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  • 特開-半導体モジュール及びその製造方法 図1
  • 特開-半導体モジュール及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112257
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】半導体モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/34 20060101AFI20230804BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20230804BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
H01L23/34 B
H01L21/56 E
H01L23/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013922
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田村 量
(72)【発明者】
【氏名】吉田 武史
【テーマコード(参考)】
4M109
5F061
5F136
【Fターム(参考)】
4M109AA02
4M109BA03
4M109CA06
4M109DA07
4M109DB06
4M109EA02
4M109EA10
4M109EB12
5F061AA02
5F061BA03
5F061CA06
5F061CB03
5F136BB01
5F136FA52
5F136FA53
5F136FA63
5F136FA74
5F136FA75
(57)【要約】
【課題】放熱性を向上させた半導体モジュールとその製造方法を提供する。
【解決手段】基板14と、その基板14に搭載された半導体部品11、12、13を備えた半導体モジュール10の製造方法は、半導体部品の周辺に、黒色のフィラを含有する第1の樹脂15で、ディスペンサーによりダムを形成して、半導体部品の上面の一部まで覆う工程と、前記半導体部品の上面を、黒色のフィラを含有する第2の樹脂16で、ディスペンサー第1の樹脂15に隣接させて封止する工程を設けている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に搭載された少なくとも1つの半導体部品と、を備えた半導体モジュールの製造方法において、
前記半導体部品の周辺に、黒色のフィラを含有する第1の樹脂で、ディスペンサーによりダムを形成して、前記半導体部品の上面の一部まで覆う工程と、
前記半導体部品の上面を、黒色のフィラを含有する第2の樹脂で、ディスペンサーにより前記第1の樹脂に隣接させて封止する工程と、を設ける
ことを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記第2の樹脂は、前記基板に垂直な方向の厚みが前記第1の樹脂よりも薄く、前記第1の樹脂に隣接する部分から前記半導体部品の中央に向かって、なだらかに湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記第2の樹脂の上面に、凸形状又はフィン形状の第3の樹脂を形成する工程を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記半導体部品は、FET、ドライバIC、コンデンサ又は抵抗からなる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項5】
基板と、前記基板に搭載された少なくとも1つの半導体部品と、を備えた半導体モジュールにおいて、
前記半導体部品の周辺に、黒色のフィラを含有する第1の樹脂で、ディスペンサーによりダムを形成して、前記半導体部品の上面の一部まで覆い、
前記半導体部品の上面を、黒色のフィラを含有する第2の樹脂で、ディスペンサーにより前記第1の樹脂に隣接させて封止している
ことを特徴とする半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体部品が搭載された放熱性が高い半導体モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体部品をリードフレームや回路基板に実装し、封止部材で被覆してパッケージ化した半導体装置が普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-342860号公報(段落番号0015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている半導体装置では、フィラ等の充填剤を入れすぎると充填剤による樹脂の流動性が悪くなることを防ぐために、内外二層の樹脂に分けトランスファモールドをしている。
【0005】
また、封止時に半導体素子やボンディングワイヤにダメージを与えない程度に内層の樹脂には充填剤を含まないか、含んでいても少量である絶縁性の樹脂で構成され、外層は、フィラ等の高熱伝導体が充填されている樹脂で内層及び残部を封止するようにしているため、半導体素子の上面からの放熱の確立が容易ではない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、この課題を解決するため、封止樹脂の塗布方法によって放熱性を大幅に向上させた半導体モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の半導体モジュールの製造方法は、基板と、前記基板に搭載された少なくとも1つの半導体部品とを備えた半導体モジュールの製造方法において、半導体部品の周辺に、黒色のフィラを含有する第1の樹脂で、ディスペンサーによりダムを形成して、前記半導体部品の上面の一部まで覆う工程と、半導体部品の上面を、黒色のフィラを含有する第2の樹脂で、ディスペンサーにより第1の樹脂に隣接させて封止する工程とを設けることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る半導体モジュールの製造方法において、第2の樹脂は、前記基板に垂直な方向の厚みが第1の樹脂よりも薄く、第1の樹脂に隣接する部分から半導体部品の中央に向かって、なだらかに湾曲していることが好ましい。
【0009】
本発明に係る半導体モジュールの製造方法において、第2の樹脂の上面に、凸形状又はフィン形状の第3の樹脂を形成する工程を設けることが好ましい。
【0010】
本発明に係る半導体モジュールの製造方法において、半導体部品は、FET、ドライバIC、コンデンサ又は抵抗からなることが好ましい。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体モジュールは、基板と、基板に搭載された少なくとも1つの半導体部品とを備えた半導体モジュールにおいて、半導体部品の周辺に、黒色のフィラを含有する第1の樹脂で、ディスペンサーによりダムを形成して、半導体
部品の上面の一部まで覆い、半導体部品の上面を、黒色のフィラを含有する第2の樹脂で、ディスペンサーにより第1の樹脂に隣接させて封止していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体モジュール及びその製造方法は、ディスペンサーによる樹脂の塗布によって、放熱性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態における半導体モジュールの断面図である。
図2】本発明の第2実施形態における半導体モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1~2を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、説明のための部材の縮尺は、適宜変更している。
【0015】
(第1実施形態)
図1により、本発明の第1実施形態における半導体モジュール10を説明する。図1は、半導体モジュール10の断面図である。図1に示すように、半導体モジュール10には基板14上に1つ以上の半導体部品が実装されている。
まず、半導体部品11、12及び13の周辺に、ディスペンサーにより、それぞれ黒色の第1の樹脂15を塗布してダムを形成する。次に、半導体部品11、12及び13の上面に、ディスペンサーにより、それぞれ黒色の第2の樹脂16を塗布して封止する。
【0016】
基板14は、樹脂、セラミック、絶縁するために表面に絶縁層を備えた金属などを基材とし、配線電極を備えている。半導体部品11は、ドライバICでありFETのゲート電圧をドライバIC内プログラムで高速度に制御している。また、半導体部品12はFETであり、ゲート電圧の調整でドレイン-ソース間の電流を制御している。そして、半導体部品13は、コンデンサ又は抵抗であり、ドライバICの電圧調整及びノイズ除去をしている。
【0017】
第1の樹脂15及び第2の樹脂16は、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂にカーボンや熱伝導性の高いAl2O3・ALN系のフィラを含有させたものであり、ディスペンサーにより塗布する。第2の樹脂16は、基板14に垂直な方向の厚みが第1の樹脂15よりも薄く、第1の樹脂15に隣接する部分から半導体部品11の中央に向かって、なだらかに湾曲している。第2の樹脂16を薄くすることによって放熱性を高め、第2の樹脂16をなだらかに湾曲させて表面積を大きくすることによっても放熱性を高めることができる。
【0018】
(第2実施形態)
第1実施形態として示した半導体モジュール10は、第2の樹脂16をなだらかに湾曲させて表面積を大きくして放熱性を高めたが、さらに放熱性を高めるべく、半導体部品11の上面の形状を変えても良い。そこで、図2により、第2実施形態として、半導体部品11の上面に凸形状又はフィン形状からなる第3の樹脂を備えた半導体モジュール20について説明する。
【0019】
図2は、半導体モジュール20の断面図である。図2において、図1と同じ符号は、同等の部材を示しており、これらの説明は省略する。半導体モジュール20と図1の半導体モジュール10との違いは、半導体部品11の上面の樹脂16の上に、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂にカーボンや熱伝導性の高いAl2O3・ALN系のフィラを含有させた凸
形状又はフィン形状の第3の樹脂17がさらに形成されている点にある。
【0020】
図2において、第3の樹脂17によって、凸形状又はフィン形状が複数形成されている。このため樹脂の表面積が大きくなることによって、素子から発生した熱が放熱しやすくなる。
【0021】
半導体モジュール10は、ディスペンサーによる樹脂の塗布により、ダムを構成する第1の樹脂15と半導体部品上面の第2の樹脂16を簡単に形成して放熱性を大幅に向上させることができる。また、半導体モジュール20は、第2の樹脂16の上に第3の樹脂17を形成して樹脂の表面積を大きくすることで放熱性を、さらに大幅に向上させることができる。
【符号の説明】
【0022】
10 半導体モジュール
11 半導体部品(ドライバIC)
12 半導体部品(FET)
13 半導体部品(コンデンサ、抵抗)
14 基板
15 第1の樹脂(ダム)
16 第2の樹脂
17 第3の樹脂
20 半導体モジュール
図1
図2