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  • 特開-地盤改良工法および改良体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112322
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】地盤改良工法および改良体
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20230804BHJP
【FI】
E02D3/12 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014044
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000150110
【氏名又は名称】株式会社竹中土木
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100174207
【弁理士】
【氏名又は名称】筬島 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】尾山 雄基
(72)【発明者】
【氏名】森 守正
(72)【発明者】
【氏名】松川 宏志
(72)【発明者】
【氏名】河野 貴穂
(72)【発明者】
【氏名】杉本 南
(72)【発明者】
【氏名】影山 勇輝
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AA01
2D040AB03
2D040BA01
2D040BA03
2D040CA01
2D040CA05
2D040CA09
2D040CA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】排気ガスに含まれる二酸化酸素(CO)を有効利用すること、具体的には、コンプレッサー等のプラント施設や改良機から発生する排気ガスを固定し、かつ、排気ガスに含まれるCOを改良体の造成に有効利用することによりカーボンニュートラルの実現に寄与する、地球環境性に優れた地盤改良工法および同工法により造成される改良体を提供する。
【解決手段】二酸化酸素(CO)と接触するとCOを吸収して固化する固化材1を用いて改良体Kを造成する地盤改良工法であって、重機3、プラント機械等の排気ガス排出部13とコンプレッサーとを連結して前記コンプレッサーから圧縮された排気ガス2を、改良機のロッド5へ送り出す構成とし、前記ロッド5の噴射孔15から前記排気ガス2と共に前記固化材1を噴射し、前記固化材1が前記排気ガス2に含まれるCOを吸収して炭酸化反応を促進させて固化することで改良体Kを造成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化酸素(CO)と接触するとCOを吸収して固化する固化材を用いて改良体を造成する地盤改良工法であって、
重機、プラント機械等の排気ガス排出部とコンプレッサーとを連結して前記コンプレッサーから圧縮された排気ガスを改良機のロッドへ送り出す構成とし、前記ロッドに設けた噴射孔から前記排気ガスと共に前記固化材を噴射し、前記固化材が前記排気ガスに含まれるCOを吸収して炭酸化反応を促進させて固化することで改良体を造成することを特徴とする、地盤改良工法。
【請求項2】
前記排気ガス排出部と前記コンプレッサーとを連結した構成に脱硫ユニットを介在させて、前記コンプレッサーから、硫黄酸化物等の不純物を除去して圧縮されたCOを前記改良機のロッドへ送り出す構成とすることを特徴とする、請求項1に記載した地盤改良工法。
【請求項3】
前記固化材の製造に用いる練り混ぜ水を飽和炭酸水とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載した地盤改良工法。
【請求項4】
改良地盤内にマイクロバブル等の空気含有流体を注入する構成とすることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載した地盤改良工法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載した地盤改良工法を用いて造成されることを特徴とする改良体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地盤改良工法の技術分野に属し、更にいえば、CJG工法(高圧噴射撹拌工法)、RAS-JET工法(高圧噴射撹拌併用機械撹拌工法)、及びEXCEED工法(エアー併用機械撹拌工法)等のロッド先端部等に噴射手段を備えた地盤改良工法(高圧噴射撹拌工法)の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現に向けて、二酸化酸素(CO)の削減や固定、吸収等が必要となり、多くの建設業界がその対応に取り組んでいる。
【0003】
前記地盤改良工法について、例えば、前記CJG工法(高圧噴射撹拌工法)は、超高圧水と空気と固化材(硬化材)を使用し、三重管ロッドの先端に装着したモニターから超高圧水に空気を沿わせて地盤を掘削し、下方から固化材を充填させ、回転させつつ引き上げることにより地盤に1.0m~2.0mの円柱状の改良体を造成する工法である。
前記RAS-JET工法(高圧噴射撹拌併用機械撹拌工法)は、大口径撹拌翼の側面部から高圧固化材(高圧硬化材)を噴射することにより、他の構造体との密着改良、オーバーラップ改良を可能にした地盤改良工法である。最大径(φ)3600mmの改良体を造成でき、仕様によってはN値50程度の硬質砂層にも適用可能である。
前記EXCEED工法(エアー併用機械撹拌工法)は、従来のCDM工法、CDM-Mega工法を基本とし、エアー併用削孔、内圧緩和翼等の補助装置および地盤・機械・材料特性を総合的に判断し、独自の施工規定を設けることにより効率的に径(φ)1600mm×2軸の大口径施工を可能とした工法である。
【0004】
例示した前記3つの地盤改良工法は、共通して、コンプレッサー(のエアー)と改良機との組み合わせで施工するものであるが、コンプレッサー等のプラント施設や改良機から発生する排気ガスに含まれるCOの処理、固定等については、何ら対策が講じられないのが実情である。
【0005】
ところで、近年、二酸化酸素(CO)と接触するとCOを吸収(炭酸化反応)して固化する特殊混和材を原料とするセメントを含む固化材が注目されている(特許文献1参照)。
また、今年、特許文献2(に係る地盤改良材及びその製造方法)が開示され、その明細書の段落[0008]には、二酸化炭素の排出量が8,000mgを超えるものは、製造が困難であり、また、スラリー調製直後のpHが過度に低くなり(11.6未満)、地盤と地盤改良材を混合した際の改良体の強度が大きく低下する旨の記載が認められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-234084号(特許第5957283号)公報
【特許文献2】特開2021-134282号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記地盤改良工法の施工時に発生する前記排気ガスについて、前記排気ガスに含まれる二酸化酸素(CO)を固定・吸収して改良体を造成する等、有効利用することができれば、カーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現に向けて、より有益であることは明らかである。
【0008】
したがって、本発明の目的は、上述した背景技術の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、前記地盤改良工法の施工時に発生する前記排気ガスについて、前記排気ガスに含まれる二酸化酸素(CO)を有効利用すること、具体的には、コンプレッサー等のプラント施設や改良機から発生する排気ガスを固定し、かつ、排気ガスに含まれるCOを改良体の造成に有効利用することによりカーボンニュートラルの実現に寄与する、地球環境性に優れた地盤改良工法および同工法により造成される改良体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る地盤改良工法は、二酸化酸素(CO)と接触するとCOを吸収して固化する固化材を用いて改良体を造成する地盤改良工法であって、
重機、プラント機械等の排気ガス排出部とコンプレッサーとを連結して前記コンプレッサーから圧縮された排気ガスを改良機のロッドへ送り出す構成とし、前記ロッドに設けた噴射孔から前記排気ガスと共に前記固化材を噴射し、前記固化材が前記排気ガスに含まれるCOを吸収して炭酸化反応を促進させて固化することで改良体を造成することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した地盤改良工法において、前記排気ガス排出部と前記コンプレッサーとを連結した構成に脱硫ユニットを介在させて、前記コンプレッサーから、硫黄酸化物等の不純物を除去して圧縮されたCOを前記改良機のロッドへ送り出す構成とすることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した地盤改良工法において、前記固化材の製造に用いる練り混ぜ水を飽和炭酸水とすることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載した発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載した地盤改良工法において、改良地盤内にマイクロバブル等の空気含有流体を注入することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載した発明に係る改良体は、請求項1~4のいずれかに記載した地盤改良工法を用いて造成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る地盤改良工法および改良体によれば、地盤改良工法の施工時に発生する排気ガスについて、前記排気ガスに含まれる二酸化酸素(CO)を有効利用すること、具体的には、コンプレッサー等のプラント施設や改良機から発生する排気ガスを固定し、かつ、排気ガスに含まれるCOを吸収する等して改良体の造成に有効利用することでカーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現に寄与できるので、地球環境性に優れた地盤改良工法を実現することができる。
請求項2に係る地盤改良工法によれば、二酸化炭素(CO)の供給量を、効率よく供給できるので、より効果的に地球環境性に優れた地盤改良工法を実現することができる。
請求項3、4に係る地盤改良工法によれば、二酸化炭素(CO)の供給量を、飛躍的に多く供給できるので、より効果的に地球環境性に優れた地盤改良工法を実現することができる。
また、特許文献2(に係る地盤改良材及びその製造方法)には、二酸化炭素の排出量が多いことに伴い、製造困難、強度低下等が懸念される旨の記載が認められるが、本発明に係る固化材(スラリー)に含まれる特殊混和材を用いると、二酸化炭素を吸着する効果を発揮するので、造成される改良体(コンクリート)の製造困難、強度低下等を懸念する必要はなく、従来の圧縮空気を供給して造成する改良体と同程度(の高品質)の改良体を造成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る地盤改良工法を概略的に示した模式図である。
図2】本発明に係る地盤改良工法を概略的に示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る地盤改良工法及び改良体の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
本発明に係る地盤改良工法は、図1に示したように、二酸化酸素(CO)と接触するとCOを吸収して固化する固化材(スラリー)1を用いて改良体Kを造成する地盤改良工法であり、重機(図示例ではボーリングマシン)3、プラント機械等の排気ガス排出部13とコンプレッサー4(図2も合わせて参照参照)とを連結して前記コンプレッサー4から圧縮された排気ガス2を改良機(ボーリングマシン)3のロッド5へ送り出す構成とし、前記ロッド5に設けた噴射孔15から前記排気ガス2と共に前記固化材1を噴射し、前記固化材1が前記排気ガス2に含まれるCOを吸収して炭酸化反応を促進させて固化することで改良体Kを造成する地盤改良工法である。
【0018】
ちなみに、図1中の符号6はスイベル(二重管スイベル)を示し、符号Xはスイベル6に設けた固化材注入口を示し、符号Yはスイベル6に設けた圧縮エアー注入口を示し、符号9はスライムピットを示し、符号Gは地盤を示し、符号Dは改良径を示し、符号Nはロッド5の引き上げ方向を示している。また、図2中の符号7は脱硫ユニットを示し、符号10は配管(ホース)を示し、符号10Yは、前記コンプレッサー4と前記圧縮エアー注入口Yとを連結する配管(ホース)を示し、符号Sは排気ガス2の経路を示し、符号Tはエアー(二酸化炭素)2の経路を示している。
なお、図1図2はそれぞれ、本発明に係る地盤改良工法を模式的に示したものであり、ボーリングマシン3等の図面が整合していない場合もあるが、図1図2で同一の符号を付したものは同一の構成部材を指すことを念のため申し添える。
【0019】
地盤改良工法は、今日、多種多様な手段があり実施に供されているが、その中で本発明が適用対象とするのは、改良体造成時に圧縮空気を供給(噴射)する手段を備えた地盤改良工法であり、例えば、上述したような、CJG工法(高圧噴射撹拌工法)、RAS-JET工法(高圧噴射撹拌併用機械撹拌工法)、又はEXCEED工法(エアー併用機械撹拌工法)が挙げられる。
【0020】
本発明は、前記した上記した地盤改良工法を施工する装置に標準装備されている圧縮空気を噴射する手段を利用して、前記圧縮空気に代えて、近年問題となっている二酸化酸素(CO)、特には重機(ボーリングマシン、改良機)3、プラント機械等から排出される排気ガス2に含まれる二酸化炭素を固定し、有効利用することを目的としている。
要するに、本発明は、前記排気ガス2をコンプレッサー4のエアーに用いることにより、前記エアーの噴出させる手段を備えた地盤改良工法に適用し、もって、カーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現に向けて貢献する技術的思想に立脚している。
【0021】
そのため、本発明は、改良体(コンクリート)Kを造成するのに用いられる固化材(スラリー)1の主たる構成要素であるセメントの一部の代替材料として、二酸化酸素(CO)と接触するとCOを吸収(炭酸化反応)して硬化(固化)することにより改良体Kを硬化・緻密化させる性質を有する特殊混和材を使用している。本発明に係る固化材1は、この特殊混和材のほか、石炭灰、その他の産業副産物を利用することでセメント使用量を大幅に低減している。これらのセメント代替材料は、化学工場から排出される副生消石灰を原料とするので地球環境性にも優れている。
【0022】
すなわち、本発明に係る地盤改良工法は、従来一般の改良体(固化材1)の主な材料が、水とセメントと骨材の3種であるのに対し、本発明に係る改良体K(固化材1)の主な材料が、水とセメントと骨材に、前記特殊混和材と前記石炭灰を加えた5種である点が大きく相違する。
また、従来一般の改良体の養生方法が、水中養生又は気中養生であるのに対し、本発明に係る改良体Kの養生方法が、二酸化酸素(CO)養生である点も大きく相違する。
さらに、これに伴い、従来一般の改良体(コンクリート)の硬化反応が、水とセメントとの水和反応であるのに対し、本発明に係る改良体(コンクリート)Kの硬化反応が、水とセメントとの水和反応と、二酸化酸素(CO)と特殊混和材との炭酸化反応である点も大きく相違する。
【0023】
以上要するに、本発明に係る地盤改良工法は、二酸化酸素(CO)を有効利用することにより、重機(ホーリングマシン、改良機)3、プラント機械等の排気ガス2に含まれる二酸化酸素(CO)を固定し、吸収して改良体Kを造成して利用することはもとより、改良体K造成のために二酸化酸素(CO)が不足すると判断される場合は、効率よくかつ十分に供給するべく、下記の手段を適宜実施する。
例えば、図2に示したように、前記排気ガス排出部13と前記コンプレッサー4とを連結した構成に脱硫ユニット7を介在させて、前記コンプレッサー4から硫黄酸化物等の不純物を除去して圧縮されたCOを効率よく抽出したものを供給する(請求項2記載の発明)。また、必要に応じて、前記水(練り混ぜ水)に代えて飽和炭酸水を用いる(請求項3記載の発明)。さらに、必要に応じて改良地盤G内にマイクロバブル等の空気含有流体を注入する(請求項4記載の発明)。これら3つ(3種)の手段は、いずれか1つを採用して実施することもできるし、いずれか2つを採用して実施することもできるし、3つすべてを採用して実施することもできる。要は、高品質な改良体Kを造成するのに必要十分な二酸化酸素(CO)を供給できることを条件に適宜採択される。
【0024】
具体的に、図1に係る地盤改良工法は、二重管スイベル6を用いた高圧噴射撹拌工法であり、前記二重管スイベル6の固化材注入口Xに、前記固化材(スラリー)1を注入し、圧縮エアー注入口Yに、圧縮された排気ガス(図示例では、脱硫ユニット4により硫黄酸化物等の不純物を除去したCO)2を注入し、前記ロッド5の内部を通じて、前記ロッド5の先端部に設けた噴出孔15から、前記圧縮された二酸化炭素(CO)2と共に、前記固化材1を噴射し、前記固化材1が前記COを吸収して炭酸化反応を促進させて固化することで改良体Kを造成する。
【0025】
この地盤改良工法に用いる固化材(スラリー)1は、水とセメントと骨材に、前記特殊混和材と前記石炭灰を加えた5種を主な原料としたもので製造され、前記固化材注入口Xへ供給(注入)される。前記固化材注入口Xへ供給された固化材1は、前記二重管スイベル6を介してロッド5内へ供給され、ロッド5の先端部に設けられた噴出孔15から噴出されて改良体Kを造成する(前記固化材(スラリー)1の製造プラントの図示は省略。)
前記固化材1の原料に前記特殊混和材を用いる意義は、上記したように、二酸化酸素(CO)を吸収(炭酸化反応)して固化することで改良体Kを造成するためにある。
なお、構造設計上、重機等の排気ガス2だけで二酸化炭素(CO)の供給量不足が懸念される場合、前記水(練り混ぜ水)に代えて飽和炭酸水を用いる等の工夫(請求項3記載の発明)は適宜行われる。
【0026】
一方、前記圧縮エアー注入口Yに供給(注入)される排気ガス2は、そのまま前記圧縮エアー注入口Yへ供給する場合もあるが、本実施例では、より多くの二酸化炭素(CO)2を供給するべく、図2に示したように、前記排気ガス排出部13と前記コンプレッサー4とを連結した構成に脱硫ユニット7を介在させて、前記重機(ボーリングマシン等)3のみならず、前記コンプレッサー4から排出される排出ガス2に含まれる二酸化炭素(CO)2も固定・吸収することにより、前記コンプレッサー4から、前記脱硫ユニット7により硫黄酸化物等の不純物を除去して圧縮された二酸化炭素(CO)2を前記圧縮エアー注入口Yを通じて前記改良機3のロッド5へ送り出す構成で実施している(請求項2記載の発明)。
【0027】
なお、本実施例では、二重管スイベル6を用いて実施しているが、勿論これに限定されず、上記したCJG工法で実施する場合は、二重管スイベル6に代え、超高圧水を供給するための3つめの注入口を備えた三重管スイベルを用いて、ほぼ同様に実施することができ、所要の改良体Kを造成することができる。
【0028】
この実施例に係る地盤改良工法によれば、地盤改良工法の施工時に発生する排気ガス2について、前記排気ガス2に含まれる二酸化酸素(CO)2を有効利用すること、具体的には、重機(ボーリングマシン、改良機)3やコンプレッサー4等のプラント施設から発生する排気ガスを固定し、かつ、排気ガスに含まれるCOを吸収する等して改良体Kの造成に有効利用することでカーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現に寄与できるので、地球環境性に優れた地盤改良工法を実現することができる。
【0029】
さらに前記改良体Kの品質をより高めるべく、前記スイベル6(二重管スイベル又は三重管スイベル)と前記ロッド5との間に、マイクロバブル等の空気含有流体を発生させる装置(図示略)を介在させ、当該マイクロバブル等の空気含有流体を発生させることにより、二酸化炭素(CO)2の供給量を飛躍的に増やして改良体K造成時に必要な二酸化炭素(CO)2の量はもとより、養生に必要な二酸化炭素(CO)2を十分に供給する技術的工夫も必要に応じて行われる。
【0030】
以上、実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0031】
1 固化材(スラリー)
2 圧縮された排気ガス(等のエアー)
3 重機(ボーリングマシン、改良機)
4 コンプレッサー
5 ロッド
6 スイベル(二重管スイベル)
7 脱硫ユニット
9 スライムピット
10 配管
10Y 配管
13 排気ガス排出部
15 噴出孔
D 改良径
G 地盤
K 改良体
N 引き上げ方向
S 排気ガスの経路
T エア(二酸化炭素)の経路
X 固化材注入口
Y 圧縮エアー注入口
図1
図2