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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112083
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】脳血管系を保護するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/01 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
A61F2/01
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101827
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2021509826の分割
【原出願日】2019-08-21
(31)【優先権主張番号】62/720,816
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハミル、ホイッテーカー イアン
(72)【発明者】
【氏名】ユアン、シー-ション アルバート
(72)【発明者】
【氏名】ファイファー、ダニエル ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ブレーザー、デイビッド ジェイ.
(57)【要約】
【課題】血液を濾過するための医療デバイスに関する。
【解決手段】体液を濾過するための血管フィルタおよびデフレクタならびに方法。血液濾過アセンブリは、材料が脳血管系に入るのを阻止または防止するために、血管内手技中に取り除かれたまたは生成された塞栓材料を捕獲することができる。血液偏向アセンブリは、血管内手技中に取り除かれたまたは生成された塞栓材料が脳血管系に入るのを阻止または防止するために、材料を偏向させることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の脳血管系を分離するための塞栓保護システムであって、
前記身体の外部に残るように構成された近位部分と、遠位部分と、を有する第1の保護デバイスであって、前記遠位部分が、
近位シースと、
径方向において前記近位シース内に位置する近位自己拡張フィルタ・アセンブリと、
遠位シースと、
径方向において前記遠位シース内に位置する遠位自己拡張フィルタ・アセンブリと
を備える、前記第1の保護デバイスと、
前記身体の外部に残るように構成された近位部分と、遠位部分と、を有する第2の保護デバイスであって、前記遠位部分が、
外側シースと、
径方向において前記外側シース内に位置する内側管状部材と、
径方向において前記内側管状部材内に位置するワイヤと、
径方向において前記内側管状部材内に位置するピグテール・カテーテルと、
径方向において前記外側シース内に位置するとともに前記ワイヤに対して結合された第3のフィルタ・アセンブリと
を備える、前記第2の保護デバイスと、
を備える塞栓保護システム。
【請求項2】
前記第2の保護デバイスの前記第3のフィルタ・アセンブリが、その遠位端から近位端まで延びる内腔を画定する略管状の自己拡張本体部分を有する、請求項1に記載の塞栓保護システム。
【請求項3】
前記略管状の自己拡張本体部分が左鎖骨下動脈の口の上に位置決めされるように構成される、請求項2に記載の塞栓保護システム。
【請求項4】
前記ワイヤが、前記第3のフィルタ・アセンブリの遠位端に隣接する前記第3のフィルタ・アセンブリの一部へと織られる、請求項1に記載の塞栓保護システム。
【請求項5】
前記第3のフィルタ・アセンブリのフィルタ要素の遠位縁が前記ワイヤ上で近位に折り畳まれる、請求項4に記載の塞栓保護システム。
【請求項6】
前記ワイヤが、前記第3のフィルタ・アセンブリの遠位端に対して結合された遠位端を各々が有する複数のワイヤを備える、請求項1に記載の塞栓保護システム。
【請求項7】
前記複数のワイヤの近位作動が、前記第3のフィルタ・アセンブリを反転させるように構成される、請求項6に記載の塞栓保護システム。
【請求項8】
前記ワイヤが、第1の拡張構成において前記外側シースの外部にある第1の断面寸法と第2の圧壊構成において前記外側シース内にある第2の断面寸法とを有する拡張可能な支持構造を形成するために前記第3のフィルタ・アセンブリへと織り交ぜられ、前記第2の断面寸法が前記第1の断面寸法よりも小さい、請求項1に記載の塞栓保護システム。
【請求項9】
前記ピグテール・カテーテルが、前記拡張可能な支持構造の前記第2の断面寸法よりも大きい外側寸法を有する、請求項8に記載の塞栓保護システム。
【請求項10】
前記ピグテール・カテーテルの遠位端は、前記拡張可能な支持構造が前記外側シース内で前記第2の圧壊構成であるとき、前記拡張可能な支持構造に係合するように構成される、請求項9に記載の塞栓保護システム。
【請求項11】
前記第3のフィルタ・アセンブリが、拡張可能な支持構造とフィルタ要素とを含む、請求項1に記載の塞栓保護システム。
【請求項12】
前記拡張可能な支持構造が複数の長手方向に延びる脚を備え、前記フィルタ要素が、前記フィルタ要素の遠位端に隣接する前記複数の長手方向に延びる脚に対して結合される、請求項11に記載の塞栓保護システム。
【請求項13】
前記拡張可能な支持構造が、第1の長手方向に延びる脚と、第2の長手方向に延びる脚と、第1の部分と第2の部分とを有する支持リングと、前記支持リングの前記第1の部分および前記第2の部分を前記第1の長手方向に延びる脚および前記第2の長手方向に延びる脚に対して移動的に結合するヒンジのペアとを備える、請求項11に記載の塞栓保護システム。
【請求項14】
前記支持リングが、前記フィルタ要素の遠位端に隣接する前記フィルタ要素に対して結合される、請求項13に記載の塞栓保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概して、本開示は、血液を濾過するための医療デバイスに関する。より詳細には、いくつかの実施形態では、血管内手技または心臓手技中に取り除かれた塞栓、デブリなどから脳動脈を保護するための方法ならびにフィルタおよびデフレクタのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
酸素化した血液を脳へ運ぶ4つの動脈、すなわち、右椎骨動脈および左椎骨動脈、ならびに右総頸動脈および左総頸動脈がある。人体上で遂行される種々の手技、たとえば、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)、大動脈弁形成術、頸動脈ステント術、左心耳の閉鎖、僧帽弁輪形成術、僧帽弁置換術、僧帽弁修復術、胸部血管内大動脈修復術(TEVAR)などは、ネイティブ材料または異物材料を生じさせるおよび/または取り除くことができ、その取り除かれた物体は、とりわけ、脳動脈のうちの1つまたは複数へと進み、脳卒中を招き得る。したがって、無名動脈、右鎖骨下動脈、右腕頭動脈、右総頸動脈、左椎骨動脈、および左鎖骨下動脈を大動脈弓分枝または前記動脈の分枝で濾過することは、取り除かれた材料が脳エリアへ移行するのを防止するのに有用であることがある。
【0003】
脳卒中、肺塞栓症、末梢血栓症、アテローム性動脈硬化症などの血栓塞栓疾患は、多くの人々を冒す。これらの疾患は、米国内および世界全体における罹患率および死亡率の主な原因である。血栓塞栓イベントは、血液血管の閉塞によって特徴づけられる。閉塞は、粘弾性またはゼリー状であり血小板とフィブリノーゲンと他の凝固タンパク質とを備える血餅によって引き起こされ得る。
【0004】
経皮的大動脈弁置換術手技は普及しているが、この手技に関連する脳卒中率は2から20パーセントである。カテーテル送達および弁植え込み中、プラークまたは他の材料が、血管系から取り除かれることがあり、頸動脈循環を通って脳へと進むことがある。動脈が血餅または他の塞栓材料によって閉塞されるとき、組織虚血(酸素および栄養素の欠如)が発症する。閉塞が持続する場合、虚血は組織梗塞(細胞死)へ進行する。血液の流れが迅速に再確立された場合、梗塞は、発症しない、または大きく制限される。血流を再確立できないことが、四肢の喪失、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、または死亡にすらつながり得る。
【0005】
血流を再確立することと、血栓の除去は、非常に望ましい。妨害する材料を除去または溶解させる外科的技法および薬物が開発されてきたが、被験者に手術を受けさせることは、外傷となることがあり、可能であるときは避けるのが最善である。追加として、いくつかのデバイスの使用は、異物を取り除く、カテーテルが操作されているときに血管の内部裏層を損傷する、血液抗凝固(blood thinning)リスクなどのリスクを伴う。
【0006】
脳循環へデブリが入ることを防止するために、さまざまな濾過デバイスまたは偏向デバイスが提案されている。いくつかは、腕頭動脈および左総頸動脈のみを分離するが、他は、一般的には複数のカテーテルの使用を通じて、追加として左鎖骨下動脈を分離することがある。他は、単一のカテーテルから、脳循環につながる3つの動脈すべてを分離すると言われるが、このカテーテルは大腿動脈を介して導入され、どれも、採用を達成していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、単純で単一のカテーテルが、好ましくは大腿動脈以外のアクセス・ポイントから、完全な脳循環の血管内分離を可能にすることが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、3つの血管脳保護システムを提供する。
第1の例では、脳血管系を分離するための塞栓保護システムは、身体の外部に残るように構成された近位部分と、遠位部分とを有する第1の保護デバイス、ならびに、身体の外部に残るように構成された近位部分と、遠位部分とを有する第2の保護デバイスを備えることがある。第1の保護デバイスの遠位部分は、近位シースと、この近位シース内の径方向に近位自己拡張フィルタ・アセンブリと、遠位シースと、この遠位シース内の径方向に遠位自己拡張フィルタ・アセンブリとを備えることがある。第2の保護デバイスの遠位部分は、外側シースと、この外側シース内の径方向に内側部材と、外側シース内の径方向に、内側部材に対して結合された第3のフィルタ・アセンブリとを備えることがある。
【0009】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、内側部材は、ワイヤを備えることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第2の保護デバイスの第3のフィルタ・アセンブリは、その遠位端から近位端まで延びる内腔を画定する略管状の自己拡張本体部分を有することがある。
【0010】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、略管状の本体部分は、左鎖骨下動脈の口の上に位置決めされる(positioned over)ように構成されることがある。
【0011】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、ワイヤは、第3のフィルタ・アセンブリの遠位端に隣接する第3の自己拡張フィルタ・アセンブリへと織られることがある。
【0012】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第3のフィルタ・アセンブリのフィルタ要素の遠位縁は、ワイヤ上で近位に折り畳まれることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、ワイヤは、第3のフィルタ・アセンブリの遠位端に対して結合された遠位端を各々が有する複数のワイヤを備えることがある。
【0013】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、複数のワイヤの近位作動は、第3のフィルタ・アセンブリを反転させるように構成されることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、ワイヤは、第1の拡張構成において外側シースの外部にある第1の断面寸法と第2の圧壊構成(collapsed configuration)において外側シース内にある第2の断面寸法とを有する拡張可能な支持構造を形成するために第3のフィルタ・アセンブリへと織り交ぜられることがあり、第2の断面寸法は、第1の断面寸法よりも小さい。
【0014】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、塞栓保護システムは、外側シース内で径方向に血管造影カテーテルをさらに備えることがあり、この血管造影カテーテルは、拡張可能な支持構造の第2の断面寸法よりも大きい外側寸法を有する。
【0015】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、血管造影カテーテルの遠位端は、拡張可能な支持構造が外側シース内で第2の圧壊構成であるとき、拡張可能な支持構造を係合するように構成されることがある。
【0016】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第3のフィルタ・アセンブリは、拡張可能な支持構造と、フィルタ要素とを備えることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、拡張可能な支持構造は、複数の長手方向に延びる脚を備えることがあり、フィルタ要素は、フィルタ要素の遠位端に隣接する複数の長手方向に延びる脚に対して結合される。
【0017】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、拡張可能な支持構造は、第1の長手方向に延びる脚と、第2の長手方向に延びる脚と、第1の部分と第2の部分とを有する支持リングと、この支持リングの第1の部分および第2の部分を第1の長手方向に延びる脚および第2の長手方向に延びる脚に対して移動的に(movingly)結合するヒンジのペアとを備えることがある。
【0018】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、支持リングは、フィルタ要素の遠位端に隣接するフィルタ要素に対して結合されることがある。
別の例では、脳血管系を分離するための塞栓保護システムは、身体の外部に残るように構成された近位部分と、遠位部分とを有する第1の保護デバイス、ならびに、身体の外部に残るように構成された近位部分と、遠位部分とを有する第2の保護デバイスを備えることがある。第1の保護デバイスの遠位部分は、近位シースと、この近位シース内の径方向に近位自己拡張フィルタ・アセンブリと、遠位シースと、この遠位シース内の径方向に遠位自己拡張フィルタ・アセンブリとを備えることがある。第2の保護デバイスの遠位部分は、外側シースと、この外側シース内の径方向にワイヤと、外側シース内の径方向に、ワイヤに対して結合された第3のフィルタ・アセンブリとを備えることがある。
【0019】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第2の保護デバイスの第3のフィルタ・アセンブリは、その遠位端から近位端まで延びる内腔を画定する略管状の自己拡張本体部分を有することがある。
【0020】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、略管状の本体部分は、左鎖骨下動脈の口の上に位置決めされるように構成されることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、ワイヤは、第3のフィルタ・アセンブリの遠位端に隣接する第3の自己拡張フィルタ・アセンブリへと織られることがある。
【0021】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第3のフィルタ・アセンブリのフィルタ要素の遠位縁は、ワイヤ上で近位に折り畳まれることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、ワイヤは、第3のフィルタ・アセンブリの遠位端に対して結合された遠位端を各々が有する複数のワイヤを備えることがある。
【0022】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、複数のワイヤの近位作動は、第3のフィルタ・アセンブリを反転させるように構成されることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、ワイヤは、第1の拡張構成において外側シースの外部にある第1の断面寸法と第2の圧壊構成において外側シース内にある第2の断面寸法とを有する拡張可能な支持構造を形成するために第3のフィルタ・アセンブリへと織り交ぜられることがあり、第2の断面寸法は、第1の断面寸法よりも小さい。
【0023】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、塞栓保護システムは、外側シース内で径方向に血管造影カテーテルをさらに備えることがあり、この血管造影カテーテルは、拡張可能な支持構造の第2の断面寸法よりも大きい外側寸法を有することがある。
【0024】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、血管造影カテーテルの遠位端は、拡張可能な支持構造が外側シース内で第2の圧壊構成であるとき、拡張可能な支持構造を係合するように構成されることがある。
【0025】
別の例では、脳血管系を分離するための塞栓保護システムは、身体の外部に残るように構成された近位部分と、遠位部分とを有する第1の保護デバイス、ならびに、身体の外部に残るように構成された近位部分と、遠位部分とを有する第2の保護デバイスを備えることがある。第1の保護デバイスの遠位部分は、近位シースと、この近位シース内の径方向に近位自己拡張フィルタ・アセンブリと、遠位シースと、この遠位シース内の径方向に遠位自己拡張フィルタ・アセンブリとを備えることがある。第2の保護デバイスの遠位部分は、外側シースと、この外側シース内の径方向に内側部材と、外側シース内の径方向に、内側部材の遠位端に対して結合された第3のフィルタ・アセンブリであって、拡張可能な支持構造と、フィルタ要素とを含む、第3のフィルタ・アセンブリとを備えることがある。
【0026】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、拡張可能な支持構造は、複数の長手方向に延びる脚を備えることがあり、フィルタ要素は、フィルタ要素の遠位端に隣接する複数の長手方向に延びる脚に対して結合される。
【0027】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、拡張可能な支持構造は、第1の長手方向に延びる脚と、第2の長手方向に延びる脚と、第1の部分と第2の部分とを有する支持リングと、この支持リングの第1の部分および第2の部分を第1の長手方向に延びる脚および第2の長手方向に延びる脚に対して移動的に結合するヒンジのペアとを備えることがある。
【0028】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、支持リングは、フィルタ要素の遠位端に隣接するフィルタ要素に対して結合されることがある。
別の例では、脳血管系を分離するための塞栓保護システムは、身体の外部に残るように構成された近位部分と、遠位部分とを有する第1の保護デバイス、ならびに、身体の外部に残るように構成された近位部分と、遠位部分とを有する第2の保護デバイスとを備えることがある。第1の保護デバイスの遠位部分は、近位シースと、この近位シース内の径方向に近位自己拡張フィルタ・アセンブリと、遠位シースと、この遠位シース内の径方向に遠位自己拡張フィルタ・アセンブリとを備えることがある。第2の保護デバイスの遠位部分は、外側シースと、この外側シースの遠位端に対して結合され、この遠位端から遠位に延びる第3のフィルタ・アセンブリであって、拡張可能な支持構造と、フィルタ要素とを含む、第3のフィルタ・アセンブリとを備えることがある。
【0029】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、拡張可能な支持構造は、複数の脚と、遠位リングと、プル・ワイヤとを備えることがあり、複数の脚の各脚の遠位端は、遠位リングに対して結合されることがあり、複数の脚の各脚の近位端は、外側シースの遠位端に対して結合されることがある。
【0030】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、プル・ワイヤの遠位端は、遠位リングに対して結合されることがあり、プル・ワイヤの近位作動は、外側シースに対して遠位リングを近位に変位させ、フィルタ要素を拡張するために径方向外側に複数の脚を偏向させるように構成されることがある。
【0031】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、拡張可能な支持構造は、長手方向に延びる脚と、遠位輪とを備えることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、塞栓保護システムは、長手方向に延びる脚の近位部分に対して結合された径方向内側に延びる展開部材と、長手方向に延びる脚の近位部分に対して結合されたプル・ワイヤとをさらに備えることがある。
【0032】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、プル・ワイヤの近位部分は、外側シースと内側ライナとの間に設置されることがある。
別の例では、塞栓材料が脳血管系に入るのを阻止する方法は、第1のフィルタと第2のフィルタとを備える第1のフィルタ・システムを展開する工程を備えることがある。第1のフィルタ・システムを展開する工程は、第1のフィルタを腕頭動脈内で展開する工程と、第2のフィルタを左総頸動脈内で展開する工程とを備えることがある。方法は、外側シースと第3のフィルタとを含む第2のフィルタ・システムを展開する工程をさらに備えることがある。第2のフィルタ・システムを展開する工程は、第3のフィルタを左鎖骨下動脈内で展開する工程を備えることがある。方法は、第3のフィルタの中心内腔を通して血管形成カテーテルを前進させる工程と、第3のフィルタを外側シースへと再び覆う工程とをさらに備えることがある。
【0033】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、血管形成カテーテルを前進させる工程は、第3のフィルタを展開することがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第3のフィルタを再び覆う工程は、外側シースを前進させる工程を備えることがある。
【0034】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第3のフィルタを再び覆う工程は、第3のフィルタを反転させる工程を備えることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第3のフィルタを反転させる工程は、第3のフィルタの遠位部分に対して取り付けられたプル・ワイヤを引っ張る工程を備えることがある。
【0035】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第3のフィルタは、外側シースを通って延びる内側シャフトに対して装着されることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、血管形成カテーテルを前進させる工程は、内側シャフトを通して血管形成カテーテルを前進させる工程を備えることがある。
【0036】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第2のフィルタ・システムは、拡張可能な構造を第3のフィルタの近位部分において備えることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、方法は、拡張可能な構造を、拡張可能な構造の内径が血管形成カテーテルの外径よりも小さい圧壊構成から、拡張可能な構造の内径が血管形成カテーテルの外径よりも大きい拡張構成に拡張する工程をさらに備えることがある。
【0037】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第3のフィルタは、血管形成カテーテルを用いて支持されることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第2のフィルタ・システムは、第3のフィルタの中心内腔へと延びる突出部を備えることがある。
【0038】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第3のフィルタを展開する工程は、突出部に対して血管形成カテーテルを前進させる工程を備えることがある。
別の例では、塞栓材料が脳血管系に入るのを阻止するためのシステムは、腕頭動脈内で展開されるように構成された第1のフィルタと左総頸動脈内で展開されるように構成された第2のフィルタとを備える第1のフィルタ・システムと、外側シースから展開されるように構成された第3のフィルタを備える第2のフィルタ・システムと、この第2のフィルタ・システムを通って前進されるように構成された血管形成カテーテルとを備えることがある。
【0039】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、システムは、第3のフィルタの遠位部分に対して取り付けられたプル・ワイヤをさらに備えることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、システムは、外側シースを通って延びる内側シャフトをさらに備えることがあり、第3のフィルタは、内側シャフトに対して装着される。
【0040】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第2のフィルタ・システムは、拡張可能な構造を第3のフィルタの近位部分において備えることがあり、この拡張可能な構造は、拡張可能な構造の内径が血管形成カテーテルの外径よりも小さい圧壊構成から、拡張可能な構造の内径が血管形成カテーテルの外径よりも大きい拡張構成へ拡張されるように構成される。
【0041】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、第2のフィルタ・システムは、第3のフィルタの中心内腔へと延びる突出部を備えることがある。
別の例では、3つの血管脳保護カテーテルは、近位端と遠位端とを有する細長い可撓性の管状シースと、このシースを通って延びる内側部材と、フィルタ・アセンブリとを備えることがある。フィルタ・アセンブリは、内側部材とシースとの間に載せられるフィルタ膜と、大動脈の壁に対して膜を密閉するように構成された大動脈支持輪とを備えることがある。フィルタ・アセンブリは、フィルタ・アセンブリの遠位部分が左鎖骨下動脈内で拡張され、膜を露出させるためにシースが後退されるとき、腕頭動脈、左総頸動脈、および左鎖骨下動脈から大動脈を分離するように構成されることがある。
【0042】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、フィルタ・アセンブリは、大動脈支持輪を補強するために構造要素をさらに備えることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、フィルタ・アセンブリは、左鎖骨下内で拡張されるように構成された遠位フィルタ要素を備えることがある。
【0043】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、遠位フィルタ要素は、フレームを備えることがあり、このフレームは、支持コネクタによって大動脈支持輪に対して接続される。
【0044】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、展開されるとき、大動脈支持輪は、大動脈から左鎖骨下動脈まで延びるような角度にされることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、フィルタ・アセンブリは、フィルタ・アセンブリの遠位部分を左鎖骨下動脈内で係止するように構成された遠位アンカーを備えることがある。
【0045】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、フィルタ・アセンブリは、大動脈支持輪からフィルタ・アセンブリの遠位部分まで延びる支持脚をさらに備えることがある。
【0046】
別の例では、塞栓材料が脳血管系に入るのを阻止する方法は、外側シースとフィルタとを備えるフィルタ・システムを展開する工程を備えることがあり、フィルタ・システムを展開する工程は、左鎖骨下動脈内のフィルタを展開する工程を備える。方法は、フィルタの中心内腔を通して血管形成カテーテルを前進させる工程と、フィルタを外側シースへと再び覆う工程とをさらに備えることがある。
【0047】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、血管形成カテーテルを前進させる工程は、フィルタを展開することがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、フィルタを再び覆う工程は、外側シースを前進させる工程を備えることがある。
【0048】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、フィルタを再び覆う工程は、フィルタを反転させる工程を備えることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、フィルタを反転させる工程は、フィルタの遠位部分に対して取り付けられたプル・ワイヤを引っ張る工程を備えることがある。
【0049】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、フィルタは、外側シースを通って延びる内側シャフトに対して装着されることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、血管形成カテーテルを前進させる工程は、内側シャフトを通して血管形成カテーテルを前進させる工程を備えることがある。
【0050】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、フィルタ・システムは、拡張可能な構造をフィルタの近位部分において備えることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、方法は、拡張可能な構造を、拡張可能な構造の内径が血管形成カテーテルの外径よりも小さい圧壊構成から、拡張可能な構造の内径が血管形成カテーテルの外径よりも大きい拡張構成へ拡張する工程をさらに備えることがある。
【0051】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、方法は、血管形成カテーテルを用いてフィルタを支持する工程をさらに備えることがある。
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、フィルタ・システムは、フィルタの中心内腔へと延びる突出部を備えることがある。
【0052】
上記の例のいずれかの代替または追加として、別の例では、フィルタを展開する工程は、突出部に対して血管形成カテーテルを前進させる工程を備えることがある。
例示的な実施形態の上記の概要は、本開示の各開示された実施形態またはあらゆる実装形態について説明することを意図したものではない。
【0053】
本発明は、添付の図面とともに種々の実施形態の以下の詳細な説明に鑑みて、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】大動脈弓の概略図。
図2】保護デバイスの第1の実施形態を示す図。
図3】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図4】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図5】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図6】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図7】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図8】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図9】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図10】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図11】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図11A】第1の構成をとる、図11の保護デバイスの一部分の拡大図。
図11B】第2の構成をとる、図11の保護デバイスの一部分の拡大図。
図11C】第3の構成をとる、図11の保護デバイスの端面図。
図11D】代替的な第3の構成をとる、図11の保護デバイスの端面図。
図12A】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図12B】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図12C】圧壊構成をとる、図12Aの保護デバイスを示す図。
図13A】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図13B】線13B-13Bにおける、図13Aの保護デバイスの断面図。
図13C】線13C-13Cにおける、図13Aの保護デバイスの断面図。
図14】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図15】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図16】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図17】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
図18】保護デバイスの別の代替実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明は、種々の修正形態および代替形態に従うが、その細部は、図面に例として図示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明の態様を、説明される特定の実施形態へ限定することではないことが理解されるべきである。反対に、その意図は、本発明の趣旨および範囲内に入る、すべての修正形態、等価物、および代替物を包含することである。
【0056】
以下の定義される用語に関して、これらの定義は、特許請求の範囲または本願明細書の他の箇所において異なる定義が与えられない限り、適用されるものとする。
すべての数値は、本願明細書では、明示的に表されるにせよ表されないにせよ、「約」という用語によって修飾されると仮定される。「約」という用語は、一般に、列挙された値に等しい(すなわち、同じ機能または結果を有する)と当業者が考慮するであろう数の範囲を指す。多くの事例では、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められる数を含むと表すことがある。
【0057】
終点による数範囲の列挙は、その範囲内のすべての数を含む(たとえば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
種々の構成要素、特徴および/または仕様に関連するいくつかの適切な寸法範囲および/または値が開示されているが、本開示によって教唆される当業者は、所望の寸法、範囲および/または値が、明白に開示されているものから逸脱してよいことを理解するであろう。
【0058】
本願明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるとき、「a」、「an」、および「the」という単数形は、内容が別段に明らかに指図しない限り、複数の指示物を含む。本願明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるとき、「または」という用語は、内容が別段に明らかに指図しない限り、「および/または」を含む意味で採用される。
【0059】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきであり、異なる図面において類似の要素が同じように番号付与される。詳細な説明と、必ずしも一定の縮尺でない図面は、例示的な実施形態を描いたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。描かれる例示的な実施形態は、代表的としてのみ意図されている。任意の例示的な実施形態の選択される特徴は、明らかにそれと反対に述べられない限り、追加的な実施形態へと導入されてよい。
【0060】
本開示は、一般に、流体を濾過するおよび/または血液などの体液を含む流体内に含有されるデブリを偏向させるためのデバイスおよび方法に関する。濾過デバイスまたは偏向デバイスは、結果として生じるデブリ、塞栓、血栓などなどの塞栓材料が脳血管系に入るのを阻止または防止するために、血管内手技(たとえば、経カテーテル的大動脈弁植え込み(TAVI)または経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)、経カテーテル的僧帽弁植え込み(TAMI)または経カテーテル的僧帽弁置換術(TAMR)、外科的大動脈弁置換術(SAVR)、胸部血管内大動脈修復術(TEVAR)、他の外科的弁修復術、植え込み、または置換術、さまざまなエネルギー・モダリティ(たとえば、無線周波数(RF)、エネルギー、クリオ、マイクロ波、超音波)を使用する心臓アブレーション(たとえば、心房細動を治療するための肺静脈のアブレーション)、心臓バイパス手術(たとえば、直視下心臓、経皮的)、大動脈弓の周りでの経胸壁グラフト留置、弁形成術など)の前および/またはその間に脳から上流の動脈内に位置決め可能である。
【0061】
デバイスおよび方法は、無名動脈および左総頸動脈へ流れる血液を濾過するために開発されてきた。無名動脈および左総頸動脈は、脳血管系に入る血液の約90%を提供する。例は、米国特許第8,876,796号および米国特許第9,492,264号において提供され、米国特許第8,876,796号および米国特許第9,492,264号は、その全体が本願明細書に援用される。いくつかのそのようなデバイスおよび方法は、脳血管系に入る血液の約10%を提供する、左鎖骨下動脈と、したがって左椎骨動脈を、潜在的な塞栓材料に露出されたままにしておく。米国特許第8,876,796号において説明される他の実施形態は、左総頸動脈および左鎖骨下動脈へ流れる血液を濾過する。いくつかのそのようなデバイスおよび方法は、脳血管系に入る血液の約50%を提供する、無名動脈と、したがって右総頸動脈と右椎骨動脈の両方を、潜在的な塞栓材料に露出されたままにしておく。完璧な使用および動作を仮定すると、これらのオプションのいずれかは、脳血管系に対して血流を提供する露出された動脈により、潜在的な脳卒中率を、1~10パーセントもの高さのままにしておく。
【0062】
最小弓妨害を有する十分な脳保護を提供する(たとえば、脳へ血液を4つの血液血管すべてを保護する)ことができる脳保護デバイスのいくつかのマルチ血管実施形態が、以下で説明される。デバイスは、被験者内部の他の血液血管内の粒子を捕集および/または偏向させるために使用されることがあり、そのデバイスは、血管系の外部でも使用可能である。本願明細書において説明されるデバイスは、一般に、被験者内部の目標場所へと経皮的に送達されるように適合されるが、任意の適切な手段で送達可能であり、最小侵襲性手技へ限定される必要はない。本願明細書において説明されるデバイスおよび/またはシステムは、特定の血管を保護するために別個に使用されてもよいし、複数の血管を保護するために他のシステムまたは複数の同じデバイスもしくは異なるデバイスと組み合わせて使用されてもよい。
【0063】
図1は、大動脈弓10の概略図である。大動脈弓10は、大動脈弁11の下流である。大動脈弓10は、一般的には、3つの大きな分枝動脈、すなわち、腕頭動脈または無名動脈12と、左総頸動脈14と、左鎖骨下動脈16とを含む。無名動脈12は、右頸動脈18へ、次いで右椎骨動脈20へ分岐し、その後が右鎖骨下動脈22である。右鎖骨下動脈22は、血液を右腕へ供給し、右腕から直接的にアクセスされ得る(右橈骨アクセスと称される)。左鎖骨下動脈16は、通常は肩エリア内で、左椎骨動脈24へ分岐する。左鎖骨下動脈16は、血液を左腕へ供給し、左腕から直接的にアクセスされ得る(左橈骨アクセスと称される)。
【0064】
図1に示される動脈のうちの4つは、血液を脳血管系へ、すなわち、(1)左頸動脈14(脳血液供給の約40%)、(2)右頸動脈18(脳血液供給の約40%)、(3)右椎骨動脈20(脳血液供給の約10%)、および(4)左椎骨動脈24(脳血液供給の約10%)へ供給する。本願明細書において説明されるデバイスおよび方法は、広く行き渡っている(27%)ウシ変形態(bovine variant)とも互換性がある。
【0065】
図2は、限定されるものではないが血液などの体液を濾過するように構成され得る例示的な濾過デバイスまたは保護デバイス100の概略側面図を示す。本願明細書においてより詳細に説明されるように、保護デバイス100は、単独で使用されてよいが、他のフィルタ・システムとも互換性があるおよび/または相乗作用を生み出す。本願明細書において説明される種々の濾過デバイスは、種々の保護システムを形成するために異なるように組み合わせ可能であることがさらに企図されている。
【0066】
保護デバイス100は、遠位端領域102と、近位端領域104とを含んでよい。近位端領域104は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成されることがある。遠位端領域102は、限定されるものではないが、左椎骨動脈24の口に隣接する左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成されることがある。遠位端領域102がそのように展開されるとき、血液は、左椎骨動脈24に入る前に濾過される。
【0067】
近位端領域104は、ハンドル106と、スライダなどの制御部108と、外側シース110と、ポート112と、ノブなどの内側部材並進制御部114と、ノブなどの止血弁制御部116とを含んでよい。いくつかの実施形態では、ハンドル106は、図2に示される制御要素よりも少ないまたは多い制御要素を含むことがある。近位端領域104は、外側シース110の径方向内側に内側部材118も含むことがあるが、これは必須ではない。いくつかの実施形態では、保護デバイスは、内側部材118から自由であるかまたはこれを含まないことがある。明示的に図示されていないが、近位端領域104は、外側シース110の径方向内側に(ときには、内側部材118の径方向外側に)フィルタ・ワイヤ120も含むことがある。いくつかの例示的なフィルタ・ワイヤは、本願の譲受人に譲渡された米国特許第9,566,144号において説明されており、米国特許第9,566,144号の全体は、本願明細書に援用される。
【0068】
スライダ108は、外側シース110および/またはフィルタ・アセンブリ122を並進するために使用可能である。たとえば、スライダ108は、外側シース110を近位に後退させることがあり、スライダ108は、外側シース110からフィルタ・アセンブリ122を遠位に前進させることがあり、またはスライダ108は、外側シース110を近位に後退させ、フィルタ・アセンブリ122を遠位に前進させる(たとえば、同時にまたは逐次的に)ことがあり、このことは、フィルタ・アセンブリ122が径方向に拡張することを可能にする。スライダ108は、フィルタ・アセンブリ122が外側シース110へと引かれるときフィルタ・アセンブリ122が(たとえば、外側シース110による圧縮により)径方向に圧壊されることを可能にすることができる、反対の並進効果を有するように構成されることもある。たとえば、フィルタ・アセンブリ122を開くおよび/または閉じるためのギアまたはらせん状形跡(たとえば、フィルタ・アセンブリ122の短縮により任意の差動延長を補償するように構成された、回転運動を長手方向運動へと変換するように構成された)、機械的要素、空気式要素、液圧要素などの他の特徴を備える、他の展開システムも可能である。スライダ108は、内側部材118がフィルタ・アセンブリ122および外側シース110(および/またはフィルタ・ワイヤ120、または他の構成要素)と無関係に長手方向に移動可能であるように、内側部材118と無関係であってよい。内側部材並進制御部114は、たとえば、フィルタ・アセンブリ122の展開の前、その後、および/またはその間に、内側部材118を長手方向に並進するために使用可能である。内側部材並進制御部114は、(たとえば、スライダ108とは別個の)スライダをハンドル106内に備えることがある。
【0069】
ポート112は、(たとえば、ハンドル106内のY字形コネクタを介して)内側部材118と流体連通することがある。ポート112は、たとえば空気を除去するために、使用前、その間、および/またはその後に(たとえば、生理食塩水を用いて)デバイスを洗浄するために使用可能である。ポート112は、追加として、または代替として、たとえば、外側シース110の内腔と流体連通する動脈圧モニタリング・デバイスを接続することによって、目標場所において血圧をモニタするために使用可能である。ポート112は、また、または代替として、造影剤、染料、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)などの血栓溶解薬などを注入するために使用可能である。
【0070】
回転可能な止血弁制御部116は、使用中に保護デバイス100を通る流体損失を減少させるまたは最小にするために使用可能である。たとえば、保護デバイス100の一部分は、左鎖骨下動脈16内で位置決めされることがあり、デバイス100に対する血流の方向は遠位から近位であり、そのため、血液は、デバイス100からの圧力降下に追従するために別途傾けられることがある。止血弁制御部116は回転可能であると示されているが、他の仕組みも可能である(たとえば、長手方向に変位可能である)。止血弁制御部116は、たとえば、米国特許第8,876,796号において止血弁に関して説明されるように、外側シース110およびフィルタ・アセンブリ122の相対位置を固定するように構成されることがある。止血弁116は、たとえば、エラストマー・シールとHVナットとを備えることがある。
【0071】
遠位端領域102は、外側シース110と、内側管状部材118とを含むことがある。いくつかの実施形態では、内側管状部材118は、フィルタ・アセンブリ122に対して結合されることがあるが、他の実施形態では、内側管状部材118は、フィルタ・アセンブリ122と無関係に移動することがある。いくつかの実施形態では、内側管状部材118が存在しないことがある。内側管状部材118は、その近位端(明示的に図示せず)から遠位端(明示的に図示せず)まで延びる内腔(明示的に図示せず)を画定することがある。内腔は、限定されるものではないが、ピグテール・カテーテルまたは血管造影法カテーテル134(たとえば、図3を参照)、手技カテーテル(限定されるものではないが、TAVRまたはTAVI手技カテーテルまたはデバイスなどの)などを含む他の医療デバイスを受けるように構成されることがある。血管造影カテーテル134は内側管状部材118の径方向内側にあってよく、内側管状部材118は外側シース110の径方向内側にあってよい。フィルタ・アセンブリ122は、送達状態、送達形状、または送達位置において、径方向に外側シース110と血管造影カテーテル134との間にある(たとえば、外側シース110と、フィルタ・アセンブリ122の径方向内側の血管造影カテーテル134の径方向内側にある)ことがある。保護デバイス100は、内側管状部材118および/または血管造影カテーテル134の径方向内側にフィルタ・ワイヤ120またはガイドワイヤを含むことがある。いくつかの実施形態では、外側シース110および/または内側管状部材118は、手技カテーテルが通過するのに十分に大きい直径を有することがあるが、これは必須ではない。外側シース110は、非侵襲的遠位先端を備えることがある。保護デバイス100および本願明細書において説明される他の保護デバイスは、可撓性および/または非侵襲的であってよい。外側シース110は、たとえば、意図された留置場所に基づいて、湾曲を備えることがある。
【0072】
フィルタ・アセンブリ122は、近位端リング124と、遠位端リング126と、それらの間に延びるフィルタ要素128とを含むことがある。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ122は、近位端リング124および/または遠位端リング126を必要としないことがある。たとえば、フィルタ要素128は、ステントに似た編み構造または織り構造を有する自己支持フィルタであることがある。いくつかの実施形態では、近位および/または遠位端リング124、126は、拡張状態をしたフィルタ要素128に対して拡張支持を一般に提供するフレームとして作用することがある。拡張状態では、フィルタ要素128は、フィルタ要素128を通って流れる流体(たとえば、血液)を濾過し、フィルタ要素128内の粒子を捕獲するまたは偏向させることによって粒子(たとえば、塞栓材料)がフィルタ要素128を通って流れるのを阻止または防止するように構成される。近位および/または遠位端リング124、126は、フィルタ・アセンブリ122が拡張される内腔(たとえば、血液血管)の内側壁を係合または並置するように構成されることがある。近位および/または遠位端リング124、126は、たとえば、ニッケルチタン(たとえば、ニチノール)、ニッケルチタンニオブ、クロムコバルト(たとえば、MP35N、35NLT)、銅アルミニウムニッケル、鉄マンガンシリコン、銀カドミウム、金カドミウム、銅スズ、銅亜鉛、銅亜鉛シリコン、銅亜鉛アルミニウム、銅亜鉛スズ、鉄プラチナ、マンガン銅、プラチナ合金、コバルトニッケルアルミニウム、コバルトニッケルガリウム、ニッケル鉄ガリウム、チタンパラジウム、ニッケルマンガンガリウム、ステンレス鋼、それらの組み合わせなどを備えるまたはこれから構築されてよい。近位および/または遠位端リング124、126は、ワイヤ(たとえば、丸い(たとえば、円形、楕円形)断面または多角形(たとえば、正方形、長方形)断面を有する)を備えることがある。たとえば、いくつかの実施形態では、近位および/または遠位端リング124、126は、円形もしくは楕円形の輪または輪へと設定されたニチノール・ワイヤ形状のまっすぐなピースを備える。明示的に図示されていないが、1つまたは2つのまっすぐな脚は、近位端リング124と遠位端リング126との間のフィルタ・アセンブリ122の長手方向軸に長手方向に沿ってもよいし、近位リング124と遠位端リング126との間のフィルタ・アセンブリ122の長手方向軸に対してある角度であってもよい。近位端リング124、遠位端リング126、および/またはフィルタ要素128のうちの少なくとも1つは、フィルタ・ワイヤ120またはテザーに対して結合されることがある。
【0073】
フィルタ・ワイヤ120は、外側シース110へのフィルタ・アセンブリ122の回収を容易にするように構成されることがある。近位および/または遠位端リング124、126は、フィルタ・アセンブリ122の開口130、132の形状を形成することがある。開口130、132は、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、左鎖骨下動脈または左椎骨動脈などの血管の側壁を適切に並置することができる任意の形状であってもよい。いくつかの実施形態では、開口130、132は、別のデバイス(たとえば、血管造影カテーテル134)が内腔136を通過することを可能にするために、開口の間に延びる内腔136をもつフィルタ要素128から自由であってもよい。他の実施形態では、近位端リングは、フィルタ要素128を含むことがある(たとえば、近位開口130が覆われる)が、遠位端リング126は、開放されたまたは覆われていないままである。覆われていない開口の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0074】
近位および/または遠位端リング124、126は、蛍光透視下での可視化を助けるために輪に巻き付けられたまたはこれに対して結合された小さいコイルなどの放射線不透過性マーカを含むことがある。いくつかの実施形態では、フレームは、輪以外の形状、たとえば、らせんを備えることがある。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ122は、フレームを含まないまたは実質的にないことがある。いくつかの実施形態では、近位および/または遠位端リング124、126ならびにフィルタ要素128は、略管状構成を有する。
【0075】
フィルタ要素128は、略管状の本体部分138を有することがある。略管状の本体138は、フィルタ・アセンブリ122の長手方向軸沿いとは反対に側壁を通って(たとえば、半径方向の外方向に)流れる血液または流体流を濾過するように構成されることがある。
【0076】
フィルタ要素128は、血液がフィルタ要素128を通って流れることを可能にするように構成されるが、塞栓材料などの粒子がフィルタ要素128を通過するのを阻止または防止するのに十分なほど小さい、孔を含むことがある。フィルタ要素128は、近位および/または遠位リング124、126(たとえば、ニチノール)に対して装着されたポリマー(たとえば、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))フィルムなどのフィルタ膜を備えることがある。フィルタ要素128は、約0.00254mm(0.0001インチ)から約0.762mm(0.03インチ)の間の(たとえば、約0.00254mm(0.0001インチ)以下、約0.0254mm(0.001インチ)以下、約0.127mm(0.005インチ)以下、約0.254mm(0.01インチ)以下、約0.381mm(0.015インチ)以下、約0.508mm(0.02インチ)以下、約0.635mm(0.025インチ)以下、約0.762mm(0.03インチ)以下、そのような値の間の範囲など)厚さを有してよい。
【0077】
フィルムは、フィルムを通って延びる複数の孔または穴またはアパーチャを備えることがある。フィルムは、フィラメントまたは膜を織るまたは編むことによって形成されることがあり、孔は、フィラメントまたは膜の間の空間であることがある。フィラメントまたは膜は、同じ材料を備えてもよいし、他の材料(たとえば、ポリマー、金属、ニチノールなどの合金、ステンレス鋼などの非ポリマー材料など)を含んでもよい。フィルタ要素128の孔は、流体(たとえば、血液)がフィルタ要素128を通過し、流体によって運ばれる塞栓材料の通過に対して抵抗することを可能にするように構成される。孔は、円形、楕円形、正方形、三角形、または他の幾何学的形状であってよい。等辺三角形、四角形、およびスロットなどのいくつかの形状は、幾何学的利点、たとえば、内接円よりも大きい区域を制限するが、ほぼ2倍の大きさの、流体流のためのエリアを提供すること、形状を濾過対流体体積に関してより効率的にすることを提供することがある。孔は、フィルタ要素128へとまたはこれを通ってレーザにより穴が開けられ得るが、他の方法(たとえば、マイクロニードルを用いて穿刺すること、緩い編み紐または織物)も可能である。孔は、約10ミクロン(μm)から約1mmの間の(たとえば、約10μm以下、約50μm以下、約100μm以下、約150μm以下、約200μm以下、約250μm以下、約300μm以下、約400μm以下、約500μm以下、約750μm以下、約1mm以下、そのような値の間の範囲など)横方向寸法(たとえば、直径)を有することがある。たとえば、捕獲されることになる材料の所望の最小サイズに応じて、他の孔サイズも可能である。
【0078】
フィルタ要素128の材料は、張力または内腔への圧縮によって送達状態へと折り畳まれるまたは縮小される滑らかなおよび/またはテクスチャ付き表面を備えることがある。補強ファブリックは、圧縮中にフィルタ要素128上に留置される応力に対応するために、フィルタ要素128に対して追加されるまたは埋め込まれることがある。補強ファブリックは、フィルタ・アセンブリ122の展開および/または後退中に発生し得る伸張を減少させることがある。埋め込まれたファブリックは、塞栓デブリの捕獲を容易にし、エラストマー膜の再捕獲を可能にするために、フィルタの折り畳みを促進することがある。補強材料は、局所的な強度を追加するために、たとえば、ポリマーおよび/または金属の織りを備えることができる。補強材料は、厚さを減少させるためにフィルタ要素128へと、はめ込まれてよい。たとえば、はめ込まれる補強材料は、外側シース110および/または遠位シース58からのフィルタ・アセンブリ122の展開および後退中に張力が近位および/または遠位端リング124、126ならびにフィルタ要素128上に作用する、近位および/または遠位端リング124、126の長手方向要素の近くでフィルタ要素128の一部分に対して装着されたポリエステル織りを備えてよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素128は、編み構造または織り構造から形成されることがある。たとえば、1つまたは複数のフィラメントが、フィルタ要素128を形成するために一緒に織られるまたは編まれることがある。フィラメントは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ニチノール、ステンレス鋼などから形成されてよい。編みおよび/または織りは、デブリを捕集またはブロックしながら流体または血液が通ることを可能にするように構成されることがある。編みおよび/または織りは、約10ミクロン(μm)から約1mmの間の(たとえば、約10μm以下、約50μm以下、約100μm以下、約150μm以下、約200μm以下、約250μm以下、約300μm以下、約400μm以下、約500μm以下、約750μm以下、約1mm以下、そのような値の間の範囲など)横方向寸法(たとえば、直径)を有する開口を有することがあることが企図されている。たとえば、捕獲されることになる材料の所望の最小サイズに応じて、他の孔サイズも可能である。編まれたフィルタ要素または織られたフィルタ要素128は、フィルタ要素128を支持するために近位および/または遠位端リング124、126を必要としないことがあることが企図されている。
【0080】
いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリ122は、自己拡張フィルタ・アセンブリを含んでよい(たとえば、外側シース110内での閉じ込めにより応力誘起マルテンサイトをもつ超弾性材料を備える)。フィルタ・アセンブリ122は、温度変化(たとえば、体温への加熱)時に自己拡張するように構成された形状記憶材料を備えることがある。フィルタ・アセンブリ122は、たとえば、米国特許第8,876,796号において説明されるフィルタ・アセンブリと同様に、形状記憶フレームまたは超弾性フレーム(たとえば、ニチノールを備える遠位端輪を備える)と、フレームに対して結合された微孔性材料(たとえば、レーザにより穴が開けられた穴を含むポリマーを備える)とを備えることがある。代替として、または追加として、フィルタ・アセンブリ122は、形状記憶フィルタ要素または超弾性フィルタ要素128を備えることがある。
【0081】
拡張された、非拘束の状態であるフィルタ・アセンブリ122は、最大直径または有効直径(たとえば、口が楕円の形状である場合)d1を有する。直径d1は、約1ミリメートル(mm)から約40mmの間であってよい。いくつかの実施形態では(たとえば、フィルタ・アセンブリ122が、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されるとき)、直径d1は、約7mmから約12mmの間であってよい。他の実施形態では(たとえば、フィルタ・アセンブリ122が、大動脈弓10内に位置決めされるように構成されるとき)、直径d1は、約20mmから約35mmの間であってよい。さらに他の実施形態では(たとえば、フィルタ・アセンブリ122が、左椎骨動脈24内に位置決めされるように構成されるとき)、直径d1は、約2mmから約4.5mmの間であってよい。他の直径d1または他のタイプの横方向寸法も可能である。異なる直径d1は、異なる血管サイズを有する被験者の選択の治療を可能にすることができる。
【0082】
フィルタ・アセンブリ122は、最大長さL1を有する。長さL1は、約7mmから約50mmの間であってよい。本願明細書においてより詳細に説明されるように、近位開口130と遠位開口132の両方が、覆われていないまたはフィルタ要素128から自由であるとき、長さL1は、フィルタ要素128が左椎骨動脈24の口を横切って延びるように選択されてよいことが企図されている。たとえば直径または有効直径d1に基づいた、他の長さL1も可能である。たとえば、フィルタ・アセンブリ122の長さL1は、直径d1が増加するにつれて増加してよく、フィルタ・アセンブリ122の長さL1は、直径d1が減るにつれて減ってよい。異なる長さL1は、異なる血管サイズを有する被験者の選択の治療を可能にすることができる。
【0083】
遠位端領域102は、使用者がデバイス100を位置決めする、フィルタ・アセンブリ122を展開する、血管造影カテーテル134を利用することなどを助けるために、蛍光透視マーカを含むことがある。蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)は、外側シース110の遠位端に近接して位置決めされることがある。別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ122の近位端に近接して位置決めされることがある。いくつかの場合では、別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ122の遠位端に近接することがある。別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、内側部材118の遠位端に近接することがある。蛍光透視マーカは、放射線不透過性材料(たとえば、イリジウム、プラチナ、タンタル、金、パラジウム、タングステン、スズ、銀、チタン、ニッケル、ジルコニウム、レニウム、ビスマス、モリブデン、それらの組み合わせなど)を備えてよい。より多いまたは少ない蛍光透視マーカも可能である。
【0084】
いくつかの実施形態では、保護デバイス100は、それを通って延びるガイドワイヤ(明示的に図示せず)を含むことがあるが、このガイドワイヤは、保護デバイス100とは別個である、たとえば、単独で販売、包装、および/または向けられると特徴づけられ得る。ガイドワイヤは、外側シース110、内側管状部材118、および/または血管造影カテーテル134の内腔を通って延び得る。外側シース110、内側管状部材118、および/または血管造影カテーテル134の内腔は、約0.356mm(0.014インチ)から約0.635mm(0.025インチ)の間の直径を有するガイドワイヤを受けるように構成されることがある。そのように提供された場合、ガイドワイヤは、フィルタ・アセンブリ122の内腔を通って延び得る。たとえば、保護デバイス100の任意の部分は、保護デバイス100を所望の場所に位置決めするためにガイドワイヤ上で追跡されることがある。
【0085】
フィルタ・アセンブリ122は、TAVIなどの血管内手技中に脳血管系(たとえば、左椎骨動脈24)を塞栓デブリから保護するために、たとえば、左鎖骨下動脈16内で位置決めされることがある。フィルタ・アセンブリ122は、左鎖骨下動脈16内に位置決めされると説明されているが、システム100は、そのように限定されない。フィルタ・アセンブリ122は、必要に応じて、他の動脈または内腔内で位置決めされてよい。本願明細書においてより詳細に説明されるように、フィルタ・アセンブリ122は、血流が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように左椎骨動脈24の口の全体の上にフィルタ要素128の管状の本体部分138の少なくとも一部分が位置決めされるように左鎖骨下動脈16内で位置決めされることがあることが企図されている。
【0086】
保護デバイス100は、図3に図示されるように、他の保護デバイスと組み合わせて使用されてよい。図3は、左鎖骨下動脈16内に位置決めされた保護デバイス100と、左総頸動脈14および無名動脈12内に位置決めされた第2の保護デバイス30とを含む、大動脈弓の概略図である。
【0087】
いくつかの使用の方法では、第1のフィルタ・システム100は、被験者の左橈骨動脈または代替として左上腕動脈内で作成された切開部を通って、被験者へと前進される。システム100は、左鎖骨下動脈16へと前進される。いくつかの場合では、外側シース110は、ガイドワイヤ上で前進されることがあるが、これは必須ではない。いくつかの実装形態では、ガイドワイヤおよび外側シース110および/または内側管状部材118(および/またはフィルタ・アセンブリ122)は、一緒に追跡されることがあり、ガイドワイヤは、外側シース110および/または内側管状部材118を導く(たとえば、ガイドワイヤをある距離前進させ、次いで、ガイドワイヤ上の外側シース110および/または内側管状部材118をほぼ同じ距離前進させる)。いくつかの場合では、ガイドワイヤが柔らかいまたは剛性を欠く場合、ガイドワイヤは、外側シース110の内部に導入され、次いで、血管系内で内側管状部材118の前に前進されることがある。
【0088】
外側シース110は、左鎖骨下動脈16からのナビゲーションを容易にするために湾曲するおよび/または操縦可能であることがある。内側管状部材118は、外側シース110と同時に前進されてもよいし、これに対して逐次的に前進されてもよい。追加として、血管造影カテーテル134は、内側管状部材118および/または外側シース110と同時に前進されてもよいし、これらに対して逐次的に前進されてもよい。外側シース110が、左椎骨動脈24の口内にまたはこれに隣接して位置決めされると、血管造影カテーテル134は、外側シース110から遠位に前進されることがある。血管造影カテーテル134の遠位端領域142は、略円弧形状を有することがあり(が、これは必須ではない)、その中に1つまたは複数のアパーチャ144を含むことがある。1つまたは複数のアパーチャ144は、内腔と流体連通することがあり、放射線不透過性流体または造影流体を送達するように構成されることがある。
【0089】
保護デバイス100の追跡は、蛍光透視下で、たとえば、(たとえば、外側シース110および/または内側管状部材118の遠位端において)放射線不透過性マーカおよび/または放射線不透過性流体もしくは造影剤を使用して、実行されることがある。放射線不透過性流体は、内側管状部材118、血管造影カテーテル134、および/または外側シース110を通って提供されることがある。保護デバイス100は、フィルタ・アセンブリ122が、塞栓材料が左椎骨動脈24を通って脳血管系に入るのを阻止または防止することができるように、フィルタ・アセンブリ122の遠位端リング126が左椎骨動脈24の上流にあるまたは左鎖骨下動脈16の口に近接するように、位置決めされることがある。しかしながら、位置決めは利用可能な解剖学的構造に基づいてよいことが企図されている。
【0090】
血管系を通るナビゲーション中に、フィルタ・アセンブリ122は、フィルタ・アセンブリ122が外側シース110から遠位に前進されるおよび/または外側シース110がフィルタ・アセンブリ122に対して近位に後退されるまで、外側シース110の内腔内で設置され、その中の圧壊位置において保持されることがある。血管造影カテーテル134が展開された後、次いで、外側シース110が、フィルタ・アセンブリ122を展開するために、近位に後退されることがある(および/またはフィルタ・アセンブリ122に対して結合された場合、内側管状部材118が遠位に前進される)。いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリ122は、血管造影カテーテル134を前進させる前に、またはそれと実質的に同時に、展開されることがある。フィルタ・アセンブリ122は、任意の取り除かれたデブリを左椎骨動脈24から離れて下流に向けるように位置決めされることがある。
【0091】
たとえばフィルタ・アセンブリ122上の、放射線不透過性マーカは、フィルタ・アセンブリ122が展開状態をいつ達成するかを決定する助けとなることができる。フィルタ・アセンブリ122および外側シース110の差動長手方向移動は、フィルタ・アセンブリ122の十分なまたは適切な展開時に中止することができる。左鎖骨下動脈16の側壁とのフィルタ・アセンブリ122の並置は、たとえば、放射線不透過性流体または造影剤を使用して、検証可能である。放射線不透過性流体は、血管造影カテーテル134、内側管状部材118、および/または外側シース110を通って提供されることがある。放射線不透過性流体がフィルタ・アセンブリ122のフレームと大動脈弓の側壁との間を流れることが可能である場合、フィルタ・アセンブリ122は、不適切に位置決めされる(たとえば、不適切な展開、不適切なサイズ、カルシウムなどを表す)ことがある。フィルタ・アセンブリ122は、外側シース110へと後退されて再展開されてもよいし、異なる保護デバイスが使用されてもよい。保護デバイス100の位置決めの後、そのように望まれる場合、血管造影カテーテル134は抜去されてよく、手技カテーテルは、内側管状部材118の内腔およびフィルタ・アセンブリ122を通って前進されてよい。
【0092】
第1のフィルタ・デバイス100が位置決めされた後(またはそれと実質的に同時に、または第1のシステム100の植え込みの前に)、第2の保護デバイスまたはフィルタ・システム30は、展開されることがある。いくつかの実施形態では、第2のフィルタ・システム30は、無名動脈12および/または左総頸動脈14内で位置決めされることがあるが、これは必須ではない。
【0093】
第2の保護デバイス30は、遠位端領域32と、近位端領域38とを含んでよい。近位端領域38は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成されることがある。遠位端領域32は、限定されるものではないが、無名動脈12および/または左総頸動脈14などの目標場所において位置決めされるように構成されることがある。遠位端領域32がそのように展開されるとき、血液は、左総頸動脈14、右総頸動脈18、および右椎骨動脈20に入る前に濾過される。
【0094】
近位端領域38は、ハンドル40と、スライダなどの制御部42と、外側シース44と、ポート46と、ノブなどの内側部材並進制御部48と、ノブなどの止血弁制御部50とを含んでよい。いくつかの実施形態では、ハンドル40は、図3に示される制御要素よりも少ないまたは多い制御要素を含むことがある。近位端領域38は、外側シース44の径方向内側に内側部材52も含むことがある。明示的に図示されていないが、近位端領域38は、外側シース44の径方向内側に(ときには、内側部材52の径方向外側に)フィルタ・ワイヤ66も含むことがある。
【0095】
スライダ42は、(たとえば、近位シャフト54に対して結合された)外側シース44および/またはフィルタ・アセンブリ36を並進するために使用可能である。たとえば、スライダ42は、外側シース44を近位に後退させることがあり、スライダ42は、外側シース44から近位フィルタ・アセンブリ36を遠位に前進させることがあり、またはスライダ42は、外側シース44を近位に後退させ、近位フィルタ・アセンブリ36を遠位に前進させる(たとえば、同時にまたは逐次的に)ことがあり、このことは、フィルタ・アセンブリ36が径方向に拡張することを可能にすることができる。スライダ42は、フィルタ・アセンブリ36が外側シース44へと引き込まれるときフィルタ・アセンブリ36が(たとえば、外側シース44による圧縮により)径方向に圧壊されることを可能にすることができる、反対の並進効果を有するように構成されることもある。たとえば、フィルタ・アセンブリ36を開くおよび/または閉じるためのギアまたはらせん状形跡(たとえば、フィルタ・アセンブリ36の短縮により任意の差動延長を補償するように構成された、回転運動を長手方向運動へと変換するように構成された)、機械的要素、空気式要素、液圧要素などの他の特徴を備える、他の展開システムも可能である。明示的に図示されていないが、ハンドル40は、フィルタ・ワイヤ66、内側部材52、および/または案内部材60を介して遠位フィルタ・アセンブリ34を操作するための類似の機構を含むことがある。
【0096】
ポート46は、(たとえば、ハンドル40内のY字形コネクタを介して)内側部材52と流体連通する。ポート46は、たとえば空気を除去するために、使用前、その間、および/またはその後に(たとえば、生理食塩水を用いて)デバイスを洗浄するために使用可能である。ポート46は、追加として、または代替として、たとえば、外側シース44の内腔と流体連通する動脈圧モニタリング・デバイスを接続することによって、目標場所において血圧をモニタするために使用可能である。ポート46は、また、または代替として、造影剤、染料、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)などの血栓溶解薬などを注入するために使用可能である。スライダ42は、内側部材52が近位フィルタ・アセンブリ36および外側シース44(および/または遠位フィルタ・アセンブリ34、フィルタ・ワイヤ66、内側部材52、もしくは案内部材60)と無関係に長手方向に移動可能であるように、内側部材52と無関係であってよい。内側部材並進制御部48は、たとえば、フィルタ・アセンブリ36の展開の前、その後、および/またはその間に、内側部材52を長手方向に並進するために使用可能である。内側部材並進制御部48は、(たとえば、スライダ42とは別個の)スライダをハンドル40内に備えることがある。
【0097】
回転可能な止血弁制御部50は、使用中に保護デバイス30を通る流体損失を減少させるまたは最小にするために使用可能である。たとえば、保護デバイス30の近位部分および/または中間領域は、右鎖骨下動脈22内で位置決めされることがあり、デバイス30に対する血流の方向は遠位から近位であり、そのため、血液は、デバイス30からの圧力降下に追従するために別途傾けられることがある。止血弁制御部50は回転可能であると示されているが、他の仕組みも可能である(たとえば、長手方向に変位可能である)。止血弁制御部50は、たとえば、米国特許第8,876,796号において止血弁に関して説明されるように、外側シース44およびフィルタ・アセンブリ36の相対位置を固定するように構成されることがある。止血弁50は、たとえば、エラストマー・シールとHVナットとを備えることがある。
【0098】
第2の保護デバイス30の遠位端領域32は、左総頸動脈14内で展開されるように構成された第1のフィルタ・アセンブリすなわち遠位フィルタ・アセンブリ34と、無名動脈12内で展開されるように構成された第2のフィルタ・アセンブリすなわち近位フィルタ・アセンブリ36とを含むことがある。遠位端領域32は、近位(または外側)シース44と、拡張可能な近位フィルタ・アセンブリ36に対して結合された近位シャフト54と、遠位関節式接合可能シース58に対して結合された遠位シャフト56と、遠位フィルタ・アセンブリ34と、案内部材60とをさらに含むことがある。
【0099】
近位シャフト54は近位シース44と同軸であり、近位フィルタ・アセンブリ36の近位領域62は近位シャフト54に対して固着される。その圧壊構成(明示的に図示せず)では、近位フィルタ・アセンブリ36は、近位シース44内に設置されることがあり、近位シャフト54に対して遠位に設置される。近位シース44は、近位シャフト54および近位フィルタ・アセンブリ36に対して軸方向に(たとえば、遠位におよび近位に)移動可能であることがある。システム30は、遠位シャフト56の遠位領域に対して固着された遠位シース58も含むことがある。遠位シャフト56は、近位シャフト54および近位シース44と同軸であることがある。遠位シース58および遠位シャフト56は、互いに固着され、近位シース44、近位シャフト54、および近位フィルタ・アセンブリ36に対して軸方向に移動可能であることがある。システム30は、案内部材60によって運ばれる遠位フィルタ・アセンブリ34も含むことがある。明示的に図示されていないが、遠位フィルタ・アセンブリ34は、遠位シース58内で圧壊構成で維持されることがある。案内部材60は、遠位シース58および遠位シャフト56ならびに近位シース44および近位シャフト54と同軸であることがある。案内部材60は、遠位シース58および遠位シャフト56ならびに近位シース44および近位シャフト54に対して軸方向に移動可能であることがある。近位シース44、遠位シース58、および案内部材60は各々、互いに対して軸方向に単独で移動されるように適合されることがある。すなわち、近位シース44、遠位シース58、および案内部材60は、他の2つの構成要素の各々に対する独立した軸方向並進に適合される。ハンドル40は、近位シース44、遠位シース58、および案内部材60を個々に作動させるように構成された制御要素(限定されるものではないが、スライド、スイッチ、ボタン、ダイアルなどの)を含むことがあることが企図されている。
【0100】
近位フィルタ・アセンブリ36は、支持要素またはフレーム35と、フィルタ要素37とを含むことがある。同様に、遠位フィルタ・アセンブリ34は、支持要素31と、フィルタ要素33とを含む。フレーム31、35は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。同様に、フィルタ要素35、37は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。フレーム31、35は、拡張状態をしたフィルタ要素33、37に対して拡張支持を一般に提供することがある。拡張状態では、フィルタ要素33、37は、フィルタ要素33、37を通って流れる流体(たとえば、血液)を濾過し、フィルタ要素33、37内の粒子を捕獲することによって粒子(たとえば、塞栓材料)がフィルタ要素33、37を通って流れるのを阻止または防止するように構成される。フレーム31、35は、フィルタ・アセンブリ34、36が拡張される内腔(たとえば、血液血管)の内側壁を係合または並置するように構成される。
【0101】
いくつかの実施形態では、フレーム31、35は、フィルタ・アセンブリ34、36の長手方向軸に沿って長手方向にまたはこれに対してある角度をなして走行する1つまたは2つのまっすぐな脚をもつ、円形もしくは楕円形の輪または輪へと設定されたニチノール・ワイヤ形状のまっすぐなピースを備える。まっすぐな脚のうちの少なくとも1つは、遠位フィルタ・アセンブリ34に関して図示されるように、フィルタ・ワイヤ66またはストラット64に対して結合されることがある。まっすぐな脚は、フィルタ・アセンブリ34、36の長い側および/またはフィルタ・アセンブリ34、36の短い側にあることがある。フレーム31、35は、フィルタ・アセンブリ34、36の開口39、41の形状を形成することがある。開口39、41は、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、左鎖骨下動脈または左椎骨動脈などの血管の側壁を適切に並置することができる任意の形状であってもよい。フィルタ・アセンブリ34、36は、略近位向き開口39、41を有することがある。他の実施形態では、開口39、41は、遠位に向いてもよい。開口39、41の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかに応じて変わってよい。たとえば、図3に図示されるように、近位フィルタ・アセンブリ36は、略遠位向き開口41を有し、遠位フィルタ・アセンブリ34は、デバイス30に対して略近位向き開口39を有する。フィルタ・アセンブリ34、36は、反対方向を向くと考えられ得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、フレーム31、35およびフィルタ要素33、37は、フィルタ・アセンブリ34、36の周りにフィルタ・アセンブリ34、36の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような構成では、吹き流しの線に沿って、フィルタ・アセンブリ34、36は、より大きな開口39、41(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。
【0103】
フィルタ・アセンブリ34、36は、ストラットまたはワイヤ64を介して展開ワイヤまたはフィルタ・ワイヤ66の遠位端に対して結合される(たとえば、圧着される、溶着される、はんだ付けされる、など)ことがあるが、これは必須ではない。フィルタ・ワイヤ66とストラット64の両方またはすべてが提供されるとき、フィルタ・ワイヤ66およびストラット64は、案内部材60内でフィルタ・アセンブリ34の近位に圧着機構を使用して結合されることがある。他の実施形態では、フィルタ・ワイヤ66およびストラット64は、単一の一体的構造であってよい。フィルタ・ワイヤ66および/またはストラット64は、長方形リボン、丸い(たとえば、円形、楕円形)フィラメント、ハイポチューブの一部分、編み構造(たとえば、本願明細書において説明されるような)、それらの組み合わせなどを備えることができる。フィルタ・ワイヤ66は、矢印68によって図示されるように、外側シース44に対する差動長手方向移動を提供するためにハンドル40および/またはスライダに対して結合可能であり、これは、遠位フィルタ・アセンブリ34を覆い、遠位シース58から出すことができる。同様に、近位フィルタ・アセンブリ36は、ハンドル40上の機構の作動を通じて、またはハンドル40自体の移動を通じて、出ることがある。
【0104】
拡張された、非拘束の状態であるフィルタ・アセンブリ34、36は、最大直径または有効直径(たとえば、口が楕円の形状である場合)d2、d3を有する。直径d2、d3は、約1mmから約15mmの間(たとえば、少なくとも約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、そのような値の間の範囲など)であってよい。いくつかの実施形態では、直径d2、d3は、約7mmから約12mmの間(たとえば、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、そのような値の間の範囲など)である。いくつかの実施形態では、直径dは、約2mmから約4.5mmの間(たとえば、約2mm、約2.5mm、約3mm、約3.5mm、約4mm、約4.5mm、そのような値の間の範囲など)である。他の直径d2、d3または他のタイプの横方向寸法も可能である。異なる直径d2、d3は、異なる血管サイズを有する被験者の選択の治療を可能にすることができる。
【0105】
フィルタ・アセンブリ34、36は、最大長さL2、L3を有する。長さL2、L3は、約7mmから約50mmの間(たとえば、少なくとも約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、約19mm、約20mm、約21mm、約22mm、約23mm、約24mm、約25mm、約30mm、約35mm、約40mm、約45mm、約50mm、そのような値の間の範囲など)であってよい。たとえば直径または有効直径d2、d3に基づいた、他の長さL2、L3も可能である。たとえば、フィルタ・アセンブリ34、36の長さL2、L3は、直径d2、d3が増加するにつれて増加してよく、フィルタ・アセンブリ34、36の長さL2、L3は、直径d2,d3が減るにつれて減ってよい。フィルタ・アセンブリ34、36の口の頂点からフレーム内のエルボまでの距離は、約35mmであることがある。異なる長さL2、L3は、異なる血管サイズを有する被験者の選択の治療を可能にすることができる。
【0106】
以下でより詳細に説明されるように、遠位シース58は、近位シース44および近位フィルタ・アセンブリ36に対して操縦される、または屈曲されるように適合されることがある。遠位シース58が操縦されるとき、開口が向く相対方向は調整される。遠位シース58がどの程度操縦されるかにかかわらず、フィルタ・アセンブリ34、36は依然として、反対方向を向いた開口を有すると考慮される。たとえば、遠位シース58は、約180度の屈曲を有するように操縦可能であり、その場合、フィルタ・アセンブリ34、36は、図3に図示されるように、実質的に同じ方向を向いた開口39、41を有するであろう。したがって、フィルタ開口41、39の方向は、システムが実質的にまっすぐな構成(明示的に図示せず)を仮定した場合、説明される。近位フィルタ要素37は、支持要素35から近位方向に先細りになることがあり、遠位フィルタ要素33は、支持要素31から遠位方向に先細りになることがある。血液などの流体は、開口を通って流れ、フィルタ要素33、37内の孔を通過し、フィルタ要素33、37が、その中の異物粒子を捕集し、それら粒子の、フィルタ・アセンブリの下流にある場所への通過を防止するように適合される。
【0107】
フィルタ・アセンブリ34、36は、別個のシステム構成要素に対して固着されることがある。たとえば、近位フィルタ・アセンブリ36は近位シャフト54に対して固着され、遠位フィルタ・アセンブリ34は案内部材60に対して固着される。図3では、フィルタ・アセンブリ34、36は、単独で作動可能な構成要素に対して固着される。これは、フィルタ・アセンブリ34、36が単独で位置決めおよび制御されることを可能にし得る。追加として、フィルタ・アセンブル34、36は、2つの異なる管状部材内で圧壊構成で圧壊され得る。たとえば、近位フィルタ・アセンブリ36は近位シース44内で圧壊され、遠位フィルタ・アセンブリ34は遠位シース58内で圧壊される。システムの送達構成では、フィルタ・アセンブリ34、36は、互いから軸方向に離隔される。たとえば、図3では、遠位フィルタ・アセンブリ34は、近位フィルタ・アセンブリ36に対して遠位に離隔される。しかしながら、代替実施形態では、フィルタ・アセンブリ34、36は、第1のフィルタが第2のフィルタ内に配置されるように位置決めされてよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、遠位シース58と近位シース44は、実質的に同じ外径を有する。フィルタ・アセンブリ34、36がそれぞれのシース58、44内で圧壊されるとき、したがって、システム30のシース部分は実質的に一定の外径を有し、これは、患者の身体を通るシステム30の送達を簡単にし、送達の安全性を増加させることができる。遠位シースおよび近位シース58、44は、実質的に同じ外径を有することがあり、遠位シースおよび近位シース58、44の両方は、近位シャフト54よりも大きい外径を有する。近位シャフト54は、遠位シャフト56よりも大きい外径を有することがあり、遠位シャフト56は、近位シャフト54内で設置される。案内部材60は、遠位シャフト56よりも小さい直径を有することがある。いくつかの実施形態では、近位シースおよび遠位シース44、58は、3フレンチ(F)から14Fの間の外径を有する。いくつかの実施形態では、外径は4Fから8Fの間である。さらに他の実施形態では、外径は4Fから6Fの間である。いくつかの実施形態では、シース44、58は、異なる外径を有する。たとえば、近位シース44は、6Fのサイズを有することができ、遠位シース58は、5Fのサイズを有する。一代替実施形態では、近位シース44は5Fであり、遠位シース58は4Fである。これらは単なる例であり、シース44、58を特定のサイズへ限定することを意図したものではない。近位シース44よりも小さい外径をもつ遠位シース58は、システム30の送達プロファイルを減少させ、送達を簡単にすることができる。
【0109】
いくつかの使用の方法では、第2のフィルタ・システム30は、被験者の右橈骨動脈または代替として右上腕動脈内で作成された切開部を通って、被験者へと前進される。さまざまな医療手技では、医療機器は、被験者の大腿動脈を通って前進され、大腿動脈は右橈骨動脈よりも大きい。大腿動脈アクセス手技において使用される送達カテーテルは、橈骨動脈を通って前進されるフィルタ・システムにおいて可能にされるであろうよりも大きい外径を有する。追加として、いくつかの使用では、フィルタ・システムは、腕頭動脈を介して右橈骨動脈から大動脈へと前進される。橈骨動脈は、システムが前進される血管の最小直径を有する。したがって、橈骨動脈は、橈骨動脈がアクセス・ポイントであるとき被験者へと前進されることが可能であるシステムのサイズを限定する。したがって、本願明細書において説明されるシステムの外径は、橈骨動脈を介して被験者へと前進されるとき、一般的にはアクセスが大腿動脈を介して得られるときに使用される案内カテーテル(またはシース)の外径よりも小さい。いくつかの実施形態では、システム30は、ガイドワイヤ72上で前進されることがあるが、これは必須ではない。
【0110】
システム30は、送達構成で左頸動脈14および無名動脈12へ送達されることがある。システムの送達構成は、一般に、両方のフィルタ・アセンブリ34、36がシステム内で(たとえば、遠位シースおよび近位シース58、44内で)圧壊構成である構成を指す。遠位関節式接合シース58は、近位シース44および近位フィルタ・アセンブリ36に対して3自由度で、単独で移動可能であってよい。いくつかの実施形態では、近位シース44と遠位シース58は、取り外し可能に一緒に結合されることがある。たとえば、近位シース44は、2つのシース44、58間の締まり嵌め、摩擦嵌め、スプライン部品、端同士の密着部品(end to end butt fit)、または他の任意のタイプの適切な結合を使用して遠位シース58に対して結合可能である。一緒に結合されるとき、構成要素は、ユニットとして移動する。たとえば、近位シース44、近位シャフト54、近位フィルタ・アセンブリ36、遠位シャフト56、および遠位フィルタ・アセンブリ34は、ユニットとして軸方向に(近位方向または遠位方向に)回転および並進する。近位シース44が、近位フィルタ・アセンブリ36が拡張することを可能にするために後退されるとき、遠位シース58は、単独で回転可能である、操縦可能である、または軸方向に(近位方向または遠位方向のいずれかに)並進可能である。したがって、遠位シース58は、3つの独立した自由度、すなわち、軸方向並進、回転、および操縦を有する。3つの独立した自由度を有するための適合は、遠位シース58を目標場所内に位置決めするときに有利であり、その詳細は以下で説明される。
【0111】
システム30は、右腕の切開部を通って、または代わりに右上腕動脈を通って、被験者の右橈骨動脈へと前進される。システムは、右鎖骨下動脈22を通って腕頭動脈または無名動脈12へと前進され、システムの一部分は、大動脈弓10内に位置決めされる。近位シース44は、図3に図示されるように、無名動脈12の壁に対して近位フィルタ支持要素35が拡張構成へ拡張することを可能にするために近位に後退される。近位フィルタ要素37は、支持要素35に対して直接的または間接的のいずれかで固着され、したがって、図3に図示される構成へ再構成される。遠位シース58の位置は実質的に維持可能であり、近位シース44は近位に後退される。拡張されると、近位フィルタ・アセンブリ36は、無名動脈12を通って進む血液を濾過し、したがって、右総頸動脈18および右椎骨動脈20へと進む血液を濾過する。したがって、拡張された近位フィルタ・アセンブリ36は、異物粒子が右総頸動脈18および右椎骨動脈20へと、ならびに脳血管系へと進むのを防止する位置にある。
【0112】
次いで、遠位シース58は操縦され、または屈曲され、遠位シース58の遠位端70は、左総頸動脈14へと前進される。その後、図3に図示されるように、案内部材60が、遠位シース58に対して遠位に前進され、遠位支持要素31が、左総頸動脈14の壁に対して圧壊構成から展開構成へ拡張することを可能にする。遠位フィルタ要素33も、図3に図示される構成へと再構成される。拡張されると、遠位フィルタ・アセンブリ34は、左総頸動脈14を通って進む血液を濾過する。いくつかの実施形態では、遠位フィルタ・アセンブリ34は、近位フィルタ・アセンブリ36の展開の前に展開されることがある。したがって、遠位フィルタ・アセンブリ34は、異物粒子を捕集し、異物粒子が脳血管系へと進むのを防止する位置にある。一緒に、第1の保護デバイス100と第2の保護デバイス30は、手技中に4つの脳動脈14、18、20、24すべてを保護し得る。
【0113】
保護デバイス100、30は、その後、被験者から(または手技中の任意の時点で)除去可能である。例示的な実施形態では、第2の保護デバイス30を除去するために、遠位フィルタ・アセンブリ34は、最初に、遠位シース58内で圧壊構成へ回収される。これを行うために、案内部材60は、遠位シース58に対して近位に後退される。この相対的な軸方向移動は、遠位シース58に、ストラットまたはワイヤ64を係合させ、ストラット64を案内部材60の方へ移動させ始める。ストラット64に対して結合される支持要素31は、ストラット64の圧壊時に圧壊し始める。したがって、フィルタ要素33も圧壊し始める。案内部材60と遠位シース58との間の継続的相対的な軸方向移動は、遠位フィルタ・アセンブリ34が遠位シース58内に回収され再圧壊されるまで、ストラット64、支持要素31、およびフィルタ要素33を引き続き圧壊する(明示的に図示せず)。遠位フィルタ・アセンブリ34が再び覆われるとき、遠位フィルタ要素33内に捕集された異物粒子は、その中に含有される。次いで、遠位シース58は、遠位シース58が遠位シャフト56と略平行である構成へと操縦される。別の言い方をすれば、遠位シース58は、遠位シース58が略直線状の方位を有するように操縦される。次いで、近位シース44は、近位フィルタ・アセンブリ36に対して遠位に前進される。これは、近位フィルタ・アセンブリ36を遠位シャフト56の周りに圧壊させ、圧壊された近位フィルタ要素37内に粒子を捕集させる。近位シース44は、近位シース44が遠位シース58と結合されるまたはほとんど結合されるまで、遠位シース58の方へ遠位に引き続き移動される。次いで、システム30全体が被験者から除去可能である。
【0114】
第1のフィルタ・システム100は、第2のフィルタ・システム30の前に、これと実質的に同時に、またはこの後に、のいずれかで除去可能である。外側シース110は、フィルタ・アセンブリ122に対して遠位に前進される。これは、フィルタ・アセンブリ122を圧壊させる。近位端リング124の開口130がフィルタ要素128から自由であることがあるので、フィルタ・アセンブリ122は、デブリを捕集しないことがある、または近位端リング124がフィルタ要素128を含む場合よりも少ないデブリを捕集することがある。外側シース110は、フィルタ・アセンブリ122全体がシース110内にあるまで、遠位に引き続き移動される。次いで、システム100全体が被験者から除去可能である。
【0115】
本願明細書において言及される実施形態のいずれにおいても、フィルタまたはフィルタ・アセンブリ34、36、122は、代替として、送達カテーテルから外されてよく、送達カテーテルは、フィルタ・アセンブリ34、36、122を置き去りにして除去されてよい。フィルタまたはフィルタ・アセンブリ34、36、122は、永久的に所定の位置に残されることが可能である、または手技後治療時間期間後に回収カテーテルを用いて捕らえることによって回収されることが可能である。代替として、フィルタ・アセンブリ34、36、122は、カテーテルに対して取り付けられたままであることがあり、カテーテルは、治療時間期間にわたって手技後、所定の位置に残されることがある。その治療期間は、臨床環境に応じて、少なくとも1日、1週間、3週間、5週間、またはそれ以上であってよい。留置用フィルタまたはフィルタ・アセンブリをもつ患者は、組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、クマジン、ヘパリン、および当技術分野で知られている他のものを含むさまざまな血栓溶解療法または抗凝固療法のいずれかが投与されてよい。
【0116】
図4は、別の例示的な保護デバイス200の側面図を示す。保護デバイス200は、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス200は、別の血管または内腔内で位置決めされることがある。いくつかの実施形態では、保護デバイス200は、限定されるものではないが、本願明細書において説明される保護デバイス30などの他の保護デバイスと組み合わせて使用されてよい。
【0117】
保護デバイス200は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分202とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス200の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス200のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分202は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分202が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよい。
【0118】
保護デバイス200は、少なくとも外側シース204と、フィルタ・アセンブリ210とを含むことがある。フィルタ・アセンブリ210は、フィルタ要素214と、その遠位端216に隣接するフィルタ要素214へと織られたテザーまたはワイヤ212、すなわち支持要素とを含むことがある。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ210は、ステントにより支持されるフィルタであることがある。ワイヤ212は、身体の外部に残るように構成された2つの自由端(明示的に図示せず)を含んでよい。ワイヤ212をフィルタ要素214へと織るために、ワイヤ212の第1の端は、遠位方向にフィルタ要素214の本体部分220へと織られることがある。ワイヤ212の第1の端がフィルタ要素214の遠位端216に隣接すると、ワイヤ212は、フィルタ要素214の外周の周りに織られることがある。ワイヤ212が、フィルタ要素214の外周の周りに約360°度、360°より小さく、270°より小さく、180°より小さくなど、延び得ることが企図されている。次いで、ワイヤ212の第1の端は、近位方向にフィルタ要素214の本体部分220へと織られることがある。たとえば、ワイヤ212は、略長手方向に延びる第1の部分222と、周方向に延びる第2の部分224と、略長手方向に延びる第3の部分226とを含むことがある。ワイヤ212を織り交ぜる代替パターンおよび/または方法は、必要に応じて使用されてよいことが企図されている。たとえば、ワイヤ212の自由端のうちの少なくとも1つは、デバイス200の近位端まで延びないことがある。
【0119】
ワイヤ212は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、ワイヤ212は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。同様に、フィルタ要素214は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ210は、自己拡張であることがある。ワイヤ212は、一般に、その拡張構成をとるフィルタ要素214に対して拡張支持を提供し、フィルタ要素214は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。ワイヤ212は、フィルタ・アセンブリ210の回収を容易にすることもある。ワイヤ212は、良好な並置および壁との密閉を保証するためにワイヤ212が拡張される内腔の壁を係合するように適合される。フィルタ要素214は孔をその中に有し、この孔は、血液がそれを通って流れることを可能にするようなサイズにされるが、望ましくない異物粒子がそれを通過するのを防止するのに十分に小さい。したがって、異物粒子は、フィルタ要素214によって、その中に捕集される。図4に図示されるように、フィルタ・アセンブリ210は、略遠位を向いた開口228を有する。他の実施形態では、開口228は、近位を向いてもよい。開口228の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかおよび/または展開される血管がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0120】
いくつかの実施形態では、ワイヤ212およびフィルタ要素214は、フィルタ・アセンブリ210の周りにフィルタ・アセンブリ210の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような構成では、吹き流しの線に沿って、フィルタ・アセンブリ210は、より大きな開口228(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。フィルタ・アセンブリは、血管造影カテーテルまたはピグテール・カテーテルが内腔234を通過することを可能にするために、その長さに延びる中心内腔234を画定し得る。内腔234は、開放近位端と、開放遠位端228とを含んでよい。開放近位端は、任意の捕獲されたデブリを脳血管系から離れるように向けるために、外側シース204の中心内腔230または他の管状部材と流体連通し得ることが企図されている。いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリの開放近位端は、外側シース204の内腔230の遠位部分または他の管状部材内で位置決めされることがある。
【0121】
外側シース204は、その近位端から遠位端232まで延びる内腔230を画定することがある。内腔230は、フィルタ・アセンブリ210、内側管状部材(明示的に図示せず)ピグテール・カテーテルもしくは血管造影法カテーテル(明示的に図示せず)、および/または手技カテーテル(限定されるものではないが、TAVRまたはTAVI手技カテーテルまたはデバイスなど)などを摺動可能に受けるように構成されることがある。ピグテール・カテーテル(そのように提供される場合)およびフィルタ・アセンブリ210は、外側シース204の径方向内側にあることがある。いくつかの実施形態では、ピグテール・カテーテルとフィルタ・アセンブリ210は、外側シース204の内腔230を通って同時に(または実質的に同時に)前進されることがある。他の実施形態では、ピグテール・カテーテル(そのように提供される場合)およびフィルタ・アセンブリ210は、順次または次々と前進されることがある。フィルタ・アセンブリ210は、外側シース204内で送達状態または形状または位置において径方向にあることがある。外側シース204は、手技カテーテルがそれを通過するのに十分に大きい直径を有することがある。外側シース204は、非侵襲的遠位先端を備えることがある。いくつかの場合では、外側シース204は、可撓性および/または非侵襲的であってよい。外側シース204は、たとえば、意図された留置場所(たとえば、左鎖骨下動脈16および/または他の内腔)に基づいて、湾曲を備えることがある。代替として、または追加として、外側シース204は、操縦可能であることがある。
【0122】
フィルタ・アセンブリ210は、ワイヤ212に対して結合される(たとえば、圧着される、溶着される、はんだ付けされる、など)ことがある。たとえば、上記で説明されたように、ワイヤ212は、フィルタ要素214と織り交ぜられることがある。しかしながら、フィルタ・アセンブリ210は、限定されるものではないが、圧着、溶着、はんだ付け、接着剤、ホット・メルティングなどを含む他の方法を使用してワイヤ212に対して結合されてよいことが企図されている。ワイヤ212は、外側シース204に対する差動長手方向移動を提供するためにハンドルまたはその構成要素(明示的に図示せず)に対して結合可能であり、これは、フィルタ・アセンブリ210を覆い、外側シース204から出すことができる。
【0123】
明示的に図示されていないが、フィルタ・アセンブリ210は、ワイヤ212に加えて、またはその代替として、管状シャフト上に装着されてよい。管状シャフトは、形および機能に関して、上記で説明される案内部材60に類似してよく、外側シース204の内腔230内で前進され得る。管状シャフトは、左鎖骨下動脈16へのナビゲーションを容易にするためにガイドワイヤ上で前進され得ることが、企図されている。たとえば、左鎖骨下動脈16は、ガイドワイヤ上で管状シャフトを前進させることによって、左鎖骨下動脈16に挿入されたガイドワイヤおよびフィルタ・アセンブリ210を用いてカニューレ処置されてよい。
【0124】
遠位部分202は、使用者がデバイス200を位置決めする、フィルタ・アセンブリ210を展開する、ピグテール・カテーテルを利用することなどを助けるために、蛍光透視マーカを含むことがある。蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)は、外側シース204の遠位端に近接して位置決めされることがある。別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ210の近位端に近接して位置決めされることがある。いくつかの場合では、別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ210の遠位端に近接することがある。蛍光透視マーカは、放射線不透過性材料(たとえば、イリジウム、プラチナ、タンタル、金、パラジウム、タングステン、スズ、銀、チタン、ニッケル、ジルコニウム、レニウム、ビスマス、モリブデン、それらの組み合わせなど)を備えてよい。より多いまたは少ない蛍光透視マーカも可能である。
【0125】
いくつかの使用の方法では、フィルタ・システム200は、被験者の左橈骨動脈または代替として左上腕動脈内で作成された切開部を通って、被験者へと前進される。システム200は、左鎖骨下動脈16へと前進される。いくつかの場合では、外側シース204は、ガイドワイヤ上で前進されることがあるが、これは必須ではない。いくつかの実装形態では、そのように提供される場合、ガイドワイヤおよび外側シース204および/または内側管状部材(および/またはフィルタ・アセンブリ210)は、一緒に追跡されることがあり、ガイドワイヤは、外側シース204および/または内側管状部材を導く(たとえば、ガイドワイヤをある距離前進させ、次いで、ガイドワイヤ上の外側シース204および/または内側管状部材をほぼ同じ距離前進させる)。いくつかの場合では、ガイドワイヤが柔らかいまたは剛性を欠く場合、ガイドワイヤは、外側シース204の内部に導入され、次いで、血管系内で内側管状部材の前に前進されることがある。
【0126】
外側シース204は、左鎖骨下動脈16からのナビゲーションを容易にするために湾曲するおよび/または操縦可能であることがある。内側管状部材は、外側シース204と同時に前進されてもよいし、これに対して順次前進されてもよい。追加として、血管造影カテーテルは、内側管状部材および/または外側シース204と同時に前進されてもよいし、これらに対して逐次的に前進されてもよい。外側シース204が、左椎骨動脈24の口内にまたはこれに隣接して位置決めされると、血管造影カテーテルは、外側シース204から遠位に前進されることがある。
【0127】
保護デバイス200の追跡は、蛍光透視下で、たとえば、(たとえば、外側シース204および/または内側管状部材の遠位端において)放射線不透過性マーカおよび/または放射線不透過性流体もしくは造影剤を使用して、実行されることがある。放射線不透過性流体は、内側管状部材、血管造影カテーテル、および/または外側シース204を通って提供されることがある。保護デバイス200は、フィルタ・アセンブリ210が、塞栓材料が左椎骨動脈24を通って脳血管系に入るのを阻止または防止することができるように、フィルタ・アセンブリ210のワイヤ212の周方向に延びる第2の部分224が左椎骨動脈24の上流にあるまたは左鎖骨下動脈16の口に近接するように、位置決めされることがある。しかしながら、位置決めは利用可能な解剖学的構造に基づいてよいことが企図されている。
【0128】
血管系を通るナビゲーション中に、フィルタ・アセンブリ210は、フィルタ・アセンブリ210が外側シース204から遠位に前進されるおよび/または外側シース204がフィルタ・アセンブリ210に対して近位に後退されるまで、外側シース204の内腔内で設置され、その中の圧壊位置において保持されることがある。血管造影カテーテルが展開された後、次いで、外側シース204が、フィルタ・アセンブリ210を展開するために、近位に後退されることがある(および/またはフィルタ・アセンブリ210に対して結合された場合、内側管状部材が遠位に前進される)。いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリ210は、血管造影カテーテルを前進させる前に、またはそれと実質的に同時に、展開されることがある。フィルタ・アセンブリ210は、任意の取り除かれたデブリを左椎骨動脈24から離れて下流に向けるように位置決めされることがある。
【0129】
たとえばフィルタ・アセンブリ210上の、放射線不透過性マーカは、フィルタ・アセンブリ210が展開状態をいつ達成するかを決定する助けとなることができる。フィルタ・アセンブリ210および外側シース204の差動長手方向移動は、フィルタ・アセンブリ210の十分なまたは適切な展開時に中止することができる。左鎖骨下動脈16の側壁とのフィルタ・アセンブリ210の並置は、たとえば、放射線不透過性流体または造影剤を使用して、検証可能である。放射線不透過性流体は、血管造影カテーテル、内側管状部材、および/または外側シース204を通って提供されることがある。放射線不透過性流体がフィルタ・アセンブリ210のフレームと大動脈弓の側壁との間を流れることが可能である場合、フィルタ・アセンブリ210は、不適切に位置決めされる(たとえば、不適切な展開、不適切なサイズ、カルシウムなどを表す)ことがある。フィルタ・アセンブリ210は、外側シース204へと後退されて再展開されてもよいし、異なる保護デバイスが使用されてもよい。保護デバイス200の位置決めの後、そのように望まれる場合、血管造影カテーテルは抜去されてよく、手技カテーテルは、内側管状部材の内腔およびフィルタ・アセンブリ210を通って前進されてよい。
【0130】
フィルタ・デバイス200が位置決めされた後(またはそれと実質的に同時に、またはデバイス200の植え込みの前に)、限定されるものではないが、本願明細書において説明される保護デバイス30などの、第2の保護デバイスまたはフィルタ・システムが展開されることがある。いくつかの実施形態では、第2のフィルタ・システム30は、無名動脈12および/または左総頸動脈14内で位置決めされることがあるが、これは必須ではない。
【0131】
フィルタ・デバイス200は、そのように提供される場合、第2のフィルタ・システム30の前に、これと実質的に同時に、またはこの後に、のいずれかで除去可能である。フィルタ・アセンブリ210は、フィルタ・アセンブリ210を反転させて、フィルタ・アセンブリ210を外側シース204の内腔230へと引っ張り込むために、ワイヤ212上で(たとえば、その自由端の一方または両方の上で)近位力または引っ張り運動を加えることによって、回収され得る。ワイヤ212上での近位力の代替として、またはこれに加えて、外側シース204は、フィルタ・アセンブリ210に対して遠位に前進される。これは、フィルタ・アセンブリ210を圧壊させ、圧壊された近位フィルタ要素214内に粒子を捕集させる。フィルタ・アセンブリ210全体がシース204内にあるまで、ワイヤ212が近位に作動される、および/または外側シース204が遠位に移動される。次いで、システム200全体が被験者から除去可能である。
【0132】
本願明細書において言及される実施形態のいずれにおいても、フィルタ・アセンブリ210は、代替として、送達カテーテルから外されてよく、送達カテーテルは、フィルタ・アセンブリ210を置き去りにして除去されてよい。フィルタ・アセンブリ210は、永久的に所定の位置に残されることが可能である、または手技後治療時間期間後に回収カテーテルを用いて捕らえることによって回収されることが可能である。代替として、フィルタ・アセンブリ210は、カテーテルに対して取り付けられたままであることがあり、カテーテルは、治療時間期間にわたって手技後、所定の位置に残されることがある。その治療期間は、臨床環境に応じて、少なくとも1日、1週間、3週間、5週間、またはそれ以上であってよい。留置用フィルタまたはフィルタ・アセンブリをもつ患者は、組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、クマジン、ヘパリン、および当技術分野で知られている他のものを含むさまざまな血栓溶解療法または抗凝固療法のいずれかが投与されてよい。
【0133】
図5は、別の例示的な保護デバイス300の側面図を示す。保護デバイス300は、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されることがあり、形および機能に関して、本願明細書において説明される保護デバイス200に類似してよい。いくつかの場合では、保護デバイス300は、別の血管または内腔内で位置決めされることがある。いくつかの実施形態では、保護デバイス300は、限定されるものではないが、本願明細書において説明される保護デバイス30などの他の保護デバイスと組み合わせて使用されてよい。
【0134】
保護デバイス300は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分302とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス300の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス300のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分302は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分302が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよい。
【0135】
保護デバイス300は、少なくとも外側シース304と、フィルタ・アセンブリ310とを含むことがある。フィルタ・アセンブリ310は、フィルタ要素314と、その遠位端領域316に隣接するフィルタ要素314へと織られたテザーまたはワイヤ312、すなわち支持要素とを含むことがある。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ310は、ステントにより支持されるフィルタであることがある。ワイヤ312は、身体の外部に残るように構成された2つの自由端(明示的に図示せず)を含んでよい。ワイヤ312をフィルタ要素314へと織るために、ワイヤ312の第1の端は、遠位方向にフィルタ要素314の本体部分320へと織られることがある。ワイヤ312の第1の端がフィルタ要素314の遠位端316に隣接すると、ワイヤ312は、フィルタ要素314の外周の周りに織られることがある。ワイヤ312が、フィルタ要素314の外周の周りに約360°度、360°より小さく、270°より小さく、180°より小さくなど、延び得ることが企図されている。次いで、ワイヤ312の第1の端は、近位方向にフィルタ要素314の本体部分320へと織られることがある。たとえば、ワイヤ312は、略長手方向に延びる第1の部分322と、周方向に延びる第2の部分324と、略長手方向に延びる第3の部分326とを含むことがある。ワイヤ312を織り交ぜる代替パターンおよび/または方法は、必要に応じて使用されてよいことが企図されている。たとえば、ワイヤ312の自由端のうちの少なくとも1つは、デバイス300の近位端まで延びないことがある。フィルタ要素314の終結遠位端または縁318は、非侵襲的遠位端328を作成するために、ワイヤ312の周方向に延びる第2の部分324の上で(たとえば、近位方向に)折り畳まれることがある。代替として、または追加として、遠位端領域316は、遠位端領域316へと融合されたポリマーを用いてカプセル化されることがある。非侵襲的先端を作成するために、本願明細書において説明されるフィルタ・アセンブリのいずれも、カプセル化されてもよいし、折り畳まれた縁を含んでもよいことが企図されている。
【0136】
ワイヤ312は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、ワイヤ312は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。同様に、フィルタ要素314は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ310は、自己拡張であることがある。ワイヤ312は、一般に、その拡張構成をとるフィルタ要素314に対して拡張支持を提供し、フィルタ要素314は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。ワイヤ312は、フィルタ・アセンブリ310の回収を容易にすることもある。ワイヤ312は、良好な並置および壁との密閉を保証するためにワイヤ312が拡張される内腔の壁を係合するように適合される。フィルタ要素314は孔をその中に有し、この孔は、血液がそれを通って流れることを可能にするようなサイズにされるが、望ましくない異物粒子がそれを通過するのを防止するのに十分に小さい。したがって、異物粒子は、フィルタ要素314によって、その中に捕集される。図5に図示されるように、フィルタ・アセンブリ310は、略遠位を向いた開口330を有する。他の実施形態では、開口330は、近位を向いてもよい。開口330の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかおよび/または展開される血管がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、ワイヤ312およびフィルタ要素314は、フィルタ・アセンブリ310の周りにフィルタ・アセンブリ310の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような構成では、吹き流しの線に沿って、フィルタ・アセンブリ310は、より大きな開口330(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。フィルタ・アセンブリは、血管造影カテーテルまたはピグテール・カテーテルが内腔336を通過することを可能にするために、その長さに延びる中心内腔336を画定し得る。内腔336は、開放近位端と、開放遠位端330とを含んでよい。開放近位端は、任意の捕獲されたデブリを脳血管系から離れるように向けるために、外側シース304の中心内腔332または他の管状部材と流体連通し得ることが企図されている。いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリの開放近位端は、外側シース304の内腔332の遠位部分または他の管状部材内で位置決めされることがある。外側シース304は、その近位端から遠位端334まで延びる内腔332を画定することがあり、形および機能に関して、本願明細書において説明される外側シース204に類似してよい。
【0138】
フィルタ・アセンブリ310は、ワイヤ312に対して結合される(たとえば、圧着される、溶着される、はんだ付けされる、など)ことがある。たとえば、上記で説明されたように、ワイヤ312は、フィルタ要素314と織り交ぜられることがある。しかしながら、フィルタ・アセンブリ310は、限定されるものではないが、圧着、溶着、はんだ付け、接着剤、ホット・メルティングなどを含む他の方法を使用してワイヤ312に対して結合されてよいことが企図されている。ワイヤ312は、外側シース304に対する差動長手方向移動を提供するためにハンドルまたはその構成要素(明示的に図示せず)に対して結合可能であり、これは、フィルタ・アセンブリ310を覆い、外側シース304から出すことができる。
【0139】
明示的に図示されていないが、フィルタ・アセンブリ310は、ワイヤ312に加えて、またはその代替として、管状シャフト上に装着されてよい。管状シャフトは、形および機能に関して、上記で説明される案内部材60に類似してよく、外側シース304の内腔332内で前進され得る。管状シャフトは、左鎖骨下動脈16へのナビゲーションを容易にするためにガイドワイヤ上で前進されることがあることが企図されている。たとえば、左鎖骨下動脈16は、ガイドワイヤ上で管状シャフトを前進させることによって、左鎖骨下動脈16に挿入されたガイドワイヤおよびフィルタ・アセンブリ310を用いてカニューレ処置されてよい。
【0140】
遠位部分302は、使用者がデバイス300を位置決めする、フィルタ・アセンブリ310を展開する、ピグテール・カテーテルを利用することなどを助けるために、蛍光透視マーカを含むことがある。蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)は、外側シース304の遠位端に近接して位置決めされることがある。別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ310の近位端に近接して位置決めされることがある。いくつかの場合では、別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ310の遠位端に近接することがある。蛍光透視マーカは、放射線不透過性材料(たとえば、イリジウム、プラチナ、タンタル、金、パラジウム、タングステン、スズ、銀、チタン、ニッケル、ジルコニウム、レニウム、ビスマス、モリブデン、それらの組み合わせなど)を備えてよい。より多いまたは少ない蛍光透視マーカも可能である。
【0141】
いくつかの使用の方法では、フィルタ・システム300は、被験者の左橈骨動脈または代替として左上腕動脈内で作成された切開部を通って、被験者へと前進される。システム300は、左鎖骨下動脈16へと前進される。デバイス300は、デバイス200に関して説明された様式に類似した様式で、位置決めされ、展開され、回収されてよい。
【0142】
図6は、別の例示的な保護デバイス400の側面図を示す。保護デバイス400は、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されることがあり、形および機能に関して、本願明細書において説明される保護デバイス200に類似してよい。いくつかの場合では、保護デバイス400は、別の血管または内腔内で位置決めされることがある。いくつかの実施形態では、保護デバイス400は、限定されるものではないが、本願明細書において説明される保護デバイス30などの他の保護デバイスと組み合わせて使用されてよい。
【0143】
保護デバイス400は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分402とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス400の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス400のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分402は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分402が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよい。
【0144】
保護デバイス400は、少なくとも外側シース404と、フィルタ・アセンブリ410とを含むことがある。フィルタ・アセンブリ410は、フィルタ要素414と、その遠位端領域416に隣接するフィルタ要素414に対して結合された1つまたは複数のテザーまたはワイヤ412a、412b、412c(総称して、412)、すなわち支持要素とを含むことがある。フィルタ・アセンブリ410は、3つのワイヤ412を含むと示されているが、フィルタ・アセンブリ410は、限定されるものではないが、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上などの、任意の数のワイヤ412を含んでよい。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ410は、ステントにより支持されるフィルタであることがある。ワイヤ412は各々、身体の外部に残るように構成された近位端(明示的に図示せず)を含んでよい。遠位端418a、418b、418c(総称して、418)は各々、フィルタ要素414の遠位端領域416に対して結合されることがある。遠位端418は、フィルタ要素414の遠位端領域416の外周の周りに周方向に離隔されてよい。必要に応じて、いくつかの場合では、遠位端418は、一様に離隔されることがあるが、他の場合では、遠位端418は、偏心性に離隔されることがある。ワイヤ412の近位端が、フィルタ・アセンブリ410を圧壊するまたは後退させるように作動されるとき、フィルタ・アセンブリ410は、複数のポイントから反転されているとき、回収されるとき、より均一に折り畳み得ることが企図されている。
【0145】
ワイヤ412は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、ワイヤ412は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。同様に、フィルタ要素414は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ410は、自己拡張であることがある。いくつかの実施形態では、ワイヤ412は、フィルタ要素414に対して十分な拡張支持を提供しないことがある。フィルタ要素414は、血管壁に対する並置を可能にするために円錐形(または他の形状)へと設定された形状である織られたまたは編まれたニチノール・ワイヤから形成されてよい。他の材料および構成がフィルタ要素414のために使用されてよく、このことが、フィルタ要素414が拡張構成で血管壁を並置することを可能にすることが企図されている。拡張構成であるとき、フィルタ要素414は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。フィルタ要素414は孔をその中に有し、この孔は、血液がそれを通って流れることを可能にするようなサイズにされるが、望ましくない異物粒子がそれを通過するのを防止するのに十分に小さい。したがって、異物粒子は、フィルタ要素414によって、その中に捕集される。図6に図示されるように、フィルタ・アセンブリ410は、略遠位を向いた開口420を有する。他の実施形態では、開口420は、近位を向いてもよい。開口420の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかおよび/または展開される血管がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0146】
いくつかの実施形態では、ワイヤ412およびフィルタ要素414は、フィルタ・アセンブリ410の周りにフィルタ・アセンブリ410の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような構成では、吹き流しの線に沿って、フィルタ・アセンブリ410は、より大きな開口420(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。フィルタ・アセンブリは、血管造影カテーテルまたはピグテール・カテーテルが内腔422を通過することを可能にするために、その長さに延びる中心内腔422を画定し得る。いくつかの実施形態では、ワイヤ412は、内腔422を通って延び得る。内腔422は、開放近位端と、開放遠位端420とを含んでよい。開放近位端は、任意の捕獲されたデブリを脳血管系から離れるように向けるために、外側シース404の中心内腔424または他の管状部材と流体連通し得ることが企図されている。いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリの開放近位端は、外側シース404の内腔424の遠位部分または他の管状部材内で位置決めされることがある。外側シース404は、その近位端から遠位端426まで延びる内腔424を画定することがあり、形および機能に関して、本願明細書において説明される外側シース204に類似してよい。
【0147】
フィルタ・アセンブリ410は、ワイヤ412に対して結合される(たとえば、圧着される、溶着される、はんだ付けされる、など)ことがある。たとえば、上記で説明されたように、ワイヤ412は、フィルタ要素414と織り交ぜられることがある。しかしながら、フィルタ・アセンブリ410は、限定されるものではないが、圧着、溶着、はんだ付け、接着剤、ホット・メルティングなどを含む他の方法を使用してワイヤ412に対して結合されてよいことが企図されている。ワイヤ412は、外側シース404に対する差動長手方向移動を提供するためにハンドルまたはその構成要素(明示的に図示せず)に対して結合可能であり、これは、フィルタ・アセンブリ410を覆い、外側シース404から出すことができる。
【0148】
明示的に図示されていないが、フィルタ・アセンブリ410は、ワイヤ412に加えて、またはその代替として、管状シャフト上に装着されてよい。管状シャフトは、形および機能に関して、上記で説明される案内部材60に類似してよく、外側シース404の内腔424内で前進され得る。管状シャフトは、左鎖骨下動脈16へのナビゲーションを容易にするためにガイドワイヤ上で前進されることがあることが企図されている。たとえば、左鎖骨下動脈16は、ガイドワイヤ上で管状シャフトを前進させることによって、左鎖骨下動脈16に挿入されたガイドワイヤおよびフィルタ・アセンブリ410を用いてカニューレ処置されてよい。
【0149】
遠位部分402は、使用者がデバイス400を位置決めする、フィルタ・アセンブリ410を展開する、ピグテール・カテーテルを利用することなどを助けるために、蛍光透視マーカを含むことがある。蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)は、外側シース404の遠位端に近接して位置決めされることがある。別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ410の近位端に近接して位置決めされることがある。いくつかの場合では、別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ410の遠位端に近接することがある。蛍光透視マーカは、放射線不透過性材料(たとえば、イリジウム、プラチナ、タンタル、金、パラジウム、タングステン、スズ、銀、チタン、ニッケル、ジルコニウム、レニウム、ビスマス、モリブデン、それらの組み合わせなど)を備えてよい。より多いまたは少ない蛍光透視マーカも可能である。
【0150】
いくつかの使用の方法では、フィルタ・システム400は、被験者の左橈骨動脈または代替として左上腕動脈内で作成された切開部を通って、被験者へと前進されることがある。システム400は、左鎖骨下動脈16へと前進される。デバイス400は、デバイス200に関して説明された様式に類似した様式で、位置決めされ、展開され、回収されてよい。
【0151】
図7は、別の例示的な保護デバイス500の側面図を示す。保護デバイス500は、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されることがあり、形および機能に関して、本願明細書において説明される保護デバイス200に類似してよい。いくつかの場合では、保護デバイス500は、別の血管または内腔内で位置決めされることがある。いくつかの実施形態では、保護デバイス500は、限定されるものではないが、本願明細書において説明される保護デバイス30などの他の保護デバイスと組み合わせて使用されてよい。
【0152】
保護デバイス500は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分502とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス500の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス500のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分502は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分502が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよい。
【0153】
保護デバイス500は、少なくとも外側シース504と、フィルタ・アセンブリ510とを含むことがある。フィルタ・アセンブリ510は、フィルタ要素514と、その遠位端領域516に隣接するフィルタ要素514へと結合されたテザーまたはワイヤ512、すなわち支持要素とを含むことがある。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ510は、ステントにより支持されるフィルタであることがある。ワイヤ512は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、ワイヤ512は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。同様に、フィルタ要素514は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ510は、自己拡張であることがある。いくつかの実施形態では、ワイヤ512は、フィルタ要素514に対して十分な拡張支持を提供しないことがある。フィルタ要素514は、血管壁に対する並置を可能にするために円錐形(または他の形状)へと設定された形状である編まれたまたは織られたニチノール・ワイヤから形成されてよい。いくつかの場合では、編まれた材料の遠位端520は、フィルタ要素514の最遠位部分522において集められることが可能である。他の材料および構成がフィルタ要素514のために使用されてよく、このことが、フィルタ要素514が拡張構成で血管壁を並置することを可能にすることが企図されている。
【0154】
ワイヤ512は、身体の外部に残るように構成された近位端(明示的に図示せず)を含んでよい。遠位端518は各々、フィルタ要素514の遠位端領域516に対して結合されることがある。いくつかの実施形態では、遠位端518は、フィルタ要素514の集められた遠位端520に対して結合されることがある。この結合仕組みは、ワイヤ512を外側シース504へと近位に抜去することによって、フィルタ・アセンブリ510が反転され、フィルタ要素514の最遠位ポイント522から回収されることを可能にし得る。いくつかの場合では、ワイヤ512は、内側管状部材524の内腔526を通って延びることがあるが、これは必須ではない。
【0155】
拡張構成であるとき、フィルタ要素514は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。フィルタ要素514は孔をその中に有し、この孔は、血液がそれを通って流れることを可能にするようなサイズにされるが、望ましくない異物粒子がそれを通過するのを防止するのに十分に小さい。したがって、異物粒子は、フィルタ要素514によって、その中に捕集される。図7に図示されるように、フィルタ・アセンブリ510は、略遠位を向いた開口528を有する。他の実施形態では、開口528は、近位を向いてもよい。開口528の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかおよび/または展開される血管がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、ワイヤ512およびフィルタ要素514は、フィルタ・アセンブリ510の周りにフィルタ・アセンブリ510の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような構成では、吹き流しの線に沿って、フィルタ・アセンブリ510は、より大きな開口528(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。フィルタ・アセンブリは、血管造影カテーテルまたはピグテール・カテーテルが内腔530を通過することを可能にするために、その長さに延びる中心内腔530を画定し得る。内腔530は、開放近位端と、開放遠位端528とを含んでよい。開放近位端は、任意の捕獲されたデブリを脳血管系から離れるように向けるために、外側シース504の中心内腔532または他の管状部材と流体連通し得ることが企図されている。いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリの開放近位端は、外側シース504の内腔532の遠位部分または他の管状部材内で位置決めされることがある。外側シース504は、その近位端から遠位端534まで延びる内腔532を画定することがあり、形および機能に関して、本願明細書において説明される外側シース204に類似してよい。
【0157】
フィルタ・アセンブリ510は、ワイヤ512に対して結合される(たとえば、圧着される、溶着される、はんだ付けされる、など)ことがある。たとえば、上記で説明されたように、ワイヤ512は、フィルタ要素514と織り交ぜられることがある。しかしながら、フィルタ・アセンブリ510は、限定されるものではないが、圧着、溶着、はんだ付け、接着剤、ホット・メルティングなどを含む他の方法を使用してワイヤ512に対して結合されてよいことが企図されている。ワイヤ512は、外側シース504に対する差動長手方向移動を提供するためにハンドルまたはその構成要素(明示的に図示せず)に対して結合可能であり、これは、フィルタ・アセンブリ510を覆い、外側シース504から出すことができる。
【0158】
明示的に図示されていないが、フィルタ・アセンブリ510は、ワイヤ512に加えて、またはその代替として、内側管状部材524などの管状シャフト上に装着されてよい。管状シャフトは、形および機能に関して、上記で説明される案内部材60に類似してよく、外側シース504の内腔532内で前進され得る。管状シャフト524は、左鎖骨下動脈16へのナビゲーションを容易にするためにガイドワイヤ上で前進されることがあることが企図されている。たとえば、左鎖骨下動脈16は、ガイドワイヤ上で管状シャフトを前進させることによって、左鎖骨下動脈16に挿入されたガイドワイヤおよびフィルタ・アセンブリ510を用いてカニューレ処置されてよい。
【0159】
遠位部分502は、使用者がデバイス500を位置決めする、フィルタ・アセンブリ510を展開する、ピグテール・カテーテルを利用することなどを助けるために、蛍光透視マーカを含むことがある。蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)は、外側シース504の遠位端に近接して位置決めされることがある。別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ510の近位端に近接して位置決めされることがある。いくつかの場合では、別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ510の遠位端に近接することがある。蛍光透視マーカは、放射線不透過性材料(たとえば、イリジウム、プラチナ、タンタル、金、パラジウム、タングステン、スズ、銀、チタン、ニッケル、ジルコニウム、レニウム、ビスマス、モリブデン、それらの組み合わせなど)を備えてよい。より多いまたは少ない蛍光透視マーカも可能である。
【0160】
いくつかの使用の方法では、フィルタ・システム500は、被験者の左橈骨動脈または代替として左上腕動脈内で作成された切開部を通って、被験者へと前進されることがある。システム500は、左鎖骨下動脈16へと前進される。デバイス500は、デバイス200に関して説明された様式に類似した様式で、位置決めされ、展開され、回収されてよい。
【0161】
図8は、別の例示的な保護デバイス600の側面図を示す。保護デバイス600は、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されることがあり、形および機能に関して、本願明細書において説明される保護デバイス200に類似してよい。いくつかの場合では、保護デバイス600は、別の血管または内腔内で位置決めされることがある。いくつかの実施形態では、保護デバイス600は、限定されるものではないが、本願明細書において説明される保護デバイス30などの他の保護デバイスと組み合わせて使用されてよい。
【0162】
保護デバイス600は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分602とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス600の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス600のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分602は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分602が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよい。
【0163】
保護デバイス600は、少なくとも外側シース604と、内側シャフトまたは管状部材606と、フィルタ・アセンブリ610とを含むことがある。フィルタ・アセンブリ610は、フィルタ要素614を含むことがある。フィルタ要素は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。いくつかの実施形態では、フィルタ要素614は、自己支持型であることがある。たとえば、フィルタ要素614は、血管壁に対する並置を可能にするために円錐形(または他の形状)へと設定された形状である編まれたまたは織られたニチノール・ワイヤから形成されてよい。いくつかの場合では、明示的に図示されていないが、フィルタ要素614は、可撓性のより高い多孔性材料から形成され、拡張フレームまたはワイヤとともに拡張されてよい。いくつかの実施形態では、フィルタ要素614は、作動デバイスを通って手動で拡張されることがある。他の材料および構成がフィルタ要素614のために使用されてよく、このことが、フィルタ要素614が拡張構成で血管壁を並置することを可能にすることが企図されている。
【0164】
フィルタ・アセンブリ610は、内側管状部材606の遠位端領域616に対して結合され得る。内側管状部材606は、外側シース604の内腔618内で摺動可能に設置され、これを通って延び得る。内側管状部材は、外側シース604の内径よりも小さい外径と、内側管状部材606の内腔620およびフィルタ・アセンブリ610を通る血管造影カテーテルを最小抵抗で嵌合するためにつかまれる最小内径とを有することがある。内側管状部材は、フィルタ・アセンブリ610の被覆力および展開力に耐えるように構成もしくは設計された、レーザ切断されたステンレス鋼チューブまたは編まれたシャフトであってよいことが企図されている。
【0165】
デバイス600が所望の場所へ前進されるとき、フィルタ・アセンブリ610は、外側シース604内で設置されることがある。外側シース604は、血管系を通るナビゲーションのために径方向に圧壊構成でフィルタ・アセンブリ610を維持するように構成されてよい。内側管状部材606が外側シース604と無関係に、軸方向および回転方向に移動可能であってよいことがさらに企図されている。たとえば、フィルタ・アセンブリ610を展開するために、内側管状部材606が遠位に前進されてもよいし、外側シース604が近位に後退されてもよいし、またはそれらの組み合わせであってもよい。フィルタ・アセンブリ610を再捕獲するために、外側シース604はフィルタ・アセンブリ610上で遠位に前進可能であり、内側管状部材606は外側シース604の内腔618内で近位に後退可能であり、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0166】
拡張構成であるとき、フィルタ要素614は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。フィルタ要素614は、血液がそれを通って流れることを可能にするようなサイズにされるが、望ましくない異物粒子がそれを通過するのを防止するのに十分に小さい孔をその中に有する。したがって、異物粒子は、フィルタ要素614によって、その中に捕集される。図8に図示されるように、フィルタ・アセンブリ610は、略遠位を向いた開口622を有する。他の実施形態では、開口622は、近位を向いてもよい。開口622の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかおよび/または展開される血管がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素614は、フィルタ・アセンブリ610の周りにフィルタ・アセンブリ610の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような構成では、吹き流しの線に沿って、フィルタ・アセンブリ610は、より大きな開口622(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。フィルタ・アセンブリ610は、血管造影カテーテルまたはピグテール・カテーテルが内腔624を通過することを可能にするために、その長さに延びる中心内腔624を画定し得る。内腔624は、開放近位端と、開放遠位端622とを含んでよい。開放近位端は、任意の捕獲されたデブリを脳血管系から離れるように向けるために、内側管状部材606の中心内腔620または他の管状部材と流体連通し得ることが企図されている。いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリ610の開放近位端は、内側管状部材606の遠位部分に対して、またはその中で、結合されることがある。
【0168】
本願明細書において説明されるように、フィルタ・アセンブリ610は、内側管状部材606に対して結合され得る。フィルタ・アセンブリ610は、限定されるものではないが、圧着、溶着、はんだ付け、接着剤、ホット・メルティングなどを含む望ましい任意の方法を使用して内側管状部材606に対して結合されてよいことが企図されている。内側管状部材606は、外側シース604に対する差動長手方向移動を提供するためにハンドルまたはその構成要素(明示的に図示せず)に対して結合可能であり、これは、フィルタ・アセンブリ610を覆い、外側シース604から出すことができる。
【0169】
遠位部分602は、使用者がデバイス600を位置決めする、フィルタ・アセンブリ610を展開する、ピグテール・カテーテルを利用することなどを助けるために、蛍光透視マーカを含むことがある。蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)は、外側シース604の遠位端に近接して位置決めされることがある。別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ610の近位端に近接して位置決めされることがある。いくつかの場合では、別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ610の遠位端に近接することがある。蛍光透視マーカは、放射線不透過性材料(たとえば、イリジウム、プラチナ、タンタル、金、パラジウム、タングステン、スズ、銀、チタン、ニッケル、ジルコニウム、レニウム、ビスマス、モリブデン、それらの組み合わせなど)を備えてよい。より多いまたは少ない蛍光透視マーカも可能である。
【0170】
いくつかの使用の方法では、フィルタ・システム600は、被験者の左橈骨動脈または代替として左上腕動脈内で作成された切開部を通って、被験者へと前進されることがある。システム600は、左鎖骨下動脈16へと前進される。デバイス600は、デバイス200に関して説明された様式に類似した様式で、位置決めされ、展開され、回収されてよい。
【0171】
図9は、別の例示的な保護デバイス700の側面図を示す。保護デバイス700は、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されることがあり、形および機能に関して、本願明細書において説明される保護デバイス200に類似してよい。いくつかの場合では、保護デバイス700は、別の血管または内腔内で位置決めされることがある。いくつかの実施形態では、保護デバイス700は、限定されるものではないが、本願明細書において説明される保護デバイス30などの他の保護デバイスと組み合わせて使用されてよい。
【0172】
保護デバイス700は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分702とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス700の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス700のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分702は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分702が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよい。
【0173】
保護デバイス700は、少なくとも外側シース704と、内側シャフトまたは内側管状部材706と、フィルタ・アセンブリ710とを含むことがある。フィルタ・アセンブリ710は、複数の長手方向に延びる脚712a、712b、712c、712d(総称して、712)とフィルタ要素714とを含む支持フレームを含むことがある。脚712は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、脚712は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。フィルタ要素714は、フィルタ要素714の遠位端716に隣接して、および/またはフィルタ要素714の長さに沿って連続的にもしくは間欠的に、複数の脚712に対して結合されてよい。フィルタ・アセンブリ710は、4つの脚712を含むと示されているが、フィルタ・アセンブリ710は、限定されるものではないが、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上などの、任意の数の脚712を含んでよい。脚712の数はフィルタ・アセンブリ710の壁並置を変化させるために変えられてよいことが企図されている。たとえば、脚712の数を増加させることは、壁並置を増加させ得る。いくつかの実施形態では、脚712は、フィルタ要素714の長さにほぼ等しい長さを有することがある。他の実施形態では、脚712は、フィルタ要素714よりも長い長さを有することがある。たとえば、脚712は、フィルタ・アセンブリ710の除去を容易にするためにデバイス700の近位端まで延びてよい。
【0174】
いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ710は、ステントにより支持されるフィルタであることがある。フィルタ要素は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。たとえば、フィルタ要素714は、脚712の間に延びる穴の開いた膜または穿孔された膜から形成されてよい。いくつかの場合では、明示的に図示されていないが、フィルタ要素714は、織り構造または編み構造から形成されてよい。いくつかの実施形態では、フィルタ要素714は、作動デバイスを通って手動で拡張されることがある。他の材料および構成がフィルタ要素714のために使用されてよく、このことが、フィルタ要素714が拡張構成で血管壁を並置することを可能にすることが企図されている。
【0175】
フィルタ・アセンブリ710は、内側管状部材706の遠位端領域720に対して結合され得る。内側管状部材706は、外側シース704の内腔718内で摺動可能に設置され、これを通って延び得る。内側管状部材は、外側シース704の内径よりも小さい外径と、内側管状部材706の内腔722およびフィルタ・アセンブリ710を通る血管造影カテーテルを最小抵抗で嵌合するためにつかまれる最小内径とを有することがある。内側管状部材は、フィルタ・アセンブリ710の被覆力および展開力に耐えるように構成もしくは設計された、レーザ切断されたステンレス鋼チューブまたは編まれたシャフトであってよいことが企図されている。
【0176】
デバイス700が所望の場所へ前進されるとき、フィルタ・アセンブリ710は、外側シース704内で設置されることがある。外側シース704は、血管系を通るナビゲーションのために径方向に圧壊構成でフィルタ・アセンブリ710を維持するように構成されてよい。内側管状部材706が外側シース704と無関係に、軸方向および回転方向に移動可能であってよいことがさらに企図されている。たとえば、フィルタ・アセンブリ710を展開するために、内側管状部材706が遠位に前進されてもよいし、外側シース704が近位に後退されてもよいし、またはそれらの組み合わせであってもよい。フィルタ・アセンブリ710が展開されるとき、脚712は、フィルタ要素714を血管のサイズへ開き得る。フィルタ・アセンブリ710を再捕獲するために、外側シース704はフィルタ・アセンブリ710上で遠位に前進可能であり、内側管状部材706は外側シース704の内腔718内で近位に後退可能であり、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0177】
拡張構成であるとき、フィルタ要素714は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。フィルタ要素714は孔をその中に有し、この孔は、血液がそれを通って流れることを可能にするようなサイズにされるが、望ましくない異物粒子がそれを通過するのを防止するのに十分に小さい。したがって、異物粒子は、フィルタ要素714によって、その中に捕集される。図9に図示されるように、フィルタ・アセンブリ710は、略遠位を向いた開口724を有する。いくつかの場合では、開口724の形状は、フィルタ要素714を支持する脚712に応じて変わってよい。他の実施形態では、開口724は、近位を向いてもよい。開口724の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかおよび/または展開される血管がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0178】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素714は、フィルタ・アセンブリ710の周りにフィルタ・アセンブリ710の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような構成では、吹き流しの線に沿って、フィルタ・アセンブリ710は、より大きな開口724(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。フィルタ・アセンブリ710は、血管造影カテーテルまたはピグテール・カテーテルが内腔726を通過することを可能にするために、その長さに延びる中心内腔726を画定し得る。内腔726は、開放近位端と、開放遠位端724とを含んでよい。開放近位端は、任意の捕獲されたデブリを脳血管系から離れるように向けるために、内側管状部材706の中心内腔722または他の管状部材と流体連通し得ることが企図されている。いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリ710の開放近位端は、内側管状部材706の遠位部分に対して、またはその中で、結合されることがある。
【0179】
本願明細書において説明されるように、フィルタ・アセンブリ710は、内側管状部材706に対して結合され得る。フィルタ・アセンブリ710は、限定されるものではないが、圧着、溶着、はんだ付け、接着剤、ホット・メルティングなどを含む望ましい任意の方法を使用して内側管状部材706に対して結合されてよいことが企図されている。内側管状部材706は、外側シース704に対する差動長手方向移動を提供するためにハンドルまたはその構成要素(明示的に図示せず)に対して結合可能であり、これは、フィルタ・アセンブリ710を覆い、外側シース704から出すことができる。
【0180】
遠位部分702は、使用者がデバイス700を位置決めする、フィルタ・アセンブリ710を展開する、ピグテール・カテーテルを利用することなどを助けるために、蛍光透視マーカを含むことがある。蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)は、外側シース704の遠位端に近接して位置決めされることがある。別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ710の近位端に近接して位置決めされることがある。いくつかの場合では、別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ710の遠位端に近接することがある。蛍光透視マーカは、放射線不透過性材料(たとえば、イリジウム、プラチナ、タンタル、金、パラジウム、タングステン、スズ、銀、チタン、ニッケル、ジルコニウム、レニウム、ビスマス、モリブデン、それらの組み合わせなど)を備えてよい。より多いまたは少ない蛍光透視マーカも可能である。
【0181】
いくつかの使用の方法では、フィルタ・システム700は、被験者の左橈骨動脈または代替として左上腕動脈内で作成された切開部を通って、被験者へと前進されることがある。システム700は、左鎖骨下動脈16へと前進される。デバイス700は、デバイス200に関して説明された様式に類似した様式で、位置決めされ、展開され、回収されてよい。
【0182】
図10は、別の例示的な保護デバイス800の側面図を示す。保護デバイス800は、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されることがあり、形および機能に関して、本願明細書において説明される保護デバイス200に類似してよい。いくつかの場合では、保護デバイス800は、別の血管または内腔内で位置決めされることがある。いくつかの実施形態では、保護デバイス800は、限定されるものではないが、本願明細書において説明される保護デバイス30などの他の保護デバイスと組み合わせて使用されてよい。
【0183】
保護デバイス800は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分802とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス800の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス800のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分802は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分802が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよい。
【0184】
保護デバイス800は、少なくとも外側シース804と、内側シャフトまたは内側管状部材806と、フィルタ要素814を含むフィルタ・アセンブリ810とを含むことがある。フィルタ・アセンブリ810は、複数の長手方向に延びる脚812a、812b(総称して、812)と、第1の部分818aと第2の部分818b(総称して、818)とを有するリング822と、ヒンジ816a、816b(総称して、816)のペアとを含む、支持フレームをさらに含むことがある。脚812は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、脚812は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。いくつかの実施形態では、ヒンジ816は、遠位リングの第1の部分と第2の部分818a、818bを移動的に結合し得る。各脚812a、812bは、それぞれのヒンジ816a、816bに対して結合され得る。いくつかの場合では、ヒンジ816とリング822は、フィルタ要素810の遠位端領域820に隣接するように位置決めおよび結合されることがある。しかしながら、ヒンジ816および/またはリング822は、内側管状部材806の遠位端領域824とフィルタ要素810の遠位端領域820との間の任意の箇所に位置決めされてよい。ヒンジ816は、必要に応じて、フィルタ・アセンブリ810の圧壊および/または拡張を容易にするように構成されてよい。
【0185】
フィルタ要素814は、フィルタ要素814の遠位端820に隣接して、および/またはフィルタ要素814の長さに沿って連続的にもしくは間欠的に、複数の脚812および/またはリング822に対して結合されてよい。フィルタ・アセンブリ810は、2つの脚812を含むと示されているが、フィルタ・アセンブリ810は、限定されるものではないが、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上などの、任意の数の脚812を含んでよい。脚812の数はフィルタ・アセンブリ810の壁並置を変化させるために変えられてよいことが企図されている。たとえば、脚812の数を増加させることは、壁並置を増加させ得る。いくつかの実施形態では、脚812は、フィルタ要素814の長さにほぼ等しい長さを有することがある。他の実施形態では、脚812は、フィルタ要素814よりも長い長さを有することがある。たとえば、脚812は、プル・ワイヤとして機能することによってフィルタ・アセンブリ810の除去を容易にするためにデバイス800の近位端まで延びてもよいし、(内側管状部材806に加えて、またはその代わりに)プル・ワイヤに対して結合されてもよい。
【0186】
いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ810は、ステントにより支持されるフィルタであることがある。フィルタ要素は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。たとえば、フィルタ要素814は、脚812の間に延びる穴の開いた膜または穿孔された膜から形成されてよい。いくつかの場合では、明示的に図示されていないが、フィルタ要素814は、織り構造または編み構造から形成されてよい。いくつかの実施形態では、フィルタ要素814は、作動デバイスを通って手動で拡張されることがある。他の材料および構成がフィルタ要素814のために使用されてよく、このことが、フィルタ要素814が拡張構成で血管壁を並置することを可能にすることが企図されている。
【0187】
フィルタ・アセンブリ810は、内側管状部材806の遠位端領域824に対して結合され得る。内側管状部材806は、外側シース804の内腔826内で摺動可能に設置され、これを通って延び得る。内側管状部材は、外側シース804の内径よりも小さい外径と、内側管状部材806の内腔828およびフィルタ・アセンブリ810を通る血管造影カテーテルを最小抵抗で嵌合するためにつかまれる最小内径とを有することがある。内側管状部材は、フィルタ・アセンブリ810の被覆力および展開力に耐えるように構成もしくは設計された、レーザ切断されたステンレス鋼チューブまたは編まれたシャフトであってよいことが企図されている。
【0188】
デバイス800が所望の場所へ前進されるとき、フィルタ・アセンブリ810は、外側シース804内で設置されることがある。外側シース804は、血管系を通るナビゲーションのために径方向に圧壊構成でフィルタ・アセンブリ810を維持するように構成されてよい。内側管状部材806が外側シース804と無関係に、軸方向および回転方向に移動可能であってよいことがさらに企図されている。たとえば、フィルタ・アセンブリ810を展開するために、内側管状部材806が遠位に前進されてもよいし、外側シース804が近位に後退されてもよいし、またはそれらの組み合わせであってもよい。フィルタ・アセンブリ810が展開されるとき、脚812は、フィルタ要素814を血管のサイズへ開き得る。フィルタ・アセンブリ810を再捕獲するために、外側シース804はフィルタ・アセンブリ810上で遠位に前進可能であり、内側管状部材806は外側シース804の内腔826内で近位に後退可能であり、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0189】
拡張構成であるとき、フィルタ要素814は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。フィルタ要素814は孔をその中に有し、この孔は、血液がそれを通って流れることを可能にするようなサイズにされるが、望ましくない異物粒子がそれを通過するのを防止するのに十分に小さい。したがって、異物粒子は、フィルタ要素814によって、その中に捕集される。図10に図示されるように、フィルタ・アセンブリ810は、略遠位を向いた開口830を有する。他の実施形態では、開口830は、近位を向いてもよい。開口830の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかおよび/または展開される血管がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0190】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素814は、フィルタ・アセンブリ810の周りにフィルタ・アセンブリ810の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような構成では、吹き流しの線に沿って、フィルタ・アセンブリ810は、より大きな開口830(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。フィルタ・アセンブリ810は、血管造影カテーテルまたはピグテール・カテーテルが内腔832を通過することを可能にするために、その長さに延びる中心内腔832を画定し得る。内腔832は、開放近位端と、開放遠位端830とを含んでよい。開放近位端は、任意の捕獲されたデブリを脳血管系から離れるように向けるために、内側管状部材806の中心内腔828または他の管状部材と流体連通し得ることが企図されている。いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリ810の開放近位端は、内側管状部材806の遠位部分に対して、またはその中で、結合されることがある。
【0191】
本願明細書において説明されるように、フィルタ・アセンブリ810は、内側管状部材806に対して結合され得る。フィルタ・アセンブリ810は、限定されるものではないが、圧着、溶着、はんだ付け、接着剤、ホット・メルティングなどを含む望ましい任意の方法を使用して内側管状部材806に対して結合されてよいことが企図されている。内側管状部材806は、外側シース804に対する差動長手方向移動を提供するためにハンドルまたはその構成要素(明示的に図示せず)に対して結合可能であり、これは、フィルタ・アセンブリ810を覆い、外側シース804から出すことができる。
【0192】
遠位部分802は、使用者がデバイス800を位置決めする、フィルタ・アセンブリ810を展開する、ピグテール・カテーテルを利用することなどを助けるために、蛍光透視マーカを含むことがある。蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)は、外側シース804の遠位端に近接して位置決めされることがある。別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ810の近位端に近接して位置決めされることがある。いくつかの場合では、別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ810の遠位端に近接することがある。蛍光透視マーカは、放射線不透過性材料(たとえば、イリジウム、プラチナ、タンタル、金、パラジウム、タングステン、スズ、銀、チタン、ニッケル、ジルコニウム、レニウム、ビスマス、モリブデン、それらの組み合わせなど)を備えてよい。より多いまたは少ない蛍光透視マーカも可能である。
【0193】
いくつかの使用の方法では、フィルタ・システム800は、被験者の左橈骨動脈または代替として左上腕動脈内で作成された切開部を通って、被験者へと前進されることがある。システム800は、左鎖骨下動脈16へと前進される。デバイス800は、デバイス200に関して説明された様式に類似した様式で、位置決めされ、展開され、回収されてよい。
【0194】
図11は、別の例示的な保護デバイス900の側面図を示す。保護デバイス900は、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されることがあり、形および機能に関して、本願明細書において説明される保護デバイス200に類似してよい。いくつかの場合では、保護デバイス900は、別の血管または内腔内で位置決めされることがある。いくつかの実施形態では、保護デバイス900は、限定されるものではないが、本願明細書において説明される保護デバイス30などの他の保護デバイスと組み合わせて使用されてよい。
【0195】
保護デバイス900は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分902とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス900の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス900のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分902は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分902が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよい。
【0196】
保護デバイス900は、少なくとも外側シース904と、血管造影カテーテル(明示的に図示せず)と、フィルタ要素914を含むフィルタ・アセンブリ910とを含むことがある。フィルタ・アセンブリ910は、拡張可能な支持構造912をさらに含むことがある。支持構造912は、ワイヤ212に関して説明された様式に類似した様式で、フィルタ要素914へと織られてもよいし、これに対して取り付けられてもよい。支持構造912は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、支持構造912は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。十分に拡張された構成をとる支持構造912の拡大図を示す図11Aを追加として参照すると、支持構造912は、十分に拡張された構成で第1の断面寸法または半径寸法916を有することがある。フィルタ・アセンブリ910が部分的に圧壊されるとき(フィルタ・アセンブリ910が外側シース904へと抜去されるとき)、支持構造912は、部分的に圧壊された構成をとる支持構造912の拡大図を示す図11Bに図示されるように、第1の断面寸法または半径寸法916よりも小さい第2の断面寸法または半径寸法918を有することがある。十分に圧壊された構成では、断面寸法または半径寸法は、第1の断面寸法または半径寸法と第2の断面寸法または半径寸法916、918の両方よりも小さくてよい。十分に圧壊された構成における支持構造の断面寸法または半径寸法は血管造影カテーテルまたは推進器要素の外径よりも小さくてよいことが企図されている。このことは、フィルタ・アセンブリ910の展開を容易にするために血管造影カテーテルまたは推進器要素が支持構造912を押すことを可能にし得る。たとえば、カテーテルまたは推進器要素が外側シース904の内腔920を通るとき、カテーテルまたは推進器要素は支持構造912に当接し、支持構造912を外側シース904の遠位端922から押し出し、カテーテルまたは推進器要素は、内腔に対して密閉するために拡張する。支持構造912は、支持構造912に対して取り付けられたプル・ワイヤ(明示的に図示せず)を引き寄せることによって再び覆われ得ることが企図されている。
【0197】
いくつかの実施形態では、支持構造912は、フィルタ要素914の近位端領域924に隣接して位置決めされることがあるが、これは必須ではない。いくつかの場合では、支持構造912は、たとえば、限定されるものではないが、ニチノールから作製された形状記憶構造であってよい。いくつかの場合では、支持構造912は、覆われるときにぐるぐる巻くスロット付きチューブであることがある。支持構造912は、圧壊構成であるときにその断面寸法を減少させるように構成された他の特徴を含んでよいことが企図されている。圧壊構成における支持構造912の断面寸法は、断面寸法が血管造影カテーテルまたは推進器要素の外径よりも小さい内径を有する限り、望ましい任意の形状をとってよいことが企図されている。いくつかの例示的だが非限定的な断面形状926a、926bが、図11Cおよび図11Dに示されている。
【0198】
いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ910は、ステントにより支持されるフィルタであることがある。フィルタ要素914は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。たとえば、フィルタ要素914は、脚912の間に延びる穴の開いた膜または穿孔された膜から形成されてよい。いくつかの場合では、フィルタ要素914は、織り構造または編み構造から形成されることがある。いくつかの実施形態では、フィルタ要素914は、作動デバイスを通って手動で拡張されることがある。他の材料および構成がフィルタ要素914のために使用されてよく、このことが、フィルタ要素914が拡張構成で血管壁を並置することを可能にすることが企図されている。
【0199】
フィルタ・アセンブリ910は、プル・ワイヤ(明示的に図示せず)に対して結合され、外側シース904の内腔920の中に装填されることがある。デバイス900が所望の場所へ前進されるとき、フィルタ・アセンブリ910は、外側シース904内で設置されることがある。外側シース904は、血管系を通るナビゲーションのために径方向に圧壊構成でフィルタ・アセンブリ910を維持するように構成されてよい。上記で説明されたように、血管造影カテーテルまたは推進器要素は、フィルタ・アセンブリ910を展開するために遠位に前進されることがある。いくつかの場合では、外側シース904は、それと実質的に同時に近位に後退されることがある。フィルタ・アセンブリ910が展開されるとき、支持構造912は、フィルタ要素914を血管のサイズへ開き得る。フィルタ・アセンブリ910を再捕獲するために、外側シース904はフィルタ・アセンブリ910上で遠位に前進可能であり、フィルタ・アセンブリ910は(たとえば、プル・ワイヤを介して)近位に後退可能であり、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0200】
拡張構成であるとき、フィルタ要素914は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。フィルタ要素914は孔をその中に有し、この孔は、血液がそれを通って流れることを可能にするようなサイズにされるが、望ましくない異物粒子がそれを通過するのを防止するのに十分に小さい。したがって、異物粒子は、フィルタ要素914によって、その中に捕集される。図11に図示されるように、フィルタ・アセンブリ910は、略遠位を向いた開口930を有する。他の実施形態では、開口930は、近位を向いてもよい。開口930の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかおよび/または展開される血管がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0201】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素914は、フィルタ・アセンブリ910の周りにフィルタ・アセンブリ910の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような構成では、吹き流しの線に沿って、フィルタ・アセンブリ910は、より大きな開口930(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。フィルタ・アセンブリ910は、血管造影カテーテルまたはピグテール・カテーテルが内腔932を通過することを可能にするために、その長さに延びる中心内腔932を画定し得る。内腔932は、開放近位端と、開放遠位端930とを含んでよい。開放近位端は、任意の捕獲されたデブリを脳血管系から離れるように向けるために、内側管状部材906の中心内腔928または他の管状部材と流体連通し得ることが企図されている。いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリ910の開放近位端は、内側管状部材906の遠位部分に対して、またはその中で、結合されることがある。
【0202】
本願明細書において説明されるように、フィルタ・アセンブリ910は、内側管状部材906に対して結合され得る。フィルタ・アセンブリ910は、限定されるものではないが、圧着、溶着、はんだ付け、接着剤、ホット・メルティングなどを含む望ましい任意の方法を使用して内側管状部材906に対して結合されてよいことが企図されている。内側管状部材906は、外側シース904に対する差動長手方向移動を提供するためにハンドルまたはその構成要素(明示的に図示せず)に対して結合可能であり、これは、フィルタ・アセンブリ910を覆い、外側シース904から出すことができる。
【0203】
遠位部分902は、使用者がデバイス900を位置決めする、フィルタ・アセンブリ910を展開する、ピグテール・カテーテルを利用することなどを助けるために、蛍光透視マーカを含むことがある。蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)は、外側シース904の遠位端に近接して位置決めされることがある。別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ910の近位端に近接して位置決めされることがある。いくつかの場合では、別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ910の遠位端に近接することがある。蛍光透視マーカは、放射線不透過性材料(たとえば、イリジウム、プラチナ、タンタル、金、パラジウム、タングステン、スズ、銀、チタン、ニッケル、ジルコニウム、レニウム、ビスマス、モリブデン、それらの組み合わせなど)を備えてよい。より多いまたは少ない蛍光透視マーカも可能である。
【0204】
いくつかの使用の方法では、フィルタ・システム900は、被験者の左橈骨動脈または代替として左上腕動脈内で作成された切開部を通って、被験者へと前進されることがある。システム900は、左鎖骨下動脈16へと前進される。デバイス900は、デバイス200に関して説明された様式に類似した様式で、位置決めされ、展開され、回収されてよい。
【0205】
図12Aは、拡張構成をとる別の例示的な保護デバイス1000の側面図を示す。保護デバイス1000は、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されることがあり、形および機能に関して、本願明細書において説明される保護デバイス200に類似してよい。いくつかの場合では、保護デバイス1000は、別の血管または内腔内で位置決めされることがある。いくつかの実施形態では、保護デバイス1000は、限定されるものではないが、本願明細書において説明される保護デバイス30などの他の保護デバイスと組み合わせて使用されてよい。
【0206】
保護デバイス1000は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分1002とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス1000の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス1000のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分1002は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分1002が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよい。
【0207】
保護デバイス1000は、少なくとも外側シース1004と、血管造影カテーテル(明示的に図示せず)と、フィルタ要素1014を含むフィルタ・アセンブリ1010とを含むことがある。フィルタ・アセンブリ1010は、拡張可能な支持構造1012をさらに含むことがある。支持構造1012は、複数の脚1016a、1016b、1016c、1016d(総称して、1016)と、遠位リング1018と、プル・ワイヤ1020とを含むことがある。各脚1016の近位端1022a、1022b、1022c、1022d(総称して、1022)は、外側シース1004の遠位端領域1030に対して結合されてよく、各脚1016の遠位端1024a、1024b、1024c、1024d(総称して、1024)は、遠位リング1018に対して結合されてよい。プル・ワイヤ1020の遠位端1026は、遠位リング1018に対しても結合されてよい。プル・ワイヤ1020の近位端は、プル・ワイヤが使用者によって作動可能である身体の外部を指すように外側シース1004の内腔1032を通って近位に延び得る。遠位リング1018は、外側シース1004の遠位端領域1030に対して軸方向に変位されるように構成された略管状要素であってよい。
【0208】
支持構造1012は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、支持構造1012、またはその構成要素は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ1010は、ステントにより支持されるフィルタであることがあるが、これは必須ではない。フィルタ要素1014は、複数の脚1016に対して結合され、複数の脚1016の間に延びてよい。フィルタ要素1014は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。たとえば、フィルタ要素1014は、脚1016の間に延びる穴の開いた膜または穿孔された膜から形成されてよい。いくつかの場合では、フィルタ要素1014は、織り構造または編み構造から形成されることがある。いくつかの実施形態では、フィルタ要素1014は、作動デバイスを通って手動で拡張されることがある。他の材料および構成がフィルタ要素1014のために使用されてよく、このことが、フィルタ要素1014が拡張構成で血管壁を並置することを可能にすることが企図されている。
【0209】
圧壊構成では、フィルタ・アセンブリ1010は、外側シースと略直列に延びることがある(たとえば、圧壊構成または送達構成をとる例示的なデバイス1000を示す図12Cを参照)。別の言い方をすれば、フィルタ・アセンブリ1010は、圧壊送達構成(図12C)と拡張展開構成(図12A)の両方で外側シース1004の遠位端1030から遠位に延びることがある。フィルタ・アセンブリ1010を圧壊送達構成(図12C)から拡張展開構成(図12A)へ移動するために、プル・ワイヤ1020は張力がかけられる(たとえば、近位に作動される)。プル・ワイヤ1020が引っ張られると、遠位リング1018と外側シース1004の遠位端1030との間の距離が減少される。この距離が減少されると、脚1016は径方向外側に偏向または強制され、したがって、フィルタ要素1014を開く。いくつかの場合では、脚1016は、所定の位置1032において屈曲するように構成されることがある。これは、形状記憶材料などを使用して脚1016を機械的に変形させることによって、達成され得る。屈曲の場所1032が、拡張構成をとるフィルタ要素1014の遠位開口1034の場所を変えるために位置決めされてよいことが企図されている。たとえば、図12Aでは、屈曲1032はより遠位に配置されているが、図12Bでは、屈曲1032’は、より中心に、外側シース1004の遠位端1030と遠位リング1018との間に配置されている。両方の実施形態では、フィルタ・アセンブリ1010が圧壊送達構成(図12C)から拡張構成(図12Aまたは図12B)へ拡張すると、屈曲部分1032、1032’は、フィルタ・アセンブリ1010の遠位端領域1036および/または近位端領域1038よりも大きい直径へ拡張する。
【0210】
フィルタ・アセンブリ1010を展開するために、デバイス1000は、血管系を通って、所望の場所へ前進される。プル・ワイヤ1020は、送達中に脚1016を長くし、フィルタ・アセンブリ1010を径方向に圧壊された構成で維持するために、遠位に前進された位置において維持されてよい。上記で説明されたように、プル・ワイヤ1020は、フィルタ・アセンブリ1010を拡張するために近位に作動されることがある。フィルタ・アセンブリ1010が展開されるとき、支持構造1012は、フィルタ要素1014を血管のサイズへ開き得る。フィルタ・アセンブリ1010を圧壊するために、プル・ワイヤ1020は、脚1016を長くするために遠位前進可能である。
【0211】
拡張構成であるとき、フィルタ要素1014は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。フィルタ要素1014は孔をその中に有し、この孔は、血液がそれを通って流れることを可能にするようなサイズにされるが、望ましくない異物粒子がそれを通過するのを防止するのに十分に小さい。したがって、異物粒子は、フィルタ要素1014によって、その中に捕集される。図12Aおよび図12Bに図示されるように、フィルタ・アセンブリ1010は、略遠位を向いた開口1034を有する。他の実施形態では、開口1034は、近位を向いてもよい。開口1034の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかおよび/または展開される血管がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0212】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素1014は、フィルタ・アセンブリ1010の周りにフィルタ・アセンブリ1010の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような構成では、吹き流しの線に沿って、フィルタ・アセンブリ1010は、より大きな開口1034(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。フィルタ・アセンブリ1010は、血管造影カテーテルまたはピグテール・カテーテルが内腔1040を通過することを可能にするために、その長さ(たとえば、近位端領域1038から遠位リング1018を通って)延びる中心内腔1040を画定し得る。いくつかの実施形態では、デバイス1000は、ナビゲーション中にフィルタ・アセンブリ1010に対して支持を提供するために、外側シース1004の内腔1042内および/またはフィルタ・アセンブリ1010の内腔1040内で血管造影カテーテルとともに前進されることがあるが、これは必須ではない。内腔1040は、開放近位端と、開放遠位端とを含んでよい。開放近位端は、任意の捕獲されたデブリを脳血管系から離れるように向けるために、外側シース1004の中心内腔1042または他の管状部材と流体連通し得ることが企図されている。いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリ1010の開放近位端領域1038は、外側シース1004の遠位部分に対して、またはその中で、結合されることがある。
【0213】
遠位部分1002は、使用者がデバイス1000を位置決めする、フィルタ・アセンブリ1010を展開する、ピグテール・カテーテルを利用することなどを助けるために、蛍光透視マーカを含むことがある。蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)は、外側シース1004の遠位端に近接して位置決めされることがある。別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ1010の近位端に近接して位置決めされることがある。いくつかの場合では、別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ1010の遠位端に近接することがある。蛍光透視マーカは、放射線不透過性材料(たとえば、イリジウム、プラチナ、タンタル、金、パラジウム、タングステン、スズ、銀、チタン、ニッケル、ジルコニウム、レニウム、ビスマス、モリブデン、それらの組み合わせなど)を備えてよい。より多いまたは少ない蛍光透視マーカも可能である。
【0214】
いくつかの使用の方法では、フィルタ・システム1000は、被験者の左橈骨動脈または代替として左上腕動脈内で作成された切開部を通って、被験者へと前進されることがある。システム1000は、左鎖骨下動脈16へと前進される。デバイス1000は、デバイス200に関して説明された様式に類似した様式で、位置決めされ、展開され、回収されてよい。
【0215】
図13Aは、拡張構成をとる別の例示的な保護デバイス1100の部分側面図を示す。保護デバイス1100は、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されることがあり、形および機能に関して、本願明細書において説明される保護デバイス200に類似してよい。いくつかの場合では、保護デバイス1100は、別の血管または内腔内で位置決めされることがある。いくつかの実施形態では、保護デバイス1100は、限定されるものではないが、本願明細書において説明される保護デバイス30などの他の保護デバイスと組み合わせて使用されてよい。
【0216】
保護デバイス1100は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分1102とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス1100の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス1100のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分1102は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分1102が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよい。
【0217】
保護デバイス1100は、少なくとも外側シース1104と、血管造影カテーテル(明示的に図示せず)と、フィルタ要素1114を含むフィルタ・アセンブリ1110とを含むことがある。フィルタ・アセンブリ1110は、拡張可能な支持構造またはフレーム1112をさらに含むことがある。支持構造1112は、長手方向に延びる脚1116と、遠位輪1118とを含むことがある。フィルタ要素1114は、細長いシャフト1104の遠位端領域1130に対して装着され、支持構造1112によって支持され得る。支持構造1112は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、支持構造1112、またはその構成要素は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ1110は、ステントにより支持されるフィルタであることがあるが、これは必須ではない。フィルタ要素1114は、支持構造に対して結合されることがある。フィルタ要素1114は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。たとえば、フィルタ要素1114は、支持構造1112上に延びる穴の開いた膜または穿孔された膜から形成されてよい。いくつかの場合では、フィルタ要素1114は、織り構造または編み構造から形成されることがある。いくつかの実施形態では、フィルタ要素1114は、作動デバイスを通って手動で拡張されることがある。他の材料および構成がフィルタ要素1114のために使用されてよく、このことが、フィルタ要素1114が拡張構成で血管壁を並置することを可能にすることが企図されている。
【0218】
フィルタ・アセンブリ1110は、プル・ワイヤ1120をさらに含むことがある。プル・ワイヤ1120の遠位端は、支持構造1112に対して結合されてよい。プル・ワイヤ1120は、そこから、プル・ワイヤ1120が使用者によって操作可能である身体の外部にあるポイントへ、近位に延びる。プル・ワイヤ1120は、フィルタ・アセンブリ1110が十分に外側シース1104の内腔1122の中に含まれるまで、支持構造1112を外側シース1104の内腔1122へと回収し、フィルタ要素1114を反転させるように構成されてよい。プル・ワイヤ1120は、必要に応じて、円形断面を有してもよいし、長方形断面を有してもよいし、他の任意の形状を有してもよいことが企図されている。
【0219】
フィルタ・アセンブリ1110は、支持構造1112の近位部分1126上に装着されたまたはこれに対して結合された展開ピース、保護または部材1124をさらに含むことがある。展開ピース1124は、フィルタ・アセンブリ1110が外側シース1104の内腔1122の中で径方向に圧壊された送達構成をとるときに血管造影カテーテル(または他の内側シャフト)が展開ピース上に遠位力を及ぼし得るように、フィルタ・アセンブリ1110の内腔1128へと径方向内側に延びるように構成されてよい。十分に圧壊された構成では、展開ピース1124の断面寸法または半径寸法は、血管造影カテーテルまたは推進器要素によって係合されるために内腔1128へと十分遠くへ延びるようなサイズであってよい。このことは、フィルタ・アセンブリ1110の展開を容易にするために血管造影カテーテルまたは推進器要素が展開ピース1124を押すことを可能にし得る。たとえば、カテーテルまたは推進器要素が外側シース1104の内腔1122を通るとき、カテーテルまたは推進器要素は展開ピース1124に当接し、展開ピース1124を外側シース1104の遠位端1130から押し出し、カテーテルまたは推進器要素は、内腔に対して密閉するために拡張する。フィルタ・アセンブリ1110が拡張するとき、展開ピース1124は、フィルタ・アセンブリ1110を通る血管造影カテーテル(または他の部材)の通過を可能にするために径方向外側に移動されることが企図されている。いくつかの実施形態では、長手方向に延びる脚1116および/または遠位輪1118は、血管内での並置に役立つまたはこれを容易にするような角度にされることがある。
【0220】
フィルタ・アセンブリ1110を展開するために、デバイス1100は、血管系を通って、所望の場所へ前進される。上記で説明されたように、血管造影カテーテルは、フィルタ・アセンブリ1110を拡張するために遠位に前進されることがある。フィルタ・アセンブリ1110が展開されるとき、支持構造1112は、フィルタ要素1114を血管のサイズへ開き得る。フィルタ・アセンブリ1110を圧壊するために、プル・ワイヤ1120は、フィルタ・アセンブリ1110を細長いシース1104の内腔1122へと引き込むために近位に後退可能である。
【0221】
いくつかの実施形態では、プル・ワイヤ1120は、輪郭のつけられた(profiled)外形または鍵のついた(keyed)外形を利用して、展開されるとフィルタ・アセンブリ1110の回転を限定することがある。図13Aにおける線13B-13Bにおける保護デバイスの断面図を示す図13Bおよび図13Aにおける線13C-13Cにおける保護デバイスの部分断面図を示す図13Cを追加として参照すると、プル・ワイヤ1120の近位部分は、外側シース1104と内側ライナ1134との間に設置されることがある。内側ライナ1134は、フィルタ・アセンブリ1110の展開および再被覆に必要とされる力を減少させるために、しかし限定されていないポリテトラフルオロエテン(たとえば、TEFLON(登録商標))などの潤滑材料から形成されてよい。ライナ1134は、略管状構成要素であってよく、プル・ワイヤがライナ1134と外側シース1104との間の空間を出ることを可能にするように構成された開口またはアパーチャ1136を含むことがある。開口1136は、プル・ワイヤ1120の回転移動および/または半径方向移動を限定するようなサイズにされてよい。
【0222】
拡張構成であるとき、フィルタ要素1114は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。フィルタ要素1114は孔をその中に有し、この孔は、血液がそれを通って流れることを可能にするようなサイズにされるが、望ましくない異物粒子がそれを通過するのを防止するのに十分に小さい。したがって、異物粒子は、フィルタ要素1114によって、その中に捕集される。図13Aに図示されるように、フィルタ・アセンブリ1110は、略遠位を向いた開口1132を有する。他の実施形態では、開口1132は、近位を向いてもよい。開口1132の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかおよび/または展開される血管がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0223】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素1114は、フィルタ・アセンブリ1110の周りにフィルタ・アセンブリ1110の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような構成では、吹き流しの線に沿って、フィルタ・アセンブリ1110は、より大きな開口1132(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。フィルタ・アセンブリ1110は、血管造影カテーテルまたはピグテール・カテーテルが内腔1128を通過することを可能にするために、その長さに延びる中心内腔1128を画定し得る。内腔1128は、開放近位端と、開放遠位端とを含んでよい。開放近位端は、任意の捕獲されたデブリを脳血管系から離れるように向けるために、外側シース1104の中心内腔1122または他の管状部材と流体連通し得ることが企図されている。いくつかの場合では、フィルタ・アセンブリ1110の開放近位端領域1138は、外側シース1104の遠位部分に対して、またはその中で、結合されることがある。
【0224】
遠位部分1102は、使用者がデバイス1100を位置決めする、フィルタ・アセンブリ1110を展開する、ピグテール・カテーテルを利用することなどを助けるために、蛍光透視マーカを含むことがある。蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)は、外側シース1104の遠位端に近接して位置決めされることがある。別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ1110の近位端に近接して位置決めされることがある。いくつかの場合では、別の蛍光透視マーカ(明示的に図示せず)が、フィルタ・アセンブリ1110の遠位端に近接することがある。蛍光透視マーカは、放射線不透過性材料(たとえば、イリジウム、プラチナ、タンタル、金、パラジウム、タングステン、スズ、銀、チタン、ニッケル、ジルコニウム、レニウム、ビスマス、モリブデン、それらの組み合わせなど)を備えてよい。より多いまたは少ない蛍光透視マーカも可能である。
【0225】
いくつかの使用の方法では、フィルタ・システム1100は、被験者の左橈骨動脈または代替として左上腕動脈内で作成された切開部を通って、被験者へと前進されることがある。システム1100は、左鎖骨下動脈16へと前進される。デバイス1100は、デバイス200に関して説明された様式に類似した様式で、位置決めされ、展開され、回収されてよい。
【0226】
図14は、大動脈弓内で拡張構成をとる別の例示的な保護デバイス1200の概略図を示す。保護デバイス1200は、右橈骨動脈または右上腕動脈を介して腕頭動脈または無名動脈12を通り、大動脈弓10を横切って導入されるように構成され得る。一般に、カテーテルの遠位部分1202は左鎖骨下動脈16内で係止され、膜またはフィルタ要素1214は、保護デバイス1200が、左鎖骨下動脈、左総頸動脈、および腕頭動脈16、14、12のうちの3つすべてを、大動脈弓10を通って流れ得る塞栓デブリから分離するように、展開される。本願明細書において説明される保護デバイス1200の特徴は、追加の実施形態を形成するために異なるように組み合わせ可能であることが、企図されている。図示されるすべての実施形態は、左橈骨動脈または左上腕動脈にも導入されてよく、カテーテルの遠位部分は腕頭動脈12内に係止される。
【0227】
保護デバイス1200は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分1202とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス1200の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス1200のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分1202は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分1202が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよいが、これは必須ではない。
【0228】
一般に、保護システム1200は、外側シース1204と、内側部材1206と、遠位フィルタ・アセンブリ1212と、近位フィルタ・アセンブリ1220とを含んでよい。内側部材1206および外側シース1204は、保護デバイス1200の近位端領域から遠位端領域1202へ延びるように構成されてよい。外側シース1204および内側部材1206は、外側シース1204の遠位端を左鎖骨下動脈16内で位置決めするために、ガイドワイヤ(明示的に図示せず)上で、またはガイドワイヤ(迅速交換構成をとった)に沿って、案内されてよい。内側部材1206は、外側シース1204の径方向内側にあり、それと別個に作動可能であってよい(たとえば、外側シース1204の内腔の中で摺動可能に設置される)。
【0229】
保護デバイス1200を身体内で位置決めするために、被験者の右橈骨動脈内で、または代替として右上腕動脈内で、切開部が作成されてよい。イントロデューサ(明示的に図示せず)は切開部へと留置されてよく、保護デバイス1200はイントロデューサへと挿入されてよい。保護デバイス1200は、遠位フィルタ・アセンブリ1212および近位フィルタ・アセンブリ1220が外側シース1204内で圧壊されるまたは覆われる送達構成で、血管系を通って前進されてよい。外側シース1204、内側部材1206、およびフィルタ・アセンブリ1212、1220は、(そのように提供される場合)ガイドワイヤ上で目標場所へ前進されてよい。いくつかの場合では、ガイドワイヤは、目標場所において位置決めされてよく、外側シース1204、内側部材1206、およびフィルタ・アセンブリ1212、1220が、その後、目標場所へガイドワイヤ上で前進されてよい。他の事例では、ガイドワイヤと、外側シース1204、内側部材1206、およびフィルタ・アセンブリ1212、1220は、ガイドワイヤが外側シース1204、内側部材1206、およびフィルタ・アセンブリ1212、1220を導く(たとえば、これらの最遠位に位置決めされる)のと実質的に同時に前進されることがある。
【0230】
送達カテーテルまたは外側シース1204は、血管系を切開部から目標場所へナビゲートするようなサイズにされた直径を有することがある。右撓骨アクセスのためのサイズにされた外側シース1204は、約6フレンチ(F)の範囲の直径を有することがある。大腿アクセスのためのサイズにされた外側シース1204は、より大きくてよいが、これは必須ではない。これらは、単なるいくつかの例である。いくつかの場合では、外側シース1204(または保護デバイス1200の他の構成要素)は、偏向可能な先端または関節式接合可能な遠位先端を含むことがある。外側シース1204の遠位先端は、血管系を通るデバイス1200のナビゲーションおよび目標血管のカニューレ挿入を容易にするために(たとえば、ハンドルを使用して)偏向されてよいことが、企図されている。いくつかの場合では、偏向可能な先端は、約90°偏向させるように構成されることがある。しかしながら、外側シース1204の先端は、必要に応じて、90未満または90以上偏向させるように作製されてよい。偏向は、ハンドルにおける回転ノブによって制御されてもよいし、制御機構によって制御されてもよい。いくつかの場合では、外側シース1204は、予成形されたおよび/または偏向不可能な先端を含むことがある。
【0231】
左鎖骨下動脈16は、カテーテル1204を前進させることとトルクを与えることの組み合わせを通じてカニューレ処置されてよい。いくつかの場合では、左鎖骨下動脈16は、ガイドワイヤを使用して最初にカニューレ処置されることがある。いくつかの場合では、カテーテル先端の偏向は、外側シース1204を左鎖骨下動脈16へと前進させるために弛緩され得ることが企図されている。保護デバイス1200(たとえば、外側シース1204の遠位端1208)が、示される実施形態では左鎖骨下動脈16であってよい目標場所へ前進されると、外側シース1204は、外側シース1204の遠位端1208を越えて遠位フィルタ・アセンブリ1212を露出させるために近位に後退されてよい。代替として、または追加として、内側部材1206は、遠位フィルタ・アセンブリ1212を展開するために遠位に前進されることがある。遠位フィルタ・アセンブリ1212は、切開部の場所に対して最遠位の大血管内で展開されるように構成されてよい。たとえば、右橈骨アクセスが使用されるとき、最遠位の大血管は左鎖骨下動脈16である。しかしながら、左橈骨アクセスが使用される場合、最遠位の大血管は無名動脈12である。
【0232】
遠位フィルタ・アセンブリ1212は、自己拡張フィルタ・アセンブリを備えてよい(たとえば、外側シース1204内での閉じ込めにより応力誘起マルテンサイトをもつ超弾性材料を備える)。遠位フィルタ・アセンブリ1212は、温度変化(たとえば、体温への加熱)時に自己拡張するように構成された形状記憶材料を備えることがある。遠位フィルタ・アセンブリ1212は、たとえば、米国特許第8,876,796号において説明されるフィルタ・アセンブリと同様に、形状記憶フレームまたは超弾性フレーム1216(たとえば、ニチノール輪を備える)と、フレームに対して結合された微孔性フィルタ要素1218(たとえば、レーザ穿孔された穴を含むポリマーを備える)とを備えることがある。
【0233】
フレーム1216は、拡張状態をとるフィルタ要素1218に対して拡張支持を一般に提供することがある。拡張状態では、フィルタ要素1218は、フィルタ要素1218を通って流れる流体(たとえば、血液)を濾過し、フィルタ要素1218内の粒子を捕獲することによって粒子(たとえば、塞栓材料)がフィルタ要素1218を通って流れるのを阻止または防止するように構成される。フレーム1216は、遠位フィルタ・アセンブリ1212が拡張される内腔(たとえば、血液血管)の内壁を係合または並置することによって遠位フィルタ・アセンブリ1212を係止するように構成されてよい。いくつかの場合では、遠位フィルタ・アセンブリ1212は、近位フィルタ・アセンブリ1220も係止することがある。たとえば、遠位フィルタ・アセンブリ1212は、遠位係止機構であることがある。係止機構は、必要に応じて、フィルタ膜を含んでもよいし、フィルタ膜を欠いてもよい。遠位フィルタ・アセンブリ1212に加えて、またはその代替として、他の係止機構が提供されることがある。フレーム1216は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、フレーム1216は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。同様に、フィルタ要素1218は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。フレーム1216は、支持ストラット1222に対して結合されてよい。フレーム1216は、遠位フィルタ・アセンブリ1212の開口1224の形状を形成することがある。開口1224は、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、左鎖骨下動脈16などの血管の側壁を適切に並置することができる任意の形状であってもよい。遠位フィルタ・アセンブリ1212は、略近位向き開口1224を有することがある。他の実施形態では、開口1224は、遠位を向いてもよい。たとえば、開口1224の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0234】
フレーム1216は、蛍光透視下での可視化を助けるために輪のまわりに巻き付けられたまたはこれに対して結合された小さいコイルなどの放射線不透過性マーカを含むことがある。いくつかの実施形態では、フレーム1216は、輪以外の形状、たとえば、らせんを備えることがある。いくつかの実施形態では、遠位フィルタ・アセンブリ1212は、フレームを含まないまたは実質的にないことがある。
【0235】
いくつかの実施形態では、フレーム1216およびフィルタ要素1218は、遠位フィルタ・アセンブリ1212の周りに遠位フィルタ・アセンブリ1212の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような(たとえば、吹き流しの線に沿った)構成では、フィルタ・アセンブリ1212は、より大きな開口1224(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。
【0236】
遠位フィルタ・アセンブリ1212は、ストラットまたはワイヤ1222を介して展開ワイヤまたはフィルタ・ワイヤの遠位端(明示的に図示せず)および/または内側部材1206に対して結合される(たとえば、圧着される、溶着される、はんだ付けされる、など)ことがあるが、これは必須ではない。フィルタ・ワイヤとストラット1222の両方またはすべてが提供されるとき、フィルタ・ワイヤおよびストラット1222は、内側部材1206内でフィルタ・アセンブリ1212の近位に圧着機構を使用して結合されることがある。他の実施形態では、フィルタ・ワイヤおよびストラット1222は、単一の一体的構造であってよい。フィルタ・ワイヤおよび/またはストラット1222は、長方形リボン、丸い(たとえば、円形、楕円形)フィラメント、ハイポチューブの一部分、編み構造、それらの組み合わせなどを備えることができる。遠位フィルタ・バッグ終結部1226または遠位フィルタ・アセンブリの遠位端1226も、内側部材1206に対して結合されることがある。いくつかの場合では、遠位端1226は、ノーズ・コーンを使用して内側部材に対して結合されることがある。ノーズ・コーンは、遠位フィルタ・アセンブリ1212の遠位端1226を固着することと、デバイス1200の挿入中の傷害および/または血管穿孔を減少させること、の両方をなし得る。いくつかの場合では、内側部材1206は、直径が遠位方向に減少することがある。直径は、段階的であってもよいし、漸進的であってもよい。
【0237】
拡張された、非拘束の状態である遠位フィルタ・アセンブリ1212は、最大直径または有効直径を有する(たとえば、口が楕円の形状である場合、有効直径は、端面図から見えるフィルタのほぼ円形の開口1224の直径である)。直径は、約1mmから約15mmの間(たとえば、少なくとも約2mm、約4mm、約6mm、約8mm、約10mmまたはそれ以上、しかし一般に、意図された目標血管に応じて、約15mmより小さいまたは12mmもしくはそれ以下であってよい。いくつかの実施形態では(たとえば、遠位フィルタ・アセンブリ1212が、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されるとき)、直径は、約7mmから約12mmの間(たとえば、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、そのような値の間の範囲など)であってよい。いくつかの実施形態では(たとえば、遠位フィルタ・アセンブリ1212が、左椎骨動脈24内に位置決めされるように構成されるとき)、直径は、約2mmから約4.5mmの間(たとえば、約2mm、約2.5mm、約3mm、約3.5mm、約4mm、約4.5mm、そのような値の間の範囲など)であってよい。他の直径または他のタイプの横方向寸法も可能である。異なる直径は、異なる血管サイズを有する被験者の選択の治療を可能にすることができる。
【0238】
フィルタ・アセンブリ1212は、フレーム1216の近位限界から遠位端または内側部材1206との集合ポイント1226までの最大長さを有してよい。長さは、約7mmから約50mmの間(たとえば、少なくとも約7mm、約8mm、約10mm、約12mm、16mm、約20mmまたはそれ以上、しかし一般に、意図された目標血管に応じて、約40mmまたは30mmまたは20mmもしくはそれ以下であってよい。たとえば直径または有効直径に基づいた、他の長さも可能である。たとえば、遠位フィルタ・アセンブリ1212の長さは、直径が増加するにつれて増加してよく、遠位フィルタ・アセンブリ1212の長さは、直径が減るにつれて減ってよい。
【0239】
示される実施形態では、遠位フィルタ・アセンブリ1212は、ほぼ円錐形のフィルタ膜1218の開放近位端を支持する輪またはフレーム1216などの自己拡張支持を備える。支持ストラット1222は、フレーム1216を内側部材1206などのデバイス1200の一部分へ接続するため、フィルタ・アセンブリ1212の再被覆を容易にするため、また、輪もしくはフレーム1216を方位づけるために、提供されてよい。示される実施形態では、遠位フィルタ・アセンブリ1212は、左鎖骨下動脈16に入る血液を濾過すること、また、システムを係止することの両方を行うために機能してよい。
【0240】
ハンドルに対して内側部材1206を固定しながらの外側シース1204の継続的近位作動は、次いで、図14に図示されるように、大動脈弓構成要素または近位フィルタ・アセンブリ1220を展開し得る。外側シース1204の遠位端1208は、近位フィルタ・アセンブリ1220を十分に露出させるために無名動脈12または右鎖骨下動脈22へと抜去されてよいことが企図されている。外側シース1204が抜去されるとき、遠位フィルタ・アセンブリ1212は、左鎖骨下動脈16内に残り、内側部材1206によって支持され、近位フィルタ・アセンブリ1220を係止する助けとなる。
【0241】
近位フィルタ・アセンブリ1220は、大動脈リング1228または支持要素と、フィルタ膜またはフィルタ要素1214とを含むことがある。大動脈リング1228は、形および機能に関して、遠位フィルタ・アセンブリ1212のフレーム1216に類似してよいが、大きさは、これより大きい。同様に、フィルタ要素1214は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。大動脈リング1228は、一般に、その拡張構成をとるフィルタ要素1214に対して拡張支持を提供し、フィルタ要素1214は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。大動脈リング1228は、ニチノールなどの形状記憶ワイヤのほぼ楕円形の輪を含んでよい。大動脈リング1228は、脳血管系を分離するために、大動脈の壁を係合し、3つの大血管12、14、16すべての口の外部にある大動脈弓10の頂部(roof)を密閉するように構成されてよい。たとえば、大動脈リング1228は、左鎖骨下動脈16の口から無名動脈12の口へ延びるようなサイズおよび形状にされてよい。大動脈リング1228の中心1230は、血液およびデブリがデバイス1220に入ることを可能にするために開いており、リング1228は、その周囲のまわりでフィルタ要素1214に対して取り付けられる。フィルタ要素1214の近位端は、外側シース1204の遠位端1208に対して結合されてもよいし、これへと延びてもよい。大動脈リング1228は、外側シース1204が近位に抜去されると大動脈リング1228が自動的に拡張するように自己拡張であってよいが、これは必須ではない。大動脈リング1228は、保護デバイス1200の異なる部分に対して結合されてよい。いくつかの実施形態では、大動脈リング1228が、フィルタ要素1214上に延びる1つまたは複数の構造要素1232をさらに含むことがある。構造要素1232は、並置を改善し、フィルタ要素1214の全体的な安定性を増加させる助けとなり得る。
【0242】
近位フィルタ・アセンブリ1220が展開されると、内側部材1206は、大動脈10への侵入を最小にするために後退されてよい。内側部材1206の位置は、ハンドルにおける制御部を使用して調整されてよい。近位フィルタ1220をデバイス1200に対して結合する機構は、近位フィルタ1220が十分に展開され、大動脈リング1228が大動脈弓10の頂部に対して並置され、内側部材1206は、フィルタ要素1214が大動脈弓10の頂部に十分に当たることを保証するために弓10の頂部に対して引っ張り上げられることを保証するために、ハンドルを近位に後退させるまたは遠位に前進させることによって調整されてよい。したがって、近位フィルタ・アセンブリ1220は、TAVIなどの血管内手技中に脳血管系14、18、20、24を塞栓デブリから保護するように位置決めされることがある。
【0243】
保護デバイス1200が展開されると、TAVR、または他の指標手技が実行されてよい。指標手技が企図されると、内側部材1206は、近位フィルタ要素1214および/または遠位フィルタ要素1218に対して張力を加えるために、ハンドルに対して前進されてよい。次いで、外側シース1204は、近位フィルタ・アセンブリ1220および遠位フィルタ・アセンブリ1212が十分に覆われるまで、ハンドルに対する内側部材1206の位置を固定しながら、ハンドルに対して前進されてよい。次いで、保護デバイス1200が、イントロデューサ・シースから除去されてよい。
【0244】
図15は、大動脈弓内10で拡張構成をとる別の例示的な保護デバイス1300の概略図を示す。保護デバイス1300は、右橈骨動脈または右上腕動脈を介して腕頭動脈または無名動脈12を通り、大動脈弓10を横切って導入されるように構成され得る。一般に、カテーテルの遠位部分1302は左鎖骨下動脈16内で係止され、膜またはフィルタ要素1314は、保護デバイス1300が、左鎖骨下動脈、左総頸動脈、および腕頭動脈16、14、12のうちの3つすべてを、大動脈弓10を通って流れ得る塞栓デブリから分離するように、展開される。本願明細書において説明される保護デバイス1300の特徴は、追加の実施形態を形成するために異なるように組み合わせ可能であることが、企図されている。図示されるすべての実施形態は、左橈骨動脈または左上腕動脈にも導入されてよく、カテーテルの遠位部分は腕頭動脈12内に係止される。
【0245】
保護デバイス1300は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分1302とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス1300の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス1300のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分1302は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分1302が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよいが、これは必須ではない。
【0246】
一般に、保護システム1300は、外側シース1304と、内側部材1306と、遠位フィルタ・アセンブリ1312と、近位フィルタ・アセンブリ1320とを含んでよい。内側部材1306および外側シース1304は、保護デバイス1300の近位端領域から遠位端領域1302へ延びるように構成されてよい。外側シース1304および内側部材1306は、外側シース1304の遠位端を左鎖骨下動脈16内で位置決めするために、ガイドワイヤ(明示的に図示せず)上で、またはガイドワイヤ(迅速交換構成をとった)に沿って、案内されてよい。内側部材1306は、外側シース1304の径方向内側にあり、それと別個に作動可能であってよい(たとえば、外側シース1304の内腔の中で摺動可能に設置される)。
【0247】
保護デバイス1300を身体内で位置決めするために、被験者の右橈骨動脈内で、または代替として右上腕動脈内で、切開部が作成されてよい。イントロデューサ(明示的に図示せず)は切開部へと留置されてよく、保護デバイス1300はイントロデューサに挿入されてよい。保護デバイス1300は、遠位フィルタ・アセンブリ1312および近位フィルタ・アセンブリ1320が外側シース1304内で圧壊されるまたは覆われる送達構成で、血管系を通って前進されてよい。外側シース1304、内側部材1306、およびフィルタ・アセンブリ1312、1320は、(そのように提供される場合)ガイドワイヤ上で目標場所へ前進されてよい。いくつかの場合では、ガイドワイヤは、目標場所において位置決めされてよく、外側シース1304、内側部材1306、およびフィルタ・アセンブリ1312、1320が、その後、目標場所へガイドワイヤ上で前進されてよい。他の事例では、ガイドワイヤと、外側シース1304、内側部材1306、およびフィルタ・アセンブリ1312、1320は、ガイドワイヤが外側シース1304、内側部材1306、およびフィルタ・アセンブリ1312、1320を導く(たとえば、これらの最遠位に位置決めされる)のと実質的に同時に前進されることがある。
【0248】
送達カテーテルまたは外側シース1304は、血管系を切開部から目標場所へナビゲートするようなサイズにされた直径を有することがある。右撓骨アクセスのためのサイズにされた外側シース1304は、約6フレンチ(F)の範囲の直径を有することがある。大腿アクセスのためのサイズにされた外側シース1304は、これより大きくてよいが、これは必須ではない。これらは、単なるいくつかの例である。いくつかの場合では、外側シース1304(または保護デバイス1300の他の構成要素)は、偏向可能な先端または関節式接合可能な遠位先端を含むことがある。外側シース1304の遠位先端は、血管系を通るデバイス1300のナビゲーションおよび目標血管のカニューレ挿入を容易にするために(たとえば、ハンドルを使用して)偏向されてよいことが、企図されている。いくつかの場合では、偏向可能な先端は、約90°偏向させるように構成されることがある。しかしながら、外側シース1304の先端は、必要に応じて、90未満または90以上偏向させるように作製されてよい。偏向は、ハンドルにおける回転ノブによって制御されてもよいし、制御機構によって制御されてもよい。いくつかの場合では、外側シース1304は、予成形されたおよび/または偏向不可能な先端を含むことがある。
【0249】
左鎖骨下動脈16は、カテーテル1304を前進させることとトルクを与えることの組み合わせを通じてカニューレ処置されてよい。いくつかの場合では、左鎖骨下動脈16は、ガイドワイヤを使用して最初にカニューレ処置されることがある。いくつかの場合では、カテーテル先端の偏向は、外側シース1304を左鎖骨下動脈16へと前進させるために弛緩され得ることが企図されている。保護デバイス1300(たとえば、外側シース1304の遠位端1308)が、示される実施形態では左鎖骨下動脈16であってよい目標場所へ前進されると、外側シース1304は、外側シース1304の遠位端1308を越えて遠位フィルタ・アセンブリ1312を露出させるために近位に後退されてよい。代替として、または追加として、内側部材1306は、遠位フィルタ・アセンブリ1312を展開するために遠位に前進されることがある。遠位フィルタ・アセンブリ1312は、切開部の場所に対して最遠位の大血管内で展開されるように構成されてよい。たとえば、右橈骨アクセスが使用されるとき、最遠位の大血管は左鎖骨下動脈16である。しかしながら、左橈骨アクセスが使用される場合、最遠位の大血管は無名動脈12である。
【0250】
遠位フィルタ・アセンブリ1312は、自己拡張フィルタ・アセンブリを備えてよい(たとえば、外側シース1304内での閉じ込めにより応力誘起マルテンサイトをもつ超弾性材料を備える)。遠位フィルタ・アセンブリ1312は、温度変化(たとえば、体温への加熱)時に自己拡張するように構成された形状記憶材料を備えることがある。遠位フィルタ・アセンブリ1312は、たとえば、米国特許第8,876,796号において説明されるフィルタ・アセンブリと同様に、形状記憶フレームまたは超弾性フレーム1316(たとえば、ニチノール輪を備える)と、フレームに対して結合された微孔性フィルタ要素1318(たとえば、レーザ穿孔された穴を含むポリマーを備える)とを備えることがある。
【0251】
フレーム1316は、拡張状態をとるフィルタ要素1318に対して拡張支持を一般に提供することがある。拡張状態では、フィルタ要素1318は、フィルタ要素1318を通って流れる流体(たとえば、血液)を濾過し、フィルタ要素1318内の粒子を捕獲することによって粒子(たとえば、塞栓材料)がフィルタ要素1318を通って流れるのを阻止または防止するように構成される。フレーム1316は、遠位フィルタ・アセンブリ1312が拡張される内腔(たとえば、血液血管)の内壁を係合または並置することによって遠位フィルタ・アセンブリ1312を係止するように構成されてよい。いくつかの場合では、遠位フィルタ・アセンブリ1312は、近位フィルタ・アセンブリ1320も係止することがある。たとえば、遠位フィルタ・アセンブリ1312は、遠位係止機構であることがある。係止機構は、必要に応じて、フィルタ膜を含んでもよいし、フィルタ膜を欠いてもよい。遠位フィルタ・アセンブリ1312に加えて、またはその代替として、他の係止機構が提供されることがある。フレーム1316は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、フレーム1316は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。同様に、フィルタ要素1318は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。フレーム1316は、遠位フィルタ・アセンブリ1312の開口1324の形状を形成することがある。開口1324は、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、左鎖骨下動脈16などの血管の側壁を適切に並置することができる任意の形状であってもよい。遠位フィルタ・アセンブリ1312は、略近位向き開口1324を有することがある。他の実施形態では、開口1324は、遠位を向いてもよい。たとえば、開口1324の方位は、アクセス切開部がどこに配置されるかに応じて変わってよい。
【0252】
フレーム1316は、蛍光透視下での可視化を助けるために輪のまわりに巻き付けられたまたはこれに対して結合された小さいコイルなどの放射線不透過性マーカを含むことがある。いくつかの実施形態では、フレーム1316は、輪以外の形状、たとえば、らせんを備えることがある。いくつかの実施形態では、遠位フィルタ・アセンブリ1312は、フレームを含まないまたは実質的にないことがある。
【0253】
いくつかの実施形態では、フレーム1316およびフィルタ要素1318は、遠位フィルタ・アセンブリ1312の周りに遠位フィルタ・アセンブリ1312の長さに沿って不均一な長さまたは等しくない長さを有する斜め切頭円錐を形成する。そのような(たとえば、吹き流しの線に沿った)構成では、フィルタ・アセンブリ1312は、より大きな開口1324(上流)直径と、減少された終了(下流)直径とを有する。
【0254】
遠位フィルタ・アセンブリ1312は、ストラットまたはワイヤを介して展開ワイヤまたはフィルタ・ワイヤの遠位端(明示的に図示せず)および/または内側部材1306に対して結合される(たとえば、圧着される、溶着される、はんだ付けされる、など)ことがあるが、これは必須ではない。フィルタ・ワイヤとストラットの両方またはすべてが提供されるとき、フィルタ・ワイヤおよびストラットは、フィルタ・アセンブリ1312の近位の内側部材1306に圧着機構を使用して結合されることがある。他の実施形態では、フィルタ・ワイヤおよびストラットは、単一の一体的構造であってよい。フィルタ・ワイヤおよび/またはストラットは、長方形リボン、丸い(たとえば、円形、楕円形)フィラメント、ハイポチューブの一部分、編み構造、それらの組み合わせなどを備えることができる。遠位フィルタ・バッグ終結部1326または遠位フィルタ・アセンブリの遠位端1326も、内側部材1306に対して結合されることがある。いくつかの場合では、遠位端1326は、ノーズ・コーンを使用して内側部材に対して結合されることがある。ノーズ・コーンは、遠位フィルタ・アセンブリ1312の遠位端1326を固着することと、デバイス1300の挿入中の傷害および/または血管穿孔を減少させること、の両方をなし得る。いくつかの場合では、内側部材1306は、直径が遠位方向に減少することがある。直径は、段階的であってもよいし、漸進的であってもよい。
【0255】
拡張された、非拘束の状態である遠位フィルタ・アセンブリ1312は、最大直径または有効直径を有する(たとえば、口が楕円の形状である場合、有効直径は、端面図から見えるフィルタのほぼ円形の開口1324の直径である)。直径は、約1mmから約15mmの間(たとえば、少なくとも約2mm、約4mm、約6mm、約8mm、約10mm以上であるが、一般に、意図された目標血管に応じて、約15mmより小さいまたは12mm以下であってよい。いくつかの実施形態では(たとえば、遠位フィルタ・アセンブリ1312が、左鎖骨下動脈16内に位置決めされるように構成されるとき)、直径は、約7mmから約12mmの間(たとえば、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、そのような値の間の範囲など)であってよい。いくつかの実施形態では(たとえば、遠位フィルタ・アセンブリ1312が、左椎骨動脈24内に位置決めされるように構成されるとき)、直径は、約2mmから約4.5mmの間(たとえば、約2mm、約2.5mm、約3mm、約3.5mm、約4mm、約4.5mm、そのような値の間の範囲など)であってよい。他の直径または他のタイプの横方向寸法も可能である。異なる直径は、異なる血管サイズを有する被験者の選択の治療を可能にすることができる。
【0256】
フィルタ・アセンブリ1312は、フレーム1316の近位限界から遠位端または内側部材1306との集合ポイント1326までの最大長さを有してよい。長さは、約7mmから約50mmの間(たとえば、少なくとも約7mm、約8mm、約10mm、約12mm、16mm、約20mm、またはそれ以上であるが、一般に、意図された目標血管に応じて、約40mmまたは30mmまたは20mmまたはそれ以下であってよい。たとえば直径または有効直径に基づいた、他の長さも可能である。たとえば、遠位フィルタ・アセンブリ1312の長さは、直径が増加するにつれて増加してよく、遠位フィルタ・アセンブリ1312の長さは、直径が減るにつれて減ってよい。
【0257】
示される実施形態では、本願明細書において説明されるように、遠位フィルタ・アセンブリ1312は、ほぼ円錐形のフィルタ膜1318の開放近位端を支持する輪またはフレーム1316などの自己拡張支持を備える。支持ストラットは、フレーム1316を内側部材1306などのデバイス1300の一部分へ接続するため、フィルタ・アセンブリ1312の再被覆を容易にするため、また、輪もしくはフレーム1316を方位づけるために、提供されてよい。示される実施形態では、遠位フィルタ・アセンブリ1312は、左鎖骨下動脈16に入る血液を濾過すること、また、システムを係止することの両方を行うために機能してよい。
【0258】
ハンドルに対して内側部材1306を固定しながらの外側シース1304の継続的近位作動は、次いで、図15に図示されるように、大動脈弓構成要素または近位フィルタ・アセンブリ1320を展開し得る。外側シース1304の遠位端1308は、近位フィルタ・アセンブリ1320を十分に露出させるために無名動脈12または右鎖骨下動脈22へと抜去されてよいことが企図されている。外側シース1304が抜去されるとき、遠位フィルタ・アセンブリ1312は、左鎖骨下動脈16内に残り、内側部材1306によって支持され、近位フィルタ・アセンブリ1320を係止する助けとなる。
【0259】
近位フィルタ・アセンブリ1320は、大動脈リング1328または支持要素と、フィルタ膜またはフィルタ要素1314とを含むことがある。大動脈リング1328は、形および機能に関して、遠位フィルタ・アセンブリ1312のフレーム1316に類似してよいが、大きさは、これより大きい。同様に、フィルタ要素1314は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素1318に類似してよい。大動脈リング1328は、一般に、その拡張構成をとるフィルタ要素1314に対して拡張支持を提供し、フィルタ要素1314は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。大動脈リング1328は、ニチノールなどの形状記憶ワイヤのほぼ楕円形の輪を含んでよい。大動脈リング1328は、脳血管系を分離するために、大動脈の壁を係合し、3つの大血管12、14、16すべての口の外部にある大動脈弓10の頂部を密閉するように構成されてよい。たとえば、大動脈リング1328は、左鎖骨下動脈16の口から無名動脈12の口へ延びるようなサイズおよび形状にされてよい。大動脈リング1328の中心1330は、血液およびデブリがデバイス1320に入ることを可能にするために開いており、リング1328は、その周囲のまわりでフィルタ要素1314に対して取り付けられる。フィルタ要素1314の近位端は、外側シース1304の遠位端1308に対して結合されてもよいし、これへと延びてもよい。大動脈リング1328は、外側シース1304が近位に抜去されると大動脈リング1328が自動的に拡張するように自己拡張であってよいが、これは必須ではない。大動脈リング1328は、保護デバイス1300の異なる部分に対して結合されてよい。いくつかの実施形態では、大動脈リング1328は、大動脈リング1328と遠位フレーム1316との間に延びる1つまたは複数の支持コネクタ1332をさらに含むことがある。支持コネクタ1332は、遠位フレーム1316と大動脈リング1328の両方に対して追加の支持を提示することによって、並置を改善する助けとなり得る。
【0260】
近位フィルタ・アセンブリ1320が展開されると、内側部材1306は、大動脈10への侵入を最小にするために後退されてよい。内側部材1306の位置は、ハンドルにおける制御部を使用して調整されてよい。近位フィルタ1320をデバイス1300に対して結合する機構は、近位フィルタ1320が十分に展開され、大動脈リング1328が大動脈弓10の頂部に対して並置され、内側部材1306は、フィルタ要素1314が大動脈弓10の頂部に十分に当たることを保証するために弓10の頂部に対して引っ張り上げられることを保証するために、ハンドルを近位に後退させるまたは遠位に前進させることによって調整されてよい。したがって、近位フィルタ・アセンブリ1320は、TAVRなどの血管内手技中に脳血管系14、18、20、24を塞栓デブリから保護するように位置決めされることがある。
【0261】
保護デバイス1300が展開されると、TAVR、または他の指標手技が実行されてよい。指標手技が企図されると、内側部材1306は、近位フィルタ要素1314および/または遠位フィルタ要素1318に対して張力を加えるハンドルに対して前進されてよい。次いで、外側シース1304は、近位フィルタ・アセンブリ1320および遠位フィルタ・アセンブリ1312が十分に覆われるまで、ハンドルに対する内側部材1306の位置を固定しながら、ハンドルに対して前進されてよい。次いで、保護デバイス1300が、イントロデューサ・シースから除去されてよい。
【0262】
図16は、大動脈弓10内で拡張構成をとる別の例示的な保護デバイス1400の概略図を示す。保護デバイス1400は、右橈骨動脈または右上腕動脈を介して腕頭動脈または無名動脈12を通り、大動脈弓10を横切って導入されるように構成され得る。一般に、カテーテルの遠位部分1402は左鎖骨下動脈16内で係止され、膜またはフィルタ要素1414は、保護デバイス1400が、左鎖骨下動脈、左総頸動脈、および腕頭動脈16、14、12のうちの3つすべてを、大動脈弓10を通って流れ得る塞栓デブリから分離するように、展開される。本願明細書において説明される保護デバイス1400の特徴は、追加の実施形態を形成するために異なるように組み合わせ可能であることが、企図されている。図示されるすべての実施形態は、左橈骨動脈または左上腕動脈にも導入されてよく、カテーテルの遠位部分は腕頭動脈12内に係止される。
【0263】
保護デバイス1400は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分1402とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス1400の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス1400のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分1402は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分1402が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよいが、これは必須ではない。
【0264】
一般に、保護システム1400は、外側シース1404と、内側部材1406と、フィルタ・アセンブリ1420とを含んでよい。内側部材1406および外側シース1404は、保護デバイス1400の近位端領域から遠位端領域1402へ延びるように構成されてよい。外側シース1404および内側部材1406は、外側シース1404の遠位端を左鎖骨下動脈16内で位置決めするために、ガイドワイヤ(明示的に図示せず)上で、またはガイドワイヤ(迅速交換構成をとった)に沿って、案内されてよい。内側部材1406は、外側シース1404の径方向内側にあり、それと別個に作動可能であってよい(たとえば、外側シース1404の内腔の中で摺動可能に設置される)。
【0265】
保護デバイス1400を身体内で位置決めするために、被験者の右橈骨動脈内で、または代替として右上腕動脈内で、切開部が作成されてよい。イントロデューサ(明示的に図示せず)は切開部へと留置されてよく、保護デバイス1400はイントロデューサに挿入されてよい。保護デバイス1400は、フィルタ・アセンブリ1420が外側シース1404内で圧壊されるまたは覆われる送達構成で、血管系を通って前進されてよい。外側シース1404、内側部材1406、およびフィルタ・アセンブリ1420は、(そのように提供される場合)ガイドワイヤ上で目標場所へ前進されてよい。いくつかの場合では、ガイドワイヤは、目標場所において位置決めされてよく、外側シース1404、内側部材1406、およびフィルタ・アセンブリ1420が、その後、目標場所へガイドワイヤ上で前進されてよい。他の事例では、ガイドワイヤと、外側シース1404、内側部材1406、およびフィルタ・アセンブリ1420は、ガイドワイヤが外側シース1404、内側部材1406、およびフィルタ・アセンブリ1420を導く(たとえば、これらの最遠位に位置決めされる)のと実質的に同時に前進されることがある。
【0266】
送達カテーテルまたは外側シース1404は、血管系を切開部から目標場所へナビゲートするようなサイズにされた直径を有することがある。右撓骨アクセスのためのサイズにされた外側シース1404は、約6フレンチ(F)の範囲の直径を有することがある。大腿アクセスのためのサイズにされた外側シース1404は、これより大きくてよいが、これは必須ではない。これらは、単なるいくつかの例である。いくつかの場合では、外側シース1404(または保護デバイス1400の他の構成要素)は、偏向可能な先端または関節式接合可能な遠位先端を含むことがある。外側シース1404の遠位先端は、血管系を通るデバイス1400のナビゲーションおよび目標血管のカニューレ挿入を容易にするために(たとえば、ハンドルを使用して)偏向されてよいことが、企図されている。いくつかの場合では、偏向可能な先端は、約90°偏向させるように構成されることがある。しかしながら、外側シース1404の先端は、必要に応じて、90未満または90以上偏向させるように作製されてよい。偏向は、ハンドルにおける回転ノブによって制御されてもよいし、制御機構によって制御されてもよい。いくつかの場合では、外側シース1404は、予成形されたおよび/または偏向不可能な先端を含むことがある。
【0267】
フィルタ・アセンブリ1420は、自己拡張フィルタ・アセンブリを備えてよい(たとえば、外側シース1404内での閉じ込めにより応力誘起マルテンサイトをもつ超弾性材料を備える)。フィルタ・アセンブリ1420は、温度変化(たとえば、体温への加熱)時に自己拡張するように構成された形状記憶材料を備えることがある。フィルタ・アセンブリ1420は、たとえば、米国特許第8,876,796号において説明されるフィルタ・アセンブリと同様に、形状記憶フレームまたは超弾性フレーム1428(たとえば、ニチノール輪を備える)と、フレームに対して結合された微孔性フィルタ要素1414(たとえば、レーザ穿孔された穴を含むポリマーを備える)とを備えることがある。
【0268】
フレーム1428は、拡張状態をとるフィルタ要素1414に対して拡張支持を一般に提供することがある。拡張状態では、フィルタ要素1414は、フィルタ要素1414を通って流れる流体(たとえば、血液)を濾過し、フィルタ要素1414内の粒子を捕獲することによって粒子(たとえば、塞栓材料)がフィルタ要素1414を通って流れるのを阻止または防止するように構成される。フレーム1428は、脳血管系を分離するために、大動脈の壁を係合し、3つの大血管12、14、16すべての口の外部にある大動脈弓10の頂部を密閉するように構成されてよい。フレーム1428は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、フレーム1428は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。同様に、フィルタ要素1414は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。
【0269】
フレーム1428は、蛍光透視下での可視化を助けるために輪のまわりに巻き付けられたまたはこれに対して結合された小さいコイルなどの放射線不透過性マーカを含むことがある。いくつかの実施形態では、フレーム1428は、輪以外の形状、たとえば、らせんを備えることがある。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ1420は、フレームを含まないまたは実質的にないことがある。
【0270】
左鎖骨下動脈16は、カテーテルまたは外側シース1404を前進させることとトルクを与えることの組み合わせを通じてカニューレ処置されてよい。いくつかの場合では、左鎖骨下動脈16は、ガイドワイヤを使用して最初にカニューレ処置されることがある。いくつかの場合では、カテーテル先端の偏向は、外側シース1404を左鎖骨下動脈16へと前進させるために弛緩され得ることが企図されている。保護デバイス1400(たとえば、外側シース1404の遠位端1408)が、示される実施形態では左鎖骨下動脈16であってよい目標場所へ前進されると、外側シース1404は、外側シース1404の遠位端1408を越えてフィルタ・アセンブリ1420のフィルタ要素1414の遠位端領域1416を露出させるために近位に後退されてよい。代替として、または追加として、内側部材1406は、フィルタ要素1414の遠位端領域1416を展開するために遠位に前進されることがある。フィルタ要素1414の遠位端領域1416は、内側部材1406に対して結合または固定されることがある。内側部材1406は、左鎖骨下動脈16へと前進され、その中で所定の位置に保持されてよい。いくつかの実施形態では、係止デバイス(明示的に図示せず)は、内側部材1406の位置を維持する助けとなるために、内側部材1406に対して結合されることがある。係止デバイスは、拡張可能なフレームまたは他の構造であってよい。フィルタ要素1414の遠位端領域1416は、切開部の場所に対して最遠位の大血管内で展開されるように構成されてよい。たとえば、右橈骨アクセスが使用されるとき、最遠位の大血管は左鎖骨下動脈16である。しかしながら、左橈骨アクセスが使用される場合、最遠位の大血管は無名動脈12である。
【0271】
ハンドルに対する内側部材1406を固定しながらの外側シース1404の継続的近位後退は、左鎖骨下動脈16内の支持フレーム1428の遠位部分1426を展開し得る。別の言い方をすれば、支持フレーム1428は、大動脈10から左鎖骨下動脈16へ延びるような角度にされ得る。ハンドルに対して内側部材1404を固定しながらの外側シース1406の追加の継続的近位作動は、次いで、フィルタ・アセンブリ1420の近位部分1424を展開し得る。別の言い方をすれば、支持フレーム1428は、大動脈10から左鎖骨下動脈16へ延びるような角度にされ得る。外側シース1404の遠位端1408は、フィルタ・アセンブリ1420を十分に露出させるために無名動脈12または右鎖骨下動脈22へと抜去されてよいことが企図されている。外側シース1404が抜去されるとき、フィルタ要素1414の遠位部分1416は、左鎖骨下動脈16内に残り、内側部材1406によって支持され、フィルタ・アセンブリ1420を係止する助けとなる。
【0272】
フレーム1428は、一般に、その拡張構成をとるフィルタ要素1414に対して拡張支持を提供し、フィルタ要素1414は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。フレーム1428は、ニチノールなどの形状記憶ワイヤのほぼ楕円形の輪を含んでよい。フレーム1428は、脳血管系を分離するために、大動脈の壁を係合し、3つの大血管12、14、16すべての口の外部にある大動脈弓10の頂部を密閉するように構成されてよい。たとえば、フレーム1428は、左鎖骨下動脈16の口から無名動脈12の口へ延びるようなサイズおよび形状にされてよい。フレーム1428の中心1430は、血液およびデブリがデバイス1420に入ることを可能にするために開いており、リング1428は、その周囲のまわりでフィルタ要素1414に対して取り付けられる。フィルタ要素1414の近位端は、外側シース1404の遠位端1408に対して結合されてもよいし、これへと延びてもよい。フレーム1428は、外側シース1404が近位に抜去されるとフレーム1428が自動的に拡張するように自己拡張であってよいが、これは必須ではない。フレーム1428は、保護デバイス1400の異なる部分に対して結合されてよい。いくつかの実施形態では、フレーム1428は、フレーム1428と遠位部分1416との間に延びる1つまたは複数の支持コネクタをさらに含むことがある。支持コネクタは、遠位部分1416とフレーム1428の両方に対して追加の支持を提示することによって、並置を改善する助けとなり得る。
【0273】
フィルタ・アセンブリ1420が展開されると、内側部材1406は、大動脈10への侵入を最小にするために後退されてよい。内側部材1406の位置は、ハンドルにおける制御部を使用して調整されてよい。近位フィルタ1420をデバイス1400に対して結合する機構は、近位フィルタ1420が十分に展開され、フレーム1428が大動脈弓10の頂部に対して並置され、内側部材1406は、フィルタ要素1414が大動脈弓10の頂部に十分に当たることを保証するために弓10の頂部に対して引っ張り上げられることを保証するために、ハンドルを近位に後退させるまたは遠位に前進させることによって調整されてよい。したがって、フィルタ・アセンブリ1420は、TAVRなどの血管内手技中に脳血管系14、18、20、24を塞栓デブリから保護するように位置決めされることがある。左鎖骨下動脈16内でフレーム1428の遠位部分1426を位置決めすることは、フレーム1428と、限定されるものではないがTAVR送達カテーテルなどの大動脈弓10を通過するものとの間の相互作用の機会を減少し得ることが企図されている。
【0274】
保護デバイス1400が展開されると、TAVR、または他の指標手技が実行されてよい。指標手技が企図されると、内側部材1406は、近位フィルタ要素1414および/または遠位フィルタ要素1418に対して張力を加えるハンドルに対して前進されてよい。次いで、外側シース1404は、フィルタ・アセンブリ1420が十分に覆われるまで、ハンドルに対する内側部材1406の位置を固定しながら、ハンドルに対して前進されてよい。次いで、保護デバイス1400が、イントロデューサ・シースから除去されてよい。
【0275】
図17は、大動脈弓10内で拡張構成をとる別の例示的な保護デバイス1500の概略図を示す。保護デバイス1500は、右橈骨動脈または右上腕動脈を介して腕頭動脈または無名動脈12を通り、大動脈弓10を横切って導入されるように構成され得る。一般に、カテーテルの遠位部分1502は左鎖骨下動脈16内で係止され、膜またはフィルタ要素1514は、保護デバイス1500が、左鎖骨下動脈、左総頸動脈、および腕頭動脈16、14、12のうちの3つすべてを、大動脈弓10を通って流れ得る塞栓デブリから分離するように、展開される。本願明細書において説明される保護デバイス1500の特徴は、追加の実施形態を形成するために異なるように組み合わせ可能であることが、企図されている。図示されるすべての実施形態は、左橈骨動脈または左上腕動脈にも導入されてよく、カテーテルの遠位部分は腕頭動脈12内に係止される。
【0276】
保護デバイス1500は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分1502とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス1500の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス1500のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分1502は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分1502が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよいが、これは必須ではない。
【0277】
一般に、保護システム1500は、外側シース1504と、内側部材1506と、遠位係止構造1512と、フィルタ・アセンブリ1520とを含んでよい。内側部材1506および外側シース1504は、保護デバイス1500の近位端領域から遠位端領域1502へ延びるように構成されてよい。外側シース1504および内側部材1506は、外側シース1504の遠位端を左鎖骨下動脈16内で位置決めするために、ガイドワイヤ(明示的に図示せず)上で、またはガイドワイヤ(迅速交換構成をとった)に沿って、案内されてよい。内側部材1506は、外側シース1504の径方向内側にあり、それと別個に作動可能であってよい(たとえば、外側シース1504の内腔の中で摺動可能に設置される)。
【0278】
保護デバイス1500を身体内で位置決めするために、被験者の右橈骨動脈内で、または代替として右上腕動脈内で、切開部が作成されてよい。イントロデューサ(明示的に図示せず)は切開部へと留置されてよく、保護デバイス1500はイントロデューサに挿入されてよい。保護デバイス1500は、遠位係止構造1512およびフィルタ・アセンブリ1520が外側シース1504内で圧壊されるまたは覆われる送達構成で、血管系を通って前進されてよい。外側シース1504、内側部材1506、遠位係止構造1512、およびフィルタ・アセンブリ1520は、(そのように提供される場合)ガイドワイヤ上で目標場所へ前進されてよい。いくつかの場合では、ガイドワイヤは、目標場所において位置決めされてよく、外側シース1504、内側部材1506、遠位係止構造1512、およびフィルタ・アセンブリ1520が、その後、目標場所へガイドワイヤ上で前進されてよい。他の事例では、ガイドワイヤと、外側シース1504、内側部材1506、および遠位係止構造1512、およびフィルタ・アセンブリ1520は、ガイドワイヤが外側シース1504、内側部材1506、遠位係止構造1512、およびフィルタ・アセンブリ1520を導く(たとえば、これらの最遠位に位置決めされる)のと実質的に同時に前進されることがある。
【0279】
送達カテーテルまたは外側シース1504は、血管系を切開部から目標場所へナビゲートするようなサイズにされた直径を有することがある。右撓骨アクセスのためのサイズにされた外側シース1504は、約6フレンチ(F)の範囲の直径を有することがある。大腿アクセスのためのサイズにされた外側シース1504は、これより大きくてよいが、これは必須ではない。これらは、単なるいくつかの例である。いくつかの場合では、外側シース1504(または保護デバイス1500の他の構成要素)は、偏向可能な先端または関節式接合可能な遠位先端を含むことがある。外側シース1504の遠位先端は、血管系を通るデバイス1500のナビゲーションおよび目標血管のカニューレ挿入を容易にするために(たとえば、ハンドルを使用して)偏向されてよいことが、企図されている。いくつかの場合では、偏向可能な先端は、約90°偏向させるように構成されることがある。しかしながら、外側シース1504の先端は、必要に応じて、90未満または90以上偏向させるように作製されてよい。偏向は、ハンドルにおける回転ノブによって制御されてもよいし、制御機構によって制御されてもよい。いくつかの場合では、外側シース1504は、予成形されたおよび/または偏向不可能な先端を含むことがある。
【0280】
左鎖骨下動脈16は、カテーテル1504を前進させることとトルクを与えることの組み合わせを通じてカニューレ処置されてよい。いくつかの場合では、左鎖骨下動脈16は、ガイドワイヤを使用して最初にカニューレ処置されることがある。いくつかの場合では、外側シース1504を左鎖骨下動脈16へと前進させるカテーテル先端の偏向は前進させるために弛緩され得ることが企図されている。保護デバイス1500(たとえば、外側シース1504の遠位端1508)が、示される実施形態では左鎖骨下動脈16であってよい目標場所へ前進されると、外側シース1504は、外側シース1504の遠位端1508を越えて遠位係止構造1512を露出させるために近位に後退されてよい。代替として、または追加として、内側部材1506は、遠位係止構造1512を展開するために遠位に前進されることがある。遠位係止構造1512は、切開部の場所に対して最遠位の大血管内で展開されるように構成されてよい。たとえば、右橈骨アクセスが使用されるとき、最遠位の大血管は左鎖骨下動脈16である。しかしながら、左橈骨アクセスが使用される場合、最遠位の大血管は無名動脈12である。
【0281】
遠位係止構造1512は、1つまたは複数の自己拡張リング1516を備えてよい(たとえば、外側シース1504内での閉じ込めにより応力誘起マルテンサイトをもつ超弾性材料を備える)。遠位係止構造1512は、温度変化(たとえば、体温への加熱)時に自己拡張するように構成された形状記憶材料を備えることがある。遠位係止構造1512は、左鎖骨下動脈16内で内側部材1506の遠位端を係止する助けとなり得る。いくつかの場合では、遠位係止構造1512は、フィルタ・アセンブリ1520も係止することがある。係止機構1512は、必要に応じて、フィルタ膜を含んでもよいし、フィルタ膜を欠いてもよい。遠位係止構造1512に加えて、またはその代替として、他の係止機構が提供されることがある。リング1516は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、リング1516は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。遠位係止構造1512は、その遠位端領域に隣接する内側部材1506に対して結合され得る。
【0282】
遠位係止構造1512は、蛍光透視下での可視化を助けるために輪のまわりに巻き付けられたまたはこれに対して結合された小さいコイルなどの放射線不透過性マーカを含むことがある。いくつかの実施形態では、遠位係止構造1512は、輪またはリング以外の形状、たとえば、らせんを備えることがある。いくつかの実施形態では、遠位係止構造1512は、フレームを含まないまたは実質的にないことがあり、限定されるものではないが、拡張可能なバルーンなどの、別の拡張可能な構成要素を含むことがある。
【0283】
ハンドルに対して内側部材1504を固定しながらの外側シース1504の継続的近位作動は、次いで、図17に図示されるように、大動脈弓構成要素またはフィルタ・アセンブリ1520を展開し得る。外側シース1504の遠位端1508は、フィルタ・アセンブリ1520を十分に露出させるために無名動脈12または右鎖骨下動脈22へと抜去されてよいことが企図されている。外側シース1504が抜去されるとき、遠位係止構造1512は、左鎖骨下動脈16内に残り、内側部材1506によって支持され、フィルタ・アセンブリ1520を係止する助けとなる。
【0284】
フィルタ・アセンブリ1520は、大動脈リング1528または支持要素と、フィルタ膜またはフィルタ要素1514とを含むことがある。大動脈リング1528は、形および機能に関して、遠位係止構造1512のリング1516に類似してよいが、大きさは、これより大きい。同様に、フィルタ要素1514は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。大動脈リング1528は、一般に、その拡張構成をしたフィルタ要素1514に対して拡張支持を提供し、フィルタ要素1514は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。大動脈リング1528は、ニチノールなどの形状記憶ワイヤのほぼ楕円形の輪を含んでよい。大動脈リング1528は、脳血管系を分離するために、大動脈の壁を係合し、3つの大血管12、14、16すべての口の外部にある大動脈弓10の頂部を密閉するように構成されてよい。たとえば、大動脈リング1528は、左鎖骨下動脈16の口から無名動脈12の口へ延びるようなサイズおよび形状にされてよい。大動脈リング1528の中心1530は、血液およびデブリがフィルタ1520に入ることを可能にするために開いており、リング1528は、その周囲のまわりでフィルタ要素1514に対して取り付けられる。フィルタ要素1514の近位端は、外側シース1504の遠位端1508に対して結合されてもよいし、これへと延びてもよい。フィルタ要素1514の遠位端1522は、内側部材1506に対して結合されることがある。遠位端1522は遠位係止構造1512の近位に内側部材1506に対して結合され得ることが企図されている。たとえば、遠位係止構造1512は、図17に図示されるようにフィルタ要素1514の遠位に留置されてよい。他の実施形態では、遠位係止構造1512は、図15における保護デバイス1300と同様に、フィルタ要素1514内に留置されてよい。
【0285】
大動脈リング1528は、外側シース1504が近位に抜去されると大動脈リング1528が自動的に拡張するように自己拡張であってよいが、これは必須ではない。大動脈リング1528は、保護デバイス1500の異なる部分に対して結合されてよい。
【0286】
フィルタ・アセンブリ1520が展開されると、内側部材1506は、大動脈10への侵入を最小にするために後退されてよい。内側部材1506の位置は、ハンドルにおける制御部を使用して調整されてよい。近位フィルタ1520をデバイス1500に対して結合する機構は、近位フィルタ1520が十分に展開され、大動脈リング1528が大動脈弓10の頂部に対して並置され、内側部材1506は、フィルタ要素1514が大動脈弓10の頂部に十分に当たることを保証するために弓10の頂部に対して引っ張り上げられることを保証するために、ハンドルを近位に後退させるまたは遠位に前進させることによって調整されてよい。したがって、フィルタ・アセンブリ1520は、TAVRなどの血管内手技中に脳血管系14、18、20、24を塞栓デブリから保護するように位置決めされることがある。
【0287】
保護デバイス1500が展開されると、TAVR、または他の指標手技が実行されてよい。指標手技が企図されると、内側部材1506は、近位フィルタ要素1514および/または遠位フィルタ要素1218に対して張力を加えるハンドルに対して前進されてよい。次いで、外側シース1504は、フィルタ・アセンブリ1520および遠位係止構造1512が十分に覆われるまで、ハンドルに対する内側部材1506の位置を固定しながら、ハンドルに対して前進されてよい。次いで、保護デバイス1500が、イントロデューサ・シースから除去されてよい。
【0288】
図16は、大動脈弓10内で拡張構成をとる別の例示的な保護デバイス1600の概略図を示す。保護デバイス1600は、右橈骨動脈または右上腕動脈を介して腕頭動脈または無名動脈12を通り、大動脈弓10を横切って導入されるように構成され得る。一般に、カテーテルの遠位部分1602は左鎖骨下動脈16内で係止され、膜またはフィルタ要素1614は、保護デバイス1600が、左鎖骨下動脈、左総頸動脈、および腕頭動脈16、14、12のうちの3つすべてを、大動脈弓10を通って流れ得る塞栓デブリから分離するように、展開される。本願明細書において説明される保護デバイス1600の特徴は、追加の実施形態を形成するために異なるように組み合わせ可能であることが、企図されている。図示されるすべての実施形態は、左橈骨動脈または左上腕動脈にも導入されてよく、カテーテルの遠位部分は腕頭動脈12内に係止される。
【0289】
保護デバイス1600は、近位部分(明示的に図示せず)と、遠位部分1602とを備える。近位部分は、外科医などの使用者によって保持および操作されるように構成される。いくつかの場合では、近位部分は、デバイス1600の送達および展開を容易にするように構成されたハンドルに対して結合されることがある。いくつかの場合では、保護デバイス1600のハンドルは、形および機能に関して、本願明細書において説明されるハンドル40、106に類似してよい。遠位部分1602は、左鎖骨下動脈16などの目標場所において位置決めされるように構成される。遠位部分1602が左鎖骨下動脈16において位置決めされるように構成されるとき、場所は、血液が左椎骨動脈24に入る前に濾過されるように、左椎骨動脈24の上流であってよいが、これは必須ではない。
【0290】
一般に、保護システム1600は、外側シース1604と、内側部材1606と、フィルタ・アセンブリ1620とを含んでよい。内側部材1606および外側シース1604は、保護デバイス1600の近位端領域から遠位端領域1602へ延びるように構成されてよい。外側シース1604および内側部材1606は、外側シース1604の遠位端を左鎖骨下動脈16内で位置決めするために、ガイドワイヤ(明示的に図示せず)上で、またはガイドワイヤ(迅速交換構成をとった)に沿って、案内されてよい。内側部材1606は、外側シース1604の径方向内側にあり、それと別個に作動可能であってよい(たとえば、外側シース1604の内腔の中で摺動可能に設置される)。
【0291】
保護デバイス1600を身体内で位置決めするために、被験者の右橈骨動脈内で、または代替として右上腕動脈内で、切開部が作成されてよい。イントロデューサ(明示的に図示せず)は切開部へと留置されてよく、保護デバイス1600はイントロデューサに挿入されてよい。保護デバイス1600は、フィルタ・アセンブリ1620が外側シース1604内で圧壊されるまたは覆われる送達構成で、血管系を通って前進されてよい。外側シース1604、内側部材1606、およびフィルタ・アセンブリ1620は、(そのように提供される場合)ガイドワイヤ上で目標場所へ前進されてよい。いくつかの場合では、ガイドワイヤは、目標場所において位置決めされてよく、外側シース1604、内側部材1606、およびフィルタ・アセンブリ1620が、その後、目標場所へガイドワイヤ上で前進されてよい。他の事例では、ガイドワイヤと、外側シース1604、内側部材1606、およびフィルタ・アセンブリ1620は、ガイドワイヤが外側シース1604、内側部材1606、およびフィルタ・アセンブリ1620を導く(たとえば、これらの最遠位に位置決めされる)のと実質的に同時に前進されることがある。
【0292】
送達カテーテルまたは外側シース1604は、血管系を切開部から目標場所へナビゲートするようなサイズにされた直径を有することがある。右撓骨アクセスのためのサイズにされた外側シース1604は、約6フレンチ(F)の範囲の直径を有することがある。大腿アクセスのためのサイズにされた外側シース1604は、これより大きくてよいが、これは必須ではない。これらは、単なるいくつかの例である。いくつかの場合では、外側シース1604(または保護デバイス1600の他の構成要素)は、偏向可能な先端または関節式接合可能な遠位先端を含むことがある。外側シース1604の遠位先端は、血管系を通るデバイス1600のナビゲーションおよび目標血管のカニューレ挿入を容易にするために(たとえば、ハンドルを使用して)偏向されてよいことが、企図されている。いくつかの場合では、偏向可能な先端は、約90°偏向させるように構成されることがある。しかしながら、外側シース1604の先端は、必要に応じて、90未満または90以上偏向させるように作製されてよい。偏向は、ハンドルにおける回転ノブによって制御されてもよいし、制御機構によって制御されてもよい。いくつかの場合では、外側シース1604は、予成形されたおよび/または偏向不可能な先端を含むことがある。
【0293】
フィルタ・アセンブリ1620は、自己拡張フィルタ・アセンブリを備えてよい(たとえば、外側シース1604内での閉じ込めにより応力誘起マルテンサイトをもつ超弾性材料を備える)。フィルタ・アセンブリ1620は、温度変化(たとえば、体温への加熱)時に自己拡張するように構成された形状記憶材料を備えることがある。フィルタ・アセンブリ1620は、たとえば、米国特許第8,876,796号において説明されるフィルタ・アセンブリと同様に、形状記憶フレームまたは超弾性フレーム1628(たとえば、ニチノール輪を備える)と、フレームに対して結合された微孔性フィルタ要素1614(たとえば、レーザ穿孔された穴を含むポリマーを備える)とを備えることがある。
【0294】
フレーム1620は、拡張状態をしたフィルタ要素1614に対して拡張支持を一般に提供することがある。拡張状態では、フィルタ要素1614は、フィルタ要素1614を通って流れる流体(たとえば、血液)を濾過し、フィルタ要素1614内の粒子を捕獲することによって粒子(たとえば、塞栓材料)がフィルタ要素1614を通って流れるのを阻止または防止するように構成される。フレーム1628は、脳血管系を分離するために、大動脈の壁を係合し、3つの大血管12、14、16すべての口の外部にある大動脈弓10の頂部を密閉するように構成されてよい。フレーム1628は、形および機能に関して、本願明細書において説明される端リング124、126に類似してよい。たとえば、フレーム1628は、端リング124、126と類似した材料、ワイヤ形状、サイズなどから形成されてよい。同様に、フィルタ要素1614は、形および機能に関して、本願明細書において説明されるフィルタ要素128に類似してよい。
【0295】
フレーム1628は、蛍光透視下での可視化を助けるために輪のまわりに巻き付けられたまたはこれに対して結合された小さいコイルなどの放射線不透過性マーカを含むことがある。いくつかの実施形態では、フレーム1628は、輪以外の形状、たとえば、らせんを備えることがある。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ1620は、フレームを含まないまたは実質的にないことがある。
【0296】
左鎖骨下動脈16は、カテーテルまたは外側シース1604を前進させることとトルクを与えることの組み合わせを通じてカニューレ処置されてよい。いくつかの場合では、左鎖骨下動脈16は、ガイドワイヤを使用して最初にカニューレ処置されることがある。いくつかの場合では、カテーテル先端の偏向は、外側シース1604を左鎖骨下動脈16へと前進させるために弛緩され得ることが企図されている。保護デバイス1600(たとえば、外側シース1604の遠位端1608)が、示される実施形態では左鎖骨下動脈16であってよい目標場所へ前進されると、外側シース1604は、外側シース1604の遠位端1608を越えてフィルタ・アセンブリ1620のフィルタ要素1614の遠位端領域1616を露出させるために近位に後退されてよい。代替として、または追加として、内側部材1606は、フィルタ要素1614の遠位端領域1616を展開するために遠位に前進されることがある。フィルタ要素1614の遠位端領域1616は、内側部材1606に対して結合または固定されることがある。内側部材1606は、左鎖骨下動脈16へと前進され、その中で所定の位置に保持されてよい。いくつかの実施形態では、係止デバイス(明示的に図示せず)は、内側部材1606の位置を維持する助けとなるために、内側部材1606に対して結合されることがある。係止デバイスは、拡張可能なフレームまたは他の構造であってよい。フィルタ要素1614の遠位端領域1616は、切開部の場所に対して最遠位の大血管内で展開されるように構成されてよい。たとえば、右橈骨アクセスが使用されるとき、最遠位の大血管は左鎖骨下動脈16である。しかしながら、左橈骨アクセスが使用される場合、最遠位の大血管は無名動脈12である。支持脚1618は、フィルタ要素1614の遠位端領域1616とフレーム1628との間に延びてよい。支持脚1618は、支持フレーム1628の遠位端に対して追加の支持を提示し、安定性を増加させ得る。支持脚1618は、内側部材1606に対して取り付けられてもよいし、遠位アンカー(そのように提供される場合)に対して取り付けられてもよい、フィルタ要素1614それ自体に対して取り付けられてもよい。
【0297】
ハンドルに対して内側部材1606を固定しながらの外側シース1606の継続的近位後退は、支持フレーム1628を展開し得る。外側シース1604の遠位端1608は、フィルタ・アセンブリ1620を十分に露出させるために無名動脈12または右鎖骨下動脈22へと抜去されてよいことが企図されている。外側シース1604が抜去されるとき、フィルタ要素1614の遠位部分1616は、左鎖骨下動脈16内に残り、内側部材1606によって支持され、フィルタ・アセンブリ1620を係止する助けとなる。
【0298】
フレーム1628は、一般に、その拡張構成をとるフィルタ要素1614に対して拡張支持を提供し、フィルタ要素1614は、血液などの流体を濾過し、それを通って流れる粒子を捕集するように適合される。フレーム1628は、ニチノールなどの形状記憶ワイヤのほぼ楕円形の輪を含んでよい。フレーム1628は、脳血管系を分離するために、大動脈の壁を係合し、3つの大血管12、14、16すべての口の外部にある大動脈弓10の頂部を密閉するように構成されてよい。たとえば、フレーム1628は、左鎖骨下動脈16の口から無名動脈12の口へ延びるようなサイズおよび形状にされてよい。フレーム1628の中心1630は、血液およびデブリがデバイス1620に入ることを可能にするために開いており、リング1628は、その周囲のまわりでフィルタ要素1614に対して取り付けられる。フィルタ要素1614の近位端は、外側シース1604の遠位端1608に対して結合されてもよいし、これへと延びてもよい。フレーム1628は、外側シース1604が近位に抜去されるとフレーム1628が自動的に拡張するように自己拡張であってよいが、これは必須ではない。フレーム1628は、保護デバイス1600の異なる部分に対して結合されてよい。いくつかの実施形態では、フィルタ・アセンブリ1620は、フィルタ要素1614のまわりに追加された1つまたは複数の支持構造1622をさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、支持構造1622は、フレーム1628のヒンジ・ポイントにおいてフレームを補強するように位置決めされることがあり、このことは、フレーム1628の折り畳みポイントを補強することによって並置を改善し、より良い全体的な輪強度を与え得る。支持構造1622は、一般に、支持フレーム1628の遠位端および近位端1632、1634において位置決めされた湾曲した構造であってよい。しかしながら、必要に応じて、他の構成および/または位置が使用されてよい。
【0299】
フィルタ・アセンブリ1620が展開されると、内側部材1606は、大動脈10への侵入を最小にするために後退されてよい。内側部材1606の位置は、ハンドルにおける制御部を使用して調整されてよい。近位フィルタ1620をデバイス1600に対して結合する機構は、近位フィルタ1620が十分に展開され、フレーム1628が大動脈弓10の頂部に対して並置され、内側部材1606は、フィルタ要素1614が大動脈弓10の頂部に十分に当たることを保証するために弓10の頂部に対して引っ張り上げられることを保証するために、ハンドルを近位に後退させるまたは遠位に前進させることによって調整されてよい。したがって、フィルタ・アセンブリ1620は、TAVRなどの血管内手技中に脳血管系14、18、20、24を塞栓デブリから保護するように位置決めされることがある。左鎖骨下動脈16内でフレーム1628の遠位部分1426を位置決めすることは、フレーム1628と、限定されるものではないがTAVR送達カテーテルなどの大動脈弓10を通過するものとの間の相互作用の機会を減少し得ることが企図されている。
【0300】
保護デバイス1600が展開されると、TAVR、または他の指標手技が実行されてよい。指標手技が企図されると、内側部材1606は、近位フィルタ要素1614および/または遠位係止機構(そのように提供される場合)に対して張力を加えるハンドルに対して前進されてよい。次いで、外側シース1604は、フィルタ・アセンブリ1620が十分に覆われるまで、ハンドルに対する内側部材1606の位置を固定しながら、ハンドルに対して前進されてよい。次いで、保護デバイス1600が、イントロデューサ・シースから除去されてよい。
【0301】
いくつかのフィルタ・アセンブリは、本願明細書においてフィルタを含むと説明されまたは示されてきたが、本願明細書において説明されるフィルタは、自己拡張ステント、バルーン、デフレクタ、または他の閉塞デバイスとすることもできる。本願明細書において説明されまたは示されるフィルタ・アセンブリは、右橈骨動脈または右上腕動脈を通って導入可能である。フィルタ・アセンブリは、代替として、左橈骨動脈または左上腕動脈を通って導入されてもよい。
【0302】
本願明細書で使用されるとき、「近位」および「遠位」という相対的な用語は、保護システムの観点から定義されるものとする。したがって、近位は、送達システムのハンドル部分の方向を指し、遠位は、遠位先端の方向を指す。
【0303】
とりわけ、「ことができる、可能である」、「してよい」、「ことがある」、「たとえば」などの、本願明細書において使用される条件付きの言い回しは、別段に具体的に述べられない限り、または使用される文脈内で別段に理解されない限り、一般に、いくつかの実施形態は、いくつかの特徴、要素、および/または状態を含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることが意図されている。したがって、そのような条件付きの言い回しは、一般に、特徴、要素、ブロック、および/もしくは状態は、いかなる形であれ、1つもしくは複数の実施形態に必要とされること、または1つもしくは複数の実施形態は、作成者の入力もしくは促しを用いてまたは用いずに、これらの特徴、要素、および/もしくは状態が、任意の特定の実施形態において含まれるもしくは実行されることになっているかどうかを決めるための論理を必ず含むことを暗示することを意図したものではない。
【0304】
いくつかの実施形態および例が本願明細書において説明されてきたが、本開示において図示および説明される送達システムの多数の態様が、さらに他の実施形態または許容可能な例を形成するために異なるように組み合わせおよび/または修正されてよいことは、当業者によって理解されるであろう。すべてのそのような修正形態および変形形態は、本願明細書では、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。多種多様の設計および手法が可能である。本願明細書で開示される特徴、構造、または工程は、本質的または不可欠でない。
【0305】
本開示の目的のために、いくつかの態様、利点、および新規な特徴が、本願明細書において説明される。必ずしもすべてのそのような利点が任意の特定の実施形態により達成され得るとは限らないことが理解されるべきである。したがって、たとえば、当業者は、本開示は、本願明細書において教示される1つの利点または利点のグループを本願明細書において教示または示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく達成する様式で、実施されまたは行われてよいことを認識し得る。
【0306】
さらに、例示的な実施形態が本願明細書において説明されているが、本開示に基づいて当業者によって理解されるであろう、等価な要素、修正、省略、(たとえば、種々の実施形態にわたる態様の)組み合わせ、適応および/また改変を有するありとあらゆる実施形態の範囲。特許請求の範囲における限定は、特許請求の範囲において用いられる言い回しに基づいて幅広く解釈されるべきであり、本明細書においてまたは出願の遂行中に説明される例に限定されず、その例は、非排他的であると捉えられるべきである。さらに、開示されるプロセスおよび方法の行動は、行動を並べ替えることおよび/または追加の行動を挿入することおよび/または行動を削除することによることを含む任意の様式で修正されてよい。したがって、明細書および例は例示的と考慮されるにすぎず、真の範囲および趣旨は、特許請求の範囲および等価物のそれらの全範囲によって表されることが意図されている。
【0307】
本願明細書において説明される方法およびデバイスは、種々の修正形態および代替形態が可能であり得るが、その具体的な例は、図面に図示されており、本願明細書において詳細に説明される。しかしながら、本発明の主題は、開示される特定の形または方法に限定されるべきでなく、反対に、説明される種々の実装形態および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に入るすべての修正形態、等価物、および代替形態を包含することが理解されるべきである。さらに、本願明細書における、実装形態または実施形態に関連する任意の特定の特徴、態様、方法、性質、特性、品質、属性、要素などの開示は、本願明細書において記載されるすべての他の実装形態または実施形態において使用可能である。本願明細書で開示される任意の方法では、行為または動作は、任意の適切な並びで実行可能であり、必ずしも任意の特定の開示されたならびに限定されるとは限らず、記載された順序で実行されない。種々の動作は、いくつかの実施形態を理解する際に有用であり得る様式で、順番に複数の個別の動作として説明可能である。しかしながら、説明の順序は、これらの動作は順序に依存することを暗示すると捉えられるべきでない。追加として、本願明細書において説明される構造は、統合された構成要素として、または別個の構成要素として、実施可能である。種々の実施形態を比較する目的のために、これらの実施形態のいくつかの態様および利点が説明される。必ずしもすべてのそのような態様または利点が、任意の特定の実施形態によって達成されるとは限らない。したがって、たとえば、実施形態は、1つの利点または利点のグループを、他の利点または利点のグループを必ずしも達成することなく達成または最適化する様式で、行われることが可能である。本願明細書で開示される方法は、施術者によって講じられるいくつかの行動を含んでよい。しかしながら、方法は、明白にまたは含蓄的のいずれかで、それらの行動の、任意の第三者による指示も含むことができる。たとえば、「自己拡張フィルタを展開する」などの行動は、「自己拡張フィルタの展開を指示すること」を含む。本願明細書で開示される範囲は、ありとあらゆる重複、副範囲、およびそれらの組み合わせも包含する。「最高」、「少なくとも」、「よりも大きい」、「よりも小さい」、「~の間」などの言い回しは、記載された数を含む。「約」または「ほぼ」などの用語によって先行される数は、記載された数を含み、状況に基づいて解釈されるべきである(たとえば、状況下で合理的に可能な限り正確に、たとえば±5%、±10%、±15%など)。たとえば、「約7mm」は「7mm」を含む。「実質的に」などの用語によって先行される句は、記載された句を含み、状況に基づいて解釈されるべきである(たとえば、状況下で合理的に可能な限り)。たとえば、「実質的にまっすぐ」は「まっすぐ」を含む。
【0308】
当業者は、本発明が、本願明細書において説明および企図される具体的な実施形態以外のさまざまな形で表されてよいことを認識するであろう。したがって、形および詳細における逸脱は、添付の特許請求の範囲において説明される本発明の範囲および趣旨から逸脱することなくなされてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
図17
図18