(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112120
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】薬剤分包システム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102528
(22)【出願日】2023-06-22
(62)【分割の表示】P 2022006836の分割
【原出願日】2018-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2017007959
(32)【優先日】2017-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】臼杵 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】淺岡 千晴
(72)【発明者】
【氏名】津田 紘道
(57)【要約】
【課題】内部の清掃を自動的に行うことができる薬剤払出し装置を開発することを課題とする。
【解決手段】薬剤容器から所定量の散薬を取り出し、これを所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬剤払出し装置であり、容器移動手段28が設けられ、容器移動手段28によって容器保管装置から所定の薬剤容器を取り出して容器載置装置に載置し、薬剤容器から薬剤を排出させて分配皿の薬剤投入溝に投入し、掻出装置によって分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出して薬剤包装領域側に落下させる。前記容器移動手段28に清掃器具61が設けられている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤容器から所定量の散薬を取り出す散薬秤量装置と、仮容器収容棚と、秤量皿移動装置と、薬剤分包装置とを有する薬剤分包システムであって、
散薬秤量装置は、薬剤容器から散薬を排出する薬剤排出手段と、薬剤排出手段により薬剤容器から排出された散薬を受ける仮容器と、仮容器に固定された計量器とを有し、
秤量皿移動装置は、仮容器収容棚から仮容器を取り出して計量器に載置する仮容器移動手段としての機能と、仮容器を計量器から薬剤分包装置に搬送する仮容器搬送手段としての機能とを有し、
薬剤排出手段によって薬剤容器から仮容器に排出された散薬の量を計量器で監視し、秤量皿移動装置によって計量器で監視された量の散薬を有する仮容器を計量器から薬剤分包装置に搬送し、仮容器が有している計量器で監視された量の散薬を薬剤分包装置に投入する薬剤分包システム。
【請求項2】
薬剤分包装置は、分配皿方式の薬剤分包装置である請求項1に記載の薬剤分包システム。
【請求項3】
薬剤分包装置は、Vマス方式の薬剤分包装置である請求項1又は2に記載の薬剤分包システム。
【請求項4】
薬剤排出手段は、薬剤容器内に螺旋コンベアが内蔵され、薬剤容器の外部から螺旋コンベアが駆動させられるものである請求項1乃至3のいずれかに記載の薬剤分包システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤払出し装置に関するものであり、特に散薬を分配する分配皿を備えた薬剤払出し装置に関するものである。
【0002】
また本発明は、所定量の散薬を秤量することができる散薬秤量装置に関するものである。また本発明は、散薬を一服用分ずつ分包する薬剤分包システムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
大病院や、大規模の薬局では、散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置が導入されている。旧来の薬剤払出し装置は、特許文献1に開示された様な構造であり、分配皿と粉体フィーダが組み合わされたものである。
旧来技術の薬剤払出し装置を使用して散薬を分包する作業は、医師の処方箋に従い、薬剤師が装置を操作して行う。即ち薬剤師は、医師の処方箋を確認し、薬棚から、処方された散薬が入った薬瓶を取り出す。そして天秤等の秤を使用して処方された特定の散薬の総重量を量り出す。
【0004】
そして量り出された散薬を粉体フィーダの投入ホッパに投入し、粉体フィーダのトラフを振動させる。また分配皿を一定の回転数で回転させる。
投入ホッパに投入された散薬は、粉体フィーダのトラフに落ち、トラフが振動することによって、散薬はゆっくりと先端側に移動し、分配皿の溝に落下する。
【0005】
一方、分配皿は、所定の速度で回転しているので、トラフから落下する散薬は、分配皿の溝に均等に分散される。
分配皿に対する散薬の落下が終了すると、一旦、分配皿の回転を停止する。そしてその後に、掻出装置のディスクを分配皿の溝内に落とす。さらにその後、分配皿を分配個数に応じた角度だけ回転させ所定の角度分だけ散薬をディスクの前面側に集める。そしてディスクを回転し、掻き板によって所定の角度分の散薬を分配皿の外に掻き出して、包装用ホッパに投入する。包装用ホッパから落下した散薬は、包装装置で包装される。
【0006】
ここで本出願人は、薬棚から所望の散薬が入った薬瓶を取り出す作業と、薬瓶から所定量の散薬を量り出す作業を自動化した薬剤払出し装置を開発し、特許文献2に開示した。
特許文献2に開示した薬剤払出し装置は、複数の薬剤容器を収容する容器保管部と、ロボット(容器移動手段)を備えている。また分配皿の周囲には容器載置装置がある。容器載置装置は、薬剤容器を振動させて薬剤容器から散薬を排出する機能と、薬剤容器の重量を監視する機能を備えている。
特許文献2に開示した薬剤払出し装置では、容器保管部に収容された薬剤容器から医師の処方箋に合致した散薬が充填された薬剤容器を選び出し、ロボットで薬剤容器を取り出して容器載置装置に載置する。
そして容器載置装置を振動させて薬剤容器から散薬を排出すると共に、薬剤容器の重量を監視し、間接的に薬剤容器から排出される散薬の重量を監視する。
薬剤容器から所定量の散薬が排出されると、掻出装置を駆動して散薬を分配皿の外に掻き出し、包装装置で包装する。
【0007】
特許文献3、4には、V枡方式の薬剤分包装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-85703号公報
【特許文献2】WO2015/076266 A1号公報
【特許文献3】特開平9-104402号公報
【特許文献4】特開平10-258111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
薬剤払出し装置は、患者が服用する薬剤を取り扱う装置であるから、内部に塵等のゴミがあることは許されない。また本来服用すべき薬剤に他の薬剤が混入することは許されない。具体的には、分配皿に先に行われた分包作業の薬剤が残っていて、今回、分包される薬剤に前回の薬剤が混入することは許されない。
ここで特許文献2に開示した薬剤払出し装置は、ロボットを内蔵し、ロボットによって薬剤容器を取り出して容器載置装置に載置する。
ロボットは、自動的に動くので、作業者が近づくと危険である。そのため特許文献2に開示した薬剤払出し装置は、全体が筐体で覆われ、当該筐体内にロボットを含む機械類が内蔵されている。そのため分配皿やその周辺に作業者の手が届きにくい。そのため特許文献2に開示した薬剤払出し装置は、清掃を行い難い。
【0010】
本発明は、従来技術の薬剤払出し装置を改良するものであり、内部の清掃を自動的に行うことができる薬剤払出し装置を開発することを課題とするものである。
また、上記したように、旧来技術の薬剤払出し装置を使用して散薬を分包する作業は、医師の処方箋に従い、薬剤師が装置を操作して行う。即ち薬剤師は、医師の処方箋を確認し、薬棚から、処方された散薬が入った薬瓶を取り出す。そして天秤等の秤を使用して処方された特定の散薬の総重量を量り出すというように、薬剤師が手作業で行っていた。本発明は、従来技術の薬剤払出し装置を改良するものであり、自動的に行うことができる薬剤分包システムを開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
望ましい薬剤分包システムの態様は、薬剤容器から所定量の散薬を取り出す散薬秤量装置と、仮容器収容棚と、秤量皿移動装置と、薬剤分包装置とを有する薬剤分包システムであって、
散薬秤量装置は、薬剤容器から散薬を排出する薬剤排出手段と、薬剤排出手段により薬剤容器から排出された散薬を受ける仮容器と、仮容器に固定された計量器とを有し、
秤量皿移動装置は、仮容器収容棚から仮容器を取り出して計量器に載置する仮容器移動手段としての機能と、仮容器を計量器から薬剤分包装置に搬送する仮容器搬送手段としての機能とを有し、
薬剤排出手段によって薬剤容器から仮容器に排出された散薬の量を計量器で監視し、秤量皿移動装置によって計量器で監視された量の散薬を有する仮容器を計量器から薬剤分包装置に搬送し、仮容器が有している計量器で監視された量の散薬を薬剤分包装置に投入するものである。
【0012】
好ましい態様は、薬剤分包装置は、分配皿方式の薬剤分包装置である薬剤分包システムである。
【0013】
さらに好ましい態様は、薬剤分包装置は、Vマス方式の薬剤分包装置である薬剤分包システムである。
【0014】
さらに好ましい態様は、薬剤排出手段は、薬剤容器内に螺旋コンベアが内蔵され、薬剤容器の外部から螺旋コンベアが駆動させられるものである薬剤分包システムである。
【0015】
望ましい散薬秤量装置の態様は、配列棚と、薬剤容器と、薬剤容器に作用して薬剤容器から散薬を排出させる容器載置装置と、薬剤容器から排出された散薬を受ける仮容器と、計量手段とを備えた散薬秤量装置であって、配列棚に薬剤容器と容器載置装置とが一対となった散薬排出ユニットを複数有し、処方箋に応じて容器載置装置が起動した際、散薬排出ユニットの薬剤容器から仮容器に散薬が排出され、仮容器に排出された散薬の量が計量手段で監視されることを特徴とする散薬秤量装置である。
上記した態様は、仮容器に排出された散薬の量が計量手段で監視され、所定量の散薬が仮容器に落下すると容器載置装置が停止する動作を含むことが望ましい。
【0016】
もう一つの態様は、上記した散薬秤量装置と、散薬を所望の個数に分割して個別に包装する薬剤分包装置とを有し、前記仮容器内の散薬を手動又は自動的に薬剤分包装置に投入することが可能であることを特徴とする薬剤分包システムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の薬剤払出し装置によると、内部の清掃を自動的に行うことができる。そのため薬剤包装内の異物混入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る薬剤払出し装置の斜視図である。
【
図2】
図1の本体装置の筐体を透過して示す斜視図である。
【
図3】
図2で示される容器移動装置を示す斜視図である。
【
図4】
図2の薬剤分割領域を拡大して示す斜視図である。
【
図5】
図1の薬剤払出し装置で採用する薬剤容器及び容器載置装置の斜視図であり、薬剤容器が容器載置装置に載置された状態を示す。
【
図6】
図5で示す薬剤容器の断面図であり、(a)は蓋部材が開いた状態を示し、(b)は蓋部材が閉じた状態を示す。
【
図8】容器移動装置の他の一例を示す斜視図である。
【
図10】(a)の右図は、
図6(a)の薬剤容器のA-A断面を模式的に表現したものであり、左図は、その矢視図であり、(b)(c)の右図は、他の実施形態の薬剤容器のA-A断面に相当する模式図であり、左図は、その矢視図である。
【
図11】薬剤容器のさらに他の実施形態であり、(a)は蓋部材が開いた状態を示し、(b)は蓋部材が閉じた状態を示し、(c)はその左側の薬剤排出部を概念的に表示した側面図であり、(d)はその右側の薬剤排出部を概念的に表示した側面図である。
【
図12】本発明の他の実施形態の薬剤払出し装置を模式的に平面視して表示した説明図である。
【
図13】固形薬剤を排出する固形薬剤フィーダの斜視図である。
【
図16】他の実施形態の薬剤払出し装置を模式的に示した斜視図である。
【
図18】さらに他の実施形態の薬剤払出し装置を模式的に示した斜視図である。
【
図19】さらに他の実施形態の薬剤払出し装置を模式的に示した斜視図である。
【
図20】本発明の実施形態の薬剤分包システムの斜視図である。
【
図21】本発明の他の実施形態の薬剤分包システムの斜視図である。
【
図22】本発明のさらに他の実施形態の薬剤分包システムの斜視図である。
【
図23】本発明のさらに他の実施形態の薬剤分包システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、本出願人が過去に特許出願した薬剤払出し装置を基本構成とし、これに各種の改良を加えたものである。
付加した改良点の説明に先立って、薬剤払出し装置1の基本構成について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、
図1の様に本体部を構成する筐体10と、操作表示部3を備えている。
薬剤払出し装置1には多数の薬剤容器4が収容されている。各薬剤容器4には散薬が充填されている。薬剤払出し装置1は、操作表示部3を操作することにより、所望の薬剤容器4を選び出し、薬剤容器4に収容された散薬を自動的に取り出して計量し、所定数に分割して分包する装置である。
【0020】
薬剤払出し装置1は、筐体10内に各種機器が内蔵されている。具体的には、
図2で示されるように、筐体10の内部が容器配置領域12、薬剤分割領域13、薬剤包装領域14に区分されている。
【0021】
筐体10の容器配置領域12の外側壁面を形成する部分には、
図1に示されるように、扉部16が設けられている。
扉部16は、薬剤容器4を筐体10に出し入れするための容器出し入れ口である。
【0022】
筐体10の容器配置領域12には、
図2で示されるように、薬剤容器4を保持する容器保管部23が設けられている。
容器保管部23は、直立した姿勢で設置されたドラム部材25を備えている。ドラム部材25が縦方向に延びる回転軸を中心として回転可能となっている。
【0023】
ドラム部材25の外周面には、複数の容器設置部が設けられており、この容器設置部に薬剤容器4が保持される。
【0024】
容器配置領域12から薬剤分割領域13に至る領域には、容器移動手段28が設けられている。容器移動手段28は一種のロボットであり、アーム部30と昇降機構31を備えた構造となっており、昇降機構31によってアーム部30が鉛直方向に移動可能となっている。即ち容器移動手段28は一種のロボットであり、ロボットアームたるアーム部30を備えている。
【0025】
アーム部30は、
図3で示されるように、昇降機構31の昇降台43に取り付けられた基幹アーム部材45と、基幹アーム部材45の先端側に取り付けられた中間アーム部材46と、中間アーム部材46の先端側に取り付けられたハンド部47を備えた構造となっている。
【0026】
基幹アーム部材45は、図示しない垂直軸を介して昇降台43に取り付けられており、昇降台43を中心として水平方向に回動可能となっている。
中間アーム部材46もまた、図示しない垂直軸を介して基幹アーム部材45の先端に取り付けられており、基幹アーム部材45の先端を中心として水平方向に回動可能となっている。
【0027】
ハンド部47は、大別して基幹部48と容器保持部55から構成されており、これらが取付金具56を介して一体に取り付けられている。
基幹部48は、図示しない垂直軸を介して中間アーム部材46の先端に取り付けられており、中間アーム部材46の先端を中心として水平方向に回動可能となっている。
【0028】
容器保持部55は、薬剤容器4を吸着するための電磁石(図示しない)を備えている。
【0029】
薬剤分割領域13では、正面ドア34(
図1参照)の後方側に位置する空間内に、
図4で示されるように、分配皿35と、容器載置装置(薬剤排出手段)36と、掻出装置37と、清掃装置38と、薬剤投入口39と、カメラ部材(撮影装置)40が設けられている。
薬剤分割領域13には、分配皿方式によって薬剤を所望の個数に分割する機器が配置されている。
本実施形態では、薬剤分割領域13に分配皿35が2個、並列して設置されている。
分配皿35の数は限定されるものではなく、一個であってもよいが、複数の分配皿35を有することが望ましい。
【0030】
それぞれの分配皿35の周辺には、容器載置装置36と、掻出装置37と、清掃装置38が設けられている。具体的には、1つの分配皿35に、3つの容器載置装置36と、1つの掻出装置37と、1つの清掃装置38が対応付けられている。
【0031】
掻出装置37は、掻出用アーム26との掻出用アーム26の先端に設けられた掻出機構27によって構成されている。掻出機構27は、動力によって回転するディスク状の掻寄板57と、掻出板58を有している。
【0032】
分配皿35の周辺であり、2つの分配皿35の間には、薬剤包装領域14に一包分ずつ散薬を供給するための薬剤投入口39が設けられている。なお、
図2,3では、薬剤投入口39に蓋17が設けられている。蓋17が設けられている。蓋17は、薬剤投入口39に薬剤を投入する際に、自動的に開く。
【0033】
分配皿35には、円環状に連続する薬剤投入溝32が設けられている。分配皿35は図示しない回転機構によって、回転可能である。
【0034】
容器載置装置36は、
図5の様に、振動台50と、重量測定手段(計量手段)52とを備えている。振動台50には加振手段51が設けられており、加振手段51に通電することによって振動台50が振動する。
【0035】
振動台50には、薬剤容器4を保持するための容器保持手段が設けられている。なお、本実施形態では、容器保持手段として磁石(電磁石 図示せず)を採用している。
【0036】
重量測定手段(排出量検知手段)52は、薬剤容器4の重量を直接又は間接的に測定するものである。
【0037】
本実施形態では、容器載置装置36に薬剤容器4を載置して薬剤容器4を振動させ、薬剤容器4に収容された散薬を分配皿35に排出することが可能である。そしてこの散薬の排出に伴う薬剤容器4の重量変化を重量測定手段52によって検知可能である。本実施形態では、重量測定手段52が排出量検知手段として機能し、薬剤容器4の重量変化によって散薬の排出量が検出される。
【0038】
薬剤包装領域14には、公知の薬剤包装装置53と、印字手段とが設けられている。
薬剤包装装置53は、薬剤を一包分ずつ包装するための機械であり、シート供給装置と、シール装置によって形成されている。すなわち、シート供給装置から供給されたシートを袋状に形成して分包袋を作成すると共に、作成した分包袋で薬剤分割領域13から供給された散薬をシール装置によって一服用分ずつシールし、包装する。
印字手段は、分包袋に対して所定の情報を印字するための機械である。
【0039】
薬剤容器4は、外形が略直方体状の容器であり、内部に散薬を収容することができる。薬剤容器4には、
図5、
図6の様に容器本体6と蓋190によって構成されている。蓋190は容器本体6とから取り外すことができる。本実施形態では、容器本体6から蓋190を外して容器本体6の一端側を大きく開口させ、散薬を充填する。
また
図6(a)の様に蓋190を開いて一部を開口することができる。蓋190を開くことによって形成される開口188から内部の散薬を排出することができる。
また薬剤容器4には、異なる二面にそれぞれ鉄板182,183が取り付けられている。一方の面に設けられた鉄板183は、アーム部30で薬剤容器4を保持する際、アーム部30の磁石に吸着させるための部分である。また、他方の面に設けられた鉄板182は、後述する容器載置装置36に設置するとき、容器載置装置36の電磁石41に吸着させるための部分である。
【0040】
次に本実施形態の薬剤払出し装置1の基本的な動作について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、処方箋に関する情報が入力され、その情報に基づいて散薬を一服用分ずつ包装する分包動作を実施することができる。
【0041】
即ち薬剤払出し装置1は、薬剤容器4を容器保管部23に収容する動作、容器保管部23から薬剤容器4を取り出す動作、取り出した薬剤容器4を分配皿35の近傍に移動させる動作、薬剤容器4を容器載置装置36に載置する動作、所定量の薬剤を分配皿35に投入する動作、分配皿35から薬剤を一服用分ずつ薬剤包装装置53に供給する動作、薬剤容器4を容器保管部23に戻す動作を自動的に行う。なおこれらは各動作は、図示しない制御部によって制御される動作である。
【0042】
準備段階として、薬剤容器4に散薬が充填され、その幾つかが容器配置領域12の容器保管部23に装着される。
【0043】
本実施形態の薬剤払出し装置1は、処方箋に関する情報が入力され、その情報に基づいて分包作業が自動的に実行される。
【0044】
即ち本実施形態の薬剤払出し装置1では、処方箋に関する情報に基づいて、必要な散薬が充填された薬剤容器4が選択され、容器移動手段28によって必要な薬剤容器4が容器保管部23から容器載置装置36に運搬される。
そして振動台50に内蔵された電磁石41によって薬剤容器4が保持される。
続いて加振手段51に一定周波数の電流を通電して振動を発生させ、この振動によって振動台50を振動させる。
また振動開始と前後して分配皿35を回転させる。
【0045】
振動開始と前後して、薬剤容器4の重量が重量測定手段52で測定される。薬剤容器4の重量は、重量測定手段52の検知重量から、一定値を引いたものである。より具体的には、薬剤容器4の重量は、重量測定手段52の検知重量から、容器載置装置36の重量測定手段52より上の部材の重量を引いたものである。
振動台50に設置直後の薬剤容器4の重量は、原重量Gとして記憶される。また薬剤容器4の重量は、常時監視される。即ち薬剤容器4の現在の重量は、現重量gとして監視される。
【0046】
振動台50が振動を開始すると、薬剤容器4が振動する。ここで本実施形態では、薬剤容器4は、電磁石41によって強固に振動台50に接合されており、且つ振動台50との密着度合いも高いから、薬剤容器4は、振動台50と同一周波数で振動する。その結果、薬剤容器4に貯留された散薬が、開口188側に向かってゆっくりと移動し開口188から排出されて落下する。
【0047】
散薬が落下中であることは、薬剤容器4の重量が低下することによって確認される。また散薬の排出量が重量測定手段52で検知される。即ち本実施形態では、散薬が薬剤容器4の開口188から落下中においても、薬剤容器4の現在の重量(現重量g)が、重量測定手段52によって監視され続けている。そして振動台50に設置直後の薬剤容器4の原重量Gと、現重量gとを比較し、散薬の落下量H(Gマイナスg)を常時演算している。
そして散薬の総落下量Hが所望の重量となったところで、振動台50の振動を停止する。
即ち重量測定手段52が測定する薬剤容器4の現重量gが、重量測定手段52によって測定された振動開始前の原重量Gに対して所望の重量だけ少なくなると、振動台50の振動を停止する。
【0048】
その後に分配皿35の回転を停止する。そして、掻出装置37の掻出用アーム26を揺動させ、先端側を降下させて掻出機構27を下げ、掻出機構27のディスク状の掻寄板57を分配皿35の薬剤投入溝32内に入れる。
さらに分配皿35を分配個数に応じた角度だけ回転させて、掻寄板57にかき寄せる。続いて掻寄板57を回転し、掻出板58で薬剤をすくい上げて分配皿35から排出し、薬剤投入口39に薬剤を投入する。
薬剤投入口39に投入された薬剤は、図示しない散薬投入ホッパーを落下して薬剤包装装置53に運ばれ、薬剤包装装置53で包装される。
この動作を順次繰り返し、分配皿35内の薬剤を全て排出し、それぞれ薬剤包装装置53で包装される。
またこれと平行して、容器移動手段28が起動され、薬剤容器4が容器保管部23のドラム部材25に戻される。
【0049】
次に基本構成に付加した改良点について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、内部の清掃を自動的に行うことができる薬剤払出し装置を開発することを課題とするものである。
本実施形態の薬剤払出し装置1の容器移動手段28は一種のロボットであり、アーム部30と昇降機構31を備えている。
そして本実施形態では、
図7の様に、アーム部30に集塵機のノズル部60が取り付けられている。集塵機は公知の真空式掃除機であり、本体部は図示されていない。
本実施形態では、集塵機は、アーム部30が動作している間、作動している。アーム部30は、薬剤容器4を移動させる際に、筐体10内の空間を移動する。そのためノズル部60は、筐体10内を移動し、空中に浮遊する塵や、薬剤の微粉を吸入する。
そのため分配皿35に塵や他の薬剤が落下することが防止される。
【0050】
また本実施形態では、
図8の様に容器移動手段28のハンド部47に清掃器具61を保持させることもできる。清掃器具61は限定されるものではないが、例えばブラシ、拭き布等が考えられる。また清掃器具61にブロアーを採用することもできる。
図8では、清掃器具61としてブラシが採用されている。また小型の掃除機や、掃除機のノズル部分だけをハンド部47で保持させてもよい。
これらの清掃器具61は、筐体10内の所定の位置に保管されている。そして必要に応じて、容器移動手段28が移動し、清掃器具61を受け取りに行く、例えば図示しない磁石等によって清掃器具61を保持させる。
【0051】
そして例えば分配皿35に清掃器具61を押し当てて擦り、分配皿35を清掃する。
清掃器具61を取り替えて順に清掃を行うこともできる。
例えば最初に清掃器具61としてブラシを保持させ、分配皿35を擦り、分配皿35にこびりついた薬剤等を削り取る。続いて、清掃器具61を掃除機に置き換え、分配皿35の表面に残った塵や薬剤を吸い取る。最後に清掃器具61を拭き布に置き換え、分配皿35を撫でて表面に残った塵や拭き布に吸着させる。
もちろんブラシで分配皿35を擦るのと同時に、削り取られた塵等を吸引してもよい。例えばノズル部60を清掃器具61の保持部近傍に取り付け、ブラシで分配皿35を擦りつつノズル部60で削り滓を吸引してもよい。
【0052】
清掃器具61の一つとして、掃除機のノズル部分を例示したが、ノズルの形状は任意であり、細長いものや、分配皿35の断面形状に沿うものが考えられる。また形状の異なる複数のノズルを筐体10内に内蔵させておき、必要なノズルを選択してハンド部47で保持させてもよい。
さらに容器載置装置36同士の間の隙間に掃除機のノズルやブラシを挿入して清掃してもよい。
【0053】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、容器移動手段28は集塵手段を有し、集塵手段で薬剤払出し装置1の内部を清掃することが可能である。
【0054】
また本実施形態の薬剤払出し装置1では、容器移動手段28に清掃器具61を保持させることが可能であり、容器移動手段28を動作させて内部の機器に清掃器具61を当接し、薬剤払出し装置1の内部を清掃することが可能である。
【0055】
前記した実施形態では、アーム部30にノズル部60が設けられ、外部の集塵機とノズル部60が接続されているが、ノズル部60をブロアーに接続し、ノズル部60から送風して薬剤払出し装置1の内部を清掃してもよい。この構成では、ノズル部60が清掃器具(ブロアーの一部)として機能する。
集塵用のノズルとブロアー接続用のノズルを個別に設け、ブロアー用のノズルで塵を吹き飛ばしつつ、集塵用のノズルで舞い上がった塵を回収してもよい。
また外部に送風機を設け、ノズル部60を当該送風機の吸い込み側と吐出側の両方に切り換え可能に接続してもよい。
この構成によると、先にノズル部60を送風機の吐出側に繋いでノズル部60から送風し、薬剤払出し装置1内の塵等を飛散させ、次いでノズル部60を送風機の吸い込み側に繋いでノズル部60から空気を吸引し、薬剤払出し装置1内に舞う塵を集塵する。
【0056】
また本実施形態では、薬剤容器4内における薬剤の固着や塊ができることを防ぐことを課題とする工夫がなされている。
即ち本実施形態では、容器移動手段28のハンド部47とアーム部30を接続する取付金具56に振動発生器62が取り付けられている。振動発生器62は、超音波振動を発生させるものであることが望ましい。
振動発生器62は、容器移動手段28によって薬剤容器4が容器保管部23から薬剤容器4を分配皿35の近傍に移動させる間に機能させる。
薬剤容器4は、移動する間に、超音波振動によって薬剤容器4が振動させられ、薬剤容器4内の薬剤がほぐされる。
【0057】
本実施形態の薬剤払出し装置1は、容器移動手段28が設けられ、容器移動手段28によって容器配置領域12の容器保管部23から所定の薬剤容器4を取り出して薬剤分割領域の容器載置装置36に載置し、薬剤容器4から薬剤を排出させて分配皿35の薬剤投入溝32に投入し、掻出装置37によって分配皿35に投入された散薬を薬剤投入溝32から掻き出して薬剤包装領域14側に落下させ、排出を終えた薬剤容器4を容器移動手段28によって容器配置領域12の容器保管部23に戻すことが可能であり、容器移動手段28は振動発生器62を有し、薬剤容器4を振動させて薬剤容器4内の薬剤をほぐすことができるものである。
【0058】
また従来技術の薬剤払出し装置は、薬剤が分配皿35の薬剤投入溝32に均等に分散しているか否かを確認する手段を持たなかった。そのため薬剤容器4内に薬剤の塊があったり、容器載置装置36の振動が不調であった場合の原因により、薬剤投入溝32内の薬剤分布が不均衡となることがあっても、これを検知することができなかった。
本実施形態では、薬剤が分配皿35の薬剤投入溝32に均等に分散しているか否かを確認することを課題とする工夫がなされている。
【0059】
図4に示す様に、本実施形態の薬剤払出し装置1では、分配皿35の薬剤投入溝32の上に、測距センサー65が設けられている。
ここで測距センサー65は、測定対象物の位置を測定するものであり、例えば測距センサー65と測定対象物の間の距離を測定するものである。
本実施形態では、測距センサー65は、分配皿35の薬剤投入溝32の上にあり、測距センサー65と薬剤投入溝32の表面との間の距離を測定する。
そのため、薬剤投入溝32内に薬剤が投入されていれば、薬剤の位置と、測距センサー65の間の距離が測定されることとなる。
【0060】
本実施形態では、分配皿35を回転しつつ、測距センサー65で薬剤の盛り具合を監視している。そして薬剤の高さにバラツキが生じていれば、何らかの警報を発する。
【0061】
本実施形態の薬剤払出し装置1は、分配皿35の表面の位置を検知する測距センサー65を有し、分配皿35に投入された散薬の高さを測距センサー65で検知するものである。
【0062】
また従来技術の薬剤払出し装置は、分配皿35に投入された薬剤が、真に求める薬剤であるか否かを確認する手段を持たなかった。そのため何らかの手違いで、薬剤容器4内に誤った薬剤が充填されていた場合、患者に間違った薬剤が提供されてしまう懸念があった。
本実施形態では、分配皿35に投入された薬剤が真に求める薬剤であるか否かを確認することを課題とする工夫がなされている。
【0063】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、
図4の様に分配皿35の近傍に分光器66を有し、分配皿35に投入された散薬が発する電磁波を分光器66で検知して分配皿35に投入された散薬の種類を確認することができる。
分光器66で薬剤が発する電磁波を分光分析すれば、薬剤の大まかな特定が可能である。本実施形態では、分配皿35に投入された薬剤が発する電磁波から薬剤を特定し、処方された薬剤と比較する。両者が相違する場合には、何らかの警報を発する。
【0064】
また本実施形態では、
図4の様にカメラ部材(撮影装置)40が設けられている。
本実施形態では、薬剤払出し装置1の内部を撮影する撮影装置を有し、撮影装置によって自動的かつ定期的に薬剤払出し装置1の内部が撮影されて記録される。
【0065】
次に、薬剤容器の変形例について説明する。
前記した薬剤容器4は、
図5、
図6の様に容器本体6と蓋190によって構成され、蓋190を外して容器本体6の一端側を大きく開口させ、散薬を充填する。
また
図6(a)の様に蓋190を開いて一部を開口し、内部の散薬を排出する。
前記した薬剤容器4は、
図6の左側の蓋190を外して薬剤を充填し、同じ左側の蓋190から薬剤を排出して分配皿35に投入する。
前記した薬剤容器4は、一方から薬剤を投入し、同じ側から薬剤を排出するから、古い薬剤が容器本体6の奥に残ってしまう場合がある。
即ち薬剤容器4は、薬剤の充填経路と払出経路が同じであるため、薬品を完全に払い出さないと薬品の先入先出ができない。
【0066】
本実施形態では、薬剤の充填経路と払出経路を分けることで薬剤の先入先出が可能であり、古い薬剤が残らなくすることを課題とする工夫がなされている。
また本実施形態では、固着した薬剤を振るい落とすことを課題とする工夫がなされている。
【0067】
図9は、変形例の薬剤容器70の断面図である。
なお先の実施形態の薬剤容器4と同様の部材には同一の番号を付している。
本実施形態の薬剤容器70についても。容器本体71と蓋190によって構成されている。蓋190の形状、構造は、前記した実施形態と同じである。
本実施形態の薬剤容器70の容器本体71は、蓋190が装着される薬剤排出用開口73と、薬剤を充填する際に使用される薬剤充填口72を有している。
【0068】
薬剤容器70は、縦姿勢で前記した容器載置装置36に設置されるものである。
薬剤排出用開口73は、容器載置装置36に装着された姿勢を基準として、高さ方向には、下部にあり、一方の側面側に開口している。
これに対して、薬剤充填口72は、容器載置装置36に装着された姿勢を基準として、高さ方向には、上部にあり、天面に開口している。薬剤充填口72には蓋部材75が装着されている。
【0069】
容器本体71の内部には、篩部76が設けられている。本実施形態では、篩部76の高さ方向の位置は、薬剤排出用開口73と薬剤充填口72の間である。
篩部76は、網目、格子等の小さな開口が多数設けられた板または壁である。
【0070】
本実施形態では、上部に設けられた薬剤充填口72から薬剤を充填する。そして必要に応じて容器本体71を振る。あるいは機械的に振動を付与する。その結果、充填された薬剤が篩部76を通過し、塊が解消する。
下部に落下した薬剤は、容器載置装置36に装着されて振動を受けると蓋190の薬剤排出用開口73側に向かって水平に進み、薬剤排出用開口73から排出される。
【0071】
本実施形態の容器本体71は、縦形容器であり先に投入された散薬から排出される。
また容器本体71の内部に篩部76があるから、その網目と落下した衝撃と振動で、固着した薬剤を粉砕させて排出を行うことができる。
【0072】
また、容器本体71が縦型であるため、容器移動手段28や薬剤払出し装置1の外形形状を小さくすることができる。
【0073】
次に、薬剤容器の他の変形例について説明する。
前記した薬剤容器4は、蓋190を開くことによって、容器本体に開口188ができ、当該開口188から薬剤を排出する。
前記した薬剤容器4では、薬剤を排出する開口の大きさや形状は、固定的であって変えることができない。
また薬剤容器4内であって、開口188に至るまでの経路についても固定的であって変えることができない。
【0074】
しかしながら、薬剤を排出する量や、薬剤の性状によって、最適な開口径や開口形状が異なる。同様にも開口188に至る経路の断面形状や平面形状についても、薬剤の性状によって、最適な形状が異なる。
本実施形態では、薬剤を排出する薬剤排出部(開口188)の形状を変えることを課題とする工夫がなされている。
【0075】
本実施形態の薬剤容器80の外観形状は、前記した
図6の薬剤容器4と同じである。
本実施形態の薬剤容器80は、薬剤排出部(開口188)の中に、形状変更部材81,82を挿入することができ、開口188の形状を変えることができる。
【0076】
図10(a)の右図は、
図6の薬剤容器4のA-A断面を模式的に表現したものであり、左図は、その矢視図である。
薬剤容器4では、薬剤排出部(開口188)の形状は高さの低い長方形である。また開口188に至るまでの経路の断面形状についても薬剤排出部(開口188)の形状と大差はない。開口188に至るまでの経路の平面形状は、薬剤容器4の内部の全幅に渡る長方形である。
【0077】
本実施形態の薬剤容器80は、開口188内に、形状変更部材81,82を挿入したものである。
ここで
図10(b)に示す薬剤容器80aは、直方体状の形状変更部材81を薬剤容器4の内側の両側壁に装着したものである。
薬剤容器80aでは、開口188が小さくなっている。開口188の形状は、正方形に近い長方形である。
【0078】
図10(c)に示す薬剤容器80bは、直角台形状の形状変更部材82を薬剤容器4の内側の両側壁に装着したものである。
薬剤容器80bでは、開口188が小さくなっている。開口188の形状は、逆、等脚台形状であり、側面に傾斜面がある。
また開口188に至るまでの経路の断面形状についても薬剤排出部(開口188)の形状と大差はない。
【0079】
薬剤容器80は、内部の薬剤を排出する薬剤排出部(開口188)を有し、前記容器載置装置36は、薬剤容器80を振動させて薬剤容器80内の薬剤を移動させ、薬剤排出部から薬剤を排出させるものであり、薬剤排出部の大きさ及び/又は薬剤容器80内において薬剤排出部に至るまでの経路の幅を変更可能である。
【0080】
また薬剤容器80は、内部の薬剤を排出する薬剤排出部(開口188)を有し、前記容器載置装置36は、薬剤容器80を振動させて薬剤容器80内の薬剤を移動させ、薬剤排出部から薬剤を排出させるものであり、薬剤排出部の形状及び/又は薬剤容器80内において薬剤排出部に至るまでの経路の断面形状を変更可能である。
【0081】
以上説明した薬剤容器4,70,80は、いずれも薬剤排出部(開口188)を一個だけ有するものであるが、薬剤排出部を複数有するものであってもよい。
図11示す薬剤容器140は、容器本体6の両端に蓋190があり、容器本体6の両側に薬剤排出部(開口188a,188b)がある。
二つの薬剤排出部(開口188a,188b)は、開口の大きさが異なっており、一定時間に通過し得る薬剤量が相違する。
即ち図面右側の薬剤排出部(開口188b)は、図面左側の薬剤排出部(開口188a)よりも開口面積が小さい。
そのため図面右側の薬剤排出部(開口188b)は、一定時間に通過し得る薬剤量が他方に比べて少ない。
開口の面積だけてなく、開口の形状を変えてもよい。
【0082】
また図面右側の薬剤排出部(開口188b)に至る経路は、開口188bに向かって上方に傾斜している。
そのため薬剤が薬剤容器140内を開口188bに向かって移動する場合、薬剤に掛かる抵抗が大きい。
図面右側の薬剤排出部(開口188b)は、薬剤を少量だけ排出する場合に使用される。
【0083】
本実施形態の薬剤容器140は、内部の薬剤を排出する薬剤排出部(開口188a,188b)を複数有するものである。
また開口面積及び/又は開口形状が異なる薬剤排出部がある。薬剤は薬剤容器140内を移動して薬剤排出部に至るものであり、薬剤排出部に至るまでに薬剤に掛かる抵抗が異なる薬剤排出部がある。
【0084】
以上説明した実施形態では、散薬だけを薬剤包装領域14に送り、散薬だけを一包分ずつ包装するものであるが、錠剤やカプセル等の固形薬剤を散薬と共に包装するものであってもよい。
以下、この構成について説明する。上記した薬剤払出し装置1では、分配皿35から掻き出された散薬を薬剤包装領域14に投入する薬剤投入口39が設けられている。
本実施形態の薬剤払出し装置85は、薬剤投入口39の周囲に固形薬剤を排出する固形薬剤フィーダ86を配置したものである。
図12は、本実施形態の薬剤払出し装置85の薬剤分割領域のレイアウトを示す平面図である。
薬剤払出し装置85についても、分配皿35を2基有し、その間に薬剤投入口39が設けられている。
【0085】
そして薬剤投入口39の近傍に固形薬剤フィーダ86が3基設けられている。
ここで固形薬剤フィーダ86は、例えば特開2014-144207号公報に開示されたものであり、錠剤やカプセル等の固形状の薬剤を一個づつ払い出す装置である。
本実施形態で採用する固形薬剤フィーダ86は、公知のものであり、外観形状は、
図13の通りである。
固形薬剤フィーダ86は、
図14の様に多数の錠剤を収容する薬剤カセット87と、当該薬剤カセットが装着される支持台88によって構成されている。薬剤カセット87は支持台88に対して着脱自在である。
薬剤カセット87は、多数の錠剤を収容する薬剤収容空間が設けられた収容部90を持ち、収容部90の内部にロータ91が収納されている。ロータ91の外周面に薬剤収容溝が設けられ、収容部90の内壁との間の空間で複数のポケット部が形成されている。複数のポケット部は、収容部90に収容されている錠剤を流入させて保持する機能を有する。薬剤収容溝は上下が開放された溝である。またポケット部は、薬剤収容溝の開口部分が収容部の内壁によって封鎖された空間であり、上下が開放されている。
ロータ91の回転軸にはロータギヤが装着されている。また収容部90には、ロータ91の外周面に設けられた薬剤収容溝と連通可能な位置に薬剤排出口が形成されている。
【0086】
一方、支持台88には、ギヤードモータ等のモータ93が収納されており、このモータの回転軸に駆動ギヤ92が装着されている。支持台88は薬剤カセット87内のロータ91を駆動する駆動部を有している。
そして支持台88に収容されているモータ93が駆動すると、駆動ギヤ92からロータギヤに回転力が伝達され、ロータ91が回転する。そしてロータ91が回転することによって収容部内の錠剤が攪拌され、錠剤がポケット部に入る。
【0087】
そしてロータ91がさらに回転してポケット部が順次薬剤排出口に到達し、ポケット部に保持されている錠剤が薬剤排出口から順次排出される。
【0088】
本実施形態では、固形薬剤フィーダ86が、薬剤投入口39の近傍に3基設けられている。より正確には、固形薬剤フィーダ86の支持台88が3基、薬剤投入口39の近傍に固定されている。
前記した様に固形薬剤フィーダ86は薬剤カセット87と支持台88によって構成されており、薬剤カセット87は支持台88に着脱自在である。本実施形態では、支持台88だけが薬剤投入口39の近傍に固定されており、薬剤カセット87は、必要なものが支持台88に装着される。
薬剤カセット87は、薬剤容器4と同様に、筐体10内の容器配置領域12に収容されており、必要に応じて容器移動手段28で保持されて薬剤投入口39の近傍に搬送され、支持台88に装着される。
【0089】
また使用者の手によって薬剤カセット87を支持台88に装着してもよい。
例えば薬剤払出し装置1には、
図1に示す様に正面ドア34がある。使用者が手動で正面ドア34を開き、外部から薬剤払出し装置1内に薬剤カセット87を挿入して支持台88に装着してもよい。
また
図1に示す様に正面ドア34には小扉33があるので、小扉33から薬剤カセット87を挿入して支持台88に装着してもよい。
【0090】
薬剤カセット87にRFID等の情報記憶部材を設け、薬剤カセット87に内蔵された薬剤の情報を情報記憶部材に記憶させておくことが望ましい。
また支持台88やその近傍に、情報記憶部材から情報を読み取る読み取り手段を設け、処方情報と装着された薬剤カセット87の情報を照合する。そして両者が相違する場合には、何らかの報知を行うことが望ましい。
【0091】
また作業性や安全性を向上させるために、正面ドア34や小扉33を動力によって開閉する自動扉とすることも推奨される。
例えば、薬剤払出し装置1に入力された処方情報に、薬剤カセット87から供給されるべき薬剤が含まれている場合、正面ドア34やいずれかの小扉33が自動的に開く。そしていずれかの支持台88の図示しない表示ランプが点灯し、薬剤カセット87を載置すべき支持台88が示される。
薬剤師等は、必要な薬剤カセット87を正面ドア34や小扉33から装置内に挿入し、指示された支持台88に設置する。
薬剤払出し装置1は、設置された薬剤カセット87の情報記憶部材から情報を自動的に読み出し、処方情報と装着された薬剤カセット87の情報を照合する。
装着された薬剤カセット87が、処方情報と合致するならば、操作表示部3に例えば「セット完了」を意味する文字や記号を表示する。
そして開かれていた正面ドア34や小扉33が自動的に閉じる。
【0092】
本実施形態の薬剤払出し装置85についても、分配皿35に散薬を投入した後、掻出装置37で分配皿35から一服用分ずつ散薬を掻出し、薬剤投入口39に薬剤を投入する。このとき、固形薬剤フィーダ86を起動し、患者が散薬と同時に服用すべき固形薬剤を一服用分ずつ排出させて薬剤投入口39に薬剤を投入する。
そして一服用分の散薬と固形薬剤が、同じ袋内に包装される。
【0093】
本実施形態の薬剤払出し装置85は、固形薬剤を内蔵し、所望個数の固形薬剤を排出する固形薬剤フィーダ86を有し、薬剤包装領域14側に薬剤を投入する薬剤投入口39があり、当該薬剤投入口39に固形薬剤フィーダ86から固形薬剤を投入することが可能である。
【0094】
また薬剤カセット87と支持台88が組み合わされた固形薬剤フィーダ86を分配皿35から離れた位置に多数配置し、薬剤カセット87と薬剤投入口39の間を樋、スロープ、コンベア、ロボット等の搬送手段で繋ぎ、固形薬剤フィーダ86から排出された固形薬剤を搬送手段を利用して薬剤投入口39に投入してもよい。この場合、薬剤投入口39は、散薬を投入する薬剤投入口39とは別のものであってもよい。
【0095】
本実施形態の薬剤払出し装置は、固形薬剤を内蔵し、所望個数の固形薬剤を排出する固形薬剤フィーダ86を複数有し、前記固形薬剤フィーダ86は所定の位置に配置されており、薬剤包装領域14側に薬剤を投入する薬剤投入口39があり、固形薬剤フィーダ86から排出された固形薬剤を移動させる固形薬剤移動手段があり、当該固形薬剤フィーダ86から排出された固形薬剤を固形薬剤移動手段で移動させて薬剤投入口39に投入することが可能である。
【0096】
上記した薬剤払出し装置85は、固形薬剤を自動的に計数して薬剤投入口39に投入するものであるが、例えば
図15に示すような手蒔き装置130と称される分配装置を使用してもよい。
手蒔き装置130は、手撒き用桝部材131を有し、その下方に分割器132が設けられたものである。手撒き用桝部材131は、正面視が桝目状で天面側に開口した多数の分割小桝133を有し、この底部に設けられたシャッター(図示せず)を開くことにより、各分割小桝133に収容されている薬剤を下方の分割器132側に払い出すことができる。
【0097】
分割器132は、分割小桝133と同様に桝目状に仕切られた多数の分割小桝135を有する。分割器132の分割小桝135についてもシャッターが設けられている。
【0098】
使用者は、手撒き用桝部材131に固形薬剤を一服用分ずつ蒔き入れる。そして手撒き用桝部材131の下部に設けられたシャッターを開き、分割器132側に全ての固形薬剤を移す。
そして分割器132のシャッターを一個ずつ開き、図示しないホッパーや搬送機構を経て薬剤投入口39に固形薬剤が投入される。
【0099】
また上記した薬剤払出し装置1,85から独立した錠剤払出し装置を併用してもよい。例えば特開2007-246114号公報に開示した様な薬剤分包装置(以下 他の薬剤分包装置)を薬剤払出し装置1,85と併用して使用する。なお特開2007-246114号公報に開示した他の薬剤分包装置は、固形薬剤を自動的に計数して分包する機能を有している。またこの薬剤分包装置は散薬を分包することもできる。
【0100】
例えば、薬剤払出し装置1,85の制御装置が処方箋を受信し、処方箋に錠剤が含まれるために薬剤払出し装置1,85単独では処方箋を満足することができないと判定された際、固形薬専用分包装置に処方箋の内容を自動送信し、固形薬専用分包装置で錠剤等を分包する。
また薬剤払出し装置1,85の使用状況が混み合っており、患者の待ち時間が長くなる等の理由で急いでいる場合や、薬剤払出し装置1,85が故障している場合において、薬剤払出し装置1,85の制御装置が記憶している処方の未処理一覧から待っている未処理の処方をユーザーのマニュアル操作によりキャンセルすることができるようにすることも考えられる。
そしてマニュアル操作により処方箋の実行がキャンセルされると、薬剤払出し装置1,85は、ユーザーが保有する他の薬剤払出し装置や分包機を選択できる状態に変わる。ユーザーは、薬剤払出し装置や分包機を決定し、未処理の処方を選択した分包機で実行させる。
【0101】
以上説明した薬剤払出し装置1,85は、原則として装置が受け付けた処方を受け付け順に処理して薬剤を一服用分ずつ包装してゆくものであるが、少量の薬剤を分包する場合や、緊急性を有する場合には、順番を優先して薬剤を分包してもよい。
また以上説明した薬剤払出し装置1,85では、例えば、18服用分、処方されている場合は、その18服用分を連続して包装するが、例外的に数服用分だけを薬剤容器4,80から直接薬剤投入口39に投入してもよい。
【0102】
即ち分包結果の一部に問題があった場合(異物混入、印字不良等)や、袋を破ってしまった場合などに、数包だけ再分包を行いたい場合がある。
ここで散薬を分包する時は原則として分配皿35に薬剤を配分してから分包する必要があるため、割り込みで再分包を行いたい場合でも必ず分配皿35が空くまで待つ必要があった。
そこで薬剤容器4,80から直接薬剤投入口39に投入できる構成とすれば、分配皿35を使用中であっても薬剤を分包することができる。
この場合、薬剤容器4,80を容器載置装置36に設置して振動させ、薬剤容器4,80から薬剤を一服用分ずつ区切って排出させ、薬剤投入口39に投入する。
少数包の割り込み分包用に一つだけ、薬剤容器4,80から薬剤投入口39に直接払い出せる位置に容器載置装置36を設置しておくことが望ましい。
【0103】
本実施形態の薬剤払出し装置は、少数包の割り込み分包用に一つだけ、薬剤容器4,80から薬剤包装領域14に直接払い出せる位置に容器載置装置36を搭載する。
急ぎの少数包の分包であれば、分配皿35で使用中であっても容器載置装置36から直接計量しながら分包することができる。
【0104】
本実施形態の薬剤払出し装置は、薬剤容器4,80に作用して薬剤容器4,80から薬剤を排出させ、分配皿35の薬剤投入溝32に投入する分配皿投入用の容器載置装置36を有し、分配皿投入用の容器載置装置36を使用し、あるいは別途に少数分配専用の容器載置装置36を備えて当該少数分配専用の容器載置装置36を使用し、薬剤容器4,80から薬剤を一服用分ずつ排出させることが可能である。
【0105】
薬剤払出し装置の筐体10内は、温度及び湿度が一定の範囲になる様に調整されていることが望ましい。
具体的には、ヒータ、冷却機、加湿器、除湿器を備え、温度及び湿度が一定の範囲になる様に調整されていることが望ましい。
即ち湿度調整手段を有し、内部の湿度を一定範囲に保つことができることが推奨される。
【0106】
前述した様に、旧来の薬剤払出し装置は、特許文献1にに開示された様な分配皿と粉体フィーダが組み合わされたものであったり、特許文献3、4に開示された様なV枡方式を採用するものである。旧来の薬剤払出し装置を使用する際、薬剤師は、医師の処方箋を確認し、薬棚から、処方された散薬が入った薬瓶を取り出し、天秤等の秤を使用して処方された特定の散薬の総重量を量り出す必要があった。この様に旧来の薬剤払出し装置は、散薬を量り出す作業を手作業で行う必要があり、面倒であった。
【0107】
以下に説明する散薬秤量装置に関する態様は、この問題に対処するものであり、新たな散薬秤量装置を提案し、分包作業を簡易化することを目的とする。
また薬剤分包システムに関する態様は、新たな散薬秤量装置と、従来の薬剤分包装置とを組み合わした薬剤分包システムを提案するものである。
【0108】
上記した実施形態の薬剤払出し装置は、いずれも薬剤容器4(又は他の形態の薬剤容器 以下同じ)を容器移動手段28で保持して移動させるものであったが、これに代わって、薬剤容器4から排出された薬剤を移動手段で排出してもよい。
図16は、この構成を実現する薬剤払出し装置100の概念図である。
薬剤払出し装置100では、配列棚101を有し、配列棚101には薬剤容器4と、容器載置装置36が一対となった散薬排出ユニット105が複数対、設置されている。
また配列棚101の近傍には、計量器(計量手段)102が設置されている。計量器102には、仮容器107が載置されている。仮容器107は例えば皿状のものである。
【0109】
薬剤払出し装置100についても、先の実施形態と同様に、分配皿35、薬剤投入口39を有している。
また薬剤払出し装置100についても、ロボット106を有している。
薬剤払出し装置100では、分配皿35の近傍に散薬フィーダ201が設置されている。散薬フィーダ201は、
図17の様に、投入ホッパ205と、粉体フィーダ206とによって構成されている。
粉体フィーダ206は、トラフ210の下に2枚の圧電素子207,208が設けられており、トラフ210を振動させるものである。
【0110】
本実施形態の薬剤払出し装置100では、処方箋に応じて配列棚101内の容器載置装置36が起動し、薬剤容器4から薬剤が排出される。排出された薬剤は、図示しない樋によって仮容器107に落下する。
薬剤容器4から排出された薬剤の量は、容器載置装置36と計量器102の双方で監視される。そして所定量の散薬が仮容器107に落下すると、容器載置装置36が停止する。
そしてロボット106によって仮容器107が散薬フィーダ201の投入ホッパ205の近傍に運ばれ、仮容器107内の散薬が、投入ホッパ205に投入される。
その後、粉体フィーダ206の圧電素子207,208を起動してトラフ210を振動させる。その結果、散薬は、ゆっくりとトラフ210の先端側に移動し、整流される。そして遂には、先頭を移動する散薬がトラフ210の先端に至り、先頭を移動する散薬が、トラフ210の先端から分配皿35に落下する。
その後の動作は、先の実施形態と同一である。
ロボット106に代わってコンベア等を使用することもできる。
【0111】
本実施形態の薬剤払出し装置100は、分配皿35の近傍に散薬を序々に投下する散薬フィーダ201があり、薬剤容器4に作用して薬剤容器4から薬剤を排出させる薬剤排出装置(容器載置装置36)と、薬剤容器4から排出された薬剤を受ける仮容器107と、仮容器107を散薬フィーダ201に搬送する仮容器搬送手段(ロボット106)を有し、薬剤排出装置によって所望量の散薬を薬剤容器から排出させて仮容器107に散薬を投入し、仮容器搬送手段によって仮容器107を散薬フィーダ201に移動させ、散薬フィーダ201から散薬を分配皿35に投入するものである。
【0112】
また
図18に示す薬剤払出し装置120の様に、分配皿35の上に、薬剤容器4と容器載置装置36が一対となった散薬排出ユニット105が複数、放射状、且つ複数段に配置されたものも考えられる。
薬剤払出し装置120では、処方箋に応じて配列棚101内の容器載置装置36が起動し、薬剤容器4から薬剤が排出される。排出された薬剤は、図示しない樋によって分配皿35に落下する。
その後の動作は、先の実施形態と同一である。
【0113】
さらにこれらの変形例に付いて説明する。
図19に示す薬剤払出し装置121は、計量器(計量手段)102の近傍に容器載置装置(薬剤排出手段)36を設置したものである。本実施形態で採用する容器載置装置36は、基本的に前記した
図5のものと同一であるが、重量測定手段(計量手段)52は、必須ではない。
【0114】
本実施形態では、配列棚101の中に、薬剤容器4が配置されている。また本実施形態では、ロボット106は、薬剤容器4を配列棚101から容器載置装置36に搬送する薬剤容器搬送手段として機能する。
本実施形態では、必要な薬剤容器4がロボット106によって配列棚101から取り出され、容器載置装置(薬剤排出手段)36に設置される。
そして容器載置装置36が起動し、薬剤容器4から薬剤が排出される。排出された薬剤は、直接的に仮容器107に落下する。
薬剤容器4から排出された薬剤の量は、計量器102で監視される。そして所定量の散薬が仮容器107に落下すると、容器載置装置36が停止する。
【0115】
図16に示す薬剤払出し装置100及び
図19の示す薬剤払出し装置121は、薬剤を秤量する機能と、薬剤を分割する機能と、薬剤を個別に包装する機能を備えている。
図16に示す薬剤払出し装置100及び
図19の示す薬剤払出し装置121の内で、薬剤を秤量する機能の部分だけを単独で製品化することも可能である。
即ち、
図16に示す薬剤払出し装置100では、配列棚101と、計量器(計量手段)102と、配列棚101内の散薬排出ユニット105によって散薬秤量装置500が構成されている。
また
図19に示す薬剤払出し装置121では、配列棚101と、計量器(計量手段)102と、ロボット(薬剤容器搬送手段)106と、計量器102の近傍に配置された容器載置装置(薬剤排出手段)36によって散薬秤量装置501が構成されている。
【0116】
図20は、散薬秤量装置500、501を使用した薬剤分包システム122の一例を示す概念図である。なお
図20では、代表として
図16に示す散薬秤量装置500を図示しているが、これに代わって
図19に示す散薬秤量装置501を採用してもよい。
図21以下の実施形態では、散薬秤量装置500、501のいずれかを例示しているが、いずれを採用するかは任意である。
【0117】
薬剤分包システム122は、散薬秤量装置500と、秤量皿移動コンベヤ(仮容器搬送手段)103と、薬剤分包装置125を有している。薬剤分包装置125は、分配皿方式を採用するものである。
秤量皿移動コンベヤ103は、散薬秤量装置500と薬剤分包装置125の間に設けられた搬送装置であり、薬剤分包装置125の近傍に図示しない秤量皿反転装置が設けられている。
薬剤分包装置125は、散薬分配装置(薬剤分割手段)902と、薬剤包装装置(薬剤分包手段)903を有している。
散薬分配装置902は散薬を投入するホッパー(薬剤投入部)905を有し、ホッパー905に投入された散薬を所定の数に分割するものである。
薬剤包装装置903は、分割された散薬を個別に包装するものである。
散薬秤量装置500は、前記した様に、薬剤排出手段によって薬剤容器4から散薬を取り出して仮容器107に移し、仮容器107に移された散薬の重量を重量測定手段たる計量器102で直接的に監視し、所定量の散薬を仮容器107に移す動作を実行する薬剤排出制御手段を有している。
そして所定量の散薬が移された仮容器107は、秤量皿移動コンベヤ103によって薬剤分包装置125の近傍に搬送され、図示しない秤量皿反転装置によって仮容器107が傾斜姿勢となってホッパー(薬剤投入部)905に散薬が投入される。そして薬剤分包装置125によって薬剤が所定の数に分割され、個別に包装される。
【0118】
図21は、散薬秤量装置500、501を使用した薬剤分包システムの他の一例を示す概念図である。
図21に示す薬剤分包システム123は、散薬秤量装置(薬剤秤量手段)501と、秤量皿移動コンベヤ(仮容器搬送手段)103と、薬剤分包装置126を有している。薬剤分包装置126は、V枡方式を採用している。
V枡方式の薬剤分包装置は、水平方向に細長いV枡(散薬投入部)930がある。そしてV枡の下部に複数の分割容器931が配置されている。
V枡方式の薬剤分包装置では、複数回服用分の散薬を秤量し、複数回服用分の散薬をV枡930に投入する。その後、へら等で散薬を均等にならす。そしてV枡930の下部に設けられたシャッタを開き、V枡930内の散薬を下部の分割容器931に投入する。そして各分割容器931内の散薬が個別に包装される。
【0119】
図22は、散薬秤量装置500又は散薬秤量装置501を使用した他の薬剤分包システム301の一例を示す斜視図である。
本実施形態の薬剤分包システム301は、散薬秤量装置500と、薬剤分包装置305及び秤量皿移動装置(仮容器搬送手段)306によって構成されている。
薬剤分包装置305は、公知の分配皿方式の薬剤分包装置である。
【0120】
秤量皿移動装置306は、公知のロボットである。秤量皿移動装置306は図示しない仮容器収容棚から仮容器107を取り出して計量器102に載置する仮容器移動手段としての機能と、仮容器107を計量器102から薬剤分包装置305に搬送する仮容器搬送手段として機能を有している。
【0121】
以上説明した実施形態では、薬剤分包装置305として分配皿方式の薬剤分包装置を採用したが、薬剤分包装置の形式は任意である。
図23は、薬剤分包装置としてV枡方式の薬剤分包装置307を採用した場合の斜視図である。
重量測定手段22から秤量皿移動装置306によって取り出された仮容器107をV枡方式の薬剤分包装置307に移動させ、V枡部308に仮容器107を傾けて散薬を投入することも可能である。その後は手動でV枡内の散薬を均してもよいし、自動で散薬を均す方式を採用してもよい。
【0122】
以上説明した実施形態では、薬剤排出手段として容器載置装置36を採用し、薬剤容器4を振動させて散薬を取り出した。本実施形態では、薬剤排出手段たる容器載置装置36は、薬剤容器4に外力を加えて振動させる外力付与手段であり、外力付与手段が薬剤容器4に与える外力による振動によって薬剤容器4から散薬を排出するものである。
他の薬剤排出手段としては、器具を薬剤容器4に入れて散薬を掻き出す方法や、薬剤容器内に螺旋コンベア等を内蔵させ、外部から螺旋コンベア等を駆動する方法が考えられる。
例えば薬剤排出手段の一部として掻き出し部材や螺旋コンベアがあり、当該掻き出し部材や螺旋コンベアが薬剤容器内にある。そして外部に設けられたモータ等の外力付与手段によって薬剤容器内の掻き出し部材や螺旋コンベアを駆動することによって散薬排出部から散薬を排出する。
薬剤容器内にモータを内蔵させてもよい。また薬剤容器にモータを外付けしてもよい。空気圧や風を利用して薬剤容器から薬剤を排出してもよい。
【0123】
また薬剤容器の内面に薬剤排出手段の一部となる螺旋形状の溝を設け、外力付与手段によって薬剤容器を回転して散薬を排出させる方法も考えられる。
【符号の説明】
【0124】
1,85 薬剤払出し装置
4,70,80,140 薬剤容器
10 筐体
12 容器配置領域
13 薬剤分割領域
14 薬剤包装領域
28 容器移動手段
30 アーム部
32 薬剤投入溝
35 分配皿
36 容器載置装置(薬剤排出手段)
39 薬剤投入口
40 カメラ部材(撮影装置)
47 ハンド部
50 振動台
52 重量測定手段(計量手段)
53 薬剤包装装置
60 ノズル部
61 清掃器具
62 振動発生器
65 測距センサー
66 分光器
81,82 形状変更部材
86 固形薬剤フィーダ
102 計量器(計量手段)
103 秤量皿移動コンベヤ(仮容器搬送手段)
107 仮容器
122,123,301 薬剤分包システム
500,501 散薬秤量装置