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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112266
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】加工機
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/70 20140101AFI20230804BHJP
   B65H 5/08 20060101ALI20230804BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20230804BHJP
【FI】
B23K26/70
B65H5/08 B
B23K26/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013938
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】598072179
【氏名又は名称】株式会社片岡製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅輝
(72)【発明者】
【氏名】米田 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】福井 康行
【テーマコード(参考)】
3F101
4E168
【Fターム(参考)】
3F101CA05
3F101CB08
3F101CE21
4E168AD07
4E168CB04
4E168EA15
4E168GA01
4E168GA02
4E168HA02
4E168JA01
(57)【要約】
【課題】材料を切断して目的物を形成し搬送する搬送機構を具備する加工機において、端材部分が目的物に付着し、搬送先で目的物に混入する不具合の発生を防止する。
【解決手段】搬送機構が、幅寸法または奥行き寸法の少なくとも一方が目的物P1の対応する寸法よりも大きく目的物P1を吸引するための吸引部を備えている吸着面2aと、材料Mに向けて吸着面2aよりも突出している凸部24とを有する吸着体21を備え、吸着体21に目的物P1を吸着する際に、凸部24の少なくとも一部が材料Mから複数の目的物P1を形成した残りの部分である端材部分M0に当接する構成を採用する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を切断して形成される複数の目的物を搬送する搬送機構を具備する加工機であって、
前記搬送機構が、
幅寸法または奥行き寸法の少なくとも一方が前記目的物の対応する寸法よりも大きく前記目的物を吸引するための吸引部を備えている吸着面と、
前記材料に向けて前記吸着面よりも突出している凸部と
を有する吸着体を備え、
前記吸着体に前記目的物を吸着する際に、前記凸部の少なくとも一部が前記材料から前記複数の目的物を形成した残りの部分である端材部分に当接する加工機。
【請求項2】
前記搬送機構に対向して前記材料を支持しかつ当該材料を吸引保持可能である支持体を具備する請求項1記載の加工機。
【請求項3】
前記支持体が、レーザ光により切断されて形成された複数の目的物をそれぞれ個別に吸引保持可能であるとともに、前記複数の目的物のうち搬送機構により搬送する対象となるもののみの吸引保持状態を解除可能である請求項2記載の加工機。
【請求項4】
前記支持体が、前記複数の目的物のうち搬送機構により搬送する対象となるものを搬送機構に向けて付勢することが可能である請求項3記載の加工機。
【請求項5】
前記吸着体の吸着面が、所定方向に並ぶ前記複数の目的物の1つおきに対応して設けられている請求項1、2、3又は4記載の加工機。
【請求項6】
前記凸部が前記吸着面の外周を囲むように形成されている請求項1、2、3、4又は5記載の加工機。
【請求項7】
前記凸部が前記吸着面の外周を包囲する突条である請求項6記載の加工機。
【請求項8】
前記目的物がレーザ光により切断されて形成されるものである請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を切断して形成される複数の目的物を搬送する搬送機構を備えた加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
支持体に支持させた材料をレーザ光等により切断して目的物を形成する加工機においては、目的物を残りの部分である端材部分と分離して搬送する必要がある。目的物を搬送するにあたって、従来、目的物を真空吸引して端材部分から分離するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ここで、端材部分が目的物と比較してずっと小さい場合、切断が浅い、レーザ光照射による切断の際に再溶着している、といった箇所で搬送の際に端材部分が目的物に付着し、搬送先で目的物に混入する不具合が生じうる。
【0004】
このような不具合を解消するために、搬送の際に端材部分を支持体に吸着させておくことが考えられるが、端材の幅寸法が小さい(例えば1mm以下)場合にはこのような方法を採用することが困難である。
【0005】
また、上述した不具合は、材料をレーザ光により切断して目的物を形成する加工機に限らず、材料を他の手段により切断して目的物を形成する加工機においても同様に発生し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-83568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に着目してなされたもので、材料を切断して目的物を形成し搬送する加工機において、端材部分が目的物に付着し、搬送先で目的物に混入する不具合の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決すべく、本発明に係る加工機は、以下に述べるような構成を有する。
【0009】
すなわち請求項1の発明に係る加工機は、材料を切断して形成される複数の目的物を搬送する搬送機構を具備する加工機であって、前記搬送機構が、幅寸法または奥行き寸法の少なくとも一方が前記目的物の対応する寸法よりも大きく前記目的物を吸引するための吸引部を備えている吸着面と、前記材料に向けて前記吸着面よりも突出している凸部とを有する吸着体を備え、前記吸着体に前記目的物を吸着する際に、前記凸部の少なくとも一部が前記材料から前記複数の目的物を形成した残りの部分である端材部分に当接する。
【0010】
このようなものであれば、端材部分に凸部を当接させつつ吸着体の吸着面に目的物を吸着させることにより、端材を混入させることなく目的物のみを吸着面に吸着させて搬送することができる。従って、搬送先で端材部分が目的物に混入する不具合の発生を防止することができる。
【0011】
このような加工機の好適な態様として、前記搬送機構に対向して前記材料を支持しかつ当該材料を吸引保持可能である支持体を具備するものが挙げられる。
【0012】
特に、搬送機構が複数の目的物のうちの一部を選択的に搬送する場合に望ましい態様として、前記支持体が、レーザ光により切断されて形成された複数の目的物をそれぞれ個別に吸引保持可能であるとともに、前記複数の目的物のうち搬送機構により搬送する対象となるもののみの吸引保持状態を解除可能であるものが挙げられる。このようなものであれば、搬送機構により搬送する対象でない目的物は支持体に吸引保持させておくことで、搬送機構により搬送する対象となる目的物のみを選択的に吸引し搬送できるからである。
【0013】
前段で述べた加工機において、複数の目的物のうちの一部を選択的に搬送するにあたって更に望ましい態様として、前記支持体が、前記複数の目的物のうち搬送機構により搬送する対象となるものを搬送機構に向けて付勢するものが挙げられる。
【0014】
搬送機構が複数の目的物のうちの一部を選択的に搬送する態様の具体的な一例として、前記吸着体の吸着面が、所定方向に並ぶ前記複数の目的物の1つおきに対応して設けられているものが挙げられる。
【0015】
吸着体の凸部の形状の一例として、前記凸部が前記吸着面の外周を囲むように形成されているもの、また、特に前記凸部が前記吸着面の外周を包囲する突条であるものが挙げられる。
【0016】
そして、このような加工機による好適な切断の態様として、前記目的物がレーザ光により切断されて形成されるものが挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、材料を切断して目的物を形成し搬送する加工機において、端材部分が目的物に付着し、搬送先で目的物に混入する不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る加工機を示す概略図。
図2】同実施形態に係る加工機の搬送機構及び支持体を示す斜視図。
図3】同実施形態に係る加工機の搬送機構及び支持体を示す斜視図。
図4】同実施形態に係る加工機の吸着ステージを示す平面図。
図5】同実施形態に係る吸着面へ目的物を吸着する態様を示す図。
図6】同実施形態に係る吸着面へ目的物を吸着する態様を示す図。
図7】同実施形態に係る加工機の吸着ハンドを示す斜視図。
図8】同実施形態に係る加工機の吸着ハンドに目的物を吸着させた状態の斜視図。
図9】同実施形態に係る材料を切断して目的物を形成した状態の平面図。
図10】同実施形態に係るトレーを示す斜視図。
図11】同実施形態に係るトレーへの目的物の収納の態様を示す説明図。
図12】本発明の他の実施形態に係る吸着ハンドを示す底面図。
図13】本発明の他の実施形態に係る吸着ハンドを示す底面図。
図14】本発明の他の実施形態に係る吸着ハンドを示す底面図。
図15】本発明の一実施形態に係る目的物の吸着ハンドへの吸着の態様を示す図。
図16】本発明の他の実施形態に係る目的物の吸着ハンドへの吸着の態様を示す図。
図17】本発明の他の実施形態に係る目的物の吸着ハンドへの吸着の態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る加工機Kについて以下に述べる。
【0020】
本実施形態の加工機Kは、図1に概略を示すように、材料Mをレーザ光により切断するための切断機構であるガルバノスキャナ1と、材料Mを切断して形成される複数の目的物Pを搬送する搬送機構2と、搬送機構2に対向して材料Mを支持しかつ当該材料Mを吸引保持可能である支持体3と、これらガルバノスキャナ1、搬送機構2及び支持体3を支持する基台4とを具備し、搬送機構2により搬送された目的物Pを収納するトレー5とともに用いられる。なお、以下の説明において、目的物Pのうち搬送対象の目的物Pには符号P1、搬送対象ではない目的物Pには符号P2を付して区別することがある。
【0021】
ガルバノスキャナ1は、フレーム41を介して基台4に固定されている。このガルバノスキャナ1は、この種の加工機に用いられるものとして周知のものと同様の構成を有するため、詳細な説明は省略する。このガルバノスキャナ1を利用して切断され、複数の目的物Pが形成された状態の材料Mを図9に示す。なお、材料Mからこれら目的物Pを形成した残りの部分が端材部分M0となっている。また、本実施形態では、目的物Pの幅寸法は約2mm、奥行き寸法は約10mm、端材部分M0の幅寸法は約1mmに設定している。
【0022】
搬送機構2は、例えばフレーム41に案内されて移動可能なものであり、図1図3及び図5図8に示すように、幅寸法または奥行き寸法の少なくとも一方が目的物Pの対応する寸法よりも大きく目的物Pを吸引するための吸引部たる吸入口25を備えている吸着面2aと、材料Mに向けて前記吸着面2aよりも突出している凸部24とを有する吸着体である吸着ハンド21を備えている。さらに詳述すると、この搬送機構2の吸着ハンド21は、基部22と、この基部22から材料M側(支持体3側)に向けて突出する突起23を備えている。突起23は、所定方向に並ぶ複数の目的物の1つおきに対応して設けられている。この突起23の先端には、上述した吸着面2aと、この吸着面2aの外周を包囲する突条である凸部24とが形成されている。その上で、吸着面2aには、目的物Pを当該吸着面2aに吸着させるべく空気を吸引するための吸入口25が設けられている。なお、この搬送機構2の吸入口25から外部の第1の空気ポンプPP1に向けて第1の空気通路L1が設けられており、第1の空気ポンプPP1を運転することにより搬送対象の目的物P1に対応する吸入口25から空気を吸入し、搬送対象の目的物P1を吸着面2aに吸着させるようになっている。
【0023】
支持体3は、図1に示すように、幅方向及び奥行き方向に移動可能なXYステージ31と、このXYステージ31上に設けられた吸着ステージ32とを備えており、本実施形態ではレーザ光により切断されて形成された複数の目的物Pをそれぞれ個別に吸引保持可能である。より具体的には、図2図6に示すように、吸着ステージ32は、目的物Pとなるべき領域にそれぞれ対応する支持面3aを上端に有する支持ブロック33と、これら支持ブロック33間に形成された溝3bとを備えている。支持面3aには、空気を吸入し又は排出するための空気孔34が2箇所に形成されている。本実施形態では、この空気孔34から空気を吸入することにより材料M(ないし材料Mを切断して形成された目的物P)を吸引保持可能であるとともに、空気孔34から空気を排出することにより複数の目的物Pのうち搬送機構2により搬送する対象となるものすなわち搬送対象の目的物P1のみを搬送機構2に向けて付勢し、吸引保持状態を解除することが可能である。なお、この支持体3の空気孔34から外部の第2及び第3の空気ポンプPP2、PP3に向けて第2及び第3の空気通路L2、L3が設けられており、第2又は第3の空気ポンプPP2、PP3を正方向又は逆方向に運転することにより、空気孔34から空気を吸入又は排出し、目的物Pを支持面3aに吸着させ、又は搬送対象の目的物P1を搬送機構2の吸着面2aに向けて付勢させるようになっている。
【0024】
トレー5は、図10及び図11に示すように、概略矩形状の板状のものであり、その一表面に、目的物Pに略対応する寸法の収容孔5aを多数配している。5bは、収容孔5aに収容された目的物Pを取り出す際の用具を挿入するための孔である。
【0025】
その上で本実施形態では、図2及び図3に示すように、搬送機構2の吸着ハンド21は支持体3の吸着ステージ32及び当該吸着ステージ32に保持させた材料Mに対して接離可能であり、吸着ハンド21に目的物P1を吸着させるべく材料Mに最大限に接近させた際に、図5図6及び図9に示すように、凸部24の少なくとも一部が、材料Mから複数の目的物Pを形成した残りの部分であり端材部分M0に当接するようになっている。更に詳述すると、凸部24のうち吸着面2aの短辺に沿った部分は端材部分M0のうち搬送対象の目的物P1に隣接する部位に当接し、吸着面2aの長辺に沿った部分は搬送対象でない目的物P2に当接する。
【0026】
以下、本実施形態の加工機Kを利用してシート状の材料Mを切断し、形成された目的物Pをトレー5に搬出する流れを述べる。
【0027】
まず、吸着ステージ32に材料Mを保持させた状態の支持体3をガルバノスキャナ1の下方に配し、レーザ光を利用して材料Mを切断し複数の目的物Pを形成する。
【0028】
ついで、図2に示すように複数の目的物P及び端材部分M0を保持させた状態の支持体3を搬送機構2の下方に移動させ、図3に示すように搬送機構2(吸着ハンド21)を下降させて材料M(搬送対象の目的物P1)及び支持体3(吸着ステージ32)に最大限に近接させる。このとき、図6に示すように上述したように凸部24の一部が搬送対象の目的物P1に隣接する端材部分M0に当接する。
【0029】
その後、搬送対象の目的物P1に対応する吸着ステージ32の空気孔34から空気を排出しつつ吸着ハンド21の吸着面2aの吸入口25から空気を吸入することにより、搬送対象の目的物P1を吸着面2aに向けて付勢し、吸着面2aに吸着させる。
【0030】
それから、搬送機構2(吸着ハンド21)をトレー5の上方に移動させ、搬送対象の目的物P1が吸着面2aに吸着された状態を解除すると、当該目的物P1が落下し図11に示すような態様でトレー5に収納される。
【0031】
その後は、吸着ハンド21の吸着面2aが残りの目的物P2の上方となるように当該搬送機構2を移動させ、残りの目的物P2に対応する吸着ステージ32の空気孔34から空気を排出しつつ吸着ハンド21の吸着面2aの吸入口25から空気を吸入することにより残りの目的物P2を吸着面2aに吸着させる。このときも、凸部24の全体が端材部分M0に当接する。それから搬送機構2(吸着ハンド21)を再度トレー5の上方に移動させ、目的物P2が吸着面2aに吸着された状態を解除して目的物Pを落下させ、トレー5に収納する。
【0032】
ここで、図1は本実施形態の加工機Kを概略的に示す図である。図2は搬送機構2の吸着ハンド21と支持体3の吸着ステージ32とを示す斜視図であり、これら吸着ハンド21と吸着ステージ32とが離間した状態を示している。図3は搬送機構2の吸着ハンド21と支持体3の吸着ステージ32とを示す図であり、吸着ハンド21及び吸着ステージ32を切断して示している。図4は支持体3の吸着ステージ32を示す平面図である。図5は吸着ハンド21を吸着ステージ32に最大限近づけた状態を示す正断面図であり、わかりやすくするために、吸着ハンド21及び吸着ステージ32はそれぞれ吸入口25及び空気孔34の軸心を通る平面に沿って切断している。図6は吸着ハンド21を吸着ステージ32に最大限近づけた状態を示す側断面図であり、わかりやすくするために、吸着ハンド21及び吸着ステージ32はそれぞれ吸入口25及び空気孔34の軸心を通る平面に沿って切断している。図7は吸着ハンド21を示す底面側からの斜視図である。図8は吸着ハンド21に目的物Pを吸着した状態を示す底面側からの斜視図である。図9は材料Mを切断して目的物Pを形成した状態を示す図であり、吸着ハンド21を想像線で示している。図10は本実施形態のトレー5を示す斜視図であり、図11は同トレー5に目的物Pを収容した状態を示す断面図である。
【0033】
すなわち本実施形態によれば、目的物Pのトレー5への搬出の際に、端材部分M0に凸部24を当接させつつ吸着ハンド21の吸着面2aに目的物Pを吸着させることにより、端材M0を混入させることなく目的物Pのみを吸着面2aに吸着させて搬送することができる。従って、搬送先(トレー5内)で端材部分M0が目的物Pに混入する不具合の発生を防止することができる。
【0034】
また、本実施形態では、支持体3が搬送機構2に対向して材料Mを支持し、かつ当該材料Mを吸引保持可能であるので、材料Mの切断加工中及び搬送機構2によりトレー5へ搬出する直前において材料M(ないし目的物P)を支持体3に安定して保持させておくことができる。
【0035】
さらに本実施形態では、支持体3が、レーザ光により切断されて形成された複数の目的物Pをそれぞれ個別に吸引保持可能であるとともに、複数の目的物Pのうち搬送機構2により搬送対象の目的物P1(所定方向に並ぶ複数の目的物Pのうち搬送機構2の吸着面2aに対向する1つおきのもの)のみ吸引保持状態を解除可能であるので、搬送機構2により搬送対象でない目的物P2は支持体3に吸引保持させておくことにより、搬送機構2により搬送対象の目的物P1のみを選択的に吸引し搬送できる。
【0036】
加えて、複数の目的物Pのうち搬送対象の目的物P1に対して支持体3の空気孔34から空気を排出し搬送機構2に向けて付勢するようになっているので、搬送対象でない目的物P2に対応する支持体3の空気孔34から空気を吸入することと併せて、搬送対象の目的物P1を搬送対象でない目的物P2からより確実に切り離すことができる。
【0037】
そして本実施形態では、吸着ハンド21の凸部24が吸着面2aの外周を囲むように形成されている、より具体的には凸部24が吸着面21の外周を包囲する突条であるので、この凸部24を端材部分M0(及び搬送対象でない目的物P2)に当接させ、搬送対象の目的物P1を吸着面2aに吸着させる際に端材部分M0及び搬送対象でない目的物P2からより確実に切り離すことができる。
【0038】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0039】
例えば、上述した実施形態では、凸部を吸着面の外周を包囲する突条として形成しているが、凸部が吸着面の外周の一部のみから突出するものであってもよい。具体的には、図12に示すように、吸着面2aの各辺の中央部から突出させて凸部24を形成し、吸着面2aの角部には凸部を形成しない態様が考えられる。また、図13に示すように、吸着面2aの短辺に沿う端縁を突出させて凸部24を形成し、長辺に沿う端縁には凸部を形成しない態様も考えられる。後者の態様を採用する場合、図14に示すように、所定方向に並列した態様で形成される目的物Pの全てを一度に吸着する態様を採用してもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、図15に示すように、所定方向に並ぶ複数の目的物P1を1つおきに吸着体21の吸着面2aに吸着させ搬送するようにしているが、例えば、図16に示すように、所定方向に並ぶ複数の目的物のうち隣接する複数個(例えば2つ)の目的物P1の組を1つおきに吸着体21の吸着面2aに吸着させ搬送する態様や、図17に示すように、所定方向に並ぶ複数の目的物P1を2つおきに吸着体21の吸着面2aに吸着させ搬送する態様等を採用してもよい。なお、図12図17において、図1図11を参照しつつ上述した実施形態におけるものに対応する部位には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0041】
さらに、上述した実施形態では、複数の目的物をそれぞれ個別に吸引保持可能であるとともに、複数の目的物のうち搬送機構により搬送する対象となるもののみを空気孔から空気を排出することにより搬送機構に向けて付勢し、その他の目的物は吸引保持するようにしているが、例えば、搬送機構により搬送する対象を搬送機構に向けて付勢することは行わず、搬送機構により搬送する対象ではない対象物のみを吸引保持しておく態様や、逆に搬送機構により搬送する対象を搬送機構に向けて付勢することのみ行い搬送機構により搬送する対象ではない対象物を吸引保持することは行わない態様を採用してもよい。また、搬送機構により対象物を搬送する段階では、対象物を吸引保持することも対象物を搬送機構に向けて付勢することも行わない態様も考えられる。
【0042】
加えて、上述した実施形態では、空気を吸入することにより材料を吸着しているが、材料が磁性体である場合、電磁石を利用して材料を吸着するようにしてもよい。
【0043】
そして、上述した実施形態では、材料をレーザ光により切断して目的物を形成しているが、レーザ光以外の手段、例えば回転刃やウォータージェット等により材料を切断して目的物を形成する加工機に発明を適用してもよい。
【0044】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0045】
K…加工機
2…搬送機構
2a…吸着面
24…凸部
25…吸引部(吸入口)
3…支持体
M…材料
M0…端材部分
P…目的物
P1…搬送対象の目的物
P2…搬送対象ではない目的物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17