(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112270
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】シートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A47C 7/38 20060101AFI20230804BHJP
B60N 2/879 20180101ALI20230804BHJP
【FI】
A47C7/38
B60N2/879
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013942
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】塚本 将
(72)【発明者】
【氏名】小木 孝太
(72)【発明者】
【氏名】滝川 宜秀
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】石塚 喬
(72)【発明者】
【氏名】金井塚 俊
(72)【発明者】
【氏名】吉内 秀人
(72)【発明者】
【氏名】水上 陽介
(72)【発明者】
【氏名】安達 浩光
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084DD06
3B087DC05
(57)【要約】
【課題】ヘッドレストパッドの成形性を向上させることができるシートおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ヘッドレストS3を備えるシートであって、ヘッドレストS3は、機器(送風機80)を収容するケース部材40と、ケース部材40に密着した発泡樹脂からなるヘッドレストパッドP3とを備える。ケース部材40は、後の端部領域に、発泡樹脂の材料を注入するノズルを通すための挿通孔40Hを有する。また、シートの製造方法は、ケース部材40を型にセットする工程と、ノズルを挿通孔40Hに通す工程と、ノズルから型内に発泡樹脂の材料を注入する工程とを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレストを備えるシートであって、
前記ヘッドレストは、機器を収容するケース部材と、前記ケース部材に密着した発泡樹脂からなるヘッドレストパッドと、を備え、
前記ケース部材は、前、後、左または右の端部領域に、前記発泡樹脂の材料を注入するノズルを通すための挿通孔を有することを特徴とするシート。
【請求項2】
前記挿通孔は、前記ケース部材の後端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記ヘッドレストは、前記ケース部材が取り付けられるヘッドレストフレームを備え、
前記挿通孔は、前記ヘッドレストフレームよりも後に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のシート。
【請求項4】
前記ヘッドレストフレームは、左右に離間して配置された一対のピラー部を有し、
前記挿通孔は、左右方向において、前記一対のピラー部の間の位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のシート。
【請求項5】
前記ケース部材は、上側カバー部材と、前記上側カバー部材に取り付けられる下側カバー部材とを有し、
前記挿通孔は、上側カバー部材に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシート。
【請求項6】
前記上側カバー部材は、下から上に向けて凹む形状の収容部と、前記収容部の前、後、左または右に設けられた縁部とを有し、
前記挿通孔は、前記縁部に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のシート。
【請求項7】
前記挿通孔は、前記挿通孔が貫通する方向から見て、前記機器と重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシート。
【請求項8】
前記ケース部材は、複数の前記端部領域を有し、
複数の前記端部領域のうち、前記挿通孔が設けられている端部領域は、他の端部領域よりも上に位置することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシート。
【請求項9】
前記ヘッドレストは、前記ケース部材が取り付けられるヘッドレストフレームと、着座者の頭部を支持する支持部材であって、前記ヘッドレストフレームに固定された支持部材と、を備え、
前記挿通孔は、前記挿通孔が貫通する方向から見て、前記支持部材と重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート。
【請求項10】
シートクッションと、シートバックと、を備え、
前記シートクッションは、シートクッションフレームと、前記シートクッションフレームを覆うシートクッションパッドと、前記シートクッションフレームおよび前記シートクッションパッドを覆うシートクッション表皮と、を備え、
前記シートバックは、シートバックフレームと、前記シートバックフレームを覆うシートバックパッドと、前記シートバックフレームおよび前記シートバックパッドを覆うシートバック表皮と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のシート。
【請求項11】
機器を収容するケース部材と、前記ケース部材に密着した発泡樹脂からなるヘッドレストパッドと、を備え、前記ケース部材が、前、後、左または右の端部領域に、前記発泡樹脂の材料を注入するノズルを通すための挿通孔を有するヘッドレストを備えたシートの製造方法であって、
前記ケース部材を型にセットする工程と、
前記ノズルを前記挿通孔に通す工程と、
前記ノズルから前記型内に前記発泡樹脂の材料を注入する工程と、を含むことを特徴とするシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドレストを備えるシートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドレストとして、シートバックに装着されるピラーフレームと、芯材と、ピラーフレームの一部と芯材を被うカバーと、芯材とカバーの間に形成されるクッション材とを備えるものが知られている(特許文献1)。この技術では、芯材は、中央付近に上下に貫通する注入経路を有しており、ヘッドレストは、芯材をピラーフレームに固定し、表皮材の中に芯材およびピラーフレームを挿入し、表皮材、芯材およびピラーフレームを金型にセットし、注入経路の一端に注入ノズルを挿入し、注入ノズルから発泡原料を表皮材内に注入してクッション材を形成することによって製造される。クッション材を形成する工程では、注入ノズルから注入経路に注入された発泡原料を攪拌手段で攪拌し、注入経路の一端と他端に注入された発泡原料の一部をそれぞれ拡散させることによって、芯材の外面と表皮材の内面との間隙にクッション材を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ノズルから発泡樹脂の材料を注入することでヘッドレストのクッション材(ヘッドレストパッド)を成形する場合には、攪拌しなくても、ヘッドレストパッドの成形性が良いことが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、ヘッドレストパッドの成形性を向上させることができるシートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するためのシートは、ヘッドレストを備えるシートであって、前記ヘッドレストは、機器を収容するケース部材と、前記ケース部材に密着した発泡樹脂からなるヘッドレストパッドと、を備え、前記ケース部材は、前、後、左または右の端部領域に、前記発泡樹脂の材料を注入するノズルを通すための挿通孔を有することを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、ヘッドレストを成形する際に、ケース部材の中央に対して前、後、左または右にずれた位置から型内に発泡樹脂の材料を注入することができるので、発泡樹脂の材料を、型の前、後、左または右の内面から、型の底面を経て、前後または左右の反対の内面に沿って流すことができる。これにより、ヘッドレストパッド内に気泡などができるのを抑制することができるので、ヘッドレストパッドの成形性を向上させることができる。
【0008】
また、前記挿通孔は、前記ケース部材の後端部に設けられていてもよい。
【0009】
これによれば、ヘッドレストに前方から荷重がかかった場合において、ケース部材の挿通孔付近に力がかかりにくいので、ケース部材の挿通孔付近が変形するのを抑制することができる。
【0010】
また、前記ヘッドレストは、前記ケース部材が取り付けられるヘッドレストフレームを備え、前記挿通孔は、前記ヘッドレストフレームよりも後に配置されていてもよい。
【0011】
これによれば、ヘッドレストに前方から荷重がかかった場合に、荷重をヘッドレストフレームで受け止めることができるので、ケース部材の挿通孔付近が変形するのをより抑制することができる。
【0012】
また、前記ヘッドレストフレームは、左右に離間して配置された一対のピラー部を有し、前記挿通孔は、左右方向において、前記一対のピラー部の間の位置に配置されていてもよい。
【0013】
これによれば、挿通孔をヘッドレストの左右方向における中央の近くに配置することができるので、ヘッドレストパッドの成形性を向上させることができる。
【0014】
また、前記ケース部材は、上側カバー部材と、前記上側カバー部材に取り付けられる下側カバー部材とを有し、前記挿通孔は、上側カバー部材に設けられていてもよい。
【0015】
これによれば、ヘッドレストを成形する際に、ケース部材のうち、上側カバー部材のみを型にセットし、ノズルを挿通孔に通して型内に発泡樹脂の材料を注入することができるので、ヘッドレストを製造する際の自由度を向上させることができる。
【0016】
また、前記上側カバー部材は、下から上に向けて凹む形状の収容部と、前記収容部の前、後、左または右に設けられた縁部とを有し、前記挿通孔は、前記縁部に設けられていてもよい。
【0017】
これによれば、機器が収容される収容部に挿通孔がないことで、収容部の剛性を確保することができる。
【0018】
また、前記挿通孔は、前記挿通孔が貫通する方向から見て、前記機器と重ならない位置に配置されていてもよい。
【0019】
これによれば、機器がケース部材に収容された状態でも挿通孔にノズルを通すことができるので、ヘッドレストを製造する際の自由度を向上させることができる。
【0020】
また、前記ケース部材は、複数の前記端部領域を有し、複数の前記端部領域のうち、前記挿通孔が設けられている端部領域は、他の端部領域よりも上に位置していてもよい。
【0021】
また、前記ヘッドレストは、前記ケース部材が取り付けられるヘッドレストフレームと、着座者の頭部を支持する支持部材であって、前記ヘッドレストフレームに固定された支持部材と、を備え、前記挿通孔は、前記挿通孔が貫通する方向から見て、前記支持部材と重ならない位置に配置されていてもよい。
【0022】
これによれば、ノズルを挿通孔に通して型内に発泡樹脂の材料を注入する際に、発泡樹脂の材料の流れが支持部材によって遮られないので、ヘッドレストパッドを良好に成形することができる。
【0023】
また、ヘッドレストは、シートクッションと、シートバックと、を備え、前記シートクッションは、シートクッションフレームと、前記シートクッションフレームを覆うシートクッションパッドと、前記シートクッションフレームおよび前記シートクッションパッドを覆うシートクッション表皮と、を備え、前記シートバックは、シートバックフレームと、前記シートバックフレームを覆うシートバックパッドと、前記シートバックフレームおよび前記シートバックパッドを覆うシートバック表皮と、を備えていてもよい。
【0024】
また、前記した目的を達成するためのシートの製造方法は、機器を収容するケース部材と、前記ケース部材に密着した発泡樹脂からなるヘッドレストパッドと、を備え、前記ケース部材が、前、後、左または右の端部領域に、前記発泡樹脂の材料を注入するノズルを通すための挿通孔を有するヘッドレストを備えたシートの製造方法であって、前記ケース部材を型にセットする工程と、前記ノズルを前記挿通孔に通す工程と、前記ノズルから前記型内に前記発泡樹脂の材料を注入する工程と、を含むことを特徴とする。
【0025】
このような方法によれば、ケース部材の中央に対して前、後、左または右にずれた位置から型内に発泡樹脂の材料を注入することができるので、発泡樹脂の材料を、型の前、後、左または右の内面から、型の底面を経て、前後または左右の反対の内面に沿って流すことができる。これにより、ヘッドレストパッド内に気泡などができるのを抑制することができるので、ヘッドレストパッドの成形性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ヘッドレストパッドの成形性を向上させることができる。
【0027】
また、挿通孔をケース部材の後端部に設けることで、ケース部材の挿通孔付近が変形するのを抑制することができる。
【0028】
また、挿通孔をヘッドレストフレームよりも後に配置することで、ケース部材の挿通孔付近が変形するのをより抑制することができる。
【0029】
また、挿通孔を左右方向においてヘッドレストフレームの一対のピラー部の間の位置に配置することで、ヘッドレストパッドの成形性を向上させることができる。
【0030】
また、挿通孔をケース部材の上側カバー部材に設けることで、ヘッドレストを製造する際の自由度を向上させることができる。
【0031】
また、挿通孔を上側カバー部材の縁部に設けることで、収容部の剛性を確保することができる。
【0032】
また、挿通孔をその貫通方向から見て機器と重ならない位置に配置することで、ヘッドレストを製造する際の自由度を向上させることができる。
【0033】
また、挿通孔をその貫通方向から見て支持部材と重ならない位置に配置することで、ヘッドレストパッドを良好に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】シートクッションフレーム、シートバックフレーム、シートクッションパッドおよびシートバックパッドを示す斜視図である。
【
図3】ヘッドレストの内部構造を示す斜視図である。
【
図5】ケース部材を構成する上側カバー部材および下側カバー部材と、取付部材、送風機を示す斜視図である。
【
図6】上側カバー部材と取付部材を示す斜視図である。
【
図7】上側カバー部材と送風機を下から見た図である。
【
図8】ケース部材、取付部材および支持部材を示す断面図である。
【
図9】下側カバー部材を構成する前側部材と後側部材を示す斜視図である。
【
図10】下側カバー部材と通風部材を上から見た図である。
【
図12】ヘッドレストフレーム、ケース部材、取付部材および支持部材を後から見た斜視図である。
【
図13】車両用シートの製造方法を説明する図(a),(b)である。
【
図14】車両用シートの製造方法を説明する、
図13に続く図(a),(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、シートの一実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シートに座った者(着座者)から見た、前後、左右、上下を基準とする。
図1に示すように、実施形態に係るシートは、乗物に搭載される乗物用シート、具体的には、自動車に搭載される車両用シートSとして構成されている。車両用シートSは、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを備える。
【0036】
図1および
図2に示すように、シートクッションS1は、シートクッションフレームF1と、シートクッションパッドP1と、シートクッション表皮SK1とを備える。
シートクッションフレームF1は、シートクッションS1のフレームを構成する部材であり、左右一対のシートクッションサイドフレーム11と、フロントフレーム12と、リアフレーム13とを有する。
【0037】
フロントフレーム12は、シートクッションサイドフレーム11の前部同士を連結し、リアフレーム13は、シートクッションサイドフレーム11の後部同士を連結している。シートクッションサイドフレーム11の間には、荷重を受ける支持部材15が配置されている。支持部材15は、左右に交互に屈曲しながら前後に延びる複数の金属ワイヤと、金属ワイヤと一体に成形された樹脂部とを有し、フロントフレーム12とリアフレーム13に架け渡された状態で配置されている。
【0038】
シートクッションパッドP1は、シートクッションフレームF1を覆う部材であり、ウレタンフォームなどの発泡樹脂からなる。
シートクッション表皮SK1は、シートクッションフレームF1およびシートクッションパッドP1を覆う部材であり、皮革や布地などからなる。
【0039】
シートバックS2は、シートバックフレームF2と、シートバックパッドP2と、シートバック表皮SK2とを備える。
シートバックフレームF2は、シートバックS2のフレームを構成する部材であり、一対のロアサイドフレーム22と、パイプフレーム23と、ロアフレーム24と、架橋フレーム25とを有する。
【0040】
パイプフレーム23は、左右一対のアッパーサイドフレーム23Aと、アッパーサイドフレーム23Aの上端同士を連結するアッパーフレーム23Bとを有する。アッパーサイドフレーム23Aは、ロアサイドフレーム22に接続され、ロアサイドフレーム22とともにシートバックS2の左右のフレームであるシートバックサイドフレーム21を構成している。アッパーフレーム23Bには、図示しないヘッドレストガイドを保持する左右一対のホルダ26が固定されている。ロアフレーム24は、シートバックサイドフレーム21の下部同士を連結しており、架橋フレーム25は、アッパーフレーム23Bの下方に配置されてシートバックサイドフレーム21の上部同士を連結している。シートバックサイドフレーム21の間には、荷重を受ける板状の受圧部材27が配置されている。
【0041】
シートバックパッドP2は、シートバックフレームF2を覆う部材であり、ウレタンフォームなどの発泡樹脂からなる。
シートバック表皮SK2は、シートバックフレームF2およびシートバックパッドP2を覆う部材であり、皮革や布地などからなる。
【0042】
図3および
図4に示すように、ヘッドレストS3は、ヘッドレストフレームF3と、ヘッドレストパッドP3と、ヘッドレスト表皮SK3とを備える。
ヘッドレストフレームF3は、例えば、金属パイプからなり、左右一対のピラー部31と、ピラー部31の上端同士を連結する連結部32とを有する。
【0043】
ピラー部31は、上下に延びている。詳しくは、ピラー部31は、第1部分31Aと、第2部分31Bと、第3部分31Cとを有する。第1部分31Aは、連結部32の左右の端から下方に向けて延びる部分である。第2部分31Bは、第1部分31Aの下端から下にいくほど左右外側かつ後方に位置するように延びる部分である。第3部分31Cは、第2部分31Bの下端から下方に向けて延びる部分である。一対のピラー部31は、左右に離間して間隔をあけた状態で配置されている。
【0044】
ヘッドレストパッドP3は、ヘッドレストフレームF3の上部を覆う部材である。詳しくは、ヘッドレストパッドP3は、連結部32と、一対のピラー部31の第1部分31Aおよび第2部分31Bと、第3部分31Cの上端部を覆う。ヘッドレストパッドP3は、ウレタンフォームなどの発泡樹脂からなり、ヘッドレストフレームF3の上部や後述するケース部材40などの外面、および、ヘッドレスト表皮SK3の内面に密着した状態で形成されている。
【0045】
ヘッドレスト表皮SK3は、ヘッドレストパッドP3などを覆う部材であり、皮革や布地などからなる。
【0046】
ヘッドレストS3は、温度調節された空気を、前側の下部に配置された通風口71Cから着座者の首付近に向けて吹き出すように構成されている(
図4の破線の矢印参照)。ヘッドレストS3は、ケース部材40と、取付部材50と、支持部材60と、通風部材70とをさらに備える。ヘッドレストフレームF3には、取付部材50を介してケース部材40が取り付けられる。
【0047】
図4に示すように、ケース部材40は、ヘッドレストS3の内部に設けられる機器を収容する部材である。本実施形態において、ケース部材40に収容される機器は、送風機80である。送風機80は、例えば、シロッコファンである。送風機80は、その内部、空気を吹き出す出口付近、または、空気を吸い込む入口付近に、空気を暖めるための図示しないヒータを有する。
【0048】
図5に示すように、送風機80は、図示しないファンやモータ、ヒータなどを備える送風機本体81と、送風機本体81から前後および左に突出する3つの取付部82とを有する。送風機本体81は、空気を吸い込むための吸込口81A(
図7参照)と、空気を吹き出すための吹出口81Bとを有する。送風機80は、ヘッドレストS3内において、吸込口81Aが下方を向き、吹出口81Bが前方を向くように配置される。取付部82には、送風機80をケース部材40に固定するためのタッピングネジ92が通る通し孔83が形成されている。
【0049】
ケース部材40は、上側カバー部材100と、上側カバー部材100に取り付けられる下側カバー部材200とを有している。ケース部材40は、上側カバー部材100に下側カバー部材200が取り付けられることで、内部に、送風機80を収容するための空間と、空気の通路が形成される。また、ケース部材40は、挿通孔40Hを有する。
【0050】
上側カバー部材100は、送風機80を上から覆う部材である。送風機80は、上側カバー部材100に取り付けられる。
図6に示すように、上側カバー部材100は、送風機80が収容される収容部110と、ケース部材40の端部領域としての縁部120とを有している。
収容部110は、下から上に向けて凹む形状の部分である(
図8も参照)。
【0051】
縁部120は、収容部110を囲むように設けられている。縁部120は、複数の端部領域としての、前縁部121と、後縁部122と、左縁部123と、右縁部124とを有してなる。
【0052】
前縁部121は、縁部120のうち収容部110の前に設けられた部分である。詳しくは、前縁部121は、収容部110から前に向けて延び、収容部110につながる側と反対側の端部が屈曲して上方に延びるように設けられている。
後縁部122は、縁部120のうち収容部110の後に設けられた部分である。詳しくは、後縁部122は、収容部110から後に向けて延び、収容部110につながる側と反対側の端部が屈曲して上方に延びるように設けられている。
【0053】
左縁部123は、縁部120のうち収容部110の左に設けられた部分である。詳しくは、左縁部123は、収容部110から左に向けて延び、収容部110につながる側と反対側の端部が屈曲して上方に延びるように設けられている。左縁部123は、前縁部121および後縁部122とつながって一体に形成されている。
【0054】
右縁部124は、縁部120のうち収容部110の右に設けられた部分である。詳しくは、右縁部124は、収容部110から右に向けて延び、収容部110につながる側と反対側の端部が屈曲して上方に延びるように設けられている。右縁部124は、前縁部121および後縁部122とつながって一体に形成されている。
【0055】
収容部110を囲むように設けられた各縁部121~124がつながって一体に形成されていることで、上側カバー部材100の剛性を向上させることができる。また、各縁部121~124の収容部110につながる側と反対側の端部が屈曲して上方に延びるように設けられていることで、上側カバー部材100の剛性を向上させることができる。
【0056】
左縁部123および右縁部124の後端部は、それぞれ、上から見て略円形状に形成されており、ヘッドレストフレームF3のピラー部31を通すピラー挿通孔125を有する(
図7も参照)。
【0057】
挿通孔40Hは、ヘッドレストパッドP3を形成する発泡樹脂の材料を注入するノズル320(
図14参照)を通すための貫通孔である。挿通孔40Hは、上下に貫通する貫通孔であり、左右に長い略矩形状に形成されている。挿通孔40Hは、ケース部材40の後の端部領域に設けられている。言い換えると、挿通孔40Hは、ケース部材40の後端部に設けられている。詳しくは、挿通孔40Hは、上側カバー部材100の後縁部122に設けられている。
【0058】
図7に示すように、挿通孔40Hは、後縁部122の左右方向における中央に設けられており、左右方向において、一対のピラー挿通孔125の間の位置に配置されている。これにより、挿通孔40Hは、左右方向において、ピラー挿通孔125を通る一対のピラー部31の間の位置に配置されている。また、挿通孔40Hは、収容部110の後に設けられた後縁部122に設けられていることで、挿通孔40Hが貫通する方向から見て、収容部110に収容される送風機80と重ならない位置に配置されている。
【0059】
また、
図8に示すように、挿通孔40Hは、ヘッドレストフレームF3よりも後に配置されている。詳しくは、挿通孔40Hは、ヘッドレストフレームF3の後端E4よりも後に配置されている。また、挿通孔40Hは、挿通孔40Hが貫通する方向から見て、ヘッドレストフレームF3、取付部材50および支持部材60と重ならない位置に配置されている。
【0060】
ケース部材40の前後および左右の複数の端部領域のうち、挿通孔40Hが設けられている端部領域は、他の端部領域よりも上に位置する。具体的には、挿通孔40Hが設けられている後縁部122は、前縁部121、左縁部123および右縁部124よりも上に位置する。ケース部材40は、後端部が前端部に対して上に位置するように斜めに配置されていることで、後縁部122が、前縁部121、左縁部123および右縁部124よりも上に位置している。
【0061】
図6に示すように、上側カバー部材100は、位置決め部130と、4つのリブ140と、タッピングネジ91A~91Cが通る3つの通し孔151~153とを有する。
位置決め部130は、ケース部材40の取付部材50に対する位置を決めるための部分であり、取付部材50の後述する係合部53(貫通孔)に係合する。位置決め部130は、収容部110の上側の壁の中央付近から上方に突出する凸形状に形成されている。
【0062】
リブ140は、ケース部材40が取付部材50に取り付けられた状態で取付部材50に当接する部分である(
図8参照)。リブ140は、上側カバー部材100の上側の壁から取付部材50に向けて上方に突出し、前後に延びている。リブ140は、左右一対の外側リブ141と、左右一対の内側リブ142とを有してなる。
【0063】
一対の外側リブ141は、左右に離間して間隔をあけた状態で配置されている。一対の外側リブ141は、収容部110の上側の壁の、前後方向における中央付近であって、左右方向における端部付近に配置されている。一対の外側リブ141は、位置決め部130の左右で位置決め部130を挟むように配置されている。言い換えると、位置決め部130は、左右に並ぶ一対の外側リブ141の間に配置されている。
【0064】
一対の内側リブ142は、左右に離間して間隔をあけた状態で配置されている。一対の内側リブ142は、収容部110の上側の壁の中央付近に配置され、位置決め部130から後に向けて延びるように設けられている。一対の内側リブ142は、一対の外側リブ141の間に配置されている。
【0065】
外側リブ141は、内側リブ142よりも前後に長く延びている。詳しくは、外側リブ141の後端と内側リブ142の後端は、前後方向において略同じ位置に位置する。一方で、外側リブ141は、位置決め部130よりも前まで延びており、前後方向において、外側リブ141の前端は、内側リブ142の前端よりも前に位置する。
【0066】
通し孔151~153は、上下に貫通した略円形の貫通孔である。通し孔151,152は、位置決め部130の左右で位置決め部130を挟むように配置されている。言い換えると、位置決め部130は、左右に並ぶ2つの通し孔151,152の間に配置されている。また、通し孔151,152は、一対の外側リブ141の間に配置されている。詳しくは、通し孔151は、位置決め部130と左の外側リブ141との間に配置され、通し孔152は、位置決め部130と右の外側リブ141との間に配置されている。
【0067】
通し孔153は、位置決め部130の後に配置されている。また、通し孔153は、リブ140(141,142)よりも後に配置されている。また、通し孔153は、左右方向において、一対の外側リブ141の間の位置に配置されている。また、通し孔153は、左右方向において、一対の内側リブ142の間の位置に配置されている。
【0068】
図7に示すように、上側カバー部材100は、送風機80を取り付けるための3つの機器取付部160と、下側カバー部材200を取り付けるための4つの下側カバー取付部170とをさらに有する。
【0069】
機器取付部160および下側カバー取付部170は、収容部110の上側の壁から下方に向けて突出する略円筒状に形成されている。機器取付部160は、送風機80の3つの取付部82に対応して、送風機本体81の前後と左に1つずつ設けられている。下側カバー取付部170は、収容部110の4箇所に隅部付近に1つずつ設けられている。
【0070】
上側カバー部材100は、機器取付部160の側面から機器取付部160の径方向の外側に向けて突出し、上端が収容部110の上側の壁につながる補強リブ161をさらに有する。補強リブ161は、各機器取付部160に3つずつ設けられている。補強リブ161を有することで、機器取付部160の剛性を向上させることができる。
【0071】
また、上側カバー部材100は、下側カバー取付部170の側面から下側カバー取付部170の径方向の外側に向けて突出し、上端が収容部110の上側の壁につながる補強リブ171をさらに有する。補強リブ171は、各下側カバー取付部170に3つずつ設けられている。補強リブ171を有することで、下側カバー取付部170の剛性を向上させることができる。
【0072】
図5に示すように、下側カバー部材200は、送風機80を下から覆う部材である。下側カバー部材200は、前後に分割された構造を有する。詳しくは、下側カバー部材200は、前側部材210と、前側部材210を後から支持する後側部材220とを有してなる。
【0073】
図9に示すように、前側部材210は、板状の前側ベース部211と、5つの第1爪部212と、4つの第2爪部213とを有している。
前側ベース部211は、前端部の左右中央に通風部材取付部211Aを有する。通風部材取付部211Aは、通風部材70が配置される部分であり、上から下に向けて凹む形状を有している。通風部材取付部211Aの左右の端部には、通風部材70を前側部材210に固定するためのタッピングネジ94(
図11参照)が通る通し孔211Bが1つずつ形成されている。
【0074】
第1爪部212は、前側ベース部211の後部から上に突出して後に向けて延びる、左右方向から見て略L字形状の部分である。5つの第1爪部212は、左右に離間して間隔をあけた状態で配置されている。本実施形態において、隣り合う第1爪部212の間隔は、略同じである。
【0075】
第2爪部213は、前側ベース部211の後端部から上または下のうち第1爪部212と同じ側に突出する部分である。具体的には、第2爪部213は、前側ベース部211の後端部から上に突出している。第2爪部213の前側の面は、前側ベース部211の上側の面に対して略直交する形状の面となっており、第2爪部213の後側の面は、上にいくほど前に位置するように傾斜する形状の面となっている(
図11参照)。第2爪部213は、左右方向において、隣り合う第1爪部212の間に1つずつ設けられている。
【0076】
後側部材220は、板状の後側ベース部221と、左右一対のピラー収容部222と、左右一対の接続部223と、第1リブ224と、2つの第2リブ225と、3つの第3リブ226と、4つの係合穴227と、空気取入部228と、貫通孔229とを有する。
後側ベース部221は、前側部材210と接続される部分である。
【0077】
ピラー収容部222は、ヘッドレストフレームF3のピラー部31を通す部分であり、後側部材220の左右に1つずつ設けられている。ピラー収容部222は、ピラー部31を前後から囲む形状を有する。詳しくは、ピラー収容部222は、ピラー部31を通すための切欠222Aであって左右外側が開口した切欠222Aを有しており、これによって、左右外側が開口した略U字形状に形成されている。ピラー収容部222は、切欠222Aを通るピラー部31を前、左右内側および後から囲む(
図10参照)。
【0078】
ピラー収容部222は、後側ベース部221に対して上にずれた位置に位置する。言い換えると、後側ベース部221は、ピラー収容部222に対して下にずれた位置に位置する。
【0079】
接続部223は、後側ベース部221とピラー収容部222とを接続する部分であり、後側部材220の左右に1つずつ設けられている。接続部223は、ピラー収容部222から後側ベース部221に近づくほど、ピラー収容部222(ピラー部31)の径方向における外側に位置するように傾斜している。
【0080】
図10に示すように、接続部223は、左右外側が開口した略U字形状を有し、ピラー部31の前側に位置する部分の左右外側の端223Aと、ピラー部31の後側に位置する部分の左右外側の端223Bとが、左右方向において同じ位置に位置する。詳しくは、左の接続部223の端223A,223Bは、左右方向において同じ位置に位置し、右の接続部223の端223A,223Bは、左右方向において同じ位置に位置する(仮想線参照)。
【0081】
第1リブ224は、後側ベース部221から上に突出し、一対のピラー収容部222をつなぐように左右に延びるリブである。本実施形態において、第1リブ224は、左右の端が左右の接続部223につながっている。
【0082】
第2リブ225は、後側ベース部221から上に突出し、ピラー収容部222につながるように前後に延びるリブである。本実施形態において、第2リブ225は、後端が接続部223につながっている。言い換えると、第2リブ225は、接続部223から前に向けて延びるように設けられている。2つの第2リブ225は、左右に離間して間隔をあけた状態で配置されている。
【0083】
第3リブ226は、後側ベース部221から上に突出し、第1リブ224につながるように前後に延びるリブである。本実施形態において、第3リブ226は、後端が第1リブ224につながっている。言い換えると、第3リブ226は、第1リブ224から前に向けて延びるように設けられている。3つの第3リブ226は、左右に離間して間隔をあけた状態で配置されている。また、3つの第3リブ226は、2つの第2リブ225の間に配置されている。
【0084】
3つの第3リブ226のうち真ん中に位置する第3リブ226は、後側部材220の左右方向における中央付近に配置されている。本実施形態において、隣り合う第3リブ226同士の間隔、および、隣り合う第2リブ225と第3リブ226の間隔は、略同じである。
【0085】
係合穴227は、後側部材220に前側部材210が接続された状態で、第2爪部213が係合する上下に貫通した孔である。係合穴227は、左右に長い略矩形状に形成されている。係合穴227は、隣り合う第2リブ225と第3リブ226の間、および、隣り合う第3リブ226同士の間に1つずつ設けられている。
【0086】
図9に示すように、空気取入部228は、後側ベース部221の後端部から上に突出するように設けられている。空気取入部228は、ケース部材40内に空気を取り入れるための取入口228A(
図11参照)を有している。
【0087】
貫通孔229は、送風機80に接続される図示しないハーネスを通すための孔である。貫通孔229は、第1リブ224と空気取入部228との間であって、かつ、一対のピラー収容部222の間に配置されている。本実施形態では、貫通孔229は、後側部材220の左右方向における中央よりも右に配置されている。
【0088】
図5に示すように、通風部材70は、通風部71と、延出部72と、左右2つのカバー部材取付部73とを有し、下側カバー部材200を構成する前側部材210に取り付けられている。
【0089】
図11に示すように、通風部71は、前後に貫通した筒状を有し、接続口71Aと、通風路71Bと、通風口71Cとを有する。接続口71Aは、送風機80の吹出口81Bが接続される開口であり、通風口71Cは、送風機80から送り出された空気を通すための開口である。
図10に示すように、通風路71B(破線参照)は、接続口71Aと通風口71Cとをつなぐ通路であり、左右の間隔が前にいくほど大きくなる形状を有している。
【0090】
延出部72は、通風部71の下端部から左右および後に延びる板状の部分である。
カバー部材取付部73は、延出部72の左右の端部から上方に向けて突出する部分であり(
図5も参照)、上下に貫通した略円筒状に形成されている。
【0091】
通風部材70は、ケース部材40とは別の部材として設けられている。詳しくは、通風部材70は、上側カバー部材100、下側カバー部材200の前側部材210および後側部材220とは別の部材として設けられている。
【0092】
図11に示すように、通風部材70は、下側カバー部材200を構成する前側部材210の通風部材取付部211A上に配置され、2つタッピングネジ94を、それぞれ、前側部材210の通し孔211Bに通してカバー部材取付部73に締結することで、前側部材210に取り付けられる。
【0093】
図9に示すように、下側カバー部材200は、ネジ挿通部230をさらに有する。ネジ挿通部230は、上側カバー部材100に設けられた4つの下側カバー取付部170(
図7参照)に対応して4つ設けられている。ネジ挿通部230は、下から上に向けて凹む略円錐台形状の部分であり、上側の壁に上下に貫通する略円形状の通し孔231を有する。4つのネジ挿通部230は、前側部材210に設けられた2つのネジ挿通部230Aと、後側部材220に設けられたネジ挿通部230Bとを有してなる。
【0094】
ネジ挿通部230Aは、左右方向において最も外側に位置する第1爪部212と、当該第1爪部212と隣り合う第1爪部212との間に1つずつ配置されている。
左のネジ挿通部230Bは、左のネジ挿通部230Aの後方に配置され、右のネジ挿通部230Bは、右のネジ挿通部230Aの後方に配置されている。ネジ挿通部230Bは、左右の対応する接続部223につながるように設けられている。
【0095】
下側カバー部材200を組み立てる際には、前側部材210の前側ベース部211の後端部と第1爪部212との間に、後側部材220の前端部を差し込むように接続する。
図8に示すように、前側部材210は、後側部材220に接続された状態で、前側ベース部211の後端部と第1爪部212とによって後側部材220の後側ベース部221の前端部と、対応する第3リブ226(または第2リブ225)の前端部とを挟持する。また、
図11に示すように、前側部材210は、後側部材220に接続された状態で、第2爪部213が、後側部材220の後側ベース部221の前端部に設けられた係合穴227に係合する。
【0096】
図10に示すように、前側部材210の後端部と後側部材220の前端部とが重なる、前側部材210と後側部材220との接続部分は、ピラー収容部222よりも前に配置されている。具体的には、後側部材220の、前側ベース部211と第1爪部212とによって挟まれる部分や、第2爪部213が係合する部分は、ピラー収容部222よりも前に配置されている。
【0097】
なお、通風部材70は、下側カバー部材200を組み立てる前に前側部材210に取り付けておいてもよいし、下側カバー部材200を組み立てた後に前側部材210に取り付けてもよい。
【0098】
図12に示すように、取付部材50は、ケース部材40が取り付けられる部材であり、ヘッドレストフレームF3に固定されている。
図6に示すように、取付部材50は、例えば、金属板からなり、ケース部材40が取り付けられるケース取付部51と、ヘッドレストフレームF3に固定される左右一対の固定部52とを有している。
【0099】
ケース取付部51は、本体部51Aと、延出部51Bと、補強部51Cとを有している。本体部51Aは、左右の幅が後にいくほど大きくなる略台形状を有し、延出部51Bは、本体部51Aの後端の左右方向における中央から後方に向けて延びている。補強部51Cは、本体部51Aの前端から上方に向けて延びている。補強部51Cを有することで、取付部材50の剛性を向上させることができる。
【0100】
ケース取付部51は、係合部53と、3つの固定孔54A,54B,54Cとをさらに有している。
係合部53は、左右に長い略矩形状の貫通孔であり、本体部51Aの中央付近に配置されている。係合部53には、ケース部材40の位置決め部130が係合する。
【0101】
固定孔54A,54B,54Cは、上下に貫通した略円形の貫通孔である。固定孔54A,54Bは、本体部51Aに配置されている。詳しくは、固定孔54A,54Bは、係合部53の左右で係合部53を挟むように配置されている。言い換えると、係合部53は、左右に並ぶ2つの固定孔54A,54Bの間に配置されている。固定孔54Cは、延出部51Bの中央付近に配置されている。固定孔54Cは、係合部53の後に配置されている。言い換えると、係合部53は、固定孔54Cの前に配置されている。
【0102】
固定部52は、ケース取付部51の本体部51Aの左右の端から上方に向けて延びる部分である。取付部材50は、左右の固定部52が一対のピラー部31の左右内側の面に固定されている。詳しくは、
図8に示すように、取付部材50は、左右の固定部52の上側の縁が、一対のピラー部31の第2部分31Bの左右内側の面に溶接によって固定されている(溶接部W1参照)。
【0103】
取付部材50は、ヘッドレストフレームF3の上端E1よりも下に配置されている。また、取付部材50は、ヘッドレストフレームF3の下端E2(
図4参照)よりも上に配置されている。言い換えると、取付部材50は、上下方向において、ヘッドレストフレームF3の上端E1と下端E2の間の位置に配置されている。
【0104】
また、取付部材50は、ヘッドレストフレームF3の前端E3よりも後に配置されている。また、取付部材50は、ヘッドレストフレームF3の後端E4よりも前に配置されている。言い換えると、取付部材50は、前後方向において、ヘッドレストフレームF3の前端E3と後端E4の間の位置に配置されている。
【0105】
また、取付部材50は、送風機80の前端E5よりも後に配置されている。また、取付部材50は、送風機80の後端E6よりも前に配置されている。言い換えると、取付部材50は、前後方向において、送風機80の前端E5と後端E6の間の位置に配置されている。
【0106】
図6に示すように、ヘッドレストS3は、複数の固定部材としての3つのタッピングネジ91A,91B,91Cをさらに備える。タッピングネジ91A,91B,91Cは、ケース部材40を取付部材50に固定するための部材である。詳しくは、タッピングネジ91A,91B,91Cは、上側カバー部材100を取付部材50に固定するための部材である。
【0107】
上側カバー部材100を取付部材50に固定する際には、まず、上側カバー部材100の位置決め部130を取付部材50の係合部53に係合させ、上側カバー部材100のリブ140を取付部材50のケース取付部51の本体部51Aに当接させる。そして、タッピングネジ91Aを上側カバー部材100の通し孔151に通して取付部材50の固定孔54Aに締結し、タッピングネジ91Bを上側カバー部材100の通し孔152に通して取付部材50の固定孔54Bに締結し、タッピングネジ91Cを上側カバー部材100の通し孔153に通して取付部材50の固定孔54Cに締結することで、上側カバー部材100が取付部材50に固定される。
【0108】
図12に示すように、係合部53は、2つの固定孔54A,54Bの間に配置されていることで、固定孔54A,54Bに締結された、複数、具体的には、2つのタッピングネジ91A,91Bの間に配置されている。また、係合部53は、固定孔54Cの前に配置されていることで、固定孔54Cに締結されたタッピングネジ91Cの前に配置されている。
【0109】
図7に示すように、送風機80は、3つのタッピングネジ92を、取付部82の通し孔83(
図5参照)に通して上側カバー部材100の機器取付部160に締結することで、上側カバー部材100に取り付けられる。
図5に示すように、下側カバー部材200は、4つのタッピングネジ93を、ネジ挿通部230の通し孔231に通して上側カバー部材100の下側カバー取付部170(
図7参照)に締結することで、上側カバー部材100に取り付けられる。これにより、ケース部材40が、送風機80を収容した状態で組み立てられ、取付部材50を介してヘッドレストフレームF3に取り付けられる。
【0110】
図8に示すように、ケース部材40は、ヘッドレストフレームF3の上端E1よりも下に配置されている。また、ケース部材40は、ヘッドレストフレームF3の下端E2(
図4参照)よりも上に配置されている。言い換えると、ケース部材40は、上下方向において、ヘッドレストフレームF3の上端E1と下端E2の間の位置に配置されている。
【0111】
支持部材60は、着座者の頭部を後から支持する部材であり、ヘッドレストフレームF3に固定されている。支持部材60は、例えば、金属板からなり、左右および上下の端部が後に向けて屈曲した形状を有する。支持部材60は、ヘッドレストフレームF3の取付部材50が固定された部分よりも上に固定されている。
【0112】
詳しくは、支持部材60は、取付部材50が固定された一対のピラー部31の第2部分31Bよりも上に固定されている。より詳しくは、支持部材60は、左右の端部が、第2部分31Bよりも上に位置する、一対のピラー部31の第1部分31Aの左右内側の面に溶接によって固定されている(溶接部W2参照)。また、支持部材60は、上端部が、第2部分31Bよりも上に位置する連結部32の下側の面に溶接によって固定されている(溶接部W3参照)。
【0113】
取付部材50と支持部材60は、隙間をあけた状態で配置されている。詳しくは、取付部材50と支持部材60は、補強部51Cの上端部と支持部材60の下端部とが上下に間隔をあけた状態で配置されている。取付部材50と支持部材60は、つながっておらず、別の部材としてそれぞれ設けられている。
【0114】
次に、車両用シートSの製造方法について説明する。詳しくは、車両用シートSの製造方法のうち、主に、ヘッドレストS3の製造方法について説明する。
【0115】
まず、ヘッドレストS3の部品を準備する。具体的には、
図4に示したような、ヘッドレストフレームF3、取付部材50、支持部材60、上側カバー部材100、送風機80、ヘッドレスト表皮SK3、通風部材70、前側部材210、後側部材220などを準備する。
【0116】
次に、ヘッドレストフレームF3に取付部材50と支持部材60を固定する。具体的には、
図8に示すように、取付部材50の左右の固定部52を、ヘッドレストフレームF3の一対のピラー部31の第2部分31Bに溶接によって固定する。また、支持部材60の左右の端部を一対のピラー部31の第1部分31Aに溶接によって固定するとともに、支持部材60の上端部を連結部32に溶接によって固定する。なお、ヘッドレストフレームF3に取付部材50と支持部材60を固定する順番は任意である。
【0117】
次に、ヘッドレストフレームF3に固定した取付部材50に上側カバー部材100を取り付ける。具体的には、
図12に示すように、まず、上側カバー部材100の左右のピラー挿通孔125にヘッドレストフレームF3のピラー部31を通し、取付部材50の係合部53に上側カバー部材100の位置決め部130を係合させ、取付部材50のケース取付部51に上側カバー部材100のリブ140を当接させる。その後、タッピングネジ91A~91Cを上側カバー部材100の通し孔151~153(
図6参照)に通して取付部材50の固定孔54A~54Cに締結することで、取付部材50に上側カバー部材100を取り付ける。
【0118】
次に、上側カバー部材100に送風機80を取り付ける。具体的には、
図7に示すように、3つのタッピングネジ92をそれぞれ送風機80の取付部82に設けられた通し孔83(
図5参照)に通して上側カバー部材100の機器取付部160に締結することで、上側カバー部材100に送風機80を取り付ける。
【0119】
次に、ヘッドレストパッドP3を形成する。
詳しくは、まず、
図13(a)に示すように、ヘッドレストパッドP3を成形するための型310に、ヘッドレスト表皮SK3をセットする。
【0120】
次に、
図13(b)に示すように、ヘッドレスト表皮SK3をセットした型310にケース部材40などをセットする。具体的には、ヘッドレストフレームF3、取付部材50、支持部材60、ケース部材40を構成する上側カバー部材100などの組立体を図示しない治具で保持し、ヘッドレストフレームF3の一部、取付部材50、支持部材60、上側カバー部材100を型310内に配置する。
【0121】
次に、
図14(a)に示すように、上側カバー部材100の挿通孔40Hに、ヘッドレストパッドP3を形成する発泡樹脂の材料を注入するためのノズル320を通して挿入する。そして、
図14(b)に示すように、ノズル320から型310内に発泡樹脂の材料(発泡樹脂材料M)を注入する。
【0122】
型310内に注入した発泡樹脂材料Mが固まり、ヘッドレストパッドP3が形成されたら、型310から、ヘッドレストフレームF3、上側カバー部材100、ヘッドレストパッドP3、ヘッドレスト表皮SK3などの成形品を取り出す。
【0123】
次に、上側カバー部材100に下側カバー部材200を取り付ける。
詳しくは、まず、下側カバー部材200を構成する前側部材210に通風部材70を取り付ける。具体的には、
図11に示すように、前側部材210の通風部材取付部211Aに通風部材70を配置し、2つのタッピングネジ94をそれぞれ前側部材210に設けられた通し孔211Bに通して通風部材70のカバー部材取付部73に締結することで、前側部材210に通風部材70を取り付ける。
【0124】
次に、前側部材210と後側部材220を接続する。具体的には、前側部材210の前側ベース部211の後端部と第1爪部212との間に、後側部材220の前端部を差し込むとともに、前側部材210の第2爪部213と後側部材220の係合穴227とを係合させることで、前側部材210と後側部材220を接続する。これにより、下側カバー部材200が組み立てられる。
【0125】
そして、上側カバー部材100に下側カバー部材200を取り付ける。具体的には、
図5に示すように、4つのタッピングネジ93をそれぞれ下側カバー部材200のネジ挿通部230に設けられた通し孔231に通して上側カバー部材100の下側カバー取付部170(
図7参照)に締結することで、上側カバー部材100に下側カバー部材200を取り付ける。これにより、
図4に示すような、送風機80が収容されたケース部材40が組み立てられる。
【0126】
以上の工程により、ヘッドレストS3を製造することができる。その後、シートクッションS1とシートバックS2を備える組立体にヘッドレストS3を取り付ける。具体的には、シートバックS2のホルダ26(
図2参照)に保持させた図示しないヘッドレストガイドにヘッドレストS3のピラー部31を差し込むことで、シートバックS2にヘッドレストS3を取り付ける。これにより、
図1に示すような、車両用シートSを製造することができる。
【0127】
なお、以上の車両用シートSの製造方法は、一例であり、例えば、工程の順番などを適宜変更してもよい。例えば、送風機80は、ヘッドレストパッドP3を形成した後に上側カバー部材100に取り付けてもよい。また、通風部材70は、前側部材210と後側部材220を接続して下側カバー部材200を組み立てた後に前側部材210に取り付けてもよい。
【0128】
以上の本実施形態によれば、
図8に示したように、取付部材50をヘッドレストフレームF3の上端E1と下端E2(
図4参照)の間の領域に収まるように配置することができるので、取付部材50をコンパクトに配置することができる。
【0129】
また、取付部材50をヘッドレストフレームF3の前端E3よりも後の領域に収まるように配置することができるので、ヘッドレストS3に設けられる取付部材50をコンパクトに配置することができる。
【0130】
また、取付部材50をヘッドレストフレームF3の後端E4よりも前の領域に収まるように配置することができるので、取付部材50をコンパクトに配置することができる。特に、本実施形態のように、取付部材50がヘッドレストフレームF3の前端E3よりも後に配置される構成で、さらに、取付部材50をヘッドレストフレームF3の後端E4よりも前に配置した場合には、取付部材50をヘッドレストフレームF3の前端E3と後端E4の間の領域に収まるように配置することができるので、取付部材50をよりコンパクトに配置することができる。
【0131】
また、取付部材50をケース部材40に収容される送風機80の前端E5と後端E6の間の領域に収まるように配置することができるので、取付部材50をよりコンパクトに配置することができる。
【0132】
また、取付部材50に取り付けられるケース部材40をヘッドレストフレームF3の上端E1と下端E2の間の領域に収まるように配置することができるので、ヘッドレストS3に設けられるケース部材40をコンパクトに配置することができる。
【0133】
また、
図12に示したように、取付部材50を一対のピラー部31の間に配置することができるので、取付部材50をよりコンパクトに配置することができる。また、取付部材50を一対のピラー部31に架け渡すように固定することができる。
【0134】
また、ケース部材40の位置決め部130を取付部材50の係合部53に係合させた状態において、ケース部材40のリブ140を取付部材50に当接させることができるので、ケース部材40が取付部材50に対してがたつくのを抑制することができる。
【0135】
また、係合部53がタッピングネジ91A,91Bの間に配置されていることで、取付部材50に対するケース部材40の位置が決まる箇所の両側でタッピングネジ91A,91Bによってケース部材40を取付部材50に固定することができる。
【0136】
また、取付部材50と支持部材60が隙間をあけた状態で配置されているので、取付部材50に対するケース部材40の取付状態を取付部材50と支持部材60との間の隙間からでも確認することができる。
【0137】
また、本実施形態によれば、ケース部材40がその端部領域にノズル320を通すための挿通孔40Hを有することで、ヘッドレストS3を成形する際に、ケース部材40の中央に対して前、後、左または右にずれた位置から型310内に発泡樹脂材料Mを注入することができるので、発泡樹脂材料Mを、型310の前、後、左または右の内面から、型の底面を経て、前後または左右の反対の内面に沿って流すことができる。
【0138】
具体的には、
図14(b)に示すように、ヘッドレストパッドP3を成形する際に、上側カバー部材100の中央に対して後にずれた位置から型310内に発泡樹脂材料Mを注入することができるので、発泡樹脂材料Mを、型310の後の内面311から底面312を経て、前の内面313に沿って流すことができる。これにより、ヘッドレストパッドP3内に気泡などができるのを抑制することができるので、ヘッドレストパッドP3の成形性を向上させることができる。
【0139】
また、挿通孔40Hが、その貫通方向から見て、送風機80と重ならない位置に配置されていることで、送風機80が、ケース部材40に収容された状態、詳しくは、上側カバー部材100に取り付けられた状態でも挿通孔40Hにノズル320を通すことができる。これにより、ヘッドレストS3を製造する際の自由度を向上させることができる。これにより、例えば、ヘッドレストS3を製造する際の作業性を向上させることができる。
【0140】
また、挿通孔40Hが、その貫通方向から見て、ヘッドレストフレームF3や取付部材50、支持部材60と重ならない位置に配置されていることで、ノズル320を挿通孔40Hに通して型310内に発泡樹脂材料Mを注入する際に、発泡樹脂材料Mの流れがヘッドレストフレームF3、取付部材50、支持部材60によって遮られない。これにより、発泡樹脂材料Mを良好に流すことができるので、ヘッドレストパッドP3を良好に成形することができる。
【0141】
また、挿通孔40Hが左右方向において一対のピラー部31の間の位置に配置されていることで、挿通孔40HをヘッドレストS3の左右方向における中央の近くに配置することができる。これにより、例えば、ケース部材の後端部に設けられた挿通孔がピラー部よりも左または右に偏って配置される場合と比較して、発泡樹脂材料Mを良好に流すことができるので、ヘッドレストパッドP3の成形性を向上させることができる。
【0142】
また、ケース部材40が上側カバー部材100と下側カバー部材200とに分割可能であり、挿通孔40Hが上側カバー部材100に設けられていることで、ヘッドレストS3を成形する際に、ケース部材40のうち、上側カバー部材100のみを型310にセットし、ノズル320を挿通孔40Hに通して型310内に発泡樹脂材料Mを注入することができる。これにより、ヘッドレストS3を製造する際の自由度を向上させることができる。これにより、例えば、ヘッドレストS3を製造する際の作業性を向上させることができる。
【0143】
また、
図4に示すように、挿通孔40Hがケース部材40の後端部に設けられていることで、ヘッドレストS3に前方から荷重がかかった場合において、ケース部材40の挿通孔40H付近に力がかかりにくい構造となっている。これにより、ケース部材40の挿通孔40H付近が変形するのを抑制することができる。
【0144】
また、挿通孔40HがヘッドレストフレームF3よりも後に配置されていることで、ヘッドレストS3に前方から荷重がかかった場合に、荷重をヘッドレストフレームF3で受け止めることができる。これにより、ケース部材40の挿通孔40H付近が変形するのをより抑制することができる。
【0145】
また、
図8に示すように、送風機80が収容される収容部110に挿通孔40Hがないことで、収容部110の剛性を確保することができる。
【0146】
また、本実施形態によれば、
図10に示すように、前側部材210を後から支持する後側部材220が、ヘッドレストフレームF3のピラー部31を前後から囲む形状を有するピラー収容部222を有するので、ヘッドレストフレームF3のピラー部31によって後側部材220をしっかりと支持することができる。これにより、例えば、ヘッドレストS3に前方から荷重がかかったときなどに、前側部材210を後側部材220によってしっかりと支持することができる。
【0147】
また、後側部材220が第1リブ224を有することで、後側部材220の剛性を向上させることができるので、前側部材210を後側部材220によってよりしっかりと支持することができる。
【0148】
また、後側部材220が第2リブ225や第3リブ226を有することで、後側部材220の剛性を向上させることができるので、前側部材210を後側部材220によってよりしっかりと支持することができる。
【0149】
また、後側部材220が、ピラー収容部222に対して下にずれた位置に位置する後側ベース部221と、ピラー収容部222と後側ベース部221とを接続する接続部223とを有することで、後側部材220の剛性を向上させることができる。これにより、前側部材210を後側部材220によってよりしっかりと支持することができる。
【0150】
また、接続部223の、ピラー部31の前側に位置する部分の左右外側の端223Aと、ピラー部31の後側に位置する部分の左右外側の端223Bとが、左右方向において同じ位置に位置することで、後側部材220の剛性をより向上させることができる。これにより、前側部材210を後側部材220によってより一層しっかりと支持することができる。
【0151】
また、前側部材210と後側部材220との接続部分がピラー収容部222よりも前に配置されていることで、ヘッドレストS3の前方からかかった荷重を、前側部材210と後側部材220との接続部分を介して後側部材220のピラー部31によって支持される部分に伝達することができる。これにより、衝撃によって前側部材210と後側部材220が分離するのを抑制することができる。
【0152】
また、
図8に示したように、前側部材210が、後側部材220に接続された状態で、第1爪部212と前側ベース部211とによって後側部材220を挟持することで、前側部材210と後側部材220を強固に接続することができる。これにより、衝撃によって前側部材210と後側部材220が分離するのをより抑制することができる。
【0153】
また、前側部材210が第1爪部212と前側ベース部211とによって後側部材220を挟持する構成で、さらに、
図11に示したように、前側部材210の第2爪部213と後側部材220の係合穴227とが係合するので、前側部材210と後側部材220をより強固に接続することができる。これにより、衝撃によって前側部材210と後側部材220が分離するのをより一層抑制することができる。
【0154】
また、通風部材70がケース部材40とは別の部材として設けられていることで、通風口71Cを前側部材210とは別に成形することができるので、通風口71Cや前側部材210の設計の自由度を高めることができる。これにより、例えば、送風機80から送り出される空気が着座者に効果的に当たるようにしたり、前側部材210の剛性を向上させたりすることができる。
【0155】
以上、実施形態について説明したが、シートは以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0156】
前記実施形態では、ケース部材40に設けられた凸形状の位置決め部130が、取付部材50に設けられた貫通孔である係合部53に係合する構成であったが、例えば、ケース部材に設けられた凹形状の位置決め部が、取付部材に設けられた凸形状の係合部に係合する構成であってもよい。また、ヘッドレストは、ケース部材に位置決め部が設けられておらず、取付部材に係合部が設けられていない構成であってもよい。
【0157】
前記実施形態では、ケース部材40が4つのリブ140を有していたが、リブの数は任意であり、例えば、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。また、ケース部材は、取付部材に取り付けられた状態で取付部材に当接するリブを備えない構成であってもよい。
【0158】
前記実施形態では、ケース部材40を取付部材50に固定するための固定部材としてタッピングネジ91A~91Cを例示したが、例えば、固定部材は、ボルトとナットであってもよい。また、ヘッドレストは、取付部材の係合部が複数の固定部材の間に配置されていない構成であってもよい。
【0159】
前記実施形態では、取付部材50と支持部材60がつながっておらず、別の部材として設けられていたが、例えば、取付部材と支持部材は、一体の部材として設けられていてもよい。すなわち、取付部材は、着座者の頭部を支持する部分を有していてもよい。また、ヘッドレストは、支持部材を備えない構成であってもよい。
【0160】
前記実施形態では、挿通孔40Hが上側カバー部材100の収容部110の後に設けられた縁部(後縁部122)に設けられていたが、例えば、挿通孔は、収容部の前に設けられた縁部に設けられていてもよい。また、挿通孔は、収容部の左に設けられた縁部に設けられていてもよいし、収容部の右に設けられた縁部に設けられていてもよい。
【0161】
別の言い方をすると、前記実施形態では、挿通孔40Hがケース部材40の後端部に設けられていたが、例えば、挿通孔は、ケース部材の前端部に設けられていてもよい。また、挿通孔は、ケース部材の左端部に設けられていてもよいし、ケース部材の右端部に設けられていてもよい。
【0162】
さらに、別の言い方をすると、前記実施形態では、ケース部材40が後の端部領域に挿通孔40Hを有する構成であったが、例えば、ケース部材は、前の端部領域に挿通孔を有する構成であってもよい。また、ケース部材は、左の端部領域に挿通孔を有する構成であってもよいし、右の端部領域に挿通孔を有する構成であってもよい。
【0163】
前記実施形態では、後側ベース部221がピラー収容部222に対して下にずれた位置に位置する構成であったが、例えば、後側ベース部は、ピラー収容部に対して上にずれた位置に位置する構成であってもよい。
【0164】
前記実施形態では、第1爪部212および第2爪部213が前側ベース部211から上に突出していたが、例えば、第1爪部および第2爪部は、前側ベース部から下に突出していてもよい。また、前側部材が第2爪部を備えず、後側部材が係合穴を備えない構成であってもよい。また、前側部材が第1爪部を備えない構成であってもよい。
【0165】
前記実施形態では、接続部223の、ピラー部31の前側に位置する部分の左右外側の端223Aと、ピラー部31の後側に位置する部分の左右外側の端223Bとが、左右方向において同じ位置に位置していたが、例えば、一方の端が他方の端よりも左右方向において外側に位置していてもよい。また、後側部材は、接続部を備えない構成であってもよい。また、後側部材は、第1リブ、第2リブおよび第3リブのうち少なくとも1種を備えない構成であってもよい。
【0166】
前記実施形態では、通風部材70が前側部材210とは別の部材として設けられていたが、例えば、通風部材は、前側部材と一体の部材として設けられていてもよい。言い換えると、前側部材が通風口を有する構成であってもよい。
【0167】
前記実施形態では、下側カバー部材200が前側部材210と後側部材220とを有してなる構成であったが、例えば、下側カバー部材ではなく、上側カバー部材が前側部材と後側部材とを有してなる構成であってもよい。また、上側カバー部材および下側カバー部材の両方がそれぞれ前側部材と後側部材とを有してなる構成であってもよい。
【0168】
また、取付部材に取り付けられるケース部材、挿通孔を有するケース部材は、前側部材と後側部材とに分割されていない構造であってもよいし、さらに、上側カバー部材と下側カバー部材とに分割されていない構造であってもよい。
【0169】
前記実施形態では、ヘッドレストフレームF3が、一対のピラー部31と、ピラー部31の上端同士を連結する連結部32とを有する構成であったが、例えば、ヘッドレストフレームは、互いに連結されていない、一対のピラー部からなる構成であってもよい。
【0170】
前記実施形態では、送風機80として、シロッコファンであってヒータを備えるものを例示したが、例えば、送風機は、シロッコファンであってヒータを備えないものであってもよい。また、送風機は、シロッコファン以外の送風機であってもよい。また、前記実施形態では、ケース部材40に収容される機器として送風機80を例示したが、送風機以外の機器、例えば、スピーカなどであってもよい。
【0171】
前記実施形態では、シートとして自動車に搭載される車両用シートSを例示したが、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などに搭載される乗物用シートであってもよい。また、シートは、乗物用シート以外のシート、例えば、家庭などで使用するシートであってもよい。また、例えば、シートは、シートクッションとシートバックが一体に形成された構成であってもよい。
【0172】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0173】
31 ピラー部
40 ケース部材
40H 挿通孔
60 支持部材
80 送風機
100 上側カバー部材、
110 収容部
120 縁部
121 前縁部
122 後縁部
123 左縁部
124 右縁部
200 下側カバー部材
310 型
320 ノズル
F1 シートクッションフレーム
F2 シートバックフレーム
F3 ヘッドレストフレーム
M 発泡樹脂材料
P1 シートクッションパッド
P2 シートバックパッド
P3 ヘッドレストパッド
S 車両用シート
S1 シートクッション
S2 シートバック
S3 ヘッドレスト
SK1 シートクッション表皮
SK2 シートバック表皮