(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112001
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】振動子ホルダー、振動ユニット、及び振動ユニット付き座席
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20230803BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
B06B1/04 S
G06F3/01 560
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096036
(22)【出願日】2023-06-12
(62)【分割の表示】P 2021105510の分割
【原出願日】2017-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】森重 隆司
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、搭載個数を増加することなく振動伝達領域を広くすることができる振動子ホルダー、振動ユニット、及び振動ユニット付き座席を提供する。
【解決手段】振動子ホルダー1は、振動を発生する振動子2を保持して対象者に振動を伝達する。振動子ホルダーは、対象者と対向する位置に伝達部14を備え、伝達部において対象者と対向する対向面1Aの面積が、振動子の振動面213の面積より大きくなるように形成されている。これによれば、振動子ホルダーの対向面の全体を振動させることができる。従って、振動子の振動が伝わる領域が広がり、設置個数を増やさずとも、振動伝達領域を広くすることができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を発生する振動子を保持して対象者に振動を伝達する振動子ホルダーであって、
前記対象者と対向する位置に伝達部を備え、
前記伝達部において前記対象者と対向する対向面の面積が、前記振動子の振動面の面積より大きいことを特徴とする振動子ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子ホルダー、振動ユニット、及び振動ユニット付き座席に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の移動体の事故を低減するために、居眠り運転や漫然運転等の運転者の運転状態を推定し、運転者に対して所定の情報を報知する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、運転者に眠気が発生しているとして判定され、かつ郊外の道路や高速道路など、直線もしくは緩やかなカーブが続いており、交通信号機の間隔が長いような場所を走行していると判定された場合、シートに埋設された振動発生装置による振動発生により、運転者に注意喚起を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、振動発生装置(振動ユニット)を単体で設置した場合、振動が伝わる領域が限定されてしまう懸念があった。即ち、振動伝達領域が限定されてしまう。
【0006】
本発明は、振動子の搭載個数を増加することなく振動伝達領域を広くすることができる振動子ホルダー、振動ユニット、及び振動ユニット付き座席を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の振動子ホルダーは、振動を発生する振動子を保持して対象者に振動を伝達する振動子ホルダーであって、前記対象者と対向する位置に伝達部を備え、前記伝達部において前記対象者と対向する対向面の面積が、前記振動子の振動面の面積より大きいことを特徴とする。
【0008】
請求項7に記載の振動ユニットは、前記振動子と、請求項1~請求項6のうち何れか一項に記載の振動子ホルダーと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項8に記載の振動ユニット付き座席は、請求項7に記載の振動ユニットと、車両に搭載される座席と、を備え、前記振動ユニットは前記座席の緩衝部材内に配設されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例にかかる振動ユニットを備えた振動ユニット付き座席を示す斜視図である。
【
図3】前記振動ユニットの振動子を示す断面図である。
【
図5A】前記振動ユニットの振動子ホルダーを示す正面図である。
【
図5B】前記振動子ホルダーを一方から見た側面図である。
【
図5C】前記振動子ホルダーを他方から見た側面図である。
【
図6A】前記振動子ホルダーのカバーを示す正面図である。
【
図7】前記振動ユニットの分解斜視図であり、一方から順に示す図である。
【
図8】前記振動ユニットの分解斜視図であり、他方から順に示す図である。
【
図9A】前記振動ユニットの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る振動子ホルダーは、振動を発生する振動子を保持して対象者に振動を伝達する振動子ホルダーであって、対象者と対向する位置に伝達部を備え、伝達部において対象者と対向する対向面の面積が、振動子の振動面の面積より大きくなるように形成されている。即ち、振動子を振動子ホルダーに保持させることで、振動子ホルダー全体を振動させることができる。ここで、振動ユニットを単体で設置した場合において、対象者としての例えば着座者の体格差により、振動が伝わる領域が限定される懸念があるが、振動子を振動子ホルダーに保持させることにより、振動子ホルダーの対向面の全体を振動させることができる。従って、振動子の振動が伝わる領域が広がり、振動子の設置個数を増やさずとも、振動伝達領域を広くすることができる。
【0012】
また、伝達部の内部に、リブ構造を備えてもよい。これによれば、振動子ホルダーを、軽量化しつつ、伝達部の強度を向上させることができる。
【0013】
また、リブ構造は、格子状で、振動子の振動方向と略同一方向に立設されていてもよい。これによれば、格子状の各小部屋の大きさを調整することで振動子ホルダーを適切な強度にすることができるため、効率よく振動を伝えることができる。
【0014】
また、リブ構造が、ハニカム構造で、振動子の振動方向と略同一方向に立設されていてもよい。これによれば、ハニカム構造によって振動子ホルダーを適切な強度にすることができるため、効率よく振動を伝えることができる。
【0015】
また、伝達部は、平面形状が、短手方向と長手方向とを有していてもよい。ここで、伝達部の長手方向が、対象者としての例えば着座者の左右方向に直交するように配置することで、振動ユニットによる振動伝達領域を広くしつつ、対象者としての着座者に振動を体感させ易くすることができる。
【0016】
また、伝達部は、当該伝達部の場所により柔軟性が異なるように形成されていてもよい。これによれば、振動子の振動伝達効率を向上させつつ、対象者としての例えば着座者に対する振動子の振動伝達効率を適宜なものにすることができる。
【0017】
本発明の本実施形態に係る振動ユニットは、振動子と、振動子ホルダーと、を備えたものである。
【0018】
本発明の本実施形態に係る振動ユニット付き座席は、振動ユニットと、車両に搭載される座席と、を備え、振動ユニットは座席の緩衝部材内に配設されるものである。これによれば、対象者としての着座者に与える振動ユニットによる違和感や異物感を低減し、目的により心地の良さを向上させることができる。
【0019】
また、座席が、座面と背面とを備え、振動ユニットが、少なくとも一対備えられ、一対の振動ユニットが、座面と背面とのうち少なくとも何れか一方に設けられていてもよい。
【0020】
また、伝達部は、人体構造に考慮した形状に掲載されていてもよい。例えば、肩甲骨の外形に対応した形状となるように形成されていてもよい。これによれば、対象者としての着座者に与える振動ユニットによる違和感や異物感を低減し、目的により心地の良さを向上させることができる。
【0021】
また、一対の振動ユニットが、座席の車幅方向の中心を軸として線対称となる位置に設けられていてもよい。ここで、振動ユニットが左右に一対設けられていた場合には、対象者としての着座者に振動を体感させ易くすることができる。
【0022】
また、一対の振動ユニットが座面に設けられている場合には、伝達部は、その長手方向が車両の前後方向に沿って設けられていてもよい。これによれば、振動ユニットによる振動伝達領域を広くしつつ、対象者としての着座者に振動を体感させ易くすることができる。
【0023】
また、一対の振動ユニットが背面に設けられている場合には、伝達部は、その長手方向が座面に交差して設けられていてもよい。これによれば、振動ユニットによる振動伝達領域を広くしつつ、対象者としての着座者に振動を体感させ易くすることができる。
【実施例0024】
以下、本発明の一実施例について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施例にかかる振動ユニット12、13を備えた振動ユニット付き座席11を示す斜視図である。
図2は、前記振動ユニット12、13を示す斜視図である。
図1に示す振動ユニット付き座席11は、着座面11A(座面)及び背面11Bを有する座席110と、振動ユニット12、13と、不図示の制御手段(CPU)と、を備え、車両の運転席を構成する。
図1等に示す矢印Xは座席110及び車両の前後方向であり、矢印Yは座席110及び車両の車幅方向であり、矢印Zは座席110及び車両の上下方向である。
【0025】
着座面11Aは、
図1に示すように、着座者の臀部及び大腿部を支持するものであって、
図1に示すように、その表面を構成するシート部材111と、シート部材111の内側に設けられる緩衝部材112(クッション部材)等と、を有する。緩衝部材112は、例えばウレタンフォーム等によって構成される。着座面11Aは、着座者(運転者)が着座状態で接触する面である。
【0026】
背面11Bは、
図1に示すように、着座面11Aに対して交差するように延び、
図1に示すようにその表面を構成するシート部材111と、シート部材111の内側に設けられる緩衝部材112(クッション部材)等と、を有する。緩衝部材112は、例えばウレタンフォームによって構成される。背面11Bは、着座者(運転者)の背中と接触する面である。
【0027】
振動ユニット12、13は、
図1に示すように、着座面11A及び背面11Bそれぞれを構成するシート部材111の内側の緩衝部材112内に配設されている。振動ユニット12、13は、本実施例では合計4個設けられている。4個のうち2個の振動ユニット12L、12R(一対の振動ユニット12と記す場合がある)は、着座面11Aを構成するシート部材111の内側の緩衝部材112内に配設され、残り2個の振動ユニット13L、13R(一対の振動ユニット13と記す場合がある)は、背面11Bを構成するシート部材111の内側の緩衝部材112内に配設されている。
図1に示すように、一対の振動ユニット12L、12Rは、座席110の車幅方向(矢印Y方向)の中心Pを軸として線対称となる位置に設けられ、一対の振動ユニット13L、13Rは、座席110の車幅方向(矢印Y方向)の中心Pを軸として線対称となる位置に設けられている。これら4個の振動ユニット12L、12R、13L、13R(振動ユニット12、13)は、略同一の機能乃至略同一の構成を有するものである。
【0028】
図2、
図3に示すように、各振動ユニット12、13は、それぞれ、振動を発生する円盤状の振動子2と、振動子2を保持し着座者(対象者)に振動を伝達する振動子ホルダー1と、を備えている。
【0029】
振動子2は、
図3に示すように、ケース210内に磁気回路220が収容されたものである。ケース210は、背の低い円筒フレーム211の一端側の開口が、中央部に複数の貫通孔212が設けられた円形の第1板壁213で塞がれ、他端側の開口が円形の第2板壁214で塞がれたものである。なお、本実施例において、第1板壁213、第2板壁214は、振動子2の振動面として機能する。以下では、第1板壁213、第2板壁214を振動面213、214と記す場合がある。振動面214の面積は、振動面213の面積よりも大きくなるように形成されている。そして、振動子2は、
図4に示すように、振動面214の面積より、後述する振動子ホルダー1の上面1Aの面積が大きくなるように形成されている。
【0030】
第1板壁213の略中央からは、複数の貫通孔212を囲むように円筒状のボビン215が第2板壁214に向かって立設されており、そのボビン215の外周にボイスコイル216が設けられている。このように、ボイスコイル216は、ボビン215を介して第1板壁213に固定されている。
【0031】
磁気回路220は、各々がリング状のプレート221及びマグネット222と円盤状のヨーク223とを備えている。プレート221及びマグネット222が、ボイスコイル216に対してギャップを開けて同軸に配置されている。プレート221、即ち磁気回路220は、ダンパ230を介して円筒フレーム211の内壁面に、第1板壁213に対する接離方向D1に振動可能に支持されている。
【0032】
ボイスコイル216に交流信号が通電されると、磁気回路220が、第1板壁213に対する接離方向D1に振動する。また、その振動のダンパ230を介した反作用でケース210も振動する。また、ケース210においては、磁気回路220からの反作用を受けるボイスコイル216が固定されている第1板壁213が局部的に振動する。上述したように、本実施例の振動子2は外磁型の磁気回路構成であるが、振動子2の構成はこれに限らず、例えば、内磁型の磁気回路構成であってもよい。
【0033】
振動子ホルダー1は、
図5A~
図5Cに示すように、上面視が楕円形状となるように形成されている。振動子ホルダー1は、上面視が楕円形状となるように形成されたホルダー本体14(伝達部)と、ホルダー本体14に形成された(後述する)凹部16内に振動子2を保持させるためのカバー15と、を備えて構成されている。
図7、
図8に示すように、カバー15はホルダー本体14にボルト8及びナット9を用いて固定されている。
【0034】
このような振動子ホルダー1は、
図5Aに示すように、着座者と対向するシート部材111側の面(対向面、上面1Aと記す場合がある)を有し、上面1Aと反対側の下面1Bに、振動子2を収容可能な凹部16が設けられている。即ち、
図5A、
図5B、
図5Cに示すように、振動子ホルダー1は、上面1Aと、下面1Bと、下面1Bに形成された凹部16と、上面1Aと下面1Bとの間に位置する周面1Cと、を有して扁平な板状に形成されている。上面1Aは上方に向けて凸の曲面を有している。下面1Bは、凹部16を除く面が、後述するリブ構造(ハニカム構造)の下端が同一平面上に位置するように形成されている。周面1Cは、下面1Bの周縁から立設され、角部を有さない滑らかな曲面により上面1Aに連続されている。また、振動ユニット12、13は、振動子2を収容する振動子ホルダー1の凹部16が、着座者から離れた側に位置するように、緩衝部材112の内部に配置されている。なお、本実施例の振動子ホルダー1は、アクリルで構成されているが、アクリル以外の材質として、ポリカーボネイトやポリプロピレン等の合成樹脂を用いてもよいし、リチウム合金等の軽量な金属を用いてもよい。
【0035】
ホルダー本体14は、
図2、
図8に示すように、凹部16を除く部分がハニカム構造となるように、内部に、上面1A側を基端とするリブ構造(ハニカム構造17)を有している。本実施例では、リブ構造は、ハニカム構造17である。ハニカム構造17は、上面1A側を基端とし、下方に向けて立設された隔壁17Aにより、平面視が正六角形となるような複数の小部屋170を有して構成されている。即ち、各小部屋170は、下面1B側が開口するような隔壁17Aから構成され、下端が同一平面上に位置するように形成されている。
【0036】
凹部16は、ホルダー本体14の楕円形状の中心を中心点P0とする平面視が略円形状の凹状となるように形成されている。
【0037】
カバー15は、
図6A~
図6Cに示すように、中心部が円形状の開口18Aを有するカバー本体18と、カバー本体18の4隅から延出される延出部19と、を有している。延出部19は、ボルト8が挿通される挿通孔19aを有している。
図7、
図8に示すように、凹部16に振動子2が収容された状態で、挿通孔19aにボルト8が挿通され、ナット9がホルダー本体14の挿入凹部14aに挿入され、カバー15が、ホルダー本体14にボルト固定されることで、振動子2がホルダー本体14に支持されるように構成されている。振動子2がホルダー本体14に支持された状態で、カバー15の開口18Aから、振動子2の振動面213が露出されている。
【0038】
このような各一対の振動ユニット12、13は、一対の振動ユニット12が、座席110の座面11A(着座面11A)において、車幅方向(左右方向)の中心Pを軸として線対称と成る位置に設けられているとともに、その長手方向が、車両の前後方向に沿うように設けられている。また、一対の振動ユニット13は、座席110の背面11Bにおいて、車幅方向(左右方向)の中心Pを軸として線対称と成る位置に設けられているとともに、その長手方向が、座面に対して交差(直交)する方向に沿うように設けられている。
【0039】
制御手段は、振動ユニット12、13の振動子2に流す電流を制御することにより、各振動子2の振動を独立に制御する。制御手段は、例えば、着座者に装着される心拍センサと、振動子2を制御する制御部と、振動を増幅するためのアンプと、を備え、例えば、運転者たる着座者が漫然と運転しているような場合に、振動子2を振動させることでその旨を報知する制御を行う。このように、振動ユニット12、13が複数の振動子2を備え、各振動子2を独立に振動させることにより、着座者に伝達する情報パターンを増加させることができる。
【0040】
本発明の実施例に係る振動子ホルダー1は、振動を発生する振動子2を保持して使用者(対象者)に振動を伝達するものであって、例えば使用者(対象者)と対向する位置にホルダー本体14(伝達部)を備え、ホルダー本体14(伝達部)において対象者と対向する上面1A(対向面)の面積が、振動子2の振動面213、214の面積より大きくなるように形成されている。即ち、振動子2を振動子ホルダー1に保持させることで、振動子ホルダー1全体を振動させることができる。ここで、振動ユニットを単体で設置した場合において、対象者としての着座者の体格差により、振動が伝わる領域が限定される懸念があるが、振動子ホルダー1全体を振動させることで、振動が伝わる領域が広がり、振動子の設置個数を増やさずとも、振動伝達領域を広くしつつ、振動子2の振動を体感させ易くすることができる。
【0041】
また、本発明の本実施例に係る振動ユニット付き座席11は、振動ユニット12、13と、車両に搭載される座席110と、を備え、振動ユニット12、13は座席110の緩衝部材112内に配設されるものである。これによれば、着座者に与える振動ユニット12、13による違和感や異物感を低減し、心地の良さを向上させることができる。
【0042】
また、ホルダー本体14(伝達部)の内部に、リブ構造(ハニカム構造17)を備えている。これによれば、振動子ホルダー1を軽量化しつつ、ホルダー本体14(伝達部)の強度を向上させることができる。
【0043】
また、リブ構造が、ハニカム構造17である。これによれば、ハニカム構造17の各小部屋170の大きさを調整することでホルダー本体14を適切な強度にすることができるため、効率よく振動を伝えることができる。
【0044】
本実施例では、リブ構造は、ハニカム構造17であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、リブ構造は、ホルダー本体14(伝達部)の内部に位置して、振動子2の振動方向D1と略同一方向に立設される格子状(格子構造)に形成されていてもよく、或いは、ホルダー本体(伝達部)は、リブ構造として、ハニカム構造と格子構造とが入り混じった複数の構造を内部に有していてもよい。これによれば、リブ構造がハニカム構造である場合と略同様の効果が奏される。または、リブ構造は、上面1Aを基端として下方に突出して設けられ、長手方向(または短手方向)に延在し互いに対向する複数の突条部から構成されていてもよい。または、リブ構造は、上面1Aを基端とし下方に突出する複数の凸部を有して散点状に設けられていてもよい。
【0045】
また、ホルダー本体14(伝達部)は、平面形状が、短手方向と長手方向とを有している。ここで、ホルダー本体14(伝達部)が車幅方向(矢印Y方向)に一対設けられていた場合には、長手方向同士が平行となるように配置することで、対象者としての着座者の体格差によらず、振動ユニット12、13による振動伝達領域を広くすることができる。
【0046】
また、一対の振動ユニット12、13が、座席110の車幅方向の中心Pを軸として線対称となる位置に設けられている。ここで、各振動ユニット12、13の各ホルダー本体14(伝達部)が車幅方向(矢印Y方向)に一対設けられていた場合には、着座者の体格差によらず、各振動ユニット12、13による振動伝達領域を広くすることができる。
【0047】
また、一対の振動ユニット12、13が座面11Aに設けられ、振動ユニット12のホルダー本体14(伝達部)は、その長手方向が車両の前後方向(矢印X方向)に沿って設けられている。これによれば、着座者の体格差によらず、振動ユニット12、13による振動伝達領域を広くすることができる。
【0048】
また、一対の振動ユニット13が背面11Bに設けられ、ホルダー本体14(伝達部)は、その長手方向が座面11Aに交差(直交)して設けられている。これによれば、着座者の体格差によらず、振動ユニット12、13による振動伝達領域を広くすることができる。
【0049】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形例も本発明に含まれる。
【0050】
また、前記実施例では、振動子ユニット12(13)は、振動子ホルダー1におけるホルダー本体14(伝達部)の下面1Bが、楕円形状となるように形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
図9A、
図9Bに示すように、振動子ユニット22
(23)において、振動子ホルダー101は、平面視が略長方形状と成るように形成された曲面から成る上面101Aと、長方形状となるように形成された下面101Bと、下面101Bに形成された凹部16と、上面1Aと下面1Bとの間に位置するとともに下面101Bの長辺から立ち上がる周面101Cと、下面101Bの短辺から立ち上がる略円弧状の周面101Dと、を備えていてもよい。即ち、ホルダー本体14(伝達部)は、平面形状が、短手方向と長手方向とを有するように形成されていてもよい。なお、
図9A、
図9Bにおいて、前記実施例と略同一機能乃至略同一構成を有する部材には、同一符号を付して、説明を省略する。
【0051】
また、振動ユニット13のホルダー本体14(伝達部)は、人体構造を考慮した形状に形成されていてもよい。例えば、肩甲骨の外形に対応した形状となるように形成されていてもよい。これによれば、対象者としての着座者に与える振動ユニット12、13による違和感や異物感を低減し、心地の良さを向上させることができる。
【0052】
ここで、振動ユニットを単体で座席110の緩衝部材112内に搭載した場合には、座席110の緩衝部材112が弾性を有しているため振動伝達にロスが発生する場合があるが、例えば、振動子ホルダー1を二色成形にして、下面1B側は硬く、上面1A側は柔軟性を有するような樹脂を含む材料から形成することで、振動子ホルダー1を変換器(トランスジューサー)として機能させることができ、振動伝達効率の向上を図ることができる。または、振動子ホルダー1は、上面1A側が硬く、下面1Bに向かうにしたがって徐々に柔軟性が増すように変化するように構成されていてもよい。即ち、求められる性能や目的に応じて、振動子ホルダー1は、場所により柔軟性が異なるように形成してもよい。これによれば、振動子2の振動伝達効率を向上させつつ、心地の良さを確保することができる。
【0053】
前記実施例において、ホルダー本体14は、内部に、上面1Aを基端とするリブ構造を有している。ここで、例えば、リブ構造の出寸法を調整することで、振動子2の振動を伝達し易いように、振動強度(振動子強度)を調整してもよい。
【0054】
また、前記実施例において、振動ユニット12、13は、本実施例では合計4個設けられている。4個のうち2個の振動ユニット12(一対の振動ユニット12)は、着座面11Aを構成するシート部材111の内側の緩衝部材112内に配設され、残り2個の振動ユニット13(一対の振動ユニット13)は、背面11Bを構成するシート部材111の内側の緩衝部材112内に配設されているが、本発明はこれに限定されるものではない。振動ユニット12、13は、着座面11Aと背面11Bのうち何れか一方のみに設けられていてもよい。
【0055】
また、前記実施例において、カバー15は、ホルダー本体14にボルト固定されることで、振動子2がホルダー本体14に支持されるように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。ホルダー本体14の凹部16の周面にカバー15を回転させる溝を切って、カバー15を回転させることでホルダー本体14に固定するように構成させてもよい。
【0056】
また、前記実施例において、一対の振動ユニット12が、座席110の着座面11A(座面)において、車幅方向(左右方向)の中心Pを軸として線対称と成る位置に設けられているとともに、その長手方向が、車両の前後方向に沿うように設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。一対の振動ユニット12は、座席110の着座面11A(座面)において、車幅方向(左右方向)の中心Pを軸として線対称と成る位置に設けられているとともに、前端から後端(後端から前端)に向かうにしたがって、車幅方向(左右方向)の離間寸法が大きくなるようなハの字型または逆ハの字型に配置されていてもよい。同様に、一対の振動ユニット13は、座席110の背面11Bにおいて、車幅方向(左右方向)の中心Pを軸として線対称と成る位置に設けられているとともに、その長手方向が、前端から後端(後端から前端)に向かうにしたがって、車幅方向(左右方向)の離間寸法が大きくなるようなハの字型または逆ハの字型に配置されていてもよい。
【0057】
また、前記実施例では、振動ユニット12、13(振動ユニット)が、車両の座席110に用いられる一例を説明していたが、本発明はこれに限定されるものではない。振動ユニットは、車両以外の座席、例えば映画館や劇場の座席、或いは、マッサージ用椅子に用いられていてもよい。
【0058】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び、目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。