(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112300
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】管理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01P 21/00 20060101AFI20230804BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20230804BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230804BHJP
G01P 15/00 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G01P21/00
G07C5/00 Z
G08G1/00 D
G01P15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013998
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 卓巳
(72)【発明者】
【氏名】内山 大希
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138GA02
3E138MA10
3E138MF06
3E138MF08
5H181AA01
5H181AA07
5H181BB04
5H181BB17
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF10
(57)【要約】
【課題】車載器に備えられたセンサのゼロ点補正のリモートでの実施を可能にする。
【解決手段】管理サーバ20は、車載器10から送信されたセンサ11の出力に基づいてセンサ11のゼロ点補正の要否を判定するゼロ点補正要否判定機能2111と、車載器10から送信された車載器制御プログラム及び車載器10の設定の少なくとも一方の情報に基づいて車載器制御プログラム及び車載器10の設定の少なくとも一方の更新の要否を判定する更新要否判定機能2121と、更新要否判定機能2121による判定結果を車載器10に送信する指示情報送信機能2131とを備え、指示情報送信機能2131は、ゼロ点補正要否判定機能2111によりセンサ11のゼロ点補正が必要と判定された場合、更新要否判定機能2121による判定結果を車載器10に送信する際に、センサ11のゼロ点補正の実施の指示を車載器10に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサを備える車載器と、前記車載器と通信する管理装置とを備え、前記センサの出力が前記管理装置に送信され、車載器制御プログラム及び前記車載器の設定の少なくとも一方の情報が前記車載器から前記管理装置に送信される管理システムであって、
前記管理装置は、
前記車載器から前記管理装置に送信された前記センサの出力に基づいて前記センサのゼロ点補正の要否を判定するゼロ点補正要否判定部と、
前記車載器から前記管理装置に送信された前記車載器制御プログラム及び前記車載器の設定の少なくとも一方の情報に基づいて前記車載器制御プログラム及び前記車載器の設定の少なくとも一方の更新の要否を判定する更新要否判定部と、
前記更新要否判定部による判定結果を前記車載器に送信する送信部と
を備え、
前記送信部は、前記ゼロ点補正要否判定部により前記センサのゼロ点補正が必要と判定された場合、前記更新要否判定部による判定結果を前記車載器に送信する際に、前記センサのゼロ点補正の実施の指示を、前記更新要否判定部による判定結果と共に、前記車載器に送信する管理システム。
【請求項2】
前記ゼロ点補正要否判定部は、前記車載器が搭載される車両のイグニッションのONからOFFまでの間に、前記センサのゼロ点補正の要否を判定し、
前記車載器は、前記ゼロ点補正要否判定部により前記センサのゼロ点補正が必要と判定された場合に、前記イグニッションの次回以降のONの後に前記センサのゼロ点補正を実施する請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記車載器は、カメラ付きのドライブレコーダである請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記車載器制御プログラムの情報は、バージョン情報である請求項1~3の何れか1項に記載の管理システム。
【請求項5】
センサを備える車載器と通信可能であり、前記センサの出力を前記車載器から受信し、車載器制御プログラム及び前記車載器の設定の少なくとも一方の情報を前記車載器から受信する管理装置を制御するためのプログラムであって、
前記車載器から前記管理装置に送信された前記センサの出力に基づいて前記センサのゼロ点補正の要否を判定するゼロ点補正要否判定処理と、
前記車載器から前記管理装置に送信された前記車載器制御プログラム及び前記車載器の設定の少なくとも一方の情報に基づいて前記車載器制御プログラム及び前記車載器の設定の少なくとも一方の更新の要否を判定する更新要否判定処理と、
前記更新要否判定処理による判定結果を前記車載器に送信する送信処理と
を実行し、
前記送信処理において、前記ゼロ点補正要否判定処理により前記センサのゼロ点補正が必要と判定された場合、前記更新要否判定処理による判定結果を前記車載器に送信する際に、前記センサのゼロ点補正の実施の指示を、前記更新要否判定処理による判定結果と共に、前記車載器に送信するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサを備える車載器と管理装置とを備える管理システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダ等の車載器に内蔵されている加速度センサのゼロ点補正を行う車載器が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の車載器では、加速度センサのゼロ点補正は、運転手が自ら実施することになっており、加速度センサのゼロ点補正が長期間実施されない場合には、ゼロ点補正の実施を促す表示が車載器の画面に映し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライブレコーダ等の車載器は、衝撃等により車両への取付角度が変わることがあり、その場合には、加速度センサや角速度センサ等の内蔵されたセンサのゼロ点に誤差が生じることがある。その場合には、運転手や運行管理者等が現地でセンサのゼロ点補正を実施する必要があった。例えば、車載器を設定するためのアプリケーションソフトをインストールしたタブレット等の携帯端末をBluetooth(登録商標)等の無線通信により車載器に接続してセンサのゼロ点補正を実施する必要があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、車載器に備えられたセンサのゼロ点補正をリモートで実施することが可能な管理システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の管理システムは、センサを備える車載器と、前記車載器と通信する管理装置とを備え、前記センサの出力が前記管理装置に送信され、車載器制御プログラム及び前記車載器の設定の少なくとも一方の情報が前記車載器から前記管理装置に送信される管理システムであって、前記管理装置は、前記車載器から前記管理装置に送信された前記センサの出力に基づいて前記センサのゼロ点補正の要否を判定するゼロ点補正要否判定部と、前記車載器から前記管理装置に送信された前記車載器制御プログラム及び前記車載器の設定の少なくとも一方の情報に基づいて前記車載器制御プログラム及び前記車載器の設定の少なくとも一方の更新の要否を判定する更新要否判定部と、前記更新要否判定部による判定結果を前記車載器に送信する送信部とを備え、前記送信部は、前記ゼロ点補正要否判定部により前記センサのゼロ点補正が必要と判定された場合、前記更新要否判定部による判定結果を前記車載器に送信する際に、前記センサのゼロ点補正の実施の指示を、前記更新要否判定部による判定結果と共に、前記車載器に送信する。
【0007】
本発明のプログラムは、センサを備える車載器と通信可能であり、前記センサの出力を前記車載器から受信し、車載器制御プログラム及び前記車載器の設定の少なくとも一方の情報を前記車載器から受信する管理装置を制御するためのプログラムであって、前記車載器から前記管理装置に送信された前記センサの出力に基づいて前記センサのゼロ点補正の要否を判定するゼロ点補正要否判定処理と、前記車載器から前記管理装置に送信された前記車載器制御プログラム及び前記車載器の設定の少なくとも一方の情報に基づいて前記車載器制御プログラム及び前記車載器の設定の少なくとも一方の更新の要否を判定する更新要否判定処理と、前記更新要否判定処理による判定結果を前記車載器に送信する送信処理とを実行し、前記送信処理において、前記ゼロ点補正要否判定処理により前記センサのゼロ点補正が必要と判定された場合、前記更新要否判定処理による判定結果を前記車載器に送信する際に、前記センサのゼロ点補正の実施の指示を、前記更新要否判定処理による判定結果と共に、前記車載器に送信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車載器に備えられたセンサのゼロ点補正をリモートで実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る管理システムの機能を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す管理システムにおけるセンサのゼロ点補正処理を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、
図1に示す管理システムにおけるセンサのゼロ点補正処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る管理システム1の機能を示すブロック図である。この図に示すように、管理システム1は、車載器10と、管理サーバ20と、管理者端末30とを備える。車載器10は、ドライブレコーダであり、特に本実施形態ではフォークリフトに搭載されるドライブレコーダである。
【0012】
管理サーバ20は、無線LAN(Local Area Network)、インターネット通信網、又は携帯電話通信網を介して、車載器10と通信可能に接続されている。また、管理サーバ20は、インターネット通信網を介して管理者端末30と通信可能に接続されている。
【0013】
車載器10は、加速度センサ、角速度センサ等のセンサ11と、CPU(Central Processing Unit)12と、メモリ13とを備える。センサ11は、車載器10が搭載された車両のイグニッションがONになってからOFFになるまでの間、加速度や角速度等の物理量を検出して検出情報をCPU12に出力する。センサ11から出力された検出情報は、CPU12において収集され、CPU12から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20に送信されたセンサ11の検出情報は、管理サーバ20において、センサ11のゼロ点補正のために解析される。また、管理サーバ20に送信されたセンサ11の検出情報は、時系列情報として管理者端末30に送信される。管理者端末30は、運行管理者の事務所等に設置されるPC(Personal Computer)であり、管理サーバ20から送信されたセンサ11の検出情報をモニタ(不図示)に表示させる。
【0014】
メモリ13は、車載器10を制御するためのプログラム(以下、車載器制御プログラムという)、車載器制御プログラムに関する情報(以下、プログラム情報という)、及び車載器10の設定に関する情報(以下、設定情報という)等を記憶している。
【0015】
CPU12は、センサ情報収集処理部121と、センサ情報送信処理部122と、車載器情報送信処理部123と、車載器情報更新処理部124とを備える。センサ情報収集処理部121は、センサ11から出力された検出情報を収集する機能(検出情報収集機能)1211を備える。また、センサ情報送信処理部122は、検出情報収集機能1211により収集された検出情報を管理サーバ20に送信する機能(収集情報送信機能)1221を備える。
【0016】
車載器情報送信処理部123は、プログラム情報と設定情報とを管理サーバ20に送信する機能(プログラム・設定情報送信機能)1231を備える。プログラム情報としては、車載器制御プログラムのバージョン情報、車載器制御プログラムの更新日時等の情報が挙げられる。また、設定情報としては、録画・録音設定に関する情報、機能設定に関する情報が挙げられる。
【0017】
録画・録音設定に関する情報としては、録画画質、録画サイズ(解像度)、フレームレート、カメラの設定(画像補正、輝度、ナイトビジョンのON/OFF、上下反転のON/OFF、鏡像のON/OFF)、イベント録画領域、上書き禁止、録音のON/OFF等が挙げられる。また、機能設定に関する情報としては、イベント録画を行う際に検知する加速度(G)の大きさ、タイムスタンプ(GPS情報に基づく時刻・位置・速度等の録画ファイルへの記録)のON/OFF、画面表示のON/OFF、画面の明るさ等が挙げられる。
【0018】
プログラム・設定情報送信機能1231は、車載器10が搭載された車両のイグニッションがONになった直後に、車載器制御プログラムのバージョン情報等を管理サーバ20に送信する。また、プログラム・設定情報送信機能1231は、車載器10が搭載された車両のイグニッションがONになった直後に、車載器10の録画・録音設定に関する情報、機能設定に関する情報等を管理サーバ20に送信する。
【0019】
車載器情報更新処理部124は、センサ11のゼロ点補正を実施する機能(ゼロ点補正機能)1241と、車載器制御プログラムと車載器10の設定とを更新する機能(プログラム・設定更新機能)1242とを備える。これらについては後述する。
【0020】
管理サーバ20は、CPU21とメモリ22とを備える。CPU21は、解析処理部211と、車載器情報判定処理部212と、情報送信処理部213とを備える。メモリ22には、CPU21の機能を実行するためのプログラムに加えて、車載器制御プログラム、及び車載器制御プログラムのバージョン情報と、車載器10の録画・録音設定、機能設定の指定情報とが記録されている。メモリ22に記憶されている車載器制御プログラムは、最新バージョンのプログラムである。また、メモリ22に記憶されている録画・録音設定、機能設定の指定情報は、録画・録音設定、機能設定を所定の設定に指定する情報である。この所定の設定としては、録画・録音の設定はON、タイムスタンプの設定はON等が挙げられる。
【0021】
解析処理部211は、センサ11のゼロ点補正の要否を判定する機能(ゼロ点補正要否判定機能)2111を備える。ゼロ点補正要否判定機能2111は、収集情報送信機能1221により送信されたセンサ11の時系列の検出情報を解析することにより、センサ11のゼロ点補正の要否を判定する。
【0022】
センサ11のゼロ点補正の要否の判定方法は、センサ11のオフセット誤差が所定の閾値以上であるか否かにより行う。例えば、加速度センサのオフセット誤差は、加速度センサがオフセット位置にあるときの出力値と最適値との偏差である。多軸の加速度センサの各軸のオフセット誤差は、下記(1)式により算出できる。
オフセット誤差=(鉛直下向きの加速度の平均値+鉛直上向きの加速度の平均値)/2 …(1)
【0023】
鉛直下向きの加速度の平均値は、加速度センサの各軸の鉛直下向きの加速度を所定時間(例えば10秒)測定して得た出力値の平均値である。また、鉛直上向きの加速度の平均値は、加速度センサの各軸の鉛直上向きの加速度を所定時間(例えば10秒)測定して得た出力値の平均値である。
【0024】
角速度センサの各軸のオフセット誤差は、加速度センサの各軸のオフセット誤差とは異なり、静止した状態の各軸の角速度を平均するだけで得ることができる。即ち、静止した状態で角速度センサの各軸の角速度を測定して得た出力値の平均値を、角速度センサの各軸のオフセット誤差とすることができる。
【0025】
ゼロ点補正要否判定機能2111は、センサ11のオフセット誤差が所定の閾値以上であるか否かにより、センサ11のゼロ点補正の要否を判定する。
【0026】
車載器情報判定処理部212は、車載器制御プログラムと車載器10の設定との更新の要否を判定する機能(更新要否判定機能)2121を備える。更新要否判定機能2121は、車載器10が搭載された車両のイグニッションがONになった直後、プログラム・設定情報送信機能1231により送信された車載器制御プログラムのバージョン情報とメモリ22に記憶されている車載器制御プログラムのバージョン情報とが一致するか否かを判定する。プログラム・設定情報送信機能1231により送信された車載器制御プログラムのバージョン情報とメモリ22に記憶されている車載器制御プログラムのバージョン情報とが一致しない場合には、車載器制御プログラムの更新が必要となる。
【0027】
更新要否判定機能2121は、車載器10が搭載された車両のイグニッションがONになった直後、プログラム・設定情報送信機能1231により送信された車載器10の設定情報と、メモリ22に記憶された車載器10の録画・録音設定、機能設定の指定情報とが一致するか否かを判定する。プログラム・設定情報送信機能1231により送信された設定情報における車載器10の設定と、メモリ22に記憶された車載器10の録画・録音、機能についての指定の設定とが一致しない場合には、車載器10の設定の更新が必要となる。
【0028】
情報送信処理部213は、センサ11のゼロ点補正処理の指示と、車載器制御プログラムの更新の要否と、車載器10の設定の更新の要否とを送信する機能(指示情報送信機能)2131を備える。指示情報送信機能2131は、ゼロ点補正要否判定機能2111によりセンサ11のゼロ点補正が必要と判定された車載器10に対して、センサ11のゼロ点補正処理の指示と、車載器制御プログラム及び車載器10の更新の要否とを、1回のデータ通信で送信する。他方で、指示情報送信機能2131は、ゼロ点補正要否判定機能2111によりセンサ11のゼロ点補正が不要と判定された車載器10に対して、車載器制御プログラム及び車載器10の更新の要否を、1回のデータ通信で送信する。
【0029】
車載器情報更新処理部124のゼロ点補正機能1241は、指示情報送信機能2131からセンサ11のゼロ点補正処理の実施の指示を含む情報を受信した場合、受信した当該指示をメモリ13に記憶させる。そして、車両の次回以降のイグニッションのON時にメモリ13に当該指示が記憶されている場合に、ゼロ点補正機能1241は、センサ11のゼロ点補正処理を実施する。センサ11のゼロ点補正処理は、従来から公知の方法で実施すればよい。例えば、車両の走行開始前にセンサ11のゼロ点(オフセット)を設定すればよい。なお、車両が水平な位置に停車して水平姿勢をとっている時にセンサ11のゼロ点補正処理を実施することが好ましく、車両が傾斜した位置に停車して傾斜姿勢をとっている時にはセンサ11のゼロ点補正処理を禁止することが好ましい。
【0030】
プログラム・設定更新機能1242は、指示情報送信機能2131により車載器制御プログラムの更新を含む情報が送信された場合、メモリ13に記憶されている車載器制御プログラムを更新する。また、プログラム・設定更新機能1242は、指示情報送信機能2131により車載器10の設定の更新を含む情報が送信された場合、車載器10の設定を更新する。
【0031】
図2及び
図3は、管理システム1におけるセンサ11のゼロ点補正処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示すゼロ点補正処理は、車載器10が起動されると開始されてステップS1に移行する。車載器10は、フォークリフト等の車両のイグニッションがONになると自動的に起動される。
【0032】
ステップS1において、ゼロ点補正機能1241は、センサ11のゼロ点補正処理の実施の指示を示す情報がメモリ13に記憶されているか否かを判定する。ステップS1において肯定判定がされた場合にステップS2に移行し、ステップS1において否定判定がされた場合にステップS3に移行する。
【0033】
ステップS2において、ゼロ点補正機能1241は、センサ11のゼロ点補正処理を実施する。なお、車載器10が搭載された車両がトラック等の坂道を走行するようなものである場合には、車両の傾斜角度に基づいてセンサ11のゼロ点補正の実施の可否を判断することが好ましい。ステップS2からステップS3に移行する。
【0034】
ステップS3において、ゼロ点補正要否判定機能2111は、センサ11のオフセット誤差を算出する。例えば、所定時間(例えば10秒)、センサ11の各軸の鉛直上向き及び鉛直下向きの加速度の平均値を算出し、これらの平均値に基づいてオフセット誤差を算出する。ステップS3からステップS4に移行する。
【0035】
ステップS4において、ゼロ点補正要否判定機能2111は、ステップS3において算出したセンサ11のオフセット誤差が所定の閾値以上であるか否かを判定する。ステップS4において肯定判定がされた場合にはステップS5に移行し、ステップS4において否定判定がされた場合には
図3のステップS17に移行する。
【0036】
ステップS5において、更新要否判定機能2121は、プログラム・設定情報送信機能1231により送信されたプログラム情報の車載器制御プログラムのバージョンが旧バージョンであるか否かを判定する。ステップS5において肯定判定がされた場合にはステップS6に移行し、ステップS5において否定判定がされた場合にはステップS7に移行する。
【0037】
ステップS6において、更新要否判定機能2121は、プログラム・設定情報送信機能1231により送信された設定情報における車載器10の設定が、メモリ22に記憶された指定の設定と相違するか否かを判定する。ステップS6において肯定判定がされた場合にはステップS8に移行し、ステップS6において否定判定がされた場合にはステップS9に移行する。
【0038】
ステップS7では、ステップS6と同様の処理が実施される。ステップS7において肯定判定がされた場合にはステップS10に移行し、ステップS7において否定判定がされた場合にはステップS11に移行する。
【0039】
ステップS8において、指示情報送信機能2131は、センサ11のゼロ点補正処理の指示、及び車載器制御プログラム及び車載器10の設定の更新の指示を含む指示情報を、1回のデータ通信で車載器情報更新処理部124に送信する。また、ステップS9において、指示情報送信機能2131は、センサ11のゼロ点補正処理の指示、及び車載器制御プログラムの更新の指示を含む指示情報を、1回のデータ通信で車載器情報更新処理部124に送信する。ここで、ステップS9において送信される指示情報には、車載器10の設定の更新の指示は含まれない。ステップS8及びステップS9からステップS12に移行する。
【0040】
ステップS10において、指示情報送信機能2131は、センサ11のゼロ点補正処理の指示、及び車載器10の設定の更新の指示を含む指示情報を、1回のデータ通信で車載器情報更新処理部124に送信する。ここで、ステップS10において送信される指示情報には、車載器制御プログラムの更新の指示は含まれない。
【0041】
また、ステップS11において、指示情報送信機能2131は、センサ11のゼロ点補正処理の指示を含む指示情報を、1回のデータ通信で車載器情報更新処理部124に送信する。ここで、ステップS11において送信される指示情報には、車載器制御プログラム及び車載器10の設定の更新の指示が含まれない。ステップS10及びステップS11からステップS12に移行する。
【0042】
ステップS12において、ゼロ点補正機能1241は、ゼロ点補正処理の実施の指示をメモリ13に記憶させる。そして、車両の次回以降のイグニッションのON時に、ゼロ点補正機能1241は、センサ11のゼロ点補正処理を実施する(ステップS2)。ステップS12からステップS13に移行する。
【0043】
ステップS13において、プログラム・設定更新機能1242は、ステップS8~S11において受信した指示情報に、車載制御プログラムの更新の指示が含まれているか否かを判定する。ステップS13において肯定判定がされた場合にはステップS14に移行し、ステップS13において否定判定がされた場合にはステップS15に移行する。
【0044】
ステップS14において、プログラム・設定更新機能1242は、管理サーバ20から最新バージョンの車載制御プログラムを受信し、メモリ13に記憶させる。プログラム・設定更新機能1242は、車両のイグニッションがOFFになった後に、車載器制御プログラムを最新バージョンに更新する。ステップS14からステップS15に移行する。
【0045】
ステップS15において、プログラム・設定更新機能1242は、ステップS8~S11において受信した指示情報に、車載器10の設定の更新の指示が含まれているか否かを判定する。ステップS15において肯定判定がされた場合にはステップS16に移行し、ステップS15において否定判定がされた場合には処理を終了する。
【0046】
ステップS16において、プログラム・設定更新機能1242は、管理サーバ20から車載器10の設定の指定情報を受信し、車載器10の設定を指定情報に従って更新する。以上で処理を終了する。
【0047】
図3に示すステップS17において、更新要否判定機能2121は、プログラム・設定情報送信機能1231により送信されたプログラム情報の車載器制御プログラムのバージョンが旧バージョンであるか否かを判定する。ステップS17において肯定判定がされた場合にはステップS18に移行し、ステップS17において否定判定がされた場合にはステップS19に移行する。
【0048】
ステップS18において、更新要否判定機能2121は、プログラム・設定情報送信機能1231により送信された車載器10の設定とメモリ22に記憶された車載器10の指定の設定とが相違するか否かを判定する。ステップS18において肯定判定がされた場合にはステップS20に移行し、ステップS18において否定判定がされた場合にはステップS21に移行する。
【0049】
ステップS19では、ステップS18と同様の処理が実施される。ステップS19において肯定判定がされた場合にはステップS22に移行し、ステップS19において否定判定がされた場合にはステップS23に移行する。
【0050】
ステップS20において、指示情報送信機能2131は、車載器制御プログラム及び車載器10の設定の更新の指示を含む指示情報を、1回のデータ通信で車載器情報更新処理部124に送信する。ここで、ステップS20において送信される指示情報には、センサ11のゼロ点補正処理の指示は含まれない。
【0051】
ステップS21において、指示情報送信機能2131は、車載器制御プログラムの更新の指示を含む指示情報を、1回のデータ通信で車載器情報更新処理部124に送信する。ここで、ステップS21において送信される指示情報には、センサ11のゼロ点補正処理の指示、及び車載器10の更新の指示は含まれない。
【0052】
ステップS22において、指示情報送信機能2131は、車載器10の設定の更新の指示を含む指示情報を、1回のデータ通信で車載器情報更新処理部124に送信する。ここで、ステップS22において送信される指示情報には、センサ11のゼロ点補正処理の指示、及び車載器制御プログラムの更新の指示は含まれない。
【0053】
また、ステップS23において、指示情報送信機能2131は、センサ11のゼロ点補正処理の指示、及び車載器制御プログラム及び車載器10の設定の更新の指示の何れも含まない指示情報を、1回のデータ通信で車載器情報更新処理部124に送信する。ステップS20~S23から
図2のステップS13に移行し、上述のステップS13~S16が実施されて処理を終了する。
【0054】
以上、本実施形態の管理システム1では、管理サーバ20が、更新要否判定機能2121により、車載器10から送信されたプログラム情報及び設定情報に基づいて車載器制御プログラム及び車載器10の設定の更新の要否を判定する。そして、管理サーバ20は、指示情報送信機能2131により、更新要否判定機能2121による更新要否の判定結果を車載器10に送信する。
【0055】
ここで、管理サーバ20は、ゼロ点補正要否判定機能2111により、車載器10から送信されたセンサ11の出力に基づくセンサ11のゼロ点補正の要否を判定している。そして、管理サーバ20は、センサ11のゼロ点補正が必要である場合には、指示情報送信機能2131により、更新要否判定機能2121による更新要否の判定結果を車載器10に送信する際に、センサ11のゼロ点補正処理の実施の指示を、更新要否判定機能2121による更新要否の判定結果と共に、車載器10に送信する。
【0056】
これにより、センサ11にオフセット誤差が生じた車載器10に対して、現地での作業員や運転手等による作業を要すること無く、センサ11のゼロ点補正をリモートで実施することが可能となる。特に、本実施形態では、車載器10がカメラ付きのドライブレコーダであり、フォークリフト等の作業車に取り付けられる。ドライブレコーダの作業車に対する取付位置や取付角度は、ドライブレコーダに加わった衝撃により変化したり、作業員により変えられたりする可能性がある。この場合、ドライブレコーダに内蔵されたセンサ11にオフセット誤差が生じ得る。即ち、本実施形態では、センサ11のゼロ点補正の実施が必要となる状況が生じ易い。従って、本実施形態では、センサ11のゼロ点補正をリモートで実施できることの効果がより大きなものとなる。
【0057】
また、本実施形態の管理システム1では、定期的に実施される車載器制御プログラム及び車載器10の設定の更新要否の確認の際における車載器10と管理サーバ20との間のデータ通信に、センサ11のゼロ点補正の実施の指示の情報を含める。これにより、センサ11のゼロ点補正の機会を過不足無く確保することが可能になる。例えば、車両のイグニッションのONからOFFまでの間に1回、車載器制御プログラム及び車載器10の設定の更新要否の確認を行うことにより、センサ11のゼロ点補正を車両の1回の走行の度に行うことができる。
【0058】
ここで、ゼロ点補正要否判定機能2111によるゼロ点補正の要否の判定には一定の時間を要する。そのため、車両のイグニッションがONになってからゼロ点補正要否判定機能2111によるセンサ11のゼロ点補正の要否の判定が終了するまでの間に、車載器10が搭載された車両が走行を開始することも考えられる。この場合、センサ11のゼロ点補正を実施するために、センサ11の出力の中断を余儀なくされる。
【0059】
それに対して、本実施形態の管理システム1では、管理サーバ20が、ゼロ点補正要否判定機能2111により、車載器10が搭載される車両のイグニッションのONからOFFまでの間に、センサ11のゼロ点補正の要否を判定する。そして、車載器10は、ゼロ点補正機能1241により、センサ11のゼロ点補正の指示をメモリ13に記憶させ、次回のイグニッションのONの後に、当該指示をメモリ13から読み出して、センサ11のゼロ点補正処理を実施する。これにより、車載器10が搭載された車両の走行開始前にセンサ11のゼロ点補正の実施の機会を確保できる。従って、車両の走行開始前にセンサ11のゼロ点補正処理を実施したうえで、車両の走行開始後に、センサ11の出力を継続することが可能になる。
【0060】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよく、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。例えば、上記実施形態では、車載器10をドライブレコーダとしたが、デジタルタコグラフやカーナビゲーションシステムや運転支援システム等の他の車載器にも本発明を適用できる。
【0061】
また、上記実施形態の管理システム1では、ゼロ点補正要否判定機能2111、更新要否判定機能2121、指示情報送信機能2131を管理サーバ20に設けたが、これらの少なくとも一つの機能を管理者端末30に設けてもよい。
【0062】
また、上記実施形態の管理システム1では、車両の次回のイグニッションのONの後にセンサ11のゼロ点補正処理を実施したが、車両のイグニッションのOFFの後に実施する等、センサ11のゼロ点補正処理を実施するタイミングは、適宜設定すればよい。
【0063】
さらに、上記実施形態の管理システム1では、車載器制御プログラム及び車載器10の設定の双方の更新の要否を判定し、その判定結果と共にセンサ11のゼロ点補正処理の指示を送信した。しかしながら、車載器制御プログラム及び車載器10の設定の何れか一方の更新の要否を判定し、その判定結果と共にセンサ11のゼロ点補正処理の指示を送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 :管理システム
10 :車載器
11 :センサ
20 :管理サーバ(管理装置)
211 :解析処理部(ゼロ点補正要否判定部)
2111:ゼロ点補正要否判定機能(ゼロ点補正要否判定部)
212 :車載器情報判定処理部(更新要否判定部)
2121:更新要否判定機能(更新要否判定部)
213 :情報送信処理部(送信部)
2131:指示情報送信機能(送信部)