(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112297
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】ラベル付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/28 20060101AFI20230804BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20230804BHJP
B65D 75/56 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
B65D25/28 101A
B65D25/20 N
B65D75/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013989
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 朝妃
(72)【発明者】
【氏名】播摩 英伸
【テーマコード(参考)】
3E062
3E067
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062AC02
3E062DA02
3E062DA07
3E062HA02
3E062HA06
3E062HB03
3E062HB04
3E062HC06
3E062HC17
3E062HD21
3E067AB01
3E067BA10A
3E067BB01A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067BC02A
3E067EB27
3E067EE13
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD08
(57)【要約】
【課題】レジ袋の使用量を削減すると共に、購入した商品を手軽に持ち帰ることができるラベル付き容器を提供する。
【解決手段】長手方向の両端部の各ラベル部3
1及び持ち手部3
3を有するラベル3の、前記持ち手部3
3を、容器2の下面に沿わせ状態で、各ラベル部3
1を、容器2の対向する周壁の外表面の各被貼着領域4asに貼着することによって、ラベルとして使用できる一方、各ラベル部3
1を、容器2の各被貼着領域4asから剥離し、容器2の被貼着領域以外の領域に再貼着して、持ち手部3
3を持って持ち運ぶことができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルが貼着される被貼着領域を有する容器と、ラベル部及び持ち手部を有するラベルとを備え、前記持ち手部を、前記容器の外表面に沿わせ状態で、前記ラベル部が、前記容器の前記被貼着領域に貼着されるラベル付き容器であって、
前記ラベル部は、前記容器の前記被貼着領域から剥離可能であって、かつ、前記持ち手部が前記容器の外表面から離間できるようにして、前記容器の前記被貼着領域以外の領域に、再貼着可能であり、
前記ラベル部と前記被貼着領域との粘着力が、0.9N/10mm以上、2.4N/10mm以下である、
ことを特徴とするラベル付き容器。
【請求項2】
前記容器は、対向する周壁の両外表面に、第1,第2の前記被貼着領域を有し、
前記ラベルは、長手方向の両端部に第1,第2の前記ラベル部を有すると共に、前記第1,第2のラベル部の間に前記持ち手部を有し、
前記持ち手部を、前記容器の前記第1の被貼着領域から前記第2の被貼着領域に亘る外表面に沿わせた状態で、前記第1,第2のラベル部が、前記第1,第2被貼着領域にそれぞれ貼着される、
請求項1に記載のラベル付き容器。
【請求項3】
前記容器の前記第1の被貼着領域から前記第2の被貼着領域に亘る前記外表面は、前記容器の下面を含み、
前記第1,第2のラベル部は、前記持ち手部が前記容器の上面に対向して離間できるようにして、前記容器の前記被貼着領域以外の領域に、再貼着可能である、
請求項2に記載のラベル付き容器。
【請求項4】
前記ラベル部と前記被貼着領域との粘着力が、前記ラベル部と前記被貼着領域以外の領域との粘着力よりも弱い、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のラベル付き容器。
【請求項5】
前記被貼着領域には、凹凸が形成されている、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のラベル付き容器。
【請求項6】
前記凹凸がエンボスである、
請求項5に記載のラベル付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器にラベルが貼着されたラベル付き容器に関し、更に詳しくは、
貼着されたラベルを容器から剥がして該容器の別の箇所に貼り直すことによって、ラベルを持ち手として使用できるラベル付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レジ袋の有料化に伴い、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、エコバッグを持ち歩く人も多く、様々なエコバッグが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアでの商品の購入時に、上記のようなエコバッグや袋を持参していない場合には、レジ袋を購入するか、あるいは、購入した商品をそのまま手で持ち帰る必要がある。
【0005】
プラスチック製のレジ袋は、環境負荷を低減するために、その使用量の削減が求められており、したがって、このように場合に、レジ袋を購入することなく、手軽に購入して商品を持ち帰れるようにすることが望まれる。
【0006】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、レジ袋の使用量を削減すると共に、購入した商品を手軽に持ち帰ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0008】
(1)本発明に係るラベル付き容器は、ラベルが貼着される被貼着領域を有する容器と、ラベル部及び持ち手部を有するラベルとを備え、前記持ち手部を、前記容器の外表面に沿わせた状態で、前記ラベル部が、前記容器の前記被貼着領域に貼着されるラベル付き容器であって、
前記ラベル部は、前記容器の前記被貼着領域から剥離可能であって、かつ、前記持ち手部が前記容器の外表面から離間できるようにして、前記容器の前記被貼着領域以外の領域に、再貼着可能であり、前記ラベル部と前記被貼着領域との粘着力が、0.9N/10mm以上、2.4N/10mm以下である。
【0009】
本発明によると、ラベル部及び持ち手部を有するラベルの、前記持ち手部を、容器の外表面に沿わせた状態で、前記ラベル部を、容器の被貼着領域に貼着することによって、ラベルとして使用することができる一方、前記ラベル部を、容器の前記被貼着領域から剥離して、持ち手部を容器の外表面から離間できるようにして、容器の被貼着領域以外の領域に、再貼着することによって、容器の外表面から離間した持ち手部を持って手軽に持ち運ぶことができる。
【0010】
しかも、ラベル部と被貼着領域との粘着力が、0.9N/10mm以上、2.4N/10mm以下であるので、ラベルとして使用するのに必要な粘着力を有すると共に、ラベル部を被貼着領域から容易に剥離して、容器の被貼着領域以外の領域に再貼着して持ち手部を持って持ち運ぶことができる。
【0011】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記容器は、対向する周壁の両外表面に、第1,第2の前記被貼着領域を有し、前記ラベルは、長手方向の両端部に第1,第2の前記ラベル部を有すると共に、前記第1,第2のラベル部の間に前記持ち手部を有し、前記持ち手部を、前記容器の前記第1の被貼着領域から前記第2の被貼着領域に亘る外表面に沿わせた状態で、前記第1,第2のラベル部が、前記第1,第2被貼着領域にそれぞれ貼着される。
【0012】
この実施態様によると、容器の対向する周壁の両外表面の第1,第2の被貼着領域の間に亘って、すなわち、容器の対角位置の外表面にある第1,第2の被貼着領域の間に亘って、ラベルの長手方向の中間部の持ち手部を、容器の外表面に密着するように沿わせた状態で、長手方向の両端部の第1,第2のラベル部を、第1,第2の被貼着領域に貼着することによって、両ラベル部を容器の外表面に露出させてラベルとして使用することができる。
【0013】
(3)本発明の他の実施態様では、前記容器の前記第1の被貼着領域から前記第2の被貼着領域に亘る前記外表面は、前記容器の下面を含み、前記第1,第2のラベル部は、前記持ち手部が前記容器の上面に対向して離間できるようにして、前記容器の前記被貼着領域以外の領域に、再貼着可能である。
【0014】
この実施態様によると、ラベルの長手方向の中間部の持ち手部を、第1の被貼着領域から第2の被貼着領域の間に亘って、容器の下面を含む外表面に沿わせた状態で、第1,第2のラベル部を、第1,第2の被貼着領域に貼着するので、ラベルとして使用するときには、持ち手部は、目立たない容器の下面側に沿って位置することになる。また、第1,第2のラベル部は、持ち手部を、容器の上面に対向して離間できるようにして、容器の被貼着領域以外の領域に、再貼着するので、容器の上面に対向するように離間したラベルの持ち手部を持って手軽に持ち運ぶことができる。
【0015】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記ラベル部と前記被貼着領域との粘着力が、前記ラベル部と前記被貼着領域以外の領域との粘着力よりも弱い。
【0016】
この実施態様によると、ラベルとして使用されるときの、ラベル部と被貼着領域との粘着力は、持ち手として使用されるときの、ラベル部と被貼着領域以外の領域との粘着力よりも弱いので、ラベル部を被貼着領域から容易に剥離して、被貼着領域以外の領域に貼着して、強い粘着力で持ち手として使用することができる。
【0017】
(5)本発明の他の実施態様では、前記被貼着領域には、凹凸が形成されている。
【0018】
この実施態様によると、容器の被貼着領域には、凹凸が形成されているので、被貼着領域以外の領域に比べて、ラベル部との粘着力が弱くなり、ラベルを、被貼着領域から容易に剥離することができる。
【0019】
(6)本発明の更に他実施態様では、前記凹凸がエンボスである。
【0020】
この実施態様によると、容器の成型時にエンボスからなる凹凸を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、持ち手部を、容器の外表面に沿わせた状態で、ラベル部を、容器の被貼着領域に貼着して、ラベルとして使用できる一方、ラベル部を、被貼着領域から剥離して、持ち手部を容器の外表面から離間できるようにして、容器の被貼着領域以外の領域に、再貼着することによって、容器の外表面から離間した持ち手部を持って持ち運ぶことができる。
【0022】
これによって、当該ラベル付き容器に食品等を収容して販売される商品を購入した消費者は、レジ袋等を使用することなく、ラベルを貼り直して持ち手部を持って手軽に持ち帰ることができ、レジ袋の使用量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係るラベル付き容器の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は
図1のラベルの容器に対する貼着位置を説明するための概略側面図である。
【
図4】
図4は
図1のラベルを剥がして持ち手として再貼着した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は実験に使用した粗面を説明するための平面図である。
【
図6】
図6は本発明の他の実施形態に係るラベル付き容器の斜視図である。
【
図7】
図7は
図6のラベルを剥がして持ち手として再貼着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器の斜視図であり、
図2は、その分解斜視図であり、
図3は、ラベルの容器に対する貼着位置を説明するための概略側面図である。
【0026】
この実施形態のラベル付き容器1は、外形が直方体状の容器2と、この容器2の外表面に貼着される一定幅の帯状のラベル3とを備えており、このラベル付き容器1に、例えば、おでんや惣菜等の食品が収容されて、コンビエンスストアやスーパーマーケットの店頭で商品として販売される。
【0027】
容器2は、上方が開口された箱状の容器本体4と、この容器本体4に装着されて開口を閉塞する蓋体5とを備えている。容器本体4及び蓋体5は、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂から構成されている。
【0028】
一定幅の帯状のラベル3は、長手方向の両端部の第1,第2のラベル部31,32、及び、両ラベル部31,32の間の持ち手部33を有している。このラベル3の基材は、特に限定されず、例えば、紙、合成紙、あるいは、ポリプロピレン、ポエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン等の樹脂フィルム、ポリラミネート紙等から構成される。
【0029】
各ラベル部3
1,3
2の裏面には、
図2、
図3に示すように粘着層3a,3bが形成されており、各ラベル部3
1,3
2の表面には、
図1、
図3に示すように、印刷領域3c,3dが形成されている。
【0030】
ラベル3が、容器2に貼着された
図1に示される状態では、各ラベル部3
1,3
2の表面の印刷領域3c,3dが外方に露出し、ラベルとして使用される。この印刷領域3c,3dには、例えば、商品名、製造年月日、賞味期限、あるいは、バーコード等の情報が印刷されている。
【0031】
この帯状のラベル3では、第1のラベル部3
1が、容器本体4の、対向する前壁及び後壁の両外表面の内の一方の外表面、例えば、前面4aに貼着されると共に、
図3に示すように、持ち手部3
3を容器本体4の下面である底面4bに密着するように沿わせた状態で、第2のラベル部3
2が、他方の外表面である背面4cに貼着されて、
図1に示される状態となる。
【0032】
すなわち、帯状のラベル3は、容器本体4の底面4bと容器本体4の対角位置に亘るようにして、各ラベル部31,32が貼着される。
【0033】
この実施形態のラベル付き容器1は、
図1に示される状態で、上記のようにスーパーマーケットやコンビニエンスストア等で商品として販売される。
【0034】
この商品を購入した消費者が、エコバッグやレジ袋を使用することなく、手軽に持ち帰ることができるように、次のように構成している。
【0035】
すなわち、ラベル付き容器1の帯状のラベル3は、容器本体4の前面4a及び背面4cから各ラベル部3
1,3
2を剥がして、
図4に示すように、各ラベル部3
1,3
2を容器本体4の別の位置に再貼着することによって、持ち手部3
3を、容器2の上面を構成する蓋体5に対向するように離間させて、持ち手として使用できるようになっている。
【0036】
このように帯状のラベル3を、持ち手として使用するためには、両端部の各ラベル部31,32を、容器本体4の前面4a及び背面4cから剥がす必要がある。このため、容器本体4の前面4a及び背面4cの各ラベル部31,32が貼着される矩形の被貼着領域4as,4csは、多数の半球状のエンボス突起6が、格子状の各交点に配列形成された凹凸形成領域となっている。
【0037】
なお、エンボス突起は、平面形状が円形に限らず、楕円形、三角形、矩形、菱形等の他の形状の突起であってもよく、ドット状のドットエンボスに限らず、ライン状(線状)のラインエンボス等であってもよい。また、エンボス突起は、容器本体4のラベル3が貼着される被貼着領域の全領域に限らず、被貼着領域の少なくとも一部、例えば、中央部や外周部等に配置してもよく、被貼着領域内の、例えば、円形領域、矩形領域や環状領域等の任意の領域に配置してもよい。
【0038】
このように各ラベル部31,32が貼着される容器本体4の前面4a及び背面4cの被貼着領域4as,4csは、凹凸形成領域となっているので、容器本体4の他の領域に比べて表面の粗い粗面となっている。したがって、被貼着領域4as,4csに貼着された各ラベル部31,32は、被貼着領域4as,4cs以外の他の領域に貼着される場合に比べて、粘着力が弱く、手で容易に剥がすことができる。
【0039】
上記のように、容器本体4の前面4a及び背面4cの被貼着領域4as,4csから剥がしたラベル3の各ラベル部3
1,3
2は、ラベル3の持ち手部3
3が容器2の蓋体5に対向するように離間させて、
図4に示すように、平面視矩形の容器本体4の幅方向の両側面4d,4dに再貼着することによって、持ち手部3
3を持ち手として使用する。
【0040】
容器本体4の外表面には、ラベル3の各ラベル部31,32が貼着される容器本体4の前面4a及び背面4cの被貼着領域4as,4cs以外は、エンボス突起6などの凹凸は形成されておらず、平滑な面であり、ラベル3を再貼着した容器本体4の両側面4d,4dと各ラベル部31,32とは、容器2を持ち歩くに必要な強い粘着力を有している。
【0041】
本件発明者は、ラベルとして容器に貼着できると共に、容器から手で容易に剥がすことができる好ましい粘着力について実験を行った。
【0042】
実験では、先ず、平滑面でない複数の粗面を、次のようにして作製した。
【0043】
図5は、この粗面の一例を示す平面図である。先ず、平滑面を有するPET製の幅Wの矩形の平板10を準備する。次に、裏面に粘着層を有するPET製の一定の幅W1の直線状の線状フィルム11を、前記一定の幅W1に応じた本数準備する。この線状フィルム11の厚みは、約80μmである。
図5では、線状フィルム11を、斜線を施して示している。この線状フィルム11の幅W1は、作製する複数の各粗面にそれぞれ応じた幅である。すなわち、粗面毎に線状フィルム11の幅W1は異なる。
【0044】
このように幅W1の異なる線状フィルム11を、複数の各平板10上にそれぞれ貼着して、幅W1の異なる線状フィルム11がストライプ状に貼着された複数の粗面12をそれぞれ作製した。
【0045】
図5では、4本の線状フィルム11を、平板10上に貼着した粗面12の例を代表的に示している。
【0046】
このように平板10の平滑面上に、線状フィルム11を、ストライプ状に貼着することによって、線状フィルム11が存在する部分が凸部、線状フィルム11が存在しない部分が凹部となるストライプ状の凹凸を有する粗面12を作製した。上記のように線状フィルム11の幅W1及びその幅W1に応じた本数を異ならせることによって、異なる複数の粗面12をそれぞれ作製した。
【0047】
作製した複数の各粗面12に、平板10のサイズと略等しいラベルをそれぞれ貼着して、複数のサンプルとした。この複数の各サンプルの前記ラベルの粘着力を、JIS Z 0237(2009)に準拠して測定すると共に、剥がし易さを官能試験によって評価した。
【0048】
その結果を、下記の表1に示す。
【0049】
【表1】
サンプル数は、表1に示すように、サンプルNo.1~No.7までの7つとした。平板10の幅Wは、15.0mmとした。各サンプルNo.1~No.7では、前記線状フィルム11の幅(ストライプ幅)W1、及び、前記線状フィルム11の本数をそれぞれ次のようにした。
【0050】
すなわち、サンプルNo.1は、線状フィルム11の幅W1を0.9mm、本数を6本とし、サンプルNo.2は、線状フィルム11の幅W1を1.1mm、本数を6本とし、サンプルNo.3は、線状フィルム11の幅W1を1.8mm、本数を5本とし、サンプルNo.4は、線状フィルム11の幅W1を2.0mm、本数を5本とし、サンプルNo.5は、線状フィルム11の幅W1を2.8mm、本数を4本とし、サンプルNo.6は、線状フィルム11の幅W1を3.0mm、本数を4本とし、サンプルNo.7は、線状フィルム11の幅W1を15.0mm、本数を1本とした。
【0051】
上記のように粗面12を作製するための平板10の幅Wは、15.0mmであり、サンプルNo.7は、線状フィルム11の幅W1が、平板10の幅Wと同じであり、粗面ではなく、凹凸のない平滑面となっている。
【0052】
官能試験は、5人によって行い、各サンプルのラベルを手で剥がした際の剥がし易さを判定した。その結果、5人中5人が剥がし易いと判定したサンプルは「◎」とし、5人中4人が剥がし易いと判定したサンプルは「○」とし、剥がし易いと判定した人数が3人以下のサンプルを「×」として評価した。
【0053】
表1に示すように、「◎」で示される5人中5人が剥がし易いと判定したサンプルは、サンプルNo.1~No.4であり、「○」で示される5人中4人が剥がし易いと判定したサンプルは、サンプルNo.5であり、このサンプルNo.5の粘着力は、2.33N/10mmであった。
【0054】
また、「×」で示される、剥がし易いと判定した人数が3人以下のサンプルは、サンプルNo.6,7であり、サンプルNo.6の粘着力は、2.99N/10mmであった。
【0055】
5人の中で剥がし易いと判定した人数が3人以下では、剥がし易さが不十分であり、したがって、粘着力としては、サンプルNo.6の粘着力である2.99N/10mmよりも弱い必要がある。
【0056】
一方、サンプルNo.5のように、5人の中で4人が剥がし易いと判定すれば、好ましい剥がし易さである。
【0057】
したがって、粘着力の上限値としては、サンプルNo.6の粘着力である2.99N/10mm未満であって、サンプルNo.5の粘着力である2.33N/10mm付近の粘着力、例えば、2.4N/10mmであるのが好ましく、2.33N/10mmであるのがより好ましい。
【0058】
更に、5人の中で5人が剥がし易いと判定したサンプルNo.4の粘着力である1.70N/10mmを、粘着力の上限値とするのが、一層好ましい。
【0059】
ラベルとして使用するためには、サンプルNo.1の粘着力である0.65N/10mmでは不十分であり、サンプルNo.2の粘着力である0.94N/10mm程度の粘着力、例えば、0.9N/10mmの粘着力が必要である。
【0060】
したがって、ラベルとして使用できると共に、容易に剥がすことができる粘着力は、0.9N/10mm以上、2.4N/10mm以下であるのが好ましい。
【0061】
この実施形態では、ラベル3の第1,第2のラベル部31,32と、容器本体4のエンボス突起6が形成されている被貼着領域4as,4csとの粘着力は、0.9N/10mm以上、2.4N/10mm以下に調整されている。
【0062】
上記のように本実施形態によれば、
図1に示すように、ラベル3を容器2に貼着してラベルとして使用できると共に、当該ラベル付き容器1の商品を購入した消費者が、持ち帰るときには、ラベル3を容器2から剥がして、
図4に示すように、容器2に再貼着して持ち手部3
3を持ち手として使用して手軽に持ち帰ることができる。
【0063】
これによって、当該ラベル付き容器1に食品等を収容して販売される商品を購入した消費者は、エコバッグや袋を持参していなくても、ラベル3を貼り直して持ち帰ることができるので、レジ袋を購入する必要がなく、レジ袋の使用量を削減することができる。
【0064】
ラベル付き容器1の容器2やラベル3のサイズや形状は、上記実施形態に限らず、任意であり、例えば、
図6及び
図7に示すラベル付き容器1Aのように、有底筒状の平面視円形の容器本体4Aと、この容器本体4Aの開口を閉塞する蓋体5Aとを有する円筒型の容器2Aに、帯状のラベル3Aを、
図6に示すようにラベルとして貼着し、このラベル3Aを、容器本体4Aから剥がして、
図7に示すように再貼着して、持ち手として使用してもよい。ラベル3Aが貼着される容器本体4Aの対向する周壁の外表面の被貼着領域には、多数のエンボス突起6Aが形成されている。
【0065】
上記実施形態では、ラベル3の持ち手部3
3には、印刷領域は形成しなかったが、
図4に示すように、ラベル3の持ち手部3
3は、外部に露出した状態で使用されるので、持ち手部3
3の表面に、広告等を表示した印刷領域を形成してもよい。
【0066】
上記実施形態では、容器本体4の被貼着領域4as,4csには、エンボス突起6によって凹凸を形成したが、エンボス突起6等の凹凸に代えて、例えば、容器本体4のラベル3が貼着される被貼着領域の表面に、任意の適切な離型剤を塗布する離型処理を行って、ラベル3を剥離し易くしてもよい。この離型剤としては、例えば、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、変性ポリオレフィン系離型剤等が挙げられる。
【0067】
上記実施形態では、ラベルとして使用するときには、ラベル3の持ち手部33を容器本体4の底面4bに沿わせた状態で、各ラベル部31,32を容器本体4の対角部位に貼着したが、持ち手部33の長さを十分に確保するために、容器本体4の底面4bに沿う部分を、二つ折りや三つ折り等に折り込み格納して、折り込み端を弱い粘着力で仮止めした状態で底面4bに沿わせておき、持ち手として使用するときには、前記折り込み端から折り込み格納した持ち手部33を外方へ引き出せるようにしてもよい。この構成によれば、持ち手部33の長さを任意に設定することができる。
【0068】
容器の全体が包装フィルムで包装されて、前記包装フィルムにラベルが貼着される場合には、包装フィルムの被貼着領域に、例えば、エンボス処理、あるいは、印刷処理や離型処理を施して、剥がし易い粘着力に調整すればよい。
【符号の説明】
【0069】
1,1A ラベル付き容器
2,2A 容器
3,3A ラベル
31,32 第1,第2のラベル部
33 持ち手部
4,4A 容器本体
4as,4cs 被貼着領域
5,5A 蓋体
6,6A エンボス突起