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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112333
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】分岐流路形成方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20230804BHJP
   F16L 41/06 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
F16L55/00 C
F16L41/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014062
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴大
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019CA07
3H019CB01
3H019CB02
(57)【要約】
【課題】複数の分岐流路を簡便に構成できる分岐流路形成方法を提供する。
【解決手段】既設流体管1に連通する分岐流路を不断流状態で形成する分岐流路形成方法であって、開閉弁43,44により開閉可能な配管部41,42を複数有する分岐筐体2を、管軸方向に離間する既設流体管1a,1bの間に設置する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設流体管に連通する分岐流路を不断流状態で形成する分岐流路形成方法であって、
開閉弁により開閉可能な配管部を複数有する分岐筐体を、管軸方向に離間する既設流体管の間に設置することを特徴とする分岐流路形成方法。
【請求項2】
前記分岐筐体により既設流体管を密封状に囲繞した後、該分岐筐体内で前記既設流体管を切断することを特徴とする請求項1に記載の分岐流路形成方法。
【請求項3】
前記分岐筐体内において、管軸方向に離間して設けられた一方の配管部と他方の配管部との間の位置で前記既設流体管を切断し、
前記既設流体管の切断箇所に管内流体を制御する制流体を配置することを特徴とする請求項2に記載の分岐流路形成方法。
【請求項4】
前記制流体はバタフライ弁であって、
前記開閉弁を閉塞した状態で、開状態の前記バタフライ弁を前記既設流体管の切断箇所に配置することを特徴とする請求項3に記載の分岐流路形成方法。
【請求項5】
前記既設流体管の管軸方向の2箇所をそれぞれ前記分岐筐体により密封状に囲繞し、各前記分岐筐体の各配管部を管路構成部材により接続することを特徴とする請求項3または4に記載の分岐流路形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設流体管に連通する分岐流路を不断流状態で形成する分岐流路形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水やガス等が流れる既設流体管で構成される管網にあっては、既設流体管の交換や流体管の新設が行われることがある。近年では、このような工事は不断流状態で行われることが多い。
【0003】
管内流体の流れを制御する制流装置として、例えば特許文献1に示されるようなものがある。特許文献1に示される制流装置は、割T字管(筐体)と、切換弁(制流体)とから主に構成されている。この切換弁は、弁ケーシングと、弁ケーシングに対して上下に相対移動可能な弁体と、を備え、弁ケーシングには分岐管に連通する連通孔が形成されており、弁体には既設流体管の上流側と弁ケーシングとを連通する内部通路が形成されている。
【0004】
制流装置を設置する工法には、既設流体管の一部を割T字管で囲繞し、該割T字管内で該既設流体管を不断流状態で切除した後、割T字管の分岐部に切換弁を接続するものがある。弁体が弁ケーシング内に収容される位置にあるときには、弁体により分岐側に連通する連通孔が閉塞されるため、流体は既設流体管内を上流側から下流側に流れるようになっている。一方、弁体が既設流体管内の流路を遮断する位置にあるときには、弁体により連通孔が開放されるため、既設流体管内の流体は弁体に設けられた内部通路を通って分岐管に流れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06-050491号公報(第4頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような制流装置にあっては、既設流体管から不断流状態で分岐流路を構成できるものの、複数の分岐流路を構成する場合には、既設流体管の複数箇所に制流装置を設置する工事が必要となり、手間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、複数の分岐流路を簡便に構成できる分岐流路形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の分岐流路形成方法は、
既設流体管に連通する分岐流路を不断流状態で形成する分岐流路形成方法であって、
開閉弁により開閉可能な配管部を複数有する分岐筐体を、管軸方向に離間する既設流体管の間に設置することを特徴としている。
この特徴によれば、管軸方向に離間する既設流体管の間に分岐筐体を設置する一回の工事で、複数の配管部を介して管内流体を複数に分岐させることができる。
【0009】
前記分岐筐体により既設流体管を密封状に囲繞した後、該分岐筐体内で前記既設流体管を切断することを特徴としている。
この特徴によれば、分岐筐体内で既設流体管を切断するため、分岐筐体を管軸方向に離間する既設流体管の間に不断流状態で設置するための密封ケースを別個に必要としない。
【0010】
前記分岐筐体内において、管軸方向に離間して設けられた一方の配管部と他方の配管部との間の位置で前記既設流体管を切断し、
前記既設流体管の切断箇所に管内流体を制御する制流体を配置することを特徴としている。
この特徴によれば、制流体の制御状態に応じて一方および他方の開閉弁の開閉状態をそれぞれ変更することで、工事時における分岐筐体における制流体を挟んだ両側の空間の管内流体の制御を細やかに行うことができる。
【0011】
前記制流体はバタフライ弁であって、
前記開閉弁を閉塞した状態で、開状態の前記バタフライ弁を前記既設流体管の切断箇所に配置することを特徴としている。
この特徴によれば、開状態のバタフライ弁を設置するため、バタフライ弁に作用する流体圧を低減でき、バタフライ弁を簡便に切断箇所に配置できる。
【0012】
前記既設流体管の管軸方向の2箇所をそれぞれ前記分岐筐体により密封状に囲繞し、各前記分岐筐体の各配管部を管路構成部材により接続することを特徴としている。
この特徴によれば、2つの分岐筐体の間の既設流体管に対して不断流状態で交換などの施工を行うことができるとともに、一方の配管部から管路構成部材を介して他方の配管部に流体を流すことができるため、2つの分岐筐体の間の既設流体管に流体を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は本発明の実施例1において既設流体管に筐体を取付けた状態を示す上面図、(b)は同じく側面図、(c)は同じく管軸方向から見た図である。
図2】(a)は実施例1において筐体に第1配管及び第2配管を取付けた状態を示す上面図、(b)は同じく側面図、(c)は同じく管軸方向から見た図である。
図3】(a)は実施例1において筐体に作業弁と切断装置を取付けた状態を示す側面図、(b)は同じく管軸方向から見た図である。
図4】(a)は実施例1において作業弁の上に挿入装置を取付けた状態を示す側面図、(b)は同じく管軸方向から見た図である。
図5】(a)は実施例1において制流装置が設置された状態を示す上面図、(b)は同じく管軸方向から見た一部破断図である。
図6】実施例1において制流装置を側方から見た一部破断図である。
図7】本発明の実施例2における一対の制流装置を既設流体管に取付けた状態を示す上面図である。
図8】(a)は実施例2における他方の制流装置を側方から見た一部破断図、(b)は同じく管軸方向から見た図である。
図9】本発明の実施例3における一対の制流装置を既設流体管に取付けた状態を示す上面図である。
図10】(a)は実施例3における一方の制流装置を側方から見た一部破断図、(b)は同じく管軸方向から見た破断図である。
図11】(a)は本発明の実施例4における制流装置を示す上面図、(b)は同じく側方から見た図、(c)は同じく管軸方向から見た図である。
図12】本発明の実施例5における既設流体管の切断工程を示す概略図である。
図13】実施例5における既設流体管の切断箇所に筐体を設置する途中の工程を示す概略図である。
図14】実施例5における既設流体管の切断箇所への筐体の設置が完了した状態を示す概略図である。
図15】(a)は本発明の実施例6における制流装置が設置された状態を示す上面図、(b)は同じく側方から見た図である。
図16】(a)は本発明の実施例7における制流装置が設置された状態を示す上面図、(b)は同じく側方から見た図、(c)は筐体の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る制流装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0015】
実施例1に係る制流装置および制流装置を用いた分岐流路形成方法につき、図1から図6を参照して説明する。
【0016】
図1に示されるように、上水道としてのダクタイル鋳鉄製等の既設流体管1が地中に埋設されている。尚、本実施例では流体管内の流体は上水であるが、本実施例の上水に限らず、例えば工業用水や農業用水、下水の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。また、本実施例では、図1(a),(b)の紙面右側から紙面左側に既設流体管1の管内流体が流れる形態を説明する。尚、本発明に係る既設流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらに尚、既設流体管の内周面はエポキシ樹脂層、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。
【0017】
図5および図6を参照して、本実施例においては、管路構成部材としての貯水槽20を新設する場合に、制流装置10を用いて、主流路を構成する既設流体管1の管内流体が、貯水槽20に経由して元の主流路に戻る流路を不断流状態にて構成する形態を例に挙げ説明する。
【0018】
制流装置10は、切断された既設流体管1a,1bの間に配設される筐体2と、筐体2から延びる第1配管41および第2配管42と、第1配管41および第2配管42に取付けられる第1開閉弁43および第2開閉弁44と、筐体2内に設置される制流体としてのバタフライ弁8と、から主に構成されている。尚、制流装置10を構成する各部材については、制流装置10の組立手順とともに後に詳述する。
【0019】
次いで、制流装置10の組立手順について説明する。図1に戻って、先ず、貯水槽20の設置個所に応じた既設流体管1の適宜の位置に上下2分割構造の筐体2により密封状に囲繞する。既設流体管2に筐体2を取付ける際には、筐体2の下方に図示しないコンクリート基礎を形成し、筐体2の周辺の重量を支持して既設流体管1の折れ曲がり等を防止する。尚、筐体2や後述する切断装置6や挿入装置7の重量を支持できるものであれば、コンクリート基礎に限られず、ジャッキ等を用いてもよい。
【0020】
筐体2は、既設流体管1の外周面に沿って軸方向両側それぞれに延びるスリーブ2a,2aと、筐体2を構成する上部ケース2Aから上方に向けて延びる作業筒部2bと、筐体2を構成する下部ケース2Bから管軸に対し略直交方向を向く開口部2d,2eと、を備えている。これら開口部2d,2eは、既設流体管1よりも小径に形成されているため、筐体2はコンパクトに構成されている。
【0021】
作業筒部2bの上端には、フランジ2cが設けられている。また、開口部2d,2eは、既設流体管1の管軸よりも下方位置で管軸方向に離間して設けられている。また、下部ケース2Bにおける開口部2d,2eとは反対側の側面には、底部近傍にドレン用開口部2fが設けられている。
【0022】
各スリーブ2a,2aの端部には、筐体2内周面と既設流体管1外周面との間に図示しない環状のシール材が配置されている。
【0023】
図2に示されるように、各スリーブ2a,2aの端部のシール材を分割構造の押輪3により保持することで、既設流体管1に対して筐体2が密封状に取付けられる。
【0024】
次に、開口部2dに一方の配管部としての第1配管41を取付け、開口部2eに他方の配管部としての第2配管42を取付ける。この第1配管41および第2配管42は略水平に延びた後上方に立ち上がり、その後さらに略水平に延びており、既設流体管1の管軸方向から見て略Z形状を成している。尚、本実施例では、開口部2d,2eと第1配管41および第2配管42は溶接により接続される形態を例示するが、フランジ接続されてもよいし、溶着や接着により接続されてもよい。
【0025】
次いで、第1配管41および第2配管42の端部に第1開閉弁43および第2開閉弁44を取付けるとともに、ドレン用開口部2fにドレン用開閉弁45を取付ける。これら筐体2、第1配管41および第2配管42、第1開閉弁43および第2開閉弁44は、分岐筐体を構成している。
【0026】
尚、本実施例では、既設流体管1に筐体2を取付けた状態で第1配管41、第2配管42、第1開閉弁43、第2開閉弁44、ドレン用開閉弁45を取付ける形態を例示したが、予め、第1配管41、第2配管42、第1開閉弁43、第2開閉弁44、ドレン用開閉弁45を取付けた筐体2を既設流体管1に設置するようになっていてもよい。また、第1開閉弁43及び第2開閉弁44は、開口部2d,2eと第1配管41および第2配管42の間に配置されていてもよい。
【0027】
次に、図3に示されるように、フランジ2cの上に作業弁5を設置するとともに、作業弁5の上に切断装置6を密封状に設置し、筐体2内で既設流体管1を切断する。作業弁5は、図示された弁筐体と、この弁筐体内をスライド可能に構成された図示しない弁体とから主として構成されており、筐体2の作業筒部2bを開閉可能としている。切断装置6は、下端に穿孔刃を備えた円筒状のホールソーであるカッター61と、カッター61を収容可能なケース62と、カッター61を回転駆動かつ上下に進退駆動させるロッド63と、から構成されている。
【0028】
既設流体管1の切断について説明すると、第1開閉弁43および第2開閉弁44を閉塞するとともに、作業弁5により作業筒部2bを開放し、カッター61を回転動作させながら下方へ進行させる。カッター61の回転動作及び下降動作により、既設流体管1が順次切断され、管軸方向に離間する一方の既設流体管1aと他方の既設流体管1bとに分断される(図6参照)。第1開閉弁43および第2開閉弁44は閉塞されているため、第1配管41および第2配管42から外部に管内流体が漏れることが防止される。その後、カッター61を既設流体管1の切片とともにケース62内に引き上げ、作業弁5により作業筒部2bを閉塞し、作業弁5から切断装置6を取外す。
【0029】
尚、本実施例ではカッター61がホールソーである形態を例示したが、これに限られず、ワイヤーソーやエンドミル等であってもよい。
【0030】
次に、図4に示されるように、作業弁5の上に挿入装置7を密封状に設置し、筐体2内の切断箇所である既設流体管1a,1bの間に制流体としてのバタフライ弁8を設置する。挿入装置7は、バタフライ弁8を収容可能なケース71と、バタフライ弁8を上下に進退駆動させるロッド72と、から構成されている。
【0031】
また、図4図5および図6に示されるように、バタフライ弁8は、開口81aを有する仕切壁81と、開口81aを開閉軸82a周りに開閉自在な弁体82と、仕切壁81の上部と一体的に形成される上蓋部83と、から構成されている。仕切壁81の外側面および上蓋部83の外周面にはシール部材が固定されている。
【0032】
図4に戻って、バタフライ弁8の設置について説明すると、作業弁5により作業筒部2bを開放するとともに、バタフライ弁8の開口81aを開放した状態で挿入装置7により下方へ進行させる。挿入装置7によるバタフライ弁8の下降動作により、筐体2における既設流体管1a,1bの間の位置にバタフライ弁8が位置決めされる。
【0033】
図5および図6に示されるように、バタフライ弁8が位置決めされた状態にあっては、仕切壁81が管軸方向に略直交しており、仕切壁81の外側面のシール部材が筐体2の内側面及び底面に亘って膨出して設けられた段部2gに密封状に圧接されるとともに、上蓋部83の外周面のシール部材が作業筒部2bの内側面に亘って膨出して設けられた段部2hに密封状に圧接されるようになっている。
【0034】
次いで、筐体2に対してバタフライ弁8を固定する。筐体2に対するバタフライ弁8の固定は、作業筒部2bの周方向に複数設けられた仮止めボルト9を内方に螺挿することによりバタフライ弁8を筐体2に仮固定するとともに、前述した挿入装置7および作業弁5を取外し、フランジ2cに抜け止めリング11を取付ける。これにより、バタフライ弁8が筐体2から外れることが防止され、制流装置10の組立が完了する。
【0035】
その後、図5に示されるように、第1開閉弁43と貯水槽20を接続管12により接続するとともに、第2開閉弁44と貯水槽20を接続管13により接続した後、第1開閉弁43および第2開閉弁44を開放する。このときには、バタフライ弁8の開度を調整しつつ第1開閉弁43および第2開閉弁44を開放することで、管内流体が一気に貯水槽20側に流れ込むことを抑制できるとともに、管内流体のメインの流れを止めずに貯水槽20への管内流体の導入を行える。
【0036】
貯水槽20への管内流体の導入が完了すると、第1開閉弁43および第2開閉弁44を一旦閉じ、貯水槽20の耐圧確認後、バタフライ弁8の開口81aを閉塞するとともに、第1開閉弁43および第2開閉弁44を開放する。
【0037】
これにより、管内流体は、上流側の既設流体管1aから、筐体2内におけるバタフライ弁8よりも既設流体管1a側の空間、第1配管41、接続管12、貯水槽20、接続管13、第2配管42、及び筐体2内におけるバタフライ弁8よりも既設流体管1b側の空間を経て、下流側の既設流体管1bに流れるようになる。これによれば、貯水槽20内を経由して管内流体が常に流れるため、貯水槽20内の流体が長期間滞留することを防止できる。
【0038】
以上説明したように、本発明の制流装置10は、筐体2におけるバタフライ弁8よりも既設流体管1a側の空間と、筐体2におけるバタフライ弁8よりも既設流体管1b側の空間と、が第1配管41および第2配管42と貯水槽20を介して連通可能であるため、バタフライ弁8の開閉状態に応じて第1開閉弁43および第2開閉弁44の開閉状態をそれぞれ変更することで、工事時における管内流体の制御を細やかに行うことができる。例えば、新設した貯水槽20に導入する管内流体の流量をバタフライ弁8、第1開閉弁43および第2開閉弁44により細やかに調整できる。
【0039】
また、1つの制流装置10のみにより上流側の既設流体管1aから貯水槽20を経由して下流側の既設流体管1bに戻る管内流体の流れを形成できる。
【0040】
また、第1配管41および第2配管42は、筐体2における既設流体管1a,1bの管軸よりも下方位置から延びているので、ホールソーであるカッター61により上方から切断された既設流体管1a,1bの切断端部の管壁が管内流体の流れを阻害しないので、筐体2内で渦流などが生じにくく、管内流体を取込みやすい。より詳しくは、円筒状のカッター61により上下方向に切断された既設流体管1a,1bの切断端部は、上下の管頂側が凹状に湾曲形成されるとともに、上下方向の中央側が凸状に延出している。よって管内流体は、既設流体管1a,1bの切断端部の上下の管頂側から管外への流動性が高く、筐体2の下方位置から延びる第1配管41および第2配管42内に管内流体を取込みやすい。
【0041】
また、制流体はバタフライ弁8であるため、第1開閉弁43および第2開閉弁44の操作に加えて、バタフライ弁8を操作することにより管内流体の制御を更に細やかに行うことができる。
【0042】
また、筐体2には、既設流体管1の切断やバタフライ弁8を設置するための作業筒部2bが第1配管41および第2配管42とは別に設けられているので、かかる作業を行いやすく、バタフライ弁8の構造も簡素にできる。
【0043】
本発明の分岐流路形成方法は、第1開閉弁43および第2開閉弁44により開閉可能な第1配管41および第2配管42を有する筐体2を、管軸方向に離間する既設流体管1a,1bの間に設置するため、筐体2を設置する1回の工事で第1配管41および第2配管42を介して管内流体を複数に分岐させることができる。
【0044】
また、筐体2により既設流体管1を密封状に囲繞した後、筐体2内で既設流体管1を切断するため、筐体2を軸方向に離間する既設流体管1a,1bの間に不断流状態で設置するための密封ケースを別個に必要としない。
【0045】
また、筐体2内において、管軸方向に離間して設けられた第1配管41および第2配管42の間の位置で既設流体管1を切断し、既設流体管1a,1bの間に管内流体を制御するバタフライ弁8を配置する。これによれば、バタフライ弁8の開閉状態に応じて第1開閉弁43および第2開閉弁44の開閉状態をそれぞれ変更することで、工事時における筐体2におけるバタフライ弁8を挟んだ両側の空間の管内流体の制御を細やかに行うことができる。
【0046】
また、バタフライ弁8の開口81aを開放した状態で該バタフライ弁8を既設流体管1a,1bの間の位置に配置するため、バタフライ弁8を設置中に受ける管内流体の圧力を低減でき、バタフライ弁8を既設流体管1a,1bの間に簡便に設置することができる。
【実施例0047】
次に、実施例2に係る制流装置および制流装置を用いた分岐流路形成方法につき、図7および図8を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0048】
図7および図8に示されるように、本実施例2の制流装置は、既設管路の施工箇所Zを管軸方向に挟んだ位置にそれぞれ設けられる2つの筐体200A,200Bと、接続管201,201’および接続管15とから主に構成されている。
【0049】
筐体200Aには、既設流体管1a,1b間の流路を遮断する制流体としてのプラグ800が配置されている。プラグ800は、開口を有さない仕切壁800aと、仕切壁800aの上部と一体的に形成される上蓋部800bと、から構成されている。仕切壁800aの外側面のシール部材は筐体200Aの段部2gに密封状に圧接されているとともに、上蓋部83の外周面のシール部材は筐体200Aの段部2hに密封状に圧接されている(特に図8参照)。
【0050】
筐体200Aにおける下部には、既設流体管1aに連通する第1配管241と、既設流体管1bに連通する第2配管242とが放射状に延びている。第1配管241および第2配管242は筐体200Aの一の側壁から互いに離れる方向に湾曲した後、平行になるように延びている。これにより、第1配管241および第2配管242の長さを短くしつつ、第1配管241および第2配管242の間隔を確保できるようになっている。
【0051】
また、筐体200Aにおける上部には、空気弁14がプラグ800よりも既設流体管1b側に設けられている。
【0052】
第1配管241および第2配管242の端部には、第1開閉弁243および第2開閉弁244が設けられ、第1開閉弁243および第2開閉弁244は、接続管201により接続されている。この接続管201は、第1開閉弁243との接続部201aと、第2開閉弁244との接続部201bと、第3開閉弁245との接続部201cと、を備えている。
【0053】
一方、筐体200Bは、筐体200Aと対称形状であり、下流側の既設流体管1cに連通する第1配管241’と、既設流体管1bに連通する第2配管242’と、第1開閉弁243’、第2開閉弁244’、第3開閉弁245’と、接続管201’と、空気弁14’と、プラグ800と、を備えている。
【0054】
筐体200Aの第3開閉弁245と、筐体200Bの第3開閉弁245’とは、接続管15により接続されている。これら接続管201,201’および接続管15は、第1配管241,241’及び第2配管242,242’を接続する管路構成部材としてのバイパス管(分岐管)を構成している。
【0055】
既設流体管1bを不断流状態にて新しい流体管に交換する手順は、先ず、既設流体管1の後述する管交換の施工箇所Zを挟むように軸方向に離間して2つの筐体200A,200Bを取付け、筐体200A,200B内で既設流体管1を切断した後、筐体200A,200B内にプラグ800をそれぞれ配置し筐体200A,200Bのフランジ2cに蓋部材19を取付けることでプラグ800を筐体200A,200B内に固定する。このとき、第1開閉弁243,243’および第3開閉弁245,245’を開状態とし、第2開閉弁244,244’を閉状態とすることにより、接続管201,201’および接続管15がバイパス流路として機能するため、既設流体管1aから既設流体管1cへの管内流体の流れを止めることなく、プラグ800をそれぞれ設置することができる。
【0056】
プラグ800を設置した後、施工箇所Zにて既設流体管1bを新しい流体管(図示略)に交換する。次いで、第2開閉弁244,244’を開放し、新しい流体管内に管内流体を充填し、該流体管の耐圧確認後、第1開閉弁243,243’および第2開閉弁244,244’を閉じる。このとき、空気弁14,14’により新しい流体管内の空気を抜くことができるので、新しい流体管内を管内流体で満たすことができる。
【0057】
次いで、プラグ800を筐体200A,200Bから撤去するとともに、接続管201,201’および接続管15を撤去することで、既設流体管1bを不断流状態にて新しい流体管に交換する作業が完了する。尚、接続管201,201’および接続管15は撤去せずに、新たな管路として残してもよい。
【0058】
このように、接続管201,201’および接続管15により管内流体のメインの流れを止めずに、第2開閉弁244,244’を開放することで、新しい流体管内に管内流体が一気に流れ込むことを抑制できる。また、管内流体の流れを既設流体管1a,1b,1cまたは接続管201,201’および接続管15に状況に応じて変更することができる。
【実施例0059】
次に、実施例3に係る制流装置および制流装置を用いた分岐流路形成方法につき、図9及び図10を参照して説明する。尚、前記実施例2と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0060】
図9及び図10に示されるように、本実施例3の筐体300Aは、一方の配管部としてのバイパス用配管部301と、他方の配管部としてのドレン用配管部302と、バイパス用配管部301を開閉する開閉弁303と、ドレン用配管部302を開閉する開閉弁304と、制流体としてのプラグ305と、を備えている。
【0061】
ドレン用配管部302の流路断面積は、バイパス用配管部301の流路断面積よりも小さくなっている。
【0062】
本実施例3の筐体300Bは、バイパス用配管部301’と、ドレン用配管部302’と、開閉弁303’と、開閉弁304’と、プラグ305と、を備えている。
【0063】
開閉弁303と開閉弁303’とはバイパス管306により接続されている。開閉弁303,303’を開放することによりバイパス管306を介して既設流体管1aから既設流体管1bに管内流体を流すことができるので、既設流体管1bを新たな流体管に不断流状態で交換することができる。
【0064】
また、既設流体管を切断するときには、開閉弁304,304’を開放することでドレン用配管部302,302’を介して切粉を外部に排出することができる。尚、既設流体管を切断後には、開閉弁304,304’を開放し、ドレン用配管部302,302’を介して既設流体管1aまたはバイパス管306から分岐させた管内流体や、既設流体管1aの管内流体とは別の外部流体を導入することで、新たな流体管に流体を充填するようになっていてもよい。
【実施例0065】
次に、実施例4に係る制流装置および制流装置を用いた分岐流路形成方法につき、図11を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。尚、説明の便宜上、図11(b)では、第1開閉弁406、第2開閉弁408、接続管409の図示を省略している。
【0066】
図11に示されるように、本実施例4の筐体400は、バタフライ弁401よりも既設流体管1a側の空間に連通する第1配管402,403と、バタフライ弁401よりも既設流体管1b側の空間に連通する第2配管404,405と、を備えている。
【0067】
第1配管402および第2配管404は、既設流体管1a,1bの管軸よりも下方位置に配置されており、第1配管403および第2配管405は、既設流体管1a,1bの管軸よりも上方位置に配置されている。
【0068】
第1配管402,403には第1開閉弁406が設けられ、第2配管404,405には第2開閉弁408が設けられている。第1開閉弁406および第2開閉弁408は接続管409を介して種々の管路構成部材に接続されている。
【0069】
このように筐体400の複数箇所から第1配管402,403および第2配管404,405が延びていることから、第1配管402,403および第2配管404,405の流路断面積を増やすことができ、第1配管402,403および第2配管404,405に向けて分岐する管内流体の圧力損失を抑制することができる。
【0070】
また、第1配管402,403および第1配管402,403は、既設流体管1a,1bの管軸よりも上下にずれているので、既設流体管1a,1bの端部側壁が管内流体の流れを阻害せず、管内流体を流れが良好である。
【実施例0071】
次に、実施例5に係る制流装置および制流装置を用いた分岐流路形成方法につき、図12図14を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0072】
図12に示されるように、本実施例5の分岐流路形成方法は、先ず、作業用の密封ケース16を既設流体管1に取付け、密封ケース16の上方に作業弁5を取付け、作業弁5の上方に切断装置6を取付ける。このときには、予め密封ケース16における既設流体管1の外周面に継輪17,17を管軸方向に離間させて外嵌させておく。この継輪17,17は、密封ケース16に設けられた図示しない操作手段の外部からの操作により管軸方向に移動可能となっている。その後、作業弁5を開放し、カッター61を回転動作させながら下方へ進行させ、既設流体管1を既設流体管1a,1bに切断する(図13参照)。継輪17,17は、既設流体管1a,1bの外周面にそれぞれ配置される。既設流体管1の切断後は、作業弁5を閉塞する。
【0073】
次いで、図13に示されるように、作業弁5から切断装置6を取外すとともに、作業弁5の上方に挿入装置7を取付ける。挿入装置7のロッド72の先端には本実施例5の制流装置500が取付けられている。尚、制流装置500は、実施例1における筐体2、第1配管41および第2配管42、第1開閉弁43および第2開閉弁44、バタフライ弁8が予め組み立てられた状態のものである。
【0074】
その後、図14に示されるように、作業弁5を開放し、ロッド72により制流装置500を下降させ、既設流体管1a,1bの間に制流装置500を配置する。その後、密封ケース16の外部から前記操作手段を操作して継輪17,17を筐体2に近付け、継輪17,17の一部を筐体2におけるフランジ2j,2jよりも既設流体管1a,1b側に突出する小径部(図示略)に外嵌させる。継輪17の内周面には、管軸方向に離間して一対のシールリング(図示略)が固定されており、一方のシールリングは筐体2の小径部の外周面に圧接され、他方のシールリングは既設流体管1a,1bの外周面に圧接されるようになっている。これにより、制流装置500と既設流体管1a,1bとの間が密封される。
【0075】
次いで、密封ケース16を取外し、継輪17,17のフランジ17a,17aと筐体2のフランジ2j,2jとをボルトナットにより連結するとともに、既設流体管1a,1bの外周面に抜止めリング18,18を溶接固定し、抜止めリング18,18と継輪17,17のフランジ17b,17bとをボルトナットにより連結する。制流装置500と既設流体管1a,1bとの接続後、第1開閉弁43および第2開閉弁44に種々の管路構成部材を接続することで分岐流路の形成が完了する。
【実施例0076】
次に、実施例6に係る制流装置および制流装置を用いた分岐流路形成方法につき、図15を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。尚、図15(b)では説明の便宜上、接続管606の図示を省略する。また、本実施例では、図15(a),(b)の紙面左側(既設流体管1b側)から紙面右側(既設流体管1a側)に管内流体が流れる形態を説明する。
【0077】
図15に示されるように、本実施例6の筐体600は、この筐体600内に設けられるバタフライ弁8よりも既設流体管1a側(下流側)の空間に連通する第1配管601と、バタフライ弁8よりも既設流体管1b側(上流側)の空間に連通する第2配管602および分岐管603と、を備えている。尚、既設流体管1aの下流側には、バルブ630を介して既設流体管1a’が接続されている。
【0078】
第1配管601及び第2配管602の流路断面積は、既設流体管1a,1bの流路断面積よりも小さくなっている。また、第1配管601及び第2配管602は、それぞれの先端に設けられた第1開閉弁604、第2開閉弁605を介して、接続管610により接続されている。
【0079】
分岐管603は、筐体600において第1配管601及び第2配管602とは反対方向に延びており、筐体600の上部ケース600Aと下部ケース600Bにそれぞれ半周状に形成された半管部同士を密封して構成されている。尚、第1配管601及び第2配管602は、分岐管603と同方向に設けられていてもよい。また、第1配管601及び第2配管602は、筐体の側面から延出されることに限られず、筐体の底面から延出されるように設けられていてもよい。
【0080】
また、分岐管603の流路断面積は、既設流体管1a,1bの流路断面積とほぼ同じ大きさに形成されている。分岐管603の先端には、開閉弁としてのバタフライ弁620が取付けられており、バタフライ弁620には接続管606を介して既設流体管1a’が接続されている。また、接続管606と既設流体管1a’との間にはバルブ640が設けられている。
【0081】
バタフライ弁620およびバルブ640を開放するとともに、バタフライ弁8、第1開閉弁604、第2開閉弁605、バルブ630を閉塞することで、例えば既設流体管1aを新たな流体管に交換する作業を不断流状態で行うことができる。尚、このとき、第1開閉弁604および第2開閉弁605は両方閉塞されることに限られず、いずれか一方のみが閉塞されるようになっていてもよい。さらに尚、バルブ630,640に代えて筐体600と対称形状の筐体を配置してもよい。
【0082】
既設流体管1aを新たな流体管に交換後、第1開閉弁604および第2開閉弁605を開放することで流路断面積の小さい第1配管601及び第2配管602を介して新たな流体管に管内流体を緩やかに充填することができる。
【0083】
新たな流体管に管内流体を充填後、バタフライ弁8およびバルブ630を開放することで、新たな流体管側に管内流体を流すとともに、バタフライ弁620およびバルブ640を閉塞して接続管606への流れを停止する。分岐管603の流路断面積は、既設流体管1a,1bの流路断面積とほぼ同じ大きさに形成されているため、分岐管603に向けて分岐する管内流体の流量を確保するとともに、圧力損失を抑制することができる。尚、バタフライ弁8およびバルブ630の開放状態にあっては、第1開閉弁604および第2開閉弁605は、両方閉塞状態であってもよいし、両方開放状態またはいずれか一方が閉塞状態であってもよい。
【0084】
尚、本実施例では、分岐管603がバタフライ弁8よりも既設流体管1b側のみに設けられる形態を例示したが、既設流体管1a,1b両側に、既設流体管1a,1bとほぼ同じ流路断面積を有する分岐管が設けられていてもよい。また、分岐管603は既設流体管1a,1bの流路断面積よりも大きく形成されていてもよい。
【0085】
また、本実施例6の筐体600は、既設流体管1aを使用しない流路を構成する際に用いることもできる。この場合、筐体600を設置後、バタフライ弁8およびバルブ630を閉塞し、バタフライ弁620を開放することで、管内流体が既設流体管1b、分岐管603、接続管606、既設流体管1a’に流れる流路を構成できる。尚、この場合、既設流体管1aを撤去しても構わない。
【0086】
さらに、本実施例6の筐体600は、主流路と分岐流路とを構成する際に用いることもできる。この場合、筐体600を設置後、接続管606を図示しない管路構成部材に接続し、バタフライ弁8、バルブ630、バタフライ弁620を開放することで、管内流体が既設流体管1bから既設流体管1a,1a’に流れる主流路と、分岐管603、接続管606、管路構成部材に流れる分岐流路と、を構成できる。
【実施例0087】
次に、実施例7に係る制流装置および制流装置を用いた分岐流路形成方法につき、図16を参照して説明する。尚、前記実施例6と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0088】
図16に示されるように、本実施例7の筐体700の下部ケース700Bの中央部には、下方に有底筒状に膨出する膨出部730が設けられており、膨出部730の側部に既設流体管1a,1bの流路断面積とほぼ同じ流路断面積の分岐管703が設けられている。分岐管703にはバタフライ弁620が取付けられている。この分岐管703は、既設流体管1a,1bの下端よりも下方位置にて配設されている。
【0089】
また、下部ケース700Bには、分岐管703の上端よりも上方位置で且つ既設流体管1a,1bの下端よりも下方位置において、既設流体管1a側の側面750から既設流体管1b側の側面751に向けて延びる区画壁740が形成されている。区画壁740の既設流体管1b側の端部は、下部ケース700Bにおける既設流体管1b側の側面751から管軸方向に離間しており、すなわちこの離間部分は常時開放の流路として形成されている。
【0090】
また、バタフライ弁8の仕切壁81の外側面のシール部材は、区画壁740の既設流体管1b側の端部上面、下部ケース700Bの内周面、上部ケース700Aの内周面に亘って膨出して設けられた段部700gに密封状に圧接されるようになっているとともに、上蓋部83の外周面のシール部材は、作業筒部700bの内側面に亘って膨出して設けられた段部700hに密封状に圧接されるようになっている。
【0091】
筐体700は、バタフライ弁8よりも既設流体管1a側の空間S1と、バタフライ弁8よりも既設流体管1b側の空間S2と、に区画されている。空間S1には、第1配管601が連通し、空間S2には第2配管602及び分岐管703が連通している。
【0092】
膨出部730により筐体700内には、管内流体を大量に収容できるため、分岐管703に向けて分岐する管内流体の圧力損失を抑制することができる。
【0093】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0094】
例えば、前記実施例では、制流体をバタフライ弁やプラグとして説明したが、管内流体を制御するものであればこれに限られず、切換弁や仕切弁等、種々の制流体に変更できる。
【0095】
また、前記実施例では、管路構成部材を貯水槽やバイパス管として説明したが、一方の開閉弁および他方の開閉弁と連通するものであればこれに限られず、既設流体管とは別の流体管等、種々の管路構成部材に変更できる。
【0096】
また、前記実施例では、筐体に一方の配管部および他方の配管部とは別にドレン用開口部を設ける形態を例示したが、これに限られず、一方の配管部および他方の配管部をドレン管として利用し、ドレン用開口部の構成を省略してもよい。また、ドレン用開口部は、筐体の底部を含む管軸よりも下方位置に設けられてもよい。また、ドレン用開口部は、一方の配管部および他方の配管部、もしくはどちらか一方の配管部に設けられていてもよい。
【0097】
また、一方の配管部および他方の配管部は、筐体の側壁から延びる形態に限られず、筐体の底壁または上壁から延びていてもよいが、両配管部をドレン管として利用できるように既設流体管の管軸より下方位置に設けられることが好ましい。
【0098】
また、一方の配管部および他方の配管部は、それぞれ筐体の側壁の一か所の開口部から延びる形態に限られず、筐体の上部及び下部など複数か所の開口部から延びる管部を筐体の外部で合流させて配管部としてもよく、このようにすることで、それぞれの開口部の面積が小さくとも配管部の流量を確保できる。
【0099】
また、前記実施例では、筐体には、作業筒部が一方の配管部および他方の配管部とは別に設けられている形態を例示したが、作業筒部の構成を省略し、一方の配管部または他方の配管部を利用して、既設流体管の切断や制流体の設置を行うようにしてもよい。
【0100】
また、前記実施例では、筐体の管軸方向両側にそれぞれ延びるスリーブが既設流体管とほぼ同径に形成される形態を例示したが、スリーブを既設流体管よりも大径に形成し、管内流体の流量を確保するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1,1a,1b,1c 既設流体管
2 筐体
8 バタフライ弁(制流体)
10 制流装置
14,14’ 空気弁
15 接続管(管路構成部材、分岐管)
16 密封ケース
20 貯水槽(管路構成部材)
41 第1配管(一方の配管部)
42 第2配管(他方の配管部)
43 第1開閉弁(一方の開閉弁)
44 第2開閉弁(他方の開閉弁)
200A,200B 筐体
201,201’ 接続管(管路構成部材、分岐管)
241,241’ 第1配管(一方の配管部)
242,242’ 第2配管(他方の配管部)
243,243’ 第1開閉弁(一方の開閉弁)
244,244’ 第2開閉弁(他方の開閉弁)
245,245’ 第3開閉弁
300A,300B 筐体
301,301’ バイパス用配管部(一方の配管部)
302,302’ ドレン用配管部(他方の配管部)
303,303’ 開閉弁(一方の開閉弁)
304,304’ 開閉弁(他方の開閉弁)
305 プラグ(制流体)
306 バイパス管(管路構成部材、分岐管)
400 筐体
401 バタフライ弁(制流体)
402,403 第1配管(一方の配管部)
404,405 第2配管(他方の配管部)
406 第1開閉弁(一方の開閉弁)
408 第2開閉弁(他方の開閉弁)
500 制流装置
800 プラグ(制流体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16