(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112363
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】離着陸誘導装置、離着陸誘導方法、および、離着陸誘導システム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/04 20060101AFI20230804BHJP
B64F 1/36 20170101ALI20230804BHJP
G08G 5/02 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G08G5/04 A
B64F1/36
G08G5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014112
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴廣
(72)【発明者】
【氏名】松原 満
(72)【発明者】
【氏名】板東 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】清水 拓
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF32
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】 垂直離着陸機を安全に離着陸させる離着陸誘導装置を提供する。
【解決手段】 管制領域内の各飛行体の位置を取得する飛行体位置検出部と、各飛行体に誘導経路を設定する誘導経路設定部と、各飛行体の周囲に仮想専有領域を設定する仮想専有領域設定部と、管制領域の状態を管理する管制領域状態管理部と、各飛行体と通信する通信部と、を備え、仮想専有領域同士の距離が警報状態閾値以下である場合に、管制領域状態管理部は、管制領域の状態を警戒状態に設定するとともに、通信部は、警報情報を飛行体に送信し、仮想専有領域同士が重複する場合、または、仮想専有領域同士の距離が警報状態閾値より小さい非常状態閾値以下である場合に、管制領域状態管理部は、管制領域の状態を非常状態に設定するとともに、通信部は、非管制飛行体に指定されたことを示す情報を誘導経路からより大きく逸れた飛行体に送信する離着陸誘導装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管制領域内の飛行体の離着陸を誘導する離着陸誘導装置であって、
前記管制領域内の各飛行体の位置を取得する飛行体位置検出部と、
前記各飛行体に誘導経路を設定する誘導経路設定部と、
前記各飛行体の周囲に仮想専有領域を設定する仮想専有領域設定部と、
前記管制領域の状態を管理する管制領域状態管理部と、
各飛行体と通信する通信部と、を備え、
仮想専有領域同士の距離が警報状態閾値以下である場合に、前記管制領域状態管理部は、前記管制領域の状態を警戒状態に設定するとともに、前記通信部は、警報情報を前記飛行体に送信し、
仮想専有領域同士が重複する場合、または、前記仮想専有領域同士の距離が前記警報状態閾値より小さい非常状態閾値以下である場合に、前記管制領域状態管理部は、前記管制領域の状態を非常状態に設定するとともに、前記通信部は、非管制飛行体に指定されたことを示す情報を前記誘導経路からより大きく逸れた飛行体に送信することを特徴とする離着陸誘導装置。
【請求項2】
請求項1に記載の離着陸誘導装置において、
前記仮想専有領域は、前記飛行体の現在位置を含み、かつ、前記誘導経路に沿って設定されることを特徴とする離着陸誘導装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の離着陸誘導装置において、
前記仮想専有領域は、前記飛行体が回避行動をとるために必要な大きさを有しており、前記飛行体が前記仮想専有領域の縁に一定以上近づいた際に、仮想専有領域設定部によって再設定されることを特徴とする離着陸誘導装置。
【請求項4】
請求項1に記載の離着陸誘導装置において、
前記通信部は、前記仮想専有領域が接近する要因となった飛行体に前記警報情報を送信することを特徴とする離着陸誘導装置。
【請求項5】
請求項1に記載の離着陸誘導装置において、
前記管制領域が非常状態に設定された場合、前記仮想専有領域設定部は、前記非管制飛行体の周辺に通常状態時の仮想専有領域よりも広い仮想占有領域を設定することを特徴とする離着陸誘導装置。
【請求項6】
請求項1に記載の離着陸誘導装置において、
前記管制領域が非常状態に設定された場合、前記誘導経路設定部は、管制下の飛行体に対し、前記非常状態及び前記飛行体の状態に応じた誘導経路を設定することを特徴とする離着陸誘導装置。
【請求項7】
請求項6に記載の離着陸誘導装置において、
前記誘導経路設定部は、
前記管制下の飛行体が降下前の場合には、該飛行体を管制領域外に誘導する誘導経路を設定し、
前記管制下の飛行体が降下中の場合には、該飛行体を着陸させる誘導経路を設定することを特徴とする離着陸誘導装置。
【請求項8】
請求項6に記載の離着陸誘導装置において、
前記誘導経路設定部は、前記管制下の飛行体に対し、前記非管制飛行体から遠ざかる方向に誘導する誘導経路を設定することを特徴とする離着陸誘導装置。
【請求項9】
請求項1に記載の離着陸誘導装置において、
仮想専有領域同士が重複せず、または、仮想専有領域同士の距離が前記非常状態閾値より大きく、かつ、前記非管制飛行体から応答があった場合に、前記管制領域状態管理部は、前記管制領域の状態を非常状態から警戒状態に変更するとともに、前記通信部は、前記飛行体に前記非管制飛行体の指定が解除されたことを示す情報を送信することを特徴とする離着陸誘導装置。
【請求項10】
請求項9に記載の離着陸誘導装置において、
仮想専有領域同士の距離が前記警戒状態閾値より大きく、かつ、前記飛行体から応答があった場合に、前記管制領域状態管理部は、前記管制領域の状態を警戒状態から通常状態に変更するとともに、前記通信部は、前記飛行体への前記警報情報の送信を停止することを特徴とする離着陸誘導装置。
【請求項11】
請求項1に記載の離着陸誘導装置と、
飛行体と、を有する離着陸誘導システムであって、
前記飛行体は、
前記離着陸誘導装置から受信した前記誘導経路を表示する誘導経路表示部と、
前記離着陸誘導装置から受信した前記警報情報を報知する警報部と、
を備えることを特徴とする離着陸誘導システム。
【請求項12】
請求項11に記載の離着陸誘導システムにおいて、
前記飛行体は、前記離着陸誘導装置から受信した前記仮想占有領域を表示する仮想専有領域表示部を備えることを特徴とする離着陸誘導システム。
【請求項13】
管制領域内の飛行体の離着陸を誘導する離着陸誘導方法であって、
前記管制領域内の各飛行体の位置を取得するステップと、
前記各飛行体に誘導経路を設定するステップと、
前記各飛行体の周囲に仮想専有領域を設定するステップと、
前記管制領域の状態を管理するステップと、
各飛行体と通信するステップと、
仮想専有領域同士の距離が警報状態閾値以下である場合に、前記管制領域の状態を警戒状態に設定するとともに、警報情報を前記各飛行体に送信するステップと、
仮想専有領域同士が重複する場合、または、前記仮想専有領域同士の距離が前記警報状態閾値より小さい非常状態閾値以下である場合に、前記管制領域の状態を非常状態に設定するとともに、非管制飛行体に指定されたことを前記誘導経路からより大きく逸れた飛行体に送信するステップと、
を有することを特徴とする離着陸誘導方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直離着陸機等の飛行体の離着陸を誘導する、離着陸誘導装置、離着陸誘導方法、および、離着陸誘導システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部の渋滞や環境負荷の低減、また過疎地域への輸送手段の確保など様々な交通課題の解決を期待して、小型の電動垂直離着陸機(eVTOL:electric vertical takeoff and landing aircraft)のニーズが高まっている。このeVTOLは、複数の回転翼の夫々に設けたモータを個々に制御することで、垂直離着陸を含む多様な経路を飛行できる飛行体である。そのため、複数のeVTOLの夫々が多様な経路で飛び交う状況も想定されるが、そのような状況下で各eVTOLをエアポートに安全かつ安定に離発着させるためには、エアポート側からの飛行管制が必須になると思われる。
【0003】
ここで、一般的な航空機を管制対象とした地上設備に関する従来技術して、特許文献1に記載の技術がある。例えば、特許文献1の請求項1や段落0039等では、並行配置された複数本の滑走路に着陸する複数の航空機に対して、航空機同士の距離または速度、加速度に基づいて予測される距離が異常接近と判定される距離よりも小さくなった場合に警報し、その異常状態が解消された場合に警報を停止する、着陸機接近警報装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の着陸機接近警報装置の利用により、各航空機の位置と速度、加速度などから予測される軌道に基づき着陸機同士の異常接近が警報されるため、空港管制官による着陸機の状況判断が容易になる。
【0006】
しかしながら、特許文献1の着陸機接近警報装置は、同文献の
図1や
図2などから明らかなように、滑走路への進入方向が限定されているジェット旅客機等の航空機を管制対象とするものであり、多数の機体が多様な飛行経路で同時に離着陸することもあるeVTOLの飛行管制を想定していない。また、特許文献1の着陸機接近警報装置は、空港管制官に管制情報を提供するものに留まり、各々の飛行体に安全な飛行経路を報知することを想定していない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、eVTOLに代表される垂直離着陸機を安全に離着陸させるため、エアポート上空での飛行管制をサポートするとともに、各飛行体に対し管制情報を提供することができる、離着陸誘導装置、離着陸誘導方法、および、離着陸誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の離着陸誘導装置は、管制領域内の飛行体の離着陸を誘導する離着陸誘導装置であって、前記管制領域内の各飛行体の位置を取得する飛行体位置検出部と、前記各飛行体に誘導経路を設定する誘導経路設定部と、前記各飛行体の周囲に仮想専有領域を設定する仮想専有領域設定部と、前記管制領域の状態を管理する管制領域状態管理部と、各飛行体と通信する通信部と、を備え、仮想専有領域同士の距離が警報状態閾値以下である場合に、前記管制領域状態管理部は、前記管制領域の状態を警戒状態に設定するとともに、前記通信部は、警報情報を前記飛行体に送信し、仮想専有領域同士が重複する場合、または、前記仮想専有領域同士の距離が前記警報状態閾値より小さい非常状態閾値以下である場合に、前記管制領域状態管理部は、前記管制領域の状態を非常状態に設定するとともに、前記通信部は、非管制飛行体に指定されたことを示す情報を前記誘導経路からより大きく逸れた飛行体に送信する離着陸誘導装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の離着陸誘導装置、離着陸誘導方法、および、離着陸誘導システムによれば、eVTOLに代表される垂直離着陸機を安全に離着陸させるため、エアポート上空での飛行管制をサポートするとともに、各飛行体に対し管制情報を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1の離着陸誘導システムを示す概念図。
【
図2】実施例1の飛行体制御装置と離着陸誘導装置の機能ブロック図。
【
図3】実施例1の飛行体の管制領域進入時の誘導フローチャート。
【
図4】
図3により設定された誘導経路と仮想専有領域の関係を示す概念図。
【
図5】実施例1の飛行体の仮想専有領域飛行中の誘導フローチャート。
【
図6】
図5により再設定された誘導経路と仮想専有領域の関係を示す概念図。
【
図7】管制領域が通常状態である場合の状態管理フローチャート。
【
図9】管制領域が警戒状態である場合の状態管理フローチャート。
【
図11】非常状態時の非管制飛行体に対する処理を示すフローチャート。
【
図12】非常状態時の管制飛行体に対する処理を示すフローチャート。
【
図13】実施例2の飛行体制御装置と離着陸誘導装置の機能ブロック図。
【
図14】実施例2の仮想専有領域表示装置の表示の一例を示す概念図。
【
図15】実施例3の飛行体制御装置と離着陸誘導装置の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【実施例0012】
<離着陸誘導システムの概略構成>
図1は、本発明の実施例1に係る離着陸誘導システムを示す概念図である。この離着陸誘導システムは、エアポート2の上空に設定した管制領域R内の飛行体1の飛行を管制するシステムであり、特に、複数の飛行体1が並行して離着陸する場合に、各々の飛行体1を適切な経路に誘導することで、飛行体同士の接触を防止するためのシステムである。
【0013】
飛行体1は、上記したeVTOLに代表される小型の垂直離着陸機であり、パイロット等が搭乗したり荷物を搭載したりする本体11と、モータによって個々に回転駆動する複数の回転翼12と、外部と通信する飛行体側通信部13を備えている。なお、回転翼12は、エンジンで回転駆動するものであってもよい。
【0014】
図1では、離着陸誘導システムの管制対象の飛行体1として、エアポート2に向けて飛行中の飛行体1a、1bと、エアポート2で待機中の飛行体1cを例示しているが、これら以外の飛行体1(例えば、エアポート2から離陸した飛行体1d)を管制対象としても良い。
【0015】
エアポート2には、各々の飛行体1の着陸位置を示す着陸帯21が設けられている。また、エアポート2には、管制領域R内の飛行体1を管制する管制設備22と、管制設備22が飛行体1と通信する際に利用するエアポート側通信部23と、エアポート2の周辺の環境情報を取得する環境情報取得部24が設置されている。ここで環境情報とは、エアポート2の周辺の気象情報(天気、気温、降水量、風速等)や、着陸帯21の情報(他の飛行体の使用の有無、物理的な障害物の有無、工事等の有無による使用可能状況)等である。
【0016】
なお、
図1において、飛行体1a用の着陸帯21を着陸帯21aとしたように、本実施例では、各構成の符号の末尾にa、b、cを付すことで、飛行体1a、1b、1cの何れに対応する構成かを区別する。
【0017】
図1の管制領域R内を飛行する飛行体1の夫々には、破線で例示するように、個別の専用領域である仮想専有領域rが設定される。この仮想専有領域rは、複数の飛行体1が同時刻に同領域を飛行することがないように管制設備22内の離着陸誘導装置200が設定した領域であり、複数の飛行体1の離着陸を安全に誘導するために用いられる仮想的な領域である。
【0018】
また、離着陸誘導装置200は、一点鎖線で例示するように、着陸中の飛行体1の夫々に対して着陸帯21へ誘導する誘導経路Gを設定する。なお、
図1では、誘導経路Gを連続した線で表記しているが、離着陸誘導装置200は、緯度経度高度で指定される複数の点の組み合わせで誘導経路Gを設定してもよい。
【0019】
<飛行体制御装置100と離着陸誘導装置200の機能構成>
次に、
図2の機能ブロック図を用いて、飛行体1が内蔵する飛行体制御装置100と、管制設備22が内蔵する離着陸誘導装置200の機能構成について説明する。
【0020】
ここに示すように、飛行体制御装置100は、上記した飛行体側通信部13に加え、誘導経路表示部101と、警報部102を有する。また、離着陸誘導装置200は、上記したエアポート側通信部23に加え、飛行体位置検出部201と、仮想専有領域設定部202と、誘導経路設定部203と、管制領域状態管理部204を有する。以下、各装置の各部詳細を順次説明する。
【0021】
<離着陸誘導装置200>
飛行体位置検出部201は、飛行体1から受信した当該飛行体の位置情報や、管制設備22が持つレーダー等のセンサが取得した飛行体1の位置情報に基づいて、管制領域R内の飛行体1の現在位置を個々に検出する。
【0022】
仮想専有領域設定部202は、飛行体位置検出部201が検出した飛行体1の現在位置の情報等を基に、飛行体1毎の仮想専有領域rを設定する。なお、仮想専有領域rの設定方法の詳細は後述する。
【0023】
誘導経路設定部203は、着陸帯21に着陸する飛行体1(
図1の例では、飛行体1a、1b)に対して着陸用の誘導経路Gを設定し、着陸帯21から離陸する飛行体1(
図1の例では、飛行体1c)に対して離陸用の誘導経路G(図示せず)を設定する。なお、誘導経路Gの設定方法の詳細は後述する。
【0024】
管制領域状態管理部204は、管制領域R内の飛行体1の位置と仮想専有領域rと誘導経路G、および、飛行体1から得た情報を基に、管制領域Rの状態情報を生成したり、飛行体1に送信する管理情報(後述する、警報情報など)を生成したりする。なお、これらの情報の生成方法の詳細は後述する。
【0025】
<飛行体制御装置100>
誘導経路表示部101は、離着陸誘導装置200から送信された誘導経路Gをパイロット等に認識させるヒューマンインタフェースであり、例えば、ディスプレイである。
【0026】
警報部102は、離着陸誘導装置200から送信された警報情報を、音声、発光、文字、画像などの形態で、パイロット等に報知するヒューマンインタフェースである。なお、誘導経路表示部101と警報部102は、一つのディスプレイを共用するものであっても良い。
【0027】
<誘導経路Gと仮想専有領域rの初期設定処理の一例>
次に、
図3と
図4を用いて、飛行体1が管制領域外から管制領域Rに進入した場合の、離着陸誘導装置200による仮想専有領域rと誘導経路Gの初期設定方法と、それらの情報の飛行体1での利用方法を説明する。
【0028】
まず、
図3のフローチャートを用い、
図1の飛行体1aが管制領域Rに進入する前後の状況を例に、本実施例の離着陸誘導システムの動作を説明する。
【0029】
ステップS11では、飛行体1aが内蔵する飛行体制御装置100の飛行体側通信部13は、管制領域Rに進入する前に管制領域Rへの進入申請を送信する。この結果、離着陸誘導装置200のエアポート側通信部23は、管制領域Rに接近する飛行体1aからの管制領域Rへの進入申請を受信する。
【0030】
ステップS12では、飛行体位置検出部201は、上記した何れかの方法で、飛行体1aの現在位置を検出する。
【0031】
ステップS13では、離着陸誘導装置200は、飛行体1aの現在位置と管制領域Rを比較する。そして、飛行体1aが管制領域Rに既に進入している場合は、ステップS14に進み、飛行体1aが管制領域Rに未だ進入していない場合は、ステップS13を繰り返す。
【0032】
ステップS14では、離着陸誘導装置200は、事前に申請された飛行体1aの飛行計画情報を照合し、飛行体1aを認証する。なお、飛行計画情報は、飛行計画の全体を統括する仕組みがある場合はそこから入手してもよい。
【0033】
ステップS15では、誘導経路設定部203は、飛行体1aの現在位置と、飛行体1aのために用意した着陸帯21aの位置に基づいて、飛行体1aを安全に着陸帯21aに着陸させるための誘導経路Gaを設定する。なお、誘導経路Gaの設定時には、飛行体1aの構造、能力、管制領域R内の他の飛行体1bとその仮想専有領域rb、管制領域Rの気象状態、周辺地域の状況などを加味して設計するとよい。
【0034】
ステップS16では、仮想専有領域設定部202は、少なくとも飛行体1aの位置、速度、機体の状態などの飛行体1aの情報と、誘導経路Gaと、既に管制領域R内を飛行している他の飛行体1bの仮想専有領域rbの情報を基に、飛行体1aの周辺に仮想専有領域raを設定する。
【0035】
ここで、
図4の概略図を用いて、ステップS15とステップS16の処理によって設定された、誘導経路Gaと仮想専有領域raの関係を説明する。図示のように誘導経路Gaが設定された場合、仮想専有領域raは飛行体1aの現在位置を含むように、かつ、誘導経路Gaに沿って設定される。この結果、仮想専有領域raは、飛行体1aの進行方向に長い形状となる。
【0036】
なお、
図1に例示するように、飛行体1aの周辺に他の飛行体1bが存在する場合は、基本的には、その仮想専有領域rbと一定以上の距離を持つように仮想専有領域raを設定する。また、仮想専有領域raは飛行体1aが領域内で障害物を発見した場合に、ある程度の自由度を持って旋回回避できるような大きさに設定され、その大きさは飛行体1aの構造、能力、管制領域Rの気象状態、周辺地域の状況などを加味して設定するとよい。ただし、全てを満足する仮想専有領域raを設定できない場合は、仮想専有領域rbと一部重複する仮想専有領域raを設定することも許容される(詳細は、
図10で説明)。
【0037】
次に、ステップS17では、エアポート側通信部23は、設定した誘導経路Gaを、飛行体1aの飛行体側通信部13に送信する。
【0038】
ステップS18では、飛行体1aの誘導経路表示部101は、離着陸誘導装置200から受信した誘導経路Gaをディスプレイ表示し、誘導経路Gaに沿った飛行をパイロットに促す。
【0039】
このようにして、管制領域Rに進入した各々の飛行体1には、固有の誘導経路Gと仮想専有領域rが割り当てられ、飛行体1が安全に着陸できる経路が離着陸誘導装置200によって管理されることになる。
【0040】
<誘導経路Gと仮想専有領域rの更新処理の一例>
次に、
図5と
図6を用い、
図3のフローチャートによって誘導経路Gと仮想専有領域rを割り当てた飛行体1が管制領域R内を更に飛行した場合の、離着陸誘導装置200による仮想専有領域rの再設定方法と、その情報の飛行体1での利用方法を説明する。
【0041】
まず、
図5のフローチャートを用いて、
図1の飛行体1aが着陸帯21aに更に接近する状況を例に、本実施例の離着陸誘導システムの動作を説明する。
【0042】
ステップS21では、離着陸誘導装置200の飛行体位置検出部201は、管制領域R内を飛行する飛行体1aの現在位置を検出する。
【0043】
ステップS22では、管制領域状態管理部204は、飛行体1aの現在位置と仮想専有領域raの境界形状に基づいて、飛行体1aから仮想専有領域raの縁との最短距離Lを算出し、距離Lが閾値Lth以上であるかを判定する。そして、L≧LthであればステップS21に戻り、L<LthであればステップS23に進む。
【0044】
ステップS23では、誘導経路設定部203は、飛行体1aの現在位置を基準に誘導経路Gaを再設定する。以上から分かるように、閾値Lthは、仮想専有領域raを再設定するための閾値として機能するものである。なお、誘導経路Gaを再設定する際には、管制領域Rに進入した際に指定された着陸帯21aに着陸する方向に、飛行体1aの構造、能力、管制領域R内の他の飛行体1bとその仮想専有領域rb、管制領域Rの気象状態、周辺地域の状況などを加味して設定するとよい。
【0045】
ステップS24では、仮想専有領域設定部202は、ステップS23で再設定した誘導経路Gaを前提に、仮想専有領域raを再設定する。なお、仮想専有領域raを再設定する際にも、上記したステップS16と同等の事情を考慮する。
【0046】
ステップS23、S24の処理により、例えば
図6に示すように、本来の誘導経路Gaから逸れた飛行体1aに対しては、L<L
thとなった時点で、誘導経路Ga’と仮想専有領域ra’が再設定される。なお、
図6では、飛行体1aが誘導経路Gaから逸れた結果、誘導経路Ga’と仮想専有領域ra’が再設定された例を示したが、飛行体1aが誘導経路Gaに沿って飛行した場合も、飛行体1aが仮想専有領域raの縁に接近した時点で仮想専有領域ra’が再設定されることは言うまでもない。
【0047】
ステップS25では、エアポート側通信部23は、再設定した誘導経路G’を、飛行体1の飛行体側通信部13に送信する。これにより、上記した、
図3のステップS18と同様に、最新の誘導経路G’がパイロットに報知される。
【0048】
このように、誘導経路Gと仮想専有領域rを、飛行体1と仮想専有領域rとの位置関係に応じて再設定することで他の飛行体1bが飛行体1aの周囲に存在しない状態を作り出し、複数の飛行体1が接近しないように管理することができる。従って、各々のパイロットが最新の誘導経路G’に従って飛行体1を飛行させることで、各々の飛行体1は安全に離着陸することができる。
【0049】
<管制領域R内に複数の仮想専有領域rが存在する場合>
次に、
図7と
図8を用いて、管制領域R内に複数の仮想専有領域rが存在する場合に、離着陸誘導装置200が管理する管制領域状態について説明する。
【0050】
まず、
図7のフローチャートを用いて、
図1の飛行体1a、1bの夫々に仮想専有領域ra、rbが設定されている状況を例に、本実施例の離着陸誘導システムの動作を説明する。なお、このフローチャートの開始時点の管制領域状態は「通常状態」であるものとする。
【0051】
ステップS31では、離着陸誘導装置200の管制領域状態管理部204は、管制領域R内の仮想専有領域ra、rbの状態を監視する。
【0052】
ステップS32では、管制領域状態管理部204は、仮想専有領域ra、rbの距離Xを演算し、その距離Xが警戒状態閾値Xth以上であるかを判定する。そして、X≧Xthであれば(仮想専有領域ra、rbが十分に離れていれば)、ステップS31とステップS32を繰り返し、X<Xthであれば(仮想専有領域ra、rbが近接していれば)、ステップS33に進む。
【0053】
ステップS33では、管制領域状態管理部204は、管制領域Rの管理状態を「通常状態」から「警戒状態」に変更する。なお、警戒状態下での処理については後述する。
【0054】
このように、管制領域状態管理部204は、複数の仮想専有領域の距離に応じて、管制領域Rの管理状態を変更することができる。
【0055】
<警戒状態下での離着陸誘導システムの動作>
図9は、
図7の処理によって管制領域Rが警戒状態に移行した場合の、離着陸誘導システムの処理を示すフローチャートであり、
図10は飛行体1aが誘導経路Gaから大きく逸脱した結果、それに合わせて再設定された仮想専有領域raが仮想専有領域rbと重複する状態を示す概略図である。
【0056】
図9のステップS40では、管制領域状態管理部204は、エアポート側通信部23を介して、飛行体1a、1bの夫々の飛行体側通信部13に警報情報を送信する。なお、警報情報の送信先は、誘導経路Gaを大きく逸脱した飛行体1aのみであってもよい。この場合、警報情報を受信した飛行体1aの警報部102は、警報情報に基づいて音や光などの部を用いてパイロットに仮想専有領域r同士が接近していることを知らせ、パイロットに離着陸誘導装置200によって設定された誘導経路Gaに戻るように促す。ここで警報部102は接近量によって音や光の強度を高めて、緊急度を知らせるように設計してもよい。パイロットは警報情報に対して応答を飛行体側通信部13とエアポート側通信部23を介して離着陸誘導システムに送信する。
【0057】
ステップS41では、管制領域状態管理部204は、警報情報送信後も管制領域R内の仮想専有領域rの状況を監視する。
【0058】
ステップS42では、管制領域状態管理部204は、仮想専有領域ra、rbの距離Xを演算し、距離Xが警戒閾値Xth以上であるかを判定する。そして、X≧XthであればステップS43に進み、X<XthであればステップS46に進む。
【0059】
ステップS43では、管制領域状態管理部204は、飛行体1aから応答が得られたかを確認する。そして、応答が得られない場合はステップS40に戻り、応答が得られた場合はステップS44に進む。なお、応答の有無は、例えば、空港管制官の音声での呼びかけに対して飛行体1aのパイロットが音声で応答したかや、飛行体1aが与えられた誘導経路Ga上に復帰したか、等に基づいて判定することができる。
【0060】
ステップS44では、管制領域状態管理部204は、警報情報の送信を停止する。
【0061】
ステップS45では、管制領域状態管理部204は、管制領域Rの状態を「警戒状態」から「通常状態」に戻した後、
図7の監視処理に復帰する。
【0062】
一方、ステップS42からステップS46に移行した場合は、管制領域状態管理部204は、仮想専有領域ra、rbの重複を確認する。そして、重複しない場合にはステップS40に戻り、重複する場合はステップS47に進む。なお、上記のステップS16で説明したように、仮想専有領域設定部202は、基本的には、仮想専有領域rbと重複しないように仮想専有領域raを設定するが、飛行体1a、1bが近接する場合や飛行体の状態の変化(故障など)などによって、飛行体1aの飛行に最低限必要とされる仮想専有領域raを設定した場合に、仮想専有領域rbと仮想専有領域raとを重複して設定せざるを得ない状況になり(
図10参照)、そのような状況にはステップS46からステップS47に進むこととなる。
【0063】
ステップS47では、管制領域状態管理部204は、仮想専有領域r同士が重複する要因となった飛行体1aを非管制飛行体に設定する。ここで、非管制飛行体とは、管制領域R内を飛行しているが、離着陸誘導装置200の指示に従っていないと見做された飛行体のことである。
【0064】
なお、本ステップの条件に代えて、管制領域Rに進入した際に計画された仮想専有領域rの再設定回数に比べて多く仮想専有領域が再設定された飛行体、または、進入した際に設定された誘導経路Gからの逸脱量がより大きい方の飛行体、または、直近の逸脱量が大きい方の飛行体を、非管制飛行体に指定してもよい。
【0065】
ステップS48では、管制領域状態管理部204は、管制領域Rの状態情報を「警戒状態」から、より緊急度の高い状態を示す「非常状態」に変更する。なお、非常状態での処理については後述する。
【0066】
このように警戒状態の時の処理を行うことで、誘導経路Gからの逸脱量が大きい飛行体1aに対して状態を把握させ、誘導経路の方向に戻ること促すため、管制領域R内の飛行体1a、1bを十分な間隔をもって誘導することができる。また、飛行体1aが何らかの理由(障害物、故障など)で誘導経路から大きく逸脱せざるを得ないことを仮想専有領域raとrbの距離から把握し、その場合は管制領域Rの状態を非常状態に移行し、非常状態の誘導を行うことができる。また、本実施例では仮想専有領域rが重複した場合に非常状態に移行するとしたが、閾値となる距離を設定し、それとの比較により非常状態に移行することにしてもよい。
【0067】
<非常状態下での離着陸誘導システムの動作>
次に、管制領域Rが非常状態であり、飛行体1aが非管制飛行体(管制指示に従っていない飛行体)、飛行体1bが管制飛行体(管制指示に従っている飛行体)である場合の、離着陸誘導システムの処理の一例を説明する。
【0068】
<<非管制飛行体(飛行体1a)に関する処理>>
図11は、管制領域Rが非常状態である場合に非管制飛行体(飛行体1a)に関して行われる処理を示すフローチャートである。
【0069】
ステップS50では、管制領域状態管理部204は、非管制飛行体(例えば、飛行体1a)に対して、非管制飛行体に指定されたことを通知する。この際に、飛行体1aの警報部102の音や光の強度で示すことにしてもよい。
【0070】
ステップS51では、仮想専有領域設定部202は、非管制の飛行体1aの周辺に、非常状態下の仮想専有領域raを再設定する。この非常状態下の仮想専有領域raは、非管制の飛行体1aと管制飛行体である他の飛行体1bの衝突を避けるために設定される領域で、例えば非管制の飛行体1aの周辺に通常時よりも大きな仮想専有領域として設定し、非管制の飛行体1aの不確定な動作に対して他の管制飛行体1bが十分に衝突を避けられるような距離を保つようにするとよい。
【0071】
ステップS52では、管制領域状態管理部204は、非管制の飛行体1aに対して再設定された仮想専有領域raが他の飛行体の仮想専有領域rbと重複するかを再度確認する。そして、重複する場合はステップS50に戻り、重複しない場合は、ステップS53に進む。
【0072】
ステップS53では、管制領域状態管理部204は、非管制の飛行体1aからの応答の有無を確認する。そして、応答がない場合はステップS50に戻り、応答がある場合はステップS54に進む。なお、応答の有無は、ステップS43と同等の方法で確認することができる。
【0073】
ステップS54では、管制領域状態管理部204は、非管制と見做した飛行体1aが管制下に復帰したと判断し、その飛行体1aに対する非管制飛行体の指定を解除する。
【0074】
ステップS55では、管制領域状態管理部204は、管制領域Rの状態情報を「非常状態」から「警戒状態」に戻し、
図9で示した警戒状態下の処理を再開する。
【0075】
<<管制飛行体(飛行体1b)に関する処理>>
図12は、管制領域Rが非常状態である場合に管制飛行体(飛行体1b)に関して行われる処理を示すフローチャートである。
【0076】
ステップS61では、管制領域状態管理部204は、管制領域R内の全ての管制飛行体に対して管制領域Rが非常状態になったことを通知する。
【0077】
ステップS62では、仮想専有領域設定部202と誘導経路設定部203は、非管制の飛行体1aの仮想専有領域raと重複する場合など、必要に応じて、管制下の飛行体1bについても誘導経路Gbと仮想専有領域rbを再設定する。
【0078】
ステップS63では、管制領域状態管理部204は、管制領域Rの状態を近隣の他エアポートまたは運航全体を統括管理するサーバ等に対して連絡する。ここでは図示しないが、他エアポートまたは運航全体統括管理サーバと通信を介して情報を伝達するとよい。また、同時に他エアポートの離着陸帯や管制領域Rの空き状況などの情報を収集する。
【0079】
ステップS64では、管制領域状態管理部204は、管制下の飛行体1bに対し、管制領域R内に留まるか、管制領域R外に退避するかの要望を問い合わせる。
【0080】
ステップS65では、管制領域状態管理部204は、管制下の飛行体1bの管制領域R内の待機要望の有無を確認する。そして、待機要望がある場合にはステップS66に進み、待機要望が無ければステップS75に進む。
【0081】
ステップS66では、管制領域状態管理部204は、管制下の飛行体1bの内部情報を取得する。なお、内部情報とは、管制下の飛行体1bの飛行可能時間、バッテリや燃料の残量、故障の有無などである。
【0082】
ステップS67では、管制領域状態管理部204は、取得した内部情報に基づき、管制下の飛行体1bの状態を判定する。具体的には、管制下の飛行体1bが正常に飛行できるか、および、十分な飛行可な時間が残されているかを判定する。そして、管制下の飛行体1bの状態が正常と判定された場合は、ステップS68に進み、そうでなければステップS75に進む。
【0083】
ステップS68では、飛行体位置検出部201は、管制下の飛行体1bの飛行状態を判定する。そして、管制下の飛行体1bが降下中の場合はステップS69に進み、そうでなければステップS72に進む。
【0084】
ステップS69では、誘導経路設定部203は、管制下の飛行体1bが降下するための誘導を継続する。
【0085】
ステップS70では、仮想専有領域設定部202と誘導経路設定部203は、
図5に示したフローチャートに従い、管制下の飛行体1bについて誘導経路Gbと仮想専有領域rbを再設定する。
【0086】
ステップS71では、飛行体位置検出部201は、管制下の飛行体1の着陸が完了したかどうかを判定する。そして、管制下の飛行体1bの着陸が完了した場合は処理を終了し、着陸未完了の場合は着陸完了するまでステップS70,S71を繰り返す。
【0087】
一方、ステップS68で降下中ではないと判断され、ステップS72に進んだ場合は、離着陸誘導装置200は、管制下の飛行体1bに対し、非管制の飛行体1aに近ければ飛行体1aから遠ざかる誘導を継続し、非管制の飛行体1aから遠ければ待機または従前の誘導を継続する。
【0088】
ステップS73では、仮想専有領域設定部202と誘導経路設定部203は、
図5に示したフローチャートに従い、管制下の飛行体1bについて誘導経路Gbと仮想専有領域rbを再設定する。
【0089】
ステップS74では、管制領域状態管理部204は、管制領域Rの状態が非常状態から通常状態または警戒状態に復帰したかを確認し、何れかの状態に移行するまでステップS73,S74を繰り返す。
【0090】
また、ステップS65で管制領域R内の待機の要望がない場合、または、ステップS67で故障状態または十分な飛行状態がない場合に進んだステップS75では、離着陸誘導装置200は、管制下の飛行体1bの状態に応じて近隣ポートへの誘導またはエアポート内の空きエリアに着陸するための誘導を行う。
【0091】
ステップS76では、仮想専有領域設定部202と誘導経路設定部203は、
図5に示したフローチャートに従い、管制下の飛行体1bについて誘導経路Gbと仮想専有領域rbを設定する。
【0092】
ステップS77では、離着陸誘導装置200は、飛行体1bが管制領域Rから離脱したことが確認されるまでステップS76,S77を繰り返す。
【0093】
このような構成と処理を行う離着陸誘導装置200によって、管制領域R内の飛行体1同士が衝突しない十分な距離を保つように、安全性を高めた離着陸を行うことができる。本実施例内で着陸と記載した箇所は離陸に当てはめても同様に安全性を高められる効果が得られる。特に多数飛行体が管制領域R内を飛行する場合や、降下上昇時の動作に自由度が高い垂直離着陸機に適用可能で離着陸の効率と誘導作業の効率化を図ることができる。
【0094】
また、本実施例1では仮想専有領域rの距離に基づいた管制領域Rの状態遷移を行ったが、仮想専有領域rの距離に代えて、管制領域Rへの進入時に設定した誘導経路Gからの逸脱量を基に状態を遷移してもほぼ同等の効果が得られる。
【0095】
また、本実施例では警戒状態から非常状態への移行を判断する際に、仮想専有領域r同士の重複を判断基準として設定したが、仮想専有領域同士の距離Xと非常状態閾値Xemを比較し、X<Xemとなる場合に非常状態に遷移するとしてもほぼ同等の効果が得られる。なお、非常状態は警戒状態より緊急度の高い状態であるため、非常状態に移行するための非常状態閾値Xemには、警戒状態に移行するための警戒状態閾値Xthよりも小さな値が設定される。
本実施例によれば、飛行体1のパイロットは、離着陸誘導装置200から警報情報が発生される前に、仮想専有領域r同士の距離Xと自飛行体1の位置関係を把握できるため、仮想専有領域を考慮した障害物を回避するための軌道を検討することができる。