制するように構成された反射防止コーティングを有する、請求項16の装置。
【請求項26】
埋込センサから放射された放射波長を有する分析物依存性光信号を検出するように構成された検出器と、
前記分析物依存性光信号の少なくとも一部を前記検出器上に合焦させるように構成されたレンズと、
前記放射波長よりも短い波長を有する光を減衰させるように構成されたフィルタと、
を備える、装置。
【請求項27】
前記検出器に連結され、励起光信号を前記埋込センサに伝達するように構成された光源をさらに備える、請求項26の装置。
【請求項28】
前記検出器に連結された光源をさらに備え、
前記検出器は、前記光源と前記埋込センサとの間に配設されるように構成され、
前記光源は、前記検出器のビアを通して励起光信号を前記埋込センサに伝達するように構成されている、請求項26の装置。
【請求項29】
前記検出器に連結された光源であって、前記検出器は前記光源と前記埋込センサとの間に配設されるように構成され、前記光源は励起波長を有する励起光信号を前記検出器のビアを通して前記埋込センサへと伝達するように構成されている、光源と、
前記励起波長を減衰させるように構成されたフィルタと、
をさらに備える、請求項26の装置。
【請求項30】
前記検出器は、ユニバーサル検出器であり、
前記装置は、
前記埋込センサを照明するように構成された励起光信号を生成するように構成された光源であって、前記埋込センサを照明する唯一の光源である光源と、
前記検出器から信号を受信して前記分析物の濃度を計算するように構成されたプロセッサであって、前記励起光信号及び前記分析物依存性光信号が、前記埋込センサが配設されている組織を通る単一の光学経路を横切るように前記検出器からのみ前記信号を受信する、プロセッサと、
を備える、請求項26の装置。
【請求項31】
光導波管を有するビアが、前記検出器により画定され、
前記光導波管が、励起光信号を前記検出器の第1の側から前記検出器の第2の側へと前記ビアを通して伝達するように構成されている、請求項26の装置。
【請求項32】
哺乳動物体の組織に埋め込まれた埋没物を監視する光学検出デバイスであって、前記埋没物は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することができ、
前記デバイスは、
a)前記組織を通して前記埋没物へと前記励起光を伝達するように配置された少なくとも1つの光源と、
b)前記組織から放射された前記放射波長範囲の光を検出するように配置された少なくとも1つの検出器と、
c)レンズのアレイと、
d)前記検出器への軸外光の伝達を制限するように前記レンズのアレイとともに配置された開口のアレイであって、前記レンズのアレイ及び前記開口のアレイは、前記検出器に対して、前記組織から放射された前記検出器へと向かう前記光を前記放射光の入力角に従って制限するように位置決めされる、開口のアレイと、
e)前記レンズ及び開口のアレイとともに配置された少なくとも1層の光制御フィルムであって、前記組織から放射された前記検出器へと向かう前記光を前記フィルムに対する前記放射光の入射角に従って制限するフィルムと、
f)前記検出器への光の伝達を実質的に前記放射波長範囲内の波長に制限するように設置された少なくとも1つのフィルタと、
を備える、デバイス。
【請求項33】
検出された前記放射波長範囲の前記光を表すデータを受信するように配置され前記データに基づいて少なくとも1つの分析物値を判定するようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサをさらに備える、請求項32のデバイス。
【請求項34】
前記少なくとも1つの光源及び検出器は、前記励起光が通過して伝達される皮膚の表面領域が、前記検出される光が前記組織から1つ以上の検出器へと向かう際に通過する皮膚の略周囲の表面領域間に位置するように配置される、請求項32のデバイス。
【請求項35】
前記少なくとも1つの光源及び検出器は皮膚上に設置されるように構成された光学読み取り装置内に配置され、
前記光源は、前記光学読み取り装置の中央ビアを通して前記励起光を伝達するように配置され、前記1つ以上の検出器は、前記中央ビアを略包囲する、請求項32のデバイス。
【請求項36】
前記中央ビア内に前記励起光を前記皮膚へと導くように配置された少なくとも1つの導光部品をさらに備える、請求項35のデバイス。
【請求項37】
前記デバイスは、前記中央ビアを通して複数の異なる励起波長範囲の前記励起光を伝達するように配置された複数の光源を備える、請求項35のデバイス。
【請求項38】
前記デバイスは、複数の放射波長範囲の前記放射光を検出するように前記中央ビアの周囲を実質的に囲む複数の検出器を備える、請求項35のデバイス。
【請求項39】
前記デバイスは、前記組織から放射された前記レンズ及び開口のアレイへと向かう前記光を前記放射光の前記入射角に従って制限するように前記レンズ及び開口のアレイとともに配置された少なくとも2層の光制御フィルムを含む、請求項32のデバイス。
【請求項40】
前記フィルタは、ダイクロイックフィルタを備える、請求項32のデバイス。
【請求項41】
前記少なくとも1つの光源及び検出器は、皮膚の表面の下1乃至4mmの範囲の深さで組織に埋め込まれた前記埋没物を監視するように配置される、請求項32のデバイス。
【請求項42】
哺乳動物体の組織に埋め込まれた埋没物を監視する光学検出デバイスであって、前記埋没物は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することができ、
前記デバイスは、
a)前記組織を通して前記埋没物へと前記励起光を伝達するように配置された少なくとも1つの光源と、
b)前記組織から放射された前記放射波長範囲の光を検出するように配置された少なくとも1つの検出器と、
c)レンズのアレイと、
d)前記検出器への軸外光の伝達を制限するよう前記レンズのアレイとともに配置された開口のアレイであって、前記レンズのアレイ及び前記開口のアレイは、前記検出器に対して、前記組織から放射された前記検出器へと向かう前記光を前記放射光の入力角に従って制限するように位置決めされる、開口のアレイと、
e)前記開口を通した入射光線の伝播を阻止するように前記開口の間に配置された遮光素子であって、前記開口の光軸に対する前記光線の入射角の増加に従って前記入射光線を阻止するように位置決めされた遮光素子と、
f)前記検出器への前記放射光の前記伝達を実質的に前記放射波長範囲内の波長に制限するように配置された少なくとも1つのフィルタと、
を備えるデバイス。
【請求項43】
検出された前記放射波長範囲の前記光を表すデータを受信するように配置され前記データに基づいて少なくとも1つの分析物値を判定するようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサをさらに備える、請求項42のデバイス。
【請求項44】
前記少なくとも1つの光源及び検出器は、前記励起光が通過して伝達される皮膚の表面領域が、前記検出される光が前記組織から1つ以上の検出器へと向かう際に通過する皮膚の略周囲の表面領域間に位置するように配置される、請求項42のデバイス。
【請求項45】
前記少なくとも1つの光源及び検出器は、皮膚上に設置されるように構成された光学読み取り装置内に配置され、
前記光源は、前記光学読み取り装置の中央ビアを通して前記励起光を伝達するように配置され、前記1つ以上の検出器は、前記中央ビアを略包囲する、請求項42のデバイス。
【請求項46】
前記中央ビア内に前記励起光を前記皮膚へと導くように配置された少なくとも1つの導光部品をさらに備える、請求項45のデバイス。
【請求項47】
前記デバイスは、前記中央ビアを通して複数の異なる励起波長範囲の前記励起光を伝達するように配置された複数の光源を備える、請求項45のデバイス。
【請求項48】
前記デバイスは、複数の放射波長範囲の前記放射光を検出するように前記中央ビアの周囲を実質的に囲む複数の検出器を備える、請求項45のデバイス。
【請求項49】
前記組織から放射された前記レンズ及び開口のアレイへと向かう前記光を前記放射光の入射角に従って制限するように前記レンズ及び開口のアレイとともに配置された少なくとも1層の光制御フィルムをさらに備える、請求項42のデバイス。
【請求項50】
前記フィルタは、ダイクロイックフィルタを備える、請求項42のデバイス。
【請求項51】
前記遮光素子は、前記開口のアレイに隣接して配置されたレンズアレイ基体の空洞内に堆積された樹脂又は金属を備える、請求項42のデバイス。
【請求項52】
前記少なくとも1つの光源及び検出器は、皮膚の表面の下1乃至4mmの範囲の深さで組織に埋め込まれた前記埋没物を監視するように構成されている、請求項42のデバイス。
【請求項53】
哺乳動物体の組織に埋め込まれた埋没物を監視する方法であって、前記埋没物は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することができ、
前記方法は、
a)前記組織を通して前記埋没物へと前記励起光を伝達するステップと、
b)前記組織から放射された前記放射波長範囲の光であって、
i)前記組織から放射された少なくとも1つの検出器へと向かう前記光を前記放射光の入力角に従って制限するように配置されたレンズのアレイ及び開口のアレイと、
ii)前記レンズ及び開口のアレイとともに配置された少なくとも1層の光制御フィルムであって、前記組織から放射された前記検出器へと向かう前記光を前記フィルムに対する前記放射光の入射角に従って制限するフィルムと、
iii)前記検出器への光の伝達を実質的に前記放射波長範囲内の波長に制限するように設置された少なくとも1つのフィルタと、
を通して伝達された前記放射波長範囲の前記光を検出するステップと、
を備える、方法。
【請求項54】
検出された前記放射波長範囲の前記光を表すデータを受信し前記データに基づいて少なくとも1つの分析物値を判定するための少なくとも1つのプロセッサを使用するステップをさらに備える、請求項53の方法。
【請求項55】
前記励起光が通過して伝達される皮膚の表面領域は、前記検出される光が前記組織から1つ以上の検出器へと向かう際に通過する皮膚の略周囲の表面領域間に位置する、請求項53の方法。
【請求項56】
前記励起光は、皮膚上に設置されるように構成された光学読み取り装置の中央ビアを通して伝達される、請求項55の方法。
【請求項57】
前記励起光は、前記中央ビア内に前記励起光を前記皮膚へと導くように配置された少なくとも1つの導光部品を介してさらに伝達される、請求項56の方法。
【請求項58】
前記放射波長範囲の前記光は、前記組織から放射された前記レンズ及び開口のアレイへと向かう前記光を前記放射光の前記入射角に従って制限するように少なくとも2層の光制御フィルムを通して伝達される、請求項53の方法。
【請求項59】
前記フィルタは、ダイクロイックフィルタを備える、請求項53の方法。
【請求項60】
前記埋没物は、皮膚の表面の下1乃至4mmの範囲の深さで組織に埋め込まれる、請求項53の方法。
【請求項61】
哺乳動物体の組織に埋め込まれた埋没物を監視する方法であって、前記埋没物は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することができ、
前記方法は、
a)前記組織を通して前記埋没物へと前記励起光を伝達するステップと、
b)前記組織から放射された前記放射波長範囲の光を検出するステップと、を備え、
前記検出するステップは、
i)前記組織から放射された少なくとも1つの検出器へと向かう前記光を前記放射光の入力角に従って制限するようにレンズのアレイとともに配置された開口のアレイを使用することと、
ii)前記開口を通した入射光線の伝播を、前記開口の光軸に対する前記光線の入射角の増加に従って前記入射光線を阻止するように前記開口の間に位置決めされた遮光素子を用いて阻止することと、
iii)前記放射光を略前記放射波長範囲内の波長にフィルタリングすることと、
を含む、方法。
【請求項62】
検出された前記放射波長範囲の前記光を表すデータを受信し前記データに基づいて少なくとも1つの分析物値を判定するための少なくとも1つのプロセッサを使用するステップをさらに備える、請求項61の方法。
【請求項63】
前記励起光が通過して伝達される皮膚の表面領域は、前記検出される光が前記組織から1つ以上の検出器へと向かう際に通過する皮膚の略周囲の表面領域間に位置する、請求項61の方法。
【請求項64】
前記励起光は、皮膚上に設置されるように構成された光学読み取り装置の中央ビアを通して伝達される、請求項61の方法。
【請求項65】
前記励起光は、前記中央ビア内に前記励起光を前記皮膚へと導くように配置された少なくとも1つの導光部品を介してさらに伝達される、請求項64の方法。
【請求項66】
前記放射波長範囲の前記光は少なくとも1層の光制御フィルムを通して伝達され、
前記フィルムは、前記組織から放射された前記レンズ及び開口のアレイへと向かう前記光を前記フィルムに対する前記放射光の入射角に従って制限する、請求項61の方法。
【請求項67】
前記放射波長範囲の前記光は、少なくとも2層の光制御フィルムを通して伝達され、
前記フィルムは、前記組織から放射された前記レンズ及び開口のアレイへと向かう前記光を前記フィルムに対する前記放射光の入射角に従って制限する、請求項61の方法。
【請求項68】
前記フィルタは、ダイクロイックフィルタを備える、請求項61の方法。
【請求項69】
前記埋没物は、皮膚の表面の下1乃至4mmの範囲の深さで組織に埋め込まれる、請求項61の方法。
【請求項70】
前記遮光素子は、前記開口のアレイに隣接して配置されたレンズアレイ基体の空洞内に堆積された樹脂又は金属を備える、請求項61の方法。
【請求項71】
皮膚の下の組織に埋め込まれた埋没物を監視する光学検出デバイスであって、前記埋没物は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することができ、
前記デバイスは、
a)前記皮膚の第1の表面領域を通して前記組織に埋め込まれた前記埋没物へと前記励起光を伝達するように配置された少なくとも1つの光源と、
b)少なくとも前記皮膚の第2の表面領域から放射された光を検出するように配置された1つ以上の検出器と、
を備え、
前記光源及び1つ以上の検出器は、前記検出される光が前記1つ以上の検出器へと向かう際に通過する前記皮膚の前記表面領域と前記励起光が通過して伝達される前記皮膚の前記表面領域との比が少なくとも4:1になるように配置される、デバイス。
【請求項72】
検出された前記放射波長範囲の光を表すデータを受信するように配置され前記データに基づいて少なくとも1つの分析物値を判定するようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサをさらに備える、請求項71のデバイス。
【請求項73】
前記光源及び前記1つ以上の検出器は、前記励起光が通過して伝達される前記皮膚の前記表面領域が、前記検出される光が前記埋没物から前記1つ以上の検出器へと向かう際に通過する前記皮膚の略周囲の表面領域間に位置するように配置される、請求項71のデバイス。
【請求項74】
前記少なくとも1つの光源及び前記1つ以上の検出器は、前記皮膚上に設置されるように構成された光学読み取り装置内に配置され、
前記光源は、前記光学読み取り装置の中央ビアを通して前記励起光を伝達するように配置され、
前記1つ以上の検出器は、前記中央ビアを略包囲する、請求項71のデバイス。
【請求項75】
前記中央ビア内に前記励起光を前記皮膚の前記第1の表面領域へと導くように配置された少なくとも1つの導光部品をさらに備える、請求項74のデバイス。
【請求項76】
前記デバイスは、前記中央ビアを通して複数の異なる励起波長範囲の前記励起光を伝達するように配置された複数の光源を備える、請求項74のデバイス。
【請求項77】
前記デバイスは、複数の放射波長範囲の前記放射光を検出するように前記中央ビアの周囲を実質的に囲む複数の検出器を備える、請求項74のデバイス。
【請求項78】
前記比は、少なくとも5:1である、請求項71のデバイス。
【請求項79】
前記比は、少なくとも10:1である、請求項71のデバイス。
【請求項80】
前記比は、少なくとも25:1である、請求項71のデバイス。
【請求項81】
前記比は、少なくとも50:1である、請求項71のデバイス。
【請求項82】
前記少なくとも1つの光源及び検出器は、前記皮膚の下1乃至4mmの範囲の深さで組織に埋め込まれた前記埋没物を監視するように配置される、請求項71のデバイス。
【請求項83】
皮膚の下の組織に埋め込まれた埋没物を監視する方法であって、前記埋没物は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することができ、
前記方法は、
a)前記皮膚の第1の表面領域を通して前記組織に埋め込まれた前記埋没物へと前記励起光を伝達するステップと、
b)少なくとも前記皮膚の第2の表面領域から放射された光を検出するステップと、
を備え、
前記検出される光が1つ以上の検出器へと向かう際に通過する前記皮膚の前記表面領域と前記励起光が通過して伝達される前記皮膚の前記表面領域との比が、少なくとも4:1である、方法。
【請求項84】
検出された前記放射波長範囲の光を表すデータを受信し前記データに基づいて少なくとも1つの分析物値を判定するための少なくとも1つのプロセッサを使用するステップをさらに備える、請求項83の方法。
【請求項85】
前記励起光が通過して伝達される前記皮膚の前記表面領域は、前記検出される光が前記埋没物から前記1つ以上の検出器へと向かう際に通過する前記皮膚の略周囲の表面領域間に位置する、請求項83の方法。
【請求項86】
前記励起光は、前記皮膚上に設置されるように構成された光学読み取り装置の中央ビアを通して伝達され、
前記1つ以上の検出器は、前記中央ビアの周囲を実質的に囲む、請求項83の方法。
【請求項87】
前記励起光は、前記中央ビア内に前記励起光を前記皮膚の前記第1の表面領域へと導くように配置された少なくとも1つの導光部品を介して伝達される、請求項86の方法。
【請求項88】
複数の光源が前記中央ビアを通して複数の異なる励起波長範囲の前記励起光を伝達する、請求項86の方法。
【請求項89】
複数の放射波長範囲の前記放射光は、前記中央ビアの周囲を実質的に囲む複数の検出器によって検出される、請求項86の方法。
【請求項90】
前記比は、少なくとも5:1である、請求項83の方法。
【請求項91】
前記比は、少なくとも10:1である、請求項83の方法。
【請求項92】
前記比は、少なくとも25:1である、請求項83の方法。
【請求項93】
前記比は、少なくとも50:1である、請求項83の方法。
【請求項94】
前記埋没物は、皮下組織に埋め込まれる、請求項83の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本願は、いずれも2013年6月6日に提出された、「軸外光制限による埋没物光信号の検出」と題された米国仮特許出願第61/832,065号及び「大きな比の表面領域による埋没物光信号の検出」と題された米国仮特許出願第61/832,078号の、米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張する。これらの出願の開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本明細書に記載のいくつかの実施形態は埋没物を監視する装置及び方法に係り、特に、埋没物から放射される光信号を軸外光の制限により検出する装置及び方法に関する。
【0003】
[0003] 本明細書に記載のいくつかの実施形態は埋没物を監視する装置及び方法に係り、特に、励起光信号が通過して供給される組織の表面領域と比べて比較的大きな表面領域の組織を通して光信号を検出する装置及び方法に関する。
【0004】
[0004] ある個人におけるグルコース、乳酸、酸素などといった分析物のレベル又は濃度の監視はその個人の健康にとって重要である。高い又は低いレベルのグルコース又は他の分析物は悪影響を有するかもしれず、あるいは特定の健康状態を示すかもしれない。グルコースの監視は糖尿病に罹患している人にとっては特に重要であり、そうした人の一部は、体内のグルコースレベルを下げるためにいつインスリンが必要なのか、あるいは体内のグルコースのレベルを上げるためにいつ追加的なインスリンが必要なのかを判定しなければならない。
【0005】
[0005] 糖尿病に罹患している多くの人が血中グルコースレベルの監視のために用いている従来の手法は、定期的な採血と、その血液の試験片への適用と、熱量測定検出、電気化学検出、又は測光検出を用いた血中グルコースレベルの判定とを含む。この手法は、体内のグルコースレベルの連続的又は自動的な監視を可能にするものではなく、一般的には手動で定期的に行われなければならない。残念ながら、グルコースのレベルの確認の整合性は個人間で大きく異なる。糖尿病に罹患している多くの人は定期的な検査を不便であると考えており、グルコースレベルの検査を忘れることもあるし、あるいは適切な検査のための時間がないこともある。さらに、検査に伴う苦痛を避けたいと願う人もいる。グルコースを監視していないと、高血糖エピソード又は低血糖エピソードが起こり得る。個人の分析物レベルを監視する埋込センサは、各個人がより容易に自身のグルコースレベル又は他の分析物レベルを監視することを可能にするであろう。
【0006】
[0006] いくつかの既知のデバイスは、様々な組織の血流又は間質液中の分析物(例えばグルコース)のインサイチュ(in situ)監視を行う。多数のこうしたデバイスは、患者の血管の中又は皮膚の下に挿入されたセンサを用いる。しかしながら、そのような既知の及び/又は提案されたデバイスからデータを通信すること及び/又は取得することは、困難であり得る。例えば、埋込センサは、無線周波数(RF)伝送を用いて検出器又は受信器と通信可能であるかもしれない。ところが、そのようなセンサは、電子装置、バッテリ、アンテナ、及び/又は他の通信ハードウェアを必要とし得るものであって、これらは埋込センサの嵩を増大させ、頻繁に不便な再充電を必要とし、及び/又は埋没物の寿命あるいは信頼性を低下させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007] したがって、蛍光センサを用いることができるように、埋込センサからの光信号を検出する装置及び方法の必要が存在する。蛍光センサは充電及び/又は伝送電子装置を要さなくてもよい。しかしながら、そのような埋込センサは、皮膚状態(例えば血液レベル及び水和)の動的変化に起因する高散乱の存在下においては蛍光のレベルが低いため、光学的に読み取り又は監視するのが困難であるかもしれない。皮膚は高散乱であり、散乱は光伝播を左右し得る。散乱は組織内における屈折率の変化により引き起こされ、皮膚における散乱の主成分は脂質、コラーゲン、及び他の生体成分によるものである。主吸収は血液、メラニン、水、及び他の成分により引き起こされる。
【0008】
[0008] 本明細書に記載のデバイス及び装置は、そのような低信号高散乱環境において、埋没可能なセンサを監視することにより分析物の正確且つ整合的な測定を提供するのに適している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009] 本明細書に記載のいくつかの実施形態は、励起光信号を埋込センサに伝達するよう構成された光源と、埋込センサから放射される分析物依存性光信号を検出するよう構成された検出器と、を含んだ装置に関する。この装置は、分析物依存性光信号の少なくとも一部を検出器上に合焦させるよう構成されたレンズを含んでいてもよい。
【0010】
[0010] 本明細書に記載のいくつかの実施形態は、レンズのアレイに関する。このレンズのアレイの各レンズは、埋込センサからの分析物依存性光信号を検出器へと伝達するよう構成されていてもよい。このレンズのアレイの基体内には複数の遮光素子が配設されていてもよい。遮光素子のアレイの各遮光素子は、所定の入射角よりも大きな入射角を有する光子が基体を通過するのを防止又は抑制するよう構成されていてもよい。
【0011】
[0011] 本明細書に記載のいくつかの実施形態は、埋込センサからの分析物依存性光信号を検出するよう構成された検出器を含む装置に関する。レンズは、分析物依存性光信号の少なくとも一部を検出器上に合焦させるよう構成されていてもよい。フィルタは、分析物依存性光信号よりも短い波長を有する光を減衰させるよう構成されていてもよい。
【0012】
[0012] 本明細書に記載のいくつかの実施形態は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することのできる埋没物に関する。少なくとも1つの光源を含むデバイスがこの埋没物を包囲する組織を通して励起光を伝達するように配置されていてもよい。デバイスは、埋込センサから放射され組織を通して伝達された放射波長範囲の光を検出するよう配置された少なくとも1つの検出器を含んでいてもよい。また、デバイスは、検出器への軸外光の伝達を制限するよう開口のアレイとともに配置されたレンズのアレイも含んでいてもよい。レンズのアレイ及び開口のアレイは、検出器に対して、組織から放射された検出器へと向かう光を放射光の入射角に基づいて制限するよう位置決めされていてもよい。少なくとも1層の光制御フィルムが、レンズ及び開口アレイとともに、組織から放射された検出器へと向かう光をフィルムに対する放射光の入射角に基づいて制限するよう配置されてもよい。デバイスはさらに、検出器への光の伝達を実質的に放射波長範囲内の波長に制限するよう設置された少なくとも1つのフィルタを含んでいてもよい。
【0013】
[0013] 本明細書に記載のいくつかの実施形態は、哺乳動物体の組織に埋め込まれた埋没物を監視する光学検出デバイスに関する。埋没物は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することができる。デバイスは、組織を通して埋没物へと励起光を伝達するよう配置された少なくとも1つの光源を含んでいてもよい。少なくとも1つの検出器が組織から放射された放射波長範囲の光を検出するべく配置される。また、デバイスは、検出器への軸外光の伝達を制限するよう開口のアレイとともに配置されたレンズのアレイも含んでいてもよい。レンズのアレイ及び開口のアレイは、検出器に対して、組織から放射された検出器へと向かう光を放射光の入力角に従って制限するよう位置決めされている。遮光素子は、開口を通した入射光線の伝播を阻止するよう開口の間に配置される。遮光素子は、開口の光軸に対する光線の入射角の増加に従って入射光線を阻止するよう位置決めされている。デバイスはさらに、検出器への放射光の伝達を実質的に放射波長範囲内の波長に制限するよう設置された少なくとも1つのフィルタを備えている。
【0014】
[0014] 本明細書に記載のいくつかの実施形態は、哺乳動物体の組織に埋め込まれた埋没物を監視する方法に関する。埋没物は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することができる。この方法は、組織を通して埋没物へと励起光を伝達すること及び組織から放射された放射波長範囲の光を検出することを含んでいてもよい。放射波長範囲の光は、組織から放射された少なくとも1つの検出器へと向かう光を放射光の入力角に従って制限するよう配置されたレンズのアレイ及び開口のアレイを通して伝達される。また、放射波長範囲の光は、組織から放射された検出器へと向かう光をフィルムに対する放射光の入射角に従って制限するようレンズ及び開口アレイとともに配置された少なくとも1層の光制御フィルムも通して伝達される。また、放射波長範囲の光は、検出器への光の伝達を実質的に放射波長範囲内の波長に制限するよう設置された少なくとも1つのフィルタも通して伝達される。
【0015】
[0015] 本明細書に記載のいくつかの実施形態は、哺乳動物体の組織に埋め込まれた埋没物を監視する方法に関する。埋没物は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することができる。この方法は、組織を通して埋没物へと励起光を伝達することと、組織から放射された放射波長範囲の光を検出することと、を含んでいてもよい。レンズのアレイとともに配置された開口のアレイは、組織から放射された少なくとも1つの検出器へと向かう光を放射光の入力角に従って制限する。また、この方法は、例えば開口の光軸に基づき、閾値入射角よりも大きな入射角を有する入射光線を阻止するよう開口の間に位置決めされた遮光素子を用いて、開口を通した入射光線の伝播を阻止することも含んでいてもよい。この方法はさらに、放射光を実質的に放射波長範囲の波長にフィルタリングすることを含んでいてもよい。
【0016】
[0016] 本明細書に記載のいくつかの実施形態は、皮膚の下の組織に埋め込まれた埋没物を監視する光学検出デバイスに関する。埋没物は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することができる。デバイスは、皮膚の第1の表面領域を通して組織に埋め込まれた埋没物へと励起光を伝達するよう配置された少なくとも1つの光源を含んでいてもよい。1つ以上の検出器が皮膚の少なくとも第2の表面領域から放射された光を検出するよう配置されていてもよく、光源及び1つ以上の検出器は、検出される光が1つ以上の検出器へと向かう際に通過する皮膚の表面領域と励起光が通過して伝達される皮膚の表面領域との比が少なくとも4:1となるように配置される。
【0017】
[0017] 本明細書に記載のいくつかの実施形態は、皮膚の下の組織に埋め込まれた埋没物を監視する方法に関する。埋没物は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することができてもよい。この方法は、皮膚の第1の表面領域を通して組織に埋め込まれた埋没物へと励起光を伝達することと、少なくとも皮膚の第2の表面領域から放射された光を検出することと、を含んでいてもよい。検出される光が1つ以上の検出器へと向かう際に通過する皮膚の表面領域と励起光が通過して伝達される皮膚の表面領域との比は少なくとも4:1である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】[0018] 一実施形態による埋没物を監視する光学検出デバイスの概略側面図。
図2】[0019] 一実施形態による埋没物を監視する光学検出デバイスの概略側面図。
図3】[0020] 一実施形態による開口アレイの平面図。
図4】[0021] 一実施形態による光学検出デバイスの概略平面図。
図5】[0022] 一実施形態による光学検出デバイスの概略分解図。
図6】[0023] 一実施形態による埋没物を監視する光学検出デバイスの概略側面図。
図7】[0024] 一実施形態による埋没物を監視する光学検出デバイスの概略側面図。
図8A】[0025] 様々な製造段階における一実施形態によるレンズ及び開口のアレイを遮光素子とともに示す図。
図8B】[0025] 様々な製造段階における一実施形態によるレンズ及び開口のアレイを遮光素子とともに示す図。
図8C】[0025] 様々な製造段階における一実施形態によるレンズ及び開口のアレイを遮光素子とともに示す図。
図8D】[0025] 様々な製造段階における一実施形態によるレンズ及び開口のアレイを遮光素子とともに示す図。
図9】[0026] 一実施形態による光学検出デバイスの概略平面図。
図10】[0027] 一実施形態による光学検出デバイスの概略平面図。
図11】[0028] 一実施形態による光学検出デバイスの概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0029] 本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、哺乳動物体の組織に埋め込まれた埋没物を監視する光学検出デバイスが提供される。埋没物は、少なくとも1つの励起波長範囲の励起光に応答して少なくとも1つの放射波長範囲の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することのできる、蛍光物質で標識されたターゲットを含んでいてもよい。光学検出デバイスは、波長成分が吸収帯に属する光で埋没物を照明するよう、及び/又は波長成分が発光帯にある光を集めるよう、動作可能であってもよい。
【0020】
[0030] 光学検出デバイスは、光源を備えた励起光学系及び/又は吸収帯の照明を発生させるよう動作可能光学系を含んでいてもよい。また、光学検出デバイスは、埋没物からの蛍光放射を集めるよう動作可能な放射光学系も含んでいてもよい。場合によっては、各蛍光物質吸収帯と厳密に一致するスペクトル内容(すなわち波長範囲)を有する光源を取得、設計、及び/又は実装することは困難であり得る。そのため、光源と併せて1つ又は複数の光学フィルタ(通常はバンドパスフィルタ)を用いて、照明波長の範囲を吸収帯の範囲に限定し、及び/又は発光帯の照明波長を短縮してもよい。同様に、放射光学系は、実質的に発光帯の波長を有する光のみを検出器に到達させるよう、及び/又は他の波長を有する光(例えば吸収帯の光)を減衰させるよう、動作可能な別の1つ又は複数のフィルタを含んでいてもよい。同様に、光学検出デバイスは、実質的に吸収帯の波長を有する光子のみをターゲットに到達させ、実質的に発光帯の波長を有する光子のみを検出器に到達させるよう動作可能な光学系設計を含んでいてもよい。適切な光学系がないと、光源からの光子が検出器に到達して測定誤差を誘発し得る。
【0021】
[0031] 光学検出デバイス用の光学系を適切に設計することは、検出されるべき放射された蛍光の量が中間面(例えば光学検出デバイスと埋没物との間に配置された皮膚又は組織)によって(例えば吸収されるのではなく)散乱された励起光の量よりもずっと少ない場合には、複雑になり得る。1つの課題は、埋没物に到達する励起光の量が、様々な身体部位(皮膚、組織など)によって引き起こされる吸収及び散乱のために、少なくなり得ることである。放射される少ない量の蛍光は、体外へ出て検出器へと進むにつれて、吸収及び散乱によりさらに減少される。こうした状況においては、約(10-6)の不要な光子の排除を提供し得る既存の光学フィルタ技術では不十分である可能性がある。別の課題は、励起波長と検出波長との差(例えばストークスシフト)がごく僅かになり得ることである。さらなる課題は、ダイクロイックフィルタが、そのフィルタを通して伝達される光線の角度の関数としてフィルタ波長の偏移(例えば「ブルーシフト」)を引き起こすことである。こうした課題のため、標準の蛍光分析法は、高いバックグラウンドレベルを通過させ、順に、低い信号対バックグラウンド比(SBR)及び信号対雑音比(SNR)がもたらされると考えられる。
【0022】
[0032] 本明細書に記載のいくつかの実施形態は、正確且つ整合的に埋込センサを監視することのできる小型デバイスに関する。そのようなデバイスは、略連続的にユーザにより装用可能であり、及び/又はユーザの運動や活動を実質的に制限することがない。デバイス及びセンサは、分析物の連続的及び/又は自動的な監視をまとめて可能にすることができるとともに、分析物のレベルが閾値レベルであるとき又はそれに近いときには、その人物に対して警告を発することができる。例えば、グルコースがその分析物である場合には、監視デバイスは、現在高血糖又は低血糖であるあるいはそれが差し迫っている人物に警告を行うよう構成され得る。
【0023】
[0033] 本明細書に含まれる説明においては、記載されているすべての構造物間接続が直接動作接続又は仲介構造物を介した間接動作接続であり得ることが理解される。一組の要素は1つ以上の要素を含む。1つの要素の記載はいずれも少なくとも1つの要素を参照するものと理解される。複数の要素は少なくとも2つの要素を含む。明確な別段の表示がない限り、記載された方法ステップはいずれも、必ずしも特定の又は説明された順序で実行されることを要さない。第2の要素に由来する第1の要素(例えばデータ)は、第2の要素に等しい第1の要素、ならびに第2の要素を処理することにより発生した第1の要素、及び任意的には他のデータを包含する。パラメータに従って判定又は決定を行うことは、そのパラメータに従って及び任意的には他のデータに従って判定又は決定を行うことを包含する。特に指定がない限り、何らかの分量/データの指標は、その分量/データそれ自体でもあり得るし、又は分量/データそれ自体とは異なる指標でもあり得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態は、励起波長又は放射波長などの波長を参照する。明確な別段の表示がない限り、波長とは、その波長を含む波長の帯域を記載するものとして理解されるべきである。本発明のいくつかの実施形態に記載のコンピュータプログラムは、他のコンピュータプログラムのスタンドアロンのソフトウェアエンティティ又はサブエンティティ(例えばサブルーチン、コードオブジェクト)であってもよい。コンピュータ可読媒体は、磁気、光学、及び半導体記憶媒体(例えばハードドライブ、光ディスク、フラッシュメモリ、DRAM)などの非一時的媒体、ならびに導電ケーブル及び光ファイバリンクなどの通信リンクを包含する。いくつかの実施形態によれば、本発明はとりわけ、本明細書に記載の方法を実行するようプログラムされたハードウェア(例えば1つ以上のプロセッサ及び関連するメモリ)を備えたコンピュータシステム、ならびに本明細書に記載の方法を実行するための命令を符号化するコンピュータ可読媒体を提供する。
【0024】
[0034] 以下の記載は、本発明の実施形態を例として説明するものであって、必ずしも限定として説明するものではない。
【0025】
[0035] 図1は一実施形態による埋込センサ又は埋没物12を監視する光学検出デバイス10の概略側面図である。埋没物12は哺乳動物体の組織15(これは様々な実施形態においては身体の他の部分に付着している又は付着していない一片の組織であり得る)に埋め込まれている。埋没物12は皮膚14の表面の下に埋め込まれていてもよい。埋没物12は皮下組織(例えば皮膚14の下1乃至4mmの範囲内)に埋め込まれ及び/又は位置決めされていてもよい。埋没物12は、励起波長範囲内の励起光に応答して、放射波長範囲内の少なくとも1つの分析物依存性光信号を放射することができる。分析物は、例えば、組織15内のグルコース又は他の分析物であってもよい。適当な光信号は、発光、生物発光、蓄光、自家ルミネセンス(autoluminescence)、及び拡散反射信号を含むが、これらに限定されない。実施形態によっては、埋没物12は1つ以上のルミネセント染料(例えば蛍光染料)を含み、そのルミネセンス放射強度は個体の体内(例えば組織15内)のターゲット分析物の量又は有無に応じて変化する。
【0026】
[0036] 光源18は励起波長範囲の励起光を皮膚14の表面から組織15を通して埋没物12まで伝達するよう配置されている。適当な光源にはレーザ、半導体レーザ、発光ダイオード(LED)、及び有機LEDが含まれるが、これらに限定されない。組織から放射された放射波長範囲の光を検出するために、光源18とともに、検出器16,20が配置されている。適当な検出器にはフォトダイオード、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器、又は電荷結合素子(CCD)検出器が含まれるが、これらに限定されない。複数の検出器が示されているが、単一の検出器及び/又はユニバーサル検出器が用いられてもよい。
【0027】
[0037] 検出器16,20は、波長範囲内で放射された光信号を測定するために、(例えばダイクロイックフィルタ又は他の適当なフィルタにより)フィルタリングされてもよい。例えば、グルコース濃度に敏感な適当なルミネセント染料は、約600乃至650nmの範囲内(吸収ピーク647nm)、且つ約670乃至750nmの放射波長範囲内で約680nmの発光ピークを有する励起光(吸収)に応答するAlexa Flour(登録商標)647である。したがって、センサがAlexa Flour(登録商標)647を含む一実施形態においては、検出器16,20は、約650nmよりも短い又は約670nmよりも短い波長を有する光からフィルタリングされてもよい。
【0028】
[0038] いくつかの実施形態においては、埋没物12はさらに、第2の励起波長範囲内の励起光に応答して、第2の放射波長範囲内の少なくとも1つの分析物非依存性光信号を放射することができる。例えば、埋没物12は、レポータ染料への非分析物の物理的又は化学的作用(例えば光漂白又はpH)を制御するよう機能する分析物非依存性ルミネセンス染料を含んでいてもよい。複数の染料が用いられてもよい。分析物非依存性光信号は組織15内に存在する分析物によっては変調されず、正規化、オフセット補正、又は内部校正のためのデータを提供する。分析物非依存性信号は、化学的又は生理的(例えば酸素、pH、酸化還元状態)あるいは光学的(例えば水、光吸収/散乱化合物、ヘモグロビン)な非分析物の影響を補償し得る。代替的には、分析物非依存性信号は、埋没物12中の安定な基準染料によって提供されてもよい。適当な安定な基準物質には、ランタニドドープ結晶、ランタニドドープナノ粒子、量子ドット、キレート化したランタニド染料、及び金属(例えば金又は銀)ナノ粒子を含むが、これらに限定されない。安定な基準染料は(例えば光漂白を判定するべく)他の信号のための基準信号を提供し得る。
【0029】
[0039] デバイス10の作動時には、光源18が起動され、励起波長範囲内の励起光を皮膚14の表面から組織15を通して埋没物12へと伝達する。埋没物12内の染料は、励起光のうちいくらかを吸収し、グルコース又は他の分析物の特性に依存する蛍光を放射する。光は埋没物12からすべての方向に放射され得るとともに、組織15により散乱され得る。埋没物12から放射される光のうちいくらかは、組織15を通して伝達され、検出器16,20のうち少なくとも一方によって検出される。これにより、主要な分析物依存性光信号が提供され得る。基準光信号が正規化のために用いられる実施形態においては、光源18(又は第2の光源)が起動され、第2の励起光を皮膚14の表面から埋没物12へと伝達する。検出器16,20のうち少なくとも一方は、第2の励起光に応答して、組織15から放射される第2の光信号を皮膚14の表面を通して測定する。
【0030】
[0040] 第2の光信号は、埋没物12から放射される光の散乱のために主要な分析物依存性光信号を正規化するべく用いられてもよい。少なくとも1つの補正された信号値が、測定された光信号に基づいて算出されてもよい。一実施例においては、埋没物からの主要な分析物依存性信号は、埋没物12から放射される分析物非依存性光信号によって正規化され得る。分析物依存性信号及び/又は分析物非依存性信号の光学的読み取りを実行する前に、背景光又は周囲光を説明するためのダーク読み取り(dark reading)が行われてもよく、この読み取りを用いて、例えば背景差分により、さらに信号が補正されてもよい。
【0031】
[0041] 実施形態によっては、分析物値(例えばグルコース濃度)は、分析物依存性信号及び/又は1つ以上の基準信号を含む複数の光信号の比から判定される。一実施例においては、グルコース応答性蛍光物質(例えばAlexa Flour(登録商標)647)からの信号は、グルコース非応答性蛍光物質(例えばAlexa Flour(登録商標)700)からの信号によって正規化される。分析物非依存性信号のための1つの適当な染料はAlexa Flour(登録商標)750であり、これは約700乃至760nm(励起ピーク750nm)の励起波長範囲内の励起光に応答するとともに、約770乃至850nmの放射波長範囲を有し、発光ピークは約780nmである。
【0032】
[0042] 分析物値は、例えばルックアップテーブル又は校正曲線を用い、光信号に基づいて判定することができる。分析物値の判定は、(プロセッサ上で実行する)ソフトウェア及び/又はハードウェアで行われてもよい。例えば、光デバイス10はマイクロプロセッサを含んでいてもよい。いくつかの実施形態においては、マイクロプロセッサは、測定された光信号値をメモリに記憶するよう、及び/又は正規化された信号値及び分析物濃度を計算するようプログラムされている。代替的には、これらの機能は光デバイス10と通信する別個のプロセッサ又は外部コンピュータにおいて実行され得る。外部のプロセッサ又はコンピュータは、測定された光信号を表すデータを受信することができ、補正された信号値及び分析物濃度を計算する。代替的には複数のプロセッサが提供されてもよく、例えば1つ以上の外部プロセッサ又はコンピュータと(無線又は有線で)通信する1つ以上のプロセッサを光デバイス内に設けてもよい。
【0033】
[0043] 2つの埋没物染料(例えばルミネセント染料)が利用されるいくつかの実施形態においては、埋没物染料の励起(吸収)又は放射波長範囲が共有され又は重複することがあり得る。一実施例においては、分析物依存性ルミネセンス信号を提供する第1の染料の放射波長範囲が、分析物非依存性ルミネセンス信号を提供する第2の染料の励起波長範囲を共有し又はこれに重複する。別の一実施形態においては、第1及び第2の染料は、(共通の光源が使用され得るように)励起波長範囲を共有し又は重複させ、異なる放射波長範囲内の光信号を放射し得る。別の一実施形態においては、第1及び第2の染料は、異なる励起波長範囲の光によって励起され、同一の又は重複する放射波長範囲内の光信号を放射し得る。
【0034】
[0044] 埋没物12は皮下組織(例えば皮膚14の表面の下1乃至4mm)に埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態においては、埋没物12は、グルコース感知ナノスフェアを埋め込まれたハイドロゲルスキャフォールドを備える。埋没物12の設計は、注射可能で組織結合する(tissue-integrating)血管新生化スキャフォールドをセンサとして用いることができる。埋め込まれたナノスフェアは、分析物(例えば間質性グルコース)の有無又は濃度に応じて強度及び寿命を変化させるルミネセンスを放射する。検出器16,20の各々と光源18との間の間隔は埋没物12からの光信号を検出するための各光路の深さを決定する。励起光源と検出帯との組み合わせが光チャネルである。光源18及び検出器16,20は、励起光が通過して伝達される皮膚14の表面領域が、検出される光が組織15から1つ以上の検出器16,20へと向かう際に通過する皮膚14の略周囲の表面領域間に位置するように、配置されてもよい。
【0035】
[0045] 図1には1つの光源18及び2つの検出器16,20しか示していないが、実施形態によっては、光デバイス10は任意の数の光源及び任意の数の検出器を有していてもよい。光デバイス10は、複数の光源と検出器との間の間隔の複数の可能な組み合わせを有し得る。そのような複数の光源及び/又は複数の検出器の実装は、光デバイス10の融通性を高めることができる。例えば、埋没物12の深さは特定の用途に固有であり得るため、複数の光源及び/又は複数の検出器を有する1つの光デバイス10を複数の用途に用いることが可能である。
【0036】
[0046] 光デバイス10は、実質的に励起波長範囲の波長を有する光子のみが埋没物12に到達し、実質的に放射波長範囲の波長を有する光子のみが検出器16,20のうち少なくとも一方に到達することを保証するよう構成されていてもよい。そのような配置によれば、測定エラーを引き起こし得る、光源18から検出器16,20に到達する光子を、最小化することができる。
【0037】
[0047] 図2は一実施形態による埋没物を監視する光学検出デバイスの概略側面図である。レンズのアレイ22は軸外光の検出器16への伝達を制限するよう開口のアレイ24と整列している。レンズアレイ22及び開口アレイ24は、検出器16に対して、組織から放射された検出器16へと向かう光を開口の光軸30に対する放射光の入力角θ(本明細書においては入射角とも称される)に基づいてまとめて制限するよう位置決めされる。開口の光軸30は、検出器16の表面と略垂直であってもよい。開口のアレイ24の各開口はレンズのアレイ22のレンズと略整列していてもよい。同様に、開口の光軸30はレンズの中心及び/又は軸と略同軸であってもよい。例えば、開口のアレイ24の実質的に不透明な部分がレンズの縁の下に位置決めされてもよい。
【0038】
[0048] 少なくとも1層の光制御フィルム26がレンズアレイ22及び開口アレイ24とともに配置される。光制御フィルム26は、フィルム26に対する放射光の入射角に基づいて、組織から放射される光がレンズアレイ22及び/又は開口アレイ24に入射するのを制限することができる。一実施例においては、光制御フィルム26は3M(商標)から市販されているVikuti(商標)光学等級マイクロルーバープライバシーフィルムであり、これはフィルム26を通る垂線に対して所望より大きな(例えば24度より大きな)入射角を有する光を遮断することができる。このプライバシーフィルムは、大きな入射角からの光がレンズアレイ22に到達するのを妨げる1組のマイクロルーバーを備える。他の実施形態においては、フィルム26は、ベネチアンブラインドと同様の配置で透明な層と不透明な層とを交互に備える。所望の入射角よりも大きな角度から伝播する光は、吸収及び/又は反射され得る。
【0039】
[0049] 少なくとも1つのフィルタ28(例えばダイクロイックフィルタ又は誘電体フィルタ)が、検出器16への光の伝達を略所望の放射波長範囲内の波長に制限するべく配置される。光信号の検出は、励起光に比べ、低レベルの戻り信号が多くを占めているため、フィルタ28は、散乱した励起光が検出器16を盲検化するのを防止することができる。適当なフィルタには、用途にとって望ましい放射波長範囲に応じて、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタが含まれる。いくつかの最新の光学フィルタは、コーティング技術の改良により、10-9の光除去を示している。さらに、光学検出系の中間層(例えばレンズアレイ22、開口アレイ24など)は、検出器16まで漏洩する光を減少させ又は阻止するための反射防止コーティングを含んでいてもよい。
【0040】
[0050] ダイクロイックフィルタの基本特性により、高レベルの光除去を維持するには慎重な設計が要求される。光除去を損なうダイクロイックフィルタの1つの特性は、入力角の関数としての「ブルーシフト」であり、ここで、ダイクロイックフィルタの透過率波長は入力角の関数として変化する。埋没物から放射される検出光については、入力角と絶対光信号との間にトレードオフがある。組織を離れていく光は強く散乱され、皮膚の表面に到達するときまでにランバーシアン分布を形成し得る。放射光の集光効率は~NA2に比例する。ただし、NA=開口数=n sinθであり、θは入力角である。集光効率を向上させるためには、許容入力角θを、励起光がフィルタ28を通過できるほどはその角度を大きくせずに、増加させてもよい。
【0041】
[0051] レンズアレイ22及び開口アレイ24は、検出器16へと向かう光の入力角θを制御する。レンズアレイ22及び開口アレイ24は光をθよりも小さな入力角に制限し、これは実施形態によっては+/-20度になるように選択される。入力角θは、開口の大きさ及びレンズアレイ22のマイクロレンズの焦点距離を変化させることにより制御することができる。開口が小さければ小さいほど入力角θは小さくなる。焦点距離が長ければ長いほど入力角θは小さくなる。図示はしないが、開口アレイ24の表面とレンズアレイ22との間の間隔を維持するために、スペーサが用いられてもよい。
【0042】
[0052] 図3は、複数の開口25を有する開口アレイ24の平面図である。いくつかの実施形態においては、開口アレイ24は、図2に示す検出器16のようなシリコン検出器の表面上に金属マスクをパターニングすることにより構築されている。レンズアレイ22は、エッチングされたガラス又は成形プラスチックとして製造され得る。いくつかの実施形態においては、レンズアレイ22はJENOPTIKオプティカルシステムズから市販されている特注のマイクロレンズアレイである。
【0043】
[0053] 図4は一実施形態による光学検出デバイスの概略平面図である。図4の光学検出デバイスはパッチ32として構成されている。パッチ32が皮膚上に配置されるべく構成されるように、少なくとも1つの光源(図4においては図示しない)と検出器38とが光学読み取り装置の中に配置される。光源はパッチ32の中央ビア34を通して励起光を伝達するよう配置され、単一のユニバーサル検出器38は中央ビア34を実質的に包囲する。他の実施形態においては、単一の検出器38の代わりに複数の検出器が用いられてもよく、例えば、中央ビア34の周囲を囲んで、複数の放射波長範囲の放射光を検出する。いくつかの実施形態においては、光学検出デバイスは中央ビア34内に少なくとも1つの導光部品36を含む。導波管又は光ファイバなどの導光部品36は、励起光を皮膚へと導くよう配置される。いくつかの実施形態においては、複数の光源(明確にするため図4においては図示しない)が配置され、複数の異なる励起波長範囲の励起光を中央ビア34を通して(例えば1つ以上の導波管又は光ファイバにより)伝達する。
【0044】
[0054] 考え得る一実施例として、1つ以上の光源が、約1mmの直径及び対応する約0.8mm2の励起表面領域を有する皮膚の略円形の表面領域を通して励起光を伝達するよう円形の断面を有する中央ビア34を通して皮膚へと励起光を伝達するよう配置されてもよい。検出器38は角形の断面を有し、検出される光が検出器38へと向かう際に通過する皮膚の略角形の表面領域から放射された光を検出するよう位置決めされている。検出表面領域は略角形で、10mmの長さの辺を有しており、したがって検出表面領域の合計は(10mm×10mm)-1mm2=99mm2である。よって、この実施例においては、検出表面領域と励起表面領域との比は120:1よりも大きい。
【0045】
[0055] 図5はパッチ32の概略分解図である。パッチ32は複数の層を含む。パッチ32の寸法は、例えば、直径が約16mm、厚さTが約1.6mmであってもよい。いくつかの実施形態においては、これらの層は、約200μmの厚さを有するプラスチックカバー40と、約100μmの厚さを有する光制御フィルム26と、約200μmの厚さを有するフィルタ28と、約100μmの厚さを有するレンズアレイ22と、約200μmの厚さを有するシリコン検出器層48の上にパターニングされた開口アレイ24と、を含み得る。これらの層は、約400μmの厚さを有するプリント回路基板(PCB)50と、約300μmの厚さを有するバッテリ52と、約200μmの厚さを有するケース54と、も含んでいてもよい。PCB50は1つ以上の光源を含んでいてもよい。また、PCB50は、検出器層48の1つ以上の検出器と通信して、検出された放射波長範囲の光を表すデータを受信するとともに、そのデータに基づいて少なくとも1つの分析物値を判定するようプログラムされた処理用電子装置及び/又はマイクロプロセッサも含んでいてもよい。中央ビア34は積層により形成され(例えば組み立て工程においてエッチングされるか、あるいはスタックを貫通して穿設され)てもよい。
【0046】
[0056] 図6は一実施形態による埋没物を監視する光学検出デバイスの概略側面図であり、検出光学系60の配置を示す。この実施形態において、埋没物及び組織から放射された放射波長範囲の光は、少なくとも2層の光制御フィルム62,64を通して伝達される。この2層の光制御フィルム62,64は、フィルム62,64に対する放射光の入射角に基づいて、組織から放射された光がレンズアレイ22及び/又は開口アレイ24に入射するのを制限することができる。一実施例においては、光制御フィルム62は、ベネチアンブラインドと同様の配置で透明な層と不透明な層とを交互に備える。所望の入射角よりも大きな角度から伝播する光は吸収される。光制御フィルム64は、3M(商標)から市販されているVikuti(商標)光学等級マイクロルーバープライバシーフィルムを含んでいてもよく、これはフィルム64を通る垂線に対して所望より大きな(例えば24度より大きな)入射角を有する光を遮断する。
【0047】
[0057] いくつかの実施形態においては、光制御フィルム62及び/又は64は、入射角と方位角との組み合わせに基づいて、組織から放射された光がレンズアレイ22及び開口アレイ24に入射するのを制限するよう動作可能であってもよい。例えば、光制御フィルム62及び/又は64が複数のマイクロルーバーを含む実施形態においては、光制御フィルム62及び/又は64は、マイクロルーバーと略垂直な方位角を有する高入射角の光を遮断するのには有効であるかもしれないが、マイクロルーバーと略平行な方位角を有する高入射角の光を遮断するのには比較的無効であるかもしれない。いくつかのそのような実施形態においては、2層の光制御フィルム62,64は、クロスハッチされていてもよく、そうでなければ、光制御フィルム62,64が異なる方位角を有する高入射角の光を遮断するのに一括に有効であるように、ルーバー又は他の光制御素子が非平行になるよう配設されてもよい。
【0048】
[0058] いくつかの実施形態においては、フィルム62,64は、互いに略同一であってもよく、あるいは異なる種類のプライバシーフィルムを備えていてもよい。さらに、フィルタ28(例えばダイクロイックフィルタ又は誘電体フィルタ)は、検出器16への放射光の伝達を略放射波長範囲内の波長に制限するよう、開口アレイ24と検出器16との間に配置されてもよい。図6の実施形態の動作は、先に説明した図1及び2の実施形態の動作と同様であってもよい。
【0049】
[0059] 図7は埋没物を監視する光学検出デバイスの概略側面図である。レンズのアレイ122は軸外光の検出器16への伝達を制限するよう開口のアレイ24と整列している。レンズアレイ122及び開口アレイ24は、検出器16に対して、組織から放射された検出器16へと向かう光を開口の光軸30に対する放射光の入力角θに従って制限するよう位置決めされる。開口の光軸30は、検出器16の表面と略垂直であってもよい。
【0050】
[0060] レンズアレイ122は遮光素子72を含む。遮光素子72は開口25を通じた軸外光線74,76の伝播を遮断するよう開口25の間に配設され得る。遮光素子72は、黒色樹脂、金属、及び/又は配置されたレンズアレイ122の基体123の空洞内に堆積された金属フィルムを含んでいてもよい。少なくとも1つのフィルタ28は、検出器16への放射光の伝達を略放射波長範囲内の波長に制限するよう配置される。任意的には、この実施形態には、1層以上の光制御フィルムが含まれ得る。図7の実施形態の動作は、先に説明した図1及び2の実施形態の動作と同様であってもよい。
【0051】
[0061] 図8A乃至8Dは様々な製造段階における一実施形態によるレンズアレイ122を遮光素子とともに図示する。図8Aはレンズアレイ122の側面図を示し、これはエッチングされたガラス又は成形プラスチックとして製造され得る。いくつかの実施形態においては、レンズアレイ122はJENOPTIKオプティカルシステムズから市販されているマイクロレンズアレイである。図8Bは空洞78を示し、これらは例えばレンズアレイ122の基体部123にエッチングされ又は一体成形されてもよい。図8Cに示すように、空洞78は、遮光素子72を形成するよう略不透明な物質で充填されてもよい。遮光素子72は、例えば、黒色樹脂、金属、及び/又は金属フィルムで構成され得る。図8Dに示すように、開口アレイ24は、遮光素子72が開口25の間に位置するように、レンズアレイ122に隣接して(実施形態によってはスペーサとともに)配置されてもよい。いくつかの実施形態においては、開口アレイ24は、シリコン検出器の表面上に金属マスクをパターニングすること、及び遮光素子72が開口25の間に位置するように、検出器を開口アレイ24とともに、遮光素子72を有するレンズアレイ22に隣接して配置することによって構成される。
【0052】
[0062] 図9は一実施形態による光学検出デバイス210の概略平面図である。光学検出デバイス210は、4つの検出器216,220,222,及び224と、光源218とを含む。光学検出デバイス210は比較的大きな検出器表面領域と光源表面領域との比(本明細書においては「表面領域比」とも称される)を有する。この大きな表面領域比は、埋没物が皮下組織内(例えば皮膚の表面の下1~4mm)に埋め込まれているときに、埋没物信号の検出を向上させることができる。特に、光源218と4つの検出器216,220,222,224とは、検出器216,220,222,224へと向かう際に検出される光が通過する皮膚の表面領域と励起光が通過して伝達される皮膚の表面領域との比が少なくとも4:1となるように配置される。例えば、一実施形態においては、光源218は円形の断面を有し、約3mmの直径、約1.5mmの半径、及び約7mm2の励起表面領域を有する皮膚の略円形の表面領域を通して励起光を伝達するよう配置される。4つの検出器216,220,222,224は角形の断面を有し、検出される光が検出器へと向かう際に通過する皮膚の4つの略角形の表面領域から放射された光を検出するよう位置決めされている。4つの検出表面領域の各々は略角形で、3mmの辺を有しており、したがって検出表面領域の合計は4×9mm2=36mm2である。よって、この実施例においては、検出表面領域と励起表面領域との比は5:1よりも僅かに大きい。
【0053】
[0063] いくつかの実施形態においては、光学検出デバイス210は、埋没物の深さの少なくとも2倍の横方向距離で埋没物信号を検出するよう構成され得る。例えば、検出器216,220,222,224のうち少なくとも1つの少なくとも一部は、その部分が埋没物から遠位に離れている距離の少なくとも2倍、埋没物から横方向に離れていてもよい。例えば、光源218が組織の下4mmに埋め込まれている埋没物の上を中心としている場合には、検出器216,220,222,224のうち少なくとも1つの少なくとも一部は光源218の中心から8mm離れていてもよい。同様に、検出器216,220,222,224のうち少なくとも1つの最も離れた縁又は角は、埋没物の深さの少なくとも2倍、光源218の中心から離れていてもよい。単一の検出器又はユニバーサル検出器を有する実施形態などといった代替的な一実施形態においては、検出器は埋没物の深さの少なくとも2倍の半径を有していてもよい。他の実施形態においては、光学検出デバイス210は、埋没物の深さの少なくとも3倍、少なくとも5倍、又は任意の他の適当な倍数の横方向距離で埋没物信号を検出するよう構成され得る。埋没物からの横方向距離が比較的大きい埋没物信号を検出するよう動作可能な光学検出器デバイス210は、放射された信号の大部分を、特に高散乱環境において検出することができてもよい。放射された信号の大部分を取り込むことは、検出精度を向上させ得る。
【0054】
[0064] 図10は一実施形態による光学検出デバイス310の概略平面図である。光学検出デバイス210と比較すると、この実施形態においては、4つの検出器316,320,322,324が光源318を包囲し又は周囲を囲みつつ光源318に近接して配置されており、検出表面領域と励起表面領域との比がより大きい。例えば、光源318は円形の断面を有していてもよく、約2mmの直径、約1mmの半径、及び約3.14mm2の励起表面領域を有する皮膚の略円形の表面領域を通して励起光を伝達するよう配置される。4つの検出器316,320,322,324は角形の断面を有し、検出される光が検出器へと向かう際に通過する皮膚の4つの略角形の表面領域から放射された光を検出するよう位置決めされている。4つの検出表面領域の各々は略角形で、6mmの辺を有しており、したがって検出表面領域の合計は4×36mm2=144mm2である。よって、この実施例においては、検出表面領域と励起表面領域との比は45:1よりも僅かに大きい。
【0055】
[0065] 図11は別の一実施形態による光学検出デバイス410の態様の概略平面図である。この実施形態においては、5つの円形状の検出器428A,428B,428C,428D,及び428Eが中央ビア434を包囲し又は周囲を囲んでいる。中央ビア434はデバイス410の孔であってもよい。複数の光源426が複数の異なる波長範囲の励起光を中央ビア434を通して伝達するよう配列されている。考え得る一実施例として、光源426は、約3mmの直径及び対応する約7mm2の励起表面領域を有する皮膚の略円形の表面領域を通して励起光を伝達するよう円形の断面を有する中央ビア434を通して皮膚へと励起光を伝達するよう配置されてもよい。5つの検出器428A,428B,428C,428D,及び428Eは円形の断面を有し、検出される光が検出器へと向かう際に通過する皮膚の5つの略円形の表面領域から放射された光を検出するよう位置決めされている。5つの検出表面領域の各々は略円形で、5mmの直径を有しており、したがって検出表面領域の合計は5×19.6mm2=98mm2である。よって、この実施例においては、検出表面領域と励起表面領域との比は13:1よりも僅かに大きい。
【0056】
[0066] 当業者には、上記の実施形態が本発明の範囲を逸脱することなく様々に変更され得ることが明らかであろう。例えば、本発明のデバイス及び方法を実現するためには、1つ以上の光源、1つ以上の検出器、フィルタ、及び/又は光学部品を接続する導光素子の多くの異なる順列又は配置が用いられ得る。例えば、代替的な実施形態は、異なる寸法及び/又は波長を有し得る。実施形態は、有線又は無線の手持ち読み取り装置、無線の皮膚パッチ読み取り装置、ベンチトップ機器、撮像系、スマートフォンの付属品及びアプリケーション、又は開示された光学系及びアルゴリズムを利用する任意の他の構成を含んでもよい。
【0057】
[0067] 本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、監視デバイスは、励起光信号を放射すると同時に放射信号を検出するよう動作可能であってもよい。例えば、そのような監視デバイスの検出器は、開口、遮光素子、フィルタ、光制御フィルムなどを用いて、反射され又は後方散乱する励起光から遮蔽されてもよい。他の実施形態においては、監視デバイスは、ある期間の間は励起光信号を放射し、励起光信号が非活性化された別の期間の間は放射信号を検出するよう動作可能であってもよい。
【0058】
[0068] 場合によっては、組織の光学的不均一性が有意であり得る。したがって、単一の光源及び単一の検出器を利用して、各色が組織を通して同一の光学経路を通過することを保証するのが有利であるかもしれない。一実施形態においては、光源は、一組の可動フィルタとともに、光源と皮膚の表面との間に配置されてもよい。同様に、別々の独立した検出器素子に替えて、単一の受光素子が利用されてもよい。検出器は、複数の波長を測定可能にするよう可動又は可変のフィルタを用いることにより、異なる波長範囲を検出するために用いられ得る。フィルタを変更すること又は移動することは、回転盤、フィルタストリップ、又は他の手段を制御する機械式アクチュエータにより達成されてもよい。代替的には、光学フィルタは、単一の受光素子が複数の波長範囲を検出する役割を果たすことができるよう、電流、電位、温度又は別の制御可能な作用にさらされたときに光学的フィルタリング性を変える材料で覆われていてもよい。
【0059】
[0069] いくつかの実施形態においては、本発明のデバイス及び方法は、ウェハベースのマイクロ光学系を利用する。これらの系はリソグラフィにより創出されるが、低コストで複製できる。この技術は、光学系の層及び検出器がウェハレベルで結合され、その後個々の検出器系に切り分けられることを可能にする。適当な部品は、エッチングされた屈折レンズ、高分子複製された(polymer replicated)屈折レンズ、エッチングされたバイナリレンズ、複製されたバイナリレンズ、複製されたホログラム、及び複製された体積ホログラムを含む。
【0060】
[0070] いくつかの実施形態においては、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器が光学系の不可分の一部として用いられ得る。CMOSセンサの利点は、検出、励起、及びデジタルフィルタリング回路を単一のシリコン片に統合する能力である。最近ではsCMOSという新たな技術が発表され、研究者はCMOS検出器におけるノイズを電荷結合素子(CCD)検出器に匹敵する程度まで大幅に低減することができている。CMOS集積ソリューションの別の利益は、信号に対してロックイン検出及びデジタルフィルタリングを実施して周囲光の影響を低減又は除去する能力である。
【0061】
[0071] 上記では様々な実施形態を説明したが、これらは例としてのみ提示されているものであって限定ではなく、形状及び詳細において様々な変更が行われ得ることが理解されるべきである。本明細書に記載の装置及び/又は方法の任意の部分は、相互排他的な組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。本明細書に記載の実施形態は、記載されている異なる実施形態の機能、構成要素及び/又は特性の様々な組み合わせ及び/又は部分的組み合わせを含んでもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚を通して、組織に埋没されているセンサに、吸収帯内の励起光信号を伝達するように構成された光源であって、前記光源は、前記皮膚に平行に位置決めされるように構成されている、光源と、
前記皮膚に平行に位置決めされるように構成された一つ以上の検出器であって、前記一つ以上の検出器は、前記センサに前記励起光信号が照射されることに応答して前記センサから放射された発光帯内の分析物依存性信号を検出するように構成されている、一つ以上の検出器と、
光制御フィルムと、
前記光制御フィルムと前記一つ以上の検出器との間に配置されているフィルタであって、前記フィルタは、前記吸収帯内の光信号を減衰させるように構成され、前記フィルタは、前記発光帯内の光信号を伝達するように構成され、前記吸収帯内の光信号を減衰するときの前記フィルタの有効性は、入射角の増大に伴って低下し、前記光制御フィルムは、所定の入射角よりも大きな入射角を有する光が前記フィルタに到達するのを抑制するように構成されている、フィルタと、
フィルタと前記一つ以上の検出器との間に配置されているレンズであって、前記レンズは、前記分析物依存性信号の少なくとも一部を前記一つ以上の検出器の少なくとも一つに合焦させるように構成されている、レンズと、
を備える装置。
【請求項2】
前記レンズは、レンズのアレイからのレンズであり、
前記装置は、前記レンズのアレイと前記一つ以上の検出器との間に配置される開口のアレイを更に備える、請求項1の装置。
【請求項3】
前記レンズは、一体形成されたレンズのアレイからのレンズである、請求項1の装置。
【請求項4】
前記開口のアレイからの各開口は、前記レンズのアレイからのレンズの中心と略整列している、請求項2の装置。
【請求項5】
前記フィルタは、ダイクロイックフィルタである、請求項1の装置。
【請求項6】
前記一つ以上の検出器は、開口を定義し、前記光源は、前記開口を通じて前記センサに前記励起光信号を伝達するように構成されている、請求項1の装置。
【請求項7】
前記一つ以上の検出器は、複数の検出器を含み、
前記光源は、前記装置により定義される開口を通じて前記センサに前記励起光信号を伝達するように構成され、
前記複数の検出器は、前記開口を実質的に囲む、請求項1の装置。
【請求項8】
前記フィルタは、第1のフィルタであり、
前記装置は、前記光源により放射される前記励起光信号の前記吸収帯外にある部分を減衰させるように構成された第2のフィルタを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記光制御フィルムは、光制御フィルムの第1の層であり、
前記装置は、前記光制御フィルムの第1の層と前記フィルタとの間に配置される光制御フィルムの第2の層を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記光源は、皮膚の第1の表面領域を通して前記センサに前記励起光信号を伝達するように構成され、
前記一つ以上の検出器は、前記皮膚の第1領域の少なくとも4倍である皮膚の第2領域を通して前記分析物依存性信号を検出するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の装置を含むシステムであって、前記システムは、前記センサを更に備える、システム。
【請求項12】
前記センサは、前記皮膚より下のある深さで前記組織に埋没されており、
前記光源と前記検出器の少なくとも一部との間の距離は、前記深さよりも大きい、請求項11に記載のシステム。

【外国語明細書】